説明

土工作業機械の進行方向を制御する方法及び装置

【目的】土工作業具を有する土工作業機械の進行方向を制御する方法及び装置を提供する。
【構成】方法及び装置は、機械の所望のヘッディングを求めること、機械の実際のヘッディングを求めること、所望のヘッディングの関数としての機械がたどる直線通路を求めること、実際のヘッディングの所望のヘッディングからの変位置を求めること、変位置の関数として作業具の所望のチルト角を求めること、及び作業具のチルト角を所望のチルト角に制御しこれに応答して機械を直線通路上に操舵することを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には土工作業機械の進行方向を制御する方法及び装置に関し、より詳細には、土工作業機械の動作を所望の直線方向に維持するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
履帯式トラクタのような土工作業機械は、排土または整地工程の一部として土壌をある距離にわたって押送したり運んだりするのに使用される。一般に、土工作業機械を開始地点から所望の目的地点まで比較的直線的に動かすことが望まれる。しかし、巨岩や異なった土壌タイプ、例えば粘土、砂等のような押送される土壌の特質によって、機械のブレードに不均等な力が働く。これらの不均等な力は機械を所望の直線とは違った方向に押し、土工作業機械を所望の進行方向から変位置させがちである。加えて、土工作業機械の片方の履帯がスリップすることによって機械が所望の進行方向から変位置することがある。
【0003】
米国特許第5,487,428号において、ヤマモト他は、ブルドーザが所望の直線進行方向から変位置させられる力を受けることによって、ブルドーザのヨーが変化したことを測定し、その測定に応じてブルドーザの操舵を制御するように、ブルドーザのブレードを傾斜させるシステムを開示している。しかし、機械のヨーは所望の進行方向を示さず、したがってオペレータは操舵の補償が行われた後に、新しい所望の直線を決定しなければならない。ブルドーザが所望の直線通路を確実に動き続けるようにする責任は、依然として機械のオペレータの役割とされる。加えて、ヨーが検出されるまでに、機械は既に所望のコースから相当程度外れて移動していることもある。機械の所望の直線通路をより敏速な応答方式で、かつオペレータの積極的な介入を必要とせずに維持することが望ましい。
【0004】
多くの努力が、土工作業機械の多様な機能を自動化または半自動化する方向へ進められてきた。例えば、米国特許第5,560,431号において、ストラットン(Stratton)は、機械によってなされる仕事を最適化するために、運搬される土壌の中へ入れる土工作業機械のブレードの深さを制御するシステムを開示している。地上速度、履帯のスリップ、地面の傾斜、角度割合、及びブレードの先端位置等のパラメータを監視し、次いでブレードの最適な高さを求め、その高さにする。ストラットンによって開示された発明は、最適機械性能と信じられるものを得るためにブレードを上げ下げし続ける責任からオペレータを解放する。しかし、オペレータは、依然として機械の直線的な所望の進行通路を監視し、機械によって押送される土壌が所望の目的地点へ向かうように絶え間ない操舵調整をしなければならない。機械の直線操舵を自動化機能にし、かつストラットンによって開示されたようなブレード負荷最適化システムと共に機能させることができるシステムは、効率的な自動化または半自動化された土工作業機械を目指す好ましい付加システムであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記で説明したような問題を1つあるいはそれ以上克服することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1態様において、土工作業具を有する土工作業機械の進行方向を制御する方法が開示される。本方法は、作業現場の座標において、前記機械がたどるべき所望の直線通路を定めること、該直線通路に沿って機械を進行させるために必要な、機械の所望のヘッディングを求めること、機械位置判定システムを使用して機械の実際のヘッディングを求めること、所望のヘッディングからの実際のヘッディングの変位値を求めること、該変位値に基づいて、機械を所望の直線通路に沿って進行させるように該機械を該直線経路に復帰させるために必要な作業具の所望のチルト角を求めること、作業具のチルト角を所望のチルト角に制御し、これによって直線通路からの機械の変位を修正し、座標における直線通路上を機械が進行するように該機械を操舵する、諸段階を含んでいる。
本発明の方法は、さらに、前記土工作業機械の横揺れ角を求めることと、該横揺れ角に基づいて作業具の所望のチルト角を制限し、該作業具のチルト角を所望のチルト角に制御する段階を含むことができる。
【0007】
