基地局、干渉制御方法及び無線通信システム
【課題】無線通信システムにおいて、セル間の干渉を回避する。
【解決手段】使用する無線リソースを時間で分割し、セル間で時多重を行う事によりセル間の干渉を回避する。送信タイミングが一定の周期となるように、時多重のパターンを作る。基地局は自セルで用いる送信タイミングを、上り干渉電力の測定を基準に定める。例えば測定された上り干渉電力の小さい無線リソース601を上りの時多重パターンとして選択する。更に、そのタイミングでHARQの応答を返す様に下りの時多重パターンを割り当てる。トラフィックが多い場合には、追加で時多重パターンを割り当ててもよい。トラフィック量の判定には、例えば送信待ちバッファ量、端末接続数、上位装置とのコネクション数等を用いることができる。割当の契機は、初期設定時や、下り通信品質のレポート情報の収集、上り干渉情報の周期的な監視等によって実現できるチャネルの変動検出時等がある。
【解決手段】使用する無線リソースを時間で分割し、セル間で時多重を行う事によりセル間の干渉を回避する。送信タイミングが一定の周期となるように、時多重のパターンを作る。基地局は自セルで用いる送信タイミングを、上り干渉電力の測定を基準に定める。例えば測定された上り干渉電力の小さい無線リソース601を上りの時多重パターンとして選択する。更に、そのタイミングでHARQの応答を返す様に下りの時多重パターンを割り当てる。トラフィックが多い場合には、追加で時多重パターンを割り当ててもよい。トラフィック量の判定には、例えば送信待ちバッファ量、端末接続数、上位装置とのコネクション数等を用いることができる。割当の契機は、初期設定時や、下り通信品質のレポート情報の収集、上り干渉情報の周期的な監視等によって実現できるチャネルの変動検出時等がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、干渉制御方法及び無線通信システムに係り、セルラ無線通信システムの自律的な干渉分散制御、特に、直交周波数分割多重(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式を採用したセルラ無線通信システムにおいて、複数の小型基地局を配置した際の干渉制御を行う基地局、干渉制御方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OFDMA方式を採用したFDD(Frequency Division Duplex)セルラ無線通信システムの開発が盛んに行われている。日本では、OFDMAを採用したセルラ無線通信システムは、第3.9世代のシステムと呼称されている。代表規格として、LTE(Long Term Evolution)やUMB(Ultra Mobile Broadband)があり、これらはそれぞれ、3GPP(3rd Generation Partnership Project)や3GPP2という企業団体により国際的な標準規格化が行われている。
【0003】
無線通信システムでは、基地局とコアネットワークで構成される無線ネットワークに端末がアクセスする。基地局がカバーするエリアをセルと呼び、そのセル半径の大きさなどによりマクロセル、ピコセル、フェムトセルなどと呼ばれることがある。基本的な通信手段としては、基地局へ所属する端末が、基地局に対して要求を出すことで、コアネットワークを通して、同じ基地局、あるいは別の基地局に所属する端末との通話を実現する。データ通信も同様に基地局に対して端末が要求を出すことで実現する。
【0004】
OFDMAを用いた無線通信システムは、隣接セルからの電波干渉によって通信品質が劣化する事が知られている。特にセルエッジにおいては、隣接セルからの干渉電力レベルと自セルからの所望信号レベルが拮抗した値になり、例えばチャネル品質を現す指標のひとつであるSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)の劣化という形で顕著に現れる。セルエッジに限らず、システム全体としての容量を向上させるためには、隣接セル間の干渉を低減する事が重要である。このため、隣接セル間同士で、高電力で無線信号を送信できる周波数帯を分けて、その周波数帯を使用してセルエッジ(セルの端)をカバーする技術であるFFR(Fractional Frequency Reuse)の採用が効果的で有る事が知られている。FFRを適用すると、セルセンタ端末とセルエッジ端末を区別して、無線リソースの割当と電力を調整する。FFRを用いない場合、全帯域(f0)で等電力送信し、セルセンタ(基地局近傍)とセルエッジで分け隔てなくスケジューリングできるが、セルエッジにおいて隣接セル間で大きな干渉が発生してしまう。そこで、周波数帯域(f0)を分割(f1、f2、f3)し、それぞれの周波数帯で出力できる電力を調節し、セルごとにその組合せ(f1、f2、f3)を適切に選択する事により、隣接セル間の干渉を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−65738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
OFDMA方式を採用したマクロセル基地局においては、FFRを用いてセル間干渉の発生を抑圧していた。しかし、例えばフェムトセル基地局やピコセル基地局などの、マクロセル基地局と比べてセルが比較的小さい(電波到達範囲が比較的狭い)基地局で、マクロセルで行われるFFRをそのまま適用するのは困難が伴う。特に、フェムトセルにはFFRに必須となる隣接セルの周波数割当情報を取得するためのインタフェースが存在しない。よって、隣接セルの周波数割当情報に応じて、自セルの割当を動的に変更して干渉を避ける事は困難である。また、このような小型の基地局はマクロセル基地局に比べて高密度で配置することも想定されており、周波数割当情報を取得できたとしても制御が非常に困難である。またセル半径がもともと小さいことから、セルセンタとセルエッジの端末を区別するFFRを実現することは効率的でない。
【0007】
そこで、隣接セルと連携して、時分割多重によってセル間干渉をする上での課題を検討する。隣接セルが、ある時多重パターンで割当を行っていると、自セルはその時多重パターンを避けてリソース割当を実施する。例えば、特許文献1では、NeighborからのDownlink時多重パターンを基地局が検出して、Downlinkの時多重パターンを変更する技術が開示されている。ただし、この技術は、Downlinkの時多重パターンを基地局が測定することから、基地局が下り受信回路を持つ必要があるというオーバーヘッドがある。また、この技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)システムをターゲットとしていることから、Uplinkの時多重パターンは、端末が決定している。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、セル間の干渉を回避する基地局、干渉制御方法及び無線通信システムを提供することを目的とする。また、本発明は、干渉の回避を図るための時多重パターンの選択手法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、基地局が下り受信回路を用いずに、干渉の回避を図るルールで時多重パターンを選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、例えば、使用する無線リソースを時間で分割し、基地局またはセル間で時多重を行う事により、セル間の干渉を回避する。送信タイミングが一定の周期となるように、時多重のパターンを作る。基地局は自セルで用いる送信タイミングを、上り干渉電力の測定結果を基準に定める。
【0010】
このように基地局間で時多重を行う事により、セル間の干渉を回避する。本発明の基地局は、上り干渉電力を基準に、上り及び下りの時多重パターンを基地局が両方を決定する。基地局には、上りの受信機能は当然ついているので、上りの干渉電力を基準にすることで、下り受信回路を持たなくて良いというメリットを有する。また、OFDMAシステムでは、もともとセル間で時分割多重するルールを持っていない。よって、セル間で守るべき時間に関するルールを設定する必要がある。本発明では、使用する無線リソースの時分割のため、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)のRTT(Round Trip Time)の固定化により、時多重のパターンを生成して、セル間の時多重を行う。
【0011】
基地局は、上り干渉電力の測定結果に従い、干渉電力の小さい無線リソースを上りの時多重パターンとして選択する。更に、そのタイミングでHARQの応答を返す様に下りの時多重パターンを割り当てる。トラフィックが多い場合には、追加で時多重パターンを割り当てる。トラフィック量の判定には、送信待ちバッファ量や、端末接続数、上位装置とのコネクション数などを用いるとよい。
【0012】
制御のトリガとしては、初期設定やチャネル及びトラフィックの変動の検出時などがある。チャネルの変動検出方法は、下り通信品質のレポート情報の収集と、上り干渉情報の周期的な監視によって実現できる。トラフィックの変動の検出方法については、定期的に端末数や、バッファ量をチェックすることで実現できる。
例えば、特許文献1に示される技術に対して、本発明は、Uplink(上り)の干渉電力を測定すればよいため、基地局が下り受信回路を持つ必要がない。また、本発明は、基地局側がUplinkの時多重パターンを決定する機能を持っているシステムを対象としている。また、制御チャネルの周波数がバッティングしてしまう課題については、従来技術では対応できない。本発明の手法を用いると、データチャネルだけでなく、制御チャネルも干渉制御の対象に含めることが可能である。
【0013】
本発明の第1の解決手段によると、
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける前記基地局であって、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定する干渉測定部と、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから予め定められたタイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとする時多重パターン決定部と、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する通信処理部と
を備える前記基地局が提供される。
本発明の第2の解決手段によると、
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける干渉制御方法であって、
各基地局について、前記端末から前記基地局への上り方向の時多重パターンのタイミングと、前記基地局から前記端末への下り方向の時多重パターンのタイミングとが予め定められたタイミングだけシフトする関係に定められ、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定し、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから所定タイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとし、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する前記干渉制御方法が提供される。
【0014】
また、他の解決手段によると、
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、端末と通信する複数の基地局
を備え、
各基地局において、前記端末から前記基地局への上り方向の時多重パターンのタイミングと、前記基地局から前記端末への下り方向の時多重パターンのタイミングとが予め定められたタイミングだけシフトする関係に定められ、
前記複数の基地局はそれぞれ、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定する干渉測定部と、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから予め定められたタイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとする時多重パターン決定部と、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する通信処理部と
を有する無線通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、セル間の干渉を回避する基地局、干渉制御方法及び無線通信システムを提供することができる。また、本発明によると、干渉の回避を図るための時多重パターンの選択手法を提供することができる。さらに、本発明によると、基地局が下り受信回路を用いずに、干渉の回避を図るルールで時多重パターンを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】セルラ無線通信システムを説明する図。
