説明

地図データ配信サーバ、地図データ配信システム及び地図データ配信方法

【課題】地図上にオーバーレイ表示される付加情報を低コストかつ利用し易い形態で提供する。
【解決手段】ネットワークに接続され、前記ネットワークを介して地図データを配信する地図データ配信サーバであって、第1の地図データと、前記第1の地図データより新しいバージョンの第2の地図データと、を保持し、地図上の所定の大きさの区画ごとに、前記第1の地図データに対する更新の指示を含む複数の更新データを保持し、前記ネットワークを介して前記地図データ配信サーバと通信する端末から、複数の前記区画のうち第1の区画の前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する更新要求を受信すると、所定の条件が満たされるか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記第1の区画に関する前記複数の更新データの一つを選択し、前記選択された更新データを前記端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを利用したサービスを利用者に提供する技術に関し、特に、端末装置が保持する地図データを更新するためのデータを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車又は歩行者を対象とするナビゲーションサービスのような、地図データを用いたサービスが広く提供されている。このようなサービスを受けるユーザが所持する端末の画面には、通常、地図が表示される。さらに、地図上に種々の付加情報をオーバーレイ表示することによって、ユーザの利便性を向上させることができる。付加情報の典型的な例は、いわゆるVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)情報、すなわち、渋滞及び通行規制等に関する情報である。ユーザに有益なその他の付加情報の例として、ユーザに推奨される施設に関する情報、及び気象情報(例えば、いわゆるゲリラ豪雨等による道路の冠水に関する情報)等が挙げられる。
【0003】
一方、端末が保持する地図情報に関しては、現実の道路又は施設等の新設又は廃止等による変更を反映させるための更新が行われる。このとき、広範囲の(例えば日本全国の)地図データをまとめて更新してもよいが、その場合、更新対象のデータ量が多くなるため、更新には相当の時間が必要になる。このため、近年では、更新が必要な区画を限定して、その区画ごとに更新を実行する方法(例えば特許文献1参照)、及び、区画ごとに差分データ(すなわち古いバージョンの地図データと新しいバージョンの地図データとの差分)のみを更新する方法等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−65770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように区画ごとの地図情報の更新が行われると、端末に表示された1枚の地図のうち、一部の領域には最新の地図情報が表示され、他の領域には古い地図情報が表示されることがある。このような場合に、古いバージョンの地図が表示されている領域を指示する情報、及び、古いバージョンの地図が表示されている領域における新旧バージョンの地図情報の差分を図示する情報(例えば、新たに開通した道路の位置及び形状等を示す情報)等を、上記の付加情報としてオーバーレイ表示することによって、ユーザに地図の更新を促すことができる。
【0006】
このような付加情報を、市場に存在する種々の端末がオーバーレイ表示できるように提供するためには、それらの端末のいずれもが扱うことのできる共通の参照方法を採用する必要がある。例えば、座標(緯度・経度)に基づく付加情報のオーバーレイ表示(例えば、付加情報が、それが表示されるべき地図上の位置を示す座標値に対応付けられ、端末がその座標値の示す位置に付加情報を表示すること)は容易に実現できる。これは、緯度・経度等が、一般的なナビゲーション装置等の端末が共通して利用できる情報だからである。このため、ユーザに推奨される施設に関する情報等、座標に基づく表示が行われる情報に関しては、地図センタ又はWebサイトからダウンロードした情報を表示する端末の機能が実現されている。
【0007】
しかし、座標に基づく付加情報の表示方法が採用された場合、道路又は特定の領域のような、形状又は面積を持った付加情報は、地図上に正確にオーバーレイできない場合がある。例えば、端末が保持する地図によって特定される道路の形状は、その地図のバージョンに応じて異なる場合がある。このため、例えば道路上にオーバーレイ表示される渋滞情報が、それが表示されるべき道路の形状を示す座標値に対応付けられる場合、その座標値によって特定される形状が端末の保持する地図データによって特定される道路の形状と一致しない限り、その渋滞情報は道路から外れた位置に表示される。同様のことは、特定の領域の形状等についても起こりうる。このようなことを防ぐために、付加情報は、端末装置に保持された道路リンク又は地図上の領域(例えば都道府県等)等を識別する情報(例えば道路リンクID等)に対応付けられることが望ましい。
【0008】
しかし、そのような対応付けに基づく表示をすることは実際には困難である。これは、例えば同一の道路の区間に対応する道路リンクIDが、各端末が保持する地図の種類ごとに異なり、都道府県等の領域の位置及び形状に関する情報にはそれらを識別する情報すら付与されていないためである。
【0009】
例えば、情報センタが道路リンクIDに対応付けられた渋滞情報を提供し、端末がこれに基づいて渋滞情報を地図上にオーバーレイ表示する技術は既に開発されている。これは、個々の端末が、情報センタから送付された道路リンクIDと、自端末が保持する地図データの道路リンクIDとを対応付ける変換テーブルを保持することによって実現される。さらに、現実の道路の変更を地図データに反映させるために、新しいバージョンの地図データにおいて道路リンクが追加又は削除された場合でも、古いバージョンの地図上に渋滞情報を表示可能とするために、情報センタは、古いバージョンの道路リンクIDに対応する渋滞情報を、そのバージョンが最新でなくなった後も所定の期間にわたって提供し続ける。したがって、このような方法を実現するためのコストは大きくなる。
【0010】
一方、都道府県等の形状情報については、パーセルごとに更新することもできる。ここでパーセルとは、所定の大きさの区画に相当する地図データの管理単位である。しかし、この場合、多数のパーセルの各々について、パーセル内の全ての背景情報(例えば建物の形状、緑地、河川等)を更新する必要があるため、更新データ量が非常に多くなる。
【0011】
あるいは、端末上の地図データに基づくのではなく、独自の体系のオーバーレイ情報を地図センタ等から端末に送付する方法も考えられる。しかし、その場合、端末側のアプリケーションとして、互いに全く異なる複数の表示システムを保持する必要があるため、この方法のコストも大きくなる。
