説明

埋込配管構造、杭構造体および施工方法

【課題】 震災時の給水管及び消火設備等の復旧のために好適に用いられる杭構造体を含む埋込配管構造、該杭構造体および該杭構造体の地盤への施工方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の埋込配管構造200に設けられる杭構造体220は、埋込配管(206,208,210)の近傍に配置され、流体を取り入れる取入口222と、取入口222から流入した流体を導く内部流路と、当該杭構造体の頭部300に設けられ、内部流路を流れる流体を当該杭構造体外に放出する放出口302bと、設定強度以上の振動を感知する感震機構350と、感震機構が振動を感知したことに対応して発光する発光手段350とを含む。埋込配管構造200は、埋込配管を囲繞し、埋込配管から漏出した流体を杭構造体の取入口まで導く外部流路Gを形成する外部流路形成手段224をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設配管の埋込位置を示す杭構造体に関し、より詳細には、震災時の給水設備および消火設備等の復旧のために好適に用いられる杭構造体を含む埋込配管構造、該杭構造体および該杭構造体の地盤への施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模地震などの災害時において、一定の給水を確保することが水道事業者の責務として求められる。特に病院、介護施設などの災害弱者施設、避難所となる施設においては、飲料水だけでなく消火用水、医療用水、生活用水などを確保できる体制が求められる。
【0003】
病院等を含め現在の建物の大部分では、水道局から供給される水道水を受水槽や高置水槽を通じて給水する、いわゆる貯水槽水道が設けられている。この貯水槽水道では、震災時に水道の給水が停止したとしても、貯水量および使用量に応じて数時間から数日間の給水を確保することができ、給水車により直接受水槽給水などを行うことでさらに長期の給水を確保することができる。また、貯水槽水道を通じて給水が可能であることから、建物内の蛇口を使用することが可能である。このような観点から、上記施設における災害時の応急給水としても貯水槽水道を有効に活用することが期待されている。
【0004】
しかしながら、貯水槽水道の貯水槽や配管に漏水があると、水量確保の面で困難となり、貯水槽の保有水が短期間で枯渇したり、給水車で応急給水を行った場合でも給水量が間に合わず断水したりする可能性もある。病院では、常時1日当たり所定量の医療用水を必要とするため、水道局や自衛隊の給水車からの応急給水があっても不足しがちとなるが、漏水を放置してしまうと病院機能の喪失にも繋がりかねない。下記表1は、病院の応急給水対応例を示す。
【0005】
【表1】

【0006】
表1を参照すると、漏水が発生してしまうと、災害発生後短時間のうちに断水に陥り、応急給水の実施にもかかわらず断水が生じ得ることが判る。また、対応例1において1時間当たり少なくとも9トンの応急給水が必要とされたという事実は、それに相当する水量が漏水により失われていることを示している。したがって、給水タンクや貯水槽など配管の漏水箇所の特定を含めた給水設備の復旧が急務であり、災害発生後できる限り早急に対応しなければならない。一方、病院等では、患者対応が優先されるため、漏水確認等が後手になりがちとなる。また、震災が夜間に発生してしまうと、さらに復旧が困難となる。
【0007】
過去の実例を建物内、設備、埋設配管に分類して復旧状況を調査してみると、貯水槽本体配管や建物内での漏水であれば比較的容易に漏水箇所が特定されているものの、地中に埋め込まれている埋設管の漏水位置の特定には多くの時間を要することが判明した。漏水箇所の特定は、震災直後に漏水が確認できない場合には、給水再開後に漏水検査をして行うこととなるが、給水再開後に漏水が判明すると、さらに給水設備の復旧が遅れてしまう。このため給水が停止している間に貯水槽水道の給水設備を復旧することが重要となる。
【0008】
このような背景から埋設配管の位置を迅速に把握し、その漏水箇所を震災後可能な限り早急に発見することを可能とする技術の開発が望まれていた。従来では、埋設配管の埋込位置を標示する埋設標示杭が打ち込まれ、これにより埋設配管の位置をある程度把握することができる(例えば特許文献1)。しかしながら、これら埋設標示杭は、刻印等の標示にすぎず、摩耗等により確認が困難である場合もあり、夜間の発見はさらに困難となる。上述したように、漏水対応は迅速に対応しなければならず、夜明けを待ってから漏水箇所の特定を開始するのでは充分ではない。
【0009】
また、仮に杭の位置を発見することができたとしても、標示杭は単に埋込位置を標示するものにすぎないため、漏水箇所を特定することは困難である。漏水の発生を比較的発見し易い地上漏水であっても、必ずしも漏水箇所の近辺に生じるものではないため、埋込配管の漏水箇所の特定は依然として困難であり、砂地地盤等では、地上漏水が起こりにくいため漏水箇所の特定が極めて困難となる。平時では音聴棒や漏水探知器を用いた音聴調査、相関調査などの漏水検査技術も適用可能であるが、作業者の熟練、専用装置の配備、充分な作業時間を必要とし、災害時の対策としては妥当ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−356726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、埋設配管の埋込位置を夜間においても容易に識別可能とし、かつ、埋込配管の漏水箇所を迅速かつ容易に特定可能な、低コスト、かつメンテナンス容易性が高い技術の開発が求められていた。
