説明

固体酸化物形燃料電池用改質装置及びシステムの運転方法

【課題】LPGとDME、都市ガスとDME、あるいは都市ガス、LPGとDMEに対応した改質触媒を開発し、各燃料に共通して使用できる改質器を提供する。
【解決手段】炭化水素又はジメチルエーテルを燃料として改質ガスを製造する改質装置であって、改質触媒を内部に有する改質反応器と、改質反応器へ水蒸気を供給する水蒸気発生器と、改質反応器に燃料を供給する燃料供給配管と、燃料供給配管に炭化水素とジメチルエーテルの内いずれか1種類を切り替えて供給する切替手段と、改質反応器からの改質ガスを固体酸化物形燃料電池に供給する改質ガス配管とを具備し、供給した燃料のいずれをも改質反応器内の同一の改質触媒上で水蒸気改質することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用改質装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素系燃料及びジメチルエーテルを改質する固体酸化物形燃料電池用改質装置、及び、炭化水素系燃料及びジメチルエーテルの改質ガスを燃料とする固体酸化物形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ジメチルエーテル(以降DMEと略すことがある)は、粒子状物質や硫黄酸化物などの大気汚染物質を排出しない、環境負荷の少ない燃料であることから代替燃料として期待が高まっている。
国内では化石燃料を用いたDMEプラント(8万t/年)が竣工、生産を開始した他、ヨーロッパでは大規模なバイオDMEプロジェクトが進行中であり、世界的にDMEの生産体制は増強される傾向にある。
さらに近年ではバイオマスを原料としたDMEの製造方法についても研究が進んでおり、これが大規模に実現した場合、カーボンニュートラルな燃料として二酸化炭素排出量の削減効果も期待することができる。
【0003】
DMEの需要拡大のためには、安定供給体制、価格競争力、安全性の確立が重要な他、DME利用機器が普及していることが必須であるが、利用機器がDMEしか使用できない場合はDMEと利用機器の双方がバランス良く普及しなければならず、それぞれの技術開発の完了後も普及には相当な年月を有する。そのため、既存の機器でDMEを利用可能であることが好ましい。
【0004】
DMEは圧縮、液化が容易なことから液化石油ガス(主要成分はプロパンで、残余はブタン、ブチレン等;以降LPGと略すことがある)に類似した取り扱いが可能であるとされているが、その反面、燃焼性、潤滑性、膨潤性など既存の燃料と異なる性質も多く、タービン、ボイラーなどの燃焼機器や、ディーゼルエンジン等でDMEを使用する場合、システムの改造が必要となる。
【0005】
固体酸化物形燃料電池(以降SOFCと略すことがある)システムは、平成22年時点ですでに100台以上の実証試験が実施されており、平均発電効率約45%という優れた性能を示している。平成24年ごろには都市ガス(主要成分はメタンで、残余はエタン、プロパン、ブタン等)、LPGを使用する家庭用SOFCの市場導入が始まる見込みであるが、家庭用温水器などの市場は国内だけでも3000億円/年以上で安定しており市場導入が成功した暁には大きな成長が期待できる。従ってこのようなSOFCにあらかじめDMEも使用できる機能を持たせておけばDMEの供給体制が整い次第速やかな普及が期待できる。
【0006】
SOFCでは電池本体の前段に設置された改質装置によって燃料をH2、COを多く含む改質ガスに転換したのちに電池本体に供給する。従って、改質装置が都市ガスやLPGと同様にDMEも改質でき、かつ、得られた改質ガスを用いてSOFC本体で都市ガスあるいはLPGを使用した時と同じ出力が得られれば、あらかじめパッキンなどのゴム・樹脂製の部品を、DME耐性をもつ素材にしておくといった簡単な対応だけでDMEが利用可能になる可能性が高い。
【0007】
また、特にバイオマス由来のDMEを使用した場合、二酸化炭素の削減効果がより向上するため、SOFC自体の普及を促進することにもつながる。従って、SOFCでのDMEの使用は導入コストの抑制のみならず、SOFCとDMEの普及を相互に促進する上で非常に有用な手段であると言える。
なお、既存燃料用機器でDMEを利用する際の改造の必要性については下記の非特許文献1に記載されている。また、SOFCシステムに代表される燃料電池システムの特徴については下記の非特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】日本DMEフォーラム編「DMEハンドブック」(第5章『用途と利用技術』)、オーム社、平成18年4月
【非特許文献2】Lames L.、Dicks A.著 槌屋治紀訳 「燃料電池システム」、オーム社、平成16年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、都市ガスや液化石油ガス対応のSOFCシステムでDMEを使用可能とすることは、DMEとSOFCシステムの相互普及を促す有望な手段である。SOFCは平成24年頃には市場導入される予定であるが、現状では燃料種ごとにシステムが開発されており、複数の燃料種に対応するシステム、あるいは代替燃料であるDMEに対応するシステムは開発されていない。そこで、大規模な改造なしに複数の燃料種に対応するシステムを開発してSOFCの利便性を向上させるとともに、DMEの普及を加速する必要がある。この様なSOFCシステムを実現するには以下の課題を解決する必要がある。
