説明

固体撮像素子およびその製造方法

【課題】クロストークを防止するために設けられた区画層を有する固体撮像素子において、高画質化のために受光部サイズが小型化された場合であっても、感度特性の劣化を抑制し、良好な画質の実現を図ることを目的とする。
【解決手段】半導体基板11と、半導体基板11内に行列状に配置され、光電変換する複数の受光部12と、半導体基板11の上側に配置され、受光部12それぞれの上方に対応する部位に開口を有し、前記開口と開口の間の部位により受光部12の上方を受光部12毎に区画する区画層20と、前記開口内部に配されたカラーフィルタ層24と、を備え、区画層20は、区画本体層21と、区画本体層21上に積層された密着層22および金属層23とで構成され、最上位に配された金属層23は、金属から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及びその製造方法に関し、特に、画質の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光を電荷に変換する受光部(光電変換素子)が受光面に複数行列状に配されたCCD固体撮像素子およびMOS固体撮像素子などの固体撮像素子は、ビデオカメラおよびデジタルスチルカメラあるいはファクシミリなどのさまざまな画像入力機器に使用されている。
【0003】
レンズ等を通して外部から入射した光は、各受光部の上方に配された透光部を通過してそれぞれの受光部により受光され電荷へと変換されるのであるが、このとき、固体撮像素子の受光面への入射光は、必ずしも、受光面に対して垂直であるとは限らない。従来、受光面に対して斜め方向から入射した光(以下、「斜光」という。)が、本来受光すべき受光部(光が受光面に対して垂直に入射した場合であれば受光されていたであろう受光部)ではなく、それに隣接する受光部に入射すると、クロストークが生じて画質劣化に繋がるという問題がある。特に、透光部としてカラーフィルタを備えたカラー固体撮像素子の場合、クロストークは混色を引き起こし、画質劣化がより目立つ虞が高くなる。
【0004】
そこで、隣接する複数のカラーフィルタ間に、低屈折率材料もしくは遮光性材料から成る区画層を設けて混色を防止する技術が、例えば、特許文献1に開示されている。
図9は、特許文献1に記載の従来の固体撮像素子200の断面図である。同図に示すように、固体撮像素子200は、RGB各色にそれぞれ対応したカラーフィルタ層24(a)、24(b)、および24(c)を備え、隣接するカラーフィルタ層24同士の間に、カラーフィルタ層24を画素領域ごとに区画してクロストークを防止するための区画層として低屈折率層27がそれぞれ形成されている。これにより、カラーフィルタ層24を斜めに透過した斜光が、低屈折率層27とカラーフィルタ層24との間の屈折率差によってカラーフィルタ層24の壁面で反射されるため、隣接する受光部12への斜光の入射が抑制される。
【0005】
また、特許文献2には、カラーフィルタ間を分離する材料として遮光性材料、例えば、黒色樹脂や金属を用いる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−295125号公報
【特許文献2】特開2005−294647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、固体撮像素子では、高画質化、高解像度化の要求が高まっており、固体撮像素子の受光面にマトリクス状に配置される画素(1つの受光部の担当受光領域)の小型化が進んでいる。しかし、画素の小型化に際して受光部の寸法のみを小さくすると、平面視した場合における画素面積に占める区画層の面積比率が大きくなり、区画層上に入射する光線の比率が大きくなる。すると、受光部に入射する相対的な光量が少なくなり、感度特性が劣化するため、高画質化を実現するためには、受光部の小型化と併せて区画層の幅も小さくする必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1および2に示される固体撮像素子の場合、区画層として樹脂等を埋め込み形成する際に、カラーフィルタ間に深さ(半導体基板の厚み方向における長さ)の大きな溝パターンを加工形成する必要があるため、マスクとして用いる感光性樹脂を厚くする必要がある。
【0009】
また、区画層に金属を用いる場合、金属膜をエッチングして区画層を形成する際に、厚い金属膜をエッチングする必要があるため、マスクとして用いる感光性樹脂を厚くする必要がある。
【0010】
ここで、感光性樹脂が厚いほど、露光現像可能な最小寸法は大きくなる、即ち、微細な加工が難しくなるため、区画層の幅を小さくすることが困難となる。
一方、カラーフィルタ間の区画層に遮光性材料を用いた場合には、斜光の進入による混色はないものの、上記感度特性の劣化の問題は依然として存在する。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、画素サイズが小さな場合であっても、クロストークを抑制し、且つ、良好な感度特性を備えた固体撮像素子、およびそのような固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る固体撮像素子は、半導体基板と、前記半導体基板内に行列状に配置され、光電変換する複数の受光部と、前記半導体基板の上側に配置され、前記受光部それぞれの上方に対応する部位に開口を有し、前記開口と開口の間の部位により前記受光部の上方を前記受光部毎に区画する区画層と、前記開口内部に配された透光部と、を備え、前記区画層は、第1の層と、前記第1の層上に積層された第2の層とで構成され、前記第2の層の少なくとも最上面は、金属から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により、区画層に斜めに入射してきた斜光は、金属から成る第2の層により区画層への入射が遮られるため、区画層から隣接する受光部へと斜光が入射することによるクロストークが抑制され、画質向上に資することができる。
