説明

固体撮像素子

【課題】光電変換部表面で発生する電荷による偽信号を低減する固体撮像素子を提供する。
【解決手段】電荷転送部は半導体基板内に形成された電荷転送路3と、該電荷転送路3を覆うように設けられた電荷転送電極12とを含み、光電変換部は、電荷蓄積層となる第一導電型の下方不純物領域2aと、第二導電型の表面不純物領域2bとを含み、電荷転送路と光電変換部との間に形成された電荷読み出し領域4と、電荷転送路3と光電変換部との間の領域のうち、電荷読出し領域4を除く領域に形成された素子分離領域5と、を備え、電荷転送電極12は、素子分離領域5が形成された領域の少なくとも一部において、電荷転送電極12の一部が半導体基板内部まで延在し、電荷転送電極12が半導体基板内部まで延在した領域における素子分離領域5と、表面不純物領域2bとの間に、光電変換部の表面で発生した電荷が前記素子分離領域への移動を抑制するバリア領域7を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD(Charge Coupled Device)型の固体撮像素子では、暗電流低減等のために、埋め込み型のフォトダイオードが一般的に用いられている。図9は、一般的なCCD型の固体撮像素子の断面模式図である。図9では、固体撮像素子の半導体基板内の構成要素のみを図示している。
【0003】
図9に示す固体撮像素子は、N型シリコン基板上に形成されたPウェル層101を備える。図9の説明では、N型シリコン基板とPウェル層101を併せて半導体基板とする。
【0004】
Pウェル層101には、N型不純物層で構成された電荷蓄積領域102aと、その表面に形成されたP型不純物で構成された表面シールド領域102bとが形成されている。Pウェル層101と電荷蓄積領域102aは、両者の間にP‐N接合が設けられ、所謂埋め込み型フォトダイオードを構成する。
【0005】
図9において左側の光電変換部に注目したとき、電荷蓄積領域102aに隣接して、この電荷蓄積領域102aに対応する垂直電荷転送路103が形成されている。垂直電荷転送路103は、半導体基板表面上に設けられた電荷転送電極108と共に垂直CCD(VCCD)を構成する。電荷転送電極108上には、該電荷転送電極108を覆うように遮光膜110が形成されている。遮光膜110は、電荷蓄積領域102a及び表面シールド領域102bの上方が開口するように設けられている。遮光膜110の開口した領域から光が入射し、Pウェル層101と電荷蓄積領域102aとの間で入射光に応じた電荷が生成され、電荷が電荷蓄積領域102aに蓄積される。
【0006】
電荷蓄積領域102aとこれに対応する垂直電荷転送路103との間には電荷読み出し領域105が形成されている。また、垂直電荷転送路103と、これに対応しない右隣の電荷蓄積領域102a及び表面シールド領域102bとの間には、P型不純物層からなる素子分離領域104が形成されている。この素子分離領域104によって、垂直電荷転送路103と、これに対応しない電荷蓄積領域102a及び表面シールド領域102bとが分離されている。
【0007】
垂直電荷転送路103は半導体基板表面にある一方、電荷蓄積領域102aは半導体基板表面から深い位置に存在している。このため、素子分離領域104は、半導体基板表面から深い位置で所望の濃度となるように形成されている。
【0008】
固体撮像素子では、電荷転送路103に電荷が漏れ込むことで、混色やスミア等の偽信号が発生することが知られている。このような偽信号の1つの要因としては、遮光膜から斜めに光が入射することである。また、偽信号の別の要因としては、表面シールド領域102bで発生した電荷が、基板表面に沿って拡散し、素子分離領域104を越えて隣の電荷転送路103に漏れ込んでしまい、混色やスミア等の偽信号が発生することである。
【0009】
特許文献1及び2には、垂直電荷転送路と電荷転送電極を、半導体基板の表面に形成された凹部の内部に形成して遮光膜と半導体基板との間隔を狭くすることにより、光電変換部以外の領域に光が斜めに入射することに起因する偽信号を抑えた固体撮像素子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−129931号公報