【0012】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、低コストかつ利用し易い形態で付加情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の代表的な一例を示せば次の通りである。すなわち、ネットワークに接続され、前記ネットワークを介して地図データを配信する地図データ配信サーバであって、前記地図データ配信サーバは、前記ネットワークに接続されるインターフェースと、前記インターフェースに接続されるプロセッサと、前記プロセッサに接続される記憶装置と、を備え、第1の地図データと、前記第1の地図データより新しいバージョンの第2の地図データと、を保持し、地図上の所定の大きさの区画ごとに、前記第1の地図データに対する更新の指示を含む複数の更新データを保持し、前記ネットワークを介して前記地図データ配信サーバと通信する端末から、複数の前記区画のうち第1の区画の前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する更新要求を受信すると、所定の条件が満たされるか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記第1の区画に関する前記複数の更新データの一つを選択し、前記選択された更新データを前記端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、地図上にオーバーレイ表示される付加情報を、低コストかつ利用し易い形態で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の地図データ配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の実施形態の地図配信サーバが保持するパーセルID−県コード対応テーブルの説明図である。
【図2B】本発明の実施形態の地図配信サーバが保持する端末ID−更新権利県コード対応テーブルの説明図である。
【図2C】本発明の実施形態の地図配信サーバが保持するパーセルID−更新エレメント対応テーブルの説明図である。
【図3A】本発明の実施形態の地図配信サーバが保持する端末ID−更新権利県コード対応テーブルの説明図である。
【図3B】本発明の実施形態の地図配信サーバが保持する県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブルの説明図である。
【図4】本発明の実施形態の地図配信サーバが保持する更新エレメント管理テーブルの説明図である。
【図5】本発明の実施形態の地図データ配信システムにおいて実行される地図データ更新処理の第1のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の地図データ配信システムにおいて実行される地図データ更新処理の第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態の地図データ配信システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
本実施形態の地図データ配信システムは、ネットワーク40に接続された地図配信サーバ10と、ネットワーク40を介して地図配信サーバ10と通信するナビゲーション端末20と、を備える。
【0019】
地図配信サーバ10は、互いに接続されたプロセッサ17、メモリ18、ネットワークインターフェース(I/F)15、管理データ記憶部11、更新データ記憶部12及び地図データ記憶部16を備える計算機である。
【0020】
プロセッサ17は、メモリ18に格納されたプログラムを実行する。
【0021】
メモリ18は、例えば半導体メモリであり、プロセッサ17によって実行されるプログラム、プロセッサ17によって参照されるデータ、及びプロセッサ17から出力されたデータ等を格納する。本実施形態のメモリ18には、少なくとも、プロセッサ17によって実行されるプログラムである更新データ抽出部13及び更新データ管理部14が格納される。プロセッサ17がプログラムを実行することによって実現される処理については後述する。以下の説明において更新データ抽出部13等が実行する処理は、実際には、プロセッサ17が更新データ抽出部13等のプログラムに従って実行する。
【0022】
ネットワークI/F15は、ネットワーク40に接続され、ナビゲーション端末20等と通信する。
【0023】
管理データ記憶部11、更新データ記憶部12及び地図データ記憶部16は、それぞれがハードディスクドライブ(HDD)又はフラッシュメモリのような記憶装置であってもよいし、一つの記憶装置内の記憶領域であってもよい。
【0024】
地図データ記憶部16には、地図データが格納される。地図データは、地図の構成物(地物)の位置及び形状を示す座標値等を含む。現実の地物は随時更新される。その一例は、道路の新設、廃止又は付け替えのような道路ネットワークの更新である。地図データは、過去のある時点における地物に関する情報、及び、それより後の時点における地物に関する情報(言い換えると、旧バージョンの地図データ及び新バージョンの地図データ)を含んでもよい。
【0025】
なお、一般に地図データは、所定のサイズの矩形の区画ごとに管理される。この矩形の区画は、パーセル又はメッシュと呼ばれる。各パーセルには固有の識別子(パーセルID)が付与される。
【0026】
更新データ記憶部12には、地物を単位とする地図更新データ(地図情報及び道路ネットワーク情報を含む)が格納される。地図更新データは、例えばナビゲーション端末20があるバージョンの地図データを保持している場合に、それをより新しいバージョンの地図データに更新するために作成及び送信されるデータであり、具体的には、少なくともこれらのバージョンの差分データを含む。具体的には、更新データ記憶部12には、少なくとも、地図データの更新を指示する情報を含む更新エレメントが格納される。
【0027】
ここで、地図データ及び更新エレメントについて説明する。
【0028】
地図データは、ナビゲーション端末20による経路探索、地図及び探索された経路の表示、及び探索された経路上の誘導のために用いられる。地図データに含まれる主要なデータは、道路データ、背景データ及び誘導データである。道路データは、交差点に対応するノードと、交差点間を接続する道路の区間に対応するリンクと、の接続関係によって道路ネットワークを記述するデータであり、ナビゲーション端末20による経路探索及び画面上への道路の表示に用いられる。背景データは、主に道路以外の地物(例えば緑地、池、川、線路、建物等)の位置及び形状等を示すデータであり、ナビゲーション端末20による画面上への地図の表示に用いられる。具体的には、背景データは、個々の地物を示す点、線又は多角形等のデータを含み、さらに、地名又は建物名等を示すテキストを含んでもよい。誘導データは、ナビゲーション端末20のユーザを誘導するために必要に応じてナビゲーション端末20の画面に表示される情報、例えば交差点の詳細な形状を示す情報等を含む。
【0029】
