説明

固体撮像装置及びカメラモジュール

【課題】回路基板への撮像素子の実装面積を低減して小型化を図るとともに、低背化しても撮像素子の外力に対する強度を確保できる。また、発熱による影響を受けにくく、ノイズに強い固体撮像装置及びカメラモジュールを提供する。
【解決手段】固体撮像装置100は、受光領域11の外側に外部接続用のパッドが配置されたボンディングパッド領域13を有する撮像素子15と、少なくとも撮像素子15の受光領域11とボンディングパッド領域13との間に配置され、ボンディングパッド領域13に対応するパッドが配置された第1のパッド領域17を有する配線部材と、を備える。撮像素子15のボンディングパッド領域13と配線部材19の第1のパッド領域における対応するパッド同士をワイヤーボンディング接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置及びカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯型のパーソナルコンピュータ等は、小型のカメラモジュールを搭載することが多くなった。この種のカメラモジュールは、回路基板に撮像素子を搭載した固体撮像装置と、撮像素子上でレンズを保持するレンズホルダとを備える(例えば特許文献1,2参照)。固体撮像装置の撮像素子と回路基板には、それぞれ複数のパッドを配列したパッド領域が設けられ、双方の対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−135632号公報
【特許文献2】特開2010−103628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9に示すように、一般的な固体撮像装置71では、撮像素子73と回路基板75とを電気的に接続する場合、回路基板75上の撮像素子73の実装領域より外側にボンディングパッド領域77を設けている。そして、ボンディングパッド領域77のパッドと、撮像素子73側のボンディングパッド領域79のパッドとをワイヤーボンディング接続している。このため、回路基板75の幅LBは、ボンディングパッド領域77を配置するために撮像素子73の幅LSより広くなり、基板面積が大きくなって小型化の妨げになっていた。
また、近年の固体撮像装置71の低背化によって、固体撮像装置71自体の剛性が低下し、外力により変形しやすくなる虞がある。更に、低背化によって固体撮像装置71の熱容量も低下するため、撮像素子73が自己発熱の影響を受けやすくなる虞がある。
そして、撮像素子73は、回路基板75に搭載されるレンズ駆動用ドライバや電源供給用等のパワー回路から発生するノイズの影響を受けやすい。ノイズの影響を低減するには、ノイズ発生源と撮像素子73とを隔てて配置することが有効であるが、回路基板75上では距離を稼ぐことは難しい。更に、固体撮像装置71の低背化により撮像素子73や回路基板75が薄肉化されつつあり、この点も距離を稼ぐことを一層困難にしている。
【0005】
そこで本発明は、回路基板への撮像素子の実装面積を低減して小型化を図るとともに、低背化しても撮像素子の外力に対する強度を確保でき、発熱による影響を受けにくく、しかもノイズに強い固体撮像装置及びカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記構成からなる。
(1) 受光領域の外側に外部接続用のパッドが配置されたボンディングパッド領域を有する撮像素子と、
少なくとも前記撮像素子の前記受光領域と前記ボンディングパッド領域との間に配置され、前記ボンディングパッド領域に対応するパッドが配置された第1のパッド領域を有する配線部材と、を備え、
前記撮像素子のボンディングパッド領域と前記配線部材の第1のパッド領域における対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された固体撮像装置。
(2) (1)の固体撮像装置と、
前記撮像素子の受光領域に光学像を結像させる光学部材と、
を備えたカメラモジュール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固体撮像装置及びカメラモジュールによれば、回路基板への撮像素子の実装面積を低減して小型化を図るとともに、低背化しても撮像素子の外力に対する強度を確保できる。また、発熱による影響を受けにくく、ノイズに強い構成にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図で、固体撮像装置の概略的な平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】カメラモジュールの概略的な断面図である。