【0014】
また、上記構成を有することにより、製造に際して、金属から成る第2の層をエッチングマスクとして第1の層をエッチングすることができるため、第2の層をエッチングする際のエッチングマスクとしての感光性樹脂層の厚み(半導体基板の厚み方向の長さ)を薄くすることができる。これにより、第2の層の幅を小さくすることができ、その結果、区画層の幅を小さくすることができるため、平面視した場合における画素面積に占める区画層の面積比率が小さくなり、受光部へと入射する光の割合が増加して感度特性を向上させることができる。
【0015】
また、前記第2の層は、前記第1の層の最上面に接して配される密着層と、前記密着層の上方に配される金属層とから成り、前記密着層の前記第1の層および前記金属層に対する親和性は、前記金属層の前記第1の層に対する親和性よりも高くてもよい。
【0016】
これにより、密着層が区画本体層と第2の層との間の接着剤の役割を果たし、固体撮像素子製造の際に、第1の層と第2の層との間に剥離が生じるのを防止することができる。
また、前記第1の層は、遮光性および前記透光部よりも低い光屈折率のうち少なくとも一方の特性を有してもよい。
【0017】
これにより、区画本体層が遮光性を有する場合には、受光面に対して斜めに入射してきた斜光が区画本体層により遮られて隣接する受光部へと入射しないため、クロストークを防止することができる。
【0018】
区画本体層が透光部よりも低い光屈折率を有する場合には、受光面に対して斜めに入射してきた斜光は、透光部と区画本体部との界面において反射されて隣接する受光部へと入射しないため、クロストークを防止することができる。
【0019】
また、前記区画層および透光部の下方に隣接してエッチングストッパ膜が形成されていてもよい。
これにより、エッチングの際に、透光部が形成される部位がオーバエッチングされて透光部の下面が区画層の下面よりも下位になるのを防ぎ、透光部を斜めに通過した斜光が透光部の下方側面を通過して隣接する受光部へと入射するのを防ぐことができる。
【0020】
また、前記透光部は、カラーフィルタであってもよい。
これにより、カラー固体撮像素子における混色を抑制することができる。
また、前記区画層は、前記透光部の前記半導体基板の厚み方向における全幅にわたって形成されていてもよい。
【0021】
これにより、区画層が透光部の側面全体に接して形成されているため、透光部を斜めに通過した斜光が透光部の側面を通過して隣接する受光部へと入射するのを防ぐことができる。
【0022】
また、前記金属層は、タングステンから成り、前記密着層は、窒化チタンから成ってもよい。
これにより、金属層や密着層に、比較的汎用性の高い金属を用いることができ、製造が容易である。
【0023】
また、前記エッチングストッパ膜は、シリコン窒化膜であり、前記第1の層は、シリコン酸化膜であってもよい。
これにより、エッチングストッパ膜および第1の層を汎用の部材を用いて形成することができ、製造が容易である。
【0024】
また、前記透光部の上方における前記受光部それぞれに対応する位置に、複数のマイクロレンズがそれぞれ形成されていてもよい。
これにより、より効率的に受光部へと集光させることができる。
【0025】
また、本発明に係る固体撮像素子は、半導体基板内に行列状に配置され、光電変換する複数の受光部と、前記受光部の上方に配された透光部と、を有する固体撮像素子の製造方法であって、前記半導体基板内に、行列状に前記受光部を形成する工程と、前記半導体基板の上方に、第1の層を形成する工程と、前記第1の層の上に、少なくとも最上面が金属から成る第2の層を積層形成する工程と、前記第2の層の上に、感光性樹脂層を形成し、前記感光性樹脂層に対して選択的な露光および現像を行うことにより、感光性樹脂パターンを形成する工程と、前記感光性樹脂パターンをエッチングマスクとして前記第2の層のエッチングを行い、前記第2の層の前記受光部それぞれに対応する位置に第1の開口部を形成する工程と、前記第1の開口部が形成された前記第2の層をエッチングマスクとして前記第1の層のエッチングを行い、前記受光部それぞれに対応する位置に前記第1の開口部の下方に連接して前記第1の層を貫通する第2の開口部を形成する工程と、前記第2の開口部に透光性の部材を充填し、前記透光部を形成する工程と、を有する製造方法により製造されてもよい。
【0026】
また、前記第2の層を形成する工程は、前記第1の層の上に密着層を形成する工程と、前記密着層の上に金属層を形成する工程と、から成り、前記第1の層は、遮光性および前記透光部よりも低い光屈折率のうち少なくとも一方の特性を有し、前記密着層は、前記第1の層の前記金属層に対する親和性よりも高い親和性を前記金属層および前記第1の層に対して有してもよい。
【0027】
また、前記第1の層を形成する工程に先立って、前記半導体基板上に、エッチングストッパ膜を形成する工程をさらに有し、前記第1の層を形成する工程において、前記第1の層は、前記エッチングストッパ膜上に形成されてもよい。
【0028】
また、前記透光部を形成する工程の後に、前記透光部の上方における前記複数の受光部のそれぞれに対応する位置にそれぞれマイクロレンズを形成する工程をさらに有してもよい。
【0029】
また、前記透光部は、カラーフィルタであってもよい。
また、前記第2の層の最上面が形成される金属は、タングステンであってもよい。
また、前記密着層は、窒化チタンから成ってもよい。
【0030】
