説明

型製品

【課題】保水性や透水性などに優れ、かつ、ガラス瓶やゴム製品のリサイクル化に貢献することのできる型製品を提供する。
【解決手段】ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体2を再度粉砕することにより製造した多孔質材料3に、多数のゴムチップ4と接着剤5を混練して混練材6を製造し、その混練材6を型枠7に注入し、所定形状に固化して型製品1を製造する。また、この型製品1を、バルコニー8の床面8aや、外階段9の踏み面9aに敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保水性や透水性などに優れ、かつ、ガラス瓶やゴム製品のリサイクル化に貢献する型製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部においては、その気温が周辺地域より高いといったヒートアイランド現象が発生している。これは、建物や道路などがコンクリートやアスファルトといった保水性のない材料によって造られていることに大きく起因する。また、こうしたコンクリートやアスファルトの多くは透水性がないので、地中への雨水の浸透が減って地下水が不足したり、下水道施設の負担が増加するなどの弊害が発生している。
【0003】
一方、食品などを収納するガラス瓶や、自動車のタイヤなどのゴム製品は、その殆どが廃棄されており、有限な天然資源が日々失われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物や道路などを全て保水性や透水性に優れた材料で造ることは、現段階では困難であるが、例えば、バルコニーの床面や金属製外階段の踏み面、あるいは歩道などにこうした材料で形成した製品を設けることで、ヒートアイランド現象の抑制や地下水の確保などに貢献することはできる。
【0005】
また、ガラス瓶やゴム製品を再利用して、天然資源を保全することが望まれる。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、保水性や透水性に優れ、かつ、ガラス瓶やゴム製品のリサイクル化に貢献することのできる型製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、保水性や透水性に優れる型製品であって、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体(2)を再度粉砕することにより製造した多孔質材料(3)に、多数のゴムチップ(4)と接着剤(5)を混練して混練材(6)を製造し、その混練材(6)を型枠(7)に注入し、所定形状に固化されてなることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、バルコニー(8)の床面(8a)に敷設する、保水性や透水性に優れた型製品であって、前記型製品は、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体(2)を再度粉砕することにより製造した多孔質材料(3)に、多数のゴムチップ(4)と接着剤(5)を混練して混練材(6)を製造し、その混練材(6)を型枠(7)に注入し、所定形状に固化されてなることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、外階段(9)の踏み面(9a)に敷設する、保水性や透水性に優れた型製品であって、前記型製品は、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体(2)を再度粉砕することにより製造した多孔質材料(3)に、多数のゴムチップ(4)と接着剤(5)を混練して混練材(6)を製造し、その混練材(6)を型枠(7)に注入し、所定形状に固化されてなることを特徴とする。
【0010】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記ゴムチップ(4)が、ゴム製品を再利用したものであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、前記所定形状とは、板状で設置面(20)に複数の凹凸部(11)が形成されたものであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の型製品を、2層に重ねるとともに、隣接する上下の型製品(1a,1b)の色を異なるようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項5に記載の型製品を、2層に、下側の型製品(1b)の下面を前記複数の凹凸部(11)が形成された面とし、上側の型製品(1a)の上面を前記複数の凹凸部(11)が形成された面とするように重ねるとともに、隣接する上下の型製品の色を異なるようにしたことを特徴とする。
【0014】