【図5】カメラモジュールの概略的な断面図である
【図6】遮光部材を撮像素子上に配置する様子を示す説明図である。
【図7】遮光部材に複数列のパッド領域を設けてボンディング接続を行った様子を概略的に示す固体撮像装置の一部断面図である。
【図8】図7に示す複数列のパッド領域におけるパッド配置の一例を示す説明図である。
【図9】従来の一般的な撮像素子と回路基板との接続状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本構成例の固体撮像装置100は、例えば携帯電話、TV電話、PCカメラ、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)、光学マウス、ドアホン、監視カメラ、指紋認識装置、又は玩具等の画像入力部に使用されるカメラモジュールとして用いられるものである。
【0010】
<第1の態様>
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、固体撮像装置の概略的な平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。
図1に示すように、固体撮像装置100は、受光領域11の外側に外部接続用のボンディングパッド領域13を有する撮像素子15と、少なくとも撮像素子15の受光領域11とボンディングパッド領域13との間に配置された遮光部材19と、撮像素子15を表面実装する回路基板21とを備える。遮光部材19は、ボンディングパッド領域13に対応する第1のパッド領域17、及び第1のパッド領域17とは異なる位置に配置された第2のパッド領域31を有する。
【0011】
固体撮像装置100は、図2、図3に示すように、回路基板21上に、撮像素子15、遮光部材19がこの順で積層されている。遮光部材19は、遮光性を有する熱伝導率の高い材料からなり、第1のパッド領域17と第2のパッド領域31とを接続する配線パターンを備えた配線部材でもある。遮光部材19は、例えばモールド成形により製造される。
【0012】
撮像素子15は、平面視で長方形状であり、撮像素子15の少なくとも一辺に沿って、複数のパッド23が配列されたボンディングパッド領域13を有する。なお、図示例では互いに対面する短辺に一対のボンディングパッド領域13,13を設けた構成であるが、片側一辺のみ設けた構成としてもよく、長辺の一辺又は二辺、或いは全ての辺にボンディングパッド領域を設けた構成としてもよい。
【0013】
撮像素子15は、光を検出する受光領域11の外側に、後述するレンズを光軸方向に駆動するためのレンズ駆動用ドライバ、電源供給用等のパワー回路、撮像部のアンプ回路等のアナログ回路が形成されている。
【0014】
遮光部材19は、撮像素子15の撮像素子表面(上面)における受光領域11の外縁全周から、撮像素子表面に対して垂直に立設された筒状部25と、筒状部25の底部から撮像素子表面に沿って外側へ延設された環状の平坦部27とを有する。筒状部25の底部と平坦部27は、撮像素子表面に隙間なく貼着される。
【0015】
遮光部材19の平坦部27周端は長方形とされている。平坦部27における短辺の縁部上面には、撮像素子15のボンディングパッド領域13,13に対応する第1のパッド領域17,17が設けてある。第1のパッド領域17は、ボンディングパッド領域13に対して平行に配置されている。
【0016】
第1のパッド領域17には、それぞれボンディングパッド領域13のパッド23に対応する複数のパッド29が配列されており、対応するパッド23とパッド29同士が、それぞれワイヤーボンディング接続されている。
【0017】
また、遮光部材19には、平坦部27における第1のパッド領域17,17の配置された短辺に直交する一方の長辺の縁部上面に、第2のパッド領域31が設けてある。第2のパッド領域31には、第1のパッド領域17,17の各パッドに図示しない配線パターンを介して導通された複数のパッド33が配列されている。これら各パッド33は、第1のパッド領域17,17の入出力信号に対する接続端子として機能する。
【0018】
回路基板21は、図3にも示すように、撮像素子15の実装領域の外側に、第2のパッド領域31に対応する第3のパッド領域35を有する。第3のパッド領域35と第2のパッド領域31は、互いに平行に配置されている。
【0019】
