圧縮流体の貯蔵、輸送及び取り扱い
圧縮天然ガスなどの圧縮流体を貯蔵及び/又は輸送するためのコンテナ及び方法が提供される。コンテナは一対の対向する先端部と先端部間の壁区画とを有し、壁区画は丸い角によって連結されたほぼ平らな側部を有する正方形の断面を形成する。コンテナは、圧力下においては側壁が外向きに撓むが、側壁の外向きの拡張を抑制する支持システムによって外部から支持されるように設計されている。支持システムは、海上又は陸上輸送容器、ISO輸送コンテナ又は地下の立坑における貨物室の壁として設置可能である。複数のコンテナが外部支持システム内に並んで配置可能であるため、隣接するコンテナの側部は圧力下において支持するために相互に支持されている。一実施形態において、コンテナは外部タンクと外部タンク内に可撓性の膜タンクとを有し、その間に環状空間が形成され、第一の流体が膜タンクに充填され、第二の流体が第一の流体を排出するために環状空間に充填される。別の実施形態において、正方形の断面を有する長い管は支持構造においてコイル状であり、圧縮流体を保持するために気密性がもたらされている。管の壁は圧力がかかると拡張しようとするが、隣接するコイル及び支持構造が拡張を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
優先権は米国仮特許出願第60/904,541号及び第60/926,504号に基づいて主張されており、当該出願は本願発明者によってそれぞれ2007年3月2日及び2007年4月27日に出願されており、各々の出願は参照によって援用されている。同一の仮特許出願に基づいて優先権を主張し、本願と同日付で本願発明者によって出願された「容器へ及び容器から圧縮流体を流す装置及び方法」という発明の名称である米国特許出願は、本願発明と関連しており、参照によって援用される。
【0002】
本発明は、気体及び液体の貯蔵及び輸送、詳細には比較的薄い壁のコンテナ内における低温での冷凍又は加圧された流体貨物(例えば、天然ガス及び液化天然ガス)の貯蔵及び/又は輸送に関連し、商業用貨物の密度は適度な圧力で達成でき、コンテナは利用可能な貯蔵及び/又は輸送空間を効率的に満たすことが出来る。
【背景技術】
【0003】
気体は、比較的長いシリンダ、弾丸型のタンク、扁球(oblate spheroid)又は扁球(oblate sphere)に現在貯蔵されており、それら全てが少なくとも一つの円形断面を特徴とし、圧力によってもたらされる環方向応力に耐えるために直径に対して比較的大きな壁厚の比率(t/D)を有する。それは、これらの実質的に剛性の容器を作るために用いられる材料は、(金属又は繊維ベースのマトリックス殻又はそれらのハイブリッド複合材料のいずれであるかに関わらず)重大な応力の向きにおける強度には限界があるからである。これらのコンテナの一般的な構造は、円形断面を有する剛性の形態である。
【0004】
貯蔵又は輸送目的の大型の加圧ガス容器の最も一般的な形状は、単一壁の金属製シリンダ又はボトルの使用に基づいており、それらは多くの場合において、低温靱性の特性をもたらすニッケルなどの合金化元素を適度な割合で含有可能な高強度の鉄鋼から作られている。円筒形状は、直線、環状、又はコイル状であろうとパイプラインの形状をとることによって、直径に対する長さの割合を最高にすることが可能である。参照によって援用されており、まとめて「ステニング(Stenning)特許」とよばれる、ステニング他に与えられた米国特許第5,803,005号、第5,839,383号、及び第6,003,460号、並びにフィッツパトリック(Fitzpatrick)他によって出願され第10/472,615号が割り当てられた米国特許出願公報第20040216656号を参照。カナダのカルガリーのシー エヌジー マネイジメント コーポレーション(Sea NG Management Corp.)は「コセル(Cosell)」の商標を用いてコイル状のパイプを介した圧縮ガスの貯蔵及び輸送サービスを提供しており、それはステニングの特許文献に記載された技術に基づいていることが理解される。しかし、従来技術において検討された鋼鉄製のシリンダ/パイプラインのガス貯蔵コンテナは含有される気体貨物の重量と比べて比較的重い。気体が(例えばトラック、鉄道、運搬船、又は船によって)輸送される場合、容器の高い重量はより高いコストと積載量が有限である輸送機関(例えば高速道路におけるトラック)にいくつのコンテナが配置可能であるかということに対する制限とを一般に意味するため、容器の重量に対する気体貨物の重量を最適化することが重要である。
【0005】
何人かの発明者は、比較的穏やかな圧力において貨物を液化できる低温を用いることによって、容器の質量に対して加圧貨物の質量の割合を改善しようとしてきた。例えば、ミンタ(Minta)他によって出願され第10/396,895号が割り当てられた米国特許出願公報第20030183638号、ボーエン(Bowen)他に与えられた米国特許第6,047,747号、ウッドール(Woodall)他に与えられた第6,085,528号、ボーエン他に与えられた第6,460,721号、ミンタ他に与えられた第7,147,124号を参照。それらはテキサス州ヒューストンのエクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー(ExxonMobil Upstream Research Co.)に譲渡されている(まとめて、「エクソンモービル特許」と呼ばれる)。同様に、シバーズ3世(Shivers,III)他に与えられ、テキサス州ヒューストンのATPオイル&ガスコーポレーション(ATP Oil & Gas Corp.)に譲渡された米国特許第6,932,121号、第6,964,180号及び第7,155,918号参照。以下の特許及び特許出願は参照によって援用される:ビショップ(Bishop)他に与えられた米国特許第6,584,781号、ビショップに与えられた米国特許第6,655,155号、及びビショップに与えられた米国特許第6,725,671号、並びにビショップ他によって出願され、第09/943,693号が割り当てられた米国特許出願公報第20020046547号、及びビショップ他によって出願され、第10/316,475号が割り当てられた米国特許出願公報第20030106324号。これらはテキサス州ヒューストンのエナシー トランスポート エルエルシーに譲渡されると考えられており、まとめて「ビショップ特許」又は「ビショップ」と呼ばれる。ビショップ特許は、貯蔵される貨物を濃密相の流体として維持しつつ、約−10℃未満の温度で圧縮率係数Zを最小にする貯蔵圧力を選択することによって円形シリンダの質量比が商業的に最適化可能であると考察している。米国特許第3,232,725号及び第3,298,805号は参照によって援用されており、それらはシコード(Secord)他に与えられており、まとめて「シコード特許」又は「シコード」と呼ばれている。シコードは、メタンの限界温度直下から最低の約−200°F(−129℃)までの範囲の温度で貨物を相境界に非常に近い流体状態に維持する温度−圧力の組み合わせを選択することによって、混合層の流体が貨物コンテナ内に存在できるようにすることで、非常に高い質量比を実現できる方法を示している。しかしながら、上述の全てのものは、円形断面のタンクに対してそれらの設計原理を適用することによって、コンテナが貯蔵及び/又は輸送する貨物の内圧によってほぼ剛性のコンテナの外皮に生じる環状の応力に対処可能であることに言及している。
【0006】
ウェブスター(Webster)他に与えられた米国特許第6,863,474号は、円筒状コンテナの外殻の必要な厚みを減らすための手段として、海面下深くに配置される貯蔵コンテナに作用する水頭(hydraulic head)によりもたらされる外圧を用いることで、貯蔵する天然ガスに関する内圧を相殺できることが記載されている。しかし、そのようなコンテナはほぼ剛性の円筒形であることが未だに期待されており、その前提は、貯蔵のために大径のパイプラインの長いループを海深くに配置することとほとんど変わりは無い。
【0007】
いくつかは、合成壁構造の構想(米国機械学会の圧力容器規則(American Society of Mechanical Engineers Pressure Vessel Codes)及びASME PVコード ケース2390参照)を提案又は使用することによって、(特に高圧ガスの)天然ガス貨物収容シリンダの重量を低減しようとしており、それらは以下のもの:
・円形に形成された鋼板の複数の層を用いる「ビルトアップウォール」、
・超高強度の金属ワイヤ、金網、又はバンドで覆われた金属ベースのシリンダ、
・繊維樹脂のストラップ/バンド、メッシュ、又は補強材によって覆われた金属、金属化プラスチック、又はプラスチックベースのシリンダ/ライナ(liner)、及び
・ランダムに配向された短繊維の樹脂ベースのマトリックスを備えた金属、金属化プラスチック、又はプラスチックベースのシリンダ/ライナ
を含む。
【0008】
外部材が金属ベースのシリンダ上に配置される場合、自己緊縮(auto-frettage)(ライナが撓んで塑性的に変形するまで、ライナの永続的な予備応力が、硬化され/結合された上層に対してそれを圧接することによって加えられる)が、予想される荷重のもとにおける異なる物質間の圧力分布を最適化するために利用可能である。全ての場合において、結果的に得られる容器の断面はほぼ円形で剛性である。自己緊縮は、工学的に一般的な手法であり、ASME圧力容器コード セクションVIII、区分3、KD−5、「自己緊縮を用いた設計(Design Using Auto-frettage)」に明記されている。
【0009】
補強に用いられる個々の繊維は超高強度のガラス又はカーボンファイバ材料から製造することができる一方、複合壁構造は、貯蔵物の内圧によって生じる環方向応力ではない縦方向の曲げ荷重によって与えられる応力に対する抵抗力をもたらすために一般に形成される。
【0010】
複合壁のシリンダは気体/コンテナの重量比の改善に成功した方法であることが判明しているが、それらは同様に、所定圧力で気体を貯蔵するための単純な金属製の円筒状ボトル(又はパイプライン)と比べて実質的により費用のかかる解決策であることも分かっている。単純な金属製の円筒状タンクの場合、高強度の材料が選択されることによって、容器の重量と費用への影響とを制限することができる。
【0011】
エクソンモービル特許は、板材の化学及び製鋼工程に基づく約900MPaの強度を有する板と、複合壁構築法とを用いることによって、従来の方法と比べて比較的軽量である大径の液体貨物コンテナを製造する方法を開示している。しかしながら、想定される全てのコンテナは少なくとも一つの切断面における円形の断面を特徴としている。開示される複合構造は円形断面を有するため、繊維の巻き付けは効率的に行うことができる。
【0012】
ビショップ特許において、シリンダに大量のCNGを貯蔵する最も効率的な方法は、周囲の又は上昇した温度の貯蔵法において用いられる貯蔵圧の約半分を使用することによって、商業的に魅力的な体積圧縮比(250−350:1の範囲である貯蔵条件における貯蔵貨物流体の体積に対する周囲の条件における貨物流体の体積の比率)が実現できるように、単純な金属製のシリンダにおける氷点下の温度であることが決定された。ビショップ特許である米国特許第6,725,671号と、ペリー(Perry)に与えられ、カナダのブリティッシュコロンビア州のゼッドガス インコーポレーテッド(Zedgas,Inc.)に譲渡された米国特許第7,137,260号とは、輸送効率を改善するために重質炭化水素ガス又は二酸化炭素の混合物を同様に推奨している。この方法は、複合円筒状壁構造の複雑性及び費用を必要とすることなく、「貯蔵効率」(気体の重量/コンテナの重量)を劇的に改善することが可能である。しかしビショップの方法は、二相貯蔵状態において生じる液体の脱落を避けるために気体は濃密相状態で貯蔵されるべきであることを明示している。目的とする作動温度において濃密相の流体貯蔵を維持するために必要な圧力は、商業的に重要な量の天然ガスの貯蔵又は輸送を考慮すると、比較的厚くて重い壁を備えた非常に多くの強くて剛性のシリンダの使用を導き出す。重い円筒状コンテナは、陸上車両又は船舶のいずれで輸送するにせよ支持及び輸送に費用がかかる。
【0013】
裏打ちされた炭素繊維複合タンクを除いて、現在使用されている又は従来技術で引用された穏やかな及び高い圧力の気体貨物タンクは、輸送手段に実質的な制限を課す比較的高い自重を有する。道路の重量制限は、鉄道であったとしても、陸上輸送における大径の高圧CNGタンクの使用可能性を抑制する。入港及び乾ドック入れにおける実際の喫水限界を意識した実際の船舶設計は、いくつの重円筒状貨物コンテナが船上で輸送可能かという点において制限される。
【0014】
ステニング特許において提案されるようなコイル状の管状構想とは反対に、シリンダが比較的短い(すなわち、直径に対する長さの比率が<<1000である)場合、非常に多くのシリンダが連結導管及び弁に連結されることによって大容量の貯蔵設備を形成しなければならない。多くのシリンダを備える貯蔵設備の相互接続及び作動は、大量の配管、連結、及び制御への投資を含む。
【0015】
設備内又は輸送手段上で必要な剛性のシリンダ又は球体がどれだけの量であろうと、工業基準に基づく検査を通過するために各々のシリンダの周囲にかなりの空間が設けられなければならない。2005年版の大量に圧縮天然ガスを運搬するための容器に関するABSガイドライン(ABS Guideline for Vessels Intended to Carry Compressed Natural Gases in Bulk,2005)を参照。船舶の貨物室の空間において、それぞれのシリンダの周りに標準的な隙間を割り当てると、1.0mの直径のシリンダは、実際に垂直配向で離間した場合、利用可能な面積の約40%のみを占めるであろう。シリンダの直径が大きいほど、利用される空スペースの割合も大きくなる。例えば、周囲の隔壁から規則で必要とされる最小限の隙間を許容する直径の一つのシリンダは四角い貨物室の約70%を占めることができる。しかしながら、一般的な船舶の貨物室内で一般に利用可能な空間の大きさに適合する直径であり、従来技術において一般に提案された高圧に耐えるように設計された単一の剛性シリンダは、単一又は複合外殻構造であろうとなかろうと、従来技術によって提案された材料及び構造から実際に製造できるとは考えられない。したがって、ほぼ剛性で円形断面(直線又はコイル状)のシリンダを用いる計画は、輸送手段内で利用可能な貨物空間のほぼ70%未満を利用すると考えられる。
【0016】
したがって、冷凍及び圧縮された流体、特に様々な炭化水素組成物の天然ガス及び/又は液化天然ガスを輸送する際に、輸送手段(船、鉄道、又は貨物トレーラ)内又は上の貨物用空間のより良い利用を可能にする安全な貨物格納法に対する要望がある。
【0017】
この文書において用いられる場合、用語「天然ガス」は軽質炭化水素組成物を指し、それはメタン分子が大部分を占めるが、常温常圧でガス蒸気として存在する限定的な非炭化水素性の不純物(水、二酸化炭素、及び窒素など)と同様に重質炭化水素分子を含んでいてもよい。この「天然ガス」は、地面から抽出された自然に生じる流体ストリームに、又はある形状の移動式プラットホーム(例えば、船、鉄道車両、又は貨物トレーラなど)における輸送のために作られた合成的に組み合わされた分子の混合物に由来する。「圧縮天然ガス」は、冷凍されているかどうかに関わらず、単に「CNG」と呼ぶこともできる。本明細書において多くの場合に「PLNG」と呼ばれる「加圧液化天然ガス」又は「加圧液体天然ガス」は、完全に冷凍されているが、必ずしもメタンの臨界温度より低い温度で貯蔵されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第3,298,805号明細書
【特許文献2】米国特許第3,232,725号明細書
【特許文献3】米国特許第5,803,005号明細書
【特許文献4】米国特許第5,839,383号明細書
【特許文献5】米国特許第6,003,460号明細書
【特許文献6】米国特許第6,047,747号明細書
【特許文献7】米国特許第6,085,528号明細書
【特許文献8】米国特許第6,460,721号明細書
【特許文献9】米国特許第6,584,781号明細書
【特許文献10】米国特許第6,655,155号明細書
【特許文献11】米国特許第6,725,671号明細書
【特許文献12】米国特許第6,932,121号明細書
【特許文献13】米国特許第6,964,180号明細書
【特許文献14】米国特許第7,137,260号明細書
【特許文献15】米国特許第7,147,124号明細書
【特許文献16】米国特許第7,155,918号明細書
【発明の概要】
【0019】
本発明は、流体を貯蔵及び/又は輸送するための装置及び方法を提供する。一実施形態において、流体貨物の貯蔵及び/又は輸送用装置は、大気圧より少なくとも約0.15MPa高い所定の通常作動圧で流体貨物を保持可能なコンテナを含む。コンテナは一対の対向する先端部と先端部間の壁区画を有し、壁区画は非円形断面を形成する。ある壁厚を有する少なくとも二つの隣接するほぼ平らな側部は、丸い角によって一緒に連結されている。コンテナは、コンテナが所定の通常作動圧で流体貨物を収容するときに、側部が少なくとも壁厚の長さだけ外側に撓むことができるように構成されている。コンテナは空のときに自身を支持できるよう十分に硬いことが好ましい。コンテナは圧力下において側壁の外向きのたわみを制限する外部支持システムと共に使用されることによって、コンテナと外部支持システムとが約−160℃まで低くなった温度で大気圧より少なくとも約1MPa高い圧力下において流体貨物を保持できるように構成されていることが好ましい。ある利用形態において、所定の通常作動圧は大気圧より約5又は10MPa高い。
【0020】
通常、コンテナは正方形の断面を有するが、形状は用途に応じて変更可能である。この実施形態において、各々の側部は長さLsを有し、各々の丸い角は曲率半径Rcを有し、Ls/Rcの比率は、好ましくは約2から約6、より好ましくは約2.5から約5、最も好ましくは約3から約4である。
【0021】
コンテナは圧縮ガスを貯蔵及び/又は輸送するためのシステムで使用され、当該システムは、大気圧より少なくとも約0.25MPa高い所定の作動圧で圧縮ガスを保持するように構成された複数の自立型コンテナを含むことが好ましい。各々のコンテナは、対向するエンドキャップと、エンドキャップの間に配置された非円形断面を有する壁区画とを有する。壁区画は、丸い角によって一緒に連結されたほぼ平坦な壁パネルを有することが好ましい。各々のコンテナは少なくとも一つの別のコンテナに隣接して配置されるため、各々のコンテナの壁区画の少なくとも一部は、圧縮ガスで満たされると、少なくとも一つの別のコンテナの壁区画に圧接することが好ましい。構造エンクロージャは複数の自立型コンテナを取り囲んでおり、一部のコンテナの壁区画は構造エンクロージャに圧接する。構造エンクロージャは、コンテナの側部を撓ませる又は拡張するコンテナ内部の圧力に対する対抗力をもたらすため、外方向への撓みは構造エンクロージャによって抑止又は制限される。一般に、構造エンクロージャは船舶若しくは鉄道車両の貨物室又は貨物トレーラ上の貨物ボックスによってもたらされる。コンテナによって加えられる圧力に耐えられるように貨物室を構造的に補強することが必要と考えられる。ISOコンテナは一つ又は複数のコンテナ用の外部構造支持体として機能し、ISOコンテナは、異なる長さである標準サイズのISOコンテナを形成するのに役立つ(通常、一辺当たり8フィート(2.44m)の)立方体状であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態は、圧縮流体を貯蔵及び/又は輸送するための船舶を提供し、当該圧縮流体は通常は圧縮天然ガスであるが、別の任意の適切な圧縮流体又は水和物であっても良い。船舶は、船首、船尾、及び船首を船尾に連結する対向する側部を有する船体と、船首及び船尾の間に延びる一つ又は複数の縦方向支持壁と、側部の間に延びる一つ又は複数の横方向支持壁とを有する。複数の貨物室は、側部、一つ又は複数の縦方向支持壁、及び一つ又は複数の横方向支持壁によって形成される。少なくとも一つのコンテナが圧縮流体を保持するためにそれぞれの貨物室に収容され、各々のコンテナは一対の対向するエンドキャップの間に壁区画を有する。コンテナの壁区画は、側部、一つ又は複数の縦方向支持壁、及び/又は一つ又は複数の横方向支持壁によって外部から支持されることにより、コンテナの壁区画の外方向への動きを制限している。二つ以上のコンテナが一つの貨物室に収容され、コンテナの壁区画が支持するために相互に圧接することが好ましい。したがって、好ましくは断面が正方形であり、丸い角を有するコンテナは、貨物室内で隣接するコンテナ及び/又は貨物室を形成する壁によって外部から支持される。
【0023】
船舶の好ましい利用法は圧縮天然ガスを輸送することであるため、コンテナは約−160℃の低い温度及び大気圧より約1.50MPa高い所定の通常動作圧で圧縮天然ガスを保持するよう構成されていることが好ましい。気体の状態は、シコード特許で推奨される状態及び/又はビショップ特許で推奨される状態であることが好ましい。
【0024】
一実施形態において、本発明は流体を貯蔵及び/又は輸送するための方法を提供する。当該方法は、支持構造を提供すること、流体を保持するよう構成されたコンテナを提供すること、ここでコンテナは壁区画を有し、壁区画は非円形断面と外面を有する壁部とを有し、及び支持構造が壁部の外面に隣接するよう支持構造の隣にコンテナを配置することを含む。コンテナは流体で満たされており且つ大気圧より少なくとも約0.15MPa、好ましくは約0.25、0.50、又は0.75MPa、より好ましくは少なくとも約1MPa高い圧力で機能している間に、壁部は支持構造によって支持されている。支持構造は、流体の圧力によって生じるコンテナの壁区画の壁部を広げるよう作用する力に対する対抗力をもたらす。あるいは、壁構造は船舶、鉄道車両、貨物トレーラ上の貨物ボックス、又は地中の立坑(shaft)の一部である。
【0025】
流体は、約−160℃から約30℃の間の温度と大気圧より約1MPa高い圧力とを有する圧縮天然ガスであることが好ましい。しかしながら、本発明のコンテナ及び方法は、ペレット化及び液化した水和物、特に天然ガス水和物などの液化物質を含む様々な種類の流体に使用可能である。
【0026】
別の実施形態において、地中に圧縮流体を貯蔵する方法が提供されており、それは地中に穴を設けること、及び穴にコンテナを設置することを含み、当該穴は内壁によって形成されており、コンテナは圧縮流体を保持するよう構成されていると共に、一対のエンドキャップとエンドキャップの間に壁区画とを有する。壁区画は一定の厚みと、非円形断面と、外面とを有し、コンテナの壁区画の外面は地中の穴を形成する内壁に隣接している。コンテナは少なくとも1MPaである所定の通常作動圧になるまで圧縮流体が充填されており、壁区画が壁区画内の力及び/又は地面から加わる反力のために更に膨張できなくなるまで、コンテナの壁区画は圧縮流体の圧力によって少なくとも壁区画の厚みとおなじ幅、好ましくは厚みの3、5、8、又は10倍の幅だけ外向きに膨張可能である。
【0027】
また、本発明は円筒状のコンテナを製造する方法を提供し、当該方法は、円筒状の壁を備える可撓性の薄壁である密閉ライナを設けること、十分な圧力下で密閉ライナを流体で充填することで円筒状の壁を堅固な円筒形に保持すること、密閉ライナに第一のシート材を巻くこと、密閉ライナ及び/又は第一のシート材に第二のシート材を巻くこと、第一のシート材及び/又は密閉ライナに第二のシート材を結合させること、密閉ライナ及び/又は第一のシート材及び/又は第二のシート材に第三のシート材を巻くこと、並びに第三のシート材を第一のシート材及び/又は第二のシート材及び/又は密閉ライナに結合させることを含む。したがって当該方法は、密閉ライナの周囲にシート材を連続的に巻きつけて結合することによって密閉ライナの周囲に所望の厚みの壁を形成することで、第一及び第二の対向端を有するシリンダを形成することを含む。エンドキャップが第一及び第二の端部に設置されることで円筒形コンテナの形成を完了でき、当該コンテナは少なくとも約0.5MPaの所定の通常動作圧において圧縮流体を収容するよう構成されている。好適な実施形態において、円筒状コンテナは丸い角を備える長方形の断面、好ましくは正方形の断面を有する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、圧縮流体の貯蔵及び/又は輸送のためのコンテナを提供する。当該コンテナは、内面、入口及び出口を備える外部タンクと、外部タンク内に位置する膜タンクとを有し、膜タンクは外壁、入口及び出口を有し、膜は可撓性であると共に、外部タンクによって支持されている間に大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常動作圧で圧縮流体を保持できるように構成されている。環状空間が外部タンクの内面と膜タンクの外壁との間に形成されており、外部タンクは膜タンクを圧縮するために環状空間に第二の流体を受容する及び/又は膜タンクから圧縮流体を放出するように構成されている。外部タンクは、例えばISOコンテナであってもよく、又はそれは地中の穴に存在する及び/又は穴を有しても良い。
【0029】
本発明のコンテナは、第一の場所で膜タンクに圧縮流体が充填され、第二の場所に運ばれる方法であって、第二の場所において環状空間に第二の流体を充填することによって圧縮流体が排出される方法において有益である。この方法は、圧縮流体に対する第二の流体の圧力及び受容構造からの背圧によって、膜タンクに残る圧縮流体の残存量(heel)を最小限にするために非常に優れている。第二の流体の圧力が背圧よりも十分に高い場合、残存量は少なくなるであろう。方法は、第二の流体を第一の場所に輸送すること、及び第一の場所で第二の流体を排出することを含み、圧縮流体は第二の流体を排出するために第一の場所で膜タンクへと充填される。第二の流体は第一の場所で商業的価値があるため、方法は第一の場所で第二の流体を販売することを含むことが好ましい。例えば、圧縮流体は天然ガスであり、第二の流体は二酸化炭素である。いずれかの流体を環状空間の内側ではなく膜タンクの内側に存在させることができる。
【0030】
膜タンク又は環状空間のいずれかに圧縮天然ガスを充填する際に、ガスの膨張によってガスを冷却するジュール−トンプソン効果(Joules-Thompson effect)が生じる。冷却は液滴を形成及び落下させることができ、濃密気体相にガスを維持することが好ましい。圧縮流体の温度が所望される範囲内に維持されるように、圧縮流体を膜タンクに充填する間に環状空間に所望の圧力を維持することが好ましい。
【0031】
本発明の別の実施形態において、圧力下で流体の貯蔵及び/又は輸送をするための装置が提供されており、当該装置は、内壁を有するカルーセル缶(carousel can)と、カルーセル缶の中でコイル層状に巻かれた管とを有し、管は大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常動作圧において流体を保持できるよう構成されている。管はほぼ正方形の断面を有し、管の壁は、コイル状の管の隣接部の壁又はカルーセル缶の内壁によって過剰な膨張に備えて支持されていることが好ましい。管の壁は、管の長手軸に対して横向きに形成された波形構造を備えることによって、コイル状にすることを容易にする及び壁に構造的な安定性を付与することが好ましい。また、波形構造はステニング特許に記載されるような円形断面を有する管においても有益であろう。カルーセル缶はグラウト、エポキシ、炭化水素ベースの樹脂、絶縁材及び/又は繊維強化複合材料で充填されることが好ましい。
【0032】
コイル状の管は、金属シートのコイル状リールを準備すること、縦方向の継ぎ目が形成されるようにマンドレル上で金属シートを引っ張ることによって、正方形の断面を有する管を形成すること、及び縦方向の継ぎ目を溶接することで形成することができる。管は隣接するコイル内に巻かれることによって第一層を形成し、それぞれ次のコイルが直前のコイルの外側に隣接して位置し、隣接コイル内に管をコイル状に形成することで第二層を形成し、それぞれの次のコイルは直前のコイルの内側に隣接して位置し、第二層は第一層に接している。気密バルブが管の両端部に設置されることによって、少なくとも約0.5MPaである所定の通常作動圧において気体を保持できるように構成されている気密コンテナを形成することが出来る。
【0033】
カルーセル缶はほぼ円形のスピンドルとほぼ円形の外壁とを有し、コイルはカルーセル缶内でらせん構造を形成し、それはコイルの膨張を抑制するための外部支持をもたらすことが好ましい。あるいは、それぞれのコイルは2Rの距離だけ離れた二つの平行な線を有する形状を実質的に形成し、前記線は、半径Rを有する半円によって各々の端部で連結されている。構造支持システムがコイルを外から支持するために設けられている。構造支持装置は内部支持材を有し、各層の最も内側のコイルの最内縁は内部支持材に隣接している。構造支持システムは外部支持材を有し、各層の最も外側のコイルの最外縁は外部支持材に隣接する。
【0034】
以下に記載される例示的な実施形態の詳細な説明が添付図面と組み合わせて検討されると、発明のより良い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明に基づく隣接タンクによって支持されるタンクの断面図である。
【図1B】本発明の説明で用いられる寸法の名称を備えるタンクの断面図である。
【図2】浸漬管が貨物及び/又は置換流体の出入りのための流路を提供する好ましく形成可能な低部及び高部を備える貨物コンテナの模式図である。
【図3A】本発明に基づくコンテナの角に対して内側に位置するコンテナの側部を示す空の貨物コンテナの平面図である。
【図3B】本発明に基づく図3Aの貨物コンテナが圧力下で流体を充填された後の平面図であり、コンテナの側部がコンテナの角に対して外側に膨らんでいる。
【図3C】本発明に基づく貨物で充填されたコンテナの平面図であり、地中の構造的に制約する貯蔵空間内で利用可能な体積の大半をコンテナが占めている。
【図4A−4B】本発明に基づく貨物で充填されたコンテナであって、当該コンテナは陸上輸送用の車両上の構造的に制約する貯蔵空間内で利用可能な体積の大半を占める。
【図5A】本発明に基づく船舶の断面を示す正面図であり、貨物室内の空のコンテナの側面を表している。
【図5B】図5Aの船の貨物室の平面図であり、貨物室の平面積の90%以上を占める四つの充填されたコンテナを示している。
【図6A】本発明に基づく剛性又はほぼ剛性の構造体と円筒状の断面とを有する複層式貨物タンクの側面図である。
【図6B】6B−6B線に沿った図6Aのタンクの断面図である。
【図6C−6F】図6Aのタンクを形成する製造方法の模式図であり、内部密閉層に対する内圧がタンクの形状を維持しており、外殻の補強層が内部密閉層上に重ねられて結合されている。
【図7A】本発明に基づく膜タンクの立断面図であり、最内密閉層が構造外層に連結されておらず、それによって最内密閉層と構造外層との間に環状空間がもたらされている。
【図7B】本発明に基づく図7Aの膜タンクの正面図であり、最内密閉層内から貨物を排出するために流体がある程度充填された環状空間が示されている。
【図7C】本発明に基づく図7Aの膜タンクの模式図であり、最内密閉層内から貨物を排出するために流体が完全に充填された環状空間が示されている。
【図8A】本発明に基づく輸送コンテナ内に集積された膜タンクの立断面図であり、最内密閉層は輸送コンテナの周縁を形成する構造外層に結合されていない。
【図8B】8B−8B線に沿った図8Aの膜タンクの平断面図である。
【図8C−8E】図8Aに図示される輸送コンテナ内の集積した膜タンクの立断面図であり、最内密閉層は輸送コンテナの周縁を形成する構造外層に連結されておらず、当該図は、最内密閉層内から貨物流体を排出するために最内密閉層と構造外層との間の環状空間に流体を注入する方法を図示している。
【図9A】本発明に基づく補助収容カルーセル構造内でコイル状にされた管状貨物コンテナの立断面図であり、管状貨物コンテナはほぼ正方形の断面を有する。
【図9B】補助収容カルーセル構造内に管状貨物コンテナを配置してコイル状にする工程の模式図であり、管状貨物コンテナは補助収容カルーセル構造内で交互の層において互い違いの向きに配置されてコイル状にされる。
【図10】図9Aの環状貨物コンテナの立断面図であって、環状部内の圧力荷重が隣接する環状部内に作用する同程度の圧力又はカルーセル構造の剛性殻の反力によってどのように平衡を保っているかを示している。
【図11】図9Aの管状貨物コンテナの内核における拡張ループの立面図である。
【図12A】本発明に基づく波形の管状貨物コンテナの立側面図である。
【図12B−12C】図12Aの波形の管状貨物コンテナの代替形態の断面図である。
【図13A】本発明に基づく立方体型貨物コンテナの断面図である。
【図13B】図13Aの立方体型貨物コンテナの側断面図である。
【図14】本発明に基づく流体貨物の輸送用貨物トレーラ上に操作可能に連結されている5つの図13Bの立方体型貨物コンテナの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
天然ガスの貯蔵及び輸送
本発明は、固定型又は可搬型の貨物コンテナに充填及び当該コンテナから排出するための革新的な方法と同様に、天然ガス及び/又は液体天然ガスなどの流体の貯蔵及び/又は輸送のための革新的な形状の容器を提供する。高効率の貨物コンテナの設計と輸送手段内の利用可能な貨物室空間の利用とが本発明によって実現できる。本発明の貨物コンテナはコンテナ自体の構造的な性質を補完するために外部支持材を利用する。貨物流体は、貨物コンテナ内において非常に低い温度及び低−中圧で貯蔵される。貨物コンテナは、多角形ボディを有するよう設計されており、冷却され加圧された貨物流体を収容するそれらの構造上の性質が隣接コンテナの支持及び/又は貨物室空間を形成する壁の支持に通常は依存するように形成されている。
【0037】
本発明の貨物コンテナは、丸い又は円弧状の角によって一緒に連結されたほぼ平らな平面的な側壁と側壁に連結されるエンドキャップとを有することによって、貨物コンテナ内に収容容積を規定できる。本発明の貨物コンテナは、船、鉄道車両若しくはトラックの貨物室内又はある貯蔵及び/又は輸送手段内の利用可能な空間に適合するよう様々なカスタムの多角形状を有することが出来る。輸送手段内の利用可能な貨物空間の高い利用度は、側壁を備える貨物コンテナで空間をほぼ埋めることによって実現でき、貨物コンテナの側壁は貨物室空間の側部の内側境界に外向きに圧接する。あるいは、貨物コンテナの側壁は隣接する貨物コンテナの側壁に圧接し、又は貨物コンテナの側壁はいくつかの隣接する貨物コンテナの側壁と貨物室空間の側部の内側境界のある部分とに圧接することもできる。輸送手段の貨物室内において利用可能な内部貨物空間は、コンテナと貨物室の内面との間の断熱層によって制限されても良い。
【0038】
コンテナの質量に対する収容される流体の質量の高い比率は、コンテナの隣接する側部間の移行部を形成する円弧状の角の間の平面の長さが角の半径と比べて相対的に大きい場合、本発明の多角形コンテナを製造するために用いられる比較的高強度の材料によって実現される。
【0039】
本発明の好適な実施形態は、それぞれが対象とする温度範囲以上におけるシコード及びビショップによって言及される適切な圧力を意味するシコード及びビショップによって開示される条件範囲を超えて天然ガス及び液体天然ガスの貯蔵及び輸送を提供することを意図している。シコードは、米国特許第3,232,725号に開示される最高約24℃と同様に、約−130℃から約−80℃の間の温度範囲を対象とする。ビショップは約−10℃未満の温度を対象とする。シコード及びビショップによって開示される条件範囲を超える天然ガス及び液体天然ガスの貯蔵及び輸送は、本明細書中に記載されるコンテナシステムを用いること、本明細書中に記載される流体を取り扱う方法に基づいて本発明によって教示されるようにコンテナに貨物流体を注入すること及びコンテナから貨物流体を抽出することによって実現できる。本発明にとって好適な貨物は天然ガス及び液体天然ガスであるものの、本発明のコンテナ及び流体取り扱い法は他の流体並びに商業上の利益に関する貯蔵及び輸送の圧力−温度の組み合わせにおいて利用可能である。シコード及びビショップは、それらの方法が固形又は純粋な液体でない状態の天然ガス流体貨物の商業的な貯蔵に関して多くの場合に用いられる条件を示しているため、ここで焦点を当てられている。シコード他に付与された米国特許第3,232,725号及び第3,298,805号並びにビショップ他に付与された第6,584,781号、第6,655,155号及び第6,725,671号はあらゆる目的のために参照によって援用される。
【0040】
本明細書において開示されるコンテナは、気体、液体、混合相、又は固体(例えばメタン又は天然ガス水和物)である濃密な加圧状態の多種多様な気体及び気体組成物を効率的に保持するために設計及び利用されることができる。天然ガス及び/又は液体天然ガス並びに関連する又は添加される不活性成分(多くの場合、「天然ガス」とまとめて呼ばれる)が貯蔵及び輸送される圧力は、(例えばビショップによって規定されるような)対応する作動温度における貯蔵効率を最適化するように選択される。混合天然ガスが約−160℃に近い十分に低い温度で貯蔵される場合、貯蔵圧は、約22ポンド/平方インチ絶対圧力又は約22psiaである約1.5バール絶対圧力(bara)の低い値に設定可能である。プロパンなどの天然ガスの多くの成分は、それらの大気中液化温度に達する温度で貯蔵することによって、約14.5−29psiゲージ圧(psig)の大気圧である約1又は2バールのゲージ圧(bang)内で液体として一般に貯蔵される。水素などの軽質ガスは、約−240℃未満の温度で貯蔵される場合、数バールの大気圧内の圧力で比較的濃密な形態で本発明のコンテナ内において効率的に貯蔵可能である。本明細書中で開示されているコンテナは、天然ガス以外の流体に関して、シコード及びビショップ特許に記載される範囲外である本明細書に開示される条件下と同様に、シコード及びビショップ特許に記載される圧力及び温度の多くの組み合わせで使用可能である。
【0041】
本発明は、貯蔵される流体とそのコンテナとの間の質量比における高い貯蔵効率と、貯蔵設備内又は船などの輸送手段内において利用可能な貯蔵空間の高い利用とをもたらす。本発明は同様に、費用を削減し、収容システムに一般に残存する残留ガスを抑制するように充填及び排出作業を改善する。
【0042】
本発明によって導入されるコンテナ装置の好適な実施形態は、特徴的な円弧状の角と中央ボディ(mid-body)にわたる可撓性の側部とを備える多面コンテナである。コンテナは、操作の間(例えば、輸送手段に設置するための操作の間)に安定化する内圧を与えることなく元の形状を維持するのに十分な構造上の剛性を備えることが出来る。しかしながら、外部構造又は圧力によって制約されない場合、角の間のコンテナの側部は、内圧が目標とする作動貯蔵圧の10%を上回るときにコンテナのボディの形成に用いられている材料の弾性限界を超えないように、少なくとも一つの壁厚に相当する中央スパンの外向きの最大限の撓みを許容するある程度の可撓性を有する。高圧において弾性変形をすることなく大きな中央スパンの撓みが実現される。しかしながら、外部支持がコンテナの側部に与えられない場合に、目的とする作動貯蔵圧に達する内圧が加えられると、コンテナはコードの許容値を超える圧力に直面するであろう。
【0043】
別の実施形態において、外部から支持する拘束が本発明のコンテナの剛性外殻部として設けられ、外殻部が外殻部内の密閉隔壁層を完全に覆っている場合、当該層の側部が目的とする作動圧の10%以下の圧力で多くの厚みに等しい外向きの撓みを示すことができるように、密閉隔壁層は高い可撓性を有することができる。実際、密閉隔壁層はコンテナの剛性外殻部によって完全に支持されるまで延びるべきであることが意図されている。
【0044】
多くの場合、貨物コンテナから漏れる恐れがある貨物流体を捕捉して安全に管理するために補助的な密封外皮を提供する補助収容構造によって貨物コンテナは覆われるであろう。実際、好適な実施形態において、補助収容構造は貨物コンテナに対して構造的な支持及び/又は拘束を実際にもたらす。例えば、本発明の貨物コンテナを取り囲む船の船体構造は、貨物コンテナ及び貨物流体の重みを支え、海の変動する環境において加わる力に耐えるように非常に頑丈な構造に設計されなければならない。そのような頑丈な船体の固有強度は、船体の費用を実質的に増加することなく、コンテナが貨物流体の充填によって加圧される場合に、本明細書において開示される貨物コンテナの非剛性の側部を支持するために効果的に利用可能である。いずれかの従来技術におけるCNG又はPLNGの設計は、本質的に船体構造の一部である貨物室の壁が船の貨物室内に配置される貨物コンテナの側部に対する支持材として設計されるべきであることを考慮しているとは考えられない。貨物コンテナの壁を支持するか否かに関わらず高い強度を有するそのように必要な構造及び構造上の性質の全ての利点を利用することは、本発明の費用を削減する優れた特徴である。
【0045】
同様に、場合によって「ISOボックス」とも呼ばれる国際標準化機構又はISOによって規定される標準的な輸送コンテナの側部及びフレームの構造上の性質は、従来のISOボックスの基本費用に対してほとんど費用の増加をせずに、本発明の非剛性の貨物タンクの側部に所望の断熱と支持とをもたらすように改良することができる。その結果、特徴を反映し、本発明の冷却CNG貨物タンクを支持するように改良されたISOボックスは、従来のCNG鉄道及びトラック構想と比較して非常に優れた天然ガスの輸送手段になる。
【0046】
貯蔵される流体が天然ガスのように可燃性である場合、主要コンテナと補助収容システムとの間の空間は冷えた不活性ガスで満たされるであろう。貯蔵される流体が非常に低温で保持されることを意図しており、主要コンテナへ外部環境から伝わる熱量を抑制することが望まれるため、通常は補助収容システムの表面は十分に断熱されているであろう。個々のタンクが非常に大きく、外皮が断熱構造を損傷するように実質的に屈曲することができない場合においてのみ、主要コンテナの外皮は直接適用された断熱層を有する。
【0047】
加圧された貨物が充填されたときに変形して拡張可能なコンテナを製造及び設置することによって、従来のシステムと比較して貯蔵設備内又は選択された輸送手段において利用可能な体積のより高い割合が、貯蔵及び/又は輸送されることを目的とする流体によって実際に占められることが想定される。
