説明

地図画像表示プログラム

【課題】ポインティングデバイスからの特定の信号入力に依らずスクロール処理を実行することができる上、その実行を指定する操作者の指定操作を簡便なものにすることのできる地図画像表示プログラムを提供すること。
【解決手段】カーソルの位置座標(x,y)が、いずれかのスクロールエリアに配置されており、カーソルの現在の位置座標(x,y)が、エリアコードメモリに記憶されているエリアになければ(S13:No)、スクロール中フラグをオンして、タイマに所定時間(例えば200カウント)をセットする(S16)。このタイマにより所定の待機時間が経過したことが示されると、地図画像をスクロールするスクロール実行処理が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に地図画像を表示すると共に表示された地図画像に対するスクロール処理を実行する地図画像表示プログラムにおいて、特に、ポインティングデバイスからの特定の信号入力に依らずスクロール処理を実行することができる上、その実行を指定する操作者の指定操作を簡便なものにすることのできる地図画像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子地図は、電子データで形成された地図であって、液晶表示装置(以下単に「LCD」と称す)などの各種表示装置の表示画面上で地図画像の閲覧を可能としたものである。この電子地図(地図画像)を表示するシステムは、多くの場合、パーソナルコンピュータ(以下単に「PC」と称す)などを用い、PC内に設けられたデータベースに記憶される圧縮された地図情報から地図画像を生成し、PCに接続されるLCDなどにその生成された地図画像を出力することによって、地図画像を表示するようになっている。また、一般には、表示された地図画像に対し、LCDの画面上でその表示範囲を順次ずらすスクロールを実行することができるようになっている。これによれば1画面上に表示できない広範囲の地図画像であっても、表示範囲を移動させることで、操作者は、現在の表示位置から先方の表示位置までの地図画像を連続的に閲覧でき、操作者の使い勝手を向上させることができるからである。
【0003】
また、通常、電子地図の表示画面上には、位置を示すポインタとなるカーソルが表示されるようになっており、更に、カーソルに対する動作を指示するための入力装置としてポインティングデバイスがPCに接続されている。
【0004】
ここで、ポインティングデバイスの代表的なものとして、マウスと称される入力装置がある。マウスは、移動操作とクリック操作とが実行可能に形成されたデバイスである。移動操作は、操作者がマウスを動かす(移動させる)操作であり、その移動量、移動方向、移動速度に応じた移動信号を発生させる。また、クリック操作は、マウスに設けられたボタン(右ボタンおよび左ボタン)を押下する操作であり、押下されたボタンに応じた信号を発生させる。
【0005】
一方、PCでは、このマウスからの移動信号に応じて表示画面上のカーソルを移動させる。また、PCにおいては、右クリックまたは左クリックを示す特定の信号がマウスから入力されると、画面上に表示されるカーソル位置を入力位置とし、その入力位置に対応して設定された(表示された)コマンドの入力として、そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0006】
ここで、上記した地図画像のスクロールは、マウスのドラッグアンドドロップ操作(左クリックをした状態でマウスをスクロールさせる操作)に応じて実行されるようになっていることが多い。これによれば、マウスの左クリックにより入力位置を示す信号が入力されるとスクロールの開始とされ、続いてマウスから入力される移動信号に対応して地図画像が移動される。これにより、操作者は、所望する方向へ地図画像をスクロールさせることができる。
【0007】
マウス以外のポインティングデバイスとしては、キーボードに設けられたカーソル移動キーや、ジョイスティック、タッチパッド、コントロールボールなどがある。これらいずれのデバイスもカーソルの移動量を示す移動信号とコマンド入力(入力位置の指定)を行う信号とを発生するように構成されている。従って、マウス以外のポインティングデバイスであっても、マウスのドラッグアンドドロップ操作と同様の操作が実行することにより、地図画像表示プログラムに地図画像のスクロールを実行させることができる。
【特許文献1】特開平10−333552号公報(特に、段落[0031][0032]、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開平10−333552号公報に開示される技術などの従来の手法による地図画像のスクロールでは、地図画像のスクロール開始には、マウスの左クリックのように、ポインティングデバイスのボタン操作に基づく特定の信号入力が必要となる。このスクロールの実行のために特定の信号入力が必須となると、ポインティングデバイスのボタン操作にて実行できる処理の自由度を大きく低下させてしまい、ポインティングデバイスの数少ないボタンを有効に活用することができないという問題点があった。
【0009】
例えば、ポインティングデバイスがマウスであれば、一般的なマウスに設けられるボタンは2個である。マウスの左クリックがスクロールの実行に割り当てられてしまうと、単純には、マウス操作に応じてPC側が実行できるスクロール以外の処理は、右クリックによって実行し得る僅か1の処理となってしまう。更には、ポインティングデバイスがマウスである場合に、ドラッグアンドドロップ操作に応じてPC側がスクロールを実行するようになっていることが多い。これによれば、地図画像上で何らかの入力操作を行うことが不能となってしまう。PCは、通常のプログラム動作においては、入力位置の指定などの選択動作は、マウスの左クリックに応答するように構成されているからである。従って、従来の電子地図を表示するシステムにおいては、操作者が電子地図に対して何らかの入力操作(アクション)を、マウスの操作によって実行することが困難であるという問題点があった。
【0010】
ここで、表示される地図画像に対して実行可能な処理の自由度を向上させるには、第1に、ポインティングデバイスに配設されるボタン数を増加させる、第2に、スクロールモードを設定し、PC側がスクロールモードと通常モードとのいずれの場合であるかに応じて入力された信号を判定するように構成するといった2の手法が考えられる。しかし、第1の方法では、汎用のポインティングデバイスを用いることができず、操作者は電子地図を閲覧するために、専用のポインティングデバイスを用意せねばならず、新たなコストが発生してしまうという問題点があった。また、第2の方法では、操作者は、所望の地域の地図画像をPCに表示させる操作をした後、ポインティングデバイスを操作してモードをスクロールモードに切り換えてから、更にポインティングデバイスの操作によって地図画像をスクロールさせ、地図画像のスクロールが終了すると通常のモードへの切換を行うという煩雑な操作を行わねばならないという問題点があった。更に、スクロールを繰り返して実行する場合には、何度もかかる煩雑な操作を操作者に強いてしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ポインティングデバイスからの特定の信号入力に依らずスクロール処理を実行することができる上、その実行を指定する操作者の指定操作を簡便なものにすることのできる地図画像表示プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、請求項1記載の地図画像表示プログラムは、地図画像データ記憶手段に記憶される地図画像データに基づいて地図画像を表示手段に表示する表示ステップと、その表示ステップによって表示手段に表示される地図画像に対し指定された進行方向に向かって表示範囲を順次移動させるスクロールが要求された場合、前記表示ステップにて表示される地図画像について、その表示範囲を前記指定された進行方向に応じて変更し、前記表示手段に表示される地図画像をスクロールさせるスクロールステップとを備え、更に、前記表示手段の表示画面上の所定のエリアは、スクロールの実行を指示するスクロールエリアに設定されており、前記表示手段の表示画面上において位置を示すマークであるカーソルを表示するカーソル表示ステップと、操作者の操作に応じてカーソルを移動させる移動信号を生成するポインティング手段から移動信号が入力された場合に、前記カーソル表示ステップにより表示されるカーソルを、入力された移動信号に応じて移動させるカーソル移動ステップと、そのカーソル移動ステップが、前記ポインティング手段からの移動信号に応じてカーソルを前記スクロールエリアに配置した場合に、前記スクロールステップにスクロールを実行させるカーソル配置スクロール実行ステップとを備えている。
【0013】
請求項2記載の地図画像表示プログラムは、請求項1記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記カーソル配置スクロール実行ステップは、スクロールの実行中において、前記カーソル移動ステップが、前記ポインティング手段からの移動信号に応じて、前記スクロールエリアに位置するカーソルを前記スクロールエリアのエリア外に配置した場合、前記スクロールステップによるスクロールを停止させるものであり、カーソルが前記スクロールエリアにある期間において、前記スクロールステップにスクロールを実行させる。
【0014】
請求項3記載の地図画像表示プログラムは、請求項1又は2記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記カーソル移動ステップにより前記スクロールエリアにカーソルが配置されると所定の第1待機時間を計時する計時ステップを備えており、前記カーソル配置スクロール実行ステップは、その計時ステップにより第1待機時間以上の計時がなされた場合に、前記スクロールステップに、スクロールを実行させるものである。
【0015】
請求項4記載の地図画像表示プログラムは、請求項1から3のいずれかに記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記スクロールエリアは、前記表示手段に表示される地図画像の周縁部分に配設された複数のエリアを備え、その各エリアのそれぞれには、前記エリアが配置された地図画像上の位置に応じてスクロールの進行方向が設定されており、前記カーソル配置スクロール実行ステップは、前記カーソル移動ステップによりカーソルが配置されたエリアに設定された進行方向を指定の方向として、前記スクロールステップにスクロールを実行させるものである。
【0016】
請求項5記載の地図画像表示プログラムは、請求項1から4のいずれかに記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記スクロールエリアは、地図画像の平面上において、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の少なくとも8方向に対応したエリアを備えており、前記カーソル配置スクロール実行ステップは、前記カーソル移動ステップによりカーソルが配置されたエリアに対応する方向を指定された進行方向として、前記スクロールステップにスクロールを実行させるものである。
【0017】
請求項6記載の地図画像表示プログラムは、請求項3から5のいずれかに記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記カーソル配置スクロール実行ステップは、スクロールの実行中において、前記カーソル移動ステップが、前記スクロールエリアの1のエリアに既に位置する前記カーソルを、前記ポインティング手段からの移動信号に応じて前記スクロールエリア内の他のエリアへ移動させた場合、スクロールの進行方向を移動先のエリアに応じた方向に変更して前記スクロールステップにスクロールを継続させるものである。