本発明の別の態様において、土工作業具を有する土工作業機械の進行方向を制御する装置が開示される。該装置は、土工作業機械に取り付けられた機械位置判定システムと、該機械位置判定システムから土工作業機械の位置及びヘッディングに関する情報を含む機械位置情報を受け取り、この機械位置情報の関数として作業現場の位置座標における機械のたどる直線通路を求め、機械の実際のヘッディングと該機械が該直線通路をたどるために必要な所望のヘッディングとの間の変位値を求め、該機械を該所望の直線通路に沿って進行させるように該機械を直線経路に復帰させるために必要な作業具の所望のチルト角を上記の変位値の関数として求めるための、土工作業機械に取り付けられたヘッディングコントローラと、該ヘッディングコントローラから所望のチルト角を受け取り、これに応答して作業具のチルト角を該所望のチルト角に制御するための、土工作業機械に取り付けられたチルトコントローラとを備える。
【0008】
本発明の装置は、さらに、左の傾斜シリンダに取り付けられた左の傾斜シリンダ圧力センサと、土工作業機械の横揺れ角を求める横揺れ角シリンダ圧力センサを含み、ヘッディングコントローラが、該横揺れ角に基づいて所望のチルト角信号を制限するように構成することができる。また、チルトコントローラが、所望のチルト角信号の受信に応じて作業具のチルト角を制御するように構成することもできる。さらに、チルトコントローラは、その出力信号を所定の範囲に制限するする構成にすることもできる。
【発明の効果】
【0009】
上記により、本発明は上記した課題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を使用するのに適した土工作業機械の概略図である。
【図2】本発明の実施形態を示すブロック線図である。
【図3】本発明の実施形態を示す制御ループ線図である。
【図4】本発明の別の実施形態を示す制御ループ線図である。
【図5】本発明の形態を示す流れ図である。
【図6】本発明の別の形態を示す流れ図である。
【図7】本発明の適用例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面、特許請求の範囲及び明細書に示すように、本発明は、土工作業具104を有する土工作業機械102の進行方向を制御する方法及び装置100である。
特に図1を参照すれば、土工作業機械102は履帯式トラクタとして示されている。履帯式トラクタは土壌掘削運搬ブレードの形で土工作業具104を備えている。ブレードを備えた履帯式トラクタは通常開始地点から目的地点まで土壌を掘削して押送するのに使用される。
しかし、同様なまたは他のタイプの土工作業具104を備えた他のタイプの土工作業機械102にも、本発明は使用できることが解る。例えば、ブレードを備えたモータグレーダ、バケットを備えたローダ、及び農作業具を備えた農業機械に、本発明を用いることができる。
【0012】
典型的には、土工作業機械102は、機械102及び作業対象の土壌に対する土工作業具104の相対的位置を制御する。例えば、図1の機械102は、油圧シリンダを使用して作業具104の位置を制御する。図1は、作業具104を上げ下げするのに使用される作業具リフトシリンダ106を示す。典型的には、図1に示されたタイプの機械102は、1つ以上のリフトシリンダ106、例えば作業具104の左端及び右端に対して間隔を空けた位置に取り付けられた2つのリフトシリンダ106、を備えている。作業具傾斜シリンダ108は、土工作業具104を傾斜するのに使用される。典型的には、図1に示されたタイプの機械102は、1つ以上の傾斜シリンダ108、例えば作業具104の左端及び右端に対して間隔を空けた位置に取り付けられた2つの傾斜シリンダ108、を備えている。作業具リフトシリンダ106は作業具104を上げるように構成され、作業具傾斜シリンダ108は作業具104の左端または右端の一方を傾斜するように、すなわち作業具104の一端を作業具104の他端に対し相対的に上げるかまたは下げるように構成されている。
図1に示したシリンダ構成は、本発明において使用することが可能な1つの構成を示している。他のタイプの作業具制御配置も本発明の精神を変位置することなく用いることができる。
【0013】
次ぎに図2には、本発明の好ましい実施形態を図示するブロック線図が示されている。機械102に取り付けられる制御システム202は、本発明に関連した機械102の操作を制御するようになっている。制御システム202は、ヘッディングコントローラ204及びチルトコントローラ206を備えているものとして示されている。1実施形態においては、ヘッディングコントローラ204とチルトコントローラ206とは、互いに情報を交換し合う独立したコントローラである。しかし、ヘッディングコントローラ204とチルトコントローラ206とは、ヘッディングコントローラ204及びチルトコントローラ206の独立した仕事を実行するようにされている1つのコントローラの部分であっても良い。
【0014】
機械102上に取り付けられた機械位置決めシステム208は、位置座標において機械102の位置及びヘッディングを求めるようになっている。好ましくは、機械位置決めシステム208は地球投影位置決定衛星(GPS)システムである。しかし、他のタイプの位置決めシステム、例えばレーザプレーン、推測航法、及びシステムの組み合わせも同様に使用することができる。位置決めシステムの使用は当業界では公知であり、これ以上議論しない。