なお、カッコ内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の型製品によれば、それを形成する材料に、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体を再度粉砕することにより製造した多孔質材料を含むので、保水性と透水性に優れる。
すなわち、当該多孔質材料には無数の不均一な形状の微細孔が形成されているので、この微細孔によって水が保持され、保水性に富む。また、この無数の微細孔によって水が型製品を通過できる微細な多数の水路が形成されるので、透水性にも優れる。
【0016】
また、この型製品には、それを形成する材料として多数のゴムチップが含まれているので、その大きな摩擦抵抗によって優れた滑り止め効果を発揮する。
なお、接着剤は、多孔質材料とゴムチップを効果的に接合する。また、型枠は、型製品を所望の形状に形成する。
【0017】
また、請求項2に記載の型製品によれば、多孔質材料に多数のゴムチップと接着剤を混練し、それを型枠に注入して所定形状に固化したものをバルコニーの床面に敷設するので、ヒートアイランド現象の抑制に貢献することができる。
すなわち、型製品の成形材料である多孔質材料には無数の不均一な形状の微細孔が形成されているので、この微細孔によって水が保持され、この水の冷却効果によってヒートアイランド現象が抑制される。
【0018】
また、この型製品は、多孔質材料の無数の微細孔によって水が通過できる微細な水路が多数形成されているので透水性に優れる。
従って、バルコニーの床面に多量の雨水などが溜まることもなく、雨水等を地面等に円滑に導き、しいては地下水の確保にも貢献できる。
【0019】
また、この型製品には、多数のゴムチップが含まれているので滑り止め効果が高く、バルコニーの床面に敷設する型製品として安全性にも優れる。
【0020】
さらに、請求項3に記載の型製品によれば、多孔質材料に多数のゴムチップと接着剤を混練し、それを型枠に注入して所定形状に固化したものを外階段の踏み面に敷設するので、その成形材料である多孔質材料の微細孔によって水が保持され、この水の冷却効果によって、ヒートアイランド現象を抑制することができる。
【0021】
また、型製品には、多孔質材料の無数の微細孔によって微細な水路が形成されているので透水性にも優れ、よって、外階段の踏み面に多量の雨水などが溜まることがなく、しいては地下水の確保にも貢献する。
【0022】
また、この型製品には、多数のゴムチップが含まれているので滑り止め効果に優れ、外階段の踏み面に敷設する型製品として高い安全性を発揮する。
【0023】
またさらに、請求項4に記載の型製品によれば、請求項1乃至3に記載の発明の作用効果に加えて、ゴムチップが、例えば自動車のタイヤなど、ゴム製品を再利用したものであるので当該ゴム製品のリサイクル化に貢献することができ、天然資源の保全に役立つ。
【0024】
また、請求項5に記載の型製品によれば、請求項1乃至4に記載の発明の作用効果に加えて、型製品の形状を、板状で設置面に複数の凹凸部が形成されたものにしたので、通気性をよくすることができる。
これによれば、型製品は保水性と透水性に優れるため地表面に直接設置すると、黴びが発生するおそれがあるが、通気性を向上させることにより黴びの発生を抑制することができる。
【0025】
また、請求項6に記載の型製品によれば、請求項1乃至4に記載の型製品を、2層に重ねるとともに、隣接する上下の型製品の色を異なるようにしたので、デザイン上優れ見栄えがよい。
【0026】
また、請求項7に記載の型製品によれば、請求項5に記載の型製品を、2層に、下側の型製品の下面を前記複数の凹凸部が形成された面とし、上側の型製品の上面を前記複数の凹凸部が形成された面とするように重ねるとともに、隣接する上下の型製品の色を異なるようにしたので、通気性に優れるとともに、デザイン上も優れ見栄えがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1および図2を参照して、本発明の第一実施形態に係る型製品1について説明する。図1は、型製品1を製造する工程を示す工程図であり、図2は、型製品1をバルコニー8に敷設した状態を示す斜視図である。
【0028】
この型製品1は、複数枚を、コンクリート建造物のバルコニー8の床面8aに敷設するものであり、次のように製造したものである。
すなわち、使用済みのガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕したものを900℃〜1000℃で焼成して製造した多孔質の発泡体2(例えば、「NEXTONE−α」(豊洋産業株式会社製))を、図1(a)に示すように、再度粉砕して多孔質材料3を製造し、この多孔質材料3に、多数のゴムチップ4と接着剤5を混合して練り混練材6を製造する。接着剤5は、多孔質材料3とゴムチップ4を接合する働きを担う。
【0029】
そして、同(b)に示すように、その混練材6を型枠7に注入し、所定時間養生して固化し、(c)に示すような所定の大きさの平板形状とする。なお、ゴムチップ4は、自動車のタイヤなどのゴム製品を再利用している。
