説明

埋め込み型セルモニタを有する電池システム

【課題】電池セルの高温度などに迅速に応答し得る電池パックを提供すること。
【解決手段】電池パックは、電池セル100と、RFセルモニタ101とを含む。RFセルモニタは電池セルに埋め込まれ、電池セルの温度と電圧を監視し、それぞれの値が所定の閾値を超えた場合に警告信号191を発生するように動作する。更に検出信号103を発生する検知回路104と警告信号を発生するように動作可能な送信機も備えている。この送信機からの警告信号を受信するアンテナを備えた受信機と組み合わせて電池パックのための保護動作を行う電池管理ユニットを更に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2007年11月30日に出願した「Battery System with Embedded Cell Monitors」という名称の米国特許出願第11/998,579号の一部継続出願に基づくものである。
【0002】
本発明による実施形態は、電源システムおよび電池監視システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電池は、ノートブックコンピュータ、携帯電話などの電子デバイスに電力を供給するために、電子デバイスにおいて広く用いられる。しかし、電池が充電または放電しているときには、電池の温度は上昇することがある。リチウムイオン電池、特にコバルトカソードの化学作用タイプの電池は、発熱反応が自己持続的になると臨界温度(たとえば摂氏135°から摂氏145°の間)に達する場合がある。高温度は、電池を劣化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第11/998,579号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子システムでは、電池パックの温度を監視するためにサーミスタを使用することができる。しかし、サーミスタは、サーミスタから離れた位置にある電池セルの高温度に対して迅速に応答することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、電池パックが開示される。電池パックは、電池セルと、RFセルモニタとを含む。RFセルモニタは、電池セルに埋め込まれ、電池セルを監視し、かつ電池セルの所定の状態を示す警告信号を発生するように動作可能である。
【0007】
本発明の利点は、添付の図面に関連してその説明が考察されるべき、本発明の例示的実施形態についての以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタを有する電池セルのブロック図である。
【図2A】本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタを有する電池セルを示す図である。
【図2B】本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタを有する電池セルを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、電池システムのブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による、電池システムのブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタのダイの断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタのダイの断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタのダイを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による、電子システムのブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態による、電池システムによって行われる動作のフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による、埋め込み型RF(無線周波数)セルモニタを有する電池セルを示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による、その中にRFセルモニタが製作されるダイの例示の図である。
【図12】本発明の一実施形態による、電池システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示では本明細書において、埋め込み型セルモニタを有する電池パック/システムが開示される。本明細書では、図面に示される実施形態は例示のためであるので、本開示において、一般的に組み込まれる一部のサブコンポーネントおよび/または周辺コンポーネントは、簡単かつ明瞭にするために省かれる。本発明による実施形態の説明では、明瞭にするために特定の用語が使用される。しかし、本特許明細書の開示は、選択された用語および特定の実施形態に限定されるものではない。それぞれの特定の要素は、同様に動作するすべての技術的に等価なものを含むことを理解されたい。