【図2】本実施の形態におけるフェムトセル基地局の機能ブロック図を説明する図。
【図3】本実施の形態におけるフェムトセル基地局のハードウェア構成を説明する図。
【図4】本実施の形態における初期状態からのフローチャート。
【図5】時多重パターンを説明する図。
【図6】上り時多重パターンの選択を説明する図。
【図7】時多重パターンの重複を回避する選択方法を説明する図。
【図8】下り時多重パターンの選択を説明する図。
【図9】本実施の形態における初期状態からの動作シーケンス図。
【図10】本実施の形態における定常状態からのフローチャート。
【図11】本実施の形態における定常状態から、下り通信品質でトリガをかける動作シーケンス図。
【図12】本実施の形態における定常状態から、上り通信品質でトリガをかける動作シーケンス図。
【図13】追加時多重パターンの送信電力を抑圧する場合のフローチャート(初期)。
【図14】追加時多重パターンの送信電力を抑圧する場合のフローチャート(定常)。
【図15】本実施の形態における時多重パターンを行わない場合に起きる動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施する為の形態について、いくつかの実施の形態を挙げて説明する。これらの実施の形態は、個別で実施しても良いが、組合せて実施しても良い。以下の説明において、図中で同じ符号番号がついたものは、同様の動作を行うため、説明を省略する。
1.第一の実施の形態
図1は、セルラ無線通信システムの構成及び基地局配置の例を示す図である。
セルラ無線通信システムは、例えば、複数の基地局1201を備える。基地局1201は、自身のセル内の端末1203と無線で通信する。基地局1201は、バックホール回線を通して、コアネットワーク1202に接続する。
【0018】
図1(b)は、本実施の形態における基地局配置の概念図である。マクロセル基地局と比較して、フェムトセル、ピコセル等の基地局は、高密度に配置される。これらの基地局がカバーするエリアは、マクロセルがカバーするエリアと重なっていても良い。なお、本実施の形態は、フェムトセル、ピコセル等の基地局に限らず適宜の基地局に適用できる。
なお、以下の説明において、複数の基地局のうち注目する基地局を基地局1201−H、その基地局に所属して通信する端末(サービング端末)を端末1203−S、及び、その基地局1201−Hと隣接する基地局に所属してその隣接基地局と通信する端末(又はサービング端末以外の端末)を端末1203−Nと記す。
【0019】
図2に、本実施の形態の基地局の機能ブロック図に示す。
Transmitter(送信機)411は、基地局1201−Hが、端末1203に対して下り信号を送信するブロックである。下り信号をベースバンド信号からRF(Radio Frequency)信号へ変換する処理も含んでもよい。電波を送信するための送信アンテナも含む。
【0020】
Receiver(受信機)412は、基地局1201−Hが、端末1203−S及び端末1203−Nからの上り信号を受信するブロックである。上り信号をRF信号からベースバンド信号へ変換する処理を含んでも良い。電波を受信する受信アンテナも含む。送受信アンテナは、共用してよい。本実施の形態では、上り干渉電力を測定することを前提としているため、本機能は上り干渉電力の測定機能(干渉測定部)4121を有する。
【0021】
Network I/F(ネットワークインタフェース)413は、基地局1201−Hが、バックホール回線を通して、コアネットワーク1202に接続するためのインタフェースである。コアネットワーク1202に接続する事により、基地局間の情報交換や、モビリティ管理、OAM装置との交信、端末1203が望むデータの送受、通話などの、移動体通信の機能を提供できる。
【0022】
通信処理部418は、L1 Processing Unit(レイヤ1処理部)414と、L2/L3 Processing Unit(レイヤ2、3処理部)415を有し、決定された上り及び下り時多重パターンを用いて端末1203と通信する。
L1 Processing Unit414は、基地局1201−Hが、物理層の信号処理を実施する部位である。送信側の主な処理内容には、例えば適応変調、誤り訂正符号化、レイヤマッピングやPrecodingと呼ばれるMIMO(Multiple Input Multiple Output)の信号処理、及び、FFT(Fast Fourier Transform)がある。受信側の主な処理内容は、例えば送信側で施した変調・符号処理を解くための復調・復号処理である。端末1203に対して送信するデータは、L2/L3 Processing Unit415から取得し、端末1203から取得したデータは、L2/L3 Processing Unit415へ送る。
L2/L3 Processing Unit415は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の管理や、割当リソースを決定するスケジューリング処理、パケット加工、無線回線の秘匿化、端末へのシグナリング情報の生成などの機能に加え、セル間干渉制御など、無線リソース管理の機能も有するブロックである。また、時多重パターン決定部417から、スケジューリング処理に関する時間的制約を受けて、無線リソース割り当てを実質的に操作する部位である。
【0023】
統計情報取得部416は、本実施の形態の処理を実施するために必要な情報を取得するため、統計処理を実施するブロックである。具体的には、時多重パターンごとの上り干渉電力測定結果をメモリ(Measured uplink Iot Table)に格納し、一定時間平均する処理を実施する部位である。
時多重パターン決定部417は、本実施の形態の特徴である、時多重パターンの割り当てを決定する部位である。割り当て結果のパターンはメモリに保持しておく(Assign slot table)。基地局1201−Hが、割り当て決定処理を実施するときに、上り干渉電力測定結果と照らし合わせて使用する。
【0024】
図3に、本実施の形態における基地局1201−Hのハードウェア構成を示す。
メモリ部401には、例えば、統計情報取得部416で用いる上り干渉電力測定結果を保持しておくためのMeasured Uplink IoT Table(上り干渉テーブル)4011と、時多重パターンの割当結果を記憶するAssign slot Table(割当スロットテーブル、割当パターンテーブル)4012と、下りの品質情報を記憶するDownlink quality table(下り品質テーブル)4013とを有する。
【0025】
また、CPU/DSP部(処理部)402は、本実施の形態の一連の手続きP1001〜P1006を実行するプログラムを読み出し、実行する。例えば、Determination of time slot pattern with/without power control(タイムスロットの決定処理)、Addition of time slot pattern(タイムスロットの追加処理)を実行する。各プログラムは、例えばメモリ部401に格納され、CPU/DSP部402が読み出しても良いし、CPU/DSP部402内部のメモリに格納されていてもよい。
【0026】
Logic Circuit(論理回路)404は、CPU/DSP部402が実行するプログラムの機能をサポートする。たとえば、L1 Processing Unit414などは、処理高速化のためアクセラレータを利用するとよい。
CPU/DSP部402、Logic Circuit404の処理により、図2に示す各機能が実現される。
I/F部(インタフェース部)403は、無線のアンテナとのインタフェースや、バックホール回線とのインタフェースなどの総称である。
【0027】
図4に、本実施の形態における初期状態からのフローチャートを示す。第一の実施の形態の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。図4のフローチャートは、例えば電源立ち上げやリセットなどの初期化イベント後、基地局1201−H(例えばフェムトセル基地局)が行う動作について示している。
Initial Setup(P1001)では、基地局(1201−H)は、システムパラメータの初期値を設定する。設定方法は、プリインストールデータの読み込みであってもよいし、管理装置からのコンフィグパラメータのダウンロードであっても良い。設定内容は、例えばRRM(Radio Resource Management)と、外部装置とのインタフェースのためのパラメータである。
【0028】
初期設定が終了すると、基地局1201−H(例えば干渉制御部4121)は、隣接基地局に所属する端末からの上り干渉電力を測定する(P1002)。ここでは上り干渉電力を測定するため、基地局1201−Hは、自基地局と通信するサービング端末(1203−S)の上り通信を止めておく。少なくとも測定対象の無線リソース(周波数、時間で分割した単位)はとめておくと良いが、それ以外の無線リソースでは通信を継続しても良い。この際、後のステップP1003で使用できるように、時多重パターン(time slot pattern)ごとに干渉電力を測定しておくと良い。測定された干渉電力は、時多重パターン毎に上り干渉テーブル4011に記憶される。
【0029】
図5に時多重パターンの例を示す。同じ数字がついている送信タイミングを用いることから、時多重パターン(time slot pattern)と呼称している。例えば、端末から基地局への上り方向及び基地局から端末への下りの双方について、時分割された複数の時多重パターンのひとつ又は複数を周期的に用いて、複数の基地局と端末とが通信する。図示の例では、各時多重パターン#1〜#8が繰り返し用いられる。時多重パターンの干渉電力を測定する際は、Timerを設けて一定時間、時多重パターンごとに電力の平均化処理を実施する。平均方法は、忘却平均であっても加算平均であってもかまわない。平均化方法、忘却係数、Timerの時間などはシステムパラメータとして保持しておいてもよいし、プリインストールしておいても良い。Timerの時間は少なくとも時多重パターンの周期よりも長く、図5の例では時多重パターン#1〜#8の干渉電力が測定されるように設定される。上述のように、平均化処理も行う場合は、繰り返し送信される時多重パターンについて干渉電力が複数回測定されるように設定される。
【0030】
上り干渉電力の測定が終了すると、基地局1201−H(例えば時多重パターン決定部417)は、上り通信に使用する時多重パターンを決定する処理を実施する(P1003)。基地局1201−Hは、干渉を測定した結果に従い、隣接基地局所属端末(1203−N)からの干渉電力が小さい時多重パターンを選択し、自セルが使用する上り時多重パターンとする。図6に時多重パターンと測定された上り干渉電力の例を示す。たとえば、図6の場合、基地局1201−Hは、最も干渉電力が小さい時多重パターン601を選択してもよいし、干渉電力が一定のレベル(閾値)以下であった時多重パターンのひとつ(例えば時多重パターン602)を選択しても良い。最小の干渉電力に限定すると、図7に示すように、対象のリソースが一つだけのときに、同時に2つの基地局1201−Hが時多重パターンのリソース割当を始めると、両方が干渉の小さいリソース601を選択し、重複する場合がある。よって、一定レベル以下の干渉の時多重パターンも選択肢に含めてもよい。なお、初期設定で動作する時は、干渉が最小となる時多重パターンを選択し、後述する再割当で動作する時は、一定レベル以下の干渉の時多重パターンからランダム選択するというルールで運用しても良い。
【0031】
上りの送信タイミング(上り通信で用いる時多重パターン)が決まると、基地局1201−Hは、そのタイミングで上りの制御チャネルとデータチャネルの両方を集中的に配置する。たとえば、LTEにおいてはPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)とPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を集中的に割り当ててもよい。
【0032】
基地局1201−H(例えば時多重パターン決定部417)は、上り時多重パターンが決まると、次に下り時多重パターンを決める(P1004)。無線区間の通信では、HARQと呼ばれる伝送方法(再送制御)が一般的に用いられる。これは送信側からデータ信号を送信すると、受信側からACK信号が返ってくるまで、再送を行う方式である。受信側は信号の復号に失敗するとNAK信号を返し、成功するとACK信号を返す。信号を送信してから、判定信号が帰ってくるまでの時間をRTT(Round Trip Time)と呼ぶ。
【0033】
