固液分離装置
【課題】省スペースで固形物の分離効率を向上できる固液分離装置を提供する。
【解決手段】実施形態の固液分離装置は、固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管5を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管7を上部に有する遠心分離機3と;原水を貯留する原水槽2と;原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプP1と;遠心分離機のスラリー排出管が挿入され、スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポット6,6A,6Bと;回収ポットの上部に挿入され、回収ポット内のスラリーの上澄み水を排出する上澄み排出管と;回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するスラッジ排出管8を有する。スラリー排出管の下端5eと回収ポットの底部6bとの間に間隙が設けられ、スラリー排出管の下端5eは上澄み排出管の下端7eよりも低い位置にある。
【解決手段】実施形態の固液分離装置は、固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管5を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管7を上部に有する遠心分離機3と;原水を貯留する原水槽2と;原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプP1と;遠心分離機のスラリー排出管が挿入され、スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポット6,6A,6Bと;回収ポットの上部に挿入され、回収ポット内のスラリーの上澄み水を排出する上澄み排出管と;回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するスラッジ排出管8を有する。スラリー排出管の下端5eと回収ポットの底部6bとの間に間隙が設けられ、スラリー排出管の下端5eは上澄み排出管の下端7eよりも低い位置にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固液分離において最も広く用いられている技術は、凝集沈殿などの重力沈降である。この技術は、処理水が清澄であり、動力部がないなどの長所がある。一方、この技術は巨大な水槽を要するため、設置スペースの点で課題がある。たとえば凝集沈殿で500m3/日の処理量を得るには、付帯設備を除いても直径約5mの沈殿池を必要とする。
【0003】
これに対して遠心分離機たとえばサイクロンを用いた固液分離で500m3/日の処理量を得るには、付帯設備を除けば直径20cmのサイクロンを用いればよく、大幅に設置スペースを削減できる。ただし、サイクロンは小粒径で比重の小さい固形物ほど分離が難しく、沈殿池と比べると分離効率が劣る。
【0004】
サイクロンを用いる固液分離の方法を概略的に説明する。処理すべき原水を、原水槽から送水ポンプを用いてサイクロンに圧送する。サイクロンは円錐を逆さにした形状をしており、駆動部を持たない。圧送された原水はサイクロン内で旋回流となる。この結果、比重の大きい固形物は遠心力を受けて壁面近傍へ集まり、底部からスラリーとして排出される。スラリーの排出は、連続的に行われる場合と、タイマーなどを用いて間欠的に行われる場合がある。比重の小さい処理水は中心部に集まり上部から系外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−279495号公報
【特許文献2】特開2010−94594号公報
【特許文献3】特開2010−12467号公報
【特許文献4】特開2009−45562号公報
【特許文献5】特開2008−114132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにサイクロンの底部からスラリーを引き抜いて下向きの流れを作ると、処理水側へ流出する粒子が減少し分離効率が向上することは知られている。しかし、スラリーの常時引抜きなどを行うとスラリー濃度が低下するとともにスラリー量が増大するため、後段に脱水等の処理が必要になる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、省スペースで固形物の分離効率を向上できる固液分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の固液分離装置は、固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、前記固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管を上部に有する遠心分離機と;原水を貯留する原水槽と;前記原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプと;前記遠心分離機のスラリー排出管が挿入され、前記スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポットと;前記回収ポットの上部に挿入され、前記回収ポット内の上澄み水を排出する上澄み排出管と;前記回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するスラッジ排出管を有する。前記スラリー排出管の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられ、前記スラリー排出管の下端は前記上澄み排出管の下端よりも低い位置にある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図2】第2の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図3】第3の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図4】第4の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図5】第5の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図6】第6の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図7】第7の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図8】第8の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図9】図8の回収ポットの平面図。
【図10】第9の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図11】第10の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図12】第11の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図13】第12の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図14】第13の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図15】第14の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図16】第15の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図17】図16の回収ポット内に設けられた邪魔板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態に係る固液分離装置について説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る固液分離装置1の概略図を示す。
原水タンク2には処理される固形物を含む原水が貯留される。原水タンク2内の原水は送水ポンプP1によって遠心分離機たとえばサイクロン3へ加圧送水される。サイクロン3は、それ自体は電動機などの動力源を有しておらず、ポンプP1からの送水圧力と重力の作用により固液分離するものである。そのためにサイクロン3の下部は先細になった逆円錐台形状をなしている。送水ポンプP1からサイクロン3へ加圧送水された原水はサイクロン3内で旋回流となる。この旋回流によって遠心力が発生し、比重差によって固液が分離される。比重の小さい物質たとえば水は旋回流の中心部から上部の処理水排出管4を介して上向きに流れ、排出管4につながる排水ラインL2を通って処理水として外部へ排水される。比重の大きい物質たとえば金属粒子のような固形物は遠心力を受けてサイクロン3の内壁に押し付けられて傾斜した壁面に沿って下降し、固形物を含むスラリーが下端のスラリー排出管5を通ってサイクロン3から排出されるようになっている。
【0012】
サイクロン3の下方には半密閉式の回収ポット6が設けられている。回収ポット6の天板をスラリー排出管5が貫通し、その下端部5eが回収ポット6の内部に挿入されている。回収ポット6では重力沈降によりスラリーから固形物が沈降分離される。回収ポット6の天板には上澄み排出管7の一端が挿入され、回収ポット6に回収されたスラリーの上澄み水が外部へ排出されるようになっている。回収ポット6の下部にはスラッジ排出ラインL3が設けられ、回収ポット6に回収されたスラリーから沈降して濃縮された固形物がスラッジとして堆積し、堆積したスラッジが定期的にまたは必要に応じて随時に回収ポット6から排出されるようになっている。スラッジ排出ラインL3にはスラッジ排出バルブV1が設けられている。回収ポット6からスラッジ排出ラインL3へのスラッジの排出は連続的または間欠的に行われる。
【0013】
本実施形態の固液分離装置では、回収ポット6での固形物の沈降分離を効率化するために、各部材を以下のように構成することが好ましい。
【0014】
回収ポット6の容積はサイクロン3の容積より大きくすることが好ましい。この条件を満たしていれば、回収ポット6内でのスラリーの流速を減少させることができ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になる。上澄み排出管の下端部7eは、必ずしも回収ポット6の天板より下にある必要はなく、天板の位置レベルと等しくしてもよい。
【0015】
スラリー排出管の下端部5eが回収ポットの底部6bに堆積したスラッジの界面に達すると、スラリー排出管5から排出されるスラリー流がスラッジ堆積層を撹拌し、堆積した固形物の一部を浮遊させる上昇流が形成される。浮遊した固形物は、回収ポット6内を上昇し、上澄み排出管の下端部7eまで到達し、上澄み排出管7を通って上澄み水とともに流出するおそれがある。このような固形物の流出は、上澄み水の濁度を増加させ、固形物の沈降分離に不利にはたらくので好ましくない。
【0016】
そこで、本実施形態では、スラリー排出管の下端部5eを回収ポットの底部6bから間隙G1だけ高いところに配置し、スラリー排出管の下端部5eがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、間隙G1の高低差h1が回収ポット6の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、スラリー排出管の下端部5eを回収ポット6内に位置させる。また、スラリー排出管の下端部5eがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出ラインL3を介して回収ポット6からスラッジを適切な量だけ定期的に排出するか、または必要に応じて随時に排出することが好ましい。
【0017】
さらに、スラリー排出管の下端部5eを上澄み排出管の下端部7eよりも低いところに配置することが好ましい。スラリー排出管の下端部5eから上澄み排出管の下端部7eまでの高低差h2を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL4への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になる。
【0018】
スラリー排出管5の管径(断面積)と上澄み排出管7の管径(断面積)を、スラリー排出管5から排出されたスラリー中の固形物の沈降速度と、上澄み排出管7から排出される上澄み水の流速とから決定することができる。すなわち、下記の不等式(1)の条件を満たすように、スラリー排出管5の管径d1(断面積A1)と上澄み排出管7の管径d2(断面積A2)を決定することができる。
【0019】
vs>vw …(1)
