説明

固体ラサギリン塩基を調製および乾燥する方法

0.5重量%未満の量の水を含む結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンおよびこれを含む薬剤組成物、並びにその製造方法および検証を開示する。また、固体ラサギリン塩基の調製方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本出願は2008年6月19日に提出した米国仮出願第61/132,487の利益を主張し、その内容を本明細書中に組み込む。
【0002】
本明細書を通して種々の文献と公開された特許を参照する。これらの文献のその全体の開示を本明細書中に組み込んで本発明が関連する従来技術の状況をより十分に記載する。
【0003】
発明の背景
R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン(「R−PAI」)、ラサギリンとしても知られている、は酵素モノアミン酸化酵素のB型(「MAO−B」)の選択的阻害剤であることが報告され、パーキンソン病や種々の他の病気の治療に有用である。
【0004】
メシル酸ラサギリンはパーキンソン病を単剤治療でまたは他の治療を伴う補助剤として治療するのに推奨される。例えば AGILECT (商標登録),医師用卓上参考書(2007),61版、トムソンヘルスケアを参照されたい。
【0005】
ラサギリンの合成は米国特許第5,532,415号明細書に開示されていてここで例3はクロマトグラフ分離後のオイルとしてのラサギリン塩基の回収を記載している。米国特許第5,532,415における他の合成例はその未精製形態またはそのラセミ形態からのラサギリン塩の調製を示しこれは適切な酸とさらに反応して薬剤的に許容できる塩を生成する。
【0006】
薬剤組成物において、結晶化度は活性薬剤成分において望ましい性質である。結晶物質は殆どのタイプの薬剤製剤形態への加工および調合の容易さに対処する。ラサギリン塩基を結晶形態で単離することができる。
【0007】
結晶化により調製される固体ラサギリン塩基は典型的に完全には「ドライ」でなく溶媒を含む。固体ラサギリン塩基を溶媒から乾燥させる一方で昇華による収率の低下を最小限に抑えるのに適する方法が必要である。
【0008】
発明の概要
主題発明は水を0.5重量%未満の量で含有するR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを提供する。
【0009】
主題発明は水を0.5重量%未満の量で含有するR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと薬剤的に許容できるキャリアとを含む薬剤組成物も提供する。
【0010】
主題発明はR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させる方法も提供し、固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを40℃未満の温度と2〜1013.3mbarの圧力で固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させるのに適した時間のあいだ晒すことを含む。
【0011】
主題発明は水を0.5重量%未満の量で含有する結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと薬剤的に許容できるキャリアとを含む薬剤組成物を調製する方法も提供し、a)固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを40℃未満の温度と2〜1013.3mbarの圧力に固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させるのに適した時間のあいだ乾燥すること;およびb)工程a)において回収した乾燥R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを薬剤的に許容できるキャリアと混ぜ合わせることにより薬剤組成物を調製することを含む。
【0012】
主題発明は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと少なくとも1種の薬剤的に許容できるキャリアとを含む製剤の流通に有効なバッチを製造するための方法も提供し:a)製剤のバッチを製造すること;b)バッチのサンプル中の水の重量含有量を測定すること;およびc)バッチ中の結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンが0.5重量%未満の水を含有する場合にのみ流通用のバッチを有効とすることを含む。
【0013】
主題発明は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造する方法も提供し:
a)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を精製すること;
b)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの精製塩を水に溶解させて溶液を作ること;
c)上記溶液を0〜15℃の温度まで冷却すること;
d)上記溶液を9.5〜12.5のpHまで塩基性化して懸濁液を作ること;および
e)懸濁液から上記結晶ラサギリンR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを分離すること
を含む。
【0014】
主題発明は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造する方法も提供し:
a)水溶性有機溶媒中のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの溶液を得ること;
b)溶液と水とを混ぜ合わせること;
c)上記溶液を0〜20℃まで冷却して結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ること;
d)結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを単離すること;および
e)S(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量が工程d)において得られるR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの総量と比較して0.1wt%を超える場合に工程a)〜d)を繰り返すこと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】液体ラサギリン塩基の60℃における蒸発/昇華率における圧力の影響を示す。
【図2】固体ラサギリン塩基昇華率における圧力と温度の影響を示す。
【図3】小スケールおよび大スケールのラサギリン塩基の温度プロフィールを比較する。
【図4】精製前の酒石酸ラサギリンの粒径および形状を示す。
【図5】精製後の酒石酸ラサギリンの粒径および形状を示す。
【0016】
発明の詳細な記載
低い融点とその昇華する能力のために、固体ラサギリンのルーチン技術による乾燥は収率の低下をもたらすことが観察されている。
【0017】
溶媒から固体ラサギリン塩基を昇華による収率の低下を最小限に抑える条件下で乾燥する方法を本明細書中に与える。
【0018】
主題発明は水を0.5重量%未満の量で含有する結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを提供する。
【0019】
1つの実施形態において、結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンは水を0.06重量%を超えない量で含有する。
【0020】
主題発明は0.5重量%の量で水を含有するR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと薬剤的に許容できるキャリアとを含む薬剤組成物も提供する。
【0021】
1つの実施形態において、薬剤組成物を経口投与用に調合する。他の実施形態において、薬剤組成物を経皮的な用途のために調合する。さらに他の実施形態において、薬剤組成物は経皮貼布の形態にある。
【0022】
主題発明は固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥するための方法も提供し、固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを40℃未満の温度と2〜1013.3mbarの圧力に固体のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥するのに適切な時間のあいだ晒すことを含む。
【0023】
1つの実施形態において、乾燥チャンバを40℃未満まで加熱する。他の実施形態において、乾燥チャンバを35℃未満まで加熱する。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバを25℃未満まで加熱する。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバを22℃未満まで加熱する。
【0024】
1つの実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は2〜1013.3mbarである。他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は3〜500mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は5〜250mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は10〜100mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は20〜50mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は22〜28mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は20〜25mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は2〜3mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は4〜5mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバにおける圧力は2〜5mbarである。
【0025】
実施形態において、乾燥チャンバを40℃未満まで加熱しおよび乾燥チャンバにおける圧力は2〜1013.25mbarである。他の実施形態において、乾燥チャンバを35℃未満まで加熱しおよび乾燥チャンバにおける圧力は20〜50mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバを35℃未満まで加熱しおよび乾燥チャンバにおける圧力は22〜28mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバを35℃未満まで加熱しおよび乾燥チャンバにおける圧力は20〜25mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバを25℃未満まで加熱しおよび乾燥チャンバにおける圧力は22〜28mbarである。さらに他の実施形態において、乾燥チャンバを25℃未満まで加熱しおよび乾燥チャンバにおける圧力は20〜25mbarである。
【0026】
他の実施形態において、乾燥するための時間は少なくとも45時間である。
【0027】
40℃未満の温度により、範囲内の全てのコンマ数および整数のセ氏温度は本発明の一部として具体的に開示されることを意味する。つまり、39.9、39.8、39.7℃、...、および39、38、37℃、...などが本発明の実施形態として開示されている。同様に、2〜1013.3mbarの圧力により、範囲内の全てのコンマ数および整数のパーセントが発明の一部として開示されることを意味する。つまり、2.1、2.2、2.3、...、1013.2、1013.2、1013.3は本発明の実施形態として含まれる。
【0028】
主題発明は水を0.5重量%の量で含有する結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと薬剤的に許容できるキャリアとを含む薬剤組成物を調製する方法も提供し、a)固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを40℃未満の温度と2〜1013.3mbarの圧力で固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させるのに適した時間のあいだ乾燥すること;およびb)工程a)において回収した乾燥させたR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを薬剤的に許容できるキャリアと混ぜ合わせることにより薬剤組成物を調製することを含む。
【0029】
本方法の追加の実施形態を明細書を通して記載する。
【0030】
主題発明は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと少なくとも1種の薬剤的に許容できるキャリアとを含む製剤の流通に有効なバッチを製造するための方法も提供し:a)製剤のバッチを製造すること;b)バッチのサンプル中の水の重量含有量を測定すること;およびc)バッチ中の結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンが0.5重量%未満の水を含む場合にのみ流通用のバッチを有効とすることを含む。
【0031】
1つの実施形態において、バッチはバッチ中の結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンが0.06重量%未満の水を含む場合にのみ有効とされる。
【0032】
主題発明は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造する方法も提供し:
f)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を精製すること;
g)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの精製塩を水に溶解させて溶液を作ること;
h)上記溶液を0〜15℃の温度まで冷却すること;
i)上記溶液を9.5〜12.5のpHまで塩基性化して懸濁液を作ること;および
j)懸濁液から上記結晶ラサギリンR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを分離すること
を含む。
【0033】
本方法の1つの実施形態において、工程a)は:
i)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を水に溶解させて溶液を作ること;
ii)水溶性有機溶媒を溶液に加えること;
iii)溶液を約0〜10℃の温度まで冷却すること;および
iv)懸濁液からR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの精製塩を得ること
を含む。
【0034】
本方法の他の実施形態において、工程iv)において得られるR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの精製塩は結晶化前のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと比較して高い光学純度のものである。
【0035】
本方法の他の実施形態において、R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩は酒石酸塩である。
【0036】
主題発明は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造する方法も提供し:
a)水溶性有機溶媒中のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの溶液を得ること;
b)溶液を水と混ぜ合わせること;
c)上記溶液を0〜20℃まで冷却して結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ること;
d)結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを単離すること;および
e)S(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの量が工程d)で得られるR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの総量と比較して0.1wt%を超える場合に工程a)〜d)を繰り返すこと
を含む。
【0037】
本方法の1つの実施形態において、水溶性有機溶媒はアルコールである。
【0038】
本方法の他の実施形態において、アルコールはエタノールかイソプロパノールのいずれか、またはエタノールとイソプロパノールの混合物である。
【0039】
本方法の他の実施形態において、結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンは結晶化前のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと比較して高い光学純度のものである。
【0040】
本明細書中で用いられる「PAI」はN−プロパルギル−l−アミノインダンを指す。
【0041】
本明細書中で用いられる「製剤物質」は製剤中の活性成分を指し、これは病気の診断、治療、軽減、処置若しくは予防において製剤的な活性若しくは他の直接効果を提供し、またはヒト若しくは動物の身体のあらゆる機能の構造に影響を及ぼすことを指す。
【0042】
本明細書中で用いられる「製剤」は製剤物質と少なくとも1種の製剤的に許容できるキャリアとを含む最終的な投与形態にある薬剤組成物を指す。
【0043】
本明細書中で用いられる「薬剤的に許容できるキャリア」は適切な利益/リスク比に相応して過度の不利な副作用(例えば毒性、刺激およびアレルギー反応)を伴わないヒトおよび/または動物に関しての使用に適するキャリアまたは賦形剤を指す。
【0044】
本明細書中で用いられる「安定性試験」は、製剤がその指定された使用期限の間分解するかおよびどの程度分解するかを確かめるために特定の時間間隔と種々の環境条件(例えば温度および湿度)にて行われる試験を指す。試験の特有な条件および時間は製剤がその使用期限の間に直面することが予想される条件を加速するようなものである。
