説明

圧電装置からのパルスの誘導結合

タイヤに付属しているタイヤ電子装置モジュール(200)へタイヤ回転関連信号を誘導的に連結するための装置及び方法が提供される。タイヤ電子装置モジュール(200)は、少なくとも圧電素子(212)及び送信器インダクタ(216)を含む信号送信モジュール(210)から誘導伝送によりタイヤ回転関連信号(220)を受信するように構成されている。信号送信器モジュール(210)及びタイヤ電子装置モジュール(200)は、物理的に互に離すことができ、又は、保護コーティング内に別々に又は一緒に収容することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ電子装置デバイスの分野に係るものであり、タイヤ電子装置デバイスへの信号の供給に関するものである。詳述するならば、本発明は、圧電装置からタイヤ電子装置デバイスへデータを誘導的に送信することに関する。
【背景技術】
【0002】
空気タイヤ構造体に電子装置を組み込むことにより、多くの実際的な利点が得られる。タイヤ電子装置は、例えば温度、圧力、タイヤ回転数、車両速度、速度対回転数、速度対温度、その他のタイヤの様々な物理的な動作パラメータに関する情報、並びに製造者、製造場所、製造日ほかの製造情報を得るために、センサ及びその他のコンポーネントを含むことができる。この種の性能情報は、タイヤ監視警報システムにおいて有用になる可能性があり、フィードバック・システムと一緒に使用することにより、適切なタイヤ圧力レベルに調整するために使用できる潜在的な可能性がある。空気圧によりタイヤの直径が多少変化するので、同一車両でのタイヤ間の回転数の差は、タイヤ空気圧の不足又は過剰を示している可能性がある。
【0003】
例えば、Frey他の米国特許第5,749,984号は、タイヤ変形、タイヤ速度及びタイヤ回転数のような情報を確定することができるタイヤ監視システム及び方法を開示している。Snyderの米国特許第4,510,484号に開示されているタイヤ電子装置システムの他の例は、タイヤ異常状態警報システムに係わる。Wing他の米国特許第4,862,486号(翼その他)も、タイヤ電子装置に係わるものであり、特に自動車及びトラックのタイヤに使用される典型的な積算回転計を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,749,984号
【特許文献2】米国特許第4,510,484号
【特許文献3】米国特許第4,862,486号
【0004】
更に、タイヤ構造体に一体化された電子装置システムによって得られる他の潜在的可能性としては、商業的な車両利用分野のための資産追跡及び性能特性がある。商用トラック群、航空機及び土木/採鉱車両は全て、タイヤ電子装置システム及びタイヤ関連情報伝送の利点を利用できる実現可能な工業分野である。タイヤセンサは、車両の各タイヤが走行した距離を測定することができ、従って、この種の商用システムのための保守計画の助けとなる。土木/採鉱装置に係わる利用分野のような費用のかかる利用分野で車両配置及び性能を最適化することもできる。無線(RF)タグ送信を利用することにより、商用トラック群全体を追跡することもできる。そのような利用の典型例は、Ghaem他の米国特許第5,457,447号に開示されている。
【特許文献4】米国特許第5,457,447号
【0005】
この種の一体化タイヤ電子装置システムは従来、多様な手法により様々な電力発生システムによって電力が供給されている。タイヤ運動からエネルギーを生成するための機械的な特徴の例は、Thompsonの米国特許第4,061,200号及びThomasの米国特許第3,760,351号に開示されている。これらの例は、最新のタイヤ応用技術により組み込むには一般に好ましくない大きく複雑なシステムである。タイヤ電子装置システムに電力を供給する別の例が、上記した米国特許第4,510,484号に開示されている。それは、タイヤの半径方向中心線の周りに対称に構成される圧電式リード状電源に係わる。
【特許文献5】米国特許第4,061,200号
【特許文献6】米国特許第3,760,351号
【0006】
タイヤ電子装置システムに電力を供給するのための他の代表的な解決法は。非充電式電池を使用することである。しかし、それは、電子装置システムの正常動作が定期的な電池交換にかかっているので、タイヤの使用者にとっては本質的には不便なものである。また、従来の電池は、多量に使用されている場合には特に廃棄の問題が生じる、環境問題に不都合な重金属を含んでいることが多い。更に、複雑な機能の電子応用装置へ電力を供給する場合には、電池は、蓄積しているエネルギーを急速に消耗する。電池の蓄積エネルギーの消耗は、例えばトラックホイール位置からトラック運転室内の受信器までのような比較的遠い距離を情報送信する電子システムでみられる。ホイール位置からより近い受信器位置まで送信する電子装置システムに電池が使用される場合でも、情報は、無線受信器の位置がら運転室まで有線の伝送媒体を介して情報は中継され、そのため、車両内にしばしば高価である有形通信手段を追加的に装備することが必要となる。
【0007】