但し、記号vsはスラリー排出管から排出されたスラリー中の固形物の沈降速度を、記号vwは上澄み排出管から排出される上澄み水の流速をそれぞれ示す。
【0020】
固形物の沈降速度vsは、ストークスの沈降方程式を用いて算出することができる。また、上澄み水の流速vwは、連続の式(2)を用いて算出することができる。
【0021】
vw=Q/A2 …(2)
但し、記号Qはスラリー排出量からスラッジ排出量を差し引いた差分を、記号A2は上澄み排出管の内のりの断面積をそれぞれ示す。
【0022】
また、スラリー排出管5および上澄み排出管7の各々にバルブを取り付けて、各排出管の管径(断面積)と、スラリー、スラッジおよび上澄み水の排出量との関係を調整するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態によれば、サイクロン3から排出されたスラリーを回収ポット6で再濃縮することによって、濃度の高いスラッジを得られると同時に上澄み排出管7からの上澄み水を清澄化できる。このとき、スラリーの排出量を制限することなく運転できるので、サイクロン3による処理水の清澄化に有利になる。また、スラッジの含水率が低下するため、回収ポット6の後段に設けられる脱水機などの処理設備を不要にできるかまたは簡素なものにすることができる。さらに、清澄化した上澄み水を用水とすることにより、プラント内での水の有効利用が可能になる。
【0024】
なお、本実施形態では回収ポット6として半密閉式のものを用いているが、これに限らず、天板をなくした開放式のものを用いて上澄み排出管7からオーバーフローする上澄み水を得るようにしてもよい。また、スラッジ排出ラインL3から排出されるスラッジの含水率が低すぎて(スラッジの流動性が低すぎて)自然流下が困難な場合には、スラッジを圧送するために加圧ポンプを設けてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、遠心分離機としてサイクロンを用いたが、これに限らず、デカンタなどの遠心分離機や遠心沈降機などを用いることができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、混合物中の物質間の比重差を利用して物質を分離するようにしているので、比重1未満の油脂などを分離して回収することもできる。
【0027】
(第2の実施形態)
図2を参照して第2実施形態の固液分離装置を説明する。
【0028】
本実施形態の固液分離装置1Aが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6内のスラリー排出管5と上澄み排出管7の間に仕切板9を設けたことである。図2に示した仕切板9は回収ポット6の幅(図2の奥行方向の内寸)と同じ幅を有し、仕切板9の下端と回収ポット6の底部との間に間隙が設けられている。
【0029】
第2の実施形態に係る固液分離装置では、仕切板9によって回収ポット6内を分けることにより、主としてスラリー排出管5側の区画においてスラリーから固形物を沈降分離させ、上澄み排出管7側の区画において上澄み水に含まれる固形物を少なくすることができる。ここで、仕切板9を設けていない回収ポット6で液体の流れがやや乱れると、比重の小さい固形物が上昇流に伴って上昇し、上澄み排出管7から流出することがある。第2の実施形態のように回収ポット6内に仕切板9を設ければ、上澄み排出管7側の区画において液体の流れが乱れにくいので、上澄み水の汚濁を防止することができる。
【0030】
第2の実施形態において、仕切板9の下端と回収ポット6の底部との間の間隙G2の高低差h3は、仕切板9の下端が回収ポット6の底部に堆積したスラッジの界面に達しないようにすることが好ましい。そこで、回収ポット6の容積と形状にも依存するが、上記間隙G2の高低差h3は例えば2cmから上澄み排出管7の下端より長い適当な高さに設定される。一方、第2の実施形態においては、第1の実施形態のようにスラリー排出管5の下端を回収ポット6の深さの2/3から1/2の範囲に配置するというような制限はなく、スラリー排出管5の長さは第1の実施形態の場合より短くてもよい。なお、図2では仕切板9が鉛直軸に沿って延びている場合を示しているが、仕切板9が鉛直軸に対して傾斜していてもよい。
【0031】
(第3の実施形態)
図3を参照して第3実施形態の固液分離装置を説明する。
【0032】
本実施形態の固液分離装置1Bが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6の上澄み排出ラインL4をサイクロン3の処理水排出管4に接続したことである。なお、処理水排出管4から排出される処理水の圧力は、上澄み排出管7から排出される上澄み水の圧力と比べて高いため、必要であれば上澄み排出管7に送水ポンプを設置してもよい。
【0033】
第3の実施形態に係る固液分離装置1Bでは、清澄化された上澄み水を連続的に処理水として用いることができる。このため、生産ラインにおいて処理水を用水として繰り返し使用する場合など、水の有効利用が可能になる。
【0034】
(第4の実施形態)
図4を参照して第4実施形態の固液分離装置を説明する。
【0035】
本実施形態の固液分離装置1Cが上記第3の実施形態の装置1Bと異なる点は、処理水排出管4に接続された上澄み排出ラインL4に切替弁V2およびセンサS1を取り付け、切替弁V2において分岐する上澄み返送ラインL5を送水ポンプP1の上流側ラインL1に接続したことである。センサS1は上澄み排出管7から排出される上澄み水の清澄性の良否を検知する機能を有する。センサS1としては例えば濁度計、粒子カウンター、光センサを使用できる。センサS1により上澄み水の清澄性が低い(固形分が多く含まれ水質が悪化している)ことが検知された場合、センサS1の検知信号に基づいて切替弁V2が切り替えられ、上澄み水は分岐管13を通して送水ポンプP1の上流の配管に送水され、再度サイクロン3による処理が行われる。切替弁V2には例えばセンサS1からの検知信号に基づいて開閉する電磁弁が用いられる。
【0036】
例えば、原水中の固形物の濃度が高い場合には回収ポット6内のスラッジ界面が上昇しやすいため、上澄み水に固形物が混入して、清澄性が低く水質が悪化しやすくなる。第4の実施形態に係る固液分離装置1Cでは、上澄み水の清澄性が低下して水質が悪化した場合に、上澄み水を再びサイクロン3によって処理することにより、上澄み水の清澄性を確保することができる。
【0037】
なお、センサS1は、上澄み排出ラインL4の接続点より下流の処理水排出管4に設けてもよい。
【0038】
また、処理水の水質向上よりも固形物の回収が優先される場合には、センサS1からの検知信号に基づいてスラッジ排出バルブV1の開度を制御してスラッジの排出量を調整するようにしてもよい。
【0039】
(第5の実施形態)
図5を参照して第5実施形態の固液分離装置を説明する。
【0040】
本実施形態の固液分離装置1Dが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は以下のとおりである。上澄み排出管7の下流側ラインL4には、薬剤注入装置14、撹拌装置15、および第2のサイクロン16が順次設けられている。第2のサイクロン16では、その上部に設けられた第2の処理水排出管17を介して第2のサイクロン16内から処理水が排水され、その下部に設けられた第2のスラリー排出管18を介して第2のサイクロン16内からスラリーが排出されるようになっている。
【0041】
第2のサイクロン16の下方には第2の回収ポット19が設けられている。第2の回収ポット19の天板を第2のスラリー排出管18および第2の上澄み排出管20がそれぞれ貫通し、それらの下端部18e,20eがそれぞれ第2の回収ポット19内に挿入されている。この場合に、第2のスラリー排出管の下端部18eを第2の回収ポットの底部19bから高低差h4だけ高いところに配置し、スラリー排出管の下端部18eがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、高低差h4が第2の回収ポット19の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、第2のスラリー排出管の下端部18eを第2の回収ポット19内に位置させる。また、第2のスラリー排出管の下端部18eがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出ラインL7を介して第2の回収ポット19からスラッジを適切な量だけ定期的に排出するか、または必要に応じて随時に排出するようにしている。
【0042】
さらに、第2のスラリー排出管の下端部18eを第2の上澄み排出管の下端部20eよりも低いところに配置している。スラリー排出管の下端部18eから上澄み排出管の下端部20eまでの高低差h5を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL8への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になる。
【0043】
第2の上澄み排出管20のラインL8は第2の処理水排出管17のラインL6に接続され、さらに第2の処理水排出ラインL6は第1の処理水排出管4のラインL2に接続されている。第2の回収ポット19の下部にはスラッジ排出ラインL7が連通し、第2の回収ポット19に回収されたスラリーから沈降して濃縮された固形物がスラッジとして排出されるようになっている。スラッジ排出ラインL7には第2のスラッジ排出バルブV3が設けられている。
【0044】
本実施形態の装置1Dでは、回収ポット6の上澄み排出管7から排出される上澄み水が目的とする水質に至らないことを想定して、この上澄み水をさらに第2のサイクロン16と第2の回収ポット19とで処理する。すなわち、第1の回収ポット6の上澄み排出管7から排出される上澄み水に薬剤注入装置14から凝集剤を添加した後、撹拌装置15で攪拌することによって、上澄み水に含まれる固形物を凝集させる。さらに、凝集した固形物を含む上澄み水を第2のサイクロン16に送水して固液分離を行う。
【0045】
第1の回収ポット6から排出される上澄み水が1〜10m/s程度の流速を有する場合には上澄み水を第2のサイクロン16へ圧送する送水ポンプを設ける必要はないが、上澄み水の流速が不足する場合には送水ポンプにより上澄み水を第2のサイクロン16へ圧送するようにする。この送水ポンプの設置位置は、撹拌装置15よりも上流であることが好ましい。
【0046】
凝集剤としては、PAC、硫酸バンド、第二塩化鉄といった無機系凝集剤や、有機高分子凝集剤などから、上澄み水の水質に適したものを選択して用いる。用いる凝集剤によって適切に凝集が起こるpHが異なるため、薬剤添加装置14の上流または下流にpHセンサと酸またはアルカリを添加するpH調整装置を設けてもよい。
【0047】
撹拌装置15としては例えばスタティックミキサーのように配管の流路に連続して取り付けられるものが好ましい。
【0048】
第2のサイクロン16は、第1のサイクロン3よりも処理水量が少ないため小型でよい。一般にサイクロンは小型であるほど分離効率がよいことが知られている。このため、第1の回収ポット6から排出される上澄み水の水質と、第2のサイクロン16の分離性能とによっては、必ずしも薬剤添加装置14および撹拌装置15を設ける必要はない。
【0049】
なお、図5の装置1Dには示していないが、上述の図4の装置1Cと同様に、第2の上澄み排出管20のラインL8にバルブおよびセンサを設け、かつバルブから分岐して送水ポンプ2の上流に接続された分岐管を設けてもよい。
【0050】
また、第2のサイクロン16を用いても目的の水質が得られない場合は、第2のサイクロンの下流にさらに第3のサイクロンを設けてもよい。さらに、第3のサイクロンの下流に第4のサイクロンを設け、その下流にさらに第5のサイクロンを設けるというように、カスケード状に多段のサイクロン群を設置することが可能である。
【0051】
変形例として、第2のサイクロンなどの下流のサイクロンの代わりに、小型の沈殿池を設置してもよい。
【0052】
(第6の実施形態)
図6を参照して第6実施形態の固液分離装置を説明する。
【0053】
本実施形態の固液分離装置1Eが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6の下流に回収ポット6よりも容積が小さい小容積回収ポット23を設置し、回収ポット6の上澄み排出管7を小容積回収ポット23へ接続したことである。本実施形態では、上澄み排出管の下端部7fを小容積回収ポットの底部23bから高低差h6だけ高いところに配置し、上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、高低差h6が小容積回収ポット23の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、上澄み排出管の下端部7fを小容積回収ポット23内に位置させる。
【0054】