【特許文献2】特開2004−319959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、固体撮像素子は、画素の微細化に伴い、素子分離領域104の幅が小さくなる傾向にあり、光電変換部102表面から電荷転送路103までの距離が短くなってきている。このため、表面シールド領域102bの電荷が拡散して電荷転送路103に漏れ込むことに起因する偽信号がより発生しやすくなっており、この偽信号による影響が顕著になってきている。
【0012】
上記特許文献1及び2の固体撮像素子では、光電変換部表面で発生して拡散した電荷が光電変換部に隣接する素子分離領域へ拡散することを防止する構成ではない。また、電荷転送電極全体を半導体基板に埋め込んでいるため、点・線欠陥が発生しやすくなる点で改善の余地があった。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、光電変換部表面で発生する電荷による偽信号を低減することが可能な固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
半導体基板内に形成された複数の光電変換部と、平面視において前記光電変換部の隣に設けられた電荷転送部とを有する固体撮像素子であって、
前記電荷転送部は、前記半導体基板内に形成された電荷転送路と、該電荷転送路を覆うように設けられた電荷転送電極とを含み、
前記光電変換部は、電荷蓄積層となる第一導電型の下方不純物領域と、前記下方不純物領域の表面に形成された前記第一導電型とは反対導電型である第二導電型の表面不純物領域とを含み、
前記電荷転送路と前記光電変換部との間に形成された電荷読み出し領域と、
前記電荷転送路と前記光電変換部との間の領域のうち、前記電荷読出し領域を除く領域に形成された素子分離領域と、を備え、
前記電荷転送電極は、前記素子分離領域が形成された領域の少なくとも一部において、該電荷転送電極の一部が前記半導体基板内部まで延在しており、前記電荷転送電極が前記半導体基板内部まで延在した領域における前記素子分離領域と、前記表面不純物領域との間に、前記光電変換部の表面で発生した電荷が前記素子分離領域に移動するのを抑制するバリア領域が形成されている固体撮像素子。
【0015】
この固体撮像素子は、光電変換部の表面不純物領域と、該光電変換部の隣の素子分離領域との間にバリア領域が設けられているため、光電変換部表面で発生した電荷が素子分離領域を超えて電荷転送路に漏れ込むことに起因する偽信号を抑えることができる。したがって、微細化に伴い、素子分離領域の幅を小さくし、光電変換部表面で発生した電荷の拡散距離を短くした固体撮像素子において、バリア領域によって偽信号を抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光電変換部表面で発生する電荷による偽信号を低減することが可能な固体撮像素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】固体撮像素子の概略構成を部分的に示す平面模式図である。
【図2】図1に示した固体撮像素子のII−II線断面模式図である。
【図3】図2に示した固体撮像素子における光電変換部とその周囲のレイアウト例を示した平面模式図である。
【図4】図2に示した固体撮像素子の他の構成例を示す断面模式図である。
【図5】固体撮像素子の他の構成例を示す平面模式図である。
【図6】図5に示した固体撮像素子のIII−III線断面模式図である
【図7】図5に示した固体撮像素子の他の構成例を示す断面模式図である。
【図8】図5に示した固体撮像素子の他の構成例を示す断面模式図である。
【図9】従来の固体撮像素子の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのCCD型の固体撮像素子の概略構成を部分的に示す平面模式図である。図1に示す固体撮像素子10は、複数の光電変換部PDと、垂直電荷転送路3と、電荷読み出し領域4と、電荷転送電極12と、図示しない水平電荷転送部及び出力部とを備える。
【0019】
複数の光電変換部PDは、光を電荷に変換してその電荷を蓄積する領域である。複数の光電変換部PDは、行方向Xとこれに直交する列方向Yに二次元状に配列されている。行方向Xに並ぶ光電変換部PDからなる行のうち、奇数行と偶数行とは、各行の光電変換部PDの配列ピッチの1/2だけ行方向Xにずれて配置されている。
【0020】
垂直電荷転送路3は、電荷転送電極12と共に垂直電荷転送部(垂直CCD)を構成し、光電変換部PDに蓄積された電荷を列方向Yに転送する。垂直電荷転送路3は、列方向Yに並ぶ光電変換部PDからなる列に対応して該列の側部に配置されており、光電変換部PDを避けるように列方向Yに延びる蛇行形状となっている。
