圧縮機
【課題】省スペース化を図る共に製造コストを抑制する圧縮機を提供する。
【解決手段】ハウジング25には、ベーン6の回動軸10の一部を配置するように内部流路5の周囲に位置する内部空間18を備え、
内部空間18には、弾性手段20と、弾性手段20により付勢される受け部21と、ベーン6の回動軸10に接続され且つ受け部21の摺動面23に摺動し得る伝達部材24とを備え、
吸気の流量が変化してベーン6を開く場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、ベーン6を回動させて回動軸10の回転力により伝達部材24及び受け部21を介して弾性手段20を押し込み、
吸気の流量が変化してベーン6を閉じる場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段20を反発させて弾性体の弾性力により受け部21及び伝達部材24を介してベーン6を逆方向に回動させるように構成する。
【解決手段】ハウジング25には、ベーン6の回動軸10の一部を配置するように内部流路5の周囲に位置する内部空間18を備え、
内部空間18には、弾性手段20と、弾性手段20により付勢される受け部21と、ベーン6の回動軸10に接続され且つ受け部21の摺動面23に摺動し得る伝達部材24とを備え、
吸気の流量が変化してベーン6を開く場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、ベーン6を回動させて回動軸10の回転力により伝達部材24及び受け部21を介して弾性手段20を押し込み、
吸気の流量が変化してベーン6を閉じる場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段20を反発させて弾性体の弾性力により受け部21及び伝達部材24を介してベーン6を逆方向に回動させるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に圧縮機は、タービンインペラとコンプレッサインペラを同一回動軸上に配置し、タービンインペラの回転駆動によってコンプレッサインペラを回転させ、内燃機関の性能向上を図るようにしている。
【0003】
図9に示す如くコンプレッサインペラ1は、コンプレッサハウジング2内に配置されており、コンプレッサハウジング2は、コンプレッサインペラ1の回転による遠心力の作用により、流路内に吸い込んだ吸気をディフューザ3a、スクロール通路3b等へ送給し得るように構成されている。
【0004】
コンプレッサハウジング2内には、コンプレッサインペラ1の上流側に内部流路5を形成するハウジング4が固定されており、ハウジング4の内部流路5は、吸気側からコンプレッサインペラ1側に向かって径が小さくなる筒状の構成を備え、内部流路5内には、扇形の可変インレットガイドベーン(以下、ベーンと記載する)6を複数設置している。なお図中、実線はベーン6を閉じた状態を示し、仮想線はベーン6を開いた状態を示している。
【0005】
一方、ベーン6には、内部流路5で回動し得るように回動軸10が備えられており、回動軸10はハウジング4の貫通孔8に収納されている。又、全ての回動軸10の同軸上には、ハウジング4の内部空間7に配置される歯車12が備えられている。更に複数の回動軸10のうちの一本には、コンプレッサハウジング2の貫通孔9に挿通する駆動伝達部材13が接続されていると共に、駆動伝達部材13には、コンプレッサハウジング2の外部でアクチュエータ等の駆動手段14が接続されている。更に又、環状の内部空間7には、全ての回動軸10の歯車12に噛み合う環状の歯車15が設置されている。なお、図9中、符号11は隙間を塞ぐシール体、符号16は歯車15を付勢する板バネ等の付勢手段16を示している。
【0006】
駆動手段14によりベーン6の開度を調整する際には、駆動伝達部材13に接続された回動軸10からベーン6へ動力を伝えると共に、歯車15及び他の回動軸10等を介して他のベーン6へ動力を伝え、全てのベーン6の開度を調整している。これによって吸気の流量が少ない場合等に、ベーン6の開度を調整してコンプレッサインペラ1の入射角への整流を行うことが可能となる。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、下記の特許文献1,2等が既に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−185999号公報
【特許文献2】特開平6−264899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、圧縮機は、ベーン6を回動する駆動伝達部材13や駆動手段14をコンプレッサハウジング2の外部に配置するため、圧縮機を車両等に搭載する際には大きな設置スペースが必要になり、車両等への搭載が困難であるという問題があった。又、アクチュエータ等の駆動手段14を用いた場合には、電動用の構成や制御部(図示せず)が必要になるため、製造コストが増加するという問題があった。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑み、省スペース化を図る共に製造コストを抑制する圧縮機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の圧縮機は、圧縮機のコンプレッサインペラの上流側に設けられ吸気が内部流路に流れ込むハウジングと、該ハウジングの内部流路の内周方向に沿って配置され且つ回動軸を介して回動する複数のベーンとを備える圧縮機であって、
前記ハウジングには、ベーンの回動軸の一部を配置するように内部流路の周囲に位置する内部空間を備え、
該内部空間には、一端で支持される弾性手段と、該弾性手段の他端に位置して弾性手段により付勢される受け部と、前記ベーンの回動軸に接続され且つ受け部の摺動面に摺動し得る伝達部材とを備え、
吸気の流量が変化して前記ベーンを開く場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、ベーンを回動させて回動軸の回転力により伝達部材及び受け部を介して弾性手段を押し込み、
