説明

型枠兼用断熱パネルとそれを用いた断熱コンクリート躯体構造およびその施工方法

【課題】 型枠兼用断熱パネルを用いた構造体(コンクリート躯体またはコンクリートスラブ)において、共鳴透過現象の発現によって遮音性が低下するのを防止する。
【解決手段】 合成樹脂発泡体である断熱板2と、その一方の面に形成された凹溝3内に一部を突出させた姿勢で埋め込まれている桟木4とからなる型枠兼用断熱パネル10を用いて造られる断熱コンクリート躯体構造体において、断熱板2の表面と桟木4に張り付ける内装下地表面材6との間に生じる空間S内に軟質多孔質体20を埋め込んで、空間Sを閉塞する。それにより共鳴透過現象の発現は抑制され、構造体の遮音性が低下するのを阻止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱コンクリート壁や断熱コンクリートスラブのような断熱コンクリート躯体の施工時に用いられる型枠兼用断熱パネルとそれを用いた構造体およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の省エネルギー化の一手段としてコンクリート壁やコンクリートスラブに断熱施工を施すことが広く行われており、断熱性、吸湿性等の面で優れていることから、発泡ポリスチレンのような合成樹脂発泡体が断熱板として広く用いられている。近年では、施工を簡略化するために、特許文献1あるいは特許文献2に記載されるような、合成樹脂発泡体である断熱板の一方の面に桟木を取り付けた型枠兼用断熱パネルも用いられる。図5a,bはそのような型枠兼用断熱パネル1の一例であり、合成樹脂発泡体である断熱板2の一方の面に凹溝3が形成され、該凹溝3内に一部を突出させた姿勢で桟木4が埋め込まれている。型枠兼用断熱パネル1の使用場所によっては、図5bのように、上辺や下辺にも桟木4aが取り付けられることもある。
【0003】
断熱コンクリート壁や断熱コンクリートスラブのような断熱コンクリート躯体構造の施工に当たっては、桟木4を取り付けた面がコンクリート流し込み側と反対の側となるようにして型枠兼用断熱パネル1の建て込みを行い、桟木4を取り付けていない面側にコンクリートを流し込んでコンクリートを硬化させる。硬化後、建て込みに要した諸部材を取り外すことにより、図6a,bに一例を示すような、コンクリート躯体5の両面に型枠兼用断熱パネル1、1を一体に付設した断熱コンクリート躯体が形成される。その後、断熱板2の表面と突出した桟木4と桟木4との間に形成される空間Sを利用して室内側に向けての配線、配管等を行い、最後に、図7a,b示すように、桟木4を利用して必要とされる内装下地表面材6を取り付けることにより、断熱コンクリート躯体構造体の施工は終了する。
【0004】
上記の例では、コンクリート躯体の両面に型枠兼用断熱パネル1を配置しているが、断熱コンクリートスラブ構造の場合には、通常、室内側となる面にのみ型枠兼用断熱パネルが付設される。断熱コンクリート躯体構造の場合でも、片面にのみ型枠兼用断熱パネルを敷設する場合がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−235393号公報
【特許文献2】特開2000−199288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記した型枠兼用断熱パネルを用いた断熱コンクリート躯体構造体の施工に携わってきているが、その過程で、施工後の構造体において、型枠兼用断熱パネル1における断熱板2の表面と桟木4を利用して取り付けた内装下地表面材6の裏面との間に形成される前記空間(空洞部)Sにおいて共鳴透過現象が発現し、桟木を持たない合成樹脂発泡体を断熱板として用いた場合、桟木を持つ場合でも桟木全体が合成樹脂発泡体の表面まで埋め込まれている合成樹脂発泡体を断熱板として用いる場合、と比較して、断熱コンクリート躯体構造の遮音性が幾分低下することを経験した。
【0007】