本実施形態の道路データ、背景データ及び誘導データは、いずれも、基本的には従来のナビゲーションシステムにおいて使用されるものと同様であってよいため、それらに関する詳細な説明は省略する。ただし、本実施形態の背景データは、後述する付加情報を含む場合がある。
【0030】
更新エレメントは、古いバージョンの地図データと新しいバージョンの地図データとの差分、より具体的には、地図データの古いバージョンから新しいバージョンへの更新を指示する情報を含む。例えば、更新エレメントは、道路データの更新を指示する情報として、新設された道路に対応するリンク及びノードの追加、廃止された道路に対応するリンク及びノードの削除、及び、付け替えられた道路に対応するリンク及びノードの位置及び形状等の変更を指示する情報を含んでもよい。さらに、更新エレメントは、背景データの更新を指示する情報として、新設された地物(例えば建物等)を地図上に表示するオブジェクト(例えば点、線又は多角形のような図形の画像)の追加、撤去された地物を表示するオブジェクトの削除、及び、形状等が変更された地物を表示するオブジェクトの変更を指示する情報を含んでもよい。誘導データの更新エレメントについては説明を省略する。
【0031】
更新エレメントは、通常、パーセルごとに管理される。例えば、ナビゲーション端末20があるパーセルを対象とする地図配信要求を地図配信サーバ10に送信すると、地図配信サーバ10は、そのパーセルに関する更新エレメントをナビゲーション端末20に送信する(52)。ナビゲーション端末20は、受信した更新エレメントに基づいてそのパーセルの地図データを更新する。
【0032】
ただし、道路データに関しては、パーセルごとに更新することによって、パーセルの境界において道路の途切れ等が発生する場合がある。連続した道路に対応するノード及びリンクの一部のみを更新すると、更新されたデータと更新されなかったデータとの間の不整合のために正常なデータの参照ができなくなる場合がある。このため、道路データについてはパーセルごとに更新する代わりに連続した道路ごとに更新を行ってもよい。いずれの場合であっても、背景データの更新を指示する情報はパーセルごとに管理される。このため、本実施形態は、いずれの場合にも適用することができる。
【0033】
管理データ記憶部11には、地図更新データを管理するための情報が格納される。例えば、管理データ記憶部11には、地図更新データのバージョン(すなわち差分の世代)を示す情報、及び、地図更新データが適用されるべき位置を示すパーセルID等が格納される。さらに、本実施形態の管理データ記憶部11には、少なくとも、パーセルID−県コード対応テーブル200、端末ID−更新権利県コード対応テーブル220、パーセルID−更新エレメント対応テーブル240、端末ID−更新権利県コード対応テーブル300、及び県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブル320が格納される。これらの詳細については後述する(図2A〜図3B参照)。
【0034】
ナビゲーション端末20は、ユーザを目的地まで誘導するために、経路検索及び検索結果の出力等を行う移動端末であり、例えば、自動車に搭載される車載用ナビゲーション端末又は歩行者に携帯される歩行者用ナビゲーション端末である。後者の場合、ナビゲーション端末20は、ナビゲーション用のアプリケーションソフトウェアが組み込まれた携帯電話機等であってもよい。
【0035】
図1では省略されているが、一般に、地図データ配信システムは、複数のナビゲーション端末20を含む。また、本実施形態では、端末装置の典型的な例としてナビゲーション端末20を示すが、地図情報を保持して利用するものである限り、いかなる種類の端末装置にも本発明を適用することができる。
【0036】
本実施形態のナビゲーション端末20は、互いに接続されたプロセッサ28、メモリ29、ネットワークI/F21、画面入出力I/F25、管理データ記憶部26及び地図データ記憶部27を備える。
【0037】
プロセッサ28は、メモリ29に格納されたプログラムを実行する。
【0038】
メモリ29は、例えば半導体メモリであり、プロセッサ28によって実行されるプログラム及びプロセッサ28によって参照されるデータ等を格納する。本実施形態のメモリ29には、プロセッサ28によって実行されるプログラムである配信要求部22、地図更新部23及びナビゲーション処理部24が格納される。
【0039】
配信要求部22は、地図更新データ配信要求を地図配信サーバ10に送信する。地図更新部23は、配信された地図更新データを用いて、地図データ記憶部27に格納された地図データを更新する。これらの処理については後述する(図5及び図6参照)。以下の説明において配信要求部22、地図更新部23及びナビゲーション処理部24によって実行される処理は、実際にはプロセッサ28が各プログラムに従って実行する。
【0040】
ナビゲーション処理部24は、地図データ記憶部27に格納された地図データに基づいて、目的地までの経路を検索し、その経路に沿ってユーザを誘導する。このような経路検索及び誘導は従来の車載用ナビゲーション端末と同様に公知の方法によって実行できるため、これらに関する詳細な説明は省略する。
【0041】
画面入出力I/F25は、ユーザに対して地図情報等を表示する画面と、ユーザからの入力を受け付ける入力装置と、を含む。例えば、画面入出力I/F25は、液晶表示装置及びキーボード等であってもよいし、タッチパッド付きの液晶表示装置であってもよい。
【0042】
ネットワークI/F21は、無線通信装置30に接続される。無線通信装置30は、ネットワーク40に接続された無線基地局31と無線通信を行う。ネットワークI/F21は、無線通信装置30、無線基地局31及びネットワーク40を介して地図配信サーバ10との間の通信を実行する。後述する地図データ配信要求の送信及び地図更新データの受信はこのような通信によって実現される。
【0043】
なお、無線通信装置30は、ナビゲーション端末20に内蔵されてもよい。
【0044】
管理データ記憶部26及び地図データ記憶部27は、それぞれがハードディスクドライブ(HDD)又はフラッシュメモリのような記憶装置であってもよいし、一つの記憶装置内の記憶領域であってもよい。
【0045】
地図データ記憶部27には、ナビゲーション処理部24によって参照される地図データが格納される。この地図データは、地図配信サーバ10から送信された地図更新データに基づいて更新される。
【0046】
管理データ記憶部26には、地図データを管理するための情報が格納される。例えば、管理データ記憶部26には、ナビゲーション端末20自身の位置がどのパーセルに属するかを示す緯度経度−パーセルID対応情報、及び、地図に適用した地図更新データの識別情報等が格納される。
【0047】
ネットワーク40はインターネット41に接続される。地図配信サーバ10は、インターネット41を介して新しいバージョンの地図データを取得してもよい。
【0048】
図2Aは、本発明の実施形態の地図配信サーバ10が保持するパーセルID−県コード対応テーブル200の説明図である。
【0049】
パーセルID−県コード対応テーブル200は、パーセルID201及び県コード202を含む。
