説明

固体酸化物燃料電池

炭化水素酸化用触媒により活性化されたサーメットを含むアノードを包含する固体酸化物燃料電池、その調製方法、およびそれを利用するエネルギー生産方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、固体酸化物燃料電池、それによりエネルギーを生産するための方法、および前記固体酸化物燃料電池を調製するための方法に関する。
【0002】
従来の技術
例えばS.Park et al.,Applied Catalysis A:General 200(2000年),55−61により報告されているように、燃料電池、例えば固体酸化物燃料電池(SOFC)は、固定的および可動的用途の両方について、エネルギー、例えば電力を生産するための環境に優しく効率的な手段として、多大な注目を集めている。しかしながら、燃料電池の採用は、ほとんどの従来の燃料電池設計が燃料として用いるためにHを必要とするという事実を含むさまざまな技術的障害により、制限されてきた。この制限は、社会基盤および安全面での考慮対象が炭化水素燃料の使用に有利に働く輸送機関での用途において、とりわけ顕著である。
【0003】
炭化水素を改質してHを生産することは、この問題を回避するために考え出されたアプローチの一つである。残念ながら、改質は、効果的であるためには850℃より高温で実施しなければならない複雑な一連の触媒反応を包含する。そのような熱的要件は、燃料電池の構築のために特殊な材料を使用することを包含し、結果として費用が増大する。
【0004】
炭化水素燃料を、内部的または外部的にHに改質することなく直接酸化することができる固体酸化物燃料電池は、例えばLu et al.,J.Electrochem.Soc,150(10),A1357−A1359(2003年)により報告されているように、改質を必要とする従来の系に対し著しい利点を有する。水蒸気の非存在下で炭化水素を直接酸化するための本質的要件は、アノードの加工に用いられる材料が炭素形成を触媒しないことである。したがって、ニッケル(Ni)は、SOFCのアノードにもっとも一般的に用いられる金属であるが、NiはSOFCの運転温度で炭化水素に暴露されると炭素フィラメントの形成を触媒するため、異なる電子伝導体で置き換えられなければならない。炭素形成を十分に触媒しない銅(Cu)でのNiの置き換えが、例えばS.Park et al.,J.Electochem.Soc.,146,3603(1999年)により報告されている。アノードの性能を高めるために、セリア(CeO)がアノードに入れられている。これは部分的に、炭化水素燃料の酸化に関するセリアの触媒活性に起因する。
【0005】
C.Lu et al.,J.Electrochem.Soc,150(3),A354−A358(2003年)には、SOFCのためのCu−SDC(サマリアをドープしたセリア)およびCu−CeO−SDCアノードが開示されており、これらは、多孔質SDCマトリックスの重量に対しCuで16%およびCeOで10%の最終重量パーセントが与えられるように、SDCの多孔質層(約50%の多孔率)をCu(NOおよびCe(NOの水溶液に含浸することにより得られる。前記アノードは、600〜700℃でブタン(C10)を供給する電池で試験されている。C10燃料での最大電力密度は、Cu−CeO−SDCアノードを伴う電池の場合、700℃での170mW/cmである。
【0006】
C.Lu et al.,J.Electrochem.Soc,150(10),A1357−A1359(2003年)には、先ほど検討した論文と同様の方法で調製されたSOFCアノードのためのCu−CeO−SDCおよびAu−CeO−SDC組成物の比較が示されており、650℃の乾燥C10中で動作する前記アノードを伴う電池で得られた電力密度が“比較的不十分である”と記載されている。
【0007】
R.J.Gorte,Electrochem.Soc.Proc.,2202−5,60−71により報告されているように、メタン(CH)は不均質酸化においてブタンに比べはるかに反応性が低く、その上アノードに関し最も低い反応性を示すと、考えられなければならない。
【0008】
炭化水素燃料、特にメタンを直接酸化することにより動作し、長期間持続する性能とともに顕著な電流および電力密度を提供するSOFCが、今なお必要とされていると思われる。また、SOFCに関し追求されている特性は、800℃未満の温度での運転の可能性である。
【0009】
発明の概要
出願人は、そのような望ましい性能を提供するための要点の一つは、電池を動作させるための3つの機能性、すなわち触媒活性ならびにイオン的および電子的伝導性のアノードにおける均質分布(三相界面)であることを理解した。
【0010】
出願人は、前記問題を、金属部分および電解質セラミック材料部分が実質的に均一に相互分散していて、該金属部分が炭化水素酸化に関し触媒活性を持たないサーメットを含むアノードを伴うSOFCにより解決できることを見いだした。さらに、前記サーメットは高い多孔率を有し、これによりサーメットの体積全体にわたる炭化水素酸化用触媒の均質分布が可能になる。そのような均質分布を考慮すると、サーメットを活性化し、炭化水素燃料を供給したときにアノードを作動させるために、少量の触媒が必要である。
【0011】
したがって、本発明は、カソード、アノード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された少なくとも1つの電解質膜を包含する固体酸化物燃料電池に関し、ここにおいて、前記アノードは、
−金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメット、ここにおいて、前記部分は実質的に均一に相互分散しており、前記金属部分は、1200℃以下の融点を有し、炭化水素酸化用触媒として実質的に不活性であり;前記サーメットは、40%以上の多孔率を有し、20重量%以下の量の炭化水素酸化用触媒により活性化されている、
を含む。
【0012】
本説明および特許請求の範囲において、“実質的に均一に相互分散している”とは、サーメットの部分が、単に互いに重なっているのではなく、サーメットの体積全体において密に混ざっていることを意味する。
【0013】
サーメットの金属部分は、銅、アルミニウム、金、プラセオジム、イッテルビウム、セリウム、およびそれらの合金などの金属から選択することができる。好ましくは、前記金属部分は銅である。
【0014】
金属部分は、500℃を超える融点を有することが好ましい。
【0015】
電解質セラミック材料部分は、650℃において0.01S/cm以上の比導電率を有することが好ましい。例えば、それはドープされたセリアまたはLa1−xSrGa1−yMg3−δ[式中、xおよびyは0〜0.7で構成され、δは化学量論に基づく]である。セリアは、ガドリニア(酸化ガドリニウム)またはサマリア(酸化サマリウム)でドープされていることが好ましい。