吸気の流量が変化して前記ベーンを閉じる場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段を反発させて弾性体の弾性力により受け部及び伝達部材を介してベーンを逆方向に回動させるように構成したものである。
【0012】
又、本発明の圧縮機において、前記ハウジングは、内部空間と内部流路を接続する連絡孔を備えると共に、前記受け部は、ハウジング内の負圧差に基づいて内部空間内を移動し、ベーンの回動を助勢するように構成されても良い。
【0013】
更に本発明の圧縮機において、前記内部空間は、内部流路の周囲を取り囲む環状に構成されると共に、前記受け部は、内部空間の環状方向に沿って延在する環状体に構成され、複数のベーンの回動軸から伝達部材を介して回転力を受けるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧縮機によれば、ハウジング内の内部空間に配置された弾性手段、受け部、伝達部材により、ベーンの開度を吸気の流量に基づいて調整するので、ハウジングの外部に配置されるベーンの駆動手段等を不要にして圧縮機の省スペース化を図り、よって圧縮機を車両等へ容易に搭載することができる。又、アクチュエータ等の駆動手段を配置する従来例に比べて駆動手段、電動用の構成、制御部等を不要にするので、製造コストを抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の圧縮機の第一例を示す概念図である。
【図2】本発明の圧縮機の第一例であって吸気の流量によりベーンを開いた状態を示す概念図である。
【図3】本発明の圧縮機の第一例であって内部空間とその付近の構造を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の圧縮機の第一例であって吸気の流量によりベーンを閉じた状態で回動軸、伝達部材、受け部、弾性手段を示す概念図である。
【図5】本発明の圧縮機の第一例であって吸気の流量によりベーンを開いた状態で回動軸、伝達部材、受け部、弾性手段を示す概念図である。
【図6】本発明の圧縮機の第二例を示す概念図である。
【図7】本発明の圧縮機の第二例であって吸気の流量及び負圧によりベーンを開いた状態を示す概念図である。
【図8】本発明の圧縮機の第二例であって内部空間とその付近の構造を示す拡大断面図である。
【図9】従来の圧縮機を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の第一例を図示例と共に説明する。
【0017】
図1〜図5は本発明を実施する形態の第一例である。なお、図中、図9と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0018】
実施の形態例の第一例の圧縮機は、コンプレッサインペラ1の上流側に設けられ吸気が内部流路5に流れ込むハウジング17と、ハウジング17の内部流路5の内周方向に沿って配置され且つ回動軸10を介して回動する複数のベーン6とを備えている。
【0019】
ハウジング17は、ベーン6の回動軸10の先端を配置するように内部流路5の周囲に位置する環状の内部空間18を備えていると共に、複数のベーン6の軸線上に内部流路5から内部空間18へ貫通する複数の貫通孔8を備えている。ここでハウジング17の構成は、特に制限されるものではなく、図1に示す如くコンプレッサハウジング17a内に、内部流路5を形成するハウジング部材17bを固定しても良いし、更にハウジング部材17bを複数の部材によって構成し、ハウジング部材17bを組み立てた後にコンプレッサハウジング17aに当該ハウジング部材17bを固定しても良い。又、コンプレッサハウジング17a内にハウジング部材17bを備える場合には、コンプレッサハウジング17aの接触面又はハウジング部材17bの接触面の一方に溝状の切欠き8a(図1〜3ではハウジング部材17b側)を形成して貫通孔8を構成しても良いし、コンプレッサハウジング17aの接触面及びハウジング部材17bの接触面の両方に溝状の切欠き8aを形成して貫通孔8を構成しても良い。更にハウジング部材17bは一体成形(鋳造、射出成形等)によって成形されても良い。又、ハウジング部材17bの材質は、特に制限されるものではなく、金属等による鋳造品でも良いし、ポリマー等による射出成型品でも良い。
【0020】
ハウジング17の内部空間18には受け部21が配置されており、ハウジング17の内側凹部19と受け部21との間には弾性手段20を配置し、受け部21が弾性手段20により付勢されるようになっている。ここで弾性手段20は、環状の内部空間18に沿って周回するコイルバネで構成されているが、コイルバネに限定されるものではなく、線形バネであれば板バネやゴム等の他の構成や素材で構成されても良い。又、受け部21は、内部空間18の環状方向に沿って延在する環状体で構成されており、受け部21の一面には弾性手段20の他端を固定する凹部22が備えられていると共に、他面には滑らかな摺動面23が形成されている。
【0021】
又、ハウジング17には、図3に示す如く内部空間18と内部流路5を連通させるように隙間S1,S2を有している。ここで隙間S1は、コンプレッサハウジング17aの内面とハウジング部材17bの外面との間に存在し、隙間S2は、貫通孔8と回動軸10との間に存在している。
【0022】
更に内部空間18には、ベーン6の回動軸10の先端に外嵌して接続される伝達部材24が備えられている。伝達部材24は、ベーン6の回動軸10の先端から受け部21の摺動面23まで延在すると共に、先端側に受け部21の摺動面23に対して摺動し得る円弧状の接触部24aを形成している。ここでベーン6と伝達部材24は一体成形しても良いし、他の中間部材を介在しても良い。又、伝達部材24は回動軸10に接続されるならば、他の位置に接続されても良いし、他の部材を介在しても良い。
【0023】
一方、全てのベーン6は、回動軸10及び伝達部材24により環状体の受け部21を介して弾性手段20に作用し、弾性手段20が自由長の場合には、総てのベーン6が、図1に示す最小開度姿勢となる。すなわち、ベーン機構の開度が最小(全閉)となるように設定されている。又、弾性手段20が最大圧縮の場合には、総てのベーン6が、図2に示す最大開度姿勢となる。すなわち、ベーン機構の開度が最大となるように設定されている。