【0010】
一実施形態では、1つまたは複数の電池セルを含む電池パックが提供される。セルモニタ(たとえば無線周波数(RF)セルモニタ)は、各電池セルに埋め込まれ、対応する電池セルを監視し、かつ対応する電池セルの所定の状態(たとえば、望ましくない状態、または障害状態)を示す警告信号を発生するように動作可能である。各RFセルモニタは、対応する電池セルの所定の状態を検出し、かつ検出信号を発生するように動作可能な検知回路を含む。各RFセルモニタはさらに、RFセルモニタの検出信号に従って警告信号を発生するように動作可能な送信器を含む。電池パックはさらに、警告信号を受信するための受信器を含む。受信器は、警告信号に従って、電池パックのための保護動作(たとえば、電池パックの充電を終わらせる、または電池パックの放電を終わらせる)を始動させるための電池管理ユニットを含む。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタ101を有する電池セル100のブロック図を示す。電池セル100は、電池パック(簡単かつ明瞭にするために、図1には示していない)内にある。セルモニタ101は、電池セル100に埋め込まれ、電池セル100の正端子131と負端子133の間に結合される。セルモニタ101は、電池セル100を監視し、かつ電池セル100の所定の状態(たとえば、望ましくない状態)を示す警告信号191を発生するように動作可能である。一実施形態では望ましくない状態とは、非限定的に、過電圧状態および過温度状態を含むことができる。一実施形態ではセルモニタ101は、電池セル100の望ましくない状態を検出し、かつ検出された望ましくない状態を示す検出信号103を発生するように動作可能な検知回路104を含む。セルモニタ101はさらに、検出信号103を受け取り、かつ検知回路104からの検出信号103に従って警告信号191を発生するように動作可能な送信器135を含む。有利には、電池パックは、警告信号191を取得し、望ましくない状態での劣化から電池パックを保護するために、対応する保護動作(たとえば、電池パックの充電を終わらせる、または電池パックの放電を終わらせる)を行うことができる。
【0012】
図2Aは、本発明の一実施形態による、埋め込み型セルモニタ101Aを有する電池セル100Aの詳細図を示す。図1と同じラベルが付けられた要素は同様な機能を有し、したがって本明細書では明瞭かつ簡単にするためにそれらの要素の繰り返しの説明は省かれる。一実施形態では検知回路104は、電池セル100Aの望ましくない状態を検出し、かつ検出信号103を発生するように動作可能である。送信器135Aは、検知回路104からの検出信号103に従って、警告信号191を発生するように動作可能である。
【0013】
より具体的には、検知回路104は、電圧センサ111、比較器117、および論理和ゲート121を含むことができる。一実施形態では電圧センサ111は、抵抗器とすることができる。電圧センサ111は、電池セル100Aの電圧を監視するように動作可能である。電圧センサ111によって監視された電圧は、比較器117によって基準電圧113と比較される。基準電圧113は、所定の閾値電圧とすることができる。電池セル100Aの電圧が基準電圧113より大きい場合、これは過電圧状態を示すことができ、比較器117は論理和ゲート121に信号(たとえば相対的に高い電圧レベルを有する)を発生する。
【0014】
一実施形態では、検知回路104はまた、温度センサ115および比較器119を含む。一実施形態では、温度センサ115はサーミスタとすることができる。別の実施形態では、温度センサ115は、内部温度検知回路とすることができる。温度センサ115は、電池セル100Aの温度を監視し、かつ電池セル100Aの温度を示す信号を発生するように動作可能である。電池セル100Aの温度を示す信号は、電圧レベルVtを有する。電圧レベルVtは、比較器119によって基準電圧113と比較される。電圧レベルVtが基準電圧113より大きい場合、これは過温度状態を示すことができ、比較器119は論理和ゲート121に信号(たとえば相対的に高い電圧レベルを有する)を発生する。
【0015】
一実施形態では、電圧センサ111および温度センサ115は、それぞれ電池セル100Aの電圧および温度を連続して監視する。望ましくない状態(たとえば、過電圧状態および/または過温度状態)が生じた場合は、論理和ゲート121は、送信器135Aに検出信号103(たとえば相対的に高い電圧レベルを有する)を発生することができる。送信器135Aは、望ましくない状態が生じた場合は、検出信号103に従って電池パックに警告信号191を発生することができる。より具体的には、電池セル100Aの電圧が所定の閾値より大きい場合、および/または電池セル100Aの温度が所定の閾値より高い場合は、警告信号191が発生されることになる。その結果、電池パックを保護するために、対応する動作を行うことができる。
【0016】
