説明

地図データ作成装置、地図データ更新システム及び表示色データ作成方法

【課題】各地域の風景の印象色を表現した地図の「地図データ作成装置、地図データ更新システム及び表示色データ作成方法」を提供する。
【解決手段】区域毎空中写真抽出部21において、空中写真データベースから、特定の都市などである対象区域の空中写真の画像データを抽出し、地図データ(a)に基づいて(b)、道路/建物/緑地といった図形オブジェクト種別毎に、抽出した画像データが表す対象区域の画像のうちの、当該種別の図形オブジェクトが配置される領域(c)内の、各色の出現頻度分布を算定すると共に、算定した出現頻度分布より、各図形オブジェクト種別の代表色を算定し、算定した代表色を、当該種別の表示オブジェクトの表示色として、対象区域の各種別の表示オブジェクトの表示色を規定する区域毎カラーパレットに登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、地図の表示色を設定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地図の表示色を設定する技術としては、地図を構成する各図形オブジェクトの表示色を図形オブジェクトが表す地物(河川、道路、建物、山間など)に応じた種別に応じて設定するナビゲーション装置において、都会地域と田舎地域とで、各種別の図形オブジェクトの表示色を切り替える技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、地図の表示色を設定する技術としては、地図の構成する各図形オブジェクトの表示色を、図形オブジェクトに対応する区域の土地利用区分に応じて設定する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
また、画像の代表色を算出する技術としては、各色区間について、当該色区間内の色の出現頻度を当該色区間に対する人間の色に対する視覚的印象度で重み付けした評価値を求め、求めた評価値が最大となる色区間内の色を、画像の代表色として算定する技術が知られている(たとえば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-338748号公報
【特許文献2】特開2007-114455号公報
【特許文献3】特開2008-234124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、たとえば、同じ都市であっても、都市には都市毎に固有の風景の印象色があるなど、同種の地域であっても、各地域は固有の風土や歴史に応じた風景の印象色を持っている。
しかしながら、上記した従来の地図の表示色を設定する技術によれば、地図の表示色によって、このような地域毎の風景の印象色を表現することができず、地図上において、同種の地域は、どの地域も同じように表現されていた。そして、このために、表示される地図は、平板で情緒に欠けるものとなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、各地域の風景の印象色を表現した地図を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、地図データを作成する地図データ作成装置に、地物を表す複数の図形オブジェクトが配置された地図を表す地図データと、空中写真画像を表す画像データと、複数の区域を規定する区域データとに基づいて、前記各種別の図形オブジェクトの表示色を定める表示色データを、前記区域データが規定する区域毎に作成する表示色設定部を備えたものである。ここで、前記図形オブジェクトには、当該図形オブジェクトが表す地物の種類に応じた種別が設定されており、前記表示色設定部は、前記区域データが規定する各区域について、前記図形オブジェクトの各種別の代表色を算定する代表色算定部と、前記代表色算定部が算定した代表色を、当該代表色を算定した区域の、当該代表色を算定した種別の図形オブジェクトの表示色として、当該代表色を算定した区域の前記表示色データを作成する表示色データ作成部とを備えている。そして、前記代表色算定部は、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の代表色を、当該種別の代表色として算定する。
【0008】
ここで、このような地図データ作成装置は、前記代表色算定部において、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の色出現頻度分布に基づいて、当該種別の代表色を算定するよう構成してもよい。また、この場合に、前記代表色算定部は、所定サイズの色区間であって、前記色出現頻度分布において、前記代表色算定部において、当該色区間中の色の出現頻度数が最多の色区間中の色を前記代表色として算定するようにしてもよい。
【0009】
