説明

圧力式炊飯器

【課題】 蒸らし工程において加圧手段により鍋内を加圧し、一気に減圧することで鍋内の被炊飯物を攪拌し、おいしいご飯を炊く圧力式炊飯器を提供する。
【解決手段】 被炊飯物が投入される鍋4と、鍋が収納される収納ケース16と、鍋を加熱する加熱手段5と、を有する炊飯器本体2と、炊飯器本体2に開閉自在に装着された蓋体3と、炊飯工程を実行する制御手段と、鍋内を加圧する加圧手段28と、蓋体内に設けられ、炊飯中に発生する蒸気を炊飯器外方へ導出させる蒸気通路26と、おねばを貯留する貯留部38とを備えた炊飯器において、炊飯工程を、鍋内の被炊飯物に水分を吸水させる吸水工程、吸水された被炊飯物を急激に加熱する加熱工程、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰工程、沸騰工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程とに区分し、蒸らし工程時に前記加圧手段28により鍋4内を大気圧以上に加圧し、加圧後一気に減圧して、鍋4内の被炊飯物及びおねばを複数回攪拌するようにした制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力式炊飯器に関するもので、蒸らし工程時に加圧ポンプで鍋内を加圧するものに係る。
【背景技術】
【0002】
炊飯器は、鍋内に米と水とからなる被炊飯物を投入し、この鍋内の被炊飯物を加熱して炊飯するもので、特に圧力式の炊飯器は、この鍋内の被炊飯物を加熱すると共に鍋内を昇圧して炊飯するため、炊飯時は、鍋内が高温で内圧が高くなっている。従来、この種の炊飯器には、炊飯の加熱工程時に生じる蒸気を外部へ逃がすための蒸気口が設けられている。
【0003】
また、炊飯時には、鍋内の被炊飯物が沸騰し吹きこぼれが生じる。この吹きこぼれは、粘り気のある糊状の汁であって、この糊状の汁は旨み成分を含んでおり、通常、「おねば」と呼ばれている(以下、この吹きこぼれを「おねば」という)。この吹きこぼれが、そのまま鍋外へ放出されてしまうと、旨み成分も排出されてしまいご飯が美味しく炊きあがらない。そこで、この吹きこぼれるおねばを貯留する蒸気口ユニットを設けて、この蒸気口ユニットにおねばを一時貯留して置き、加熱工程終了後に鍋内が負圧になったときにおねばを鍋内に戻して美味しく炊きあげる炊飯器が開発されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1に開示された炊飯器は、図6に示すように、炊飯器本体101の蓋体102は、上蓋103、下蓋104及び内蓋105からなり、炊飯器本体101の上部開口部を開閉する。上蓋103には平面形状が略楕円形の凹部からなる収容部103aが設けられており、収容部103aには蒸気口ユニット110が着脱自在に収容される。この収容部103aの底部には、蒸気口ユニット110の連結部114が嵌入する貫通穴103bが設けられている。
【0005】
蒸気口ユニット110は、図7に示すように、開閉自在に取り付けられた下ケース111と上ケース125から構成されており、蒸気入口116、案内筒115、蒸気口128、おねばが溜まる溜まり凹部117、おねば戻し穴119などにより構成されている。
【0006】
炊飯をスタートすると、電磁誘導コイル107の電磁誘導作用によって内釜106が加熱され、内釜106内の水が沸騰するとおねばを含んだ蒸気が発生する。このとき、内釜106の内圧が上昇しているため、蒸気口ユニット110の開閉弁120は、押上げられておねば戻し穴119を閉塞しており、このため、おねばを含む蒸気は蒸気入口116から案内筒115を通って蒸気口ユニット110内に導かれる。案内筒115を出たおねばを含む蒸気は、蒸気口ユニット110内でおねばと蒸気に分離されて蒸気は蒸気口128から外部に放出され、おねばは溜り凹部117に溜る。その後、加熱が停止して内釜106の内圧が低下すると、開閉弁120は、自重及びおねばの重量によって下降し、おねば戻し穴119を開口する。これにより、溜り凹部117内に溜ったおねばは、おねば戻し穴119から内蓋105の凹部105aに設けた蒸気孔105bを介して内釜106内に落下する。
【0007】
また、従来の圧力式炊飯器では、鍋内を密閉し被炊飯物を加熱することによって鍋内の水が蒸発して鍋内に充満し、鍋内の圧力を上げていた。そのため、蒸らし工程など、鍋内の水分がほとんどない状態では、鍋内を密閉して加熱しても大気圧以上に加圧できなかった。
【0008】