本発明は、上記した遮音性の低下を解消することを目的としており、より具体的には、施工後の断熱コンクリート構造(例えば、断熱コンクリート壁または断熱コンクリートスラブ)での遮音性低下を防止することのできる桟木を有する型枠兼用断熱パネルと、それを用いた断熱コンクリート躯体構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による型枠兼用断熱パネルは、合成樹脂発泡体である断熱板と、その一方の面に形成された凹溝内に一部を突出させた姿勢で埋め込まれている桟木とからなる型枠兼用断熱パネルであって、断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間を埋めるようにして軟質多孔質体が配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記の型枠兼用断熱パネルでは、断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間は軟質多孔質体で埋められており、施工後に共鳴透過現象を発現する原因となる空洞部は存在しない。それにより、施工後の断熱コンクリート躯体構造において遮音性が低下するのを効果的に防止することができる。空間に配置する材料は軟質多孔質体であり、容易に弾性変形するので、空間の持つ本来の目的、すなわち、室内への配線や配管を通過させるという目的はそのまま維持される。
【0010】
空間への軟質多孔質体の配置を型枠兼用断熱パネルを製造する工場等において行い、軟質多孔質体が一体となった型枠兼用断熱パネルを施工現場に持ち込むようにしてもよく、軟質多孔質体を備えない型枠兼用断熱パネル、すなわち図5に示したような従来知られた形態の型枠兼用断熱パネルを施工現場に持ち込み、施工の適宜な時点で、前記空間に軟質多孔質体を配置するようにしてもよい。
【0011】
いずれにおいても、軟質多孔質体が安定した姿勢で空間内に配置される場合には、そのまま配置すればよいが、必要な場合には適宜の粘着剤(例えば、両面粘着テープ等)を用いて合成樹脂発泡体である断熱板に貼り付けるようにしてもよい。この場合には、粘着剤が弾性体として機能して振動伝播をも抑制する効果が期待できる。
【0012】
軟質多孔質体は、非圧縮状態での厚みが桟木の断熱板表面からの突出高さと同じか、突出高さよりも厚いものが望ましい。後者の場合には、内装下地表面材を取り付けたときに軟質多孔質体は圧縮を受けるようになり、結果としてその反発力により、内装下地表面材の振動を押さえることができるという効果ももたらされる。それにより、遮音性のさらなる向上も期待できる。
【0013】
軟質多孔質体は、弾性体であり多孔質体であることを条件に任意のものを用いることができるが、好ましくは、連続気泡の軟質樹脂発泡体、グラスウールまたはロックウールのいずれか、またはその組み合わせである。本発明者らの実験では、なかでも、連続気泡の軟質ポリウレタン発泡体は共鳴透過現象の発現をより確実に抑制することができた。
【0014】
本発明は、上記した型枠兼用断熱パネルを用いて構築される断熱コンクリート躯体構造として、コンクリート躯体の両面または片面に上記の型枠兼用断熱パネルが桟木を取り付けていない面をコンクリート躯体に接するようにして一体化されており、型枠兼用断熱パネルの桟木を取り付けた面には前記軟質多孔質体が配置されると共に、桟木を利用して内装下地表面材が取り付けられている断熱コンクリート躯体構造体を開示する。
【0015】
本発明は、さらに、上記した断熱コンクリート躯体構造体の施工方法も開示する。施工においては、前記したように、軟質多孔質体が一体となった型枠兼用断熱パネルを施工現場に持ち込んで施工を行うようにしてもよく、軟質多孔質体を備えない型枠兼用断熱パネルを施工現場に持ち込んで、施工の適宜な時点で前記空間に軟質多孔質体を配置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、室内への配線や配管を通過させるための空間を形成するために、断熱板の表面から一部を突出した状態で桟木を取り付けるようにした型枠兼用断熱パネルを用いた断熱コンクリート躯体構造において、共鳴透過現象の発現によって遮音性が低下するのを容易な手段で確実に抑制することが可能となり、より付加価値の高い構造物とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づき説明する。図1a,bは、本発明による型枠兼用断熱パネルの2つの形態を示す斜視図であり、図2a,bは、図1a,bに示した型枠兼用断熱パネルを用いて構築した断熱コンクリート躯体の2つの態様を示している。図3は断熱コンクリート躯体に内装下地表面材を取り付けて断熱コンクリート躯体構造体とした状態を示す断面図(図3a)とその一部を取り出した斜視図である。
【0018】