小容積回収ポット23の上部には第2の上澄み排出管24が設けられている。ここで、第2の上澄み排出管の下端部24eを第1の上澄み排出管の下端部7fよりも高いところに配置している。第1の上澄み排出管の下端部7fから第2の上澄み排出管の下端部24eまでの高低差h7を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL4への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になるからである。
【0055】
また、小容積回収ポット23の底部にはスラッジ排出ラインL9が接続され、スラッジ排出ラインL9にはスラッジ排出バルブV4が設けられている。上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出バルブV4を定期的にまたは必要に応じて随時に開けることにより、スラッジ排出ラインL9を介して小容積回収ポット23からスラッジを排出することができる。
【0056】
第6の実施形態においては、回収ポット6の下流に小容積回収ポット23を直列に接続し、回収ポット6と小容積回収ポット23の両方において、固形物の沈降と上澄み水の排出によって起こる上昇流とのバランスを一定に保つようにしている。小容積回収ポット23のスラッジ排出管25からスラッジを排出すると、流量Q=(スラリー排出量−スラッジ排出量)が減少して小容積回収ポット23から排出される上澄み水の流速は小さくなる。こうして、回収ポット6と小容積回収ポット23の両方において、固形物の沈降と上澄み水の排出によって起こる上昇流とのバランスを一定に保つことにより、上澄み水への固形物の混入とスラッジ濃度の低下を防止することができる。
【0057】
なお、小容積回収ポット23の下流にさらに小容量の回収ポットを1つ以上接続するようにしてもよい。
【0058】
(第7の実施形態)
図7を参照して第7実施形態の固液分離装置を説明する。
【0059】
本実施形態の固液分離装置1Fが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6に下流に回収ポット6よりも容積が大きい大容積回収ポット27を設置し、回収ポット6の上澄み排出管7を大容積回収ポット27へ接続したことである。本実施形態では、上澄み排出管の下端部7fを大容積回収ポットの底部27bから高低差h8だけ高いところに配置し、上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、高低差h8が大容積回収ポット27の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、上澄み排出管の下端部7fを大容積回収ポット27内に位置させる。
【0060】
大容積回収ポット27の上部には第2の上澄み排出管28が設けられている。ここで、第2の上澄み排出管の下端部28eを第1の上澄み排出管の下端部7fよりも高いところに配置している。第1の上澄み排出管の下端部7fから第2の上澄み排出管の下端部28eまでの高低差h9を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL4への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になるからである。
【0061】
また、大容積回収ポット27の底部にはスラッジ排出管29が接続され、スラッジ排出管29にはスラッジ排出バルブV5が設けられている。上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出バルブV5を定期的にまたは必要に応じて随時に開けることにより、スラッジ排出ラインL10を介して大容積回収ポット27からスラッジを排出することができる。
【0062】
第7の実施形態においては、回収ポット6の下流に大容積回収ポット27を直列に接続したことにより、上澄み水の滞留時間を長くし、より比重の小さい固形物を沈降させて分離効率を向上させることができる。
【0063】
なお、目的の上澄み水水質が得られない場合は、大容積回収ポット27の下流にさらに別の大容量の回収ポットを1つ以上接続するようにしてもよい。
【0064】
(第8の実施形態)
図8と図9を参照して第8実施形態の固液分離装置を説明する。
【0065】
本実施形態の固液分離装置1Gが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、単一の送水ポンプP1に対して複数のサイクロン3が並列に接続され、また複数のサイクロン3のそれぞれに設けられた複数のスラリー排出管5が単一の共有回収ポット6に挿入されていることである。
【0066】
図9に示すように、共有回収ポット6内に8つのサイクロン3から各スラリー排出管5が挿入され、8本のスラリー排出管5と上澄み排出管7gとの間が円筒状の仕切部材31により仕切られている。仕切部材の下端31eと回収ポットの底部6bとの間に高低差h10の間隙が形成されている。
【0067】
本実施形態においては、各スラリー排出管5からスラリーが円筒状仕切部材31の内側スペースに導入されると、水より比重が大きい固形物は回収ポットの底部6bに沈降して堆積し、水と同等か又はそれより比重の小さいものは仕切部材31の下方の間隙を通って外側スペースに回りこみ、上澄み水として上澄み排出管7gを通って共有回収ポット6から排出される。
【0068】
なお、共有回収ポット6内での流体の流れを乱さないように、円筒状の仕切部材31にスリットのような貫通孔32を設けてもよい。
【0069】
(第9の実施形態)
図10を参照して第9実施形態の固液分離装置を説明する。
【0070】
本実施形態の固液分離装置1Hが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、スラリー排出管5の上部にスラリーポット10を取り付けたことである。スラリーポット10は、スラリー排出管5が回収ポット6内に挿入されていない非挿入部分に取り付けられている。好ましくは、スラリーポット10は、サイクロン3とスラリー排出管5との接続部に近いところ、すなわちサイクロン底部のスラリー流出口に近接する位置に取り付けることが好ましい。
【0071】
スラリーポット10は、スラリー排出管5の内径より大きい内径を有する大径上部10aと、大径上部10aの下部に連続して形成され、その内径が大径上部10aの内径からスラリー排出管5の内径まで漸次縮小する縮径下部10cとを備えている。縮径下部10cの最下部には排出口10fが開口している。
【0072】
スラリーポット10の下方には半密閉式の回収ポット6が設けられている。回収ポット6の天板をスラリー排出管5が貫通し、その下端部5eが回収ポット6の内部に挿入されている。回収ポット6では重力沈降によりスラリーから固形物が沈降分離される。回収ポット6の天板には上澄み排出管7の一端が挿入され、回収ポット6に回収されたスラリーの上澄み水が外部へ排出されるようになっている。回収ポット6に対するスラリー排出管5の挿入長さは、上澄み排出管7の挿入長さより長くしている。すなわち、回収ポット6内において、スラリー排出管の下端部5eのほうが上澄み排出管の下端部7eより低いところに配置されている。
【0073】
また、回収ポット6の下部にはスラッジ排出ラインL3が接続され、回収ポット6内に堆積したスラッジが定期的にまたは必要に応じて随時に回収ポット6から排出されるようになっている。スラッジ排出ラインL3にはスラッジ排出バルブV1が設けられている。回収ポット6からスラッジ排出ラインL3へのスラッジの排出は連続的または間欠的に行われる。
【0074】
本実施形態では、回収ポット6の一例として半密閉式の容器を挙げているが本発明はこれのみに限定されるものではなく、天板をなくし、上澄み排出管7からオーバーフローする上澄み水を得るようにしてもよい。また、回収ポット6に多量のスラリーが堆積した場合は、スラリーポット10とバルブ等を用いて切り分け、フランジ継手を外してスラリーポット10ごと回収するようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では遠心分離機としてサイクロンを用いるが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、固液分離装置であるデカンタなどの遠心分離機、遠心沈降機を用いることができる。
【0076】
スラリー排出管5の内径と上澄み排出管7の内径は、スラリー排出管5から排出されるスラリーに含まれる粒子(懸濁物質)の沈降速度から決定することができる。すなわち、上記(1)式と(2)式をともに満たすようなスラリー排出管5および上澄み排出管7の断面積をそれぞれ求めることにより、スラリー排出管5の内径と上澄み排出管7の内径がそれぞれ決まる。また、これらの配管5,7にバルブを取り付けて、粒子やスラリー排出流速に合わせてそれらの内径を調整するようにしてもよい。
【0077】
本実施形態装置の作用を説明する。
【0078】
送水ポンプP1からサイクロン3へ加圧送水された原水はサイクロン3内で旋回流となる。この旋回流によって遠心力が発生し、比重差によって固液が分離される。比重の小さい物質たとえば水は旋回流の中心部から上部の処理水排出管4を介して上向きに流れ、排出管4につながる排水ラインL2を通って処理水として外部へ排水される。比重の大きい物質たとえば金属粒子のような固形物は遠心力を受けてサイクロン3の内壁に押し付けられて傾斜した壁面に沿って旋回しながら下降し、スラリー排出管5に流れ込む。スラリーの流速は、スラリー排出管5に流れ込んだときに最大になる。このような急速流がスラリー排出管5を通って回収ポット6内にそのまま流入すると、スラッジ堆積層11を崩壊させ、固形物の凝集体であるスラッジを舞い上げ、固形物をばらばらの状態に分散させてしまい、分散した固形物が上澄み排出管の下端部7eの開口まで到達し、上澄み水とともに固形物が流出するおそれがある。
【0079】
しかし、本実施形態では、スラリーポット10をスラリー排出管5に設けているので、急速度のスラリー旋回流がスラリーポット10の広い内部スペースに入ると、大きく減速される。このようにスラリーポット10によりサイクロン3で発生した旋回流が減速された後に、回収ポット6内にスラリーが流入するため、回収ポット6内は流れが穏やかであり、重力によってスラリーに含まれる金属粒子等は静かに沈降する。そして、回収ポット6内に堆積したスラッジは、底部のスラッジ排出管8を介して連続または間欠的に外部へ排出される。
【0080】
本実施形態の装置1Hによれば、サイクロン3に連結されたスラリー排出管5の内径よりも大きな内径を有するスラリーポット10を設け、スラリー排出管5を流下するスラリーの流速を減速させ、上澄み排出管7からの固形物の流出を防止し、処理水の清澄性が保たれる。スラリーポット10に続く回収ポット6では、内部の流速をさらに減少させて重力沈降によって粒子を沈降分離する。清澄化された上澄み水は上澄み排出管7を通って回収ポット6から排水される。スラリーに含まれる粒子の沈降分離を促進するため、スラリー排出管5の排出口を回収ポット6の下部に設置し、上澄み排出管7の取水口を回収ポット6の上部に設置する。スラッジが堆積した表面が上澄み排出管7の取水口に当たらないような頻度で、スラッジ排出管8からスラッジの排出を行う。サイクロン3から排出されたスラリーを回収ポット6で再濃縮することで濃度の高いスラッジを得られると同時に、上澄み水を清澄化できる。したがって、スラリーの引抜量を制限することなく運転が可能になり、サイクロン3の処理水を清澄化することができる。
【0081】
また、本実施形態の装置1Hでは、スラッジの含水率が低下するため、後段に用いる脱水機などの処理設備が不要あるいは簡素なものになる。上澄み水を清澄化して用水とすることで、プラント内での水の有効利用が可能になる。
【0082】
(第10の実施形態)
図11を参照して第10実施形態の固液分離装置を説明する。
【0083】
本実施形態の固液分離装置1Iが上記実施形態9の装置と異なる点は、スラッジ排出管8のラインL3にスラッジ排出バルブV1およびスラッジ排出ポンプP2を設けたことと、処理水排出管4のラインL2に処理水の濁度を測定する濁度センサS2を設けたことと、センサS2で測定した濁度に基づいてスラッジ排出バルブV1の開閉動作およびスラッジ排出ポンプP2の駆動を制御する制御器12を設けたことである。
【0084】
制御器12は、濁度センサS2から測定信号が入力される入力部と、プロセスデータを随時読出し可能に記録保存しておくメモリ部と、入力信号とプロセスデータとに基づいてスラッジ排出量を演算により求め、さらに求めたスラッジ排出量に基づいてポンプP2の駆動制御量とバルブV1の動作制御量とをそれぞれ求める演算部と、求めた制御量に応じてポンプP2およびバルブV1にそれぞれ制御信号を出力する出力部とを備えている。
【0085】