【0010】
現状のシステムでは改質装置が各燃料に対して開発されているが、燃料ごとに改質装置を設けることはシステムの複雑化とコスト増大の原因となる。そこで本発明では、LPGとDME、都市ガスとDME、あるいは都市ガス、LPGとDMEに対応した改質触媒を開発し、各燃料に共通して使用できる改質装置を開発することでシステムの簡素化と低コスト化を行うことが第1の課題である。
【0011】
SOFCは供給する燃料の熱量によって取り出せる出力が大きく変化する。また、SOFCシステムでは、燃料は改質装置内で水蒸気と反応させ、H2、COを多量に含む合成ガスに転換したうえで電池本体に供給されるが、供給する改質ガスの組成によって電池本体の電圧が大きく変化する。このため、SOFCに供給する燃料の種類を切り替えた場合、発生する改質ガスの組成も変化するため、電池の出力特性が変化して切り替え後の運転に支障をきたす恐れがある。従って、燃料種の切替えによる電気出力・熱出力の変化を防止する適切な制御方法を開発することが第2の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の課題で最も重要な点は、SOFCシステムで利用が可能なDME改質用触媒の開発である。一般にSOFCシステムでは電池本体の排熱や排気ガスの燃焼熱によって改質反応器の温度が500℃〜800℃程度となる。従来DME改質触媒は300℃以下での活性に注目した開発がなされており、Cuを主成分とした触媒の開発が行われてきた。Cuを主成分とした触媒は低温でのDMEの改質には優れた性能を示すが、500℃以上の温度では劣化が激しいため使用することができない。また、Cu系触媒は炭化水素に対する改質活性が低く、都市ガスやLPG改質用の触媒としては不適である。また、DME自身も500℃以上の温度では急激な分解によって触媒上に炭素として析出する可能性が指摘されていた。
しかし発明者らは鋭意研究を行った結果、SOFCシステムの動作温度付近では、適切な量の水蒸気と共にDMEを供給すれば、炭化水素系燃料に対して改質活性を有する金属がDMEに対しても高い改質活性を有することを見出した。これにより、炭化水素系燃料に対して改質活性を有する公知の改質触媒をも利用し、DMEと炭化水素燃料を同一の触媒上で改質し、SOFCシステムに供給することが可能となった。
すなわち、上記第1の課題を解決するために、本発明は、
炭化水素又はジメチルエーテルを燃料として改質ガスを製造する改質装置であって、改質触媒を内部に有する改質反応器と、改質反応器へ水蒸気を供給する水蒸気発生器と、改質反応器に燃料を供給する燃料供給配管と、燃料供給配管に炭化水素とジメチルエーテルの内いずれか1種類を切り替えて供給する切替手段と、改質反応器からの改質ガスを固体酸化物形燃料電池に供給する改質ガス配管とを具備し、供給した燃料のいずれをも改質反応器内の同一の改質触媒上で水蒸気改質することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用改質装置、を提供する。
【0013】
第2の課題においては、燃料種の切替えによる電気出力・熱出力の変化を防止するためのパラメータを把握することが重要である。改質ガスの組成は、改質装置の温度と改質装置に投入する燃料と水蒸気の比によって制御されるが、SOFCシステムでは、改質反応器の加熱は電池本体の排熱等によって賄われるため、改質反応器の温度は500℃〜800℃程度に保たれるものの、精密な制御は困難である。そこで発明者らは、改質装置に投入する燃料と水蒸気の比に注目し、燃料切り替え前後の電池の電気出力が等しくなるように燃料と水蒸気の比を制御することを試みた結果、特にDMEとプロパン(乃至液化石油ガス)、DMEとメタン(乃至都市ガス)との間において、ある一定の関係性を見出すに至った。
すなわち、上記第2の課題を解決するために、本発明は、
液化石油ガスとジメチルエーテルで発電可能な固体酸化物形燃料電池システムの運転方法であって、液化石油ガスからジメチルエーテルへと燃料を切り替える際、
電池本体からの排熱などによって改質反応器が500℃以上に保たれた改質装置に対し、
切替直前の液化石油ガスの供給量(a)と切替直後のジメチルエーテルの供給量(b)とが下記式(1)を満たす様にジメチルエーテルの供給量(b)を制御すると同時に、
切替直前に供給する液化石油ガス中の炭素に対する該液化石油ガスと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CLPG)と、切替直後に供給するジメチルエーテル中の炭素に対する該ジメチルエーテルと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CDME)が下記式(2)および(3)を満たすように水蒸気供給量を制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法、を提供する。

b=1.54×a・・・(1)
0.84×S/CLPG−2.34≦S/CDME≦0.78×S/CLPG+1.05・・・(2)
3.0≦S/CLPG≦4.0・・・(3)