第3のパッド領域35には、第2のパッド領域31の各パッド33に対応する複数のパッド37が配列されており、対応するパッド33とパッド37同士が、それぞれワイヤーボンディング接続されている。パッド37は、回路基板21に形成された配線に接続されている。これにより、撮像素子15に入出力される信号線は、第1のパッド領域17、第2のパッド領域31、第3のパッド領域35を介して回路基板21と接続され、電送可能にされている。
【0020】
遮光部材19には、筒状部25や平坦部27の表面の一部に電子部品39を配置することができる。電子部品39としては、例えば、第1のパッド領域17と第2のパッド領域31との間で、撮像素子15への信号ラインの分割や統合、或いは信号処理等を行うICチップ、各種チップ部品等、種々の部品が挙げられる。
【0021】
上記構成の固体撮像装置100によれば、撮像素子15の受光領域11とボンディングパッド領域13との間に遮光部材19を配置し、撮像素子15の内側となる遮光部材19上に第1のパッド領域17配置することで、撮像素子15のボンディングパッド領域13から外側の回路基板21にパッドを配置する必要がなくなる。このため、撮像素子15を実装する回路基板21の面積を撮像素子15に近い大きさまで低減でき、固体撮像装置100を小型化できる。
【0022】
更に、電子部品39を回路基板21上でなく、遮光部材19の表面に実装すれば、回路基板21に必要な実装面積を低減でき、固体撮像装置100をより小型化できる。電子部品39にパワー回路が含まれる場合、撮像素子15から離して配置することが望ましい。しかし、回路基板21上に電子部品39を配置する場合、撮像素子15と電子部品39との距離を稼ぐことは難しい。そこで上記のように、電子部品39を遮光部材19に実装すれば、撮像素子15からの距離を容易に稼ぐことができ、パワー回路の影響を容易に低減できる。
【0023】
また、撮像素子15の撮像素子表面に遮光部材19を直接貼着させることで、撮像素子15の表面と遮光部材19との隙間を完全に埋めることができる。その結果、受光領域11へ迷光が入り込むことを防止でき、遮光性能を向上できる。
【0024】
更に、平坦部27から立設された筒状部25を有する構造の遮光部材19を、撮像素子15の表面に面接合によって固定することで、回路基板21の剛性が向上する。これにより、低背化によって薄肉に形成された固体撮像装置100は、外力によって容易に変形せず、取り扱い性、耐久性に優れた高強度な構成となる。
【0025】
そして、遮光部材19は、発熱源となる撮像素子15の撮像素子表面に直接当接して配置され、撮像素子15との接触面積と熱容量を増大させている。このため、撮像素子15の発熱を撮像素子15の外部に高効率で逃すことができ、高い放熱性が得られる。撮像素子15の特に受光領域11の外側には、回路動作のため発熱し易い領域が存在するが、この発熱し易い領域が遮光部材19の平坦部27で覆われているため、効率の良い放熱が行える。つまり、遮光部材19は、受光領域11の温度上昇を低減し、撮像素子15の発熱による暗電流増加も防止する。
【0026】
次に、上記構成の固体撮像装置100が搭載されたカメラモジュールを説明する。
図4はカメラモジュールの概略的な断面図である。
カメラモジュール200は、主に固体撮像装置100と、撮像素子15の受光領域11に光学像を結像させる光学部材からなる。固体撮像装置100には、回路基板21の環状の周縁部21aに接続された側壁部43、及び側壁部から撮像素子15の内側に向けて延設され遮光部材19の筒状部頂面25aに当接する蓋部45が一体に形成されたフレーム41が取り付けられている。固体撮像装置100のワイヤーボンディング接続された各部位は、フレーム41、筒状部25、回路基板21で封止されている。
【0027】
フレーム41の蓋部45は、撮像素子15の受光領域11に導光するための開口孔45aを有する。蓋部45の開口孔45aの周縁部には、受光領域11に対面して赤外線カットガラス47が接着され、撮像素子15の受光領域11上の空間49を密封している。
【0028】
フレーム41の蓋部45上には、レンズホルダ51が固定され、レンズホルダ51は撮像素子15の受光領域11に結像させるレンズ53を支持している。
【0029】
上記構成のカメラモジュール200によれば、撮像素子15からの熱が、遮光部材19の平坦部27及び筒状部25を介してフレーム41の蓋部45に伝達され、更に蓋部45からレンズホルダ51や赤外線カットガラス47等の各部材に拡散される。このため、撮像素子15の放熱性が高められ、撮像素子15からの発熱の影響を小さく抑えることができる。その結果、ノイズの少ない高品位な画像情報を撮像素子15から出力できる。
【0030】
<第2の態様>
次に、遮光部材がシールド機能を有する構成について説明する。