【0045】
R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを角度2シータ±0.2において8.5、12.6、16.1および16.9にピークを有する粉末X線回折パターンにより特徴付けられる結晶形態で得ることができる。さらに、角度2シータ±0.2において20.3、20.9、25.4、26.4および28.3にピークを有するX線粉末回折パターンにより、または38〜41℃の融点により特徴付けることができる。
【0046】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの製造方法は:a)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を水に溶解させて溶液を作ること、b)上記溶液を約0〜15℃の温度まで冷却すること;c)上記溶液を約11のpHまで塩基性化して懸濁液を作ること;およびd)懸濁液から上記結晶ラサギリンR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを得ることを含む。
【0047】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの製造の他の方法は:a)液体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの第1の有機溶液を得ること;b)第1の有機溶液から真空下で溶媒を十分に蒸発させて残渣を生ずること;c)残渣を第2の有機溶媒に溶解させて第2の有機溶液を作ること;d)第2の有機溶媒を第2の有機溶液から真空下で十分に蒸発させて第2の残渣を生ずること;およびe)第2の残渣を0〜25℃の温度に保って結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ることを含む。
【0048】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの製造のさらに他の方法はa)水溶性有機溶媒中のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの溶液を得ること;b)溶液を水と混ぜ合わせること;c)上記溶液を0〜20℃まで冷却して結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ること;およびd)結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを単離することを含む。
【0049】
結晶ラサギリン塩基は多くのラサギリン塩、特に水溶性であるメシル酸塩より低い水溶性を有する。水中でのメシル酸ラサギリンの溶解度はpH6.7で92mg/mlおよびpH3.3で570mg/mlであり、両方とも25℃で測定した。同じ温度で、水中でのラサギリン塩基の溶解度はpH11で5.5mg/mlである。
【0050】
結晶ラサギリン塩基をメシル酸ラサギリンまたは酒石酸ラサギリンのようなラサギリン塩を得るために用いられる合成中間体として用いることができる。結晶ラサギリン塩基を溶媒に溶解させて酸と反応させて薬剤的に許容できる酸付加塩を生成することができる。ラサギリン塩基の結晶化は酸付加塩のさらなる精製を提供できるであろう。
【0051】
水溶性はしばしば、特に経口組成物を調合する際の活性薬剤成分の重要な特性である。時には、活性薬剤成分の親油性が他の薬剤組成物を調合する際に望まれる。結晶ラサギリン塩基は水中での低い溶解度が望まれる薬剤組成物を調合するのに有用であろう。例えば、経皮的投与のための組成物を親油性化合物から調合することができる。経皮的組成物のような例は軟膏、クリームおよびパッチを含む。経口剤形を形成するために用いられるであろう薬剤的に許容できるキャリアと賦形剤の具体的な例は例えば2000年10月3日に発行された Peskin 等への米国特許第6,126,968号明細書に記載されている。本発明に有用な剤形を作るための技術および組成物は以下の参考文献に記載されている:7 Modern Pharmaceutics,9および10章(Banker & Rhodes, Editors,1979);Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman et al., 1981); Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976);Remington's Pharmaceutical Sciences,17th ed. (Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton,Trevor Jones,Eds.,1992);Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton,Trevor Jones,James McGinity,Eds.,1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences,Series 36 (James McGinity,Ed.,1989);Pharmaceutical Particulate Carriers:Therapeutic Applications:Drugs and the Pharmaceutical Sciences,Vol 61 (Alain Rolland,Ed.,1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology;J. G. Hardy,S. S. Davis,Clive G. Wilson,Eds.);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences,Vol 40 (Gilbert S. Banker,Christopher T. Rhodes,Eds.)。
【0052】
タブレットは適切なバインダ、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、香料添加剤、流動誘発剤および溶融剤を含んでいてもよい。例えば、タブレットまたはカプセルの投与単位形態にある経口投与のために、活性薬剤成分を経口、毒性のない、薬剤的に許容できる不活性なキャリア例えばラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、微結晶セルロース等と混ぜ合わせることができる。適切なバインダはデンプン、ゼラチン、例えばグルコースまたはベータ−ラクトースである天然糖、コーンスターチ、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムである天然および合成ゴム、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等を含む。これらの投与形態にて用いられる潤滑剤はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク等を含む。崩壊剤は限定されないがデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム等を含む。
【0053】
その全内容を本明細書中に組み込む米国特許第6,126,968号明細書はPAIを含む配合物の安定性を比較的大量のある種のアルコールの取り込みにより著しく改善することができることを開示している。特に、アルコールは五価または六価アルコールの群から選択される(米国特許第6,126,968号明細書)。アルコールは典型的に、マンニトール、キシリトールまたはソルビトールから選択される(米国特許第6,126,968号明細書)。組成物はさらにクエン酸を含んでもよい(米国特許第6,126,968号明細書)。
【0054】
(R)−PAI自体を例えばWO 95/11016の例6Bに記載されている方法により調製することができる。
【0055】
経皮的製剤および経皮パッチ
経皮的製剤は薬物の徐放性用量(time-released dose)を皮膚を通じて血流中に供給するために皮膚に貼り付ける薬用粘着パッチである。幅広い種類の医薬品を経皮パッチを通じて供給することができ、例えば禁煙用のニコチン、乗り物酔い用のスコポラミン、更年期用および骨粗しょう症の予防用のエストロゲン、アンギナ用のニトログリセリン、帯状疱疹からの鎮痛用のリドカインである。いくつかの医薬品は皮膚に浸透するその能力を高めるためにアルコールのような他の物質と組み合わされる必要がある。しかしながら、インシュリン分子や多くの他の医薬品は皮膚を通過するにはあまりにも大きい。経皮パッチはいくつかの重要な構成要素を有し、貯蔵中にパッチを保護するためのライナー、薬剤、粘着剤、膜(貯蔵層からの薬剤の放出を制御する)および外部環境からパッチを保護するバッキング層を含む。2種の最も一般的なタイプの経皮パッチはマトリックスおよびリザーバータイプである。(“Transdermal Patches”Wikipedia, November 15,2007,Wikipedia Foundation,Inc.,December 13,2007 http://en.wikipedia.org/wiki/Transdermal_patch;and Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2000)。
【0056】
リザーバータイプのパッチにおいて、薬剤は鉱物油のような不揮発性、不活性液体と組み合わされ、一方でマトリックスタイプのパッチにおける薬剤はアクリル系またはビニル系ポリマーのような親油性または親水性ポリマーマトリックス中に分散される。ポリイソブチレンのような粘着性ポリマーをパッチを皮膚上の所定の位置に保持するために用いる。(Stanley Scheindlin,(2004)“Transdermal Drug Delivery:PAST PRESENT,FUTURE,”Molecular Interventions,4:308-312)。
【0057】
経皮的ドラッグデリバリーに対する主な制限は皮膚の固有のバリア性質である。浸透エンハンサーが経皮的薬剤配合物にしばしば加えられて皮膚表面を破壊してより速い薬剤デリバリーを引き起こす。典型的な浸透エンハンサーは高沸点アルコール、ジオール、脂肪酸エステル、オレイン酸およびグリセリドベースの溶媒を含み、および1〜20パーセント(w/w)の濃度で一般に加えられる。(Melinda Hopp,“Developing Custom Adhesive Systems for Transdermal Drug Delivery Products,”Drug Deliver)。
【0058】
ラサギリンはまた経皮パッチにおいて他の薬剤と組み合わせて用いてもよく、例えばレボドパ、L−カルビドパ、ベセラジド(beserazide)、ラドスチギルまたはリルゾールである。
【0059】
実験の詳細−セット1:ラサギリン結晶の最初の調製
例1 分解と抽出によるラサギリン塩基の単離
メシル酸ラサギリンを基本的に、酒石酸塩をNaOHの添加により分解すること以外は米国特許第5,532,415号明細書例6Bに記載されるように調製して、ラサギリン遊離塩基をオイルとして単離した。続いてメシル酸塩をメタンスルホン酸の添加により生成した。
【0060】
120gのメシル酸ラサギリンを700mlの脱イオン水に溶解させた。400mlのトルエンを加え、混合物を約14のpHまで25%NaOH溶液により塩基性化した。撹拌後には2相に分離した。下側の水相を200mlのトルエンを用いて抽出した。相を分離させて水相を捨てた。
【0061】
2つのトルエン抽出物を合わせ、溶媒を真空下で蒸留した。ラサギリン塩基の収量は20℃より低い融点を有する黄色がかったオイルの88.5gであった。
【0062】
25.1gの液体ラサギリン塩基をサンプリングした。サンプルをエタノールと混合し、溶媒を真空下で蒸留した。22.6gの黄色がかったオイルの形態のラサギリン塩基残渣がエタノール蒸発後に残った。オイル形態のラサギリン塩基は多週の間オイル形態のままであり、自然に結晶化しなかった。
【0063】
例2 分解および抽出によるラサギリン塩基の単離
米国特許第5,532,415例6Bに記載されているように基本的に調製した酒石酸ラサギリンの155g、および例1に記載したように調製したメシル酸ラサギリンの20gを800mlの水に溶解させた。400mlのトルエンを溶液に加え、混合物を約14のpHまで25%NaOH溶液により塩基性化し、45±5℃まで加熱した。
【0064】
撹拌後には2相に分離した。下側の水相を300mlのトルエンを用いて45±5℃にて2回抽出した。有機相を合わせて水相を捨てた。
【0065】
合わせた有機相を200mlの脱イオン水で洗浄した。続いて溶媒を真空下で蒸留し、50mlのイソプロパノールを生じた残渣に加えた。溶媒を真空により除去し、さらに50mlのイソプロパノールを加えた後に真空により除去した。100gのシロップ状液体ラサギリン塩基を生じた。
【0066】
例3 分解および水からの自然結晶化
15gのメシル酸ラサギリンを150mlの水に撹拌しながら溶解させた。溶液を5℃に冷却し、25%NaOH溶液をゆっくりと加えた。添加中、バッチ温度を3〜5℃に維持した。固体沈殿をpH7.5に到達した後に観測した。pH11に到達した後はNaOH添加を止め、バッチを1時間のあいだ冷却する間ずっと撹拌し、ろ過した。ろ過を素早く進めた。固体生成物を水によりフィルター上で洗浄し、真空下で乾燥させた。
8.8gの固体の乾燥ラサギリン塩基を得た。収率は91.6%であった。固体の融点を測定し38.2〜38.4℃であった。
【0067】
例4 溶解物結晶化
例1からのトルエン蒸発後のシロップ状形態のラサギリン塩基液体の6gを20mlのイソプロパノールに溶解させた。温水浴中で回転エバポレータを用いて12mbarの真空下で溶媒除去が終わるまで溶液を蒸発させた。続いて残渣をさらに20mlのイソプロパノールに溶解させ、蒸発を繰り返した。生じた残渣は室温で数時間後には自然に結晶化した。固体の結晶残渣をラサギリン塩基であると決定した。5.2gの固体の結晶塩基を得た。収量は定量的であった。
【0068】
例5 水へのラサギリンエタノール溶液の添加
例1からのラサギリン塩基の2.4gを2.4gのエタノールに溶解させた。撹拌しながら溶液を5mlの冷水(0〜5℃)に滴下して加え、添加中に白色沈殿を生じた。生じた混合物を約30分間冷却する間中撹拌し、ろ過した。ろ過を素早く進め、固体生成物を一定の質量まで真空下で乾燥させた。
2.15gの固体の結晶ラサギリンを89.6%の収率で得た。
【0069】
分析:HPLCによるクロマトグラフ純度〜100%、HPLCによる分析−99.0%。
【0070】
例6 ラサギリンエタノール溶液への水の添加
例1からのラサギリン塩基の3gを5mlのエタノールに溶解させた。溶液を室温で撹拌し、4.5mlの水を加えた。沈殿は起こらなかった。生じた溶液を冷却し、12℃で白色物質の沈殿を観察した。混合物〜0℃まで冷却し、この温度で30分間撹拌し、ろ過した。ろ過を素早く進めた。固体生成物を水によりフィルター上で洗浄し、真空下で乾燥させた。
2.72gの固体の結晶ラサギリンを90.0%の収率で得た。
【0071】
分析:HPLCによるクロマトグラフ純度〜100%、HPLCによるアッセイ−100.0%。
【0072】
例7 水へのラサギリンイソプロパノール溶液の添加
例1からのラサギリン塩基の8.2gを10mlのイソプロパノールに溶解させ、溶液を室温で撹拌した。14mlの水を加えた。沈殿は起こらなかった。生じた溶液を冷却し、17℃において白色物質の沈殿を観察した。20mlの脱イオン水を混合物に加え、混合物を〜0℃までさらに冷却し、この温度で30分間撹拌し、ろ過した。
【0073】
ろ過を素早く進めた。固体生成物を水によりフィルター上で洗浄し、真空下で乾燥させた。5.96gの固体の結晶ラサギリンを72.7%の収率で得た。
分析:HPLCによるクロマトグラフ純度〜100%、HPLCによるアッセイ−99.7%。
【0074】
例8 ラサギリンイソプロパノール溶液への水の添加
群(crop)A
148gのラサギリン塩基(例1からの48.0gと例2からの100.0g)を180mlのイソプロパノールに溶解させた。溶液を17℃に冷却し、252mlの脱イオン水をこの温度で加えた。溶液を10℃に冷却し、固体ラサギリン塩基を用いて種晶添加をした。即時の結晶化を観察した。続いて100mlの水を混合物に加えた。混合物を1℃に冷却し、この温度で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で200mlの水により洗浄し、真空下で乾燥させた。
138.9gの固体の結晶ラサギリンを93.8%の収率で得た。オープンキャピラリー中で融点を測定し39.0〜39.2℃であった。
分析:HPLCによるクロマトグラフ純度〜100%、HPLCによるアッセイ−98.5%。
【0075】
群B
群Aからの母液と洗浄液を合わせて、固体生成物が混合物から沈殿した。帯黄色物質をろ過により分離し、真空下で乾燥させた。
1.5gの固体の結晶ラサギリン塩基を1.0%の収率で得た。
【0076】
ディスカッション
例3〜8において合成した固体の結晶ラサギリン塩基は高純度のものであることが分かった。
【0077】
同じ融点値(示差走査熱量測定(DSC)によれば41℃またはオープンキャピラリー中では38〜40℃)を結晶ラサギリン塩基の全てのバッチについて測定した。低レベルの揮発性(水と残留溶媒)をカールフィッシャー(KF)法および熱重量分析法(TGA)法により見出した。このことは結晶ラサギリン塩基が吸湿性でないことを示した。
【0078】
結晶ラサギリン塩基は極性有機溶媒および非極性有機溶媒−アルコール、アセトン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ヘキサンおよびn−ヘプタンに溶けやすいことが分かった。
【0079】
全てのバッチの固体ラサギリン塩基は粉末X線回折(XRD)およびDSC法により高結晶であると分かった。固有のXRDおよびフーリエ変換赤外(FTIR)パターンおよび再現できる狭い融解範囲およびエンタルピーは例3〜8の全ての実験バッチの同じ多形組成物を示す。結晶形態を形態Iとして指定した。
【0080】
用いたX線回折装置は Scintag X線粉末回折計モデルX’TRA,Cu管球(tube),固体状態検出器であった。
【0081】
サンプルホルダー:円形標準アルミニウムサンプルホルダーで、ラウンドゼロバックグラウンド石英プレートを有し、25(直径)*0.5(深さ)mmの空洞を有する
スキャンパラメーター:範囲:2〜40度2シータ
スキャンモード:連続スキャン
ステップサイズ:0.05deg
速度:5deg./min。
【0082】
例4により調製したサンプルのピークを以下に記載する。最も特徴的なピークを太字で記載する。
【表1】