本発明による型枠兼用断熱パネル10は、断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間を埋めるようにして軟質多孔質体が配置されていることを除いて、他の構成は図5に示した従来公知の型枠兼用断熱パネルと同じである。すなわち、型枠兼用断熱パネル10は、合成樹脂発泡体である断熱板2の一方の面に凹溝3が形成され、該凹溝3内に一部を突出させた姿勢で桟木4が埋め込まれている。
【0019】
この例では、断熱板2は、1800×1800×50(mm)程度の大きさの発泡ポリスチレン板であり、その表面側には左右側縁のものも含めて長手方向に6本の凹溝3が形成されている。桟木4は、この例では凹溝3と同じ長さと溝幅であり、厚さは凹溝3の深さよりも5〜20mm程度厚くされている。そのために、凹溝3内に桟木4を埋め込んだ状態で、桟木4は一部が断熱板2の表面から突出し、前記したように、断熱板2の表面と突出した桟木4と桟木4との間には空間Sが形成される。そして、その空間Sを埋めるようにして軟質多孔質体20が配置される。
【0020】
軟質多孔質体20の非圧縮状態での厚さは、図1aのものでは桟木4が断熱板2の表面から突出している高さとほぼ同じであり、図1bのものでは、桟木4の突出高さより厚くされている。この形態の型枠兼用断熱パネル10が工場で造られて、施工現場に持ち込まれる。
【0021】
なお、断熱板2の素材としての合成樹脂発泡体は、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、硬質ウレタン発泡体、フェノール発泡体、イソシアネート発泡体、エポキシ発泡体などが挙げられる。発泡性樹脂粒子を成形型内に充填して加熱水蒸気などで加熱膨張させ互いに融着させてなる発泡ポリスチレン、その他の発泡体からなるビーズ型内発泡成形体が好適に用いられる。断熱板の厚さは特に限定されるものでなく、施工環境に応じ任意に選定しうる。
【0022】
桟木4を構成する材料として特に制限はないが、内装下地表面材6を取り付けるときの釘やビスに対する保持力が安定していること、軽量であること、などの理由から木材あるいは合成木材、加工木質材のような木質材料が適している。他に、ポリスチレン、ポリプロピレン、ウレタンなどの低発泡樹脂材料、軟質プラスチック材料などであってもよい。
【0023】
軟質多孔質体20は、連続気泡の軟質樹脂発泡体、特に、連続気泡の軟質ポリウレタン発泡体が最も好ましいが、グラスウールまたはロックウールのような連続した気孔を持つ軟質弾性体も有効である。
【0024】
次に、上記の型枠兼用断熱パネル10を用いて断熱コンクリート躯体構造を施工する場合の一例を説明する。施工に当たっては、桟木4を取り付けた面がコンクリート流し込み側と反対の側となるようにして、定法により型枠兼用断熱パネル10の建て込みを行い、桟木4を取り付けていない面側にコンクリートを流し込んでコンクリートを硬化させる。コンクリートの硬化後、建て込みに要した諸部材を取り外すことにより、図2a,bに示すような、コンクリート躯体5の両面に型枠兼用断熱パネル10、10を一体に付設した断熱コンクリート躯体10Aが形成される。なお、図2aは図1aに示した型枠兼用断熱パネル10を用いた場合であり、図2bは図1bに示した型枠兼用断熱パネル10を用いた場合である。
【0025】
その後、前記空間S内に配置した軟質多孔質体20を変形させながら、室内側に向けての配線、配管等を行い、最後に、桟木4を利用して必要とされる内装下地表面材6を釘打ち等により取り付けることにより、図3a,bに示すような断熱コンクリート躯体構造が構築される。なお、図2aの断熱コンクリート躯体構造の場合には軟質多孔質体20の圧縮は伴わないが、図2bの断熱コンクリート躯体構造の場合には、内装下地表面材6の打ち付けにより軟質多孔質体20の飛び出ている部分は圧縮されて前記空間S内に収容されるので、いずれの場合も、施工後の断熱コンクリート躯体構造は図3a,bに示す形状となる。
【0026】
本発明による型枠兼用断熱パネル10を用いる場合には、断熱板2の表面と突出した桟木4と桟木4との間の空間Sは軟質多孔質体20で埋められており、従来の型枠兼用断熱パネルでのように、施工後に共鳴透過現象を発現する原因となる空洞部が生じることはない。そのために、施工後の断熱コンクリート躯体構造物において遮音性が低下するのを効果的に防止できる。
【0027】
図4は、本発明による型枠兼用断熱パネルを用いた断熱コンクリート躯体構造の他の施工方法を説明している。ここでは、施工現場には、図5に示した型枠兼用断熱パネル1、すなわち、空間Sに軟質多孔質体20を備えない型枠兼用断熱パネル1が持ち込まれ、施工現場での作業の任意のときに、前記空間Sに軟質多孔質体20を埋め込む作業を行うようにする。