【0012】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、埋設配管の埋込位置および漏水箇所を容易かつ迅速に特定可能とし、かつ夜間に発生した震災にも対応可能な杭構造体を含む埋込配管構造、該杭構造体および該杭構造体の地盤への施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、上記課題を解決するために、地中に埋め込まれた埋込配管を標示する杭構造体を含む埋込配管構造を提供する。本発明の埋込配管構造における杭構造体は、給水管等の埋込配管の近傍に配置され、水などの流体を取り入れる取入口と、この杭構造体の頭部に設けられ流体を当該杭構造体外に放出する放出口とを含み構成される。さらに本発明の杭構造体は、設定強度以上の振動を感知する感震機構と、感震機構が振動を感知したことに対応して発光する発光手段とを備える。上記取入口と放出口との間には、杭構造体内部の内部流路が形成される。さらに本発明の埋込配管構造は、上記埋込配管のまわりを囲繞し、埋込配管から漏出した流体を杭構造体の上記取入口まで導く外部流路を形成する外部流路形成手段をさらに含む。
【0014】
また本発明の杭構造体は、取入口と、上記内部流路を構成し取入口から流入する流体を導く脚部流路とが設けられる脚部を含んで構成することができる。また杭構造体は、上記内部流路を構成し、脚部流路と連通する頭部流路と、頭部流路を流れる流体を放出する放出口と、上記感震機構と、上記発光手段とが設けられる頭部を含んで構成することができる。さらに本発明では、上記発光手段は、化学発光材料または電気発光素子を用いることができる。化学発光材料を用いる場合には、杭構造体は、感震機構が地震を感知して作動したことに応答して化学発光材料の溶液の混合を引き起こすよう構成される。電気発光素子を用いる場合には、杭構造体は、感震機構が地震を感知して作動したことに応答して電気発光素子へ電力を供給するための電気接点を接続するよう構成される。また本発明では、杭構造体は、埋込配管の継手部分または曲り部分に好適に設けることができ、建物引込付近給水管、あるいは建物外給水栓の池、散水栓、洗い場近傍の埋込配管に対応して好適に設けることができる。また本発明では、上記脚部は、入れ子状に組合わされて伸縮可能な複数の単位筒体で構成することができる。上記流路形成手段は、埋込配管を囲繞して、杭構造体の頭部までの流体の流路を確保するシート状部材を用いることができる。
【0015】
さらに本発明によれば、地中に埋め込まれた埋込配管を標示する上記杭構造体を設置する施工方法が提供される。本発明の工方法は、設置対象の埋込配管の箇所を露わにする工程と、流路形成手段で埋込配管を囲繞し、埋込配管から漏出した流体を杭構造体の取入口まで導くための外部流路を形成する工程と、埋込配管および外部流路の少なくとも一部を埋め戻す工程と、外部流路と内部流路とが連通するように杭構造体を打ち込んで、外部流路を閉じる工程とを含む。
【発明の効果】
【0016】
上記構成によれば、埋込配管から漏れ出した水などの流体を埋込配管の近くに設けた取入口から取り入れて、頭部の放出口から放出し、かつ所定強度の地震に感応して発光する杭構造体を備えるため、本杭構造体を用いることで、埋設配管の埋込位置を夜間においても容易かつ早期に識別することが可能となり、かつ当該杭構造体の検知範囲において漏水が発生しているか否かを容易に判断することが可能となる。また、これらの判断には、作業者の熟練等を必要せず、漏水箇所の特定が困難な砂地地盤等であっても、好適に漏水の発生を検知することが可能となる。したがって、震災直後からの貯水槽水道の早期復旧に貢献することができ、これにより、震災時の医療用水や生活用水の確保が容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】貯水槽水道が設けられた施設を示す概略図。
【図2】本発明の杭構造体が設置された埋込配管構造を示す側面図。
【図3】本発明の杭構造体が設置された他の埋込配管構造を示す図。
【図4】本発明の杭構造体を設置するための施工方法を、各段階における地盤の構造とともに示す図(1/2)。
【図5】本発明の杭構造体を設置するための施工方法を、各段階における地盤の構造とともに示す図(2/2)。
【図6】本発明の杭構造体の実施形態を示す図。
【図7】本発明の杭構造体の他の実施形態を示す図。
【図8】本発明の感震発光センサの第1の実施形態を示す側面図。
【図9】地震により落球した後の作動後の感震発光センサの状態を示す図。
【図10】本発明の感震発光センサの第2の実施形態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体的な実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、貯水槽水道が設けられた施設の概略を示す図である。図1に示す施設100には、受水槽112が設けられた第1の建物110と、屋上に高置水槽122が設けられた第2の建物120と、屋上の高置水槽122から落差水圧で水道水の供給を受ける冷却塔142および消火用補給水槽144が設けられた第3の建物140とが含まれる。受水槽112は、配水管102から水道メータ104を経由して引き込まれる水道水を貯水する。受水槽112に貯留された水道水は、電動ポンプ114によって、建物120の屋上に揚水されて、屋上に設けられた高置水槽122に貯水される。これ以降は、高置水槽122の高低差による水圧により、建物120および建物140内の給水栓や建物外給水栓に供給される。建物外給水栓には、図示しない池や散水栓130、洗い場131などが含まれる。設備関係としては、消火水槽123と、上述した冷却塔142および消火用補給水槽144が図示されている。なお、水道メータ104以降の給水配管は、一般に施設100の管理者に維持管理の義務が課せられている。