このような地図データ作成装置によれば、所定の区域毎に、現実の地物を撮影した空中写真に基づいて、地物を表す各図形オブジェクトの表示色が、図形オブジェクトが表す地物の種類毎に設定されるので、地図の表示色を、各地域の風景の印象色を表現できるように定めることができる。
【0010】
なお、前記区域データが規定する区域には、都市毎の区域が含めることが好ましい。このようにすることにより、各都市の地図を、各都市毎に、当該都市固有の風景の印象色で表示することができる。
また、前記表示オブジェクトの種別には、道路を表す図形オブジェクトの種別や、建物を表す図形オブジェクトの種別や、常緑樹地帯を表す図形オブジェクトの種別や、広葉樹地帯を表す図形オブジェクトの種別や、牧草地を表す図形オブジェクトの種別や、田畑を表す図形オブジェクトの種別などを含めるようにしてよい。
【0011】
また、以上の地図データ作成装置には、予め定めた各種別の代表色が満たすべき条件に従って、前記代表色算定部が各区域について算定した、前記各種別の代表色を補正する代表色補正部を設けることも、視認性のよい地図の表示色を設定する上で好ましい。なお、この場合には、前記各種別の代表色が満たすべき条件としては、道路である図形オブジェクトの種別の代表色が含まれる輝度範囲の条件や、道路である図形オブジェクトの種別の代表色と、他の図形オブジェクトの種別の代表色との間の、コントラストの最小値の条件などを用いることができる。
【0012】
ここで、本発明は、このような地図データ作成装置で作成された表示色データを用いて地図を表示する地図表示装置として、地図データ作成装置が作成した前記表示色データと、前記地図データと、前記区域データとを記憶した記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記地図データが表す各図形オブジェクトを、前記記憶装置に記憶された前記区域データが規定する区域の内の当該図形オブジェクトが含まれる区域の、前記記憶装置に記憶された表示色データが定める当該図形オブジェクトの種別の表示色で表示した地図を表示する地図表示装置も提供する。
【0013】
ここで、このような地図表示装置は、ナビゲーション装置などに適用することができる。すなわち、この場合には、たとえば、地図表示装置と、現在位置を算出する現在位置算出部と、前記地図表示装置が表示した地図上に、前記現在位置を表す現在位置マークを表示する現在位置案内部と共にナビゲーション装置を構成するようにすればよい。
【0014】
ここで、前記課題達成のために、本発明は、以上の地図データ作成装置と、前記地図データ作成装置が作成した前記各区域の表示色データを配信するサーバとを含んで構成される表示色データ配信システムと、上述した地図表示装置やナビゲーション装置とを備えた地図データ更新システムも提供する。ここで、このような地図データ更新システムにおいて、前記地図データ作成装置は、前記空中写真画像を表す画像データが更新される度に、前記各区域の表示色データを作成するものであり、前記地図表示装置やナビゲーション装置は、前記サーバから、所定の期間毎に最新の前記表示色データを取得し、前記記憶装置に記憶されている前記表示色データを更新する表示色更新部を備えたものである。
【0015】
このような地図データ更新システムによれば、地図表示装置やナビゲーション装置において、季節毎に移ろう各区域の風景の印象色を、地図において表現することができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、各地域の風景の印象色を表現した地図を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る地図色設定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカラーパレット作成処理の処理手順を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカラーパレット作成処理を示すフローチャートである。
【図4】発明の実施形態に係るカラーパレット作成処理の処理手順を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る地図色設定システムの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る地図色設定システム1の構成を示す。
図示するように地図色設定システム1は、カラーパレット生成装置2と記憶装置3とより構成される。
そして、カラーパレット生成装置2は、区域毎空中写真抽出部21とオブジェクト種別毎色出現頻度分布算定部22と代表色算定部23とを有している。
ただし、このような地図色設定システム1は、記憶装置3を備えたコンピュータを用いて構成されるものであって良く、この場合、以上に示したカラーパレット生成装置2の各部は、コンピュータが予め用意されたプログラムを実行することにより実現されるものであってよい。
【0019】