【0028】
図4aは、図5bに示した型枠兼用断熱パネル1を例として示しており、この型枠兼用断熱パネル1に対して、図4bに示すように、その空間S内に軟質多孔質体20を埋め込む作業を、施工のいずれかの段階で行う。埋め込みは、型枠兼用断熱パネル1の建て込み後であってコンクリートを打設する前、コンクリートが硬化して建て込みに要した部材を取り除いた後、等の段階を取りうるが、コンクリートが硬化して建て込みに要した部材を取り除いた後に行うことが、作業効率上からは好ましい。
【0029】
図4cは軟質多孔質体20を埋め込んだ後の状態(図1に示した型枠兼用断熱パネル10と同じ形態となる)を示しており、埋め込んだ軟質多孔質体20の上から、室内側に向けての配線、配管等を行い、図4dに示すように、桟木4を利用して必要とされる内装下地表面材6を釘打ち等により取り付けることにより施工は終了する。
【0030】
なお、この施工方法を取る場合でも、軟質多孔質体20の非圧縮状態での厚さは、桟木4が断熱板2の表面から突出している高さとほぼ同じ厚さのものであってもよく、桟木4の突出高さより厚いものであってもよい。軟質多孔質体20の空間S内への埋め込み状態で安定しない場合には、適宜の粘着剤を用いて断熱板2の表面に貼り付けるようにしてもよい。この場合には、粘着剤が弾性体として機能して振動伝播をも抑制する効果が期待できる。軟質多孔質体20として桟木4の前記突出高さよりも厚いものを用いる場合には、内装下地表面材6を取り付けたときに軟質多孔質体20は圧縮を受けるようになり、結果としてその反発力により、内装下地表面材6の振動を押さえることができる効果も期待できる。
【実施例】
【0031】
実施例と比較例により本発明を説明する。
[実施例1]
実施例品として図3に示す形態の型枠兼用断熱パネルを用いた。試験体とした断熱コンクリート躯体構造としては、1800mm×1800mm×コンクリート躯体厚150mmであり、コンクリート躯体の両面に型枠兼用断熱パネルを用い、断熱板2には50mm厚の発泡ポリスチレン板(密度20kg/m、ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板3号)を用いた。発泡ポリスチレン板には凹溝3内に桟木4が6本埋め込まれており、桟木4は一部が断熱板2の表面から12mm突出しており、断熱板2の表面と突出した桟木4と桟木4との間には空間Sが形成されている。空間Sに埋め込む軟質多孔質体20には連続気泡の軟質ポリウレタン発泡体(東邦クオリティワン社製、品番HDB、非圧縮状態で厚さ15mmのもの)を用いた。内装下地表面材6としては石膏ボード(吉野石膏株式会社製、品番GB−R、12.5mm厚)を用いた。
【0032】
JIS A 1520に準じて音響透過損失値(dB)を測定した。残響室にて100dBの音を発生させ、試験体の音源側と受音側の両面の音圧を測定した。試験では、音源側の測定点を試験体から1m離れた面内に9点設定した。また、受音側の測定点は試験体から250mm離れた面内に同じく9点設定した。音源側と受音側の測定点は対峙している。
【0033】
音源側の測定値から受音側の測定値を減じた値を音響透過損失値とし、オクターブバンド(1/1oct)毎の音響透過損失値(dB)を算出した。測定器には、RION製 NA−27を用いた。
測定結果、共鳴透過が発生する500Hzバンドで音響透過損失値は50.6dB(97.0dB−46.4dB)であった。
【0034】
〔比較例1〕
比較例品として、連続気泡の軟質ポリウレタン発泡体を空間Sに充填しないこと以外は実施例1と同様にして試験体を作成し、音響透過損失値を測定した。
測定結果、共鳴透過が発生する500Hzバンドで音響透過損失値は43.8dB(97.4dB−53.6dB)であった。
【0035】
〔考察〕
実施例品は、比較例品と比較して約7dBの改善がはかられており、遮音性が向上することが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による型枠兼用断熱パネルの2つの形態を示す斜視図。
【図2】図1に示した型枠兼用断熱パネルを用いて構築した断熱コンクリート躯体の2つの態様を示す断面図。
【図3】断熱コンクリート躯体に内装下地表面材を取り付けて断熱コンクリート躯体構造とした状態を示す断面図(図3a)とその一部を取り出した斜視図(図3b)。
