説明

固定子の検査装置

【課題】固定子に対する各種検査を行う前及び行った後における作業を簡素化すること。
【解決手段】非導電性材料からなるベースに、導電性材料からなる一対の挟持部材を端部間に所定の間隙を設けた状態で固定し、固定子鉄心に巻回したU相,V相,W相の各巻線における一方の引出し線を一括して挿入・挟持させることにより各引出し線を電気的に接続して中性点を形成する中性点形成手段と、それぞれが導通刃体を具備する導電性材料からなる固定部材、固定部材に対し回動自在に枢支したL字状の可動部材、可動部材を常時固定部材の導通刃体側へ押圧・付勢するばね部材、及び固定部材に具備した導通刃体の端部と固定部材に枢支される可動部材との間に所定の間隙を形成する調整部材を備えてクリップ状に構成され、各巻線の他方の引出し線が個別に挿入・挟持される3個の挟持手段と、各挟持手段とリード線を介して電気的に接続される検査手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子に対する各種検査(例えば、絶縁耐圧及び絶縁抵抗に関する検査やレア試験等)を行うための検査装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機に使用される固定子として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。即ち、前記固定子は、継鉄部内周に複数のティースを設けた固定子鉄心と、前記固定子鉄心の外周及びティースの先端を除くほぼ全域に合成樹脂を射出成形等することにより形成したインシュレータと、前記固定子鉄心の所要のティースにインシュレータを介してコイル素線(例えば、エナメル線)を所要相数分巻回して形成した巻線とを備え、前記各相の巻線における巻終り側の引出し線及び巻始め側の引出し線を、前記固定子鉄心上に配置されるプリント基板に、該プリント基板に植設した端子部材を介して個別に接続することにより構成されている。なお、このとき、前記巻終り側の各引出し線が接続される各端子部材は、プリント基板に形成した同一の回路パターンに接続されており(即ち、各端子部材は回路パターンを介して接続され、中性点を形成している)、また、前記巻始め側の各引出し線が接続される各端子部材は、プリント基板に形成した個別の回路パターンにそれぞれ接続されている結果、前記巻線はスター結線された状態となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−20851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように構成した固定子に対する各種検査(例えば、絶縁耐圧及び絶縁抵抗に関する検査やレア試験等)を行う場合、前記固定子には通常の印加電圧よりも高い電圧(例えば、500〜2000V程度の高電圧)が印加される関係上、例えば、プリント基板に回転子の回転位置を検出するホール素子等の電子部品が実装されているような場合には、前記高電圧によりホール素子等の電子部品が損傷する等といった重大な問題が発生するおそれがある。このため、この種の固定子に対する各種検査は、引出し線をプリント基板に植設した端子部材に接続する前に行われることが多い。
【0005】
然るに、前記のように引出し線をプリント基板に植設した端子部材に接続する前に各種検査を行う場合には、例えば、巻終り側の各引出し線の先端部を捩り合わせ、かつ、半田あげ等を行って結線することにより中性点を形成するとともに、巻始め側の各引出し線の先端部を、該先端部に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)を半田あげ等を行うことにより加熱して剥離した後、検査装置にリード線等を介して各相毎に接続されているクリップ部材に個別に挟持させ、この状態で固定子に対する各種検査を行うようにしていたので、検査を行う前における準備工程に多くの手間と時間を要し、非常に面倒であった。
【0006】
また、前記の状態で固定子に対する各種検査を行った後、各引出し線をプリント基板に植設した端子部材に対し個別に接続する場合、巻終り側の各引出し線は、その先端部を捩り合わせ、かつ、半田あげ等を行って結線することにより中性点が形成されており、このままの状態では端子部材への接続作業等に支障をきたすため、前記結線された先端部をニッパ等の工具を用いて切断し、巻終り側の各引出し線を1本ずつに分割した(切離した)状態で端子部材に接続しなければならず、更に、巻始め側の各引出し線は、その先端部の絶縁被膜(エナメル被膜)を剥離するために半田あげ等を行うことにより半田等が付着しており、このままの状態では端子部材に接続することが困難であるため、前記先端部をニッパ等の工具を用いて切断し、半田等が付着している部分を除去した状態で端子部材に接続していたので、固定子に対する各種検査を行った後も、前記各引出し線をプリント基板に植設した端子部材に対し個別に接続するために種々の作業が必要となり、非常に面倒であった。
【0007】
