説明

固体撮像素子検査装置

【課題】 DSP7によるインターレース画像データからノンインターレース画像データへの並べ替え処理が不要で、固体撮像素子の良否検査を高速に行うことができる固体撮像素子検査装置を提供すること。
【解決手段】 固体撮像素子の出力画像データを格納するデータメモリから画像データ処理を行うために画像データを格納する画像処理メモリに画像データを転送するとともにインターレース方式とノンインターレース方式の相互間で画像データの並び替えを行い、所定方式の画像データに基づき固体撮像素子の検査を行う固体撮像素子検査装置であって、
インターレース方式とノンインターレース方式の相互間における画像データの並び替えおよび画像データの転送処理を同時に行う並び替え転送手段を設けたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体撮像素子検査装置に関するものであり、詳しくは、測定した画像データの転送に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カラー固体撮像素子の検査を短時間で行うことができる装置の構成が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002―27506(段落番号0007、図2)
【0004】
CCD,CMOSなどの固体撮像素子は、例えばデジタルカメラの撮像素子として用いられているが、表示解像度の高分解能化の要求に伴って高集積化が進んでいる。また、デジタルスキャナやファクシミリの撮像素子としては、光源とレンズと固体撮像素子を密着一体化したCIS(Contact Image Sensor)が用いられている。
【0005】
図5は、固体撮像素子とその良否検査を行う検査方法を説明するための概念構成例図である。図において、CCD撮像素子1は、カラーフィルタ11、光電変換部12から構成される。カラーフィルタ11は、複数のGbカラーフィルタ、Bカラーフィルタ、Rカラーフィルタ、Grカラーフィルタから構成されている。Gbカラーフィルタ、Grカラーフィルタは、緑色の光を透過するが、特性が異なっているため、区別される。Bカラーフィルタ、Rカラーフィルタは、それぞれ青色、赤色の光を透過する。光電変換部12は、Gbカラーフィルタ、Bカラーフィルタ、Rカラーフィルタ、Grカラーフィルタに対向配置して、光電変換素子PDHV(H,V:整数)を設ける。この光電変換素子PDHVは、Gbカラーフィルタ、Bカラーフィルタ、Rカラーフィルタ、Grカラーフィルタにより、色覚を持ったセンサとなる。光源2は、一定照度で均一白色の光をカラーフィルタ11に照射する。
【0006】
このような構成において、光源2が一定照度で均一白色の光を一定時間でわたって照射すると、光電変換部12の光電変換素子PDHVに蓄積される電荷量は一定とならず、光電変換素子PDHVの上に装着されるカラーフィルタ11の各カラー毎に異なる。これは装着されているカラーフィルタ11の各カラー毎の分光透過特性が異なるためであり、光電変換素子PDHVで変換される電荷量はカラーフィルタの分光特性に依存した量となる。
【0007】
ここで、このような固体撮像素子の良否検査には、各カラー毎に分離して行う方法と全てのカラーを混在させたグレー画像として行う方法がある。各カラー毎に分離した特性検査が必要な場合には、特許文献1に記載されているように、CCD撮像素子1より得た画像データをカラー別に振り分けて、カラーフィルタに対応する光電変換素子PDHV毎に演算処理を行う。
【0008】
これに対し、グレー画像として扱う場合には、図6に示すように、CCD撮像素子1より得た全画像データをカラー別に振り分けることなく、画像演算処理の対象とする。
【0009】
図6において、CCD撮像素子1から出力されるインターレース方式の画像データは、A/D変換器3によりデジタルデータに変換される。A/D変換器3で変換されたデジタルデータは、データの並びがインターレース方式のままでデータメモリ4に格納される。データメモリ4に格納された画像データは、DMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)5を介して、画像処理メモリ6に転送される。DSP7は、画像処理メモリ6に転送された画像データに基づいて所定の画像演算処理を行う。ここで、画像処理メモリ6とDSP7は、画像データ処理装置8を構成する。
【0010】
図7は、図6における画像データの並びの説明図である。DMAC5は、データメモリ4に格納されている奇数ラインデータ群と偶数ラインデータ群よりなるインターレース方式の並びの画像データ(A)を画像処理メモリ6に転送するのにあたり、(B)に示すようにデータメモリ4に格納された並び通りのインターレース方式とする。そこで、DSP7は、画像処理メモリ6に格納されている画像データの画像処理の実行に先立ち、画像処理メモリ6に格納されている(B)に示すインターレース方式の画像データを、画像処理しやすいように(C)に示す奇数ラインデータと偶数ラインデータが交互に順番に連続するノンインターレース方式の実画像状態への並べ替えを行って画像処理メモリ6に格納しなおす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このような従来の構成によれば、DSP7はインターレース画像データからノンインターレース画像データへの並べ替え処理を実行しなければならず、そのための処理時間が必要になる。このようなインターレース画像データからノンインターレース画像データへの並べ替え処理時間は、固体撮像素子検査装置における固体撮像素子の良否検査を高速に行うためには好ましくない。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点を解決するものであり、その目的は、DSP7によるインターレース画像データからノンインターレース画像データへの並べ替え処理が不要で、固体撮像素子の良否検査を高速に行うことができる固体撮像素子検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