【0014】
上記第2の課題を解決するために、本発明は、
都市ガスとジメチルエーテルで発電可能な固体酸化物形燃料電池システムの運転方法であって、都市ガスからジメチルエーテルへと燃料を切り替える際、
電池本体からの排熱などによって改質反応器が500℃以上に保たれた改質装置に対し、
切替直前の都市ガスの供給流量(c)と切替直後のジメチルエーテルの供給流量(b)とが下記式(4)を満たす様にジメチルエーテルの供給量(b)を制御すると同時に、
切替直前に供給する都市ガス中の炭素に対する該都市ガスと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CTG)と、切替直後に供給するジメチルエーテル中の炭素に対する該ジメチルエーテルと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CDME)が下記式(5)、(6)および(7)を満たすように水蒸気供給量を制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法、を提供する。

b=0.60×c・・・(4)
0.91×S/CTG−1.41≦S/CDME≦0.90×S/CTG+0.28・・・(5)
2.0≦S/CTG≦3.0・・・(6)
1.5≦S/CDME・・・(7)

【0015】
また本発明では、上記式(1)〜(3)乃至上記式(4)〜(6)を満たすように制御する燃料電池システムの運転方法にあって、上記式(1)乃至上記式(4)を満たすように制御しても燃料電池の出力を一定範囲内に保つことが困難である場合に際して、上記式(1)、式(4)に替えて下記式(8)乃至下記式(9)を満たすようにジメチルエーテルに対する都市ガス乃至液化石油ガスの供給量を制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法、を提供する。

0.9×(1.54×a)≦b≦1.1×(1.54×a)・・・(8)
0.9×(0.60×c)≦b≦1.1×(0.60×c)・・・(9)