本発明は、前記種々の問題点に鑑み、固定子に対する各種検査を行う前及び行った後における作業を簡素化することが可能な固定子の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、固定子鉄心に巻回したU相,V相,W相の各巻線における一方の引出し線を一括して挿入・挟持させることにより、前記各引出し線を電気的に接続して中性点を形成する中性点形成手段と、前記U相,V相,W相の各巻線における他方の引出し線が個別に挿入・挟持される3個の挟持手段と、前記各挟持手段とリード線を介して電気的に接続される検査手段とを備え、前記中性点形成手段は、合成樹脂等の非導電性材料からなるベースに、導電性材料からなる一対の挟持部材を、その尖鋭状となした端部同士を相対向させ、かつ、前記端部間に所定の間隙を設けた状態で固定して構成するとともに、前記挟持手段は、端部を尖鋭状となした導通刃体を具備する導電性材料からなる固定部材と、前記固定部材に対し枢支軸を用いて回動自在に枢支したL字状の可動部材と、前記可動部材を常時固定部材の導通刃体側へ押圧・付勢するばね部材と、前記固定部材に具備した導通刃体の尖鋭状の端部と該固定部材に枢支される可動部材との間に所定の間隙を形成する調整部材とを備えてクリップ状に構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の固定子の検査装置において、前記一対の挟持部材は、その尖鋭状の端部間に設けた間隙を、該間隙に挿入・挟持される引出し線の線径に対応して適宜変更することが可能な状態でベースに固定し、前記間隙を前記引出し線の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の固定子の検査装置において、前記一対の挟持部材は、その尖鋭状の端部の上端側が面取りされていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の固定子の検査装置において、前記固定部材は、一方の端部を尖鋭状となした薄板状の導通刃体を、固定座の上端面に凹設した嵌合溝に、その尖鋭状の端部を可動部材側へ所定寸法突出させた状態で嵌着し、かつ、前記固定座と該固定座に締着・固定される固定板との間に挟持させて構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1または4記載の固定子の検査装置において、前記調整部材は、固定部材に進退可能に螺着し、かつ、その先端部を可動部材と当接させ、その進退動作によって前記固定部材に具備した導通刃体と、該固定部材に枢支される可動部材との間に形成される間隙を、該間隙に挿入・挟持される引出し線の線径に対応して、該引出し線の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、固定子鉄心に巻回したU相,V相,W相の各巻線における一方の引出し線を、中性点形成手段の一対の挟持部材における尖鋭状の端部間に一括して挿入・挟持させることにより、前記各引出し線の外周に形成されている絶縁被膜を一対の挟持部材との摺接によって剥ぎ取った状態で、前記各引出し線を一対の挟持部材を介して電気的に接続して中性点を形成するとともに、固定子鉄心に巻回したU相,V相,W相の各巻線における他方の引出し線を、挟持手段の固定部材に具備した導通刃体と、該固定部材に回動自在に枢支した可動部材との間に個別に挿入・挟持させることにより、前記各引出し線の外周に形成されている絶縁被膜を導通刃体により突き破った状態で、前記各引出し線と導通刃体とを接触させ、かつ、前記導通刃体→固定部材→前記固定部材に接続したリード線を介して検査手段と電気的に接続するようにしたので、固定子に対する各種検査を行う場合に、各相の巻線における一方の引出し線の先端部を捩り合わせ、かつ、半田あげ等を行って結線することにより中性点を形成したり、各相の巻線における他方の引出し線の先端部に形成されている絶縁被膜を、半田あげ等を行うことにより剥離したりする作業を行う必要が全くないため、前記固定子に対する各種検査を行う前及び行った後における各種作業を簡略化して迅速・容易に行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、中性点形成手段を構成する一対の挟持部材における尖鋭状の端部間に設けた間隙は、前記間隙に挿入・挟持される各相の巻線における一方の引出し線の線径に対応して、該引出し線の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定することができるので、前記引出し線は、尖鋭状の端部間に切断されることなく挿入されるとともに、挿入時に尖鋭状の端部と摺接することにより、該尖鋭状の端部と摺接する部位の外周に形成されている絶縁被膜を確実に剥離した(剥ぎ取った)状態で、前記尖鋭状の端部間に挟持させることが可能となる結果、前記各引出し線を一対の挟持部材を介して電気的に接続して、簡易に中性点を形成することができる。また、前記中性点形成手段は、引出し線の線径に対応して複数用意する必要がないため利便である。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、中性点形成手段を構成する一対の挟持部材は、その尖鋭状の端部の上端側が面取りされているので、各相の巻線における一方の引出し線は、前記尖鋭状の端部の上端側に引っ掛かったり切断等されたりすることなく、円滑・迅速に一対の挟持部材間に挿入・挟持させることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、挟持手段を構成する固定部材は、一方の端部を尖鋭状となした薄板状の導通刃体を、固定座の上端面に凹設した嵌合溝に、その尖鋭状の端部を可動部材側へ所定寸法突出させた状態で嵌着し、かつ、前記固定座と該固定座に締着・固定される固定板との間に挟持させて構成されているので、前記導通刃体が各相の巻線における他方の引出し線と繰り返し接触することにより、経年の間に欠損・摩耗等した場合でも、前記固定座と固定板とによる挟持を解除することで、前記導通刃体のみを容易に交換することが可能となり、非常に利便である。