【0024】
以下本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
【0025】
排ガス等の流速によってタービンインペラ(図示せず)を駆動してコンプレッサインペラ1を回転させる際には、コンプレッサインペラ1の回転により吸気を圧縮してディフューザ3a、スクロール通路3bへ送給する。
【0026】
この時、図1のようにベーン6が閉じられた状態のとき、吸気の流量が増加してベーン6を開く場合には、図5に示す如く上流側からの吸気の流量に基づき、ベーン6を開く方向へ回動させると共に、ベーン6の回動に伴って回動軸10の回転力により伝達部材24を回転させ、更に伝達部材24により受け部21を移動させて弾性手段20を押し込む。
【0027】
一方、図2のようにベーン6が開いた状態のとき、吸気の流量が減少してベーン6を閉める場合には、図4に示す如く上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段20が反発して弾性体の弾性力により受け部21を逆方向に移動させると共に、受け部21の移動に伴って伝達部材24を逆方向に回転させ、更にベーン6の回動軸10を逆方向に回動させ、ベーン6を閉じる方向へ回動する。
【0028】
そして吸気の流量に応じてベーン6の開度を調整し、吸気を適切な状態にしてコンプレッサインペラ1により圧縮する。
【0029】
而して、このように実施の形態の第一例によれば、ハウジング17内の内部空間18に配置された弾性手段20、受け部21、伝達部材24により、ベーン6の開度を吸気の流量に基づいて調整するので、ハウジング17の外部に配置されるベーン6の駆動手段14等を不要にして圧縮機の省スペース化を図り、よって圧縮機を車両等へ容易に搭載することができる。又、アクチュエータ等の駆動手段14を配置する従来例に比べて駆動手段14、電動用の構成、制御部等を不要にするので、製造コストを抑制することができる。
【0030】
又、実施の形態の第一例において、内部空間18は、内部流路5の周囲を取り囲む環状に構成されると共に、受け部21は、内部空間18の環状方向に沿って延在する環状体に構成され、全てのベーン6からの回転力を受けるように構成されると、全てのベーン6を回動する構成を簡略化するので、省スペース化を図る共に製造コストを抑制することができる。更に、ベーン6を開く方向へ回動する際には、全てベーン6の回転力を回動軸10、伝達部材24、受け部21を介して弾性手段20に伝達すると共に、ベーン6を閉じる方向へ回動する際には、弾性手段20の弾性力を受け部21、伝達部材24、回動軸10を介して全てのベーン6に伝達するので、全てのベーン6に対して均等に力を作用させ、ベーン6の開度を好適に調整することができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態の第二例を図6〜図8を参照して説明する。図中、図1〜図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0032】
実施の形態例の第二例の圧縮機は、第一例と同様に、圧縮機のコンプレッサインペラ1の上流側で吸気が内部流路5に流れ込むハウジング25と、ハウジング25の内部流路5の内周方向に沿って配置され且つ回動軸10を介して回動する複数のベーン6とを備えている。ここで、ベーン6、回動軸10、伝達部材24、弾性手段20は、第一例と同様に構成されている。
【0033】
ハウジング25は、内部流路5の周囲に位置する環状の内部空間26を備えていると共に、複数のベーン6の軸線上に内部流路5から内部空間26へ貫通する複数の貫通孔8を備えている。ここでハウジング25の構成は、特に制限されるものではなく、図6に示す如くコンプレッサハウジング25a内に、内部流路5を形成するハウジング部材25bを固定しても良いし、更にハウジング部材25bを複数の部材によって構成し、ハウジング部材25bを組み立てた後にコンプレッサハウジング25aに当該ハウジング部材25bを固定しても良い。又、コンプレッサハウジング25a内にハウジング部材25bを備える場合には、コンプレッサハウジング25aの接触面又はハウジング部材25bの接触面の一方に溝状の切欠き8a(図6〜8ではハウジング部材25b側)を形成して貫通孔8を構成しても良いし、コンプレッサハウジング25aの接触面及びハウジング部材25bの接触面の両方に溝状の切欠き8aを形成して貫通孔8を構成しても良い。更にハウジング部材25bは一体成形(鋳造、射出成形等)によって成形されても良い。又、ハウジング部材25bの材質は、特に制限されるものではなく、金属等による鋳造品でも良いし、ポリマー等による射出成型品でも良い。
【0034】
ハウジング25の内部空間26には受け部28が配置されており、受け部28は、内部空間26を左右で第一空間26aと、回転軸側の第二空間26bとに仕切るようにしている。又、第一空間26a内には、ハウジング25の内側凹部19と受け部28との間に挟み込まれる弾性手段20を配置し、受け部28が弾性手段20により付勢されるようになっている。更に第二空間26b内には、伝達部材24、回動軸10の端部が配置されている。
【0035】
受け部28は、内部空間26の環状方向に沿って延在する環状体で構成されており、受け部28の一面には弾性手段20の他端を固定する凹部29が備えられていると共に、他面には滑らかな摺動面30が形成されている。更に受け部28の外周面と内周面にはシール部材31,32が配置されている。ここでシール部材31は、特に限定されるものではなく、ピストンリング(金属製)、Oリング(樹脂製)等を用いても良い。
【0036】
又、受け部28の外周面側に設けられたシール部材31は、受け部28の外周面に対して取り付けられており、内部空間26の外周側の内周面(受け部28の外周側を囲む面)に沿って密着し、当該内周面と受け部28の外周面との間の隙間を気密に閉塞するように設けられている。又、受け部28の内周面側に設けられたシール部材32は、受け部28の内周面に対して取り付けられており、内部空間26の内周側の内周面(受け部28によって囲まれた面)に沿って密着し、当該内周面と受け部28の内周面との間の隙間を気密に閉塞するように設けられている。即ち、内部空間26において、第一空間26aと第二空間26bは、受け部28及び2つのシール部材31,32によって、互いに連通しないように仕切られている。