【0020】
図1に示す施設100には、震災時に漏水箇所の特定を容易化するべく本発明の杭構造体220が設けられている。本発明の杭構造体220は、詳細については後述するが、地中に埋め込まれた給水配管の上方に当たる位置の地上に頭部を露出させるように設けられ、地震に応答して発光するとともに、当該給水配管の漏水の認識を容易とするべく給水配管から漏れ出た水を放出するよう構成されている。図1に示す施設100では、配水管102、水道メータ104から受水槽112を接続する給水配管106の埋込区間A、受水槽112の電動ポンプ114から高置水槽122とを接続する給水配管116の埋込区間Bと、高置水槽122から接続する給水配管124の埋込区間Cとにおける漏水が、本発明の杭構造体による好適な検知対象となる。また、災害時の消火用水の確保のため、消火配管126の埋込区間における漏水を検知対象としてもよい。
【0021】
なお、これまでの震災後の漏水状況の調査結果から、特に建物引込付近給水管、建物外給水栓の洗い場131の付近で漏水が起こりやすいことが知られているため、このような埋め込まれた給水配管(以下、地中に埋め込まれた給水配管の箇所を埋込給水配管ということもある。)の箇所に本発明の杭構造体220を設けることが好ましい。
【0022】
なお、図1は、本発明の杭構造体220の好適な設置位置を例示することを目的とするものであり、本発明の杭構造体220が設けられる箇所は、図1に示すものに限定されるものではなく、本発明の杭構造体220は、如何なる施設の埋め込まれた配管に適用することができる。例えば、水道メータ104以降、直接1次給水圧で建物共通として洗い場塔の建物外給水栓に給水配管を設けている場合もあり、このような給水配管の埋込区間も本発明の杭構造体による好適な検知対象となる。
【0023】
また、施設には、中継水槽が設置される場合がある。中継水槽は、建物が高台のため水圧不足が想定される場合に設置され、受水槽から給水を受けて中継水槽(高台)に貯水する。通常、中継水槽は、図1に示す建物110および建物120の間に設けられるが、この場合、受水槽112から中継水槽までの給水配管の埋込区画と、中継水槽から建物120上の高置水槽122までの給水配管の埋込区画とが新たな検知対象となる。また、建物120と建物140が同じ規模の施設では、建物120と建物140との両方に高置水槽が設けられることとなる。この場合、受水槽112の電動ポンプ114から建物120および建物140上の2つの高置水槽までの2つの給水配管の埋込区画とが検知対象となる。
【0024】
図2は、本発明の杭構造体220が設置された埋込配管構造を示す側面図である。図2は、埋込給水配管の直管の継手部分に設けられた杭構造体220を示す。なお、図2は、埋込給水配管に並行かつ地盤に対し垂直な面における側面図を示す。図2に示す埋込配管構造200では、地盤202に掘られた埋設溝に給水配管206,210が設けられ、その埋設溝が良質な埋設土砂204で埋め戻されている。給水配管206および給水配管210は、継手部208により接続され、図2の埋込配管構造200では、この継手部208に対応して、その上方の地上に本発明の杭構造体220が設けられている。必ずしも継手部に対応して杭構造体220を設けることを要さないが、地震後の詳細な調査結果から、このような配管の継手部に多くの漏水が発生していることが判明しているため、本発明の杭構造体220は、埋込給水配管の継手の部分に優先的に設けられることが好ましい。また、給水配管は、特に限定されるものではなく、鋼管、塩化ビニル管、フレキシブル配管などの如何なる配管材料を用いて構成することができる。しかしながら、フレキシブル配管は耐震性に優れるため、本発明の杭構造体220は、既設の鋼管や塩化ビニル管の震災対策として好適に設置することができる。
【0025】
給水配管206,210および継手部208の周囲には、これら給水配管等から漏水が発生した場合に漏れ出た水を地上に導く導水路Gが形成されている。導水路Gは、本実施形態の外部流路を構成する。図2に示す杭構造体220は、その杭本体の先端部分に取水口222が開口し、杭本体内部を通って杭の頭部から漏水が放出される構造とされている。図2に示す場合において導水路Gは、給水配管206,210および継手部208を囲繞し、かつ杭構造体220へ水を導くようにT字状に分岐した、T字管状のシート部材224から構成されている。シート部材224は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)(ABS)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、エチレンビニルアセテート(EVA)ポリエチレンテレフタラート(PET)などのプラスチックシートを用いて構成することができ、特に限定されるものではない。
【0026】
シート部材224は、給水配管206,210および継手部208の周囲を取り巻く部分の両端において締結バンド226a,226bにより締結され、漏水検知の範囲が画定される。また杭構造体220の頭部は、締結バンド228で締結され、上記締結バンド226a,226bとともに、漏れ出た水が杭本体の取水口222を通って杭構造体220の頭部から放出されるように構成されている。上記構成により、漏水の目印となる水の放出が明瞭となり、かつ漏水によって埋込給水配管から失われる水量も低減されることとなる。
【0027】