一実施形態では送信器135Aは、パルス発生器105、抵抗器109、およびパルス発生器105に結合されたスイッチ107(たとえば、トランジスタ)を含む。パルス発生器105が望ましくない状態を示す検出信号103を受け取ったときは、パルス発生器105は検出信号103に従って一連のパルスをスイッチ107に発生することができる。一実施形態ではパルス発生器105は、検出信号103に応答して、周波数f0を有する一連の比較的大きな電流パルス(たとえば、デューティサイクルが1%のパルス幅変調信号)を発生することができる。スイッチ107は、パルス発生器105から一連のパルスを受け取り、かつ警告信号191を発生するように動作可能である。一実施形態ではスイッチ107は、パルスによって周期的にスイッチオンおよびスイッチオフされる。したがって、一実施形態では警告信号191は、周波数f0を有するAC信号として示される。スイッチ107がオンされると、電池セル100Aのセル電圧は低下する。その結果、一実施形態では端子131と133の間のセル電圧は、警告信号191に応答して周波数f0を有するAC電圧として表すことができる。
【0017】
図2Bは本発明の一実施形態による、別の、埋め込み型セルモニタ101Bを有する電池セル100Bの詳細図を示す。図1および図2Aと同じラベルが付けられた要素は同様な機能を有し、本明細書では明瞭かつ簡単にするために繰り返し説明しない。一実施形態ではセルモニタ101Bは、検出信号103を受け取り、検出信号103に従って警告信号191を発生するための送信器135Bを含む。より具体的には、一実施形態では送信器135Bは、発振器205、および発振器205に結合されたコンデンサ207を含む。一実施形態では発振器205は、高周波シングルトーン発振器とすることができる。別の実施形態では発振器205は、高周波デュアルトーン発振器とすることができる。
【0018】
発振器205は、論理和ゲート121から検出信号103を受け取ることができる。一実施形態では、発振器205は周波数foscを有し、検出信号103に従って警告信号191として、たとえば比較的高い周波数fosc(たとえば、10MHz)を有する正弦波AC波形の発振信号を発生する。コンデンサ207は、周波数foscを有する警告信号191を電池セル100Bに転送するように動作可能である。その結果として、電圧センサ111が過電圧状態を検出したとき、および/または温度センサ115が過温度状態を検出したときは、電池セル100Bのセル電圧は、警告信号191に応答して、周波数foscを有するAC電圧として表すことができる。
【0019】
図2Aおよび図2Bに関して上述したように、警告信号191は、たとえば過温度および/または過電圧状態である電池セル100の望ましくない状態を反映することができる。その結果、警告信号191に応答して、電池セルの両端にAC電圧を表すことができる。次に図3を参照して、このような警告信号の検出について、および望ましくない状態が生じた場合の対応する動作の実行について説明する。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態による電池システム300(たとえば、電池パック)のブロック図を示す。一実施形態では電池パック300は、それぞれが図1の構成を使用することができる直列または並列に結合された1つまたは複数の電池セル310を含む。電池セル310のそれぞれには、セルモニタが埋め込まれる。したがって電池セル310は、埋め込み型セルモニタによって個々にそれぞれ監視される。一実施形態では電池パック300はさらに、正端子331、負端子333、受信器301、およびスイッチ307を含む。一実施形態では受信器301は、スイッチ307を制御するための電池管理ユニット305を含むことができる。図2Aおよび図2Bに関して上述したように、望ましくない状態(たとえば、過温度状態および/または過電圧状態)が電池セル内で検出されたときは、警告信号に応答して電池セルの両端にAC電圧を表すことができる。したがって一実施形態では、電池パック300の正端子331と負端子333の間にAC電圧を表すことができる。一実施形態では受信器301は、電池パック300の正端子331と負端子333に結合され、電池パック300の正端子331と負端子333の間のAC電圧を検出することによってセルモニタからの警告信号を受信するように動作可能である。警告信号に従って、駆動信号303を発生することができる。
【0021】
一実施形態では受信器301は、電池パック300に関連するノイズをフィルタリングするように直列に結合されたコンデンサ313と抵抗器315として示されるハイパスフィルタを含む。一実施形態では、電池セル310からの警告信号(たとえば、AC信号)が、ハイパスフィルタのカットオフ周波数よりも高い周波数f0を有する場合は、ハイパスフィルタは駆動信号303を発生することができる。電池管理ユニット305は、ハイパスフィルタから駆動信号303を受け取り、駆動信号303に従ってスイッチング信号391を発生することができる。スイッチング信号391に応答して、電池パック300を保護するために、対応する動作を行うことができる。たとえばスイッチング信号391は、劣化から電池パック300を保護するために電池の充電/放電を終わらせるように、スイッチ307をターンオフする。
【0022】