次に、記憶装置3には、各地域の地図データを収容した地図データベースと、各地域の航空写真や衛星写真などの空中写真の画像データを収容した空中写真データベースと、区域指定データと、カラーパレット生成装置2が生成したカラーパレットデータが格納される。
【0020】
ここで、記憶装置3の地図データベースに収容されている各地図データは、図2a1に示すように、地図を構成する図形オブジェクト毎に設けられた図形レコードと、地図を構成する文字列オブジェクト毎に設けられた文字列レコードとを有する。
ここで、図形オブジェクトとは、森や河川といった地形上の区画の形状を表す区画図形や、道路形状を表す道路図形や、ビルや家屋などの形状を表す建物図形や、緑地を表す緑地図形などの、地図上で地物の形状、位置を表す図形である。
【0021】
そして、このような図形オブジェクトの各々に対応して設けられる各図形レコードには、図形オブジェクトの識別子である図形オブジェクト番号、図形オブジェクトである図形が表す地物の「森」や「河川」や「道路」や「建物」や「緑地」といった種別を表す図形オブジェクト種別、図形の形状と配置を表す図形データなどが格納される。
【0022】
また、文字列オブジェクトとは、建物名称や道路名称や交差点名称や河川名や都道府県市町村名などの地図上に表示する文字列である。
そして、このような文字列オブジェクトの各々に対応して設けられる各文字列レコードには、文字列オブジェクトの識別子である文字列オブジェクト番号、文字列オブジェクトの、建物名称や道路名称や交差点名称や河川名や都道府県市町村名といった種別を表す文字列オブジェクト種別、文字列を表す文字列データ、文字列の地図上の配置位置を表す文字列配置位置などが格納される。
そして、このような図形レコードと文字列レコードとよりなる地図データによって、図2a2に示すような、図形オブジェクトと文字列オブジェクトが配置された地図が規定されている。
【0023】
また、図1に示すように、記憶装置3に格納された区域指定データは、ユーザが設定した区域毎に対応して設けられた区域レコードを有し、各区域レコードには、対応する区域の識別子である区域IDと、対応する区域の位置形状を表す座標データが格納されている。
【0024】
ここで、この各区域レコードに対応する区域は、ユーザが任意に設定することができる。すなわち、たとえば、ユーザは、個々の都市(市街地)がそれぞれ一つの区域として設定し、都市(市街地)以外の地域については、風景が共通する地域(たとえば、平野、盆地、山岳地帯)毎に、各地域を一つの区域として設定する。
【0025】
次に、記憶装置3に格納されるカラーパレットデータは、区域指定データの区域レコードの各々によって規定される区域毎に対応して設けられた区域毎カラーパレットを有し、各区域毎カラーパレットには、対応する区域の区域IDと、カラーパレットが格納される。そして、カラーパレットには、図形オブジェクト種別毎に、区域毎カラーパレットに対応する区域内において、当該種別の図形オブジェクトの表示色として用いる色を規定する色データが格納される。
【0026】
そして、前述したように、このような区域毎カラーパレットを作成するのがカラーパレット生成装置2である。
以下、カラーパレット生成装置2の区域毎カラーパレット作成動作について説明する。
このカラーパレット作成動作において、カラーパレット生成装置2は、区域指定データの各区域レコードによって規定される区域を、順次、対象区域として、図3に示すカラーパレット作成処理を行う。
図示するように、このカラーパレット作成処理では、まず、区域毎空中写真抽出部21において、空中写真データベースから、対象区域の画像データを抽出する(ステップ302)。
そして、次に、オブジェクト種別毎色出現頻度分布算定部22において、地図データに基づいて、図形オブジェクト種別毎に、抽出した画像データが表す対象区域の画像のうちの、当該図形オブジェクト種別の図形オブジェクトが配置される領域内の、各色の出現頻度分布を算定する(ステップ304)。
【0027】
すなわち、図2bに模式的に示すように、地図データによって規定される対象区域の地図を、空中写真の対象区域の画像に重ねることにより、各図形オブジェクトに対応する画像の領域は求めることができる。そこで、ステップ304では、各図形オブジェクト種別毎に、当該種別の図形オブジェクトに対応する画像の領域を、図2c1-c3に、道路、緑地、建物について示したように抽出する。また、図2dに示すように、いずれの図形オブジェクトにも対応しない画像の領域が存在する場合には、当該画像の領域を背景の画像の領域として抽出する。
【0028】
そして、各図形オブジェクト種別のそれぞれについて、当該図形オブジェクト種別について抽出した画像の領域内を算定対象領域として、各色の出現頻度分布を、当該図形オブジェクト種別の出現頻度分布として算定する。また、背景についても画像の領域を抽出している場合には、当該背景について抽出した画像の領域内を算定対象として、各色の出現頻度分布を背景の出現頻度分布として算定する。
【0029】