シート部材224の給水配管周りの部分の側面には、例えばチャック224aが給水配管の延びる方向に沿って設けられ、給水配管等の周囲にシート部材224を設置する際の作業を容易なものとしている。なお図2の図面上では、説明の簡単のため導水路Gは埋設土砂204を排して水路を形成しているように模式的に示されているが、一定の水圧下において水が杭構造体220の取水口222に導かれる程度の流路が確保されればよい。また、所定間隔で杭構造体220を設置し、埋込給水配管の全体をもれなくカバーするように施工することもできるが、費用対効果の観点からは、継手部分などの特に漏水の発生する蓋然性の高い箇所に優先的に設け、他の直管部分については好適に省略することができる。なお、シート部材は、本実施形態の外部流路形成手段を構成する。
【0028】
図3は、本発明の杭構造体220が設置された他の埋込配管構造を示す図である。図3(A)は、給水配管のL字部分に設けられた杭構造体220を示す側面図であり、図3(B)は、給水配管周りを示す平面図である。なお図3(A)では、給水配管216に並行かつ地盤202に対し垂直な面における側面図を示している。図3(A)に示す埋込配管構造では、地盤202に掘られた埋設溝に給水配管214,216が設けられ、その埋設溝が良質な埋設土砂204で埋め戻されている。
【0029】
紙面水平方向に延びる給水配管216と、紙面垂直方向に延びる給水配管214とは、エルボ212によりL字状に接続され、図3の埋込配管構造では、このL字部分に対応して、その地上に本発明の杭構造体220が設けられている。必ずしもL字部分に対応して杭構造体220を設けることは要さないが、地震後の詳細な調査結果から、このような配管のL字部分に多くの漏水が発生していることが判明しているため、本発明の杭構造体220は、上述した直管の継手部分の他、埋込配管のL字のような曲がりを有する部分に優先的に設けられることが好ましい。
【0030】
以下、図4および図5を参照して、本発明の杭構造体220の地盤への施工方法について説明する。図4および図5は、本発明の杭構造体220を設置するための施工方法を、各段階における地盤の構造とともに示す図である。本発明の施工方法では、まず図4(A)に示されるように、地盤202に埋設溝Tを掘削し、給水配管206,210および継手部208を剥き出しにする。本発明の施工方法では、続いて、図4(B)に示されるように、露わになった給水配管等206,208,210を囲繞するように、シート部材224を被せ、チャック224aを締めてT字管形状とし、給水配管206,210に沿ったシート部材224の両端を締結バンド226a,226bで締結する。T字管形状とされたシート部材224の杭構造体側の開口は、地上に顔を出すよう上方に引き出される。
【0031】
本発明の施工方法では、次ぎに、図5(A)に示すように給水配管等206,208,210およびシート部材224の周囲を良質の埋設土砂204で埋め立てる。続いて、図5(B)に示すように、地上に引き出されたシート部材224内にその開口から杭構造体220を挿通させ、埋設土砂204中に杭構造体220を打ち込み、シート部材224の端部を杭構造体220の頭部に締結バンド228を用いて締結し、杭構造体220の頭部の上面を露出させるように埋め立てる。これにより、地震に応答して杭構造体220の頭部上面から光が放射され、給水配管から漏れ出た水が杭構造体220の頭部から放出される本発明の埋込配管構造が構成される。
【0032】
なお、地盤202上にアスファルトやコンクリートを施工する場合には、杭構造体220の頭部上面が露出するようにアスファルトやコンクリートの層を施工すればよい。また、杭構造体の頭部上面に地表面のレベルを一致させることは必ずしも要せず、適宜、杭の頭が突出した状態で設けられても構わない。なお、図4および図5に示す施工方法は、既設の給水配管に対して施工する場合を例示しているが、本発明の施工方法が給水配管の新設の際にも適用可能なことは言うまでもない。
【0033】
以下、本発明の杭構造体220の構造について詳細を説明する。図6は、本発明の杭構造体の実施形態を示す図である。なお、図6は、杭構造体220Aの断面構造を示している。図6に示す杭構造体220Aは、頭部300と、頭部300の底面に固定され、胴部310aおよび先導部310bからなる脚部310とを含んで構成される。頭部300は、本発明の感震発光センサ350を収納する収納部302と、収納部302に螺着する蓋部304とを含む。なお、杭構造体220が風雨に晒されるため、収納部302内に水が侵入しないようパッキンなどの適切なシール材を用いて密閉することが好ましい。蓋部304は、強化ガラスやアクリル等のプラスチック材料などの光透過性の材料を含んで構成され、感震発光センサ350の上面から発光された光を杭構造体外部に透過させる。収納部302および脚部310などは、金属材料や強化プラスチックなど適切な強度が得られる材料を用いて形成される。
【0034】
収納部302の内部には、感震発光センサ350が設けられ、センサ位置を定める固定部材308にて収納部略中央に固定されている。感震発光センサ350は、取り外し可能に固定されており、感震発光センサ350の耐用期間または使用期間の経過後に容易に交換可能とされている。固定部材308は、感震発光センサ350から放出された光を上面に向けて反射し、可能な限り外部に光りを放出させるように、その表面がミラーを構成していることが好ましい。
【0035】