【0050】
パーセルID201は、各パーセルを識別する情報である。
【0051】
県コード202は、各パーセルに含まれる都道府県を識別するコードである。例えば、県コード202として日本工業規格X0401によって規定された都道府県コードが使用されてもよいし、その他の識別子が使用されてもよい。
【0052】
図2Aの例では、パーセルID201の値「0001」に対応する県コード202として「10」、「11」及び「12」が登録されている。これは、パーセルID「0001」によって識別されるパーセルに、県コード「10」によって識別される都道府県の少なくとも一部と、県コード「11」によって識別される都道府県の少なくとも一部と、県コード「12」によって識別される都道府県の少なくとも一部と、が含まれることを意味する。
【0053】
図2Bは、本発明の実施形態の地図配信サーバ10が保持する端末ID−更新権利県コード対応テーブル220の説明図である。
【0054】
端末ID−更新権利県コード対応テーブル220は、端末ID221及び権利保持県リスト222を含む。
【0055】
端末ID221は、各ナビゲーション端末20を識別する情報である。
【0056】
権利保持県リスト222は、各ナビゲーション端末20が地図データの更新権利を保持する都道府県の識別コードのリストである。例えば各ナビゲーション端末20のユーザがある都道府県の地図データの更新権利を購入すると、そのナビゲーション端末20の端末ID221に対応する権利保持県リスト222に、購入した都道府県の識別コードが追加される。図2Bの例では各端末ID221に対応する権利保持県リスト222として一つの都道府県の識別コードが登録されているが、実際には複数の都道府県の識別コードからなるリストが登録されてもよい。
【0057】
なお、本実施形態では、地図データの更新権利が都道府県ごとに管理される(すなわち、ユーザは都道府県ごとに地図データの更新権利を購入することができる)。パーセルID−県コード対応テーブル200(図2A)及び端末ID−更新権利県コード対応テーブル220(図2B)は、更新を要求されたパーセルに含まれる都道府県の更新権利の有無を判定するために参照される。しかし、地図データの更新権利は、都道府県以外の領域(例えば国)ごとに管理されてもよい。その場合には、パーセルID−県コード対応テーブル200及び端末ID−更新権利県コード対応テーブル220に都道府県の識別コードの代わりにその領域を識別するコードが格納される。
【0058】
図2Cは、本発明の実施形態の地図配信サーバ10が保持するパーセルID−更新エレメント対応テーブル240の説明図である。
【0059】
パーセルID−更新エレメント対応テーブル240は、パーセルID241及び更新エレメントID242を含む。
【0060】
パーセルID241は、各パーセルを識別する情報であり、パーセルID−県コード対応テーブル200(図2A)のパーセルID201に対応する。
【0061】
更新エレメントID242は、各パーセルの地図データを古いバージョンから新しいバージョンに更新するために適用される更新エレメントを識別する情報である。各更新エレメントIDに対応する更新エレメントについては、図4を参照して後述する。
【0062】
なお、パーセルID−更新エレメント対応テーブル240には、地図データの更新権利を保持するナビゲーション端末20に送信される更新エレメントのみが登録される。地図データの更新権利を保持しないナビゲーション端末20に送信される更新エレメントは、後述する県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブル320に登録される。
【0063】
図3Aは、本発明の実施形態の地図配信サーバ10が保持する端末ID−更新権利県コード対応テーブル300の説明図である。
【0064】
端末ID−更新権利県コード対応テーブル300は、端末ID301、権利保持県リスト302及び権利非保持県リスト303を含む。
【0065】
端末ID301及び権利保持県リスト302は、それぞれ端末ID−更新権利県コード対応テーブル220(図2B)の端末ID221及び権利保持県リスト222に対応する。
【0066】
権利非保持県リスト303は、各ナビゲーション端末20が地図データの更新権利を保持していない都道府県の識別コードのリストである。具体的には、各ナビゲーション端末20の権利保持県リスト302に登録されていない都道府県を識別するコードが権利非保持県リスト303に登録される。
【0067】
端末ID−更新権利県コード対応テーブル300は、端末ID−更新権利県コード対応テーブル220に基づいて作成される。したがって、地図配信サーバ10は、端末ID−更新権利県コード対応テーブル220及び端末ID−更新権利県コード対応テーブル300の両方を同時に保持する必要はなく、最終的には端末ID−更新権利県コード対応テーブル300のみを保持すれば足りる。あるいは、地図配信サーバ10は、端末ID−更新権利県コード対応テーブル300の代わりに端末ID−更新権利県コード対応テーブル220を保持し、必要に応じて権利保持県リスト222に基づいて権利保持県リスト302に相当するリストを作成してもよい。
【0068】
図3Bは、本発明の実施形態の地図配信サーバ10が保持する県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブル320の説明図である。
【0069】
県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブル320は、県コード321及び更新エレメントIDリスト322を含む。
【0070】
県コード321は、各都道府県の識別コードであり、例えば権利非保持県リスト303等に登録された識別コードに対応する。
【0071】
更新エレメントIDリスト322は、ハッチング用更新エレメント(すなわち、ナビゲーション端末20が地図データの更新権利を保持しない都道府県内のパーセルの地図データを更新するために使用される更新エレメント)を識別する情報のリストである。ハッチング用更新エレメントの内容については後述する(図4参照)。
【0072】
なお、図3Bには県コードとハッチング用更新エレメントとの対応関係のみを示すが、各ハッチング用更新エレメントとそれが適用される(すなわちそれに基づいて地図データが更新される)パーセルとを対応付ける情報がさらに保持されてもよい。
【0073】
図4は、本発明の実施形態の地図配信サーバ10が保持する更新エレメント管理テーブル400の説明図である。
【0074】
地図配信サーバ10は、新しいバージョンの地図データを取得すると、古いバージョンの地図データを新しいバージョンに更新するための更新エレメントを作成する。作成された更新エレメントは、更新エレメント管理テーブル400に登録され、更新データ記憶部12に格納される。
【0075】
更新エレメント管理テーブル400は、更新エレメントID401及び更新データ402を含む。
【0076】
更新エレメントID401は、各更新エレメントを一意に識別する。
【0077】