【0018】
請求項7記載の地図画像表示プログラムは、請求項3から5のいずれかに記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記計時ステップは、スクロールの実行中において、前記カーソル移動ステップが、前記スクロールエリアの1のエリアに既に位置する前記カーソルを、前記ポインティング手段からの移動信号に応じて前記スクロールエリア内の他のエリアへ移動させた場合、所定の第2待機時間を計時するものであり、前記カーソル配置スクロール実行ステップは、スクロールの実行中に前記スクロールエリア内の他のエリアへカーソルが移動されると前記スクロールステップによるスクロールを一旦停止させると共に、前記計時ステップによる第2待機時間以上の計時がなされると、移動先のエリアに応じた方向へのスクロールを前記スクロールステップに実行させるものである。
【0019】
請求項8記載の地図画像表示プログラムは、請求項1から7のいずれかに記載の地図画像表示プログラムにおいて、前記スクロールエリアにカーソルが配置された場合にスクロールを実行するか否かを操作者の操作に応じて指定する指定ステップと、その指定ステップにより前記スクロールエリアへのカーソル配置にてスクロールを実行することが指定されている場合には、前記カーソル配置スクロール実行ステップの動作を許可する一方、前記指定ステップにより前記スクロールエリアへカーソルが配置されてもスクロールを実行しないことが指定されている場合には、前記カーソル配置スクロール実行ステップの動作を禁止する許可ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の地図画像表示プログラムによれば、カーソル表示ステップて表示されるカーソルは、ポインティング手段から入力された移動信号に応じてカーソル移動ステップにより移動される。そして、カーソルが、表示手段の表示画面上のスクロールエリアに配置されると、スクロールステップによる地図画像のスクロールが、カーソル配置スクロール実行ステップにより実行される。よって、カーソルをスクロールエリアに配置するだけで地図画像のスクロールを実行することができるという効果がある。
【0021】
従来の地図画像のスクロールでは、ポインティング手段からの特定の信号入力に応じてスクロールを実行するものが一般的であった。しかし、本プログラムは、カーソルをスクロールエリアに配置するだけでスクロールを実行できるので、ポインティング手段からの特定の信号入力に依らず地図画像のスクロールを実行することができる。このため、従来においてスクロール処理を割り付けていたポインティング手段からの特定の信号を、他の処理に割り付けることができ、これによって、ポインティング手段の特定の信号を発生させる操作(ボタン操作など)にて実行することのできるスクロール処理以外の処理の数を増加させることができる。言い換えば、ポインティング手段で発生させ得る特定の信号に割り付けられる処理数が、スクロール処理のために減じられることがない。このため、ポインティング手段にて実行させる処理の設定の自由度を向上させると共に、ポインティング手段の数少ないボタンを有効に活用することができるという効果がある。
【0022】
ここで、地図画像のスクロールを実行するスクロールモードを設け、そのスクロールモード中である場合と否であるとで、同じ特定の信号であっても異なる動作を実行するように地図画像表示プログラムを構成すれば、ポインティング手段の特定の信号の入力操作によって(スクロール処理以外に)実行し得る処理を増加させることができる。ところが、かかる方法では、地図画像のスクロールを行うために操作者に要求される操作手順が煩雑になってしまう。しかし、本プログラムでは、地図画像のスクロールを実行するために、操作者は、スクロールエリアにカーソルを配置する操作をするだけでよいので、ポインティング手段の特定の信号を発生させる操作に応じて実行することのできるスクロール処理以外の処理の数を増加させても、スクロール実行時に操作者に要求される操作を簡便にすることができ、使い勝手が良いという効果がある。
【0023】
また、例えば、従来のように、マウスのドラッグアンドドロップ操作にて地図画像のスクロールを実行する場合には、スクロールの実行に際して、マウスに設けられた1のボタンが押下された後、スクロール期間中は持続的に押下が継続される。ところが、本プログラムにおいては、スクロール中においてはポインティング手段をフリーな状態とすることができるので、地図画像をスクロールさせつつ他の処理を実行することができるという効果がある。
【0024】
請求項2記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項1記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、スクロールの実行中において、カーソル移動ステップが、ポインティング手段からの移動信号に応じて、スクロールエリアに位置するカーソルをスクロールエリアのエリア外に配置した場合、スクロールステップによるスクロールは、カーソル配置スクロール実行ステップによって停止される。つまり、スクロール処理を開始および停止するためのポインティング手段からの特定の信号の入力を、不要とすることができるという効果がある。このため、ポインティング手段にて発生させ得る特定の信号に対して、スクロール処理とは別の処理を対応させることができ、ポインティング手段から特定の信号が入力された場合、その特定の信号に対して予め定められたその別の処理(スクロール処理以外の処理)を実行することができる。言い換えれば、ポインティング手段に設けられた数少ないボタンを有効に活用することができ、ポインティング手段の操作によって実行し得る処理のバリエーションを増加させることができる。
【0025】
また、スクロールエリア内外にカーソルを配置することにより、スクロールの開始と停止とを切り換えることができるので、操作者にスクロールの開始および停止のための操作を感覚的に理解させ易い上、スクロールの開始および停止を簡便な操作で実行でき、使い勝手が良いという効果がある。
【0026】
請求項3記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項1又は2記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、計時ステップにより第1待機時間以上の計時がなさると、カーソル配置スクロール実行ステップにより、スクロールステップによる地図画像のスクロールが、カーソル配置スクロール実行ステップにより実行される。よって、所定時間が経過するまでは、スクロールエリアにカーソルが配置されても、スクロールの実行を待機させることができるという効果がある。
【0027】
スクロールエリアへのカーソルの配置により直ちにスクロールが開始されてしまうと、、カーソル配置からスクロール開始までの所要時間が、操作者がスクロール動作を認識するために必要な反応時間よりも短くなってしまいかねず、スクロール開始直後に、操作者が開始されたスクロールに追従できなくなる危険性がある。その結果、スクロール中の地図画像の現在地を見失いかねない。しかし、カーソルがスクロールエリアに配置されてから第1待機時間以上経てスクロールが開始されるので、操作者は、開始されたスクロールに十分に反応することができ、スクロールされている地図画像の現在位置を見失い難いという効果がある。
【0028】
また、例えば、スクロールエリアにも、コマンドを入力するためのコマンドボタンや地図画像を表示し得るが、スクロールエリアへのカーソル配置によって直ちにスクロールが開始されてしまうと、かかるスクロールエリアに表示されたコマンドボタンや地図画像に対する操作を実行することはできない。しかし、カーソルがスクロールエリアに配置されても直ちにはスクロールは開始されないので、スクロールが開始されるまでの間において、スクロールエリア内に表示される地図画像やコマンドボタンに対する操作や処理を実行することができる。従って、スクロールエリアをデッドスペースとすることなく、限られたスペースである表示画面を有効に利用することができるという効果がある。
【0029】
請求項4記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項1から3のいずれかに記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、スクロールエリアとして、地図画像の周縁部分に、地図画像上の位置に応じてスクロールの進行方向が設定された複数のエリアが配設されており、カーソル移動ステップによりカーソルが配置されたエリアに設定された進行方向を指定の方向として、スクロールステップによる地図画像のスクロールが、カーソル配置スクロール実行ステップにより実行される。よって、スクロールの進行方向を、操作者が感覚的に把握しやすいという効果がある。
【0030】
地図画像は限られたスペースで表示されるため、必ず、周縁部を有することとなる。ここで、周縁部は地図画像の中心に対して相対的な位置関係(例えば、東西南北、或いは上下左右など)を有する。従って、周縁部分にスクロールエリアの各エリアを設け、さらにその各エリアに対しその地図画像上の位置に応じてスクロールの進行方向として設定することにより、操作者に、カーソルの配置とスクロール方向との対応関係を容易に把握させることができる。例えば、地図画像周縁部の上側のスクロールエリアにカーソルを配置すれば、上側に進行するスクロールが実行されることとなるので、操作者は、スクロールの進行方向を感覚的に把握し易い。言い換えれば、どの位置にカーソルを配置するとスクロールが実行されか、また、所望の方向へのスクロールを行うためのカーソルの配置箇所を、地図画像上の位置に対応つけて、操作者は容易に認識することができる。
【0031】
これによれば、地図画像とは別に、スクロールの進行方向を示す表示を現出させなくとも、操作者にスクロールエリアを容易に認識させることができる。その結果、スクロールの進行方向を示す表示を非表示として、その分、地図画像の表示領域を拡大すること(例えば全画面に表示すること)ができるという効果がある。また、スクロールの進行方向を示す表示が非表示であっても、スクロールの進行方向の把握が容易であるため、操作者の意図しないスクロールの実行や所望の方向とは異なる進行方向へのスクロールの実行などの発生を抑制できる。
【0032】
請求項5記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項1から4のいずれかに記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、スクロールエリアは、地図画像の平面上において、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の少なくとも8方向に対応したエリアを備えており、カーソル移動ステップによりカーソルが配置されたエリアに設定された進行方向を指定の方向として、スクロールステップによる地図画像のスクロールが、カーソル配置スクロール実行ステップにより実行される。よって、操作者所望の先方位置まで、操作者所望の方向(行路)に沿ったスクロールを実行することができるという効果がある。また、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の8方向は、操作者が把握し易い明確な方向であるため、スクロールの進行方向を上記8方向とすれば、操作者は的確にスクロール方向を選定できるという効果がある。
【0033】