【0083】
サンプルのFTIR分析を以下の通り行った:
装置:Perkin Elmer Spectrum One FT-IR Spectrometer S/N 58001
パラメータ:サンプルを DRIFT モードで観察した。全スペクトルを16スキャンで測定した。分解能:4.0cm−1
【0084】
この検討にて調製した固体ラサギリン塩基の全てのサンプルは白色結晶粉末として生ずる(帯黄色粉末として単離された例からの群Bを除く)。顕微鏡観察は結晶化条件が粒径と形態に強い影響を及ぼすことを示す。種晶添加した結晶化は大きく規則的で非凝集の結晶を提供し、一方で自然沈殿は小さな凝集粒子の形成をもたらした。粒子形態における差は多形とは関連しない。
【0085】
上の例からの結晶ラサギリン塩基の形態と粒径を以下の表に示す。形態と粒径を顕微鏡観察により決定した。
【表2】

【0086】
例9、10および11の出発材料:
(1)〜10〜15%の残留溶媒および0.7%のS−異性体を含む湿りヘミ酒石酸ラサギリン
(2)ラセミRAI塩基、オイル、PAI含有量−HPLCにより94%。
【0087】
例9 分解およびイソプロパノールからの沈殿、種晶添加したエマルジョン結晶化
70.0gの酒石酸ラサギリン塩(1)を撹拌しながら320mlの脱イオン水に懸濁させた。懸濁液を45℃に加熱し、31mlの25%NaOH溶液を160mlのトルエンと共に加えた。混合物を撹拌し、生じたエマルジョンを落ち着かせた。2相に分離した。下側の水相(pH=13〜14)を捨てた。上側のトルエン相を45℃にて100mlの脱イオン水で洗浄し、落ち着かせた。下側の水相(pH=9〜10)を捨てた。
【0088】
トルエン溶液を真空下でエバポレータ内で蒸発させ、溶媒蒸発終了後に50mlのイソプロパノールを残渣に加え、蒸発を続けた。
【0089】
蒸発終了後に25mlのイソプロパノールを加え、同じ条件下で蒸留除去した。
【0090】
R−PAI塩基のオイル(33.9g)である残渣を41mlのイソプロパノールに溶解させた。
【0091】
溶液を15℃に冷却し、58mlの脱イオン水を少しずつ2時間で冷却し撹拌しながら加えた。水の添加中にオイル状の沈殿が生じた。水中油型の生じたエマルジョンを1〜3℃で1時間撹拌したが、結晶化は観察されなかった。
【0092】
バッチに1〜3℃で結晶ラサギリン塩基を用いて種晶添加をすると即時の発熱結晶化が起こった。50mlの水を生じたスラリーに加えると撹拌性と流動性を改善した。バッチをさらに30分間撹拌し、ろ過した。固体を水で洗浄し、室温にて真空下で乾燥させた。
【0093】
31.5gの固体の乾燥R−PAI塩基を92%の収率でオイル塩基状態で得た。図11はこのラサギリン塩基の顕微鏡写真である。
【0094】
分析:融点(DSCによる)−40.8℃,HPLCによるS−異性体0.02%,HPLCによる純度−100%,HPLCによるアッセイ−98%。
【0095】
例10 分解およびイソプロパノール−水からの沈殿、溶液イソプロパノール−水からの種晶添加をした結晶化
100.0gの酒石酸ラサギリン(1)を458mlの脱イオン水に懸濁させ、229mlのトルエンを加え、46mlの25%NaOH溶液を撹拌しながら加えた。混合物を45℃に加熱し、45℃で15分間撹拌し、この温度で落ち着かせた。
【0096】
相は分離した。下側の水相(pH=13〜14)を捨て、上側のトルエン相を140mlの脱イオン水で洗浄した。生じたエマルジョンを落ち着かせると2相に分離した。下側の水相(pH=9〜10)を捨て、トルエン溶液を真空下エバポレータ内で蒸発させた。
【0097】
溶媒蒸発終了後に60mlのイソプロパノールを残渣に加え、蒸発を続けた。
【0098】
蒸発終了後に50mlのイソプロパノールを加え、同じ条件下で蒸留除去した。
【0099】
R−PAI塩基のオイル(46.4g)である残渣を56mlのイソプロパノールに溶解させた。
【0100】
溶液を16℃に冷却し、147.5mlの脱イオン水を少しずつ3時間で冷却し撹拌しながら加えた。水の添加中に沈殿発生が観察され、バッチに即座に結晶R−PAI塩基を用いて種晶添加をした。
【0101】
生じた懸濁液を2℃に冷却し、この温度で終夜撹拌し、ろ過した。固体を水で洗浄し、室温にて真空下で乾燥させた。
【0102】
48.1gの固体の乾燥R−PAI塩基を96%の収率でオイル塩基状態で得た。図12はこのラサギリン塩基の顕微鏡写真である。
【0103】
分析:融点(DSCによる)−41.3℃,HPLCによるS−異性体0.01%,HPLCによる純度−100%,HPLCによるアッセイ−96%。
【0104】
例11 ラセミPAI塩基結晶化(AF−8026) イソプロパノール−水からの沈殿
51.0gのラセミPAI塩基オイル(2)を50mlのイソプロパノールに溶解させた。溶液の溶媒を真空下でエバポレータにて蒸留除去した。
【0105】
残渣(49.4g)を60mlのイソプロパノールに溶解させ、撹拌し、冷却した。156mlの脱イオン水を少しずつ2時間で冷却および撹拌しながら加えた。水の添加中にオイル状の沈殿物が生じた。バッチに結晶ラサギリン塩基を用いて種晶添加をしたが、結晶化は観察されなかった。
【0106】
水中油型の生じたエマルジョンを3℃で1時間撹拌したが、結晶化は観察されなかった。
【0107】
バッチは1℃で終夜撹拌しているうちに自然に結晶化した。固体をろ過したが、ろ過中に融解し始めた。室温では固体生成物はフィルター上で1〜2分で完全に溶けた。
【0108】
融解が終わる前に物質をサンプリングした。
【0109】
分析:HPLCによるS−異性体49.4%、HPLCによるアッセイ−87%。
【0110】
ディスカッション
上に示した例9、10および11は室温で結晶化する能力は純粋なラサギリン塩基(R−異性体)の固有特性であることを示す。ラセミPAI塩基は室温では液体形態でしか存在せず、その融点は1〜18℃(例11)である。
【0111】
例はまた、S−異性体が混入したラサギリン塩基の結晶化は結晶化生成物のかなりの精製をもたらすことを示す。0.7%のS−異性体を含む出発材料はたった0.01〜0.02%だけのS−異性体を含む固体の結晶ラサギリン塩基へと処理された。
【0112】
例9、10および11はまた、前の例に記載したように、結晶化生成物の粒径において同じ傾向を示す。10〜16℃における種晶添加する穏やかな結晶化は1〜3℃におけるエマルジョン結晶化(例10)よりもラサギリン塩基の大きな粒径をもたらす。
【0113】
結論
上記の実験は結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造するための様々な方法を説明する。
【0114】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの製造の第1の方法は:a)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を水に溶解させて溶液を作ること;b)上記溶液を約0〜15℃の室温まで冷却すること;c)上記溶液を約11のpHまで塩基性化して懸濁液を作ること;およびd)懸濁液から上記結晶ラサギリンR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを得ることを含む。
【0115】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの製造の他の方法は:a)液体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの第1の有機溶液を得ること;b)第1の有機溶液から真空下で溶媒を十分に蒸発させて残渣を生ずること;c)残渣を第2の有機溶媒に溶解させて第2の有機溶液を作ること;d)第2の有機溶液から真空下で第2の有機溶媒を十分に蒸発させて残渣を生ずること;およびe)第2の残渣を0〜25℃の温度に保って結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ることを含む。
【0116】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの製造のさらに他の方法は:a)水溶性有機溶媒中で結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの溶液を得ること;b)溶液を水と混ぜ合わせること;c)上記溶液を0〜20℃まで冷却して結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ること;およびd)結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを単離することを含む。生じた結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを8.5,12.6,16.1および16.9に角度2シータ±2でピークを有する粉末X線回折パターンにより特徴付けることができる。
【0117】
結晶ラサギリン塩基をさらに、20.3,20.9,25.4,26.4および28.3に角度2シータ±2でピークを有する粉末X線回折パターンにより特徴付けることができる。
【0118】
結晶ラサギリン塩基をさらに、オープンキャピラリーにて測定した場合は38〜39℃、示差走査熱量測定により測定した場合には41℃の融点により特徴付けることができる。
【0119】
しかしながら、前述の例を用いて得られた結晶ラサギリン塩基はドライでない。従ってさらなる乾燥工程を行った。
【0120】
実験の詳細 セット2:ラサギリンおよびラセミPAI塩基の乾燥
例12〜24はラサギリン塩基とラセミPAI塩基の真空条件下での昇華率を与える。
【0121】
例25〜37はラサギリン塩基結晶化および乾燥後の乾燥生成物の含水率とパーセント収率を与える。
【0122】
結晶化実験をスターラー、循環型オイル浴および温度計を備えた100mlおよび250mlのジャケット付きガラス反応器中で行った。反応器に液体を25mlの滴下漏斗を用いて加えた。固体生成物をブフナー漏斗を用いてろ過し、真空オーブン内でガラス皿にて乾燥させた。
【0123】
例12 2〜3mbar圧力および21℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
約4(4)グラムのラサギリン塩基を標準的な Sigma-Aldrich glass sublimation apparatus,(Cat. No. Z221171-1EA)で3cmの内径を有するものの昇華リザーバーに入れた。装置は真空ポンプ、真空計(vacuumeter)および装置の昇華ヘッドの冷却のための循環型氷水浴を備えていた。続いて装置を閉め、0〜1℃にて冷却液の循環を始めた。次に2〜3mbarの圧力(「P」)の真空状態にし、リザーバーを21℃の温度(「T」)に保たれる自動調温水浴中に導入した。
【0124】
プロセスを昇華ヘッドにおける昇華固体生成の目視観測により制御した。昇華が終わった後に作業時間を記録し、装置を開けて昇華した固体をヘッドから取り出して重さを量った。
【0125】
平均昇華率を以下の通りに計算した:
平均昇華率RS1
S1=m/M・t [gg−1hr−1
平均昇華率RS2
S2=m/S・t [gm−2hr−1
平均相対昇華率R:
R=m・100/M・t [%/hr]
m−昇華した材料の質量,g
M=出発材料の質量,g
t=昇華時間,hr
S=昇華面積(装置の断面積),m
【0126】
8時間後に10mgの昇華したラサギリンを0.25%の収率で得た。平均昇華率はRS1=3.12×10−5gg−1hr−1;RS2=1.333gm−2hr−1;およびR=0.0312%/hrであった。
【0127】
例13 2〜3mbar圧力および35℃温度におけるラサギリンの昇華
T=35℃であること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
【0128】
5.33時間後に25mgの昇華したラサギリンを0.62%の収率で得た。平均昇華率はRS1=1.17×10−3gg−1hr−1;RS2=4.978gm−2hr−1;およびR=0.116%/hrであった。
【0129】
例14 2〜3mbar圧力および60℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
T=60℃であること以外は例1に基づく実験工程を用いた。60℃にて出発ラサギリンは液体(融液)であった。
【0130】
4.0時間後に890mgの昇華したラサギリンを22.4%の収率で得た。平均昇華率はRS1=5.62×10−2gg−1hr−1;RS2=236.19gm−2hr−1;およびR=5.6%/hrであった。
【0131】
例15 20mbar圧力および21℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
P=20mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
【0132】
8.5時間後に0mgの昇華したラサギリンを0.0%の収率で得た。平均昇華率はRS1=0.0gg−1hr−1;RS2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0133】
例16 40mbar圧力および21℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
P=40mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
【0134】
8.5時間後に0mgの昇華したラサギリンを0.0%の収率で得た。平均昇華率はRS1=0.0gg−1hr−1;RS2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0135】
例17 40mbar圧力および35℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
T=35℃およびP=40mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
【0136】
5.33時間後に8mgの昇華したラサギリンを0.20%の収率で得た。平均昇華率はRS1=3.75×10−4gg−1hr−1;RS2=1.593gm−2hr−1;およびR=0.0375%/hrであった。
【0137】
例18 20mbar圧力および35℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
T=35℃およびP=20mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
【0138】
5.33時間後に11mgの昇華したラサギリンを0.27%の収率で得た。平均昇華率はRS1=5.15×10−4gg−1hr−1;RS2=2.192gm−2hr−1;およびR=0.0506%/hrであった。
【0139】
例19 40mbar圧力および60℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
T=60℃およびP=40mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。60℃において出発ラサギリンは液体(融液)であった。
【0140】
5.33時間後に25mgの昇華したラサギリンを0.62%の収率で得た。平均昇華率はRS1=1.17×10−3gg−1hr−1;RS2=4.978gm−2hr−1;およびR=0.116%/hrであった。
【0141】
例20 20mbar圧力および60℃温度におけるラサギリン塩基の昇華
T=60℃およびP=20mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。60℃において出発ラサギリンは液体(融液)であった。
【0142】
5.33時間後に162mgの昇華したラサギリンを4.1%の収率で得た。平均昇華率はRS1=7.64×10−3gg−1hr−1;RS2=32.26gm−2hr−1;およびR=0.769%/hrであった。
【0143】
例21 20mbar圧力および22℃温度におけるラセミPAIオイルの昇華
出発材料がラセミPAIオイル、T=22℃およびP=20mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
【0144】
8時間後に0mgの昇華したラセミPAIを0.0%の収率で得た。平均昇華率はRS1=0.0gg−1hr−1;RS2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0145】
例22 20mbar圧力および35℃温度におけるラセミPAIオイルの昇華
出発材料がラセミPAIオイル、T=35℃およびP=20mbarであること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
5.33時間後に0mgの昇華したラセミPAIを0.0%の収率で得た。平均昇華率はRS1=0.0gg−1hr−1;RS2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0146】
例23 2〜3mbar圧力および22℃温度におけるラセミPAIオイルの昇華
出発材料がラセミPAIオイルおよびT=22℃であること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
3.0時間後に10mgの昇華したラセミPAIを0.25%の収率で得た。平均昇華率はRS1=8.33×10−4gg−1hr−1;RS2=3.537gm−2hr−1;およびR=0.08%/hrであった。
【0147】
例24 2〜3mbar圧力および60℃温度におけるラセミPAIオイルの昇華
出発材料がラセミPAIオイルおよびT=60℃であること以外は例1に基づく実験工程を用いた。
1.3時間後に130mgの昇華したラセミPAIを3.25%の収率で得た。平均昇華率はRS1=2.50×10−2gg−1hr−1;RS2=101.16gm−2hr−1;およびR=2.5%/hrであった。
【0148】