一実施形態では電池管理ユニット305は、ハイパスフィルタからの駆動信号303を検出するための検出回路340を含む。このような構成は例示のためであり、電池管理ユニット305には他の構成を使用することもできる。一実施形態では検出回路340は、整流器341および比較器345を含む。整流器341は、駆動信号303を受け取り、駆動信号303を整流するための比較的高周波の整流器とすることができる。一実施形態では整流器341は、駆動信号303に従って電圧信号を発生する。次いで比較器345は、電圧信号を基準信号343と比較する。一実施形態では、整流器341からの電圧信号の電圧レベルが基準信号343の電圧レベルより大きい場合は、比較器345は電池管理ユニット305に信号(たとえば相対的に高い電圧レベルを有する)を出力する。次いで電池管理ユニット305は、電池パック300のための保護動作を始動させるように、比較の結果に従ってスイッチング信号391を発生することができる。たとえばスイッチング信号391は、電池パック300の正端子331に結合された、スイッチ307をターンオフすることができる。その結果、電池パック300は、負荷または充電器(簡単かつ明瞭にするために、図3には示していない)から切り離すことができ、過温度状態および/または過電圧状態での劣化から保護することができる。
【0023】
図4は、本発明の別の実施形態による電池システム400(たとえば、電池パック)のブロック図を示す。図3と同じラベルが付けられた要素は同様な機能を有し、本明細書では明瞭かつ簡単にするために繰り返し説明しない。電池パック400は、図3の受信器301と同様な受信器401を含む。受信器401は電池セル310からの警告信号を検出し、電池管理ユニット305に駆動信号303が発生される。一実施形態では受信器401は、電池パック400に関連するノイズをフィルタリングするために、直列のコンデンサ313、インダクタ417、および抵抗器315として示されるバンドパスフィルタを含む。一実施形態では、バンドパスフィルタの共振周波数は、図2Aおよび図2Bの警告信号191の周波数に等しくなるように設定され得る。したがって警告信号は、バンドパスフィルタを通過することができる。それによって受信器401は、電池セル310からの比較的高い周波数の警告信号を受信することができ、バンドパスフィルタは、駆動信号303を発生することができる。電池管理ユニット305は、駆動信号303に従ってスイッチング信号391を発生することができる。スイッチング信号391は、スイッチ307を制御することによって電池パック400のための保護動作を始動させることができる。たとえばスイッチ307は、電池管理ユニット305の制御の下でスイッチング信号391によってターンオフすることができる。その結果、電池パック400は、負荷または充電器(簡単かつ明瞭にするために、図4には示していない)から切り離すことができ、望ましくない状態での劣化から保護することができる。
【0024】
したがって、電池セル310から、電池セル100に埋め込まれたセルモニタ101によって所定の状態(たとえば、過温度状態および/または過電圧状態)が検出されると、セルモニタ101は警告信号を発生することができる。一実施形態では警告信号は、電池セル100の両端にAC電圧を引き起こすことができる。したがって警告信号に応答して、電池パック300(400)の正端子331と負端子333の間にAC電圧を表すことができる。次いで、受信器301(401)は警告信号を検出することができ、電池管理ユニット305に駆動信号303が発生される。電池管理ユニット305は、スイッチ307を制御することができるスイッチング信号391を発生することができる。スイッチ307は、駆動信号303に従って電池パック300(400)を保護するために、電池管理ユニット305の制御の下でターンオフされる。有利には、電池セル310内の各セルは、個々の埋め込み型セルモニタによって監視される。電池セル310の1つが過温度および/または過電圧状態を受けている場合は、その電池セルのセルモニタは、電池パック300(400)に警告するように、警告信号を送信することができる。その結果、望ましくない状態での劣化から電池パック300(400)を保護するために、対応する動作を行うことができる。
【0025】
図2Bで述べたように、送信器135Bは、発振器205から電池セル100Bの正端子131へ警告信号を転送するためのコンデンサ207を含む。以下の説明では図5および図6を参照して、製作プロセスにおけるこのようなコンデンサの例示の実装について述べる。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態による、その中にセルモニタ(たとえば、図2Bのセルモニタ101B)が製作される、ダイ500の断面図を示す。図5を参照すると、ダイ500は金属層503、金属層505、および絶縁体507を含む。金属層503と金属層505は、絶縁体507によって絶縁される。図2Bの検知回路104と発振器205とを含む回路501が、金属層503および金属層505に結合される。ダイ500の製作時には、検知回路104および発振器205を製作するときに、金属層503と金属層505が形成される。有利には、絶縁体507は金属層503と金属層505の間に形成することができ、それによって金属層503、絶縁体507、および金属層505は、比較的大きな静電容量を有するコンデンサ207を構成することができる。したがってこの構成は、コンデンサ製作のための2つの追加の金属層の形成を避けることができ、ダイ500のコストを低減することができる。