【0021】
電荷読み出し領域4は、垂直電荷転送路3とこれに対応する列の各光電変換部PDとの間に設けられており、該各光電変換部PDに蓄積された電荷を該垂直電荷転送路3に読み出すための領域である。図1では、電荷読み出し領域4を模式的に矢印で示している。
【0022】
電荷転送電極12は、複数の電極V1〜V8からなる。複数の電極V1〜V8は、垂直電荷転送路3の上方で列方向Yに並べて配置されている。これら複数の電極V1〜V8に印加するパルスを制御することで、垂直電荷転送路3に読み出した電荷を列方向Yに転送することができるようになっている。
【0023】
図2は、図1に示す固体撮像素子のII−II線断面模式図である。図2では、図1のII−II線断面のうち、半導体基板内の構成についてのみ図示している。
【0024】
図2に示す固体撮像素子は、N型シリコン基板S上に形成されたPウェル層1を備える。図2の説明では、N型シリコン基板SとPウェル層1を併せて半導体基板と言う。Pウェル層1には、N型不純物領域2aと、P型不純物領域2bと、垂直電荷転送路3と、電荷読み出し領域4と、素子分離領域5とが形成されている。また、図示しないが、垂直電荷転送路3の下方に、P型不純物層からなる素子分離領域が形成されていてもよい。
【0025】
N型不純物領域2aは、Pウェル層1とのPN接合により光電変換で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積層である。N型不純物領域2aは、Pウェル層1の表面に形成されたN型不純物層で構成されている。
【0026】
P型不純物領域2bは、N型不純物領域2aの表面に形成されたP型不純物層で構成されている。P型不純物領域2bは暗電流低減のためのシールド層として機能する。
【0027】
P型不純物領域2bは、半導体基板表面に平行な方向(以下、基板表面方向という)の端部は、N型不純物領域2aの基板表面方向の端部から離間して形成されている。つまり、N型不純物領域2aは、平面視において、P型不純物領域2bの内側に配置されている。
【0028】
Pウェル層1表面には絶縁膜11が形成されている。絶縁膜11の上には、垂直電荷転送路3を覆う電荷転送電極12が形成されている。電荷転送電極12は、2つの電極が電極間絶縁膜を挟んで単層に並べて設けられている。電荷転送電極12の上方には、該電荷転送電極12を覆う遮光膜14が形成されている。遮光膜14は、電荷蓄積領域2a及び表面シールド領域2bの上方が開口するように設けられている。遮光膜14の開口した領域から光が入射し、Pウェル層1と電荷蓄積領域2aとの間で入射光に応じた電荷が生成され、電荷が電荷蓄積領域2aに蓄積される。Pウェル層1と、電荷蓄積領域2aと、表面シールド領域2bは、光電変換部PDを構成する。以下では、光電変換部PDにおける、電荷蓄積領域2aと表面シールド領域2bとを合わせた領域を受光領域2と呼称する。
【0029】
受光領域2同士の間におけるPウェル層1表面には、N型不純物層で構成された垂直電荷転送路3が形成されている。この垂直電荷転送路3と、垂直電荷転送路3とは対応する(図2では左側の)受光領域2との間のPウェル層1表面にはP型不純物層で構成された電荷読み出し領域4が形成されている。
【0030】
垂直電荷転送路3と、これに対応しない受光領域2(図2では右側の受光領域2)との間には、電荷転送電極12の断面視における端部(電荷転送方向に交差する方向側の端部)12aの一部が半導体基板表面のPウェル層1内に延在している。電荷転送電極12のPウェル層1内に延在した部分の下方に、P型不純物層からなる素子分離領域5が形成されている。また、電荷転送電極12のPウェル層1内に延在した部分と、表面シールド領域2bとが隣接している。素子分離領域5によって、垂直電荷転送路3と、この垂直電荷転送路3に対応しない隣の受光領域2とが分離されている。
【0031】
素子分離領域5は受光領域2のN型不純物領域2aと隣り合うように形成されている。また、素子分離領域5は、電荷転送電極12の下方から、基板表面方向に延設された領域の上方が受光領域2のP型不純物領域2bによって覆われている。固体撮像素子10では、Pウェル層1内に形成された電荷転送電極12の下方の素子分離領域5と、素子分離領域5の一部を覆うP型不純物領域2bとの間に、バリア領域7が形成されている。
【0032】