【0015】
機械横揺れ角センサ210、すなわち機械102の水平基準面に対する相対的な横揺れ角を求めるセンサは、本発明を用いて任意選択的に使用しても良い。機械横揺れ角センサ210の使用は、以下でさらに詳しく説明する。
【0016】
図1の例示的な作業具シリンダ配置に関連して、左右のシリンダ位置センサが図2に示されている。1実施形態において、左右のリフトシリンダ位置センサ212、214が作業具リフトシリンダ106の位置を求めるのに使用される。他の実施形態において、左右の傾斜シリンダ位置センサ216、218が作業具傾斜シリンダ108の位置を求めるのに使用される。
左右のシリンダ位置センサは、電磁、高周波、赤外線、リゾルバ、摺動ポテンショメータ等を含む多様なタイプのどれであっても良いが、これらに限られるわけではない。
以下にさらに詳細に論じられる本発明の他の実施形態において、左の傾斜シリンダ圧センサ220及び右の傾斜シリンダ圧センサ222を使用しても良い。左右の傾斜シリンダ圧センサ220、222は、ひずみゲージ、油圧圧力センサ等を含む、傾斜シリンダ108に加えられる力を求めるのに適した多様なタイプのセンサのどれであっても良い。
【0017】
さて図3を参照すると、本発明の好ましい実施形態を図示する制御ループ線図が示されている。2つの制御ループが示されている。第一の制御ループはヘッディングコントローラ204の制御操作を表している。この第一の制御ループから出たコマンド信号は、チルトコントローラ206の制御操作を表す第二の制御ループに伝達される。
所望のヘッディング及び実際のヘッディングがヘッディングコントローラ204に入力される。好ましくは、所望のヘッディングは、機械102の進行開始時にオペレータによって定められる。また、所望のヘッディングは、ある仕事をするようにとの命令を与えられ、それからそれに応答して作業を実行するのに必要な所望のヘッディングを求める遠隔制御または自動システムによって定めても良い。
【0018】
好ましい実施形態において、実際のヘッディングは、周期的または連続的に働く機械位置決めシステム208によって求められる。
所望のヘッディングと実際のヘッディングとの間の誤差信号は、実際のヘッディング信号から出る好ましくないノイズ要素を濾過除去するようにしたフィルタ302に伝達される。例えば、機械位置決めシステム208から出る過渡信号及びノイズは、精確な誤差信号を維持するために濾過除去する必要がある。
【0019】
濾過された誤差信号は、それからヘッディングコントローラ204に伝達される。1実施形態では、ヘッディングコントローラ204は制御ループ内でPIDネットワーク304を使用する。PIDネットワーク304を使用する利点はPIDネットワーク304の比例利得を変更することによって許容ヘッディング誤差を調整し得ることである。より大きな制御が必要な状況においては、より小さな許容ヘッディング誤差によって土工作業機械102を大きく制御することができる。しかし、より小さく制御することが必要であれば、大きな許容ヘッディング誤差をヘッディングコントローラ204によって必要とされる制御作用の大きさに減少させるようにすることができる。
【0020】
他の実施形態において,PIDネットワーク304はファジー論理ネットワーク(図示せず)で代替しても良い。ファジー論理ネットワークはPIDネットワークと同様な結果をもたらすが、制御作用は小さい。しかし、許容ヘッディング誤差を調整するようにファジー論理ネットワークを調節することは、より行うのが難しい。
本発明の精神を変位置することなく、PIDネットワーク304の代わりに他のタイプの制御ネットワークを使用することができる。PID及びファジー論理ネットワークは当業界では公知であり、これ以上議論する必要はあるまい。
【0021】
傾斜リミッタ306は、土工作業具104の許容傾斜量を制限するために使用することができる。例えば、履帯式トラクタのブレードの傾斜を、ブレードに好ましくない負荷がかかるのを避けるために、僅か+/−4.5度に制限することが望ましいことがある。
【0022】
任意選択的に、土工作業機械102の横揺れの角度を求めるために、例えば、機械102は傾斜した表面上に位置する場合があるので、機械横揺れ角センサ210を使用する。機械102の横揺れ角は、次ぎに作業具104の許容傾斜量にさらに制限を加えるために使用することができる。例えば、もし機械102が傾斜した表面上にある場合、機械102が傾斜した表面上で過度に転換しないように、ブレード傾斜の許容量を減少することが望ましいことがある。
【0023】
ヘッディングコントローラ204は、所望のチルト角コマンド信号を発信するようになっている。所望のチルト角コマンド信号は、チルトコントローラ206に伝達され、作業具104の実際のチルト角と比較される。
所望のチルト角と実際のチルト角との差、すなわちチルト角誤差信号が、チルトコントローラ206の制御ネットワーク、好ましくはPIDネットワーク308に伝達される。しかし、他のタイプの制御ネットワーク、例えばファジー論理ネットワーク等も使用することができる。
