説明

均質な耐候性特徴を有するプラスチックパネル

乗物用ウィンドウの用途のためのプラスチックパネル及び方法が開示されている。当該プラスチックパネルは、基層;第一表面及び第二表面を有する耐候性フィルム層であり、耐候性フィルム層の第一表面が基層に付着している耐候性フィルム層;及び耐候性フィルム層の第二表面に付着している耐磨耗性層を有する。耐磨耗性層は、磨耗により生じる損傷から耐候性フィルム層及び基層を保護するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車及び他の構造物における使用のためのプラスチックパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート(PC)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなプラスチック物質は、現在、B−ピラー、前照灯及びサンルーフのような、多くの自動車の部品及び部材の製造において用いられている。様式/デザイン、重量節約及び安全/防護の領域における種々の利点のために、自動車のウィンドウモジュールは、それらプラスチック物質の新たな用途を代表するものである。より特定すると、プラスチック物質は、自動車製造業者に、全体のデザイン及び形状の複雑さを増すことにより競争相手の自動車と差別化するのと同時に、機能性部品を成形されたプラスチックモジュールへ統合することによりウィンドウの組み立ての複雑さを低減する能力を与える。軽量プラスチックウィンドウモジュールの使用は、乗物のより低い重心(乗物のより良好な運転及び安全性)並びに改良された燃料経済の両方を容易にすることができる。又、プラスチックウィンドウモジュールは、転覆事故中の搭乗者の乗物内での保持を促進することにより、乗物の全体的な安全性を増大する。
【0003】
プラスチックウィンドウを使用することに関する多くの利点が認識されているが、それらのプラスチックモジュールが、ガラスウィンドウについて確立されている、存在する規制(例えば、Federal Motor Vehicle Standard No.205;ANSI−Z26.1 American National Standards Institute−1977のTitle 49、Chapter 5、Part 571.205)に合致するまで広い規模の商業化はみられないであろう。自動車においてプラスチックウィンドウを使用するために確立された最少要件の要約を表1に記載する。
【0004】
【表1】

【0005】
表1に特定された要件に合致させるために、プラスチック物質により示されるいくつかの制限を克服するために、保護層(例えば、被膜類又はフィルム類)をプラスチックウィンドウモジュールに付けなければならない。それらの制限には、黄色度指数(YI)における変化により示されるような、紫外線(UV)輻射に対する暴露によりもたらされる劣化、低減された光透過性及び増大した脆化(耐衝撃性における低減)、並びにともに制限されたテーバー磨耗抵抗及び加水分解安定度が含まれる。
【0006】
離層又は付着損失により示されるような保護層システムの初期破損は、前記劣化機構の促進によりプラスチックウィンドウモジュールの寿命を制限してしまうであろう。プラスチックフィルムの、より暗い色又は明度[すなわち、太陽光(緑)又は透明(クリア)に対するプライバシー(黒)]は、プラスチックウィンドウと保護層システムとの間の、より高い界面温度をもたらし、そのことは、保護層システムの破損を促進する傾向を有する。頻繁に、比較的に薄い耐候性層は、保護層システムの破損を促進する。しばしば比較的に薄い耐候性層が保護層の初期破損を促進する。それと同じ議論が、耐候性層で保護される種々の色の他のプラスチック部材(例えば、成形品、B−ピラー、テールゲートモジュール、ボディパネル等)について見られる破損の機構にもあてはまり得る。
【0007】
シリコーンハードコートシステム[例えば、SHP470アクリルプライマー及びAS4700シリコーンハードコート(GE Silicones、ニューヨーク州、ウォーターフォード)]は、10年間フロリダ同等耐候性システムである潜在能力を有し得る。しかし、このシステムの成功裏の用途の厳しい限界は、耐候性アクリルプライマー及びシリコーンハードコートについての被覆厚さ制御を欠いていることである。プライマー及び/又はシリコーンハードコートがあまりにも厚いウィンドウの区域では、ウィンドウについての予測され、そして観察される耐候性の耐久性は10年よりもずっと短い。プライマーレベルがあまりにも厚い場合、プライマー及び/又はシリコーンハードコートの離層及び微小割れが起こるであろう。従来から、SHP470及びAS4700が浸漬被覆法又は流し塗り法により付けられてきた。フィルム形成の間に重力制御がされる、それらの方法は、被覆厚さにおいて勾配を示す製品を与え得る。より特定すると、パネルの上部において形成される被覆層は、パネルの下部において形成される被覆層よりも薄い。耐候性の耐久性が、硬化された被膜中に存在する紫外線吸収(UVA)物質の含量に依存していることが示されていることを考慮すれば、局所的なUVA含量の変動をもたらす被覆厚さの変動は望ましくない。従って、本工業において、プラスチックウィンドウモジュールをウィンドウについての自動車規制要件に合致させ、初期破損の発生に対して強くする保護層システムを開発する必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
公知の技術の欠点及び制限を克服することにおいて、乗物のウィンドウへの用途のプラスチックパネル及び方法が提供される。本プラスチックパネルは、基層;第一表面及び第二表面を有する耐候性フィルム層であり、耐候性フィルム層の第一表面が基層に付着している耐候性フィルム層;及び耐候性フィルム層の第二表面に付着している耐磨耗性層を有する。耐磨耗性層は、磨耗により生じる損傷から耐候性フィルム層及び基層を保護するのに有用である。
【0009】
本発明の他の態様では、本プラスチックパネルは、耐候性フィルム層及び耐磨耗性層に加えて、一つ以上の付着促進中間層又は機能性層を有し得る。付着促進中間層の機能は、耐候性層と、耐磨耗性層又は基層との間の付着を増大することである。
【0010】
本発明の他の面では、第一表面及び第二表面を有する耐候性フィルム層を用意すること;耐候性フィルム層の第二表面が型の表面に面しているように、耐候性フィルム層を型のキャビティ内に配置すること;溶融プラスチック樹脂を型のキャビティ内に注入することにより基層を形成すること;基層の凝固により耐候性フィルム層の第一表面を基層に付着させ、プラスチックパネルを形成すること;型からプラスチックパネルを取り出すこと;及び磨耗によりもたらされる損傷から耐候性フィルム層と基層を保護するのに有用な耐磨耗性層を耐候性フィルム層の第二表面に付けることを含む、プラスチックパネルを形成する方法が開示されている。耐磨耗性層は、好ましくは膨張熱プラズマPECVD法を用いて積層される。