また、前記導通刃体は、固定座の上端面に凹設した嵌合溝に嵌着した状態で、前記固定座と固定板との間に挟持されているので、前記各引出し線を可動部材との間で挟持する際に、前記導通刃体が揺動するようなことは全くなく、常に可動部材と正対させた状態で各引出し線を挟持させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、固定部材に具備した導通刃体の尖鋭状の端部と、該固定部材に枢支される可動部材との間に形成される間隙は、調整部材により前記間隙に挿入・挟持される引出し線の線径に対応して、該引出し線の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定・調整することができるので、前記導通刃体の尖鋭状の端部と可動部材との間に挿入された引出し線が、ばね部材の付勢力を利用して可動部材により導通刃体側へ押圧・挟持されても、前記導通刃体は、引出し線の外周に形成されている絶縁被膜を突き破って前記引出し線と接触するだけであるため、前記引出し線が導通刃体によって切断されるのを確実に防ぐことができる。また、挟持手段は、前記調整部材を具備したことにより、引出し線の線径に対応して複数用意する必要がないため利便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図10を参照しながら説明する。はじめに、図1は本発明における固定子の検査装置を使用して各種検査を行う場合の一例を示す概略的な結線図である。図1において、1は固定子を示し、この固定子1は、継鉄部の内周側に複数のティース2a(図1では12個)を等間隔で設けた固定子鉄心2と、前記固定子鉄心2の外周及びティース2aの先端を除くほぼ全域に合成樹脂を射出成形等することにより形成したインシュレータ3と、前記固定子鉄心2に設けた所要のティース2aにインシュレータ3を介してコイル素線(例えば、エナメル線)を所要回数巻回することにより形成したU相,V相,W相の各巻線4u,4v,4wとを備えて構成されている。
【0019】
なお、前記固定子1には、該固定子1を構成する各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線(例えば、巻終り側の引出し線)4u1〜4w1及び他方の引出し線(例えば、巻始め側の引出し線)4u2〜4w2が接続される端子部材等を設けたプリント基板も具備されるが、前記固定子1に対する各種検査は、前記各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線4u1〜4w1及び他方の引出し線4u2〜4w2をプリント基板の端子部材に接続する前に行われるため、図1には前記プリント基板は図示されていない。
【0020】
次に、図1において、5は前記各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線(例えば、巻終り側の引出し線)4u1〜4w1を一括して挿入・挟持させることにより、前記各引出し線4u1〜4w1を電気的に接続して中性点を形成するための中性点形成手段であり、以下、その構成について図2,3を参照しながら説明する。
【0021】
図2において、6は合成樹脂等の非導電性材料からなる矩形状のベースであり、その上面の所定位置には、後述する一対の挟持部材7,7が嵌合する所定幅寸法及び深さ寸法の凹溝6aが、図2の左上方から右下方に沿って凹設されている。また、前記凹溝6aの底部には、後述する一対の挟持部材7,7をベース6に対して締着・固定するためのボルト8が挿通される横長な孔部6bが、所定の間隔を設けた状態で前記凹溝6aの長さ方向(図2の左上方から右下方)に沿って穿設されている。
【0022】
つづいて、図2において、7,7は前記ベース6にボルト8を用いて締着・固定される導電性材料からなる一対の直方体状の挟持部材であり、前記一対の挟持部材7,7における一方(相対向する側)の端部は尖鋭状に形成されている。また、前記尖鋭状の端部7a,7aにおける上端側は、例えば、円弧状に面取りされている。更に、前記尖鋭状の端部7a,7aとは反対側に位置する一対の挟持部材7,7における他方の端部側には、前記ボルト8が貫通する貫通孔7bが穿孔されている。
【0023】
そして、図3で示すように、前記ベース6上面に凹設した凹溝6aに一対の挟持部材7,7を、それぞれの尖鋭状の端部7a,7a同士を相対向させた状態で嵌合し、つづいて、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7aとは反対側の端部側に穿孔した貫通孔7b及びベース6の凹溝6a底部に穿設した孔部6bにボルト8を貫通させ、かつ、前記ベース6下面に突出するボルト8の先端部にナット9(図2参照)を螺着して、前記一対の挟持部材7,7をベース6に対して揺動不能に締着・固定することにより、中性点形成手段5は構成される。