収納部302の側面には放出口302aが突起して設けられ、その開口部には土砂の侵入を防止する手段である網302bを好適に設けることができる。収納部302の底部には脚部内部に繋がる底部開口部302cが開口し、この底部開口部302cから放出口302aまでを連絡する導水路が導水路壁306により形成されている。導水路が本実施形態の頭部流路および内部流路を構成する。一方、脚部310には、その先導部310bに開口312aが設けられ、取水口222が構成されている。頭部300の底部開口部302cと、脚部310の開口312aとの間には、これらを連絡する導水路が導水路壁314により形成されている。この導水路が本実施形態の脚部流路および内部流路を構成する。これにより、開口312aから流入した水が放出口302aから放出されることとなる。
【0036】
図7は、本発明の杭構造体の他の実施形態を示す図である。図7に示す杭構造体220Bは、脚部が伸縮可能に構成されており、幅広い給水配管の埋込深度に対応可能に構成されている。図7に示す杭構造体220Bは、頭部300と、頭部300の底面に固定される基筒部320と、中筒部330と、開口部342aが設けられた先端部340とを含んで構成され、脚部が三段構造とされている。なお、図7には、三段構造の脚部を例示しているが、脚部の段数は特に限定されるものではなく、2段または4段以上としてもよいことは言うまでもない。
【0037】
頭部300は、図6に示した実施形態と同様に、収納部302と、蓋部304とを含む。収納部302の内部には、感震発光センサ350が設けられ、固定部材308により収納部302の略中央に固定されている。収納部302の側面には放出口302aが突起して設けられ、その開口部には土砂の侵入を防止する網302bが設けられている。収納部302の底部には基筒部320の内部に繋がる底部開口部302cが開口し、放出口302aから底部開口部302cまで導水路壁306により導水路が形成されている。
【0038】
基筒部320、中筒部330および先端部340は、入れ子状に組合わされて、伸縮可能に構成されている。より具体的には、基筒部320の頭部反対側の端部開口から中筒部330が挿通され、中筒部330の基筒部反対側の端部開口から先端部340が挿通されている。基筒322の頭部反対側の端部の内周には、ストップカラー324が設けられ、中筒332の基筒部側にはガイド336が設けられている。中筒332の外径は、ストップカラー324の内径と一致し、ガイド336は、中筒332のそれよりも大きな外径を有する部分を備え、その部分と中筒332とに段差が設けられ、この段差でストップカラー324に係止される構造となっている。
【0039】
基筒部320と中筒部330との間にはロック機構338が設けられている。ロック機構338は、中筒332およびガイド336に固定されたバネ台座338aと、ロック片338cと、バネ台座338aに設けられ、このロック片338cを押し出すバネ338bとを含む。中筒332の基筒部側端部近傍には、側面に垂直な方向に開口する開口部332aが設けられ、この開口部332aに、ロック機構338のロック片338cが突出し、中筒部330を伸縮した状態でロックする。ロック片338cに外側から力を加え、ロック片338cを開口部332aに押し戻すと、ロックが解除され、中筒部330が基筒部320に収容される。なお、中筒部330および先端部340の伸縮機構は、同様であるため説明は省略する。
【0040】
図7に示す杭構造体220Bでは、開口部342aから収納部302の底部開口部302cまでの導水路を特に設けていないが、開口部342aから流入した水は、先端部340の先端筒342、中筒332および基筒322の内部空洞を経由して底部開口部302cから収納部302内の導水路に流入し、放出口302aから放出されることとなる。すなわち、先端筒342、中筒332および基筒322の内部空洞が、脚部流路を構成する。
【0041】
なお、上述した説明では、杭構造体の立体形状については明記していないが、例えば、杭構造体220の脚部の立体形状は、円錐体ないし円筒を基調とした形状としてもよく、角錐ないし立方体を基調とした形状としてもよい。同様に杭構造体の頭部も、円筒を基調とした形状としてもよく、立方体を基調とした形状としてもよく、特に限定されるものではない。
【0042】
以下、本発明の感震発光センサ350の構成について説明する。本発明の感震発光センサ350は、設定の強度以上の振動を検知する振動検知手段と、振動が検知された場合に発光する発光手段とを備えている。振動検知手段は、落球式感震器、倒立棒式感震器、水銀式感震器、摩擦式感震器など種々の機械式の感震機構、または光学式振動センサ、渦電流式センサ、容量型センサ等の電気式の感震機構を採用することができる。メンテナンスの容易性、動作の信頼性および確実性、杭構造体220が風雨に晒されるという観点からは、機械式のものが好適に用いられ、落球式のものがより好適に用いられる。
【0043】
発光手段は、電球、LEDなどの電気発光素子、シュウ酸ジフェニルと過酸化水素との混合溶液を用いた化学発光材料などを採用することができる。杭構造体220が風雨に晒されるという観点からは、電気接触等の問題を引き起こしにくい化学発光材料を用いることが好ましい。電気発光素子を用いる場合には、上記機械式または電気式の感震機構とスイッチを連携させ、感震機構の作動に応答して電気発光素子への電気接点を接続する構成とすることができる。また化学発光材料を用いる場合には、上記機械式または電気式の感震機構と、他の機械機構とを連携させて、感震機構の作動に応答して化学発光材料の溶液の混合を引き起こす構成とすることができる。例えば、感震機構の作動によりロック等が外れて化学発光材料に機械的に力が作用し、二重構造の化学発光材料の内部のアンプルを壊して溶液の混合を引き起こす機構とすることができる。
【0044】