【0016】
あるいは、本発明のSOFCのセラミック材料は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)である。
【0017】
本発明のサーメットにおいて、金属部分/セラミック部分の重量比は、9:1〜3:7、好ましくは8:2〜5:5の範囲であることが好ましい。
【0018】
本発明のサーメットは、有利には、約5m/g以下、より好ましくは約2m/g以下の比表面積を有する。
【0019】
本発明に適したサーメットを活性化する触媒は、ニッケル、鉄、コバルト、モリブデン、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、パラジウム、酸化セリウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、チタニア、サマリアをドープしたセリア、ガドリニアをドープしたセリア、ニオビアをドープしたセリア、およびそれらを含む混合物から選択することができる。好ましくは、それは、ニッケル、酸化セリウム、およびそれらを含む混合物から選択される。
【0020】
前記触媒の量は、有利には、約0.5重量%〜約15重量%の範囲であることができる。触媒の量について開示するパーセンテージは、アノードの全重量に関して表したものである。
【0021】
本発明に適した触媒は、有利には、20m/gを超える比表面積、より好ましくは30m/gを超える比表面積を有する。
【0022】
本発明の一態様に従って、本発明の固体酸化物燃料電池のための第1タイプのカソードは、白金、銀もしくは金、またはそれらの混合物などの金属、ならびに酸化プラセオジムなどの希土類元素の酸化物を含む。
【0023】
本発明の他の態様に従って、第2タイプのカソードは、
−La1−xSrMnO3−δ[式中、xおよびyは、独立して、0〜1で構成され極値を包含する値に等しく、δは化学量論に基づく];および
−La1−xSrCo1−yFe3−δ[式中、xおよびyは、独立して、0〜1で構成され極値を包含する値に等しく、δは化学量論に基づく]
から選択されるセラミックを含む。
【0024】
前記第2タイプのカソードはさらに、ドープされたセリアを含むことができる。
【0025】
本発明の他の態様に従って、第3タイプのカソードは、第1および第2タイプのカソードについて上記した材料の組合わせを含む。
【0026】
本発明のSOFCの電解質膜は、サーメットの電解質セラミック材料部分に関連して先に挙げた材料から選択することが好ましい。より好ましくは、電解質膜は、本発明に適したサーメットの電解質セラミック部分と同じ材料を含む。
【0027】
他の観点において、本発明は、エネルギーの生産方法であって、
a)少なくとも1種の炭化水素燃料を、
−金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメットを包含するアノード、ここにおいて、前記部分は実質的に均一に相互分散しており、前記金属部分は、1200℃以下の融点を有し、炭化水素酸化用触媒として実質的に不活性であり;前記サーメットは、40%以上の多孔率を有し、20重量%以下の量の炭化水素酸化用触媒により活性化されている;
−カソード、および
−前記アノードと前記カソードの間に配置されている少なくとも1つの電解質膜、
を含む固体酸化物燃料電池のアノード側に供給する段階;
b)酸化体を前記固体酸化物燃料電池のカソード側に供給する段階;ならびに
c)前記少なくとも1種の燃料を前記固体酸化物燃料電池内で酸化して、エネルギーの生産をもたらす段階、
を含む前記方法に関する。
【0028】
本発明の方法に適した炭化水素燃料は、水存在下にあるかまたは実質的に乾燥しているかのいずれかでガス状の形にあるもの、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、改質ガス、バイオガス、合成ガス、およびそれらの混合物であることができ;または、液体の形にある炭化水素、例えば、ディーゼル燃料、トルエン、灯油、ジェット燃料(JP−4、JP−5、JP−8など)であることができる。
【0029】
炭化水素燃料は、実質的に乾燥していると有利である。“実質的に乾燥している”とは、含水量が10体積%未満であることができることを意図している。本発明に好ましいものは、実質的に乾燥しているメタンである。
【0030】
本発明に従った方法では、炭化水素燃料をアノード側で直接酸化することができる。例えば、メタンの場合、アノードでの反応は以下のとおりである。
【0031】
CH+4O2− → CO+2HO+8e
すでに上記したように、乾燥炭化水素などの乾燥燃料の直接酸化は、アノードの触媒においてコーキング現象(黒鉛繊維の付着)を引き起こし、したがって、その触媒活性を枯渇させる。該現象は、ニッケルを触媒として用いるときにとりわけ報告されている。本発明のアノードの構造は、活性化する触媒が、そのような付着現象による影響を受けることなく効率的に動作するのを可能にする。したがって、本発明の固体酸化物燃料電池は、乾燥燃料の直接酸化により動作することができる。
【0032】
有利には、本発明の固体酸化物燃料電池は、約400℃〜約800℃、より好ましくは約500℃〜約700℃の範囲の温度で作動する。
【0033】
固体酸化物燃料電池を製造するために特殊な耐熱性材料を用いる必要性が省かれる可能性に加えて、本発明で好ましいような低い運転温度により提供される利点は、カソードにおけるNO形成の減少である。そのような望ましくない副生物の形成は、カソード側に供給される空気中に存在する窒素の反応に起因し、そのような反応は、温度の上昇に関連付けられている。
【0034】
本発明に従った固体酸化物燃料電池は実質的に、供給する燃料の選出において多大な柔軟性を示す。炭化水素の他に、それは、アノードに水素または湿潤炭化水素燃料(メタンの場合、一般に1:3メタン/水)を供給して改質燃料を提供することによっても、動作することができる。
【0035】
改質燃料で運転する場合、燃料を、アノード側で内部的に改質することができる。
【0036】
該固体酸化物燃料電池は、当分野で公知の方法で調製することができる。有利には、以下の方法により調製する。
【0037】
他の観点において、本発明は、カソード、アノード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された少なくとも1つの電解質膜を包含する固体酸化物燃料電池であって、
前記アノードが、金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメットを含む、前記固体酸化物燃料電池の調製方法に関し;ここにおいて、前記方法は、