【0024】
なお、前記一対の挟持部材7,7をベース6に締着・固定する場合、その相対向する尖鋭状の端部7a,7a間には、図3で示すように所定の間隙、例えば、前記尖鋭状の端部7a,7a間に挿入される引出し線4u1〜4w1(図1,4参照)の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さな間隙t1を設けるようにする。また、前記尖鋭状の端部7a,7a間における間隙t1は、一対の挟持部材7,7をベース6に締着・固定するためのボルト8が、前記ベース6の凹溝6a底部に穿設した横長な孔部6bに挿通(貫通)されている関係上、前記間隙t1に挿入・挟持される引出し線4u1〜4w1の線径に対応して、前記横長な孔部6bの範囲で容易に変更することが可能である。
【0025】
次に、図1において、10u,10v,10wは各相の巻線4u〜4wにおける他方の引出し線(例えば、巻始め側の引出し線)4u2〜4w2が個別に挿入・挟持されるクリップ状の挟持手段であり、前記各挟持手段10u〜10wは、例えば、合成樹脂等の非導電性材料からなるベース11上に、それぞれ該ベース11の裏面側からボルト12を用いて締着・固定されている(図5参照)。以下、前記挟持手段10u〜10wの構成について、図5ないし図9を参照しながら説明する。なお、前記各挟持手段10u〜10wは同一構造であるため、ここでは挟持手段10uを例にとって説明する。
【0026】
図5において、13は前記ベース11上に、その裏面側からボルト12を用いて締着・固定される導電性材料からなる固定部材であり、前記固定部材13は、図6,7で示すように、一対の支持部14aを突設することで平面形状をコ字状となした固定座14と、一方端側を尖鋭状となした薄板状の導電性材料からなる導通刃体15と、前記導通刃体15を固定座14の上端面との間で挟持する固定板16とを備えて構成されている。そして、前記固定座14の上端面に凹設した嵌合溝14bに導通刃体15を、その尖鋭状となした一方の端部を固定座14の後述する可動部材17と対向する側の端部から所定寸法突出させた状態で嵌着し、この後、固定板16を前記固定座14の上端面にボルト16aを用いて締着・固定して、前記固定座14と固定板16との間に導通刃体15を挟持させることにより、前記固定部材13は図6で示す如く尖鋭状の導通刃体15を着脱可能に具備した状態で構成される。なお、前記固定座14に突設した一対の支持部14aには、その上端側に位置する隅角部に、後述する可動部材17を固定座14に対して回動自在に枢支するための枢支軸18が挿通される透孔14cが穿孔されている。
【0027】
つづいて、図5において、17は前記固定部材13に対し枢支軸18を用いて回動自在に枢支される可動部材であり、前記可動部材17は、図6,8で示すように、L字状に形成された金属材料からなる押圧体19と、例えば、前記押圧体19の一方端側に位置する垂直面に凹設した凹部19aに、固定部材13の導通刃体15と対向する状態で嵌着され、かつ、ボルト20aを用いて締着・固定される前記押圧体19とは異なる金属材料からなる挟圧部材20と、前記押圧体19の他方端側に取付けられる合成樹脂等からなる押釦21とを備えて構成されている。なお、前記押圧体19と挟圧部材20とは、異なる金属材料により別体にて形成する代わりに、同一の金属材料により一体的に形成するようにしてもよい。また、前記押圧体19の屈曲部(直角部)には、該押圧体19(可動部材17)を固定部材13に対して回動自在に枢支するための枢支軸18が貫通する貫通孔19bが穿孔されている。
【0028】
そして、図6で示すように、可動部材17の押圧体19の垂直面側を固定部材13の固定座14に突設した一対の支持部14a間に挿入し、前記固定座14の一対の支持部14aに穿孔した透孔14cと可動部材17の押圧体19に穿孔した貫通孔19bとを合致させた状態で、前記透孔14c及び貫通孔19bに枢支軸18を貫通させ、かつ、前記透孔14cから突出する枢支軸18の端部に止輪等を嵌着することにより、前記可動部材17は、図5で示すように、枢支軸18を中心として回動自在な状態で固定部材13に枢支させることができる。
【0029】
つづいて、図5において、22は前記可動部材17とベース11との間に介挿されて、前記可動部材17を図5における反時計方向(即ち、固定部材13の導通刃体15側)へ常時押圧・付勢するばね部材であり、その下端部は、例えば図5で示すように、ベース11に凹設した係合溝11aに揺動及び抜脱不能に係合されている。
【0030】
次に、図5において、23は固定部材13に具備した導通刃体15と可動部材17に具備した挟圧部材20との間に所定の間隙、例えば、前記導通刃体15と挟圧部材20との間に挿入される各相巻線4u〜4wにおける他方の引出し線4u2〜4w2の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さな間隙t2(図9参照)を形成するためのボルト等からなる調整部材であり、前記調整部材23は、図5,9で示すように、固定部材13を構成する固定座14の所定部位(可動部材17の垂直面と対向する部位)に進退可能に螺着されるとともに、その固定座14から可動部材17側に突出する先端部は、前記可動部材17における押圧体19の垂直面と当接した状態となっている。
【0031】