運転時間の経過とともに回収ポット6内に堆積するスラッジの量が増加し、スラッジ界面が上昇すると、スラリー排出管5からの上昇流に巻き込まれ、固形物が処理水排出管4のラインL2から流出してしまうおそれがある。こういった処理水水質の悪化を防止するために、制御器12は、濁度センサS2から測定信号が入ると、タイマーを用いてポンプP2の運転タイミングを調整し、スラッジ排出バルブV1の開度を調整するとともにスラッジ排出ポンプP2の駆動量を制御し、堆積したスラッジを回収ポット6から引き抜く。なお、濁度センサS2は、直接配管4に取り付ける他に、配管4を分岐して開放し、常圧での測定や、処理水を貯留する水槽に設置しても良く、着色成分を測定する色度計やパーティクルカウンタなどの粒子測定機を用いてもよい。
【0086】
スラッジの引抜きは、スラッジの含水率を優先する場合は間欠的であってもよく、処理水の清澄性を優先する場合は流れの乱れによるスラッジの舞い上がりを避けるため、連続的に引き抜くことが望ましい。
【0087】
(第11の実施形態)
図12を参照して第11実施形態の固液分離装置を説明する。
【0088】
本実施形態の固液分離装置1Jが上記第9の実施形態の装置と異なる点は、回収ポット6Aの下部の形状を縮径化したことと、スラッジ排出ポンプP2を回収ポット6Aの直下に接続したことである。
【0089】
回収ポット6Aは、スラリーポット10の内径より十分に大きい内径を有する大径上部6aと、大径上部6aの下部に連続して形成され、その内径が大径上部6aの内径からスラッジ排出管8の内径まで漸次縮小する縮径下部6cとを備えている。縮径下部6cの最下部には排出口6fが開口している。
【0090】
本実施形態では、スラッジ排出ポンプP2を回収ポット6Aの直下に設置したことにより、サイクロン3から排出されるスラリーを余すことなく回収することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、スラッジ排出ポンプP2の起動時に起こるスラッジ(固形物の凝集体)の舞い上がりは、下降流を作ることで防止することができ、上澄み水と処理水の清澄性を維持できる。
【0092】
(第12の実施形態)
図13を参照して第12実施形態の固液分離装置を説明する。
【0093】
本実施形態の固液分離装置1Kが上記第9の実施形態の装置と異なる点は、スラッジ排出ポンプP2の後段に脱水機40を有することである。
【0094】
回収ポット6内に沈降・堆積したスラリーは、水分を多く含んでいる。そこで、スラッジ排出ラインL3に脱水機40を設け、直接脱水を行うことで、スラリーの含水率を低下させ、減量することができる。薬剤注入装置41は、脱水機40においてスラッジを脱水するために、高分子凝集剤などの薬剤を添加する機構である。
【0095】
サイクロン3からスラリー排出管5により引き抜かれるスラリーは、一般的には多くの水分を含んでいる。しかし、本実施形態の装置1Kでは、脱水機40の直前において回収ポット6A内で固形物を沈降分離しているため、スラッジ排出ポンプP2を通過するスラッジの含水率を低下させ、脱水機40の処理負荷を低減することができる。同時に、薬剤注入装置41で添加する薬剤量を削減することができる。
【0096】
(第13の実施形態)
図14を参照して第13実施形態の固液分離装置を説明する。
【0097】
本実施形態の固液分離装置1Lが上記第9の実施形態の装置と異なる点は、サイクロン3の前段に凝集ユニット13を設けたことである。凝集ユニット13は、簡略して図示しているが、無機系凝集剤や有機高分子凝集剤などを処理対象の原水に添加し、スタティックミキサーや撹拌機などで撹拌強度を与え、原水中の懸濁物質を凝集する機構を持ち、サイクロン3だけでは分離できないような低比重粒子、径の小さい微粒子などの凝集剤等の薬剤を用いなければ処理できないような排水に対して用いる。
【0098】
本実施形態の装置1Lによれば、スラッジは凝集物であるため、上述の装置1K(図13)に示した薬剤注入装置41での脱水のための薬剤の追加添加量を削減、あるいは不要とすることができ、脱水機40で直接脱水することができる利点がある。
【0099】
(第14の実施形態)
図15を参照して第14実施形態の固液分離装置を説明する。
【0100】
本実施形態の固液分離装置1Mが上記第13の実施形態の装置1Lと異なる点は、脱水機40から原水槽2までの間に凝集物返送ラインL12を設けたことである。
【0101】
本実施形態の装置1Mによれば、回収ポット6Aに堆積する凝集物は、周囲に凝集剤を保持しており、これを原水槽2に返送することで凝集ユニット13での懸濁物質の凝集性が向上し、凝集剤の添加量を大幅に抑制することができる。さらに、脱水機40の前段での薬剤添加装置(図示省略)からの薬剤添加量も抑制することができる。
【0102】
(第15の実施形態)
図16と図17を参照して第15実施形態の固液分離装置を説明する。
【0103】
本実施形態の固液分離装置1Nが上記第13の実施形態の装置1Kと異なる点は、回収ポット6Bが邪魔板61を内蔵していることである。回収ポット6B内において邪魔板61によりスラッジと上澄み水とを分離することで、上澄み水および処理水の清澄性を保つことができる。さらに、邪魔板61によりスラッジ排出ポンプP2の起動時におけるスラッジ11の巻きあがりを有効に防止することができる。
【0104】
本実施形態によれば、サイクロンを用いて省スペースとし、回収ポット6の改良によって分離効率や引抜スラリーの濃度低下といった課題を解決する。スラリーの引抜きで処理水を清澄化するとともに、回収ポット内でスラリーの濃縮を行う。スラリーの含水率が低下して後段の脱水処理が簡素になる他、回収ポットからのスラリーを含まない上澄み水はサイクロン処理水とし利用できる。また、サイクロン分離に使われる送水ポンプのみで良く、回収ポットに個別の動力源は不要である。
【0105】
これらの実施形態によれば、省スペースで固形物の分離効率をさらに向上できる固液分離装置が提供される。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
2…原水タンク、3…サイクロン(遠心分離機)、4…処理水排出管、5…スラリー排出管、6,6A,6B…回収ポット、6a…大径上部、6c…縮径下部、6f…排出口、7…上澄み排出管、8…スラッジ排出管、9…仕切部材、10…スラリーポット、10a…大径上部、10c…縮径下部、10f…排出口、
12…制御器、13…凝集ユニット、14…薬剤注入装置、15…撹拌装置、16…第2のサイクロン、17…第2の処理水排出管、18…第2のスラリー排出管、19…第2の回収ポット、20…第2の上澄み排出管、23…小容積回収ポット、24…上澄み排出管、27…大容積回収ポット、28…上澄み排出管、31…仕切部材、32…貫通孔、40…脱水機、41…薬剤注入装置、61…邪魔板、
P1…送水ポンプ、P2…スラッジ排出ポンプ(圧送ポンプ)、
V1,V3,V4,V5…スラッジバルブ、V2…上澄み切替弁、
S1,S2…センサ、
L1…原水供給ライン、L2…処理水排出ライン、L3…スラッジ排出ライン、L4…上澄み排出ライン、L5…上澄み返送ライン、
L6…第2の処理水排出ライン、L7…第2のスラッジ排出ライン、L8…第2の上澄み排出ライン、
L9,L10…スラッジ排出ライン、
L11…凝集物排出ライン、
L12…凝集物返送ライン(スラッジ返送ライン)。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固液分離において最も広く用いられている技術は、凝集沈殿などの重力沈降である。この技術は、処理水が清澄であり、動力部がないなどの長所がある。一方、この技術は巨大な水槽を要するため、設置スペースの点で課題がある。たとえば凝集沈殿で500m3/日の処理量を得るには、付帯設備を除いても直径約5mの沈殿池を必要とする。
【0003】
これに対して遠心分離機たとえばサイクロンを用いた固液分離で500m3/日の処理量を得るには、付帯設備を除けば直径20cmのサイクロンを用いればよく、大幅に設置スペースを削減できる。ただし、サイクロンは小粒径で比重の小さい固形物ほど分離が難しく、沈殿池と比べると分離効率が劣る。
【0004】
サイクロンを用いる固液分離の方法を概略的に説明する。処理すべき原水を、原水槽から送水ポンプを用いてサイクロンに圧送する。サイクロンは円錐を逆さにした形状をしており、駆動部を持たない。圧送された原水はサイクロン内で旋回流となる。この結果、比重の大きい固形物は遠心力を受けて壁面近傍へ集まり、底部からスラリーとして排出される。スラリーの排出は、連続的に行われる場合と、タイマーなどを用いて間欠的に行われる場合がある。比重の小さい処理水は中心部に集まり上部から系外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−279495号公報
【特許文献2】特開2010−94594号公報
【特許文献3】特開2010−12467号公報
【特許文献4】特開2009−45562号公報
【特許文献5】特開2008−114132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにサイクロンの底部からスラリーを引き抜いて下向きの流れを作ると、処理水側へ流出する粒子が減少し分離効率が向上することは知られている。しかし、スラリーの常時引抜きなどを行うとスラリー濃度が低下するとともにスラリー量が増大するため、後段に脱水等の処理が必要になる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、省スペースで固形物の分離効率を向上できる固液分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の固液分離装置は、固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、前記固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管を上部に有する遠心分離機と;原水を貯留する原水槽と;前記原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプと;前記遠心分離機のスラリー排出管が挿入され、前記スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポットと;前記回収ポットの上部に挿入され、前記回収ポット内の上澄み水を排出する上澄み排出管と;前記回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するスラッジ排出管を有する。前記スラリー排出管の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられ、前記スラリー排出管の下端は前記上澄み排出管の下端よりも低い位置にある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図2】第2の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図3】第3の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図4】第4の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図5】第5の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図6】第6の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図7】第7の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図8】第8の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図9】図8の回収ポットの平面図。
【図10】第9の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図11】第10の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図12】第11の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図13】第12の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図14】第13の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図15】第14の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図16】第15の実施形態に係る固液分離装置を示す構成ブロック図。
【図17】図16の回収ポット内に設けられた邪魔板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態に係る固液分離装置について説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る固液分離装置1の概略図を示す。