【0011】
発明の詳細な記載
本発明の態様による、自動車ウィンドウモジュール又はガラスとしての使用のためのプラスチックパネル10が図1に示されている。自動車ウィンドウシステムについて示されている要件に合致させるために、パネル10は、保護被膜と保護フィルムの組み合わせを用い得る。更に、以下により完全に記載されているように、耐候性フィルム層は実質的に均一な厚さを有し、それによってパネル全体に均等な耐候性特徴を有するパネル10に組み込まれる。
【0012】
図1では、プラスチックパネル10は、基層12、耐候性フィルム層14及び耐磨耗性層16を有する。耐候性フィルム層14は第一表面及び第二表面を有し、第一表面は基層12に付着されており、第二表面は耐磨耗性層16に付着されている。耐磨耗性層は、磨耗によりもたらされる損傷から、下に存在する耐候性フィルム層及び基層を保護するのに有用である。
【0013】
基層12は、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリスルホンもしくはコポリマーのような熱可塑性樹脂、又はいずれかの他の適する透明なプラスチック物質、あるいはそれらの混合物を含有する。基層12は、他のポリマーと共重合されている又はブレンドされていること、従ってアクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABSブレンド)又はポリエステル(PC/ポリエステルブレンド)とのブレンドを生成するのと共に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエステル、ビスフェノールAポリカーボネート(PC)及び他のPC樹脂級物質(例えば、分岐された又は置換されたもの)を含有し得る。基層は、不透明又は透明であり得る。基層12は、着色剤、離型剤、抗酸化剤及び紫外線吸収剤のような種々の添加剤を更に含有し得る。
【0014】
耐候性フィルム層14は、単一の層、又は図1Bに示されているように複数の副層18を有し得る。それらの副層の一つは、耐候性フィルム層の形成及び構造に必要な支持を与えることによる耐候性層のための支持体(キャリヤー)としてのみ存在し得る。この支持体副層は、ポリカーボネート(PC)、PMMA、ポリエステル類、PC/ABSブレンド、PC/ポリエステルブレンド又はそれらの混合物及びブレンドから構成され得る。耐候性フィルム層14の耐候性部分は、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シロキサン系ポリマー又はそれらのコポリマー、混合物もしくはブレンドから構成され得る。好ましくは、耐候性フィルム層14は、約10マイクロメートル乃至約1,250マイクロメートルのフィルム厚さを有する。本発明の一つの態様では、耐候性フィルム層は、1より高い吸光度単位の、約295ナノメートル乃至約345ナノメートルの波長の紫外線(UV)光吸収を示す。耐候性フィルム層の耐候性は、その層中の紫外線吸収分子の存在により増大され得る。好ましくは、それらのUVA分子は、1より高い吸光度単位の、約295ナノメートル乃至約345ナノメートルの波長の紫外線(UV)光吸収を示す。UVA分子は、無機酸化物、ベンゾフェノン類、ベンゾイルレゾルシノール類、シアノアクリレート類、トリアジン類、オキサニリド類及びベンゾトリアゾール類の一つ又は組み合わせを含有し得る。
【0015】
PMMA、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)は耐候性ポリマーであり、従って、耐候性フィルム層の候補である。しかし、本来のPMMA及びPVDF又はPVFは、UV輻射に対して透明性であり、下に存在するPC基体を保護することができず、PMMA層又はPVDF層又はPVF層にUV吸収剤を組み込むことにより欠点が克服される。
【0016】
十分に安定であり、UV保護に対して光効率が良い、Ciba Specialty Chemicals又はGE Advanced Materialsから入手可能なUVA類のような市販のUVA類が、PMMA又はPVDFもしくはPVFフィルム又は樹脂、及び他の樹脂又はフィルムへ組み込まれ得る。Rohm & Haas又はAtofina ChemicalsのUVA化学結合技術も、耐候性フィルム層から他の層(例えば、基層、耐磨耗性層等)へのUVAの移行を阻止するために用いられ得る。
【0017】
更に、耐候性フィルム層14は、耐候性フィルム層の表面と耐磨耗性層16との間の付着を増大させるために付着促進剤添加剤を含有し得る。一つの態様では、付着促進剤添加剤は、耐候性フィルム層14中に分散された離散シリコーン粒子である。それらのシリコーン粒子は、耐候性フィルム層全体に均一に分散され得るか、又は耐候性フィルム層の耐磨耗性層への付着を最適にするために耐候性フィルム層の第二表面の付近に高濃度で分散され得る。
【0018】
他の態様では、付着促進剤添加剤は、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、及びそれらの混合物、ブレンド又はコポリマーの主鎖中に存在する重合体シロキサンセグメントである。
【0019】
耐磨耗性層16は、単一の層、又は図1Cにおいて示されているように複数の副層19を有し得る。耐磨耗性層16は、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、珪素オキシ窒化物、珪素オキシカーバイド、水素化珪素オキシカーバイド、炭化珪素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化錫、酸化錫インジウム、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、又はそれらの混合物もしくはブレンドを含有し得る。好ましくは、耐磨耗性層16は、積層された層中に残存する炭素原子及び水素原子の量に依存してSiO又はSiOの組成物から構成される。その点に関して、耐磨耗性層16は、「ガラス様」被膜に似ている。
【0020】
耐磨耗性層16は、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸発、中空陰極活性化蒸着、マグネトロン活性化堆積、活性化反応性蒸発、熱化学蒸着及びいずれかの公知のゾル−ゲル被覆法を含むがそれらに限定されない、当業者に公知のいずれかの堆積技術により施工され得る。耐磨耗性層16は又、無機酸化物、ベンゾフェノン類、ベンゾイルレゾルシノール類、シアノアクリレート類、トリアジン類、オキサニリド類及びベンゾトリアゾール類のような、しかしそれらに限定されないUVA分子も含有し得る。