バリア領域7は、素子分離領域5に沿って形成されており、受光領域2の表面で発生した電荷が素子分離領域5に移動するのを抑制する領域である。バリア領域7は、具体的には、P型不純物領域2bと素子分離領域5との間にポテンシャル段差を形成する低濃度のP型不純物層で構成されている。このバリア領域7のP型不純物層の不純物濃度は、ポテンシャル段差を形成できる値を適宜設定すればよい。バリア領域7、電荷蓄積領域のN型不純物濃度より低濃度のN型不純物層で形成しても良い。白傷の観点からはP型が望ましいが、白傷の許容範囲内で、N型にすることで、電子の蓄積容量を上げる事ができる。
【0033】
図3は、図2に示した固体撮像素子における光電変換部とその周囲のレイアウト例を示した平面模式図である。図3中の矢印は、電荷を読み出す方向を示している。また、図3では、光電変換部PDのN型不純物領域2aの領域も説明のため示している。図3に示した例では、ハッチングで示す電荷読み出し領域4が、6角形状の光電変換部PDの右下の辺に沿って形成されている。そして、N型不純物領域2aに隣接する2つの電荷転送電極12の端部12aが、光電変換部PDのN型不純物領域2aと電荷読み出し領域4を除いた領域において、半導体基板内に延在している。図3の例では、バリア領域7は、電荷転送電極12の半導体基板内に延在した端部12aとN型不純物領域2aとの間の領域(言い換えると、光電変換部PDの、電荷読み出し領域4と接していない縁辺に沿う領域)に、略「U」の字形状で形成されている。図3では図示しないが、P型不純物領域2bは、N型不純物領域2aとバリア領域7を覆うように形成されている。
【0034】
固体撮像素子10は、光電変換部PDのP型不純物領域2bと、光電変換部PDと素子分離領域5との間にバリア領域7が設けられていることによって、光電変換部PD表面で発生した電荷が素子分離領域5を超えて電荷転送路3に漏れ込むことに起因する偽信号を抑えることができる。
【0035】
また、電荷転送電極12の端部を半導体基板内に形成することで、該端部の上方の遮光膜14と半導体基板表面との間隔を狭くすることができるため、光電変換部PD以外の領域に光が斜めに入射して発生する電荷に起因する偽信号を抑えることができる。
【0036】
図2に示すように、固体撮像素子10において、垂直電荷転送路3は、電荷転送電極12の半導体基板内部まで延在した一部を除く部分の下方にのみ形成されている。こうすれば、光電変換部PD表面で発生した電荷が垂直電荷転送路3に漏れ込むことをより効果的に抑えることができる。
【0037】
図4は、図2に示した固体撮像素子の他の構成例を示す断面模式図である。
この固体撮像素子10では、電荷転送路3が、電荷転送電極12のうち半導体基板上に形成されている部分の下方に形成されている第1の転送領域3aと、電荷転送電極12の半導体基板内部まで延在した部分の下方に形成された第2の転送領域3bとからなる。この例によれば、図2の構成の固体撮像素子10に比べて、垂直電荷転送部の電荷容量を増やすことができる。
【0038】
図5は、固体撮像素子の他の構成例を示す平面模式図である。
図5中の矢印は、電荷を読み出す方向を示している。図5に示した例では、ハッチングで示す電荷読み出し領域4が、6角形状の光電変換部PDの右下の辺に沿って形成されている。そして、バリア領域7が、光電変換部PDに隣接する2つの電荷転送電極12のうち電荷が読み出されない側の電荷転送電極12で、かつ、電荷が読み出されない垂直電荷転送路3側の電荷転送電極12の端部に沿ってのみ形成されている。
【0039】
図6は、図5に示した固体撮像素子のIII−III線断面模式図である。電荷転送電極12は、その電荷転送方向に垂直な断面において、両方の端部12aが半導体基板におけるPウェル層1内に延在している。電荷転送電極12の端部12はその端面全てがPウェル層1内に位置するように形成されている。Pウェル層1内に形成された電荷転送電極12の端部12a下に、P型不純物層からなる素子分離領域5がそれぞれ形成されている。素子分離領域5によって、垂直電荷転送路3と、この垂直電荷転送路3の両隣の光電変換部PDとが分離されている。
【0040】
各素子分離領域5はN型不純物領域2aと隣接するように形成されている。固体撮像素子10では、バリア領域7が、電荷転送電極12のPウェル層1内に延在した一方の端部12aの下方に形成された素子分離領域5と、この素子分離領域5の一部(端部12aの下方から半導体基板表面方向に延びた部分)の上方に形成されたP型不純物領域2bとの間に形成されている。
