説明

埋込形照明灯

【課題】
基台内に浸入した水が凝固して灯体を破壊することが認識される埋込形照明灯を提供する。
【解決手段】
埋込形照明灯1は、光源19および上面10a側に光源19の放射光が出射される出射口16を有する灯体2と、開口部39を有する有底の箱状に形成され、地面3に埋め込まれているとともに、灯体2を開口部39に取り付けている基台7と、基台7内に配設され、基台7内に浸入して溜まった水56が凝固した氷の膨張圧力を検出する圧力センサ5と、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出したときに、光源19の点灯状態を制御する電源装置6とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、地面に埋め込み設置される埋込形照明灯に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の埋込形照明灯としては、例えば空港の滑走路や誘導路に設置され、航空機を誘導する埋込形航空標識灯が知られている。この埋込形航空標識灯は、灯体を備え、この灯体の上部が路面から少し突出した状態で路面に埋め込み設置されており、その灯体の上部に側方へ向けて設けられている窓部から出射溝を経由して光を出射し、航空機の操縦者から視認できるようにしている。
【0003】
そして、灯体は、路面に埋設された基台に、間座および調整リングを介して埋め込み設置されている。基台は、ゴムトランスを配設しているハンドホールに配管により接続され、基台内には、ハンドホールから配管を通して電源ケーブルが引き込まれている。この電源ケーブルは、レセプタクルなどを介して灯体に接続されている(例えば特許文献1参照。)。また、灯体は、防水用パッキンを介して基台側に液密に取り付けられており、基台内に雨水などの水分が浸入しないようにしている。
【0004】
しかしながら、基台内には、ハンドホール側から配管を介して水が浸入している。これは、埋込形航空標識灯を設置する業者が配管に防水用パッキンなどを介在させずに電源ケーブルを配線していることによる。基台内は、浸入した水が相応に溜まり、灯体に達するまで溜まっていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−223253号公報(第7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、灯体に配設される光源は、発熱量が比較的小さい発光ダイオードが用いられている。そして、寒冷地の空港においては、地面が凍結することがある。
【0007】
灯体が水に浸った状態で地面が凍結すると、発光ダイオードの発熱によっては水の温度低下を阻止することができず、水が凝固して体積が膨張する。そして、この凝固によって形成された氷から膨張に伴う圧力が灯体に加わって灯体が破壊することがあった。そして、灯体の破壊部分から日中溶け出した水が灯体内に浸入して、漏電や電気系統に悪影響するおそれがあった。また、光源の消灯に至るまで、灯体の破壊に気づかないことがあった。
【0008】
本発明の実施形態は、基台内に浸入した水が凝固して灯体を破壊することが認識される埋込形照明灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の埋込形照明灯は、灯体、基台、圧力センサおよび電源装置を備える。
【0010】
灯体は、光源および上面側に光源の放射光が出射される出射口を有してなる。
【0011】
基台は、開口部を有する有底の箱状に形成されている。そして、地面に埋め込まれて、灯体を開口部に取り付ける。
【0012】
圧力センサは、基台内に配設される。そして、基台内に浸入して溜まった水が凝固した氷の膨張圧力を検出する。
【0013】
電源装置は、圧力センサが所定値以上の圧力を検出したときに、光源の点灯状態を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、基台内に浸入した水が凝固して氷となり、圧力センサが氷から押圧されて所定値以上の圧力を検出すると、電源装置が光源の点灯状態を制御するので、光源の点灯状態が視認されることにより、基台が埋め込まれる地面の温度が低下して、基台内に浸入した水が凝固し、その凝固により形成された氷によって灯体が破壊されるおそれがあることが認識され、対処することにより、灯体の破壊時の悪影響を少なくできることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す埋込形照明灯の概略上面図である。