また、前記エッチングストッパ膜はシリコン窒化膜から成り、前記第1の層はシリコン酸化膜から成ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る固体撮像素子、区画層にTEOS膜のみを用いた固体撮像素子、および区画層に遮光性樹脂のみを用いた固体撮像素子の色差マップ面積を示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の製造プロセスの手順の一部を模式的に示す断面図である。
【図4】図3に示す、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きの一部を模式的に示す断面図である。
【図5】図4に示す、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きの一部を模式的に示す断面図である。
【図6】図5に示す、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きの一部を模式的に示す断面図である。
【図7】図6に示す、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きを模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る固体撮像素子、区画層に遮光性樹脂のみを用いた固体撮像素子、および区画層にタングステン膜のみを用いた固体撮像素子それぞれの最少区画層幅を示すグラフである。
【図9】特許文献1に示された従来の固体撮像素子の概略構成を示す断面図である。
【図10】特許文献1に示された従来の固体撮像素子の製造プロセスの手順の一部を模式的に示す断面図である。
【図11】図10に示す、特許文献1に示された従来の固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きの一部を模式的に示す断面図である。
【図12】図11に示す、特許文献1に示された従来の固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きの一部を模式的に示す断面図である。
【図13】図12に示す、特許文献1に示された従来の固体撮像素子の製造プロセスの手順の続きを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施の形態について、透光部としてカラーフィルタを備えたカラー撮像素子に適用した場合を例に、図面を参照しながら説明する。
<実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子100の概略構成を示す断面図である。
【0033】
半導体基板11の上層部にマトリクス状に複数の受光部12が形成されており、半導体基板11上において隣接する受光部12間に転送電極13が形成されている。そして、転送電極13を覆うように、半導体基板11および転送電極13の上に遮光膜14が形成されている。
【0034】
さらに、半導体基板11、受光部12、および遮光膜14の上にライナー膜が形成されており、ライナー膜15の上にはさらに絶縁膜16が形成されている。ライナー膜15は、例えば、プラズマSiNから成り、絶縁膜16は、例えば、TEOS膜(S膜)から成る。絶縁膜16の上面は平坦化されており、絶縁膜16の上には、エッチングストッパ膜17が形成されている。エッチングストッパ膜17は、例えば、プラズマSiN膜から成る。
【0035】
エッチングストッパ膜17の上層には、3つの原色カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)が形成されている。そして、これらカラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)の上にはマイクロレンズ下地膜31が形成されており、さらにその上に、受光部12に光を集光するためのマイクロレンズ32が形成されている。
【0036】
転送電極13のおよそ中心線上に形成された区画層20により、隣接するカラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)同士は互いに分離され、画素領域ごとに区画されている。
【0037】
区画層20は、区画本体層21(第1の層)、密着層22、および金属層23が、この順に積層されて成る。密着層22と金属層23とにより第2の層が構成され、当該第2の層が、第1の層である区画本体層21上に積層されて区画層20が構成される。
【0038】
最上層である金属層23は、反射膜として機能する光反射性および光を透過させない十分な膜厚を有する金属材料から成る。金属層23を形成する金属材料としては、例えば、厚さ28nmのW(タングステン)膜が用いられる。区画本体層21は、カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)よりも光に対する低い屈折率を有する部材が用いられている。前記光に対して低い屈折率を有する部材として、例えば、TEOS膜(S)が用いられる。金属層23と区画本体層21との間に配された密着層22は、金属層23と区画本体層21とを接着する役割を果たしており、金属層23と区画本体層21との間の親和性よりも高い親和性を、金属層23と区画本体層21の両方に対して示す。これにより、金属層23が、区画本体層21上に直接形成されている場合と比較して、金属層23の剥離が生じにくくなっている。密着層22としては、例えば、厚さ2nmのTiN膜が用いられる。
【0039】
なお、区画本体層21および金属層23に用いられる部材同士の親和性が十分高く、製造過程において金属層23の剥離が生じる虞が十分低い場合には、密着層22を備えない構成としても良い。
【0040】