タイヤ監視システムのための電力を取り出すための他の既知の方法は、タイヤ及びその一体化電子装置に非常に近接したインタロゲーションアンテナで無線ビームパワーを回収することに係わる。アンテナから放射されるエネルギーは回収されて、電子装置に電力を供給する。しかし、その電子装置は多くの場合、数マイクロワットに制限されている非常に特殊な超低電力電子装置でなければならない。ビームで電力供給される電子装置と共に使われるインタロゲーションアンテナは、送信レンジが限られているので、各ホイールに比較的近接して(およそ2フィート以内に)に置かれなければならない。これは、1つの車両当り複数のインタロゲーションアンテナを必要とし、従って、潜在的に装備費用を増すことになる。一方、各アンテナは、道路の障害物により損傷を受け易く、道路の危険から損害までとても動かされやすい、従って、多くの理由のために、或るタイヤ電子装置利用装置に電力を供給するための最も望ましい解決法でない可能性がある。
【0008】
本発明によれば、圧電材料の確かな利点が長く認識されていると認められる。しかし、この技術は改良され続けており、改善された動作能力を有する圧電材料を利用した応用例を実現できる潜在的可能性がある。圧電技術の比較的最近の例が、Hagood, IV他の米国特許第5,869,189号及びHagood, IV他の米国特許第6,048,622号に開示されている。それは、構造的な制御のために複合物に係わるものである。ここに開示する本発明は、データ送信を最適な電力変換装置と組み合わせることができ、且つタイヤ又はホイールの組立体と一体化できるように圧電技術を更に進歩させるものである。
【特許文献7】米国特許第5,869,189号
【特許文献8】米国特許第6,048,622号
【0009】
上記した全米国特許文献の開示内容の全てを、ここに引用することにより本明細書に組み込んで、本明細書の一部を成すものである。各種の電力発生システムが既に開発されているが、以下に開示する本発明による所望特性を全て含んだ構成は出現していない。タイヤ電子装置システムに使用する圧電装置に関連する様々な形状が既に開発されており、且つ従来技術を利用してタイヤ又はホイールの組立体から様々な組合せの情報が無線中継されているが、本発明により本件出願により開示する望ましい特徴の全てを全体として備える構成は未だ出現していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が対象とする従来技術の問題に鑑みて、本発明は、タイヤ構造体内に一体化された圧電装置を利用して信号送信するための方法及び装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のより具体的な特徴によるならば。本発明の1つの特徴は、圧電装置を含む一体化電子部品を空気タイヤに設けることである。ここで、用語「一体化」とは、タイヤ又はホイールの構造体に素子や部品や装置を付属させることができる任意の且つ全ての態様を含む意味に使用していることを留意されたい。非限定的な例としては、タイヤ又はホイールの構造体の内面又は外面に素子や部品や装置を固定することや、タイヤ又はホイールの構造体の内部に素子や部品や装置を埋め込むことを上げることができる。1つの典型的な電子装置応用例は、タイヤの回転を測定しタイヤ回転に係わる情報を送信するように構成されたタイヤ監視システムであるが、圧力及び温度のような他のタイヤの状態並びにタイヤ識別変数のような他の情報及び/又はそれらの情報の組合せを送信することもできることも留意されたい。そのような電子装置部品は、一体化圧電装置で回収されてエネルギーから電力供給することも任意に可能であり、様々な電子装置応用例に対応させることもできる。
【0012】
本発明のタイヤ電子装置システム及び特別なデータ送信方法の様々な機能及び特徴は、複数の利点をもたらす。本発明は、回転感応デバイスをタイヤ電子装置コンポーネントに直接接続することに依存しないタイヤ回転検出システムを実現する。更に、電池及び電池動作デバイスを本発明の特徴と組み合わせることもできるが、電池から電力を供給されるだけのタイヤ電子装置に関する多くの複雑なものが、タイヤ電子装置のための動作電圧源としてタイヤ回転感応圧電装置を使用することにより、本発明の選択自在な特徴によって取り除かれることができる。
【0013】
本発明のもう1つの利点は、タイヤの高振動環境のために生じている悪影響を減らすことによって、システムの動作信頼性を改善するタイヤ監視システムが提供されることである。例えば、タイヤ回転センサからタイヤ電子装置への直接ワイヤ接続が全く必要ない。
【0014】
本発明の選択自在な特徴の更に別の利点は、タイヤ及びホイール組立体内で利用可能な電子装置の形式及び量に関する制限が殆どないことである。従来の方法によって電力を供給されるタイヤ電子装置は、多くの場合、超低電力装置に限られている。本発明による装置は、そのような極端な電力制限を必ずしも受けない。より多くのコンポーネント及び/又はより高レベルの装置を利用できる潜在的可能性があるので、この利点は、タイヤ電子装置の機能性を容易に高めることができる。