下りのデータ送信に対するACK/NAK判定情報を含む上り制御チャネルは、下りの送信することを想定すると、下りの時多重パターンを連動して定めることが出来る。たとえば、E−UTRAでは下りの送信から4サブフレーム(4ms)後に、下りの送信に対する応答を返すことが規定されている。つまり、図8に示すように、上り送信タイミング(例えば図中の601)を決定すれば、4サブフレーム巻き戻すことで下り送信タイミングもパターン化することが出来る。ここで、下りのデータ送信タイミング、つまりHARQのRTTを固定すると、上りと下り両方の送信タイミングを関連付けた上で固定することが可能となる。勿論、上述の4サブフレームは例であり、下りのデータ送信タイミングと、それに対するACK/NAK判定情報を含む上り制御チャネルの送信タイミングを対応させる時間的な決まりがあれば良い。つまり、基地局1201−Hは、選択された上りの時多重パターンの送信タイミングから、予め定められたタイミング前の下りの時多重パターンを選択し、自セルが使用する下り時多重パターンとする。
【0034】
下りの時多重パターンが決まると、そのタイミングで下りの制御チャネル、データチャネルの両方を集中的に割り当てると良い。非選択の時多重パターンでは、参照信号と報知情報を含む信号は送信してもよい。これらを送信しておくことで、システムに影響を与えずに本技術での目的を達成できる。たとえば、LTEでは、PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)、およびPHICH(Physical HARQ Indicator CHannel)を集中的に、選択した時多重パターンでのみ送信してよい。例えば非選択の時多重パターンではこれらを割り当てない。
【0035】
ここで、本実施の形態の処理が行われなかった場合のチャネル割り当てについて、図15を用いて説明する。ある時刻#1で送信された下りHARQに対する応答は、一定時間後に上り制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)701において基地局へフィードバックされる。同様に時刻#3で送信された下りHARQに対する応答は、制御チャネル703において基地局へフィードバックされる。
一方、上りデータチャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)は、下りデータ信号に対する応答を返す制御チャネル701や703と重畳される制約はない。よって、別のタイムスロットに、上りデータチャネルが割り当てられることもある(702、704)。
【0036】
また、図15下段に示すように隣接基地局でも全く同様のルールで動く。ここではタイミング#2、#3で送信される下りHARQに対する応答が基地局へフィードバックされる。セル間で協調して動作する仕組みがない場合には、データチャネル、制御チャネル共に、セル間で衝突する可能性がある。また、上りの制御チャネルとデータチャネルが重畳される制約は無いため、704と705のようにデータチャネル同士、あるいは、703と706のように制御チャネル同士が同タイミングで送信される場合がある。
一方、本実施の形態のように、時多重パターンごとに制御チャネルとデータチャネルを重畳して送信する仕組みがあれば、制御チャネル、データチャネル共に隣接セル間干渉を回避することが可能になる。
【0037】
図4に戻り、フローチャートの説明を続ける。P1003及びP1004で上りと下りの時多重パターンの割当が行われるが、基地局1201−Hは、割当てた時多重パターンで、トラフィックを処理できるかどうかを判定する(P1005)。トラフィック量の指標としては、E−RAB(Evolved Packet Service Radio Access Bearer)数、端末接続数、送信待ちバッファサイズなどで判断してよい。これらの指標は基地局1201−Hが適宜監視する。E−RABは、例えば端末とS−GW(ゲートウェイ)の間に張られるコネクションを示す。端末と基地局間のRadio Bearer、基地局とS−GW間のS1 Bearerで構成される。また、送信待ちバッファサイズは、空きバッファサイズでもよい。これらそれぞれについて、時多重パターンを1つ割当てたときに処理できるトラフィックをシステムパラメータとして設定可能な仕組みにしておき、割り当てた時多重パターンの数に応じたトラフィック量を閾値にできるようにしておく。基地局1201−Hは、これら指標の現在値と閾値を比較し、現在値が割り当てた時多重パターンの数に対応する閾値を超えていた場合、時多重パターンが十分でないと判断する(P1005、No)。時多重パターンが不足している場合には、基地局1201−Hは、追加で時多重パターンの割当処理(P1003、P1004)を続ける。閾値を超えていなければ、時多重パターンが十分とみなし、処理P1006へ移る。
【0038】
基地局1201−Hは、時多重パターンが十分に割り当たったら、使用する時多重パターンでのみデータチャネルと制御チャネルの割当が行われるように、上りスケジューラ及び下りスケジューラのパラメータをアップデートする(P1006)。たとえば、無線リソースの割当て時刻に制限を加える変更を反映するとよい。より具体的な例として、LTEの下りHARQは、必ずしも周期性を持たなくて良い特長を持っているが、周期的な動きとなるように制約を設けるとよい。
【0039】
図9は、図4のフローチャートを実行するために必要な他装置と行う通信を記したシーケンス図である。処理P1001〜P1006は、上述の通りである。上述の手順P1001〜P1006を実施することで、自セルの端末1203−Sと、上り及び下りのデータ通信が可能となる。
本実施の形態によれば、電源立ち上げやリセット後、基地局と端末が通信を開始するまでの間に、スケジューラに対する制約条件を生成し、擬似的に時間多重で動作するOFDMAシステムを構築することが可能となる。
【0040】
2.第二の実施の形態
第一の実施の形態では、初期状態から第一の実施の形態の機能を実現する方法及びシステムについて説明した。第二の実施の形態では、通信を開始した定常状態から、本実施の形態の機能を実現する方法及びシステムについて説明する。無線通信システム及び基地局の構成は、第一の実施の形態と同様である。
第二の実施の形態の動作について、図10のフローチャートを用いて説明する。初期状態のフローチャートとの差分は、例えば時多重パターンの再割当が必要と判断する機能が追加され、必要と判断された場合は上述と同様にして時多重パターンを再割当する点である。
【0041】
本実施の形態において、時多重パターンを再割当するトリガとしては、例えば以下の場合がある。
(1)上り干渉電力の変化(増加)をトリガに時多重パターンを割り当てる。この場合、例えば基地局で測定する上り干渉電力に基づき変化を検出する。
(2)下り通信品質情報の変化(下り通信品質の低下)をトリガに時多重パターンを割り当てる。下り通信品質情報の具体例として以下がある。
(2−1)CQI等の下りチャネル品質の指標で判断する。
(2−2)アウターループの制御結果で判断する。
(3)トラフィックの変化(増加又は減少)をトリガに時多重パターンを割り当てる。トラフィックの指標の具体例として以下がある。
(3−1)上位装置との間で張られているコネクション数を指標とする。接続ユーザ数でもよい。
(3−2)接続端末数を指標とする。
(3−3)バッファサイズを指標とする。例えば、送信待ちバッファサイズ又は空きバッファサイズを指標とする。
なお、これ以外にも通信品質の変動を適宜の指標により検出して、時多重パターンを再割当してもよい。
【0042】
基地局1201―Hは定常状態で動作している時、干渉電力あるいはトラフィックの増加等により、時多重パターンの再割当の必要性があることを検出する機能を有しても良い。また、一定周期ごと、あるいは特定の時刻において、再割当のための処理を行ってもよい。
本実施の形態の機能を有する周辺基地局が同時に動作すると、多重パターンの再割当処理が重複し、干渉を検出し続ける可能性がある。これを防止するため、基地局は、Prohibit timerを備えてもよい。例えば、Prohibit Timerは、前回の割り当て処理の終了時にTimerの開始トリガをかける。同TimerのExpire(満了)するまでの時間はシステムパラメータとして予め設定されることができる。Expire時間(タイマ満了時間)は、本実施の形態の基地局が同一値をもって動作すると、処理期間が重複するため、Expire時間にはランダムオフセットを持たせておくとよい。
【0043】
上記のようなProhibit timerの終了を確認(P1011)し、TimerがExpireしていたら、基地局1201−H(例えば、統計情報取得部416)は、自セルに所属する端末1203−Sからの上り受信電力と、当該端末1203−Sから報告される受信品質の統計情報を収集する。端末1203−Sが報告する受信品質情報には、自セルを含む周辺セルの参照信号の電力強度、下り受信品質情報、通信成功確率(つまりHARQ ACK数)などが含まれていてよい。
【0044】
たとえば、E−UTRAならば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)などといったMeasurement Reportで報告される値や、CQI(Channel Quality Indicator)、RI(Rank Indicator)や、PMI(Precoding Matrix Indicator)などといった下りチャネル品質の情報を示す指標を用いてよい。手順P1012では、これら指標を一定回数分だけメモリに保持していたもの(Downlink quality table)を、統計処理に用いる。具体的には、指標ごとに一定回数分にわたる平均値、確率分布や分散の算出が相当する。
【0045】
手順P1013では、基地局1201−Hは、干渉電力(例えば上り干渉電力)の増加、下り通信品質情報の変化あるいはトラフィックの増加を検出する。上り干渉電力は、干渉測定部4121で測定され、例えば上り干渉電力が閾値を越えたことにより、又は、過去の測定値との変動幅が許容値を超えることにより、上り干渉電力の変化を検出する。
下り通信品質情報の変化(例えば下り品質の低下又は下り干渉電力の増加)を検出する具体的な方法としては、手順P1012で算出した、CQI、RI、PMI、RSRP、RSRQについて、平均値あるいは分散を予め定められた閾値と比較する方法を用いても良いし、これらの確率分布が悪い方向に一定量以上シフトしていることをもって検出しても良い。ただし、これらの値は、自セルの時多重パターンを割当てていない部分も含んで平均した値を端末が報告してきている可能性があるので精度が低いことが予想される。そのため、HARQのACK確率を統計する方法を用いても良い。
【0046】
ここで、HARQのACK確率を統計する方法について説明する。端末1203−Sからフィードバックされてきた下り通信品質(CQI)をもとに、基地局1201−HはSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)を求める。例えば、基地局1201−Hは、CQIとSINRが対応したテーブルを有し、このテーブルを参照して、CQIに対応するSINRを求めてもよい。このSINRを基準に、基地局1201−HはMCS(Modulation and Coding Scheme)と呼ばれる、符号変調方式のパターンを選択する。基地局1201−Hは、選択したMCSに基づいて、端末1203−Sとの無線区間通信に用いる符号化並びに変調を実施する。これに対して端末1203−Sは受信に成功すればACKを、失敗すればNAKをフィードバックする。基地局1201−Hは、端末1203−SからフィードバックされるACK/NAKを用いて、アウターループと呼ばれる、ACK成功率の調節を行う。
【0047】
たとえば、基地局1201−Hは、端末1203−Sから下り通信品質を、SINRに変換する時、ACKが返ってくると、少し高めのSINRに設定し、NAKが返ってくると少し低めのSINRに設定する。これらのオフセット値は蓄積していく。これにより、低めにMCSを選択していたとしても、時間を経るごとに、徐々に高めのMCSを選択するようになっていく。逆も同様である。アウターループを用いれば、干渉電力が増加していると、CQIをフィードバックされた時に選択されているMCSの傾向が、通常時よりも低めに偏ることが想定される。よって、ACK発生確率と、アウターループの制御結果がわかれば、干渉電力の増加を検出できる。例えば、上述の蓄積されたSINRのオフセットの合計がマイナスであれば、下り干渉電力が増加していると検出できる。また、例えば、ACK発生確率(例えばACK発生数とNAK発生数に基づく割合)が予め定められた値以下であれば、下り干渉電力が増加していると検出できる。
一方、トラフィック変動の検出方法としては、上位装置との間で張っているコネクション数や、端末接続数、バッファサイズ(例えば送信待ちバッファサイズ、空きバッファサイズ)を周期的に監視し、現在の時多重パターンで処理できる数値(閾値)を超えていないかどうかをチェックすることで実現できる。
【0048】