【0048】
一実施形態において、コンテナのボディの外殻又は外皮は、ほぼ0℃以下、好ましくは約−40℃から約−130℃の間の貯蔵温度での耐久性を備えるよう製造された超高強度の膜材料シートから構成され、圧力抑制が主に膜の作用によってもたらされる、すなわち、外皮は非常に強いがそれらの広がる次元において比較的わずかな曲げ剛性しか有さないように可撓性を備えて設計されるべきことを本発明は提唱する。そのような材料は689.5メガパスカル(689.5MPa又は100,000psi)を超える降伏強度を有する近代ミル手法によって形成された薄い超高強度の合金鋼シートであってもよい。しかしながら、ほぼ全ての場合において、最小の効果的な材料の降伏強度は、約50,000psiを超えなければならず、好ましくは約70,000psi、すなわち約483MPaを超えなければならない。
【0049】
あるいは、同程度の強度の天然及び/又は合成の膜材料が、マサチューセッツ工科大学(MIT)のアンジェラ・ベルチャー(Angela Belcher)教授などの研究者によってナノ材料と呼ばれる炭素分子ナノ構造(ナノチューブ又は膜)を構成するそれらの能力の遺伝子設計及び操作を介してウイルス又はファージによって産生することもできる。また、ダイ(Dai)他によって出願されてカンブリオス テクノロジーズ コーポレーション(Cambrios Technologies Corp.)に譲渡され、参照によって援用されている米国特許出願公報第20060254503号を参照。
【0050】
これらのコンテナの外皮を形成するシート材は、溶接又は接着などの当業者に周知の任意の結合技術によって、縁と縁又は縁を重ねた継ぎ目で連結されることによってコンテナの層を形成することができる。さらに、近代解析法によって識別可能な目的の業務のための層と層との相互作用の必要性に基づいて、当業者に周知である任意の結合法によって層は相互に結合可能である。例えば、爆着は非類似の金属のシートを一緒に結合するために使用可能である。爆着(EXW)は、爆発物の制御されたエネルギーを二つ以上の類似又は非類似の物質の間に金属結合を形成するために利用する結合方法である。例えばろう付け化合物又ははんだ合金などの中間金属フィラーは結合を促進するために必要とされず、外部からの熱も適用する必要がない。また爆発溶着は、それらの事前に結合された性質を失うことなく金属を連結可能な冷間圧接処理であると考えられる。異材継手(transition joint)は高い機械強度を有し、非常に高い真空気密性を有し、激しい熱サイクルに耐えることができる。爆着されたシート及び形状は、ワシントン州スクイム(Sequim,Washington)のハイ エナジー メタルズ インコーポレーテッド(High Energy Metals,Inc.)などの販売元から購入可能である。
【0051】
ここで図面を参照すると、図1a及び1bに関して、本発明は一実施形態において比較的薄く可撓性の壁区画12a、12b、12c及び12dを有するタンク10を提供しており、当該壁区画は壁区画12と通常は呼ばれる。丸い又は弧状の角14aは壁区画12aを壁区画12bに連結している。同様に、丸い又は円弧状の角14bは壁区画12b及び12cを連結しており、角14cは壁区画12c及び12dを連結しており、角14dは壁区画12dを壁区画12aに連結している。丸い又は円弧状の角14a、14b、14c及び14dは角14と通常は呼ばれる。図1及び2に図示されていない対向している比較的厚く剛性のエンドキャップ16a及び16bは、タンク10内に収容空間を形成するために壁区画12及び角14に連結される。以下で説明される図5aは、エンドキャップ16a及び16bに似たエンドキャップを備える典型的なタンクの側面図を示す。図面は原寸に比例していない。図面は特定の寸法でなく、本発明の原理を説明することを意図しているのみである。
【0052】
図1aにおいて、タンク10が類似のタンクによって囲まれている。タンク10aはタンク10の側壁12aに隣接する側壁を有する。タンク10bは側壁12bに隣接する側壁を有する。タンク10cは側壁12cに隣接する側壁を有する。タンク10dはタンク10の側壁12dに隣接する側壁を有する。タンク10abはタンク10a及び10bに隣接している。タンク10bcはタンク10b及び10cに隣接している。タンク10cdはタンク10c及び10dに隣接している。タンク10daはタンク10d及びタンク10aに隣接している。タンク10a、10b、10c、10d、10ab、10bc、10cd、及び10daは部分的な断面のみが示されている。
【0053】
タンク10の壁区画12は、シコード及びビショップによって記載された条件範囲において天然ガスを輸送又は貯蔵するための従来技術において提案された厚壁で剛性のタンクと比較して、薄くて可撓性に富む。圧力下においてガスを貯蔵するための従来のコンテナは、円形断面を有する円筒形状又は球形状を一般に有していた。本発明のタンク10はその代わりにほぼ正方形の断面を有する。本発明のCNGタンクのこの基本的な特徴は図1aに図示されており、非剛性の側壁区画12を備えるタンク10は丸い角を有するほぼ正方形の断面形状に拘束された平断面図で示されている。壁区画12a、12b、12c及び12dは従来の高圧ガスコンテナと比べていくらか柔軟である。結果的に、作動圧Pがかかると、側壁区画12a、12b、12c及び12dは外向きに広がろうとする。タンク10は剛性の断面を有していないため、独立した外部の側部拘束が存在しない場合、貨物に作動圧Pに達するまで十分に圧力が加わると、タンク10は円形になろうとし、どうにかして(規則の許容値を超える)応力レベルを受けようとする。しかしながら、タンク10ab、10bc、10cd、及び10daと同様に隣接タンク10a、10b、10c及び10dも作動圧力P下にある。タンク10の側壁区画12a、12b、12c及び12dを外向きに押す圧力は、隣接タンク10a、10b、10c及び10dの側壁区画を外向きに押す圧力によって生じる反力によって相殺される。等しい圧力Pで作動する実質的に同一の隣接タンクの対向する側部はそれらに作用するほぼ等しく且つ対向する力を有するため、力が相互に相殺して中和する。隣接タンクの外皮及び/又は周辺構造に作用する圧力がタンク10の断面形状を決定する。タンク10a、10b、10c及び10dはタンク10の側壁12a、12b、12c及び12dに対して外部支持を提供し、それによってその壁区画12a、12b、12c及び12d内の応力を低減して抑制する。隣接タンク10a、10b、10c及び10dによってもたらされるタンク10の側壁12に対する外部支持は、圧力Pで作動する円形断面の従来の剛性シリンダと比較して、壁区画12a、12b、12c及び12dの強度及び/又は厚みの減少を可能にする。従来の剛性シリンダは、作動圧Pによってかかる力を相殺するためにその壁区画の強度のみに依存している。従来の高圧ガスコンテナは、外部支持の補助無しで圧力Pにおいてガスを保持するために十分に厚い側壁を有する。本発明のタンク10はその壁区画12における強度に加えて外部支持を利用することで、圧力Pの下で流体を保持することができ、図1aにおいて外部支持は隣接タンク10a、10b、10c及び10dによってもたらされており、それらは順にタンク10ab、10bc、10cd及び10daによって外部から支持されている。
【0054】
タンク10を取り囲むタンクは、同一の加圧コンテナの別の環状構造によって、又は貨物室空間を形成する剛性の壁によって支持可能である。したがって、貨物船内の貨物室を形成する構造材も、タンク10及び/又はタンク10を取り囲むタンクに外部支持を提供するよう機能することができる。タンク10及び周囲のタンクは、通常は断熱されている冷凍貨物室に通常は配置される。タンク10及び周囲のタンクは断熱構造を圧接し、それはタンクの壁区画と貨物室の境界を規定する構造材との間で圧迫されるであろう。結果的に、貨物室の内周上の断熱材は、断熱材に接触するよう意図されているコンテナの外皮によって与えられる圧縮加重に耐えるように設計されなければならない。
【0055】
図1bは、図1aのタンク10の幾何学的特徴を説明するために付与された一般的な寸法標識を示している。以下において更に詳細に説明されるように、Lsはタンク10の各辺に沿った内側の長さである。Rcはタンク10の各々の角14における内側の角度であり、tは各々の壁区画12a、12b、12c及び12並びに各角14の壁厚である。
【0056】
コンテナは、コンテナの長さとして規定される対称軸に沿った主要寸法を有する。コンテナは、長さ寸法の主要軸が鉛直に(その場合、長さは高さとも考えられる)、水平に、又は低端及び高端がそれぞれ明確に角の底端と頂端として形成されるように水平方向に対してある程度傾いた方向を向くように、支持及び/又は拘束される。コンテナが水平向きに輸送手段上に配置される場合、輸送手段自体が傾くことによって、機内に搭載されたコンテナに下端及び上端を形成しても良い。
【0057】
図2に関して、コンテナが鉛直に配置されていない場合、コンテナをわずかに傾ける支持材を提供する必要がある。図2はコンテナ20の側断面図を示している。コンテナ20は上点22及び下点24を有し、それらはコンテナ20がどのように支持されるかによってもたらされ、そのことは示されていない。導入チューブ26は上点22においてコンテナ20に流体貨物が導入されることを可能にする。浸漬管(dip tube)28は下点24において流体貨物がコンテナ20から排出されるのを可能にする。図2に示されるように、優先的な流体の導入及び排出を可能にする流路は導入管26と浸漬管28とによってもたらされる。軽質ガスは上点22における導入管26を介して入ることによって、液体などの密度の高い流体を下点24における浸漬管28を介して押し出すことができる。高い側の導入管26を介して入る軽質ガスと低い側の浸漬管28から出るように力を受ける液体との間の境界面Iは、図示されており、コンテナ20の傾いた向きを表す。
【0058】
示されているように、各々のコンテナは、長さに沿った主要な対称軸に関して垂直又は水平に通常は向けられている規定可能な長さ寸法を有することが期待される。あるいは以下において説明されるように、非常に長いコンテナは、コンパクトならせん配置内に収容容積を集中させるためにコイル状にされてもよい。本発明におけるコイル状のコンテナは、コイルへの及びコイルからの頂部及び底部の両方の流路接続を有することが想定される。
【0059】
加圧貨物が充填されている場合のコンテナの形状は、隣接コンテナ又は周囲の構造によって与えられる外部拘束によるのと同様に、コンテナのボディ又はエンドキャップに組み込まれている材料、補強材、及び内部又は外部フレームによって与えられる拘束の元来事前に決められた形態によって規定されるであろう。例えば、貨物コンテナは分離して存在する場合には通常は円筒形状を有するが、同時に加圧される同一の基本形状のコンテナによって近くに取り囲まれる場合(一つの貨物空間内の全てのコンテナがマニホールドによって一緒に連結されている場合に起こる)、結果的な形状は周囲のコンテナの配置に依存してむしろ正方形状(又は別の多角形状)である。
【0060】
図3a及び3bに図示されるように、本発明のコンテナのボディは、加圧貨物で満たされる場合にはある程度安全に変形可能であるように設計された外皮を有する。図3aは、側壁32a、32b、32c及び32dを有するコンテナ30の平面図である。丸い角34aは側壁32aを側壁32bに連結する。丸い角34bは側壁32bを側壁32cに連結する。丸い又は弧状の角34cは側壁32cを側壁32dに連結する。丸い角34dは側壁32dを側壁32aに連結する。コンテナ30は図3aにおいて加圧されていない。コンテナ30は、加圧貨物が充填されたときに、多角形の角を形成する選択された数の場所における比較的高度な剛性によって、破線36で描かれている正方形のように十分に丸い角34を備えた複数の辺を有する断面を形成する傾向にある。一実施形態において、この局所的な剛性はコンテナの外皮の一部に設定されている。その場合、角の部材は角の間の側部パネルを形成する部材よりも実質的に厚い。別の実施形態において、角はコンテナの外皮を取り囲む事前形成(例えば、回転)又は内部若しくは外部支持フレーム若しくは構造によって形成されている。
【0061】
さらに、充填された場合のコンテナ30の形状は上述した拘束する特徴の組み合わせによって決定される。図3bは、コンテナ30が天然ガスなどの加圧貨物で充填された後の図3aのコンテナ30を示している。外部拘束がない場合、コンテナ30は加圧されると図3bに示されるように膨張しようとするであろう。コンテナ30が流体貨物で充填され、圧力をかけられた後に、圧力によって生じる力は側壁32a、32b、32c及び32dを外向きに広げ、それは図3aのコンテナ30と比較するように図3bに示されている。上述したように、外部支持を利用するよう設計されたタンクは、外部支持が無い状態で目的とする作動貯蔵圧に達する圧力まで充填された場合、規則の許容値に対して過剰な圧力を加えられる。しかしながら、これらのタンクは安定形状を維持することができ、外部支持に依存しないため、設置されない又は目的とする使用圧力を供給されない場合に取り扱うために安定に存在することができる。図3bにおいてコンテナ30に対する外部支持が示されていないが、ある種の外部支持が通常は設けられるであろう。
【0062】
コンテナの内圧が大気圧近く又は大気圧以下に低下すると、コンテナの側壁は内側にへこみ、コンテナの内部容積を減少させ、隣接するコンテナ及び周囲の構造の間に検査するための空間を作り出すようにコンテナの側部は設計及び製造可能である。そのような検査は、頻繁ではなく、通常は海運の慣行として1年に一度程度であり、また、検査のための安全な接近を可能にするために全ての危険な貨物流体を容器から取り除き、不活性ガス又は空気で置換する必要がある。そのようなまれな事態において、内圧は大気圧(1bara)未満に低減されるか、コンテナの周囲の圧力が大気圧をわずかに上回るまで上昇されることによって、コンテナの膨張していない(格納された)分葉した形状(例えば図3aのコンテナ30の形状)へのコンテナの復元を補助する力の不均衡を生じることができる。
【0063】
本発明は検査のための内部の接近が実際に行われるそのような大きな断面のコンテナを設計及び建設可能にすることを目的とするため、周囲の隔壁から離れて収縮するこれらのコンテナの機能は必要でない。しかしながら、それは剛性のコンテナに対する利点をもたらす一つの特徴である。
【0064】
図3cは、外部支持及び補助収容容器を備える一実施形態におけるコンテナCの平断面図である。コンテナCは、地面E内に長距離にわたって深く延びる採掘若しくは掘削した立坑、チャンバ又は穴Hに配置されている。コンテナCは鉄筋コンクリートの壁Gによって囲まれた地面E内に密閉されている。コンクリート壁Gは、必要に応じて地面E内の周囲の地層の構造上の性質を補完するために、鋼鉄製の鉄筋又は高強度の繊維材料で補強することができる。事前圧力の従来の方法が実施されることで、コンテナCに作動圧がかかっているときにコンテナCの膨張によって外向きにかかる圧力荷重にもかかわらず鉄筋コンクリートのエンクロージャGが構造の完全性を維持することを保証することができる。立坑Gのコンクリートの周辺部は、それが適切な骨材で構成されている及び/又はそれが空洞を有している場合、断熱材として機能する。そうでない場合には、実用レベルまでコンテナCの熱利得を低減するために必要な断熱を提供するように、コンテナCは設計されるか又は断熱材を追加することができる。
【0065】
以下において、図3cに示されるような断熱コンクリートの立坑内に地表から下向きに延びる単一の貯蔵タンクを備える常設の貯蔵施設においてシコードによって解析された(−57℃の臨界温度を有する88.8%のメタンである)一般的なサハラガス(Sahara gas)に似た気体又は流体を貯蔵するために、図3a及び3bのコンテナ30又は図3cのコンテナCのようなタンクの断面が設計及び製造される方法が説明されている。
【0066】
貯蔵タンクは半径1メートル(1m)の角を備える正方形断面の単一のコンテナである。コンテナは、約10m×約10mの正方形(及び少なくとも約30mの長さ)である内部チャンバを提供する鉄筋コンクリートの立坑に垂直に建設又は設置できる。コンクリートの立坑はほぼ剛性であり断熱されていると仮定されている。より剛性でない補助容器に対して、環状の応力は支持されていない角ではなく、区画のパネル部において大きくなるため、主要コンテナの外皮が有する効果的な応力レベルを決定するために有限要素解析が使用されなければならない。
【0067】
端部閉塞部材の細部は、個々の設置に対して特異的な拘束及び支持の工学的評価に基づいて設計されるが、そのような細部は本発明の焦点ではない。端部閉塞材及びノズル並びにそれらをコンテナのボディに固定するための手段は、適切な圧力容器の規格を満たすように設計されなければならない。当業者は有限要素解析法の使用法を理解することによって、(ノズルを含む)端部閉塞材と、それらの端部閉塞材及びコンテナのボディの間の複雑な移行機構との全体に及ぶ応力が規格を満たすことを保証することができる。
【0068】
コンテナのボディは、以下のモデルケースにおいて選択される温度で安全に作動するのに適した靱性を有する高強度(例えば約689MPaの降伏強度)の金属合金のプレートから製造される。プレートは、縁が重なる場所において爆着するか、それらが隣接する部位において溶接することができる。圧力容器の実施基準に従う必要があれば、溶接部は(例えば、平坦にならす又は応力を軽減するなどの)処理をされなければならない。約−40℃から約−120℃の範囲の温度において、現在のミル工程は、約3%未満のニッケル含有量である好適な合金鋼からこの用途のために必要な強度及び厚みのプレートを製造することができる。したがって、超高強度のシートの複層構造はこの実施例には必要ないが、重量の軽減が完成したタンクの設置を容易にするための設計課題である場合には、実施することもできる。
【0069】
この実施例において、コンテナのボディは角で厚くなることなく全体にわたって一定の壁厚を備えて形成されている。しかしながら、コンテナの輸送及び/又は設置の間の操作を容易にするために、角により厚いプレートを使用することによっていくらかの弾性及び剛性をコンテナに与えることが望ましい。
【0070】
角を形成するための材料は、1.0mをわずかに下回る曲率半径を有する約4分の1の円弧を形成するために丸められる。側部パネルは、一つの側部パネルが対向する側部パネルに平行であり、一つの角のパネルから別の角のパネルに延びるほぼ平らな面として最初は形成されることで、基本となる直線構造を構成する。
【0071】
設置の前に、図3aのコンテナ30のようなタンクは、図3bにおいて図示されるコンテナ30のように内部で過剰に加圧され、限定的な降伏が生じ且つ角の弧が最大1mの半径まで広がる場所まで元の正方形の形状を超えて外側に広がることができる。タンクの側部が拘束されていない状態で内部の過剰加圧が行われると、変形を引き起こすために加えられる圧力は、タンクが貯蔵立坑内に設置される際に加えられる貯蔵圧の一部(この場合は約4分の1に等しい)にすぎない。内部過剰加圧の後、(内部に加えられる圧力より実質的に小さい)外部過剰加圧は、側部パネルが内側に変形することで設置に備えてタンクに準備を施すように、側部パネルを図3aに示されるような分葉型へと内側に移動させる。
【0072】
あるいは、塑性的に変形する過剰加圧はタンクが補助容器内に配置された後に実施することもできる。必要な内部の過剰圧力の量はタンクと補助コンテナ(例えば本実施例の立坑)の内面との間の隙間に依存する。比較的狭い隙間の場合、所望の変形を起こすための内圧は実際に貯蔵圧を超えても良い。しかしながら、隙間が狭い場合、内部の過剰加圧は必要とされないであろう。そのような場合、充填操作の加圧中の自然な弾性変形が貯蔵コンテナを補助支持容器の壁(又は断熱構造)に接触させるであろう。貯蔵コンテナが立坑内へ下ろされる際に、タンクのパネルがコンクリートで覆われた立坑の側部から離間し、側部に結合しないことを保証するために、わずかな内部の真空が設置の間に必要とされてもよい。
【0073】
本発明の実施に基づき内圧に起因する圧縮応力が非常に小さいことが予測されたとしても、タンクの側壁が隣接する支持タンク又は構造材に接触する内圧に対する反応によって生じる圧縮応力と同様に、横方向及び縦方向の応力に耐えられるように貯蔵容器の外皮の厚さは設計されなければならない。
【0074】
補強された立坑の壁は、弧状の角を除いて半径方向の変形に対して外皮面を拘束するため、タンクが作動圧である場合、側部のパネル部に沿って作用する内圧力は立坑の壁に対して側部のパネル部を平らにするであろう。貯蔵タンク内の内部作動圧によって生じる外向きの力は外向きに側部のパネル部を押すであろう。しかし、等しい大きさの対向する反力が貯蔵タンクを取り囲むコンクリート及び地面によってもたらされ、それによって貯蔵タンクの側壁パネルの外向きの移動量は抑制されるであろう。したがって、図3cに関して、コンテナC内の貯蔵天然ガス又は他の流体の圧力によって生じる外向きの力は穴Hを形成する硬い壁の反応によって正確に相殺され、反力はコンクリート壁Gと地面Eとの強度によってもたらされる。コンテナCの角における支持されていない四分円に対して作用する圧力のみが外皮において有効な「環状圧力」の構築に寄与し、当該外皮は図3a及び3bにおいて側壁32a、32b、32c及び32dである。角の半径が小さいほど、コンテナの壁は薄い必要がある。したがって、人為的に規定され/拘束される有効な半径を備えることを除いて、貯蔵圧及びプレートの厚みはビショップの方法に基づいて規定できる。
【0075】
主要容器と補助容器との間の空間がある程度加圧される計画が想定できる一方で、本実施例においては、当該空間はほぼ大気圧の冷却された不活性ガスで充填されることが想定されている。
【0076】
有効な「環方向応力」を提供するために必要な膜の厚みは、内径D1(=2×Rc、Rcは図3cに示されるように立坑の側部とのタンクの接触によって形成される(変形及び作動圧まで充填した後の)有効な角の半径である)の円形パイプに相当するものとして算出可能である。
(ビショップの米国特許第6,584,781号におけるEqn.4から)
t=(D0−D1)/2=(P×Rc)/(S×F) Eqn.1
tは角(及びこの設計の場合はパネル部)全体にわたる膜コンテナの壁厚であり、D0は角における外径であり、Pは外側から作用する圧力を超える内圧であり、この設計例の目的においては貯蔵圧に等しいと考えられており、Sは(この場合には約689MPa又は平方インチ当たり100,000ポンドである)材料の降伏強度であり、FはASME圧力容器コードのような規約によって許容されるSの利用される部分となる安全係数である。
【0077】
貯蔵圧Pは、(ビショップの米国特許第6,725,671号による)濃密相貯蔵が行われている場合、ビショップに基づいて(コンテナの質量に対するガスの質量の比率を最適化するために)選択可能である。一方、シコードの米国特許第3,298,805号に基づいて約1MPaから約4MPaの非常に低い貯蔵圧で約−129℃から−90℃の間の貯蔵温度において混合層貯蔵が行われる場合、(設計目的のための)Pは貯蔵圧に等しくないが、貯蔵される天然ガスが排出されるときに、受容設備よって加わる背圧に対して貯蔵庫から貨物を移動させるのに必要な圧力と等しいであろう。
【0078】
圧縮係数(Z)の最小値におけるシコードのサハラガスに対するビショップの濃密相貯蔵手法によると、Fが(ASME圧力容器コードの現在の版において圧力容器の設計に関して妥当な値である)0.7に等しく且つ腐食代が含まれていない場合、P(貯蔵圧)は−40℃における9.6MPa(−40°Fにおける1392psig)として選択され、壁厚tはこのケーススタディにおけるタンクにおいて約19.9ミリメートル(19.9mm)である。
【0079】
ガスの濃密相貯蔵が、このガスに対する臨界温度以上、例えば−56.7℃(−70°F)で行われる場合、ガスは6.9MPa(1000psig)で貯蔵され、tはタンクに対して約14.3mmであろう。
【0080】
サハラガスがシコードによって提案された最低温度で混合相に貯蔵される場合、貯蔵圧(−112.2℃で1.54MPa;−170°Fで224psia)は、多くの場合において低すぎて基礎構造からの背圧に対して排出(blow-down)を許容しない。そのため、掃気圧縮が貯蔵流体を排出する工程全体において使用され、貨物コンテナにいつもかかる最高の内圧が軽減システムの設定値(一般に正常作動圧の約5%内又は約1.62MPa内)によって決められる。Pが1.62MPaに等しいと仮定すると、この場合の最小の壁厚はEqn1に基づき4mm未満であろう。
【0081】
あるいは、貨物移動作業が行われる場合、一般的なパイプライン基礎構造は少なくとも4MPa、しかし通常はより高い設計目的のための背圧を与えることが想定されることが認識されなければならない。したがって、このケーススタディは5MPaの移動流体圧力が効率的な排出を保証するために必要であることを想定している。そのような条件において、サハラガスに対してシコードによって指摘された最高の温度−圧力の組み合わせ、すなわち−90℃(−130°F)及び4MPaを使用することは合理的であろう。コンテナの壁厚は、貨物移動作業の間に5MPaの圧力を有するために約10.4mmである必要があるのみであろう。
【0082】
これらの値が設計のための実用的な壁厚として認められる前に、端部閉塞材に作用する内圧及び平らな壁部に沿って作用する圧縮応力由来の縦方向の応力の効果が評価されるべきである。端部閉塞材及び外部の拘束材の重量が無視できる場合、タンクの壁は内圧によって生じる垂直方向の引張荷重に耐えられるように設計されなければならず、必要な壁厚の最小値は以下の方程式によって算出できる。
t=(P×A)/(Lw×S×F) Eqn.2
P、S及びFは以前に規定されている。
正方形のタンクの内部断面積、A=Ls2−(2×Rc)2×(1−π/4) Eqn.3
Lw=タンクの断面の周縁周りに測定される壁の長さ(タンクの壁は比較的薄いため、4×(Ls−D1)+π×D1である断面周囲の中間壁の長さの概算値を用いるのが妥当である)。
【0083】
上記方程式に基づき、縦方向の応力が降伏強度の70%未満であることを保証するために、許容される壁厚は上記場合の温度−圧力の各々の組み合わせにおいてそれぞれ約51.5、37、8.7及び26.88mmでなければならない。上述の場合に算出された環方向応力の限定に基づく必要な壁厚は、19.9、14.3、4及び10.4mmであった。したがって、縦方向の応力は実施例の場合において壁厚の決定を実質的に調節することが明らかである。結果的に、縦方向の応力が降伏強度の70%未満であることを保証するために必要な厚い壁は、貯蔵タンクの縦方向の部分の必要な厚みを決定する。
【0084】
しかしながら、本発明に基づいて実施される貯蔵圧が膜タンクの外皮材の有効降伏強度と比較して一般に非常に小さいにもかかわらず、壁に作用する圧縮応力(P)も考慮されなければならない。簡便でわずかに慎重な手法として、ASME圧力容器コード(セクションVIII、区分2)は、せん断応力のチェックが最大の主要応力に基づく必要な壁厚を算出するための代替手段として用いられることを推奨している。これに基づいて、必要な壁厚は、それぞれ
tL=(P×A)/((Lw×S×F)−P) Eqn.4又は
tH=(P×Rc)/(S×F−P) Eqn.5
による壁に対する圧縮応力と組み合わされる縦方向の応力又は環方向応力によって伝達されるいずれかの値の最大値として決定可能であり、変数は以前に規定された通りである。壁厚の要件は、側部の長さが角の半径よりも大きい場合はEqn.4によって、角の半径がLsの約38%より大きい場合はEqn.5によって調節される。tMAXはEqn.4及び5か算出される壁厚に対する二つのせん断応力のチェック値の内の大きい方として規定可能である。
【0085】
あるいは、コンテナは事前に力が加えられることによって、縦方向の圧縮を生じることで、縦方向の応力が壁厚の算出に影響を与えないことを保証することができる。縦方向の圧縮予備応力を生じる一つの単純な方法は、内圧が周囲の値である場合にタンクの壁が負担重量を支持するように、重い上端の閉塞材を用いること、又は鉛直向きのタンクの上部に単純に重りを配置することである。別の方法は、外部構造材(例えば、コンクリートの予備応力付与に用いられるタイロッド(tie-rod))を引っ張ることによって事前に応力を加えることである。そのような予備応力付与の手法が用いられる場合、角の小さな半径の仕様が典型的な柱の座屈崩壊などの不安定性が生じる薄い壁へと設計を至らしめないことを設計者は保証しなければならない。コンテナの側壁に予備応力を付与するために、頂部のキャップは外部又は内部のタイロッドを用いて底部のキャップに固定可能であり、それぞれのタイロッドは所定長さのパイプの穴に配置されることによって、側壁の柱の座屈崩壊を防止することができる。さらに、複数の同心パイプは、隣接するパイプよりもわずかに短いそれぞれの同心パイプを備えるそれぞれのロッドを取り囲むことによって、同心パイプが圧縮されるときに様々な抵抗を付与することができる。また、タイロッド上に油圧ジャッキを使用することによって、タンクが崩壊しないことを保証するための適切な内圧がある場合に、制御された事前荷重のみが加えられることを保証することができる。いくつかの変形形態における拡張可能なタンクなどの制御された崩壊の形態が希望される場合、そのようなタンクは崩壊の許容可能な形態をとることができる。高い事前荷重(又は調節可能なジャッキ)に対する受動的な代替手段は、タンクの壁よりも軸方向においてより硬いロッドを備えることであるため、ロッドによって加えられる荷重はタンクが縦方向に大きくなろうとすると直ぐに増加する。張力をかけたバンド又はワイヤも同様に使用可能である。例えば、炭素繊維のバンド又はロッドは鉄鋼の円筒状の壁と比べて非常に硬いであろう。
【0086】
所定の幅寸法の正方形の立坑内において特定の設定圧で流体を収容することを目的としている所定の材料強度のタンクにとって、この発明は、貯蔵圧が材料の降伏強度と比べて非常に低い(例えば、<S/100である)場合、正方形の立坑の角の半径又は各側部に沿った長さは、Eqn.1及び2によって求められるtの値がほぼ等しくなるまで調節可能であることを教唆する。Eqn.1をEqn.2と一致させることによって、正方形の立坑の各側部の長さは貯蔵コンテナの角の半径の値の約3.77(3.7から3.8)倍であるべきであることが単純な計算によって理解される。外部拘束又は(検査のためのアクセスの必要性のような)慣行は設計者が完全な適合を採用することを阻害するであろう。しかしながら、事前荷重による圧縮応力が端部閉塞材に作用する圧力による縦方向の引張応力を相殺するようにタンクの端部に事前に荷重が課せられる場合、側部の長さと半径の比率(Ls/Rc)は3.77を実質的に超えることができる。例えば、コンテナが目的の作動貯蔵圧にほぼ等しい値まで縦方向に事前に応力を加えられる場合、側部の長さ/半径の比率が約7.54になり必要な壁厚がほぼ半分に削減されるまでRcは減少可能である。しかしながら、設計者は座屈崩壊が制御されることを保証しなければならない。通常、側部の長さと半径の比率(Ls/Rc)は一般に約1.5’から約12、好ましくは約2から約8、更に好ましくは約3から約5、最も好ましくは約3から約4の範囲であり、約3.77の値が通常はより好ましい。開始点として半径に対する側部の比率に3.77の値を有し、端部閉塞材に作用する内圧によって生じる力を減らすために適用される縦方向の事前荷重力の量に対するより高い比率にすることができ、それはEqn.2における圧力かける面積、P×Aの積である。
【0087】
現在検討されているケースにおいて、角の半径が増加するかタンクの側部の幅が減少すると、壁厚に対する拘束がより良く適合する。例えば、各々の側部におけるタンクの幅が約3.8mまで減少した場合、縦方向の応力拘束によって制限される壁厚は角における1.0mの半径によって許容される厚みと一致するであろう。あるいは、タンクの側部の幅が10mに維持される場合、角の半径は約2.65mまで増加することによって、予測された壁厚要件を相互に一致させることができる。
【0088】
三つの応力調査に基づき算出された壁厚の値の関係が、表1に反映されているように、より詳細にこの特別な断面のサイズ調整を考慮することによって現在の四つの検討事例について説明される。
表1
【0089】
周囲の構造がコンテナの形状を直線的な又は正方形以外の多角形(例えば、六角形)に拘束する場合、上述の方程式及び演算に基づいて設計壁厚を確立する方法が機能する。また、非常に低い貯蔵圧力においては、壁に係る圧縮応力は無視できるため、Eqn.2と併せてEqn.1のみを使用してコンテナの外皮の最小の壁厚を算出することは妥当であることに注目すべきである。
【0090】
濃密相貯蔵用の二つの場合において示される値によって、コンテナの質量に対するガスの部分質量(sectional mass)の比率は−40℃及び−56.7℃においてそれぞれ約1.3及び1.9であることが理解される。−90℃における暖かい混合相貯蔵の場合は4を超える質量比を示す。ビショップは彼が規定する質量比貯蔵効率係数である0.15から0.5の範囲において円形の貯蔵シリンダを最適化しようとし、そのため本発明はビショップが考案したのと同一の降伏強度の材料で作られたコンテナによる天然ガスの貯蔵及び輸送においてほぼ10倍の改善をもたらすことが明らかである。
【0091】
10m×10mの補助容器内の2.65mの半径の角を備え、上で評価した場合について記載された貯蔵条件で作動する貯蔵タンクはかなりの用量を有するであろう。採掘された立坑が100mの長さのタンクボディを許容する場合、タンクは最も暖かいケーススタディにおいて約2.5×106標準立方メートル(2.5×106scm)を保持するであろう。モデル化された最も冷たい貯蔵オプションにおける流体の密度は、この最も暖かい貯蔵の場合に得られる密度のほぼ2倍であろう(すなわち、シコードは、サハラガスのビショップの貯蔵は密な状態で約274倍であるのに対し、−112.2℃及び1.54MPaの貯蔵条件における彼のサハラガスは周囲条件より約485倍大きな質量密度を有することに言及している)。したがって、同一サイズのタンクは4×106scm以上(≒150×106の標準立方フィート又はscf(4.25×106立方メートル))を収容することができる。
【0092】
非常に背の高いタンクが設計される場合、高密度で貯蔵された流体に起因する水圧ヘッドは壁厚の算出において考慮されなければならない。このことは、有効な環方向応力が縦方向の応力と少なくとも同程度に重要である場合、すなわち角の半径がLsの27%を超える場合においてのみ重要である。そのような場合、貯蔵容器を高さが25mの4つのタンクに分割することによって、100mの高さのタンク底部における壁厚の必要値が実質的に上昇することを回避することがより経済的である。角の半径が対象の27%を下回る場合、環方向応力は壁厚に影響を与えないであろう。したがって、軸方向の応力成分が底部で支持されるタンクに関するタンクの高さの変化に伴って変化しないため、水圧効果は設計ドライバ(design driver)ではないであろう。
【0093】
タンクがその上端から吊るされている場合、必要な壁厚を決定するために用いられる軸方向の荷重は内圧荷重に加えて冷たく密度の高い貯蔵流体と同様にタンク(側部及び底部の閉塞材)の重量を含まなければならない。
【0094】
100mの長さのタンクボディは、例えば25mの部分を下降させて一緒に固定することによって、掘られた立坑内へとその場で構築することができる。立坑は最初にコンクリートで覆われ、その後にタンクは被覆された立坑内へと下降される。又はタンクは被覆されていない立坑内へと下降され、グラウトがタンクの外側と穴の内側との間の環状空間へとポンプで押し出されても良い。あるいは、長いタンクボディは水平に埋設することもできる。いずれの場合においても、コンクリート及び地面はタンクの壁に対する支持をもたらし、前記壁はコンクリート及び地面によって支持されるまでは外向きに広がることができる。
【0095】
上述の場合、実施例は全て鉄筋コンクリートの壁の貯蔵範囲内に比較的隙間無く適合することが予想されるであろう。したがって、それらが周囲の壁からの支持反応にあうまで、壁の非常に小さな外向きの変位が存在するであろう。このようにして、コンテナの壁内の応力は目的とする許容値内に容易に収まる。しかしながら、例えば漏洩試験又は対応中においてタンクが外部支持なしで加圧される場合、現在の手法に基づいて設計されたタンクにおいて起こるたわみを考慮する必要がある。
【0096】
上記原理を用いて海運の実施例を検討すると、船は、4つの貨物室においてそれぞれ(マニホールドで一緒に連結された)9つのグループに分配された36個のタンクにおいて約−90℃及び約4MPaで約7.1×106sent(≒250×106scf(7.08×106立方メートル)のシコードのサハラガスを運搬できるように設計可能である。船の船体は約150mの長さであり、ウイングタンクと貨物室間の隙間とは約4mの幅であることによって、貨物タンクが加圧されるときに貨物タンクを支持するのに十分な構造上の剛性を付与する。36個のタンクのそれぞれは、1.6mの角の半径を有する6m×6mの正方形の断面を有し、(エンドキャップを含めて)12mの長さに定められていると想定される。長期間にわたって定着した圧力容器の承認に関する米国沿岸警備隊の慣例によると、環方向応力は材料の降伏強度の約半分に制限されるべきである。そのため、タンクの壁が約690MPaの降伏強度を有する鉄鋼材である場合、(腐食代を含まない)必要な壁厚の最小値は約19mmである。これらのタンクに関して内部の検査が可能であると共に、貨物は非腐食性であるため、腐食代が必要でないと仮定することは妥当である。このサイズの船における通常のフレームの間隔は上手く配置されることによって、少なくとも一つの横方向のフレームが加圧された貨物タンクによって貨物室の隔壁にかかる荷重を支えるように配置されることを保証することができるため、6mのタンク側部の幅が選択される。
【0097】
(上述の実施例で明示されているように)本発明の設計手法に基づいて完全に支持されている場合に、機能するのに必要な壁厚の決定において縦方向の応力と環方向応力との間のバランスをLS/RCの比率が保証するように、タンクの断面の寸法は設定される。タンクが貨物室内に固定されていないときに内圧がかかった場合、どのように中央ボディが変形するかの評価を正確にするために、専門家である設計者は正確な有限要素解析モデルの構築及び解析を行いたがるであろう。しかしながら、タンクの長さは、端部閉塞材の剛性は中央ボディの断面における壁の撓みにほとんど影響を与えないことに到達するため、いくつかの単純な評価は起こり得る外向きの変位の潜在的な極値を明らかにするであろう。
【0098】
破断の恐れなくこれらのタンクの壁が外向きに撓むことができる絶対的な最大値は、環方向応力による鋼鉄製の外皮の弾性膨張に対するいくらかの余裕を含めて、二つの角の間の範囲の中央部において壁厚の約20倍に等しいであろう。この概算は、正方形の領域が完全に丸い形状に膨れるようにタンクの角は設計極率半径を越えて開くことにほぼ抵抗を有しないことを前提として得られる。タンクが約3.0又は10.0の値のLS/RC比を有して構成される場合、完全な円形への変化はそれぞれ壁厚の約15又は35倍だけ外向きに壁を押圧するであろう。しかしながら、角は角の外観を維持し、伸長及び屈曲の反応よって外向きの撓みを抑制するように、角はいくらかの剛性を有すると仮定することがより正確である。角がこの予想される剛性を有するとすれば、壁の外向きの撓みは、通常の作動圧の約10%である内圧がかかる場合に壁厚の約1.5から約2.5倍の間、通常の作動圧の約15−20%である内圧がかかる場合に壁厚の約2から約5倍の間となるであろう。
【0099】
これらの相対的な変位の値は、(LS/RC比などの)別のパラメータがこの海運の場合に対して仮定されたように同一の比率で維持される限り、より大きな又は小さなサイズのタンクに適用されるであろう。異なる弾性の材料は、上記実施例において示された撓みとは異なる撓みを許容する(すなわち、アルミニウム又はチタンのタンクは、破断の恐れを伴わずに鋼鉄よりも実質的に高度な弾性拡張を許容する)。
【0100】
図4a及び4bを参照すると、剛性の正方形の立坑を有する使用態様のためのコンテナを設計する原理が理解された場合、立坑の正方形の断面は、荷船、船、鉄道車両又は貨物トレーラに搭載可能な標準的な8フィート(2.44メートル)×8フィートで40フィート(12.2メートル)の長さのISOコンテナボックスなどの補強されたフレームを有する補助容器によって置換可能であることが同様に理解されるであろう。図4aは、トレーラ44上のISOコンテナの断面として示されている密閉構造フレーム42内に保持される一つの流体貨物タンク40を図示する立面図であり、設計例は上述の垂直立坑の場合にまさに類似している。図4bは、トラック44aにおいて貨物流体を輸送するための類似のISOコンテナボックス42a内の四つのタンク46a、46b、46c及び46dを示す立面図である。この事例において、共通のマニホールドでタンクを連結することによって、貯蔵圧Pは四つのタンク全てにおいてほぼ等しくなっている。ISOコンテナボックスの補強外殻はISOコンテナボックスの内縁に沿ったタンク46a、46b、46c及び46dの外側の側部パネルを支持する。タンク46a、46b、46c及び46dの内側の側部パネルは隣接するタンクの内側の側部パネルに圧接する。静圧効果及び動的効果がわずかな撓みを生じる一方で、四つのタンク46a、46b、46c及び46d間の接触面は相互に対してほぼ平坦なままであり、内圧Pによって生じる荷重を相殺している。タンク40、46a、46b、46c及び46dの角の半径はここまでの段落で説明されたように決定される。
【0101】
(テフロン(登録商標)(TeflonTM)又は超高分子量プラスチックなどの)低摩擦材料の被覆又はシートは、輸送又は貨物操作作業中にコンテナ又は周囲の構造物の表面が別々に撓む又は変位する間に磨耗する傾向を最小限にするために、圧力のかかる接触面の間に常設してもよい。磨耗により壁が薄くなる可能性を低減するこの手法は、地上又は海上輸送の場合と同様に固定された貯蔵施設においても使用可能である。貨物タンクと貨物室の周囲の隔壁との間において磨耗を防ぎ断熱をもたらす複合目的を果たす物を使用することができ、断熱構造は貨物タンクがいっぱいであるときに存在する圧縮力に耐えることができる。
【0102】