【0037】
更にハウジング25には、第一空間26aと内部流路5を連通させる連絡孔27が設けられている。内部流路5側において、連絡孔27は、インペラ1とベーン6との間(即ち、ベーン6よりも下流側、且つインペラ1よりも上流側)に開口されている。なお、連絡孔27の形態は特に限定されず、例えば複数の連絡孔27を内部流路5の周囲を囲むように、周方向に沿って並べて設けても良い。又、ハウジング25には、図8に示す如く連絡孔27よりも上流側で第二空間26bと内部流路5を連通させるように隙間S1,S2を有している。ここで隙間S1は、コンプレッサハウジング25aの内面とハウジング部材25bの外面との間に存在し、隙間S2は、貫通孔8と回動軸10との間に存在している。なお第二空間26bは、前述のように第一空間26aから仕切られており、吸気の流れ方向において連絡孔27と同じ位置、又は連絡孔27よりも下流側に対して、直接的に連通させられることはない。
【0038】
又、内部空間26の第一空間26a及び第二空間26bにおいて、圧縮機の駆動によりハウジング25内のコンプレッサインペラ1側の負圧が大きくなった場合には、連絡孔27を介して第一空間26aの負圧が第二空間26bに比べて大きくなり、ハウジング25内のコンプレッサ側の負圧が通常の場合には、第一空間26aと第二空間26bが略同じ負圧となっている。ここで第二空間26bは、隙間S1,S2によって、ベーン6を通過する前の吸気の負圧又は大気圧と略同じになっている。
【0039】
以下本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
【0040】
排ガス等の流速によってタービンインペラを駆動してコンプレッサインペラ1を回転させる際には、コンプレッサインペラ1の回転により吸気を圧縮してディフューザ3a、スクロール通路3bへ送給する。
【0041】
この時、図6のようにベーン6が閉じられた状態のとき、吸気の流量が増加してベーン6を開く場合には、第一例と同様に上流側からの吸気の流量に基づき、ベーン6を開く方向へ回動させると共に、ベーン6の回動に伴って回動軸10の回転力により伝達部材24を回転させ、更に伝達部材24により受け部28を移動させて弾性手段20を押し込む。又、同時にハウジング25内ではコンプレッサインペラ1側の負圧と吸気側の負圧との差が大きくなり、連絡孔27の開口付近の空間の圧力が、隙間の開口付近の圧力よりも低くなり、ハウジング25内の負圧差に基づいて第一空間26aと第二空間26bとの負圧差も大きくなり、図7に示す如く受け部28を内部空間26で第一空間26a側に移動させて弾性手段20を押し込み、ベーン6を開く方向へ助勢する。
【0042】
一方、図7のようにベーン6が開かれた状態のとき、吸気の流量が減少してベーン6を閉じる場合には、第一例と同様に上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段20が反発して弾性体の弾性力により受け部28を逆方向に移動させると共に、受け部28により伝達部材24を逆方向へ回転させ、更にベーン6の回動軸10を逆方向に回動させ、ベーン6を閉じる方向へ回動する。又、同時にハウジング25内ではコンプレッサインペラ1側の負圧と吸気側の負圧との差が小さくなり、連絡孔27の開口付近の空間の圧力と隙間の開口付近の圧力との差が小さくなり、ハウジング25内に負圧差に基づいて第一空間26aと第二空間26bとの負圧差も小さくなり、図6に示す如く受け部28を内部空間26で第二空間26b側に戻し、ベーン6を閉じる方向へ助勢する。
【0043】
そして吸気の流量に応じてベーン6の開度を調整し、吸気を適切な状態にしてコンプレッサインペラ1により圧縮する。
【0044】
而して、このように実施の形態の第二例によれば、第一例と同様な作用効果を得ることができる。
【0045】
又、実施の形態の第二例において、ハウジング25は、内部空間26と内部流路5を接続する連絡孔27を備えると共に、受け部28は、ハウジング25内の負圧差に基づいて内部空間26内を移動し、ベーン6の回動を助勢するように構成されるので、省スペース化を図る共にベーン6を容易且つ好適に回動することができる。
【0046】
尚、本発明の圧縮機は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、コンプレッサハウジング及びハウジング部材を他の形状にしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 コンプレッサインペラ
5 内部流路
6 ベーン
10 回動軸
17 ハウジング
18 内部空間
19 凹部
20 弾性手段
21 受け部
22 凹部
23 摺動面
24 伝達部材
25 ハウジング
26 内部空間
27 連絡孔
28 受け部
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に圧縮機は、タービンインペラとコンプレッサインペラを同一回動軸上に配置し、タービンインペラの回転駆動によってコンプレッサインペラを回転させ、内燃機関の性能向上を図るようにしている。
【0003】
図9に示す如くコンプレッサインペラ1は、コンプレッサハウジング2内に配置されており、コンプレッサハウジング2は、コンプレッサインペラ1の回転による遠心力の作用により、流路内に吸い込んだ吸気をディフューザ3a、スクロール通路3b等へ送給し得るように構成されている。
【0004】
コンプレッサハウジング2内には、コンプレッサインペラ1の上流側に内部流路5を形成するハウジング4が固定されており、ハウジング4の内部流路5は、吸気側からコンプレッサインペラ1側に向かって径が小さくなる筒状の構成を備え、内部流路5内には、扇形の可変インレットガイドベーン(以下、ベーンと記載する)6を複数設置している。なお図中、実線はベーン6を閉じた状態を示し、仮想線はベーン6を開いた状態を示している。
【0005】