また、上記説明においては、密着層22に用いられる部材の一例としてTiN膜を挙げたが、アモルファスSiを用いても構わない。また、これらに限られず、金属層23と区画本体層21とを接着する役割を果たす親和性特性を有する限り、他の金属、樹脂やセラミック等の金属以外の有機および無機化合物を用いても良い。
【0041】
図1に示す本実施の形態の構成によると、3つの原色カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)同士が互いに区画層20により分離されており、区画層20が区画本体層21、密着層22、および金属層23から構成されるため、斜光のうち各色のカラーフィルタ層24に入射した光は、カラーフィルタ層24と区画本体層21との光屈折率の違いから、両者の界面において反射され、また、斜光のうち金属層23上に入射してきた光は、当該金属層23により反射されてその下の密着層22および区画本体層21へと侵入することがないため、斜光が隣接する受光部12へと入射することによる混色(クロストーク)を低減させることが可能となる。
【0042】
なお、上記説明においては、金属層23を形成する部材として、厚さ28nmのW(タングステン)膜を一例として挙げたが、これに限られない。例えば、本実施の形態において例示したタングステン膜の場合であれば、10nm以上の厚みがあれば、十分な遮光性を有すると考えられる。また、タングステン以外の金属を用いても良く、例えば、Al、Mo、Ta、Pt、Cu、TiW、TiN、WNおよびそれらの組み合わせによる金属材料から形成されても良い。
【0043】
<混色(クロストーク)低減効果>
本実施の形態の構成(区画層20として、金属層23が厚さ28nmのW膜、密着層22が厚さ2nmのTiN膜、区画本体層21がTEOS膜(S)から成る構成)における色差マップ面積の値を表すグラフを図2に示す。ここで、色差マップとは、グリーンの感度の最大値を元に、各波長でのレッドおよびブルーおよびグリーン各々の感度を規格化し、それら規格化したブルーとグリーンの感度差をX軸に、規格化したレッドとグリーンの感度差をY軸にプロットしたときに得られるマップであり、レッドとグリーン、ブルーとグリーンの混色が小さいほど、マップの面積は大きくなる。
【0044】
なお、比較例として、区画層20に、低屈折率材料としてTEOS膜のみを用いた構成および、区画層20に、遮光性樹脂(のみを用いた構成における色差マップ面積のグラフについても、併せて同図に示す。
【0045】
また、上記実施の形態および各比較例においては、区画層20の幅および高さ(厚さ)は、いずれも幅400nm、高さ750nmとし、転送電極13上のライナー膜15の上面と区画層20の底面との間の距離(半導体基板11の厚さ方向における距離)は300nmとし、遮光膜14およびライナー膜15を含む転送電極13の幅(即ち、ライナー膜15の幅)は500nmとし、転送電極13、遮光膜14、およびライナー膜15(のそれぞれ幅方向における半分)を含む1画素あたりの面積は1.5μmとした。
【0046】
図2に示すように、区画層20にTEOS膜のみを用いた構成(即ち、金属層23および密着層22を備えない構成)では色差マップの面積が0.90であるのに対し、区画層に遮光性樹脂のみを用いた構成および本実施の形態の構成では1.06と大きい。この結果より窺えるように、本実施の形態の構成により、区画層20に遮光性樹脂のみを用いた場合と同等の混色低減効果が得られた。これは、金属層23が反射膜として働いて斜光の区画層20内部への入射を防ぎ、また、各色カラーフィルタ層24に入射した斜光が区画本体層21と各色カラーフィルタ層24との界面において反射し、隣接する受光部への入射が防止されることにより、クロストークが低減されたためである。
【0047】
<製造方法>
以下、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
図3〜図7は、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子100の製造プロセスの手順を模式的に示す断面図である。
まず、図3(a)に示すように、半導体基板11の上層部中に、マトリクス状に複数の受光部12を形成する。
【0049】
次に、図3(b)に示すように、半導体基板11上の隣接する受光部12間に転送電極13を形成する。
続いて、図3(c)に示すように、転送電極13を覆うようにその周囲に遮光膜14を形成する。
【0050】
続いて、図3(d)に示すように、半導体基板11、受光部12、および遮光膜14の上面にライナー膜15を形成する。ライナー膜15としては、例えば、プラズマSiN膜が形成される。
【0051】
続いて、図4(a)に示すように、前記ライナー膜15の上に、絶縁膜16を形成し、絶縁膜16の表面(上面)を平坦化する。絶縁膜16としては、例えば、TEOS膜(S)が形成される。
【0052】
続いて、図4(b)に示すように、表面が平坦化された絶縁膜16の上に、エッチングストッパ膜17を形成する。エッチングストッパ膜17としては、例えば、プラズマSiN膜が形成される。
【0053】
続いて、図4(c)に示すように、エッチングストッパ膜17の上に、低屈折率部材を用いて区画本体層21を形成する。区画本体層21に用いられる低屈折率部材は、例えば、プラズマTEOS膜であり、区画本体層21の厚さは、例えば720nmである。
【0054】
続いて、図5(a)に示すように、区画本体層21の上に、密着層22を形成する。密着層22は、例えば、TNを用いて形成され、その厚さは、例えば、2nmである。
続いて、図5(b)に示すように、密着層22の上に金属層23を形成する。金属層23は、例えば、タングステン(W)を用いて薄膜を形成し、W薄膜の厚さは、例えば、115nmである。
【0055】
次に、図5(c)に示すように、金属層23の上に感光性樹脂層251を、例えば、厚さ275nmで成膜する。