【0027】
図6は、本発明の一実施形態による、その中にセルモニタ101Bが製作される、別のダイ600の断面図を示す。ダイ600は複数の金属層、たとえば金属層603、金属層605、および金属層607を含む。金属層は、絶縁体615および絶縁体617によって分離される。一実施形態では、金属層603は、ビア613を通じて金属層607に結合される。一実施形態では、図2Bの検知回路104と発振器205とを含む回路601が、金属層605および金属層607に結合される。ダイ600の製作時には、検知回路104および発振器205を製作するときに、金属層603、金属層605、および金属層607が形成される。有利には、複数の金属層は、形成し得るコンデンサの垂直層の数を拡大することができる。したがって金属層603、金属層605、および絶縁体615は、第1のコンデンサを構成することができ、金属層605、金属層607、および絶縁体617は、第2のコンデンサを構成することができる。図6に示されるように、第1のコンデンサと第2のコンデンサは並列に結合される。有利には、コンデンサ207は、第1のコンデンサと第2のコンデンサを並列に含むことができる。それにより図6の並列接続されたコンデンサの静電容量は、図5のコンデンサの静電容量の2倍とすることができる。一実施形態では、コンデンサ構成を形成するための追加の金属層が節約され、ダイ600のコストを低減することができる。
【0028】
図7は、本発明の一実施形態によるセルモニタ101のセルモニタダイ700を示す。一実施形態ではセルモニタ101は、セルモニタダイ700上に製作される。セルモニタダイ700は、底部705(たとえば、基板)、および上部703(たとえば、図5の金属層503、または図6の金属層603)を含む。一実施形態では、底部705は接地であるので、底部705は電池セル100の負端子に結合することができる。一実施形態では、上部703は正コンタクトであり、これは単一の線材によって電池セル100の正端子131に結合することができる。したがって、単一の線材によりセルモニタダイを電池セル100に埋め込むことができる。有利には、一実施形態ではセルモニタダイ700は、電池セル100の上部キャップ内に組み込むことができ、別の実施形態では電池セル100の中央に組み込むことができる。
【0029】
電池パック300(400)は、多くの種類の電子システムに用いることができる。図8は、本発明の一実施形態による、電気自動車、コンピュータなどの電子システム800を示す。一実施形態では電子システム800は、電池パック804と、電池パック804に結合された負荷806とを含むことができる。一実施形態では負荷806は、非限定的に、自動車モータ、コンピュータシステムなどを含むことができる。一実施形態では電子システム800は、アダプタ(簡単かつ明瞭にするために、図8には示していない)に結合することができる入力端子802を含む。アダプタは、一定の状態おいて電池パック804を充電することができる。電池パック804は、負荷806に電力を供給することができる。一実施形態では電池パック804は、図3/図4に示される構成を使用する。電池パック804は1つまたは複数の電池セルを含み、電池セルのそれぞれには電池セルを監視するためのセルモニタが埋め込まれる。したがって、一実施形態では電池パック804を正確に監視することができ、その各電池セルの望ましくない状態から保護することができる。
【0030】
図9は、本発明の一実施形態による、電池システムによって行われる動作のフローチャート900を示す。一実施形態では電池システムは、図3/図4に示される構成を使用することができる。図9について、図1、図2A、および図2Bと組み合わせて説明する。ブロック902では、電池パック内の各電池セルは、それぞれ対応するセルモニタ101によって監視され、それにより関連する電池セルの所定の状態を示す警告信号191を発生することができる。セルモニタ101は、各電池セルに埋め込まれる。一実施形態では、温度センサ115は電池セルの温度を監視することができ、それにより電池セルの温度が所定の閾値より高い場合は、セルモニタ101は警告信号191を発生する。電圧センサ111は電池セルの電圧を監視することができ、それにより電池セルの電圧が所定の閾値より大きい場合は、セルモニタ101は警告信号191を発生する。ブロック904では、セルモニタ101は、電池セルの所定の状態を示す警告信号191を発生する。一実施形態では、所定の状態とは、望ましくない状態(たとえば、過電圧および/または過温度状態)とすることができる。ブロック906では、警告信号191に従って保護動作(たとえば、電池の充電/放電を終わらせる)を始動させることができる。一実施形態では電池セルは、警告信号に応答して負荷または充電器から切り離すことができる。
【0031】
図10は、本発明の一実施形態による、別の、埋め込み型セルモニタ101Cを有する電池セル100Cの詳細図を示す。図1、図2A、および図2Bと同じラベルが付けられた要素は同様な機能を有し、本明細書では明瞭かつ簡単にするために繰り返し説明しない。図10に示される例示の検知回路104は例示のためであり、検知回路104のために他の構成を使用することもできる。