【発明の効果】
【0016】
本発明の燃料電池用改質装置によれば、都市ガスやLPGなどの炭化水素系燃料とDMEをいずれも同一の触媒上で改質して燃料電池に供給することができるため、各燃料専用の改質装置を備える必要がなく、SOFCシステムを非常に低コストでマルチフューエル対応のシステムとすることができる。
【0017】
また、本発明の燃料電池の制御方法によれば、燃料間での燃料の切り替えによる電気出力・熱出力の変化を抑制することができる。従って、SOFCシステム自体の改造は一切必要なしに、運転条件の制御だけでいずれの燃料を使用しても所望の出力を得ることが可能なマルチフューエル対応のSOFCシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】固体酸化物形燃料電池システムの基本構成を示す概略構成図。
【図2】実施例の水蒸気改質試験に用いた固定床流通式の実験装置を示す概略構成図。
【図3】実施例のプロパン水蒸気改質試験で得られた出口ガスの組成を触媒層温度との関係で示す図面。
【図4】実施例のジメチルエーテル水蒸気改質試験で得られた出口ガスの組成を触媒層温度との関係で示す図面。
【図5】本発明の実施例に用いた固体酸化物形燃料電池システムの実験装置を示す概略構成図。
【図6】図5の実験装置における試験セル及びその周辺部を示す拡大図。
【図7】図6の試験セル部分Aの拡大図。
【図8】実施例の発電試験で得られた試験セルの出力と電流との関係を示す図面(条件1〜9)。
【図9】DMEとメタンの間で燃料を切り替えた場合に、同じセル出力特性が得られる様にS/Cを調節した際の結果を示す図面。
【図10】DMEとプロパンの間で燃料を切り替えた場合に、同じセル出力特性が得られる様にS/Cを調節した際の結果を示す図面。
【図11】実施例の発電試験で得られた試験セルの電圧−電流特性と、電流―出力特性との関係を示す図面(条件10〜11)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は固体酸化物形燃料電池システムの基本構成を示す概略構成図である。このシステムは、ジメチルエーテルが液化された状態で入ったボンベ1と、液化された液化石油ガスが入ったボンベ2と、水が入ったタンク3と、改質装置4と、電池本体5と、熱交換器6を備えている。
【0020】
また、ボンベ1から改質装置4にDMEを供給する配管h1と、この配管h1にボンベ2から液化石油ガスを導入する配管h2と、ボンベ1内のジメチルエーテルあるいはボンベ2内の液化石油ガスを改質装置4の燃焼器に導入する配管h3を備えている。この配管h3は、配管h2の接続位置よりも改質装置4に近い位置で配管h1から分岐して燃焼器に向かっている。また、タンク3からの水を改質装置内4の水蒸気発生器に供給するための配管h4を備えている。
【0021】
このシステムは、また、電池本体5のカソード室に熱交換器6で加熱された加熱空気(カソードガス)を導入する配管h5と、電池本体5のアノード室に改質装置4で発生した改質ガスを導入する配管h6と、改質装置4の燃焼器からの排気を通す配管h7とを備えている。
熱交換器6は、配管h5の空気取り入れ口に設置され、配管h7に導入された排気の熱を熱源として使用している。
【0022】
このシステムは更に、電池本体5のアノード室から排出された排ガスを改質装置の燃焼器に導入する配管h8と、電池本体5のカソード室から排出された排ガスを改質装置の燃焼器に導入する配管h9を備えている。
【0023】
このシステムはまた、ボンベ1から配管h1への気体の導入量を調節する流量調節器7と、ボンベ2に接続された配管h2から配管1への気体導入量を調節する流量調節器8と、タンク3から改質装置4内の水蒸気発生器への水の導入量を調節するポンプ9を備えている。本実施形態では、流量調節器7,8によって流量の調節だけでなく、DMEと炭化水素の内いずれか一方を切り替えて供給するように構成しているが、そのような切替に流量調節器と独立した切替弁等の切替手段を用いることもできる。
【0024】
図1では便宜上ボンベ1に充填されているガスをDME、ボンベ2に充填されているガスを液化石油ガスとしたが、実際にはボンベ1に液化石油ガス、ボンベ2にジメチルエーテルが充填されていても差し支えなく、また、液化石油ガスの代わりに都市ガスが充填されていても差し支えない。さらに都市ガスの場合にはボンベを用いず、配管を直接都市ガスが供給されるパイプラインに接続しても差し支えない。
【0025】
この実施形態では、起動後は電池本体からの排熱及び排ガス中の残燃料を改質装置4内の燃焼器で燃焼させた燃焼熱によって改質反応器を加熱する。改質反応器には改質触媒が充填されているが、改質触媒はジメチルエーテル、液化石油ガス、都市ガスのいずれに対しても高い水蒸気改質活性をもつように設計されている。活性成分としては、ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウムのいずれか1つ、もしくは2つ以上が含まれている。また、これ以外の成分を含んでいても特に差し支えない。また触媒担体としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウムなどの金属酸化物や複合酸化物を広く利用することができる。
【0026】
この実施形態ではボンベ1、ボンベ2にそれぞれ独立に流量調節器7、流量調節器8が備わっており、改質装置4に供給する燃料を自由に切りかえることが可能である。また、ポンプ9によってタンク3の水を改質装置4に供給する量を調節できる。これによって、燃料を切りえた場合でも、電池本体から得られる出力が一定となる様に、燃料と水蒸気の供給量を調節することができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の設定調整や設計変更が可能であることは言うまでもない。
【0028】
(改質試験)
はじめに、DME及び液化石油ガスの主成分であるプロパンを用いて水蒸気改質試験を行い、触媒の改質性能を調べる試験を行った。この試験は図2に示す固定床流通式の実験装置を用いて行った。この試験装置は、触媒を充填する反応管、反応管を加熱するための電気炉、水蒸気を発生させるための水蒸気発生装置、反応管に導入する各気体が入ったボンベと、各気体を所定の流量で反応管に供給するための配管、バルブ、及び流量調節器(マスフローコントローラ、MFCと略すことがある)と、水蒸気発生装置に供給する蒸留水が入ったタンクと、蒸留水を水蒸気発生装置に供給するためのポンプと、反応管出口のガスを分析するための分析装置であるガスクロマトグラフを備えている。
【0029】
本試験で使用した触媒は、酸化アルミニウム担体に活性成分として酸化ニッケルを坦持したNi/Al2O3触媒(ズードケミー触媒株式会社製 FCR-4)である。触媒は直径2mmの球状に成形されている。この触媒を2.2g(見かけ体積2cc)反応管に充填し、H2 20cc/min、N2 180cc/minを反応管に流通させながら750℃で1時間、触媒を還元して活性化処理とした。その後、反応管を550、600、650、700、750℃の各温度に制御したたうえで、表1に示す組成のガスを供給し、反応管出口のガスの組成を分析した。なお、ここでS/Cとは供給した燃料中に含まれる炭素原子に対する水蒸気のモル比を、GHSVとは触媒充填体積当たりの供給ガス速度を、それぞれ意味する。
【0030】
【表1】