貨物がそれほど早く暖まらないために輸送及び/又は貯蔵中に好ましくない量の貨物流体が排出されることを保証するため、ISOコンテナボックス42及び42aは適切に断熱されていることが重要である。ISOボックスに冷蔵設備が取付けられている場合、タンク40及び46に対する構造上の支持と同様に適切な断熱性をもたらすコンテナを使用することがやはり重要である。ISOコンテナボックス42及び42aは通常のドライバルク(dry bulk)のISOボックスより相対的に厚い密閉構造壁を有してもよい。密閉構造壁は密閉内面と内面から離間した密閉外面とを有することによって、密閉内面と密閉外面との間に空間が形成される。密閉内面と密閉外面との間に形成される空間は非常に低い圧力まで真空排気することもできる。その空間において真空を維持することは、追加の断熱層がボックスの内面及び/又は外面に適用されるかに関わらず補完するか、追加の断熱の必要性を完全に排除するかのいずれかである。
【0103】
図4bに示される四つのタンクを包含するISOボックス42aの構造設計の効率は、鉛直方向及び水平方向に延びる構造パネルにかかる引張り荷重によって断面が(それぞれ一つのタンクを含む)象限に分割される場合に改善される。(ほぼISOボックスの長さにわたって十字状に延びる)そのような引張要素はISOボックスの側部パネルにおける側部の長さを半分に分割する。これは、ボックスの側部フレームの構造上の強度及び剛性の必要値を実質的に低下させる。
【0104】
船上において、垂直向きのタンクは約40m未満の高さに制限されるであろう。垂直タンクの容積は、記載された貯蔵条件と図3cに関して上述された地面の「採掘立坑」貯蔵の場合に二つに付与されたタンクの断面寸法とにおいて、それぞれ約1.0×106標準立方メートル(35×106sef)及び1.8×106標準立方メートル(64×106set)に保持されるであろう。これらは地上の立坑における貯蔵において予測される量よりもタンク当たりの非常に小さい容積であるとしても、予測される容積は従来技術の単一の加圧天然ガスタンクにおいて実現された容量よりも非常に多い。したがって、特定の容量の船に必要なタンクの数並びに相互連結導管、バルブ及び制御装置の量及び費用は非常に低減されるであろう。
【0105】
図5aは船体52の断面に配置されている二つの空の貨物コンテナ50a及び50bを示す立面図である。貨物室空間52aはデッキ52b、縦方向の翼隔壁52c及び52d、並びに底部の水平プレート52eによって形成及び囲まれている。図5bは貨物室空間52aの上面図であり、図5aに図示される二つの貨物コンテナ50a及び50bと貨物室空間52aに配置されている二つの別の貨物容器50e及び50dを示している。横方向の隔壁52f及び52gはさらに貨物室空間52aを形成している。四つのコンテナ50a、50b、50c及び50dは、船の典型的な貨物室空間52aにおいて縦方向の翼隔壁52c及び52dと横方向の隔壁52f及び52gとによって取り囲まれている。図5bにおいて、コンテナの比較的軟らかい側部が拡張して相互並びに貨物室空間52aの側部を形成する縦方向の翼隔壁52c及び52dと横方向の隔壁52f及び52gとに接触するように貨物によって完全に加圧されたときの平面図にコンテナ50a、50b、50c及び50dが描かれている。コンテナ50a、50b、50c及び50dは端部閉塞材ECの間に壁Wを有する。支持材54a及び54bは任意であるが、コンテナ50を貨物室空間52a内で安定させ、コンテナ50を船の構造材に固定するために使用可能である。(図5aの左側に示されるように)そのような支持構造が存在する場合、底部の配管マニホールドMb及びコンテナ50の周縁周りの検査アクセスのための適切な隙間が存在することを保証するように支持構造は配置することができる。バルブMvを有する頂部の配管マニホールドMtはコンテナ50a、50b、50c及び50dの頂部への流体アクセスを提供する。配管マニホールドの垂直部Mrは、貨物室内の四つ全てのコンテナの底の接続部へ/接続部から流体を輸送するために底部配管マニホールドに連結されている垂直の立ち上がり管流路を表す。
【0106】
あるいは、本発明のコンテナは十分大きいために内部アクセス手段を設けることができるので、外部アクセス用の周囲の空間は必要とされず、それ故、内部の垂直部Miが各々のコンテナ内の低い位置に固定されることによって、(図5aの右側におけるタンク50bに示されているように)底側の排出又は充填が可能になる。説明されたいずれの配管においても、それぞれのタンクからの導管が船のデッキ上の適切なバルブを備える配管システムに連結されている。そのような導管及び閉鎖装置は、適切な規則(例えば、ASME配管コードB31.3及びB31.8)に基づいて設計され、アメリカ船級協会の鋼鉄容器規則(the American Bureau of shipping’s (ABS) Steel Vessel Rules)及び(2005年に発行された)大量に圧縮天然ガスを輸送するための容器に対するABSの指針(ABS Guide for Vessel intended to Carry Compressed Natural Gases in Bulk)に表されている海上輸送の慣習によりメインデッキ上に設置されなければならない。
【0107】
図5bは、船の貨物室に設置された四つの正方形断面のタンク50a、50b、50c及び50dが貨物室の境界における隔壁を構成する船の構造材によってどのように支持されるかを示しており、一方、四つ全てのタンクが等圧で維持されている限り隣接するタンクとのそれらの接触はISOボックス内の四つのタンク(図4b)について説明されたように接触の平衡支持をもたらす。そのような配置において、四つ全てのタンクがほぼ常にほとんど等しい圧力であることを保証することは重要である。そのため、圧力の実質的な不均衡の原因に偶然なり得る上側の中間連結導管の流路に弁又は他の閉塞装置を配置しないことが推奨される。また図5bにおいて、上側のノズル50eが四つのコンテナ50a、50b、50c及び50dの夫々に対する端部閉塞材ECを中心として示されており、図5aの左側に図示される底部の導管マニホールドMb由来である外部立ち上がり管は四つのコンテナの間を中心として示されている。
【0108】
図5a及び5bにおいてタンクを取り囲む隔壁及びデッキの内面は断熱材で覆われているであろう(及び、そのためにタンクに直接接触しないであろう)一方で、断熱層及び隔壁は貨物タンクからの圧力荷重に耐えることができることが重要である。専門家である造船技師は本発明で説明されるタンクによってかかる垂直荷重を解消する設計手法を容易に理解するであろう。海洋作業によってかかる主要な船体桁の荷重に加えて、内底プレート52eは、底殻プレート52hと内底プレート52e及び底殻プレート52hの間にある内底タンク空間52iにおける構造骨格とに結合することによって、貨物室内のタンク及びそこに含まれる貨物の重量によってかかる二次及び三次の荷重を支えることができなければならない。メインデッキ52bを支持する横方向の骨格構造52j(図5a)は、それと貨物タンクとの間に構造連結材54aが存在する場合、貨物タンクからの荷重を受けるのみであろう。
【0109】
船の主要垂直隔壁構造に作用する約1バール絶対圧力(bara)に加圧された液体に相当する荷重よりも高い水平方向の圧力荷重を課す貨物流体を通常見ることは無いものの、専門家である造船技師は、縦方向の翼隔壁52c及び52d並びに船の側部殻52pと協調して機能することによってタンク50a、50b、50c及び50dによってかかる圧力誘起荷重に対応するために、翼空間52n(図5a)における骨格構造52m(図5b)を設計する方法を理解するであろう。図5bに図示されるように、隣接する貨物室の横方向の隔壁間に縦方向に延びる構造骨格52qは、海洋環境によってかかる全ての通常の荷重と同様に、比較的高圧の荷重を支持するために当業者によって同様の方法で設計可能である。
【0110】
図5bに図示される大きな貨物コンテナが船体52の貨物室内における利用可能な貨物空間の90%以上を占めることは注目に値する。一般的な従来技術のCNGシリンダは(これらの大きな貨物コンテナと比較すると)小さすぎて検査のための内部アクセスを許容できない。そのため、適切な検査用アクセスが海事基準(アメリカ船級協会の鋼鉄容器規則を参照)に基づいて各々の一般的な従来技術のCNGシリンダの周囲にもたらされている場合、従来技術のCNG貨物シリンダは貨物室の面積の約50%未満を占めるように制限されるであろう。したがって、本発明は従来技術における約50%の利用と比べて船の貨物室において利用可能な貨物空間の約90%の利用を可能にし、そのことは船の利用可能な貨物空間の利用率において極めて大きな増加である。
【0111】
膜パネルとそれを支持する壁との間の摩擦は、せん断を介する横方向の引張応力を減少させる傾向がある。そのため、有効な「環方向応力」を制御できる場合、外殻の厚みはパネルの中央部で最小値になるようパネルの中央に向かって徐々に減少する。この効果による壁厚減少の程度は、二つの物質の間の摩擦係数と、縦方向の荷重が適切に対応されることの確認と同様にどのようにして(ASMEによって監視されるような)安全基準がそのような許容を認めるかという点とに依存する。更なる重量の減少が重要である場合、そのような設計判断はいくらかの更なるタンクの重量減少の方針をもたらすであろう。
【0112】
前述の場合においては、壁側のタンクの壁は一般に平行であることが前提とされているが、周囲の構造壁が対応する傾斜に配置される場合、(タンクの主要な縦軸に垂直な断面にほぼ一定の直線形状を維持しつつ)相互に対して傾斜するタンクの壁を有することも可能である。そのような特徴は船の最も先端又は船尾の貨物室で望まれる。船上において、横方向に延びる全てのタンクの壁は垂直向きであり、最も外側のタンクの壁は船体の張出し及びこれらの場所における隔壁と適合するよう傾斜を備えて設計されている一方で、貨物室の中央のタンクは全て平行な壁を有する。
【0113】
設計者は、タンクに対して傾斜した壁の形態を採用することが重要である別の状況を容易に想起するであろう。例えば、地中に設置された大きなタンクは、タンクの底部が上部よりも非常に大きな面積を有するように、壁に対して傾斜した形態を採用することができる。そのような切頂ピラミッド型を有することは、例えば、小さな頂部は表面における露出が少なく、タンクの傾斜壁の頂部に盛られた土(例えば、表層土及び/又は岩)の支持荷重は、地表上にこの盛り土の高さを積み上げることによってより高い内圧を支持するために増加することができる点において、いくらかの安全性の利点をもたらすことが期待される。しかしながら(頂部に大きな面積を有する)逆の形状は、それがより少ない掘削を伴うために、地中に設置及び固定することがより容易で安価である。「逆さまの」切頂ピラミッドは、タンクの底部が頂部と比べて非常に小さいため浸漬管を介して底部側から液体(又は他の濃密流体)を容易に吸引することができ、側部は十分に傾斜しているため内部検査のための人のアクセスを容易にすることができる。
【0114】
本発明に基づくタンクは、タンクが作動圧で貨物を輸送している間に外部支持が失われる状況を切り抜けるように設計可能であり、そのような場合には、タンク壁はへこむことができるが、崩壊しないように設計されなければならない。設置の間の更なる安定性のためにいくらかの支えをもたらすこと及び/又はタンクをわずかに加圧することが望まれるものの、タンクは製造後の取り扱い及び設置に関して実質的に自立しているため、加圧されていない場合、タンクは支持用の外部構造に依存していない。内圧が加わり、前記支持が有効で必要となる場合に外側部支持壁との接触は起こる。タンクから内圧を除くこと及び/又はタンクの外側の外圧をタンク内部の圧力より上昇させることによって外部の周辺支持材からタンクを安全に分離することができる。所定の通常作動圧下にある間にタンクは外部支持を必要とすると説明されているが、タンクの壁は全ての場合において外部支持を必要とするものの撓まなくてもよい。
【0115】
本発明に基づくコンテナの製造を検討すると、一実施形態において、多角形の(例えば、正方形の)コンテナは複合壁を有するボディを備えており、ボディの結果的に得られる外殻が十分に強いために設定された圧力及び荷重を安全に有することができるように、薄く比較的弱い密閉ライナは複合壁の上に重ねられそれに連結された複層の補強シートを有する。ボディの結果的に得られる外殻は比較的硬いか、非常に柔軟であるため適度の内部加圧が安全な取り扱い及び設置を可能にするために必要である。いずれの場合においても、適切な移行部分が剛性の端部閉塞材(例えば、重質の鋼鉄製エンドキャップ及びノズル)と相対的により柔軟なボディ殻との間に導入されなければならない。
【0116】
また、目的とする設計強度を構築するために補強シートの連結層を用いるハイブリッド複合材料の貨物コンテナは完全に円形の外殻ボディを有し、十分な強度及び剛性を有することによって適格な貨物コンテナとして自立可能である。言い換えると、非常に薄い金属製の内部ライナで始まる円形の円筒状貨物コンテナは、その剛性が端部閉塞材の剛性に匹敵する非常に強固で硬い剛性ボディ殻を有することができる。コンテナがボディに長方形又は円形の円筒形状のいずれを有していても、補強層の適用の間に形状の安定を保証するための適度な内圧の使用は、一般的な鋼鉄製パイプボディのシリンダと比較して非常に大きな寸法のコンテナの構築を可能にする。この記述は、ネブラスカ州オマハ(Omaha,Nebraska)のリンカーン コンポジッツ(Lincoln Composites)によって製造されており且つ米国特許第6,339,996号においてキャンベル(Campbell)によって説明されている純繊維被覆の複合圧力容器、又は米国特許第6,779,565号においてフォーリー(Fawley)によって説明されている繊維被覆複合材料によって補強されているハイブリッド鋼鉄圧力容器との比較によって明確になるであろう。キャンベルの複合タンク内において剛性マンドレルによって支持されている可塑性のライナの周囲又はフォーリーによって提案された剛性鋼鉄パイプ圧力容器の周囲において繊維が巻き付けられているということによって、コンテナのサイズは、補強材料及び/又は密閉材料の大きなシートが内部密閉層の周りに巻かれている本発明と比較して実質的に抑制されている。フォーリーの技術は、ガス トランスポート モジュール(商標)(Gas Transport ModulesTM(GTM))の生産のためにカナダのニューブランズウィック州(New Brunswick)のFPCインコーポレーテッド(FPC Inc.)にライセンスされており、GTMは42インチ(106cm)の直径で陸用として約12m、海用として最長24mの長さまでに制限されている。ニューファンドランド州セントジョーンズ(St.John’s,Newfoundland)にあるキャンベルのトランスオーシャン ガス コーポレーション(TransOcean Gas Corp.)及び前記圧力容器の供給者候補は、純複合シリンダは同程度の直径及び約12m未満の長さに制限されることを知っている。それらの方法に基づく非常に多くの繊維の被覆を形成する工程に関連する早く動く(回転する)部品のダイナミクスは、生産しようとする容器のサイズを制限する。(可能であれば継ぎ目に沿って相互に連結された複数の部分によって形成された)非常に広い面積のシートの慎重な敷設及び結合はこれらの動的な問題には直面しない。そのため、これらの材料の層によって囲われ且つ支持されているコンテナは、キャンベル又はフォーリーによって開示されているシリンダよりも何倍も大きくすることができる。これらのコンテナが2から10mの一般的な中央ボディの寸法を有する30から100mの長さであることを想定することは妥当である。
【0117】
図6aに関して、ここまでの段落において説明されている構築手段が、ほぼ剛性の断面を有する必要がない円形のシリンダ60を形成するために使用可能である。シリンダ60は剛性であってもよく、適切に設計された円筒形状を維持するための内部若しくは外部支持材又は内圧によってシリンダが適切に支持されていない場合に比較的容易に崩壊する側壁を有していても良い。図6bに図示されるように、シリンダ60は内腔からの貨物流体の流出を阻止する内部密閉層62を有する。複層の膜シート材64が薄い密閉内部ライナ62に重ねられて結合(例えば周囲に糊付け)されることで、シリンダ60内に商業用の量の貨物を貯蔵するために必要な内圧に耐えるための適切な複合膜の強度を保証することができる。
【0118】
内部ライナ62は金属シート又は金属化可塑性シートの一又は複数の層を有しており、当該シートは内部の密閉性を保証するために一緒に連結されている。端部閉塞材66a及び66b又は隆起しているノズルなどの、補強層64によって覆われていない円筒状コンテナ60の部品は、設定内圧と貨物の貯蔵及び輸送のためのシリンダ60の配備及び使用に関連するあらゆる荷重とに耐えるように独自に十分な強度を備えて設計及び材料の構築をしなければならない。強度展開における適切な推移が、重ねられた層64によって十分に補強されている比較的弱いライナ62と、補強無しで使用荷重に耐えられるよう設計されている端部閉塞材66a及び66bの部品との間において構成されなければならない。
【0119】
図6cから6fを参照すると、本発明に基づく円筒状ボディの構築法が図示されている。ライナ62は非常に薄いため、(シリンダの直径及び長さを制限する内部マンドレル法の使用とは対照的に)内圧は外層64の被覆及び結合の間にそれを支持しなければならない。希望される円形状を維持するための固定マンドレルの代わりである構築の間における内圧Pfの使用は、非常に大きなサイズ(直径及び/又は長さ)の積層複層コンテナの形成を可能にする。操作している間又は貨物操作の間にコンテナが支持構造に取り付けられていない場合、複膜層の最終的な構造は希望されるコンテナの形状を保持するために十分な強度をもたらし、又は操作及び/又は設置の間にコンテナが希望形状を維持するのを補助するのにわずかな内圧が必要であっても良い。
【0120】
図6c−6fにおいて、補強膜層64a及び64bが適所に重ねられて結合されることで外層64を形成する間に、密閉ライナ62は内圧Pfによって加圧されることで適切な円筒形状を維持することができる。図6dは、内圧Pfが適切な円筒形状を維持するための外向きの力をもたらす間に、密閉層62の周りに巻かれる補強膜層64aを示している。図6eは、内圧Pfがまだ維持されている間に、密閉層62と前に重ねられた全ての補強膜層とを有する複合シリンダ60aの周囲に巻かれる別の補強膜層64bを示している。図6fにおいて、全ての補強層64の結合の硬化が起こることによってコンテナ60は操作及び設置の準備ができることを保証する一方で、内圧Pfが維持される。図6c−6fは円形断面を有して形成されているシリンダを図示しているが、シリンダの断面は図1bのタンク10の長方形又は正方形の断面を含む希望するあらゆる形状を有することができる。
【0121】
膜層の材料は、使用中に当然に起こり得る全ての操作及び転倒状態において構造の完全性を保証するために応力の分散及び変形を最適化する強度、弾性、柔軟性、及び熱膨張率特性を有さなければならない。
【0122】
作動中に予想される圧力下においてライナと膜層との異なる材料との間における応力の分散を最適化するために、自己緊縮が採用されても良い。また、予定された作動温度を大きく下回るまで(例えばアルミニウムの)金属ライナの温度を低下させることによって、層がライナ上にきつく巻かれる前にその寸法を縮小することができる。そのため、温度が通常の範囲まで上昇すると、ライナは事前圧縮の希望されるレベルとなることで、使用中に加圧された場合に、ライナの壁応力が許容範囲内に維持される。あるいは、補強膜層が、加熱され又は(例えば紫外光などの)ある種の形態の電磁照射に曝されると収縮する材料である場合、複合コンテナを加熱する又は特定の種類及び量の電磁照射にそれをさらすことによって、密閉ライナ中に圧縮性の予備応力を展開することができる。
【0123】
ここまでの段落は大きなサイズのタンクを製造するための方法を論じているが、補強構造層を構築することによって比較的弱い土台(すなわち薄い密閉膜層)から非常に有用な圧縮容器を製造するためにシート材を使用する構想は、より頑丈な正方形のタンク又は(従来技術として記載されたような)従来の寸法である円筒形状のタンクを強化することによって、圧力負荷許容率の増加をもたらすための手段として使用可能である。高強度材料の補強シートの結合層は、漏洩及び/又は破損する状況における圧力容器の靱性を向上させる。補強材料のシートの敷設及び結合は、従来技術のハイブリッド及び複合容器の補強を行う細繊維を回転させる高速処理とは異なる代替手段を提供する。材料の大きなシートは、円筒状又は正方形のタンクの周囲にそれを巻く前にタンクボディに沿って縦方向に重ねられる。しかし、フォーリーが開示する樹脂が含浸された繊維によるハイブリッド円筒状タンクの形成と同様に、結果的に得られるハイブリッド又は複合圧力容器の必要強度を確立するために、高強度の膜材料の比較的狭いストリップ又は約5から500mm幅の繊維のバンドを多角形タンクの周囲にほぼ周方向に巻きつけて結合させることも考えられる。材料のストリップ又はバンドのほぼ周方向の巻き付けによって構成された(例えば正方形断面のタンクである)多角形ハイブリッドタンクは、基部としての頑丈な内核密閉層、又は巻き付け並びに結合及び/又は硬化処理の間に好ましい形状に安定に維持するための内圧に依存する薄い内部密閉層を有しても良い。
【0124】
図7a−7cを参照すると、別の実施形態において、内部密閉層は周囲の層に結合されておらず、第二の流体、好ましくは非凍結性液体又は(窒素又はCO2などの)不活性ガスがそれらの間の環状空間に注入されると、周囲の層から離れて内側に潰れるよう設計されている。図7aは、開放弁74aとノズル74bとを有する配管システム74を介して貨物72が充填されている二重殻コンテナ70の部分断面の立面図である。コンテナ70は補助容器を提供する外殻70aと内部密閉層70bとを有する。環状空間70cは外殻70aの内面と内部密閉層70bの外面との間に形成されている。環状空間70cは窒素などの不活性流体で充填されることが好ましく、それは導管連結ノズル74c及び開放弁74dを介して配置される。十分に貨物72が充填されると、密閉ライナ70bはコンテナ70の構造殻70aの内面にしっかりと圧接されるであろう。構造殻70aは、内装が膨張して外殻70aの内面に加圧するときの接触によって望ましくない応力又は摩擦を生じることなく内部密閉層70bを上手く支持する(例えば円形シリンダなどの)あらゆる形状であってもよい。構造殻70aは、貨物充填圧力及び温度による破裂に備えて内部密閉層70bを支持するよう設計されなければならない。また、構造殻70aは外部起点からの荷重及び接触から密閉層70bを保護しなければならない。
【0125】
図7bはコンテナ70の部分断面立面図であり、貨物排出作業の最初の段階を示している。内部密閉ライナ70bは、相対的に高圧の貨物流体72aが導管連結ノズル74b及び開放弁74aを介して相対的に低圧の貨物収容設備(図示しない)へと単純な排出作業によって放出されると、補助容器殻70aから離れて内側に潰れていく。図7cに関して、主要コンテナ70b内に残留する貨物の圧力が貨物収容設備の背圧に近づくにつれて貨物の排出速度が低下するのを防ぐために、(例えば加圧不活性ガスなどの)第二の流体76が弁74d及びノズル74cを介して環状空間70cへと注入可能であることによって、コンテナ70から貨物72を取り除くための一つの手段として、可撓性の内部密閉ライナ70bを完全につぶして価値の高い流体貨物72を排出させる。この構想において、補助容器殻70aの内面に結合された第二の密閉層70dを提供することが必要である。この収容構想及び貨物を排出するための方法は、販売することができず且つ「永続的な残留物」及び/又は船のための燃料として帰りの航海において貨物収容システム内に残存する残留貨物流体/気体の量を最小にするための方法を提供する。いくらかの残留貨物ガスは帰路の燃料として使用されることが好ましいものの、この使用のために割り当てられない残留貨物はシステムに経済的な不利益を与える。
【0126】
第二の流体76が元の流体貨物72が排出された場所から輸送作業の商業的価値の向上のために輸出されるように、環状空間70cに注入される流体76は元の貨物72の供給場所(又は異なる場所)において価値のある気体又は液体である。例えば、CO2フラッディングとして知られるように、回収を促進するために二酸化炭素が注入される元の貨物72の供給源に油田貯蔵庫があり、元の貨物72が輸送される場所において工業が大量のCO2を産出する場合、流体76の販売場所でCO2を積み込み、貯蔵庫へと注入するために油田へとそれを輸送することができる。油田の作業者はCO2を重宝し、CO2を産出する産業はCO2を売るための機会に価値を見出すであろう。
【0127】
環状部内の流体の圧力及び温度は、環状部の流体が容器から運ばれる方法を操作することによって、積み込み操作中に内腔に注入される貨物の圧力、温度及び状態を管理するために使用することができる。適切な圧力及び温度でコンテナ70の環状部70eに不活性流体を事前充填して、冷却加圧貨物が主要コンテナ70bへと注入されるにつれてコンテナ70から離れる速度を調節することによって、主要コンテナ70b内の貨物は貨物の積み込み作業全体において一定の目的圧力及び温度(又は特定範囲の状態)にとどまることを保証することができる。(例えば、膨張可能な空気袋70b自体などの)貨物収容システムの構成要素が目的の作動温度より実質的に低い温度で脆くなる危険がある場合、ジュール−トンプソン効果が充填中に生じるような最低温度に調節するために貨物の充填を受容する容器内で背圧を維持することが望ましいであろう。
【0128】
あるいは、主要貨物は最内の空洞70bへと注入される置換流体によって環状空間70cにおいて運ばれることによって、環状空間70cから主要貨物の排出を強制することができる。
【0129】
柔軟で収縮可能な膜貨物コンテナチューブ
ティール(Teel)に付与され、本明細書中において「ティール」とまとめて呼ばれる米国特許第5,603,360号、第5,676,180号、第5,908,141号及び第6,427,729号において、発明者は圧力容器内に配置された可撓性の袋が連結コンテナからCNGを排出するための手段として周囲の圧力容器と袋との間の環状空間に注入される水圧流体(hydraulic fluid)の使用を可能にするCNG収容及び取扱システムを説明している。ティールの袋は膜を隔てた実質的な圧力の違いを支持することを意図していない。さらに、ティールの方法はほぼ全てのCNGを袋から排出することが可能であるが、彼は気体が排出された際にどのように水圧流体が回収可能であるかを明らかにしていない。車両の燃料ステーションにおいてCNGが圧力容器から貯蔵施設へと排出された後に、水圧流体が圧力容器から回収されることをCNG燃料の貯蔵、輸送及び配送に関する発明は明確にしている。ティールによると、水圧流体は配送においてのみ使用されるため、運搬装置にとって配送経路において前後に大量の重い水圧流体を輸送することは非現実的であることが明らかである。したがって、ティールは排出を補助するために配送地点における流体貯蔵庫の設置を示唆している。ティールの構想は、充填システムの流路に加熱器を有することによって、外気温での動作を支援し、低温の発生を回避することを意図している。さらに、内部の袋は加圧されたCNG貨物を保持することに適していないため、ティールの運搬装置は非常に重い鋼鉄製の円筒型圧力容器を運搬している。以下において説明されるように、低い貯蔵圧を使用する及び置換流体として気体を使用する方法を見つけることは非常に好ましいであろう。
【0130】
図8a−8eを参照すると、別の構想が構造的に剛性で密閉された補助収容エンクロージャ内に望まれる圧力包含能力を備えた複数の収縮可能なコンテナの使用を可能にする。例えば、多数の収縮可能なチューブはISOトラック輸送コンテナボックス内に配置可能である。チューブは、上述の原理と所定の貯蔵温度及び圧力の条件とに基づいて調節される主要密閉コンテナ内の応力で図4bに示されるように加圧貨物が充填されると、膨張して空間をほぼ満たすように設計されている。しかしながら、適合可能/収縮可能な内部密閉コンテナは、周囲のボックス構造に著しい圧力負荷をかけることなくそれらの外殻が完全な円形の断面になるまで膨張するよう設計されても良い。ボックスコンテナの壁との接触は以前に明示されたように実行及び許容することができる。補助収容容器の外皮及び構造は実質的により低い圧力に耐えられるよう設計される。例えば、主要コンテナは100バール(bar)の内圧に耐えるよう設計される一方で、補助容器は20バールのみに制限されてもよい。貨物の排出は、除去圧縮が受容施設からの背圧(通常は30−50bar)を相殺するために必要な状態まで主要コンテナを排出可能とすることによって完了される。そして、除去圧縮のために更なる圧縮比を必要とすることなく残留貨物流体の大半を押し出すために主要コンテナをつぶす圧力で補助容器によって囲まれた空間に(恐らく不活性ガスである)置換流体が15から20barの間の圧力で注入されると、除去は残留圧力を約15barまで引き下げることができる。この容器設計の考えと貨物を放出する構想は更に以下において説明される。
【0131】
図8aはコンテナシステム80の部分断面側面図であり、当該システムは断熱され構造的に補強されているISOコンテナボックス82と可撓性の膜貨物コンテナチューブ84a及び84bを有する。可撓性の膜貨物コンテナチューブ84a及び84bは貯蔵圧Pで完全に充填されている。図8bは図8aの8b−8b線に沿ったコンテナシステム80の断面図である。図8bに見られるように、チューブ84と通常は呼ばれる四つの可撓性膜貨物コンテナチューブ84a、84b、84c及び84dがある。貯蔵圧Pである場合、貨物コンテナチューブ84は多くの場合に葉巻型と呼ばれる細長い楕円形の側部形状と先の細い円柱の三次元形状を有する。貨物コンテナチューブ84a、84b、84c及び84dは、弁86aによって維持又は制御される内圧を伴ってマニホールド導管86を介して相互連結されている。環状空間83はISOコンテナボックス82の内面と貨物コンテナチューブ84の外面との間に形成されている。環状空間83は、弁86bを介して環状空間83へと導入可能な冷却不活性ガス(例えば窒素)が充填されている。冷却ユニット(図示しない)は、望まれる氷点下の値に内部温度を維持するために、ISOコンテナボックス82に装着することができる。目的の内部温度を維持する別の手段は、液体窒素の小さな貯蔵庫(図示しない)をISOコンテナボックス82に装着することによって、周囲の環境から得られる熱及び/又はISOコンテナボックス82からの被覆ガスの漏洩を相殺するように調節された速度で非常に冷たい窒素ガスのストリームを供給することである。
【0132】
図8cは単純なブローダウン法を用いて排出される貨物88を図示しており、弁86aが開かれることによって、貨物88は相対的に高圧の内部貨物コンテナチューブ84から相対的に低圧の設備(図示しない)へと流れることができる。図8dにおいて、貨物コンテナチューブ84内の圧力が受容設備の背圧に近づく又は背圧以下に落ちる場合においても貨物88が排出され続けるように、掃気コンプレッサ89は排出流路に接続されている。図8eにおいて、冷却窒素ガスなどの補助流体83aが弁86bを介して貨物コンテナチューブ84を取り囲む環状空間83へと注入されることによって、掃気コンプレッサ89に供給される目的の背圧を維持することができる。補助容器を提供するISOコンテナボックス82は適切に密閉されなければならず、また、掃気コンプレッサ89に対して適切な背圧を維持するため及び貨物コンテナチューブ84をつぶすために必要とされる補助流体83aの注入圧に耐えるよう設計されなければならない。補助流体83aの注入圧は実質的に1MPa未満でなければならない。
【0133】
比較的低圧の気体が置換流体として用いられることによって、より重質の水圧流体よりも掃気費用を抑えることができるため、充填場所へ戻る帰路において環状空間に置換流体を保持することが実用的である。充填の開始時に加圧流体が充填された環状空間によって、主要コンテナの水和閉塞又は脆性破壊を引き起こす可能性のあるジュール−トンプソン効果によって過剰な温度低下の発生を回避することができる。置換ガスが窒素の場合、それは充填場所において単純に排出することができる。窒素は比較的高圧で貯蔵され、トラックの積荷が到着する間に徐々に充填されるため、トラックの積荷を降ろす作業は高性能のコンプレッサが早い流速を維持する必要なく比較的早く完了できる。窒素の貯蔵庫は低速で充填可能である。設計者は回収される気体の冷却能力を利用する手段を考えようとするであろう。さらに、置換ガスは充填場所において又はその近くである程度の価値を有する気体であるため、環状空間からのそれの回収により置換ガス及びその価値を得ることが望まれるであろう。
【0134】
永久的な貯蔵は、図8a−8eに関して説明された構想と類似の構想であるが、図3cの説明において上述された深く埋められ密閉及び補強された立坑に固定されたより長く大きな圧縮可能なタンクによって実現できる。しかしながらこの計画においては、圧縮可能なタンクは充填及び排出作業中に断面の劇的な変化を経ており、一方で、採掘立坑に固定された正方形のタンクの可撓性の低い側壁は、採掘立坑の構造的に硬い側部及び/又は採掘立坑内に固定された隣接タンクの比較的近くに存在する。
【0135】
一時的な貯蔵は、貯蔵される流体で充填された一又は複数のISOコンテナボックス82を希望の場所に配置することによって実現できる。そのような計画においては、加圧貨物が充填されているISOボックスは様々な場所で降ろされ、完全に充填された貨物コンテナによって置換されるために空になると回収することができる。
【0136】
カルーセルにおけるコイル状のコンテナ
図9a及び9bを参照すると、本発明の別の実施形態は、ステニング特許に記載されているカルーセル又はカルーセル缶と呼ばれる補助構造容器内においてコイル状になった円筒状の管を有するコンテナと比べて、貨物の収容に使用可能な空間の利用を増大させるための貨物コンテナの正方形の断面の使用に関する。ステニングは補助収容カルーセル構造内で利用可能な空間を占めるために何層及び何重にもしっかりとコイル状になった小径の非常に長い単一の円形管を開示している。これらのカルーセルは、船の貨物室内又は荷船のデッキにいくつかのユニットを高く積み上げることができる。
【0137】
しかしながら、カルーセルにおけるパイプの円形断面は貨物室空間の小さな領域のみが貨物で充填されるようにする。大きなカルーセル缶の外側の空間は貨物コンテナで充填されておらず、それは船の貨物室内の検査のためのアクセスを許容するために缶の周囲に空間が設けられなければならないためである。さらに、カルーセルには隣接する導管部の間に間隙空間が存在する。
【0138】
図9aは本発明に基づくカルーセル90の立断面図である。カルーセル90はほぼ正方形の断面を有する長いコイル状チューブ92を有する。コイル状チューブ92は、補助収容カルーセル構造94内でコイル状になっている数キロメートルの長さとすることも可能である長い管を有する。カルーセル90の上面図は示されていないが、補助収容カルーセル構造94の強固な壁94aの外端である外円と、補助収容カルーセル構造94の強固な壁94bの内縁である内部同心円とを有するであろう。図9aはその中心を通って鉛直方向に切断されたカルーセル90を示しており、コイルの正方形断面とコイル状チューブ92の層を示している。そのため、補助収容カルーセル構造94は正方形の管状容器のコイル92の層及び被覆で占められている。
【0139】
図9bは、コイルの完全な補充がされておらず、収容カルーセル構造94の上部パネルの無いカルーセル90の側部断面図であり、図9bはチューブ92が補助収容カルーセル構造94においてどのようにコイル状にされて積層されるかを示している。チューブ92の最初のコイルは、92aで標識されている最も低く最も内側のコイルである。図9a及び9bの水平方向の矢印はコイル状チューブ92のそれぞれの層における配置方向を示す。そのため水平方向の矢印は、チューブ92の最初及び最も低い層がチューブ92を補助収容カルーセル構造94の外縁94aに向けて外向きにコイル状にすることによって形成されることを示している。最も低く最も外側のコイル92bが巻かれた後に、垂直方向の矢印は、最も低く最も外側のコイル92bの直ぐ上に第二層の最も外側のコイルを形成するためにチューブ92を巻くことによって第二層が開始されることを示している。第二層の水平方向の矢印は、コイルが補助収容カルーセル構造94の内縁94bに向かって内向きに形成されることを示している。内縁94bに最も近い第二層のコイルが形成されると、垂直方向の矢印は第三層が開始されることを示している。コイル状チューブ92の残りのコイル及び層は、図9aにおいて矢印によって示されるように同じように形成される。流体がコイルに出入りすることができる流路は、スピンドルの中央空間内の頂部及び底部に導管接続材として設けられるであろう。
【0140】
補助収容カルーセル構造94は、内縁94bの内芯又はスピンドルにおける水平方向の補剛板98a及び垂直方向の補剛板98bによって支持されている構造上補強された内部密閉層96を含む。内部密閉層96は内部シリンダ96a、外部シリンダ96b、底部プレート96e及び頂部プレート96dを有する。内部密閉層96に対する更なる支持及び補強が外部補剛板98c及び底部補剛板98dによってもたらされる。垂直方向及び水平方向の補剛板は、密閉層96の全ての外面に格子枠を形成することによって、カルーセル内部のチューブからの圧力負荷に対して効率的にそれを支持することができる。
【0141】
コイル内の全てのチューブは実質的に同一の内圧(層から層に存在するわずかな静圧の差は除く)にさらされているため、図10に示されるようにコイル(すなわち、隣接する被覆及び層)の隣接部の表面が相互に支持している。図10はカルーセル100の一部の非常に単純化した断面であり、図9a及び9bに示されるカルーセル90の半分に似ている。カルーセル100は収容構造104内に正方形の断面を有するコイル状チューブ102を有する。コイル状チューブ102の断面102aは、同一のコイル状チューブ102の隣接断面102b、102c及び102dによって三つの側部において囲まれており、全ての断面は圧力Pがかかっている。隣接するチューブの断面102b、102c及び102dの側部は区分102aの側部に対して圧力をかけることによって、支持をもたらすための接触面が存在しない弧状の角を除いて結果的な力が相互に平衡している。カルーセル100の構造上補強された密閉パネルの内面は、それらの角を除いたコイルの領域内に作用するPによって生じる力と釣り合う外部拘束を提供する。それらの支持されていない半径は上述されたように効果的な環方向応力を生じる。
【0142】
コイルにおいて隣接する層及び被覆の隣接チューブの断面によって及び補助収容カルーセル缶構造104によって提供される拘束は、コイル状チューブ102内に応力分散を維持するため、正方形のチューブ102の壁は、ステニング特許において紹介されたコイル状の拘束システム内において環方向応力が個々の管の円形断面によって支持されなければならないように、強度によって圧力を抑えるよう設計される必要はない。その結果、コンテナの質量に対する貨物の質量の比率は利用可能な貨物空間のより良い利用に伴って改善される。
【0143】
実際、ステニング特許は実質的に200mm未満の直径の円形導管の使用を開示しているのに対し、本発明によって教唆される正方形のチューブ92及び102の各側部の寸法は、約150mm未満の値まで抑制される角の半径を伴って実質的に大きくなっても良い。壁厚は主に角の半径の選択によって調節可能であるため、本発明のチューブ92及び102はステニングによって開示された円形導管に等しい壁厚によって単位長さ当たりの非常に大きな貨物容量を有するであろう。重度の冷却と(例えばシコードによって記載された条件の範囲である)ステニングによって考えられたものより非常に低い圧力とを使用することによって、コンテナに対する貨物の質量比は約一桁向上できる。
【0144】
カナダのニューファンドランド州セントジョーンズで2006年に開かれたニューファンドランド オーシャン工業協会(Newfoundland Ocean Industries Association)(NOIA)会議におけるステニングによるプレゼンテーションによると、6mmの壁厚を備える直径168mmの管を16km有する一般的なCoselle(商標)カルーセルは約3.3mの高さであり、約6mの芯/スピンドルの直径を備える15−16mの外径を有しているであろう。Coselle(商標)カルーセルは、約410メートルトンの鉄鋼管と70メートルトンの気体を有するであろう。対照的に、Coselle(商標)カルーセルと同じ外寸を有する本発明のカルーセル缶は、ステニングによって使用されたものと同じ強度の材料を用いた(0.5mmの腐食代を含む)3mmの壁厚を有する側部における400mm×400mmの断面寸法と角における100mmの半径とを備える約13.6kmのチューブ長に基づき、460メートルトンの本発明の正方形のチューブに−57℃及び6.9MPaの貯蔵条件において(70メートルトンに対して)500メートルトンを超えるサハラガスを含有可能である。
【0145】
したがって、Coselle(商標)カルーセルは70メートルトンの気体を運搬するために410メートルトンのコンテナ重量を必要とする。同じ外寸のカルーセルを用いる本発明は460メートルトンのコンテナ重量において500メートルトンの気体を運搬可能である。正方形のチューブにおける冷たい濃密相貯蔵のこの使用は1.11である非常に効率的な質量比をもたらす。これは、70メートルトン/410メートルトン=0.171の質量比を有するCoselle(商標)カルーセルに対する著しい改善である。0.171と比較して1.11の質量比は650%の改善である。(また、Coselle(商標)に対する数値はビショップの貯蔵効率の評価において考慮されていない腐食代を含むであろう。)
【0146】
正方形のチューブの側壁を減少できる程度は、カルーセル内において次の層の荷重下における壁の安定性に依存する。コイル中の層の数は、低層が安定性を維持するために厚くなった壁を有しない限り、この設計判断によって制限されるであろう。
【0147】
コイルの最も内側及び最も外側の被覆における断面は、四つ全ての側部において平坦な壁によって正方形になっているか、コイルの隣接被覆又は隣接層によって支持されない側部において平坦な側部の代わりに円弧又は複弧形状である少なくとも一つの側部で平坦になっているかのいずれかである。ブレアー(Blair)他に付与され、参照によって本明細書に援用されている、車両に関連して使用するための適合可能な複合圧力容器を開示する米国特許第5,577,630号を参照。これらの境界(最も内側又は外側)の被覆がカルーセルの補助収容支持構造の適合する平面によって直接支持される場合、チューブはコイル全体にわたって正方形の断面を維持可能である。しかしながら、コイルの入口及び出口において流路を形成するチューブの壁は正方形の断面から船の導管の一般的な円形断面に慎重に移行しなければならない。これらの移行部の壁は、開発手法に基づき、それらの場所における拘束の細部と同様に接触面積の減少と適合する圧力支持を適合させるために詳細な有限要素解析によって予測されるように厚くされなければならない。