一方、ベーン6には、内部流路5で回動し得るように回動軸10が備えられており、回動軸10はハウジング4の貫通孔8に収納されている。又、全ての回動軸10の同軸上には、ハウジング4の内部空間7に配置される歯車12が備えられている。更に複数の回動軸10のうちの一本には、コンプレッサハウジング2の貫通孔9に挿通する駆動伝達部材13が接続されていると共に、駆動伝達部材13には、コンプレッサハウジング2の外部でアクチュエータ等の駆動手段14が接続されている。更に又、環状の内部空間7には、全ての回動軸10の歯車12に噛み合う環状の歯車15が設置されている。なお、図9中、符号11は隙間を塞ぐシール体、符号16は歯車15を付勢する板バネ等の付勢手段16を示している。
【0006】
駆動手段14によりベーン6の開度を調整する際には、駆動伝達部材13に接続された回動軸10からベーン6へ動力を伝えると共に、歯車15及び他の回動軸10等を介して他のベーン6へ動力を伝え、全てのベーン6の開度を調整している。これによって吸気の流量が少ない場合等に、ベーン6の開度を調整してコンプレッサインペラ1の入射角への整流を行うことが可能となる。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、下記の特許文献1,2等が既に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−185999号公報
【特許文献2】特開平6−264899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、圧縮機は、ベーン6を回動する駆動伝達部材13や駆動手段14をコンプレッサハウジング2の外部に配置するため、圧縮機を車両等に搭載する際には大きな設置スペースが必要になり、車両等への搭載が困難であるという問題があった。又、アクチュエータ等の駆動手段14を用いた場合には、電動用の構成や制御部(図示せず)が必要になるため、製造コストが増加するという問題があった。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑み、省スペース化を図る共に製造コストを抑制する圧縮機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の圧縮機は、圧縮機のコンプレッサインペラの上流側に設けられ吸気が内部流路に流れ込むハウジングと、該ハウジングの内部流路の内周方向に沿って配置され且つ回動軸を介して回動する複数のベーンとを備える圧縮機であって、
前記ハウジングには、ベーンの回動軸の一部を配置するように内部流路の周囲に位置する内部空間を備え、
該内部空間には、一端で支持される弾性手段と、該弾性手段の他端に位置して弾性手段により付勢される受け部と、前記ベーンの回動軸に接続され且つ受け部の摺動面に摺動し得る伝達部材とを備え、
吸気の流量が変化して前記ベーンを開く場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、ベーンを回動させて回動軸の回転力により伝達部材及び受け部を介して弾性手段を押し込み、
吸気の流量が変化して前記ベーンを閉じる場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段を反発させて弾性体の弾性力により受け部及び伝達部材を介してベーンを逆方向に回動させるように構成したものである。
【0012】
又、本発明の圧縮機において、前記ハウジングは、内部空間と内部流路を接続する連絡孔を備えると共に、前記受け部は、ハウジング内の負圧差に基づいて内部空間内を移動し、ベーンの回動を助勢するように構成されても良い。
【0013】
更に本発明の圧縮機において、前記内部空間は、内部流路の周囲を取り囲む環状に構成されると共に、前記受け部は、内部空間の環状方向に沿って延在する環状体に構成され、複数のベーンの回動軸から伝達部材を介して回転力を受けるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧縮機によれば、ハウジング内の内部空間に配置された弾性手段、受け部、伝達部材により、ベーンの開度を吸気の流量に基づいて調整するので、ハウジングの外部に配置されるベーンの駆動手段等を不要にして圧縮機の省スペース化を図り、よって圧縮機を車両等へ容易に搭載することができる。又、アクチュエータ等の駆動手段を配置する従来例に比べて駆動手段、電動用の構成、制御部等を不要にするので、製造コストを抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の圧縮機の第一例を示す概念図である。
【図2】本発明の圧縮機の第一例であって吸気の流量によりベーンを開いた状態を示す概念図である。
【図3】本発明の圧縮機の第一例であって内部空間とその付近の構造を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の圧縮機の第一例であって吸気の流量によりベーンを閉じた状態で回動軸、伝達部材、受け部、弾性手段を示す概念図である。
【図5】本発明の圧縮機の第一例であって吸気の流量によりベーンを開いた状態で回動軸、伝達部材、受け部、弾性手段を示す概念図である。
【図6】本発明の圧縮機の第二例を示す概念図である。
【図7】本発明の圧縮機の第二例であって吸気の流量及び負圧によりベーンを開いた状態を示す概念図である。
【図8】本発明の圧縮機の第二例であって内部空間とその付近の構造を示す拡大断面図である。
【図9】従来の圧縮機を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の第一例を図示例と共に説明する。
【0017】
図1〜図5は本発明を実施する形態の第一例である。なお、図中、図9と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0018】
実施の形態例の第一例の圧縮機は、コンプレッサインペラ1の上流側に設けられ吸気が内部流路5に流れ込むハウジング17と、ハウジング17の内部流路5の内周方向に沿って配置され且つ回動軸10を介して回動する複数のベーン6とを備えている。