【0021】
図2Aには、本発明の他の態様による、プラスチックパネル10’の断面図の略図が示されている。プラスチックパネル10について先に記載した態様におけるように、プラスチックパネル10’は、同じ又は類似の、基層12、耐候性フィルム層14及び耐磨耗性層16を有する。加えて、プラスチックパネル10’は、耐候性層14の耐磨耗性層16への付着を促進するために耐候性層14の第二表面に付着させた付着促進中間層20を有する。付着促進中間層20は、UV吸収、熱吸収、縮合付加、熱駆動絡み合い又はカチオン種もしくはアニオン種による架橋により硬化されるタイプのポリマーである。又は、付着促進中間層20は、アクリル系、イオノマー系、フルオロ系、ウレタン系及び/又はシロキサン系のポリマー、コポリマー、又はそれらの混合物もしくはブレンドから製造される。
【0022】
更に、付着促進中間層20は、前記中間層の表面と耐磨耗性層16との間の付着を更に増大するために、付着促進剤添加剤を含有し得る。一つの態様では、付着促進剤添加剤は、付着促進中間層20中に分散されたシリコーン離散粒子である。それらのシリコーン粒子は、付着促進中間層全体に均一に分散され得るか、又は前記中間層の耐磨耗性層への付着を最適にするために付着促進中間層の表面の付近に高濃度で分散され得る。
【0023】
他の態様では、付着促進剤添加剤は、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、及びそれらの混合物、ブレンド又はコポリマーの主鎖中に存在する重合体のシロキサンセグメントである。付着促進中間層は又、UVA分子を任意に含有し得る。
【0024】
本発明者らは、PC/シロキサンコポリマー、p−CP末端キャップされた[Chem.Abstr.Service Registry No.202483−49−6]表面(例えば、EXL樹脂、GE Advanced Materials)に直接堆積された耐磨耗性層の良好な(水中浸漬)付着を、予期せぬことに観察した。より特定すると、本発明者らは、プラスチックパネルが、PC/3.75%シロキサンコポリマー付着促進中間層上に堆積された耐磨耗性層についての3日間水中浸漬試験(水中浸漬の前に行われたクロスハッチテープ引張試験と共に)に合格することを見出した。本発明者らは又、プラスチックパネルが、5%シロキサンを含有するPC/シロキサン表面を用いたときに4日間水中浸漬試験に合格し、そして2.25%のシロキサンコポリマーを含む表面を用いたときに1日水中浸漬試験に合格することを見出した。
【0025】
本発明者らは、PC/PMMAフィルム、PC/PVDFフィルム及びPC/PVFフィルムを用いてフィルムインサート成形を用いるプラスチックパネルの形成を行った。得られたプラスチックパネルの付着及び光学的特性は満足できることが見出された。本発明者らは、PCパネルについて、そうであったように、適度な量でのシロキサンコポリマーの、PMMAフィルム、PVDFフィルム、PVFフィルム、ポリウレタン(PU)フィルム又はポリエステルフィルムへの組み込みにより、PECVD堆積された「ガラス様」被膜のそれらのフィルムへの付着を促進することを予測する。
【0026】
本発明の更に他の態様では、付着促進中間層が、UV吸収、熱吸収、縮合付加、熱駆動絡み合い又はカチオン種もしくはアニオン種による架橋により硬化するポリマータイプから選ばれる樹脂を含有する被膜である。好ましい被膜には、アクリル被膜、ポリウレタン被膜又はシリコーンハードコートが含まれる。付着促進中間層20として用いられるその被膜に種々の添加剤が添加され得る。それらの添加剤には、着色剤[Colorants(tints)]、流動制御剤、離型剤、抗酸化剤、UVA分子及びIR吸収顔料又はIR反射顔料が含まれるが、それらに限定されない。付着促進中間層を構成する被膜は、浸漬被覆、流し塗り、噴霧被覆、カーテンコーティング、型内被覆、押出被覆、又は当業者に公知の他の技術により付けられる。
【0027】
図2Bで示されているように、更に他の態様では、付着促進中間層20は、耐候性フィルム層14の第一表面及び基層12に付着され得て、プラスチックパネル10’’を形成する。プラスチックパネル10’’は、プラスチックパネル10及び10’について先に記載した態様におけるように、同じ又は類似の特徴又は性質の、基層12、耐候性フィルム層14及び耐磨耗性層16を有する。この態様において、付着促進中間層は又、ポリカーボネート(PC)、PMMA、ポリエステル、PC/ABSブレンド、PC/ポリエステルブレンド、又はそれらの混合物もしくはブレンドも含有し得る。
【0028】
更に他の態様では、図2Cに示されているように、耐候性フィルム層14の第二表面と耐磨耗性層16に付着された一つの中間層を有し、他の付着促進中間層が耐候性フィルム層14の第一表面に付着されており、プラスチックパネル10’’’を形成する、2つの付着促進中間層20が存在し得る。
【0029】
図3において示されているように、本発明の他の態様がプラスチックパネル10’’’’として示されている。プラスチックパネル10’’’’は少なくとも一つの機能性層24を有する。機能性層24は、達成するための特定の機能を有し得るか、又は美的目的のためのみに用いられる特徴又はデザインを有する。機能性層24は、太陽光制御、除霜、曇り取り、アンテナ、印刷装飾、フォトクロミック光制御、エレクトロクロミック光制御及びエレクトロルミネセンスを含むが、それらに限定されない機能の一つ又は組み合わせを発揮し得る。より特定すると、ラジオ受信のためのアンテナは、ラジオ受信機能を提供するために機能性層24中に形成され得る。美的理由のために、ウィンドウモジュールの特定の範囲を暗くする必要を生じ得る;これは、選択された範囲に不透明な物質を提供することにより機能性層24において達成し得る。機能性層24は、例えば、ガラス10’’’を通しての赤外線透過を低減させる等の、特定の機能に向けられ得る層である。さらに、それらの機能を達成するために、機能性層24は複数の層を有し得る。
【0030】
一つの態様では、図3Aに示されているように、少なくとも一つの機能性層24が耐候性フィルム層14と基層12との間に配置され、プラスチックパネル10’’’’を形成する。更に他の態様では、少なくとも一つの機能性層24が耐候性フィルム層14と耐磨耗性層16との間に配置され、プラスチックパネル10’’’’’を形成する(図3B)。図3Cに示されているような、更に他の態様では、少なくとも一つの機能性層が、耐候性フィルム層14と基層12との間に配置され、少なくとも一つの機能性層24が耐候性フィルム層14と耐磨耗性層16との間に配置され、プラスチックパネル10’’’’’’を形成する。図3Cは、更にプラスチックパネルの一部としての、一つより多い、又は複数の機能性層24が存在しうることを示している。