そして、前記調整部材23を図5,9における右方向へ前進させると、可動部材17がばね部材22の付勢力に抗して図5,9における時計方向へ押動される結果、固定部材13に具備した導通刃体15と可動部材17に具備した挟圧部材20との間の間隙t2を広げることができるとともに、逆に前記調整部材23を図5,9における左方向に後退させると、可動部材17がばね部材22の付勢力により図5,9における反時計方向へ押動される結果、前記間隙t2を狭めることができる。即ち、前記導通刃体15と挟圧部材20との間に挿入される各引出し線4u2〜4w2の線径に対応して調整部材23を前進・後退させることにより、前記間隙t2を適宜変更・調整することができる。
【0032】
なお、前記固定部材13と、可動部材17と、ばね部材22と、調整部材23とによって、本発明の挟持手段10uは構成されるものである。
【0033】
次に、図1において、24は固定子1に対する各種検査(例えば、絶縁耐圧及び絶縁抵抗に関する検査やレア試験等)を行うための検査手段であり、前記検査手段24は、リード線25u〜25wを介して挟持手段10u〜10wと電気的に接続されている。即ち、前記リード線25u〜25wの一方端側は検査手段24に接続されており、また、前記リード線25u〜25wの他方端側は、図5で示すように、挟持手段10u〜10wの固定部材13をベース11に締着・固定するためのボルト12に、端子部材等を介して接続されているので、前記挟持手段10u〜10wに個別に挿入・挟持される各引出し線4u2〜4w2は、挟持手段10u〜10wの固定部材13を構成する導通刃体15→同じく固定部材13を構成する固定座14→前記固定座14をベース11に締着・固定するボルト12→ボルト12に接続したリード線25u〜25wを経て検査手段24に電気的に接続されることとなる。なお、前記中性点形成手段5と、挟持手段10u〜10wと、検査手段24とによって、本発明における固定子1の検査装置は構成されるものである。
【0034】
次に、本発明における固定子の検査装置を使用して、前記固定子1に対する各種検査を行う場合について説明する。固定子1に対する各種検査を行うに当たっては、まず、固定子1に具備した各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線4u1〜4w1を、図4で示すように、中性点形成手段5を構成する一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間に一括して挿入・挟持させる。
【0035】
このとき、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間には、各引出し線4u1〜4w1の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定した間隙t1が設けられているので、前記各引出し線4u1〜4w1は、前記尖鋭状の端部7a,7a間への挿入時に、該尖鋭状の端部7a,7aと摺接することにより、前記尖鋭状の端部7a,7aと摺接する部位の外周に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)を円滑・良好に剥離した(剥ぎ取った)状態で、前記尖鋭状の端部7a,7a間に挟持される結果、前記各引出し線4u1〜4w1は、一対の挟持部材7,7を介して電気的に接続することができる。即ち、前記各引出し線4u1〜4w1を、図4で示すように、一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間に一括して挿入・挟持させることにより、中性点を形成することができる。
【0036】
また、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7aの上端側は、例えば、図4で示すように円弧状に面取りされているので、前記尖鋭状の端部7a,7a間への各引出し線4u1〜4w1の挿入作業を、前記各引出し線4u1〜4w1を切断等させることなく迅速・容易に行うことができる。しかも、前記一対の挟持部材7,7は、ベース6上面に凹設した凹溝6aに嵌合されているため、その尖鋭状の端部7a,7a間へ各引出し線4u1〜4w1を挿入する際等に、ボルト8を中心として揺動するのを確実に防いで、前記尖鋭状の端部7a,7a間の間隙t1が変化する等という問題の発生を確実に阻止することができる。
【0037】
つづいて、挟持手段10u〜10wの可動部材17をばね部材22の付勢力に抗して押圧し、前記可動部材17を図5,9の時計方向へ枢支軸18を中心として回動させることにより、固定部材13の導通刃体15と可動部材17の挟圧部材20との間の間隙t2を広げ、この状態で、各相の巻線4u〜4wにおける他方の引出し線4u2〜4w2の先端部を、挟持手段10u〜10wに個別に挿入するとともに、前記可動部材17の押圧を解除し、該可動部材17をばね部材22の付勢力を利用して図5,9の反時計方向へ枢支軸18を中心として回動させることにより、前記引出し線4u2〜4w2の先端部を、図10で示すように、導通刃体15と挟圧部材20との間で挟持させる。
【0038】
