説明

圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、圧電単結晶素子

【課題】単結晶成長方向におけるチタン酸鉛の組成変動が抑制されたPb(Mg,Nb)O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、該全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製される均一な圧電特性を有し、低コストで製造可能な圧電単結晶素子を提供する。
【解決手段】Pb(Mg,Nb)O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴット1の製造において、前記リラクサーに対する前記チタン酸鉛の偏析係数を考慮して、前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向Aに単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さLにわたって±2.0mol%以下となるように、前記リラクサー原料を、育成ルツボ中に連続的に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全率固溶型圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、圧電単結晶素子に関するものであり、さらに詳しくは、チタン酸鉛組成変動が抑制された全率固溶型圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、該全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製される均一な圧電特性を有し、低コストで製造可能な圧電単結晶素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実用的な圧電材料としては、例えば、ジルコン酸鉛(PbZrO3)とチタン酸鉛(PbTiO3)の固溶体である、ジルコン・チタン酸鉛(PbZr X Ti(1-X)O3(x≒0.5))が知られている。
しかし、前記ジルコン・チタン酸鉛は、実用に適したサイズ、例えば1cm2の断面積を有する単結晶を得ることができず、微細な多結晶の集合体である焼結体として使用されている。そのため、前記ジルコン・チタン酸鉛結晶固有の優れた圧電特性を示す結晶方位を選別して利用することができず、前記焼結体を構成する微細結晶の各方位の平均値としての等方的特性のみしか利用することができないという問題がある。
【0003】
一方、Pb( A1,A2,・・・ , B1,B2,・・・) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなり、複合ペロブスカイト構造を有する全率固溶型の圧電単結晶(リラクサー・チタン酸鉛固溶体)は、実用に適したサイズ(例えば1cm2以上)の断面積をもつ板状の圧電単結晶素子を切り出すことができる大きさまで、前記圧電単結晶を育成させることが可能である。そのため、用途に応じて物質固有の優れた圧電特性を示す結晶方位を選別した実用サイズの圧電素子の製造が可能となる。
なお、Pb( A1,A2,・・・ , B1,B2,・・・) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶の一般的な種類としては、例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3)と、チタン酸鉛(PbTiO3)との固溶体(以下、PMN−PT又はPMNTと略記する)が挙げられる。
【0004】
また、前記圧電単結晶の育成方法としては、原料の融液から単結晶を育成するブリッジマン法もしくはチョクラルスキー法、又は、原料溶液から結晶を析出させるフラックス法もしくは該フラックス法の一つであるTSSG(Top Seeded Solution Growth)法などを用いることができる。
これらの方法を用いて前記圧電単結晶を育成する場合、所定の前記リラクサー及びチタン酸鉛の混合粉末又はリラクサー・チタン酸鉛固溶体の多結晶焼結ペレットなどの結晶原料をルツボ中に投入し、融解又は溶媒に溶解させた後、必要に応じて種結晶を用いて、前記単結晶原料を一方向に順次凝固させていくか、又は前記種結晶を引き上げていくことにより、所望の圧電単結晶を成長させる。なお、前記成長させた圧電単結晶の塊であり、加工前のものを、圧電単結晶インゴットと呼ぶ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記圧電単結晶インゴットを、上述の育成方法を用いて製造した場合、前記チタン酸鉛の組成分率(mol%)が、単結晶成長方向に単調に変化するという問題がある。例えば、前記PMN−PTを成長させる場合には、前記圧電単結晶インゴット中の前記チタン酸鉛の組成分率が単結晶成長方向に単調に増加するということである。
【0006】
そして、前記圧電単結晶インゴットから作製される圧電単結晶素子は、その圧電特性(キュリー温度(Tc)、比誘電率(ε)、電気機械結合係数(k)、圧電歪定数(d)など)が、素子中のチタン酸鉛濃度により変動することが知られている。
そのため、前記チタン酸鉛の組成分率の変化によって、前記圧電単結晶インゴット中の一部が実用上有効な圧電特性や耐熱性を示すチタン酸鉛濃度から外れる結果、歩留まりを低下させる原因になっていた。
【0007】