そこで、下記特許文献2に開示された調理器は、図8に示すように、電磁誘導加熱される炊飯鍋である調理鍋210を着脱可能に収容する炊飯器本体211と、炊飯器本体211に回動可能に取り付けた蓋体224と、加圧手段であるダイヤフラムポンプ244を用いて、調理鍋210内に加熱手段の加熱によることなく圧力を付与することで、希望時期に調理鍋210内に圧力を投入することができるように改良したものである。特許文献2では、従来鍋内の水分がないため加圧することができなかった蒸らし工程においても、炊飯器本体211の背部に設けた加圧手段である小型のダイヤフラムポンプ244を動作させることによって調理鍋210内を加圧することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3820541号公報
【特許文献2】特開2008−93409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の炊飯器では、内釜106内の内圧が低下し、おねばが内釜106内に戻ってきても、被炊飯物の上部に戻ってくるだけで、内釜106内のご飯にまんべんなく行き渡らないといった問題があった。
【0011】
また、上記特許文献2の調理器についても、蒸らし工程時に加圧手段によって調理鍋210内を加圧することで、粘りのあるご飯を炊き上げることができるが、おねばは鍋内に行き渡らない。
【0012】
本発明は前記の問題を解決し、おねばを鍋内のご飯全体に行き渡らせる圧力式炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記問題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、炊飯工程を実行する制御手段と、前記鍋内を加圧する加圧手段と、前記蓋体内に設けられ、炊飯中に発生する蒸気を炊飯器外方へ導出させる蒸気通路と、おねばを貯留する貯留部とを備えた炊飯器において、前記炊飯工程を、前記鍋内の被炊飯物に水分を吸水させる吸水工程、吸水された被炊飯物を急激に加熱する加熱工程、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰工程、沸騰工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程とに区分し、該蒸らし工程時に前記加圧手段により鍋内を大気圧以上に加圧し、加圧後一気に減圧して、該鍋内の被炊飯物及びおねばを攪拌する動作を複数回行うよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の圧力式炊飯器において、前記蒸らし工程において、前記貯留部より前記鍋内におねばが戻ってきた後に、加圧手段により鍋内を大気圧以上に加圧し、加圧後一気に減圧して、前記鍋内の被炊飯物及びおねばを攪拌するよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の圧力式炊飯器において、前記加圧手段による加圧と、減圧を行う回数を、炊飯量に応じて変更する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
本願の請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器において、前記加圧手段による加圧と、減圧を行う時間を、加圧減圧の回数によって変更する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
本願の請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器において、前記加圧手段による加圧と、減圧を行う時間を、炊飯量によって変更する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
本願の請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器において、前記加圧手段による加圧する圧力値を、加圧減圧の回数によって変更する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蒸らし工程中に、加圧手段を用いて鍋内を大気圧以上に加圧し、加圧後一気に減圧して、該鍋内の被炊飯物及びおねばを攪拌することで、鍋内に戻ってきたおねばを鍋内のご飯にまんべんなく攪拌することができる。また、蒸らし工程中に加圧することで、ご飯の硬さが均一になり、おいしいご飯を炊くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係る圧力式炊飯器の正面図である。
【図2】図2は、図1の圧力式炊飯器の縦断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る圧力式炊飯器の炊飯工程での鍋内の温度及び圧力の変化を示した特性図である。
【図4】図4は、本発明に係る圧力式炊飯器の炊飯工程のフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に係る圧力式炊飯器の炊飯工程のフローチャートである。