このとき、前記導通刃体15と挟圧部材20との間には、引出し線4u2〜4w2の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さい間隙t2(図9参照)が形成されているので、前記導通刃体15と挟圧部材20との間に挿入された各引出し線4u2〜4w2は、ばね部材22の付勢力を利用して挟圧部材20により導通刃体15側へ押圧・挟持され、その外周に形成した絶縁被膜(エナメル被膜)が、前記挟圧部材20と対向する導通刃体15の尖鋭状の端部によって突き破られる結果、前記各引出し線4u2〜4w2と導通刃体15とは電気的に接続される。この結果、前記各引出し線4u2〜4w2は、導通刃体15→固定座14→ボルト12→リード線25u〜25wを経て検査手段24に電気的に接続されることとなる。
【0039】
なお、前記導通刃体15と挟圧部材20との間に形成される間隙t2は、調整部材23によって引出し線4u2〜4w2の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定されているので、可動部材17がばね部材22の付勢力によって図10の反時計方向へ付勢され、その挟圧部材20と固定部材13の導通刃体15との間に挿入されている各引出し線4u2〜4w2を、前記導通刃体15側へ押圧しても、前記各引出し線4u2〜4w2が導通刃体15により切断されるようなことは全くない。
【0040】
そして、図1,4,10で示すように、各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線4u1〜4w1を、中性点形成手段5を構成する一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間に挿入・挟持させて中性点を形成するとともに、各相の巻線4u〜4wにおける他方の引出し線4u2〜4w2を、挟持手段10u〜10wを構成する固定部材13に具備した尖鋭状の導通刃体15と可動部材17に具備した挟圧部材20との間に個別に挿入・挟持させたら、この状態で、前記挟持手段10u〜10wの固定部材13とリード線25u〜25wを介して接続された検査手段24を使用して、前記各相巻線4u〜4wを備えた固定子1に対する各種検査を行う。なお、前記固定子1に対する各種検査の詳細な内容については説明を割愛する。また、前記固定子1の絶縁抵抗に関する検査を行う場合には、固定子鉄心2を接地しておく必要がある(図1では図示せず)。
【0041】
つづいて、固定子1に対する各種検査が終了したら、挟持手段10u〜10wの可動部材17をばね部材22の付勢力に抗して図5,10における時計方向に回動させ、前記可動部材17の挟圧部材20と固定部材13の導通刃体15との間の間隙t2(図9参照)を広げることにより、各相の巻線4u〜4wにおける他方の引出し線4u2〜4w2の挟持を解除して、前記各引出し線4u2〜4w2を前記導通刃体15と挟圧部材20との間から抜き取るとともに、中性点形成手段5を構成する一対の挟持部材7,7間に挿入・挟持されている各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線4u1〜4w1を、例えば、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部に強く押し付ける(当接させる)等して切断したり、あるいは、挿入時とは逆に上方へ引上げたりすることにより、前記一対の挟持部材7,7間から抜き取るようにすればよい。そして、この後、前記中性点形成手段5及び挟持手段10u〜10wによる挟持から解放した各引出し線4u1〜4w1,4u2〜4w2を、固定子1に具備される図示しないプリント基板に植設されている端子部材に対して個別に接続すればよい。
【0042】
このように、本発明によれば、固定子1に対する各種検査を行うに際して中性点を形成する場合、前記固定子1を構成する各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線4u1〜4w1を、中性点形成手段5を構成する一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間に一括して挿入・挟持させ、前記各引出し線4u1〜4w1を一対の挟持部材7,7を介して電気的に接続することにより、迅速・容易に中性点を形成することができるので、従来のように、中性点を形成するために各相の引出し線4u1〜4w1の先端部を捻り合わせて半田あげ等を行う必要がない結果、中性点の形成作業を効率的に行うことが可能となる。
【0043】
また、固定子1に対する各種検査が終了した後は、中性点形成手段5を構成する一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間に挿入・挟持されている各引出し線4u1〜4w1を、例えば、前記尖鋭状の端部7a,7aに強く押し付ける(当接させる)等して切断したり、あるいは、挿入時とは逆に上方へ引上げたりすることにより、前記尖鋭状の端部7a,7a間から迅速・容易に抜き取って、中性点の形成を解除することができるので、従来のように、半田あげ等を行うことによって結線されている(中性点が形成されている)各引出し線の先端部を、ニッパ等の工具を使用して切断し、分離する(切離す)必要がなくなる結果、固定子1に対する各種検査が終了した後、前記各引出し線4u1〜4w1を図示しないプリント基板に植設した端子部材に接続するまでの作業効率を良好に向上させることが可能となる。