例25 エタノール中のラサギリン塩基溶液への水の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(75:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相(pH>11)を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlの無水エタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0149】
無水エタノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0150】
15.4gのオイルである残渣を19.5mlの無水エタノールに撹拌しながら溶解させた。
【0151】
エタノール溶液を撹拌し、27mlの水を18〜20℃で加えた後にバッチに固体ラサギリン塩基の結晶を用いる種晶添加をした。即時の結晶化が観察された。バッチを10〜15℃まで冷却し、さらに11mlの水を加えた。
【0152】
続いてバッチを0〜5℃に冷却し、この温度で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0153】
湿り固体(16.0g)を温度25℃および減圧下(4〜5mbar)で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0154】
KFによる含水率=0.18%
乾燥生成物=14.0g,収率=90.9%。
【0155】
例26 IPA中のラサギリン塩基溶液への水の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(75:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせて、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのイソプロパノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0156】
イソプロパノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0157】
16.0gのオイルである残渣を19.5mlのイソプロパノールに撹拌しながら溶解させた。
【0158】
溶液を撹拌し、27mlの水を18〜20℃において加えた後、バッチに固体ラサギリン塩基の結晶を用いる種晶添加をした。即時の結晶化が観察された。バッチを10〜15℃に冷却し、さらに11mlの水を加えた。
【0159】
続いてバッチを0〜5℃に冷却し、この温度で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0160】
湿り固体(16.9g)を温度25℃および減圧(4〜5mbar)にて一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0161】
KFによる含水率=0.21%
乾燥生成物=14.8g,収率=92.5%。
【0162】
例27 IPA−水へのラサギリン塩基(オイル)の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(75:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのイソプロパノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0163】
イソプロパノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0164】
16.0gのオイルである残渣をイソプロパノール−水溶液(20:27ml)に冷却し撹拌しながら加えた。オイルの添加の間、温度を40℃よりも高く維持して遊離塩基の自然結晶化を妨げた。
【0165】
イソプロパノール−水溶液温度を0〜5℃内に維持した。添加終了後に混合物をこの温度で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0166】
湿り固体(16.8g)を25℃および減圧下(4〜5mbar)にて一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0167】
KFによる含水率=0.06%
乾燥生成物=13.9g,収率=86.7%。
【0168】
例28 冷水へのラサギリン塩基(オイル)の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(75:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのイソプロパノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0169】
イソプロパノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0170】
16.0gのオイルである残渣を60mlの冷水(0〜5℃)に冷却し撹拌しながら加えた。添加中、バッチ温度を5℃未満に維持した。添加終了後に滴下漏斗を6mlのイソプロパノールですすぎ、すすぎ液(rinse)を反応器中に入れた。生じた懸濁液を0〜5℃で30分間撹拌し、ろ過した。
【0171】
かなりの量の固体生成物がスターラーおよび反応器表面に析出することが分かり、乏しいスラリー均質性と流動性も観察された。
【0172】
固体生成物をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0173】
湿り固体(15.3g)を25℃および減圧下(4〜5mbar)にて一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0174】
KFによる含水率=0.10%
乾燥生成物=14.1g,収率=88.2%。
【0175】
例29 水へのエタノール中のラサギリン塩基溶液の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(75:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlの無水エタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0176】
エタノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0177】
16.0gのオイルである残渣を10mlの無水エタノールと混合した後に冷水(0℃,T=−4℃)に冷却し撹拌しながら加えた。添加中、0℃のバッチ温度を維持した。
【0178】
添加終了後に滴下漏斗を5mlの無水エタノールですすぎ、すすぎ液を反応器中に入れた。生じた懸濁液を0℃で30分間撹拌し、ろ過した。
【0179】
かなりの量の固体生成物がスターラーおよび反応器表面に析出することが分かり、乏しいスラリー均質性と流動性も観察された。固体生成物をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0180】
湿り固体(16.0g)を25℃および減圧下(4〜5mbar)にて一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0181】
KFによる含水率=0.06%
乾燥生成物=14.1g,収率=88.2%。
【0182】
例30 エタノール中のラサギリン塩基溶液への水の添加、AIおよびPAIを混ぜる
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlの無水エタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0183】
エタノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0184】
16.0gのオイルである残渣を40mlの無水エタノール、1gのラセミPAI塩基(B.N.2499800407)および0.5gのアミノインダン(B.N.2500300104)と混合した。
【0185】
溶媒を生じた溶液から真空下で蒸留除去し、1.5gのサンプル(サンプル1)を17.5gの残渣から取り出した。
【0186】
続いて残渣(16.0g)を20mlの無水エタノールに溶解させた。水(27ml)をエタノール溶液に10分間冷却し撹拌しながら加えた。添加中17〜18℃のバッチ温度を維持した。
【0187】
添加終了後に溶液に固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をすると結晶化が起こった。続いてさらに11mlの水を反応器に入れた。生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0188】
湿り固体(16.1g)を周囲温度で減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。
【0189】
乾燥生成物=14.2g,収率=88.7%。
【0190】
例31 IPA中のラサギリン塩基溶液への水の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのIPAを残渣に加え、蒸発させた。
【0191】
次に残渣(15.9g)を19.5mlのIPAに溶解させた。水(27.2ml)を溶液に10分間冷却し撹拌しながら添加した。添加中14〜19℃のバッチ温度を維持した。
【0192】
添加終了後に溶液に固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をすると結晶化が起こった。さらに11mlの水を反応器に加えた。生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0193】
湿り固体(15.5g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0194】
KFによる含水率=0.20%
乾燥生成物=14.9g,収率=93.7%。
【0195】
例32 エタノール中のラサギリン塩基溶液への水の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのエタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0196】
次に残渣(15.9g)を19.5mlのエタノールに溶解させた。水(27.2ml)を溶液に10分間冷却し撹拌しながら添加した。添加中14〜18.5℃のバッチ温度を維持した。バッチを12℃(T=10℃)に冷却し、固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をした。即時の結晶化が起こった。続いて11mlの水を反応器中に入れ、生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0197】
湿り固体(17.0g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0198】
KFによる含水率=0.17%
乾燥生成物=15.0g,収率=94.3%。
【0199】
例33 エタノール中でのラサギリン塩基溶液への水の添加、AIおよびPAIを混ぜる
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlの無水エタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0200】
エタノールの添加と真空下での溶媒蒸発とを繰り返した。
【0201】
16.0gのオイルである残渣を40mlの無水エタノール、0.5gのラセミPAI塩基(B.N.2499800407)および0.25gのアミノインダン(B.N.2500300104)と混合した。
【0202】
溶媒を生じた溶液から真空下で蒸留除去し、0.75gのサンプル(サンプル1)を16.75gの残渣から取り出した。
【0203】
続いて残渣(16.0g)を20mlの無水エタノールに溶解させた。水(27ml)をエタノール溶液に10分間冷却し撹拌しながら加えた。添加中17℃のバッチ温度を維持した。
【0204】
添加終了後に溶液に固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をすると結晶化が起こった。続いてさらに11mlの水を反応器中に入れた。生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0205】
湿り固体(16.5g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0206】
KFによる含水率=0.21%
乾燥生成物=14.9g,収率=93.1%。
【0207】
例34 エタノール中のラサギリン塩基溶液への水の添加
約23グラム(20.13g)の乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのエタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0208】
次に残渣(13.9g)を19.5mlのエタノールに溶解させた。水(27.2ml)を溶液に10分間で冷却し撹拌しながら加えた。添加中は17℃のバッチ温度を維持した。バッチに固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をすると即時の結晶化が起こった。続いてさらに11mlの水を反応器中に入れ、生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0209】
湿り固体(15.4g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた(サンプル2)。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0210】
KFによる含水率=0.14%
乾燥生成物=13.1g,収率=94.2%。
【0211】
例35 エタノール中のラサギリン塩基への水の添加
26グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのエタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0212】
次に残渣(17.9g)を19.5mlのエタノールに溶解させた。水(27.2ml)を溶液に10分間で冷却し撹拌しながら加えた。添加中は19℃のバッチ温度を維持した。バッチを13℃に冷却し、固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をした。即時の結晶化が起こった。続いてさらに11mlの水を反応器中に入れて、生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。反応器壁にかなりの量の固体生成物析出が観察された。固体をフィルター上で30mlの水により洗浄した。
【0213】
湿り固体(19.9g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0214】
KFによる含水率=0.18%
乾燥生成物=17.1g,収率=95.5%。
【0215】
例36 エタノール中のラサギリン塩基溶液への水の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのエタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0216】
次に残渣(15.9g)を16mlのエタノールに溶解させた。水(27.2ml)を溶液に10分間で冷却し撹拌しながら加えた。添加中は14〜19℃のバッチ温度を維持した。バッチを13℃(T=10℃)に冷却し、固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をした。即時の結晶化が起こった。続いてさらに11mlの水を反応器中に入れ、生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水にて洗浄した。
【0217】
湿り固体(17.3g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0218】
KFによる含水率=0.18%
乾燥生成物=15.2g,収率=95.6%。
【0219】
例37 エタノール中のラサギリン塩基溶液への水の添加
23グラムの乾燥酒石酸ラサギリンとNaOH(20g 25%溶液)とを水−トルエン混合物(73:95ml)中で撹拌しながら反応させた。混合物を落ち着かせ、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。続いて30mlのエタノールを残渣に加え、蒸発させた。
【0220】
次に残渣(16.0g)を19.5mlのエタノールに溶解させた。水(25ml)を溶液に10分間で冷却し撹拌しながら加えた。添加中は17℃のバッチ温度を維持した。バッチを13℃(T=10℃)に冷却し、固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をした。即時の結晶化が起こった。続いてさらに25mlの水を反応器中に入れ、生じた懸濁液を冷却し、1〜2℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をフィルター上で30mlの水にて洗浄した。
【0221】
湿り固体(19.3g)を周囲温度にて減圧(25mbar)下で一定質量まで乾燥させた。乾燥生成物の含水率をカールフィッシャー(KF)法により測定した。
【0222】
KFによる含水率=0.22%
乾燥生成物=15.1g,収率=94.4%。
【0223】
結果の要約
例1〜13の出発材料(固体ラサギリン塩基、融解ラサギリン塩基またはラセミPAI)、昇華条件、昇華後の収率および平均昇華率を以下の表1に記載する。
【0224】
ラサギリン塩基の結晶化と乾燥についてのパラメータと条件および例14〜26における乾燥プロセスのパーセント収率を表2にまとめる。
【表3】