【図6】図6は、従来の炊飯器の縦断面図である。
【図7】図7は、従来の炊飯器の蒸気口ユニットの縦断面図である。
【図8】図8は、従来の調理器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための圧力炊飯器を例示するものであって、本発明をこの圧力炊飯器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0022】
まず、図1及び図2を参照して本発明の実施例に係る圧力式炊飯器について説明する。なお、図1は、本発明の実施例に係る圧力式炊飯器の正面図である。図2は、本発明の実施例に係る圧力式炊飯器の断面図であり、左が正面である。
【0023】
圧力式炊飯器1は、炊飯器本体(以下「本体」という)2と本体2を覆う開閉自在の蓋体3とで構成される。本体2には、被炊飯物である米及び水が投入される深底の容器からなる鍋4と、上方にこの鍋4が収容される開口部及び内部にこの鍋4を加熱して被炊飯物を加熱する加熱手段5を有しており、さらに炊飯を制御する制御部(図示省略)と、炊飯メニューを操作する操作部6と、操作された炊飯メニューを表示する表示部7が正面側に設けてある。
【0024】
操作部6は、炊飯メニュー選択ボタン8、炊飯スタート/保温ボタン9、予約ボタン10、取り消しボタン11、十字キー12よりなり、これらの操作ボタンを操作して、使用者の好みのメニューで炊飯を行うように設定することができる。
【0025】
本体2は、有底箱状の外部ケース13と、この外部ケース13に収容される収納ケース14とからなり、外部ケース13と収納ケース14との間に隙間が形成され、この隙間に制御部(制御手段)を構成する制御装置(図示省略)が配設されている。収納ケース14には鍋4が収容される。この鍋4は、例えばアルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。また、この収納ケース14は、側壁上面にある鉄よりなる上ケース15と、側壁下面から底壁にかけて設けた耐熱性樹脂からなる下ケース16より構成されており、その上ケース15及び下ケース16に対向してそれぞれ側面ヒータ17及び加熱コイル18が設けられ、収納ケース14底部に鍋底温度を検知するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ19が設けられている。
【0026】
蓋体3は、一側をヒンジにより本体2に枢着した着脱自在の内蓋20と、外方を覆う外蓋21とで構成されている。また、蓋体3には、線ヒータよりなる蓋ヒータ22、圧力弁23、圧力弁開放機構24、安全弁25、負圧弁(図示省略)、蒸気通路26、圧力弁から導入される蒸気の温度を検知する蒸気温度センサ27、加圧手段28である加圧ポンプ29、ポンプヒータ30が設けられている。
【0027】
圧力弁23は、金属製の調圧ボール31と、台座32、カバー33からなり、圧力弁開放機構24は、調圧ボール31を強制的に移動させるソレノイドからなり、電磁コイルが巻回されたシリンダ34と、このシリンダ34内を電磁コイルの励磁により移動させるプランジャ35と作動棹、バネで構成されている。
【0028】
圧力弁23の台座32は中心に孔36が開けられており、鍋4内の加圧時は調圧ボール31が自重により台座32の真ん中に収まり、孔36を塞いで安定するように設計されている。調圧ボール31が孔36を塞いでいるときは、鍋4と内蓋20とは、内蓋20の周囲に取り付けられているパッキン37と圧力弁23の調圧ボール31とで密閉されている。プランジャ35は、制御部により制御されて密閉状態を解除する際に調圧ボール31を台座32の孔36の上から押しのける。
【0029】
また、蓋体3には、鍋4内の蒸気圧が所定圧力以上の異常圧力に上昇したときに、鍋4内の圧力を外部に逃がす安全弁25が設けられている。また、この蓋体3の蒸気通路26には、圧力弁23よりも噴出口側の位置に、温度センサである蒸気温度センサ27が取り付けられている。
【0030】
38はおねばタンクで、蓋体3の上方に蒸気通路と連通して着脱自在に設けられ、炊飯時に発生するおねばを貯留する。そのため、おねばタンク38の内部は蒸気とおねばとを分離させるために上下から分離構造を設けた多層構造となっており、噴出口39からは蒸気のみがでるようになっている。おねばは、加熱工程、沸騰工程でおねばタンク38に溜まり、蒸らし工程で、鍋4内の圧力が低下すると、負圧弁(図示省略)より、鍋4内に還元される。
【0031】