−カソードを提供する段階;
−少なくとも1つの電解質膜を提供する段階;および
−アノードを提供する段階
を含み、ここにおいて、アノードを提供する段階は、
a)金属部分の前駆体を提供する段階、ここにおいて、前記前駆体は、0.2μm〜5μmの範囲の粒径を有する;
b)1μm〜10μmの範囲の粒径を有する電解質セラミック材料を提供する段階;
c)前記前駆体と前記セラミック材料を混合して、出発混合物を提供する段階;
d)前記出発混合物を少なくとも1種の第1分散剤の存在下で加熱および粉砕する段階;
e)少なくとも1種の結合剤と少なくとも1種の第2分散剤を段階d)からの出発混合物に加えて、スラリーを与える段階;
f)スラリーを熱処理してプレサーメットを提供する段階;
g)プレサーメットを還元してサーメットを提供する段階
h)少なくとも1種の炭化水素酸化用触媒をサーメット中に分散させる段階
を包含する。
【0038】
特記しない限り、本説明および特許請求の範囲において、“粒径”とは、物理的分離方法、例えば、本明細書中で以下に示すような沈降天秤法(sedimentography)により決定される平均粒径を意図している。
【0039】
本発明の一態様に従って、段階e)から得られるスラリーを電解質膜上に施用する。
【0040】
本発明の一態様に従って、段階h)は、プレサーメットを触媒の前駆体に含浸しすることを含み、該前駆体は、続いて還元段階g)の間に還元される。
【0041】
本発明の他の一態様に従って、段階h)は、サーメットを触媒の前駆体に含浸することを含み、該前駆体は、続いて追加的還元段階i)の間に還元される。
【0042】
金属部分の前駆体は、すでに上記した金属の酸化物であることが好ましい。例えば、銅の場合、酸化物はCuOまたはCuOであり、後者が好ましい。
【0043】
前記前駆体は、1〜3μmの範囲の粒径を有することが好ましい。
【0044】
セラミック材料は、2〜5μmの範囲の粒径を有することが好ましい。
【0045】
段階d)は、1回より多く達成すると有利である。
【0046】
第1分散剤は、溶媒または溶媒混合物である。それは、極性有機溶媒、例えば、アルコール;ポリオール;エステル;ケトン;エーテル;アミド;ハロゲン化されていてもよい芳香族溶媒、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キシレンおよびトルエン;ハロゲン化されていてもよい溶媒、例えば、クロロホルムおよびジクロロエタン;またはそれらの混合物から選択することが好ましい。それは、出発混合物に対する均質性を確実にする。例を表1に提供する。
【0047】
第2分散剤は、第1分散剤と同一または異なっていることができる。
【0048】
結合剤は、第2分散剤に溶解すると有利である。それは、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、ポリブチルメタクリレート、ロジン(colophony)、エチルセルロースなど極性基を含有するポリマー化合物から選択することが好ましい。結合剤/第2分散剤の混合物の例を表1に提供する。
【0049】
【表1】

【0050】
好ましい結合剤はポリビニルブチラールである。好ましい第1および第2分散剤は、エタノールおよびイソプロパノールである。
【0051】
段階f)は、約700℃〜約1100℃、より好ましくは約900℃〜約1000℃の範囲の温度で実施すると有利である。
【0052】
還元段階g)は、好ましくは約300℃〜約800℃、より好ましくは約400℃〜約600℃の範囲の温度で実施する。
【0053】
水素が好ましい還元剤である。それを、予めアルゴンなどの不活性ガスでコンディショニングしてある還元環境、例えばオーブンに導入すると有利である。水素は、1体積%〜10体積%、好ましくは2体積%〜5体積%の水を含有していると有利である。
【0054】
触媒の前駆体は、その塩であると有利である。
【0055】
さらに他の態様において、本発明は、金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメットであって、前記部分が実質的に均一に相互分散しており、前記金属部分が、1200℃以下の融点を有し、炭化水素酸化用触媒として実質的に不活性であり;前記サーメットが、40%以上の多孔率を有し、20重量%以下の量の炭化水素酸化用触媒により活性化されている、前記サーメットに関連する。
【0056】
好ましい態様の詳細な説明
本発明を、以下の実施例および図に関連してさらに以下で例示する。
【0057】
図1に、固体酸化物燃料電池電力系を概略的に例示する。固体酸化物燃料電池(1)は、アノード(2)、カソード(4)およびそれらの間に配置されている電解質膜(3)を含む。
【0058】
本発明の好ましい態様に従って、実質的に乾燥している燃料をアノード(2)に供給し、ここで直接酸化を達成する。熱はボトミングサイクルで使用することができる一方、直流(DC)の形での電力は、そのようなものとして例えば通信システムに利用することができ、または電力調整器(例示していない)により交流(AC)に変換することができる。
【0059】
アノード(2)からは、未反応燃料および/または反応生成物(1以上)、例えば、水および/または二酸化炭素により構成されることができる流出液が流れる。
【0060】
実施例1
出発材料としてCuO+Ce0.8Sm0.21.9を用いたCu−SDC(54重量%−46重量%)サーメットの調製
A.出発混合物
CuO粉末(“分析的に純粋な”グレード、>99.5%)を、遊星型“サンド”ミルのドラム内で碧玉ボール(jasper ball)を使い、分散剤としてイソプロパノールを用いて粉砕した。ドラムには50gの粉末酸化物、150gのボール、および45mLのイソプロパノールを装入した。手順を、110rpmのドラム速度で30分間実施した。
【0061】
分散剤を100℃のオーブン内で除去した後、粉砕した粉末の比表面積(S)(Sorpty−1750デバイス、Carlo Erba、イタリア、で窒素の低温吸着により決定した)および平均粒径(d)(CP−2遠心沈降天秤(sedimentographer)、Shimadzu、日本、により決定した)を測定し、SCu2O=1.7m/gおよび0〜2.1μmの標準粒径分布でdCu2O=1.8μmであることを見いだした。
【0062】
粉砕したCuOおよびCe0.8Sm0.21.9(SDC)粉末(SSDC=1.9m/gおよびdSDC=3.3μm)を、イソプロパノール存在下の遊星型ミル内で碧玉ボールと一緒に混合した。ドラムの装入材料は、72.4重量%CuO+27.6重量%SDCの粉末混合物25g(18.1gのCuOと6.9gのSDC)、50gのボール、および25mLのイソプロパノールを包含していた。手順を、80rpmの速度で50分間および110rpmで10分間実施した。分散剤を100℃のオーブン内で除去し、CuO−SDC混合物に結合剤としてポリビニルアルコール(PVA)の5重量%水溶液(粉末質量の10重量%)を加えた。直径20mmのペレットを、約30MPaの単位圧力で半乾燥圧縮法(semi-dry compaction)により調製した。