【表4】

【0225】
ディスカッション
データはラサギリン塩基とラセミPAI塩基は類似した昇華能力を有する、すなわちR−異性体とラセミ混合物との昇華率が類似することを示す。
【0226】
ラサギリン塩基とラセミPAI塩基の昇華率に関する真空度と温度の影響を図1および図2に図式的に示す。
【0227】
図は高真空度(3mbar未満の圧力)および高温(60℃以上)において高い昇華率が観察されたことを示す。
【0228】
図は中程度の真空度(20mbarよりも高い圧力)および低温(22℃未満)においてゼロの昇華率が観察されたことを示す。
【0229】
図はさらに、0℃〜20℃の温度および4〜25mbarの圧力において乾燥ラサギリンは0.06〜0.22重量%の水を含み、乾燥生成物収率は86.7重量%〜95.6重量%であることを示す。
【0230】
結論
中程度の真空度(20mbarよりも高い圧力)および低温(35℃未満)を結晶化後の溶媒からの固体ラサギリン塩基の乾燥のための条件として推奨することができるであろう。
【0231】
実験の詳細 セット3:ラサギリン塩基の乾燥および精製
湿り酒石酸ラサギリンを27.8%のイソプロパノールを含むラサギリン塩基の製造に用いた。
【0232】
1.製造方法
固体ラサギリン塩基の製造の複数の方法がPCT国際出願WO2008/076348号に記載されており、その内容を本明細書中に組み込む。1つのバッチを記載されている製造方法により製造した。
【0233】
1.1.方法
例38.ラサギリン塩基固体の調製 大スケール
製造方法は以下の作業を含んだ:
a.湿り酒石酸ラサギリンのNaOHによる分解
【化1】

【0234】
b.遊離ラサギリン塩基のオイル状生成物としての単離
c.エタノールへのラサギリン塩基の溶解および水の添加によるラサギリン塩基の結晶化を引き起こす種晶添加
d.固体生成物のろ過と洗浄;および
e.固体ラサギリン塩基の乾燥。
【0235】
ラサギリン塩基は低融点物質であるため、製剤へと製粉することなく加工する。
プロセスパラメータおよび条件を以下の表1.1〜1.3にまとめる。
【0236】
表1.1.ラサギリン塩基製造についてのプロセスパラメータ 酒石酸塩分解およびラサギリン塩基単離工程
【表5】