【0031】
図3、図4は本試験で得られた出口ガスの組成を図示したものである。また、破線は各条件における出口ガスの平衡組成を意味する。得られた出口ガスの組成は、プロパンは平衡組成と±5%、DMEは平衡組成計算値と±2%程度で一致していた。以上の様に使用したNi/Al2O3触媒はプロパン、DMEのいずれをも良好に改質することが可能であった。
【0032】
ニッケルは炭化水素の改質に高い活性を示す金属であるため、ニッケルと同様に高い炭化水素改質活性を有する各種の金属、すなわち、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウムを活性成分として含む触媒であれば、DMEおよびプロパンなどの炭化水素を良好に改質することが可能であると考えられる。
【0033】
また、ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム等の金属は、これらの金属間、あるいは銅、鉄、クロム、金、銀などの金属などとともに合金を形成することが広く知られており、それらの合金も炭化水素の改質に優れた活性を示す。
【0034】
従って、活性成分として、ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウムのうち、いずれか1つ以上を含む触媒であれば、同一触媒上でDMEおよびプロパンなどの炭化水素を、良好に改質することが可能であると考えられる。
【0035】
(改質・発電試験)
次に、固体酸化物形燃料電池を円筒状に成形した試験セル100を用いて、燃料を切り替えて発電した場合の電池性能を調べる試験を行った。この試験は図5に示す試験装置を用いて行った。この試験装置は、各燃料気体が入ったボンベと、各気体を所定の流量で改質装置に供給するための配管、バルブ、及び流量調節器と、水蒸気発生器に供給する水が入ったタンクと、水を水蒸気発生器に供給するための配管とポンプとを備えている。改質装置で発生した改質ガスは、配管によって試験セル100のアノード室に導入される。配管は改質ガス中の水蒸気が凝縮することを防ぐため、150℃に加熱されたオーブン内に収められている。
【0036】
また、この試験装置は試験セル100のカソード室に供給するO2、N2の各気体が入ったボンベと、各気体を所定の流量で試験セル100のカソード室に供給するための配管、バルブ、及び流量調節器を備えている。
【0037】
図6及び図7を用いて試験セル100とその周辺部の詳細を説明する。図6は図5の試験セル100及びその周辺部断面を拡大したものであり、図7は図6のAの部分の断面拡大図である。
図6に示す様に、先閉じ円筒状の試験セル100は同じ外径の内側円筒体201の上に固定されている。内側円筒体の下部には排気管202が設けてある。この試験セル100と内側円筒体201の内部にアノードガス導入用配管203が配置されている。そして、この燃料用配管203と試験セル100で囲まれた空間204がアノード室となっている。
【0038】
また、前記排気管202より上側の部分は、中間円筒体205によって覆われている。中間円筒体205の下部は封じられており、下部に排気口206が設けられている。更にこの中間円筒体205を覆うように外側円筒体207が設置されている。外側円筒体207は上部下部とも封じられており、カソードガス導入用の導入口208が設けられている。この中間円筒体205と外側円筒体207と試験セル100とで囲まれた空間209がカソード室となっている
【0039】
図7に示す様に、試験セル100は、支持体である基体管101と、この基体管101の周面に層状に形成されたアノード層102、電解質103、中間層104、カソード105とからなる。
【0040】
本実施例で使用した固体酸化物形燃料電池セル100は、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニアを主成分とする多孔質のセラミックスチューブを基体管101としてなる。この基体管101はそれ自身がアノードとしての機能をもつ。この外側に、アノード層102としてNiO-YSZ、電解質層103としてスカンジア安定化イットリア(SSZ)、中間層104としてガドリニア添加セリア(CDG)の緻密膜を順に形成し、その更に外側にカソード105としてサマリウム−ストロンチウム−コバルト複合酸化物(SSC)を塗布した。
本実施例では基体管101の厚さを1.5mm、直径を15mm、アノード層の厚さを5μm、電解質層の厚さを15μm、中間層の厚さを5μm、カソードの厚さを20μmとした。
【0041】
本実施例では、プロパンと水蒸気、あるいはDMEと水蒸気を、表2に示す各条件で図5に示す試験装置に備えられた改質装置に供給して改質ガスを製造した。製造した改質ガスを750℃に保持した試験セル100のアノード室204に供給するとともにカソード室209に空気の組成を想定したN2とO2の混合ガスを供給することで電池反応を生じさせた。電池本体には電流-電圧制御装置を接続し、電池が発生する電流を制御するとともにそのときの電圧を測定することで電池性能の評価を行った。
【0042】
(燃料切替時の条件式について・流量の制御)
SOFCは燃料のもつ化学ポテンシャルを直接電気エネルギーに変換する装置である。従って燃料の切り替え時にも、単位時間あたりに供給される燃料の化学ポテンシャルが大きく変化しない様に各燃料の供給量を制御することが望ましい。ここで、燃料の化学ポテンシャルは、各燃料の完全燃焼時の発熱量に等しいと考えられる。メタン、プロパン、DMEの1気圧、25℃における完全燃焼反応と低位発熱量ΔHcは、それぞれ下記式(1’)、式(2’)、式(3’)として表わされる。