請求項6記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項3から5のいずれかに記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、スクロールの実行中において、カーソル移動ステップにより、スクロールエリアの1のエリアに既に位置するカーソルが、ポインティング手段からの移動信号に応じて、スクロールエリア内の他のエリアへ移動された場合、カーソル配置スクロール実行ステップにより、スクロールの進行方向が移動先のエリアに応じた方向に変更されて、スクロールステップによるスクロールは継続される。よって、地図画像を継続してスクロールしつつ、その進行方向を変更することができ、スクロール中の地図画像を閲覧する操作者は、所望のタイミングで所望の方向へ切り替えてスクロールを進行させることができるという効果がある。その上、操作者がポインティング手段を使用して(カーソルを移動させ)スクロール方向を変更させる操作を行うと、直ちにスクロール方向が変更されるので、変更の指示(ポインティング手段の操作)から実際に進行方向が変更されるまでのタイムラグによって操作者が感じるストレスを低減することができるという効果がある。
【0034】
請求項7記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項3から5のいずれかに記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、スクロールの実行中において、カーソル移動ステップにより、スクロールエリアの1のエリアに既に位置するカーソルが、ポインティング手段からの移動信号に応じて、スクロールエリア内の他のエリアへ移動された場合、計時ステップにより所定の第2待機時間が計時される。また、スクロールの実行中にスクロールエリア内の他のエリアへカーソルが移動されると、カーソル配置スクロール実行ステップにより、スクロールステップによるスクロールは一旦停止される。そして、計時ステップによる第2待機時間以上の計時がなされると、スクロールステップによる移動先のエリアに応じた方向へのスクロールが、カーソル配置スクロール実行ステップにより実行される。
【0035】
よって、スクロールの進行方向が変更される場合において、スクロールが停止する所定の第2待機時間の間に、操作者に、スクロールの進行方向の変化に備えさせることができ、操作者は、余裕を持って、進行方向の変化に対応することができるという効果がある。操作者は、地図画像のスクロールが実行されると、スクロールされている地図画像を目視にて追従すると共に、見かけ上連続的に変更される地図画像の表示範囲に対し、現在の表示範囲を把握する作業を行う。ここで、スクロールの進行方向が急激に(間断なく)変化すると、操作者がその変化に反応しきれずに混乱してしまい、操作者に、表示される地図画像の現在の表示範囲を把握させることを困難にしてしまうことがある。しかし、本プログラムでは、スクロールの進行方向が変更される場合には、一旦、スクロールを停止し、その後、第2待機時間以上の時間が経過することにより、変更後の進行方向へのスクロールを開始するので、操作者に、余裕を持って、スクロールの進行方向変化に対応させることができるのである。
【0036】
その結果、スクロールの進行方向を変更した場合に、操作者を混乱させることなく十分にスクロールに追従させることができる。故に、操作者は、スクロールの進行方向が変更されても、表示される地図画像の現在の表示範囲を的確に把握することができるという効果がある。
【0037】
請求項8記載の地図画像表示プログラムによれば、請求項1から7のいずれかに記載の地図画像表示プログラムの奏する効果に加え、スクロールエリアへのカーソル配置にてスクロールを実行することが指定ステップにより指定されている場合には、許可ステップにより、カーソル配置スクロール実行ステップの動作を許可され、スクロールエリアへカーソルが配置されてもスクロールを実行しないことが指定ステップにより指定されている場合には、許可ステップにて、カーソル配置スクロール実行ステップの動作は禁止される。 指定ステップは、操作者の操作に応じて指定を行うものであるので、スクロールエリアへのカーソル配置によって地図画像のスクロールを実行するか否かを、操作者の意図を反映して決定することができるという効果がある。言い換えれば、スクロールエリアへのカーソル配置による地図画像のスクロールを、操作者が所望した場合に実行することができるという効果がある。
【0038】
尚、許可ステップによりカーソル配置スクロール実行ステップの動作が禁止された場合に、他の操作手順に応じて地図画像のスクロールを実行するように本プログラムを構成すれば、異なる操作手順の内の操作者が好むほうの手順で、地図画像のスクロールを実行することができるという効果がある。他の操作手順とは、例えば、マウスのドラッグアンドドロップ操作等ポインティング手段による特定の信号入力とカーソルの移動操作との組合せや、ポインティング手段によるスクロールモードへの切換え操作とスクロール実行のためのコマンドの入力操作との組合せなどが例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の地図画像表示プログラムを搭載したパーソナルコンピュータ(以下「PC」と称す)10の電気的な構成を示したブロック図である。
【0040】
PC10は、その内部に記憶される地図情報に基づいて地図画像(いわゆる電子地図)を表示する装置であり、操作者のポインティングデバイスの操作に応じて、表示された地図画像のスクロールや任意のポイントの指定操作を行うものである。尚、本実施形態においては、LCD17の全画面に地図画像が表示されるようになっている。
【0041】
このPC10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、ハードディスクドライブ(以下「HDD」と称す)14と、入出力ポート16と、表示装置であるLCD17と、入力装置であるキーボード18と、マウス19とを有している。CPU11は、演算装置であり、ROM12やRAM13、HDD14に記憶されるプログラムを実行するものである。また、CPU11は、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データに基づいて地図画像をLCD17に表示すると共に、LCD17の表示画面上に位置を示すマークである矢印態様のカーソルを表示し、また、マウス19の操作に連動してこのカーソルの移動などの動作を実行する。
【0042】
このCPU11は、タイマ11aを備えている。タイマ11aは、所定時間の計時を行うためのものであり、後述するスクロール処理(図5参照)において、スクロールエリアにカーソルが配置されたことを契機として所定時間がセットされるようになっている。また、タイマ11aの値(t)は、タイマ管理処理(図6参照)において、その実行毎に1ずつ、0になるまで減算される。そして、このタイマ11aの値(t)により、所定の待機時間(第1待機時間)の経過が計時されると、地図画像のスクロールを開始するタイミングの到来として、CPU11に判断される。
【0043】
ROM12は、ブートプログラムなどの基本プログラムを記憶する書換不能なメモリである。RAM13は、書換可能なメモリであり、表示画像メモリ13aと、周辺画像メモリ13bと、退避メモリ13cと、ポイント座標メモリ13dと、エリアコードメモリ13eと、スクロール切換フラグ13fと、スクロール中フラグ13gとを備えている。
【0044】
表示画像メモリ13aは、地図情報から生成されたイメージデータ(地図画像データ)を記憶するメモリであり、LCD17に表示される地図画像データの表示範囲(第1表示範囲W1)よりも広い第2表示範囲W2に対応する地図画像データが記憶されている。地図画像データは、形成する地図画像の各画素に対応する画素データで構成される一群の情報であり、表示画像メモリ13aには、各画素データが座標(x,y)に対応つけて記憶されている。座標は、X軸上の位置を示すX座標(x)と、そのX軸に直交するY軸上の位置を示すY座標(y)とにより位置を示す情報である。表示画像メモリ13aに記憶される第2表示範囲W2の地図画像データの先頭の画素データに、先頭座標(0,0)が付与され、最終の画素データに最終座標(m,n)が付与されている。
【0045】
表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データにより第2表示範囲W2の地図画像を仮想的に形成すると、先頭座標(0,0)の画素データにて、その地図画像における左上端に位置する画素が形成され、最終座標(m,n)の画素データにて、地図画像における右下端に位置する画素が形成される。また、地図画像の左右方向をX軸、X軸に直交する上下方向をY軸として各画素データに対応する画素が、その画素データの座標にて規定される位置に配置される。第2表示範囲の地図画像データで形成される地図画像は、(m+1)×(n+1)の画素で表現される大きさとなる。
【0046】
LCD17には、主に、この表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データの中から、表示対象の地域(地図画像)の地図画像データが、第1表示範囲W1で抽出され、その抽出された第1表示範囲W1の地図画像データが、LCD17に出力され、表示される。地図画像データのLCD17への表示により、LCD17の表示画面上には、地図画像が形成される。
【0047】
CPU11は、LCD17に表示された地図画像に対するスクロールが要求されると、スクロール限界点に到達するまで、指定されたスクロールの進行方向に、抽出する第1表示範囲W1の座標をずらしながら、順次、この表示画像メモリ13aから地図画像データを抽出して出力する。これにより、LCD17においては、見かけ上、地図画像のスクロールが実行される。
【0048】
周辺画像メモリ13bは、スクロール限界点に達した場合に表示画像メモリ13aに新たに書き込む地図画像データを記憶するメモリである。この周辺画像メモリ13bには、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データに隣接する(一部重複する)地域の第2表示範囲W2の地図画像データが、記憶されている。
【0049】
表示画像メモリ13aの大きさは有限であるので、地図画像のスクロールが進行すると、やがて、その進行方向に(現在の表示位置よりも先方に)表示可能(抽出可能)な地図画像データが表示画像メモリ13a内に存在しないスクロール限界点に到達する。かかる場合に、更にスクロールを実行するには、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データを、更に先方の地域の地図画像データに差し換える必要が生じる。
【0050】
周辺画像メモリ13bは、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データに隣接する地図画像データを記憶するものであり、その隣接する地図画像データは、スクロール限界点に到達するまでの所定のタイミングで、後述する地図情報メモリ14cから読み出されて展開された後、この周辺画像メモリ13bに書き込まれている。この周辺画像メモリ13bに記憶される地図画像データは、スクロール限界点が到来するとCPU11により読み出されて、表示画像メモリ13aに書き込まれる。
【0051】
退避メモリ13cは、スクロール限界点が到来した場合に、LCD17に表示されている地図画像データを一時的に退避させるためのメモリである。スクロール限界点が到来すると、CPU11により、LCD17に表示中の地図画像の(第1表示範囲W1に対応する)地図画像データが、退避メモリ13cに書き込まれる。そして、退避メモリ13cに記憶される地図画像データが、LCD17に表示される。これにより、周辺画像メモリ13bから表示画像メモリ13aへの、新たな第2表示範囲W2の地図画像データの書込みの間においても、LCD17での地図画像の表示を継続することができる。
【0052】