【0237】
表1.2.プロセスパラメータまたはラサギリン塩基製造 ラサギリン塩基結晶化工程
【表6】

【0238】
表1.3.固体ラサギリン塩基単離についてのプロセスパラメータ ろ過、洗浄、乾燥
【表7】

【0239】
1.2.結果およびディスカッション
バッチの製造中、大スケール処理に関して2つの技術的な問題が存在した−ラサギリン塩基オイルの自然結晶化と固体生成物の効果のない乾燥である。
【0240】
上記の2つの問題に加えて、製剤材料中のS−異性体の含有率は0.35%であり、これは指定レベル(NMT.0.1%)よりも非常に高い。
【0241】
これらの3つの問題を以下に詳細に論じる。
【0242】
1.2.1.ラサギリン塩基オイルの結晶化および溶解
作業工程1.2および1.3の間に単離したラサギリン塩基オイルを反応器に窒素下で終夜冷却しながら貯蔵した。塩基は凝固して反応器の底部に塊を生じた。ラサギリン塩基の固体ガラス状の塊を無水エタノールに2時間を超えて溶解させた。
【0243】
この問題について提案される解決法はラサギリン塩基オイルの凝固をエタノール中のその溶液を作業2と3の間保持することにより防ぐことであった。実験室シュミレーション実験を行って結晶化した生成物の収率および純度についてのこのプロセス変化の影響を評価した。
【0244】
1.2.1.1.実験室スケールシュミレーション
ラサギリン塩基の2つのバッチを調製してエタノール溶液中での異なる温度におけるラサギリン塩基の貯蔵をシュミレートした。
【0245】
実験および結果を以下に詳述する。
【0246】
例39. エタノール溶液中で48時間冷却(7〜8℃)しながらのラサギリン塩基オイル保持
17.0gのラサギリン塩基オイルを17gの無水エタノールに溶解させた。生じた溶液を冷蔵室に入れて7〜8℃で48時間貯蔵した。エタノール溶液をサンプリングした(サンプル1)。
【0247】
続いて透明な溶液を、スターラー、温度計および循環型オイル浴を備えた100mlのジャケット付きガラス反応器に導入した。
【0248】
反応器を冷却し(T=11℃)、8gの水を撹拌しながら入れた。次に溶液に固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をすると結晶化が観察された。バッチを15分間11〜12℃で撹拌した後、33.8gの水を加えた。生じた懸濁液を4℃に冷却し、1〜4℃で30分間撹拌した。固体をろ過し、17mlの水で2回洗浄した。湿り固体生成物(17.6g)を真空下で乾燥させた。
【0249】
乾燥生成物 15.7g
結晶収率 92%
分析:
サンプル1(溶液):
HPLCによる純度:
S−異性体 0.77%
IDD 1−アミノインダン L.T.0.05%(QL)
乾燥生成物:
色 白色〜オフホワイト
アッセイ 99.5%
IDD N.D.
S−異性体 0.01%
m.p. 39.5〜40.4℃
K.F.による含水率 0.2%wt。
【0250】
例40.エタノール溶液中48時間の周囲温度でのラサギリン塩基オイル保持
17.0gのラサギリン塩基オイルを17gの無水エタノールに溶解させた。生じた溶液を周囲温度(20〜28℃)で48時間貯蔵した。エタノール溶液をサンプリングした(サンプル1)。
【0251】
続いて透明な溶液を、スターラー、温度計および循環型オイル浴を備えた100mlのジャケット付きガラス反応器に導入した。
【0252】
反応器を冷却し(T=11℃)、8gの水を撹拌しながら入れた。次に溶液に固体ラサギリン塩基を用いる種晶添加をすると結晶化が観察された。バッチを20分間11〜12℃で撹拌した後、33.8gの水を加えた。生じた懸濁液を4℃に冷却し、1〜4℃で30分間撹拌した。バッチをろ過し、17mlの水で2回洗浄した。湿り固体生成物(18.2g)を真空下で乾燥させた。
【0253】
乾燥生成物 15.9g
結晶収率 93.5%
分析:
サンプル1(溶液):
色 帯黄色
HPLCによる純度:
S−異性体 0.76%
IDD 1−アミノインダン L.T.0.05%(QL)
乾燥生成物:
アッセイ 99.9%
IDD N.D.
S−異性体 0.01%
融解範囲 39.6〜40.6℃
K.F.による含水率 0.1%wt。
【0254】
1.2.1.2.結果、ディスカッションおよびまとめ
上記のデータは結晶化前にラサギリン塩基をエタノール溶液として48時間空気中で保持することは固体生成物の収率および品質に影響を及ぼさないことを示す。溶液から調製され低温(7〜8℃)で貯蔵された結晶ラサギリン塩基は、溶液から調製され室温で貯蔵された生成物と同じ純度を有する。
【0255】
結果として、単離作業および結晶化作業の間ラサギリン塩基をエタノール溶液中に保持すべきである。この作業モードはラサギリン塩基オイルの自然結晶化を妨げてその溶解度についての問題を回避する。
【0256】
1.2.2.乾燥
湿りラサギリン塩基を真空(23〜30mmHg)下で周囲温度(23℃)にて撹拌せずに14時間乾燥させたが効果を伴わなかった。固体は湿ったままであり、28%の水を含んだ。
【0257】
14時間の変化のない乾燥後に、ケークを撹拌し(8rpm)ドライヤージャケットを35℃へと9時間で徐々に加熱した。この工程において乾燥速度は著しく高まった−ケークをサンプリングしたら15%のみの水が固体中で検出された。
【0258】
乾燥を同じ条件下でさらに17時間(終夜)続けた。続いてケークをサンプリングし、乾燥物(0.07%の水)であると分かった。
【0259】
さらなる8時間の乾燥は含水率に関して著しい影響は有さなかった。0.05%の水を続くサンプル中で検出した。
【0260】
上記した乾燥型(P<35mmHg;T=35℃および8rpmでの撹拌)はラサギリン塩基には効果的であると分かった。
【0261】
1.2.3.固体均一性
上の乾燥プロセスにおいて製剤原料(DS)を、乾燥作業中の撹拌を長引かせることにより均質化する。特有のサンプリングプログラムを作成して製造中に実行し、乾燥後のDSの均質性と均一性とを検証する。
【0262】
乾燥ラサギリン塩基をドライヤーの異なる領域から5回サンプリングした。さらなる6番目のサンプルを5つのサンプルそれぞれからの材料を混合することにより調製した。これらの6つのサンプルを含水率、アッセイ、純度、融点、S−異性体含有率および粒径分布について分析した。分析の結果を表2.1に示す。データは乾燥生成物の均一性を示す。
【0263】
表2.1.ラサギリン塩基サンプル分析結果
【表8】

【0264】
上の表のデータは、ドライヤーがラサギリン塩基の3.5kgのバッチの効果的な均質化を与えることを示す。
【0265】
1.2.4.固体生成物中のS−異性体
表2.1に示したデータは、高レベルのS−異性体(OOS)がラサギリン塩基のバッチにおいて見出されたことを示す。
【0266】
結晶塩基中の標準的なS−異性体レベルが0.1%より低いためにデータは驚くべきものであることが分かった。小スケールにおいては調製したラサギリン塩基はこの不純物を0.02〜0.03%含んだ。結晶化生成物中0.35%レベルのS−異性体が、2%よりも多いこの不純物を含有する出発材料を用いて得ることができた。
【0267】
1.2.4.1.結晶の昇華
処理時間における差を試験的で実験室的なバッチの温度プロファイルとの比較により図3に示す。
【0268】
小スケールの結晶化は約2.5時間を要するが、大スケールは6.5時間中に処理された。光学精製についての処理時間の影響を以下の実験で検討した。
【0269】
例41.ラサギリン塩基調製
100gの湿り酒石酸ラサギリンを160mlの水と撹拌しながら混合した。63gの25%NaOH溶液と200gのトルエンとを混合物に加え、バッチを1時間40〜50℃で(pH=13)撹拌した後、この温度にて0.5時間落ち着かせた。下側の水相を分離して捨て、100mlの水をバッチに加えた。続いて混合物を0.5時間撹拌し、0.5時間40〜50℃で落ち着かせた。下側の水相を分離して捨てた。上側の有機相を回転エバポレータにて真空下で蒸発させた。蒸発の温度プロフィールは試験的バッチにおけるものと同じであり、総蒸発時間は3時間20分であり、残渣を55℃に1時間20分間晒し、そして60℃に2時間晒した。
【0270】
トルエンの蒸発後に75gの無水エタノールを残渣に加え、蒸発を続けた。総蒸発時間は2時間40分であり、残渣を蒸発中は55℃続いて60℃に晒した。
【0271】
ラサギリン塩基のオイル(52g)である残渣生成物を冷却して5℃にて終夜貯蔵した。続いて塩基を52gの無水エタノールに撹拌しながら溶解させ、24mlの水を加えた。次に生じた透明な溶液を12.5℃に冷却し、結晶ラサギリン塩基を用いる種晶添加をした。結晶化バッチを11〜12℃にて2時間撹拌した。103gの水を1時間で冷却しながら滴下して加えた後にバッチを4℃まで1時間45分間で冷却し、1〜4℃にて30分間撹拌した。
【0272】
バッチの半分を晶析装置から取り出してろ過した。固体を50mlの水で洗浄し、真空下で乾燥させた。乾燥生成物(26.2g)とろ液(母液)とをサンプリングした−サンプル4(固体)および2(M.L.)。
【0273】
バッチの残り半分を冷却(1℃)しながら終夜撹拌し、T<4℃における総保持時間は14時間であった。続いてこの半分のバッチをろ過し、固体を50mlの水で洗浄し、真空下で乾燥させた。乾燥生成物(17.8g)とろ液(母液)とをサンプリングした−サンプル7(固体)および5(M.L.)。
【0274】
分析:
固体:
サンプル4:
S−異性体 N.D.
HPLCによるアッセイ 99.4%
HPLCによる純度(IDD) N.D.
融解範囲 39.8〜40.5℃
サンプル7:
S−異性体 N.D.
HPLCによるアッセイ 99.5%
HPLCによる純度(IDD) N.D.
融解範囲 39.5〜40.7℃
母液:
サンプル2:
S−異性体 31.3%
HPLCによるラサギリン濃度 5.8mg/ml
HPLCによる純度(IDD) 1−アミノインダン 1.37%;RRT=1.47−0.03%;RRT=1.60−0.05%;1−インダノン 0.15%;RRT=7.8−0.07%
サンプル5:
S−異性体 26.9%
HPLCによるラサギリン濃度 6.8mg/ml
HPLCによる純度(IDD) 1−アミノインダン 1.17%;RRT=1.47−0.03%;RRT=1.60−0.04%;1−インダノン 0.13%。
【0275】
1.2.4.2.結果、ディスカッションおよびまとめ
長時間の結晶化(14時間、サンプル7)を用いて調製したラサギリン塩基中のS−異性体のレベルは検出できなかった。同じレベルのこの不純物を1時間で結晶化した生成物(サンプル4)において見出した。
【0276】
表3.1において小スケール実験の母液の組成物を大きなバッチの母液と比較する。表3.1は模擬実験における母液の純度プロフィールが大スケールバッチとかなり似ていることを示す。同時に、大スケールの母液中のS−異性体の濃度は小スケールの実験におけるものよりも約3倍低い。
【0277】
表3.1.ラサギリン塩基結晶の実験室的および試験的な母液の組成
【表9】