CH4+2O2=CO2+2H2O ΔHc=803 kJ・・・(1’)
C3H8+5O2=3CO2+4H2O ΔHc=2044 kJ・・・(2’)
C2H6O+3O2=2CO2+3H2O ΔHc=1328 kJ・・・(3’)

従って、切替直前のプロパンの供給量(a)と切替直後のジメチルエーテルの供給量(b)とが下記式(4’)を満たす様に、あるいは、切替直前のメタンの供給流量(c)と切替直後のジメチルエーテルの供給流量(b)が下記式(5’)を満たす様に、ジメチルエーテルの供給量(b)を制御することによって、SOFCに供給する燃料の熱量を一定に制御することができる。

b=1.54×a・・・(4’)
b=0.60×c・・・(5’)

【0043】
(燃料切替時の条件式について・S/Cの制御)
図8は、表2に示した各条件で発電試験を行い、試験セル100で発生する電流と電力の関係を調べ、電池性能を比較したグラフである。なお、各燃料の流量は前述の式(4’)及び式(5’)を満たすように調整した。このグラフの様に電池性能は同じ燃料であってもS/Cに強く依存している。特に、最大出力(電力)付近に近い領域ではその影響がより大きく表われる。そのため、供給するガスのS/Cを制御することで電池の出力特性を制御することが可能である。
【0044】
【表2】

【0045】
表3は、図8の結果を基に、本試験における最大出力(電流が3.5Aの時に得られる出力)が、DMEとメタンの間で燃料を切り替えた場合に、メタンの場合に得られる出力を基準として、-3%あるいは同じ値となる様にS/Cを調節した場合に得られる関係性を求めたものである。
【表3】

表4は、図8の結果を基に、本試験における最大出力(電流が3.5Aの時に得られる出力)が、DMEとプロパンの間で燃料を切り替えた場合に、プロパンの場合に得られる出力を基準として、-3%、+3%あるいは同じ値となる様にS/Cを調節した場合に得られる関係性を求めたものである。

【表4】

【0046】
図9は表5で得られたメタンとDMEの間の関係性をプロットしたものである。ここで、DMEと共に供給する水蒸気のS/CをS/CDME、メタンと共に供給する水蒸気のS/CをS/CMethaneとしたとき、各プロットの持つ関係性は、近似的に下記式(6’)と下記式(7’)とで表わされる直線とみなすことができる。

S/CDME=0.90×S/CMethane+0.28・・・(6’)
S/CDME=0.91×S/CMethane−1.41・・・(7’)

ここで式(6’)は、S/CDME値の時の最大出力がS/CMethane値の時に得られる最大出力に対して3%以内の差となるときのS/CDMEの上限値を示す。また、式(7’)はS/CDME値の時の最大出力がS/CMethane値の時に得られる最大出力と一致するときのS/CDMEを示す。
【0047】
但し、図4に結果を示した様に、DMEは1.5以上の条件で良好な改質が可能である。そのため、S/CDMEについては下記式(8’)の条件で制御することが適切である。

1.5≦S/CDME・・・(8’)

なお、図9内で上記式(6’)、式(7’)、式(8’)を満たすS/CMethane値およびS/CDME値の範囲は斜線部で示される領域内となる。
【0048】
また、図10は表4で得られたプロパンとDMEの間の関係性をプロットしたものである。ここで、DMEと共に供給する水蒸気のS/CをS/CDME、メタンと共に供給する水蒸気のS/CをS/CPropaneとしたとき、各プロットの持つ関係性は、近似的に下記式(10’)と下記式(11’)で表わされる直線とみなすことができる。

S/CDME=0.78×S/CPropane+1.05・・・(9’)
S/CDME=0.80×S/CPropane−0.63・・・(10’)
S/CDME=0.84×S/CPropane−2.34・・・(11’)

ここで式(9’)は、S/CDME値の時の最大出力がS/CPropane値の時に得られる最大出力に対して3%以内の差となるときのS/CDMEの上限値を示す。また、式(11’)は、S/CDME値の時の最大出力がS/CPropane値の時に得られる最大出力に対して3%以内の差となるときのS/CDMEの下限値を示す。更に(10’)はS/CDME値の時の最大出力がS/CMethane値の時に得られる最大出力と一致するときのS/CDMEを示す。
【0049】
但し、図4に結果を示した様に、DMEは1.5以上の条件で良好な改質が可能である。そのため、S/CDMEについては下記式(9’)の条件で制御することが適切である。

1.5≦S/CDME・・・(12’)