【図4】発明による型枠兼用断熱パネルを用いた断熱コンクリート躯体構造の他の施工方法を説明する図。
【図5】従来の型枠兼用断熱パネルの2つの形態を示す斜視図。
【図6】図5に示した型枠兼用断熱パネルを用いて構築した断熱コンクリート躯体を示す断面図(図6a)と斜視図(図6b)。
【図7】図5に示した型枠兼用断熱パネルを用いて構築した断熱コンクリート躯体構造体を示す断面図(図7a)と斜視図(図7b)。
【符号の説明】
【0037】
1、10…型枠兼用断熱パネル、2…断熱板、3…凹溝、4…桟木、5…コンクリート躯体、6…内装下地表面材、20…軟質多孔質体、S…断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂発泡体である断熱板と、その一方の面に形成された凹溝内に一部を突出させた姿勢で埋め込まれている桟木とからなる型枠兼用断熱パネルであって、断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間を埋めるようにして軟質多孔質体が配置されていることを特徴とする型枠兼用断熱パネル。
【請求項2】
非圧縮状態での軟質多孔質体の厚みは、桟木の断熱板表面からの突出高さと同じか、突出高さよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の型枠兼用断熱パネル。
【請求項3】
軟質多孔質体は連続気泡の軟質樹脂発泡体、グラスウールまたはロックウールのいずれかまたはその組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の型枠兼用断熱パネル。
【請求項4】
コンクリート躯体の両面または片面に請求項1〜3のいずれかに記載の型枠兼用断熱パネルが桟木を取り付けていない面をコンクリート躯体に接するようにして一体化されており、型枠兼用断熱パネルの桟木を取り付けた面には桟木を利用して内装下地表面材が取り付けてあることを特徴とする断熱コンクリート躯体構造。
【請求項5】
合成樹脂発泡体である断熱板とその一方の面に形成された凹溝内に一部を突出させた姿勢で埋め込まれている桟木とからなる型枠兼用断熱パネルであって、断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間を埋めるようにして軟質多孔質体が一体に配置されている型枠兼用断熱パネルを、桟木を取り付けた面がコンクリート流し込み側と反対の側となるようにして建て込む工程、
桟木を取り付けていない面側にコンクリートを流し込む工程、
流し込んだコンクリートが硬化した後に建て込みに要した部材を取り外す工程、
桟木を利用して内装下地表面材を取り付ける工程、
とを少なくとも有することを特徴とする型枠兼用断熱パネルを用いた断熱コンクリート躯体の施工方法。
【請求項6】
合成樹脂発泡体である断熱板とその一方の面に形成された凹溝内に一部を突出させた姿勢で埋め込まれている桟木とからなる型枠兼用断熱パネルを桟木を取り付けた面がコンクリート流し込み側と反対の側となるようにして建て込む工程、
桟木を取り付けていない面側にコンクリートを流し込む工程、
流し込んだコンクリートが硬化した後に建て込みに要した部材を取り外す工程、
型枠兼用断熱パネルにおける断熱板の表面と突出した桟木と桟木との間の空間を埋めるようにして軟質多孔質体を配置する工程、
桟木を利用して内装下地表面材を取り付ける工程、
とを少なくとも有することを特徴とする型枠兼用断熱パネルを用いた断熱コンクリート躯体構造の施工方法。
【請求項7】
軟質多孔質体として非圧縮状態での厚みが桟木の断熱板表面からの突出高さよりも厚いものを用いることを特徴とする請求項5または6に記載の断熱コンクリート躯体構造の施工方法。
【請求項8】
軟質多孔質体として連続気泡の軟質樹脂発泡体、グラスウールまたはロックウールのいずれかまたはその組み合わせ体を用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の断熱コンクリート躯体構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−52590(P2006−52590A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235278(P2004−235278)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】