固体撮像素子の出力画像データを格納するデータメモリから画像データ処理を行うために画像データを格納する画像処理メモリに画像データを転送するとともにインターレース方式とノンインターレース方式の相互間で画像データの並び替えを行い、所定方式の画像データに基づき固体撮像素子の検査を行う固体撮像素子検査装置であって、
インターレース方式とノンインターレース方式の相互間における画像データの並び替えおよび画像データの転送処理を同時に行う並び替え転送手段、
を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の固体撮像素子検査装置において、
前記並び替え転送手段は、FIFOメモリであることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の固体撮像素子検査装置において、
前記FIFOメモリは、前記データメモリの読み出し側に実装されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の固体撮像素子検査装置において、
前記FIFOメモリは、前記画像処理メモリの書き込み側に実装されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の固体撮像素子検査装置において、
前記並び替え転送手段は、前記データメモリの読み出しアドレスと前記画像処理メモリの書き込みアドレスを設定するアドレス制御手段であることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の固体撮像素子検査装置において、
固体撮像素子の出力画像データは、カラー画像、グレー画像、白黒画像のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、インターレース画像データからノンインターレース画像データへの並べ替え処理は、画像データの転送処理と同時に行われることになり、従来のような画像データの並び替え処理のための時間は不要になるので、検査装置全体の画像データ処理に要する時間を短縮できて検査の高速化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図5と共通する部分には同一の符号を付けている。図1において、データメモリ4とDMAC5との間には、FIFOライトコントローラ9とFIFOメモリ10が直列接続されている。
【0021】
このような構成において、FIFOライトコントローラ9は、データメモリ4に格納されている奇数ラインデータ群と偶数ラインデータ群よりなるインターレース方式の並びの画像データをFIFOメモリ10に転送するのにあたり、奇数ラインデータと偶数ラインデータが交互に順番に連続するノンインターレース方式への並べ替えを行う。
【0022】
図2は、図1におけるFIFOライトコントローラ9による画像データの転送説明図である。FIFOライトコントローラ9は、データメモリ4に格納されている奇数ラインデータ群と偶数ラインデータ群よりなるインターレース方式の並びの画像データ(A)をFIFOメモリ10に転送するのにあたり、(B)に示すように奇数ラインデータと偶数ラインデータが交互に順番に連続するノンインターレース方式の実画像状態への並べ替えを行う。このようにしてFIFOメモリ10に転送格納されたノンインターレース方式の画像データを、(C)に示すようにそのまま画像処理メモリ6に転送格納する。
【0023】
そして、DSP7は、画像処理メモリ6に転送格納されているノンインターレース方式の実画像状態の画像データに対して、固体撮像素子の良否検査を行うための所定の画像演算処理を行う。
【0024】
図3は、FIFOライトコントローラ9の画像データ転送に関連する部分の具体例を示すブロック図である。FIFOライトコントローラ9の画像データ転送関連部分は、1ラインのデータ数を設定するラインデータ数設定レジスタ81、インターレース数(例えば最大8)を設定するインターレース数設定レジスタ82、データメモリ4に格納されたインターレースデータのそれぞれの開始アドレスを設定するエリア転送開始アドレス設定レジスタ83、転送データの総データ数を設定する転送データサイズ設定レジスタ84、ラインデータ数設定レジスタ81の値が設定されるラインデータカウンタ85、インターレース数設定レジスタ82の値が設定されるエリアカウンタ86、エリアX転送開始アドレス設定レジスタ83の値が設定されるエリアXアドレスカウンタ87、転送データサイズ設定レジスタ84の値が設定される転送データカウンタ88などで構成されている。
【0025】
FIFOライトコントローラ9は、これら4つのカウンタ85〜88を連係動作させることによりデータメモリ4から所望の画像データを読み出すためのアドレスを生成し、読み出した画像データをFIFOメモリ10に転送する。
【0026】
図4は、FIFOライトコントローラ9による画像データの転送動作の流れを示すフローチャートである。はじめに、ラインデータ数設定レジスタ81からラインデータカウンタ85に、1ラインのデータ数を設定する(SP1)。続いて、インターレース数設定レジスタ82からエリアカウンタ86に、インターレース数(例えば最大8)を設定する(SP2)。続いて、エリアX転送開始アドレス設定レジスタ83からエリアXアドレスカウンタ87に、インターレースデータのそれぞれの開始アドレスを設定する(SP3)。ここで、エリアXのXは、
X=インターレース数設定レジスタ82の値―エリアカウンタ86の値+1
で表すことができ、インターレース数が例えば最大8の場合には1〜8になる。そして、転送データサイズ設定レジスタ84から転送データカウンタ88に、転送データの総データ数を設定する(SP4)。
【0027】
次に、エリアXアドレスカウンタ87の値をアドレスにして、データメモリ4から画像データを読み出し、FIFOメモリ10に転送格納する(SP5)。そして、エリアXアドレスカウンタ87をカウントアップし(SP6)、ラインデータカウンタ85および転送データカウンタ88をカウントダウンする(SP7)。
【0028】
転送データカウンタ88のカウント値が0か否かを判断し(SP8)、0であれば転送終了とするが、0でなければ続いてラインデータカウンタ85のカウント値が0か否かを判断する(SP9)。