なお、図10内で上記式(9’)、式(10’)、式(11’)、式(12’)を満たすS/CPropane値およびS/CDME値の範囲は、斜線部で示される領域内となる。
【0050】
以上の様に、上記式(6’)、式(7’)、式(8’)を踏まえて、下記式(1)及び付則条件を満たす様に燃料中の炭素に対する水蒸気の比S/Cを調節することで、燃料をメタンからDMEへと切り変えた場合でも電池出力が-3%〜0%の範囲内で得られる様にSOFCシステムを制御することができる。
また、特に式(2)及び付則条件を満たす様に制御することによって、燃料をメタンからDMEへと切り変えた場合でもほぼ同じ電池出力が得られる様にSOFCシステムを制御することができる。
なお、都市ガスは、その主成分からみてメタンと同等と考えられるので、都市ガスと共に供給する水蒸気のS/CをS/CTGとして整理している。

0.91×S/CTG−1.41≦S/CDME≦0.90×S/CTG+0.28・・・(1)
但し、1.5≦S/CDME

S/CDME=0.91×S/CTG−1.41・・・(2)
但し、1.5≦S/CDME
また、都市ガス(メタン)で改質が行われる際に供給される燃料と水蒸気の量は、通常下記式の関係がなりたつ範囲で制御されている。
2.0≦S/CTG≦3.0
【0051】
以上の様に、上記式(9’)、式(10’)、式(11’)、式(12’)を踏まえて、下記式(3)及び付則条件を満たす様に燃料中の炭素に対する水蒸気の比S/Cを調節することで、燃料をプロパンからDMEへと切り変えた場合でも電池出力が-3%〜+3%の範囲内で得られる様にSOFCシステムを制御することができる。
また、特に式(4)及び付則条件を満たす様に制御することによって、燃料をプロパンからDMEへと切り変えた場合でもでもほぼ同じ電池出力が得られる様にSOFCシステムを制御することができる。

0.84×S/CLPG−2.34≦S/CDME≦0.78×S/CLPG+1.05・・・(3)
但し、1.5≦S/CDME

S/CDME=0.80×S/CLPG−0.63・・・(4)
但し、1.5≦S/CDME

また、LPG(プロパン)で改質が行われる際に供給される燃料と水蒸気の量は、通常以下の式の関係がなりたつ範囲で制御されている。

3.0≦S/CLPG≦4.0

なお、LPGは、その主成分からみてプロパンと同等と考えられるので、LPGと共に供給する水蒸気のS/CをS/CLPGとして整理している。
【0052】
図11は、前述の式(4’)及び上記式(3)の条件を満たす様に設定した各条件で発電試験を行い、試験セル100の電力と電流密度との関係を調べ、電池性能を比較したグラフである。試験条件は表5に示した。この図11から分かる様に、発明者が見出した各条件を満足するように燃料流量と供給する水蒸気量(S/C)を調整することによって、燃料を切り替えた場合でも、電流―電圧特性、電流―出力特性ともに、ほぼ同じ電池性能を得るようにSOFCを制御することが可能となった。
【表5】

【0053】
S/Cの制御は電池性能の制御には有効な手段であるが、前出の式図9、及び図10からも明らかなように、S/Cの制御によって燃料切り替え前後の出力を一定に制御しようとした場合、DMEに対するS/Cの制約によって、S/Cの制御によっては同等の出力を得ることが出来ない範囲が発生する。この様な場合の対応策として、切替直前のプロパンの供給量(a)と切替直後のジメチルエーテルの供給量(b)とが下記式(5)を満たす様に、あるいは、切替直前のメタンの供給流量(c)と切替直後のジメチルエーテルの供給流量(b)が下記式(6)を満たす様に、ジメチルエーテルの供給量(b)を制御することによって、燃料を切り替えた場合でもほぼ同じ電池出力を得ることができるようにSOFCシステムを制御することが可能である。

0.9×(1.54×a)≦b≦1.1×(1.54×a)・・・(5)
0.9×(0.60×c)≦b≦1.1×(0.60×c)・・・(6)

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の燃料電池用改質装置は、都市ガスやLPGなどの炭化水素系燃料とDMEをいずれも同一の触媒上で改質して燃料電池に供給することができるため、SOFCシステムにおいて有効に使用することができる。
本発明の燃料電池の制御方法は、燃料間での燃料の切り替えによる電気出力・熱出力の変化を抑制することができるので、SOFCシステム自体の改造は一切必要なしに、運転条件の制御だけでいずれの燃料を使用する場合にも応用することができる。