【図2】同じく、埋込形照明灯の概略縦断面図である。
【図3】同じく、埋込形照明灯への配線を示す概略ブロック図である。
【図4】同じく、電源装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す埋込形照明灯の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0017】
第1の実施形態の埋込形照明灯は、空港の滑走路や誘導路などの地面(路面)に埋め込み設置される埋込形航空標識灯1であり、図1ないし図4に示すように構成される。
【0018】
図3において、埋込形航空標識灯1は、灯体2、この灯体2を取り付けて地面(路面)3に埋め込まれて設置されている設置体4、灯体2に取り付けられて設置体4内に配設されている圧力センサ5および灯体2内に配設されている電源装置6を備えている。そして、設置体4は、有底で略円筒状の基台7、この基台7上に取り付けられた埋め込み深さ調整用の略円筒状の間座8およびこの間座8上に取り付けられた水平軸調整のための円環状の調整リング9を備えている。そして、設置体4は、調整リング9の上面9a周辺部が地面3と略同一高さとなるように埋め込み設置されている。
【0019】
図2において、灯体2は、略円盤状の上部灯体10および略皿状の下部灯体11による2つ割り構造に形成されている。そして、上部灯体10および下部灯体11は、Oリング12を介して覆合され、ビス13により固着されている。これにより、内部空間14が液密に形成されている。上部灯体10は、高強度金属例えばアルミニウム(Al)を鋳造して形成され、下部灯体11は、例えばアルミダイキャストにより形成されている。
【0020】
上部灯体10の上面10aは、平坦状の頂面15を有するように膨出されているとともに、図1に示すように、頂面15の両端側が切り欠きされている。さらに頂面15の一端側が切り欠きされて、出射口としての光導出溝16が形成されている。光導出溝16は、図2に示すように、内部空間14に連通し、平坦状の頂面15に対して斜め上方に向かうように形成されている。
【0021】
下部灯体11は、内部空間14に平面状の取付け板17を配設している。この取付け板17には、取付け部材18を介して光源19が取り付けられている。光源19は、基板20に実装された発光ダイオード21などを有して形成されている。
【0022】
また、上部灯体10には、プリズム22を収容しているプリズム収容部23が形成されている。このプリズム収容部23は、光導出溝16に連通されている。プリズム22は、例えば強化ガラスからなり、シリコーンゴム製の枠状をなすパッキング24を配設している。プリズム22は、光導出溝16および内部空間14に液密に配設されている。
【0023】
プリズム22は、光源19からの光が入射され、この光が光導出溝16から斜め上方に出射されるように光路規制を行うものである。そして、光源19は、その放射光がプリズム22に入射するように、プリズム22の入射面に対向して内部空間14に配設されている。
【0024】
そして、灯体2は、図1に示すように、その上部灯体10の上面10aの周縁側に凹部25が形成されている。この凹部25に形成された図示しない通孔に、調整リング9からスタットボルト26が挿通されて、上部灯体10の上面10a側においてナット27が締め付けられている。灯体2は、スタットボルト26およびナット27により、調整リング9に収容されて固定されている。
【0025】
図2において、調整リング9は、それぞれアルミニウム製の第1および第2の部材28、29からなっている。第1の部材28は、リング状に形成され、第2の部材29は、環状座に形成されている。第1および第2の部材28、29は、4個のボルト30により一体化されている。すなわち、第1の部材28の周縁部側には、図1に示すように、周方向に90°回転間隔で4個の凹所31が形成されている。そして、図2に示すように、凹所31には、ボルト30の図示しない挿通孔が形成され、第2の部材29には、ボルト30のねじ孔32が形成されている。
【0026】
そして、第2の部材29は、上述したように、スタットボルト26およびナット27により、灯体2に固定されている。これにより、灯体2は、調整リング9に固定されている。そして、調整リング9は、間座8に固定されている。
【0027】
間座8は、例えばアルミニウムからなり、リング体33およびリング体34に2分割されている。リング体33は、基台7に跨座している。リング体34は、リング体33に上側から嵌合して、図示しないねじによりリング体33に固定されている。
【0028】