原水タンク2には処理される固形物を含む原水が貯留される。原水タンク2内の原水は送水ポンプP1によって遠心分離機たとえばサイクロン3へ加圧送水される。サイクロン3は、それ自体は電動機などの動力源を有しておらず、ポンプP1からの送水圧力と重力の作用により固液分離するものである。そのためにサイクロン3の下部は先細になった逆円錐台形状をなしている。送水ポンプP1からサイクロン3へ加圧送水された原水はサイクロン3内で旋回流となる。この旋回流によって遠心力が発生し、比重差によって固液が分離される。比重の小さい物質たとえば水は旋回流の中心部から上部の処理水排出管4を介して上向きに流れ、排出管4につながる排水ラインL2を通って処理水として外部へ排水される。比重の大きい物質たとえば金属粒子のような固形物は遠心力を受けてサイクロン3の内壁に押し付けられて傾斜した壁面に沿って下降し、固形物を含むスラリーが下端のスラリー排出管5を通ってサイクロン3から排出されるようになっている。
【0012】
サイクロン3の下方には半密閉式の回収ポット6が設けられている。回収ポット6の天板をスラリー排出管5が貫通し、その下端部5eが回収ポット6の内部に挿入されている。回収ポット6では重力沈降によりスラリーから固形物が沈降分離される。回収ポット6の天板には上澄み排出管7の一端が挿入され、回収ポット6に回収されたスラリーの上澄み水が外部へ排出されるようになっている。回収ポット6の下部にはスラッジ排出ラインL3が設けられ、回収ポット6に回収されたスラリーから沈降して濃縮された固形物がスラッジとして堆積し、堆積したスラッジが定期的にまたは必要に応じて随時に回収ポット6から排出されるようになっている。スラッジ排出ラインL3にはスラッジ排出バルブV1が設けられている。回収ポット6からスラッジ排出ラインL3へのスラッジの排出は連続的または間欠的に行われる。
【0013】
本実施形態の固液分離装置では、回収ポット6での固形物の沈降分離を効率化するために、各部材を以下のように構成することが好ましい。
【0014】
回収ポット6の容積はサイクロン3の容積より大きくすることが好ましい。この条件を満たしていれば、回収ポット6内でのスラリーの流速を減少させることができ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になる。上澄み排出管の下端部7eは、必ずしも回収ポット6の天板より下にある必要はなく、天板の位置レベルと等しくしてもよい。
【0015】
スラリー排出管の下端部5eが回収ポットの底部6bに堆積したスラッジの界面に達すると、スラリー排出管5から排出されるスラリー流がスラッジ堆積層を撹拌し、堆積した固形物の一部を浮遊させる上昇流が形成される。浮遊した固形物は、回収ポット6内を上昇し、上澄み排出管の下端部7eまで到達し、上澄み排出管7を通って上澄み水とともに流出するおそれがある。このような固形物の流出は、上澄み水の濁度を増加させ、固形物の沈降分離に不利にはたらくので好ましくない。
【0016】
そこで、本実施形態では、スラリー排出管の下端部5eを回収ポットの底部6bから間隙G1だけ高いところに配置し、スラリー排出管の下端部5eがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、間隙G1の高低差h1が回収ポット6の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、スラリー排出管の下端部5eを回収ポット6内に位置させる。また、スラリー排出管の下端部5eがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出ラインL3を介して回収ポット6からスラッジを適切な量だけ定期的に排出するか、または必要に応じて随時に排出することが好ましい。
【0017】
さらに、スラリー排出管の下端部5eを上澄み排出管の下端部7eよりも低いところに配置することが好ましい。スラリー排出管の下端部5eから上澄み排出管の下端部7eまでの高低差h2を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL4への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になる。
【0018】
スラリー排出管5の管径(断面積)と上澄み排出管7の管径(断面積)を、スラリー排出管5から排出されたスラリー中の固形物の沈降速度と、上澄み排出管7から排出される上澄み水の流速とから決定することができる。すなわち、下記の不等式(1)の条件を満たすように、スラリー排出管5の管径d1(断面積A1)と上澄み排出管7の管径d2(断面積A2)を決定することができる。
【0019】
vs>vw …(1)
但し、記号vsはスラリー排出管から排出されたスラリー中の固形物の沈降速度を、記号vwは上澄み排出管から排出される上澄み水の流速をそれぞれ示す。
【0020】
固形物の沈降速度vsは、ストークスの沈降方程式を用いて算出することができる。また、上澄み水の流速vwは、連続の式(2)を用いて算出することができる。
【0021】
vw=Q/A2 …(2)
但し、記号Qはスラリー排出量からスラッジ排出量を差し引いた差分を、記号A2は上澄み排出管の内のりの断面積をそれぞれ示す。
【0022】
また、スラリー排出管5および上澄み排出管7の各々にバルブを取り付けて、各排出管の管径(断面積)と、スラリー、スラッジおよび上澄み水の排出量との関係を調整するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態によれば、サイクロン3から排出されたスラリーを回収ポット6で再濃縮することによって、濃度の高いスラッジを得られると同時に上澄み排出管7からの上澄み水を清澄化できる。このとき、スラリーの排出量を制限することなく運転できるので、サイクロン3による処理水の清澄化に有利になる。また、スラッジの含水率が低下するため、回収ポット6の後段に設けられる脱水機などの処理設備を不要にできるかまたは簡素なものにすることができる。さらに、清澄化した上澄み水を用水とすることにより、プラント内での水の有効利用が可能になる。
【0024】
なお、本実施形態では回収ポット6として半密閉式のものを用いているが、これに限らず、天板をなくした開放式のものを用いて上澄み排出管7からオーバーフローする上澄み水を得るようにしてもよい。また、スラッジ排出ラインL3から排出されるスラッジの含水率が低すぎて(スラッジの流動性が低すぎて)自然流下が困難な場合には、スラッジを圧送するために加圧ポンプを設けてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、遠心分離機としてサイクロンを用いたが、これに限らず、デカンタなどの遠心分離機や遠心沈降機などを用いることができる。
【0026】
さらに、本実施形態では、混合物中の物質間の比重差を利用して物質を分離するようにしているので、比重1未満の油脂などを分離して回収することもできる。
【0027】
(第2の実施形態)
図2を参照して第2実施形態の固液分離装置を説明する。
【0028】
本実施形態の固液分離装置1Aが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6内のスラリー排出管5と上澄み排出管7の間に仕切板9を設けたことである。図2に示した仕切板9は回収ポット6の幅(図2の奥行方向の内寸)と同じ幅を有し、仕切板9の下端と回収ポット6の底部との間に間隙が設けられている。
【0029】
第2の実施形態に係る固液分離装置では、仕切板9によって回収ポット6内を分けることにより、主としてスラリー排出管5側の区画においてスラリーから固形物を沈降分離させ、上澄み排出管7側の区画において上澄み水に含まれる固形物を少なくすることができる。ここで、仕切板9を設けていない回収ポット6で液体の流れがやや乱れると、比重の小さい固形物が上昇流に伴って上昇し、上澄み排出管7から流出することがある。第2の実施形態のように回収ポット6内に仕切板9を設ければ、上澄み排出管7側の区画において液体の流れが乱れにくいので、上澄み水の汚濁を防止することができる。
【0030】
第2の実施形態において、仕切板9の下端と回収ポット6の底部との間の間隙G2の高低差h3は、仕切板9の下端が回収ポット6の底部に堆積したスラッジの界面に達しないようにすることが好ましい。そこで、回収ポット6の容積と形状にも依存するが、上記間隙G2の高低差h3は例えば2cmから上澄み排出管7の下端より長い適当な高さに設定される。一方、第2の実施形態においては、第1の実施形態のようにスラリー排出管5の下端を回収ポット6の深さの2/3から1/2の範囲に配置するというような制限はなく、スラリー排出管5の長さは第1の実施形態の場合より短くてもよい。なお、図2では仕切板9が鉛直軸に沿って延びている場合を示しているが、仕切板9が鉛直軸に対して傾斜していてもよい。
【0031】
(第3の実施形態)
図3を参照して第3実施形態の固液分離装置を説明する。
【0032】
本実施形態の固液分離装置1Bが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6の上澄み排出ラインL4をサイクロン3の処理水排出管4に接続したことである。なお、処理水排出管4から排出される処理水の圧力は、上澄み排出管7から排出される上澄み水の圧力と比べて高いため、必要であれば上澄み排出管7に送水ポンプを設置してもよい。
【0033】
第3の実施形態に係る固液分離装置1Bでは、清澄化された上澄み水を連続的に処理水として用いることができる。このため、生産ラインにおいて処理水を用水として繰り返し使用する場合など、水の有効利用が可能になる。
【0034】
(第4の実施形態)
図4を参照して第4実施形態の固液分離装置を説明する。
【0035】
本実施形態の固液分離装置1Cが上記第3の実施形態の装置1Bと異なる点は、処理水排出管4に接続された上澄み排出ラインL4に切替弁V2およびセンサS1を取り付け、切替弁V2において分岐する上澄み返送ラインL5を送水ポンプP1の上流側ラインL1に接続したことである。センサS1は上澄み排出管7から排出される上澄み水の清澄性の良否を検知する機能を有する。センサS1としては例えば濁度計、粒子カウンター、光センサを使用できる。センサS1により上澄み水の清澄性が低い(固形分が多く含まれ水質が悪化している)ことが検知された場合、センサS1の検知信号に基づいて切替弁V2が切り替えられ、上澄み水は分岐管13を通して送水ポンプP1の上流の配管に送水され、再度サイクロン3による処理が行われる。切替弁V2には例えばセンサS1からの検知信号に基づいて開閉する電磁弁が用いられる。
【0036】
例えば、原水中の固形物の濃度が高い場合には回収ポット6内のスラッジ界面が上昇しやすいため、上澄み水に固形物が混入して、清澄性が低く水質が悪化しやすくなる。第4の実施形態に係る固液分離装置1Cでは、上澄み水の清澄性が低下して水質が悪化した場合に、上澄み水を再びサイクロン3によって処理することにより、上澄み水の清澄性を確保することができる。
【0037】
なお、センサS1は、上澄み排出ラインL4の接続点より下流の処理水排出管4に設けてもよい。
【0038】
また、処理水の水質向上よりも固形物の回収が優先される場合には、センサS1からの検知信号に基づいてスラッジ排出バルブV1の開度を制御してスラッジの排出量を調整するようにしてもよい。
【0039】
(第5の実施形態)
図5を参照して第5実施形態の固液分離装置を説明する。
【0040】
本実施形態の固液分離装置1Dが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は以下のとおりである。上澄み排出管7の下流側ラインL4には、薬剤注入装置14、撹拌装置15、および第2のサイクロン16が順次設けられている。第2のサイクロン16では、その上部に設けられた第2の処理水排出管17を介して第2のサイクロン16内から処理水が排水され、その下部に設けられた第2のスラリー排出管18を介して第2のサイクロン16内からスラリーが排出されるようになっている。
【0041】
第2のサイクロン16の下方には第2の回収ポット19が設けられている。第2の回収ポット19の天板を第2のスラリー排出管18および第2の上澄み排出管20がそれぞれ貫通し、それらの下端部18e,20eがそれぞれ第2の回収ポット19内に挿入されている。この場合に、第2のスラリー排出管の下端部18eを第2の回収ポットの底部19bから高低差h4だけ高いところに配置し、スラリー排出管の下端部18eがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、高低差h4が第2の回収ポット19の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、第2のスラリー排出管の下端部18eを第2の回収ポット19内に位置させる。また、第2のスラリー排出管の下端部18eがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出ラインL7を介して第2の回収ポット19からスラッジを適切な量だけ定期的に排出するか、または必要に応じて随時に排出するようにしている。