【符号の説明】
【0055】
1 DMEボンベ
2 LPGボンベ
3 水タンク
4 改質装置
5 電池本体(SOFC)
6 熱交換器
7 流量調節器
8 流量調節器
9 ポンプ
100 試験セル
101 基体管
102 アノード層
103 電解質
104 中間層
105 カソード
201 内側円筒体
202 排気管
203 アノードガス供給用配管
204 アノード室
205 中間円筒体
206 排気口
207 外側円筒体
208 カソードガス導入口
209 カソード室
h1 ボンベ1から改質装置4にDMEを供給する配管
h2 配管h1にボンベ2からLPGを導入する配管
h3 ボンベ1内のDME又はボンベ2内の炭化水素を改質装置4の燃焼器に導入する配管
h4 タンク3からの水を改質装置内4の水蒸気発生器に供給するための配管
h5 電池本体5のカソード室に加熱空気(カソードガス)を導入する配管
h6 電池本体5のアノード室に改質装置4で発生した改質ガスを導入する配管
h7 改質装置4の燃焼器からの排気を通す配管
h8 電池本体5のアノード室から排出された排ガスを改質装置の燃焼器に導入する配管
h9 電池本体5のカソード室から排出された排ガスを改質装置の燃焼器に導入する配管



【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素又はジメチルエーテルを燃料として改質ガスを製造する改質装置であって、改質触媒を内部に有する改質反応器と、改質反応器へ水蒸気を供給する水蒸気発生器と、改質反応器に燃料を供給する燃料供給配管と、燃料供給配管に炭化水素とジメチルエーテルの内いずれか1種類を切り替えて供給する切替手段と、改質反応器からの改質ガスを固体酸化物形燃料電池に供給する改質ガス配管とを具備し、供給した燃料のいずれをも改質反応器内の同一の改質触媒上で水蒸気改質することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用改質装置。
【請求項2】
前記炭化水素は、都市ガス又は液化石油ガスであることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池用改質装置。
【請求項3】
前記改質触媒は、活性成分として、ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウムのうち、いずれか1つ以上を含むものである請求項1乃至請求項2記載の固体酸化物形燃料電池用改質装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質装置を備え、
液化石油ガスを燃料として発電を行う固体酸化物形燃料電池システムであって、
液化石油ガスの代わりにジメチルエーテルによって発電することも可能であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質装置を備え、
都市ガスを燃料として発電を行う固体酸化物形燃料電池システムであって、
都市ガスの代わりにジメチルエーテルによって発電することも可能であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質装置を備え、
都市ガスを燃料として発電を行う固体酸化物形燃料電池システムであって、
都市ガスの代わりに液化石油ガスによって発電することも可能であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項7】
請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法であって、
液化石油ガスからジメチルエーテルへと燃料を切り替える際、
電池本体からの排熱などによって500℃以上に保たれた改質装置に対し、
切替直前の液化石油ガスの供給量(a)と切替直後のジメチルエーテルの供給量(b)とが下記式(1)を満たす様にジメチルエーテルの供給量(b)を制御すると同時に、
切替直前に供給する液化石油ガス中の炭素に対する該液化石油ガスと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CLPG)と、切替直後に供給するジメチルエーテル中の炭素に対する該ジメチルエーテルと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CDME)が下記式(2)および式(3)を満たすように水蒸気供給量を制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
b=1.54×a・・・(1)
0.84×S/CLPG−2.34≦S/CDME≦0.78×S/CLPG+1.05・・・(2)
3.0≦S/CLPG≦4.0・・・(3)
【請求項8】
請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法であって、
都市ガスからジメチルエーテルへと燃料を切り替える際、
電池本体からの排熱などによって500℃以上に保たれた改質装置に対し、
切替直前の都市ガスの供給流量(c)と切替直後のジメチルエーテルの供給流量(b)とが下記式(4)を満たす様にジメチルエーテルの供給量(b)を制御すると同時に、
切替直前に供給する都市ガス中の炭素に対する該都市ガスと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CTG)と、切替直後に供給するジメチルエーテル中の炭素に対する該ジメチルエーテルと同時に供給する水蒸気のモル比(S/CDME)が下記式(5)、式(6)および式(7)を満たすように水蒸気供給量を制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
b=0.60×c・・・(4)
0.91×S/CTG−1.41≦S/CDME≦0.90×S/CTG+0.28・・・(5)
2.0≦S/CTG≦3.0・・・(6)
1.5≦S/CDME・・・(7)
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池システムの運転方法であって、
液化石油ガスからジメチルエーテルへと燃料を切り替える際、又は都市ガスからジメチルエーテルへと燃料を切り替える際に、切替直前の液化石油ガスの供給量(a)と切替直後のジメチルエーテルの供給量(b)とが上記式(1)式に替えて下記式(8)を満たす様にジメチルエーテルの供給量(b)を制御する、又は、切替直前の都市ガスの供給流量(c)と切替直後のジメチルエーテルの供給流量(b)とが上記式(4)式に替えて下記式(9)を満たす様にジメチルエーテルの供給量(b)を制御する、ことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
0.9×(1.54×a)≦b≦1.1×(1.54×a)・・・(8)
0.9×(0.60×c)≦b≦1.1×(0.60×c)・・・(9)


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−40057(P2013−40057A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176203(P2011−176203)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】