【0148】
押し出しチューブの四つの角における4分の1区分の弧の半径は、使用される材料の厚み及び強度並びに包含される圧力に基づいて選択されなければならない。角の半径と最小の壁厚との関係の算出は、本明細書におけるEqn.1から5によって教示される方法に従うことが可能である。しかしながら、押し出しチューブの部分によって、角の材料は内角Reに基づく最小値として必要なものよりわずかに厚くなるであろう。
【0149】
ブレアー特許において紹介された方法からの一つの変形形態は、コイルの境界(最も内側又は外側)の被覆に隣接するカルーセル構造の表面がチューブに十分に近いため、これらの境界の被覆を完全な弧にするチューブの最も外側の表面の撓みに対して少なくとも部分的な支持を提供することができる。そのような支持はチューブにおいて局所的に減少した壁厚を用いる機会を提供できる。
【0150】
コイルの被覆の最も上の層は、コイル状チューブ内の内圧由来の力に耐えるよう設計されているカルーセルの平坦な上部構造パネルによって前記層が十分に支持されている場合、(境界の被覆を除いて)基本的に正方形の区分からなる。上部パネルは希望する程度の拘束を適切に提供するための厚み、材料強度及び/又は支持構造を備えて設計される。あるいは、可能であればカルーセルのスタックにおいて次に高いカルーセルの底部からかかる荷重である重量は、コイルの内部加圧から生じる傾向にあるコイルの最上層における変形を抑制するための手段として上部パネルに分散されてもよい。
【0151】
完全な正方形である部分が最上層に用いられることを許容するように最上層が上面において制約されていない場合、角及び膜側部のあらゆる点並びにそれらの間の移行部は拡大した断面の変形及び応力分布を安全に適応させるよう設計されなければならないか、平坦な側部及び複数の円弧状面の組み合わせはコイルを適切に安定させるために上面の下側からの接触及び下向きの反応荷重の分布を確立するために使用できる。しかしながら、ブレアーの方法とは対照的に、管状断面の上面はいくつかの点においてカルーセルの上部パネルの拘束面に接触しなければならない。この接触は、コイルの最上層におけるチューブの底面が直ぐ下のコイルの層に対して十分な接触及び拘束を維持するよう拘束されることを保証するため、十分な垂直方向の拘束をもたらさなければならない。
【0152】
貨物コンテナに対して予想される設計条件の範囲に対処するため、断面及びカルーセルの細部(特に、コイルと接触するカルーセルの構成部品)は、生じやすい寸法の変化を抑制又は適応させるよう設計されなければならない。一般に、温度及び/又は圧力が変化する場合、断面は隣接する部材によって拘束される部分を除いて拡大しようとする。また、長い管状部材の長さは、チューブの局所的な主要長さ軸に沿って相互又はカルーセルの内面に対してコイルの隣接する層及び被覆を移動させるよう変化しようとする。
【0153】
図11を参照すると、いくらか又は全ての長さの変化に関する傾向は、カルーセル構造によってかかるコイルの最内及び最外被覆への拘束の設計によって、コイルの各層において順応可能である。あるいは、各層における圧力及び温度誘導性の長さの変化の傾向が局所的に調整されるように、移行部材はある層から隣接層への内芯の移行に含有されてもよい。図11に図示されるように、移行部材は一般に鍛造又は溶接される部材であり、それぞれの端に一般的な導管拡張環状構造110及び断面の移行部112の両方を有することによって、コイルに位置する正方形の断面と拡張環状構造全体にわたって提供される円形の管断面との間で切り替えることができる。環状構造はカルーセルのリールの中央部内に延びるように配置することもできる。図面の平面へと貫通しているコイル状のチューブ断面116の一層からコイルの最も内側の被覆における次の層116aへと移行するために流路が湾曲しているため、断面の移行部112は中央スピンドルの密閉隔壁114における開口部を通って中央部内の内部空間へと横に延びている。カルーセル又はカルーセルのスタックの内部空間は適切に不活性化され掃気された空間であることが予想される。
【0154】
潤滑油がカルーセルに注入される、又は低摩擦材料でチューブが被覆される若しくは層の間においてシート状に分離して配置されることによって、コイル状の管状コンテナの長さの変化によって相対的に移動する隣接面間の摩擦磨耗又は抑制を最小限にすることができる。
【0155】
コイル状のチューブコンテナの低端の流路連結は、その上のコイルの重量により比較的小さな構造上の拘束を課すことによる相対的な固定を伴って拘束可能であることが想定される。しかしながら、カルーセルの上部からの上端の流路連結が長さの実質的な変化に適応するために湾曲可能であることが望まれる。そのような場合、主要貨物導管ヘッダーへの接続は、海外の産業界において一般的に使用されている(「非結合可撓性パイプの設計及び製造(Non-bonded Flexible Pipe Design and Manufacture)」のAPI Spec 17J参照)可撓性の導管接続材、又は貨物カルーセルと主要マニホールドヘッダー導管に連結されている導管との間に挿入される相対的に拘束されていない拡張ループとして形成される金属製の管、を含むよう設計することもできる。あるいは、移行しておりカルーセルから出るコイルの底端部及び上端部は、全ての変形がカルーセル缶内で適合されるように拘束されても良い。
【0156】
様々な金属(例えば、アルミニウム、鋼鉄又はチタン合金)のいずれか一つを有するか、本発明の可撓性側部を有するコンテナに対して説明したように複合(複層)断面を有するように正方形のチューブのコイルを製造することが可能である。連続押し出し処理は非常に長い金属性の管状部材の製造及びコイル状への加工を可能にする。周溶接を用いることによって非連続の部材を接続することが可能である一方で、金属断面のチューブは、コイル全体が単一のチューブ押し出しからなるような長さの連続した継ぎ目の無い部材として押し出される。外皮を形成するために用いられる材料、又はチューブコンテナの断面若しくは長さに必要なあらゆる結合は、使用される際に生じ得る温度の予測範囲に適合されなければならない。
【0157】
押し出しチューブコンテナのために、長い管を押し出すために用いられる金型は、それが断面を正方形から円形へ、そして少なくとも一つの側部が平らであり且つ少なくとも一つの側部が丸くなっているハイブリッド形状へと変更可能であるように、設計、製造、及び調節可能である。コイルの境界の被覆(及び可能であれば最上層)の外面において支持が減少又は喪失したことに起因する結果的な応力を調節する必要がある部位において押し出された物の壁が厚くなるように、金型は調節されなければならない。また、コイル状の貨物コンテナを製造するために最も有利な態様で並べるために隣接する被覆又は層が優先的に配置される方法で外面が形成されるように、金型はチューブを押し出すために設定又は調節されても良い。例えば一実施形態において、持ち上がった隆起部及び凹部が隣接する被覆及び/又は層の配置を案内するために断面上に形成されるように、付加的な材料の厚みが角に与えられる。これらの案内構造の外観は、不要な局所応力の集中が製造、組立又は使用中にチューブの外皮に生じないように構成されなければならない。
【0158】
図12aから12cに関して、連続的な押し出し法を可能にするために調節可能な金型を用いることによって、コイル状にする工程を簡単にするために波形構造を導入することによって波形チューブ120を形成することができる。図12aは波形チューブ120の側面図であり、所定深さ及び波長122dである波形122cはチューブが形成されるにつれてチューブに沿って長さ方向に延びるように、円形状に変化する断面のそれぞれ122a及び122bである内寸及び外寸をこの波形構造が有することを示している。その縦軸に対して垂直なチューブの断面にこれらの波形を導入することによって、カルーセルに配置する間にそれがコイル状にされることによるチューブのあらゆる柔軟な変形を回避することができる。波形は、カルーセル内の次の層の重量によって誘導される座屈崩壊に対して壁を安定にし、チューブの側部が隣接するチューブの側部又はカルーセルの側部に連続的に接触しない場合に比較的薄い壁が全体にわたって維持可能であるように、内圧に対する局部の強度を与える。また、円形断面を有するチューブも波形にできる。図12bは正方形の断面を有する波形チューブの断面を示しており、図12cは円形断面を有する波形チューブの断面を示している。したがって、カルーセル内で容易にコイル形成をするための波形チューブは正方形又は円形の断面を有するチューブのいずれを用いても形成可能である。隣接構造との連続的な接触が不可能である場合、波形形状は、小さな曲率半径を局所的にもたらすことによって、正方形の断面のチューブにおいて非常に薄い壁の設計手法をサポートすることができる。しかしながら、カルーセル内におけるチューブの周りの隙間は、内圧荷重に対して継続的な支持をもたらすために、軽量グラウト、エポキシ、又は使用温度に適合可能な樹脂ベースの短繊維複合材料で充填されることが推奨される。波形チューブが円形断面を有する場合、通常の環方向応力が大部分を占める強度予測値によって必要とされるものと比べて壁厚の減少を可能にするために支持構造充填材の注入が必要となるであろう。
【0159】
波形122cの深さは、液体又は粒子のコイル内に蓄積する傾向を抑制するために、最小限にされなければならない。しかしながら、コイルはコイル内の不要な蓄積物を除去するために定期的にパージすることも可能である。
【0160】
カルーセル内にコイルを形成するための一つの方法は、ほぼ直線状の部品として製造される正方形のチューブから開始し、それはコイルの各層においてらせん状に変形される。部品が比較的一定の断面を有する(すなわち、上述したように波形でない)場合、コイル形成のための変形の向きによって影響される断面の境界におけるひずみ及び可撓性の変形は慎重に調整されなければならず、チューブの断面の寸法は、カルーセル内で必要とされるいかなる最小の屈曲半径にも適合するために、用いられる材料の性質に合わせて選択されなければならない。
【0161】
正方形の形状の断面のチューブを押し出すための代替案として、丸い金属管の断面を通して正方形のマンドレルを引く又は押して前記管を変形させることによって正方形は形成することができる。断面変形処理は、40フィート又は60フィート(それぞれ約12m又は18m)の連結管を通してマンドレルを動かすことによって高強度の「UOE」管(U型化、O型化、及び拡大管(U’d,O’d,and Expanded pipe))を製造するパイプ製造業において実施されているような鋼鉄管材の降伏強度を向上する手段として導入可能である。
【0162】
このように変形された長く直線状の管は、各層においてらせん構造を形成するためにその後に長さ方向に沿って曲げることによって、カルーセル内でコイル状にされる。あるいは、パイプを通されるマンドレルは長さ方向のらせん変形を引き起こすために用いることもできる。シューレ(Schule)に付与され参照によって援用されている米国特許第7,159,432号を参照。
【0163】
チューブの形状をもたらす/変形させるマンドレルの接触面の位置は、マンドレルがチューブを通されることによって、任意の部分の最終的な変形された形状が局部の構造的な必要性に適合するよう調節されるように、流体流動によって調整可能である。
【0164】
製造用金型は、押し出されるチューブが水平方向の平面において連続的に変化する曲率半径を有することによってコイルの各層に自然にらせんを形成する形状となるように調節可能である。外側に向かう層において、曲率半径はそれぞれの累進的な被覆によって徐々に増加し、一方、内向きに進行する被覆においては被覆に対して反対のことが起こる。
【0165】
あるいは、らせん状コイルが層に隣接する作成された層であるように、複合又はハイブリッドの正方形のチューブに対する連続的な設置及び硬化処理を補助するために、調節型マンドレルの形状及び向きは内部流動によって操作可能である。押し出された金属製チューブに対して記述されたものと類似の特徴を有する断面を生成するために、マンドレルの形状及び積層処理の種類は改変可能であり調整可能である。
【0166】
正方形のチューブ断面を押し出す別の代替法は、金属のバンドが材料の大きなロールから解かれるにつれて、正方形のマンドレルの周囲における薄い金属シート(例えば、巻かれた鋼鉄板)の長く連続するバンドから当該断面を形成することであろう。例えば、約1.4インチ(3.6cm)から1.5mの幅で3mmの厚みである鋼鉄板のバンドを四つの角において100mmの半径を備える400mm×400mmの正方形のチューブコンテナを形成するために用いることができる。金属バンドのシートの縁がマンドレルの周りにおいて一緒に圧接されるため、長い継ぎ目(例えば溶接シーム)が区分を閉じる/密閉するために使用可能である。また、マンドレルも成形可能であり、上述したようにカルーセル缶内に容易に配置するための利点を得るためにチューブの壁に波形を与えるよう外部圧接形状は適用可能である。
【0167】
構造的なカルーセル缶の補助容器内に完全なコイルを製造する構想は、フィッツパトリック(Fitzpatrick)他に付与されたステニング特許の一つである米国特許第6,240,868号に記載されており、コイルは小径の剛性管を有する。本発明は、正方形断面の押し出しチューブを有するコイルを支持するための補助容器カルーセル構造のコイル形成及び設計をするためのより効率的な方法を提供する。
【0168】
補助収容構造(すなわち、カルーセル)の内面は、コイル状の主要貨物コンテナから予期せず抜けた貨物流体を捕捉して安全な掃気流路に向けることができる密閉層を形成することを目的とする。
【0169】
カルーセルは、補助収容構造を構成する密閉層及び支持構造部材を形成するために、金属若しくは複合材料又は金属及び複合材料の組み合わせのいずれからでも構成可能である。本発明は、収容システムの重量は最小にされるべきであり、また収容システムの材料は非常に低い温度で機能できる又はさらされることができることを考慮しているため、好適な実施形態は複合材料で構成されたカルーセルを有するであろう。別の好適な実施形態は、最も内側の面は金属の密閉層である金属と複合材料とのハイブリッド構成として製造されたカルーセルを有するであろう。
【0170】
コイル状のチューブ貨物コンテナは、貨物流体及び置換流体が反対の連結部によってコンテナに入る又はコンテナから出るように主に導かれるように、上端及び下端の導管連結部を有する。
【0171】
図9aにおいて指向性の矢印によって示されるように各層の被覆が隣接する層において交互に外向きと内向きにらせんを形成するように、コイルはほぼ平らな水平方向の層に構築されることが意図されている。コイルにおける円形の管断面とは対照的に、正方形のチューブ形状は平らで平行な層の配置を現実的にする。被覆の一つの層から次の層への移行は、移行部が構造的な配置及びカルーセル缶の設計によって補助されている境界(最も内側及び最も外側)の被覆において常に生じる。
【0172】
各層の境界の被覆上のある場所において、カルーセルの外側の境界の内側における構造上の特徴がチューブの配置を調節するために導入されており、次の層の高さまで緩やかな傾斜部を立ち上がらせる。この傾斜する構造の傾斜部は、チューブの屈曲を関連する軸上においてチューブの許容可能な屈曲半径内に限定するために傾斜の長さ方向に沿って変化するため、側壁は曲がることがなく、そして上面及び底面は過度に負荷がかかることがない。また、この構造上の特徴は、前の層から立ち上がることによって構成される層において最も外側の被覆の内向きのらせん構造の開始を誘導しなければならない。この構造上の特徴は、隣接する被覆及び層のチューブ領域の側部との接触によって拘束がもたらされない境界の被覆において構造上の特徴がチューブ領域の全ての側部を完全に拘束するよう設計されなければならない。ある層から次の層への各傾斜の端においてコイル状のチューブとの接触を維持するために、補助収容構造のこれらの特徴を作り出すことは現実的ではないため、適度に強くて堅い材料の頑丈なくさびが積層工程の間に挿入されることによって、境界の被覆において又は被覆の近くにおいてチューブ部分の全ての側部に対する継続的な支持を維持することができる。あるいは、注入された材料が硬化した場合に当該材料が使用中にこれらの場所においてチューブ部分を十分に支持するように、グラウト、エポキシ又は樹脂ベースの短繊維複合材料などの材料が隙間を埋めるために注入可能である。
【0173】
立方体型のISOコンテナ
図13a及び13bに関して、本明細書中において説明される貯蔵発明の別の実施形態は、輸送可能な貯蔵容器の簡易形状を提供するISO輸送コンテナ130である。ISO輸送コンテナ130は標準的な外部断面寸法を有することが好ましい断熱立方コンテナ構造132であり、例えば、一辺あたり約2.44mに相当する約8フィート×8フィート×約8フィートである。コンテナ構造132の側部は、適切な構造上の支持と断熱効果とを提供するために、必要に応じて補強及び断熱処理されなければならない。図13aはコンテナ構造132の部分断面上面図であり、コンテナ構造132の上部がその内部を図示するために取り除かれている。それぞれが本発明に基づく正方形の断面を有する9個のタンク134がコンテナ構造132の内部空間に鉛直向きに固定されている。あるいは、1個若しくは4個又は任意の数のタンクがコンテナ構造132の中に配置可能である。
【0174】
図13bはコンテナ構造132の部分断面側面図であり、最も近い側壁がコンテナ構造132の内部を図示するために取り除かれている。タンク134は立方体のコンテナ構造内に直立しており、導管マニホールド136及び138によって9個のタンク134へ、タンクから、及びタンク間に流体連通がもたらされており、当該導管マニホールドは分離及び/又は流量制御弁136a及び138aを有する。各々のタンク134はタンクへ及びタンクからの二つの流路を備えなければならず、弁が各流路に設けられなければならない。立方体のコンテナ構造132内の9個全てのタンク134は単一ユニットとして分離するためにマニホールドで連結されており、それは弁136a及び138aによって分離可能であることが好ましい。圧力除去弁は規則の要件を満たすために必要に応じて導管マニホールド136に設けられなければならない。
【0175】
内部の立ち上がり管又は浸漬管136cが各々のタンク134内に垂直な流路を提供することによって、各タンクの底部からの濃密な流体(例えば液体)の排液を可能にする。内部の立ち上がり管の使用は、貫通材又はノズル及び導管連結材をそれらの底部に配置する必要なく、コンテナの底部から液体を除去する機能を付与することを理解しなければならない。
【0176】
立方体型のコンテナ構造132はその角に沿った外部構造フレーム132aと波形壁132bとを有し、前記波形壁はタンク134の最外環状部の外面に接触する内部断熱構造132cを支持する。あるいは、立方体型コンテナのエンクロージャを完成するために必要な構造上の容積及び断熱性をもたらす中心が泡状である構造壁を使用することもできる。
【0177】
図14は、高速道路による輸送のためにトレーラ142に載せられた標準的な40フィート(12.2m)のISOコンテナに相当するものを有するために、5個の立方体型コンテナ140がどのように連結可能であるかを示している。一時的な覆いが各々の立方体型コンテナ140の上部又はトレーラ上のコンテナの集合全体にかけられることによって、外部環境又は太陽から得る熱を抑制できる。
【0178】
天然ガスの組成及び貯蔵条件によって、14,000scm(標準立方メートル)(≒500,000scf)を超える量が一つのロードトレーラで輸送可能である。これは、鋼鉄のシリンダに高圧で貯蔵されたCNGの陸上輸送用の一般的なトレーラと比べて大容量である。さらに、当業者は複数のこれらの立方体型装置及び/又は同等の40フィートのコンテナは鉄道車両、荷船、及び/又は船に積載し、固定し、輸送することが可能であることを理解するであろう。
【0179】
トラック上の立方体型コンテナの集積は一般的なCNGトラックより約二倍の貯蔵容積をもたらすことが理解される一方で、上述した海運の実施例が剛性の鋼鉄製シリンダにおいて常温でCNGを輸送するために設計された船と比較される。ヴァルスガード(ValsgArd)他らの論文(「圧縮天然ガス輸送装置の開発――クヌートセンPNG(登録商標)構想(Compressed Natural Gas Carrier Development-The Knutsen PNG(R) Concept)」米国、造船造機学会の2004年会の議事、112巻、271貢参照)と、(米国、テキサス州、ヒューストンのゼウス ディベロップメント コーポレーション(Zeus Development Corp.)によって2007年6月26−28日に「CNG海上輸送における進歩:商業化への最終的な取り組み(Advancement in CNG-Marine Transport: The Final Approach to Commercialization)」の議事録において公表されている)2007年6月、ヒューストンにおけるゼウスCNG会議においてクヌートセンOASのパー ロース(Per Lothe)によるプレゼンテーションとにおいて、ロースの海上天然ガス輸送計画は、船上においてCNGを貯蔵及び輸送するために約25MPaの非常に高い圧力を用いる常温の構想として説明されている。そのような構想は外気温でCNGを輸送するための代表的な設計である。これらの引用文献において、我々の海上輸送の実施例において検討された船に関するサイズを有する船は、約1.7から2.0×106scm(標準立方メートル)の天然ガスを運搬できるのみであることが理解される。これは、我々の海上輸送の実施例において150mの船上にて運搬可能な7.1×106scm(標準立方メートル)と比較される。本発明の利点は、(約552MPaの降伏強度である)壁の厚い42インチ(1.1m)径の鋼鉄製シリンダにおいて貯蔵するためのロースの外気温高圧CNG構想を用いて7.1×106scm(すなわち約5,500メートルトン)のシコードのサハラガスを運搬するよう設計された船は、約24.4mの長さのシリンダを1100個以上運搬しなければならないことを理解することによって明確になる。気体貨物の重量の収容システムの重量に対する比率はロースの高圧構想において約0.21である一方で、本発明の正方形の低温タンクを用いた海上輸送の実施例における気体/容器の重量比は約10倍高い(−2.0)。そのため、正方形のタンクは重質壁の剛性管シリンダとして調達/製造及び設置するために単位重量当たり3から4倍の費用が必要な場合でも、本発明を用いることによって容器のコストは少なくとも半分に削減できる。しかしながら、船は重質高圧CNGシリンダの周りに外部検査用のアクセス空間を設置するのと同様に当該重質高圧CNGシリンダを運搬できるよう十分に大きく設計されなければならないため、前記事項は費用に関することの一部にすぎない。外気温に基づく船を考慮すると、高圧CNG構想は(我々の海上輸送の実施例においては36個のコンテナの合計で約2,750メートルトンの合算値であるのに対して)約27,000メートルトンのシリンダを運ばなければならず、そのような船は我々の海上輸送の実施例において示される船の少なくとも2倍であろう。したがって、常温高圧CNG構想に基づいて設計された等しい貯蔵容量の船の全費用は、容器と船体の費用とが比較に含まれる場合、少なくとも4倍の費用がかかるであろう。
【0180】
上記文章は、固定又は輸送型の貨物コンテナへ充填する又はコンテナから排出する革新的な手段と同様に、天然ガスの貯蔵及び輸送用のコンテナの革新的な形態を説明している。上記発明が説明されることによって、技術、手段、材料及び設備の多様な変更が当業者にとって明らかにあるであろう。本発明の範囲および精神内における全てのそのような変更は添付の請求項の範囲に含まれることを意図している。
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
優先権は米国仮特許出願第60/904,541号及び第60/926,504号に基づいて主張されており、当該出願は本願発明者によってそれぞれ2007年3月2日及び2007年4月27日に出願されており、各々の出願は参照によって援用されている。同一の仮特許出願に基づいて優先権を主張し、本願と同日付で本願発明者によって出願された「容器へ及び容器から圧縮流体を流す装置及び方法」という発明の名称である米国特許出願は、本願発明と関連しており、参照によって援用される。
【0002】
本発明は、気体及び液体の貯蔵及び輸送、詳細には比較的薄い壁のコンテナ内における低温での冷凍又は加圧された流体貨物(例えば、天然ガス及び液化天然ガス)の貯蔵及び/又は輸送に関連し、商業用貨物の密度は適度な圧力で達成でき、コンテナは利用可能な貯蔵及び/又は輸送空間を効率的に満たすことが出来る。
【背景技術】
【0003】
気体は、比較的長いシリンダ、弾丸型のタンク、扁球(oblate spheroid)又は扁球(oblate sphere)に現在貯蔵されており、それら全てが少なくとも一つの円形断面を特徴とし、圧力によってもたらされる環方向応力に耐えるために直径に対して比較的大きな壁厚の比率(t/D)を有する。それは、これらの実質的に剛性の容器を作るために用いられる材料は、(金属又は繊維ベースのマトリックス殻又はそれらのハイブリッド複合材料のいずれであるかに関わらず)重大な応力の向きにおける強度には限界があるからである。これらのコンテナの一般的な構造は、円形断面を有する剛性の形態である。
【0004】
貯蔵又は輸送目的の大型の加圧ガス容器の最も一般的な形状は、単一壁の金属製シリンダ又はボトルの使用に基づいており、それらは多くの場合において、低温靱性の特性をもたらすニッケルなどの合金化元素を適度な割合で含有可能な高強度の鉄鋼から作られている。円筒形状は、直線、環状、又はコイル状であろうとパイプラインの形状をとることによって、直径に対する長さの割合を最高にすることが可能である。参照によって援用されており、まとめて「ステニング(Stenning)特許」とよばれる、ステニング他に与えられた米国特許第5,803,005号、第5,839,383号、及び第6,003,460号、並びにフィッツパトリック(Fitzpatrick)他によって出願され第10/472,615号が割り当てられた米国特許出願公報第20040216656号を参照。カナダのカルガリーのシー エヌジー マネイジメント コーポレーション(Sea NG Management Corp.)は「コセル(Cosell)」の商標を用いてコイル状のパイプを介した圧縮ガスの貯蔵及び輸送サービスを提供しており、それはステニングの特許文献に記載された技術に基づいていることが理解される。しかし、従来技術において検討された鋼鉄製のシリンダ/パイプラインのガス貯蔵コンテナは含有される気体貨物の重量と比べて比較的重い。気体が(例えばトラック、鉄道、運搬船、又は船によって)輸送される場合、容器の高い重量はより高いコストと積載量が有限である輸送機関(例えば高速道路におけるトラック)にいくつのコンテナが配置可能であるかということに対する制限とを一般に意味するため、容器の重量に対する気体貨物の重量を最適化することが重要である。
【0005】
何人かの発明者は、比較的穏やかな圧力において貨物を液化できる低温を用いることによって、容器の質量に対して加圧貨物の質量の割合を改善しようとしてきた。例えば、ミンタ(Minta)他によって出願され第10/396,895号が割り当てられた米国特許出願公報第20030183638号、ボーエン(Bowen)他に与えられた米国特許第6,047,747号、ウッドール(Woodall)他に与えられた第6,085,528号、ボーエン他に与えられた第6,460,721号、ミンタ他に与えられた第7,147,124号を参照。それらはテキサス州ヒューストンのエクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー(ExxonMobil Upstream Research Co.)に譲渡されている(まとめて、「エクソンモービル特許」と呼ばれる)。同様に、シバーズ3世(Shivers,III)他に与えられ、テキサス州ヒューストンのATPオイル&ガスコーポレーション(ATP Oil & Gas Corp.)に譲渡された米国特許第6,932,121号、第6,964,180号及び第7,155,918号参照。以下の特許及び特許出願は参照によって援用される:ビショップ(Bishop)他に与えられた米国特許第6,584,781号、ビショップに与えられた米国特許第6,655,155号、及びビショップに与えられた米国特許第6,725,671号、並びにビショップ他によって出願され、第09/943,693号が割り当てられた米国特許出願公報第20020046547号、及びビショップ他によって出願され、第10/316,475号が割り当てられた米国特許出願公報第20030106324号。これらはテキサス州ヒューストンのエナシー トランスポート エルエルシーに譲渡されると考えられており、まとめて「ビショップ特許」又は「ビショップ」と呼ばれる。ビショップ特許は、貯蔵される貨物を濃密相の流体として維持しつつ、約−10℃未満の温度で圧縮率係数Zを最小にする貯蔵圧力を選択することによって円形シリンダの質量比が商業的に最適化可能であると考察している。米国特許第3,232,725号及び第3,298,805号は参照によって援用されており、それらはシコード(Secord)他に与えられており、まとめて「シコード特許」又は「シコード」と呼ばれている。シコードは、メタンの限界温度直下から最低の約−200°F(−129℃)までの範囲の温度で貨物を相境界に非常に近い流体状態に維持する温度−圧力の組み合わせを選択することによって、混合層の流体が貨物コンテナ内に存在できるようにすることで、非常に高い質量比を実現できる方法を示している。しかしながら、上述の全てのものは、円形断面のタンクに対してそれらの設計原理を適用することによって、コンテナが貯蔵及び/又は輸送する貨物の内圧によってほぼ剛性のコンテナの外皮に生じる環状の応力に対処可能であることに言及している。
【0006】
ウェブスター(Webster)他に与えられた米国特許第6,863,474号は、円筒状コンテナの外殻の必要な厚みを減らすための手段として、海面下深くに配置される貯蔵コンテナに作用する水頭(hydraulic head)によりもたらされる外圧を用いることで、貯蔵する天然ガスに関する内圧を相殺できることが記載されている。しかし、そのようなコンテナはほぼ剛性の円筒形であることが未だに期待されており、その前提は、貯蔵のために大径のパイプラインの長いループを海深くに配置することとほとんど変わりは無い。
【0007】
いくつかは、合成壁構造の構想(米国機械学会の圧力容器規則(American Society of Mechanical Engineers Pressure Vessel Codes)及びASME PVコード ケース2390参照)を提案又は使用することによって、(特に高圧ガスの)天然ガス貨物収容シリンダの重量を低減しようとしており、それらは以下のもの:
・円形に形成された鋼板の複数の層を用いる「ビルトアップウォール」、
・超高強度の金属ワイヤ、金網、又はバンドで覆われた金属ベースのシリンダ、
・繊維樹脂のストラップ/バンド、メッシュ、又は補強材によって覆われた金属、金属化プラスチック、又はプラスチックベースのシリンダ/ライナ(liner)、及び
・ランダムに配向された短繊維の樹脂ベースのマトリックスを備えた金属、金属化プラスチック、又はプラスチックベースのシリンダ/ライナ
を含む。
【0008】
外部材が金属ベースのシリンダ上に配置される場合、自己緊縮(auto-frettage)(ライナが撓んで塑性的に変形するまで、ライナの永続的な予備応力が、硬化され/結合された上層に対してそれを圧接することによって加えられる)が、予想される荷重のもとにおける異なる物質間の圧力分布を最適化するために利用可能である。全ての場合において、結果的に得られる容器の断面はほぼ円形で剛性である。自己緊縮は、工学的に一般的な手法であり、ASME圧力容器コード セクションVIII、区分3、KD−5、「自己緊縮を用いた設計(Design Using Auto-frettage)」に明記されている。
【0009】
補強に用いられる個々の繊維は超高強度のガラス又はカーボンファイバ材料から製造することができる一方、複合壁構造は、貯蔵物の内圧によって生じる環方向応力ではない縦方向の曲げ荷重によって与えられる応力に対する抵抗力をもたらすために一般に形成される。
【0010】
複合壁のシリンダは気体/コンテナの重量比の改善に成功した方法であることが判明しているが、それらは同様に、所定圧力で気体を貯蔵するための単純な金属製の円筒状ボトル(又はパイプライン)と比べて実質的により費用のかかる解決策であることも分かっている。単純な金属製の円筒状タンクの場合、高強度の材料が選択されることによって、容器の重量と費用への影響とを制限することができる。
【0011】
エクソンモービル特許は、板材の化学及び製鋼工程に基づく約900MPaの強度を有する板と、複合壁構築法とを用いることによって、従来の方法と比べて比較的軽量である大径の液体貨物コンテナを製造する方法を開示している。しかしながら、想定される全てのコンテナは少なくとも一つの切断面における円形の断面を特徴としている。開示される複合構造は円形断面を有するため、繊維の巻き付けは効率的に行うことができる。
【0012】
ビショップ特許において、シリンダに大量のCNGを貯蔵する最も効率的な方法は、周囲の又は上昇した温度の貯蔵法において用いられる貯蔵圧の約半分を使用することによって、商業的に魅力的な体積圧縮比(250−350:1の範囲である貯蔵条件における貯蔵貨物流体の体積に対する周囲の条件における貨物流体の体積の比率)が実現できるように、単純な金属製のシリンダにおける氷点下の温度であることが決定された。ビショップ特許である米国特許第6,725,671号と、ペリー(Perry)に与えられ、カナダのブリティッシュコロンビア州のゼッドガス インコーポレーテッド(Zedgas,Inc.)に譲渡された米国特許第7,137,260号とは、輸送効率を改善するために重質炭化水素ガス又は二酸化炭素の混合物を同様に推奨している。この方法は、複合円筒状壁構造の複雑性及び費用を必要とすることなく、「貯蔵効率」(気体の重量/コンテナの重量)を劇的に改善することが可能である。しかしビショップの方法は、二相貯蔵状態において生じる液体の脱落を避けるために気体は濃密相状態で貯蔵されるべきであることを明示している。目的とする作動温度において濃密相の流体貯蔵を維持するために必要な圧力は、商業的に重要な量の天然ガスの貯蔵又は輸送を考慮すると、比較的厚くて重い壁を備えた非常に多くの強くて剛性のシリンダの使用を導き出す。重い円筒状コンテナは、陸上車両又は船舶のいずれで輸送するにせよ支持及び輸送に費用がかかる。
【0013】
裏打ちされた炭素繊維複合タンクを除いて、現在使用されている又は従来技術で引用された穏やかな及び高い圧力の気体貨物タンクは、輸送手段に実質的な制限を課す比較的高い自重を有する。道路の重量制限は、鉄道であったとしても、陸上輸送における大径の高圧CNGタンクの使用可能性を抑制する。入港及び乾ドック入れにおける実際の喫水限界を意識した実際の船舶設計は、いくつの重円筒状貨物コンテナが船上で輸送可能かという点において制限される。
【0014】
ステニング特許において提案されるようなコイル状の管状構想とは反対に、シリンダが比較的短い(すなわち、直径に対する長さの比率が<<1000である)場合、非常に多くのシリンダが連結導管及び弁に連結されることによって大容量の貯蔵設備を形成しなければならない。多くのシリンダを備える貯蔵設備の相互接続及び作動は、大量の配管、連結、及び制御への投資を含む。
【0015】
設備内又は輸送手段上で必要な剛性のシリンダ又は球体がどれだけの量であろうと、工業基準に基づく検査を通過するために各々のシリンダの周囲にかなりの空間が設けられなければならない。2005年版の大量に圧縮天然ガスを運搬するための容器に関するABSガイドライン(ABS Guideline for Vessels Intended to Carry Compressed Natural Gases in Bulk,2005)を参照。船舶の貨物室の空間において、それぞれのシリンダの周りに標準的な隙間を割り当てると、1.0mの直径のシリンダは、実際に垂直配向で離間した場合、利用可能な面積の約40%のみを占めるであろう。シリンダの直径が大きいほど、利用される空スペースの割合も大きくなる。例えば、周囲の隔壁から規則で必要とされる最小限の隙間を許容する直径の一つのシリンダは四角い貨物室の約70%を占めることができる。しかしながら、一般的な船舶の貨物室内で一般に利用可能な空間の大きさに適合する直径であり、従来技術において一般に提案された高圧に耐えるように設計された単一の剛性シリンダは、単一又は複合外殻構造であろうとなかろうと、従来技術によって提案された材料及び構造から実際に製造できるとは考えられない。したがって、ほぼ剛性で円形断面(直線又はコイル状)のシリンダを用いる計画は、輸送手段内で利用可能な貨物空間のほぼ70%未満を利用すると考えられる。
【0016】
したがって、冷凍及び圧縮された流体、特に様々な炭化水素組成物の天然ガス及び/又は液化天然ガスを輸送する際に、輸送手段(船、鉄道、又は貨物トレーラ)内又は上の貨物用空間のより良い利用を可能にする安全な貨物格納法に対する要望がある。
【0017】
この文書において用いられる場合、用語「天然ガス」は軽質炭化水素組成物を指し、それはメタン分子が大部分を占めるが、常温常圧でガス蒸気として存在する限定的な非炭化水素性の不純物(水、二酸化炭素、及び窒素など)と同様に重質炭化水素分子を含んでいてもよい。この「天然ガス」は、地面から抽出された自然に生じる流体ストリームに、又はある形状の移動式プラットホーム(例えば、船、鉄道車両、又は貨物トレーラなど)における輸送のために作られた合成的に組み合わされた分子の混合物に由来する。「圧縮天然ガス」は、冷凍されているかどうかに関わらず、単に「CNG」と呼ぶこともできる。本明細書において多くの場合に「PLNG」と呼ばれる「加圧液化天然ガス」又は「加圧液体天然ガス」は、完全に冷凍されているが、必ずしもメタンの臨界温度より低い温度で貯蔵されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第3,298,805号明細書
【特許文献2】米国特許第3,232,725号明細書
【特許文献3】米国特許第5,803,005号明細書
【特許文献4】米国特許第5,839,383号明細書
【特許文献5】米国特許第6,003,460号明細書
【特許文献6】米国特許第6,047,747号明細書
【特許文献7】米国特許第6,085,528号明細書
【特許文献8】米国特許第6,460,721号明細書
【特許文献9】米国特許第6,584,781号明細書
【特許文献10】米国特許第6,655,155号明細書
【特許文献11】米国特許第6,725,671号明細書
【特許文献12】米国特許第6,932,121号明細書
【特許文献13】米国特許第6,964,180号明細書
【特許文献14】米国特許第7,137,260号明細書
【特許文献15】米国特許第7,147,124号明細書
【特許文献16】米国特許第7,155,918号明細書
【発明の概要】
【0019】
本発明は、流体を貯蔵及び/又は輸送するための装置及び方法を提供する。一実施形態において、流体貨物の貯蔵及び/又は輸送用装置は、大気圧より少なくとも約0.15MPa高い所定の通常作動圧で流体貨物を保持可能なコンテナを含む。コンテナは一対の対向する先端部と先端部間の壁区画を有し、壁区画は非円形断面を形成する。ある壁厚を有する少なくとも二つの隣接するほぼ平らな側部は、丸い角によって一緒に連結されている。コンテナは、コンテナが所定の通常作動圧で流体貨物を収容するときに、側部が少なくとも壁厚の長さだけ外側に撓むことができるように構成されている。コンテナは空のときに自身を支持できるよう十分に硬いことが好ましい。コンテナは圧力下において側壁の外向きのたわみを制限する外部支持システムと共に使用されることによって、コンテナと外部支持システムとが約−160℃まで低くなった温度で大気圧より少なくとも約1MPa高い圧力下において流体貨物を保持できるように構成されていることが好ましい。ある利用形態において、所定の通常作動圧は大気圧より約5又は10MPa高い。
【0020】
通常、コンテナは正方形の断面を有するが、形状は用途に応じて変更可能である。この実施形態において、各々の側部は長さLsを有し、各々の丸い角は曲率半径Rcを有し、Ls/Rcの比率は、好ましくは約2から約6、より好ましくは約2.5から約5、最も好ましくは約3から約4である。
【0021】
コンテナは圧縮ガスを貯蔵及び/又は輸送するためのシステムで使用され、当該システムは、大気圧より少なくとも約0.25MPa高い所定の作動圧で圧縮ガスを保持するように構成された複数の自立型コンテナを含むことが好ましい。各々のコンテナは、対向するエンドキャップと、エンドキャップの間に配置された非円形断面を有する壁区画とを有する。壁区画は、丸い角によって一緒に連結されたほぼ平坦な壁パネルを有することが好ましい。各々のコンテナは少なくとも一つの別のコンテナに隣接して配置されるため、各々のコンテナの壁区画の少なくとも一部は、圧縮ガスで満たされると、少なくとも一つの別のコンテナの壁区画に圧接することが好ましい。構造エンクロージャは複数の自立型コンテナを取り囲んでおり、一部のコンテナの壁区画は構造エンクロージャに圧接する。構造エンクロージャは、コンテナの側部を撓ませる又は拡張するコンテナ内部の圧力に対する対抗力をもたらすため、外方向への撓みは構造エンクロージャによって抑止又は制限される。一般に、構造エンクロージャは船舶若しくは鉄道車両の貨物室又は貨物トレーラ上の貨物ボックスによってもたらされる。コンテナによって加えられる圧力に耐えられるように貨物室を構造的に補強することが必要と考えられる。ISOコンテナは一つ又は複数のコンテナ用の外部構造支持体として機能し、ISOコンテナは、異なる長さである標準サイズのISOコンテナを形成するのに役立つ(通常、一辺当たり8フィート(2.44m)の)立方体状であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態は、圧縮流体を貯蔵及び/又は輸送するための船舶を提供し、当該圧縮流体は通常は圧縮天然ガスであるが、別の任意の適切な圧縮流体又は水和物であっても良い。船舶は、船首、船尾、及び船首を船尾に連結する対向する側部を有する船体と、船首及び船尾の間に延びる一つ又は複数の縦方向支持壁と、側部の間に延びる一つ又は複数の横方向支持壁とを有する。複数の貨物室は、側部、一つ又は複数の縦方向支持壁、及び一つ又は複数の横方向支持壁によって形成される。少なくとも一つのコンテナが圧縮流体を保持するためにそれぞれの貨物室に収容され、各々のコンテナは一対の対向するエンドキャップの間に壁区画を有する。コンテナの壁区画は、側部、一つ又は複数の縦方向支持壁、及び/又は一つ又は複数の横方向支持壁によって外部から支持されることにより、コンテナの壁区画の外方向への動きを制限している。二つ以上のコンテナが一つの貨物室に収容され、コンテナの壁区画が支持するために相互に圧接することが好ましい。したがって、好ましくは断面が正方形であり、丸い角を有するコンテナは、貨物室内で隣接するコンテナ及び/又は貨物室を形成する壁によって外部から支持される。