そして、リング体34は、調整リング9の第2の部材29にボルト35により固定されている。すなわち、第2の部材29の周縁部側には、図1に示すように、第1の部材28によって、第1の部材28の凹所31の中間であって周方向に90°回転間隔で4個の凹所36が設けられている。この凹所36には、ボルト35が上下方向に貫通される長孔37が形成されている。そして、図2に示すように、リング体34には、ボルト35のねじ孔38が形成されている。ボルト35がねじ孔38に完全にねじ込まれることにより、調整リング9および灯体2は、間座8に取り付けられている。このとき、調整リング9の上面9aが地面3にほぼ位置するように、間座8の大きさが設定されている。
【0029】
基台7は、例えばアルミニウムからなり、例えば鋳造により、上端側7aに開口部39、側面7bに接続部40および内部に内部空間41を有する有底の箱状(略円筒状)に形成されている。そして、基台7は、図示しないねじにより、間座8のリング体33を固定している。すなわち、リング体33の凹部42には、ねじが貫通される図示しない貫通孔が形成され、基台7の上端側7aには、当該貫通孔に対応する図示しないねじ孔が形成されている。基台7に間座8が固定されることにより、基台7は、調整リング9および灯体2を取り付けている。すなわち、基台7は、その開口部39に間座8および調整リング9を介して灯体2を取り付けている。
【0030】
基台7の側面7bに形成された接続部40は、配管43が嵌入される貫通口であり、配管43が接続されている。この配管43を介して後述のハンドホール51から電源ケーブル44が引き込まれている。電源ケーブル44の先端には、防水性の接続部材としてのレセプタクル45が取り付けられている。
【0031】
灯体2の下部灯体11の下面11bには、受電端子46を配設している防水コネクタ47が設けられている。この防水コネクタ47に装着されるコネクタ48を有するプラグ付き電源線49,49が基台7内に収納されている。当該電源線49,49は、電源ケーブル44のレセプタクル45および防水コネクタ47(受電端子46)を電気接続している。受電端子46は、防水兼絶縁ブッシング50を介して下部灯体11内に突出されている。なお、レセプタクル45の他、コネクタ48およびプラグ付き電源線49,49なども防水性を有するように形成されている。
【0032】
配管43は、図3に示すように、地面3に埋め込み設置されたハンドホール51に接続されている。ハンドホール51内には、外部電源としてのゴムトランス(ゴム被覆絶縁変圧器)52が配設されている。ゴムトランス52は、定電流電源装置(CCR)53から出力された交流定電流が一次ケーブル54,55を通じて入力され、変換した交流定電流を電源ケーブル(二次ケーブル)44を通じて埋込形航空標識灯1に供給する。
【0033】
なお、ゴムトランス52は、通常、複数の埋込形航空標識灯1に交流定電流を供給している。配管43は、各基台7の外側で分岐されて各基台7の接続部40に接続されてもよく、各基台7に一対の接続部40,40が設けられて、隣り合う基台7,7の接続部40,40に接続されてもよい。電源ケーブル44は、前者の場合には、配管43の分岐位置で分岐され、後者の場合には、基台7内で分岐される。
【0034】
そして、ハンドホール51は、大気に開放され又は雨水などに対する防水対策が施されていないので、その内部に雨水などの水56が浸入し、ハンドホール51内に溜まる。ハンドホール51内に溜まった水56は、配管43の配設位置まで上昇すると、配管43を通じて埋込形航空標識灯1の基台7内に浸入する。そして、ハンドホール51内の水位が上昇するにしたがい、基台7内の水位が上昇していく。
【0035】
図2において、圧力センサ5は、その受圧部5aが基台7の底面7cを向くようにして、固定部材57により灯体2の下部灯体11の下面11bに取り付けられている。固定部材57は、図示しない取付けねじ等により下部灯体11の下面11bに固定されている。そして、圧力センサ5は、その出力コード5bが下部灯体11に設けられた図示しない孔から灯体2の内部空間14に引き込まれて、電源装置6に接続されている。前記孔には、防水部材58が取り付けられている。こうして、圧力センサ5は、基台7内に配設されている。
【0036】
圧力センサ5は、基台7内に浸入した水56が凝固した氷となり、受圧部5aが氷からの膨張圧力を受けると、その圧力に応じた電圧値を電源装置6に出力するように構成されている。この圧力センサ5は、防水性であって、汎用性のもの例えば東洋測器(株)製のTDC−SCD型圧力センサを用いることができる。
【0037】