そして、次に、代表色算定部23において、各図形オブジェクト種別の出現頻度分布より、各図形オブジェクト種別の代表色を算定する(ステップ306)。また、背景の出現頻度分布を算定している場合には、背景の出現頻度分布より、背景の代表色も算定する。
ここで、出現頻度分布からの代表色の算定は、たとえば、次のように行う。
すなわち、いま、図4aに模式的に示すように各色の出現頻度分布が求まった場合、色値の所定の大きさLの区間である単位区間内の色の出現頻度が最大となる、単位区間の位置401を求め、求めた位置の単位区間の中央の色や、求めた位置の単位区間内で最も出現頻度の大きい色や、求めた位置の単位区間内の色の出現頻度で重み付けした加重平均によって求めた色を代表色として設定する。
【0030】
なお、実際は、出現頻度分布は、色データとしてRGB,HSVを用いる場合には3次元、CYNKを用いる場合には4次元の色空間上で表されることとなり、単位区間はRGB,HSVを用いる場合には3次元、CYNKを用いる場合には4次元の区間となる。
次に、このようにして、各図形オブジェクト種別や背景の代表色を算定したならば(ステップ306)、次に、算定した各代表色が、予め定めておいた代表色拘束条件を満たすかどうかを調べる(ステップ308)。
ここで、代表色拘束条件としては、図形オブジェクト種別「道路」の代表色が満たすべき輝度の範囲、「道路」以外の図形オブジェクト種別と背景の代表色と、図形オブジェクト種別「道路」の代表色との間の最小コントラストなどを予め設定する。
そして、算定した各代表色が代表色拘束条件を満たしていれば、対象区域の区域IDと、各図形オブジェクト種別について求めた代表色を当該図形オブジェクト種別の図形オブジェクトの表示色として登録したカラーパレットとを登録した、対象区域の区域毎カラーパレットを作成し記憶装置3に格納する(ステップ310)。なお、背景について代表色を算定している場合には、カラーパレットには、背景について求めた代表色も、背景の表示色として登録する。
【0031】
そして、カラーパレット作成処理を終了する。
一方、算定した各代表色が代表色拘束条件を満たしていなければ、図形オブジェクト種別「道路」の代表色が、種別「道路」の代表色単独についての代表色拘束条件を満たしているかどうかを調べる(ステップ314)。すなわち、ここでは、図形オブジェクト種別「道路」の代表色が、代表色拘束条件に規定された図形オブジェクト種別「道路」の代表色の輝度の範囲に収まっているかどうかを調べる。
【0032】
そして、代表色拘束条件を満たしている場合にはステップ316に進み、満たしていない場合には、種別「道路」の代表色を、種別「道路」の代表色単独についての代表色拘束条件を満たせる最小量変更して補正した上で(ステップ314)ステップ316に進む。すなわち、ステップ314では、種別「道路」の代表色の輝度を、代表色拘束条件に規定された種別「道路」の代表色の輝度の範囲に収まるように、代表色の輝度と当該範囲の最小距離分変更する。
【0033】
そして、ステップ316では、種別「道路」の代表色を基準として、「道路」以外の図形オブジェクト種別と背景の代表色を代表色拘束条件を満たすように変更する。すなわち、ここでは、「道路」以外の図形オブジェクト種別と背景の代表色の輝度を、種別「道路」の代表色との間のコントラストが、代表色拘束条件が規定する最小コントラスト以上となる最小量変更する。
【0034】
そして、ステップ310に進んで、上述のように区域毎カラーパレットを作成して記憶装置3に格納し、カラーパレット作成処理を終了する。
以上、カラーパレット生成装置2の区域毎カラーパレット作成動作について説明した。
次に、このようにして作成された区域毎カラーパレットを用いた地図表示は、次のように行う。すなわち、地図の表示を行う地図表示装置は、地図データと区域指定データとカラーパレットデータとを用いて地図表示を行う。すなわち、まず、地図データの図形オブジェクトレコードと文字列オブジェクトレコードの記述に基づいて、表示対象の地域内の地図に表示すべき図形オブジェクトの図形オブジェクトレコードと、当該地図内に表示すべき文字列オブジェクトの文字列オブジェクトレコードを地図データベースの地図データより取得する。
【0035】
そして、地図画像を生成し、地図画像上に、抽出した各図形オブジェクトレコードに従って各図形オブジェクトを描画すると共に、抽出した各文字列オブジェクトレコードに従って各文字列オブジェクトを描画し、図形オブジェクトと文字列オブジェクトを描画した地図画像を表示する。ただし、このとき、各図形オブジェクトは、区域指定データを参照して求まる、当該図形オブジェクトが含まれる区域の区域毎カラーパレットのカラーパレットに、当該図形オブジェクトの図形オブジェクト種別の表示色として登録されている色で描画する。また、図形オブジェクトが配置されない地図画像の領域については、当該領域が含まれる区域の区域毎カラーパレットのカラーパレットに、背景の表示色として登録されている色で描画する。
【0036】