【0023】
船舶の好ましい利用法は圧縮天然ガスを輸送することであるため、コンテナは約−160℃の低い温度及び大気圧より約1.50MPa高い所定の通常動作圧で圧縮天然ガスを保持するよう構成されていることが好ましい。気体の状態は、シコード特許で推奨される状態及び/又はビショップ特許で推奨される状態であることが好ましい。
【0024】
一実施形態において、本発明は流体を貯蔵及び/又は輸送するための方法を提供する。当該方法は、支持構造を提供すること、流体を保持するよう構成されたコンテナを提供すること、ここでコンテナは壁区画を有し、壁区画は非円形断面と外面を有する壁部とを有し、及び支持構造が壁部の外面に隣接するよう支持構造の隣にコンテナを配置することを含む。コンテナは流体で満たされており且つ大気圧より少なくとも約0.15MPa、好ましくは約0.25、0.50、又は0.75MPa、より好ましくは少なくとも約1MPa高い圧力で機能している間に、壁部は支持構造によって支持されている。支持構造は、流体の圧力によって生じるコンテナの壁区画の壁部を広げるよう作用する力に対する対抗力をもたらす。あるいは、壁構造は船舶、鉄道車両、貨物トレーラ上の貨物ボックス、又は地中の立坑(shaft)の一部である。
【0025】
流体は、約−160℃から約30℃の間の温度と大気圧より約1MPa高い圧力とを有する圧縮天然ガスであることが好ましい。しかしながら、本発明のコンテナ及び方法は、ペレット化及び液化した水和物、特に天然ガス水和物などの液化物質を含む様々な種類の流体に使用可能である。
【0026】
別の実施形態において、地中に圧縮流体を貯蔵する方法が提供されており、それは地中に穴を設けること、及び穴にコンテナを設置することを含み、当該穴は内壁によって形成されており、コンテナは圧縮流体を保持するよう構成されていると共に、一対のエンドキャップとエンドキャップの間に壁区画とを有する。壁区画は一定の厚みと、非円形断面と、外面とを有し、コンテナの壁区画の外面は地中の穴を形成する内壁に隣接している。コンテナは少なくとも1MPaである所定の通常作動圧になるまで圧縮流体が充填されており、壁区画が壁区画内の力及び/又は地面から加わる反力のために更に膨張できなくなるまで、コンテナの壁区画は圧縮流体の圧力によって少なくとも壁区画の厚みとおなじ幅、好ましくは厚みの3、5、8、又は10倍の幅だけ外向きに膨張可能である。
【0027】
また、本発明は円筒状のコンテナを製造する方法を提供し、当該方法は、円筒状の壁を備える可撓性の薄壁である密閉ライナを設けること、十分な圧力下で密閉ライナを流体で充填することで円筒状の壁を堅固な円筒形に保持すること、密閉ライナに第一のシート材を巻くこと、密閉ライナ及び/又は第一のシート材に第二のシート材を巻くこと、第一のシート材及び/又は密閉ライナに第二のシート材を結合させること、密閉ライナ及び/又は第一のシート材及び/又は第二のシート材に第三のシート材を巻くこと、並びに第三のシート材を第一のシート材及び/又は第二のシート材及び/又は密閉ライナに結合させることを含む。したがって当該方法は、密閉ライナの周囲にシート材を連続的に巻きつけて結合することによって密閉ライナの周囲に所望の厚みの壁を形成することで、第一及び第二の対向端を有するシリンダを形成することを含む。エンドキャップが第一及び第二の端部に設置されることで円筒形コンテナの形成を完了でき、当該コンテナは少なくとも約0.5MPaの所定の通常動作圧において圧縮流体を収容するよう構成されている。好適な実施形態において、円筒状コンテナは丸い角を備える長方形の断面、好ましくは正方形の断面を有する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、圧縮流体の貯蔵及び/又は輸送のためのコンテナを提供する。当該コンテナは、内面、入口及び出口を備える外部タンクと、外部タンク内に位置する膜タンクとを有し、膜タンクは外壁、入口及び出口を有し、膜は可撓性であると共に、外部タンクによって支持されている間に大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常動作圧で圧縮流体を保持できるように構成されている。環状空間が外部タンクの内面と膜タンクの外壁との間に形成されており、外部タンクは膜タンクを圧縮するために環状空間に第二の流体を受容する及び/又は膜タンクから圧縮流体を放出するように構成されている。外部タンクは、例えばISOコンテナであってもよく、又はそれは地中の穴に存在する及び/又は穴を有しても良い。
【0029】
本発明のコンテナは、第一の場所で膜タンクに圧縮流体が充填され、第二の場所に運ばれる方法であって、第二の場所において環状空間に第二の流体を充填することによって圧縮流体が排出される方法において有益である。この方法は、圧縮流体に対する第二の流体の圧力及び受容構造からの背圧によって、膜タンクに残る圧縮流体の残存量(heel)を最小限にするために非常に優れている。第二の流体の圧力が背圧よりも十分に高い場合、残存量は少なくなるであろう。方法は、第二の流体を第一の場所に輸送すること、及び第一の場所で第二の流体を排出することを含み、圧縮流体は第二の流体を排出するために第一の場所で膜タンクへと充填される。第二の流体は第一の場所で商業的価値があるため、方法は第一の場所で第二の流体を販売することを含むことが好ましい。例えば、圧縮流体は天然ガスであり、第二の流体は二酸化炭素である。いずれかの流体を環状空間の内側ではなく膜タンクの内側に存在させることができる。
【0030】
膜タンク又は環状空間のいずれかに圧縮天然ガスを充填する際に、ガスの膨張によってガスを冷却するジュール−トンプソン効果(Joules-Thompson effect)が生じる。冷却は液滴を形成及び落下させることができ、濃密気体相にガスを維持することが好ましい。圧縮流体の温度が所望される範囲内に維持されるように、圧縮流体を膜タンクに充填する間に環状空間に所望の圧力を維持することが好ましい。
【0031】
本発明の別の実施形態において、圧力下で流体の貯蔵及び/又は輸送をするための装置が提供されており、当該装置は、内壁を有するカルーセル缶(carousel can)と、カルーセル缶の中でコイル層状に巻かれた管とを有し、管は大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常動作圧において流体を保持できるよう構成されている。管はほぼ正方形の断面を有し、管の壁は、コイル状の管の隣接部の壁又はカルーセル缶の内壁によって過剰な膨張に備えて支持されていることが好ましい。管の壁は、管の長手軸に対して横向きに形成された波形構造を備えることによって、コイル状にすることを容易にする及び壁に構造的な安定性を付与することが好ましい。また、波形構造はステニング特許に記載されるような円形断面を有する管においても有益であろう。カルーセル缶はグラウト、エポキシ、炭化水素ベースの樹脂、絶縁材及び/又は繊維強化複合材料で充填されることが好ましい。
【0032】
コイル状の管は、金属シートのコイル状リールを準備すること、縦方向の継ぎ目が形成されるようにマンドレル上で金属シートを引っ張ることによって、正方形の断面を有する管を形成すること、及び縦方向の継ぎ目を溶接することで形成することができる。管は隣接するコイル内に巻かれることによって第一層を形成し、それぞれ次のコイルが直前のコイルの外側に隣接して位置し、隣接コイル内に管をコイル状に形成することで第二層を形成し、それぞれの次のコイルは直前のコイルの内側に隣接して位置し、第二層は第一層に接している。気密バルブが管の両端部に設置されることによって、少なくとも約0.5MPaである所定の通常作動圧において気体を保持できるように構成されている気密コンテナを形成することが出来る。
【0033】
カルーセル缶はほぼ円形のスピンドルとほぼ円形の外壁とを有し、コイルはカルーセル缶内でらせん構造を形成し、それはコイルの膨張を抑制するための外部支持をもたらすことが好ましい。あるいは、それぞれのコイルは2Rの距離だけ離れた二つの平行な線を有する形状を実質的に形成し、前記線は、半径Rを有する半円によって各々の端部で連結されている。構造支持システムがコイルを外から支持するために設けられている。構造支持装置は内部支持材を有し、各層の最も内側のコイルの最内縁は内部支持材に隣接している。構造支持システムは外部支持材を有し、各層の最も外側のコイルの最外縁は外部支持材に隣接する。
【0034】
以下に記載される例示的な実施形態の詳細な説明が添付図面と組み合わせて検討されると、発明のより良い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明に基づく隣接タンクによって支持されるタンクの断面図である。
【図1B】本発明の説明で用いられる寸法の名称を備えるタンクの断面図である。
【図2】浸漬管が貨物及び/又は置換流体の出入りのための流路を提供する好ましく形成可能な低部及び高部を備える貨物コンテナの模式図である。
【図3A】本発明に基づくコンテナの角に対して内側に位置するコンテナの側部を示す空の貨物コンテナの平面図である。
【図3B】本発明に基づく図3Aの貨物コンテナが圧力下で流体を充填された後の平面図であり、コンテナの側部がコンテナの角に対して外側に膨らんでいる。
【図3C】本発明に基づく貨物で充填されたコンテナの平面図であり、地中の構造的に制約する貯蔵空間内で利用可能な体積の大半をコンテナが占めている。
【図4A−4B】本発明に基づく貨物で充填されたコンテナであって、当該コンテナは陸上輸送用の車両上の構造的に制約する貯蔵空間内で利用可能な体積の大半を占める。
【図5A】本発明に基づく船舶の断面を示す正面図であり、貨物室内の空のコンテナの側面を表している。
【図5B】図5Aの船の貨物室の平面図であり、貨物室の平面積の90%以上を占める四つの充填されたコンテナを示している。
【図6A】本発明に基づく剛性又はほぼ剛性の構造体と円筒状の断面とを有する複層式貨物タンクの側面図である。
【図6B】6B−6B線に沿った図6Aのタンクの断面図である。
【図6C−6F】図6Aのタンクを形成する製造方法の模式図であり、内部密閉層に対する内圧がタンクの形状を維持しており、外殻の補強層が内部密閉層上に重ねられて結合されている。
【図7A】本発明に基づく膜タンクの立断面図であり、最内密閉層が構造外層に連結されておらず、それによって最内密閉層と構造外層との間に環状空間がもたらされている。
【図7B】本発明に基づく図7Aの膜タンクの正面図であり、最内密閉層内から貨物を排出するために流体がある程度充填された環状空間が示されている。
【図7C】本発明に基づく図7Aの膜タンクの模式図であり、最内密閉層内から貨物を排出するために流体が完全に充填された環状空間が示されている。
【図8A】本発明に基づく輸送コンテナ内に集積された膜タンクの立断面図であり、最内密閉層は輸送コンテナの周縁を形成する構造外層に結合されていない。
【図8B】8B−8B線に沿った図8Aの膜タンクの平断面図である。
【図8C−8E】図8Aに図示される輸送コンテナ内の集積した膜タンクの立断面図であり、最内密閉層は輸送コンテナの周縁を形成する構造外層に連結されておらず、当該図は、最内密閉層内から貨物流体を排出するために最内密閉層と構造外層との間の環状空間に流体を注入する方法を図示している。
【図9A】本発明に基づく補助収容カルーセル構造内でコイル状にされた管状貨物コンテナの立断面図であり、管状貨物コンテナはほぼ正方形の断面を有する。
【図9B】補助収容カルーセル構造内に管状貨物コンテナを配置してコイル状にする工程の模式図であり、管状貨物コンテナは補助収容カルーセル構造内で交互の層において互い違いの向きに配置されてコイル状にされる。
【図10】図9Aの環状貨物コンテナの立断面図であって、環状部内の圧力荷重が隣接する環状部内に作用する同程度の圧力又はカルーセル構造の剛性殻の反力によってどのように平衡を保っているかを示している。
【図11】図9Aの管状貨物コンテナの内核における拡張ループの立面図である。
【図12A】本発明に基づく波形の管状貨物コンテナの立側面図である。
【図12B−12C】図12Aの波形の管状貨物コンテナの代替形態の断面図である。
【図13A】本発明に基づく立方体型貨物コンテナの断面図である。
【図13B】図13Aの立方体型貨物コンテナの側断面図である。
【図14】本発明に基づく流体貨物の輸送用貨物トレーラ上に操作可能に連結されている5つの図13Bの立方体型貨物コンテナの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
天然ガスの貯蔵及び輸送
本発明は、固定型又は可搬型の貨物コンテナに充填及び当該コンテナから排出するための革新的な方法と同様に、天然ガス及び/又は液体天然ガスなどの流体の貯蔵及び/又は輸送のための革新的な形状の容器を提供する。高効率の貨物コンテナの設計と輸送手段内の利用可能な貨物室空間の利用とが本発明によって実現できる。本発明の貨物コンテナはコンテナ自体の構造的な性質を補完するために外部支持材を利用する。貨物流体は、貨物コンテナ内において非常に低い温度及び低−中圧で貯蔵される。貨物コンテナは、多角形ボディを有するよう設計されており、冷却され加圧された貨物流体を収容するそれらの構造上の性質が隣接コンテナの支持及び/又は貨物室空間を形成する壁の支持に通常は依存するように形成されている。
【0037】
本発明の貨物コンテナは、丸い又は円弧状の角によって一緒に連結されたほぼ平らな平面的な側壁と側壁に連結されるエンドキャップとを有することによって、貨物コンテナ内に収容容積を規定できる。本発明の貨物コンテナは、船、鉄道車両若しくはトラックの貨物室内又はある貯蔵及び/又は輸送手段内の利用可能な空間に適合するよう様々なカスタムの多角形状を有することが出来る。輸送手段内の利用可能な貨物空間の高い利用度は、側壁を備える貨物コンテナで空間をほぼ埋めることによって実現でき、貨物コンテナの側壁は貨物室空間の側部の内側境界に外向きに圧接する。あるいは、貨物コンテナの側壁は隣接する貨物コンテナの側壁に圧接し、又は貨物コンテナの側壁はいくつかの隣接する貨物コンテナの側壁と貨物室空間の側部の内側境界のある部分とに圧接することもできる。輸送手段の貨物室内において利用可能な内部貨物空間は、コンテナと貨物室の内面との間の断熱層によって制限されても良い。
【0038】
コンテナの質量に対する収容される流体の質量の高い比率は、コンテナの隣接する側部間の移行部を形成する円弧状の角の間の平面の長さが角の半径と比べて相対的に大きい場合、本発明の多角形コンテナを製造するために用いられる比較的高強度の材料によって実現される。
【0039】
本発明の好適な実施形態は、それぞれが対象とする温度範囲以上におけるシコード及びビショップによって言及される適切な圧力を意味するシコード及びビショップによって開示される条件範囲を超えて天然ガス及び液体天然ガスの貯蔵及び輸送を提供することを意図している。シコードは、米国特許第3,232,725号に開示される最高約24℃と同様に、約−130℃から約−80℃の間の温度範囲を対象とする。ビショップは約−10℃未満の温度を対象とする。シコード及びビショップによって開示される条件範囲を超える天然ガス及び液体天然ガスの貯蔵及び輸送は、本明細書中に記載されるコンテナシステムを用いること、本明細書中に記載される流体を取り扱う方法に基づいて本発明によって教示されるようにコンテナに貨物流体を注入すること及びコンテナから貨物流体を抽出することによって実現できる。本発明にとって好適な貨物は天然ガス及び液体天然ガスであるものの、本発明のコンテナ及び流体取り扱い法は他の流体並びに商業上の利益に関する貯蔵及び輸送の圧力−温度の組み合わせにおいて利用可能である。シコード及びビショップは、それらの方法が固形又は純粋な液体でない状態の天然ガス流体貨物の商業的な貯蔵に関して多くの場合に用いられる条件を示しているため、ここで焦点を当てられている。シコード他に付与された米国特許第3,232,725号及び第3,298,805号並びにビショップ他に付与された第6,584,781号、第6,655,155号及び第6,725,671号はあらゆる目的のために参照によって援用される。
【0040】
本明細書において開示されるコンテナは、気体、液体、混合相、又は固体(例えばメタン又は天然ガス水和物)である濃密な加圧状態の多種多様な気体及び気体組成物を効率的に保持するために設計及び利用されることができる。天然ガス及び/又は液体天然ガス並びに関連する又は添加される不活性成分(多くの場合、「天然ガス」とまとめて呼ばれる)が貯蔵及び輸送される圧力は、(例えばビショップによって規定されるような)対応する作動温度における貯蔵効率を最適化するように選択される。混合天然ガスが約−160℃に近い十分に低い温度で貯蔵される場合、貯蔵圧は、約22ポンド/平方インチ絶対圧力又は約22psiaである約1.5バール絶対圧力(bara)の低い値に設定可能である。プロパンなどの天然ガスの多くの成分は、それらの大気中液化温度に達する温度で貯蔵することによって、約14.5−29psiゲージ圧(psig)の大気圧である約1又は2バールのゲージ圧(bang)内で液体として一般に貯蔵される。水素などの軽質ガスは、約−240℃未満の温度で貯蔵される場合、数バールの大気圧内の圧力で比較的濃密な形態で本発明のコンテナ内において効率的に貯蔵可能である。本明細書中で開示されているコンテナは、天然ガス以外の流体に関して、シコード及びビショップ特許に記載される範囲外である本明細書に開示される条件下と同様に、シコード及びビショップ特許に記載される圧力及び温度の多くの組み合わせで使用可能である。
【0041】
本発明は、貯蔵される流体とそのコンテナとの間の質量比における高い貯蔵効率と、貯蔵設備内又は船などの輸送手段内において利用可能な貯蔵空間の高い利用とをもたらす。本発明は同様に、費用を削減し、収容システムに一般に残存する残留ガスを抑制するように充填及び排出作業を改善する。
【0042】
本発明によって導入されるコンテナ装置の好適な実施形態は、特徴的な円弧状の角と中央ボディ(mid-body)にわたる可撓性の側部とを備える多面コンテナである。コンテナは、操作の間(例えば、輸送手段に設置するための操作の間)に安定化する内圧を与えることなく元の形状を維持するのに十分な構造上の剛性を備えることが出来る。しかしながら、外部構造又は圧力によって制約されない場合、角の間のコンテナの側部は、内圧が目標とする作動貯蔵圧の10%を上回るときにコンテナのボディの形成に用いられている材料の弾性限界を超えないように、少なくとも一つの壁厚に相当する中央スパンの外向きの最大限の撓みを許容するある程度の可撓性を有する。高圧において弾性変形をすることなく大きな中央スパンの撓みが実現される。しかしながら、外部支持がコンテナの側部に与えられない場合に、目的とする作動貯蔵圧に達する内圧が加えられると、コンテナはコードの許容値を超える圧力に直面するであろう。
【0043】
別の実施形態において、外部から支持する拘束が本発明のコンテナの剛性外殻部として設けられ、外殻部が外殻部内の密閉隔壁層を完全に覆っている場合、当該層の側部が目的とする作動圧の10%以下の圧力で多くの厚みに等しい外向きの撓みを示すことができるように、密閉隔壁層は高い可撓性を有することができる。実際、密閉隔壁層はコンテナの剛性外殻部によって完全に支持されるまで延びるべきであることが意図されている。
【0044】
多くの場合、貨物コンテナから漏れる恐れがある貨物流体を捕捉して安全に管理するために補助的な密封外皮を提供する補助収容構造によって貨物コンテナは覆われるであろう。実際、好適な実施形態において、補助収容構造は貨物コンテナに対して構造的な支持及び/又は拘束を実際にもたらす。例えば、本発明の貨物コンテナを取り囲む船の船体構造は、貨物コンテナ及び貨物流体の重みを支え、海の変動する環境において加わる力に耐えるように非常に頑丈な構造に設計されなければならない。そのような頑丈な船体の固有強度は、船体の費用を実質的に増加することなく、コンテナが貨物流体の充填によって加圧される場合に、本明細書において開示される貨物コンテナの非剛性の側部を支持するために効果的に利用可能である。いずれかの従来技術におけるCNG又はPLNGの設計は、本質的に船体構造の一部である貨物室の壁が船の貨物室内に配置される貨物コンテナの側部に対する支持材として設計されるべきであることを考慮しているとは考えられない。貨物コンテナの壁を支持するか否かに関わらず高い強度を有するそのように必要な構造及び構造上の性質の全ての利点を利用することは、本発明の費用を削減する優れた特徴である。
【0045】
同様に、場合によって「ISOボックス」とも呼ばれる国際標準化機構又はISOによって規定される標準的な輸送コンテナの側部及びフレームの構造上の性質は、従来のISOボックスの基本費用に対してほとんど費用の増加をせずに、本発明の非剛性の貨物タンクの側部に所望の断熱と支持とをもたらすように改良することができる。その結果、特徴を反映し、本発明の冷却CNG貨物タンクを支持するように改良されたISOボックスは、従来のCNG鉄道及びトラック構想と比較して非常に優れた天然ガスの輸送手段になる。
【0046】
貯蔵される流体が天然ガスのように可燃性である場合、主要コンテナと補助収容システムとの間の空間は冷えた不活性ガスで満たされるであろう。貯蔵される流体が非常に低温で保持されることを意図しており、主要コンテナへ外部環境から伝わる熱量を抑制することが望まれるため、通常は補助収容システムの表面は十分に断熱されているであろう。個々のタンクが非常に大きく、外皮が断熱構造を損傷するように実質的に屈曲することができない場合においてのみ、主要コンテナの外皮は直接適用された断熱層を有する。
【0047】
加圧された貨物が充填されたときに変形して拡張可能なコンテナを製造及び設置することによって、従来のシステムと比較して貯蔵設備内又は選択された輸送手段において利用可能な体積のより高い割合が、貯蔵及び/又は輸送されることを目的とする流体によって実際に占められることが想定される。
【0048】
一実施形態において、コンテナのボディの外殻又は外皮は、ほぼ0℃以下、好ましくは約−40℃から約−130℃の間の貯蔵温度での耐久性を備えるよう製造された超高強度の膜材料シートから構成され、圧力抑制が主に膜の作用によってもたらされる、すなわち、外皮は非常に強いがそれらの広がる次元において比較的わずかな曲げ剛性しか有さないように可撓性を備えて設計されるべきことを本発明は提唱する。そのような材料は689.5メガパスカル(689.5MPa又は100,000psi)を超える降伏強度を有する近代ミル手法によって形成された薄い超高強度の合金鋼シートであってもよい。しかしながら、ほぼ全ての場合において、最小の効果的な材料の降伏強度は、約50,000psiを超えなければならず、好ましくは約70,000psi、すなわち約483MPaを超えなければならない。
【0049】
あるいは、同程度の強度の天然及び/又は合成の膜材料が、マサチューセッツ工科大学(MIT)のアンジェラ・ベルチャー(Angela Belcher)教授などの研究者によってナノ材料と呼ばれる炭素分子ナノ構造(ナノチューブ又は膜)を構成するそれらの能力の遺伝子設計及び操作を介してウイルス又はファージによって産生することもできる。また、ダイ(Dai)他によって出願されてカンブリオス テクノロジーズ コーポレーション(Cambrios Technologies Corp.)に譲渡され、参照によって援用されている米国特許出願公報第20060254503号を参照。
【0050】
これらのコンテナの外皮を形成するシート材は、溶接又は接着などの当業者に周知の任意の結合技術によって、縁と縁又は縁を重ねた継ぎ目で連結されることによってコンテナの層を形成することができる。さらに、近代解析法によって識別可能な目的の業務のための層と層との相互作用の必要性に基づいて、当業者に周知である任意の結合法によって層は相互に結合可能である。例えば、爆着は非類似の金属のシートを一緒に結合するために使用可能である。爆着(EXW)は、爆発物の制御されたエネルギーを二つ以上の類似又は非類似の物質の間に金属結合を形成するために利用する結合方法である。例えばろう付け化合物又ははんだ合金などの中間金属フィラーは結合を促進するために必要とされず、外部からの熱も適用する必要がない。また爆発溶着は、それらの事前に結合された性質を失うことなく金属を連結可能な冷間圧接処理であると考えられる。異材継手(transition joint)は高い機械強度を有し、非常に高い真空気密性を有し、激しい熱サイクルに耐えることができる。爆着されたシート及び形状は、ワシントン州スクイム(Sequim,Washington)のハイ エナジー メタルズ インコーポレーテッド(High Energy Metals,Inc.)などの販売元から購入可能である。
【0051】
ここで図面を参照すると、図1a及び1bに関して、本発明は一実施形態において比較的薄く可撓性の壁区画12a、12b、12c及び12dを有するタンク10を提供しており、当該壁区画は壁区画12と通常は呼ばれる。丸い又は弧状の角14aは壁区画12aを壁区画12bに連結している。同様に、丸い又は円弧状の角14bは壁区画12b及び12cを連結しており、角14cは壁区画12c及び12dを連結しており、角14dは壁区画12dを壁区画12aに連結している。丸い又は円弧状の角14a、14b、14c及び14dは角14と通常は呼ばれる。図1及び2に図示されていない対向している比較的厚く剛性のエンドキャップ16a及び16bは、タンク10内に収容空間を形成するために壁区画12及び角14に連結される。以下で説明される図5aは、エンドキャップ16a及び16bに似たエンドキャップを備える典型的なタンクの側面図を示す。図面は原寸に比例していない。図面は特定の寸法でなく、本発明の原理を説明することを意図しているのみである。
【0052】
図1aにおいて、タンク10が類似のタンクによって囲まれている。タンク10aはタンク10の側壁12aに隣接する側壁を有する。タンク10bは側壁12bに隣接する側壁を有する。タンク10cは側壁12cに隣接する側壁を有する。タンク10dはタンク10の側壁12dに隣接する側壁を有する。タンク10abはタンク10a及び10bに隣接している。タンク10bcはタンク10b及び10cに隣接している。タンク10cdはタンク10c及び10dに隣接している。タンク10daはタンク10d及びタンク10aに隣接している。タンク10a、10b、10c、10d、10ab、10bc、10cd、及び10daは部分的な断面のみが示されている。
【0053】
タンク10の壁区画12は、シコード及びビショップによって記載された条件範囲において天然ガスを輸送又は貯蔵するための従来技術において提案された厚壁で剛性のタンクと比較して、薄くて可撓性に富む。圧力下においてガスを貯蔵するための従来のコンテナは、円形断面を有する円筒形状又は球形状を一般に有していた。本発明のタンク10はその代わりにほぼ正方形の断面を有する。本発明のCNGタンクのこの基本的な特徴は図1aに図示されており、非剛性の側壁区画12を備えるタンク10は丸い角を有するほぼ正方形の断面形状に拘束された平断面図で示されている。壁区画12a、12b、12c及び12dは従来の高圧ガスコンテナと比べていくらか柔軟である。結果的に、作動圧Pがかかると、側壁区画12a、12b、12c及び12dは外向きに広がろうとする。タンク10は剛性の断面を有していないため、独立した外部の側部拘束が存在しない場合、貨物に作動圧Pに達するまで十分に圧力が加わると、タンク10は円形になろうとし、どうにかして(規則の許容値を超える)応力レベルを受けようとする。しかしながら、タンク10ab、10bc、10cd、及び10daと同様に隣接タンク10a、10b、10c及び10dも作動圧力P下にある。タンク10の側壁区画12a、12b、12c及び12dを外向きに押す圧力は、隣接タンク10a、10b、10c及び10dの側壁区画を外向きに押す圧力によって生じる反力によって相殺される。等しい圧力Pで作動する実質的に同一の隣接タンクの対向する側部はそれらに作用するほぼ等しく且つ対向する力を有するため、力が相互に相殺して中和する。隣接タンクの外皮及び/又は周辺構造に作用する圧力がタンク10の断面形状を決定する。タンク10a、10b、10c及び10dはタンク10の側壁12a、12b、12c及び12dに対して外部支持を提供し、それによってその壁区画12a、12b、12c及び12d内の応力を低減して抑制する。隣接タンク10a、10b、10c及び10dによってもたらされるタンク10の側壁12に対する外部支持は、圧力Pで作動する円形断面の従来の剛性シリンダと比較して、壁区画12a、12b、12c及び12dの強度及び/又は厚みの減少を可能にする。従来の剛性シリンダは、作動圧Pによってかかる力を相殺するためにその壁区画の強度のみに依存している。従来の高圧ガスコンテナは、外部支持の補助無しで圧力Pにおいてガスを保持するために十分に厚い側壁を有する。本発明のタンク10はその壁区画12における強度に加えて外部支持を利用することで、圧力Pの下で流体を保持することができ、図1aにおいて外部支持は隣接タンク10a、10b、10c及び10dによってもたらされており、それらは順にタンク10ab、10bc、10cd及び10daによって外部から支持されている。
【0054】
タンク10を取り囲むタンクは、同一の加圧コンテナの別の環状構造によって、又は貨物室空間を形成する剛性の壁によって支持可能である。したがって、貨物船内の貨物室を形成する構造材も、タンク10及び/又はタンク10を取り囲むタンクに外部支持を提供するよう機能することができる。タンク10及び周囲のタンクは、通常は断熱されている冷凍貨物室に通常は配置される。タンク10及び周囲のタンクは断熱構造を圧接し、それはタンクの壁区画と貨物室の境界を規定する構造材との間で圧迫されるであろう。結果的に、貨物室の内周上の断熱材は、断熱材に接触するよう意図されているコンテナの外皮によって与えられる圧縮加重に耐えるように設計されなければならない。
【0055】
図1bは、図1aのタンク10の幾何学的特徴を説明するために付与された一般的な寸法標識を示している。以下において更に詳細に説明されるように、Lsはタンク10の各辺に沿った内側の長さである。Rcはタンク10の各々の角14における内側の角度であり、tは各々の壁区画12a、12b、12c及び12並びに各角14の壁厚である。
【0056】
コンテナは、コンテナの長さとして規定される対称軸に沿った主要寸法を有する。コンテナは、長さ寸法の主要軸が鉛直に(その場合、長さは高さとも考えられる)、水平に、又は低端及び高端がそれぞれ明確に角の底端と頂端として形成されるように水平方向に対してある程度傾いた方向を向くように、支持及び/又は拘束される。コンテナが水平向きに輸送手段上に配置される場合、輸送手段自体が傾くことによって、機内に搭載されたコンテナに下端及び上端を形成しても良い。
【0057】
図2に関して、コンテナが鉛直に配置されていない場合、コンテナをわずかに傾ける支持材を提供する必要がある。図2はコンテナ20の側断面図を示している。コンテナ20は上点22及び下点24を有し、それらはコンテナ20がどのように支持されるかによってもたらされ、そのことは示されていない。導入チューブ26は上点22においてコンテナ20に流体貨物が導入されることを可能にする。浸漬管(dip tube)28は下点24において流体貨物がコンテナ20から排出されるのを可能にする。図2に示されるように、優先的な流体の導入及び排出を可能にする流路は導入管26と浸漬管28とによってもたらされる。軽質ガスは上点22における導入管26を介して入ることによって、液体などの密度の高い流体を下点24における浸漬管28を介して押し出すことができる。高い側の導入管26を介して入る軽質ガスと低い側の浸漬管28から出るように力を受ける液体との間の境界面Iは、図示されており、コンテナ20の傾いた向きを表す。
【0058】
示されているように、各々のコンテナは、長さに沿った主要な対称軸に関して垂直又は水平に通常は向けられている規定可能な長さ寸法を有することが期待される。あるいは以下において説明されるように、非常に長いコンテナは、コンパクトならせん配置内に収容容積を集中させるためにコイル状にされてもよい。本発明におけるコイル状のコンテナは、コイルへの及びコイルからの頂部及び底部の両方の流路接続を有することが想定される。
【0059】
加圧貨物が充填されている場合のコンテナの形状は、隣接コンテナ又は周囲の構造によって与えられる外部拘束によるのと同様に、コンテナのボディ又はエンドキャップに組み込まれている材料、補強材、及び内部又は外部フレームによって与えられる拘束の元来事前に決められた形態によって規定されるであろう。例えば、貨物コンテナは分離して存在する場合には通常は円筒形状を有するが、同時に加圧される同一の基本形状のコンテナによって近くに取り囲まれる場合(一つの貨物空間内の全てのコンテナがマニホールドによって一緒に連結されている場合に起こる)、結果的な形状は周囲のコンテナの配置に依存してむしろ正方形状(又は別の多角形状)である。
【0060】
図3a及び3bに図示されるように、本発明のコンテナのボディは、加圧貨物で満たされる場合にはある程度安全に変形可能であるように設計された外皮を有する。図3aは、側壁32a、32b、32c及び32dを有するコンテナ30の平面図である。丸い角34aは側壁32aを側壁32bに連結する。丸い角34bは側壁32bを側壁32cに連結する。丸い又は弧状の角34cは側壁32cを側壁32dに連結する。丸い角34dは側壁32dを側壁32aに連結する。コンテナ30は図3aにおいて加圧されていない。コンテナ30は、加圧貨物が充填されたときに、多角形の角を形成する選択された数の場所における比較的高度な剛性によって、破線36で描かれている正方形のように十分に丸い角34を備えた複数の辺を有する断面を形成する傾向にある。一実施形態において、この局所的な剛性はコンテナの外皮の一部に設定されている。その場合、角の部材は角の間の側部パネルを形成する部材よりも実質的に厚い。別の実施形態において、角はコンテナの外皮を取り囲む事前形成(例えば、回転)又は内部若しくは外部支持フレーム若しくは構造によって形成されている。
【0061】
さらに、充填された場合のコンテナ30の形状は上述した拘束する特徴の組み合わせによって決定される。図3bは、コンテナ30が天然ガスなどの加圧貨物で充填された後の図3aのコンテナ30を示している。外部拘束がない場合、コンテナ30は加圧されると図3bに示されるように膨張しようとするであろう。コンテナ30が流体貨物で充填され、圧力をかけられた後に、圧力によって生じる力は側壁32a、32b、32c及び32dを外向きに広げ、それは図3aのコンテナ30と比較するように図3bに示されている。上述したように、外部支持を利用するよう設計されたタンクは、外部支持が無い状態で目的とする作動貯蔵圧に達する圧力まで充填された場合、規則の許容値に対して過剰な圧力を加えられる。しかしながら、これらのタンクは安定形状を維持することができ、外部支持に依存しないため、設置されない又は目的とする使用圧力を供給されない場合に取り扱うために安定に存在することができる。図3bにおいてコンテナ30に対する外部支持が示されていないが、ある種の外部支持が通常は設けられるであろう。
【0062】
コンテナの内圧が大気圧近く又は大気圧以下に低下すると、コンテナの側壁は内側にへこみ、コンテナの内部容積を減少させ、隣接するコンテナ及び周囲の構造の間に検査するための空間を作り出すようにコンテナの側部は設計及び製造可能である。そのような検査は、頻繁ではなく、通常は海運の慣行として1年に一度程度であり、また、検査のための安全な接近を可能にするために全ての危険な貨物流体を容器から取り除き、不活性ガス又は空気で置換する必要がある。そのようなまれな事態において、内圧は大気圧(1bara)未満に低減されるか、コンテナの周囲の圧力が大気圧をわずかに上回るまで上昇されることによって、コンテナの膨張していない(格納された)分葉した形状(例えば図3aのコンテナ30の形状)へのコンテナの復元を補助する力の不均衡を生じることができる。
【0063】
本発明は検査のための内部の接近が実際に行われるそのような大きな断面のコンテナを設計及び建設可能にすることを目的とするため、周囲の隔壁から離れて収縮するこれらのコンテナの機能は必要でない。しかしながら、それは剛性のコンテナに対する利点をもたらす一つの特徴である。
【0064】
図3cは、外部支持及び補助収容容器を備える一実施形態におけるコンテナCの平断面図である。コンテナCは、地面E内に長距離にわたって深く延びる採掘若しくは掘削した立坑、チャンバ又は穴Hに配置されている。コンテナCは鉄筋コンクリートの壁Gによって囲まれた地面E内に密閉されている。コンクリート壁Gは、必要に応じて地面E内の周囲の地層の構造上の性質を補完するために、鋼鉄製の鉄筋又は高強度の繊維材料で補強することができる。事前圧力の従来の方法が実施されることで、コンテナCに作動圧がかかっているときにコンテナCの膨張によって外向きにかかる圧力荷重にもかかわらず鉄筋コンクリートのエンクロージャGが構造の完全性を維持することを保証することができる。立坑Gのコンクリートの周辺部は、それが適切な骨材で構成されている及び/又はそれが空洞を有している場合、断熱材として機能する。そうでない場合には、実用レベルまでコンテナCの熱利得を低減するために必要な断熱を提供するように、コンテナCは設計されるか又は断熱材を追加することができる。
【0065】
以下において、図3cに示されるような断熱コンクリートの立坑内に地表から下向きに延びる単一の貯蔵タンクを備える常設の貯蔵施設においてシコードによって解析された(−57℃の臨界温度を有する88.8%のメタンである)一般的なサハラガス(Sahara gas)に似た気体又は流体を貯蔵するために、図3a及び3bのコンテナ30又は図3cのコンテナCのようなタンクの断面が設計及び製造される方法が説明されている。
【0066】
貯蔵タンクは半径1メートル(1m)の角を備える正方形断面の単一のコンテナである。コンテナは、約10m×約10mの正方形(及び少なくとも約30mの長さ)である内部チャンバを提供する鉄筋コンクリートの立坑に垂直に建設又は設置できる。コンクリートの立坑はほぼ剛性であり断熱されていると仮定されている。より剛性でない補助容器に対して、環状の応力は支持されていない角ではなく、区画のパネル部において大きくなるため、主要コンテナの外皮が有する効果的な応力レベルを決定するために有限要素解析が使用されなければならない。
【0067】
端部閉塞部材の細部は、個々の設置に対して特異的な拘束及び支持の工学的評価に基づいて設計されるが、そのような細部は本発明の焦点ではない。端部閉塞材及びノズル並びにそれらをコンテナのボディに固定するための手段は、適切な圧力容器の規格を満たすように設計されなければならない。当業者は有限要素解析法の使用法を理解することによって、(ノズルを含む)端部閉塞材と、それらの端部閉塞材及びコンテナのボディの間の複雑な移行機構との全体に及ぶ応力が規格を満たすことを保証することができる。
【0068】
コンテナのボディは、以下のモデルケースにおいて選択される温度で安全に作動するのに適した靱性を有する高強度(例えば約689MPaの降伏強度)の金属合金のプレートから製造される。プレートは、縁が重なる場所において爆着するか、それらが隣接する部位において溶接することができる。圧力容器の実施基準に従う必要があれば、溶接部は(例えば、平坦にならす又は応力を軽減するなどの)処理をされなければならない。約−40℃から約−120℃の範囲の温度において、現在のミル工程は、約3%未満のニッケル含有量である好適な合金鋼からこの用途のために必要な強度及び厚みのプレートを製造することができる。したがって、超高強度のシートの複層構造はこの実施例には必要ないが、重量の軽減が完成したタンクの設置を容易にするための設計課題である場合には、実施することもできる。
【0069】
この実施例において、コンテナのボディは角で厚くなることなく全体にわたって一定の壁厚を備えて形成されている。しかしながら、コンテナの輸送及び/又は設置の間の操作を容易にするために、角により厚いプレートを使用することによっていくらかの弾性及び剛性をコンテナに与えることが望ましい。
【0070】
角を形成するための材料は、1.0mをわずかに下回る曲率半径を有する約4分の1の円弧を形成するために丸められる。側部パネルは、一つの側部パネルが対向する側部パネルに平行であり、一つの角のパネルから別の角のパネルに延びるほぼ平らな面として最初は形成されることで、基本となる直線構造を構成する。
【0071】
設置の前に、図3aのコンテナ30のようなタンクは、図3bにおいて図示されるコンテナ30のように内部で過剰に加圧され、限定的な降伏が生じ且つ角の弧が最大1mの半径まで広がる場所まで元の正方形の形状を超えて外側に広がることができる。タンクの側部が拘束されていない状態で内部の過剰加圧が行われると、変形を引き起こすために加えられる圧力は、タンクが貯蔵立坑内に設置される際に加えられる貯蔵圧の一部(この場合は約4分の1に等しい)にすぎない。内部過剰加圧の後、(内部に加えられる圧力より実質的に小さい)外部過剰加圧は、側部パネルが内側に変形することで設置に備えてタンクに準備を施すように、側部パネルを図3aに示されるような分葉型へと内側に移動させる。
【0072】