図5は本構成例におけるカメラモジュールの概略的な断面図である。以降の説明においては、図4に示す部材と同一の部材については、同一の符号を付与することで、その説明は省略する。
【0031】
レンズホルダ51には、レンズ53を光軸方向に移動させ、撮像素子15の受光領域11のフォーカスを調整するためのモータ(ボイスコイルモータ等)55が設けられている。可動側となるレンズ53は、レンズホルダ51に固定されたモータ55の駆動により光軸方向へ移動自在とされている。
【0032】
上記構成のカメラモジュールの場合、モータ55から発生するノイズに、モータ55直下に配置される第1のパッド領域17とボンディングパッド領域13とのワイヤーボンディング接続部が晒される。そのため、ワイヤーボンディング接続部では、入出力される信号にノイズが重畳しやすくなるが、このノイズ重畳を防止するため、ワイヤーボンディング接続部にシールド用の配線層57を形成している。
【0033】
配線層57は、モータ55に対面する遮光部材19の平坦部27に少なくとも設けられ、第1パッド領域17の下層に形成されている。そして配線層57は、少なくともその一部に接地された配線を含んでいる。つまり、配線層57は、接続端子であるパッドに導通する配線パターンの一部にシールド用配線を設けた構成、パッドに導通される配線パターンを一時的に接地することで、配線層57を信号伝送用の配線機能とシールド機能とのいずれかを選択的に用いる構成、配線層57の全体をシールド専用のシールド用配線とする構成等、種々の形態が採用可能である。
【0034】
また、遮光部材19に配線層57を設けたことにより、撮像素子15の特にノイズに弱いアナログ回路がシールドされる。その結果、撮像素子15との絶縁が得られ、撮像素子15からの出力信号にノイズが重畳されにくくなる。
【0035】
遮光部材19の平坦部27に配線層57を設けた構成の他にも、筒状部25の外側壁面にも配線層59を設けた構成としてもよい。その場合、撮像素子15の受光領域11に対してもシールド効果が得られ、撮像素子15からの出力信号にノイズが重畳されることをより確実に防止できる。勿論、筒状部25の外側壁面の配線層59は、平坦部27の配線層57と同様に、その一部のみをシールド用の配線にする等、前述した種々の形態が採用可能である。
【0036】
本構成例によれば、カメラモジュールにモータ55等のノイズ発生部品が搭載された場合でも、発生するノイズは、配線層57,59によって確実にシールドでき、入出力信号に影響を及ぼすことがない。また、配線層57,59は、遮光部材19の筒状部25の内周面に配置しないので、受光領域11の検出光は、配線層によって反射することがなく、カメラモジュールの光学性能を損なうことがない。
【0037】
<第3の態様>
次に、遮光部材を撮像素子上に位置合わせするための位置決めマークを、撮像素子上に設けた構成について説明する。
撮像素子15と遮光部材19は、図示しない周知のマウンタ装置により回路基板21に実装される。マウンタ装置の機構は種々のタイプがあるが、例えば、回路基板を固定するための基板固定部と、回路基板上に配置されるマウンタヘッドと、マウンタヘッドを回路基板上で移動させるための移動機構と、各部を制御するコントローラを備えたものがある。コントローラは、被実装部品をマウンタヘッドに保持させて、移動機構によりマウンタヘッドに保持された被実装部品を回路基板上の目標実装位置に移動させる。そして、コントローラの指示によりマウンタヘッドは被実装部品を回路基板上に載置する。これにより、回路基板上の目標実装位置に被実装部品が実装される。
【0038】
上記のようなマウンタ装置では、マウンタヘッドにカメラを設け、このカメラにより回路基板上の位置決めマークを検出することで、回路基板とマウンタヘッドとの位置合わせを行っている。
【0039】
本構成例は、上記のようなマウンタ装置により、回路基板21上に撮像素子15、遮光部材19をこの順で実装する。その際、遮光部材19を撮像素子15の撮像素子表面に実装するときに、撮像素子表面に設けた位置決めマークを利用して位置決めを行う。
【0040】
図6は遮光部材を撮像素子上に配置する様子を示す説明図である。回路基板21に実装された撮像素子15の撮像素子表面には、位置決めマーク61,61が設けてある。位置決めマーク61,61としては、カメラのカラーフィルタにより認識可能なパターン、配線パターン等、周知のマークが利用できる。
【0041】