ポイント座標メモリ13dは、LCD17に出力される地図画像データの基準点Aの座標を記憶するメモリであり、現在LCD17に出力されている地図画像データが、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データの内のいずれの部分(位置)のものであるかを管理するためのものである。
【0053】
上記したように、LCD17に表示される地図画像データは、第1表示範囲W1の地図画像データであり、表示画像メモリ13aに記憶される第2表示範囲W2の地図画像データの一部である。このため、現在LCD17に表示される地図画像データ(第1表示範囲W1)が、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データの内のいずれの部分(位置)のものであるかをCPU11は、管理する必要がある。
【0054】
現在LCD17に出力中の地図画像データの表示画像メモリ13aでの位置(第2表示範囲W2の地図画像データ中での位置)が不明であると、地図画像のスクロールを実行することは不能となる。地図画像のスクロールにおいては、現在LCD17に出力されている地図画像データの表示画像メモリ13aでの位置を基準として、順次、指定されたスクロール方向に、抽出する地図画像データの位置をずらす必要があるからである。このため、表示画像メモリ13aから抽出された第1表示範囲W1の地図画像データについて、その表示画像メモリ13aにおける位置を示す基準点Aの座標が、ポイント座標メモリ13dにおいて管理されているのである。
【0055】
具体的には、基準点Aは、表示画面上の地図画像左上端の画素に対応する画素データの位置であり、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの先頭の画素データに付与された座標で示される。
【0056】
ここで、表示画像メモリ13aに記憶される(第2表示範囲W2の)地図画像データには、各画素データに対し(0,0)から(m,n)の座標が付与されている。また、第1表示範囲W1は、予め定められた矩形の範囲である。従って、ポイント座標メモリ13dに記憶される基準点Aの座標に基づいて、CPU11は、表示画像メモリ13aに記憶される第2表示範囲W2の地図画像データの内、LCD17に出力中の第1表示範囲W1の地図画像データの部分(位置と範囲と)を把握することができる。
【0057】
例えば、本実施形態では、地図画像はLCD17の全画面に表示するサイズとされているので、LCD17の表示画面相当の範囲(例えば、1024×768画素)が第1表示範囲W1とされている。このため、ポイント座標メモリ13dに、基準点Aの座標(0,0)が記憶されている場合、第1表示範囲W1が1024×768画素であると、現在LCD17に出力されている地図画像データは、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データの内の座標(0,0)〜(1023,767)の範囲の画素データとなる。
【0058】
エリアコードメモリ13eは、表示画面上においてカーソルが属する(カーソルが配置されている)エリアを記憶するためのメモリであり、カーソルの配置(表示)されているエリアに付与されているエリアコードが記憶されている。ここで、カーソルは、表示画面上における位置を示すためのマークであり、矢印形状で表示されている。このカーソルは、ポインティングデバイスであるマウス19の移動操作に応じて、CPU11により表示画面上を移動される。また、表示画面上には各種のコマンドを入力するためのコマンドボタンが表示されており、マウス19のクリック操作がなされると、カーソルが重ねられたコマンドボタンの入力としてCPU11に認識される。
【0059】
このカーソルが表示画面上においていずれの位置(エリア)に配置されているかは、CPU11にて常時監視されており(図4参照)、カーソルの属するエリアを示すエリアコードが、後述のスクロール処理(図5参照)により、このエリアコードメモリ13eに記憶される。また、カーソルが移動した場合には、その移動先に応じて、このエリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが更新される。具体的には、LCD17に表示された地図画像に対し予め設定された各エリアのそれぞれに個別に付与された「00」〜「08」のエリアコードが、このエリアコードメモリ13eに記憶される(図3参照)。
【0060】
尚、地図画像表示プログラムの起動により、地図画像の初期画面が表示される際には、カーソルは、「00」エリアに配置されるようになっており、それに対応して、地図画像表示プログラムの起動時には、エリアコードメモリ13eには、「00」が記憶される。
【0061】
スクロール切換フラグ13fは、スクロールエリアにカーソルが配置された場合に地図画像のスクロールを実行するか否か、即ち、かかるスクロール動作の許可および禁止を示すフラグである。キーボード18の所定の操作によって、操作者により、かかるスクロール動作の実行が設定されると、CPU11により、このスクロール切換フラグ13fはオンされる。また、上記したスクロール動作の非実行が設定されると、CPU11により、このスクロール切換フラグ13fはオフされる。CPU11は、このスクロール切換フラグ13fオンである場合において、カーソルがスクロールエリアに配置されたことに基づく地図画像のスクロールを実行する。従って、スクロール切換フラグ13fがオフである場合には、カーソルがスクロールエリアに配置されても地図画像のスクロールは実行されない。尚、スクロール切換フラグ13fがオフである場合には、マウス19のドラッグアンドドロップ操作に応じて地図画像のスクロールが実行される。
【0062】
スクロール中フラグ13gは、地図画像のスクロールが実行状態にあることを示すフラグである。このスクロール中フラグ13gは、スクロール切換フラグ13fがオンであって、且つ、カーソルがスクロールエリアに配置されてから所定の待機時間が経過した場合にオンされる。また、オンされたスクロール中フラグ13gは、中央エリアにカーソルが移動された場合にオフされる。CPU11は、カーソルがスクロールエリアに配置された場合に、このスクロール中フラグ13gがオンであることを条件として、地図画像のスクロール(スクロール実行処理S26、図7参照)を実行する。従って、カーソルがスクロールエリアに配置されても、直ちには、地図画像のスクロールは開始されず、所定の待機時間が経過した後に、地図画像のスクロールは実行される。
【0063】
尚、スクロールが実行状態にあるとは、実際にスクロールが実行されている状態のみならず、スクロールが実行される期間中であって繰り返しスクロールが実行される状態にあることを含み、更には、スクロールエリアへのカーソル配置から所定の待機時間の経過によりスクロールの実行が確定した状態をも包含する。
【0064】
図1に示すように、これら、CPU11、ROM12、RAM13は、アドレスバス、データバスおよびコントロールバスなどにより構成されるバスライン15を介して相互に接続されている。バスライン15は、また、入出力ポート16にも接続されており、この入出力ポート16は、HDD14、LCD17、キーボード18、マウス19に接続されている。
【0065】
HDD14は、PC10のオペレーティングシステム(OS)や各種のアプリケーションプログラムなどの制御プログラム16aを備えた書き換え可能な大容量の記憶媒体である。本実施形態の地図画像表示プログラムは、この制御プログラム16aの一部としてHDD14に記憶されている。また、図4〜図7のフローチャートに示すプログラムは、この地図画像表示プログラムの一部として記憶されている。また、HDD14には、スクロール領域メモリ14bと、地図情報メモリ14cとが備えられている。
【0066】
スクロールエリアメモリ14bは、LCD17に表示される地図画像に対して予め設定された各エリアについて、その範囲を示す領域情報とエリアコードとを対応つけて記憶するメモリである。LCD17に表示される地図画像は、予め定めた所定数の画素で構成される第1表示範囲W1の画像であり、第1表示範囲W1の画像の左上端の画素の表示画面上での位置座標を(0,0)、右下端の位置画素の座標を(p,q)(例えば(1023,767)など)として、各画素のそれぞれに位置座標が付与されている。
【0067】
領域情報は、地図画像に設定されたエリアの範囲を、上記した表示画面上の位置座標で示した座標データである。従って、領域情報が有する位置座標にて、地図画像上の各エリアを規定することができる。尚、各エリアの態様は矩形状とされているので、その矩形の頂点の4つの位置座標(または対角の2つの位置座標)で領域情報は構成されている。
【0068】
エリアコードは、各領域情報にて規定される各エリアのそれぞれを識別するためコードであり、各エリアのそれぞれに1ずつ付与されている。本実施形態では、地図画像は、9つの矩形状のエリアに区画されており、各エリアのそれぞれにエリアコード「00」〜「08」が付与されている。従って、このエリアコード「00」〜「08」に対応つけて、9つの領域情報がスクロールエリアメモリ14bに記憶されている。
【0069】
地図情報メモリ14cは、大容量の記憶領域で形成されたメモリであり、LCD17に出力する地図画像データを形成するための地図情報を記憶するデータベースである。この地図情報メモリ14cには、LCD17に表示し得る電子地図の全領域を網羅する地図情報が記憶されている。
【0070】
この地図情報メモリ14cに記憶される地図情報は、予め定められた地域ブロック毎に分割された地図画像を形成するための画像情報であり、各地域ブロックに対応する複数の地図情報が、圧縮されたデータ形式でこの地図情報メモリ14cに記憶されている。また、各地図情報には、地図情報の属性を示す属性情報が付加されており、その属性情報に基づいて、各地図情報は管理される。尚、属性情報は、1の地図情報に対応する地域ブロックを示す情報と、その1の地図情報に隣接する地域ブロックの地図情報を指定する情報とを備えている。
【0071】
操作者の入力操作によって、1の地域ブロックが指定されると、属性情報に基づいて、その指定された地域ブロックに対応する地図情報が、この地図情報メモリ14cから読み出される。また、LCD17において地図画像のスクロールが実行されると、LCD17に出力されている地図画像データに対応する地図情報の属性情報に基づいて、隣接する地域ブロックの地図情報がこの地図情報メモリ14cから読み出される。
【0072】
マウス19は、ポインティングデバイスの1つであって、その操作に応じた信号をPCに入力する入力装置である。このマウス19には、ボタンとして、押下によって特定の信号をそれぞれ発生させる右ボタンと左ボタンとを備えている。また、内部に埋め込んだボールの回転により移動方向と移動量とを示す移動信号を発生させる移動機構とを備えている。操作者は、このマウス19を平面上で移動させることにより、移動機構が発生させる移動信号をPC10に入力して、LCD17に表示されるカーソルを操作することができる。ここで、本実施形態の地図画像表示プログラムは、このマウス19の操作にてカーソルがスクロールエリア(「01」エリア〜「08」エリア)に配置されることにより地図画像のスクロールを実行することができるようになっている。このため、スクロールの実行において、マウス19の左ボタンの押下、即ち、左クリックによるマウス19からの特定の信号入力を不要とし得る。故に、左ボタンの押下に対して、スクロールの実行を要求する以外の他の動作を割り付けることができる。従って、マウス19のボタン操作によって実行できるスクロール処理以外の処理を増やすことができ、マウス19の少ないボタンを有効に活用することができる。
【0073】
尚、本実施形態の地図画像表示プログラムにおいては、マウス19の左ボタンの押下(左クリック)に応じて地図画像上のポイントの指定を実行し、また、右ボタンの押下(右クリック)に応じて、指定された直前のポイント(最後のポイント)のキャンセルを実行する。指定したポイント間は、直線で連結され、指定ポイントが2カ所であればその2点間の直線距離を算出し、指定ポイントが3カ所以上であれば、指定ポイントで囲まれた面積を算出することができるようになっている。