【0031】
本発明の一つの態様により製造されるプラスチックパネル10’の特定の例は、耐候性フィルム層14としてPC/PMMAフィルム[例えば、Bayer Corporation(ペンシルバニア州、ピッツバーグ)により提供されるTP5105又はBayer AG(ドイツ)により提供されるTP254]を組み込み、続いて付着促進中間層20を形成するためにシリコーンハードコート[すなわち、GE Silicones(ニューヨーク州、ウォーターフォード)により提供されるAS4000、AS4700又はAS4010]で被覆したポリカーボネート基層である。好ましくは、当該PC/PMMA耐候性フィルム層14は、10マイクロメートル乃至40マイクロメートルの耐候性部材の厚さを有する。シリコーンハードコートは、膨張熱プラズマPECVD法を用いる「ガラス様」耐磨耗性層16の後続する堆積のために付着促進中間層として作用する任意の層である。先に記載した層のパネルへの付着は、離層なしで、96%より高い被覆保持率(クロスハッチ試験)を有して、10日間水中浸漬(65℃)試験への暴露に合格することが見出された。本発明者らは、促進された耐候性試験において、15メガジュールまでの紫外線(UV)光へのプラスチックパネルの暴露において、いずれの層の離層も観察しなかった。
【0032】
本発明の他の面では、上記種々の態様において記載されたプラスチックパネルを形成する方法が、以下に記載されるように提供される。例えば、図4に示されているような、プラスチックパネル(すなわち、10から10’’’’’’まで)を構成するための一つの方法40では、耐候性フィルム層(すなわちフィルム14)を型のキャビティ内に挿入し、ポリカーボネート樹脂でバック成形又はインサート成形する。前記フィルムは、例えば、工程42により表されているように、SHP470プライマー[SHP470はGE Silicones(ニューヨーク州、ウォーターフォード)により提供される]で水平に流し塗りされ、工程44により表されるように製造業者の推奨基準により完全硬化されたポリカーボネート副層を有する。フィルムへのアクリルプライマー又は耐候性被膜の付加は又、プライマー又は耐候性被膜についての全体の均一な厚さを維持し、それによって、流し塗り及び浸漬被覆で起こるコーティングウエッジ問題を回避するために、押出被覆法、噴霧被覆法又はローラー塗り法により行われ得る。いくつかの被覆システムでは、均一の層厚さを得るために、噴霧被覆が好ましい方法であり得る。その特定の場合では、SHP470プライマーは、約45分間の、約125℃への暴露で熱硬化される。好ましくは、工程46において、プライマーの厚さの妥当な制御を維持するために、被覆されたフィルムを切断する。次に、耐候性フィルムを、工程48において、型キャビティ内に挿入し、工程50により示されているように、PC樹脂でバック成形するか又はインサート成形する。しかし、本発明は、工程48で開発されるプラスチックパネルを形成する方法を企図する。換言すると、ブロック42、44及び46により表されるプロセス工程は任意である。加えて、工程48において型内に耐候性フィルムを配置する前に、耐候性フィルム層を、型の一つの表面と実質的に類似の形状に熱成形するような他の任意な工程が含まれ得る。
【0033】
工程54において型から取り出した上、工程56により表されているように、露出したSHP470プライマーを含有するPC/フィルムパネルの側面をシリコーンハードコート、AS4700で被覆し、付着促進層を形成させる。最後に、工程58において、真空蒸着法又はゾル−ゲル被覆技術の使用により「ガラス様」被膜に似た耐磨耗性層を付ける。
【0034】
SHP470プライマーのような流し塗り又は浸漬被覆による耐候性被膜の従来の付加は、約3マイクロメートルから約20マイクロメートルより大きい範囲であり得る大きさの被膜厚さ勾配をもたらす。本発明者らは、当該被膜を特大のプラスチックフィルムに付け、続いて、方法40の工程46に記載されているようにフィルムの周縁を切り取ることにより、その勾配を最小化した。フィルムの周縁を切り取ることは、フィルムの表面の全域のSHP470プライマーの最も薄い及び最も厚い堆積の除去をもたらす。先に記載した例において、切断されたフィルム上のSHP470プライマーの被膜厚さは、実施番号1乃至4について表2に示されているように、好ましくは約4マイクロメートル乃至約6マイクロメートルである。フィルムの表面全体のSHP470プライマーの厚さにおける変量を制限することは、プラスチックパネル全体に実質的に均等な耐候性を与える耐候性フィルム層の創作という最終結果になる。
【0035】
【表2】

【0036】
耐候性被膜を有し、型内装飾(in−mold decorating,IMD)法又はフィルムインサート成形(FIM)法によりプラスチックパネルに付加されるフィルムにより付与されるUV保護は、プラスチック基層(例えばポリカーボネート等)、並びに続いて積層される耐磨耗性層又は任意の付着促進中間層又は機能性層へ結合できなければならない。好ましくは、耐候性被膜は、クリーンルーム又はクリーンライン環境条件下で、押出被覆、ロール塗り又は噴霧被覆により、低応力支持体副層に直接、均等に付けられ得る。このアプローチによる耐候性被膜の付加について達成できる好ましい厚さ範囲は、約4マイクロメートル乃至約6マイクロメートルの程度である。耐候性フィルム(すなわち、フィルム14)は、光の透過及び透明性を最大にするために、種々の程度の表面仕上げを有し得る。現状の技術のフィルムはフィルムの(面a)/(面b)それぞれについて、本工業において艶出し/艶出し、微細艶消し/微細艶消し又は艶出し/微細艶消し仕上げと名づけられたものを有し得る。
【0037】
その被覆されたフィルムは、熱処理、紫外線光暴露、電子ビーム暴露、触媒作用により誘導された架橋又は当業者に公知のいずれかの他の手段により完全に硬化される。アクリルプライマーで被覆されたフィルムは、フィルムインサート成形(FIM)に用いられ得て、次に続いて、真空蒸着技術により、耐磨耗性「ガラス様」層への付着のためにシリコーンハードコート中間層で被覆され得る。
【0038】
本発明の一つの態様では、耐磨耗性層の付加のためには、膨張熱プラズマ反応器を含む特定のタイプのPECVD法が好ましい。この特定の方法(以下、膨張熱プラズマPECVD法という)は、米国特許出願番号10/881,949号(2004年6月28日に出願された)及び米国特許出願番号11/075,343号(2005年3月8日に出願された)に詳細に記載されており、それらの全体を引用により本明細書に組み込む。膨張熱プラズマPECVD法では、150トルより高い圧力、例えば大気圧付近において不活性ガス環境中、対応する陽極プレートにアークする陰極に直流(DC)電圧を印加することによりプラズマを発生させる。次に、大気圧付近熱プラズマは、そのなかのプロセス圧力がプラズマ発生器におけるものよりも低い、例えば約20ミリトル乃至約100ミリトルであるプラズマ処理室内へ超音速的に膨張する。