圧力弁開放機構24は、制御装置により制御される。すなわち、制御装置からの指令に基づき、電磁コイルが励磁されるとプランジャ35がシリンダ34内に引き込まれ、この引き込みにより調圧ボール31が自重により台座32上に戻り、孔36が調圧ボール31で閉塞される。また、電磁コイルへの励磁がストップされると、プランジャ35がバネの付勢力によりシリンダ34から飛出して、調圧ボール31を所定方向に押し出す。この押し出しにより、調圧ボール31は、台座32上で移動し孔36を強制的に開放させる。
【0032】
炊飯工程は、図3から図5に示すように、鍋4内の被炊飯物に水を吸わせる吸水工程Iと、この吸水した被炊飯物を急激に加熱する加熱工程IIと、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰工程IIIと、この沸騰工程III後に被炊飯物を所定時間蒸らす沸騰工程IIIとに分けられる。なお、図3は炊飯工程における鍋底温度センサ温度(鍋底温度)曲線(太線)及び鍋内圧力曲線(細線)と、各加熱手段及び圧力弁並びに加圧手段の作動状況を相関的に示す説明図である。
【0033】
吸水工程I(S301)では、吸水温度は所定の温度、例えば60℃前後の温度に一定時間、例えば15分間維持し、米が水を吸いやすい温度に制御されている。なお、この吸水工程Iでは、圧力弁23は開放されている。
【0034】
次に、吸水工程Iが終了すると、加熱工程II(S302)に移行する。この加熱工程では、炊飯量の量判定を行う(S303、S304)。炊飯量を判定し、判定した炊飯量に応じて、加熱工程II以降の工程で、炊飯量によって制御条件を変える。加熱工程IIでは、圧力弁23は閉じられ、加熱手段5はフルパワーで加熱を行い、鍋4内の温度は急に上昇する。そのとき、鍋4内は圧力弁23とパッキン37によって密閉されているため、鍋4内の圧力が上昇し、加圧状態となる。
【0035】
加熱工程IIが終了すると、沸騰工程III(S305)に移行する。沸騰工程IIIでは、加熱コイル18への通電及び圧力弁23の開閉が所定時間間隔で行われる。すなわち、圧力弁開放機構24の制御により圧力弁23の開閉が行われ、この圧力弁23の開閉は、この沸騰工程IIIの初期段階に1回乃至数回行われる。圧力弁23の開成により、鍋4内の圧力は、1.2気圧の加圧状態から略大気圧近傍まで一気に低下する。この圧力変化により、鍋4内が激しく沸騰する、いわゆる突沸現象が発生する。
【0036】
この突沸現象により、鍋4内の米粒などの被炊飯物が攪拌される。特に、沸騰工程IIIの初期段階に圧力弁23の開閉が行われると、この段階では鍋4内の水が多いので米粒は効率よく攪拌される。一方、加熱コイル18への通電は、圧力弁23の開閉に同期してオン/オフされる。すなわち、圧力弁23が閉成されているときは加熱コイル18への通電がオンされ、開成のときオフされる。なお、加熱コイル18への通電は、圧力弁23の開閉と非同期でもよい。
【0037】
沸騰工程IIIのうち、鍋4内の水がなくなると、鍋4の温度が130℃に上昇する(S306、S307)。この温度上昇により、沸騰中の鍋4内の水がなくなり強制的なドライアップとなる(S308)。ドライアップを検出すると、加熱コイル18への通電を停止して蒸らし工程IVへ移行される(S309)。このとき、圧力弁23は閉じられている。蒸らし工程IVでは、加熱工程IIでメモリした炊飯量を読み出し、量によって異なる条件で炊飯制御を行う。
【0038】
蒸らし工程IVへ移行すると、タイマーカウントが開始され(S310、S311)、一定時間、例えば4分間圧力弁23は閉じられる(S312、S313)。一定時間経過後、圧力弁23は開成される(S314、S315)。また、蒸らし工程IVに移行すると、加熱手段5は、蓋ヒータ22を除いて通電がオフされる。通電がオフされることで、鍋4内の温度が下がり、温度が下がることにより鍋4内の圧力も下がる。そのとき、圧力弁23が開成されると、負圧弁(図示省略)の作用により、おねばタンク38に溜まっているおねばが鍋内に還元される。
【0039】
おねばが鍋内に還元されると、蒸らし工程IVの中の追い炊きへと移行する(S316)。追い炊きでは、加熱工程IIでメモリした炊飯量を読み出し(S317)、圧力弁23を閉じて(S318)所定時間加熱コイル18に通電及び加圧手段28を構成する加圧ポンプ29、ポンプヒータ30をオンさせ(S319)、鍋4内の温度を上昇させるとともに鍋4内を加圧状態にする。所定時間経過後、加熱コイル18及び加圧手段28への通電をオフし、同時に圧力弁23を開いて一気に鍋4内の圧力を抜く。鍋4内の圧力を抜くことで、ご飯及びおねばが攪拌され、おねばがご飯全体に混ざる。この加熱コイル18及び加圧手段28への通電のオン及び圧力弁23を閉じる時間と、加熱コイル18及び加圧手段28への通電をオフ及び圧力弁23を開ける時間とを比べると、加熱コイル18及び加圧手段28への通電をオフ及び圧力弁23を開ける時間の方が長くなるほうが好ましい。
【0040】