以上のことから、本発明は、単結晶成長方向におけるチタン酸鉛の組成変動が抑制された全率固溶型圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、該全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製される均一な圧電特性を有し、低コストで製造可能な圧電単結晶素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、検討を重ねた結果、前記融液には偏析係数(keff)が存在し、その偏析係数が1とは異なるため、前記融液から前記単結晶が析出する過程において、前記チタン酸鉛の組成分率が単調に変化することに着目した。前記圧電単結晶インゴットを成長させる際、keff<1の場合(PMN−PTなど)にはチタン酸鉛の比率が増加し、keff>1の場合(PZN−PTなど)にはチタン酸鉛の比率が減少することになる。
そして、さらに鋭意研究を重ねた結果、ブリッジマン法を用いて前記圧電単結晶インゴットの製造を行った場合、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつ前記リラクサーに対する前記チタン酸鉛の偏析係数(keff)に従って、前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向に単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さにわたって±2.0mol%以下となるように、前記リラクサーの原料を、育成ルツボ中に連続的に供給すれば、均一な圧電特性を有し、低コストで製造可能な圧電単結晶素子を得られることを見出した。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)ブリッジマン法を用いて製造された、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴットであって、前記圧電単結晶インゴットは、前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向に単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さにわたって±2.0mol%以下であることを特徴とする全率固溶型圧電単結晶インゴット。
【0010】
(2)前記全率固溶型圧電単結晶インゴットが、複合ペロブスカイト構造を有することを特徴とする上記(1)記載の全率固溶型圧電単結晶インゴット。
【0011】
(3)前記圧電単結晶インゴットが、さらに、Cr,Mn,Fe,Co,Al,Li,Ca,Sr,Ba及びZrからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素を、1molのPbを100質量%としたとき、合計で0.5質量ppm〜5質量%含有することを特徴とする上記(2)記載の全率固溶型圧電単結晶インゴット。
【0012】
(4)上記(1)、(2)又は(3)に記載された全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製された圧電単結晶素子。
【0013】
(5)ブリッジマン法を用いた、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴットの製造方法であって、前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向に単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さにわたって±2.0mol%以下となるように、前記リラクサーの原料を育成ルツボ中に連続的に供給することを特徴とする全率固溶型圧電単結晶インゴットの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単結晶成長方向におけるチタン酸鉛の組成変動が抑制された全率固溶型圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、該全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製される均一な圧電特性を有し、低コストで製造可能な圧電単結晶素子を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の圧電単結晶素子の限定理由について説明する。
本発明の全率固溶型圧電単結晶インゴットは、ブリッジマン法を用いて製造された、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴットである。
ここで、前記リラクサーとは、特異な誘電特性(リラクサーとは,誘電率のピークとなる周波数およびそのピーク値が試料温度に依存し、チタン酸バリウム(BaTiO3)などに比べるとピークがブロードであるという特性)を有する物質のことをいい、本発明では、上述のように、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつ。また、前記チタン酸鉛とは、その名の通り、鉛とチタンと酸素の化合物であり、室温ではペロブスカイト構造を有し、大きな異方性があるため、自発分極が生じ、圧電定数が高い物質である。なお、全率固溶型結晶とは、結晶中の2つの材料が、液体状態で完全に溶けあっており、固体状態でも完全に固溶しあう結晶をいう。
【0016】