【0032】
一実施形態ではセルモニタ101Cは、検出信号103を受け取り、検出信号103に従って警告信号191を発生するための送信器135Cを含む。より具体的には、一実施形態では送信器135Cは、無線周波数(RF)発振器1005、および発振器1005に結合されたアンテナ1007を含む。アンテナ1007は、RFループアンテナとすることができる。RF発振器1005は、非限定的に、RFシングルトーン発振器またはRFデュアルトーン発振器とすることができる。
【0033】
RF発振器1005は、論理和ゲート121から検出信号103を受け取ることができる。一実施形態ではRF発振器1005は、検出信号103に従って警告信号191として発振信号、たとえば比較的高い周波数を有する正弦波AC波形を発生する。アンテナ1007は、電池セル100Cに警告信号191を転送するように動作可能である。その結果として、電圧センサ111が過電圧状態を検出し、かつ/または温度センサ115が過温度状態を検出したときは、警告信号191に応答して、RF発振器1005の周波数を有するAC電圧を電池セル100Cの両端に表すことができる。
【0034】
図1に関して上述したように、警告信号191は電池セルの望ましくない状態、たとえば過温度および/または過電圧状態を反映することができる。その結果、電池セル100Cの望ましくない状態が検出された場合は、電池セルの両端にAC電圧を表すことができる。図12を参照し、警告信号191の検出について、および望ましくない状態が生じた場合の対応する動作の実行について、さらに説明する。
【0035】
図11は、本発明の一実施形態による、その中にセルモニタ101Cが製作されるダイ1100の例示の図を示す。ダイ1100は、底部1105(たとえば、基板)、および上部1103を含む。一実施形態では、底部1105は接地であるので、底部1105は電池セル100の負端子に結合することができる。一実施形態では、上部1103は正コンタクトであり、これは単一の線材で電池セル100の正端子131に結合することができる。ダイ1100は、ビア1113およびビア1115を含むことができる。ビア1113は送信器135C内の警告信号191に接続することができ、ビア1115は接地に接続することができ、逆も同様である。ダイ1100はアンテナ1111を含むことができ、これは上部1103の金属層に接続される。
【0036】
図12は、本発明の一実施形態による、電池システム1200(たとえば、電池パック)のブロック図を示す。図1、図3、および図4と同じラベルが付けられた要素は同様な機能を有し、本明細書では明瞭かつ簡単にするために繰り返し説明しない。
【0037】
一実施形態では電池パック1200は、直列および/または並列に結合された1つまたは複数の電池セル310Cを含み、電池セル310Cのそれぞれは図10の構成を使用することができる。電池セル310CのそれぞれにはRFセルモニタが埋め込まれる。したがって電池セル310Cは、埋め込み型RFセルモニタによって個々にそれぞれ監視される。一実施形態では、電池パック1200はさらに、正端子331、負端子333、受信器1201、およびスイッチ307を含む。受信器1201は、アンテナ1211、バンドパスフィルタ1212、および電池管理ユニット305を含むことができる。スイッチ307は、電池管理ユニット305によって制御される。図10に関して上述したように、電池セル100C内で望ましくない状態(たとえば、過温度状態および/または過電圧状態)が検出されたときは、警告信号191に応答して電池セル100Cの両端にAC電圧を表すことができる。それにより一実施形態では、電池パック1200の正端子331と負端子333の間にAC電圧を表すことができる。一実施形態では受信器1201は、アンテナ1211を通じて送信器135C内のアンテナ1007と通信することができ、電池パック1200の正端子331と負端子333の間のAC電圧(たとえば、HF AC電圧)を検出することによって1つまたは複数のRFセルモニタから、(1つまたは複数の)警告信号191を受信するように動作可能である。警告信号191に従って、駆動信号303を発生することができる。
【0038】
一実施形態ではバンドパスフィルタ1212は、電池パック1200に関連するノイズをフィルタリングするために並列に結合されたインダクタ1213とコンデンサ1215を含むことができる。バンドパスフィルタ1212は、警告信号191に従って駆動信号303を発生することができる。電池管理ユニット305は、バンドパスフィルタ1212から駆動信号303を受け取り、駆動信号303に従ってスイッチング信号391を発生することができる。スイッチング信号391に応答して、電池パック1200を保護するために、対応する動作を行うことができる。たとえばスイッチング信号391は、電池パック1200が劣化するのを防止するために、電池の充電/放電を終わらせるようにスイッチ307をターンオフする。
【0039】
電池パック1200は多くの種類の電子システム、たとえば一実施形態では図8の電子システム800に用いることができる。一実施形態では、埋め込み型RFセルモニタを含む電池システム(たとえば、電池パック1200)は、図9のフローチャート900に示される動作を行うことができる。