【0039】
膨張熱プラズマPECVD法のための反応性試薬には、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)又は他の揮発性有機珪素化合物が含まれ得る。その有機珪素化合物は、アークプラズマ堆積装置内において、典型的には酸素、及びアルゴンのような不活性のキャリヤーガスの存在下で、酸化され、分解され、そして重合され、耐磨耗性層を形成する。
【0040】
耐磨耗性層は、副層間に及びその下に存在する耐候性層に良好な付着を示す複数の副層として積層され得る。例えば、Exatec LLCにGE Plasticsにより供給されるアクリル被覆剤(Sun XP MWS)を含有し、上に存在する耐候性層を有するポリカーボネート基層は、続いて、膨張熱プラズマPECVD法により付加される「ガラス様」耐磨耗性層で被覆された。この特定の例では、耐磨耗性層は2つの副層として堆積された。各副層についての堆積パラメーター、例えば、予熱温度、アーク電流及び材料流量を表3に示す。耐磨耗性層の厚さは、約2.0マイクロメートル乃至2.5マイクロメートルの範囲で比較的一定であることが見出された。
【0041】
堆積された耐磨耗性層と耐候性層との間の付着は、すべての実施(番号5乃至10)について表3に示されているように10日間の水中浸漬試験後のクロスハッチ付着試験に合格することが見出された。クロスハッチ試験及び水中浸漬(WI)試験は、それぞれASTM D3359−95及びASTM D870において記載された、工業界で認容された操作により行った。
【0042】
【表3】

【0043】
本発明の更に他の面では、図5で示されているように、耐候性プラスチックパネルを形成するために、一液型(1K)又は複数液型(2K)のポリウレタン(PU)被覆を用いる方法90が提供される。第一工程で、工程92により表されているように、PCフィルムを、Pittsburgh Paint & Glass Inc.(PPG)によりそのResilient(登録商標)系統の被覆として提供される被覆のような、脂肪族ポリウレタン(PU)被覆で被覆する。そのような被覆は、優れた耐候性特徴及び耐磨耗性(例えば、テーバー試験等)を示した。有利なことに、PPGのResilient(登録商標)被覆剤、藤倉化成のSC2603(日本)のような一液型(1K)又は複数液型(2K)のポリウレタン(PU)被覆は費用対効果がよい。耐候性ポリウレタン被覆は、同時押出法、カーテン法、水平流れ法又はローラー塗り法により、ポリカーボネート(PC)のようなプラスチックフィルム上に被覆厚さの良好な制御がされて付けられる。次に、工程94において、そのフィルムを型キャビティ内に挿入し、工程96により表されているように、PC樹脂でバック成形又はインサート成形する。フィルムと、得られるポリカーボネートパネルを、溶融結合により互いに付着し、次に、工程98により表されるように、型から取り出す。最後に、工程99に示されているように、耐磨耗性層を真空蒸着技術又はゾル−ゲル被覆法の使用により堆積する。
【0044】
本発明者らは、IMD又はFIM法においてPC/PU耐候性フィルム及びPC樹脂を用いて形成されたプラスチックパネルが優れた耐候性特徴、良好な耐磨耗性及び優れた付着性能を示すことを実証した。
【0045】
本発明の他の態様により、プライマー/ハードコートシステムのような「湿式」被覆の適用に必要な大きく高価な装置の排除が可能になる。UV保護フィルムを、IMD、FIM、押出又は貼合せ法によりプラスチックパネルに付加する場合に、後続のハードコートの付加は、プラスチックパネルの耐磨耗性を増大するか又は「ガラス様」耐磨耗性層の堆積のための付着促進中間層として作用するためにのみ必要となり得る。いくつかのUV保護フィルムについては、PECVDにより、良好な付着及び耐磨耗性を有する「ガラス様」の被膜の直接付加が可能である。
【0046】
付着促進中間層として作用させるために特定のハードコートを付ける必要性を排除するために、フィルムが、(a)耐磨耗性層への耐候性層の付着を促進する添加剤又はコポリマーを含有し、(b)それ自体耐候性[例えば、アクリル系誘導体(ポリメチルメタクリレート、PMMA)、フルオロポリマー(ポリビニリデンフルオライド、PVDF又はポリビニルフルオライド、PVF)等]であり、(c)その下に存在する基層を保護するために十分にUV輻射の透過をブロックし、並びに(d)3次元に形状がなされたパネルのFIM、IMD、押出又は貼合せ加工に適していることを条件として、複数の層を有する、同時押出しされたフィルム、押出被覆された、ローラー塗りされた又は押出貼合せされたフィルム(図2を参照)が用いられ得る。好ましくは、フィルムにおけるUV吸収構成成分がその層から移動するのを阻止する。更に、耐候性フィルム層における耐候性部材(例えば、支持体副層の存在を含まない)が、ガラスシステムの光学的、熱的及び機械的性質が本体プラスチックのそれらの性質を主として反映するように、約100マイクロメートルより厚くはないことが好ましい。
【0047】
ポリカーボネート(PC)副層は、支持体副層として、耐候性フィルム層又は他の機能性層と、同時押出しされ得るか又は押出貼合せされ得る。その透明な副層は、耐候性層又は他の機能性層の形成及び構造を支持し、並びに任意に、フィルムインサート成形中に耐候性フィルム層と基層との間の溶融結合を促進するのを補助する。支持体副層は又、基層と耐候性フィルム層との間のT(ガラス転移温度)及びCTE(熱膨張率)における不適当な組み合わせにも適応させ得る。印刷されたブラックアウト/フェードアウト又は霜取りシステムのような付加的な機能性の含有を維持するための、耐候性層又は他の機能性層内の支持体副層として用いられるポリカーボネート(PC)は、Makrofol DE[Bayer AG(ドイツ)]もしくは類似物質又はLexan 8010、8A13F、T2F、T2FOQグラフィックフィルム(GE Advanced Materials)もしくは類似物質であり得る。
【0048】