そして、感光性樹脂層251に対して選択的な露光、現像を行うことにより、各受光部12の上方に位置する部分を除去し、図6(a)に示すように、感光性樹脂パターン252(例えば、幅100nm)を形成する。
【0056】
続いて、感光性樹脂パターン252をマスクとして、異方性ドライエッチングにより金属層23および密着層22をエッチングし、図6(b)に示すように、各受光部12の上方に開口部(第1の開口部)を形成する。このときのドライエッチングの条件としては、上記説明において一例として示したように、密着層22にTN、金属層23にW膜を用いた場合、例えば、ClとBClの混合ガスのプラズマを用いて、密着層22におよび金属層23と感光性樹脂パターン252とのエッチング選択比を0.7程度確保した条件で行う。このとき、密着層(TN膜)22および金属層(W膜)23に対するオーバエッチング量を30%の35nmとすると、感光性樹脂パターン252の残膜厚は60nm程度となる。
【0057】
そして、図6(c)に示すように、アッシング及び洗浄により感光性樹脂パターン252の残膜を除去する。
次に、開口が形成された金属層23をマスクとして、区画本体層21に対して異方性ドライエッチングを行い、図7(a)に示すように、区画本体層21に第2の開口部を形成する。この時のドライエッチングの条件としては、上記説明において一例として示したように、区画本体層21にプラズマTEOS膜、密着層22にTN、金属層23にW膜を用いた場合、例えば、CFとOとArの混合ガスのプラズマを用いて、区画本体層21と金属層23のエッチング選択比を10程度確保した条件で行う。このとき、区画本体層21に対するオーバエッチング量を20%の145nmとすると、金属層23の残膜厚は28nm程度となる。また、このとき、区画本体層21の上面の幅は、感光性樹脂パターン252と同程度の線幅100nm程度、底面の幅は、エッチング条件にもよるが、テーパー角が約87°として140nm程度の線幅となる。
【0058】
次に、図7(b)に示すように、金属層23、密着層22、および区画本体層21を貫通する開口部(第1の開口部と第2の開口部が繋がったもの)に、カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)を充填する。このとき、一つの受光部12に対応する1つの開口部には、上記3色のカラーフィルタ層24のうちのいずれか1色が充填され、その配列は、例えば、ベイヤ型である。
【0059】
そして、図7(c)に示すように、各色のカラーフィルタ層24(a)、22(b)、22(c)および金属層23の上に、マイクロレンズ下地膜31を形成し、さらにその上に、マイクロレンズ32を形成する。
【0060】
<従来の製造方法>
ここで、図9に示す従来の固体撮像素子200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0061】
図10〜図13は、従来の固体撮像素子200の製造プロセスの手順を模式的に示す断面図である。
図10(a)〜図11(b)は、上記図3(a)〜図4(b)と同様であるので、ここでは、説明を省略する。
【0062】
図11(b)に示す工程においてエッチングストッパ膜17を形成した後、図11(c)に示すように、エッチングストッパ膜17の上にカラーフィルタ層24(カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、カラーフィルタ層グリーン24(c))を形成する。このとき、一つの受光部12の上方の位置に、上記3色のカラーフィルタ層24のうちのいずれか1色が形成される。そして、各色のカラーフィルタ層24の境界部が転送電極13のおよそ中心線上の位置にくるように形成され、各色カラーフィルタ層24の配列は、例えば、ベイヤ型である。
【0063】
続いて、図12(a)に示すように、カラーフィルタ層24の上に感光性樹脂層261を塗布形成する。
そして、形成された感光性樹脂層261に対して選択的な露光および現像を行うことにより、感光性樹脂層261の転送電極13のおよそ中心線上の位置に溝形状の開口部を形成して、図12(b)に示すように、感光性樹脂パターン262を形成する。
【0064】
次に、図12(c)に示すように、感光性樹脂パターン262をマスクとして異方性ドライエッチングを行い、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)の境界部分に溝形状の開口部を形成する。
【0065】
続いて、図13(a)に示すように、アッシング及び洗浄により感光性樹脂パターン262の残膜を除去する。
続いて、図13(b)に示すように、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)の間に形成された溝形状の開口部内に、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)よりも光に対する屈折率の低い材料を充填して、低屈折率層27(固体撮像素子100における区画層20に相当)を形成する。
【0066】
そして、図13(c)に示すように、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、および24(c)の上にマイクロレンズ下地膜31を形成し、さらにその上に、マイクロレンズ32を形成する。
【0067】
<区画層幅>