チルトコントローラPIDネットワーク308から出される出力信号は、傾斜システム312に、好ましくは電流リミッタ310を介して伝達される。電流リミッタは、過剰な電流が油圧傾斜システムの電動式油圧装置に印加されるのを防止する。例えば、電流リミッタ310によって、+/−1アンペアを超えない電流のみが傾斜システム312へ伝達されることができる。
【0024】
傾斜システム312は、土工作業具104の動作を制御するのに必要な油圧装置及び電動式油圧装置を含む。より詳細には、傾斜システム312は、作業具リフトシリンダ106及び作業具傾斜シリンダ108の操作を制御するようになっており、それらが順次、作業具104の動作を制御する。
左右のリフトシリンダ位置センサ212、214、及びそれらに代えて、左右の傾斜シリンダ位置センサ216、218が監視され、対象となるシリンダの動作の量を求める。好ましい実施形態において、左右のリフトシリンダ106が検出される。典型的には、リフトシリンダ106は他の目的のために既に、例えば電磁センサ技術を駆使したセンサ212、214を組み込んでいる。したがって、センサ212、214が既に機械102上に存在していることがあり、それで余分なセンサを付加する費用が節約される。加えて、作業具リフトシリンダ106に一般的に使用される形式のセンサは、比較的ノイズの干渉に強く、作業具傾斜シリンダ108用に機械102に付加されるセンサよりも信頼性があり故障が無い。
【0025】
シリンダ位置をブレード傾斜位置情報に変換するために使用される変換器314は、作業具104の位置をシリンダ位置の関数として求めるために使用される。ブレード傾斜位置情報は、所望のチルト角と比較するためにチルトコントローラ206の入力へと返送される。
【0026】
次ぎに図4には、本発明の他の実施形態が制御線図として表されている。この実施形態は、例えば機械位置決めシステム208が機械102の実際のヘッディングを求められない時に短期間、例えば十分な数のGPS衛星が利用できないような期間に、用いることができる。また、ヘッディング情報に基づいた制御システムの性能を高め補強するために別の実施形態を用いても良い。
【0027】
T秒ごとの間隔で、左右の傾斜シリンダ圧220、222が求められる。これらの圧力は、例えば左右の傾斜シリンダ108に掛かる力を、例えば、ひずみゲージ、油圧センサ等のセンサを使用して検出することによって求めることができる。
左右の傾斜シリンダ圧220、222は、機械102が直線通路から変位置していることを示す力の差を求めるために比較器402によって互いに比較される。較差信号はヘッディングコントローラ204に伝達され、そこで作業具チルト角が図3に説明された制御システムによって制御される。
【0028】
所望のチルト角コマンド信号は、シリンダを求めるために使用されるT秒より小さな時間間隔になるように選択されたt秒間隔でチルトコントローラ206に伝達される。このことは、圧力側定時の過渡信号を定常状態値に対応して平滑化することを可能にし、したがって、作業具104のチルト角の一層精確な制御を可能にする。例えば、時間間隔tは時間間隔Tのほぼ2分の1にすればよい。
【0029】
次ぎに図5には、本発明の好ましい方法を図示する流れ図が示されている。
第1の制御ブロック502において、機械102の所望のヘッディングが求められる。所望のヘッディングは、機械102に搭乗するオペレータによって定めることができ、或いは、遠隔操作によって定めることもできるし、また当業界で公知の手段によって自動的に定めることもできる。
【0030】
第2の制御ブロック504において、土工作業機械102の実際のヘッディングが求められる。好ましくは、実際のヘッディングは、GPSのような機械位置決めシステムを使用して求められる。しかし、実際のヘッディングは別に、上述したように左右の傾斜シリンダ108間の力の差を比較することによって求めることができる。
【0031】
制御は次ぎに第3の制御ブロック506に進み、ここでは、機械102の直線通路が求められる。土壌掘削運搬用ブレードを備えた履帯式トラクタを使用した例では、土中に掘り進み、次いで運搬モードに切り替えて、土を開始地点から直線距離にある目的地点へブレードによって押送することが通常望ましい。
【0032】
第4の制御ブロック508では、機械102の実際のヘッディングが所望のヘッディングと比較され、何らかの変位置があれば、その変位値が求められる。所望のヘッディングからの変位置は、機械102が前もって定められた直線通路から変位置し始めたときとして定義される。変位置は、例えばもし作業具104が大きな岩に遭遇したら生じるような不均等な力に遭遇すると生じる可能性がある。さらに、機械102は、もし機械102の左または右の履帯が、湿った、または砂地の地域等の土壌の特質の相違のために滑り始めると、所望のヘッディングから変位置する可能性がある。
【0033】
第5の制御ブロック510では、ヘッディングコントローラ204が、所望のヘッディングからの何らかの変位置を補償するために機械102の操舵を補正する、所望のチルト角を求める。
【0034】
制御は、次ぎに第6の制御ブロック512に進み、ここでは、作業具104のチルト角が、機械102が所望の直線通路へ操舵して戻ることができるように制御される。好ましくは、チルトコントローラ206が応答的に作業具104のチルト角を制御するリフト及び傾斜シリンダ106、108に必要な制御を供給する。