【0278】
データはラサギリン塩基のR−異性体のラセミ化は大スケールプロセス条件下では起こらないことを示す。昇華実験の結果は、処理時間はラサギリン塩基の光学精製に関して影響を有さないことを示す。
【0279】
S−異性体問題についての2つの考えられる解決法:
i)S−異性体が混入したラサギリン塩基の再結晶;および
ii)出発材料である酒石酸ラサギリンのさらなる光学精製
これら2つのアプローチを小スケールおよび大スケールの両方でラサギリン塩基製剤材料の製造のために検討する。検討を以下のセクションに記載する。
【0280】
2.ラサギリン塩基の光学精製
2.1.ラサギリン塩基の再結晶 小スケール
不合格の試験的バッチ255500208から0.35%のS−異性体を含むラサギリン塩基を研究室内で試験的なスケールにて用いられたものと同じ結晶化手法を用いて再結晶させた。
【0281】
例42.ラサギリン塩基再結晶
49.5gのラサギリン塩基を0.5リットルのジャケット付きガラス反応器中に52gの無水エタノールと共に入れた。バッチを固体が十分に溶解するまで撹拌し加熱(T=35℃)した。
【0282】
溶液を冷却し、24gの水を撹拌しながら加えた。生じた透明な溶液に12℃にて固体ラサギリン塩基を用いて種晶添加をし、11〜12℃にて1時間撹拌した。結晶化がこの工程で観察された。
【0283】
103gの水を冷却し撹拌しながら20分間で加えた後にバッチを4℃に冷却して2〜4℃にて45分間撹拌した。
【0284】
バッチを冷却し、固体を2×50mlの水で洗浄し、真空下で一定質量まで乾燥させた。固体生成物(45.5g)をサンプリングした(サンプル1)。ろ液(母液と洗浄液とを合わせたもの)を真空下で回転エバポレータ内で蒸発させた。オイル状の蒸発残渣(1.1g)をサンプリングし(サンプル2)、固体生成物に関しての分析に供した。
【0285】
分析:
固体:
サンプル1:
S−異性体 N.D.
HPLCによるアッセイ 98.8%
HPLCによる純度(IDD) 3PAIO L.T.0.05%(QL);1−アミノインダン L.T.0.05%(QL);1−インダノン L.T.0.05%(QL)
融解範囲 39.1〜39.8℃
母液:
サンプル2(蒸発後の残渣):
HPLCによるアッセイ 91.3%
S−異性体 7.8%
HPLCによる純度(IDD) 3PAIO L.T.0.05%(QL);1−アミノインダン 0.2%;RRT=0.92−0.08%;RRT=1.62−0.13%;RRT=2.27−0.05%;1−インダノン L.T.0.05%(QL);RRT=6.6−0.1%;総IDD 0.5%。
【0286】
2.2.ディスカッションおよびまとめ
上に詳述した実験はS−異性体の0.35%のこの不純物を含有するラサギリン塩基からの十分な分離の実現性を示す。この結果は実験室スケールにおける光学精製の我々の以前の結論と一致する。
【0287】
3.酒石酸ラサギリンの精製
3.1.一般的な条件
酒石酸ラサギリンであるラサギリン塩の結晶化は酒石酸塩からのS−異性体の十分な分離をもたらすことができた。非常に低レベルのS−異性体を含む精製した酒石酸ラサギリンをこの不純物のほぼゼロの含有率を伴うラサギリン塩基へと変えることができ、大スケールバッチにおける光学純度への影響を伴う。
【0288】
酒石酸ラサギリンの再結晶の検討を行いこの中間体のさらなる光学精製の可能性を評価した。
【0289】
3.2.酒石酸ラサギリンの再結晶
3.2.1.手法評価
酒石酸ラサギリン結晶化試験を、スターラー、加熱と冷却のための循環型オイル浴、コンデンサおよび温度計を備える0.5リットルのジャケット付きガラス反応器内で行った。真空オーブンを固体乾燥のために用いた。
【0290】
0.7%のS−異性体を含む出発材料を全ての実験で用いた。固体および液体生成物をHPLCによりIDDおよびS−異性体について分析した。
【0291】
例43 8倍量の水からの結晶化
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に入れ、300mlの水を加え、混合物を撹拌して加熱し(T=85℃)、72℃において固体の十分な溶解を観察した。
【0292】
反応器を徐々に冷却し、63℃にて酒石酸ラサギリンを用いる種晶添加をした。続いて結晶化を観察し、反応器を20℃に2時間で冷却した。30分間20℃で撹拌した後、バッチをろ過し、固体を30mlの水で洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0293】
湿り固体 36.9g
乾燥固体 26.6g
収率 70.9%
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.01%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品と比較
IDD さらなるピークを検出せず
母液:
S−異性体 2.48%エリア
1−アミノインダン 0.26%エリア;IDD RRT=1.96−0.01%エリア;RRT=2.29〜0.02%エリア ラサギリンの主ピークと比較
例44 4倍量の水からのスラリー−トゥ−スラリー再結晶
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れ、混合物を撹拌し加熱(T=85℃)したが、75℃に至るまで固体の溶解は観察されなかった。
【0294】
生じたスラリーを75℃で90分間撹拌し、12℃まで40分間で冷却した。40分間10〜12℃における撹拌後にバッチをろ過し、固体を40mlの水で洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0295】
湿り固体 38.4g
乾燥固体 26.7g
収率 71.1%
分析
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.11%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品IDDと比較
IDD さらなるピークを検出せず
母液:
S−異性体 2.62%エリア
1−アミノインダン 0.35%エリア、IDD RRT=1.96−0.02%エリア ラサギリンの主ピークと比較
例45 4倍量の水からのスラリー−トゥ−スラリーへの再結晶、群B貧溶媒による沈殿
群A:
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの事前加熱した水(T=85℃)と共に入れ、混合物を撹拌し加熱したが、75℃に至るまで固体の溶解は観察されなかった。生じたスラリーを75〜77℃で90分間撹拌し、7℃まで1時間で冷却した。40分間5〜7℃にて撹拌した後にバッチをろ過し、固体を75mlの水で洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0296】
湿り固体 40.5g
乾燥固体 30.7g
収率 81.9%
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.11%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品と比較
IDD さらなるピークを検出せず
母液:
S−異性体 4.47%
1−アミノインダン 0.62%エリア;IDD RRT=1.96−0.06%エリア ラサギリンの主ピークと比較
群B:
群Aのろ液からの母液を2つの等しいポーションに分ける(それぞれ70ml)
第1のポーション、イソプロパノールでの沈殿
母液を7℃まで撹拌しながら冷却し、20mlのIPAを加えると固体沈殿が観察された。懸濁液を5〜7℃にて30分間撹拌し、ろ過した。固体をIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0297】
湿り固体 0.9g
乾燥固体 0.7g
収率 1.9%
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.15%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品と比較
IDD さらなるピークを検出せず
母液:
S−異性体 8.36%エリア
1−アミノインダン 1.14%エリア;IDD RRT=0.37−0.02%エリア;RRT=0.79−0.01%エリア;RRT=1.32−0.01%エリア;RRT=1.40−0.02%エリア;RRT=1.88−0.33%エリア;RRT=1.96−0.11%エリア ラサギリンの主ピークと比較
第2のポーション、エタノールでの沈殿
母液を7℃まで撹拌しながら冷却し、20mlのエタノールを加え、固体沈殿を観察した。懸濁液を5〜7℃にて30分間撹拌し、ろ過した。固体をエタノールで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0298】
湿り固体 0.9g
乾燥固体 0.6g
収率 1.6%
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.07%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品と比較
IDD さらなるピークを検出せず
母液:
S−異性体 6.76%エリア
1−アミノインダン 0.93%エリア;IDD RRT=0.37−0.01%エリア;RRT=0.79−0.02%エリア;RRT=1.32−0.01%エリア;RRT=1.96−0.08%エリア ラサギリンの主ピークと比較。
【0299】
例46 4倍量の水とイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=85℃)したが、75℃に至るまで固体の溶解は観察されなかった。生じたスラリーを77〜79℃にて90分間撹拌した後に25℃に冷却した。40mlのIPAを加え、バッチを5℃に冷却した。30分間の5℃における撹拌後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0300】
湿り固体 47.9g
乾燥固体 35.9g
収率 95.7%
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.07%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品と比較
IDD さらなるピークを検出せず。
【0301】
表4.1.酒石酸ラサギリン再結晶
【表10】