この結果、たとえば、図4b1の空中写真で示される都市の地図は図4b2のように表示され、図4c1の空中写真で示される都市の地図は図4c2のように表示されることになり、同じ都市部の地図であっても異なる色配置で、その都市毎の風景の印象色を表現するように地図は表示されることになる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように、本実施形態によれば、現実の地物を撮影した空中写真に基づいて、地物を表す各図形オブジェクトの表示色が、図形オブジェクトが表す地物の種類毎に設定されるので、地図の表示色を、各地域の風景の印象色を表現できるように定めることができる。
ところで、以上のような地図色設定システム1で作成した区域毎カラーパレットは、ナビゲーション装置に配信して、ナビゲーション装置おける地図表示に利用することもできる。
すなわち、図5に示すように、自動車等に搭載されるナビゲーション装置100が、移動電話網やインターネット等のWAN200を介してアクセスできるサービスサーバ300を設け、サービスサーバ300を地図色設定システム1と、地図色設定システム1で作成された区域毎カラーパレットを配信するデータサーバ301とより構成する。
【0038】
そして、地図色設定システム1において、空中写真データベースの空中写真を月毎、季節毎などの定期毎に最新の空中写真に更新すると共に、当該最新の空中写真に基づいて各区域毎カラーパレットを新たに作成し、記憶装置3に格納されている区域毎カラーパレットを、新たに作成した区域毎カラーパレットに更新する。
【0039】
一方、ナビゲーション装置100は、表示装置101、入力装置102、WAN200に接続するための無線通信装置103、地図表示部104、制御部105、記憶装置106、現在位置の算出や目的地までのルート算出を行うナビゲーション部107を有している。
【0040】
そして、記憶装置106には、道路網を表す道路網データと、上述した地図データと区域指定データと区域毎カラーパレットとが記憶されている。
そして、ナビゲーション部107は、道路網データを用いて、現在位置の算出や目的地までのルート算出し、地図表示部104は、地図データと区域指定データと区域毎カラーパレットとを用いて上述した地図表示装置における地図表示と同様に生成した地図画像上に、ナビゲーション部107が算出した現在位置やルートを表した案内画像を生成し、表示装置101に表示する。
【0041】
また、制御部105は、月毎、季節毎などの定期毎に、無線通信装置103を介してサービスサーバ300にアクセスして、最新の区域毎カラーパレットを入手し、記憶装置106に記憶されている区域毎カラーパレットを更新する。
結果、このようにすることにより、季節毎に移ろう各区域の風景の印象色を、地図において表現することができるようになる。
特に、図形オブジェクト種別としては、「常緑樹森」、「落葉樹森」といった植生毎の区画であるところの地物を表す図形オブジェクトの種別や、「田」、「畑」、「牧草地」といった作付作物毎の区画であるところの地物を表す図形オブジェクトの種別を設けることにより、季節毎の変化が大きい、これら区画を含む区域の風景の印象色を地図において表現することができるようになる。そして、この結果、効果的な地図演出効果を得ることができるようになる。
【符号の説明】
【0042】
1…地図色設定システム、2…カラーパレット生成装置、3…記憶装置、21…区域毎空中写真抽出部、22…オブジェクト種別毎色出現頻度分布算定部、23…代表色算定部、100…ナビゲーション装置、101…表示装置、102…入力装置、103…無線通信装置、104…地図表示部、105…制御部、106…記憶装置、107…ナビゲーション部、200…WAN、300…サービスサーバ、301…データサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを作成する地図データ作成装置であって、
地物を表す複数の図形オブジェクトが配置された地図を表す地図データと、空中写真画像を表す画像データと、複数の区域を規定する区域データとに基づいて、前記各種別の図形オブジェクトの表示色を定める表示色データを、前記区域データが規定する区域毎に作成する表示色設定部を有し、
前記図形オブジェクトには、当該図形オブジェクトが表す地物の種類に応じた種別が設定されており、
前記表示色設定部は、
前記区域データが規定する各区域について、前記図形オブジェクトの各種別の代表色を算定する代表色算定部と、
前記代表色算定部が算定した代表色を、当該代表色を算定した区域の、当該代表色を算定した種別の図形オブジェクトの表示色として、当該代表色を算定した区域の前記表示色データを作成する表示色データ作成部とを有し、
前記代表色算定部は、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の代表色を、当該種別の代表色として算定することを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項2】