【0035】
さて図6を参照すれば、本発明の他の実施形態を図示する流れ図が示されている。
第1の制御ブロック602では、左の傾斜シリンダ108にかかる圧力が求められる。第2の制御ブロック604では、右の傾斜シリンダ108にかかる圧力が求められる。第3の制御ブロック602では、左右の傾斜シリンダ圧が比較される。
【0036】
第4の制御ブロック608では、所望の作業具チルト角は左右の傾斜シリンダ108間の圧力差の関数として求められる。制御は次ぎに第5の制御ブロック610に進み、ここで作業具104のチルト角が機械102を所望の直線通路に沿って操舵するように所望のチルト角に対応して制御される。
【0037】
本発明の適用の例として、図7は土工作業機械102が進もうとする所望の直線通路702を示している。土工作業機械102は位置Aで開始位置にあることが示されている。この第1の位置では、機械102は直線通路702上にあり、機械102のヘッディングは機械102の前進動作によって機械102が直線通路702に沿って進行するように向いている。
【0038】
しかし位置Bにおいては、機械102は直線通路702の左方へ変位置していて、もしそうするままにしておけば望ましくないヘッディングで進み続けるであろうことを示している。図7において機械102の示されている位置は、正しい縮尺で描かれているのではなく、実際には明瞭に図示するために誇張してあることを言っておかなければならない。好ましい実施形態において、ヘッディングの変位置は誤差を僅かに0.5度で補償することが望ましい。この補償によって、土工作業機械102は本質的に所望の直線通路702上にとどまるであろう。
【0039】
位置Cにおいて、機械102は直線通路702からのヘッディングの変位置を補正する過程を開始しており、直線通路702へ戻りつつあることを示している。好ましくは、この補償は、作業具104の右端を、好もしくは僅かに5度のブレード傾斜により土中に下ろすことによって達成され、機械102は作業具104の下げられた部分の周りに緩やかに旋回し、進行方向を右に変える。
【0040】
位置Dにおいて、機械102は、何らかの力が機械102を再び所望のヘッディングから変位置させるまで、機械102が直線通路702に沿って進み続けるようにするヘッディングで所望の直線通路702上へと戻っていることを示している。位置Cから位置Dへと移っていくには、機械102を漸次所望のヘッディングに戻らせる追加のブレード傾斜コマンドをおそらく必要とするであろう。例えば、正味の結果として機械102が最終的に所望のヘッディングになるように、作業具104の左端を位置Cにおける初期補償を再補償するように土中へ傾斜し、機械102のヘッディングを左へシフトすることがおそらく必要であろう。
本発明のその他の態様、目的、及び特徴は、図面、詳細な説明、及び添付する特許請求の範囲を詳細に検討することによって理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0041】
100 進行方向を制御する方法及び装置
102 土工作業機械
104 土工作業具
106 作業具リフトシリンダ
108 作業具傾斜シリンダ
204 ヘッディングコントローラ
206 チルトコントローラ
208 機械位置決めシステム
210 機械横揺れ角センサ
212 左のリフトシリンダ位置センサ
214 右のリフトシリンダ位置センサ
216 左の傾斜シリンダ位置センサ
218 右の傾斜シリンダ位置センサ
220 左の傾斜シリンダ圧センサ
222 右の傾斜シリンダ圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土工作業具を有する土工作業機械の進行方向を制御する方法であって、
作業現場の座標において、前記機械がたどるべき所望の直線通路を定め、
前記直線通路に沿って前記機械を進行させるために必要な、前記機械の所望のヘッディングを求め、
機械位置判定システムを使用して前記機械の実際のヘッディングを求め、
前記所望のヘッディングからの前記実際のヘッディングの変位値を求め、
前記変位値に基づいて、前記機械を前記所望の直線通路に沿って進行させるように該機械を前記直線経路に復帰させるために必要な前記作業具の所望のチルト角を求め、
前記作業具のチルト角を前記所望のチルト角に制御し、これによって前記直線通路からの前記機械の変位を修正し、前記座標における前記直線通路上を前記機械が進行するように該機械を操舵する、
段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所望のヘッディングからの前記実際のヘッディングの変位を求める段階が、前記土工作業機械の位置を直線通路座標からの変位として求める段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作業具のチルト角が、組をなす作業具リフトシリンダの各々の位置を検出し、これに応答して前記チルト角を計算することによって求められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記作業具のチルト角が、組をなす作業具傾斜シリンダの各々の位置を検出し、これに応答して前記チルト角を計算することによって求められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記土工作業機械の横揺れ角を求め、