【0030】
本実施形態に係る型製品1は、その成形材料である多孔質材料3に無数の不均一な形状の微細孔が形成されているので、この微細孔によって雨水等の水が保持され、当該水の冷却効果によって周囲を冷却する。
これによって、ヒートアイランド現象を抑制することができる。
【0031】
また、この型製品1は、多孔質材料3の無数の微細孔によって水が通過できる微細な水路が多数形成されているので透水性に優れ、バルコニー8に多量の雨水などが溜まることがない。
従って、バルコニー8の床面8aが水で滑るといった危険性を回避することができる。なお、この透水性によって、雨水等を円滑に地面に導くことができるため、地下水の確保にも貢献することができる。
【0032】
また、この型製品1には、多数のゴムチップ4が含まれているので、滑り止め効果がきわめて高く、バルコニー8の床面8aに敷設する型製品として安全性にも優れる。
【0033】
なお、多孔質材料3の元である多孔質の発泡体2として「NEXTONE−α」(豊洋産業株式会社製)を使用すると、それが持つ、アンモニア、硫化水素およびキシレンに対する脱臭効果によって、バルコニー8に付着している臭いを消すことができる。
【0034】
また、この型製品1の成形材である多孔質の発泡体2は、使用済みのガラス瓶を粉砕して使用し、また、ゴムチップ4は自動車のタイヤを再利用しているので、当該ガラス瓶およびタイヤのリサイクル化を図ることができ、有限である天然資源を効果的に保全することができる。
【0035】
次に、図1および図3を参照して、本発明の第二実施形態に係る型製品1について説明する。図1は、型製品1を製造する工程を示す工程図であり、図3は、型製品1を外階段9に敷設した状態を示す斜視図である。
【0036】
これは、建物の鉄製外階段9の踏み面9aに敷設するものであり、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成した多孔質の発泡体2を再度粉砕して製造した多孔質材料3に、多数のゴムチップ4と接着剤5を混練して混練材6を製造し、その混練材6を型枠7に注入し、平板形状に固化して製造したものである。ゴムチップ4は、タイヤなどのゴム製品を再利用している。
【0037】
この型製品1は、その成形材料である多孔質材料3の微細孔によって水が保持されるので、ヒートアイランド現象の抑制に役立つ。また、この型製品1には、多孔質材料3の無数の微細孔によって微細な水路が形成されているため透水性にも優れ、外階段9の踏み面9aに多量の雨水などが溜まることがない。従って、踏み面9aが雨水などによって滑ることがないので安全であり、また、雨水を透水することで、しいては地下水の確保にも貢献する。
【0038】
また、この型製品1には、多数のゴムチップ4が含まれているので滑り止め効果に優れ、外階段9の踏み面9aに敷設する型製品として高い安全性を発揮する。
【0039】
なお、多孔質の発泡体2として「NEXTONE−α」(豊洋産業株式会社製)を使用すれば、それが持つ脱臭効果によって階段およびその周辺の臭いを消すことができる。
【0040】
また、この型製品1は、多孔質の発泡体2を形成する材料としてガラス瓶を使用し、ゴムチップ4はゴム製品を再利用したものであるので、これら材料のリサイクル化に貢献し、天然資源を有効に保全することができる。
【0041】
次に、図4および図5を参照して、本発明の第三実施形態に係る型製品1について説明する。
【0042】
第一,第二実施形態に係る型製品1は、その形状が平板形状に固化されたものであったが、第三実施形態に係る型製品1は、図4に示すように、板状ではあるが、設置面20側の面に、複数の凹部11aと凸部11bからなる凹凸部11を形成した形状に固定されたものである。
第三実施形態に係る型製品1は、図1(a)で示したと同様に、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成した多孔質の発泡体2を再度粉砕して製造した多孔質材料3に、多数のゴムチップ4と接着剤5を混練して混練材6を製造し、その混練材6を型枠に注入し、固化して製造したものであるが、型枠の形状を、図1(b)で示したように底面をフラットな形状にするのではなく、底面に凹凸部を形成したものであり、これによって、型枠を外したときに、図4で示すような凹凸部11が形成された型製品1を製造するようにしたものである。その他、作用効果は第一実施形態のものと同様である。
【0043】
このように、第三実施形態に係る型製品1によれば、設置面20に形成された凹凸部11によって、空気の流路が形成されるので通気性が格段と向上するので、黴びの発生を抑制することができる。
【0044】
なお、図5に示すように、複数の凹凸部11が形成された面を有する型製品1を2層に重ねて使用することもできる。