【0074】
また、マウス19の操作のみならず、キーボード18に設けられているカーソル移動キーの操作によっても、表示画面上のカーソルを移動させることができ、かかるカーソル移動キーの操作によって、スクロールエリアにカーソルが配置された場合にも、同様に地図画像のスクロールが実行される。
【0075】
図2は、上記のように構成されたPC10において、地図画像表示プログラムによって地図画像のスクロールが実行された場合のメモリ動作を模式的に示した図である。
【0076】
図2中において、右側上方には、表示画像メモリ13aに記憶されている第2表示範囲W2の地図画像データを示している。この第2表示範囲W2の地図画像データにおいて含まれる各画素データは、(0,0)〜(m,n)の座標に対応して記憶されている。
【0077】
かかる第2表示範囲W2の地図画像データの中から、指定された地域の地図画像データが抽出される。抽出される地図画像データの範囲は、第1表示範囲W1であり、図2中において、太線の黒枠にて示している。この抽出された第1表示範囲W1の地図画像データが、実際にLCD17の1画面に表示される地図画像となる。
【0078】
抽出された地図画像データの基準点Aの座標(A(x1,y1))は、抽出された地図画像データの位置を示す指標として、ポイント座標メモリ13dに記憶される。また、抽出された第1表示範囲W1の地図画像データの各画素データには、表示画面上の出力位置を示す位置座標が新たに付与される。この新たに付与される位置座標は、表示画面上での位置座標であって、第2表示範囲W2の地図画像データの各画素データに付与された座標とは別の座標である。抽出された第1表示範囲W1の地図画像データに対しては、新たに、先頭の画素データの座標を(0,0)、最終の画素データの座標を(p,q)として、各画素データのそれぞれに位置座標が付与される。そして、CPU11により、LCD17の表示画面左上端を位置座標(0,0)、右下端を位置座標(p、q)とする配列で(p+1)×(q+1)の画素データが出力される。
【0079】
ここで、LCD17に出力された地図画像は、地図画像データ内の矢印で示すように、左上、上、右上、右、右下、下、左下、左、の8方向にスクロールを実行することができるようになっている。ここで、右方向にスクロールが実行されると、基準点Aの座標を所定の送り量aずつ、順次、右方向に移動して、抽出する地図画像データの第1表示範囲W1を移動させる。これにより、LCD17の表示画面上では、地図画像を右方向へ進行させるスクロールが実行される。
【0080】
表示画像メモリ13aに記憶可能なデータは有限であるため、スクロールの進行に伴って、スクロール限界点に到達する。スクロール限界点は、その位置から更に先方の地図画像を形成する第1表示範囲W1の地図画像データを、表示画像メモリ13aから抽出できない境界点であって、基準点Aの座標が所定の座標に到達したことによって判断される。例えば、図2に示すように、基準点Aの座標が(x2,y2)に到達した場合である。かかるスクロール限界点に到達すると、出力中の地図画像データは、退避メモリ13cに書き込まれる(経路I)。退避メモリ13cに地図画像データの書込みが実行されると、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データが更新されるまで、この退避メモリ13cに記憶される地図画像データがLCD17に出力される。
【0081】
一方、CPU11により、基準点Aの座標に基づいてスクロール限界点への到達が近い(例えば、基準点Aの座標がスクロール限界点の座標よりも所定位置手前)と判断されると、地図情報メモリ14cから、現在、表示画像メモリ13aに記憶される地図画像データに対し、隣接する地域ブロックの地図情報が読み出される(経路I’)。地図情報メモリ14cに記憶される地図情報は、隣接する地域ブロック間との間で地図の一部が重複するように区画された範囲で形成されており、経路I’で読み出される地図情報には、退避メモリ13cに記憶される地図画像データが含まれている。読み出された地図情報に対しては、伸張処理がなされた後、イメージデータに変換されて、第2表示範囲W2の地図画像データが周辺画像メモリ13bに記憶される(経路II’)。そして、退避メモリ13cに地図画像データが書き込まれると、周辺画像メモリ13bに記憶される第2表示範囲W2の地図画像データが、表示画像メモリ13aに書き込まれる(経路III’)。これにより、先の表示画像メモリ13aに記憶されていた地図画像データが、新たに読み出された隣接する地域ブロックの地図情報に基づいた第2表示範囲W2の地図画像データに差し換えられる(経路II)。
【0082】
表示画像メモリ13aの内容の差し替えが実行された後は、退避メモリ13cに記憶された表示中の地図画像データの位置は、基準点Aの座標を(x3,y3)とする位置に変更されている。従って、かかる基準点Aに基づいて第1表示範囲W1の地図画像データを、表示画像メモリ13aからLCD17に出力する。尚、ポイント座標メモリ13dには、基準点Aの座標(x3,y3)が書き込まれる。その後、基準点Aの座標(x3,y3)を指示された進行方向へ順次ずらして引き続きスクロールを実行する。
【0083】
図3は、LCD17に表示される地図画像に対して設定された各エリアと、そのエリアに付与されたエリアコードとの関係を示した図である。上記したように、LCD17に表示される地図画像は、9つのエリアに区画されており、各エリアのそれぞれには、各エリアを識別するためのエリアコード「00」〜「09」が付与されている。CPU11は、カーソルの表示画面上での位置をのいずれのエリアに位置するかをこのエリアコードで管理している。
【0084】
具体的には、LCD17に表示される地図画像の中央部分はエリアコード「00」が付与された中央エリア(「00」エリア)であり、かかる中央エリアを囲んで地図画像の周縁部分には8つのスクロールエリアが配設されている。「01」エリアは、表示される地図画像の左上方の角部分に設けられた長方形のスクロールエリアであり、エリアコード「01」が付与されている。この「01」エリアの右方には、エリアコード「02」が付与された「02」エリアが隣接されている。「02」エリアは、長方形の態様で表示される地図画像の長手方向(X軸方向)に沿って、地図画像の長手方向上側端部に帯状に形成されたスクロールエリアである。「02」エリアの右方には、エリアコード「03」が付与された「03」エリアが隣接されている。「03」エリアは、表示される地図画像の右上方の角部分に設けられた長方形のスクロールエリアである。つまり、地図画像の上側端部においては、「02」エリアの両端に「01」エリアと「03」エリアとが配設されている。
【0085】
「03」エリアの下方には、エリアコード「04」が付与された「04」エリアが隣接されている。「04」エリアは、地図画像の短手方向(Y軸方向)に沿って帯状に形成されたスクロールエリアである。また、「04」エリアに隣接すると共に地図画像の右下方の角部分には、エリアコード「05」が付与された長方形のスクロールエリアである「05」エリアが設けられている。従って、地図画像の右側端部においては、「04」エリアの両端(上下)に「03」エリアと「05」エリアとが配設されることとなる。
【0086】
「05」エリアの左方であって地図画像の下側端部には、エリアコード「06」が付与された「06」エリアが隣接されている。「06」エリアは、「02」エリアに対向して設けられ地図画像の長手方向(X軸方向)に沿って帯状に形成されたスクロールエリアである。この「06」エリアに隣接すると共に地図画像の左下方の角部分には、エリアコード「07」が付与された長方形のスクロールエリアである「07」エリアが設けられている。従って、地図画像の下側端部においては、「06」エリアの両端に「05」エリアと「07」エリアとが配設されることとなる。
【0087】
「07」エリアの上方であって、「01」エリアの下方には、エリアコード「08」が付与された「08」エリアが「07」エリアと「01」エリアと間に配設されている。「08」エリアは、「04」エリアに対向して設けられ、地図画像の短手方向(Y軸方向)に沿って帯状に形成されたスクロールエリアである。このように、中央エリアの外周、即ち地図画像の周縁部分には、左上、上、右上、右、右下、下、左下、左、の8方向に対応したスクロールエリアが隙間なく配設されている。
【0088】
上記したスクロールエリアメモリ14bには、この図3に示した各エリア(「00」エリア〜「08」エリア)に対応する領域情報とエリアコードとが記憶されている。
【0089】
ここで、「01」エリア〜「08」エリアにカーソルが配置されると、CPU11は、地図画像のスクロール要求であると判断し、地図画像のスクロールを開始する。また、開始されたスクロールは、「01」エリア〜「08」エリアのいずれかから「00」エリアにカーソルが放出されると、CPU11は、スクロールの終了要求と判断して地図画像のスクロールを停止する。このため、本実施形態においては、ポインティングデバイスであるマウス19のドラッグアンドドロップ操作によらず地図画像のスクロールを実行することができる。
【0090】
また、各「01」エリア〜「08」エリアには、それぞれ、そのスクロールエリアの地図画像上の位置に応じてスクロールの進行方向が対応つけられている。具体的には、左上側に配設された「01」エリアには左上方向、上側に配設された「02」エリアには上方向が対応つけられており、同様に、「03」エリア〜「08」エリアには、それぞれ、右上方向、右方向、右下方向、下方向、左下方向、左方向が対応つけられている。本実施形態の地図画像表示プログラムは、「01」エリア〜「08」エリアのいずれかに、カーソルが配置されると、CPU11にて、そのスクロールエリアに対応する進行方向へ向かって地図画像の表示範囲を移動させるスクロールが実行されるように構成されている。これによれば、カーソルの配置した方向にスクロールが進行されるので、操作者が地図画像のスクロールを実行する際に、その実行手順を容易に理解することができ、使い勝手がよい。
【0091】
更に、本実施形態においては、「01」エリア〜「08」エリアのスクロールエリアにおいても、「00」エリアと同様に地図画像が表示されており、「00」エリア〜「08」エリアが一体で地図画像を形成している。スクロールエリア固有の表示態様で「01」エリア〜「08」エリアが形成されると、地図画像の周縁部分に地図画像でない部分が表示されてしまい、地図画像の表示領域を削減してしまう。しかし、「01」エリア〜「08」エリアは、特別な態様を有さず、「00」エリアと同様に地図画像が表示された状態にあるので、地図画像の表示領域を圧縮することない。従って、表示画面の全領域に地図画像を表示(全画面表示)することができる。尚、各スクロールエリアは、地図画像の周縁に配設される上、その配設位置に応じた進行方向へ地図画像のスクロールを実行するので、スクロール進行方向を示す態様でスクロールエリアが表示されていなくとも、操作者は、スクロールの実行に戸惑うことはない。
【0092】
次に、図4〜図7のフローチャートと、図8及び図9の地図画像の表示画面例とを参照して、上記のように構成されたPC10に搭載された地図画像表示プログラムの各処理について説明する。
【0093】