位置決めマーク61,61は、撮像素子15自身の基準位置を表すマークである。このマークは、撮像素子15の撮像素子表面で、遮光部材19の実装領域63外側の対角位置に一対設けてある。回路基板21に実装済みとなった撮像素子15の撮像素子表面に遮光部材19を実装する際、マウンタヘッドのカメラにより位置決めマーク61,61を認識して、コントローラが遮光部材19の目標実装位置を決定する。そして、コントローラは、マウンタヘッドを目標実装位置に移動させ、遮光部材19を撮像素子表面の目標実装位置に実装する。
【0042】
本構成によれば、撮像素子15の実装面積を低減したために、遮光部材19を実装するための基準位置情報が回路基板21から得られない場合であっても、撮像素子15の撮像素子表面に基準位置情報(位置決めマーク)を付加することで、遮光部材19は回路基板21に実装可能となる。また、撮像素子表面に設けた位置決めマークを利用することで、回路基板21上に基準位置情報を設けた場合に発生する撮像素子15の実装位置の誤差による影響が原理上発生せず、高精度な実装が行える。なお、位置決めマークは、撮像素子15の受光領域11の外側に設けるため、光学性能への影響はない。
【0043】
<第4の態様>
次に、遮光部材に形成する第1のパッド領域を複数列のパッド領域として、各列のパッド領域と撮像素子のボンディングパッド領域とをワイヤーボンディング接続した構成について説明する。
【0044】
図7は遮光部材に複数列のパッド領域を設けてボンディング接続を行った様子を概略的に示す固体撮像装置の一部断面図、図8は図7に示す複数列のパッド領域におけるパッド配置の一例を示す説明図である。
本構成例では、第1のパッド領域17が、3つのパッド領域17A,17B,17Cからなる。パッド領域17A,17B,17Cの各パッドは、それぞれ撮像素子15のボンディングパッド領域13の各パッド23にワイヤーボンディング接続される。
【0045】
上記構成によれば、各パッド領域17A,17B,17Cの各ボンディングピッチPが、撮像素子15のボンディングパッド領域13におけるボンディングピッチP0より広くなる。このため、第1のパッド領域17側におけるワイヤーボンディング接続時の位置精度が粗くて済み、実装コストを低減できる。また、遮光部材19の大きさの制約等で、第1のパッド領域17の長さがボンディングパッド領域13の長さより短くなる場合でも、ボンディングピッチPを広く設定できる。なお、図8に示すパッド29の配置は一例であって、各パッドの配置はこれに限らない。
【0046】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
例えば、第1のパッド領域17は、遮光部材19の平坦部27に設ける構成に限らず、撮像素子15の撮像素子表面に設けた他の部材上に設けてもよい。また、第2のパッド領域31から回路基板21の第3のパッド領域35にワイヤーボンディング接続する代わりに、フレキシブル基板により第1のパッド領域17と回路基板21を接続する構成としてもよい。
【0047】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 受光領域の外側に外部接続用のパッドが配置されたボンディングパッド領域を有する撮像素子と、
少なくとも前記撮像素子の前記受光領域と前記ボンディングパッド領域との間に配置され、前記ボンディングパッド領域に対応するパッドが配置された第1のパッド領域を有する配線部材と、を備え、
前記撮像素子のボンディングパッド領域と前記配線部材の第1のパッド領域における対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、撮像素子のボンディングパッド領域と、撮像素子内側に配置される配線部材の第1のパッド領域とをワイヤーボンディング接続するので、撮像素子の外側に向けてワイヤーボンディングを行う必要がなくなる。このため、撮像素子の入出力信号は、撮像素子の素子領域内で取り出すことができ、固体撮像装置を小型化でき、実装面積を低減できる。また、配線部材を撮像素子の受光領域とボンディングパッド領域との間に配置することで、撮像素子からの発熱の放熱性を高めることができる。更に、撮像素子に配線部材が取り付けられることで、撮像素子の剛性が向上し、外力による変形を抑え、強度を高めることができる。
【0048】
(2) (1)の固体撮像装置であって、
前記配線部材が、前記受光領域を囲む全周に形成された固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、配線部材が受光領域を囲む全周に形成されることで、配線部材と撮像素子との接触面積が増加し、剛性と放熱性とを高められる。
【0049】
(3) (1)又は(2)の固体撮像装置であって、
前記撮像素子が実装される回路基板を備え、