これらの検出処理(P1013)で、干渉電力またはトラフィックの増加等を検出すると、基地局1201−Hは、時多重パターン割り当てのため、全時多重パターンの上り干渉電力測定処理に移る。その後の処理P1003〜P1006は、第一の実施の形態で説明した手順と同様である。基地局1201−Hは、処理P1013で、干渉電力及びトラフィックの増加を検出できなかった場合、Prohibit timerを起動する(P1014)。なお、上り干渉電力の増加の場合は、選択されている時多重パターンを解放して処理P1003〜P1006を実行し、新たに時多重パターンを割り当て、一方、トラフィックの増加の場合は、選択されている時多重パターンはそのままにし、時多重パターンを追加するようにしてもよい。
なお、主に干渉電力とトラフィック等の増加のケースを説明したが、時多重パターンの使用率が明らかに低いことを検出すると、同様に、現在割り当てられている時多重パターン数を減らすために、再割当を実施しても良い。時多重パターンの使用率が低いことの検出には、例えばトラフィックの監視により実現できる。
【0049】
図11は、図10のフローチャートを実行するために、必要な他装置と行う通信を記したシーケンス図である。定常状態において、スケジューリングやチャネル品質の報告がされ、上述の干渉電力及びトラフィック増加の検出手順P1012、P1013と、時多重パターン割当処理P1002〜P1006を実施することで、自セルの端末1203−Sと、上り及び下りのデータ通信に用いる時多重パターンの再割当処理を実現できる。
本実施の形態によれば、定常状態から、干渉電力とトラフィック等の変化を検出し、時多重パターンの再割当を実施することで、トラフィックや干渉電力等に応じた無線リソースの利用が可能となる。
【0050】
3.第三の実施の形態
第三の実施の形態では、図10のフローチャートにおける、干渉電力のチャネル品質の統計情報取得P1012と、干渉電力の検出方法P1013が、第二の実施の形態と異なる方法を説明する。なお、無線通信システム及び基地局の構成は、第一の実施の形態と同様である。
【0051】
図12のシーケンスを用いて、第二の実施の形態との具体的な差分を説明する。シーケンスの初期ステップ(統計情報取得の前に)で、基地局1201−Hは、所属端末1203−Sに対して、データ通信停止命令を送信する。これは、現在使用中の時多重パターンの干渉電力を測定する時に、所属端末1203−Sが通信を続けていると干渉電力の測定に弊害が生じる可能性があるためである。
【0052】
データ通信の停止手段は、たとえばE−UTRAでは、基地局が、Uplink HARQ再送を停止したい端末に対し、再送指示を行わず、かつACKを送信することで、上りデータチャネルの再送を停止させるためのインタフェースが用意されている。また、上り制御チャネルについては、端末がDRX(Discontinuous Retransmission)区間で制御チャネルの送信を行わない機能が用意されており、これを用いることができる。同機能をEnableにするコンフィグ後、基地局が端末にDRXコマンドを送信し、端末を強制的にDRX状態に遷移させることにより、端末の制御チャネル送信を停止することができる。
【0053】
このような機能を利用して、基地局1201−Hは、干渉測定の準備を実行してから自セルが現在使用中の時多重パターンの干渉電力を測定する。測定によって取得した、自セルが現在使用中の時多重パターンの干渉電力は、平均、分散などの統計処理を行ったうえで、保存される(P1012−A)。干渉電力の増加の検出は、これらの統計値が閾値を超えたかどうかで判断すればよい(P1013−B)。以降の処理は、第二の実施の形態と同様であり、時多重パターンが再割当される。
これらの処理は、第二の実施の形態と同様に一定時間毎又は特定の時刻において実行されることができる。
本実施の形態によれば、基地局1201−Hは、自セルが使用している時多重パターンの上り干渉電力を定期的に監視する事によって、干渉電力の増加を検出し、再割当を行うことが出来る。
【0054】
4.第四の実施の形態
図13及び図14に示すように、第一乃至第三の実施の形態のフローチャートで、追加の時多重パターン割当を実施した場合に、追加無線リソースに対しては他の無線リソースとは異なる電力制御をしてもよい(P1003−A、P1004−A)。余分にリソースを使用することから、電力を弱めに設定するとよい。例えば、基地局からの送信電力は、一定値に定められており、追加無線リソースについてはこの値よりも所定量だけ低くする。従って、追加無線リソースでの送信電力は、他の時多重パターンでの送信電力よりも低くなる。隣接セルへの影響を抑えつつ、自セルの容量を増やすことを目的としている。なお、無線通信システム及び基地局の構成は、第一の実施の形態と同様である。
【0055】
電力を下げたリソースに割当てる端末の選択方法は、複数考えられる。例えば、下りもしくは上りの通信品質が良かった端末から順に、電力を下げた時多重パターンに割り当ててもよい。一定以上の受信品質を得られている端末ならば、電力を少し抑圧しても、MCSの上限という制約の範囲内であれば、性能的には劣化が起こりにくいためである。これらの端末選択の制限方法は、スケジューラに関する制約条件を追加する(P1006−A)。
【0056】
例えばE−UTRAでは、下りの電力制御は端末との間で設定するRRCパラメータのコンフィグで指定するパラメータP_Aを用いて、電力制御を実現する(P1003−A、P1006−A)。一方、上りの電力制御では、パラメータP0_PUSCH_UEを用いて電力のオフセットを設けても良い(P1004−A、P1006−A)。なお、RRCパラメータのコンフィグは、スケジューラが無線リソースを割当てる処理よりも周期が遅い。そのため、ある端末に対して電力の高い時多重パターンと低い時多重パターン(割り当てられた複数の時多重パターン)を、時々刻々と切り替えて使用することはそのままでは困難である。このような使用を除外しないが、基地局は、所属端末に対して、どちらかの時多重パターンのみを使用可という制約を与えた上での運用が予想される。電力の異なる時多重パターンの両方をある端末に対して割当てたい場合は、変調方式に振幅情報を含まないパターン、つまりQPSKを用いればRRCパラメータのコンフィグをしなくても、データの受信が可能である。よって、時多重パターン毎の割当に偏りが生じてしまった場合など、どうしてもある端末に対して複数の時多重パターンを使用したい場合は、MCSに制限を与えることで、電力の異なる時多重パターンへの割当を行ってもよい。
あるいは、時多重パターンの割当が行われたときに、もっとも送信バッファがたまっている端末から順に、電力が高い方の時多重パターンに割当てる方法も考えられる。
本実施の形態によれば、一つの基地局が複数の時多重パターンを用いて通信する柔軟性を得ることが出来る。
【0057】
5.各実施の形態の効果
本発明の各実施の形態によると、トラフィックの増減や周囲の基地局の状況に動的に追随しつつ、自律分散の干渉制御が可能になる。下りの干渉制御にも効果があるが、上り送信タイミングを基準としてタイミングを固定化するため、隣接基地局からの下り干渉電力を基地局で測定せずに動作が可能である。基地局が下りの干渉電力を測定するためには、下り受信回路を新たに設ける必要がある一方、上述の各実施の形態では下り受信回路を設ける必要はなく、コストが抑えられる。
また、自律的に制御をおこなうため、基地局間での同期や使用予定の帯域に関して、情報の交換をする必要もない。同一ルールで動く各実施の形態の基地局同士が隣接すると、時多重化が期待通りに行われる可能性が高まる。
【0058】
さらに、制御チャネルについても、データチャネルと上りの時多重パターンを揃えることから、データチャネルだけでなく制御チャネルも、セル間干渉を回避することが出来る。
選択した時多重パターン以外で、通信を行わないことから、端末のスリープ時間も増やす効果も期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の代表的な適用先には、一例としてフェムトセル基地局が考えられる。自律的にセル間干渉を抑圧する時多重システムを構築することが出来る。主に屋内でフェムトセル基地局を多数配置した時の干渉問題を解決できる。もちろん屋外基地局で周波数と電力の調節だけでは解決しきれない基地局密集地帯で使用しても効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
401 ハードウェア構成:メモリ部
402 ハードウェア構成:プログラム実行ユニットCPU/DSP
403 ハードウェア構成:インタフェース部
404 ハードウェア構成:特定の機能を実行するための論理回路
411 送信機
412 受信機
413 ネットワークインタフェース
414 Layer 1機能
415 Layer 2、3機能
416 統計情報取得部
417 時多重パターン決定部
418 通信処理部
1201 無線通信システムの基地局
1202 無線通信システムのコアネットワーク
1203 無線通信システムの端末
4121 干渉測定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、干渉制御方法及び無線通信システムに係り、セルラ無線通信システムの自律的な干渉分散制御、特に、直交周波数分割多重(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式を採用したセルラ無線通信システムにおいて、複数の小型基地局を配置した際の干渉制御を行う基地局、干渉制御方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OFDMA方式を採用したFDD(Frequency Division Duplex)セルラ無線通信システムの開発が盛んに行われている。日本では、OFDMAを採用したセルラ無線通信システムは、第3.9世代のシステムと呼称されている。代表規格として、LTE(Long Term Evolution)やUMB(Ultra Mobile Broadband)があり、これらはそれぞれ、3GPP(3rd Generation Partnership Project)や3GPP2という企業団体により国際的な標準規格化が行われている。
【0003】
無線通信システムでは、基地局とコアネットワークで構成される無線ネットワークに端末がアクセスする。基地局がカバーするエリアをセルと呼び、そのセル半径の大きさなどによりマクロセル、ピコセル、フェムトセルなどと呼ばれることがある。基本的な通信手段としては、基地局へ所属する端末が、基地局に対して要求を出すことで、コアネットワークを通して、同じ基地局、あるいは別の基地局に所属する端末との通話を実現する。データ通信も同様に基地局に対して端末が要求を出すことで実現する。
【0004】
OFDMAを用いた無線通信システムは、隣接セルからの電波干渉によって通信品質が劣化する事が知られている。特にセルエッジにおいては、隣接セルからの干渉電力レベルと自セルからの所望信号レベルが拮抗した値になり、例えばチャネル品質を現す指標のひとつであるSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)の劣化という形で顕著に現れる。セルエッジに限らず、システム全体としての容量を向上させるためには、隣接セル間の干渉を低減する事が重要である。このため、隣接セル間同士で、高電力で無線信号を送信できる周波数帯を分けて、その周波数帯を使用してセルエッジ(セルの端)をカバーする技術であるFFR(Fractional Frequency Reuse)の採用が効果的で有る事が知られている。FFRを適用すると、セルセンタ端末とセルエッジ端末を区別して、無線リソースの割当と電力を調整する。FFRを用いない場合、全帯域(f0)で等電力送信し、セルセンタ(基地局近傍)とセルエッジで分け隔てなくスケジューリングできるが、セルエッジにおいて隣接セル間で大きな干渉が発生してしまう。そこで、周波数帯域(f0)を分割(f1、f2、f3)し、それぞれの周波数帯で出力できる電力を調節し、セルごとにその組合せ(f1、f2、f3)を適切に選択する事により、隣接セル間の干渉を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−65738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
OFDMA方式を採用したマクロセル基地局においては、FFRを用いてセル間干渉の発生を抑圧していた。しかし、例えばフェムトセル基地局やピコセル基地局などの、マクロセル基地局と比べてセルが比較的小さい(電波到達範囲が比較的狭い)基地局で、マクロセルで行われるFFRをそのまま適用するのは困難が伴う。特に、フェムトセルにはFFRに必須となる隣接セルの周波数割当情報を取得するためのインタフェースが存在しない。よって、隣接セルの周波数割当情報に応じて、自セルの割当を動的に変更して干渉を避ける事は困難である。また、このような小型の基地局はマクロセル基地局に比べて高密度で配置することも想定されており、周波数割当情報を取得できたとしても制御が非常に困難である。またセル半径がもともと小さいことから、セルセンタとセルエッジの端末を区別するFFRを実現することは効率的でない。
【0007】