以下、図8および図9を参照して、本発明の感震発光センサ350の構成について詳細を説明する。図8は、本発明の感震発光センサの第1の実施形態を示す側面図である。なお、図8および図9に示す感震発光センサ350Aは、落球式の感震機構および化学発光材料を採用する場合の実施形態を示す。図8に示す感震発光センサ350Aは、内部に落球式感震機構を収容するセンサ筐体本体部352と、センサ筐体本体部352の上に重ねて螺着され、化学発光材料を収容するセンサ筐体上段部354と、センサ筐体上段部354に螺着するセンサ筐体蓋部356とを含む。
【0045】
センサ筐体本体部352の底部には、支柱362を略中央に備えるバネ台座360が設けられ、この支柱362を摺動自在に嵌装する孔が設けられたプランジャ364が、この支柱362に取り付けられ、上下に移動可能とされている。プランジャ364は、つば部364aを備え、つば部364aとバネ台座360との間には、プランジャ364の下側部分および支柱362に巻回するように圧縮バネ366が設けられ、この圧縮バネ366によりプランジャ364に対し上向きの力が作用している。
【0046】
センサ筐体本体部352のバネ台座360上には、鋼球370を支持し、所定の曲率半径および面積を有する皿部368aが形成された鋼球台座368がさらに設けられている。皿部368aの曲率半径および広さは、鋼球の質量および目標の振動強度等を勘案し、目標の振動強度に応答して鋼球370が皿部368aから落球するように設計される。また、皿部368aの底には上記プランジャ364を垂直方向に挿通させる貫通孔368bが形成され、さらに鋼球台座368の貫通孔368bの略中央部下側には、上述した圧縮バネ366、プランジャ364の少なくともつば部364a以下の部分を収容するための空間が設けられている。
【0047】
振動を検知する前の作動前の状態では、プランジャ364は、その先端を皿部368a上の鋼球370に当接させ、鋼球370の重みにより皿部368a以下の位置まで押しさげられ、これにより圧縮バネ366に弾性エネルギーが蓄勢されている。地震等に起因する振動を受けて鋼球370が皿部368aから落球すると、プランジャ364は、鋼球370の重みから解放され、圧縮バネ366の伸張とともに上方に押し上げられる。すなわち、バネ台座360、支柱362、プランジャ364、圧縮バネ366、鋼球台座368、鋼球370が本実施形態の感震発光センサ350Aの感震機構を構成している。
【0048】
センサ筐体上段部354は、チューブ状の化学発光材料376を収容し、この化学発光材料376を受ける第1の底部354aを備える。センサ筐体上段部354は、さらに、その第1の底部354aの略中央を通りくぼみまたは溝が設けられ、略中央に開口部354cが設けられる第2の底部354bが形成されている。第2の底部354bを含むくぼみには、台形ないし三角形状の突出部を有する下側押板372が落とし込まれている。なお、台形ないし三角形状の斜面が切り出される方向は、図8に示すように、チューブ状の化学発光材料376の長手方向と垂直な方向である。このくぼみに落とし込まれた下側押板372は、地震等により鋼球370が落球し感震機構が作動状態となった際に、上記開口部354cを介してプランジャ364からの力を受け、くぼみまたは溝の側面に沿って押し上げられる。そして、下側押板372の突出部は、化学発光材料376の中央部分に当接し、プランジャ364から作用する力を受けて化学発光材料376に伝達する。
【0049】
化学発光材料376上には、略中央を通りくぼみまたは溝を有する上側押板374が配置されている。この上側押板374は、上記化学発光材料376の両端側に当接し、対向する第1の底部354aとともに化学発光材料376の両端を挟持する。上記上側押板374の略中央を通って設けられたくぼみまたは溝は、化学発光材料376が下側押板372により押し上げられた際に発生する変形を受容する。
【0050】
図8に示す化学発光材料376は、いわゆるケミカルライトとして構成され、蛍光溶液がガラス製のアンプルに封入され、そのアンプルとともに酸化溶液が樹脂製のチューブに挿入された二重構造を有する。化学発光材料376に力が作用して変形し、内部のアンプルが破壊されると、アンプル内の蛍光溶液とチューブ内の酸化溶液とが混合し、蛍光を発する。アンプルの強度は、鋼球370の質量や圧縮バネ366のバネ定数や他の部材の質量等を考慮し、圧縮バネ366に蓄勢された弾性エネルギーにより充分に破壊される程度に調整されていればよい。また、化学発光材料376は、夜間にわたって発光することが好ましいため、8〜10時間程度の発光時間が得られるよう蛍光材料や構造が設計されることが好ましい。また、上側押板374およびセンサ筐体蓋部356は、化学発光材料376が発する蛍光が外部に放射されるように、少なくとも化学発光材料376に対応する部分がアクリルや強化ガラス等の光透過性の材料で構成されている。
【0051】
図9は、地震により落球した後の作動後の感震発光センサ350の状態を示す図である。図9に示すように、地震等に起因する振動を受けて鋼球370が皿部368aから落球すると、プランジャ364が鋼球370の重みから解放され、圧縮バネ366の伸張とともに上方に押し上げられる。そして、プランジャ364が下側押板372に当接し、下側押板372を押し上げ、これにより上側押板374と下側押板372とに挟み込まれていた化学発光材料は、その両端部の挟持と下側押板372の台形形状の突出部の押し出しにより曲げ変形を受け、上記上側押板374の略中央を通り設けられたくぼみまたは溝がこの曲げ変形を受容する。この曲げ変形により内部のアンプルが破壊され、発光を開始する。
【0052】