本発明による他の例、方法100(図6参照)が、2層の耐候性フィルム層を有するプラスチックパネルを形成することにより提供される。この例では、IMD又はFIM成形法において用いられるように複数部材の耐候性フィルム層は、工程102により表されているように、押出貼合せされた又は同時押出しされた2つの層TP5105[光学級、艶出し/艶出し仕上げ、Bayer Corp.(Pittsburgh)]又はTP254[光学級、艶出し/艶出し仕上げ、Bayer AG(ドイツ)]ポリカーボネート/PMMAの薄いフィルムである。この場合、ポリカーボネートは前記フィルムの内側に存在し、他方PMMAはフィルムの外側に存在する。次に、工程104において、フィルムを型キャビティ内に挿入し、工程106により表されているように、PC樹脂[LS2(GE Advanced Materials)又はMarkrolon 2607(Bayer Corp.)]でバック成形又はインサート成形する。当該フィルムと、得られるポリカーボネートパネルを、溶融結合により互いに付着し、次に、工程108により表されているように、型から取り出す。TP254フィルムには、耐候性部材(PMMA)中にUVA分子が高度に組み込まれている。最後に、工程110により表されているように、耐磨耗性層が前記フィルム上に堆積される。
【0049】
IMD法、FIM法、押出法又は貼合せ法により製造されるプラスチックパネルは、屋外暴露保護の他に、特に、太陽光制御、除霜、アンテナ、フォトクロミック、エレクトロクロミック、印刷ブラックアウト/フェードアウト装飾のような機能性が組み込まれ得る。得られるシステムは、自動車用ガラス、住居用及び商業用ガラス、航空機用ガラス、自動車用ヘッドランプ及びテールランプ、サングラス並びに類似の用途に用いられ得る。特定の機能性層は、スクリーン印刷、パッド印刷、膜画像転写、転写、インクジェット印刷、デジタル印刷、ロボットディスペンシング、マスク及び噴霧、又は印刷の分野における熟練者に公知の他の技術を用いて製造され得る。
【0050】
複数層フィルムにおける異なる層は、異なるUV添加剤又はIR添加剤と共に、先に記載した種々の機能性を含有し得る。本発明者らは、光の、異なるスペクトル域に対するスクリーンとして作用することができる種々の層の実現性のあるアプローチを構想する。理想的には、一つの層における添加剤は、不溶性及び他のマトリックス効果により、隣接層へ移行する性質を有さず、またはそのような効果がないものである。
【0051】
耐候性層、耐磨耗性層、付着促進中間層及び機能性層を含む、本発明の部分として記載された種々の層は、望ましい配置又は組み合わせにのいずれにおいても、基層の片側又は両側の上に存在することができる。先の開示は、当業者が本発明を実施することを可能にすることを意図しているので、その開示により制限されると解釈されるべきでないものの、前記の明らかな改変を含み、特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されると解釈されなくてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の態様によるプラスチックパネルの断面図であって、当該プラスチックパネルは、(A)基層、耐候性フィルム層及び耐磨耗性層を有する、(B)基層、複数の副層を有する耐候性フィルム層、及び耐磨耗性層を有する、そして(C)基層、耐候性フィルム層、及び複数の副層を有する耐磨耗性層を有する。
【図2】(A)耐候性フィルム層と耐磨耗性層との間に付着促進中間層を有する、(B)基層と耐候性フィルム層の間に付着促進中間層を有する、そして(C)耐候性フィルム層と、基層との間及び耐磨耗性層との間の両方に付着促進中間層を有する、基層、耐候性フィルム層及び耐磨耗性層を有する、本発明の態様によるプラスチックパネルの断面図である。
【図3】(A)耐候性フィルム層と耐磨耗性との間に機能性層を有する、(B)基層と耐候性フィルム層との間に機能性層を有する、そして(C)耐候性フィルム層と、基層との間及び耐磨耗性層との間の両方に機能性層を有し、そして機能性層は複数の副層を更に有し得る、基層、耐候性フィルム層及び耐磨耗性層を有する、本発明の態様によるプラスチックパネルの断面図である。
【図4】本発明の一つの態様による、プラスチックパネルを形成する方法を示すプロセス流れ図である。
【図5】本発明の他の態様による、プラスチックパネルを形成する方法を示すプロセス流れ図である。
【図6】本発明の更に他の態様による、プラスチックパネルを形成する方法を示すプロセス流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層、
第一表面及び第二表面を有する耐候性フィルム層であり、耐候性フィルム層の第一表面が基層に付着している耐候性フィルム層、及び
耐候性フィルム層の第二表面に付着している耐磨耗性層であり、磨耗により生じる損傷から耐候性フィルム層及び基層を保護するのに有用である耐磨耗性層
を有するプラスチックパネル。
【請求項2】
基層が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンブレンド及びポリカーボネート/ポリエステルブレンドの群から選ばれる物質から製造されている、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項3】
耐候性フィルム層が、UV吸収、熱吸収、縮合付加、熱駆動絡み合い又はカチオン種もしくはアニオン種による架橋、又はそれらの組み合わせにより硬化するポリマータイプから選ばれる物質を更に含有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項4】
耐候性フィルム層が、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シロキサン系ポリマー又はそれらのコポリマーの群から選ばれる、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項5】
耐候性フィルム層が前記ポリマーの混合物又はブレンドから製造されている、請求項4に記載のプラスチックパネル。
【請求項6】
耐候性フィルム層が、約1吸光度単位より高い、約295ナノメートル乃至約345ナノメートルの波長のUV光吸収を示す、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項7】
耐候性フィルム層が、紫外線吸収(UVA)分子を更に含有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項8】
紫外線吸収分子が、約1吸光度単位より高い、約295ナノメートル乃至約345ナノメートルの波長のUV光吸収を示す、請求項7に記載のプラスチックパネル。
【請求項9】
UVA分子が、無機酸化物、ベンゾフェノン類、ベンゾイルレゾルシノール類、シアノアクリレート類、トリアジン類、オキサニリド類及びベンゾトリアゾール類の群から選ばれる、請求項7に記載のプラスチックパネル。
【請求項10】