あるいは、塑性的に変形する過剰加圧はタンクが補助容器内に配置された後に実施することもできる。必要な内部の過剰圧力の量はタンクと補助コンテナ(例えば本実施例の立坑)の内面との間の隙間に依存する。比較的狭い隙間の場合、所望の変形を起こすための内圧は実際に貯蔵圧を超えても良い。しかしながら、隙間が狭い場合、内部の過剰加圧は必要とされないであろう。そのような場合、充填操作の加圧中の自然な弾性変形が貯蔵コンテナを補助支持容器の壁(又は断熱構造)に接触させるであろう。貯蔵コンテナが立坑内へ下ろされる際に、タンクのパネルがコンクリートで覆われた立坑の側部から離間し、側部に結合しないことを保証するために、わずかな内部の真空が設置の間に必要とされてもよい。
【0073】
本発明の実施に基づき内圧に起因する圧縮応力が非常に小さいことが予測されたとしても、タンクの側壁が隣接する支持タンク又は構造材に接触する内圧に対する反応によって生じる圧縮応力と同様に、横方向及び縦方向の応力に耐えられるように貯蔵容器の外皮の厚さは設計されなければならない。
【0074】
補強された立坑の壁は、弧状の角を除いて半径方向の変形に対して外皮面を拘束するため、タンクが作動圧である場合、側部のパネル部に沿って作用する内圧力は立坑の壁に対して側部のパネル部を平らにするであろう。貯蔵タンク内の内部作動圧によって生じる外向きの力は外向きに側部のパネル部を押すであろう。しかし、等しい大きさの対向する反力が貯蔵タンクを取り囲むコンクリート及び地面によってもたらされ、それによって貯蔵タンクの側壁パネルの外向きの移動量は抑制されるであろう。したがって、図3cに関して、コンテナC内の貯蔵天然ガス又は他の流体の圧力によって生じる外向きの力は穴Hを形成する硬い壁の反応によって正確に相殺され、反力はコンクリート壁Gと地面Eとの強度によってもたらされる。コンテナCの角における支持されていない四分円に対して作用する圧力のみが外皮において有効な「環状圧力」の構築に寄与し、当該外皮は図3a及び3bにおいて側壁32a、32b、32c及び32dである。角の半径が小さいほど、コンテナの壁は薄い必要がある。したがって、人為的に規定され/拘束される有効な半径を備えることを除いて、貯蔵圧及びプレートの厚みはビショップの方法に基づいて規定できる。
【0075】
主要容器と補助容器との間の空間がある程度加圧される計画が想定できる一方で、本実施例においては、当該空間はほぼ大気圧の冷却された不活性ガスで充填されることが想定されている。
【0076】
有効な「環方向応力」を提供するために必要な膜の厚みは、内径D1(=2×Rc、Rcは図3cに示されるように立坑の側部とのタンクの接触によって形成される(変形及び作動圧まで充填した後の)有効な角の半径である)の円形パイプに相当するものとして算出可能である。
(ビショップの米国特許第6,584,781号におけるEqn.4から)
t=(D0−D1)/2=(P×Rc)/(S×F) Eqn.1
tは角(及びこの設計の場合はパネル部)全体にわたる膜コンテナの壁厚であり、D0は角における外径であり、Pは外側から作用する圧力を超える内圧であり、この設計例の目的においては貯蔵圧に等しいと考えられており、Sは(この場合には約689MPa又は平方インチ当たり100,000ポンドである)材料の降伏強度であり、FはASME圧力容器コードのような規約によって許容されるSの利用される部分となる安全係数である。
【0077】
貯蔵圧Pは、(ビショップの米国特許第6,725,671号による)濃密相貯蔵が行われている場合、ビショップに基づいて(コンテナの質量に対するガスの質量の比率を最適化するために)選択可能である。一方、シコードの米国特許第3,298,805号に基づいて約1MPaから約4MPaの非常に低い貯蔵圧で約−129℃から−90℃の間の貯蔵温度において混合層貯蔵が行われる場合、(設計目的のための)Pは貯蔵圧に等しくないが、貯蔵される天然ガスが排出されるときに、受容設備よって加わる背圧に対して貯蔵庫から貨物を移動させるのに必要な圧力と等しいであろう。
【0078】
圧縮係数(Z)の最小値におけるシコードのサハラガスに対するビショップの濃密相貯蔵手法によると、Fが(ASME圧力容器コードの現在の版において圧力容器の設計に関して妥当な値である)0.7に等しく且つ腐食代が含まれていない場合、P(貯蔵圧)は−40℃における9.6MPa(−40°Fにおける1392psig)として選択され、壁厚tはこのケーススタディにおけるタンクにおいて約19.9ミリメートル(19.9mm)である。
【0079】
ガスの濃密相貯蔵が、このガスに対する臨界温度以上、例えば−56.7℃(−70°F)で行われる場合、ガスは6.9MPa(1000psig)で貯蔵され、tはタンクに対して約14.3mmであろう。
【0080】
サハラガスがシコードによって提案された最低温度で混合相に貯蔵される場合、貯蔵圧(−112.2℃で1.54MPa;−170°Fで224psia)は、多くの場合において低すぎて基礎構造からの背圧に対して排出(blow-down)を許容しない。そのため、掃気圧縮が貯蔵流体を排出する工程全体において使用され、貨物コンテナにいつもかかる最高の内圧が軽減システムの設定値(一般に正常作動圧の約5%内又は約1.62MPa内)によって決められる。Pが1.62MPaに等しいと仮定すると、この場合の最小の壁厚はEqn1に基づき4mm未満であろう。
【0081】
あるいは、貨物移動作業が行われる場合、一般的なパイプライン基礎構造は少なくとも4MPa、しかし通常はより高い設計目的のための背圧を与えることが想定されることが認識されなければならない。したがって、このケーススタディは5MPaの移動流体圧力が効率的な排出を保証するために必要であることを想定している。そのような条件において、サハラガスに対してシコードによって指摘された最高の温度−圧力の組み合わせ、すなわち−90℃(−130°F)及び4MPaを使用することは合理的であろう。コンテナの壁厚は、貨物移動作業の間に5MPaの圧力を有するために約10.4mmである必要があるのみであろう。
【0082】
これらの値が設計のための実用的な壁厚として認められる前に、端部閉塞材に作用する内圧及び平らな壁部に沿って作用する圧縮応力由来の縦方向の応力の効果が評価されるべきである。端部閉塞材及び外部の拘束材の重量が無視できる場合、タンクの壁は内圧によって生じる垂直方向の引張荷重に耐えられるように設計されなければならず、必要な壁厚の最小値は以下の方程式によって算出できる。
t=(P×A)/(Lw×S×F) Eqn.2
P、S及びFは以前に規定されている。
正方形のタンクの内部断面積、A=Ls2−(2×Rc)2×(1−π/4) Eqn.3
Lw=タンクの断面の周縁周りに測定される壁の長さ(タンクの壁は比較的薄いため、4×(Ls−D1)+π×D1である断面周囲の中間壁の長さの概算値を用いるのが妥当である)。
【0083】
上記方程式に基づき、縦方向の応力が降伏強度の70%未満であることを保証するために、許容される壁厚は上記場合の温度−圧力の各々の組み合わせにおいてそれぞれ約51.5、37、8.7及び26.88mmでなければならない。上述の場合に算出された環方向応力の限定に基づく必要な壁厚は、19.9、14.3、4及び10.4mmであった。したがって、縦方向の応力は実施例の場合において壁厚の決定を実質的に調節することが明らかである。結果的に、縦方向の応力が降伏強度の70%未満であることを保証するために必要な厚い壁は、貯蔵タンクの縦方向の部分の必要な厚みを決定する。
【0084】
しかしながら、本発明に基づいて実施される貯蔵圧が膜タンクの外皮材の有効降伏強度と比較して一般に非常に小さいにもかかわらず、壁に作用する圧縮応力(P)も考慮されなければならない。簡便でわずかに慎重な手法として、ASME圧力容器コード(セクションVIII、区分2)は、せん断応力のチェックが最大の主要応力に基づく必要な壁厚を算出するための代替手段として用いられることを推奨している。これに基づいて、必要な壁厚は、それぞれ
tL=(P×A)/((Lw×S×F)−P) Eqn.4又は
tH=(P×Rc)/(S×F−P) Eqn.5
による壁に対する圧縮応力と組み合わされる縦方向の応力又は環方向応力によって伝達されるいずれかの値の最大値として決定可能であり、変数は以前に規定された通りである。壁厚の要件は、側部の長さが角の半径よりも大きい場合はEqn.4によって、角の半径がLsの約38%より大きい場合はEqn.5によって調節される。tMAXはEqn.4及び5か算出される壁厚に対する二つのせん断応力のチェック値の内の大きい方として規定可能である。
【0085】
あるいは、コンテナは事前に力が加えられることによって、縦方向の圧縮を生じることで、縦方向の応力が壁厚の算出に影響を与えないことを保証することができる。縦方向の圧縮予備応力を生じる一つの単純な方法は、内圧が周囲の値である場合にタンクの壁が負担重量を支持するように、重い上端の閉塞材を用いること、又は鉛直向きのタンクの上部に単純に重りを配置することである。別の方法は、外部構造材(例えば、コンクリートの予備応力付与に用いられるタイロッド(tie-rod))を引っ張ることによって事前に応力を加えることである。そのような予備応力付与の手法が用いられる場合、角の小さな半径の仕様が典型的な柱の座屈崩壊などの不安定性が生じる薄い壁へと設計を至らしめないことを設計者は保証しなければならない。コンテナの側壁に予備応力を付与するために、頂部のキャップは外部又は内部のタイロッドを用いて底部のキャップに固定可能であり、それぞれのタイロッドは所定長さのパイプの穴に配置されることによって、側壁の柱の座屈崩壊を防止することができる。さらに、複数の同心パイプは、隣接するパイプよりもわずかに短いそれぞれの同心パイプを備えるそれぞれのロッドを取り囲むことによって、同心パイプが圧縮されるときに様々な抵抗を付与することができる。また、タイロッド上に油圧ジャッキを使用することによって、タンクが崩壊しないことを保証するための適切な内圧がある場合に、制御された事前荷重のみが加えられることを保証することができる。いくつかの変形形態における拡張可能なタンクなどの制御された崩壊の形態が希望される場合、そのようなタンクは崩壊の許容可能な形態をとることができる。高い事前荷重(又は調節可能なジャッキ)に対する受動的な代替手段は、タンクの壁よりも軸方向においてより硬いロッドを備えることであるため、ロッドによって加えられる荷重はタンクが縦方向に大きくなろうとすると直ぐに増加する。張力をかけたバンド又はワイヤも同様に使用可能である。例えば、炭素繊維のバンド又はロッドは鉄鋼の円筒状の壁と比べて非常に硬いであろう。
【0086】
所定の幅寸法の正方形の立坑内において特定の設定圧で流体を収容することを目的としている所定の材料強度のタンクにとって、この発明は、貯蔵圧が材料の降伏強度と比べて非常に低い(例えば、<S/100である)場合、正方形の立坑の角の半径又は各側部に沿った長さは、Eqn.1及び2によって求められるtの値がほぼ等しくなるまで調節可能であることを教唆する。Eqn.1をEqn.2と一致させることによって、正方形の立坑の各側部の長さは貯蔵コンテナの角の半径の値の約3.77(3.7から3.8)倍であるべきであることが単純な計算によって理解される。外部拘束又は(検査のためのアクセスの必要性のような)慣行は設計者が完全な適合を採用することを阻害するであろう。しかしながら、事前荷重による圧縮応力が端部閉塞材に作用する圧力による縦方向の引張応力を相殺するようにタンクの端部に事前に荷重が課せられる場合、側部の長さと半径の比率(Ls/Rc)は3.77を実質的に超えることができる。例えば、コンテナが目的の作動貯蔵圧にほぼ等しい値まで縦方向に事前に応力を加えられる場合、側部の長さ/半径の比率が約7.54になり必要な壁厚がほぼ半分に削減されるまでRcは減少可能である。しかしながら、設計者は座屈崩壊が制御されることを保証しなければならない。通常、側部の長さと半径の比率(Ls/Rc)は一般に約1.5’から約12、好ましくは約2から約8、更に好ましくは約3から約5、最も好ましくは約3から約4の範囲であり、約3.77の値が通常はより好ましい。開始点として半径に対する側部の比率に3.77の値を有し、端部閉塞材に作用する内圧によって生じる力を減らすために適用される縦方向の事前荷重力の量に対するより高い比率にすることができ、それはEqn.2における圧力かける面積、P×Aの積である。
【0087】
現在検討されているケースにおいて、角の半径が増加するかタンクの側部の幅が減少すると、壁厚に対する拘束がより良く適合する。例えば、各々の側部におけるタンクの幅が約3.8mまで減少した場合、縦方向の応力拘束によって制限される壁厚は角における1.0mの半径によって許容される厚みと一致するであろう。あるいは、タンクの側部の幅が10mに維持される場合、角の半径は約2.65mまで増加することによって、予測された壁厚要件を相互に一致させることができる。
【0088】
三つの応力調査に基づき算出された壁厚の値の関係が、表1に反映されているように、より詳細にこの特別な断面のサイズ調整を考慮することによって現在の四つの検討事例について説明される。
表1
【0089】
周囲の構造がコンテナの形状を直線的な又は正方形以外の多角形(例えば、六角形)に拘束する場合、上述の方程式及び演算に基づいて設計壁厚を確立する方法が機能する。また、非常に低い貯蔵圧力においては、壁に係る圧縮応力は無視できるため、Eqn.2と併せてEqn.1のみを使用してコンテナの外皮の最小の壁厚を算出することは妥当であることに注目すべきである。
【0090】
濃密相貯蔵用の二つの場合において示される値によって、コンテナの質量に対するガスの部分質量(sectional mass)の比率は−40℃及び−56.7℃においてそれぞれ約1.3及び1.9であることが理解される。−90℃における暖かい混合相貯蔵の場合は4を超える質量比を示す。ビショップは彼が規定する質量比貯蔵効率係数である0.15から0.5の範囲において円形の貯蔵シリンダを最適化しようとし、そのため本発明はビショップが考案したのと同一の降伏強度の材料で作られたコンテナによる天然ガスの貯蔵及び輸送においてほぼ10倍の改善をもたらすことが明らかである。
【0091】
10m×10mの補助容器内の2.65mの半径の角を備え、上で評価した場合について記載された貯蔵条件で作動する貯蔵タンクはかなりの用量を有するであろう。採掘された立坑が100mの長さのタンクボディを許容する場合、タンクは最も暖かいケーススタディにおいて約2.5×106標準立方メートル(2.5×106scm)を保持するであろう。モデル化された最も冷たい貯蔵オプションにおける流体の密度は、この最も暖かい貯蔵の場合に得られる密度のほぼ2倍であろう(すなわち、シコードは、サハラガスのビショップの貯蔵は密な状態で約274倍であるのに対し、−112.2℃及び1.54MPaの貯蔵条件における彼のサハラガスは周囲条件より約485倍大きな質量密度を有することに言及している)。したがって、同一サイズのタンクは4×106scm以上(≒150×106の標準立方フィート又はscf(4.25×106立方メートル))を収容することができる。
【0092】
非常に背の高いタンクが設計される場合、高密度で貯蔵された流体に起因する水圧ヘッドは壁厚の算出において考慮されなければならない。このことは、有効な環方向応力が縦方向の応力と少なくとも同程度に重要である場合、すなわち角の半径がLsの27%を超える場合においてのみ重要である。そのような場合、貯蔵容器を高さが25mの4つのタンクに分割することによって、100mの高さのタンク底部における壁厚の必要値が実質的に上昇することを回避することがより経済的である。角の半径が対象の27%を下回る場合、環方向応力は壁厚に影響を与えないであろう。したがって、軸方向の応力成分が底部で支持されるタンクに関するタンクの高さの変化に伴って変化しないため、水圧効果は設計ドライバ(design driver)ではないであろう。
【0093】
タンクがその上端から吊るされている場合、必要な壁厚を決定するために用いられる軸方向の荷重は内圧荷重に加えて冷たく密度の高い貯蔵流体と同様にタンク(側部及び底部の閉塞材)の重量を含まなければならない。
【0094】
100mの長さのタンクボディは、例えば25mの部分を下降させて一緒に固定することによって、掘られた立坑内へとその場で構築することができる。立坑は最初にコンクリートで覆われ、その後にタンクは被覆された立坑内へと下降される。又はタンクは被覆されていない立坑内へと下降され、グラウトがタンクの外側と穴の内側との間の環状空間へとポンプで押し出されても良い。あるいは、長いタンクボディは水平に埋設することもできる。いずれの場合においても、コンクリート及び地面はタンクの壁に対する支持をもたらし、前記壁はコンクリート及び地面によって支持されるまでは外向きに広がることができる。
【0095】
上述の場合、実施例は全て鉄筋コンクリートの壁の貯蔵範囲内に比較的隙間無く適合することが予想されるであろう。したがって、それらが周囲の壁からの支持反応にあうまで、壁の非常に小さな外向きの変位が存在するであろう。このようにして、コンテナの壁内の応力は目的とする許容値内に容易に収まる。しかしながら、例えば漏洩試験又は対応中においてタンクが外部支持なしで加圧される場合、現在の手法に基づいて設計されたタンクにおいて起こるたわみを考慮する必要がある。
【0096】
上記原理を用いて海運の実施例を検討すると、船は、4つの貨物室においてそれぞれ(マニホールドで一緒に連結された)9つのグループに分配された36個のタンクにおいて約−90℃及び約4MPaで約7.1×106sent(≒250×106scf(7.08×106立方メートル)のシコードのサハラガスを運搬できるように設計可能である。船の船体は約150mの長さであり、ウイングタンクと貨物室間の隙間とは約4mの幅であることによって、貨物タンクが加圧されるときに貨物タンクを支持するのに十分な構造上の剛性を付与する。36個のタンクのそれぞれは、1.6mの角の半径を有する6m×6mの正方形の断面を有し、(エンドキャップを含めて)12mの長さに定められていると想定される。長期間にわたって定着した圧力容器の承認に関する米国沿岸警備隊の慣例によると、環方向応力は材料の降伏強度の約半分に制限されるべきである。そのため、タンクの壁が約690MPaの降伏強度を有する鉄鋼材である場合、(腐食代を含まない)必要な壁厚の最小値は約19mmである。これらのタンクに関して内部の検査が可能であると共に、貨物は非腐食性であるため、腐食代が必要でないと仮定することは妥当である。このサイズの船における通常のフレームの間隔は上手く配置されることによって、少なくとも一つの横方向のフレームが加圧された貨物タンクによって貨物室の隔壁にかかる荷重を支えるように配置されることを保証することができるため、6mのタンク側部の幅が選択される。
【0097】
(上述の実施例で明示されているように)本発明の設計手法に基づいて完全に支持されている場合に、機能するのに必要な壁厚の決定において縦方向の応力と環方向応力との間のバランスをLS/RCの比率が保証するように、タンクの断面の寸法は設定される。タンクが貨物室内に固定されていないときに内圧がかかった場合、どのように中央ボディが変形するかの評価を正確にするために、専門家である設計者は正確な有限要素解析モデルの構築及び解析を行いたがるであろう。しかしながら、タンクの長さは、端部閉塞材の剛性は中央ボディの断面における壁の撓みにほとんど影響を与えないことに到達するため、いくつかの単純な評価は起こり得る外向きの変位の潜在的な極値を明らかにするであろう。
【0098】
破断の恐れなくこれらのタンクの壁が外向きに撓むことができる絶対的な最大値は、環方向応力による鋼鉄製の外皮の弾性膨張に対するいくらかの余裕を含めて、二つの角の間の範囲の中央部において壁厚の約20倍に等しいであろう。この概算は、正方形の領域が完全に丸い形状に膨れるようにタンクの角は設計極率半径を越えて開くことにほぼ抵抗を有しないことを前提として得られる。タンクが約3.0又は10.0の値のLS/RC比を有して構成される場合、完全な円形への変化はそれぞれ壁厚の約15又は35倍だけ外向きに壁を押圧するであろう。しかしながら、角は角の外観を維持し、伸長及び屈曲の反応よって外向きの撓みを抑制するように、角はいくらかの剛性を有すると仮定することがより正確である。角がこの予想される剛性を有するとすれば、壁の外向きの撓みは、通常の作動圧の約10%である内圧がかかる場合に壁厚の約1.5から約2.5倍の間、通常の作動圧の約15−20%である内圧がかかる場合に壁厚の約2から約5倍の間となるであろう。
【0099】
これらの相対的な変位の値は、(LS/RC比などの)別のパラメータがこの海運の場合に対して仮定されたように同一の比率で維持される限り、より大きな又は小さなサイズのタンクに適用されるであろう。異なる弾性の材料は、上記実施例において示された撓みとは異なる撓みを許容する(すなわち、アルミニウム又はチタンのタンクは、破断の恐れを伴わずに鋼鉄よりも実質的に高度な弾性拡張を許容する)。
【0100】
図4a及び4bを参照すると、剛性の正方形の立坑を有する使用態様のためのコンテナを設計する原理が理解された場合、立坑の正方形の断面は、荷船、船、鉄道車両又は貨物トレーラに搭載可能な標準的な8フィート(2.44メートル)×8フィートで40フィート(12.2メートル)の長さのISOコンテナボックスなどの補強されたフレームを有する補助容器によって置換可能であることが同様に理解されるであろう。図4aは、トレーラ44上のISOコンテナの断面として示されている密閉構造フレーム42内に保持される一つの流体貨物タンク40を図示する立面図であり、設計例は上述の垂直立坑の場合にまさに類似している。図4bは、トラック44aにおいて貨物流体を輸送するための類似のISOコンテナボックス42a内の四つのタンク46a、46b、46c及び46dを示す立面図である。この事例において、共通のマニホールドでタンクを連結することによって、貯蔵圧Pは四つのタンク全てにおいてほぼ等しくなっている。ISOコンテナボックスの補強外殻はISOコンテナボックスの内縁に沿ったタンク46a、46b、46c及び46dの外側の側部パネルを支持する。タンク46a、46b、46c及び46dの内側の側部パネルは隣接するタンクの内側の側部パネルに圧接する。静圧効果及び動的効果がわずかな撓みを生じる一方で、四つのタンク46a、46b、46c及び46d間の接触面は相互に対してほぼ平坦なままであり、内圧Pによって生じる荷重を相殺している。タンク40、46a、46b、46c及び46dの角の半径はここまでの段落で説明されたように決定される。
【0101】
(テフロン(登録商標)(TeflonTM)又は超高分子量プラスチックなどの)低摩擦材料の被覆又はシートは、輸送又は貨物操作作業中にコンテナ又は周囲の構造物の表面が別々に撓む又は変位する間に磨耗する傾向を最小限にするために、圧力のかかる接触面の間に常設してもよい。磨耗により壁が薄くなる可能性を低減するこの手法は、地上又は海上輸送の場合と同様に固定された貯蔵施設においても使用可能である。貨物タンクと貨物室の周囲の隔壁との間において磨耗を防ぎ断熱をもたらす複合目的を果たす物を使用することができ、断熱構造は貨物タンクがいっぱいであるときに存在する圧縮力に耐えることができる。
【0102】
貨物がそれほど早く暖まらないために輸送及び/又は貯蔵中に好ましくない量の貨物流体が排出されることを保証するため、ISOコンテナボックス42及び42aは適切に断熱されていることが重要である。ISOボックスに冷蔵設備が取付けられている場合、タンク40及び46に対する構造上の支持と同様に適切な断熱性をもたらすコンテナを使用することがやはり重要である。ISOコンテナボックス42及び42aは通常のドライバルク(dry bulk)のISOボックスより相対的に厚い密閉構造壁を有してもよい。密閉構造壁は密閉内面と内面から離間した密閉外面とを有することによって、密閉内面と密閉外面との間に空間が形成される。密閉内面と密閉外面との間に形成される空間は非常に低い圧力まで真空排気することもできる。その空間において真空を維持することは、追加の断熱層がボックスの内面及び/又は外面に適用されるかに関わらず補完するか、追加の断熱の必要性を完全に排除するかのいずれかである。
【0103】
図4bに示される四つのタンクを包含するISOボックス42aの構造設計の効率は、鉛直方向及び水平方向に延びる構造パネルにかかる引張り荷重によって断面が(それぞれ一つのタンクを含む)象限に分割される場合に改善される。(ほぼISOボックスの長さにわたって十字状に延びる)そのような引張要素はISOボックスの側部パネルにおける側部の長さを半分に分割する。これは、ボックスの側部フレームの構造上の強度及び剛性の必要値を実質的に低下させる。
【0104】
船上において、垂直向きのタンクは約40m未満の高さに制限されるであろう。垂直タンクの容積は、記載された貯蔵条件と図3cに関して上述された地面の「採掘立坑」貯蔵の場合に二つに付与されたタンクの断面寸法とにおいて、それぞれ約1.0×106標準立方メートル(35×106sef)及び1.8×106標準立方メートル(64×106set)に保持されるであろう。これらは地上の立坑における貯蔵において予測される量よりもタンク当たりの非常に小さい容積であるとしても、予測される容積は従来技術の単一の加圧天然ガスタンクにおいて実現された容量よりも非常に多い。したがって、特定の容量の船に必要なタンクの数並びに相互連結導管、バルブ及び制御装置の量及び費用は非常に低減されるであろう。
【0105】
図5aは船体52の断面に配置されている二つの空の貨物コンテナ50a及び50bを示す立面図である。貨物室空間52aはデッキ52b、縦方向の翼隔壁52c及び52d、並びに底部の水平プレート52eによって形成及び囲まれている。図5bは貨物室空間52aの上面図であり、図5aに図示される二つの貨物コンテナ50a及び50bと貨物室空間52aに配置されている二つの別の貨物容器50e及び50dを示している。横方向の隔壁52f及び52gはさらに貨物室空間52aを形成している。四つのコンテナ50a、50b、50c及び50dは、船の典型的な貨物室空間52aにおいて縦方向の翼隔壁52c及び52dと横方向の隔壁52f及び52gとによって取り囲まれている。図5bにおいて、コンテナの比較的軟らかい側部が拡張して相互並びに貨物室空間52aの側部を形成する縦方向の翼隔壁52c及び52dと横方向の隔壁52f及び52gとに接触するように貨物によって完全に加圧されたときの平面図にコンテナ50a、50b、50c及び50dが描かれている。コンテナ50a、50b、50c及び50dは端部閉塞材ECの間に壁Wを有する。支持材54a及び54bは任意であるが、コンテナ50を貨物室空間52a内で安定させ、コンテナ50を船の構造材に固定するために使用可能である。(図5aの左側に示されるように)そのような支持構造が存在する場合、底部の配管マニホールドMb及びコンテナ50の周縁周りの検査アクセスのための適切な隙間が存在することを保証するように支持構造は配置することができる。バルブMvを有する頂部の配管マニホールドMtはコンテナ50a、50b、50c及び50dの頂部への流体アクセスを提供する。配管マニホールドの垂直部Mrは、貨物室内の四つ全てのコンテナの底の接続部へ/接続部から流体を輸送するために底部配管マニホールドに連結されている垂直の立ち上がり管流路を表す。
【0106】
あるいは、本発明のコンテナは十分大きいために内部アクセス手段を設けることができるので、外部アクセス用の周囲の空間は必要とされず、それ故、内部の垂直部Miが各々のコンテナ内の低い位置に固定されることによって、(図5aの右側におけるタンク50bに示されているように)底側の排出又は充填が可能になる。説明されたいずれの配管においても、それぞれのタンクからの導管が船のデッキ上の適切なバルブを備える配管システムに連結されている。そのような導管及び閉鎖装置は、適切な規則(例えば、ASME配管コードB31.3及びB31.8)に基づいて設計され、アメリカ船級協会の鋼鉄容器規則(the American Bureau of shipping’s (ABS) Steel Vessel Rules)及び(2005年に発行された)大量に圧縮天然ガスを輸送するための容器に対するABSの指針(ABS Guide for Vessel intended to Carry Compressed Natural Gases in Bulk)に表されている海上輸送の慣習によりメインデッキ上に設置されなければならない。
【0107】
図5bは、船の貨物室に設置された四つの正方形断面のタンク50a、50b、50c及び50dが貨物室の境界における隔壁を構成する船の構造材によってどのように支持されるかを示しており、一方、四つ全てのタンクが等圧で維持されている限り隣接するタンクとのそれらの接触はISOボックス内の四つのタンク(図4b)について説明されたように接触の平衡支持をもたらす。そのような配置において、四つ全てのタンクがほぼ常にほとんど等しい圧力であることを保証することは重要である。そのため、圧力の実質的な不均衡の原因に偶然なり得る上側の中間連結導管の流路に弁又は他の閉塞装置を配置しないことが推奨される。また図5bにおいて、上側のノズル50eが四つのコンテナ50a、50b、50c及び50dの夫々に対する端部閉塞材ECを中心として示されており、図5aの左側に図示される底部の導管マニホールドMb由来である外部立ち上がり管は四つのコンテナの間を中心として示されている。
【0108】
図5a及び5bにおいてタンクを取り囲む隔壁及びデッキの内面は断熱材で覆われているであろう(及び、そのためにタンクに直接接触しないであろう)一方で、断熱層及び隔壁は貨物タンクからの圧力荷重に耐えることができることが重要である。専門家である造船技師は本発明で説明されるタンクによってかかる垂直荷重を解消する設計手法を容易に理解するであろう。海洋作業によってかかる主要な船体桁の荷重に加えて、内底プレート52eは、底殻プレート52hと内底プレート52e及び底殻プレート52hの間にある内底タンク空間52iにおける構造骨格とに結合することによって、貨物室内のタンク及びそこに含まれる貨物の重量によってかかる二次及び三次の荷重を支えることができなければならない。メインデッキ52bを支持する横方向の骨格構造52j(図5a)は、それと貨物タンクとの間に構造連結材54aが存在する場合、貨物タンクからの荷重を受けるのみであろう。
【0109】
船の主要垂直隔壁構造に作用する約1バール絶対圧力(bara)に加圧された液体に相当する荷重よりも高い水平方向の圧力荷重を課す貨物流体を通常見ることは無いものの、専門家である造船技師は、縦方向の翼隔壁52c及び52d並びに船の側部殻52pと協調して機能することによってタンク50a、50b、50c及び50dによってかかる圧力誘起荷重に対応するために、翼空間52n(図5a)における骨格構造52m(図5b)を設計する方法を理解するであろう。図5bに図示されるように、隣接する貨物室の横方向の隔壁間に縦方向に延びる構造骨格52qは、海洋環境によってかかる全ての通常の荷重と同様に、比較的高圧の荷重を支持するために当業者によって同様の方法で設計可能である。
【0110】
図5bに図示される大きな貨物コンテナが船体52の貨物室内における利用可能な貨物空間の90%以上を占めることは注目に値する。一般的な従来技術のCNGシリンダは(これらの大きな貨物コンテナと比較すると)小さすぎて検査のための内部アクセスを許容できない。そのため、適切な検査用アクセスが海事基準(アメリカ船級協会の鋼鉄容器規則を参照)に基づいて各々の一般的な従来技術のCNGシリンダの周囲にもたらされている場合、従来技術のCNG貨物シリンダは貨物室の面積の約50%未満を占めるように制限されるであろう。したがって、本発明は従来技術における約50%の利用と比べて船の貨物室において利用可能な貨物空間の約90%の利用を可能にし、そのことは船の利用可能な貨物空間の利用率において極めて大きな増加である。
【0111】
膜パネルとそれを支持する壁との間の摩擦は、せん断を介する横方向の引張応力を減少させる傾向がある。そのため、有効な「環方向応力」を制御できる場合、外殻の厚みはパネルの中央部で最小値になるようパネルの中央に向かって徐々に減少する。この効果による壁厚減少の程度は、二つの物質の間の摩擦係数と、縦方向の荷重が適切に対応されることの確認と同様にどのようにして(ASMEによって監視されるような)安全基準がそのような許容を認めるかという点とに依存する。更なる重量の減少が重要である場合、そのような設計判断はいくらかの更なるタンクの重量減少の方針をもたらすであろう。
【0112】
前述の場合においては、壁側のタンクの壁は一般に平行であることが前提とされているが、周囲の構造壁が対応する傾斜に配置される場合、(タンクの主要な縦軸に垂直な断面にほぼ一定の直線形状を維持しつつ)相互に対して傾斜するタンクの壁を有することも可能である。そのような特徴は船の最も先端又は船尾の貨物室で望まれる。船上において、横方向に延びる全てのタンクの壁は垂直向きであり、最も外側のタンクの壁は船体の張出し及びこれらの場所における隔壁と適合するよう傾斜を備えて設計されている一方で、貨物室の中央のタンクは全て平行な壁を有する。
【0113】
設計者は、タンクに対して傾斜した壁の形態を採用することが重要である別の状況を容易に想起するであろう。例えば、地中に設置された大きなタンクは、タンクの底部が上部よりも非常に大きな面積を有するように、壁に対して傾斜した形態を採用することができる。そのような切頂ピラミッド型を有することは、例えば、小さな頂部は表面における露出が少なく、タンクの傾斜壁の頂部に盛られた土(例えば、表層土及び/又は岩)の支持荷重は、地表上にこの盛り土の高さを積み上げることによってより高い内圧を支持するために増加することができる点において、いくらかの安全性の利点をもたらすことが期待される。しかしながら(頂部に大きな面積を有する)逆の形状は、それがより少ない掘削を伴うために、地中に設置及び固定することがより容易で安価である。「逆さまの」切頂ピラミッドは、タンクの底部が頂部と比べて非常に小さいため浸漬管を介して底部側から液体(又は他の濃密流体)を容易に吸引することができ、側部は十分に傾斜しているため内部検査のための人のアクセスを容易にすることができる。
【0114】
本発明に基づくタンクは、タンクが作動圧で貨物を輸送している間に外部支持が失われる状況を切り抜けるように設計可能であり、そのような場合には、タンク壁はへこむことができるが、崩壊しないように設計されなければならない。設置の間の更なる安定性のためにいくらかの支えをもたらすこと及び/又はタンクをわずかに加圧することが望まれるものの、タンクは製造後の取り扱い及び設置に関して実質的に自立しているため、加圧されていない場合、タンクは支持用の外部構造に依存していない。内圧が加わり、前記支持が有効で必要となる場合に外側部支持壁との接触は起こる。タンクから内圧を除くこと及び/又はタンクの外側の外圧をタンク内部の圧力より上昇させることによって外部の周辺支持材からタンクを安全に分離することができる。所定の通常作動圧下にある間にタンクは外部支持を必要とすると説明されているが、タンクの壁は全ての場合において外部支持を必要とするものの撓まなくてもよい。
【0115】
本発明に基づくコンテナの製造を検討すると、一実施形態において、多角形の(例えば、正方形の)コンテナは複合壁を有するボディを備えており、ボディの結果的に得られる外殻が十分に強いために設定された圧力及び荷重を安全に有することができるように、薄く比較的弱い密閉ライナは複合壁の上に重ねられそれに連結された複層の補強シートを有する。ボディの結果的に得られる外殻は比較的硬いか、非常に柔軟であるため適度の内部加圧が安全な取り扱い及び設置を可能にするために必要である。いずれの場合においても、適切な移行部分が剛性の端部閉塞材(例えば、重質の鋼鉄製エンドキャップ及びノズル)と相対的により柔軟なボディ殻との間に導入されなければならない。
【0116】
また、目的とする設計強度を構築するために補強シートの連結層を用いるハイブリッド複合材料の貨物コンテナは完全に円形の外殻ボディを有し、十分な強度及び剛性を有することによって適格な貨物コンテナとして自立可能である。言い換えると、非常に薄い金属製の内部ライナで始まる円形の円筒状貨物コンテナは、その剛性が端部閉塞材の剛性に匹敵する非常に強固で硬い剛性ボディ殻を有することができる。コンテナがボディに長方形又は円形の円筒形状のいずれを有していても、補強層の適用の間に形状の安定を保証するための適度な内圧の使用は、一般的な鋼鉄製パイプボディのシリンダと比較して非常に大きな寸法のコンテナの構築を可能にする。この記述は、ネブラスカ州オマハ(Omaha,Nebraska)のリンカーン コンポジッツ(Lincoln Composites)によって製造されており且つ米国特許第6,339,996号においてキャンベル(Campbell)によって説明されている純繊維被覆の複合圧力容器、又は米国特許第6,779,565号においてフォーリー(Fawley)によって説明されている繊維被覆複合材料によって補強されているハイブリッド鋼鉄圧力容器との比較によって明確になるであろう。キャンベルの複合タンク内において剛性マンドレルによって支持されている可塑性のライナの周囲又はフォーリーによって提案された剛性鋼鉄パイプ圧力容器の周囲において繊維が巻き付けられているということによって、コンテナのサイズは、補強材料及び/又は密閉材料の大きなシートが内部密閉層の周りに巻かれている本発明と比較して実質的に抑制されている。フォーリーの技術は、ガス トランスポート モジュール(商標)(Gas Transport ModulesTM(GTM))の生産のためにカナダのニューブランズウィック州(New Brunswick)のFPCインコーポレーテッド(FPC Inc.)にライセンスされており、GTMは42インチ(106cm)の直径で陸用として約12m、海用として最長24mの長さまでに制限されている。ニューファンドランド州セントジョーンズ(St.John’s,Newfoundland)にあるキャンベルのトランスオーシャン ガス コーポレーション(TransOcean Gas Corp.)及び前記圧力容器の供給者候補は、純複合シリンダは同程度の直径及び約12m未満の長さに制限されることを知っている。それらの方法に基づく非常に多くの繊維の被覆を形成する工程に関連する早く動く(回転する)部品のダイナミクスは、生産しようとする容器のサイズを制限する。(可能であれば継ぎ目に沿って相互に連結された複数の部分によって形成された)非常に広い面積のシートの慎重な敷設及び結合はこれらの動的な問題には直面しない。そのため、これらの材料の層によって囲われ且つ支持されているコンテナは、キャンベル又はフォーリーによって開示されているシリンダよりも何倍も大きくすることができる。これらのコンテナが2から10mの一般的な中央ボディの寸法を有する30から100mの長さであることを想定することは妥当である。
【0117】
図6aに関して、ここまでの段落において説明されている構築手段が、ほぼ剛性の断面を有する必要がない円形のシリンダ60を形成するために使用可能である。シリンダ60は剛性であってもよく、適切に設計された円筒形状を維持するための内部若しくは外部支持材又は内圧によってシリンダが適切に支持されていない場合に比較的容易に崩壊する側壁を有していても良い。図6bに図示されるように、シリンダ60は内腔からの貨物流体の流出を阻止する内部密閉層62を有する。複層の膜シート材64が薄い密閉内部ライナ62に重ねられて結合(例えば周囲に糊付け)されることで、シリンダ60内に商業用の量の貨物を貯蔵するために必要な内圧に耐えるための適切な複合膜の強度を保証することができる。
【0118】
内部ライナ62は金属シート又は金属化可塑性シートの一又は複数の層を有しており、当該シートは内部の密閉性を保証するために一緒に連結されている。端部閉塞材66a及び66b又は隆起しているノズルなどの、補強層64によって覆われていない円筒状コンテナ60の部品は、設定内圧と貨物の貯蔵及び輸送のためのシリンダ60の配備及び使用に関連するあらゆる荷重とに耐えるように独自に十分な強度を備えて設計及び材料の構築をしなければならない。強度展開における適切な推移が、重ねられた層64によって十分に補強されている比較的弱いライナ62と、補強無しで使用荷重に耐えられるよう設計されている端部閉塞材66a及び66bの部品との間において構成されなければならない。
【0119】
図6cから6fを参照すると、本発明に基づく円筒状ボディの構築法が図示されている。ライナ62は非常に薄いため、(シリンダの直径及び長さを制限する内部マンドレル法の使用とは対照的に)内圧は外層64の被覆及び結合の間にそれを支持しなければならない。希望される円形状を維持するための固定マンドレルの代わりである構築の間における内圧Pfの使用は、非常に大きなサイズ(直径及び/又は長さ)の積層複層コンテナの形成を可能にする。操作している間又は貨物操作の間にコンテナが支持構造に取り付けられていない場合、複膜層の最終的な構造は希望されるコンテナの形状を保持するために十分な強度をもたらし、又は操作及び/又は設置の間にコンテナが希望形状を維持するのを補助するのにわずかな内圧が必要であっても良い。
【0120】
図6c−6fにおいて、補強膜層64a及び64bが適所に重ねられて結合されることで外層64を形成する間に、密閉ライナ62は内圧Pfによって加圧されることで適切な円筒形状を維持することができる。図6dは、内圧Pfが適切な円筒形状を維持するための外向きの力をもたらす間に、密閉層62の周りに巻かれる補強膜層64aを示している。図6eは、内圧Pfがまだ維持されている間に、密閉層62と前に重ねられた全ての補強膜層とを有する複合シリンダ60aの周囲に巻かれる別の補強膜層64bを示している。図6fにおいて、全ての補強層64の結合の硬化が起こることによってコンテナ60は操作及び設置の準備ができることを保証する一方で、内圧Pfが維持される。図6c−6fは円形断面を有して形成されているシリンダを図示しているが、シリンダの断面は図1bのタンク10の長方形又は正方形の断面を含む希望するあらゆる形状を有することができる。
【0121】
膜層の材料は、使用中に当然に起こり得る全ての操作及び転倒状態において構造の完全性を保証するために応力の分散及び変形を最適化する強度、弾性、柔軟性、及び熱膨張率特性を有さなければならない。
【0122】
作動中に予想される圧力下においてライナと膜層との異なる材料との間における応力の分散を最適化するために、自己緊縮が採用されても良い。また、予定された作動温度を大きく下回るまで(例えばアルミニウムの)金属ライナの温度を低下させることによって、層がライナ上にきつく巻かれる前にその寸法を縮小することができる。そのため、温度が通常の範囲まで上昇すると、ライナは事前圧縮の希望されるレベルとなることで、使用中に加圧された場合に、ライナの壁応力が許容範囲内に維持される。あるいは、補強膜層が、加熱され又は(例えば紫外光などの)ある種の形態の電磁照射に曝されると収縮する材料である場合、複合コンテナを加熱する又は特定の種類及び量の電磁照射にそれをさらすことによって、密閉ライナ中に圧縮性の予備応力を展開することができる。