【0063】
熱処理は、800℃において、1.5時間の恒温保持時間で空気を送風して実施した。ペレットを250℃/時間の速度で加熱および冷却した。熱処理後、ペレットの色は褐色から黒に変化した。焼結ペレットの直径収縮および幾何学的密度は、それぞれ1.7%および4.05g/cmであった。
【0064】
該ペレットを碧玉乳鉢内で破壊して、サイズにおいて≦1.25mmの粒子を得た。該粗粒粉末を、イソプロピルアルコール存在下の遊星型“サンド”ミル内で碧玉ボールを用いて粉砕した。ミルドラムの装入材料は、それらの体積の2/3を超えていなかった。粉末/分散剤の比率は〜1:0.95で維持した。粉砕条件は、1:3の粉末/ボール比、n(粉砕速度)=110rpm、粉砕時間=45分であった。得られた粉末について、平均表面積S=2.9m/gおよび平均粒径(d)=2.7μmを測定した。該粉末を用いてスラリーを調製した。
【0065】
B.スラリー
A.の粉末混合物を、遊星型“サンド”ミルのドラム内で碧玉ボールを用いて粉砕した。ポリビニルブチラール(PVB)を結合剤として用い、エタノールを分散剤として用いた。装入材料は、20gの粉末混合物、エタノール中のPVBの5重量%溶液8mL、および15mLのエチルアルコールを包含していた。粉末20gにつき直径14mmの碧玉ボールを4個入れた。装入材料を80rpmの速度で30分間混合した。得られたスラリーを、分散剤の蒸発を防止するために密なカバーを取り付けてある容器に注入した。
【0066】
C.プレサーメット。
【0067】
B.のスラリーを、撹拌しつつSDC電解質膜(厚さ1.82mm)上に刷毛塗りした。16±4mg/cm(厚さ65±5μmに相当)の量を、3回の刷毛塗りで、その間に温風噴射で乾燥することより施用した。
【0068】
その後、スラリー/電解質膜アセンブリを、以下の条件下、1050℃の空気中で加熱した:20〜500℃の区間では200℃/時間の速度、500℃から実験温度までの区間では250℃/時間の速度で加熱する。該アセンブリを、最終温度において2時間にわたり恒温条件下で保持した後、200℃/時間の速度で冷却して、プレサーメット/電解質膜アセンブリを提供した。
【0069】
プレサーメット/電解質膜アセンブリ中のプレサーメットの最終厚さは42μmで、厚さの収縮は38.7%であり、プレサーメット層の良好な焼結を示していた。
【0070】
施用したスラリーとプレサーメットの密度を質量および幾何学的寸法から算出すると、それぞれ設計密度の45%および64%の割合を占めた。したがって、プレサーメットの多孔率は約36%であった。
【0071】
多孔率の値は、水銀圧入法によっても評価した。プレサーメット材料を、SDC電解質のプレート10枚の上に、0.448gの全質量まで付着させた。実験はPA−3M水銀圧入装置で実施し、プレサーメット材料1gについて標準化した体積は0.0776cmであった。その後、体積多孔率を以下の方程式から算出した:
【0072】
【数1】

【0073】
式中、mCuOxおよびmSDCはプレサーメット中の相の相対的重量を示し、dCuOxおよびdSDCはCuO相(6g/cm)およびSDC相(7.13g/cm)の具体的密度を示す。
【0074】
測定された体積多孔率は34±3%であり、これは質量および幾何学的値から概算した多孔率に一致する。細孔の平均サイズは1μmと思われる。
【0075】
D.プレサーメットからサーメットへの還元。
【0076】
室温まで冷却後、C.のプレサーメット/電解質膜アセンブリのプレサーメットを500℃の温度で還元した(200℃/時間の速度で)。オーブンをアルゴン(3体積%HO)でコンディショニングした後、アルゴンを置換するために水素(3体積%HO)を導入し、40分間保持した。
【0077】
E.Cu−SDCサーメットの形態学的特性決定。
【0078】
Cu−SDCサーメットの形態学的特性決定を、走査型電子顕微鏡(JSM−5900LV)を用いて達成した。図3aおよび3bは、それぞれ二次電子放出モード(図3a)および後方散乱モード(図3b)におけるアノードの外側表面の顕微鏡写真2枚を示している。これら2枚の写真から、両方の相(CuおよびSDC)を密に混合し均質に分散させたサーメットは、多孔質構造を有することを理解することができる。
【0079】
金属銅は水銀と一緒にアマルガムを形成するので、上記方法はサーメットの多孔率を決定するために用いることができない。サーメットの多孔率は、以下を考慮して算出した:
a)サーメットの体積は還元工程により変化しない(Vpre−cermet(ox)=Vcermet(red)
b)SDC電解質相の体積は還元工程により変化しない(VSDC(ox)=VSDC(red)
c)サーメットの多孔率の還元による変動は、銅含有相の体積の変動に起因し、以下の関係(2)を適用することができる:
【0080】
【数2】

【0081】
式中、Δmは銅と酸化銅との質量差であり、dCuOxおよびdCuはそれぞれ酸化銅CuO(6g/cm)および金属銅(8.9g/cm)の密度である。
【0082】
酸化されたサーメット(還元前のサーメット)1gを考慮すると、その体積Vpre−cermet(ox)は
【0083】
【数3】

【0084】
または
【0085】
【数4】

【0086】
[式中、mSDCおよびmCuOxは、サーメット中の両相の質量である]により与えられる。Vpore(ox)=0.36Vpre−cermet(ox)(細孔分布測定に基づく)であるため、方程式(4)は
【0087】
【数5】

【0088】
と書き換えることができ、Vpre−cermet(ox)について算出される値は0.249cmである。
【0089】
還元されたサーメットの細孔容積Vpore(red)は
【0090】
【数6】

【0091】
により与えられ、0.143cmに等しいため、サーメットの最終多孔率Vpore(red)/Vcermet(red)は55%であった。
【0092】
比表面積は窒素BET法(Sorpty 1750,Carlo Erba Strumentazione,イタリア)により決定し、1.6m/gという結果であった。
F.Cu−SDCサーメットの電気抵抗の測定。
【0093】
該サーメットの層抵抗(層の主軸に沿って測定する)を、EC−1286デバイス(Solartron Schlumberger)を用いてdc4点プローブ法により測定した。該サーメットは、1×1cmの表面を有し、厚さ42μmであった。電流および電位プローブは白金ワイヤ製であった。