そして、圧力センサ5は、基台7内で凝固した氷の表面が下部灯体11の下面11b側近傍よりも灯体2の上面10a側に位置しているときに氷からの圧力を受けて氷の圧力を検出するように、その受圧部5aが基台7の底面7cを向いて下部灯体11の下面11b側に配設されている。すなわち、基台7内に発生した氷が灯体2に圧力を加えるおそれが大きいときから氷の膨張圧力を検出するようにしている。
【0038】
電源装置6は、灯体2の内部空間14に配設された取付け板17の下部灯体11側に配設されている。そして、それぞれ図示しないリード線により、光源19および受電端子46に接続されている。また、電源装置22は、圧力センサ5の出力コード5bを接続している。図4に示すように、電源装置6は、点灯装置59および制御装置60を有して構成されている。受電端子46は、点灯装置59および制御装置60のそれぞれの入力端子となっている。
【0039】
点灯装置59は、AC/DC変換回路61、電流調整回路62および制御回路63を備えている。AC/DC変換回路61は、例えば整流器などを有する既知の整流手段により、ハンドホール51のゴムトランス52から受電端子46に供給される交流定電流を直流定電流に変換するように形成されている。電流調整回路62は、例えば既知の降圧チョッパ回路からなり、光源19の発光ダイオード21に流れる電流を調整して供給するように形成されている。制御回路63は、発光ダイオード21に所定の電流が流れるように電流調整回路62を制御するように形成されている。発光ダイオード21は、所定の電流が流れることにより、点灯して可視光を放射する。
【0040】
制御装置60は、バイパス回路部64、AC/DC変換回路部65および制御回路部66を備えている。バイパス回路部64は、限流素子としての抵抗R1および半導体スイッチとしての電界効果トランジスタQ1の直列回路に形成され、電界効果トランジスタQ1がオンすることにより点灯装置59の入力間を短絡する。電界効果トランジスタQ1がオンしているときのバイパス回路部64のインピーダンス値は、点灯装置59および光源19の合計インピーダンス値よりも非常に小さくなっている。すなわち、電界効果トランジスタQ1がオンすると、ハンドホール51のゴムトランス52から供給される交流定電流は、主としてバイパス回路部64側に流れる。これにより、点灯装置59は、発光ダイオード21に電流を供給できなくなり、発光ダイオード21が消灯する。
【0041】
AC/DC変換回路部65は、例えば整流器などを有する既知の整流手段を備えており、ハンドホール51のゴムトランス52から受電端子46に供給される交流定電流を直流電源に変換して、制御回路部66等の動作電源として供給するように形成されている。
【0042】
そして、制御回路部66は、CPU(マイコン)を備え、圧力センサ5が検出した圧力に応じた電圧値が入力される。そして、当該圧力の電圧値が予め設定された所定値以上であるときに、バイパス回路部64の電界効果トランジスタQ1のゲート、ソース間に電圧を供給して電界効果トランジスタQ1をオンさせるように形成されている。すなわち、制御回路部66は、圧力センサ5の検出した圧力に応じて光源19の発光ダイオード21の点灯状態を制御するものであり、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出したときに発光ダイオード21を消灯させるように制御する。前記所定値は、氷からの圧力によって灯体2または設置体4のいずれかが破壊される圧力値よりも幾分低く設定されている。
【0043】
なお、点灯装置59および制御装置60は、電源装置6に構成されているが、別体に構成されていてもよい。
【0044】
また、制御装置60は、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出したときに、発光ダイオード21が減光又は点滅するように、制御回路部66がバイパス回路部64の電界効果トランジスタQ1をオンオフ制御するように形成されていてもよい。すなわち、電源装置21は、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出すると、光源19の発光ダイオード21を減光又は点滅するように形成されてもよい。
【0045】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について述べる。
【0046】
図3において、ハンドホール51内に浸入した水56の水位が配管43の配設位置に上昇すると、設置体4の基台7内に配管43を通じて水56が浸入する。基台7内は、ハンドホール51内の地面3表面からの水位と略同等の水位となるように水56が溜まる。そして、ハンドホール51内の水位が上昇するにしたがい、基台7内の水位が上昇する。