【0019】
ハウジング17は、ベーン6の回動軸10の先端を配置するように内部流路5の周囲に位置する環状の内部空間18を備えていると共に、複数のベーン6の軸線上に内部流路5から内部空間18へ貫通する複数の貫通孔8を備えている。ここでハウジング17の構成は、特に制限されるものではなく、図1に示す如くコンプレッサハウジング17a内に、内部流路5を形成するハウジング部材17bを固定しても良いし、更にハウジング部材17bを複数の部材によって構成し、ハウジング部材17bを組み立てた後にコンプレッサハウジング17aに当該ハウジング部材17bを固定しても良い。又、コンプレッサハウジング17a内にハウジング部材17bを備える場合には、コンプレッサハウジング17aの接触面又はハウジング部材17bの接触面の一方に溝状の切欠き8a(図1〜3ではハウジング部材17b側)を形成して貫通孔8を構成しても良いし、コンプレッサハウジング17aの接触面及びハウジング部材17bの接触面の両方に溝状の切欠き8aを形成して貫通孔8を構成しても良い。更にハウジング部材17bは一体成形(鋳造、射出成形等)によって成形されても良い。又、ハウジング部材17bの材質は、特に制限されるものではなく、金属等による鋳造品でも良いし、ポリマー等による射出成型品でも良い。
【0020】
ハウジング17の内部空間18には受け部21が配置されており、ハウジング17の内側凹部19と受け部21との間には弾性手段20を配置し、受け部21が弾性手段20により付勢されるようになっている。ここで弾性手段20は、環状の内部空間18に沿って周回するコイルバネで構成されているが、コイルバネに限定されるものではなく、線形バネであれば板バネやゴム等の他の構成や素材で構成されても良い。又、受け部21は、内部空間18の環状方向に沿って延在する環状体で構成されており、受け部21の一面には弾性手段20の他端を固定する凹部22が備えられていると共に、他面には滑らかな摺動面23が形成されている。
【0021】
又、ハウジング17には、図3に示す如く内部空間18と内部流路5を連通させるように隙間S1,S2を有している。ここで隙間S1は、コンプレッサハウジング17aの内面とハウジング部材17bの外面との間に存在し、隙間S2は、貫通孔8と回動軸10との間に存在している。
【0022】
更に内部空間18には、ベーン6の回動軸10の先端に外嵌して接続される伝達部材24が備えられている。伝達部材24は、ベーン6の回動軸10の先端から受け部21の摺動面23まで延在すると共に、先端側に受け部21の摺動面23に対して摺動し得る円弧状の接触部24aを形成している。ここでベーン6と伝達部材24は一体成形しても良いし、他の中間部材を介在しても良い。又、伝達部材24は回動軸10に接続されるならば、他の位置に接続されても良いし、他の部材を介在しても良い。
【0023】
一方、全てのベーン6は、回動軸10及び伝達部材24により環状体の受け部21を介して弾性手段20に作用し、弾性手段20が自由長の場合には、総てのベーン6が、図1に示す最小開度姿勢となる。すなわち、ベーン機構の開度が最小(全閉)となるように設定されている。又、弾性手段20が最大圧縮の場合には、総てのベーン6が、図2に示す最大開度姿勢となる。すなわち、ベーン機構の開度が最大となるように設定されている。
【0024】
以下本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
【0025】
排ガス等の流速によってタービンインペラ(図示せず)を駆動してコンプレッサインペラ1を回転させる際には、コンプレッサインペラ1の回転により吸気を圧縮してディフューザ3a、スクロール通路3bへ送給する。
【0026】
この時、図1のようにベーン6が閉じられた状態のとき、吸気の流量が増加してベーン6を開く場合には、図5に示す如く上流側からの吸気の流量に基づき、ベーン6を開く方向へ回動させると共に、ベーン6の回動に伴って回動軸10の回転力により伝達部材24を回転させ、更に伝達部材24により受け部21を移動させて弾性手段20を押し込む。
【0027】
一方、図2のようにベーン6が開いた状態のとき、吸気の流量が減少してベーン6を閉める場合には、図4に示す如く上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段20が反発して弾性体の弾性力により受け部21を逆方向に移動させると共に、受け部21の移動に伴って伝達部材24を逆方向に回転させ、更にベーン6の回動軸10を逆方向に回動させ、ベーン6を閉じる方向へ回動する。
【0028】
そして吸気の流量に応じてベーン6の開度を調整し、吸気を適切な状態にしてコンプレッサインペラ1により圧縮する。
【0029】
而して、このように実施の形態の第一例によれば、ハウジング17内の内部空間18に配置された弾性手段20、受け部21、伝達部材24により、ベーン6の開度を吸気の流量に基づいて調整するので、ハウジング17の外部に配置されるベーン6の駆動手段14等を不要にして圧縮機の省スペース化を図り、よって圧縮機を車両等へ容易に搭載することができる。又、アクチュエータ等の駆動手段14を配置する従来例に比べて駆動手段14、電動用の構成、制御部等を不要にするので、製造コストを抑制することができる。
【0030】
又、実施の形態の第一例において、内部空間18は、内部流路5の周囲を取り囲む環状に構成されると共に、受け部21は、内部空間18の環状方向に沿って延在する環状体に構成され、全てのベーン6からの回転力を受けるように構成されると、全てのベーン6を回動する構成を簡略化するので、省スペース化を図る共に製造コストを抑制することができる。更に、ベーン6を開く方向へ回動する際には、全てベーン6の回転力を回動軸10、伝達部材24、受け部21を介して弾性手段20に伝達すると共に、ベーン6を閉じる方向へ回動する際には、弾性手段20の弾性力を受け部21、伝達部材24、回動軸10を介して全てのベーン6に伝達するので、全てのベーン6に対して均等に力を作用させ、ベーン6の開度を好適に調整することができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態の第二例を図6〜図8を参照して説明する。図中、図1〜図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0032】