【0094】
以下の手順を用いた。プレサーメット層からサーメットへの還元後、試料をさらに、水素(3体積%HO)中、200℃/時間の速度で最高700℃に加熱した。その温度を2時間維持した後、抵抗の逐次測定を行い、サーメットアノードの安定性を確認した。試料を、100℃/時間の速度および10分間のステップ時間(step time)で50℃のステップにより500℃まで冷却し、各傾斜でその抵抗を測定した。最後に、試料を200℃/時間の速度で室温まで冷却し、その抵抗を再び測定した。
【0095】
結果を図2に示す。該サーメットは、温度に伴い抵抗が増大する金属的挙動を有する。これは、該サーメット全体にわたる金属相の均質分布と置き換えられる(read for)。
【0096】
1×1cmのサイズおよび0.004cmの厚さのアノードの縦方向に沿った電気抵抗は、20〜700℃の温度において6.3mΩ〜21.0mΩに変化する。結果を以下の表2で説明する。
【0097】
実施例2
CuOおよびSDC出発材料を用いたCu−SDC(70重量%−30重量%)サーメットの調製および特性決定
CuO(15g)およびSDC(6.37g)を出発材料として、実施例1に記載したものと同じ調製手順を用いた。粉砕したCuOは、0.9m/gの全比表面積(S)と、標準粒径分布0〜20μmで3.4μmの平均粒径(d)を有していた。
【0098】
同量のスラリー(16±4mg/cm)をSDC電解質上に付着させ、1050℃での熱処理後のプレサーメットの最終厚さは39μmであった;厚さの収縮は33.7%で、電極構造体の良好な焼結を示していた。
【0099】
プレサーメットの最終厚さは43.6μmであり、厚さの収縮は32.5%で、該構造体の良好な焼結を示していた。
【0100】
還元前のプレサーメットの多孔率は36%であり、還元後は54.4%であった。
【0101】
サーメットに沿った電気抵抗を実施例1に従って測定した。測定値(20℃で5.8mΩおよび700℃で23.0mΩ)は、表2で説明するように、燃料電池に用いられるアノードに関する要件に従っていた。
【0102】
【表2】

【0103】
実施例3
SDCでのCu−SDCサーメットの活性化
実施例1に従って調製したCu−SDCサーメットを、SDC酸化物材料に含浸することにより活性化した。還元状態にあるCu−SDCサーメットを、ベンゼン中のCe(OCOC(CHおよびSm(OCOC(CH(2,2−ジメチル−ヘキサン酸セリウムおよびサマリウム)の溶液(4g/100mL)に含浸した。濾紙を用いて、サーメット表面から余剰溶液を除去した。サーメットを、3回にわたり含浸し、乾燥し、熱処理(400℃)した。その後、活性化したサーメットを、H(3体積%の水)中、200℃/hの速度で最高650℃に加熱すると、付着したSDCの全量は0.27mg(6重量%)であった。SDC相の比表面積は56.2m/gであった。
【0104】
実施例4
CeOでのCu−SDCサーメットの活性化
実施例2に従って調製したCu−SDCサーメットを、CeOに含浸することにより活性化した。還元状態にあるCu−SDCサーメットを、水中のCe(NOの溶液(140g/100mL)に含浸した。濾紙を用いて、サーメット表面から余剰溶液を除去した。サーメットを、2回にわたり含浸し、乾燥し、熱処理(400℃)した。その後、活性化したサーメットを、H(3体積%の水)中、100℃/hの速度で最高650℃に加熱すると、付着したCeOの全量は8.42mg(15.4重量%)であった。比表面積を窒素BET法(Sorpty 1750,Carlo Erba Strumentazione,イタリア)により決定すると、CeOについて39.4m/gという結果であった。
【0105】
実施例5
Ni+CGOでのCu−SDCサーメットの活性化
実施例2に従って調製したCu−SDCサーメットを、Ni(70重量%)とCGO(Ce0.8Gd0.21.9;30重量%)の混合物で活性化した。還元状態にあるCu−SDCサーメットを、C中のM(OCOC(CH[式中、M=Ce、GdおよびNi、xは化学量論に基づく]の4g/100mLの溶液(3.29gのNi前駆体、0.67gのCe前駆体および0.04gのGd前駆体)に含浸した。濾紙を用いて、サーメットの表面から余剰溶液を除去した。サーメットを、3回にわたり含浸し、乾燥し、熱処理(400℃)した。活性化したサーメットを、H(3体積%の水)中、200℃/hの速度で最高650℃に加熱した。付着した活性剤の全量は0.1mg(2重量%)であった。活性剤の比表面積は135m/gであった。
【0106】
実施例6
CeO+NiでのCu−SDCサーメットの活性化
実施例2に従って調製したCu−SDCサーメットを、CeOとNiで活性化した。最初に、還元状態にあるCu−SDCサーメットを、水中のCe(NOの溶液(140g/100mL HO)に含浸した。濾紙を用いて、サーメットの表面から余剰溶液を除去した。サーメットを、含浸し、乾燥し、熱処理(500℃)した。その後、活性化したサーメットを、水中のNi(NOの溶液(167.5g/100mL HO)に含浸した。濾紙を用いて、サーメットの表面から余剰溶液を除去した。サーメットを、含浸し、乾燥し、熱処理(500℃)した。得られた活性化サーメットを乾燥し、H(3体積%の水)中、100℃/hの速度で最高500℃に加熱した。付着した活性剤の全量は、0.45mgのCeOおよび0.1mgのNi(それぞれ9重量%および2重量%)であった。
【0107】
最初にCeOについて、続いてNiについての比表面積を、窒素BET法(Sorpty 1750,Carlo Erba Strumentazione,イタリア)により決定した。CeOは39.4m/gの比表面積を示し、Niは84.6m/gの比表面積を示した。
【0108】
実施例7
Ni−CeOで活性化したCu−SDCサーメットを含むアノードを伴う固体酸化物燃料電池の評価
CH/空気の条件下での電気化学的測定を以下のように達成した。
【0109】
図4に基づくような三電極セル(5)を用いた。セルは、アノード(6)、電解質膜(7)およびカソード(4)を含んでいた。アノード(6)および電解質膜(7)は円盤形をしたアノード/電解質膜アセンブリ(φ=12mm)であり、ここにおいて、アノード層は表題に基づくようなものであり、電解質膜はSDCであった。微細なPt+PrOペーストを、アノード(6)に接触している表面と反対側の電解質膜(7)の表面上にカソード(8)として塗布した(SU発明証書第1.786.965号)。アノード(6)およびカソード(8)はそれぞれ約0.3cmの面積を有していた。参照電極(9)は、電解質膜(7)の外周上にあり白金コイルでできていた。三電極セルを、二酸化ジルコニウム管(10)の縁に対するばね加重により加圧した。
【0110】