【0029】
ラインデータカウンタ85のカウント値が0でなければSP5以降の処理を繰り返して実行し、0であればエリアカウンタ86をカウントダウンする(SP10)。
【0030】
そして、エリアカウンタ86のカウント値が0か否かを判断する(SP11)。0でなければラインデータカウンタ85にラインデータ数設定レジスタ81の値を設定した後(SP12)SP5以降の処理を繰り返して実行し、0であればエリアカウンタ86にインターレース数設定レジスタ82の値を設定した後(SP13)、SP12の処理に移行する。
【0031】
図4に示した一連の処理を実行することにより、図2に示すように、データメモリ4に格納されている奇数ラインデータ群と偶数ラインデータ群よりなるインターレース方式の並びの画像データ(A)を、(B)に示すように奇数ラインデータと偶数ラインデータが交互に順番に連続するノンインターレース方式の実画像状態への並べ替えを行いながらFIFOメモリ10に転送できる。
【0032】
FIFOメモリ10に転送格納された画像データを読み出して画像処理メモリ6に転送格納する動作は、DMAC5の制御に基づき行われるが、FIFOメモリ10に読み出し可能な画像データがある限り、FIFOメモリ10への画像データの書き込み動作に並行して実行される。
【0033】
これにより、インターレース方式からノンインターレース方式への画像データの並び替え処理は、画像データの転送処理と同時に行われることから、従来のような画像データの並び替え処理のための時間は不要になり、検査装置全体の画像データ処理に要する時間を短縮できて検査の高速化が実現できる。
【0034】
なお、上記実施例では、FIFOライトコントローラ9のアドレス制御に基づき、データメモリ4から所望の画像データを読み出してFIFOメモリ10に転送する際にインターレース方式からノンインターレース方式への画像データの並び替えを行っているが、この部分を例えばCPUに置き換えて、データメモリ4の読み出しアドレスと画像処理メモリ6の書き込みアドレスをプログラムにより設定できるようにすれば、同様の機能が実現できる。
【0035】
また、上記実施例では、データメモリ4の読み出し側にFIFOメモリ10を実装しているが、画像処理メモリ6の書き込み側にこの機能を実装することでも実現できる。
【0036】
また、上記実施例では、インターレースエリア数は「8」まで可変で設定できるようにしているが、設定できるエリア数の上限はレジスタの構成により変更可能である。
【0037】
また、上記実施例では、全てのカラーを混在させたグレー画像の場合について説明しているが、各カラー毎に分離して行う場合や、白黒画像にも適用可能である。
【0038】
さらに、上記実施例では、インターレース方式からノンインターレース方式に変換する場合を説明しているが、ノンインターレース方式からインターレース方式に変換する場合にもアドレスを制御することによって適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1におけるFIFOライトコントローラ9による画像データの転送説明図である。
【図3】FIFOライトコントローラ9の画像データ転送に関連する部分の具体例を示すブロック図である。
【図4】FIFOライトコントローラ9による画像データの転送動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】固体撮像素子とその良否検査を行う検査方法を説明するための概念構成例図である。
【図6】従来の固体撮像素子検査装置の一例を示すブロック図である。
【図7】図6における画像データの並びの説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 CCD撮像素子
2 光源
3 A/D変換器
4 データメモリ
5 DMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)
6 画像処理メモリ
7 DSP
8 画像データ処理装置
9 FIFOライトコントローラ
10 FIFOメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子の出力画像データを格納するデータメモリから画像データ処理を行うために画像データを格納する画像処理メモリに画像データを転送するとともにインターレース方式とノンインターレース方式の相互間で画像データの並び替えを行い、所定方式の画像データに基づき固体撮像素子の検査を行う固体撮像素子検査装置であって、
インターレース方式とノンインターレース方式の相互間における画像データの並び替えおよび画像データの転送処理を同時に行う並び替え転送手段、
を設けたことを特徴とする固体撮像素子検査装置。
【請求項2】
前記並び替え転送手段は、FIFOメモリであることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子検査装置。
【請求項3】
前記FIFOメモリは、前記データメモリの読み出し側に実装されていることを特徴とする請求項2記載の固体撮像素子検査装置。
【請求項4】
前記FIFOメモリは、前記画像処理メモリの書き込み側に実装されていることを特徴とする請求項2記載の固体撮像素子検査装置。
【請求項5】
前記並び替え転送手段は、前記データメモリの読み出しアドレスと前記画像処理メモリの書き込みアドレスを設定するアドレス制御手段であることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子検査装置。
【請求項6】
固体撮像素子の出力画像データは、カラー画像、グレー画像、白黒画像のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−33544(P2006−33544A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210996(P2004−210996)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】