この場合、下側の型製品1bの下面を複数の凹凸部11が形成された面とするとともに、上側の型製品1aの上面を複数の凹凸部11が形成された面とするように重ね、両型製品1a,1b間は接着剤で固定している。これにより表裏逆、すなわち、型製品1aを下側にし、型製品1bを上側にし、型製品1aでは下面に複数の凹凸部11が形成された面が位置し、型製品1bでは上面に複数の凹凸部11が形成された面が位置するようにして使用することもできる。
【0045】
そして、隣接する上下の型製品1a,1bの色を異なるようにして見栄えをよくすることができる。例えば、これに限定されるものではないが、上側の型製品1aの色をグリーンに、下側の型製品1bの色をレッドに色付けしている。なお、色付けは、型製品1の製造時に各色に対応した顔料を混ぜることによって行っている。
【0046】
なお、第一実施形態に係る平板状の型製品を、2層に重ねるとともに、隣接する上下の型製品の色を異なるようにすることもできる。
【0047】
なお、本実施形態に係る型製品1は、外階段9の他、例えば、歩道や公園など、あらゆる場所に敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第一および第二実施形態に係る型製品の製造工程を示す説明図であり、(a)は多孔質の発泡体から製造した多孔質材料と、ゴムチップと、接着剤を混練して混練材を製造する工程、(b)は混練材を型枠に注入する工程、(c)はそれによって製造された型製品を示す。
【図2】本発明の第一実施形態に係る型製品を示す斜視図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る型製品を示す斜視図である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る型製品を示す正面図である。
【図5】本発明の第三実施形態に係る他の型製品を示す正面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 型製品
1a 上側の型製品
1b 下側の型製品
2 多孔質の発泡体
3 多孔質材料
4 ゴムチップ
5 接着剤
6 混練材
7 型枠
8 バルコニー
8a 床面
9 外階段
9a 踏み面
11 凹凸部
11a 凹部
11b 凸部
20 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保水性や透水性に優れる型製品であって、
ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体を再度粉砕することにより製造した多孔質材料に、多数のゴムチップと接着剤を混練して混練材を製造し、該混練材を型枠に注入し、所定形状に固化されてなることを特徴とする型製品。
【請求項2】
バルコニーの床面に敷設する、保水性や透水性に優れた型製品であって、
前記型製品は、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体を再度粉砕することにより製造した多孔質材料に、多数のゴムチップと接着剤を混練して混練材を製造し、該混練材を型枠に注入し、所定形状に固化されてなることを特徴とする型製品。
【請求項3】
外階段の踏み面に敷設する、保水性や透水性に優れた型製品であって、
前記型製品は、ガラス瓶および貝殻をパウダー状に粉砕して焼成してなる多孔質の発泡体を再度粉砕することにより製造した多孔質材料に、多数のゴムチップと接着剤を混練して混練材を製造し、該混練材を型枠に注入し、所定形状に固化されてなることを特徴とする型製品。
【請求項4】
前記ゴムチップは、ゴム製品を再利用したものであることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の型製品。
【請求項5】
前記所定形状とは、板状で設置面に複数の凹凸部が形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の型製品。
【請求項6】
前記請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の型製品を、2層に重ねるとともに、隣接する上下の型製品の色を異なるようにしたことを特徴とする型製品。
【請求項7】
前記請求項5に記載の型製品を、2層に、下側の型製品の下面を前記複数の凹凸部が形成された面とし、上側の型製品の上面を前記複数の凹凸部が形成された面とするように重ねるとともに、隣接する上下の型製品の色を異なるようにしたことを特徴とする型製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−146619(P2007−146619A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57991(P2006−57991)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(591121650)山一建機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】