【0015】
本発明の更に別の利点は、タイヤ回転及び回転関連パラメータを検出するための本発明のシステム及び方法が様々な既存の応用例に従って使用できるということである。測定装置、監視及び警告システム、車両フィードバックシステム及び資産追跡は、商用トラック群、航空機及び土木/採鉱装置のような応用分野で潜在的な可能性がある。
【0016】
本発明の1つの典型的な実施例において、一体化電子装置を有する空気タイヤ組立体は、タイヤ構造体と、アクティブ圧電装置と、調整モジュールと、送信モジュールと、電子装置パッケージとを具備している。より好ましくは、タイヤ構造体は、地面と接触する外側トレッド部分を有するクラウンと、タイヤをホイールリムに着床させるビード部分と、各ビード部分とクラウンとの間に延びている外側サイドウオール部分と、クラウンとサイドウオールの内側面に沿ったライナとによって特徴づけられる。調整モジュール及び送信モジュールは、圧電装置に電気的に接続され、圧電装置内で生成された電気のインパルスを受けて、タイヤ回転関連信号出力を発生する。その出力は送信装置の送られ、その送信装置は、タイヤ回転関連信号を電子装置パッケージ内の選択した装置に転送する。圧電装置と調整モジュールと送信モジュールとは、タイヤのクラウンの内側表面に接着することもでき、又は、圧電装置と調整モジュールと送信モジュールとは、タイヤ構造内に直接に埋め込むこともできる。
【0017】
本発明の更に別の典型的な実施例は、ホイール組立体内に一体化した圧電装置からタイヤ回転関連信号を生成するための方法である。この方法における最初のステップは、アクティブ圧電装置を用意して、ホイール組立体の選択した内部の位置に組込むことを含む。タイヤ回転関連信号を生成するための本方法の次のステップは、ホイール組立体が地面上を回転しているときに一般に発生する機械的な歪みをホイール組立体に生じさせ、その結果としてホイール組立体の一部が撓んで、ホイール組立体に設けられている圧電装置が電流を生成することを含む。その発生した電流は、調整されて、誘導装置に印加され、その誘導装置は、ホイール組立体に付属する電子装置に、タイヤ回転関連信号を送信する。
【0018】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明において述べると共に、以下の詳細な説明から当業者には明らかになる筈である。更に、以下に詳細に図示し説明し参照し検討する本発明の特徴や工程に対する変更や修正は、本発明の技術思想の範囲から離れることなく、本発明の様々な実施例や使用方法において実現可能であることも理解される筈である。変更や修正には、限定するものではないが、図示し説明し参照し検討した様々な要素、特徴、工程などの均等手段への置換並びに図示し説明し参照し検討した様々な要素、特徴、工程などの機能上、動作上、位置上の逆転も含まれる。
【0019】
更に、本発明の様々な実施例や様々な現在好ましい実施例は、ここに開示する特徴や工程や要素やそれらの均等物の様々な組合せや配置(図面に明確に示されていない又は図面を参照しての詳細な説明に記載さていない特徴や部品や工程や配置の組合せも含む)を含むものである。本明細書の「課題を解決するための手段」において必ずしも説明していない本発明の他の実施例は、本明細書の「課題を解決するための手段」において言及した特徴や部品や工程、及び/又は本明細書において別に検討している他の特徴や部品や工程の性質の様々の組合せも含むこともできる。本明細書の他の部分を検討することにより、当業者は、上記した実施例及びほかの特徴を更に良く理解できるであろう。
【実施例】
【0020】
添付図面を参照した本明細書において、当業者に向けた最良態様を含めて本発明を十分且つ実施可能に説明する。
【0021】
図1は、圧電装置から一体化タイヤ電子装置まで信号を供給するための既知の構成を図示する。
【0022】
図2は、圧電信号源から一体化タイヤ電子装置モジュールまでの、本発明による誘導結合を図示する。
【0023】
図3は、圧電装置と一体化タイヤ電子装置との本発明によるタイヤ構造体への組み込みを全体的に図解している。
【0024】
本発明の同一又は同様な特徴又は要素を指示するために、本明細書全体及び全添付図面において同一の参照番号を使用する。
【0025】
本明細書の「課題を解決するための手段」において述べたように、本発明は、タイヤ構造体内に一体化した電子装置システムにタイヤ回転関連信号を送信する改良したシステム及び方法に特に関するものである。
【0026】
本発明の特徴の選択的な組合せは、本発明の複数の異なる実施例に対応する。本件出願において開示して検討する典型的な実施例の各々は本発明を限定するものではないことは理解されたい。1つの実施例の一部として図示し又は説明した特徴又は工程は、別の実施例の特徴と組み合わせて、更に別の実施例を構成する。更に、或る特徴は、同一又は同様な機能を果たすここに明示的に説明していない同様な装置又は特徴と置換可能である。
【0027】
本発明による誘導結合装置及び方法の現在好ましい実施例を以下参照する。図面を参照するならば、図1は、空気タイヤ又はホイールの組立体を埋め込まれるか又は付属させることができるタイヤ電子装置の部品に圧電装置から信号を結合するための既知の構成を図示している。