更新データ402は、各更新エレメントに含まれる更新データである。この更新データは、具体的には、各パーセル内のオブジェクトの追加、削除及び変更等を指示する情報を含む。このような更新データのフォーマットは従来のナビゲーションシステムにおいて適用されるものと同様であってよいため、詳細な説明は省略する。
【0078】
なお、更新エレメント管理テーブル400には、ナビゲーション端末20が更新権利を保持している場合に使用される更新エレメント(すなわち更新エレメントID242に対応する更新エレメント)だけでなく、ナビゲーション端末20が更新権利を保持していない場合に使用される更新エレメント(すなわち更新エレメントIDリスト322に対応する更新エレメント)も登録される。
【0079】
例えば、更新エレメントID「11」は、パーセルID−更新エレメント対応テーブル240に登録されている。したがって、更新エレメントID「11」によって識別される更新エレメントは、更新権利を保持しているナビゲーション端末20に送信され、使用される。一方、更新エレメントID「140」は、県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブル320に登録されている。したがって、更新エレメントID「140」によって識別される更新エレメントは、更新権利を保持していないナビゲーション端末20に送信され、使用される。本実施形態によれば、各パーセルについて、少なくとも二つの更新エレメント、すなわち、更新権利を保持しているナビゲーション端末20に送信される更新エレメントと、更新権利を保持していないナビゲーション端末20に送信される更新エレメント(すなわちハッチング用更新エレメント)と、が用意され、条件に応じていずれかが選択されて送信される(図5、図6参照)。
【0080】
更新権利を保持しているナビゲーション端末20に送信される更新エレメント(すなわちパーセルID−更新エレメント対応テーブル240に登録されている更新エレメント)は、既に説明したように、地図データを古いバージョンから新しいバージョンに更新するために、道路データの更新を指示する情報、背景データの更新を指示する情報及び誘導データの更新を指示する情報を含む。
【0081】
一方、ハッチング用更新エレメントは、更新権利を保持していないナビゲーション端末20に送信されるものであるため、原則として、地図データを古いバージョンから新しいバージョンに更新するための情報を含まない。すなわち、ハッチング用更新エレメントは、原則として、道路データの更新を指示する情報及び誘導データの更新を指示する情報を含まない。一方、背景データの更新を指示する情報に関しては、ハッチング用更新エレメントは、原則として、地図データの差分を示す情報(すなわち地物に対応するオブジェクトの追加・削除又は変更を指示する情報)を含まず、付加情報として、更新権利の欠如に関する表示を追加する指示を含む。
【0082】
例えば、ハッチング用更新エレメントは、更新権利が欠如した都道府県を表示する画像を追加する指示等を含む。更新権利が欠如した都道府県を表示する画像とは、更新を要求したナビゲーション端末20が更新権利を保持していないために更新することができない都道府県を表示する画像であり、例えば、その都道府県の領域にオーバーレイ表示されるハッチングである。ハッチングは、例えば、その都道府県の領域に表示される特定の色彩、色調又は模様等、どのような種類のものであってもよい。ハッチングは既に表示されている地図を塗りつぶすように表示されてもよいが、ハッチングが表示される前に表示されていた地図が視認できるように、半透明の色彩等がオーバーレイ表示されることが望ましい。このようなハッチングは、ナビゲーション端末20のユーザに更新権利の購入を促すために表示される。このため、ハッチング用更新エレメントは、さらに、更新権利の欠如を示すテキスト、及び更新権利の購入を促すテキスト等を表示する指示を含んでもよい。
【0083】
さらに、ハッチング用更新エレメントは、更新権利が欠如した都道府県に新たに追加された道路が存在する場合、その道路の位置及び形状等を表示する画像を追加する指示を含んでもよい。このような道路の位置及び形状等は単なる背景の画像として表示されるだけであり、その道路に関する道路データが追加されるわけではないため、その道路に関する経路探索を実行することはできない。しかし、そのような道路を表示することによって、ナビゲーション端末20のユーザに地図更新権利の購入の動機を与えることができる。
【0084】
このような更新権利の欠如した領域における新たな道路の表示は、背景データではなく、道路データを用いて実現することも考えられる。しかし、その場合、更新権利を保持しないナビゲーション端末20にも経路検索に利用可能な道路データが提供されることになる、という問題が生じる。また、道路データを追加するためには、それに関連する道路データについても整合性を維持するための更新が必要になる場合がある。このため、従来の地図データの更新機能の枠組みを利用する限り、任意の道路の一部の追加等を道路データの更新によって実現することは困難である。
【0085】
一方、背景データに関しては、それに含まれる各オブジェクトの識別子が重複しないように管理されている限り、オブジェクト間の関係(例えば整合性等)に配慮する必要がない。このため、更新権利が欠如した領域を示すハッチング、及び、その領域内の道路等を表示する情報を背景データとして提供することによって、従来のナビゲーション端末が持つ地図データの更新機能の枠組みの中で、更新権利の有無に関する情報の表示を容易に実現することができる。
【0086】
図5及び図6は、本発明の実施形態の地図データ配信システムにおいて実行される地図データ更新処理のフローチャートである。図5はナビゲーション端末20が更新権利を保持している場合、図6はナビゲーション端末20が更新権利を保持していない場合に相当する。
【0087】
最初に、ナビゲーション端末20の配信要求部22が、地図データを更新しようとするパーセルを識別する情報(更新対象パーセルID)、現在ナビゲーション端末20が保持している地図のバージョン、及び当該ナビゲーション端末20を識別する情報(端末ID)を含む地図配信要求を地図配信サーバ10に送信する(ステップ501)。
【0088】
地図配信サーバ10の更新データ管理部14は、受信した地図配信要求に含まれる更新対象パーセルIDをキーとしてパーセルID−県コード対応テーブル200を検索することによって、更新対象の都道府県を特定する(ステップ502)。
【0089】
次に、更新データ管理部14は、受信した地図配信要求に含まれる端末IDをキーとして端末ID−更新権利県コード対応テーブル300を検索し、その検索結果とステップ502において特定された更新対象の都道府県とを比較することによって、更新対象の都道府県に関する地図データの更新権利の有無を確認する(ステップ503)。
【0090】
ステップ503の確認の結果、地図配信要求を送信したナビゲーション端末が、更新対象の都道府県に関する地図データの更新権利を保持していると判定された場合(ステップ504)、更新データ管理部14は、更新対象パーセルIDをキーとしてパーセルID−更新エレメント対応テーブル240を検索して、更新対象のパーセルに対応する更新エレメントIDを取得する(ステップ505)。