耐候性フィルム層が、その耐候性フィルム層の第二表面と耐磨耗性層との間の付着を増大するための付着促進剤添加剤を更に含有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項11】
付着促進剤添加剤が、耐候性フィルム層中に分散されたシリコーン離散粒子である、請求項10に記載のプラスチックパネル。
【請求項12】
付着促進剤添加剤が、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、又はそれらの混合物もしくはコポリマーの群の一つから選ばれるポリマーの主鎖中に存在するシロキサンセグメントである、請求項10に記載のプラスチックパネル。
【請求項13】
耐磨耗性層が、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、珪素オキシ窒化物、珪素オキシカーバイド、水素化珪素オキシカーバイド、炭化珪素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化錫、酸化イットリウム、酸化亜鉛、亜鉛セレニド、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム及びチタン酸ジルコニウムの群から選ばれる物質を含有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項14】
耐磨耗性層が、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸発、中空陰極活性化蒸着、マグネトロン活性化蒸着、活性化反応性蒸発、熱化学蒸着及びゾル−ゲル被覆法の群から選ばれる一つの方法により積層される、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項15】
耐磨耗性層が紫外線吸収分子を更に含有する、請求項13に記載のプラスチックパネル。
【請求項16】
プラスチックパネルが、耐磨耗性層の付着を促進するために耐候性層の第二表面に付着された付着促進中間層を更に有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項17】
付着促進中間層が、UV吸収、熱吸収、縮合付加、熱駆動絡み合い又はカチオン種もしくはアニオン種による架橋により硬化するポリマータイプから選ばれる物質を含有する、請求項16に記載のプラスチックパネル。
【請求項18】
付着促進中間層が、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シロキサン系ポリマー、又はそれらのコポリマーの群から選ばれる物質から製造される、請求項16に記載のプラスチックパネル。
【請求項19】
付着促進中間層が、前記中間層中に分散されたシリコーン離散粒子を更に含有する、請求項18に記載のプラスチックパネル。
【請求項20】
付着促進中間層が、前記ポリマーの主鎖へのシロキサンセグメントの付加を更に含む、請求項18に記載のプラスチックパネル。
【請求項21】
付着促進中間層が、前記ポリマーの混合物又はブレンドから製造される、請求項18に記載のプラスチックパネル。
【請求項22】
付着促進中間層が、前記中間層中に分散されたシリコーン離散粒子を更に含有する、請求項17に記載のプラスチックパネル。
【請求項23】
付着促進中間層が、前記ポリマーの主鎖へのシロキサンセグメントの付加を更に含む、請求項17に記載のプラスチックパネル。
【請求項24】
付着促進中間層が、前記ポリマーの混合物又はブレンドから製造される、請求項17に記載のプラスチックパネル。
【請求項25】
付着促進中間層が、アクリル被膜、ポリウレタン被膜又は珪素ハードコートの群からの物質として選ばれる、請求項16に記載のプラスチックパネル。
【請求項26】
プラスチックパネルが、耐候性層の第一表面及び基層に付着した第二付着促進中間層を更に含む、請求項16に記載のプラスチックパネル。
【請求項27】
第二付着促進中間層が、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シロキサン系ポリマー、ポリカーボネート、PMMA、ポリエステル類、ポリカーボネート/ABSブレンド、ポリカーボネート/ポリエステルブレンド、又はそれらの混合物及びコポリマーの群から選ばれる一つから製造される、請求項26に記載のプラスチックパネル。
【請求項28】
第二付着促進中間層が紫外線吸収剤分子を更に含有する、請求項26に記載のプラスチックパネル。
【請求項29】
付着促進中間層が、流し塗り、浸漬被覆、噴霧被覆、型内被覆、押出被覆又はローラー塗りの群から選ばれる一つの方法により付けられる、請求項25に記載のプラスチックパネル。
【請求項30】
付着促進中間層が紫外線吸収分子を更に含有する、請求項16に記載のプラスチックパネル。
【請求項31】
プラスチックパネルが、耐候性層の第一表面及び基層に付着した付着促進中間層を更に有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項32】
付着促進中間層が、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シロキサン系ポリマー、ポリカーボネート、PMMA、ポリエステル類、ポリカーボネート/ABSブレンド、ポリカーボネート/ポリエステルブレンド、又はそれらの混合物及びコポリマーの群から選ばれる一つから製造される、請求項31に記載のプラスチックパネル。
【請求項33】
付着促進中間層が紫外線吸収剤分子を更に含有する、請求項31に記載のプラスチックパネル。
【請求項34】
プラスチックパネルが、耐候性層の第一表面及び基層に付着した第二付着促進中間層を更に有する、請求項31に記載のプラスチックパネル。
【請求項35】
第二付着促進中間層が、アクリル系ポリマー、イオノマー系ポリマー、フルオロ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シロキサン系ポリマー、ポリカーボネート、PMMA、ポリエステル類、ポリカーボネート/ABSブレンド、ポリカーボネート/ポリエステルブレンド、又はそれらの混合物及びコポリマーの群から選ばれる一つから製造される、請求項34に記載のプラスチックパネル。
【請求項36】
第二付着促進中間層が紫外線吸収剤分子を更に含有する、請求項34に記載のプラスチックパネル。
【請求項37】
耐候性フィルム層が約10マイクロメートル乃至約1,250マイクロメートルの厚さを有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項38】
プラスチックパネルが、少なくとも一つの機能性層を更に有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項39】