【0042】
さらに、第2のスラリー排出管の下端部18eを第2の上澄み排出管の下端部20eよりも低いところに配置している。スラリー排出管の下端部18eから上澄み排出管の下端部20eまでの高低差h5を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL8への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になる。
【0043】
第2の上澄み排出管20のラインL8は第2の処理水排出管17のラインL6に接続され、さらに第2の処理水排出ラインL6は第1の処理水排出管4のラインL2に接続されている。第2の回収ポット19の下部にはスラッジ排出ラインL7が連通し、第2の回収ポット19に回収されたスラリーから沈降して濃縮された固形物がスラッジとして排出されるようになっている。スラッジ排出ラインL7には第2のスラッジ排出バルブV3が設けられている。
【0044】
本実施形態の装置1Dでは、回収ポット6の上澄み排出管7から排出される上澄み水が目的とする水質に至らないことを想定して、この上澄み水をさらに第2のサイクロン16と第2の回収ポット19とで処理する。すなわち、第1の回収ポット6の上澄み排出管7から排出される上澄み水に薬剤注入装置14から凝集剤を添加した後、撹拌装置15で攪拌することによって、上澄み水に含まれる固形物を凝集させる。さらに、凝集した固形物を含む上澄み水を第2のサイクロン16に送水して固液分離を行う。
【0045】
第1の回収ポット6から排出される上澄み水が1〜10m/s程度の流速を有する場合には上澄み水を第2のサイクロン16へ圧送する送水ポンプを設ける必要はないが、上澄み水の流速が不足する場合には送水ポンプにより上澄み水を第2のサイクロン16へ圧送するようにする。この送水ポンプの設置位置は、撹拌装置15よりも上流であることが好ましい。
【0046】
凝集剤としては、PAC、硫酸バンド、第二塩化鉄といった無機系凝集剤や、有機高分子凝集剤などから、上澄み水の水質に適したものを選択して用いる。用いる凝集剤によって適切に凝集が起こるpHが異なるため、薬剤添加装置14の上流または下流にpHセンサと酸またはアルカリを添加するpH調整装置を設けてもよい。
【0047】
撹拌装置15としては例えばスタティックミキサーのように配管の流路に連続して取り付けられるものが好ましい。
【0048】
第2のサイクロン16は、第1のサイクロン3よりも処理水量が少ないため小型でよい。一般にサイクロンは小型であるほど分離効率がよいことが知られている。このため、第1の回収ポット6から排出される上澄み水の水質と、第2のサイクロン16の分離性能とによっては、必ずしも薬剤添加装置14および撹拌装置15を設ける必要はない。
【0049】
なお、図5の装置1Dには示していないが、上述の図4の装置1Cと同様に、第2の上澄み排出管20のラインL8にバルブおよびセンサを設け、かつバルブから分岐して送水ポンプ2の上流に接続された分岐管を設けてもよい。
【0050】
また、第2のサイクロン16を用いても目的の水質が得られない場合は、第2のサイクロンの下流にさらに第3のサイクロンを設けてもよい。さらに、第3のサイクロンの下流に第4のサイクロンを設け、その下流にさらに第5のサイクロンを設けるというように、カスケード状に多段のサイクロン群を設置することが可能である。
【0051】
変形例として、第2のサイクロンなどの下流のサイクロンの代わりに、小型の沈殿池を設置してもよい。
【0052】
(第6の実施形態)
図6を参照して第6実施形態の固液分離装置を説明する。
【0053】
本実施形態の固液分離装置1Eが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6の下流に回収ポット6よりも容積が小さい小容積回収ポット23を設置し、回収ポット6の上澄み排出管7を小容積回収ポット23へ接続したことである。本実施形態では、上澄み排出管の下端部7fを小容積回収ポットの底部23bから高低差h6だけ高いところに配置し、上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、高低差h6が小容積回収ポット23の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、上澄み排出管の下端部7fを小容積回収ポット23内に位置させる。
【0054】
小容積回収ポット23の上部には第2の上澄み排出管24が設けられている。ここで、第2の上澄み排出管の下端部24eを第1の上澄み排出管の下端部7fよりも高いところに配置している。第1の上澄み排出管の下端部7fから第2の上澄み排出管の下端部24eまでの高低差h7を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL4への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になるからである。
【0055】
また、小容積回収ポット23の底部にはスラッジ排出ラインL9が接続され、スラッジ排出ラインL9にはスラッジ排出バルブV4が設けられている。上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出バルブV4を定期的にまたは必要に応じて随時に開けることにより、スラッジ排出ラインL9を介して小容積回収ポット23からスラッジを排出することができる。
【0056】
第6の実施形態においては、回収ポット6の下流に小容積回収ポット23を直列に接続し、回収ポット6と小容積回収ポット23の両方において、固形物の沈降と上澄み水の排出によって起こる上昇流とのバランスを一定に保つようにしている。小容積回収ポット23のスラッジ排出管25からスラッジを排出すると、流量Q=(スラリー排出量−スラッジ排出量)が減少して小容積回収ポット23から排出される上澄み水の流速は小さくなる。こうして、回収ポット6と小容積回収ポット23の両方において、固形物の沈降と上澄み水の排出によって起こる上昇流とのバランスを一定に保つことにより、上澄み水への固形物の混入とスラッジ濃度の低下を防止することができる。
【0057】
なお、小容積回収ポット23の下流にさらに小容量の回収ポットを1つ以上接続するようにしてもよい。
【0058】
(第7の実施形態)
図7を参照して第7実施形態の固液分離装置を説明する。
【0059】
本実施形態の固液分離装置1Fが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、回収ポット6に下流に回収ポット6よりも容積が大きい大容積回収ポット27を設置し、回収ポット6の上澄み排出管7を大容積回収ポット27へ接続したことである。本実施形態では、上澄み排出管の下端部7fを大容積回収ポットの底部27bから高低差h8だけ高いところに配置し、上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面と直接接触しないようにしている。具体的には、高低差h8が大容積回収ポット27の深さdの2/3から1/4の範囲となるように、上澄み排出管の下端部7fを大容積回収ポット27内に位置させる。
【0060】
大容積回収ポット27の上部には第2の上澄み排出管28が設けられている。ここで、第2の上澄み排出管の下端部28eを第1の上澄み排出管の下端部7fよりも高いところに配置している。第1の上澄み排出管の下端部7fから第2の上澄み排出管の下端部28eまでの高低差h9を大きくすればするほど、上澄み水排出ラインL4への固形物の流出が抑えられ、重力沈降による固形物の沈降分離に有利になるからである。
【0061】
また、大容積回収ポット27の底部にはスラッジ排出管29が接続され、スラッジ排出管29にはスラッジ排出バルブV5が設けられている。上澄み排出管の下端部7fがスラッジ堆積層の界面に達するのを避けるために、スラッジ排出バルブV5を定期的にまたは必要に応じて随時に開けることにより、スラッジ排出ラインL10を介して大容積回収ポット27からスラッジを排出することができる。
【0062】
第7の実施形態においては、回収ポット6の下流に大容積回収ポット27を直列に接続したことにより、上澄み水の滞留時間を長くし、より比重の小さい固形物を沈降させて分離効率を向上させることができる。
【0063】
なお、目的の上澄み水水質が得られない場合は、大容積回収ポット27の下流にさらに別の大容量の回収ポットを1つ以上接続するようにしてもよい。
【0064】
(第8の実施形態)
図8と図9を参照して第8実施形態の固液分離装置を説明する。
【0065】
本実施形態の固液分離装置1Gが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、単一の送水ポンプP1に対して複数のサイクロン3が並列に接続され、また複数のサイクロン3のそれぞれに設けられた複数のスラリー排出管5が単一の共有回収ポット6に挿入されていることである。
【0066】
図9に示すように、共有回収ポット6内に8つのサイクロン3から各スラリー排出管5が挿入され、8本のスラリー排出管5と上澄み排出管7gとの間が円筒状の仕切部材31により仕切られている。仕切部材の下端31eと回収ポットの底部6bとの間に高低差h10の間隙が形成されている。
【0067】
本実施形態においては、各スラリー排出管5からスラリーが円筒状仕切部材31の内側スペースに導入されると、水より比重が大きい固形物は回収ポットの底部6bに沈降して堆積し、水と同等か又はそれより比重の小さいものは仕切部材31の下方の間隙を通って外側スペースに回りこみ、上澄み水として上澄み排出管7gを通って共有回収ポット6から排出される。
【0068】
なお、共有回収ポット6内での流体の流れを乱さないように、円筒状の仕切部材31にスリットのような貫通孔32を設けてもよい。
【0069】
(第9の実施形態)
図10を参照して第9実施形態の固液分離装置を説明する。
【0070】
本実施形態の固液分離装置1Hが上記第1の実施形態の装置1と異なる点は、スラリー排出管5の上部にスラリーポット10を取り付けたことである。スラリーポット10は、スラリー排出管5が回収ポット6内に挿入されていない非挿入部分に取り付けられている。好ましくは、スラリーポット10は、サイクロン3とスラリー排出管5との接続部に近いところ、すなわちサイクロン底部のスラリー流出口に近接する位置に取り付けることが好ましい。
【0071】
スラリーポット10は、スラリー排出管5の内径より大きい内径を有する大径上部10aと、大径上部10aの下部に連続して形成され、その内径が大径上部10aの内径からスラリー排出管5の内径まで漸次縮小する縮径下部10cとを備えている。縮径下部10cの最下部には排出口10fが開口している。
【0072】
スラリーポット10の下方には半密閉式の回収ポット6が設けられている。回収ポット6の天板をスラリー排出管5が貫通し、その下端部5eが回収ポット6の内部に挿入されている。回収ポット6では重力沈降によりスラリーから固形物が沈降分離される。回収ポット6の天板には上澄み排出管7の一端が挿入され、回収ポット6に回収されたスラリーの上澄み水が外部へ排出されるようになっている。回収ポット6に対するスラリー排出管5の挿入長さは、上澄み排出管7の挿入長さより長くしている。すなわち、回収ポット6内において、スラリー排出管の下端部5eのほうが上澄み排出管の下端部7eより低いところに配置されている。
【0073】
また、回収ポット6の下部にはスラッジ排出ラインL3が接続され、回収ポット6内に堆積したスラッジが定期的にまたは必要に応じて随時に回収ポット6から排出されるようになっている。スラッジ排出ラインL3にはスラッジ排出バルブV1が設けられている。回収ポット6からスラッジ排出ラインL3へのスラッジの排出は連続的または間欠的に行われる。
【0074】
本実施形態では、回収ポット6の一例として半密閉式の容器を挙げているが本発明はこれのみに限定されるものではなく、天板をなくし、上澄み排出管7からオーバーフローする上澄み水を得るようにしてもよい。また、回収ポット6に多量のスラリーが堆積した場合は、スラリーポット10とバルブ等を用いて切り分け、フランジ継手を外してスラリーポット10ごと回収するようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では遠心分離機としてサイクロンを用いるが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、固液分離装置であるデカンタなどの遠心分離機、遠心沈降機を用いることができる。
【0076】
スラリー排出管5の内径と上澄み排出管7の内径は、スラリー排出管5から排出されるスラリーに含まれる粒子(懸濁物質)の沈降速度から決定することができる。すなわち、上記(1)式と(2)式をともに満たすようなスラリー排出管5および上澄み排出管7の断面積をそれぞれ求めることにより、スラリー排出管5の内径と上澄み排出管7の内径がそれぞれ決まる。また、これらの配管5,7にバルブを取り付けて、粒子やスラリー排出流速に合わせてそれらの内径を調整するようにしてもよい。