【0091】
次に、更新データ管理部14は、ステップ505で取得された更新エレメントIDをキーとして更新エレメント管理テーブル400を検索し、それによって取得された更新エレメントをナビゲーション端末20に送信する(ステップ506)。
【0092】
ナビゲーション端末20の地図更新部23は、受信した更新エレメントに基づいて地図データを更新する(ステップ507)。具体的には、地図更新部23は、受信した更新エレメントに含まれる指示に従って、更新対象のパーセル内のオブジェクトの追加、削除及び変更等を行う。
【0093】
図6のステップ601〜603は、それぞれ図5のステップ501〜503と同様であるため、説明を省略する。特記しない限り、ステップ501〜503に関する説明は、そのままステップ601〜603にも適用される。
【0094】
ステップ603の確認の結果、地図配信要求を送信したナビゲーション端末が、更新対象の都道府県に関する地図データの更新権利を保持していないと判定された場合(ステップ604)、更新データ管理部14は、更新対象の都道府県の県コードをキーとして県コード−ハッチング用更新エレメント対応テーブル320を検索して、更新対象の都道府県に対応する更新エレメントIDを取得する(ステップ605)。
【0095】
次に、更新データ管理部14は、ステップ605で取得された更新エレメントIDをキーとして更新エレメント管理テーブル400を検索し、それによって取得された更新エレメント(すなわちハッチング用更新エレメント)をナビゲーション端末20に送信する(ステップ606)。
【0096】
なお、更新権利の欠如を示すハッチングは、更新対象のパーセルのみについて表示されてもよいが、更新権利が都道府県ごとに管理される場合には、更新権利のない都道府県全体に表示された方が、ユーザに対して更新権利の欠如を把握させやすいと考えられる。このため、更新データ管理部14は、更新対象のパーセルが更新権利のない都道府県に含まれる場合、その都道府県内の全パーセルに関するハッチング用更新エレメントを取得して、それらをナビゲーション端末20に送信する。
【0097】
ナビゲーション端末20の地図更新部23は、受信した更新エレメントに基づいて地図データを更新する(ステップ607)。この手順は図5のステップ507と同様である。
【0098】
以上で地図データ更新処理が終了する。
【0099】
なお、ステップ502において複数の都道府県が更新対象として特定され、それらの一部について更新権利が保持されていると判定され(ステップ504)、残りについて更新権利が保持されていないと判定された(ステップ604)場合、更新権利が保持されている都道府県を含むパーセルについてステップ505〜507が実行され、更新権利が保持されていない都道府県についてステップ605〜607が実行される。
【0100】
ところで、一般に、パーセルの境界と都道府県の境界とは一致しない。このため、一つのパーセルに複数の都道府県が含まれ、それらのうちの一部について更新権利があると判定され、残りについては更新権利がないと判定される場合がある(ステップ503)。例えば、A県の更新権利を保持し、B県の更新権利を保持しないナビゲーション端末20が、両県の境界を含むパーセルを対象とする地図配信要求を送信した場合(ステップ501)、更新データ管理部14は、その更新対象のパーセル全体について更新権利があると判定し(ステップ503)、ステップ505及び506を実行してもよい。この場合、更新対象のパーセルについて、ハッチング用更新エレメントは送信されない。
【0101】
あるいは、上記の場合において、更新データ管理部14は、更新対象のパーセルについて、更新権利があると判定された場合の処理(ステップ505及び506)、及び、更新権利がないと判定された場合の処理(ステップ605及び606)の両方を実行してもよい。この場合、更新対象のパーセルに対応する更新エレメントに基づいて、そのパーセル全体の道路データ及び背景データ等が更新され、さらに、そのパーセルに対応するハッチング用更新エレメントに基づいて、更新権利のないB県にハッチング等が表示される。ハッチングが半透明であれば、その下の層に表示された背景も視認することができる。
【0102】
ハッチングは、半透明であったとしても、その下の層に表示された背景の視認の妨げになり得るため、長時間表示し続けることは望ましくない。このため、ナビゲーション端末20は、適切なタイミングでハッチングの表示を終了してもよい。具体的には、地図配信サーバ10が配信するハッチング用更新エレメントに有効期限を示す情報が含まれ、ナビゲーション端末20が、ステップ607において更新された地図データに基づいてハッチングの表示を開始した後、その有効期限の経過後にハッチングの表示を停止し、その下の(すなわち更新されていない)地図を再び表示してもよい。
【0103】
ステップ501の地図配信要求は、どのようなタイミングで送信されてもよい。例えば定期的に送信されてもよいし、ユーザからの指示に応じて送信されてもよい。あるいは、ナビゲーション端末20は、各パーセル内をユーザが実際に通行した頻度(例えば所定の期間内の通行回数)を計測し、その頻度が所定の値を超えたパーセルの更新要求を送信してもよい。
【0104】
あるいは、ナビゲーション端末20は、上記のような通行頻度を示す情報を地図配信要求に含めて送信してもよい。この地図配信要求を受信した地図配信サーバ10の更新データ管理部14は、更新対象のパーセルについて更新権利がないと判定された場合(ステップ604)、さらに、地図更新要求に含まれる通行頻度が所定の値を超えるか否かを判定し、超えると判定された場合にのみステップ605及び606を実行してもよい。地図更新要求に含まれる通行頻度が所定の値を超えない場合には、結局、いずれの更新エレメントも選択されず、更新対象のパーセルの地図データは更新されない。ユーザにとって、そのユーザが通行する頻度の高い都道府県の地図データであるほど、それを更新することの有益性が高いと考えられる。通行頻度が高い領域についてのみハッチングを表示することによって、有益性の高い更新権利の購入を優先的に促すことができる。
【0105】
また、以上の実施形態では、付加情報の例として更新権利のない都道府県の表示(例えばハッチング)等を示したが、それ以外の付加情報にも本発明を適用することができる。付加情報の別の例は、気象情報の表示である。例えば、地図配信サーバ10は、本来の更新エレメント(すなわちパーセルID−更新エレメント対応テーブル240に登録される更新エレメント)に加えて、いわゆるゲリラ豪雨等が発生した場合に冠水する可能性がある道路の表示を背景データとして含む第2の更新エレメントを作成し、気象状態が所定の条件を満たす場合(例えば更新対象のパーセル周辺又はその上流域の降水量が所定の値を超える場合)にその第2の更新エレメントをナビゲーション端末20に送信してもよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態によれば、例えば更新権利が欠如した領域の表示のような付加情報を、地図データに含まれる背景データとして扱うことによって、従来のナビゲーション端末が持つ地図データの更新機能の枠組みを使用して低コストかつ利用し易い形態で提供することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 地図配信サーバ