請求項1記載の地図データ作成装置であって、
前記代表色算定部は、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の色出現頻度分布に基づいて、当該種別の代表色を算定することを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項3】
請求項2記載の地図データ作成装置であって、
前記代表色算定部は、所定サイズの色区間であって、前記色出現頻度分布において、当該色区間中の色の出現頻度数が最多の色区間中の色を前記代表色として算定することを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項4】
請求項1記載の地図データ作成装置であって、
前記区域データが規定する区域には、都市毎の区域が含まれていることを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項5】
請求項1記載の地図データ作成装置であって、
前記表示オブジェクトの種別には、道路を表す図形オブジェクトの種別と、建物を表す図形オブジェクトの種別とが少なくとも存在することを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項6】
請求項1記載の地図データ作成装置であって、
前記表示オブジェクトの種別には、常緑樹地帯を表す図形オブジェクトの種別と、広葉樹地帯を表す図形オブジェクトの種別と、牧草地を表す図形オブジェクトの種別と、田畑を表す図形オブジェクトの種別とのうちの、いずれかが少なくとも存在することを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項7】
請求項1記載の地図データ作成装置であって、
予め定めた各種別の代表色が満たすべき条件に従って、前記代表色算定部が各区域について算定した、前記各種別の代表色を補正する代表色補正部を有することを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項8】
請求項7記載の地図データ作成装置であって、
前記表示オブジェクトの種別には、道路を表す図形オブジェクトの種別が少なくとも存在し、
前記各種別の代表色が満たすべき条件とは、道路である図形オブジェクトの種別の代表色が含まれる輝度範囲の条件であることを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項9】
請求項7記載の地図データ作成装置であって、
前記表示オブジェクトの種別には、道路を表す図形オブジェクトの種別が少なくとも存在し、
前記各種別の代表色が満たすべき条件とは、道路である図形オブジェクトの種別の代表色と、他の図形オブジェクトの種別の代表色との間の、コントラストの最小値の条件であることを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項10】
請求項1記載の地図データ作成装置が作成した前記表示色データと、前記地図データと、前記区域データとを記憶した記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記地図データが表す各図形オブジェクトを、前記記憶装置に記憶された前記区域データが規定する区域の内の当該図形オブジェクトが含まれる区域の、前記記憶装置に記憶された表示色データが定める当該図形オブジェクトの種別の表示色で表示した地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項11】
請求項10記載の地図表示装置と、
現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記地図表示装置が表示した地図上に、前記現在位置を表す現在位置マークを表示する現在位置案内部とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1記載の地図データ作成装置と、前記地図データ作成装置が作成した前記各区域の表示色データを配信するサーバとを含んで構成される表示色データ配信システムと、
請求項10記載の地図表示装置とを有し、
前記地図データ作成装置は、前記空中写真画像を表す画像データが更新される度に、前記各区域の表示色データを作成し、
前記地図表示装置は、前記サーバから、所定の期間毎に最新の前記表示色データを取得し、前記記憶装置に記憶されている前記表示色データを更新する表示色更新部を有することを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項13】
請求項1記載の地図データ作成装置と、前記地図データ作成装置が作成した前記各区域の表示色データを配信するサーバとを含んで構成される表示色データ配信システムと、
請求項11記載のナビゲーション装置とを有し、
