説明

型枠角締め金具

【課題】 強度性に優れ、しかも、コンクリート打設に悪影響を与えることのない型枠角締め金具を提供する。
【解決手段】 所定の角度で互いに接合する一対の型枠11,11´で成る型枠出隅部Cの内側に配置して用いる。そして、平板状の中央部2aの長手方向の両側を前記型枠11,11´の内側方向に折り曲げて設けた取付け部2bの一方を前記一方の型枠11に、他方を前記他方の型枠11´にそれぞれコーン12を介してねじ止めする主体片2を備えたもので、前記主体片2の長手方向に沿う上下両端に、該両端を前記内側方向に鈍角状に折り曲げて傾斜部片5,5´を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の角度で互いに接合する一対の型枠が成す出隅部内側に配置し、コンクリート躯体を打設するときの型枠同士を締結するために用いる、型枠の角締め金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長手方向の両側の折曲げ状の取付け部の一方を互いに接合する一対の型枠の一方に、他方を他方の型枠にそれぞれコーンを介してねじ止めして配置するようにした構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第2711572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、金属板の両側を折り曲げて構成した形状から成るため、コンクリート打設時等に板面方向に外力が負荷されると容易に変形して強度に問題があることから、取付け(配置)のピッチ幅を狭くする必要があり、その結果、角締め作業に手間が掛かるといった問題がある。
【0005】
本発明は斯様な従来例の欠点に着目し、強度に優れ、しかも、コンクリート打設作業に悪影響を与えることのない型枠角締め金具を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
所定の角度で互いに接合する一対の型枠で成る型枠出隅部の内側に配置し、しかも、平板状の中央部の長手方向の両側を前記型枠の内側方向に折り曲げて設けた取付け部の一方を前記一方の型枠に、他方を前記他方の型枠にそれぞれコーンを介してねじ止めする主体片を備えた型枠角締め金具において、前記主体片の長手方向に沿う上下両端に、該両端を前記内側方向に鈍角状に折り曲げて傾斜部片を突設したことを基本的手段とする。
【0007】
この基本的手段に下側傾斜部片の突出幅より上側傾斜部片の突出幅を狭くした構成を付加すると、補強部片による補強効果を機能しつつエア滞留を尚一層防ぐことができ、また、主体片の中央部に、傾斜部片と反対方向に突出する突出縁で取り囲んだ長孔を設けた点を付加することにより圧縮及び引張方向に力が働いた場合においても安定した強度を発揮し、変形を少なくでき、さらに、剛性効果を維持しつつ、部材断面を薄くできるという効果を期待できる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、鈍角状に折り曲げて構成した傾斜部片を備えたものであるから、圧縮や引張方向の外力が負荷されても変形しにくく、しかも、この角締め金具を用いることにより、エアー溜まりが発生しにくくコンクリートの打設(充填)に悪影響を与えることのない角締め装置を得ることができる。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係る型枠の角締め金具の一実施例を示し、図1は角締め金具の背面図、図2は図1のa−a線断面図、図3は図1のb−b線断面図、図4は角締め金具の斜視図、図5は使用状態を示す平面図、図6は図5の一部拡大欠截図である。
【0010】
実施例の角締め金具Aは、主筋10aとフープ筋10bで成る鉄筋10の外周に配置した一対の型枠11,11で成る出隅部Cの内側に配置して前記一対の型枠11,11に主体片2の長手方向の両側を折り曲げて設けた取付け部2bをコーン12を介して前記型枠11に取付け、型枠11の角締め(出隅部Cの緊締)を図るものである。
【0011】
なお、型枠11,11の外側に縦端太材13と横端太材14を配し、前記コーン12より突出したボルト部に基部を螺合して型枠11に金具Aを(コーン12を介して)締付けた型枠締付杆15の先端側のねじ部15aに、ナット16を(リブ座金17を介して)螺合して前記縦端太材13と横端太材14を型枠11に締付けて、型枠11の建込みを行い、型枠11内側にコンクリートRを打込み、乾燥、脱型することによりコンクリート躯体(柱)を得られる。
【0012】
角締め金具Aは、金具主体1の長手方向の左右両側の取付け部2b,2bにねじ杆3を突設して構成したもので、金具主体1は、バーリング加工によって形成した長孔4を備えた平板状の中央部2aの両側を前記型枠の内側方向に鈍角状に折り曲げて前記取付け部2bとした平面視下辺開口状の台形輪郭形状の主体片2の長手方向に上下両端に、該上下両端を、前記取付け部2bの折り曲げ方向側と同方向側に(前記内側方向に)鈍角状に折り曲げて傾斜部片(リブ)5,5´を突設して構成したものである。
【0013】
前記ねじ杆3は、主体片2(金具主体1)の取付け部2bに設けた透孔にボルト体を挿通させ、該ボルト体の頭部を主体片2に熔接や加締めなどの手段で固定し、金具主体1に型枠方向に向って突設して前記の通り、角締め金具Aを構成する。
【0014】
また、主体片2に設けた前記長孔4は主体片2の内側面から外側面に向ってバーリング加工して突出縁4aで取り囲んだもので、前記傾斜部片5,5´と反対方向にして主体片2より突出させて設けてあることにより強度上、傾斜部片とのバランスを保つことができる。
【0015】
因みに、実施例の上、下の傾斜部片5,5´は、下側傾斜部片5´の突出幅より上側傾斜部片5の突出幅を狭くしてあるが、これはコンクリート打設時のエアーの滞留をより少なくすることを意図したもので、各部片5,5´が傾斜状であることによりエアー滞留防止効果や耐圧縮性や耐引張り性を期待できるから上下の傾斜部片5,5´間の突出幅が同幅であったりしても、必ずしも不都合はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】角締め金具の背面図。
【図2】図1のa−a線断面図。
【図3】図1b−b線断面図。
【図4】角締め金具の斜視図。
【図5】使用状態を示す平面図。
【図6】図5の一部拡大欠截図。
【符号の説明】
【0017】
2 主体片
2a 中央部
2b 取付け部
5 上側傾斜部片
5´ 下側傾斜部片
11 型枠
12 コーン
C 型枠出隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の角度で互いに接合する一対の型枠で成る型枠出隅部の内側に配置し、しかも、平板状の中央部の長手方向の両側を前記型枠の内側方向に折り曲げて設けた取付け部の一方を前記一方の型枠に、他方を前記他方の型枠にそれぞれコーンを介してねじ止めする主体片を備えた型枠角締め金具において、前記主体片の長手方向に沿う上下両端に、該両端を前記内側方向に鈍角状に折り曲げて傾斜部片を突設した、型枠角締め金具。
【請求項2】
下側傾斜部片の突出幅より上側傾斜部片の突出幅を狭くした、請求項1記載の型枠角締め金具。
【請求項3】
主体片の中央部に、傾斜部片と反対方向に突出する突出縁で取り囲んだ長孔を設けた、請求項1又は2記載の型枠角締め金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−77698(P2010−77698A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247699(P2008−247699)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】