11、26 管理データ記憶部
12 更新データ記憶部
13 更新データ抽出部
14 更新データ管理部
15、21 ネットワークインターフェース(I/F)
16、27 地図データ記憶部
17、28 プロセッサ
18、29 メモリ
20 ナビゲーション端末
22 配信要求部
23 地図更新部
24 ナビゲーション処理部
25 画面入出力I/F
30 無線通信装置
31 無線基地局
40 ネットワーク
41 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続され、前記ネットワークを介して地図データを配信する地図データ配信サーバであって、
前記地図データ配信サーバは、
前記ネットワークに接続されるインターフェースと、前記インターフェースに接続されるプロセッサと、前記プロセッサに接続される記憶装置と、を備え、
第1の地図データと、前記第1の地図データより新しいバージョンの第2の地図データと、を保持し、
地図上の所定の大きさの区画ごとに、前記第1の地図データに対する更新の指示を含む複数の更新データを保持し、
前記ネットワークを介して前記地図データ配信サーバと通信する端末から、複数の前記区画のうち第1の区画の前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する更新要求を受信すると、所定の条件が満たされるか否かを判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記第1の区画に関する前記複数の更新データの一つを選択し、
前記選択された更新データを前記端末に送信することを特徴とする地図データ配信サーバ。
【請求項2】
前記地図データ配信サーバは、一つ以上の前記端末と、前記各端末が保持する前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域とを対応付ける更新権利情報を保持し、
前記各区画に対応する前記複数の更新データは、前記各区画における前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する指示を含む第1の更新データと、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域を表示する画像を追加する指示を含む第2の更新データと、を含み、
前記地図データ配信サーバは、
前記受信した更新要求に含まれる前記更新要求を送信した端末の識別情報及び前記更新権利情報に基づいて、前記所定の条件が満たされるか否かの判定として、前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含むか否かを判定し、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含むと判定された場合、前記第1の更新データを選択し、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含まないと判定された場合、前記第2の更新データを選択することを特徴とする請求項1に記載の地図データ配信サーバ。
【請求項3】
前記第1の更新データは、道路ネットワークの更新を指示する情報を含む道路更新データと、道路以外の地物を地図上に表示する画像の追加、削除又は変更を指示する情報を含む背景更新データと、を含み、
前記第2の更新データは、前記道路更新データを含まず、前記背景更新データとして、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域を表示する画像を追加する指示を含むことを特徴とする請求項2に記載の地図データ配信サーバ。
【請求項4】
前記第2の更新データは、さらに、前記第2の地図データにおいて新たに追加された道路のうち、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域に含まれるものの位置及び形状を示す画像を追加する指示を含むことを特徴とする請求項3に記載の地図データ配信サーバ。
【請求項5】
ネットワークに接続され、前記ネットワークを介して地図データを配信する地図データ配信サーバと、前記ネットワークを介して前記地図データ配信サーバと通信する端末と、を含む地図データ配信システムであって、
前記地図データ配信サーバは、
前記ネットワークに接続される第1インターフェースと、前記第1インターフェースに接続される第1プロセッサと、前記第1プロセッサに接続される第1記憶装置と、を備え、
第1の地図データと、前記第1の地図データより新しいバージョンの第2の地図データと、を保持し、
地図上の所定の大きさの区画ごとに、前記第1の地図データに対する更新の指示を含む複数の更新データを保持し、
前記各端末は、
前記ネットワークを介して前記地図データ配信サーバと通信する第2インターフェースと、前記第2インターフェースに接続される第2プロセッサと、前記第2プロセッサに接続される第2記憶装置と、を備え、
前記第1の地図データを保持し、
複数の前記区画のうち第1の区画の前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する更新要求を前記地図データ配信サーバに送信し、
前記地図データ配信サーバは、
前記端末から前記更新要求を受信すると、所定の条件が満たされるか否かを判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記第1の区画に関する前記複数の更新データの一つを選択し、
前記選択された更新データを前記端末に送信し、
前記端末は、受信した前記更新データに基づいて、前記第1の地図データを更新することを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項6】
前記地図データ配信サーバは、一つ以上の前記端末と、前記各端末が保持する前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域とを対応付ける更新権利情報を保持し、
前記各区画に対応する前記複数の更新データは、前記各区画における前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する指示を含む第1の更新データと、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域を表示する画像を追加する指示を含む第2の更新データと、を含み、
前記地図データ配信サーバは、