前記地図データ作成装置は、前記空中写真画像を表す画像データが更新される度に、前記各区域の表示色データを作成し、
前記ナビゲーション装置は、前記サーバから、所定の期間毎に最新の前記表示色データを取得し、前記記憶装置に記憶されている前記表示色データを更新する表示色更新部を有することを特徴とする地図データ更新システム。
【請求項14】
コンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、地図データを作成する地図データ作成装置として機能させるコンピュータプログラムであり、
前記地図データ作成装置は、
地物を表す複数の図形オブジェクトが配置された地図を表す地図データと、空中写真画像を表す画像データと、複数の区域を規定する区域データとに基づいて、前記各種別の図形オブジェクトの表示色を定める表示色データを、前記区域データが規定する区域毎に作成する表示色設定部を有し、
前記図形オブジェクトには、当該図形オブジェクトが表す地物の種類に応じた種別が設定されており、
前記表示色設定部は、
前記区域データが規定する各区域について、前記図形オブジェクトの各種別の代表色を算定する代表色算定部と、
前記代表色算定部が算定した代表色を、当該代表色を算定した区域の、当該代表色を算定した種別の図形オブジェクトの表示色として、当該代表色を算定した区域の前記表示色データを作成する表示色データ作成部とを有し、
前記代表色算定部は、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の代表色を、当該種別の代表色として算定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のコンピュータプログラムであって、
前記代表色算定部は、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の色出現頻度分布に基づいて、当該種別の代表色を算定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15記載のコンピュータプログラムであって、
前記代表色算定部は、所定サイズの色区間であって、前記色出現頻度分布において、当該色区間中の色の出現頻度数が最多の色区間中の色を前記代表色として算定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項14記載のコンピュータプログラムであって、
前記区域データが規定する区域には、都市毎の区域が含まれていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
地図データの表示色を規定する表示色データを作成する表示色データ作成方法であって、
地物を表す複数の図形オブジェクトが配置された地図を表す地図データと、空中写真画像を表す画像データと、複数の区域を規定する区域データとに基づいて、前記各種別の図形オブジェクトの表示色を定める表示色データを、前記区域データが規定する区域毎に作成する表示色設定ステップを有し、
前記図形オブジェクトには、当該図形オブジェクトが表す地物の種類に応じた種別が設定されており、
前記表示色設定ステップは、
前記区域データが規定する各区域について、前記図形オブジェクトの各種別の代表色を算定する代表色算定ステップと、
算定した代表色を、当該代表色を算定した区域の、当該代表色を算定した種別の図形オブジェクトの表示色として、当該代表色を算定した区域の前記表示色データを作成する表示色データ作成ステップとを有し、
前記代表色算定ステップにおいて、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の代表色を、当該種別の代表色として算定することを特徴とする表示色データ作成方法。
【請求項19】
請求項18記載の表示色データ作成方法であって、
前記代表色算定ステップにおいて、前記地図データと前記画像データとに基づいて、前記図形オブジェクトの各種別について、前記空中写真画像の前記代表色を算定する区域の画像部分の、当該種別の各図形オブジェクトに対応する領域の画像を抽出し、抽出した領域の画像の色出現頻度分布に基づいて、当該種別の代表色を算定することを特徴とする表示色データ作成方法。
【請求項20】
請求項19記載の表示色データ作成方法であって、
前記代表色算定ステップにおいて、所定サイズの色区間であって、前記色出現頻度分布において、当該色区間中の色の出現頻度数が最多の色区間中の色を前記代表色として算定することを特徴とする表示色データ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−286515(P2010−286515A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137950(P2009−137950)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】