図4は、地図画像およびカーソルがLCD17に表示された状態において、マウス19から入力される信号に応答して実行されるマウス応答処理のフローチャートである。このマウス応答処理では、まず、マウス19から信号が入力されたか否かを確認し(S1)、信号入力がなければ(S1:No)、このマウス応答処理を終了する。一方、マウス19から信号入力があれば(S1:Yes)、入力された信号が何であるかを確認する(S2)。その結果、マウス19から入力された信号が移動信号であれば(S2:移動信号)、LCD17に表示されているカーソルの移動要求であり、入力された移動信号が示す、移動量、移動方向に応じて、カーソルを移動させると共に移動先の位置にカーソルを表示するカーソル移動表示処理を実行する(S3)。そして、このマウス応答処理を終了する。一方、入力された信号がマウス19の右ボタンまたは左ボタンのクリックに対応した特定の入力信号(特定入力信号)であれば(S2:特定入力信号)、その入力された特定の入力信号に対応した各処理を実行して(S4)、このマウス応答処理を終了する。
【0094】
尚、各処理(S4)では、同じ特定の入力信号であっても、スクロール切換フラグ13fがオンである場合とオフである場合とで異なる処理が実行される。具体的には、スクロール切換フラグ13fがオフである場合、本実施形態の地図画像表示プログラムは、表示された地図画像のスクロールをマウス19のドラッグアンドドロップ操作に応じて実行するように構成されており、このため、マウス19の左クリックに対応した特定の入力信号がPC10に入力されると地図画像のスクロール開始としてCPU11に判断され、各処理(S4)において、マウス19のドラッグアンドドロップ操作に応じてスクロールを実行する処理が行われる。また、マウス19の右クリックに対応した特定の入力信号がPC10に入力されると、別ウィンドウでコマンドを表示する画面の表示が行われる。
【0095】
一方、スクロール切換フラグ13fがオンである場合、本実施形態の地図画像表示プログラムでは、マウス19の左クリックに対応した特定の入力信号がPC10に入力されると、各処理(S4)において、カーソルが表示された位置のポインティングとしてCPU11に判断され、その位置に、マークを表示する処理などが実行される(図9参照)。また、マウス19の右クリックに対応した特定の入力信号がスクロール切換フラグ13fがオンである場合に入力されると、各処理(S4)において、マーク表示の取消を行う処理が実行される。
【0096】
図5は、カーソルの配置されたエリアに応じてLCD17に表示される地図画像のスクロールの実行と非実行とを切り換えるスクロール処理のフローチャートである。このスクロール処理は、タイマ割込によって所定時間毎に起動される。
【0097】
尚、上記したように、CPU11は、上記したスクロール切換フラグ13fがオンである場合に、以下に説明する図5〜図7のフローチャートのプログラムを実行(即ち、カーソルがスクロールエリアに配置されることに基づく地図画像のスクロールを許可)し、スクロール切換フラグ13fがオフである場合には、図5〜図7のフローチャートのプログラムを非実行(即ち、カーソルがスクロールエリアに配置されることに基づく地図画像のスクロールを禁止)とする。
【0098】
このため、このスクロール処理では、まず、スクロール切換フラグ13fがオンであるか否かを確認し(S10)、スクロール切換フラグ13fがオフであれば(S10:No)、このスクロール処理を終了し、一方、スクロール切換フラグ13fがオンであれば(S10:Yes)、現在のカーソルの位置座標(x,y)が、「00」エリアに属しているか否かを確認する(S11)。各エリアの範囲を示す位置座標(領域情報)は、上記したようにスクロールエリアメモリ14bに記憶されているので、その値と比較することにより、カーソルがいずれのエリアに位置するかが判断される。
【0099】
S11で確認した結果、カーソルの位置座標が「00」エリアに属していると(S11:Yes)、スクロールの実行要求はなされていないので、エリアコードメモリ13eにエリアコード「00」を書き込んで(S12)、このスクロール処理を終了する。従って、スクロールは実行されず、図8(a)に示すように、出力中の地図画像が継続して静止表示される。尚、図8には、スクロールエリアの各エリアである「01」エリア〜「08」エリアを実線で区分して表示しているが、実際の表示画面においては、かかる実線は表示されず、表示画面には地図画像のみが表示されている。
【0100】
一方、S11の処理で確認した結果、カーソルの位置座標(x,y)が、「00」エリアに属していなければ(S11:No)、カーソルは、マウス19の操作などによって移動されて、図8(b)に示すように、いずれかのスクロールエリアに配置されている。尚、図8(b)においては、「05」エリアにカーソルが配置された状態を示している。
【0101】
このため、カーソルの現在の位置座標(x,y)が、エリアコードメモリ13eに記憶されているエリアにあるか否かを確認する(S13)。ここで、カーソルの現在の位置座標(x,y)が、エリアコードメモリ13eに記憶されているエリアになければ(S13:No)、カーソルは、前回のスクロール処理の実行時とは異なるエリアであって、スクロールエリアのいずれかのエリアに配置されているので、カーソルの現在の位置座標に対応するエリアコード(「01」〜「08」のいずれか)をエリアコードメモリ13eに書き込んで、先の値を更新する(S14)。
【0102】
S13の処理においてNoに分岐する場合には、カーソルは、「00」エリアからスクロールエリア(「01」エリア〜「08」エリアのいずれか)に配置されたか、或いは、スクロールエリアにおいて異なるエリアに移動されたかのいずれかである。表示された地図画像のスクロールを開始する場合には、カーソルは「00」エリアからスクロールエリアである「01」エリア〜「08」エリアのいずれかに移動されるので、エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードと、現在のカーソルが位置するエリアは、必ず異なることとなり、S13の処理においてNoへ分岐し、スクロールを開始するべくS14以降の処理が実行される。
【0103】
S14の処理の後は、スクロール中フラグ13gがオンであるかを確認し(S15)、ここで、スクロール中フラグ13gがオンでなければ(S15:No)、スクロールは実行状態にないので、地図画像のスクロールを実行するべく、タイマ11aに所定時間(例えば200カウント)をセットする(S16)。
【0104】
本実施形態においては、カーソルのスクロールエリアへの配置から所定の待機時間経過後にスクロールが開始されるが、所定の待機時間が経過する前に(例えばタイマが100カウントするまでに)、カーソルがスクロールエリアのエリア間で移動された場合には、スクロール中フラグ13gはオフであるので、S15の処理においてNoに分岐される。従って、上記のS16の処理によって、再度、タイマ11aには所定時間がセットされる。このため、タイマ11aのカウントダウンが最初から行われることとなる。つまり、操作者が、スクロールが開始される前にカーソルをスクロールエリアのエリア間で移動させた場合には、その移動先のエリアにカーソルが配置されてから所定の待機時間経過後にスクロールが開始されることとなる。S16の処理において、タイマ11aに所定時間をセットした後は、このスクロール処理を終了する。
【0105】
更に、S13の処理で確認した結果、カーソルの現在の位置座標(x,y)が、エリアコードメモリ13eに記憶されているエリアにあれば(S13:Yes)、カーソルは、前回のスクロール処理の実行時と同じスクロールエリアに継続して配置されている。従って、このスクロール処理を終了して、タイマ11aに、所定時間が再セットされることを回避する。
【0106】
また、S15の処理で確認した結果、スクロール中フラグ13gがオンであれば(S15:Yes)、スクロールは実行中(スクロールは実行状態)であるので、S16の処理をスキップして、そのまま、このスクロール処理を終了する。このため、スクロール実行中に、カーソルがスクロールエリアのエリア間を移動された場合には、スクロールは停止されず、後述するスクロール実行処理(S26)におけるスクロールの進行方向が、移動後のエリアに応じて変更されることとなる。
【0107】
図6は、タイマ割込によって所定時間毎に起動されるタイマ管理処理のフローチャートである。タイマ管理処理は、タイマ11aを管理すると共に、そのタイマ11aの値に応じて、スクロールを実行するスクロール実行処理(S26)を動作させる処理である。
【0108】
このタイマ管理処理では、まず、タイマ11aの値(t)が0であるか否かを確認し(S20)、0でなければ(S20:No)、タイマ11aの値(t)を1減算する(S21)。次いで、減算後のタイマ11aの値(t)が、0を超え100未満であるか(0<t<100)を確認し(S22)、その値(t)が0を超え100未満の範囲あれば(S22:Yes)、スクロール中フラグ13gをオンして(S23)、スクロールを実行することを示し(スクロールを実行状態とし)、座標の送り量aの値を所定値kとしてから(S24)、スクロール中フラグ13gをオンであるかを確認する(S25)。その結果、スクロール中フラグ13gがオンであれば(S25:Yes)、スクロールを実行するスクロール実行処理(S26)を実行する。つまり、タイマ11aの値(t)が100未満となると地図画像のスクロールの実行となる。このように、S22の処理において、タイマ11aの値(t)に基づいて、スクロールエリアへのカーソルの配置から所定の待機時間(100カウント)が経過したことが確認されると、図8(c)に示すように、スクロール実行処理(S26)による地図画像のスクロールが開始される。
【0109】
そして、スクロール中フラグ13gがオンである間、即ち、スクロール中フラグ13gがオフとなるまで、タイマ管理処理の実行毎に断続的にスクロール実行処理(S26)が実行される。
【0110】
また、S20の処理で確認した結果、タイマ11aの値(t)が0であると(S20:Yes)、その処理をS25の処理に移行する。このため、タイマ11aの値(t)が0となった後は、タイマ11aの値(t)は減算されない。更に、S22の処理で確認した結果、タイマ11aの値(t)が、0を超えて100未満の設定された範囲になければ(S22:No)、タイマ11aの値(t)が0であるかを確認する(S27)。その結果、タイマ11aの値(t)が0であれば(S27:Yes)、座標の送り量aの値を所定値kの倍の値2kとしてから(S28)、その処理をS25の処理に移行する。これにより、スクロールが開始されてから、一定時間が経過すると、スクロール実行処理(S26)におけるスクロール速度が開始速度の2倍になる。
【0111】
加えて、S25の処理で確認した結果、スクロール中フラグ13gがオンでなければ(S25:No)、スクロール実行処理(S26)を回避して、このタイマ管理処理を終了する。
【0112】
更に、S27の処理で確認した結果、タイマ11aの値(t)が0でなければ(S27:No)、タイマ11aの値(t)は、100以上であって、所定の待機時間の経過前であってスクロールを開始するタイミングではないので、このタイマ管理処理を終了する。これにより、スクロールエリアにカーソルが配置されてから所定の待機時間が経過するまで(100カウントの間)、スクロールの開始が待機される。
【0113】
図7は、図6のタイマ管理処理の中で実行されるスクロール実行処理(S26)のフローチャートである。このスクロール実行処理(S26)では、まず、エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが何かを確認し(S31)、ここで記憶されるエリアコードが「00」であると(S31:「00」)、スクロールの実行を停止するために、カーソルが「00」エリアに配置されたことが示されているので、スクロール中フラグ13gをオフして(S32)、このスクロール実行処理を終了する。このため、図8(d)に示すように地図画像のスクロールが停止され、静止した状態で地図画像が表示される。
【0114】