【0047】
基台7内に水56が溜まっている状態で、地面3の温度が氷点下以下に低下すると、基台7内の温度も次第に低下していき、氷点下となる。基台7内の水56は、凝固点以下となり、氷となる。氷は、水56の体積の約1.1倍となり、基台7内における占有率が水56のときよりも大きくなる。
【0048】
基台7内の水位が灯体2の下部灯体11の下面11b近傍に達していない状態で、水56が氷になると、氷の表面は、灯体2の下部灯体11の下面11bに当接することがなく、例え氷が下部灯体11に当接するような水56の水位であっても水56が凍るときには設置体4の間座8内の空間に凍っていく水56の逃げ場があり、下部灯体11への氷の膨張圧力は小さいものである。圧力センサ5が検出する氷からの圧力は、予め設定された所定値以下であり、電源装置6の制御装置60は、そのバイパス回路部64の電界効果トランジスタQ1をオフ状態に維持する。これにより、点灯装置59は、光源19の発光ダイオード21を点灯できる。
【0049】
そして、基台7内の水位が灯体2の下部灯体11の下面11b近傍に上昇していて水56が次第に氷になると、氷の表面が下部灯体11の下面11bに当接するとともに、間座8内において氷により下部灯体11が包囲されて氷から圧力を受けるようになる。基台7の内部空間41および間座8内の空間は、氷によりほぼ満たされ、膨張していく氷の逃げ場がなくなって、氷の膨張圧力が下部灯体11の下面11b側を強く押圧するようになる。これにより、圧力センサ5の受圧部5aに加わる圧力も強くなり、圧力センサ5が検出する圧力値も次第に大きくなっていく。このように、圧力センサ5は、灯体2の下部灯体11の下面11b側に、基台7の底面7c側を向くように配設されていることにより、氷の表面が下部灯体11の下面11b側よりも灯体2の上面10a側に位置しているときに氷からの圧力を検出するものである。
【0050】
そして、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出すると、制御装置60の制御回路部66は、バイパス回路部64の電界効果トランジスタQ1をオンにさせる。ハンドホール51のゴムトランス52から受電端子46に供給される交流定電流は、バイパス回路部64に流れて環流し、点灯装置59側に供給されなくなる。これにより、点灯装置59は、動作しなくなって、光源19の発光ダイオード21に電流を供給しなくなる。発光ダイオード21は、消灯し、その放射光が灯体2の出射口としての光導出部16から出射されなくなる。
【0051】
灯体2の光導出部16から放射光が出射されなくなることが視認され、地面3が凍結する程の外気温度であることが確認されることにより、基台7内に浸入した水56が凝固して氷となり、その氷によって灯体2が破壊されるおそれがあることを使用者が認識でき、使用者は、直ちに基台7内の氷を除去する作業に着手することができ、また、新品の灯体2を準備するなどに取り掛かることができるようになる。
【0052】
本実施形態によれば、基台7内に浸入した水56が凝固して氷となり、圧力センサ5が氷から押圧されて所定値以上の圧力を検出すると、電源装置6の制御装置60が光源19の点灯状態を制御するので、光源19の点灯状態が視認されることにより、基台7が埋め込まれる地面3の温度が低下して、基台7内に浸入した水56が凝固し、その凝固により形成された氷によって灯体2が破壊されるおそれがあることを認識できるという効果を有する。
【0053】
そして、使用者が直ちに基台7内の氷を除去する作業に着手することにより、灯体2が破壊されて破壊部分から日中溶けた水56が基台7内に浸入し、漏電等の悪影響を引き起こすことを防止できる。
【0054】
また、圧力センサ5は、氷の表面が下部灯体11の下面11b側近傍よりも灯体2の上面10a側に位置しているときに氷からの圧力を検出するように下部灯体11の下面11b側に配設されているので、基台7内に溜まっている水56が凝固して氷になっても、氷の表面が下部灯体11から離間していて氷によって下部灯体11が破壊されるおそれがないときの不要な氷からの圧力検出を無くし、氷によって下部灯体11が破壊されるおそれが強いときに氷からの圧力を検出することができるという効果を有する。
【0055】
また、電源装置6は、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出したときに、光源19を消灯させるように構成されているので、光源19の消灯により灯体2が破壊されるおそれがあることを簡易手段で予知させることができ、別の予知手段を設けなくすることができて埋込形航空標識灯1のコストアップを抑制できるという効果を有する。