前記受信した更新要求に含まれる前記更新要求を送信した端末の識別情報及び前記更新権利情報に基づいて、前記所定の条件が満たされるか否かの判定として、前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含むか否かを判定し、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含むと判定された場合、前記第1の更新データを選択し、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含まないと判定された場合、前記第2の更新データを選択することを特徴とする請求項5に記載の地図データ配信システム。
【請求項7】
前記第1の更新データは、道路ネットワークの更新を指示する情報を含む道路更新データと、道路以外の地物を地図上に表示する画像の追加、削除又は変更を指示する情報を含む背景更新データと、を含み、
前記第2の更新データは、前記道路更新データを含まず、前記背景更新データとして、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域を表示する画像を追加する指示を含むことを特徴とする請求項6に記載の地図データ配信システム。
【請求項8】
前記第2の更新データは、さらに、前記第2の地図データにおいて新たに追加された道路のうち、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域に含まれるものの位置及び形状を示す画像を追加する指示を含むことを特徴とする請求項7に記載の地図データ配信システム。
【請求項9】
前記各端末は、地図を含む画像を出力する画面出力インターフェースをさらに備え、
前記第2の更新データは、有効期限を示す情報を含み、
前記各端末は、
前記第2の更新データを受信した場合、前記第2の更新データに基づいて更新された地図を表示する画像データを前記画面出力インターフェースから出力し、
前記有効期限を経過した場合、前記第2の更新データに基づいて更新される前の地図を表示する画像データを前記画面出力インターフェースから出力することを特徴とする請求項5に記載の地図データ配信システム。
【請求項10】
前記各端末は、前記各端末の前記各区画内の実際の通行頻度を示す情報を保持し、
前記更新要求は、前記通行頻度を示す情報を含み、
前記地図データ配信サーバは、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含まないと判定された場合、前記更新要求に含まれる情報によって特定される通行頻度が所定の値より大きいか否かを判定し、
前記通行頻度が前記所定の値より大きいと判定された場合に前記第2の更新データを選択し、
前記通行頻度が前記所定の値より大きくないと判定された場合に前記第1の更新データ及び前記第2の更新データのいずれも選択しないことを特徴とする請求項6に記載の地図データ配信システム。
【請求項11】
ネットワークに接続され、前記ネットワークを介して地図データを配信する地図データ配信サーバによる地図データ配信方法であって、
前記地図データ配信サーバは、
前記ネットワークに接続されるインターフェースと、前記インターフェースに接続されるプロセッサと、前記プロセッサに接続される記憶装置と、を備え、
第1の地図データと、前記第1の地図データより新しいバージョンの第2の地図データと、を保持し、
地図上の所定の大きさの区画ごとに、前記第1の地図データに対する更新の指示を含む複数の更新データを保持し、
前記地図データ配信方法は、
前記地図データ配信サーバが、前記ネットワークを介して前記地図データ配信サーバと通信する端末から、複数の前記区画のうち第1の区画の前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する更新要求を受信すると、所定の条件が満たされるか否かを判定する第1手順と、
前記地図データ配信サーバが、前記判定の結果に基づいて、前記第1の区画に関する前記複数の更新データの一つを選択する第2手順と、
前記地図データ配信サーバが、前記選択された更新データを前記端末に送信する第3手順と、を含むことを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項12】
前記地図データ配信サーバは、一つ以上の前記端末と、前記各端末が保持する前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域とを対応付ける更新権利情報を保持し、
前記各区画に対応する前記複数の更新データは、前記各区画における前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する指示を含む第1の更新データと、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域を表示する画像を追加する指示を含む第2の更新データと、を含み、
前記第1手順は、前記地図データ配信サーバが、前記受信した更新要求に含まれる前記更新要求を送信した端末の識別情報及び前記更新権利情報に基づいて、前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含むか否かを判定する手順を含み、
前記第2手順は、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含むと判定された場合、前記地図データ配信サーバが前記第1の更新データを選択する手順と、
前記第1の区画が、前記更新要求を送信した端末が前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利を有する領域を含まないと判定された場合、前記地図データ配信サーバが前記第2の更新データを選択する手順と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の地図データ配信方法。
【請求項13】
前記第1の更新データは、道路ネットワークの更新を指示する情報を含む道路更新データと、道路以外の地物を地図上に表示する画像の追加、削除又は変更を指示する情報を含む背景更新データと、を含み、
前記第2の更新データは、前記道路更新データを含まず、前記背景更新データとして、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域を表示する画像を追加する指示を含むことを特徴とする請求項12に記載の地図データ配信方法。
【請求項14】
前記第2の更新データは、さらに、前記第2の地図データにおいて新たに追加された道路のうち、前記第1の地図データを前記第2の地図データに更新する権利が欠如した領域に含まれるものの位置及び形状を示す画像を追加する指示を含むことを特徴とする請求項13に記載の地図データ配信方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24736(P2013−24736A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160047(P2011−160047)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】