【0044】
更に、前記尖鋭状の端部7a,7a間には、例えば、各引出し線4u1〜4w1の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さな間隙t1が設けられているので、前記各引出し線4u1〜4w1は、尖鋭状の端部7a,7a間へ、該尖鋭状の端部7a,7aと摺接しながら挿入され、前記尖鋭状の端部7a,7aと摺接する部位の外周に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)を確実に剥離した(剥ぎ取った)状態で、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7aと接触させることが可能となる結果、前記一対の挟持部材7,7を介して各引出し線4u1〜4w1を電気的に接続することにより、簡易に中性点を形成することができるという利点がある。しかも、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7a間の間隙t1は、該一対の挟持部材7,7をベース6に固定するためのボルト8が貫通する横長な孔部6bの範囲において、前記尖鋭状の端部7a,7a間に挿入・挟持される各引出し線4u1〜4w1の線径に対応して適宜変更することができるので、各引出し線4u1〜4w1の線径に合わせて複数の中性点形成手段5を用意する必要がないため、非常に利便である。
【0045】
その上、前記一対の挟持部材7,7における尖鋭状の端部7a,7aの上端側は、例えば、円弧状に面取りされているので、前記尖鋭状の端部7a,7a間への各相の巻線4u〜4wにおける一方の引出し線4u1〜4w1の挿入作業を、前記引出し線4u1〜4w1を切断等させることなく迅速・容易に行うことができる。しかも、前記一対の挟持部材7,7は、ベース6に対しボルト8及びナット9を用いて着脱可能に締着・固定されているため、その尖鋭状の端部7a,7aが経年の間に磨耗等した場合でも、前記ボルト8及びナット9による締着・固定を解除することにより、容易に一対の挟持部材7,7を交換することができるので、利便である。
【0046】
また、固定子1を構成する各相の巻線4u〜4wにおける他方の引出し線4u2〜4w2が個別に挿入・挟持される挟持手段10u〜10wは、先端部を尖鋭状となした導通刃体15を具備する固定部材13と、前記固定部材13に枢支軸18を用いて回動自在に枢支されるL字状の可動部材17と、前記可動部材17を常時固定部材13の導通刃体15側へ押圧・付勢するばね部材22とを備えて構成したので、前記固定部材13の導通刃体15と可動部材17の挟圧部材20との間に挿入される各引出し線4u2〜4w2は、ばね部材22の付勢力を利用して可動部材17により導通刃体15側へ押圧・挟持され、その外周に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)が前記導通刃体15によって突き破られる結果、前記各引出し線4u2〜4w2と導通刃体15とを電気的に接続させることが可能となる。このため、従来のように、各引出し線4u2〜4w2の先端部外周に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)を半田あげ等を行うことによって剥離する必要がないので、固定子1に対する各種検査を行う前における準備作業を簡略化し、迅速・容易に行うことができる。
【0047】
更に、前記挟持手段10u〜10wには、固定部材13の導通刃体15と可動部材17の挟圧部材20との間の間隙t2が、該間隙t2に挿入される各相の巻線4u〜4wにおける他方の引出し線4u2〜4w2の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定・調整するための調整部材23が具備されているので、前記導通刃体15と挟圧部材20との間に挿入された各引出し線4u2〜4w2が、ばね部材22の付勢力を利用して可動部材17により導通刃体15側へ押圧・挟持されても、前記導通刃体15は、各引出し線4u2〜4w2の外周に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)を突き破って前記各引出し線4u2〜4w2と接触するだけであり、前記導通刃体15によって各引出し線4u2〜4w2が切断される等ということは全くない。その上、前記固定部材13の導通刃体15と可動部材17の挟圧部材20との間に形成される間隙t2は、調整部材23により前記間隙t2に挿入される引出し線4u2〜4w2の線径に対応して、該引出し線4u2〜4w2の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定・調整することができるので、前記引出し線4u2〜4w2の線径に対応して、挟持手段10u〜10wを複数用意する必要がないため、非常に利便である。
【0048】