【0028】
図1からわかるように、主タイヤ電子装置モジュール100は、任意の数の異なる形式のタイヤパラメータ監視装置に対応させることができ、様々な方法によりタイヤ又はホイールの組立体に付属させることができ、それら方法の内の幾つかを上述した。同様に、少なくとも圧電素子112に対応する圧電装置110は、主タイヤ電子装置モジュール100に付属させられており、1つ以上の電気導体120を介して接続されている。電気導体120は、タイヤ電子装置モジュール100内の選択した電子要素にタイヤ回転信号を送り、更に、圧電装置112によって発生されたかもしれない他の運動関連信号又は他の電気信号を、タイヤ電子装置モジュール100内に部品及び回路によって使用されるように送るために構成することができる。
【0029】
本発明によれば、上記部品を付属させることができるタイヤ又はホイールの組立体の回転により生じる高速振動及び相対的な物理的な運動は、電気導体120により与えられている電気的な接続に対して有害な衝撃を与える場合があることが発見された。更に、1つ以上のワイヤを突き出している場合、様々なモジュールを効果的に密封することは難しいことが分かった。
【0030】
図2を参照するならば、本発明による典型的な信号結合構成の概略図が図示されている。図2からわかるように、他の全ての点において主電子装置モジュール100と均等でもよい主タイヤ電子装置モジュール200には、受信器インダクタ202が設けられており、その受信器インダクタ202は、タイヤ電子装置モジュール200内の電子回路パッケージ204にタイヤ回転関連信号を供給する。同様に、圧電装置110に多くの点で同様である圧電装置210には、送信器インダクタ216が設けられており、その送信器インダクタ216は、圧電装置210からのタイヤ回転関連信号を、象徴的に図解した磁界により、主タイヤ電子装置モジュール200内の受信器インダクタ202に結合する。
【0031】
主タイヤ電子装置モジュール200の正確な性質は、当該モジュールがその動作のために外部から供給されるタイヤ回転関連信号を必要とする以外は、本発明によって限定するものではないことに留意されたい。主タイヤ電子装置モジュール200単独で又は様々な組合せにより提供可能な機能の選択肢の非限定的な例には、温度、圧力、回転数、タイヤ速度、所与の温度での速度対時間、所与の速度での距離対時間、所与の温度での距離対時間、並びに、タイヤ固有の製造データの記憶及び検索、更に、そのようなデータ全ての送信と受信がある。
【0032】
本発明の或る典型的な実施例において、タイヤ電子装置モジュール200のための動作電力は、圧電装置210から前部又は一部を供給することができる。1つの典型的な構成において、タイヤ電子装置モジュール200は、圧電装置214によって生じるパルスから回収されたエネルギーで充電可能な再充電可能な電池206を含むことができる。本発明の他の典型的な実施例では、タイヤ電子装置モジュール200のための動作電力の全てが、圧電装置214から回収されるエネルギーから供給することができる。
【0033】
図2に図示したように、本発明の圧電装置210の典型的な実施例は、図1に図示した圧電装置110と実質的に均等である運動感応圧電装置212に対応する。更に、圧電装置210は、任意に設けることができる変換回路214を含むことができる。その変換回路214は、運動感応圧電装置212の出力に接続されて、運動感応圧電装置212からパルスを、狭い幅のすなわち高電流のパルスに変換して、送信器インダクタ216へ供給する。本発明の他の典型的な実施例においては、変換回路214は更に、データコード化回路を含み、様々な形式の情報が圧電装置210からタイヤ電子装置モジュール200に誘導的に送信することができる。
【0034】
本発明の他の典型的な実施例において、運動感応圧電装置212によって生成されるパルスの周波数が十分に高く且つインダクタの値が十分に高い場合、運動感応圧電装置212は送信器インダクタ216に直接接続することができる。多くの場合、より経済的な結合方法は、より小さいインダクタを使用し、更に、例えば変換回路214によって、圧電装置212が生成したエネルギー・パルスを狭い幅のすなわち高エネルギーのパルスに変換するように電子回路を付加することである。狭い幅のパルスを送信する方法はまた、送信レンジを大きくし、ノイズ耐性を高める。
【0035】
変換回路214が設けられている場合も設けていない場合もある圧電装置210は、保護被覆材料で完全に覆うことができる。本発明がタイヤ電子装置モジュール200にタイヤ回転関連信号を無電送信するので、外部ワイヤを接続するような物理的なアクセスは全く必要でない。従って、完全に密封された圧電装置モジュールを設けることが可能となる。更に、タイヤ電子装置モジュール200にタイヤ回転関連信号を供給するために外部接続ワイヤが必要ないので、タイヤ電子装置モジュールは、保護被覆材料で完全に覆うことができる。本発明の別の実施例では、圧電装置210とタイヤ電子装置モジュール200とを一緒に共通の保護被覆材料で覆うこともできる。