メタン燃料ガス(3体積%HO、VCH4〜2−5L/時間)を、二酸化ジルコニウム管(10)の内側に位置決めされたアルミナ管(11)に通してアノードに供給した。カソード側には空気を吹き付けた(v=6L/時間)。燃焼したアノードサーメットの組成を、固体電解質酸素センサー(12)により決定した。セルの温度は、クロメル−アルメル熱電対(13)により測定した。
【0111】
電極の過電圧および電解質におけるオーム電圧(ohmic voltage)を、電流遮断法により静的状態(定電流モード)下で決定した。電流を遮断するエッジ(current interruption edge)の長さは0.3μsを超えていなかった。セルのオフ電流状態の時間は〜0.3ms(ミリ秒)であった。遮断パルス(オフ/オン)の相対的持続時間は≦1/1540であった。
【0112】
測定装置は以下の計器を包含していた:
−万能デジタル式電圧計 タイプB7−39(正確度0.02%クラス);
−万能デジタル式オシログラフ タイプC9−8(正確度1.5%クラス);
−dc電源 タイプVIP−009;
−リレースイッチユニット タイプRSD−725;
−プログラム式温度調節器 タイプTP−403;
−IBM PC286 AT パーソナルコンピューター;
−ガス流量調整器 タイプSRG−23。
【0113】
計器とコンピューターは、COPインターフェースバス(IEEE−488)を介して連絡させた。
【0114】
以下の測定手順を用いた。メタン(3体積%HO)を2L/時間で流し、セルを200℃/時間の速度で700℃の温度まで加熱した。セル(5)をそのまま0.5時間放置した後、その分極特性を測定した。測定は、700℃〜500℃で温度を下げつつ行った。特性の時間安定性を確かめるために、測定を700℃で繰り返した。セルの安定性が確認された。
【0115】
Ni−CeOで活性化したCu−SDCサーメット(実施例6)をアノードとして、分極測定について試験した。図4は、3つの異なる温度547℃、595℃および646℃においてメタン(3%HO、VCH4=2.7L/h)下で記録した分極曲線を例示している。サーメットNi+CeOは、メタン酸化において顕著な活性を有するアノードを提供する。例えば、646℃では、50mVの分極は0.38A/cmの電流密度に対応する。
【0116】
図5は、596、645および696℃でCH/空気を供給した、上記のようなアノード、厚さ0.0250cmのSDC電解質膜およびPt+PrO2−xカソードを伴う単一の燃料電池セルの電位および電力密度の特性性能を電流密度の関数として示している。測定したOCV電圧(UOC)は0.9Vに近い。ネルンスト式による予測値(800℃で約1.0V)を考慮すると、得られたOCV電圧は、メタンが効率的に酸化されていることを示している。696℃において、0.24W/cmの最大電力密度が0.45A/cmで測定された。
【0117】
実施例8
[Ni+CeO]+MoOで活性化したCu−SDCサーメットを伴う固体酸化物燃料電池
Ni−CeOで活性化したCu−SDCサーメット(実施例6)を、実施例6の手順に続き、(NHMo24・4HO水溶液に(4.14g/100mL、pH=7〜8)でさらに含浸した。MoO(MoOとMoOの混合物)の量は0.07mgで、活性化材料の全質量の11重量%(全アノード質量の約1重量%)に相当していた。
【0118】
図7は、3つの異なる温度599、648および698℃におけるMoO+Ni+CeOで活性化した前記Cu−SDCサーメットに基づくアノードの分極曲線を示している。この図から、該アノードはメタン酸化に対し活性であり、698℃では、50mVのアノード分極が0.37A/cmの電力密度に相当することがわかる。
【0119】
図8は、600、645および700℃でCHを供給した燃料電池セルMoO+Ni+CeO−(Cu−SDC)/SDC/Pt+PrO2−xの特性性能を示している。電解質は厚さ0.0560cmであった。測定したOCV電圧(UOC)は0.9Vに近く、700℃において0.120W/cmの最大電力密度が0.21A/cmで測定された。
【0120】
活性化したアノードの安定性をCH雰囲気中で試験した。図9は、CH+3%HO混合物中25h後(□)および46h後(○)、ならびにCH+3%HO雰囲気中さらに7h後(△)にCH/空気燃料電池中で記録したアノード分極曲線を例示している。最初の非活性化後、アノードの応答は時間において安定であることを理解することができる。
【0121】
以下の表3に、CHを供給した本発明に従った固体酸化物燃料電池とC10を供給した従来技術の固体酸化物燃料電池の電気化学的性能の比較を提供する。
【0122】
【表3】

【0123】
従来技術のSOFCは、既に上記したようにCHより酸化に対する反応性が高いことが知られているC10下で試験したという事実にもかかわらず、その電気化学的性能は本発明に従ったSOFCの性能より劇的に低い。一部の例で適用した異なる温度は、ΔTがちょうど50℃であるかそれより小さいため、この性能格差を判断する際に主要な要因として考えることはできない。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】燃料電池電力系を概略的に例示する図である。
【図2】本発明に適したCu−SDCサーメットの温度に関する電気抵抗の変動を示す図である。
【図3−a】二次電子放出モードにおけるCu−SDCサーメットの顕微鏡写真である。
【図3−b】後方散乱モードにおけるCu−SDCサーメットの顕微鏡写真である。
【図4】本発明の固体酸化物燃料電池を試験するための実験装置を示す図である。
【図5】547、595および646℃でCHを供給した、CeO+Niで活性化したCu−SDCアノードのアノード分極曲線を示す図である。
【図6】596、645および696℃でCHを供給した燃料電池における電池電位および電力密度を電流密度の関数として示す図である。
【図7】599、648および698℃でCHを供給した、CeO+Ni+MoOで活性化したCu−SDCアノードのアノード分極曲線を示す図である。
【図8】600、645および700℃でCHを供給したSOFC MoO+Ni+CeO−(Cu−SDC)/SDC/Pt+PrO2−xの性能を示す図である。
【図9】CH/空気燃料電池におけるMoOx+Ni+CeOで活性化したCu−SDCサーメットのCH+3%HO混合物中25h後(□)および46h後(○)、ならびにCH+3%HO雰囲気中さらに7h後(△)のアノード分極曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード、アノード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された少なくとも1つの電解質膜を包含する固体酸化物燃料電池であって、前記アノードが、