以上説明したように、本実施の形態の固体撮像素子100の製造方法において特徴的なのは、金属層23をマスクとしてその下層に配された区画本体層21をエッチングすることである。従来の固体撮像素子200のように、感光性樹脂パターン262をマスクとして厚みの大きなカラーフィルタ層24をエッチングする場合、感光性樹脂パターン262の厚みも大きくならざるを得なかった。感光性樹脂の厚みが大きいほど、露光現像で形成可能なパターンの幅方向の最少加工寸法は大きくなるため、高画質化のために画素サイズを縮小した場合に、受光部12の面積を縮小するのと同等の比率で低屈折率層27の幅を小さくするのには制限があった。そのため、画素サイズを縮小して受光部12の面積を縮小してもそれに合わせた比率まで低屈折率層27の幅を縮小することができない場合、1画素領域に占める低屈折率層27の面積が相対的に大きくなり、1画素領域に入射してきた光のうち受光部12に入射する光の割合が低下して、感度特性が劣化するという問題があった。
【0068】
一方、本実施の形態の固体撮像素子100の製造方法によると、感光性樹脂よりもエッチングに対する耐性の高い(エッチングの際に削れにくい)金属層23をマスクとして用いるため、従来のように感光性樹脂をマスクとしてカラーフィルタ層24をエッチングする場合のマスクとしての感光性樹脂パターン262の厚さよりも、マスクとしての金属層23の厚さを薄くすることができる。そのため、薄い金属層23をエッチングするためのマスクとしての感光性樹脂パターン252の厚さも、従来の場合のマスクとしての感光性樹脂パターン262の厚さよりも薄くすることが可能となり、その結果、感光性樹脂パターン252の幅方向の最少加工寸法が小さくなるため、区画層20の幅を小さくすることが可能となる。これにより、画素サイズを縮小した場合においても、受光部12のサイズ縮小に合わせて区画層20の幅を縮小させることができ、感度特性の劣化を抑制することが可能となる。
【0069】
なお、区画層20の幅縮小化の効果は、受光部12のサイズを縮小した場合に限られない。例えば、画素サイズおよび受光部12のサイズを変えずに、区画層20の幅のみを縮小した場合、その分カラーフィルタ層24の面積を大きくすることができるため、受光部12が受光することができる光量が増加して感度特性が向上し、高画質化を図ることが可能となる。
【0070】
ここで、例えば、750nm程度の厚さの区画層20を遮光性を有する樹脂のみで形成する場合の感光性樹脂層の厚さについて考察すると、次のようになる。
エッチングストッパ膜17の上方、転送電極13のおよそ中心線上の位置に境界部がくるように、3つの原色カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)をそれぞれ750nmの厚さに形成する。そして、前記3つの原色カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)の上面に感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂に対して選択的な露光を行うことにより感光性樹脂に、転送電極13のおよそ中心線上の位置に溝形状の感光性樹脂パターンを形成する。そして、感光性樹脂パターンをマスクとしてドライエッチングを行って3つの原色カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)の間に溝を形成した後、感光性樹脂パターン残膜を除去する。次に、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)の間の溝に遮光性を有する樹脂を埋め込む。このようにして形成された固体撮像素子の場合、感光性樹脂とカラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)のエッチング選択比は1程度となるため(感光性樹脂とカラーフィルタ材料は共に樹脂材料であり、エッチングレートが互いに近い値であるため)、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)をエッチングした後に感光性樹脂の残膜厚を60nm確保するのに必要な感光性樹脂の膜厚を求めると、1035nmとなる。
【0071】
これは、カラーフィルタ層24(a)、24(b)、24(c)に対するオーバエッチング量を30%の225nmとすると、カラーフィルタ層24のエッチング量(975nm)÷選択比(1)+感光性樹脂の残膜厚(60nm)=1035nmにより求められる。
【0072】
また、750nm程度の厚さの区画層20を金属膜(ここではW膜)のみで形成する場合の感光性樹脂の厚さについて考察すると以下のようになる。
エッチングストッパ膜17(SN膜)の上面に750nmの金属層を形成し、金属層の上面に感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂に対して選択的な露光を行うことにより受光部12上の感光性樹脂を除去し、感光性樹脂パターン252を形成する。そして、感光性樹脂パターン252をマスクに金属層をエッチングするのであるが、この場合、金属層のエッチング後に感光性樹脂の残膜厚を60nm確保するのに必要な感光性樹脂の膜厚は1345nmである。
【0073】
これは、金属膜に対するオーバエッチング量を20%の150nmとすると、金属層のエッチング量(900nm)÷選択比(0.7)+感光性樹脂の残膜(60nm)=1345nmにより求められる。
【0074】
次に、本実施の形態の構成、カラーフィルタ層の間の区画層が遮光性樹脂のみで形成された場合、および、区画層が金属層のみで形成された場合の3つの構成において、区画層を形成するために必要な感光性樹脂層の最小加工寸法(レジスト倒れや開口不良などなく、形成可能な最小の線幅)を算出し、比較を行った。なお、最小加工寸法の算出に際しては、レジストパターンのアスペクト比を約2.8とし、いずれの構成においても、転送電極13などを含む1画素あたりの面積を1.5μmとした。
【0075】