実施の形態例の第二例の圧縮機は、第一例と同様に、圧縮機のコンプレッサインペラ1の上流側で吸気が内部流路5に流れ込むハウジング25と、ハウジング25の内部流路5の内周方向に沿って配置され且つ回動軸10を介して回動する複数のベーン6とを備えている。ここで、ベーン6、回動軸10、伝達部材24、弾性手段20は、第一例と同様に構成されている。
【0033】
ハウジング25は、内部流路5の周囲に位置する環状の内部空間26を備えていると共に、複数のベーン6の軸線上に内部流路5から内部空間26へ貫通する複数の貫通孔8を備えている。ここでハウジング25の構成は、特に制限されるものではなく、図6に示す如くコンプレッサハウジング25a内に、内部流路5を形成するハウジング部材25bを固定しても良いし、更にハウジング部材25bを複数の部材によって構成し、ハウジング部材25bを組み立てた後にコンプレッサハウジング25aに当該ハウジング部材25bを固定しても良い。又、コンプレッサハウジング25a内にハウジング部材25bを備える場合には、コンプレッサハウジング25aの接触面又はハウジング部材25bの接触面の一方に溝状の切欠き8a(図6〜8ではハウジング部材25b側)を形成して貫通孔8を構成しても良いし、コンプレッサハウジング25aの接触面及びハウジング部材25bの接触面の両方に溝状の切欠き8aを形成して貫通孔8を構成しても良い。更にハウジング部材25bは一体成形(鋳造、射出成形等)によって成形されても良い。又、ハウジング部材25bの材質は、特に制限されるものではなく、金属等による鋳造品でも良いし、ポリマー等による射出成型品でも良い。
【0034】
ハウジング25の内部空間26には受け部28が配置されており、受け部28は、内部空間26を左右で第一空間26aと、回転軸側の第二空間26bとに仕切るようにしている。又、第一空間26a内には、ハウジング25の内側凹部19と受け部28との間に挟み込まれる弾性手段20を配置し、受け部28が弾性手段20により付勢されるようになっている。更に第二空間26b内には、伝達部材24、回動軸10の端部が配置されている。
【0035】
受け部28は、内部空間26の環状方向に沿って延在する環状体で構成されており、受け部28の一面には弾性手段20の他端を固定する凹部29が備えられていると共に、他面には滑らかな摺動面30が形成されている。更に受け部28の外周面と内周面にはシール部材31,32が配置されている。ここでシール部材31は、特に限定されるものではなく、ピストンリング(金属製)、Oリング(樹脂製)等を用いても良い。
【0036】
又、受け部28の外周面側に設けられたシール部材31は、受け部28の外周面に対して取り付けられており、内部空間26の外周側の内周面(受け部28の外周側を囲む面)に沿って密着し、当該内周面と受け部28の外周面との間の隙間を気密に閉塞するように設けられている。又、受け部28の内周面側に設けられたシール部材32は、受け部28の内周面に対して取り付けられており、内部空間26の内周側の内周面(受け部28によって囲まれた面)に沿って密着し、当該内周面と受け部28の内周面との間の隙間を気密に閉塞するように設けられている。即ち、内部空間26において、第一空間26aと第二空間26bは、受け部28及び2つのシール部材31,32によって、互いに連通しないように仕切られている。
【0037】
更にハウジング25には、第一空間26aと内部流路5を連通させる連絡孔27が設けられている。内部流路5側において、連絡孔27は、インペラ1とベーン6との間(即ち、ベーン6よりも下流側、且つインペラ1よりも上流側)に開口されている。なお、連絡孔27の形態は特に限定されず、例えば複数の連絡孔27を内部流路5の周囲を囲むように、周方向に沿って並べて設けても良い。又、ハウジング25には、図8に示す如く連絡孔27よりも上流側で第二空間26bと内部流路5を連通させるように隙間S1,S2を有している。ここで隙間S1は、コンプレッサハウジング25aの内面とハウジング部材25bの外面との間に存在し、隙間S2は、貫通孔8と回動軸10との間に存在している。なお第二空間26bは、前述のように第一空間26aから仕切られており、吸気の流れ方向において連絡孔27と同じ位置、又は連絡孔27よりも下流側に対して、直接的に連通させられることはない。
【0038】
又、内部空間26の第一空間26a及び第二空間26bにおいて、圧縮機の駆動によりハウジング25内のコンプレッサインペラ1側の負圧が大きくなった場合には、連絡孔27を介して第一空間26aの負圧が第二空間26bに比べて大きくなり、ハウジング25内のコンプレッサ側の負圧が通常の場合には、第一空間26aと第二空間26bが略同じ負圧となっている。ここで第二空間26bは、隙間S1,S2によって、ベーン6を通過する前の吸気の負圧又は大気圧と略同じになっている。
【0039】
以下本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
【0040】
排ガス等の流速によってタービンインペラを駆動してコンプレッサインペラ1を回転させる際には、コンプレッサインペラ1の回転により吸気を圧縮してディフューザ3a、スクロール通路3bへ送給する。
【0041】
この時、図6のようにベーン6が閉じられた状態のとき、吸気の流量が増加してベーン6を開く場合には、第一例と同様に上流側からの吸気の流量に基づき、ベーン6を開く方向へ回動させると共に、ベーン6の回動に伴って回動軸10の回転力により伝達部材24を回転させ、更に伝達部材24により受け部28を移動させて弾性手段20を押し込む。又、同時にハウジング25内ではコンプレッサインペラ1側の負圧と吸気側の負圧との差が大きくなり、連絡孔27の開口付近の空間の圧力が、隙間の開口付近の圧力よりも低くなり、ハウジング25内の負圧差に基づいて第一空間26aと第二空間26bとの負圧差も大きくなり、図7に示す如く受け部28を内部空間26で第一空間26a側に移動させて弾性手段20を押し込み、ベーン6を開く方向へ助勢する。
【0042】