前記横揺れ角に基づいて前記作業具の所望のチルト角を制限し、
前記作業具のチルト角を前記所望のチルト角に制御する
段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
土工作業具を有する土工作業機械の進行方向を制御する装置であって、
前記土工作業機械に取り付けられた機械位置判定システムと、
前記機械位置判定システムから前記土工作業機械の位置及びヘッディングに関する情報を含む機械位置情報を受け取り、前記機械位置情報の関数として作業現場の位置座標における前記機械のたどる直線通路を求め、前記機械の実際のヘッディングと前記機械が前記直線通路をたどるために必要な所望のヘッディングとの間の変位値を求め、前記機械を前記所望の直線通路に沿って進行させるように該機械を前記直線経路に復帰させるために必要な前記作業具の所望のチルト角を前記変位値の関数として求めるための、前記土工作業機械に取り付けられたヘッディングコントローラと、
前記ヘッディングコントローラから前記所望のチルト角を受け取り、これに応答して前記作業具のチルト角を前記所望のチルト角に制御するための、前記土工作業機械に取り付けられたチルトコントローラと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記機械位置判定システムが地球投影位置決定衛星(GPS)システムであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記GPSシステムが前記土工作業機械の位置及びヘッディングを求めるようになっている請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ヘッディングコントローラがPIDコントローラであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記ヘッディングコントローラがファジー論理コントローラであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項11】
さらに、複数の作業具リフトシリンダの各々に取り付けられたシリンダ位置センサを含み、前記チルトコントローラが実際のチルト角を前記シリンダ位置センサの関数として測定するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項12】
さらに、前記チルトコントローラが前記実際のチルト角を前記所望のチルト角と比較し、それに応答して前記作業具の前記チルト角を前記所望のチルト角に制御するようになっていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
さらに、複数の作業具傾斜シリンダの各々に取り付けられたシリンダ位置センサを含み、前記チルトコントローラが実際のチルト角を前記シリンダ位置センサの関数として測定するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項14】
さらに、前記チルトコントローラが前記実際のチルト角を前記所望のチルト角と比較し、それに応答して前記作業具のチルト角を前記所望の傾斜に制御するようになっていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記左の傾斜シリンダに取り付けられた左の傾斜シリンダ圧力センサと、
前記土工作業機械の横揺れ角を求める横揺れ角センサを含み、
前記ヘッディングコントローラが、前記横揺れ角に基づいて所望のチルト角信号を制限するようになっている
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項16】
前記チルトコントローラが、前記所望のチルト角信号の受信に応じて前記作業具のチルト角を制御するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項17】
前記チルトコントローラが、その出力信号を所定の範囲に制限するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−36726(P2012−36726A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230414(P2011−230414)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【分割の表示】特願2000−266481(P2000−266481)の分割
【原出願日】平成12年9月4日(2000.9.4)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】