金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメット、ここにおいて、前記部分は実質的に均一に相互分散しており、前記金属部分は、1200℃以下の融点を有し、炭化水素酸化用触媒として実質的に不活性であり;前記サーメットは、40%以上の多孔率を有し、20重量%以下の量の炭化水素酸化用触媒により活性化されている、
を含む、前記固体酸化物燃料電池。
【請求項2】
金属部分が、銅、アルミニウム、金、プラセオジム、イッテルビウム、セリウム、およびそれらの合金などの金属から選択される、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項3】
金属部分が銅である、請求項2に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項4】
金属部分が500℃を超える融点を有する、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項5】
サーメット中の金属部分/セラミック部分の重量比が9:1〜3:7の範囲である、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項6】
サーメット中の金属部分/セラミック部分の重量比が8:2〜5:5の範囲である、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項7】
セラミック材料が、650℃において0.01S/cm以上の比導電率を有する、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項8】
セラミック材料が、ドープされたセリアおよびLa1−xSrGa1−yMg3−δ[式中、xおよびyは0〜0.7で構成され、δは化学量論に基づく]から選択される、請求項8に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項9】
セリアがガドリニアまたはサマリアでドープされている、請求項7に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項10】
セラミック材料がイットリア安定化ジルコニアである、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項11】
サーメットが5m/g以下の比表面積を有する、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項12】
サーメットが2m/g以下の比表面積を有する、請求項11に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項13】
前記触媒が、ニッケル、鉄、コバルト、モリブデン、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、パラジウム、酸化セリウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、チタニア、サマリアをドープしたセリア、ガドリニアをドープしたセリア、ニオビアをドープしたセリア、およびそれらを含む混合物から選択される、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項14】
前記触媒が、ニッケル、酸化セリウム、およびそれらを含む混合物から選択される、請求項13に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項15】
前記触媒が0.5重量%〜15重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項16】
前記触媒が20m/gを超える比表面積を有する、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項17】
前記触媒が30m/gを超える比表面積を有する、請求項16に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項18】
カソードが、白金、銀、金およびそれらの混合物から選択される金属、ならびに希土類元素の酸化物を含む、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項19】
カソードが、
La1−xSrMnO3−δ[式中、xおよびyは、独立して、0〜1の値に等しく、δは化学量論に基づく];および
La1−xSrCo1−yFe3−δ[式中、xおよびyは、独立して、0〜1の値に等しく、δは化学量論に基づく]
から選択されるセラミックを含む、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項20】
カソードが、ドープされたセリアを含む、請求項18に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項21】
カソードが、請求項18および19に基づくもののような材料の組合わせを含む、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項22】
電解質膜が、イットリア安定化ジルコニア、La1−xSrGa1−yMg3−δ[式中、xおよびyは0〜0.7で構成され、δは化学量論に基づく]、およびドープされたセリアから選択される、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項23】
電解質膜がサーメットの電解質セラミック部分と同じ材料を含む、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項24】
a)少なくとも1種の炭化水素燃料を、
金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメットを含むアノード、ここにおいて、前記部分は実質的に均一に相互分散しており、前記金属部分は、1200℃以下の融点を有し、炭化水素酸化用触媒として実質的に不活性であり;前記サーメットは、40%以上の多孔率を有し、20重量%以下の量の炭化水素酸化用触媒により活性化されている;
カソード、および
前記アノードと前記カソードの間に配置されている少なくとも1つの電解質膜、
を包含する固体酸化物燃料電池のアノード側に供給する段階;
b)酸化体を前記固体酸化物燃料電池のカソード側に供給する段階;ならびに
c)前記少なくとも1種の燃料を前記固体酸化物燃料電池内で酸化して、エネルギーの生産をもたらす段階、
を含む、エネルギーの生産方法。
【請求項25】