ここで、図1は、本発明の全率固溶型圧電単結晶インゴットの側方から見た状態を、模式的に示したものである。
そして、本発明の圧電単結晶インゴットは、図1に示すように、前記チタン酸鉛の組成分率(mol%)が、単結晶成長方向Aに単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が、30mm以上の長さL(図1では斜線部分として示す。)にわたって±2.0mol%以下であることを特徴とする。
前記チタン酸鉛の組成分率の変動が抑制された圧電単結晶インゴット1が得られれば、圧電特性の変動がなく、素子として使用できる部分が多くなり、歩留まりも向上するためである。なお、前記変動の幅を±2.0mol%以下としたのは、2.0mol%を超えると、素子に用いた場合に圧電特性のバラツキ等が大きくなり、均一な特性が得られない可能性があるためである。
【0017】
本発明の全率固溶型圧電単結晶インゴット1を得るための製造方法としては、図2に示すように、ブリッジマン法を用いて製造された、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴット1の製造方法であって、前記リラクサーに対する前記チタン酸鉛の偏析係数を考慮して、前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向に単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さにわたって±2.0mol%以下となるように、前記リラクサー原料30を、育成ルツボ20中に連続的に供給する。
なお、ブリッジマン法とは、図2に示すように、ヒーター50等を用いて、ルツボ20中の材料を融点以上に加熱して融液40に融解させた後、一方向(図2では方向A)に凝固させる方法である。
【0018】
ここで、前記リラクサーに対する前記チタン酸鉛の偏析係数に従って、前記リラクサーの原料を追加する方法を説明する。
前記偏析係数(keff)とは、融液40から析出するリラクサー・チタン酸鉛固溶体単結晶中のチタン酸濃度の比率を規定した物質定数である。そして、このkeffが1とは異なる場合に、固溶体単結晶の偏析が進行し、PMN−PTの場合には、keff<1であるため、単結晶の成長方向に向かってチタン酸鉛の比率が増加することになる。
そのため、前記原料30をルツボ20中の融液40に追加投入することで、偏析によって減少したリラクサーを補い、本発明の全率固溶型圧電単結晶1の前記組成分率(mol%)の変動を、30mm以上にわたって一定(±2.0mol%以下)に保つことが可能となる。
ここで、前記原料30の投入方法としては、特に限定はしないが、例えば、組成調整して焼結させたペレットを、一定の時間間隔で定量的に切り出し、炉内へ投入する方法が挙げられる。
【0019】
また、本発明が対象とする結晶構造は、固溶体単結晶の単位格子を図3に模式的に示すように、Rイオン(例えばPbイオン)が単位格子の角に位置し、酸素イオンが単位格子の面心に位置し、Mイオンが単位格子の体心に位置するようなペロブスカイト構造(RMO3)であり、さらに、図3の体心位置にあるMイオンが、一種類の元素イオンでなく、2つ以上の複数の元素イオン( A1,A2,・・・ , B1,B2,・・・)のいずれからなる複合ペロブスカイト構造であることが好ましい。圧電単結晶素子を作製した場合、縦方向振動モードに適した素子を得ることができるためである。
【0020】
さらに、圧電単結晶素子の特性である、比誘電率εrや、機械的品質係数Qmを大きくする必要がある場合には、前記圧電単結晶インゴット1に、さらに、Cr,Mn,Fe,Co,Al,Li,Ca,Sr,Ba及びZrからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素を、1molのPbを100質量%としたとき、合計で0.5質量ppm〜5質量%含有させることが好ましい。
含有量が、0.5質量ppm未満だと、上記材料添加による効果が顕著でなく、5質量%を超える添加は単結晶を得るのが難しく、多結晶になるおそれがあるからである。これらの元素を添加する効果は、例えば、Mn,Cr,Fe,Coを添加することで機械的品質係数Qmの向上や経時劣化の抑制を図ることができる。また、Ca,Sr,Baの添加により比誘電率εrが向上する。また、Al,Liは単結晶成長時の多結晶領域の発生の抑制に寄与する。さらに、Caの添加により単結晶成長時のパイロクロア相発生を抑制することができる。
【0021】
また、本発明による全率固溶型圧電単結晶インゴット1から、圧電単結晶素子を作製することができる。本発明の全率固溶型圧電単結晶インゴット1は、前記組成分率の変動が一定の長さ(30mm以上)にわたって、低く(±2.0mol%以下)抑えられているため、1本の前記単結晶インゴット1から多くの単結晶圧電素子を得ることが可能となり、歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0022】
具体的な前記圧電単結晶素子の作製方法としては、例えば下記の工程を用いることができる。
(i)まず、得られた単結晶インゴットの必要な結晶学的方位を、例えば、ラウエ法などを用いて決定した後、切断機を用いて前記単結晶インゴットの粗切断を行い、必要に応じてエッチング液を用いて化学エッチングを施すことにより、所望のウェーハを得る。その後、得られた前記ウェーハを、ラッピング機、ポリッシング機などの研削機または研磨機によって研削又は研磨し、所望の厚さとした後、例えば、ダイシングソーやカッティングソーなどの精密切断機を用いて、前記ウェーハから切り出すことにより圧電単結晶素子材料を作製する。