S31の処理で確認した結果、エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「01」〜「08」である場合は、カーソルがスクロールエリアに配置されており、また、そのエリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「01」である場合(S31:「01」)、基準点Aの座標(x,y)を、(x−a,y−a)とする(S33)。これにより、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標が更新され、その後、ポイント座標メモリ13dに記憶される基準点Aの座標に対応する第1表示範囲の地図画像データを表示画像メモリ13aから抽出してLCD17に出力する(S41)。基準点Aの座標はS33の処理によって左上方向(図2に示す表示画像データメモリ13aの地図画像データのデータ構造において左上方向)に移動される。その結果、表示画像メモリ13aから、抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも左上方向のものとなって、左上方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0115】
同様に、エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「02」である場合は(S31:「02」)、基準点Aの座標(x,y)を(x,y−a)として(S34)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は上方向に移動し、その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも上方向のものとなって、上方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0116】
エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「03」である場合は(S31:「03」)、基準点Aの座標(x,y)を(x+a,y−a)として(S35)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は右上方向に移動する。その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出されたの地図画像データよりも右上方向のものとなって、右上方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0117】
エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「04」である場合は(S31:「04」)、基準点Aの座標(x,y)を(x+a,y)として(S36)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は右方向に移動する。その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも右方向のものとなって、右上方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0118】
エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「05」である場合は(S31:「05」)、基準点Aの座標(x,y)を(x+a,y+a)として(S37)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は右下方向に移動する。その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも右下方向のものとなって、右下方向への地図画像のスクロールが実現される。図8(c)においては、カーソルは、「05」エリアに配置されているので、このS37の処理に従って、右下方向へのスクロールが実行されている。
【0119】
エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「06」である場合は(S31:「06」)、基準点Aの座標(x,y)を(x,y+a)として(S38)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は下方向に移動する。その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも下方向のものとなって、下方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0120】
エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「07」である場合は(S31:「07」)、基準点Aの座標(x,y)を(x−a,y+a)として(S39)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は左下方向に移動する。その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも左下方向のものとなって、左下方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0121】
エリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードが「08」である場合は(S31:「08」)、基準点Aの座標(x,y)を(x−a,y)として(S40)、ポイント座標メモリ13dに先に記憶される基準点Aの座標を更新した後、その処理をS41の処理に移行する。これにより、基準点Aの座標は左方向に移動する。その結果、表示画像メモリ13aから抽出される地図画像データの第1表示範囲W1は、前回抽出された地図画像データよりも左方向のものとなって、左方向への地図画像のスクロールが実現される。
【0122】
S41の処理の後は、このスクロール実行処理を終了する。これにより、カーソルが配置されたスクロールエリアの各エリア(「01」エリア〜「08」エリア)に応じて、8方向へのスクロールを実行することができる。
【0123】
尚、スクロール実行処理が開始されてから一定時間が経過するまでは、aの値はkとされ、一定時間が経過するとaの値は2kとされるので、S33〜S40の処理での送り量aは、一定時間経過後は倍となって、スクロール速度が開始直後に比べて増大する。また、S41の処理により、表示画像メモリ13aからLCD17に出力される地図画像データは、RAM13に設けられた画像バッファ(非図示)に一旦記憶された後に、LCD17に出力される。新たな地図画像データが画像バッファに記憶されるまでは、(退避メモリ13cから地図画像データをLCD17に出力する期間を除く)、この画像バッファに記憶される地図画像データの地図画像がLCD17に継続して表示される。
【0124】
図9は、スクロール切換フラグ13fがオンである状態において、マウス19操作により特定の入力信号が入力された場合の地図画像の表示画面例である。スクロール切換フラグ13fがオンである場合に、静止中の地図画像上でマウス19の左クリックが行われると、図4に示したマウス応答処理において、表示されるカーソル位置のポイントの入力(ポインティング)として認識され、そのポイントにマークが表示される。図9(a)においては、2のポイントP1,P2が入力されており、それぞれのポイントP1,P2にマークが表示されている。
【0125】
また、スクロールエリアにカーソルが配置されても、配置から所定の待機時間が経過するまでは、スクロールは実行されず、かかる期間においては、図9(b)に示すように、スクロールエリアであっても「00」エリアと同様に入力操作を実行することができ、P1,P2の下方のスクロールエリア内(「06」エリア)で、左クリック操作に対応した3つ目のポイントP3が入力されている。
【0126】
その後、カーソルが「06」エリアに留まることにより、図9(c)に示すように、図5〜図7に示すフローチャートの処理に基づいて、下方向へのスクロールが開始される。そして、操作者により、カーソルが「00」エリアに移動されることによりスクロールは停止され、新たなポイントを入力し得る状態となる。図9(d)においては、マウス19の新たな左クリックに応じた4つめのポイントP4が入力されている。そして入力されたポイントP1〜P4間は、直線で連結され、ポイントP1〜P4で囲まれた範囲の面積が、表示されることとなる。また、マウス19の右ボタンの押下(右クリック)に応じて、指定された直前のポイント(最後のポイント)のキャンセルが実行される。
【0127】
尚、図9においても、スクロールエリアの各エリアである「01」エリア〜「08」エリアを実線で区分して表示しているが、実際の表示画面においては、かかる実線は表示されず、表示画面には地図画像のみが表示されている。
【0128】
以上説明したように、本実施形態の地図画像表示プログラムによれば、スクロールエリアにカーソルを配置するだけで、ポインティングデバイスであるマウス19の左クリックに依らず、地図画像をスクロールすることができる。このため、マウス19の左クリックによって、スクロール処理以外の処理を実行することができ、マウス19のクリック操作にて実行することのできるスクロール処理以外の処理を増やすことができる。故に、マウス19の少ないボタンを有効に活用することができる。
【0129】
次に、図10を参照して、第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態は、スクロールの実行中に、スクロールエリアのエリア間をカーソルが移動された場合には、スクロールの方向を切り換えて、スクロールを継続するように構成された。これに代えて、第2実施形態では、スクロールの実行中に、スクロールエリアのエリア間をカーソルが移動された場合には、所定時間スクロールを一旦停止し、その後、移動先のエリアに応じた方向で、スクロールを再開するように構成されている。尚、上記した第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
図10は、第2実施形態のスクロール処理を示した図である。第2実施形態のスクロール処理では、図5に示した第1実施形態のスクロール処理と同様に、スクロール切換フラグ13fがオンであれば(S10:Yes)、カーソルの配置された位置座標に応じたエリアコードをエリアコードメモリに13eに書き込む(S11〜S14)。ここで、書き込んだエリアコードが、スクロールエリアに対応したエリアコード「01」〜「08」であって、且つ、先にエリアコードメモリ13eに記憶されるエリアコードとは異なる場合、スクロール中フラグ13gをオフしてから(S51)、タイマ11aに所定時間(例えば200カウント)をセットして(S16)、このスクロール処理を終了する。このため、カーソルがスクロールエリアのエリア間を移動された場合には、スクロールが実行状態にあっても、タイマ11aに所定時間がセットされ、タイマ管理処理において、そのセットされたタイマ11aの値(t)が、100になるまで(所定の待機時間(第2待機時間)が経過するまで)、スクロール実行処理(S26)が回避されることとなる。タイマ11aの値(t)が、減算によって100未満となれば、スクロール中フラグ13gがオンされてスクロール実行処理(S26)が実行されるので、カーソルがスクロールエリアのエリア間を移動されることにより一旦停止されたスクロールが、再開されることとなる。
【0131】
尚、第2実施形態においては、スクロールが実行状態にあっても、否であっても、カーソルが移動された場合にタイマ11aにセットされる時間は同じ所定時間としているので、複数のタイマを設けることなく、また、異なる時間をセットするためにアルゴリズムを複雑化してしまうこともなく、スクロールの一旦停止を実現できる。
【0132】