【0077】
本実施形態装置の作用を説明する。
【0078】
送水ポンプP1からサイクロン3へ加圧送水された原水はサイクロン3内で旋回流となる。この旋回流によって遠心力が発生し、比重差によって固液が分離される。比重の小さい物質たとえば水は旋回流の中心部から上部の処理水排出管4を介して上向きに流れ、排出管4につながる排水ラインL2を通って処理水として外部へ排水される。比重の大きい物質たとえば金属粒子のような固形物は遠心力を受けてサイクロン3の内壁に押し付けられて傾斜した壁面に沿って旋回しながら下降し、スラリー排出管5に流れ込む。スラリーの流速は、スラリー排出管5に流れ込んだときに最大になる。このような急速流がスラリー排出管5を通って回収ポット6内にそのまま流入すると、スラッジ堆積層11を崩壊させ、固形物の凝集体であるスラッジを舞い上げ、固形物をばらばらの状態に分散させてしまい、分散した固形物が上澄み排出管の下端部7eの開口まで到達し、上澄み水とともに固形物が流出するおそれがある。
【0079】
しかし、本実施形態では、スラリーポット10をスラリー排出管5に設けているので、急速度のスラリー旋回流がスラリーポット10の広い内部スペースに入ると、大きく減速される。このようにスラリーポット10によりサイクロン3で発生した旋回流が減速された後に、回収ポット6内にスラリーが流入するため、回収ポット6内は流れが穏やかであり、重力によってスラリーに含まれる金属粒子等は静かに沈降する。そして、回収ポット6内に堆積したスラッジは、底部のスラッジ排出管8を介して連続または間欠的に外部へ排出される。
【0080】
本実施形態の装置1Hによれば、サイクロン3に連結されたスラリー排出管5の内径よりも大きな内径を有するスラリーポット10を設け、スラリー排出管5を流下するスラリーの流速を減速させ、上澄み排出管7からの固形物の流出を防止し、処理水の清澄性が保たれる。スラリーポット10に続く回収ポット6では、内部の流速をさらに減少させて重力沈降によって粒子を沈降分離する。清澄化された上澄み水は上澄み排出管7を通って回収ポット6から排水される。スラリーに含まれる粒子の沈降分離を促進するため、スラリー排出管5の排出口を回収ポット6の下部に設置し、上澄み排出管7の取水口を回収ポット6の上部に設置する。スラッジが堆積した表面が上澄み排出管7の取水口に当たらないような頻度で、スラッジ排出管8からスラッジの排出を行う。サイクロン3から排出されたスラリーを回収ポット6で再濃縮することで濃度の高いスラッジを得られると同時に、上澄み水を清澄化できる。したがって、スラリーの引抜量を制限することなく運転が可能になり、サイクロン3の処理水を清澄化することができる。
【0081】
また、本実施形態の装置1Hでは、スラッジの含水率が低下するため、後段に用いる脱水機などの処理設備が不要あるいは簡素なものになる。上澄み水を清澄化して用水とすることで、プラント内での水の有効利用が可能になる。
【0082】
(第10の実施形態)
図11を参照して第10実施形態の固液分離装置を説明する。
【0083】
本実施形態の固液分離装置1Iが上記実施形態9の装置と異なる点は、スラッジ排出管8のラインL3にスラッジ排出バルブV1およびスラッジ排出ポンプP2を設けたことと、処理水排出管4のラインL2に処理水の濁度を測定する濁度センサS2を設けたことと、センサS2で測定した濁度に基づいてスラッジ排出バルブV1の開閉動作およびスラッジ排出ポンプP2の駆動を制御する制御器12を設けたことである。
【0084】
制御器12は、濁度センサS2から測定信号が入力される入力部と、プロセスデータを随時読出し可能に記録保存しておくメモリ部と、入力信号とプロセスデータとに基づいてスラッジ排出量を演算により求め、さらに求めたスラッジ排出量に基づいてポンプP2の駆動制御量とバルブV1の動作制御量とをそれぞれ求める演算部と、求めた制御量に応じてポンプP2およびバルブV1にそれぞれ制御信号を出力する出力部とを備えている。
【0085】
運転時間の経過とともに回収ポット6内に堆積するスラッジの量が増加し、スラッジ界面が上昇すると、スラリー排出管5からの上昇流に巻き込まれ、固形物が処理水排出管4のラインL2から流出してしまうおそれがある。こういった処理水水質の悪化を防止するために、制御器12は、濁度センサS2から測定信号が入ると、タイマーを用いてポンプP2の運転タイミングを調整し、スラッジ排出バルブV1の開度を調整するとともにスラッジ排出ポンプP2の駆動量を制御し、堆積したスラッジを回収ポット6から引き抜く。なお、濁度センサS2は、直接配管4に取り付ける他に、配管4を分岐して開放し、常圧での測定や、処理水を貯留する水槽に設置しても良く、着色成分を測定する色度計やパーティクルカウンタなどの粒子測定機を用いてもよい。
【0086】
スラッジの引抜きは、スラッジの含水率を優先する場合は間欠的であってもよく、処理水の清澄性を優先する場合は流れの乱れによるスラッジの舞い上がりを避けるため、連続的に引き抜くことが望ましい。
【0087】
(第11の実施形態)
図12を参照して第11実施形態の固液分離装置を説明する。
【0088】
本実施形態の固液分離装置1Jが上記第9の実施形態の装置と異なる点は、回収ポット6Aの下部の形状を縮径化したことと、スラッジ排出ポンプP2を回収ポット6Aの直下に接続したことである。
【0089】
回収ポット6Aは、スラリーポット10の内径より十分に大きい内径を有する大径上部6aと、大径上部6aの下部に連続して形成され、その内径が大径上部6aの内径からスラッジ排出管8の内径まで漸次縮小する縮径下部6cとを備えている。縮径下部6cの最下部には排出口6fが開口している。
【0090】
本実施形態では、スラッジ排出ポンプP2を回収ポット6Aの直下に設置したことにより、サイクロン3から排出されるスラリーを余すことなく回収することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、スラッジ排出ポンプP2の起動時に起こるスラッジ(固形物の凝集体)の舞い上がりは、下降流を作ることで防止することができ、上澄み水と処理水の清澄性を維持できる。
【0092】
(第12の実施形態)
図13を参照して第12実施形態の固液分離装置を説明する。
【0093】
本実施形態の固液分離装置1Kが上記第9の実施形態の装置と異なる点は、スラッジ排出ポンプP2の後段に脱水機40を有することである。
【0094】
回収ポット6内に沈降・堆積したスラリーは、水分を多く含んでいる。そこで、スラッジ排出ラインL3に脱水機40を設け、直接脱水を行うことで、スラリーの含水率を低下させ、減量することができる。薬剤注入装置41は、脱水機40においてスラッジを脱水するために、高分子凝集剤などの薬剤を添加する機構である。
【0095】
サイクロン3からスラリー排出管5により引き抜かれるスラリーは、一般的には多くの水分を含んでいる。しかし、本実施形態の装置1Kでは、脱水機40の直前において回収ポット6A内で固形物を沈降分離しているため、スラッジ排出ポンプP2を通過するスラッジの含水率を低下させ、脱水機40の処理負荷を低減することができる。同時に、薬剤注入装置41で添加する薬剤量を削減することができる。
【0096】
(第13の実施形態)
図14を参照して第13実施形態の固液分離装置を説明する。
【0097】
本実施形態の固液分離装置1Lが上記第9の実施形態の装置と異なる点は、サイクロン3の前段に凝集ユニット13を設けたことである。凝集ユニット13は、簡略して図示しているが、無機系凝集剤や有機高分子凝集剤などを処理対象の原水に添加し、スタティックミキサーや撹拌機などで撹拌強度を与え、原水中の懸濁物質を凝集する機構を持ち、サイクロン3だけでは分離できないような低比重粒子、径の小さい微粒子などの凝集剤等の薬剤を用いなければ処理できないような排水に対して用いる。
【0098】
本実施形態の装置1Lによれば、スラッジは凝集物であるため、上述の装置1K(図13)に示した薬剤注入装置41での脱水のための薬剤の追加添加量を削減、あるいは不要とすることができ、脱水機40で直接脱水することができる利点がある。
【0099】
(第14の実施形態)
図15を参照して第14実施形態の固液分離装置を説明する。
【0100】
本実施形態の固液分離装置1Mが上記第13の実施形態の装置1Lと異なる点は、脱水機40から原水槽2までの間に凝集物返送ラインL12を設けたことである。
【0101】
本実施形態の装置1Mによれば、回収ポット6Aに堆積する凝集物は、周囲に凝集剤を保持しており、これを原水槽2に返送することで凝集ユニット13での懸濁物質の凝集性が向上し、凝集剤の添加量を大幅に抑制することができる。さらに、脱水機40の前段での薬剤添加装置(図示省略)からの薬剤添加量も抑制することができる。
【0102】
(第15の実施形態)
図16と図17を参照して第15実施形態の固液分離装置を説明する。
【0103】
本実施形態の固液分離装置1Nが上記第13の実施形態の装置1Kと異なる点は、回収ポット6Bが邪魔板61を内蔵していることである。回収ポット6B内において邪魔板61によりスラッジと上澄み水とを分離することで、上澄み水および処理水の清澄性を保つことができる。さらに、邪魔板61によりスラッジ排出ポンプP2の起動時におけるスラッジ11の巻きあがりを有効に防止することができる。
【0104】
本実施形態によれば、サイクロンを用いて省スペースとし、回収ポット6の改良によって分離効率や引抜スラリーの濃度低下といった課題を解決する。スラリーの引抜きで処理水を清澄化するとともに、回収ポット内でスラリーの濃縮を行う。スラリーの含水率が低下して後段の脱水処理が簡素になる他、回収ポットからのスラリーを含まない上澄み水はサイクロン処理水とし利用できる。また、サイクロン分離に使われる送水ポンプのみで良く、回収ポットに個別の動力源は不要である。
【0105】
これらの実施形態によれば、省スペースで固形物の分離効率をさらに向上できる固液分離装置が提供される。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
2…原水タンク、3…サイクロン(遠心分離機)、4…処理水排出管、5…スラリー排出管、6,6A,6B…回収ポット、6a…大径上部、6c…縮径下部、6f…排出口、7…上澄み排出管、8…スラッジ排出管、9…仕切部材、10…スラリーポット、10a…大径上部、10c…縮径下部、10f…排出口、
12…制御器、13…凝集ユニット、14…薬剤注入装置、15…撹拌装置、16…第2のサイクロン、17…第2の処理水排出管、18…第2のスラリー排出管、19…第2の回収ポット、20…第2の上澄み排出管、23…小容積回収ポット、24…上澄み排出管、27…大容積回収ポット、28…上澄み排出管、31…仕切部材、32…貫通孔、40…脱水機、41…薬剤注入装置、61…邪魔板、
P1…送水ポンプ、P2…スラッジ排出ポンプ(圧送ポンプ)、
V1,V3,V4,V5…スラッジバルブ、V2…上澄み切替弁、
S1,S2…センサ、
L1…原水供給ライン、L2…処理水排出ライン、L3…スラッジ排出ライン、L4…上澄み排出ライン、L5…上澄み返送ライン、
L6…第2の処理水排出ライン、L7…第2のスラッジ排出ライン、L8…第2の上澄み排出ライン、
L9,L10…スラッジ排出ライン、
L11…凝集物排出ライン、
L12…凝集物返送ライン(スラッジ返送ライン)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、前記固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管を上部に有する遠心分離機と、
原水を貯留する原水槽と、
前記原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプと、
前記遠心分離機のスラリー排出管が挿入され、前記スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポットと、
前記回収ポットの上部に挿入され、前記回収ポット内の上澄み水を排出する上澄み排出管と、
前記回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するスラッジ排出管とを有し、
前記スラリー排出管の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられ、前記スラリー排出管の下端は前記上澄み排出管の下端よりも低い位置にあることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