そこで、隣接セルと連携して、時分割多重によってセル間干渉をする上での課題を検討する。隣接セルが、ある時多重パターンで割当を行っていると、自セルはその時多重パターンを避けてリソース割当を実施する。例えば、特許文献1では、NeighborからのDownlink時多重パターンを基地局が検出して、Downlinkの時多重パターンを変更する技術が開示されている。ただし、この技術は、Downlinkの時多重パターンを基地局が測定することから、基地局が下り受信回路を持つ必要があるというオーバーヘッドがある。また、この技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)システムをターゲットとしていることから、Uplinkの時多重パターンは、端末が決定している。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、セル間の干渉を回避する基地局、干渉制御方法及び無線通信システムを提供することを目的とする。また、本発明は、干渉の回避を図るための時多重パターンの選択手法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、基地局が下り受信回路を用いずに、干渉の回避を図るルールで時多重パターンを選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、例えば、使用する無線リソースを時間で分割し、基地局またはセル間で時多重を行う事により、セル間の干渉を回避する。送信タイミングが一定の周期となるように、時多重のパターンを作る。基地局は自セルで用いる送信タイミングを、上り干渉電力の測定結果を基準に定める。
【0010】
このように基地局間で時多重を行う事により、セル間の干渉を回避する。本発明の基地局は、上り干渉電力を基準に、上り及び下りの時多重パターンを基地局が両方を決定する。基地局には、上りの受信機能は当然ついているので、上りの干渉電力を基準にすることで、下り受信回路を持たなくて良いというメリットを有する。また、OFDMAシステムでは、もともとセル間で時分割多重するルールを持っていない。よって、セル間で守るべき時間に関するルールを設定する必要がある。本発明では、使用する無線リソースの時分割のため、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)のRTT(Round Trip Time)の固定化により、時多重のパターンを生成して、セル間の時多重を行う。
【0011】
基地局は、上り干渉電力の測定結果に従い、干渉電力の小さい無線リソースを上りの時多重パターンとして選択する。更に、そのタイミングでHARQの応答を返す様に下りの時多重パターンを割り当てる。トラフィックが多い場合には、追加で時多重パターンを割り当てる。トラフィック量の判定には、送信待ちバッファ量や、端末接続数、上位装置とのコネクション数などを用いるとよい。
【0012】
制御のトリガとしては、初期設定やチャネル及びトラフィックの変動の検出時などがある。チャネルの変動検出方法は、下り通信品質のレポート情報の収集と、上り干渉情報の周期的な監視によって実現できる。トラフィックの変動の検出方法については、定期的に端末数や、バッファ量をチェックすることで実現できる。
例えば、特許文献1に示される技術に対して、本発明は、Uplink(上り)の干渉電力を測定すればよいため、基地局が下り受信回路を持つ必要がない。また、本発明は、基地局側がUplinkの時多重パターンを決定する機能を持っているシステムを対象としている。また、制御チャネルの周波数がバッティングしてしまう課題については、従来技術では対応できない。本発明の手法を用いると、データチャネルだけでなく、制御チャネルも干渉制御の対象に含めることが可能である。
【0013】
本発明の第1の解決手段によると、
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける前記基地局であって、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定する干渉測定部と、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから予め定められたタイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとする時多重パターン決定部と、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する通信処理部と
を備える前記基地局が提供される。
本発明の第2の解決手段によると、
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける干渉制御方法であって、
各基地局について、前記端末から前記基地局への上り方向の時多重パターンのタイミングと、前記基地局から前記端末への下り方向の時多重パターンのタイミングとが予め定められたタイミングだけシフトする関係に定められ、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定し、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから所定タイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとし、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する前記干渉制御方法が提供される。
【0014】
また、他の解決手段によると、
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、端末と通信する複数の基地局
を備え、
各基地局において、前記端末から前記基地局への上り方向の時多重パターンのタイミングと、前記基地局から前記端末への下り方向の時多重パターンのタイミングとが予め定められたタイミングだけシフトする関係に定められ、
前記複数の基地局はそれぞれ、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定する干渉測定部と、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから予め定められたタイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとする時多重パターン決定部と、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する通信処理部と
を有する無線通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、セル間の干渉を回避する基地局、干渉制御方法及び無線通信システムを提供することができる。また、本発明によると、干渉の回避を図るための時多重パターンの選択手法を提供することができる。さらに、本発明によると、基地局が下り受信回路を用いずに、干渉の回避を図るルールで時多重パターンを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】セルラ無線通信システムを説明する図。
【図2】本実施の形態におけるフェムトセル基地局の機能ブロック図を説明する図。
【図3】本実施の形態におけるフェムトセル基地局のハードウェア構成を説明する図。
【図4】本実施の形態における初期状態からのフローチャート。
【図5】時多重パターンを説明する図。
【図6】上り時多重パターンの選択を説明する図。
【図7】時多重パターンの重複を回避する選択方法を説明する図。
【図8】下り時多重パターンの選択を説明する図。
【図9】本実施の形態における初期状態からの動作シーケンス図。
【図10】本実施の形態における定常状態からのフローチャート。
【図11】本実施の形態における定常状態から、下り通信品質でトリガをかける動作シーケンス図。
【図12】本実施の形態における定常状態から、上り通信品質でトリガをかける動作シーケンス図。
【図13】追加時多重パターンの送信電力を抑圧する場合のフローチャート(初期)。
【図14】追加時多重パターンの送信電力を抑圧する場合のフローチャート(定常)。
【図15】本実施の形態における時多重パターンを行わない場合に起きる動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施する為の形態について、いくつかの実施の形態を挙げて説明する。これらの実施の形態は、個別で実施しても良いが、組合せて実施しても良い。以下の説明において、図中で同じ符号番号がついたものは、同様の動作を行うため、説明を省略する。
1.第一の実施の形態
図1は、セルラ無線通信システムの構成及び基地局配置の例を示す図である。
セルラ無線通信システムは、例えば、複数の基地局1201を備える。基地局1201は、自身のセル内の端末1203と無線で通信する。基地局1201は、バックホール回線を通して、コアネットワーク1202に接続する。
【0018】
図1(b)は、本実施の形態における基地局配置の概念図である。マクロセル基地局と比較して、フェムトセル、ピコセル等の基地局は、高密度に配置される。これらの基地局がカバーするエリアは、マクロセルがカバーするエリアと重なっていても良い。なお、本実施の形態は、フェムトセル、ピコセル等の基地局に限らず適宜の基地局に適用できる。
なお、以下の説明において、複数の基地局のうち注目する基地局を基地局1201−H、その基地局に所属して通信する端末(サービング端末)を端末1203−S、及び、その基地局1201−Hと隣接する基地局に所属してその隣接基地局と通信する端末(又はサービング端末以外の端末)を端末1203−Nと記す。
【0019】
図2に、本実施の形態の基地局の機能ブロック図に示す。
Transmitter(送信機)411は、基地局1201−Hが、端末1203に対して下り信号を送信するブロックである。下り信号をベースバンド信号からRF(Radio Frequency)信号へ変換する処理も含んでもよい。電波を送信するための送信アンテナも含む。
【0020】
Receiver(受信機)412は、基地局1201−Hが、端末1203−S及び端末1203−Nからの上り信号を受信するブロックである。上り信号をRF信号からベースバンド信号へ変換する処理を含んでも良い。電波を受信する受信アンテナも含む。送受信アンテナは、共用してよい。本実施の形態では、上り干渉電力を測定することを前提としているため、本機能は上り干渉電力の測定機能(干渉測定部)4121を有する。
【0021】
Network I/F(ネットワークインタフェース)413は、基地局1201−Hが、バックホール回線を通して、コアネットワーク1202に接続するためのインタフェースである。コアネットワーク1202に接続する事により、基地局間の情報交換や、モビリティ管理、OAM装置との交信、端末1203が望むデータの送受、通話などの、移動体通信の機能を提供できる。
【0022】
通信処理部418は、L1 Processing Unit(レイヤ1処理部)414と、L2/L3 Processing Unit(レイヤ2、3処理部)415を有し、決定された上り及び下り時多重パターンを用いて端末1203と通信する。
L1 Processing Unit414は、基地局1201−Hが、物理層の信号処理を実施する部位である。送信側の主な処理内容には、例えば適応変調、誤り訂正符号化、レイヤマッピングやPrecodingと呼ばれるMIMO(Multiple Input Multiple Output)の信号処理、及び、FFT(Fast Fourier Transform)がある。受信側の主な処理内容は、例えば送信側で施した変調・符号処理を解くための復調・復号処理である。端末1203に対して送信するデータは、L2/L3 Processing Unit415から取得し、端末1203から取得したデータは、L2/L3 Processing Unit415へ送る。
L2/L3 Processing Unit415は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の管理や、割当リソースを決定するスケジューリング処理、パケット加工、無線回線の秘匿化、端末へのシグナリング情報の生成などの機能に加え、セル間干渉制御など、無線リソース管理の機能も有するブロックである。また、時多重パターン決定部417から、スケジューリング処理に関する時間的制約を受けて、無線リソース割り当てを実質的に操作する部位である。
【0023】
統計情報取得部416は、本実施の形態の処理を実施するために必要な情報を取得するため、統計処理を実施するブロックである。具体的には、時多重パターンごとの上り干渉電力測定結果をメモリ(Measured uplink Iot Table)に格納し、一定時間平均する処理を実施する部位である。
時多重パターン決定部417は、本実施の形態の特徴である、時多重パターンの割り当てを決定する部位である。割り当て結果のパターンはメモリに保持しておく(Assign slot table)。基地局1201−Hが、割り当て決定処理を実施するときに、上り干渉電力測定結果と照らし合わせて使用する。