一方、図7のようにベーン6が開かれた状態のとき、吸気の流量が減少してベーン6を閉じる場合には、第一例と同様に上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段20が反発して弾性体の弾性力により受け部28を逆方向に移動させると共に、受け部28により伝達部材24を逆方向へ回転させ、更にベーン6の回動軸10を逆方向に回動させ、ベーン6を閉じる方向へ回動する。又、同時にハウジング25内ではコンプレッサインペラ1側の負圧と吸気側の負圧との差が小さくなり、連絡孔27の開口付近の空間の圧力と隙間の開口付近の圧力との差が小さくなり、ハウジング25内に負圧差に基づいて第一空間26aと第二空間26bとの負圧差も小さくなり、図6に示す如く受け部28を内部空間26で第二空間26b側に戻し、ベーン6を閉じる方向へ助勢する。
【0043】
そして吸気の流量に応じてベーン6の開度を調整し、吸気を適切な状態にしてコンプレッサインペラ1により圧縮する。
【0044】
而して、このように実施の形態の第二例によれば、第一例と同様な作用効果を得ることができる。
【0045】
又、実施の形態の第二例において、ハウジング25は、内部空間26と内部流路5を接続する連絡孔27を備えると共に、受け部28は、ハウジング25内の負圧差に基づいて内部空間26内を移動し、ベーン6の回動を助勢するように構成されるので、省スペース化を図る共にベーン6を容易且つ好適に回動することができる。
【0046】
尚、本発明の圧縮機は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、コンプレッサハウジング及びハウジング部材を他の形状にしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 コンプレッサインペラ
5 内部流路
6 ベーン
10 回動軸
17 ハウジング
18 内部空間
19 凹部
20 弾性手段
21 受け部
22 凹部
23 摺動面
24 伝達部材
25 ハウジング
26 内部空間
27 連絡孔
28 受け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機のコンプレッサインペラの上流側に設けられ吸気が内部流路に流れ込むハウジングと、該ハウジングの内部流路の内周方向に沿って配置され且つ回動軸を介して回動する複数のベーンとを備える圧縮機であって、
前記ハウジングには、ベーンの回動軸の一部を配置するように内部流路の周囲に位置する内部空間を備え、
該内部空間には、一端で支持される弾性手段と、該弾性手段の他端に位置して弾性手段により付勢される受け部と、前記ベーンの回動軸に接続され且つ受け部の摺動面に摺動し得る伝達部材とを備え、
吸気の流量が変化して前記ベーンを開く場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、ベーンを回動させて回動軸の回転力により伝達部材及び受け部を介して弾性手段を押し込み、
吸気の流量が変化して前記ベーンを閉じる場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段を反発させて弾性体の弾性力により受け部及び伝達部材を介してベーンを逆方向に回動させるように構成したことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングは、内部空間と内部流路を接続する連絡孔を備えると共に、前記受け部は、ハウジング内の負圧差に基づいて内部空間内を移動し、ベーンの回動を助勢するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記内部空間は、内部流路の周囲を取り囲む環状に構成されると共に、前記受け部は、内部空間の環状方向に沿って延在する環状体に構成され、複数のベーンの回動軸から伝達部材を介して回転力を受けるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項1】
圧縮機のコンプレッサインペラの上流側に設けられ吸気が内部流路に流れ込むハウジングと、該ハウジングの内部流路の内周方向に沿って配置され且つ回動軸を介して回動する複数のベーンとを備える圧縮機であって、
前記ハウジングには、ベーンの回動軸の一部を配置するように内部流路の周囲に位置する内部空間を備え、
該内部空間には、一端で支持される弾性手段と、該弾性手段の他端に位置して弾性手段により付勢される受け部と、前記ベーンの回動軸に接続され且つ受け部の摺動面に摺動し得る伝達部材とを備え、
吸気の流量が変化して前記ベーンを開く場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、ベーンを回動させて回動軸の回転力により伝達部材及び受け部を介して弾性手段を押し込み、
吸気の流量が変化して前記ベーンを閉じる場合には、上流側からの吸気の流量に基づき、弾性手段を反発させて弾性体の弾性力により受け部及び伝達部材を介してベーンを逆方向に回動させるように構成したことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングは、内部空間と内部流路を接続する連絡孔を備えると共に、前記受け部は、ハウジング内の負圧差に基づいて内部空間内を移動し、ベーンの回動を助勢するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記内部空間は、内部流路の周囲を取り囲む環状に構成されると共に、前記受け部は、内部空間の環状方向に沿って延在する環状体に構成され、複数のベーンの回動軸から伝達部材を介して回転力を受けるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−169230(P2011−169230A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33622(P2010−33622)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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