【0036】
変換回路214は、圧電装置212から供給されるタイヤ回転関連信号から狭い幅のパルスを生成して、誘導性負荷に供給することができる入手可能な適切なパルス発生回路とすることができる。本発明で動作するように構成可能なパルス発生回路の1つの例が、本件出願の出願人に譲渡され発明の名称「Power Conversion From Piezoelectric Sources」で2004年6月29日に出願されて現在係属中の米国特許出願第10/880197号に開示されている。米国特許出願第10/880197号をここに引用して全内容を本明細書に組み入れるものである。そこには、他の電子装置や回路と一緒に使用するために圧電式電源からの電力を調節するために使用できるバルク変換器の形式の電力変換回路が他のものと一緒の図解されている。当該技術で周知のように、古典的なバルク変換器は、直列接続されたインダクタ素子によってキャパシタが充電できるような構成に対応する出力段を一般に具備している。一般に、キャパシタをパルスで充電するように動作する。この種類のパルス生成は、本発明の誘導送信器216をエネルギー供給するのに効果的に利用することができる。
【特許文献9】2004年6月29日出願の米国特許出願第10/880197号
【0037】
図3は、外側トレッド部分308を有するクラウンと、ビード部分と、各タイヤ・ビード及びクラウンとの間に延びているサイドウオール部分306とによって特徴づけられる空気タイヤ300の典型的な透視図を示している。内側ライナ302が、クラウンとサイドウオールの内側表面に設けられており、その内側ライナ302に、本発明によるタイヤ電子装置モジュール及び/又は圧電装置304を取りつけることができる。本発明によれば、上述したように、タイヤ電子装置及び/又は圧電装置を、タイヤだけでなく付属するホイール組立体にも沢山の方法により付属させることができることを図解するためのみに図3に図解する取り付け構成を示していることを留意されたい。
【0038】
以上、特定な実施例を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明では上記実施例を変更、変形し、均等物に置換できるということは当業者には理解できよう。従って、上記の開示は、単なる例であって本発明がそれに限定されるものではなく、本発明は変更、変形及び/又は追加を除外するものではないということは当業者には理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】圧電装置から一体化タイヤ電子装置まで信号を供給するための既知の構成を図示する。
【図2】圧電信号源から一体化タイヤ電子装置モジュールまでの、本発明による誘導結合を図示する。
【図3】圧電装置と一体化タイヤ電子装置との本発明によるタイヤ構造体への組み込みを全体的に図解している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置モジュールを設け、
出力端子を有する運動感応圧電装置を設け、
入力端子を有する送信器インダクタを設け、
前記送信器インダクタの前記入力端子に前記運動感応圧電装置の前記出力端子を結合し、
前記電子装置モジュールのすぐ近くに前記送信器インダクタを配置し、
それによって、 信号が、誘導結合によって前記運動感応圧電装置から前記電子装置モジュールに供給されることを特徴とする、電子装置モジュール信号を供給するための方法。
【請求項2】
前記電子装置モジュールを設ける工程は、
パラメータ感応電子回路を設け、
受信器インダクタを設け、
前記パラメータ感応電子回路に前記受信器インダクタを結合することからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラメータ感応電子回路と前記受信器インダクタとを保護被覆で覆うことを更に具備することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記圧電装置と前記送信器インダクタとの間に変換回路を結合することを更に具備し、前記変換回路は、前記圧電装置からパルスを、狭い幅で高エネルギーのパルスに変換して前記送信器インダクタに供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記圧電装置と前記送信器インダクタとを保護被覆で覆うことを更に具備することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧電装置と前記変換回路と前記送信器インダクタとを保護被覆で覆うことを更に具備することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
電子回路への信号転送のための受信器インダクタに結合されている前記電子回路を含むタイヤ電子装置モジュールと、
圧電装置からの信号転送のための送信器インダクタに結合されている前記圧電装置を含む信号送信器モジュールと