以上説明した化学発光材料および落球式感震機構を採用する感震発光センサ350Aによれば、目標強度を越えた振動が発生すると、その振動を検知し、機械的な機構により溶液の混合が起こり化学発光反応が開始される。感震発光センサ350Aの上面から光が放射され、図6または図7に示す杭構造体の頭部300の上面から光が放射されることとなる。図8および図9に示す感震発光センサ350Aは、機械式感震機構が構成され、化学発光を用いて発光手段が構成されているため、上述したようにメンテナンスの容易性、動作の信頼性および確実性、杭構造体220が風雨に晒されるという観点から好適に用いることができる。なお、図示していないが、センサの運搬および設置の容易のため、鋼球370の位置の固定と固定解除を行うロック機構を適宜備えることができる。
【0053】
以下、図10を参照して、本発明の感震発光センサの他の構成について詳細を説明する。図10は、本発明の感震発光センサの第2の実施形態を示す概略図である。図10(A)は、作動前を示し、図10(B)は、地震等が発生した作動後を示す。なお、図10に示す感震発光センサ350Bは、落球式の感震機構とスイッチを連携させ、感震機構の作動に応答して電気発光素子への電気接点を接続する構成とされている場合の実施形態を示す。
【0054】
図10(A)に示す感震発光センサ350Bは、鋼球380と、内部に鋼球380を収容し、所定のスロープが形成された容器382と、鋼球380の位置に対応して動作する第1の動作板384と、第2の動作板386と、電気接点388と、電気発光素子394とを含んで構成される。第1の動作板384および第2の動作板386には、それぞれバネ390およびバネ392が設けられ、これらにより押し上げる力が作用している。第2の動作板386および電気接点388は、スイッチを構成し、地震発生前の段階では、鋼球380が第1の動作板384を押し下げ、さらに第1の動作板384が第2の動作板386を押し下げているため、スイッチは切断された状態となっている。
【0055】
所定強度の地震が発生し、鋼球380が容器382内を転がって移動すると、図10(B)に示されるように、鋼球380の重みで圧縮されていたバネ390が伸びて、第1の動作板384を押し上げる。また第2の動作板386にかかる第1の動作板384の押さえが緩和されるため、バネ392が伸びて第2の動作板386も押し上げられ、第2の動作板386および電気接点388が接触してスイッチが切り替わる。これにより、電気発光素子394に電気が通電して発光する。
【0056】
なお、図10に示す感震発光センサ350Bの各要素は、感震発光センサの第1の実施形態と同様に、適切なセンサ筐体内に収容される。この場合、杭構造体が風雨に晒されるという観点からは、電気的接触等の問題の問題を引き起こさないよう、筐体内部が適切なシール材料で密閉されていることが好ましい。
【0057】
以上説明したように、上記実施形態によれば、埋設配管の埋込位置および漏水箇所を容易かつ迅速に特定可能とし、かつ夜間に発生した震災にも対応可能な杭構造体を含む埋込配管構造、該杭構造体および該杭構造体の地盤への施工方法を提供することができる。
【0058】
本発明の埋込配管構造は、所定強度の地震に感応して発光し、埋込配管から漏れ出した水などの流体を頭部から放出する杭構造体を備えるため、埋設配管の埋込位置を夜間であっても容易かつ早期に識別可能とされ、かつ当該杭構造体の検知範囲において漏水が発生しているか否かを容易に判断することが可能とされている。また、これらの判断には、作業者の熟練等を必要とせず、漏水箇所の特定が困難な砂地地盤等であっても好適に漏水の発生を検知することが可能となる。したがって、震災直後からの貯水槽水道の早期復旧に貢献することができる。これにより、震災時の医療用水や生活用水の確保が容易なものとなる。
【0059】
なお、上述までは、水道水の給水配管に杭構造体を適用する場合の実施形態について説明してきたが、本発明の漏洩の検知対象の流体は水道水に限定されるものではない。例えば、プロパンガスや都市ガスなどのガス配管に適用することで、ガス配管から漏れ出たガスを地表近傍まで導き、地上でガスセンサ等を用いて容易にガスの漏洩箇所を把握できるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
上述したように本発明の埋込配管構造は、埋込配管の位置および漏水箇所の識別性を向上し、地震等の災害時の給水配管の被害状況を迅速に把握することが可能となるため、病院等の災害弱者施設や避難所等の施設の震災対策として施工することができる。
【0061】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
100…施設、102…配水管、104…水道メータ、106,116,124…給水配管、110,120,140…建物、112…受水槽、114…電動ポンプ、122…高置水槽、123…消火水槽、126…消火配管、130…散水栓、131…洗い場、142…冷却塔、144…消火用補給水槽、200…埋込配管構造、202…地盤、204…埋設土砂、206,210,214,216…給水配管、208…継手部、212…エルボ、220…杭構造体、222…取水口、224…シート部材、224a…チャック、226,228…締結バンド、300…頭部、302…収納部、302a…放出口、304…蓋部、306…導水路壁、308…固定部材、310…脚部、314…導水路壁、320…基筒部、322…基筒、324…ストップカラー、330…中筒部、332…中筒、336,344…ガイド、338,346…ロック機構、340…先端部、342…先端筒、350…感震発光センサ、352…センサ筐体本体部、354…センサ筐体上段部、356…センサ筐体蓋部、360…バネ台座、362…支柱、364…プランジャ、366…圧縮バネ、368…鋼球台座、370…鋼球、372…下側押板、374…上側押板、376…化学発光材料、380…鋼球、382…容器、384…動作板、386…動作板、388…電気接点、390…ばね、392…ばね、394…電気発光素子、A,B,C…埋込区間、G…導水路、T…埋設溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋め込まれた埋込配管を標示する杭構造体を含む埋込配管構造であって、