【0041】
この例のように、バリア領域7は、電荷転送路3と受光領域2との間の領域のうち、電荷読出し領域4を除く一部の領域に形成されていてもよい。
【0042】
また、図6の例は、垂直電荷転送路3が電荷転送電極12の半導体基板上に形成されている領域の下方にのみ形成され、電荷転送電極12の両方の端部12aの半導体基板内部まで延在した領域の下方には形成されていない。こうすれば、受光領域表面で発生した電荷が垂直電荷転送路3に漏れ込むことをより効果的に抑えることができる。
【0043】
図7は、図5に示した固体撮像素子の他の構成例を示す断面模式図である。
この固体撮像素子10では、電荷転送路3が、電荷転送電極12のうち半導体基板の表面上に形成されている平坦な部分の下方に形成されている第1の転送領域3aと、半導体基板内に延在した両方の端部12aの下方にそれぞれ形成された第2の転送領域3bとからなる。この例によれば、図2の構成の固体撮像素子10に比べて、垂直電荷転送部の電荷容量を増やすことができる。
【0044】
図8は、図5に示した固体撮像素子の他の構成例を示す断面模式図である。この例では、電荷転送電極12の両方の端部12aの一部(この例では、断面視における端面の下方側の略半分)がPウェル層1内に形成されている。こうすることで、電荷転送電極12全体を凸状に形成することができ、電荷容量を増やすことができる。
【0045】
更に、図8に示す固体撮像素子10では、電荷転送路3が、電荷転送電極12のうち半導体基板の表面上に形成されている平坦な部分の下方に形成されている第1の転送領域3aと、半導体基板内に形成された両方の端部12aのそれぞれの下方に形成された第2の転送領域3bとからなるため、垂直電荷転送部の電荷容量を増やすことができる。
【0046】
なお、これまでの説明では、取り扱い電荷を電子としてきたが、取り扱い電荷を正孔としてもよい。この場合には、各図に示した図面とその説明において、N型とP型を逆に読み替えればよい。
【0047】
上記の固体撮像素子は、複数の光電変換部がハニカム状に配列された構成を例に説明したが、複数の光電変換部が正方格子状に配列された構成としてもよい。
【0048】
また、これまで説明してきた固体撮像素子は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、内視鏡装置や携帯電話機に搭載される撮像モジュール等に搭載して用いることができる。
【0049】
本明細書には次の事項を開示している。
(1)半導体基板内に形成された複数の光電変換部と、平面視において前記光電変換部の隣に設けられた電荷転送部とを有する固体撮像素子であって、
前記電荷転送部は、前記半導体基板内に形成された電荷転送路と、該電荷転送路を覆うように設けられた電荷転送電極とを含み、
前記光電変換部は、電荷蓄積層となる第一導電型の下方不純物領域と、前記下方不純物領域の表面に形成された前記第一導電型とは反対導電型である第二導電型の表面不純物領域とを含み、
前記電荷転送路と前記光電変換部との間に形成された電荷読み出し領域と、
前記電荷転送路と前記光電変換部との間の領域のうち、前記電荷読出し領域を除く領域に形成された素子分離領域と、を備え、
前記電荷転送電極は、前記素子分離領域が形成された領域の少なくとも一部において、該電荷転送電極の一部が前記半導体基板内部まで延在しており、前記電荷転送電極が前記半導体基板内部まで延在した領域における前記素子分離領域と、前記表面不純物領域との間に、前記光電変換部の表面で発生した電荷が前記素子分離領域に移動するのを抑制するバリア領域が形成されている固体撮像素子。
前記電荷読出し領域が設けられていない少なくとも一部の領域に、前記電荷転送電極の一部が前記半導体基板内に形成され、前記半導体基板内に形成された前記電荷転送電極の下方に形成された前記素子分離領域と、該素子分離領域の一部を覆う前記表面不純物領域との間に、前記光電変換部の表面で発生した電荷が前記素子分離領域に移動するのを抑制するバリア領域が形成されている固体撮像素子。
(2)(1)に記載の固体撮像素子であって、
前記バリア領域は、前記表面不純物領域の下方に形成されている固体撮像素子。
(3)(1)又は(2)に記載の固体撮像素子であって、