【0056】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0057】
図5は、第2の実施形態を示す埋込形照明灯としての埋込形航空標識灯1Aであり、図2に示す埋込形航空標識灯1において、圧力センサ5の配設位置が異なるものである。ここで、図2と同一部分には、同一符号を付している。
【0058】
圧力センサ5は、電源ケーブル44の先端に設けられたレセプタクル45に着脱される防水性の接続部材としてのプラグ67の外表面に結束バンド68,68により結束されている。また、圧力センサ5は、灯体2側のプラグ67の外表面に結束されている。圧力センサ5の配設位置は、下部灯体11から相応に離間している。ここで、圧力センサ5およびプラグ67の間に接着材を塗布して、圧力センサ5をプラグ67に強固に固着させてもよい。また、圧力センサ5は、レセプタクル45の外表面に設けるようにしてもよい。
【0059】
そして、圧力センサ5の電気コード5bは、下部灯体11の下面11bに設けられた図示しない孔を介して電源装置6に接続されている。前記孔には、防水部材69が配設されている。そして、プラグ67から導出された電源線49,49は、コネクタ48により下部灯体11の下面11b側に配設された防水コネクタ47に接続されている。
【0060】
基台7内に溜まった水56の水位が圧力センサ5の配設位置よりも灯体2側であるときに、水56が凝固して氷になると、圧力センサ5は、氷からの圧力を検出する。そして、圧力センサ5が所定値以上の圧力を検出することにより、電源装置6の制御装置60の動作により、光源19の発光ダイオード21が消灯される。これにより、氷によって灯体2が破壊される前に、灯体2が破壊されるおそれがあることが認識される。
【0061】
本実施形態によれば、圧力センサ5は、ハンドホール51のゴムトランス52から基台7内に引き込まれた電源ケーブル44と、光源19側に接続された電源線49,49とを電気接続する防水性の接続部材としてのプラグ67(又はレセプタクル45)に結束されているので、圧力センサ5は、灯体2から離れた位置で氷からの圧力を検出することができ、灯体2が破壊されるおそれが高いことを早期の段階で認識させることができるという効果を有する。
【0062】
なお、第1および第2の実施形態は、埋込形照明灯として埋込形航空標識灯1,1Aで説明したが、これに限らず、例えば道路や広場などの地面3に設置される案内灯、看板や標識などを照明する標識灯、あるいは周囲を照明するための設置灯などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1A…埋込形照明灯としての埋込形航空標識灯、 2…灯体、 5…圧力センサ、 6…電源装置、 7…基台、 16…出射口としての光導出溝、 19…光源、 39…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源および上面側に前記光源の放射光が出射される出射口を有する灯体と;
開口部を有する有底の箱状に形成され、地面に埋め込まれているとともに、前記灯体を前記開口部に取り付けている基台と;
この基台内に配設され、基台内に浸入して溜まった水が凝固した氷の膨張圧力を検出する圧力センサと;
この圧力センサが所定値以上の圧力を検出したときに、前記光源の点灯状態を制御する電源装置と;
を具備していることを特徴とする埋込形照明灯。
【請求項2】
前記圧力センサは、前記灯体の下面側に配設されていることを特徴とする請求項1記載の埋込形照明灯。
【請求項3】
前記圧力センサは、外部電源から前記基台内に引き込まれた電源ケーブルと、前記光源側に接続された電源線とを電気接続する防水性の接続部材に結束されていることを特徴とする請求項1記載の埋込形照明灯。
【請求項4】
前記電源装置は、圧力センサが所定値以上の圧力を検出したときに、前記光源を消灯させることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の埋込形照明灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−229576(P2012−229576A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99334(P2011−99334)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】