また、前記導通刃体15は、固定部材13を構成する固定座14と、該固定座14に締着・固定される固定板16との間に挟持されているので、経年の間に引出し線4u2〜4w2との接触部分が欠損したり、摩耗したりしても、前記固定座14と固定板16とによる挟持を解除することにより、導通刃体15のみを交換することができるため、非常に利便である。更に、前記導通刃体15は、固定座14の上端面に凹設した嵌合溝14bに嵌着した状態で、前記固定座14と固定板16との間に挟持されているため、ばね部材22の付勢力を利用して可動部材17により引出し線4u2〜4w2が導通刃体15側へ押圧されても、その押圧力により導通刃体15が揺動するようなことはないので、前記導通刃体15は、常に可動部材17(挟圧部材20)と正対させた状態で、前記可動部材17との間で引出し線4u2〜4w2を挟持し、かつ、前記引出し線4u2〜4w2の外周に形成されている絶縁被膜(エナメル被膜)を突き破って、該引出し線4u2〜4w2と電気的に接触させることができる。その上、前記引出し線4u2〜4w2を導通刃体15との間で挟持する可動部材17の挟圧部材20は、押圧体19の凹部19aにボルト20aを用いて締着・固定されているので、導通刃体15と同様、経年の間に引出し線4u2〜4w2との接触部分が摩耗等した場合には、前記挟圧部材20のみを交換すればよいため、非常に利便である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明における固定子の検査装置を使用して、前記固定子に対する各種検査を行なう場合の一例を示す概略的な結線図である。
【図2】中性点形成手段を分解して示す斜視図である。
【図3】中性点形成手段を組立てた状態を示す斜視図である。
【図4】中性点形成手段の一対の挟持部材間に各相巻線における一方の引出し線を一括して挿入・挟持させた状態を示す斜視図である。
【図5】挟持手段を示す側面図である。
【図6】挟持手段の固定部材と可動部材とを分解して示す斜視図である。
【図7】挟持手段における固定部材を分解して示す斜視図である。
【図8】挟持手段における可動部材を分解して示す斜視図である。
【図9】挟持手段の要部を拡大して示す側面図である。
【図10】挟持手段の固定部材と可動部材との間に各相巻線における他方の引出し線を挿入・挟持させた状態を拡大して示す側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 固定子
2 固定子鉄心
4u〜4w 巻線
4u1〜4w1,4u2〜4w2 引出し線
5 中性点形成手段
6 ベース
7 挟持部材
7a 尖鋭状の端部
10 挟持手段
13 固定部材
14 固定座
15 導通刃体
16 固定板
17 可動部材
18 枢支軸
19 押圧体
20 挟圧部材
22 ばね部材
23 調整部材
24 検査手段
25u〜25w リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子鉄心に巻回したU相,V相,W相の各巻線における一方の引出し線を一括して挿入・挟持させることにより、前記各引出し線を電気的に接続して中性点を形成する中性点形成手段と、前記U相,V相,W相の各巻線における他方の引出し線が個別に挿入・挟持される3個の挟持手段と、前記各挟持手段とリード線を介して電気的に接続される検査手段とを備え、前記中性点形成手段は、合成樹脂等の非導電性材料からなるベースに、導電性材料からなる一対の挟持部材を、その尖鋭状となした端部同士を相対向させ、かつ、前記端部間に所定の間隙を設けた状態で固定して構成するとともに、前記挟持手段は、端部を尖鋭状となした導通刃体を具備する導電性材料からなる固定部材と、前記固定部材に対し枢支軸を用いて回動自在に枢支したL字状の可動部材と、前記可動部材を常時固定部材の導通刃体側へ押圧・付勢するばね部材と、前記固定部材に具備した導通刃体の尖鋭状の端部と該固定部材に枢支される可動部材との間に所定の間隙を形成する調整部材とを備えてクリップ状に構成したことを特徴とする固定子の検査装置。
【請求項2】
前記一対の挟持部材は、その尖鋭状の端部間に設けた間隙を、該間隙に挿入・挟持される引出し線の線径に対応して適宜変更することが可能な状態でベースに固定し、前記間隙を前記引出し線の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の固定子の検査装置。
【請求項3】
前記一対の挟持部材は、その尖鋭状の端部の上端側が面取りされていることを特徴とする請求項1または2記載の固定子の検査装置。
【請求項4】
前記固定部材は、一方の端部を尖鋭状となした薄板状の導通刃体を、固定座の上端面に凹設した嵌合溝に、その尖鋭状の端部を可動部材側へ所定寸法突出させた状態で嵌着し、かつ、前記固定座と該固定座に締着・固定される固定板との間に挟持させて構成したことを特徴とする請求項1記載の固定子の検査装置。
【請求項5】
前記調整部材は、固定部材に進退可能に螺着し、かつ、その先端部を可動部材と当接させ、その進退動作によって前記固定部材に具備した導通刃体と、該固定部材に枢支される可動部材との間に形成される間隙を、該間隙に挿入・挟持される引出し線の線径に対応して、該引出し線の線径とほぼ同一、もしくは、やや小さくなるように設定するようにしたことを特徴とする請求項1または4記載の固定子の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−171061(P2007−171061A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371229(P2005−371229)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】