【0040】
したがって、本開示では電池パックが提供される。RFセルモニタは、対応する電池セルを監視するために電池パックの各電池セルに埋め込まれる。電池セル内で望ましくない状態(たとえば、過温度状態および/または過電圧状態)が検出されると、対応するRFセルモニタは、電池パックに警告信号を発生することができる。電池パック内の受信器は、警告信号を受信し、電池管理ユニットに駆動信号を発生することができる。電池管理ユニットは、望ましくない状態での劣化から電池パックを保護するために、対応する動作を起こすことができ、たとえば電池パックと他の回路の間の接続をディスエーブルすることができる。
【0041】
本明細書で上記に開示されたように、電池パックの各電池セルは、対応する電池セルを個々にそれぞれ監視するためのRFセルモニタを含む。対応する電池セル内のRFセルモニタによって望ましくない状態が検出された後に、望ましくない状態について電池パックに通知することができる。それによりセル監視は比較的正確とすることができ、望ましくない状態に対する応答速度は比較的迅速とすることができる。
【0042】
しかし本明細書で述べてきた実施形態は、本発明を利用する複数のもののうちの一部であり、説明のために記載されたもので、限定のためではない。添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲から大幅に逸脱せずに、当業者には容易に明らかとなる多くの他の実施形態を形成し得ることは自明である。さらに本発明の要素は、単数にて説明され、または請求されているが、単数への限定が明示的に述べられていない限り複数が企図される。
【符号の説明】
【0043】
100、100A、100B、100C 電池セル
101、101A、101B、101C 埋め込み型セルモニタ
103 検出信号
104 検知回路
105 パルス発生器
107 スイッチ
109 抵抗器
111 電圧センサ
113 基準電圧
115 温度センサ
117、119 比較器
121 論理和ゲート
131 正端子
133 負端子
135、135A、135B、135C 送信器
191 警告信号
205 発振器
207 コンデンサ
300 電池パック
301 受信器
303 駆動信号
305 電池管理ユニット
307 スイッチ
310、310C 電池セル
313 コンデンサ
315 抵抗器
331 正端子
333 負端子
340 検出回路
341 整流器
343 基準信号
345 比較器
391 スイッチング信号
400 電池パック
401 受信器
417 インダクタ
500 ダイ
501 回路
503、505 金属層
507 絶縁体
600 ダイ
601 回路
603、605、607 金属層
613 ビア
615、617 絶縁体
700 セルモニタダイ
703 上部
705 底部
800 電子システム
802 入力端子
804 電池パック
806 負荷
1005 RF発振器
1007 アンテナ
1100 ダイ
1103 上部
1105 底部
1111 アンテナ
1113、1115 ビア
1200 電池パック
1201 受信器
1211 アンテナ
1212 バンドパスフィルタ
1213 インダクタ
1215 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルに埋め込まれ、前記電池セルを監視し、かつ前記電池セルの所定の状態を示す警告信号を発生するように動作可能な無線周波数(RF)セルモニタと
を備える電池パック。
【請求項2】
前記RFセルモニタは前記電池セルの温度を監視するように動作可能な温度センサを備え、前記電池セルの前記温度が所定の閾値より高い場合は、前記RFセルモニタは前記警告信号を発生する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記RFセルモニタは前記電池セルの電圧を監視するように動作可能な電圧センサを備え、前記電池セルの前記電圧が所定の閾値より大きい場合は、前記RFセルモニタは前記警告信号を発生する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記RFセルモニタは、
前記電池セルの前記所定の状態を検出し、かつ検出信号を発生するように動作可能な検知回路と、
前記検出信号を受け取り、かつ前記検知回路からの前記検出信号に従って前記警告信号を発生するように動作可能な送信器と
を備える、請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記送信器は、
前記検出信号を受け取り、かつ前記検出信号に従って前記警告信号を発生するように動作可能なRF発振器と、
前記RF発振器に結合され、前記電池セルに前記警告信号を転送するように動作可能なアンテナと
を備える、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池パックの正端子と負端子に結合され、前記警告信号を受け取り、かつ前記警告信号に従ってスイッチング信号を発生するように動作可能な受信器をさらに備える、請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記受信器は、