次に炊飯量に応じて、所定時間経過後、再び加熱コイル18への通電をオンにし、圧力弁23を閉じて、加圧手段28を駆動することにより鍋4内へ熱風を送風する。加圧ポンプ29及びポンプヒータ30の作用により、鍋4内に水分が少ない状態であっても鍋4内を加圧することができる。次いで加圧状態から、圧力弁23を開くことで、鍋4内の圧力が一気に抜けて、鍋4内のご飯及びおねばが攪拌される。
【0041】
この場合、炊飯量によって加圧手段28へ通電のオン/オフし、圧力弁を開閉させる回数を変更する。本実施例の場合は、小容量を炊飯するときには1回(S320、S321)、中容量を炊飯するときには3回(S322、S323)、大容量を炊飯するときには5回(S324、S325)とした。炊飯量によって圧力弁を開閉させる回数を変更することにより、炊飯量が多い場合でも充分に攪拌することができる。
【0042】
追い炊きが終了すると保温工程に移行し(S326)、炊飯工程が終了する。
【0043】
加圧手段28による鍋4内の加圧動作を複数回行うことで、よりおねばが攪拌され、また、鍋4内で被炊飯物が攪拌されるため焦げ付きにくい。実施例では、追い炊きの最初の加圧から、加圧手段28を用いているが、追い炊きの最初の加圧は加圧手段28を用いずに炊飯してもよい。
【0044】
加圧手段28による加圧動作は、複数回行う場合にそれぞれの時間を変えてもよい。例えば、1回目の加圧動作の時間は40秒、2回目の加圧動作の時間は30秒、3回目の加圧動作の時間は20秒等としてもよい。時間を変えることで、水分を蒸発させる量を調整できる。
【符号の説明】
【0045】
1:圧力式炊飯器
2:炊飯器本体(本体)
3:蓋体
4:鍋
5:加熱手段
23:圧力弁
24:圧力弁開放機構
25:安全弁
26:蒸気通路
28:加圧手段
29:加圧ポンプ
30:ポンプヒータ
38:おねばタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物が投入される鍋と、該鍋が収納される収納ケースと、前記鍋を加熱する加熱手段と、を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に開閉自在に装着された蓋体と、炊飯工程を実行する制御手段と、前記鍋内を加圧する加圧手段と、前記蓋体内に設けられ、炊飯中に発生する蒸気を炊飯器外方へ導出させる蒸気通路と、おねばを貯留する貯留部とを備えた炊飯器において、
前記炊飯工程を、被炊飯物に水分を吸水させる吸水工程、吸水された被炊飯物を急激に加熱する加熱工程、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰工程、沸騰工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程とに区分し、該蒸らし工程時に前記加圧手段により鍋内を大気圧以上に加圧し、加圧後一気に減圧して、該鍋内の被炊飯物を攪拌する動作を複数回行うよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする圧力式炊飯器。
【請求項2】
前記蒸らし工程において、前記貯留部より前記鍋内におねばが戻ってきた後に、加圧手段により鍋内を大気圧以上に加圧し、加圧後一気に減圧して、前記鍋内の被炊飯物及びおねばを攪拌するよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧力式炊飯器。
【請求項3】
前記加圧手段による加圧と、減圧を行う回数を、炊飯量に応じて変更する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器。
【請求項4】
前記加圧手段による加圧と、減圧を行う時間を、加圧減圧の回数によって変更する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器。
【請求項5】
前記加圧手段による加圧と、減圧を行う時間を、炊飯量によって変更する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器。
【請求項6】
前記加圧手段による加圧する圧力値を、加圧減圧の回数によって変更する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の圧力式炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−240197(P2010−240197A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93000(P2009−93000)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】