【0024】
図3に、本実施の形態における基地局1201−Hのハードウェア構成を示す。
メモリ部401には、例えば、統計情報取得部416で用いる上り干渉電力測定結果を保持しておくためのMeasured Uplink IoT Table(上り干渉テーブル)4011と、時多重パターンの割当結果を記憶するAssign slot Table(割当スロットテーブル、割当パターンテーブル)4012と、下りの品質情報を記憶するDownlink quality table(下り品質テーブル)4013とを有する。
【0025】
また、CPU/DSP部(処理部)402は、本実施の形態の一連の手続きP1001〜P1006を実行するプログラムを読み出し、実行する。例えば、Determination of time slot pattern with/without power control(タイムスロットの決定処理)、Addition of time slot pattern(タイムスロットの追加処理)を実行する。各プログラムは、例えばメモリ部401に格納され、CPU/DSP部402が読み出しても良いし、CPU/DSP部402内部のメモリに格納されていてもよい。
【0026】
Logic Circuit(論理回路)404は、CPU/DSP部402が実行するプログラムの機能をサポートする。たとえば、L1 Processing Unit414などは、処理高速化のためアクセラレータを利用するとよい。
CPU/DSP部402、Logic Circuit404の処理により、図2に示す各機能が実現される。
I/F部(インタフェース部)403は、無線のアンテナとのインタフェースや、バックホール回線とのインタフェースなどの総称である。
【0027】
図4に、本実施の形態における初期状態からのフローチャートを示す。第一の実施の形態の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。図4のフローチャートは、例えば電源立ち上げやリセットなどの初期化イベント後、基地局1201−H(例えばフェムトセル基地局)が行う動作について示している。
Initial Setup(P1001)では、基地局(1201−H)は、システムパラメータの初期値を設定する。設定方法は、プリインストールデータの読み込みであってもよいし、管理装置からのコンフィグパラメータのダウンロードであっても良い。設定内容は、例えばRRM(Radio Resource Management)と、外部装置とのインタフェースのためのパラメータである。
【0028】
初期設定が終了すると、基地局1201−H(例えば干渉制御部4121)は、隣接基地局に所属する端末からの上り干渉電力を測定する(P1002)。ここでは上り干渉電力を測定するため、基地局1201−Hは、自基地局と通信するサービング端末(1203−S)の上り通信を止めておく。少なくとも測定対象の無線リソース(周波数、時間で分割した単位)はとめておくと良いが、それ以外の無線リソースでは通信を継続しても良い。この際、後のステップP1003で使用できるように、時多重パターン(time slot pattern)ごとに干渉電力を測定しておくと良い。測定された干渉電力は、時多重パターン毎に上り干渉テーブル4011に記憶される。
【0029】
図5に時多重パターンの例を示す。同じ数字がついている送信タイミングを用いることから、時多重パターン(time slot pattern)と呼称している。例えば、端末から基地局への上り方向及び基地局から端末への下りの双方について、時分割された複数の時多重パターンのひとつ又は複数を周期的に用いて、複数の基地局と端末とが通信する。図示の例では、各時多重パターン#1〜#8が繰り返し用いられる。時多重パターンの干渉電力を測定する際は、Timerを設けて一定時間、時多重パターンごとに電力の平均化処理を実施する。平均方法は、忘却平均であっても加算平均であってもかまわない。平均化方法、忘却係数、Timerの時間などはシステムパラメータとして保持しておいてもよいし、プリインストールしておいても良い。Timerの時間は少なくとも時多重パターンの周期よりも長く、図5の例では時多重パターン#1〜#8の干渉電力が測定されるように設定される。上述のように、平均化処理も行う場合は、繰り返し送信される時多重パターンについて干渉電力が複数回測定されるように設定される。
【0030】
上り干渉電力の測定が終了すると、基地局1201−H(例えば時多重パターン決定部417)は、上り通信に使用する時多重パターンを決定する処理を実施する(P1003)。基地局1201−Hは、干渉を測定した結果に従い、隣接基地局所属端末(1203−N)からの干渉電力が小さい時多重パターンを選択し、自セルが使用する上り時多重パターンとする。図6に時多重パターンと測定された上り干渉電力の例を示す。たとえば、図6の場合、基地局1201−Hは、最も干渉電力が小さい時多重パターン601を選択してもよいし、干渉電力が一定のレベル(閾値)以下であった時多重パターンのひとつ(例えば時多重パターン602)を選択しても良い。最小の干渉電力に限定すると、図7に示すように、対象のリソースが一つだけのときに、同時に2つの基地局1201−Hが時多重パターンのリソース割当を始めると、両方が干渉の小さいリソース601を選択し、重複する場合がある。よって、一定レベル以下の干渉の時多重パターンも選択肢に含めてもよい。なお、初期設定で動作する時は、干渉が最小となる時多重パターンを選択し、後述する再割当で動作する時は、一定レベル以下の干渉の時多重パターンからランダム選択するというルールで運用しても良い。
【0031】
上りの送信タイミング(上り通信で用いる時多重パターン)が決まると、基地局1201−Hは、そのタイミングで上りの制御チャネルとデータチャネルの両方を集中的に配置する。たとえば、LTEにおいてはPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)とPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を集中的に割り当ててもよい。
【0032】
基地局1201−H(例えば時多重パターン決定部417)は、上り時多重パターンが決まると、次に下り時多重パターンを決める(P1004)。無線区間の通信では、HARQと呼ばれる伝送方法(再送制御)が一般的に用いられる。これは送信側からデータ信号を送信すると、受信側からACK信号が返ってくるまで、再送を行う方式である。受信側は信号の復号に失敗するとNAK信号を返し、成功するとACK信号を返す。信号を送信してから、判定信号が帰ってくるまでの時間をRTT(Round Trip Time)と呼ぶ。
【0033】
下りのデータ送信に対するACK/NAK判定情報を含む上り制御チャネルは、下りの送信することを想定すると、下りの時多重パターンを連動して定めることが出来る。たとえば、E−UTRAでは下りの送信から4サブフレーム(4ms)後に、下りの送信に対する応答を返すことが規定されている。つまり、図8に示すように、上り送信タイミング(例えば図中の601)を決定すれば、4サブフレーム巻き戻すことで下り送信タイミングもパターン化することが出来る。ここで、下りのデータ送信タイミング、つまりHARQのRTTを固定すると、上りと下り両方の送信タイミングを関連付けた上で固定することが可能となる。勿論、上述の4サブフレームは例であり、下りのデータ送信タイミングと、それに対するACK/NAK判定情報を含む上り制御チャネルの送信タイミングを対応させる時間的な決まりがあれば良い。つまり、基地局1201−Hは、選択された上りの時多重パターンの送信タイミングから、予め定められたタイミング前の下りの時多重パターンを選択し、自セルが使用する下り時多重パターンとする。
【0034】
下りの時多重パターンが決まると、そのタイミングで下りの制御チャネル、データチャネルの両方を集中的に割り当てると良い。非選択の時多重パターンでは、参照信号と報知情報を含む信号は送信してもよい。これらを送信しておくことで、システムに影響を与えずに本技術での目的を達成できる。たとえば、LTEでは、PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)、およびPHICH(Physical HARQ Indicator CHannel)を集中的に、選択した時多重パターンでのみ送信してよい。例えば非選択の時多重パターンではこれらを割り当てない。
【0035】
ここで、本実施の形態の処理が行われなかった場合のチャネル割り当てについて、図15を用いて説明する。ある時刻#1で送信された下りHARQに対する応答は、一定時間後に上り制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannel)701において基地局へフィードバックされる。同様に時刻#3で送信された下りHARQに対する応答は、制御チャネル703において基地局へフィードバックされる。
一方、上りデータチャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannel)は、下りデータ信号に対する応答を返す制御チャネル701や703と重畳される制約はない。よって、別のタイムスロットに、上りデータチャネルが割り当てられることもある(702、704)。
【0036】
また、図15下段に示すように隣接基地局でも全く同様のルールで動く。ここではタイミング#2、#3で送信される下りHARQに対する応答が基地局へフィードバックされる。セル間で協調して動作する仕組みがない場合には、データチャネル、制御チャネル共に、セル間で衝突する可能性がある。また、上りの制御チャネルとデータチャネルが重畳される制約は無いため、704と705のようにデータチャネル同士、あるいは、703と706のように制御チャネル同士が同タイミングで送信される場合がある。
一方、本実施の形態のように、時多重パターンごとに制御チャネルとデータチャネルを重畳して送信する仕組みがあれば、制御チャネル、データチャネル共に隣接セル間干渉を回避することが可能になる。
【0037】
図4に戻り、フローチャートの説明を続ける。P1003及びP1004で上りと下りの時多重パターンの割当が行われるが、基地局1201−Hは、割当てた時多重パターンで、トラフィックを処理できるかどうかを判定する(P1005)。トラフィック量の指標としては、E−RAB(Evolved Packet Service Radio Access Bearer)数、端末接続数、送信待ちバッファサイズなどで判断してよい。これらの指標は基地局1201−Hが適宜監視する。E−RABは、例えば端末とS−GW(ゲートウェイ)の間に張られるコネクションを示す。端末と基地局間のRadio Bearer、基地局とS−GW間のS1 Bearerで構成される。また、送信待ちバッファサイズは、空きバッファサイズでもよい。これらそれぞれについて、時多重パターンを1つ割当てたときに処理できるトラフィックをシステムパラメータとして設定可能な仕組みにしておき、割り当てた時多重パターンの数に応じたトラフィック量を閾値にできるようにしておく。基地局1201−Hは、これら指標の現在値と閾値を比較し、現在値が割り当てた時多重パターンの数に対応する閾値を超えていた場合、時多重パターンが十分でないと判断する(P1005、No)。時多重パターンが不足している場合には、基地局1201−Hは、追加で時多重パターンの割当処理(P1003、P1004)を続ける。閾値を超えていなければ、時多重パターンが十分とみなし、処理P1006へ移る。
【0038】
基地局1201−Hは、時多重パターンが十分に割り当たったら、使用する時多重パターンでのみデータチャネルと制御チャネルの割当が行われるように、上りスケジューラ及び下りスケジューラのパラメータをアップデートする(P1006)。たとえば、無線リソースの割当て時刻に制限を加える変更を反映するとよい。より具体的な例として、LTEの下りHARQは、必ずしも周期性を持たなくて良い特長を持っているが、周期的な動きとなるように制約を設けるとよい。
【0039】
図9は、図4のフローチャートを実行するために必要な他装置と行う通信を記したシーケンス図である。処理P1001〜P1006は、上述の通りである。上述の手順P1001〜P1006を実施することで、自セルの端末1203−Sと、上り及び下りのデータ通信が可能となる。
本実施の形態によれば、電源立ち上げやリセット後、基地局と端末が通信を開始するまでの間に、スケジューラに対する制約条件を生成し、擬似的に時間多重で動作するOFDMAシステムを構築することが可能となる。
【0040】
2.第二の実施の形態
第一の実施の形態では、初期状態から第一の実施の形態の機能を実現する方法及びシステムについて説明した。第二の実施の形態では、通信を開始した定常状態から、本実施の形態の機能を実現する方法及びシステムについて説明する。無線通信システム及び基地局の構成は、第一の実施の形態と同様である。