を具備しており、前記信号送信器モジュールの前記送信器インダクタから前記タイヤ電子装置モジュールの前記受信器インダクタへ信号が誘導的に転送されるように前記タイヤ電子装置モジュール及び前記信号送信器モジュールが配置されている
ことを特徴とするタイヤ電子装置システム。
【請求項8】
前記信号送信器モジュールは、前記圧電装置と前記送信器インダクタとの間に結合された変換回路を更に有しており、前記変換回路は、前記圧電装置からパルスを、狭い幅で高エネルギーのパルスに変換して前記送信器インダクタに供給するように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項9】
前記タイヤ電子装置モジュール及び前記信号送信器モジュールは、エラストマ保護被覆で別々に覆われていることを特徴とする、請求項8に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項10】
前記タイヤ電子装置モジュール及び前記信号送信器モジュールは、エラストマ保護被覆で一緒に覆われていることを特徴とする、請求項8に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項11】
前記タイヤ電子装置モジュールの前記電子回路は、タイヤパラメータ感応電子回路であることを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項12】
前記電子回路は、誘導的に送信された信号からその動作電力の少なくとも一部を受けるように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項13】
タイヤと、
電子回路への信号転送のための受信器インダクタに結合されている前記電子回路を含むタイヤ電子装置モジュールと、
圧電装置からの信号転送のための送信器インダクタに結合されている前記圧電装置を含む信号送信器モジュールと
を具備しており、前記タイヤの回転しているとき、前記圧電装置により信号が発生されて、前記信号送信器モジュールの前記送信器インダクタから前記タイヤ電子装置モジュールの前記受信器インダクタへ誘導的に転送されるように、前記タイヤ電子装置モジュール及び前記信号送信器モジュールは、前記タイヤに付属しており、そして相互に対して且つ前記タイヤに対して位置付けられていることを特徴とするタイヤ電子装置システム。
【請求項14】
前記信号送信器モジュールは、前記圧電装置と前記送信器インダクタとの間に結合された変換回路を更に有しており、前記変換回路は、前記圧電装置からパルスを、狭い幅で高エネルギーのパルスに変換して前記送信器インダクタに供給するように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項15】
前記タイヤ電子装置モジュール及び前記信号送信器モジュールは、エラストマ保護被覆で別々に覆われていることを特徴とする、請求項14に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項16】
前記タイヤ電子装置モジュール及び前記信号送信器モジュールは、エラストマ保護被覆で一緒に覆われていることを特徴とする、請求項14に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項17】
前記タイヤ電子装置モジュールの前記電子回路は、タイヤパラメータ感応電子回路であることを特徴とする、請求項13に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項18】
前記タイヤ電子装置モジュールは、当該タイヤ電子装置モジュール内の前記電子回路に動作電力を供給するための電池を更に具備しており、前記電子回路は、前記圧電装置によって発生されて前記受信器インダクタによって受けられたパルスからエネルギーを回収して前記電池を充電するように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載のタイヤ電子装置システム。
【請求項19】
前記電子回路は、前記圧電装置によって発生されて前記受信器インダクタによって受けられたパルスからエネルギーを回収するように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載のタイヤ電子装置システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−544349(P2008−544349A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515679(P2008−515679)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/020987
【国際公開番号】WO2006/135370
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(599140471)ソシエテ ドゥ テクノロジー ミシュラン (96)
【出願人】(597011441)ミシュラン ルシェルシェ エ テクニク ソシエテ アノニム (94)
【Fターム(参考)】