前記配線部材が、前記第1のパッド領域とは異なる位置に配置され、前記第1のパッド領域の入出力信号に対する接続端子として機能するパッドが配置された第2のパッド領域を有し、前記第2のパッド領域のパッドが前記回路基板に電気的に接続された固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、撮像素子の入出力信号を、第1のパッド領域とは異なる位置に配置された第2のパッド領域のパッドを介して、回路基板へ伝送する構成であるので、第2のパッド領域の配置自由度が高められる。以て、スペース効率の良い配置パターンにでき、固体撮像装置を更に小型化できる。
【0050】
(4) (3)の固体撮像装置であって、
前記回路基板が、前記第2のパッド領域のパッドに対応するパッドが配置された第3のパッド領域を有し、
前記第2のパッド領域と前記第3のパッド領域の対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、設計変更が少なく低コストに撮像素子と回路基板とを接続できる。
【0051】
(5) (1)〜(4)のいずれか一つの固体撮像装置であって、
前記配線部材が、前記受光領域を遮光するための遮光部材である固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、撮像素子の受光領域の外側に遮光部材が設けられ、受光領域以外に入射した光が迷光となって受光領域に入り込むことを防止できる。
【0052】
(6) (5)の固体撮像装置であって、
前記配線部材が、前記撮像素子の撮像素子表面における前記受光領域の外縁全周から、前記撮像素子表面に対して垂直に立設された筒状部と、
該筒状部の底部から前記撮像素子表面に沿って外側に延設された平坦部と、
を有する固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、受光領域を囲む筒状部によって、受光領域に不要光が入り込むことが防止され、撮像素子の遮光性を向上できる。
【0053】
(7) (6)の固体撮像装置であって、
前記第1のパッド領域が、前記配線部材の平坦部に設けられた固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、平坦部に第1のパッド領域が設けられることで、ワイヤーボンディング接続が容易に行えるようになり、製造コストを低減できる。
【0054】
(8) (6)又は(7)の固体撮像装置であって、
前記配線部材の平坦部に、前記第1のパッド領域のパッドに接続される配線パターンが形成され、
前記配線パターンがシールド機能を有する固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、配線パターンによって受光領域との絶縁性が良好となり、撮像素子が有するアナログ回路等のノイズに弱い部分に対して、確実なシールド効果が得られる。また、撮像素子の受光領域は、配線パターンの光反射による影響を生じることがなく、良好な光学特性が得られる。
【0055】
(9) (1)〜(8)のいずれか一つの固体撮像装置であって、
前記配線部材に電子部品が実装された固体撮像装置。
この固体撮像装置によれば、配線部材に電子部品を実装することで、回路基板等に対して、必要となる電子部品の実装面積を低減できる。
【0056】
(10) (1)〜(9)のいずれか一つの固体撮像装置であって、
前記撮像素子の前記撮像素子表面に位置決めマークが設けられた撮像装置。
この固体撮像装置によれば、配線部材を撮像素子に対して正確に位置合わせできる。このため、受光領域と配線部材との相対位置が正確となって光学特性が向上し、配線部材上の第1のパッド領域と撮像素子上のボンディングパッド領域との相対位置が正確となって接続工程の精度を高められる。
【0057】
(11) (1)〜(10)のいずれか一つの固体撮像装置であって、
前記第1のパッド領域が前記ボンディングパッド領域に対して並列配置される複数列のパッド領域からなり、各列のパッド領域と前記ボンディングパッド領域の対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された撮像装置。
この固体撮像装置によれば、第1のパッド領域の長さがボンディングパッド領域の長さより短い場合でも、接続点となる個々のパッドのピッチ間隔が縮小されることなく広く設定できる。このため、接続工程に高い加工精度を要することがなく、実装コストを低減できる。
【0058】
(12) (1)〜(11)のいずれか一つの固体撮像装置と、
前記撮像素子の受光領域に光学像を結像させる光学部材と、
を備えたカメラモジュール。
このカメラモジュールによれば、剛性、放熱性、遮光性に優れた構成とし、しかも実装面積を削減できる。