各機能性層が、太陽光制御層、除霜層、曇り取り層、アンテナ層、印刷装飾層、フォトクロミック光制御層、エレクトロクロミック層及びエレクトロルミネセンス層の群から選ばれる一つである、請求項38に記載のプラスチックパネル。
【請求項40】
少なくとも一つの機能性層が、耐候性フィルム層と基層との間に配置される、請求項38に記載のプラスチックパネル。
【請求項41】
少なくとも一つの機能性層が、耐候性フィルム層と耐磨耗性層との間に配置される、請求項38に記載のプラスチックパネル。
【請求項42】
少なくとも一つの機能性層が、耐候性フィルム層と基層との間に配置され、少なくとも一つの機能性層が、耐候性フィルム層と耐磨耗性層との間に配置される、請求項38に記載のプラスチックパネル。
【請求項43】
耐磨耗性層が、組成又は構造において異なる複数の副層を有する、請求項1に記載のプラスチックパネル。
【請求項44】
第一表面及び第二表面を有する耐候性フィルム層を用意すること、
耐候性フィルム層の第二表面が型の表面に面しているように、耐候性フィルム層を型のキャビティ内に配置すること、
溶融プラスチック樹脂を型のキャビティ内に注入することにより基層を形成すること、
基層の凝固により耐候性フィルム層を基層に固定し、プラスチックパネルを形成すること、
型からプラスチックパネルを取り出すこと、及び
磨耗により生じる損傷から耐候性フィルム層と基層を保護するのに有用な耐磨耗性層を耐候性フィルム層の第二表面に付けること
を含む、プラスチックパネルを形成する方法。
【請求項45】
同時押出、押出、貼合せ又はそれらの組み合わせによる耐候性フィルム層の製造を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
耐候性被膜で支持体副層を被覆することによる耐候性フィルム層の製造を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
噴霧被覆、流し塗り、浸漬被覆、カーテンコーティング、押出被覆、型内被覆又はローラー塗りの一つとして選ばれる方法を用いて耐候性被膜を支持体副層に付ける、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
型キャビティに適合するようにフィルムを切断することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
型の一つの表面に実質的に類似の形状に耐候性フィルム層を熱成形することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
耐候性フィルム層と反対側の基層の表面に耐磨耗性層を付けることを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
耐磨耗性層が、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸発、中空陰極活性化蒸着、マグネトロン活性化蒸着、活性化反応性蒸発、熱化学蒸着又はゾル−ゲル被覆法の一つとして選ばれる方法を用いて積層される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
耐磨耗性層が膨張熱プラズマPECVD法を用いて積層される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
耐候性フィルム層の第一表面を基層に付けることが、耐候性フィルム層の第一表面及び基層の一つに付着促進中間層を付けることを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
耐磨耗性層を耐候性フィルム層の第二表面に付けることが、耐候性フィルム層の第二表面及び耐磨耗性層の一つに付着促進中間層を付けることを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
二つの付着促進中間層であって、その一つが耐候性フィルム層の第二表面及び耐磨耗性層に付着し、他の一つが耐候性フィルム層の第一表面と基層に付着している、該付着促進中間層を付けることを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
付着促進中間層が、噴霧被覆、カーテンコーティング、流し塗り、浸漬被覆、押出被覆、型内被覆又はローラー塗りにより付けられる被膜である、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
第一機能性層を耐候性フィルム層上に提供することを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
耐磨耗性層をプラスチックパネルに付ける工程が、耐磨耗性層を耐候性フィルム層の第二表面に付けることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
第一機能性層を耐候性フィルム層上に提供する工程が、耐候性フィルム層の第一表面上へ第一機能性層を付する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
第二機能性層を耐候性フィルム層の第二表面に付けることを更に含む、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
耐磨耗性層をプラスチックパネルに付ける工程が、耐磨耗性層を第二機能性層に付けることを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
スクリーン印刷、パッド印刷、膜画像転写印刷、転写印刷、インクジェット印刷、デジタル印刷、ロボット分配、又はマスク及び噴霧により第一機能性層を付ける、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸発、中空陰極活性化蒸着、マグネトロン活性化蒸着、活性化反応性蒸発、熱化学蒸着又はゾル−ゲル被覆法の一つとして選ばれる方法を用いて第一機能性層を付ける、請求項57に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−531338(P2008−531338A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557180(P2007−557180)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/006523
【国際公開番号】WO2006/121484
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】