前記警告信号を受信するためのアンテナと、
前記アンテナに結合され、前記警告信号に従って駆動信号を発生するためのバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタから前記駆動信号を受け取り、かつ前記駆動信号に従って前記スイッチング信号を発生するように動作可能な電池管理ユニットであって、前記スイッチング信号は前記電池パックのための保護動作を始動させる、電池管理ユニットと
をさらに備える、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
電池管理ユニットは、
前記駆動信号を受け取り、電圧信号を発生するための整流器と、
前記電圧信号を基準信号と比較し、前記比較の結果に従って前記スイッチング信号を発生するための比較器と
を備える、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
負荷と、
前記負荷に電力を供給するように動作可能な電池パックと
を備える電子システムであって、前記電池パックは、
電池セルと、
前記電池セルに埋め込まれ、前記電池セルを監視し、かつ前記電池セルの所定の状態を示す警告信号を発生するように動作可能な無線周波数(RF)セルモニタと
を備える電子システム。
【請求項10】
前記RFセルモニタは前記電池セルの温度を監視するように動作可能な温度センサを備え、前記電池セルの前記温度が所定の閾値より高い場合は、前記RFセルモニタは前記警告信号を発生する、請求項9に記載の電子システム。
【請求項11】
前記RFセルモニタは前記電池セルの電圧を監視するように動作可能な電圧センサを備え、前記電池セルの前記電圧が所定の閾値より大きい場合は、前記RFセルモニタは前記警告信号を発生する、請求項9に記載の電子システム。
【請求項12】
前記RFセルモニタは、
前記電池セルの前記所定の状態を検出し、かつ検出信号を発生するように動作可能な検知回路と、
前記検出信号を受け取り、かつ前記検知回路からの前記検出信号に従って前記警告信号を発生するように動作可能な送信器と
を備える、請求項9に記載の電子システム。
【請求項13】
前記送信器は、
前記検出信号を受け取り、かつ前記検出信号に従って前記警告信号を発生するように動作可能なRF発振器と、
前記RF発振器に結合され、前記電池セルに前記警告信号を転送するように動作可能なアンテナと
を備える、請求項12に記載の電子システム。
【請求項14】
前記電池パックの正端子と負端子に結合され、前記警告信号を受け取り、かつ前記警告信号に従ってスイッチング信号を発生するように動作可能な受信器をさらに備える、請求項9に記載の電子システム。
【請求項15】
前記受信器は、
前記警告信号を受信するためのアンテナと、
前記アンテナに結合され、前記警告信号に従って駆動信号を発生するためのバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタから前記駆動信号を受け取り、かつ前記駆動信号に従って前記スイッチング信号を発生するように動作可能な電池管理ユニットであって、前記スイッチング信号は前記電池パックのための保護動作を始動させる、電池管理ユニットと
をさらに備える、請求項14に記載の電子システム。
【請求項16】
電池管理ユニットは、
前記駆動信号を受け取り、電圧信号を発生するための整流器と、
前記電圧信号を基準信号と比較し、前記比較の結果に従って前記スイッチング信号を発生するための比較器と
を備える、請求項15に記載の電子システム。
【請求項17】
前記負荷が自動車モータを含む、請求項9に記載の電子システム。
【請求項18】
前記負荷がコンピュータシステムを含む、請求項9に記載の電子システム。
【請求項19】
電池パックを監視する方法であって、
前記電池パック内の電池セルを、前記電池セルに埋め込まれた無線周波数(RF)セルモニタによって監視するステップと、
前記電池セルの所定の状態を示す警告信号を発生するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記電池セルの温度を監視するステップと、
前記電池セルの前記温度が所定の閾値より高い場合は、前記警告信号を発生するステップと
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電池セルの電圧を監視するステップと、
前記電池セルの前記電圧が所定の閾値より大きい場合は、前記警告信号を発生するステップと
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記警告信号に従って、前記電池パックのための保護動作を始動させるステップを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−135317(P2010−135317A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−258141(P2009−258141)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】