前記杭構造体は、
前記埋込配管の近傍に配置され、流体を取り入れる取入口と、
前記取入口から流入した前記流体を導く内部流路と、
当該杭構造体の頭部に設けられ、前記内部流路を流れる前記流体を当該杭構造体外に放出する放出口と、
設定強度以上の振動を感知する感震機構と、
前記感震機構が振動を感知したことに対応して発光する発光手段と
を含み、
前記埋込配管構造は、前記埋込配管を囲繞し、前記埋込配管から漏出した流体を前記杭構造体の前記取入口まで導く外部流路を形成する外部流路形成手段をさらに含む、埋込配管構造。
【請求項2】
前記杭構造体は、
前記取入口と、前記内部流路を構成し、前記取入口から流入する前記流体を導く脚部流路とが設けられる脚部、および
前記内部流路を構成し、前記脚部流路と連通する頭部流路と、前記頭部流路を流れる前記流体を放出する前記放出口と、前記感震機構および前記発光手段からなる取り外し可能な感震発光センサとが設けられる前記頭部を含む、請求項1に記載の埋込配管構造。
【請求項3】
前記発光手段は、化学発光材料であり、前記杭構造体は、前記感震機構が地震を感知して作動したことに応答して前記化学発光材料の溶液の混合を引き起こすよう構成されている、請求項1または2に記載の埋込配管構造。
【請求項4】
前記発光手段は、電気発光素子であり、前記杭構造体は、前記感震機構が地震を感知して作動したことに応答して、前記電気発光素子へ電力を供給するための電気接点を接続するよう構成されている、請求項1または2に記載の埋込配管構造。
【請求項5】
前記杭構造体が、前記埋込配管の継手部分または曲り部分に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の埋込配管構造。
【請求項6】
前記杭構造体が、建物引込付近給水管または建物外給水栓近傍の埋込配管に対応して設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の埋込配管構造。
【請求項7】
地中に埋め込まれた埋込配管を標示するための杭構造体であって、
地中に埋め込まれる当該杭構造体の脚部に設けられ、流体を取り入れる取入口と、
前記取入口から流入した前記流体を導く内部流路と、
当該杭構造体の頭部に設けられ、前記内部流路を流れる前記流体を当該杭構造体外に放出する放出口と、
設定強度以上の振動を感知する感震機構と、
前記感震機構が振動を感知したことに対応して発光する発光手段と
を含む、杭構造体。
【請求項8】
前記取入口と、前記内部流路を構成し、前記取入口から流入する前記流体を導く脚部流路とが設けられる脚部、および
前記内部流路を構成し、前記脚部流路と連通する頭部流路と、前記頭部流路を流れる前記流体を放出する前記放出口と、前記感震機構および前記発光手段からなる取り外し可能な感震発光センサとが設けられる前記頭部を含む、請求項7に記載の杭構造体。
【請求項9】
地中に埋め込まれた埋込配管を標示する杭構造体を設置する施工方法あって、前記杭構造体は、当該杭構造体の脚部に設けられ、流体を取り入れる取入口と、前記取入口から流入した前記流体を導く内部流路と、当該杭構造体の頭部に設けられ、前記内部流路を流れる前記流体を当該杭構造体外に放出する放出口と、設定強度以上の振動を感知する感震機構と、前記感震機構が振動を感知したことに対応して発光する発光手段とを含み、前記施工方法は、
設置対象の前記埋込配管の箇所を露わにする工程と、
流路形成手段で前記埋込配管を囲繞し、前記埋込配管から漏出した流体を前記杭構造体の前記取入口まで導くための外部流路を形成する工程と、
前記埋込配管および前記外部流路の少なくとも一部を埋め戻す工程と、
前記外部流路と内部流路とが連通するように前記杭構造体を打ち込む工程と
を含む、施工方法。
【請求項10】
地中に埋め込まれた埋込配管を標示する杭構造体を含む埋込配管構造であって、
前記杭構造体は、
前記埋込配管の近傍に配置され、流体を取り入れる取入口と、前記取入口から流入する前記流体を導く脚部流路とが設けられる脚部、および
前記脚部流路と連通する頭部流路と、前記頭部流路を流れる前記流体を当該杭構造体外に放出する放出口と、機械式の感震機構および発光手段を含む取り外し可能な感震発光センサとが設けられる頭部、
を含み、
前記感震機構は、設定強度以上の振動を感知して作動し、機械的な動作により前記発光手段と連携して該発光手段を発光させることを特徴とし、
前記埋込配管構造は、前記埋込配管を囲繞し、前記埋込配管から漏出した流体を前記杭構造体の前記取入口まで導く外部流路を形成する外部流路形成手段をさらに含む、埋込配管構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−74940(P2011−74940A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224242(P2009−224242)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(509271200)
【Fターム(参考)】