さらに、前記回収ポット内の前記スラリー排出管と前記上澄み排出管の間に設けられた仕切部材を有し、前記仕切部材の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記上澄み排出管は前記処理水排出管に接続されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記上澄み排出管から分岐し、前記上澄み排出管と前記送水ポンプの上流ラインとの間に接続された上澄み返送ラインと、
前記上澄み返送ラインが前記上澄み排出管から分岐するところに設けられ、前記上澄み排出管と前記上澄み返送ラインとの間で流路を切り替える切替弁と、
を有することを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
さらに、前記上澄み排出管の下流ラインに接続された第2の遠心分離機を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記第2の遠心分離機の上流の前記上澄み排出管に設けられた薬剤注入装置および撹拌装置を有することを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の回収ポットが直列に接続され、前記複数の回収ポットのうち下流の回収ポットは上流の回収ポットよりも容積が小さいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
複数の回収ポットが直列に接続され、前記複数の回収ポットのうち下流の回収ポットは上流の回収ポットよりも容積が大きいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記送水ポンプに対して複数の遠心分離機が並列に接続され、前記複数の遠心分離機のそれぞれに設けられた複数のスラリー排出管が1つの回収ポットに挿入されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記回収ポット内の前記複数のスラリー排出管と前記上澄み排出管の間に前記複数のスラリー排出管を囲むように設けられた仕切部材を有し、前記仕切部材の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記仕切部材に貫通孔が開けられていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、前記固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管を上部に有する遠心分離機と、
原水を貯留する原水槽と、
前記原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプと、
前記スラリー排出管の途中に取り付けられ、前記スラリー排出管の内径より大きい内径を有し、前記スラリー排出管内を流下するスラリーの流速を減じるスラリーポットと、
前記スラリー排出管が挿入され、前記スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポットと、
前記回収ポットの上部に挿入され、前記回収ポット内の上澄み水を排出する上澄み排出管と、
前記回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するためのスラッジ排出管と、
を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項13】
前記スラッジ排出管に設けられ、前記回収ポット内のスラッジを吸引排出するスラッジ排出ポンプと、
前記処理水排出管を流れる処理水の濁度を測定する濁度センサと、
前記濁度センサからの測定信号に基づいて前記スラリー排出ポンプの駆動を制御する制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記スラリー排出管の下端が前記回収ポットの底部から離れて配置されていることを特徴とする請求項12または13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記回収ポットは、内径が漸次縮小する縮径下部と、前記縮径下部に開口し、かつ前記スラッジ排出管に連通する排出口と、を有することを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記スラリーポットは、内径が漸次縮小する縮径下部と、前記縮径下部に開口し、かつ前記スラリー排出管に連通する排出口と、を有することを特徴とする請求項12ないし15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記スラッジ排出ポンプの後段に設けられ、前記回収ポットから排出されるスラッジを脱水する脱水機をさらに有することを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記遠心分離機の前段に設けられ、前記原水槽から前記遠心分離機に送られる原水に凝集剤を注入するとともに凝集剤を撹拌する機能を有する薬剤注入ユニットをさらに有することを特徴とする請求項12ないし17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記スラッジ排出ポンプの駆動により前記回収ポットから送られるスラッジを前記原水槽に返送するスラッジ返送ラインをさらに有することを特徴とする請求項12ないし18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記回収ポット内にスラッジの浮遊を防止するための邪魔板をさらに有することを特徴とする請求項12ないし19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項1】
固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、前記固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管を上部に有する遠心分離機と、
原水を貯留する原水槽と、
前記原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプと、
前記遠心分離機のスラリー排出管が挿入され、前記スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポットと、
前記回収ポットの上部に挿入され、前記回収ポット内の上澄み水を排出する上澄み排出管と、
前記回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するスラッジ排出管とを有し、
前記スラリー排出管の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられ、前記スラリー排出管の下端は前記上澄み排出管の下端よりも低い位置にあることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
さらに、前記回収ポット内の前記スラリー排出管と前記上澄み排出管の間に設けられた仕切部材を有し、前記仕切部材の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記上澄み排出管は前記処理水排出管に接続されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記上澄み排出管から分岐し、前記上澄み排出管と前記送水ポンプの上流ラインとの間に接続された上澄み返送ラインと、
前記上澄み返送ラインが前記上澄み排出管から分岐するところに設けられ、前記上澄み排出管と前記上澄み返送ラインとの間で流路を切り替える切替弁と、
を有することを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
さらに、前記上澄み排出管の下流ラインに接続された第2の遠心分離機を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記第2の遠心分離機の上流の前記上澄み排出管に設けられた薬剤注入装置および撹拌装置を有することを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の回収ポットが直列に接続され、前記複数の回収ポットのうち下流の回収ポットは上流の回収ポットよりも容積が小さいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
複数の回収ポットが直列に接続され、前記複数の回収ポットのうち下流の回収ポットは上流の回収ポットよりも容積が大きいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記送水ポンプに対して複数の遠心分離機が並列に接続され、前記複数の遠心分離機のそれぞれに設けられた複数のスラリー排出管が1つの回収ポットに挿入されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記回収ポット内の前記複数のスラリー排出管と前記上澄み排出管の間に前記複数のスラリー排出管を囲むように設けられた仕切部材を有し、前記仕切部材の下端と前記回収ポットの底部との間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記仕切部材に貫通孔が開けられていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
固形物を含む原水を旋回させて遠心分離させ、前記固形物を含むスラリーを外部へ排出するスラリー排出管を下部に有し、処理水を外部へ排出する処理水排出管を上部に有する遠心分離機と、
原水を貯留する原水槽と、
前記原水槽の原水を前記遠心分離機へ圧送する送水ポンプと、
前記スラリー排出管の途中に取り付けられ、前記スラリー排出管の内径より大きい内径を有し、前記スラリー排出管内を流下するスラリーの流速を減じるスラリーポットと、
前記スラリー排出管が挿入され、前記スラリー排出管から排出されるスラリーに含まれる固形物をスラッジの形態で沈降させる回収ポットと、
前記回収ポットの上部に挿入され、前記回収ポット内の上澄み水を排出する上澄み排出管と、
前記回収ポットの下部に沈降したスラッジを排出するためのスラッジ排出管と、
を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項13】
前記スラッジ排出管に設けられ、前記回収ポット内のスラッジを吸引排出するスラッジ排出ポンプと、
前記処理水排出管を流れる処理水の濁度を測定する濁度センサと、
前記濁度センサからの測定信号に基づいて前記スラリー排出ポンプの駆動を制御する制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記スラリー排出管の下端が前記回収ポットの底部から離れて配置されていることを特徴とする請求項12または13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記回収ポットは、内径が漸次縮小する縮径下部と、前記縮径下部に開口し、かつ前記スラッジ排出管に連通する排出口と、を有することを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記スラリーポットは、内径が漸次縮小する縮径下部と、前記縮径下部に開口し、かつ前記スラリー排出管に連通する排出口と、を有することを特徴とする請求項12ないし15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記スラッジ排出ポンプの後段に設けられ、前記回収ポットから排出されるスラッジを脱水する脱水機をさらに有することを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記遠心分離機の前段に設けられ、前記原水槽から前記遠心分離機に送られる原水に凝集剤を注入するとともに凝集剤を撹拌する機能を有する薬剤注入ユニットをさらに有することを特徴とする請求項12ないし17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記スラッジ排出ポンプの駆動により前記回収ポットから送られるスラッジを前記原水槽に返送するスラッジ返送ラインをさらに有することを特徴とする請求項12ないし18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記回収ポット内にスラッジの浮遊を防止するための邪魔板をさらに有することを特徴とする請求項12ないし19のいずれか1項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−192402(P2012−192402A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38842(P2012−38842)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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