【0123】
ここまでの段落は大きなサイズのタンクを製造するための方法を論じているが、補強構造層を構築することによって比較的弱い土台(すなわち薄い密閉膜層)から非常に有用な圧縮容器を製造するためにシート材を使用する構想は、より頑丈な正方形のタンク又は(従来技術として記載されたような)従来の寸法である円筒形状のタンクを強化することによって、圧力負荷許容率の増加をもたらすための手段として使用可能である。高強度材料の補強シートの結合層は、漏洩及び/又は破損する状況における圧力容器の靱性を向上させる。補強材料のシートの敷設及び結合は、従来技術のハイブリッド及び複合容器の補強を行う細繊維を回転させる高速処理とは異なる代替手段を提供する。材料の大きなシートは、円筒状又は正方形のタンクの周囲にそれを巻く前にタンクボディに沿って縦方向に重ねられる。しかし、フォーリーが開示する樹脂が含浸された繊維によるハイブリッド円筒状タンクの形成と同様に、結果的に得られるハイブリッド又は複合圧力容器の必要強度を確立するために、高強度の膜材料の比較的狭いストリップ又は約5から500mm幅の繊維のバンドを多角形タンクの周囲にほぼ周方向に巻きつけて結合させることも考えられる。材料のストリップ又はバンドのほぼ周方向の巻き付けによって構成された(例えば正方形断面のタンクである)多角形ハイブリッドタンクは、基部としての頑丈な内核密閉層、又は巻き付け並びに結合及び/又は硬化処理の間に好ましい形状に安定に維持するための内圧に依存する薄い内部密閉層を有しても良い。
【0124】
図7a−7cを参照すると、別の実施形態において、内部密閉層は周囲の層に結合されておらず、第二の流体、好ましくは非凍結性液体又は(窒素又はCO2などの)不活性ガスがそれらの間の環状空間に注入されると、周囲の層から離れて内側に潰れるよう設計されている。図7aは、開放弁74aとノズル74bとを有する配管システム74を介して貨物72が充填されている二重殻コンテナ70の部分断面の立面図である。コンテナ70は補助容器を提供する外殻70aと内部密閉層70bとを有する。環状空間70cは外殻70aの内面と内部密閉層70bの外面との間に形成されている。環状空間70cは窒素などの不活性流体で充填されることが好ましく、それは導管連結ノズル74c及び開放弁74dを介して配置される。十分に貨物72が充填されると、密閉ライナ70bはコンテナ70の構造殻70aの内面にしっかりと圧接されるであろう。構造殻70aは、内装が膨張して外殻70aの内面に加圧するときの接触によって望ましくない応力又は摩擦を生じることなく内部密閉層70bを上手く支持する(例えば円形シリンダなどの)あらゆる形状であってもよい。構造殻70aは、貨物充填圧力及び温度による破裂に備えて内部密閉層70bを支持するよう設計されなければならない。また、構造殻70aは外部起点からの荷重及び接触から密閉層70bを保護しなければならない。
【0125】
図7bはコンテナ70の部分断面立面図であり、貨物排出作業の最初の段階を示している。内部密閉ライナ70bは、相対的に高圧の貨物流体72aが導管連結ノズル74b及び開放弁74aを介して相対的に低圧の貨物収容設備(図示しない)へと単純な排出作業によって放出されると、補助容器殻70aから離れて内側に潰れていく。図7cに関して、主要コンテナ70b内に残留する貨物の圧力が貨物収容設備の背圧に近づくにつれて貨物の排出速度が低下するのを防ぐために、(例えば加圧不活性ガスなどの)第二の流体76が弁74d及びノズル74cを介して環状空間70cへと注入可能であることによって、コンテナ70から貨物72を取り除くための一つの手段として、可撓性の内部密閉ライナ70bを完全につぶして価値の高い流体貨物72を排出させる。この構想において、補助容器殻70aの内面に結合された第二の密閉層70dを提供することが必要である。この収容構想及び貨物を排出するための方法は、販売することができず且つ「永続的な残留物」及び/又は船のための燃料として帰りの航海において貨物収容システム内に残存する残留貨物流体/気体の量を最小にするための方法を提供する。いくらかの残留貨物ガスは帰路の燃料として使用されることが好ましいものの、この使用のために割り当てられない残留貨物はシステムに経済的な不利益を与える。
【0126】
第二の流体76が元の流体貨物72が排出された場所から輸送作業の商業的価値の向上のために輸出されるように、環状空間70cに注入される流体76は元の貨物72の供給場所(又は異なる場所)において価値のある気体又は液体である。例えば、CO2フラッディングとして知られるように、回収を促進するために二酸化炭素が注入される元の貨物72の供給源に油田貯蔵庫があり、元の貨物72が輸送される場所において工業が大量のCO2を産出する場合、流体76の販売場所でCO2を積み込み、貯蔵庫へと注入するために油田へとそれを輸送することができる。油田の作業者はCO2を重宝し、CO2を産出する産業はCO2を売るための機会に価値を見出すであろう。
【0127】
環状部内の流体の圧力及び温度は、環状部の流体が容器から運ばれる方法を操作することによって、積み込み操作中に内腔に注入される貨物の圧力、温度及び状態を管理するために使用することができる。適切な圧力及び温度でコンテナ70の環状部70eに不活性流体を事前充填して、冷却加圧貨物が主要コンテナ70bへと注入されるにつれてコンテナ70から離れる速度を調節することによって、主要コンテナ70b内の貨物は貨物の積み込み作業全体において一定の目的圧力及び温度(又は特定範囲の状態)にとどまることを保証することができる。(例えば、膨張可能な空気袋70b自体などの)貨物収容システムの構成要素が目的の作動温度より実質的に低い温度で脆くなる危険がある場合、ジュール−トンプソン効果が充填中に生じるような最低温度に調節するために貨物の充填を受容する容器内で背圧を維持することが望ましいであろう。
【0128】
あるいは、主要貨物は最内の空洞70bへと注入される置換流体によって環状空間70cにおいて運ばれることによって、環状空間70cから主要貨物の排出を強制することができる。
【0129】
柔軟で収縮可能な膜貨物コンテナチューブ
ティール(Teel)に付与され、本明細書中において「ティール」とまとめて呼ばれる米国特許第5,603,360号、第5,676,180号、第5,908,141号及び第6,427,729号において、発明者は圧力容器内に配置された可撓性の袋が連結コンテナからCNGを排出するための手段として周囲の圧力容器と袋との間の環状空間に注入される水圧流体(hydraulic fluid)の使用を可能にするCNG収容及び取扱システムを説明している。ティールの袋は膜を隔てた実質的な圧力の違いを支持することを意図していない。さらに、ティールの方法はほぼ全てのCNGを袋から排出することが可能であるが、彼は気体が排出された際にどのように水圧流体が回収可能であるかを明らかにしていない。車両の燃料ステーションにおいてCNGが圧力容器から貯蔵施設へと排出された後に、水圧流体が圧力容器から回収されることをCNG燃料の貯蔵、輸送及び配送に関する発明は明確にしている。ティールによると、水圧流体は配送においてのみ使用されるため、運搬装置にとって配送経路において前後に大量の重い水圧流体を輸送することは非現実的であることが明らかである。したがって、ティールは排出を補助するために配送地点における流体貯蔵庫の設置を示唆している。ティールの構想は、充填システムの流路に加熱器を有することによって、外気温での動作を支援し、低温の発生を回避することを意図している。さらに、内部の袋は加圧されたCNG貨物を保持することに適していないため、ティールの運搬装置は非常に重い鋼鉄製の円筒型圧力容器を運搬している。以下において説明されるように、低い貯蔵圧を使用する及び置換流体として気体を使用する方法を見つけることは非常に好ましいであろう。
【0130】
図8a−8eを参照すると、別の構想が構造的に剛性で密閉された補助収容エンクロージャ内に望まれる圧力包含能力を備えた複数の収縮可能なコンテナの使用を可能にする。例えば、多数の収縮可能なチューブはISOトラック輸送コンテナボックス内に配置可能である。チューブは、上述の原理と所定の貯蔵温度及び圧力の条件とに基づいて調節される主要密閉コンテナ内の応力で図4bに示されるように加圧貨物が充填されると、膨張して空間をほぼ満たすように設計されている。しかしながら、適合可能/収縮可能な内部密閉コンテナは、周囲のボックス構造に著しい圧力負荷をかけることなくそれらの外殻が完全な円形の断面になるまで膨張するよう設計されても良い。ボックスコンテナの壁との接触は以前に明示されたように実行及び許容することができる。補助収容容器の外皮及び構造は実質的により低い圧力に耐えられるよう設計される。例えば、主要コンテナは100バール(bar)の内圧に耐えるよう設計される一方で、補助容器は20バールのみに制限されてもよい。貨物の排出は、除去圧縮が受容施設からの背圧(通常は30−50bar)を相殺するために必要な状態まで主要コンテナを排出可能とすることによって完了される。そして、除去圧縮のために更なる圧縮比を必要とすることなく残留貨物流体の大半を押し出すために主要コンテナをつぶす圧力で補助容器によって囲まれた空間に(恐らく不活性ガスである)置換流体が15から20barの間の圧力で注入されると、除去は残留圧力を約15barまで引き下げることができる。この容器設計の考えと貨物を放出する構想は更に以下において説明される。
【0131】
図8aはコンテナシステム80の部分断面側面図であり、当該システムは断熱され構造的に補強されているISOコンテナボックス82と可撓性の膜貨物コンテナチューブ84a及び84bを有する。可撓性の膜貨物コンテナチューブ84a及び84bは貯蔵圧Pで完全に充填されている。図8bは図8aの8b−8b線に沿ったコンテナシステム80の断面図である。図8bに見られるように、チューブ84と通常は呼ばれる四つの可撓性膜貨物コンテナチューブ84a、84b、84c及び84dがある。貯蔵圧Pである場合、貨物コンテナチューブ84は多くの場合に葉巻型と呼ばれる細長い楕円形の側部形状と先の細い円柱の三次元形状を有する。貨物コンテナチューブ84a、84b、84c及び84dは、弁86aによって維持又は制御される内圧を伴ってマニホールド導管86を介して相互連結されている。環状空間83はISOコンテナボックス82の内面と貨物コンテナチューブ84の外面との間に形成されている。環状空間83は、弁86bを介して環状空間83へと導入可能な冷却不活性ガス(例えば窒素)が充填されている。冷却ユニット(図示しない)は、望まれる氷点下の値に内部温度を維持するために、ISOコンテナボックス82に装着することができる。目的の内部温度を維持する別の手段は、液体窒素の小さな貯蔵庫(図示しない)をISOコンテナボックス82に装着することによって、周囲の環境から得られる熱及び/又はISOコンテナボックス82からの被覆ガスの漏洩を相殺するように調節された速度で非常に冷たい窒素ガスのストリームを供給することである。
【0132】
図8cは単純なブローダウン法を用いて排出される貨物88を図示しており、弁86aが開かれることによって、貨物88は相対的に高圧の内部貨物コンテナチューブ84から相対的に低圧の設備(図示しない)へと流れることができる。図8dにおいて、貨物コンテナチューブ84内の圧力が受容設備の背圧に近づく又は背圧以下に落ちる場合においても貨物88が排出され続けるように、掃気コンプレッサ89は排出流路に接続されている。図8eにおいて、冷却窒素ガスなどの補助流体83aが弁86bを介して貨物コンテナチューブ84を取り囲む環状空間83へと注入されることによって、掃気コンプレッサ89に供給される目的の背圧を維持することができる。補助容器を提供するISOコンテナボックス82は適切に密閉されなければならず、また、掃気コンプレッサ89に対して適切な背圧を維持するため及び貨物コンテナチューブ84をつぶすために必要とされる補助流体83aの注入圧に耐えるよう設計されなければならない。補助流体83aの注入圧は実質的に1MPa未満でなければならない。
【0133】
比較的低圧の気体が置換流体として用いられることによって、より重質の水圧流体よりも掃気費用を抑えることができるため、充填場所へ戻る帰路において環状空間に置換流体を保持することが実用的である。充填の開始時に加圧流体が充填された環状空間によって、主要コンテナの水和閉塞又は脆性破壊を引き起こす可能性のあるジュール−トンプソン効果によって過剰な温度低下の発生を回避することができる。置換ガスが窒素の場合、それは充填場所において単純に排出することができる。窒素は比較的高圧で貯蔵され、トラックの積荷が到着する間に徐々に充填されるため、トラックの積荷を降ろす作業は高性能のコンプレッサが早い流速を維持する必要なく比較的早く完了できる。窒素の貯蔵庫は低速で充填可能である。設計者は回収される気体の冷却能力を利用する手段を考えようとするであろう。さらに、置換ガスは充填場所において又はその近くである程度の価値を有する気体であるため、環状空間からのそれの回収により置換ガス及びその価値を得ることが望まれるであろう。
【0134】
永久的な貯蔵は、図8a−8eに関して説明された構想と類似の構想であるが、図3cの説明において上述された深く埋められ密閉及び補強された立坑に固定されたより長く大きな圧縮可能なタンクによって実現できる。しかしながらこの計画においては、圧縮可能なタンクは充填及び排出作業中に断面の劇的な変化を経ており、一方で、採掘立坑に固定された正方形のタンクの可撓性の低い側壁は、採掘立坑の構造的に硬い側部及び/又は採掘立坑内に固定された隣接タンクの比較的近くに存在する。
【0135】
一時的な貯蔵は、貯蔵される流体で充填された一又は複数のISOコンテナボックス82を希望の場所に配置することによって実現できる。そのような計画においては、加圧貨物が充填されているISOボックスは様々な場所で降ろされ、完全に充填された貨物コンテナによって置換されるために空になると回収することができる。
【0136】
カルーセルにおけるコイル状のコンテナ
図9a及び9bを参照すると、本発明の別の実施形態は、ステニング特許に記載されているカルーセル又はカルーセル缶と呼ばれる補助構造容器内においてコイル状になった円筒状の管を有するコンテナと比べて、貨物の収容に使用可能な空間の利用を増大させるための貨物コンテナの正方形の断面の使用に関する。ステニングは補助収容カルーセル構造内で利用可能な空間を占めるために何層及び何重にもしっかりとコイル状になった小径の非常に長い単一の円形管を開示している。これらのカルーセルは、船の貨物室内又は荷船のデッキにいくつかのユニットを高く積み上げることができる。
【0137】
しかしながら、カルーセルにおけるパイプの円形断面は貨物室空間の小さな領域のみが貨物で充填されるようにする。大きなカルーセル缶の外側の空間は貨物コンテナで充填されておらず、それは船の貨物室内の検査のためのアクセスを許容するために缶の周囲に空間が設けられなければならないためである。さらに、カルーセルには隣接する導管部の間に間隙空間が存在する。
【0138】
図9aは本発明に基づくカルーセル90の立断面図である。カルーセル90はほぼ正方形の断面を有する長いコイル状チューブ92を有する。コイル状チューブ92は、補助収容カルーセル構造94内でコイル状になっている数キロメートルの長さとすることも可能である長い管を有する。カルーセル90の上面図は示されていないが、補助収容カルーセル構造94の強固な壁94aの外端である外円と、補助収容カルーセル構造94の強固な壁94bの内縁である内部同心円とを有するであろう。図9aはその中心を通って鉛直方向に切断されたカルーセル90を示しており、コイルの正方形断面とコイル状チューブ92の層を示している。そのため、補助収容カルーセル構造94は正方形の管状容器のコイル92の層及び被覆で占められている。
【0139】
図9bは、コイルの完全な補充がされておらず、収容カルーセル構造94の上部パネルの無いカルーセル90の側部断面図であり、図9bはチューブ92が補助収容カルーセル構造94においてどのようにコイル状にされて積層されるかを示している。チューブ92の最初のコイルは、92aで標識されている最も低く最も内側のコイルである。図9a及び9bの水平方向の矢印はコイル状チューブ92のそれぞれの層における配置方向を示す。そのため水平方向の矢印は、チューブ92の最初及び最も低い層がチューブ92を補助収容カルーセル構造94の外縁94aに向けて外向きにコイル状にすることによって形成されることを示している。最も低く最も外側のコイル92bが巻かれた後に、垂直方向の矢印は、最も低く最も外側のコイル92bの直ぐ上に第二層の最も外側のコイルを形成するためにチューブ92を巻くことによって第二層が開始されることを示している。第二層の水平方向の矢印は、コイルが補助収容カルーセル構造94の内縁94bに向かって内向きに形成されることを示している。内縁94bに最も近い第二層のコイルが形成されると、垂直方向の矢印は第三層が開始されることを示している。コイル状チューブ92の残りのコイル及び層は、図9aにおいて矢印によって示されるように同じように形成される。流体がコイルに出入りすることができる流路は、スピンドルの中央空間内の頂部及び底部に導管接続材として設けられるであろう。
【0140】
補助収容カルーセル構造94は、内縁94bの内芯又はスピンドルにおける水平方向の補剛板98a及び垂直方向の補剛板98bによって支持されている構造上補強された内部密閉層96を含む。内部密閉層96は内部シリンダ96a、外部シリンダ96b、底部プレート96e及び頂部プレート96dを有する。内部密閉層96に対する更なる支持及び補強が外部補剛板98c及び底部補剛板98dによってもたらされる。垂直方向及び水平方向の補剛板は、密閉層96の全ての外面に格子枠を形成することによって、カルーセル内部のチューブからの圧力負荷に対して効率的にそれを支持することができる。
【0141】
コイル内の全てのチューブは実質的に同一の内圧(層から層に存在するわずかな静圧の差は除く)にさらされているため、図10に示されるようにコイル(すなわち、隣接する被覆及び層)の隣接部の表面が相互に支持している。図10はカルーセル100の一部の非常に単純化した断面であり、図9a及び9bに示されるカルーセル90の半分に似ている。カルーセル100は収容構造104内に正方形の断面を有するコイル状チューブ102を有する。コイル状チューブ102の断面102aは、同一のコイル状チューブ102の隣接断面102b、102c及び102dによって三つの側部において囲まれており、全ての断面は圧力Pがかかっている。隣接するチューブの断面102b、102c及び102dの側部は区分102aの側部に対して圧力をかけることによって、支持をもたらすための接触面が存在しない弧状の角を除いて結果的な力が相互に平衡している。カルーセル100の構造上補強された密閉パネルの内面は、それらの角を除いたコイルの領域内に作用するPによって生じる力と釣り合う外部拘束を提供する。それらの支持されていない半径は上述されたように効果的な環方向応力を生じる。
【0142】
コイルにおいて隣接する層及び被覆の隣接チューブの断面によって及び補助収容カルーセル缶構造104によって提供される拘束は、コイル状チューブ102内に応力分散を維持するため、正方形のチューブ102の壁は、ステニング特許において紹介されたコイル状の拘束システム内において環方向応力が個々の管の円形断面によって支持されなければならないように、強度によって圧力を抑えるよう設計される必要はない。その結果、コンテナの質量に対する貨物の質量の比率は利用可能な貨物空間のより良い利用に伴って改善される。
【0143】
実際、ステニング特許は実質的に200mm未満の直径の円形導管の使用を開示しているのに対し、本発明によって教唆される正方形のチューブ92及び102の各側部の寸法は、約150mm未満の値まで抑制される角の半径を伴って実質的に大きくなっても良い。壁厚は主に角の半径の選択によって調節可能であるため、本発明のチューブ92及び102はステニングによって開示された円形導管に等しい壁厚によって単位長さ当たりの非常に大きな貨物容量を有するであろう。重度の冷却と(例えばシコードによって記載された条件の範囲である)ステニングによって考えられたものより非常に低い圧力とを使用することによって、コンテナに対する貨物の質量比は約一桁向上できる。
【0144】
カナダのニューファンドランド州セントジョーンズで2006年に開かれたニューファンドランド オーシャン工業協会(Newfoundland Ocean Industries Association)(NOIA)会議におけるステニングによるプレゼンテーションによると、6mmの壁厚を備える直径168mmの管を16km有する一般的なCoselle(商標)カルーセルは約3.3mの高さであり、約6mの芯/スピンドルの直径を備える15−16mの外径を有しているであろう。Coselle(商標)カルーセルは、約410メートルトンの鉄鋼管と70メートルトンの気体を有するであろう。対照的に、Coselle(商標)カルーセルと同じ外寸を有する本発明のカルーセル缶は、ステニングによって使用されたものと同じ強度の材料を用いた(0.5mmの腐食代を含む)3mmの壁厚を有する側部における400mm×400mmの断面寸法と角における100mmの半径とを備える約13.6kmのチューブ長に基づき、460メートルトンの本発明の正方形のチューブに−57℃及び6.9MPaの貯蔵条件において(70メートルトンに対して)500メートルトンを超えるサハラガスを含有可能である。
【0145】
したがって、Coselle(商標)カルーセルは70メートルトンの気体を運搬するために410メートルトンのコンテナ重量を必要とする。同じ外寸のカルーセルを用いる本発明は460メートルトンのコンテナ重量において500メートルトンの気体を運搬可能である。正方形のチューブにおける冷たい濃密相貯蔵のこの使用は1.11である非常に効率的な質量比をもたらす。これは、70メートルトン/410メートルトン=0.171の質量比を有するCoselle(商標)カルーセルに対する著しい改善である。0.171と比較して1.11の質量比は650%の改善である。(また、Coselle(商標)に対する数値はビショップの貯蔵効率の評価において考慮されていない腐食代を含むであろう。)
【0146】
正方形のチューブの側壁を減少できる程度は、カルーセル内において次の層の荷重下における壁の安定性に依存する。コイル中の層の数は、低層が安定性を維持するために厚くなった壁を有しない限り、この設計判断によって制限されるであろう。
【0147】
コイルの最も内側及び最も外側の被覆における断面は、四つ全ての側部において平坦な壁によって正方形になっているか、コイルの隣接被覆又は隣接層によって支持されない側部において平坦な側部の代わりに円弧又は複弧形状である少なくとも一つの側部で平坦になっているかのいずれかである。ブレアー(Blair)他に付与され、参照によって本明細書に援用されている、車両に関連して使用するための適合可能な複合圧力容器を開示する米国特許第5,577,630号を参照。これらの境界(最も内側又は外側)の被覆がカルーセルの補助収容支持構造の適合する平面によって直接支持される場合、チューブはコイル全体にわたって正方形の断面を維持可能である。しかしながら、コイルの入口及び出口において流路を形成するチューブの壁は正方形の断面から船の導管の一般的な円形断面に慎重に移行しなければならない。これらの移行部の壁は、開発手法に基づき、それらの場所における拘束の細部と同様に接触面積の減少と適合する圧力支持を適合させるために詳細な有限要素解析によって予測されるように厚くされなければならない。
【0148】
押し出しチューブの四つの角における4分の1区分の弧の半径は、使用される材料の厚み及び強度並びに包含される圧力に基づいて選択されなければならない。角の半径と最小の壁厚との関係の算出は、本明細書におけるEqn.1から5によって教示される方法に従うことが可能である。しかしながら、押し出しチューブの部分によって、角の材料は内角Reに基づく最小値として必要なものよりわずかに厚くなるであろう。
【0149】
ブレアー特許において紹介された方法からの一つの変形形態は、コイルの境界(最も内側又は外側)の被覆に隣接するカルーセル構造の表面がチューブに十分に近いため、これらの境界の被覆を完全な弧にするチューブの最も外側の表面の撓みに対して少なくとも部分的な支持を提供することができる。そのような支持はチューブにおいて局所的に減少した壁厚を用いる機会を提供できる。
【0150】
コイルの被覆の最も上の層は、コイル状チューブ内の内圧由来の力に耐えるよう設計されているカルーセルの平坦な上部構造パネルによって前記層が十分に支持されている場合、(境界の被覆を除いて)基本的に正方形の区分からなる。上部パネルは希望する程度の拘束を適切に提供するための厚み、材料強度及び/又は支持構造を備えて設計される。あるいは、可能であればカルーセルのスタックにおいて次に高いカルーセルの底部からかかる荷重である重量は、コイルの内部加圧から生じる傾向にあるコイルの最上層における変形を抑制するための手段として上部パネルに分散されてもよい。
【0151】
完全な正方形である部分が最上層に用いられることを許容するように最上層が上面において制約されていない場合、角及び膜側部のあらゆる点並びにそれらの間の移行部は拡大した断面の変形及び応力分布を安全に適応させるよう設計されなければならないか、平坦な側部及び複数の円弧状面の組み合わせはコイルを適切に安定させるために上面の下側からの接触及び下向きの反応荷重の分布を確立するために使用できる。しかしながら、ブレアーの方法とは対照的に、管状断面の上面はいくつかの点においてカルーセルの上部パネルの拘束面に接触しなければならない。この接触は、コイルの最上層におけるチューブの底面が直ぐ下のコイルの層に対して十分な接触及び拘束を維持するよう拘束されることを保証するため、十分な垂直方向の拘束をもたらさなければならない。
【0152】
貨物コンテナに対して予想される設計条件の範囲に対処するため、断面及びカルーセルの細部(特に、コイルと接触するカルーセルの構成部品)は、生じやすい寸法の変化を抑制又は適応させるよう設計されなければならない。一般に、温度及び/又は圧力が変化する場合、断面は隣接する部材によって拘束される部分を除いて拡大しようとする。また、長い管状部材の長さは、チューブの局所的な主要長さ軸に沿って相互又はカルーセルの内面に対してコイルの隣接する層及び被覆を移動させるよう変化しようとする。
【0153】
図11を参照すると、いくらか又は全ての長さの変化に関する傾向は、カルーセル構造によってかかるコイルの最内及び最外被覆への拘束の設計によって、コイルの各層において順応可能である。あるいは、各層における圧力及び温度誘導性の長さの変化の傾向が局所的に調整されるように、移行部材はある層から隣接層への内芯の移行に含有されてもよい。図11に図示されるように、移行部材は一般に鍛造又は溶接される部材であり、それぞれの端に一般的な導管拡張環状構造110及び断面の移行部112の両方を有することによって、コイルに位置する正方形の断面と拡張環状構造全体にわたって提供される円形の管断面との間で切り替えることができる。環状構造はカルーセルのリールの中央部内に延びるように配置することもできる。図面の平面へと貫通しているコイル状のチューブ断面116の一層からコイルの最も内側の被覆における次の層116aへと移行するために流路が湾曲しているため、断面の移行部112は中央スピンドルの密閉隔壁114における開口部を通って中央部内の内部空間へと横に延びている。カルーセル又はカルーセルのスタックの内部空間は適切に不活性化され掃気された空間であることが予想される。
【0154】
潤滑油がカルーセルに注入される、又は低摩擦材料でチューブが被覆される若しくは層の間においてシート状に分離して配置されることによって、コイル状の管状コンテナの長さの変化によって相対的に移動する隣接面間の摩擦磨耗又は抑制を最小限にすることができる。
【0155】
コイル状のチューブコンテナの低端の流路連結は、その上のコイルの重量により比較的小さな構造上の拘束を課すことによる相対的な固定を伴って拘束可能であることが想定される。しかしながら、カルーセルの上部からの上端の流路連結が長さの実質的な変化に適応するために湾曲可能であることが望まれる。そのような場合、主要貨物導管ヘッダーへの接続は、海外の産業界において一般的に使用されている(「非結合可撓性パイプの設計及び製造(Non-bonded Flexible Pipe Design and Manufacture)」のAPI Spec 17J参照)可撓性の導管接続材、又は貨物カルーセルと主要マニホールドヘッダー導管に連結されている導管との間に挿入される相対的に拘束されていない拡張ループとして形成される金属製の管、を含むよう設計することもできる。あるいは、移行しておりカルーセルから出るコイルの底端部及び上端部は、全ての変形がカルーセル缶内で適合されるように拘束されても良い。
【0156】
様々な金属(例えば、アルミニウム、鋼鉄又はチタン合金)のいずれか一つを有するか、本発明の可撓性側部を有するコンテナに対して説明したように複合(複層)断面を有するように正方形のチューブのコイルを製造することが可能である。連続押し出し処理は非常に長い金属性の管状部材の製造及びコイル状への加工を可能にする。周溶接を用いることによって非連続の部材を接続することが可能である一方で、金属断面のチューブは、コイル全体が単一のチューブ押し出しからなるような長さの連続した継ぎ目の無い部材として押し出される。外皮を形成するために用いられる材料、又はチューブコンテナの断面若しくは長さに必要なあらゆる結合は、使用される際に生じ得る温度の予測範囲に適合されなければならない。
【0157】
押し出しチューブコンテナのために、長い管を押し出すために用いられる金型は、それが断面を正方形から円形へ、そして少なくとも一つの側部が平らであり且つ少なくとも一つの側部が丸くなっているハイブリッド形状へと変更可能であるように、設計、製造、及び調節可能である。コイルの境界の被覆(及び可能であれば最上層)の外面において支持が減少又は喪失したことに起因する結果的な応力を調節する必要がある部位において押し出された物の壁が厚くなるように、金型は調節されなければならない。また、コイル状の貨物コンテナを製造するために最も有利な態様で並べるために隣接する被覆又は層が優先的に配置される方法で外面が形成されるように、金型はチューブを押し出すために設定又は調節されても良い。例えば一実施形態において、持ち上がった隆起部及び凹部が隣接する被覆及び/又は層の配置を案内するために断面上に形成されるように、付加的な材料の厚みが角に与えられる。これらの案内構造の外観は、不要な局所応力の集中が製造、組立又は使用中にチューブの外皮に生じないように構成されなければならない。
【0158】
図12aから12cに関して、連続的な押し出し法を可能にするために調節可能な金型を用いることによって、コイル状にする工程を簡単にするために波形構造を導入することによって波形チューブ120を形成することができる。図12aは波形チューブ120の側面図であり、所定深さ及び波長122dである波形122cはチューブが形成されるにつれてチューブに沿って長さ方向に延びるように、円形状に変化する断面のそれぞれ122a及び122bである内寸及び外寸をこの波形構造が有することを示している。その縦軸に対して垂直なチューブの断面にこれらの波形を導入することによって、カルーセルに配置する間にそれがコイル状にされることによるチューブのあらゆる柔軟な変形を回避することができる。波形は、カルーセル内の次の層の重量によって誘導される座屈崩壊に対して壁を安定にし、チューブの側部が隣接するチューブの側部又はカルーセルの側部に連続的に接触しない場合に比較的薄い壁が全体にわたって維持可能であるように、内圧に対する局部の強度を与える。また、円形断面を有するチューブも波形にできる。図12bは正方形の断面を有する波形チューブの断面を示しており、図12cは円形断面を有する波形チューブの断面を示している。したがって、カルーセル内で容易にコイル形成をするための波形チューブは正方形又は円形の断面を有するチューブのいずれを用いても形成可能である。隣接構造との連続的な接触が不可能である場合、波形形状は、小さな曲率半径を局所的にもたらすことによって、正方形の断面のチューブにおいて非常に薄い壁の設計手法をサポートすることができる。しかしながら、カルーセル内におけるチューブの周りの隙間は、内圧荷重に対して継続的な支持をもたらすために、軽量グラウト、エポキシ、又は使用温度に適合可能な樹脂ベースの短繊維複合材料で充填されることが推奨される。波形チューブが円形断面を有する場合、通常の環方向応力が大部分を占める強度予測値によって必要とされるものと比べて壁厚の減少を可能にするために支持構造充填材の注入が必要となるであろう。
【0159】
波形122cの深さは、液体又は粒子のコイル内に蓄積する傾向を抑制するために、最小限にされなければならない。しかしながら、コイルはコイル内の不要な蓄積物を除去するために定期的にパージすることも可能である。
【0160】
カルーセル内にコイルを形成するための一つの方法は、ほぼ直線状の部品として製造される正方形のチューブから開始し、それはコイルの各層においてらせん状に変形される。部品が比較的一定の断面を有する(すなわち、上述したように波形でない)場合、コイル形成のための変形の向きによって影響される断面の境界におけるひずみ及び可撓性の変形は慎重に調整されなければならず、チューブの断面の寸法は、カルーセル内で必要とされるいかなる最小の屈曲半径にも適合するために、用いられる材料の性質に合わせて選択されなければならない。
【0161】
正方形の形状の断面のチューブを押し出すための代替案として、丸い金属管の断面を通して正方形のマンドレルを引く又は押して前記管を変形させることによって正方形は形成することができる。断面変形処理は、40フィート又は60フィート(それぞれ約12m又は18m)の連結管を通してマンドレルを動かすことによって高強度の「UOE」管(U型化、O型化、及び拡大管(U’d,O’d,and Expanded pipe))を製造するパイプ製造業において実施されているような鋼鉄管材の降伏強度を向上する手段として導入可能である。
【0162】
このように変形された長く直線状の管は、各層においてらせん構造を形成するためにその後に長さ方向に沿って曲げることによって、カルーセル内でコイル状にされる。あるいは、パイプを通されるマンドレルは長さ方向のらせん変形を引き起こすために用いることもできる。シューレ(Schule)に付与され参照によって援用されている米国特許第7,159,432号を参照。
【0163】
チューブの形状をもたらす/変形させるマンドレルの接触面の位置は、マンドレルがチューブを通されることによって、任意の部分の最終的な変形された形状が局部の構造的な必要性に適合するよう調節されるように、流体流動によって調整可能である。
【0164】
製造用金型は、押し出されるチューブが水平方向の平面において連続的に変化する曲率半径を有することによってコイルの各層に自然にらせんを形成する形状となるように調節可能である。外側に向かう層において、曲率半径はそれぞれの累進的な被覆によって徐々に増加し、一方、内向きに進行する被覆においては被覆に対して反対のことが起こる。
【0165】
あるいは、らせん状コイルが層に隣接する作成された層であるように、複合又はハイブリッドの正方形のチューブに対する連続的な設置及び硬化処理を補助するために、調節型マンドレルの形状及び向きは内部流動によって操作可能である。押し出された金属製チューブに対して記述されたものと類似の特徴を有する断面を生成するために、マンドレルの形状及び積層処理の種類は改変可能であり調整可能である。
【0166】
正方形のチューブ断面を押し出す別の代替法は、金属のバンドが材料の大きなロールから解かれるにつれて、正方形のマンドレルの周囲における薄い金属シート(例えば、巻かれた鋼鉄板)の長く連続するバンドから当該断面を形成することであろう。例えば、約1.4インチ(3.6cm)から1.5mの幅で3mmの厚みである鋼鉄板のバンドを四つの角において100mmの半径を備える400mm×400mmの正方形のチューブコンテナを形成するために用いることができる。金属バンドのシートの縁がマンドレルの周りにおいて一緒に圧接されるため、長い継ぎ目(例えば溶接シーム)が区分を閉じる/密閉するために使用可能である。また、マンドレルも成形可能であり、上述したようにカルーセル缶内に容易に配置するための利点を得るためにチューブの壁に波形を与えるよう外部圧接形状は適用可能である。
【0167】
構造的なカルーセル缶の補助容器内に完全なコイルを製造する構想は、フィッツパトリック(Fitzpatrick)他に付与されたステニング特許の一つである米国特許第6,240,868号に記載されており、コイルは小径の剛性管を有する。本発明は、正方形断面の押し出しチューブを有するコイルを支持するための補助容器カルーセル構造のコイル形成及び設計をするためのより効率的な方法を提供する。
【0168】
補助収容構造(すなわち、カルーセル)の内面は、コイル状の主要貨物コンテナから予期せず抜けた貨物流体を捕捉して安全な掃気流路に向けることができる密閉層を形成することを目的とする。
【0169】
カルーセルは、補助収容構造を構成する密閉層及び支持構造部材を形成するために、金属若しくは複合材料又は金属及び複合材料の組み合わせのいずれからでも構成可能である。本発明は、収容システムの重量は最小にされるべきであり、また収容システムの材料は非常に低い温度で機能できる又はさらされることができることを考慮しているため、好適な実施形態は複合材料で構成されたカルーセルを有するであろう。別の好適な実施形態は、最も内側の面は金属の密閉層である金属と複合材料とのハイブリッド構成として製造されたカルーセルを有するであろう。
【0170】
コイル状のチューブ貨物コンテナは、貨物流体及び置換流体が反対の連結部によってコンテナに入る又はコンテナから出るように主に導かれるように、上端及び下端の導管連結部を有する。
【0171】
図9aにおいて指向性の矢印によって示されるように各層の被覆が隣接する層において交互に外向きと内向きにらせんを形成するように、コイルはほぼ平らな水平方向の層に構築されることが意図されている。コイルにおける円形の管断面とは対照的に、正方形のチューブ形状は平らで平行な層の配置を現実的にする。被覆の一つの層から次の層への移行は、移行部が構造的な配置及びカルーセル缶の設計によって補助されている境界(最も内側及び最も外側)の被覆において常に生じる。
【0172】
各層の境界の被覆上のある場所において、カルーセルの外側の境界の内側における構造上の特徴がチューブの配置を調節するために導入されており、次の層の高さまで緩やかな傾斜部を立ち上がらせる。この傾斜する構造の傾斜部は、チューブの屈曲を関連する軸上においてチューブの許容可能な屈曲半径内に限定するために傾斜の長さ方向に沿って変化するため、側壁は曲がることがなく、そして上面及び底面は過度に負荷がかかることがない。また、この構造上の特徴は、前の層から立ち上がることによって構成される層において最も外側の被覆の内向きのらせん構造の開始を誘導しなければならない。この構造上の特徴は、隣接する被覆及び層のチューブ領域の側部との接触によって拘束がもたらされない境界の被覆において構造上の特徴がチューブ領域の全ての側部を完全に拘束するよう設計されなければならない。ある層から次の層への各傾斜の端においてコイル状のチューブとの接触を維持するために、補助収容構造のこれらの特徴を作り出すことは現実的ではないため、適度に強くて堅い材料の頑丈なくさびが積層工程の間に挿入されることによって、境界の被覆において又は被覆の近くにおいてチューブ部分の全ての側部に対する継続的な支持を維持することができる。あるいは、注入された材料が硬化した場合に当該材料が使用中にこれらの場所においてチューブ部分を十分に支持するように、グラウト、エポキシ又は樹脂ベースの短繊維複合材料などの材料が隙間を埋めるために注入可能である。
【0173】
立方体型のISOコンテナ
図13a及び13bに関して、本明細書中において説明される貯蔵発明の別の実施形態は、輸送可能な貯蔵容器の簡易形状を提供するISO輸送コンテナ130である。ISO輸送コンテナ130は標準的な外部断面寸法を有することが好ましい断熱立方コンテナ構造132であり、例えば、一辺あたり約2.44mに相当する約8フィート×8フィート×約8フィートである。コンテナ構造132の側部は、適切な構造上の支持と断熱効果とを提供するために、必要に応じて補強及び断熱処理されなければならない。図13aはコンテナ構造132の部分断面上面図であり、コンテナ構造132の上部がその内部を図示するために取り除かれている。それぞれが本発明に基づく正方形の断面を有する9個のタンク134がコンテナ構造132の内部空間に鉛直向きに固定されている。あるいは、1個若しくは4個又は任意の数のタンクがコンテナ構造132の中に配置可能である。
【0174】
図13bはコンテナ構造132の部分断面側面図であり、最も近い側壁がコンテナ構造132の内部を図示するために取り除かれている。タンク134は立方体のコンテナ構造内に直立しており、導管マニホールド136及び138によって9個のタンク134へ、タンクから、及びタンク間に流体連通がもたらされており、当該導管マニホールドは分離及び/又は流量制御弁136a及び138aを有する。各々のタンク134はタンクへ及びタンクからの二つの流路を備えなければならず、弁が各流路に設けられなければならない。立方体のコンテナ構造132内の9個全てのタンク134は単一ユニットとして分離するためにマニホールドで連結されており、それは弁136a及び138aによって分離可能であることが好ましい。圧力除去弁は規則の要件を満たすために必要に応じて導管マニホールド136に設けられなければならない。
【0175】
内部の立ち上がり管又は浸漬管136cが各々のタンク134内に垂直な流路を提供することによって、各タンクの底部からの濃密な流体(例えば液体)の排液を可能にする。内部の立ち上がり管の使用は、貫通材又はノズル及び導管連結材をそれらの底部に配置する必要なく、コンテナの底部から液体を除去する機能を付与することを理解しなければならない。
【0176】
立方体型のコンテナ構造132はその角に沿った外部構造フレーム132aと波形壁132bとを有し、前記波形壁はタンク134の最外環状部の外面に接触する内部断熱構造132cを支持する。あるいは、立方体型コンテナのエンクロージャを完成するために必要な構造上の容積及び断熱性をもたらす中心が泡状である構造壁を使用することもできる。
【0177】