第二の実施の形態の動作について、図10のフローチャートを用いて説明する。初期状態のフローチャートとの差分は、例えば時多重パターンの再割当が必要と判断する機能が追加され、必要と判断された場合は上述と同様にして時多重パターンを再割当する点である。
【0041】
本実施の形態において、時多重パターンを再割当するトリガとしては、例えば以下の場合がある。
(1)上り干渉電力の変化(増加)をトリガに時多重パターンを割り当てる。この場合、例えば基地局で測定する上り干渉電力に基づき変化を検出する。
(2)下り通信品質情報の変化(下り通信品質の低下)をトリガに時多重パターンを割り当てる。下り通信品質情報の具体例として以下がある。
(2−1)CQI等の下りチャネル品質の指標で判断する。
(2−2)アウターループの制御結果で判断する。
(3)トラフィックの変化(増加又は減少)をトリガに時多重パターンを割り当てる。トラフィックの指標の具体例として以下がある。
(3−1)上位装置との間で張られているコネクション数を指標とする。接続ユーザ数でもよい。
(3−2)接続端末数を指標とする。
(3−3)バッファサイズを指標とする。例えば、送信待ちバッファサイズ又は空きバッファサイズを指標とする。
なお、これ以外にも通信品質の変動を適宜の指標により検出して、時多重パターンを再割当してもよい。
【0042】
基地局1201―Hは定常状態で動作している時、干渉電力あるいはトラフィックの増加等により、時多重パターンの再割当の必要性があることを検出する機能を有しても良い。また、一定周期ごと、あるいは特定の時刻において、再割当のための処理を行ってもよい。
本実施の形態の機能を有する周辺基地局が同時に動作すると、多重パターンの再割当処理が重複し、干渉を検出し続ける可能性がある。これを防止するため、基地局は、Prohibit timerを備えてもよい。例えば、Prohibit Timerは、前回の割り当て処理の終了時にTimerの開始トリガをかける。同TimerのExpire(満了)するまでの時間はシステムパラメータとして予め設定されることができる。Expire時間(タイマ満了時間)は、本実施の形態の基地局が同一値をもって動作すると、処理期間が重複するため、Expire時間にはランダムオフセットを持たせておくとよい。
【0043】
上記のようなProhibit timerの終了を確認(P1011)し、TimerがExpireしていたら、基地局1201−H(例えば、統計情報取得部416)は、自セルに所属する端末1203−Sからの上り受信電力と、当該端末1203−Sから報告される受信品質の統計情報を収集する。端末1203−Sが報告する受信品質情報には、自セルを含む周辺セルの参照信号の電力強度、下り受信品質情報、通信成功確率(つまりHARQ ACK数)などが含まれていてよい。
【0044】
たとえば、E−UTRAならば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)などといったMeasurement Reportで報告される値や、CQI(Channel Quality Indicator)、RI(Rank Indicator)や、PMI(Precoding Matrix Indicator)などといった下りチャネル品質の情報を示す指標を用いてよい。手順P1012では、これら指標を一定回数分だけメモリに保持していたもの(Downlink quality table)を、統計処理に用いる。具体的には、指標ごとに一定回数分にわたる平均値、確率分布や分散の算出が相当する。
【0045】
手順P1013では、基地局1201−Hは、干渉電力(例えば上り干渉電力)の増加、下り通信品質情報の変化あるいはトラフィックの増加を検出する。上り干渉電力は、干渉測定部4121で測定され、例えば上り干渉電力が閾値を越えたことにより、又は、過去の測定値との変動幅が許容値を超えることにより、上り干渉電力の変化を検出する。
下り通信品質情報の変化(例えば下り品質の低下又は下り干渉電力の増加)を検出する具体的な方法としては、手順P1012で算出した、CQI、RI、PMI、RSRP、RSRQについて、平均値あるいは分散を予め定められた閾値と比較する方法を用いても良いし、これらの確率分布が悪い方向に一定量以上シフトしていることをもって検出しても良い。ただし、これらの値は、自セルの時多重パターンを割当てていない部分も含んで平均した値を端末が報告してきている可能性があるので精度が低いことが予想される。そのため、HARQのACK確率を統計する方法を用いても良い。
【0046】
ここで、HARQのACK確率を統計する方法について説明する。端末1203−Sからフィードバックされてきた下り通信品質(CQI)をもとに、基地局1201−HはSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)を求める。例えば、基地局1201−Hは、CQIとSINRが対応したテーブルを有し、このテーブルを参照して、CQIに対応するSINRを求めてもよい。このSINRを基準に、基地局1201−HはMCS(Modulation and Coding Scheme)と呼ばれる、符号変調方式のパターンを選択する。基地局1201−Hは、選択したMCSに基づいて、端末1203−Sとの無線区間通信に用いる符号化並びに変調を実施する。これに対して端末1203−Sは受信に成功すればACKを、失敗すればNAKをフィードバックする。基地局1201−Hは、端末1203−SからフィードバックされるACK/NAKを用いて、アウターループと呼ばれる、ACK成功率の調節を行う。
【0047】
たとえば、基地局1201−Hは、端末1203−Sから下り通信品質を、SINRに変換する時、ACKが返ってくると、少し高めのSINRに設定し、NAKが返ってくると少し低めのSINRに設定する。これらのオフセット値は蓄積していく。これにより、低めにMCSを選択していたとしても、時間を経るごとに、徐々に高めのMCSを選択するようになっていく。逆も同様である。アウターループを用いれば、干渉電力が増加していると、CQIをフィードバックされた時に選択されているMCSの傾向が、通常時よりも低めに偏ることが想定される。よって、ACK発生確率と、アウターループの制御結果がわかれば、干渉電力の増加を検出できる。例えば、上述の蓄積されたSINRのオフセットの合計がマイナスであれば、下り干渉電力が増加していると検出できる。また、例えば、ACK発生確率(例えばACK発生数とNAK発生数に基づく割合)が予め定められた値以下であれば、下り干渉電力が増加していると検出できる。
一方、トラフィック変動の検出方法としては、上位装置との間で張っているコネクション数や、端末接続数、バッファサイズ(例えば送信待ちバッファサイズ、空きバッファサイズ)を周期的に監視し、現在の時多重パターンで処理できる数値(閾値)を超えていないかどうかをチェックすることで実現できる。
【0048】
これらの検出処理(P1013)で、干渉電力またはトラフィックの増加等を検出すると、基地局1201−Hは、時多重パターン割り当てのため、全時多重パターンの上り干渉電力測定処理に移る。その後の処理P1003〜P1006は、第一の実施の形態で説明した手順と同様である。基地局1201−Hは、処理P1013で、干渉電力及びトラフィックの増加を検出できなかった場合、Prohibit timerを起動する(P1014)。なお、上り干渉電力の増加の場合は、選択されている時多重パターンを解放して処理P1003〜P1006を実行し、新たに時多重パターンを割り当て、一方、トラフィックの増加の場合は、選択されている時多重パターンはそのままにし、時多重パターンを追加するようにしてもよい。
なお、主に干渉電力とトラフィック等の増加のケースを説明したが、時多重パターンの使用率が明らかに低いことを検出すると、同様に、現在割り当てられている時多重パターン数を減らすために、再割当を実施しても良い。時多重パターンの使用率が低いことの検出には、例えばトラフィックの監視により実現できる。
【0049】
図11は、図10のフローチャートを実行するために、必要な他装置と行う通信を記したシーケンス図である。定常状態において、スケジューリングやチャネル品質の報告がされ、上述の干渉電力及びトラフィック増加の検出手順P1012、P1013と、時多重パターン割当処理P1002〜P1006を実施することで、自セルの端末1203−Sと、上り及び下りのデータ通信に用いる時多重パターンの再割当処理を実現できる。
本実施の形態によれば、定常状態から、干渉電力とトラフィック等の変化を検出し、時多重パターンの再割当を実施することで、トラフィックや干渉電力等に応じた無線リソースの利用が可能となる。
【0050】
3.第三の実施の形態
第三の実施の形態では、図10のフローチャートにおける、干渉電力のチャネル品質の統計情報取得P1012と、干渉電力の検出方法P1013が、第二の実施の形態と異なる方法を説明する。なお、無線通信システム及び基地局の構成は、第一の実施の形態と同様である。
【0051】
図12のシーケンスを用いて、第二の実施の形態との具体的な差分を説明する。シーケンスの初期ステップ(統計情報取得の前に)で、基地局1201−Hは、所属端末1203−Sに対して、データ通信停止命令を送信する。これは、現在使用中の時多重パターンの干渉電力を測定する時に、所属端末1203−Sが通信を続けていると干渉電力の測定に弊害が生じる可能性があるためである。
【0052】
データ通信の停止手段は、たとえばE−UTRAでは、基地局が、Uplink HARQ再送を停止したい端末に対し、再送指示を行わず、かつACKを送信することで、上りデータチャネルの再送を停止させるためのインタフェースが用意されている。また、上り制御チャネルについては、端末がDRX(Discontinuous Retransmission)区間で制御チャネルの送信を行わない機能が用意されており、これを用いることができる。同機能をEnableにするコンフィグ後、基地局が端末にDRXコマンドを送信し、端末を強制的にDRX状態に遷移させることにより、端末の制御チャネル送信を停止することができる。
【0053】
このような機能を利用して、基地局1201−Hは、干渉測定の準備を実行してから自セルが現在使用中の時多重パターンの干渉電力を測定する。測定によって取得した、自セルが現在使用中の時多重パターンの干渉電力は、平均、分散などの統計処理を行ったうえで、保存される(P1012−A)。干渉電力の増加の検出は、これらの統計値が閾値を超えたかどうかで判断すればよい(P1013−B)。以降の処理は、第二の実施の形態と同様であり、時多重パターンが再割当される。
これらの処理は、第二の実施の形態と同様に一定時間毎又は特定の時刻において実行されることができる。
本実施の形態によれば、基地局1201−Hは、自セルが使用している時多重パターンの上り干渉電力を定期的に監視する事によって、干渉電力の増加を検出し、再割当を行うことが出来る。
【0054】
4.第四の実施の形態
図13及び図14に示すように、第一乃至第三の実施の形態のフローチャートで、追加の時多重パターン割当を実施した場合に、追加無線リソースに対しては他の無線リソースとは異なる電力制御をしてもよい(P1003−A、P1004−A)。余分にリソースを使用することから、電力を弱めに設定するとよい。例えば、基地局からの送信電力は、一定値に定められており、追加無線リソースについてはこの値よりも所定量だけ低くする。従って、追加無線リソースでの送信電力は、他の時多重パターンでの送信電力よりも低くなる。隣接セルへの影響を抑えつつ、自セルの容量を増やすことを目的としている。なお、無線通信システム及び基地局の構成は、第一の実施の形態と同様である。
【0055】
電力を下げたリソースに割当てる端末の選択方法は、複数考えられる。例えば、下りもしくは上りの通信品質が良かった端末から順に、電力を下げた時多重パターンに割り当ててもよい。一定以上の受信品質を得られている端末ならば、電力を少し抑圧しても、MCSの上限という制約の範囲内であれば、性能的には劣化が起こりにくいためである。これらの端末選択の制限方法は、スケジューラに関する制約条件を追加する(P1006−A)。
【0056】
例えばE−UTRAでは、下りの電力制御は端末との間で設定するRRCパラメータのコンフィグで指定するパラメータP_Aを用いて、電力制御を実現する(P1003−A、P1006−A)。一方、上りの電力制御では、パラメータP0_PUSCH_UEを用いて電力のオフセットを設けても良い(P1004−A、P1006−A)。なお、RRCパラメータのコンフィグは、スケジューラが無線リソースを割当てる処理よりも周期が遅い。そのため、ある端末に対して電力の高い時多重パターンと低い時多重パターン(割り当てられた複数の時多重パターン)を、時々刻々と切り替えて使用することはそのままでは困難である。このような使用を除外しないが、基地局は、所属端末に対して、どちらかの時多重パターンのみを使用可という制約を与えた上での運用が予想される。電力の異なる時多重パターンの両方をある端末に対して割当てたい場合は、変調方式に振幅情報を含まないパターン、つまりQPSKを用いればRRCパラメータのコンフィグをしなくても、データの受信が可能である。よって、時多重パターン毎の割当に偏りが生じてしまった場合など、どうしてもある端末に対して複数の時多重パターンを使用したい場合は、MCSに制限を与えることで、電力の異なる時多重パターンへの割当を行ってもよい。