【符号の説明】
【0059】
11 受光領域
13 ボンディングパッド領域
15 撮像素子
17 第1のパッド領域
19 遮光部材(配線部材)
21 回路基板
23 パッド
25 筒状部
27 平坦部
29 パッド
31 第2のパッド領域
33 パッド
35 第3のパッド領域
37 パッド
39 電子部品
43 側壁部
45 蓋部
53 レンズ
55 モータ
57 配線層
59 配線層
61 位置決めマーク
63 実装領域
100 固体撮像装置
200 カメラモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光領域の外側に外部接続用のパッドが配置されたボンディングパッド領域を有する撮像素子と、
少なくとも前記撮像素子の前記受光領域と前記ボンディングパッド領域との間に配置され、前記ボンディングパッド領域に対応するパッドが配置された第1のパッド領域を有する配線部材と、を備え、
前記撮像素子のボンディングパッド領域と前記配線部材の第1のパッド領域における対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の固体撮像装置であって、
前記配線部材が、前記受光領域を囲む全周に形成された固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の固体撮像装置であって、
前記撮像素子が実装される回路基板を備え、
前記配線部材が、前記第1のパッド領域とは異なる位置に配置され、前記第1のパッド領域の入出力信号に対する接続端子として機能するパッドが配置された第2のパッド領域を有し、前記第2のパッド領域のパッドが前記回路基板に電気的に接続された固体撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の固体撮像装置であって、
前記回路基板が、前記第2のパッド領域のパッドに対応するパッドが配置された第3のパッド領域を有し、
前記第2のパッド領域と前記第3のパッド領域の対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の固体撮像装置であって、
前記配線部材が、前記受光領域を遮光するための遮光部材である固体撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の固体撮像装置であって、
前記配線部材が、前記撮像素子の撮像素子表面における前記受光領域の外縁全周から、前記撮像素子表面に対して垂直に立設された筒状部と、
該筒状部の底部から前記撮像素子表面に沿って外側に延設された平坦部と、
を有する固体撮像装置。
【請求項7】
請求項6記載の固体撮像装置であって、
前記第1のパッド領域が、前記配線部材の平坦部に設けられた固体撮像装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の固体撮像装置であって、
前記配線部材の平坦部に、前記第1のパッド領域のパッドに接続される配線パターンが形成され、
前記配線パターンがシールド機能を有する固体撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項記載の固体撮像装置であって、
前記配線部材に電子部品が実装された固体撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項記載の固体撮像装置であって、
前記撮像素子の前記撮像素子表面に位置決めマークが設けられた撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一項記載の固体撮像装置であって、
前記第1のパッド領域が前記ボンディングパッド領域に対して並列配置される複数列のパッド領域からなり、各列のパッド領域と前記ボンディングパッド領域の対応するパッド同士がワイヤーボンディング接続された撮像装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項記載の固体撮像装置と、
前記撮像素子の受光領域に光学像を結像させる光学部材と、
を備えたカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−70270(P2013−70270A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207944(P2011−207944)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】