炭化水素燃料が実質的に乾燥している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
炭化水素燃料がメタンである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
炭化水素燃料をアノード側で直接酸化する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
炭化水素燃料をアノード側で内部的に改質する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
固体酸化物燃料電池が400℃〜800℃の範囲の温度で作動する、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
固体酸化物燃料電池が500℃〜700℃の範囲の温度で作動する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
カソード、アノード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された少なくとも1つの電解質膜を包含する固体酸化物燃料電池であって、前記アノードが、金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメットを含む、前記固体酸化物燃料電池の調製方法;ここにおいて、前記方法は、
カソードを提供する段階;
少なくとも1つの電解質膜を提供する段階;および
アノードを提供する段階
を含み、ここにおいて、アノードを提供する段階は、
a)金属部分の前駆体を提供する段階、ここにおいて、前記前駆体は、0.2μm〜5μmの範囲の粒径を有する;
b)1μm〜10μmの範囲の粒径を有する電解質セラミック材料を提供する段階;
c)前記前駆体と前記セラミック材料を混合して、出発混合物を提供する段階;
d)前記出発混合物を少なくとも1種の第1分散剤の存在下で加熱および粉砕する段階;
e)少なくとも1種の結合剤と少なくとも1種の第2分散剤を段階d)からの出発混合物に加えて、スラリーを与える段階;
f)スラリーを熱処理してプレサーメットを提供する段階;
g)プレサーメットを還元してサーメットを提供する段階
h)少なくとも1種の炭化水素酸化用触媒をサーメット中に分散させる段階
を包含する。
【請求項32】
段階e)から得られるスラリーを電解質膜上に施用する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
段階h)が、プレサーメットを触媒の前駆体に含浸することを含み、該前駆体が、続いて還元段階g)の間に還元される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
段階h)が、サーメットを触媒の前駆体に含浸することを含み、該前駆体が、続いて追加的還元段階i)の間に還元される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
金属部分の前駆体が酸化物である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
酸化物が酸化銅である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
酸化物がCuOである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前駆体が1〜3μmの範囲の粒径を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
セラミック材料が2〜5μmの範囲の粒径を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
段階d)を1回より多く実施する、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1種の第1および第2分散剤がエタノールおよびイソプロパノールから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1種の第1分散剤が少なくとも1種の第2分散剤と同一である、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
結合剤が少なくとも1種の第2分散剤に溶解する、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
結合剤がポリビニルブチラールである、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
段階f)を700℃〜1100℃の範囲の温度で実施する、請求項31に記載の方法。
【請求項46】
段階f)を900℃〜1000℃の範囲の温度で実施する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
段階g)を300℃〜800℃の範囲の温度で実施する、請求項31に記載の方法。
【請求項48】
段階g)を400℃〜600℃の範囲の温度で実施する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
段階g)を、1体積%〜10体積%の水を含有する水素で実施する、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
水素が2体積%〜5体積%の水を含有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
金属部分と電解質セラミック材料部分とを包含するサーメットであって、前記部分が実質的に均一に相互分散しており、前記金属部分が、1200℃以下の融点を有し、炭化水素酸化用触媒として実質的に不活性であり;前記サーメットが、40%以上の多孔率を有し、20重量%以下の量の炭化水素酸化用触媒により活性化されている、前記サーメット。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−524188(P2007−524188A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512696(P2005−512696)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014999
【国際公開番号】WO2005/064717
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503437727)ピレリ・アンド・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (35)
【Fターム(参考)】