感光性樹脂層の最小加工寸法の算出結果を図8に示す。区画層が遮光性樹脂のみで形成された場合の最小加工寸法は370nm、区画層が金属層のみで形成された場合の最小加工寸法は480nmであるのに対し、本実施の形態の構成における最小加工寸法は100nmであった。これは、即ち、遮光性樹脂のみを用いて区画層を形成した場合には、区画層の幅を370nmよりも小さくすることはできず、金属のみを用いて区画層を形成した場合には、区画層の幅を480nmよりも小さくすることはできないことを意味する。一方、本実施の形態の場合、区画層の幅を100nmまで小さくすることができる。
【0076】
この結果から窺えるように、本実施の形態の構成によると、区画層の最小加工寸法を大幅に縮小することが可能であり、感度特性の劣化を抑制もしくは感度特性を向上させることが可能である。
【0077】
なお、本実施の形態の固体撮像素子100における金属層23を形成する金属材料は、マスクとして機能し、かつ遮光膜として機能する構造であれば、タングステンに限られず、また、金属層23の厚さは、上述の説明において挙げた値に限られない。例えば、金属層23としてW膜を用いた場合であれば、エッチング前のW膜の膜厚を97nmとした場合、エッチング後の残膜が遮光膜として機能するのに十分な10nm以上の膜厚を確保することが可能である。そして、この場合、エッチング加工の際に必要な感光性樹脂の膜厚は、本実施の形態において例示した280nmより薄くてもよく、最小加工寸法は100nmより小さいものとなる。即ち、エッチング前のW膜厚を97nmとした場合には、感光性樹脂の膜厚は約245nm必要となり、最小加工寸法は87nm程度となる。
【0078】
従って、本実施の形態の製造方法は、87nm以上、370nm以下の幅の区画層を形成する場合に適している。
なお、本実施の形態において、区画層20の厚さ750nmに対して、遮光膜として機能する金属層23の厚さを28nm、即ち、区画層の厚さに対して約4%の厚さとしたが、遮光膜として機能するには、10nm以上の膜厚、言い換えると、区画層20の厚さに対して約1%以上の膜厚であればよい。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を考えることができる。
【0079】
(1)上記実施の形態においては、CCD型の固体撮像素子およびその製造方法を例として説明したが、これに限られない。本発明は、例えば、MOS型の固体撮像素子およびその製造方法にも適用可能である。
【0080】
(2)上記実施の形態においては、層内レンズ構造(カラーフィルタよりも下部に形成されたマイクロレンズ等の集光手段を有する構造)を備えない固体撮像素子およびその製造方法を例として説明したが、これに限られず、本発明は、層内レンズ構造を有する固体撮像素子およびその製造方法にも適用可能である。
【0081】
(3)上記実施の形態においては、3つの原色カラーフィルタ層レッド24(a)、カラーフィルタ層ブルー24(b)、およびカラーフィルタ層グリーン24(c)を有する固体撮像素子およびその製造方法を例として説明したが、これに限られず、本発明は、その他の色のフィルタ(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびグリーン)を有する固体撮像素子およびその製造方法にも適用可能である。
【0082】
(4)上記実施の形態においては、区画層20が、それぞれ構成される材料が異なる上下3層(区画本体層21、密着層22、金属層23)から成り、中間に配置された密着層22が、区画本体層21と金属層23との間の接着剤の役割を果たす構成を有する固体撮像素子およびその製造方法を例として説明したが、これに限られない。例えば、区画本体層21および金属層23を形成する部材に、互いの親和性が高く、区画本体層21と金属層23との間の密着性が十分確保できるような材料を選択すれば、特に密着層22を設ける必要はなく、区画本体層21と金属層23の2層構造としてもよい。
【0083】
密着層22を設けない構成とすることにより、製造工程数を削減し、コスト抑制に資することができる。
さらには、区画層20が4層以上で構成され、最上層が金属層である固体撮像素子およびその製造方法にも適用可能である。この場合、金属層よりも下の全ての層が低屈折率もしくは遮光性を必ずしも有していなくてもよいが、クロストーク防止の観点からは、全てが低屈折率もしくは遮光性のいずれかの特性を有していることが望ましい。また、低屈折率でも遮光性でもない層を有する構成の場合は、当該層の厚さは可能な限り薄いことが望ましい。
【0084】
(5)上記実施の形態においては、区画層20の最上層である金属層23がタングステン(W)により形成された固体撮像素子およびその製造方法を例として説明したが、これに限られない。金属層23を形成する金属材料として、タングステン以外の金属材料(例えば、Al、Mo、Ta、Pt、Cu、TiW、TiN、WN、およびこれらの組合わせによるもの)を使用した固体撮像素子およびその製造方法にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、固体撮像素子の高画質化を実現する技術として有用である。
【符号の説明】
【0086】
11 半導体基板
12 受光部
13 転送電極
14 遮光膜
15 ライナー膜
16 絶縁膜
17 エッチングストッパ膜
20 区画層
21 区画本体層
22 密着層
23 金属層
24 カラーフィルタ層
251、261 感光性樹脂層
252、262 感光性樹脂パターン
27 低屈折率層
31 マイクロレンズ下地膜
32 マイクロレンズ
100、200 固体撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板内に行列状に配置され、光電変換する複数の受光部と、
前記半導体基板の上側に配置され、前記受光部それぞれの上方に対応する部位に開口を有し、前記開口と開口の間の部位により前記受光部の上方を前記受光部毎に区画する区画層と、