図14は、高速道路による輸送のためにトレーラ142に載せられた標準的な40フィート(12.2m)のISOコンテナに相当するものを有するために、5個の立方体型コンテナ140がどのように連結可能であるかを示している。一時的な覆いが各々の立方体型コンテナ140の上部又はトレーラ上のコンテナの集合全体にかけられることによって、外部環境又は太陽から得る熱を抑制できる。
【0178】
天然ガスの組成及び貯蔵条件によって、14,000scm(標準立方メートル)(≒500,000scf)を超える量が一つのロードトレーラで輸送可能である。これは、鋼鉄のシリンダに高圧で貯蔵されたCNGの陸上輸送用の一般的なトレーラと比べて大容量である。さらに、当業者は複数のこれらの立方体型装置及び/又は同等の40フィートのコンテナは鉄道車両、荷船、及び/又は船に積載し、固定し、輸送することが可能であることを理解するであろう。
【0179】
トラック上の立方体型コンテナの集積は一般的なCNGトラックより約二倍の貯蔵容積をもたらすことが理解される一方で、上述した海運の実施例が剛性の鋼鉄製シリンダにおいて常温でCNGを輸送するために設計された船と比較される。ヴァルスガード(ValsgArd)他らの論文(「圧縮天然ガス輸送装置の開発――クヌートセンPNG(登録商標)構想(Compressed Natural Gas Carrier Development-The Knutsen PNG(R) Concept)」米国、造船造機学会の2004年会の議事、112巻、271貢参照)と、(米国、テキサス州、ヒューストンのゼウス ディベロップメント コーポレーション(Zeus Development Corp.)によって2007年6月26−28日に「CNG海上輸送における進歩:商業化への最終的な取り組み(Advancement in CNG-Marine Transport: The Final Approach to Commercialization)」の議事録において公表されている)2007年6月、ヒューストンにおけるゼウスCNG会議においてクヌートセンOASのパー ロース(Per Lothe)によるプレゼンテーションとにおいて、ロースの海上天然ガス輸送計画は、船上においてCNGを貯蔵及び輸送するために約25MPaの非常に高い圧力を用いる常温の構想として説明されている。そのような構想は外気温でCNGを輸送するための代表的な設計である。これらの引用文献において、我々の海上輸送の実施例において検討された船に関するサイズを有する船は、約1.7から2.0×106scm(標準立方メートル)の天然ガスを運搬できるのみであることが理解される。これは、我々の海上輸送の実施例において150mの船上にて運搬可能な7.1×106scm(標準立方メートル)と比較される。本発明の利点は、(約552MPaの降伏強度である)壁の厚い42インチ(1.1m)径の鋼鉄製シリンダにおいて貯蔵するためのロースの外気温高圧CNG構想を用いて7.1×106scm(すなわち約5,500メートルトン)のシコードのサハラガスを運搬するよう設計された船は、約24.4mの長さのシリンダを1100個以上運搬しなければならないことを理解することによって明確になる。気体貨物の重量の収容システムの重量に対する比率はロースの高圧構想において約0.21である一方で、本発明の正方形の低温タンクを用いた海上輸送の実施例における気体/容器の重量比は約10倍高い(−2.0)。そのため、正方形のタンクは重質壁の剛性管シリンダとして調達/製造及び設置するために単位重量当たり3から4倍の費用が必要な場合でも、本発明を用いることによって容器のコストは少なくとも半分に削減できる。しかしながら、船は重質高圧CNGシリンダの周りに外部検査用のアクセス空間を設置するのと同様に当該重質高圧CNGシリンダを運搬できるよう十分に大きく設計されなければならないため、前記事項は費用に関することの一部にすぎない。外気温に基づく船を考慮すると、高圧CNG構想は(我々の海上輸送の実施例においては36個のコンテナの合計で約2,750メートルトンの合算値であるのに対して)約27,000メートルトンのシリンダを運ばなければならず、そのような船は我々の海上輸送の実施例において示される船の少なくとも2倍であろう。したがって、常温高圧CNG構想に基づいて設計された等しい貯蔵容量の船の全費用は、容器と船体の費用とが比較に含まれる場合、少なくとも4倍の費用がかかるであろう。
【0180】
上記文章は、固定又は輸送型の貨物コンテナへ充填する又はコンテナから排出する革新的な手段と同様に、天然ガスの貯蔵及び輸送用のコンテナの革新的な形態を説明している。上記発明が説明されることによって、技術、手段、材料及び設備の多様な変更が当業者にとって明らかにあるであろう。本発明の範囲および精神内における全てのそのような変更は添付の請求項の範囲に含まれることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貨物の貯蔵及び/又は輸送用装置であって、
大気圧より少なくとも0.15MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持するためのコンテナを有し、
前記コンテナは一対の対向する先端部と、先端部の間に壁区画とを有し、
壁区画は、非円形断面を形成し、且つ丸い角によって連結された少なくとも二つの隣接するほぼ平らな側部を有し、
側部は一定の壁厚を有し、コンテナは、コンテナが所定の通常作動圧で流体貨物を含有する場合に側部が少なくとも壁厚分だけ外向きに広がることができるように構成されている装置。
【請求項2】
コンテナは空のときに自立できるよう十分に硬い請求項1の装置。
【請求項3】
コンテナは0℃以下の所定の通常作動温度に適応している請求項2の装置。
【請求項4】
コンテナは大気圧より少なくとも0.25MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持できる請求項3の装置。
【請求項5】
流体貨物は圧縮天然ガスであり、コンテナは大気圧より少なくとも0.50MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持することができる請求項4の装置。
【請求項6】
壁区画の非円形断面が長方形である請求項5の装置。
【請求項7】
コンテナが設計圧力で流体貨物を含有する場合、コンテナは側部が少なくとも壁厚の3倍まで外向きに広がることができるように構成されている請求項6の装置。
【請求項8】
壁区画の非円形断面は四つの丸い角によって連結された四つのほぼ平らな側部を備えるほぼ正方形であり、各々の側部は長さLsを有し、各々の丸い角は曲率半径Rcを有し、Ls/Rcの比率は約2から約6である請求項1の装置。
【請求項9】
Ls/Rcの比率は約3から約4である請求項8の装置。
【請求項10】
コンテナは大気圧より少なくとも1.0MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持することができ、コンテナは約−160℃の低さである所定の通常作動温度に適応している請求項8の装置。
【請求項11】
圧縮された気体を貯蔵及び/又は輸送するためのシステムであって、
大気圧より少なくとも約0.25MPa高い所定の作動圧において圧縮された気体を保持することができる複数の自立型コンテナと、
複数の自立型コンテナを取り囲む構造エンクロージャと
を有し、各々のコンテナは対向するエンドキャップとエンドキャップ間に配置された壁区画とを有し、壁区画は非円形断面を有し、各々のコンテナが少なくとも別の一つのコンテナに隣接して配置されることによって、圧縮された気体が充填されると各々のコンテナの壁区画の少なくとも一部は少なくとも一つの別のコンテナの壁区画に圧接し、
一部のコンテナの壁区画は構造エンクロージャに圧接し、構造エンクロージャに圧接する一部のコンテナの壁区画は、構造エンクロージャからもたらされる反力が存在しなければ、所定の作動圧において外向きに広がるシステム。
【請求項12】
構造エンクロージャは、複数のコンテナを受容するよう構成された陸上車両又は船舶を有し、前記陸上車両又は船舶は複数の内部支持材を有し、内部支持材は一つ以上の貨物室を形成し、内部支持材の一部は、構造エンクロージャに圧接する一部のコンテナの壁区画に対する外部支持を提供する請求項11のシステム。
【請求項13】
構造エンクロージャがISOコンテナを有する請求項11のシステム。
【請求項14】
自立型コンテナはほぼ正方形の断面と丸い角とを有する請求項13のシステム。
【請求項15】
ISOコンテナはほぼ立方体形状を有する請求項14のシステム。
【請求項16】
圧縮された流体を貯蔵及び/又は輸送するための船舶であって、
船首と、船尾と、船首を船尾と結ぶ対向する側部とを有する船体;
船首と船尾との間に延びる一又は複数の縦方向の支持壁;及び
側部間に延びる一又は複数の横方向の支持壁
を有し、側部と一又は複数の縦方向の支持壁と一又は複数の横方向の支持壁とによって複数の貨物室が形成されており、
圧縮された流体を保持するために各貨物室に少なくとも一つのコンテナが収容されており、各々のコンテナは一対の対向するエンドキャップ間に壁区画を有し、
コンテナの壁区画は側部、一又は複数の縦方向の支持壁、及び/又は一又は複数の横方向の支持壁によって外部から支持されることで、コンテナの壁区画の外向きの動きを抑制している船舶。
【請求項17】
少なくとも二つのコンテナが一つの貨物室に収容されており、前記少なくとも二つのコンテナの壁区画の一部が支持するために相互に支持されている請求項16の船舶。
【請求項18】
各々のコンテナの壁区画は非円形断面を有する請求項16の船舶。
【請求項19】
各々のコンテナの壁区画は、丸い角によって連結された少なくとも四つの比較的まっすぐな側壁パネルを有する請求項18の船舶。
【請求項20】
少なくとも一つのコンテナは、約−10℃未満の温度及び大気圧より少なくとも約0.75MPa高い所定の通常動作圧において圧縮天然ガスを保持することができ、圧縮天然ガスの圧力はコンテナの壁区画の側壁パネルを外向きに動かす圧力をもたらし、側部、一又は複数の縦方向の支持壁、及び/又は一又は複数の縦方向の支持壁はコンテナの壁区画の側壁パネルの外向きの移動を抑制する力をもたらす請求項19の船舶。
【請求項21】
圧縮された流体を貯蔵及び/又は輸送するためのコンテナであって、
複数の支持材を有するフレームと、
隙間に収容されるタンクと、
を有し、複数の支持材の一部が前記隙間を形成し、タンクは壁区画を有し、壁区画は非円形断面を有し、壁区画の一部は、隙間を形成する前記複数の支持材の一部の内の一又は複数の支持材によって支持されており、一又は複数の支持材は、壁区画の前記部分の外向きの拡大を制限するために、前記一又は複数の支持材によって支えられているタンクの壁区画の前記部分に外部支持をもたらし、
輸送コンテナは、圧縮された流体が大気圧より少なくとも約0.50MPa高い所定の通常作動圧である場合にタンクを保持できるコンテナ。
【請求項22】
輸送コンテナはほぼ立方体形状である外寸を有する請求項21のコンテナ。
【請求項23】
フレームは隣接するほぼ同一のフレームに連結されることによって、標準サイズのISO輸送コンテナを形成可能な請求項22のコンテナ。
【請求項24】
タンクの壁区画は、四つの丸い角によって連結される四つのほぼ平らな側壁パネルを有するほぼ正方形の断面を有する請求項21のコンテナ。
【請求項25】
9個のタンクが隙間に収容されている請求項24のコンテナ。
【請求項26】
フレーム中の隙間がフレームの壁によって形成されており、支持材がフレームの壁の中に位置しており、タンクの周囲に断熱部を有する請求項25のコンテナ。
【請求項27】
流体を貯蔵及び/又は輸送するための方法であって、
支持構造を提供する段階と、
流体を保持するためのコンテナであって、非円形断面と外面を有する壁部とを備える壁区画を有するコンテナを提供する段階と、
支持構造が壁部の外面に隣接するよう支持構造の隣にコンテナを配置する段階と、
を有し、
コンテナに流体が充填されて大気圧より少なくとも約0.15MPa高い圧力で作動しているときに、壁部は支持構造に支持されており、
支持構造が、コンテナの壁区画の壁部が広がるよう作用する流体の圧力によって生じる力の反力をもたらす方法。
【請求項28】
支持構造は船舶の一部である請求項27の方法。
【請求項29】
支持構造は、鉄道車両の一部又はトラックの一部である請求項27の方法。
【請求項30】
支持構造は地中におけるコンクリートで補強された穴を含む請求項27の方法。
【請求項31】
流体は、約−160℃から約30℃の温度と大気圧より約1MPa高い圧力を有する圧縮天然ガスである請求項27の方法。
【請求項32】
流体は水和物を含有する請求項27の方法。
【請求項33】
船舶又は陸上車両で圧縮天然ガスを貯蔵及び/又は輸送する方法であって、船舶及び陸上車両は貨物室を形成する貨物支持構造をそれぞれ有し、前記方法は、
圧縮天然ガスを保持するためのコンテナを提供する段階と、ここで、コンテナは一対のエンドキャップとエンドキャップの間に壁区画とを有し、壁区画は四つの丸い角と丸い角の間にほぼ平らな側壁パネルとを備える長方形の断面を有し、
壁区画の一部が貨物支持構造の一部に隣接するよう貨物室内にコンテナを配置する段階と、
コンテナに圧縮天然ガスを充填する段階と、
を有し、圧縮天然ガスは大気圧より少なくとも約1MPa高い圧力であり、圧縮天然ガスの圧力は壁区画に外向きの圧力を加え、
貨物支持構造の前記一部はコンテナの壁区画の前記一部の外向きの動きを抑制するための反力をもたらし、
コンテナの壁区画の前記一部は、支持構造によって支持されない場合、圧縮天然ガスの圧力によって外向きに動く方法。
【請求項34】
圧縮天然ガスを保持するためのタンクを提供する段階と、ここでタンクは一対のエンドキャップとエンドキャップ間に壁区画とを有し、壁区画は四つの丸い角と丸い角の間にほぼ平らな側壁パネルとを備える長方形の断面を有し、
タンクの壁区画の一部がコンテナの壁区画の第二の部分に隣接するよう貨物室内においてコンテナに隣接するようタンクを配置する段階と、
タンクに圧縮天然ガスを充填する段階と、
を有し、圧縮天然ガスの圧力はタンクの壁区画に外向きの圧力を加え、
コンテナの壁区画の第二の部分はタンクの壁区画の前記一部の外向きの動きを抑制するための反力をもたらし、
タンクの壁区画の前記一部は、コンテナの壁区画の第二の部分によって支持されない場合、圧縮天然ガスの圧力によって外向きに動く方法。
【請求項35】
コンテナ及びタンクは、空であり且つ貨物室外にある場合に、自立できるだけの十分な剛性を有する圧力容器である請求項34の方法。
【請求項36】
各貨物室は二つ以上の圧力容器を含有し、各圧力容器の壁区画は隣接する圧力容器と貨物支持構造の両方又は一方によって外部から支持されている請求項35の方法。
【請求項37】
壁区画の長方形の断面は四つの丸い角によって連結された四つのほぼ平らな側部を備えるほぼ正方形であり、各側部は長さLsを有し、各々の丸い角は曲率半径Rcを有し、比率Ls/Rcは約2から約5である請求項36の方法。
【請求項38】
比率Ls/Rcが約6より大きくなり得るように、エンドキャップ間の縦方向の壁区画に圧縮予備応力を加える段階を有する請求項37の方法。
【請求項39】
地中に圧縮流体を貯蔵する方法であって、
地中に穴を形成する段階と、ここで、穴は内壁によって形成されており、
穴にコンテナを設置する段階と、ここで、コンテナは圧縮流体を保持できるようになっており、且つエンドキャップとエンドキャップ間に壁区画とを有し、壁区画は所定の厚み、非円形断面、及び外面を有し、コンテナの壁区画の外面は地中の穴を形成する内壁に隣接しており、
大気圧より少なくとも約1MPa高い所定の通常作動圧までコンテナに圧縮流体を充填する段階と、
壁区画が壁区画内の力及び/又は地面から受ける反力によってそれ以上広がらなくなるまで、コンテナの壁区画が圧縮流体の圧力によって少なくとも壁区画の厚みと等しい分だけ外向きに広がることを許容する段階と
を有する方法。
【請求項40】
円筒形のコンテナを形成する方法であって、
円筒形の壁部を有する可撓性で薄い壁の密閉ライナを提供する段階と、
円筒形の壁を堅固な円筒形に保持するのに十分な圧力において密閉ライナを流体で充填する段階と、
密閉ライナの周囲に第一シート材を巻く段階と、
密閉ライナ及び/又は第一のシート材の周囲に第二のシート材を巻く段階と、
第一のシート材及び/又は密閉ライナに第二のシート材を結合する段階と、
密閉ライナ及び/又は第一のシート材及び/又は第二のシート材の周囲に第三のシート材を巻く段階と、
第一のシート材及び/又は第二のシート材及び/又は密閉ライナに第三のシート材を結合する段階と、
密閉ライナの周囲にシート材を引き続き巻いて結合することにより密閉ライナの周囲に所望の厚みまで壁を構築することによって、第一及び第二の対向端部を有する円筒構造材を形成する段階と、
第一及び第二の端部にエンドキャップを取付けることによって円筒形のコンテナを完成する段階と、
を有し、円筒形のコンテナは大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で圧縮流体を含有可能である方法。
【請求項41】
密閉ライナにあらかじめ応力を加える段階を有し、
円筒形のコンテナは丸い角を備える長方形の断面を有する請求項40の方法。
【請求項42】
圧縮流体の貯蔵及び/又は輸送用コンテナであって、
内面、入口及び出口を備える外部タンクと、
外部タンクの内部に位置する膜タンクと
を有し、膜タンクは外壁、入口及び出口を備え、膜タンクは可撓性であり、且つ大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で圧縮流体を保持することができ、
外部タンクの内面と膜タンクの外壁との間に環状空間が形成されており、
外部タンクは、膜タンクを圧縮するために環状空間に第二の流体を受容可能であり、及び/又は膜タンクから圧縮流体を排出可能であり、
膜タンクは、外部タンクが耐えられる圧力よりも高い圧力に耐えることができるコンテナ。
【請求項43】
外部タンクはISOコンテナとしての分類に対する要件を満たす請求項42のコンテナ。
【請求項44】
外部タンクは地中に存在する及び/又は地中に穴を有する請求項42のコンテナ。
【請求項45】
圧縮流体を貯蔵及び/又は輸送する方法であって、
内面、入口及び出口を有する外部タンクを提供する段階と、
外部タンク内に膜タンクを設置する段階と、ここで、膜タンクは外壁、入口及び出口を有し、膜タンクは可撓性であり、且つ外部タンクによって支持されているときは大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で圧縮流体を保持可能であり、外部タンクの内面と膜タンクの外壁との間に環状空間が形成されており、外部タンクは膜タンクを圧縮するために環状空間に第二の流体を受容可能であり、
所定の通常作動圧まで膜タンクに圧縮流体を充填する段階と、
環状空間に第二の流体を充填することによって、圧縮流体を膜タンクから排出する段階と
を有する方法。
【請求項46】
圧縮流体は第一の場所で膜タンクに充填され、
圧縮流体を第二の場所まで輸送する段階と、
第二の場所で圧縮流体を排出する段階と、ここで、圧縮流体を排出するために第二の場所において第二の流体が環状空間に充填され、
第一の場所に第二の流体を輸送する段階と、
第一の場所で第二の流体を排出する段階と、
を有し、第二の流体を排出するために第一の場所において圧縮流体が膜タンクへと充填される請求項45の方法。
【請求項47】
第二の流体は第一の場所において商業的価値を有し、
商業的価値のある第一の場所において第二の流体を販売する段階を有する請求項46の方法。
【請求項48】
圧縮流体が天然ガスであり、第二の流体が二酸化炭素である請求項47の方法。
【請求項49】
圧縮流体は二酸化炭素であり、第二の流体は天然ガスである請求項47の方法。
【請求項50】
圧縮流体の温度を所望の範囲内で維持するために、膜タンクに圧縮流体を充填する間に環状空間において所望の圧力を維持する段階を有する請求項45の方法。
【請求項51】
圧力下において流体の貯蔵及び/又は輸送をする装置であって、
内壁を備えるカルーセル缶と、
カルーセル缶の内部においてコイルを形成してコイル状の層になっている管と
を有し、管は大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で流体を保持可能であり、管はほぼ正方形の断面を有する装置。
【請求項52】
管の壁はコイル状の管の隣接部の壁及び/又はカルーセル缶の内壁によって過剰な拡張に備えて支持されている請求項51の装置。
【請求項53】
管の壁は、コイル形成を容易にするため、及び壁に構造安定性を付与するために、管の縦方向の軸に対して横方向に形成された波形構造を備える請求項52の装置。
【請求項54】
コイル状の層はほぼ円形である請求項53の装置。
【請求項55】
カルーセル缶内において内壁と管との間及び管の隣接するコイル間に隙間が形成されており、隙間はグラウト、エポキシ、炭化水素ベースの樹脂、断熱材及び繊維補強複合材からなる群から選択される材料によって充填されている請求項52の装置。
【請求項56】
圧力のかかった流体用のコンテナを形成する方法であって、
金属シートのコイル状リールを提供する段階と、
マンドレル上で金属シートを引くことによって、丸い角を備えた正方形の断面を有する管を形成する段階と、ここで、縦方向の継ぎ目が形成され、
縦方向の継ぎ目を溶接する段階と、
隣接するコイルへと管をコイル状に形成することによって第一の層を形成する段階と、ここで、次のコイルはそれぞれ直前のコイルの外側に隣接して位置しており、
隣接するコイルへと管をコイル状に形成することによって第二の層を形成する段階と、ここで、次のコイルはそれぞれ直前のコイルの内側に隣接して入りしており、第二の層は第一の層に隣接しており、管は第一及び第二の対向端部を有し、
第一の端部に気密弁を有する流入路を設ける段階と、
第二の端部に気密弁を有する流出路を設けることによって、第一の端部の気密弁と第二の端部の気密弁との間において管内に気密コンテナを形成する段階と、
を有し、気密コンテナは大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で気体を保持することができる方法。
【請求項57】
各々のコイルがほぼ円形である請求項56の方法。
【請求項58】
ほぼ円形のスピンドルとほぼ円形の外壁とを有するカルーセル缶を提供する段階を有し、
管はスピンドルの周りでコイル状にされており、各層の最も外側のコイルの最外縁は外壁に隣接しており、管が所定の通常作動圧で機能しているときにカルーセル缶が管の拡張を抑制するようにカルーセル缶と管のコイルとが形成されている請求項57の方法。
【請求項59】
各々のコイルは2Rの距離だけ離間している二つの平行な線を有する形状であり、線はそれぞれの端において半径Rを有する半円によって連結されている請求項56の方法。
【請求項60】
管のコイルに対して構造支持システムを設ける段階を有し、
構造支持システムは内部支持材を有し、各層の最も内側の最内縁は内部支持材に隣接しており、構造支持システムは外部支持材を有し、各層の最も外側の最外縁は外部支持材に隣接しており、管が所定の通常作動圧で機能しているときに構造支持ステムが管の拡張を抑制するように構造支持システム及び管のコイルが形成されている請求項59の方法。
【請求項1】
流体貨物の貯蔵及び/又は輸送用装置であって、
大気圧より少なくとも0.15MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持するためのコンテナを有し、
前記コンテナは一対の対向する先端部と、先端部の間に壁区画とを有し、
壁区画は、非円形断面を形成し、且つ丸い角によって連結された少なくとも二つの隣接するほぼ平らな側部を有し、
側部は一定の壁厚を有し、コンテナは、コンテナが所定の通常作動圧で流体貨物を含有する場合に側部が少なくとも壁厚分だけ外向きに広がることができるように構成されている装置。
【請求項2】
コンテナは空のときに自立できるよう十分に硬い請求項1の装置。
【請求項3】
コンテナは0℃以下の所定の通常作動温度に適応している請求項2の装置。
【請求項4】
コンテナは大気圧より少なくとも0.25MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持できる請求項3の装置。
【請求項5】
流体貨物は圧縮天然ガスであり、コンテナは大気圧より少なくとも0.50MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持することができる請求項4の装置。
【請求項6】
壁区画の非円形断面が長方形である請求項5の装置。
【請求項7】
コンテナが設計圧力で流体貨物を含有する場合、コンテナは側部が少なくとも壁厚の3倍まで外向きに広がることができるように構成されている請求項6の装置。
【請求項8】
壁区画の非円形断面は四つの丸い角によって連結された四つのほぼ平らな側部を備えるほぼ正方形であり、各々の側部は長さLsを有し、各々の丸い角は曲率半径Rcを有し、Ls/Rcの比率は約2から約6である請求項1の装置。
【請求項9】
Ls/Rcの比率は約3から約4である請求項8の装置。
【請求項10】
コンテナは大気圧より少なくとも1.0MPa高い所定の通常作動圧において流体貨物を保持することができ、コンテナは約−160℃の低さである所定の通常作動温度に適応している請求項8の装置。
【請求項11】
圧縮された気体を貯蔵及び/又は輸送するためのシステムであって、
大気圧より少なくとも約0.25MPa高い所定の作動圧において圧縮された気体を保持することができる複数の自立型コンテナと、
複数の自立型コンテナを取り囲む構造エンクロージャと
を有し、各々のコンテナは対向するエンドキャップとエンドキャップ間に配置された壁区画とを有し、壁区画は非円形断面を有し、各々のコンテナが少なくとも別の一つのコンテナに隣接して配置されることによって、圧縮された気体が充填されると各々のコンテナの壁区画の少なくとも一部は少なくとも一つの別のコンテナの壁区画に圧接し、
一部のコンテナの壁区画は構造エンクロージャに圧接し、構造エンクロージャに圧接する一部のコンテナの壁区画は、構造エンクロージャからもたらされる反力が存在しなければ、所定の作動圧において外向きに広がるシステム。
【請求項12】
構造エンクロージャは、複数のコンテナを受容するよう構成された陸上車両又は船舶を有し、前記陸上車両又は船舶は複数の内部支持材を有し、内部支持材は一つ以上の貨物室を形成し、内部支持材の一部は、構造エンクロージャに圧接する一部のコンテナの壁区画に対する外部支持を提供する請求項11のシステム。
【請求項13】
構造エンクロージャがISOコンテナを有する請求項11のシステム。
【請求項14】
自立型コンテナはほぼ正方形の断面と丸い角とを有する請求項13のシステム。
【請求項15】
ISOコンテナはほぼ立方体形状を有する請求項14のシステム。
【請求項16】
圧縮された流体を貯蔵及び/又は輸送するための船舶であって、
船首と、船尾と、船首を船尾と結ぶ対向する側部とを有する船体;
船首と船尾との間に延びる一又は複数の縦方向の支持壁;及び
側部間に延びる一又は複数の横方向の支持壁
を有し、側部と一又は複数の縦方向の支持壁と一又は複数の横方向の支持壁とによって複数の貨物室が形成されており、
圧縮された流体を保持するために各貨物室に少なくとも一つのコンテナが収容されており、各々のコンテナは一対の対向するエンドキャップ間に壁区画を有し、
コンテナの壁区画は側部、一又は複数の縦方向の支持壁、及び/又は一又は複数の横方向の支持壁によって外部から支持されることで、コンテナの壁区画の外向きの動きを抑制している船舶。
【請求項17】
少なくとも二つのコンテナが一つの貨物室に収容されており、前記少なくとも二つのコンテナの壁区画の一部が支持するために相互に支持されている請求項16の船舶。
【請求項18】
各々のコンテナの壁区画は非円形断面を有する請求項16の船舶。
【請求項19】
各々のコンテナの壁区画は、丸い角によって連結された少なくとも四つの比較的まっすぐな側壁パネルを有する請求項18の船舶。
【請求項20】
少なくとも一つのコンテナは、約−10℃未満の温度及び大気圧より少なくとも約0.75MPa高い所定の通常動作圧において圧縮天然ガスを保持することができ、圧縮天然ガスの圧力はコンテナの壁区画の側壁パネルを外向きに動かす圧力をもたらし、側部、一又は複数の縦方向の支持壁、及び/又は一又は複数の縦方向の支持壁はコンテナの壁区画の側壁パネルの外向きの移動を抑制する力をもたらす請求項19の船舶。
【請求項21】
圧縮された流体を貯蔵及び/又は輸送するためのコンテナであって、
複数の支持材を有するフレームと、
隙間に収容されるタンクと、
を有し、複数の支持材の一部が前記隙間を形成し、タンクは壁区画を有し、壁区画は非円形断面を有し、壁区画の一部は、隙間を形成する前記複数の支持材の一部の内の一又は複数の支持材によって支持されており、一又は複数の支持材は、壁区画の前記部分の外向きの拡大を制限するために、前記一又は複数の支持材によって支えられているタンクの壁区画の前記部分に外部支持をもたらし、
輸送コンテナは、圧縮された流体が大気圧より少なくとも約0.50MPa高い所定の通常作動圧である場合にタンクを保持できるコンテナ。
【請求項22】
輸送コンテナはほぼ立方体形状である外寸を有する請求項21のコンテナ。
【請求項23】
フレームは隣接するほぼ同一のフレームに連結されることによって、標準サイズのISO輸送コンテナを形成可能な請求項22のコンテナ。
【請求項24】
タンクの壁区画は、四つの丸い角によって連結される四つのほぼ平らな側壁パネルを有するほぼ正方形の断面を有する請求項21のコンテナ。
【請求項25】
9個のタンクが隙間に収容されている請求項24のコンテナ。
【請求項26】
フレーム中の隙間がフレームの壁によって形成されており、支持材がフレームの壁の中に位置しており、タンクの周囲に断熱部を有する請求項25のコンテナ。
【請求項27】
流体を貯蔵及び/又は輸送するための方法であって、
支持構造を提供する段階と、
流体を保持するためのコンテナであって、非円形断面と外面を有する壁部とを備える壁区画を有するコンテナを提供する段階と、
支持構造が壁部の外面に隣接するよう支持構造の隣にコンテナを配置する段階と、
を有し、
コンテナに流体が充填されて大気圧より少なくとも約0.15MPa高い圧力で作動しているときに、壁部は支持構造に支持されており、
支持構造が、コンテナの壁区画の壁部が広がるよう作用する流体の圧力によって生じる力の反力をもたらす方法。
【請求項28】
支持構造は船舶の一部である請求項27の方法。
【請求項29】
支持構造は、鉄道車両の一部又はトラックの一部である請求項27の方法。
【請求項30】
支持構造は地中におけるコンクリートで補強された穴を含む請求項27の方法。
【請求項31】
流体は、約−160℃から約30℃の温度と大気圧より約1MPa高い圧力を有する圧縮天然ガスである請求項27の方法。
【請求項32】
流体は水和物を含有する請求項27の方法。
【請求項33】
船舶又は陸上車両で圧縮天然ガスを貯蔵及び/又は輸送する方法であって、船舶及び陸上車両は貨物室を形成する貨物支持構造をそれぞれ有し、前記方法は、
圧縮天然ガスを保持するためのコンテナを提供する段階と、ここで、コンテナは一対のエンドキャップとエンドキャップの間に壁区画とを有し、壁区画は四つの丸い角と丸い角の間にほぼ平らな側壁パネルとを備える長方形の断面を有し、
壁区画の一部が貨物支持構造の一部に隣接するよう貨物室内にコンテナを配置する段階と、
コンテナに圧縮天然ガスを充填する段階と、
を有し、圧縮天然ガスは大気圧より少なくとも約1MPa高い圧力であり、圧縮天然ガスの圧力は壁区画に外向きの圧力を加え、
貨物支持構造の前記一部はコンテナの壁区画の前記一部の外向きの動きを抑制するための反力をもたらし、
コンテナの壁区画の前記一部は、支持構造によって支持されない場合、圧縮天然ガスの圧力によって外向きに動く方法。
【請求項34】
圧縮天然ガスを保持するためのタンクを提供する段階と、ここでタンクは一対のエンドキャップとエンドキャップ間に壁区画とを有し、壁区画は四つの丸い角と丸い角の間にほぼ平らな側壁パネルとを備える長方形の断面を有し、
タンクの壁区画の一部がコンテナの壁区画の第二の部分に隣接するよう貨物室内においてコンテナに隣接するようタンクを配置する段階と、
タンクに圧縮天然ガスを充填する段階と、
を有し、圧縮天然ガスの圧力はタンクの壁区画に外向きの圧力を加え、
コンテナの壁区画の第二の部分はタンクの壁区画の前記一部の外向きの動きを抑制するための反力をもたらし、
タンクの壁区画の前記一部は、コンテナの壁区画の第二の部分によって支持されない場合、圧縮天然ガスの圧力によって外向きに動く方法。
【請求項35】
コンテナ及びタンクは、空であり且つ貨物室外にある場合に、自立できるだけの十分な剛性を有する圧力容器である請求項34の方法。
【請求項36】
各貨物室は二つ以上の圧力容器を含有し、各圧力容器の壁区画は隣接する圧力容器と貨物支持構造の両方又は一方によって外部から支持されている請求項35の方法。
【請求項37】
壁区画の長方形の断面は四つの丸い角によって連結された四つのほぼ平らな側部を備えるほぼ正方形であり、各側部は長さLsを有し、各々の丸い角は曲率半径Rcを有し、比率Ls/Rcは約2から約5である請求項36の方法。
【請求項38】
比率Ls/Rcが約6より大きくなり得るように、エンドキャップ間の縦方向の壁区画に圧縮予備応力を加える段階を有する請求項37の方法。
【請求項39】
地中に圧縮流体を貯蔵する方法であって、
地中に穴を形成する段階と、ここで、穴は内壁によって形成されており、
穴にコンテナを設置する段階と、ここで、コンテナは圧縮流体を保持できるようになっており、且つエンドキャップとエンドキャップ間に壁区画とを有し、壁区画は所定の厚み、非円形断面、及び外面を有し、コンテナの壁区画の外面は地中の穴を形成する内壁に隣接しており、
大気圧より少なくとも約1MPa高い所定の通常作動圧までコンテナに圧縮流体を充填する段階と、
壁区画が壁区画内の力及び/又は地面から受ける反力によってそれ以上広がらなくなるまで、コンテナの壁区画が圧縮流体の圧力によって少なくとも壁区画の厚みと等しい分だけ外向きに広がることを許容する段階と
を有する方法。
【請求項40】
円筒形のコンテナを形成する方法であって、
円筒形の壁部を有する可撓性で薄い壁の密閉ライナを提供する段階と、
円筒形の壁を堅固な円筒形に保持するのに十分な圧力において密閉ライナを流体で充填する段階と、
密閉ライナの周囲に第一シート材を巻く段階と、
密閉ライナ及び/又は第一のシート材の周囲に第二のシート材を巻く段階と、
第一のシート材及び/又は密閉ライナに第二のシート材を結合する段階と、
密閉ライナ及び/又は第一のシート材及び/又は第二のシート材の周囲に第三のシート材を巻く段階と、
第一のシート材及び/又は第二のシート材及び/又は密閉ライナに第三のシート材を結合する段階と、
密閉ライナの周囲にシート材を引き続き巻いて結合することにより密閉ライナの周囲に所望の厚みまで壁を構築することによって、第一及び第二の対向端部を有する円筒構造材を形成する段階と、
第一及び第二の端部にエンドキャップを取付けることによって円筒形のコンテナを完成する段階と、
を有し、円筒形のコンテナは大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で圧縮流体を含有可能である方法。
【請求項41】
密閉ライナにあらかじめ応力を加える段階を有し、
円筒形のコンテナは丸い角を備える長方形の断面を有する請求項40の方法。
【請求項42】
圧縮流体の貯蔵及び/又は輸送用コンテナであって、
内面、入口及び出口を備える外部タンクと、
外部タンクの内部に位置する膜タンクと
を有し、膜タンクは外壁、入口及び出口を備え、膜タンクは可撓性であり、且つ大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で圧縮流体を保持することができ、
外部タンクの内面と膜タンクの外壁との間に環状空間が形成されており、
外部タンクは、膜タンクを圧縮するために環状空間に第二の流体を受容可能であり、及び/又は膜タンクから圧縮流体を排出可能であり、
膜タンクは、外部タンクが耐えられる圧力よりも高い圧力に耐えることができるコンテナ。
【請求項43】
外部タンクはISOコンテナとしての分類に対する要件を満たす請求項42のコンテナ。
【請求項44】
外部タンクは地中に存在する及び/又は地中に穴を有する請求項42のコンテナ。
【請求項45】
圧縮流体を貯蔵及び/又は輸送する方法であって、
内面、入口及び出口を有する外部タンクを提供する段階と、
外部タンク内に膜タンクを設置する段階と、ここで、膜タンクは外壁、入口及び出口を有し、膜タンクは可撓性であり、且つ外部タンクによって支持されているときは大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で圧縮流体を保持可能であり、外部タンクの内面と膜タンクの外壁との間に環状空間が形成されており、外部タンクは膜タンクを圧縮するために環状空間に第二の流体を受容可能であり、
所定の通常作動圧まで膜タンクに圧縮流体を充填する段階と、
環状空間に第二の流体を充填することによって、圧縮流体を膜タンクから排出する段階と
を有する方法。
【請求項46】
圧縮流体は第一の場所で膜タンクに充填され、
圧縮流体を第二の場所まで輸送する段階と、
第二の場所で圧縮流体を排出する段階と、ここで、圧縮流体を排出するために第二の場所において第二の流体が環状空間に充填され、
第一の場所に第二の流体を輸送する段階と、
第一の場所で第二の流体を排出する段階と、
を有し、第二の流体を排出するために第一の場所において圧縮流体が膜タンクへと充填される請求項45の方法。
【請求項47】
第二の流体は第一の場所において商業的価値を有し、
商業的価値のある第一の場所において第二の流体を販売する段階を有する請求項46の方法。
【請求項48】
圧縮流体が天然ガスであり、第二の流体が二酸化炭素である請求項47の方法。
【請求項49】
圧縮流体は二酸化炭素であり、第二の流体は天然ガスである請求項47の方法。
【請求項50】
圧縮流体の温度を所望の範囲内で維持するために、膜タンクに圧縮流体を充填する間に環状空間において所望の圧力を維持する段階を有する請求項45の方法。
【請求項51】
圧力下において流体の貯蔵及び/又は輸送をする装置であって、
内壁を備えるカルーセル缶と、
カルーセル缶の内部においてコイルを形成してコイル状の層になっている管と
を有し、管は大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で流体を保持可能であり、管はほぼ正方形の断面を有する装置。
【請求項52】
管の壁はコイル状の管の隣接部の壁及び/又はカルーセル缶の内壁によって過剰な拡張に備えて支持されている請求項51の装置。
【請求項53】
管の壁は、コイル形成を容易にするため、及び壁に構造安定性を付与するために、管の縦方向の軸に対して横方向に形成された波形構造を備える請求項52の装置。
【請求項54】
コイル状の層はほぼ円形である請求項53の装置。
【請求項55】
カルーセル缶内において内壁と管との間及び管の隣接するコイル間に隙間が形成されており、隙間はグラウト、エポキシ、炭化水素ベースの樹脂、断熱材及び繊維補強複合材からなる群から選択される材料によって充填されている請求項52の装置。
【請求項56】
圧力のかかった流体用のコンテナを形成する方法であって、
金属シートのコイル状リールを提供する段階と、
マンドレル上で金属シートを引くことによって、丸い角を備えた正方形の断面を有する管を形成する段階と、ここで、縦方向の継ぎ目が形成され、
縦方向の継ぎ目を溶接する段階と、
隣接するコイルへと管をコイル状に形成することによって第一の層を形成する段階と、ここで、次のコイルはそれぞれ直前のコイルの外側に隣接して位置しており、
隣接するコイルへと管をコイル状に形成することによって第二の層を形成する段階と、ここで、次のコイルはそれぞれ直前のコイルの内側に隣接して入りしており、第二の層は第一の層に隣接しており、管は第一及び第二の対向端部を有し、
第一の端部に気密弁を有する流入路を設ける段階と、
第二の端部に気密弁を有する流出路を設けることによって、第一の端部の気密弁と第二の端部の気密弁との間において管内に気密コンテナを形成する段階と、
を有し、気密コンテナは大気圧より少なくとも約0.5MPa高い所定の通常作動圧で気体を保持することができる方法。
【請求項57】
各々のコイルがほぼ円形である請求項56の方法。
【請求項58】
ほぼ円形のスピンドルとほぼ円形の外壁とを有するカルーセル缶を提供する段階を有し、
管はスピンドルの周りでコイル状にされており、各層の最も外側のコイルの最外縁は外壁に隣接しており、管が所定の通常作動圧で機能しているときにカルーセル缶が管の拡張を抑制するようにカルーセル缶と管のコイルとが形成されている請求項57の方法。
【請求項59】
各々のコイルは2Rの距離だけ離間している二つの平行な線を有する形状であり、線はそれぞれの端において半径Rを有する半円によって連結されている請求項56の方法。
【請求項60】
管のコイルに対して構造支持システムを設ける段階を有し、
構造支持システムは内部支持材を有し、各層の最も内側の最内縁は内部支持材に隣接しており、構造支持システムは外部支持材を有し、各層の最も外側の最外縁は外部支持材に隣接しており、管が所定の通常作動圧で機能しているときに構造支持ステムが管の拡張を抑制するように構造支持システム及び管のコイルが形成されている請求項59の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【公表番号】特表2010−525242(P2010−525242A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552001(P2009−552001)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/002750
【国際公開番号】WO2008/109006
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(503085067)エナシー トランスポート エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/002750
【国際公開番号】WO2008/109006
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(503085067)エナシー トランスポート エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
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