あるいは、時多重パターンの割当が行われたときに、もっとも送信バッファがたまっている端末から順に、電力が高い方の時多重パターンに割当てる方法も考えられる。
本実施の形態によれば、一つの基地局が複数の時多重パターンを用いて通信する柔軟性を得ることが出来る。
【0057】
5.各実施の形態の効果
本発明の各実施の形態によると、トラフィックの増減や周囲の基地局の状況に動的に追随しつつ、自律分散の干渉制御が可能になる。下りの干渉制御にも効果があるが、上り送信タイミングを基準としてタイミングを固定化するため、隣接基地局からの下り干渉電力を基地局で測定せずに動作が可能である。基地局が下りの干渉電力を測定するためには、下り受信回路を新たに設ける必要がある一方、上述の各実施の形態では下り受信回路を設ける必要はなく、コストが抑えられる。
また、自律的に制御をおこなうため、基地局間での同期や使用予定の帯域に関して、情報の交換をする必要もない。同一ルールで動く各実施の形態の基地局同士が隣接すると、時多重化が期待通りに行われる可能性が高まる。
【0058】
さらに、制御チャネルについても、データチャネルと上りの時多重パターンを揃えることから、データチャネルだけでなく制御チャネルも、セル間干渉を回避することが出来る。
選択した時多重パターン以外で、通信を行わないことから、端末のスリープ時間も増やす効果も期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の代表的な適用先には、一例としてフェムトセル基地局が考えられる。自律的にセル間干渉を抑圧する時多重システムを構築することが出来る。主に屋内でフェムトセル基地局を多数配置した時の干渉問題を解決できる。もちろん屋外基地局で周波数と電力の調節だけでは解決しきれない基地局密集地帯で使用しても効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
401 ハードウェア構成:メモリ部
402 ハードウェア構成:プログラム実行ユニットCPU/DSP
403 ハードウェア構成:インタフェース部
404 ハードウェア構成:特定の機能を実行するための論理回路
411 送信機
412 受信機
413 ネットワークインタフェース
414 Layer 1機能
415 Layer 2、3機能
416 統計情報取得部
417 時多重パターン決定部
418 通信処理部
1201 無線通信システムの基地局
1202 無線通信システムのコアネットワーク
1203 無線通信システムの端末
4121 干渉測定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける前記基地局であって、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定する干渉測定部と、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから予め定められたタイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとする時多重パターン決定部と、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する通信処理部と
を備える前記基地局。
【請求項2】
前記時多重パターン決定部は、
決定された上り及び下り時多重パターンの数が、前記端末とのトラフィック量に対して十分か否かを判断し、
十分でない場合に、測定された上り干渉電力に基づき上り及び下り時多重パターンを追加する請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
追加された上り及び下り時多重パターンの一方又は双方での通信については、他の時多重パターンよりも送信電力を低く設定する請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記干渉測定部は、自基地局と通信する第1端末の上り通信を止めて、他の基地局に所属するひとつ又は複数の第2端末からの上り干渉電力を測定する請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
決定された下り時多重パターンに下りの制御チャネル及びデータチャネルの双方を集中的に割り当て、決定された下り時多重パターン以外の時多重パターンでは、参照信号と報知情報を含む信号を送信する請求項1に記載の基地局。
【請求項6】
前記時多重パターン決定部は、前記端末が下り通信に対する応答を、決定された上り時多重パターンで送信するように設定されたシフト量に従い、該下り通信で用いる前記下り時多重パターンを決定する請求項1に記載の基地局。
【請求項7】
前記時多重パターン決定部は、前記干渉測定部により定期的又は不定期に測定された上り干渉電力が予め定められた閾値を超える又は下回ることを検出すると、上り及び下り時多重パターンの割当を行う請求項1に記載の基地局。
【請求項8】
前記時多重パターン決定部は、前記端末から報告される下り通信品質情報に従い、下り通信品質が所定以上変化したことを検出すると、上り及び下り時多重パターンの割当を行う請求項1に記載の基地局。
【請求項9】
前記時多重パターン決定部は、前記端末から報告される下りチャネル品質を示す指標の統計値に従い、下り通信品質が所定以上変化したことを検出する請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記時多重パターン決定部は、前記端末からのACK信号の発生確率により、又は、該ACK信号の発生確率に基づくアウターループ制御の制御結果により下り通信品質が所定以上変化したことを検出する請求項8に記載の基地局。
【請求項11】
前記時多重パターン決定部は、前記基地局と前記端末とのトラフィックの指標が予め定められた閾値を超える又は下回ることを検出すると、上り及び下り時多重パターンの割当を行う請求項1に記載の基地局。
【請求項12】
前記時多重パターン決定部は、前記トラフィックの指標として自基地局の端末接続数を用いる請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
前記時多重パターン決定部は、前記トラフィックの指標として、上位装置とのコネクション数又は接続ユーザ数を用いる請求項11に記載の基地局。
【請求項14】
前記時多重パターン決定部は、前記トラフィックの指標として、自基地局の送信待ちバッファサイズ又は空きバッファサイズを用いる請求項11に記載の基地局。
【請求項15】
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける干渉制御方法であって、
各基地局について、前記端末から前記基地局への上り方向の時多重パターンのタイミングと、前記基地局から前記端末への下り方向の時多重パターンのタイミングとが予め定められたタイミングだけシフトする関係に定められ、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定し、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから所定タイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとし、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する前記干渉制御方法。
【請求項1】
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける前記基地局であって、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定する干渉測定部と、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから予め定められたタイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとする時多重パターン決定部と、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する通信処理部と
を備える前記基地局。
【請求項2】
前記時多重パターン決定部は、
決定された上り及び下り時多重パターンの数が、前記端末とのトラフィック量に対して十分か否かを判断し、
十分でない場合に、測定された上り干渉電力に基づき上り及び下り時多重パターンを追加する請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
追加された上り及び下り時多重パターンの一方又は双方での通信については、他の時多重パターンよりも送信電力を低く設定する請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記干渉測定部は、自基地局と通信する第1端末の上り通信を止めて、他の基地局に所属するひとつ又は複数の第2端末からの上り干渉電力を測定する請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
決定された下り時多重パターンに下りの制御チャネル及びデータチャネルの双方を集中的に割り当て、決定された下り時多重パターン以外の時多重パターンでは、参照信号と報知情報を含む信号を送信する請求項1に記載の基地局。
【請求項6】
前記時多重パターン決定部は、前記端末が下り通信に対する応答を、決定された上り時多重パターンで送信するように設定されたシフト量に従い、該下り通信で用いる前記下り時多重パターンを決定する請求項1に記載の基地局。
【請求項7】
前記時多重パターン決定部は、前記干渉測定部により定期的又は不定期に測定された上り干渉電力が予め定められた閾値を超える又は下回ることを検出すると、上り及び下り時多重パターンの割当を行う請求項1に記載の基地局。
【請求項8】
前記時多重パターン決定部は、前記端末から報告される下り通信品質情報に従い、下り通信品質が所定以上変化したことを検出すると、上り及び下り時多重パターンの割当を行う請求項1に記載の基地局。
【請求項9】
前記時多重パターン決定部は、前記端末から報告される下りチャネル品質を示す指標の統計値に従い、下り通信品質が所定以上変化したことを検出する請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記時多重パターン決定部は、前記端末からのACK信号の発生確率により、又は、該ACK信号の発生確率に基づくアウターループ制御の制御結果により下り通信品質が所定以上変化したことを検出する請求項8に記載の基地局。
【請求項11】
前記時多重パターン決定部は、前記基地局と前記端末とのトラフィックの指標が予め定められた閾値を超える又は下回ることを検出すると、上り及び下り時多重パターンの割当を行う請求項1に記載の基地局。
【請求項12】
前記時多重パターン決定部は、前記トラフィックの指標として自基地局の端末接続数を用いる請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
前記時多重パターン決定部は、前記トラフィックの指標として、上位装置とのコネクション数又は接続ユーザ数を用いる請求項11に記載の基地局。
【請求項14】
前記時多重パターン決定部は、前記トラフィックの指標として、自基地局の送信待ちバッファサイズ又は空きバッファサイズを用いる請求項11に記載の基地局。
【請求項15】
時分割され、送信タイミングが一定の周期となるように定められた複数の時多重パターンのひとつ又は複数を用いて、複数の基地局が端末と通信する無線通信システムにおける干渉制御方法であって、
各基地局について、前記端末から前記基地局への上り方向の時多重パターンのタイミングと、前記基地局から前記端末への下り方向の時多重パターンのタイミングとが予め定められたタイミングだけシフトする関係に定められ、
少なくとも該周期内の各時多重パターンにおける上り干渉電力を測定し、
測定された上り干渉電力が最小又は予め定められた閾値より小さい時多重パターンを、上り通信に用いる上り時多重パターンとし、決定された上り時多重パターンから所定タイミングだけシフトしたタイミングの時多重パターンを、下り通信に用いる下り時多重パターンとし、
決定された上り及び下り時多重パターンを用いて前記端末と通信する前記干渉制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−235375(P2012−235375A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103468(P2011−103468)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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