前記開口内部に配された透光部と、を備え、
前記区画層は、第1の層と、前記第1の層上に積層された第2の層とで構成され、
前記第2の層の少なくとも最上面は、金属から成る
ことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記第2の層は、前記第1の層の最上面に接して配される密着層と、前記密着層の上方に配される金属層とから成り、
前記密着層の前記第1の層および前記金属層に対する親和性は、前記金属層の前記第1の層に対する親和性よりも高い
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1の層は、遮光性および前記透光部よりも低い光屈折率のうち少なくとも一方の特性を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記区画層および透光部の下方に隣接してエッチングストッパ膜が形成されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記透光部は、カラーフィルタである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記区画層は、前記透光部の前記半導体基板の厚み方向における全幅にわたって形成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記金属層は、タングステンから成り、
前記密着層は、窒化チタンから成る
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記エッチングストッパ膜は、シリコン窒化膜であり、
前記第1の層は、シリコン酸化膜である
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記透光部の上方における前記受光部それぞれに対応する位置に、複数のマイクロレンズがそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
半導体基板内に行列状に配置され、光電変換する複数の受光部と、前記受光部の上方に配された透光部と、を有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記半導体基板内に、行列状に前記受光部を形成する工程と、
前記半導体基板の上方に、第1の層を形成する工程と、
前記第1の層の上に、少なくとも最上面が金属から成る第2の層を積層形成する工程と、
前記第2の層の上に、感光性樹脂層を形成し、前記感光性樹脂層に対して選択的な露光および現像を行うことにより、感光性樹脂パターンを形成する工程と、
前記感光性樹脂パターンをエッチングマスクとして前記第2の層のエッチングを行い、前記第2の層の前記受光部それぞれに対応する位置に第1の開口部を形成する工程と、
前記第1の開口部が形成された前記第2の層をエッチングマスクとして前記第1の層のエッチングを行い、前記受光部それぞれに対応する位置に前記第1の開口部の下方に連接して前記第1の層を貫通する第2の開口部を形成する工程と、
前記第2の開口部に透光性の部材を充填し、前記透光部を形成する工程と、を有する
ことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項11】
前記第2の層を形成する工程は、前記第1の層の上に密着層を形成する工程と、前記密着層の上に金属層を形成する工程と、から成り、
前記第1の層は、遮光性および前記透光部よりも低い光屈折率のうち少なくとも一方の特性を有し、
前記密着層は、前記第1の層の前記金属層に対する親和性よりも高い親和性を前記金属層および前記第1の層に対して有する
ことを特徴とする請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項12】
前記第1の層を形成する工程に先立って、前記半導体基板上に、エッチングストッパ膜を形成する工程をさらに有し、
前記第1の層を形成する工程において、前記第1の層は、前記エッチングストッパ膜上に形成される
ことを特徴とする請求項10または11に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項13】
前記透光部を形成する工程の後に、前記透光部の上方における前記複数の受光部のそれぞれに対応する位置にそれぞれマイクロレンズを形成する工程をさらに有する
ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項14】
前記透光部は、カラーフィルタである
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項15】
前記第2の層の最上面が形成される金属は、タングステンである
ことを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項16】
前記密着層は、窒化チタンから成る
ことを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項17】
前記エッチングストッパ膜はシリコン窒化膜から成り、
前記第1の層はシリコン酸化膜から成る
ことを特徴とする請求項12から16のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−204387(P2012−204387A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64750(P2011−64750)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】