以上説明したように、第2実施形態によれば、スクロールが実行状態にある場合に、カーソルがスクロールエリアのエリア間を移動されると地図画像のスクロールを一旦停止した後、所定時間が経過することにより、移動先のエリアに対応した方向へのスクロールを開始するので、操作者に、スクロール方向の変化を明確に認識させることができる。また、操作者に、余裕を持って、スクロールの進行方向変化に対応させることができる。その結果、変更された進行方向へスクロールが開始される場合に、操作者がそのタイミングを見逃すことを低減でき、スクロールの進行方向を変更しても、操作者を混乱させることなく十分にスクロールに追従させることができる。故に、操作者は、スクロールの進行方向が変更されても、表示される地図画像の現在の表示範囲を的確に把握することができる。
【0133】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0134】
例えば、上記各実施形態では、スクロール開始から一定時間が経過すると座標の送り量aを変更してスクロール速度が変更されるように構成されたが、スクロール速度の変更回数は、1度に限られるものでななく、2度以上、速度を変更しても良い。また、変更後の速度は2倍速(座標の送り量aを2倍量とする)に限られるものではなく、1倍を超える任意の速度とすることができる。
【0135】
また、タイマ管理処理のS22の処理をタイマ11aの値(t)が100未満であるか否かを判断する構成とし、このS22の処理においてNoに分岐すると、タイマ管理処理を終了する構成として、S27,S28の処理を削除し、スクロール開始からの経過時間にかかわらずスクロール速度を一定としてもよい。
【0136】
更には、上記実施形態においては、ポインティングデバイスとして、キーボード18のカーソル移動キーと、マウス19とを用いたが、これに限られるものでなく、汎用のポインティングデバイスを適宜用いることができる。汎用のポインティングデバイスとしては、例えば、ジョイスティックやタッチパッド、コントロールボールなどが例示される。
【0137】
加えて、上記各実施形態においては、地図画像は、LCD17において全画面表示されるものとしたが、これに変えて、LCD17に設定された全画面よりも小さな所定の表示領域に表示されるものとしても良い。これによれば、任意の領域に地図画像を任意の大きさで表示することができるので、コマンドボタンを表示するスペースを確保でき、また、マルチウィンドウの機能を適用することができるので、使い勝手を向上されることができる。かかる場合には、表示画像メモリ13aからは、その所定の表示領域のサイズで規定される第1表示範囲W1で、地図画像データが抽出される。また、所定の表示領域に地図画像が表示される場合には、スクロールエリア以外の領域は、スクロールエリアの内側の「00」エリアのみならず、スクロールエリアの外側にも存在するので、かかる外側のエリアにカーソルが配置された場合も「00」エリアにカーソルが配置されたと判断して、スクロールの停止動作が行われるように、スクロール処理を構成しても良い。
【0138】
更には、上記各実施形態においては、スクロールエリアにカーソルを配置した場合に、スクロールを開始し、スクロールエリア以外にカーソルを配置した場合にスクロールを停止するように地図画像表示プログラムを構成したが、これに代えて、スクロールの停止は、マウス19から入力される信号(例えば、ダブルクリックで入力される信号など)によってスクロールを停止するように構成しても良い。
【0139】
また、上記各実施形態においては、地図画像の平面上において、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の8方向に対応したエリアを設け、スクロールの進行方向を8方向としたが、スクロール方向は8方向に限定されるものではなく、例えば、更に各方向の中間の方向へスクロールを進行させるように、16方向に対応したエリアをスクロールエリアとして設定しても良く、また、上下左右の4方向に対応したエリアをスクロールエリアとして設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の一実施形態の地図画像表示プログラムが搭載されたPCの電気的な構成を示したブロック図である。
【図2】地図画像表示プログラムによって地図画像のスクロールが実行された場合のメモリ動作を模式的に示した図である。
【図3】LCDに表示される地図画像に対して設定された各エリアと、そのエリアに付与されたエリアコードとの関係を示した図である。
【図4】PCで実行されるマウス応答処理を示したフローチャートである。
【図5】PCで実行されるスクロール処理を示したフローチャートである。
【図6】PCで実行されるタイマ管理処理を示したフローチャートである。
【図7】図6のタイマ管理処理の中で実行されるスクロール実行処理を示したフローチャートである。
【図8】地図画像の表示画面例を示した図である。
【図9】マウス操作により特定の入力信号が入力された場合の地図画像の表示画面例を示した図である。
【図10】第2実施形態のスクロール処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0141】
13a 表示画像メモリ(地図画像データ記憶手段)
14c 地図情報メモリ(地図画像データ記憶手段)
17 LCD(表示手段)
19 マウス、ポインティングデバイス(ポインティング手段)
S3 カーソル表示ステップ
S3 カーソル移動ステップ
S10 指定ステップ
S10:Yes,S10:No 許可ステップ
S26 スクロール実行処理(スクロールステップ)
S16,S20,S21,S22 計時ステップ
S11〜S15,S22:Yes,S23 カーソル配置スクロール実行ステップ
S41 表示ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像データ記憶手段に記憶される地図画像データに基づいて地図画像を表示手段に表示する表示ステップと、その表示ステップによって表示手段に表示される地図画像に対し指定された進行方向に向かって表示範囲を順次移動させるスクロールが要求された場合、前記表示ステップにて表示される地図画像について、その表示範囲を前記指定された進行方向に応じて変更し、前記表示手段に表示される地図画像をスクロールさせるスクロールステップとを備えた地図画像表示プログラムにおいて、
前記表示手段の表示画面上の所定のエリアは、スクロールの実行を指示するスクロールエリアに設定されており、
前記表示手段の表示画面上において位置を示すマークであるカーソルを表示するカーソル表示ステップと、
操作者の操作に応じてカーソルを移動させる移動信号を生成するポインティング手段から移動信号が入力された場合に、前記カーソル表示ステップにより表示されるカーソルを、入力された移動信号に応じて移動させるカーソル移動ステップと、
そのカーソル移動ステップが、前記ポインティング手段からの移動信号に応じてカーソルを前記スクロールエリアに配置した場合に、前記スクロールステップにスクロールを実行させるカーソル配置スクロール実行ステップとを備えていることを特徴とする地図画像表示プログラム。
【請求項2】
前記カーソル配置スクロール実行ステップは、スクロールの実行中において、前記カーソル移動ステップが、前記ポインティング手段からの移動信号に応じて、前記スクロールエリアに位置するカーソルを前記スクロールエリアのエリア外に配置した場合、前記スクロールステップによるスクロールを停止させるものであり、カーソルが前記スクロールエリアにある期間において、前記スクロールステップにスクロールを実行させることを特徴とする請求項1記載の地図画像表示プログラム。
【請求項3】
前記カーソル移動ステップにより前記スクロールエリアにカーソルが配置されると所定の第1待機時間を計時する計時ステップを備えており、
前記カーソル配置スクロール実行ステップは、その計時ステップにより第1待機時間以上の計時がなされた場合に、前記スクロールステップに、スクロールを実行させるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の地図画像表示プログラム。
【請求項4】
前記スクロールエリアは、前記表示手段に表示される地図画像の周縁部分に配設された複数のエリアを備え、
その各エリアのそれぞれには、前記エリアが配置された地図画像上の位置に応じてスクロールの進行方向が設定されており、
前記カーソル配置スクロール実行ステップは、前記カーソル移動ステップによりカーソルが配置されたエリアに設定された進行方向を指定の方向として、前記スクロールステップにスクロールを実行させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の地図画像表示プログラム。
【請求項5】
前記スクロールエリアは、地図画像の平面上において、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の少なくとも8方向に対応したエリアを備えており、
前記カーソル配置スクロール実行ステップは、前記カーソル移動ステップによりカーソルが配置されたエリアに対応する方向を指定された進行方向として、前記スクロールステップにスクロールを実行させるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地図画像表示プログラム。
【請求項6】
前記カーソル配置スクロール実行ステップは、スクロールの実行中において、前記カーソル移動ステップが、前記スクロールエリアの1のエリアに既に位置する前記カーソルを、前記ポインティング手段からの移動信号に応じて前記スクロールエリア内の他のエリアへ移動させた場合、スクロールの進行方向を移動先のエリアに応じた方向に変更して前記スクロールステップにスクロールを継続させるものであることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の地図画像表示プログラム。
【請求項7】
前記計時ステップは、スクロールの実行中において、前記カーソル移動ステップが、前記スクロールエリアの1のエリアに既に位置する前記カーソルを、前記ポインティング手段からの移動信号に応じて前記スクロールエリア内の他のエリアへ移動させた場合、所定の第2待機時間を計時するものであり、
前記カーソル配置スクロール実行ステップは、スクロールの実行中に前記スクロールエリア内の他のエリアへカーソルが移動されると前記スクロールステップによるスクロールを一旦停止させると共に、前記計時ステップによる第2待機時間以上の計時がなされると、移動先のエリアに応じた方向へのスクロールを前記スクロールステップに実行させるものであることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の地図画像表示プログラム。
【請求項8】
前記スクロールエリアにカーソルが配置された場合にスクロールを実行するか否かを操作者の操作に応じて指定する指定ステップと、
その指定ステップにより前記スクロールエリアへのカーソル配置にてスクロールを実行することが指定されている場合には、前記カーソル配置スクロール実行ステップの動作を許可する一方、前記指定ステップにより前記スクロールエリアへカーソルが配置されてもスクロールを実行しないことが指定されている場合には、前記カーソル配置スクロール実行ステップの動作を禁止する許可ステップとを備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の地図画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−163563(P2007−163563A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355995(P2005−355995)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(394019532)株式会社マップクエスト (3)
【Fターム(参考)】