前記表面不純物領域は、前記電荷転送電極が前記半導体基板内部まで延在した領域において、該電荷転送電極と接している固体撮像素子。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送電極は、前記垂直電荷転送路の電荷転送方向に交差する方向側の少なくとも一方の端部が前記半導体基板内部に延在している固体撮像素子。
(5)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送電極は、前記垂直電荷転送路の電荷転送方向に交差する方向側の両方の端部が前記半導体基板内部に延在している固体撮像素子。
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送路は、前記電荷転送電極の前記半導体基板内部まで延在した一部を除く部分の下方にのみ形成されている固体撮像素子。
(7)(1)から(5)のいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送路は、前記電荷転送電極の前記半導体基板内部まで延在した一部の下方に形成された部分を含む固体撮像素子。
【符号の説明】
【0050】
2 受光領域
2a N型不純物領域
2b P型不純物領域
3 垂直電荷転送路
4 電荷読み出し領域
5 素子分離領域
7 バリア領域
10 固体撮像素子
12 電荷転送電極
PD 光電変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内に形成された複数の光電変換部と、平面視において前記光電変換部の隣に設けられた電荷転送部とを有する固体撮像素子であって、
前記電荷転送部は、前記半導体基板内に形成された電荷転送路と、該電荷転送路を覆うように設けられた電荷転送電極とを含み、
前記光電変換部は、電荷蓄積層となる第一導電型の下方不純物領域と、前記下方不純物領域の表面に形成された前記第一導電型とは反対導電型である第二導電型の表面不純物領域とを含み、
前記電荷転送路と前記光電変換部との間に形成された電荷読み出し領域と、
前記電荷転送路と前記光電変換部との間の領域のうち、前記電荷読出し領域を除く領域に形成された素子分離領域と、を備え、
前記電荷転送電極は、前記素子分離領域が形成された領域の少なくとも一部において、該電荷転送電極の一部が前記半導体基板内部まで延在しており、前記電荷転送電極が前記半導体基板内部まで延在した領域における前記素子分離領域と、前記表面不純物領域との間に、前記光電変換部の表面で発生した電荷が前記素子分離領域に移動するのを抑制するバリア領域が形成されている固体撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像素子であって、
前記バリア領域は、前記表面不純物領域の下方に形成されている固体撮像素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固体撮像素子であって、
前記表面不純物領域は、前記電荷転送電極が前記半導体基板内部まで延在した領域において、該電荷転送電極と接している固体撮像素子。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送電極は、前記垂直電荷転送路の電荷転送方向に交差する方向側の少なくとも一方の端部が前記半導体基板内部に延在している固体撮像素子。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送電極は、前記垂直電荷転送路の電荷転送方向に交差する方向側の両方の端部が前記半導体基板内部に延在している固体撮像素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送路は、前記電荷転送電極の前記半導体基板内部まで延在した一部を除く部分の下方にのみ形成されている固体撮像素子。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1つに記載の固体撮像素子であって、
前記電荷転送路は、前記電荷転送電極の前記半導体基板内部まで延在した一部の下方に形成された部分を含む固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−198850(P2011−198850A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61616(P2010−61616)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】