(ii)その後、作製した圧電単結晶素子材料の上下面に対し、電極を作製し、圧電性を付与するための分極処理を施すことにより圧電単結晶素子を作製する。
【0023】
なお、上述したところはこの発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0024】
次に、本発明に従う全率固溶型圧電単結晶インゴットを試作し、特性を評価したので以下に説明する。
(実施例1及び比較例1)
実施例1及び比較例1は、68mol%マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)+32mol%チタン酸鉛(PT)(組成式:Pb[(Mg, Nb)0.68 Ti0.32]O3,PMN−PT)の固溶体単結晶を、融液材料40として用いた。
そして、実施例1については、図2に示すような装置10を用いた融液ブリッジマン法により、前記リラクサーの原料を育成ルツボ20中に連続的に供給しながら、全率固溶型単結晶インゴット1のサンプルを得た。
一方、比較例1については、図2に示すような装置10を用いて、従来の融液ブリッジマン法を用いて全率固溶型単結晶インゴット1のサンプルを得た。
【0025】
得られた各サンプルについて、インゴットの成長方向の長さ(mm)に対するチタン酸鉛の濃度(mol%)の関係を示すグラフを作成した。作成したグラフを図4に示す。
グラフの結果を元に、各サンプルについて、チタン酸鉛の組成分率の変動の大きさについて評価を行った。
【0026】
図4からわかるように、実施例1のサンプルは、素子の作製に用いる部分であるインゴット直胴部において、チタン酸鉛の組成分率(mol%)の変動が比較例1の変動に比べて小さく、成長方向の長さ(mm)に対して、均一の組成を有することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、単結晶成長方向におけるチタン酸鉛の組成変動が抑制された全率固溶型圧電単結晶インゴット及びその製造方法、並びに、該全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製される均一な圧電特性を有し、低コストで製造可能な圧電単結晶素子を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の全率固溶型圧電単結晶インゴットの側方から見た状態を示す平面図である。
【図2】融液ブリッジマン法に用いる装置を模式的に示した側断面図である。
【図3】ペロブスカイト構造(RMO3)の模式的斜視図である。
【図4】実施例1及び比較例1のそれぞれについて、インゴットの成長方向の長さ(mm)に対するチタン酸鉛の濃度(mol%)の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0029】
1 全率固溶型圧電単結晶インゴット
10 融液ブリッジマン法に用いる装置
20 育成炉
30 原料
40 融液
50 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジマン法を用いて製造された、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴットであって、
前記圧電単結晶インゴットは、前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向に単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さにわたって±2.0mol%以下であることを特徴とする全率固溶型圧電単結晶インゴット。
【請求項2】
前記全率固溶型圧電単結晶インゴットが、複合ペロブスカイト構造を有することを特徴とする請求項1記載の全率固溶型圧電単結晶インゴット。
【請求項3】
前記圧電単結晶インゴットが、さらに、Cr,Mn,Fe,Co,Al,Li,Ca,Sr,Ba及びZrからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素を、1molのPbを100質量%としたとき、合計で0.5質量ppm〜5質量%含有することを特徴とする請求項2記載の全率固溶型圧電単結晶インゴット。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載された全率固溶型圧電単結晶インゴットから作製された圧電単結晶素子。
【請求項5】
ブリッジマン法を用いた、Pb( Mg,Nb) O3の組成式をもつリラクサーと、PbTiO3の組成をもつチタン酸鉛とからなる全率固溶型圧電単結晶インゴットの製造方法であって、
前記チタン酸鉛の組成分率が、単結晶成長方向に単調変化することなく、かつ前記組成分率の変動が30mm以上の長さにわたって±2.0mol%以下となるように、前記リラクサーの原料を育成ルツボ中に連続的に供給することを特徴とする全率固溶型圧電単結晶インゴットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−280413(P2009−280413A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130909(P2008−130909)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000200301)JFEミネラル株式会社 (79)
【Fターム(参考)】