【0302】
上の表4.1における結果は、4倍量の水からのスラリー−トゥ−スラリー型における酒石酸ラサギリンの再結晶は良好な収率と高い光学純度を与えることに非常に効果的であることを示す。さらなる作業を行って方法を最適化しおよび酒石酸ラサギリン精製に関するプロセスパラメータの効果を検証した。
【0303】
3.2.2.プロセスパラメータ化
以下の例を行い、再結晶した酒石酸ラサギリンの収率と純度に関する最も重要なプロセスパラメータの影響を検討した。
【0304】
例47 4倍量の水およびイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶,T=100℃
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=100℃)し、90℃までで殆どの固体の溶解が観察された。生じたスラリーを90℃にて90分間撹拌した後、25℃に冷却した。40mlのIPAを加え、バッチを5℃に冷却した。30分間5℃での撹拌後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0305】
湿り固体 57.7g
乾燥固体 37.9g
収率 93.7%(出発材料に基づき計算 L.O.D.=20%)
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.01%エリア
IDD さらなるピークを検出せず
1−アミノインダン N.D.。
【0306】
例48 4倍量の水およびイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶,T=65℃
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=65℃)したが、63℃に至るまで、固体の溶解は観察されなかった。生じたスラリーを63〜64℃にて90分間撹拌した後に25℃に冷却した。40mlのIPAを加え、バッチを5℃に冷却した。30分間5℃にて撹拌した後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0307】
湿り固体 55.0g
乾燥固体 37.7g
収率 94.5%
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.32%エリア
1−アミノインダン HPLCにより<0.08% 分析標準品と比較
IDD さらなるピークを検出せず。
【0308】
例49 4倍量の水およびイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶,T=85℃,撹拌時間−15分
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=85℃)し、75℃までで、殆どの固体の溶解が観察された。生じたスラリーを75℃で15分間撹拌した後に25℃に冷却した。40mlのIPAを加え、バッチを5℃に冷却した。30分間5℃での撹拌後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0309】
湿り固体 55.0g
乾燥固体 37.5g
収率 93.7%(出発材料に基づき計算 L.O.D.=20%)
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.19%エリア
IDD さらなるピークを検出せず
1−アミノインダン N.D.。
【0310】
例50 4倍量の水およびイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶,T=85℃,撹拌時間−150分
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=85℃)し、75℃までで、殆どの固体の溶解が観察された。生じたスラリーを75℃にて150分間撹拌した後に25℃に冷却した。40mlのIPAを加え、バッチを5℃に冷却した。30分間5℃での撹拌後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0311】
湿り固体 51.9g
乾燥固体 38.4g
収率 96.0%(出発材料に基づき計算 L.O.D.=20%)
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.10%エリア
IDD さらなるピークを検出せず
1−アミノインダン N.D.。
【0312】
例51 4倍量の水およびイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶,T=85℃,100mlのIPA
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=85℃)して、75℃までで、殆どの固体の溶解が観察された。生じたスラリーを75℃にて90分間撹拌した後25℃に冷却した。100mlのIPAを加え、バッチを5℃に冷却した。30分間5℃での撹拌後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
湿り固体 50.2g
乾燥固体 37.7g
収率 93.2%(出発材料に基づいて計算 L.O.D.=20%)
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.10%エリア
IDD さらなるピークを検出せず
1−アミノインダン N.D.。
【0313】
例52 4倍量の水およびイソプロパノールからのスラリー−トゥ−スラリー再結晶,T=85℃,冷却時間を延長
50.0gの酒石酸ラサギリンを反応器中に150mlの水と共に入れた。混合物を撹拌し加熱(T=85℃)し、75℃までで、殆どの固体の溶解が観察された。生じたスラリーを75℃にて90分間撹拌した後に25℃に冷却した。40mlのIPAを加え、バッチを2℃に冷却した。12時間1〜2℃にての撹拌後にバッチをろ過し、固体を30mlのIPAで洗浄し、真空下で50℃にて一定質量まで乾燥させた。
【0314】
湿り固体 52.5g
乾燥固体 38.1g
収率 95.2%(出発材料に基づいて計算 L.O.D.=20%)
分析:
固体:
外観 白色固体
S−異性体 0.05%エリア
IDD さらなるピークを検出せず
1−アミノインダン N.D.。
【0315】
パラメータ化実験の結果を表5に以下にまとめる。データは処理時間および温度としての再結晶プロセスパラメータは酒石酸塩光学精製に関して強い影響を有することを示す。
【0316】
表5.1.酒石酸ラサギリン精製に関するプロセスパラメータの影響
【表11】

【0317】
75℃から63℃への再結晶温度の低下および90分から15分への再結晶時間の短縮は固体生成物中のS−異性体レベルの著しい上昇を引き起こす。同時に、収率に関するプロセスパラメータの有意な影響は観察されなかった。
【0318】
図4は酒石酸塩の再結晶中に固体形態における著しい変化が起こることを示す。イソプロパノールまたはいずれの他の有機溶媒から結晶化した酒石酸ラサギリンはニードル状結晶晶癖を有する。
【0319】
図4および5に示すように、出発酒石酸ラサギリンのニードル状結晶はロッド形状結晶の再結晶生成物へと変化する。
【0320】
3.3.大スケールでの酒石酸ラサギリンの精製
精製した酒石酸ラサギリンの2つのバッチをセクション3.2に記載した手法により大スケールで製造した。プロセスは例46に基づいた。
【0321】
製造結果を以下の表6.1および7.1にまとめる。
【0322】
表6.1.純粋な酒石酸ラサギリンの大スケール製造,プロセスパラメータ
【表12】

【0323】
表7.1.純粋な酒石酸ラサギリンの大バッチの品質
【表13】

【0324】
4.大スケールでのラサギリン塩基の再処理
例38にて製造したラサギリン塩基のバッチを再処理してS−異性体のレベルを0.35%から引き下げおよび規格に適合させた。
【0325】
再処理手法は再結晶例42に基づいた。高収率と良好な生成物品質を得た。実験室スケールおよび試験的再処理バッチのプロセスパラメータを表8.1にて比較する。実験室的および試験的バッチの生成物品質を表9.1に示す。
【0326】
データは再処理結果に関してプロセススケールに有意な影響がないことを示す。バッチをQC/QAに従って取り出し、安定性試験および製剤開発について用いた。
【0327】
表8.1.小スケールおよび大スケールバッチに関するラサギリン塩基再結晶パラメータ
【表14】

【0328】
表9.1.再結晶したラサギリン塩基の小スケールおよび大スケールバッチの主な品質パラメータ
【表15】

【0329】
5.精製した酒石酸ラサギリンからのラサギリン塩基の製造
ラサギリン塩基の2つの大スケールバッチを精製した酒石酸ラサギリンを用いて製造した。加えて、ラサギリン塩基を結晶化前はプロセス中でエタノール溶液中に保持した。
【0330】
プロセスパラメータおよび条件を表10.1、10.2および10.3に段階的な順序で以下にまとめる。表10.1〜10.3に示すデータは大スケールにおける良好なプロセス再現性と製造手法の適応性を示す。
【0331】
表10.1.ラサギリン塩基製造のプロセスパラメータ,大スケール
【表16】

【0332】
表10.2.ラサギリン塩基製造のプロセスパラメータ,大スケール
【表17】

【0333】
表10.3.ラサギリン塩基製造のプロセスパラメータ,大スケール
【表18】

【0334】
製造したラサギリン塩基のバッチについての品質データを以下の表11.1および11.2にまとめる。
データはラサギリン塩基の高純度および試験的スケールにおいてのその物性の再現性を示す。
【0335】
表11.1.ラサギリン塩基DS品質
【表19】

【0336】
表11.2.ラサギリン塩基DSの物性
【表20】

【0337】
6.中間生成物 時間制限
ラサギリン塩基DSの製造手法において3つの新規な中間固体生成物が存在する:
純粋な湿り酒石酸ラサギリン
純粋な乾燥酒石酸ラサギリン
湿りラサギリン塩基
中間体をプロセス作業の間長時間に渡り保持する必要がある。特有の検討を行って貯蔵条件下での材料の安定性を立証した。
【0338】
6.1.小スケール実験
例53.純粋な湿り酒石酸ラサギリンについての安定性試験
イソプロパノールと水とを含む純粋な酒石酸ラサギリンを周囲温度(RT)にてポリエチレンバッグ中で貯蔵した。固体をサンプリングし、一定質量まで乾燥させて分析した。サンプリングと分析を0分にて、続いて0分から2週間後および4週間後に行った。結果を以下の表12に示す。
【0339】
例54.純粋な乾燥酒石酸ラサギリンについての安定性試験
例??において製造した純粋な乾燥酒石酸ラサギリンのバッチを周囲温度(RT)にてポリエチレンバッグ中で貯蔵した。固体を0分にて、続いて0分から2週間後および4週間後にサンプリングし分析した。結果を以下の表12.1に示す。
【0340】
例55.湿りラサギリン塩基の安定性試験
例??において製造した水を含むラサギリン塩基を周囲温度(RT)にてポリエチレンバッグ中で貯蔵し、内部でアルミニウムラミネートバッグが光から保護した。固体をサンプリングし、一定質量まで真空下で乾燥させて分析した。サンプリングと分析を0分にて、続いて0分から2週間後および4週間後に行った。結果を以下の表13.1に示す。
【0341】
表12.1.純粋な湿りおよび乾燥酒石酸ラサギリンについての安定性試験
【表21】

【0342】
表13.湿りラサギリン塩基についての安定性試験
【表22】

【0343】
6.2.結果およびディスカッション
表12.1および13.1に示すデータは全ての固体中間体の純度の変化が貯蔵4週間に渡り起こらないことを示す。全ての生成物は4週間の安定性試験が経っても規格に適合した。中間体製造についての時間制限を表14.1に示す。
【0344】
表14.1.ラサギリン塩基中間生成物 時間制限
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.5重量%未満の量で水を含む結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダン。
【請求項2】
0.06重量%を超えない量で水を含む請求項1に記載の結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダン。
【請求項3】
0.5%未満の量で水を含有するR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと薬剤的に許容されるキャリアとを含む薬剤組成物。
【請求項4】
経口投与用に調合された請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
経皮貼付用に調合された請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
経皮パッチの形態にある請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを40℃未満の温度と2〜1013.3mbarの圧力に固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させるのに適した時間のあいだ晒すことを含む固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させる方法。
【請求項8】
0.5重量%の量で水を含有する結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと薬剤的に許容できるキャリアとを含む薬剤組成物を調製する方法であって、
a)40℃未満の温度と2〜1013.3mbarの圧力に固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させるのに適した時間のあいだ固体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを乾燥させること;および
b)工程a)にて回収した乾燥R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを前記薬剤的に許容できるキャリアと混ぜ合わせることにより前記薬剤組成物を調製すること
を含む方法。
【請求項9】
前記乾燥温度が35℃未満である請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記乾燥温度が25℃未満である請求項7〜9に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記乾燥圧力が20mbarよりも高い請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥時間が少なくとも45時間である請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと少なくとも1種の薬剤的に許容できるキャリアとを含む製剤製品の有効なバッチを販売のために製造する方法であって、
a)前記製剤製品のバッチを製造すること;
b)重量による含水率を前記バッチのサンプルについて測定すること;および
c)前記バッチ中の結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンが0.5重量%未満の水を含む場合にのみ販売用のバッチを有効とすること
を含む方法。
【請求項14】
前記バッチ中の結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンが0.06重量%未満の水を含む場合にのみ前記バッチを有効とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造する方法であって、
a)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を精製すること;
b)精製したR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を水に溶解させて溶液を作ること;
c)前記溶液を0〜15℃まで冷却すること;
d)前記溶液を9.5〜12.5のpHまで塩基性化して懸濁液を作ること;および
e)前記懸濁液から結晶ラサギリンR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを分離すること
を含む方法。
【請求項16】
工程a)が
i)R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を水に溶解させて溶液を作ること;
ii)水溶性有機溶媒を前記溶液に加えること;
iii)前記溶液を約0〜10℃の温度まで冷却すること;および
iv)前記懸濁液から精製したR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩を得ること
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程iv)において得られた精製したR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩は結晶化前のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと比較して高い光学純度のものである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの塩が酒石酸塩である請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを製造する方法であって、
a)水溶性有機溶媒中のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの溶液を得ること;
b)前記溶液を水と混ぜ合わせること;
c)前記溶液を0〜20℃まで冷却して結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを作ること;
d)結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを単離すること;および
e)S(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの量が工程d)において得たR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンの総量と比較して0.1wt%よりも多い場合に工程a)〜d)を繰り返すこと
を含む方法。
【請求項20】
前記水溶性有機溶媒がアルコールである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルコールがエタノールかイソプロパノールのいずれか、またはエタノールとイソプロパノールとの混合物である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
結晶R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンが結晶化前のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンと比較して高い光学純度のものである請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−524907(P2011−524907A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514620(P2011−514620)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/003670
【国際公開番号】WO2009/154777
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】