説明

基地局監視システム

【課題】 専用ツールを用いたり公衆回線を利用したりすることなく、上位監視設備が携帯電話基地局設備の保守・運用管理を遠隔で行えるようにする。
【解決手段】 携帯電話基地局設備1と上位監視設備2は専用線7のみで接続されている。上位監視設備2の管理用ワークステーション6に設置したWWWサーバの機能を用いて、携帯電話基地局設備1の内部情報をWebブラウザによって参照する。さらに、管理用ワークステーション6に電子メールサーバ機能を持たせることによって、携帯電話基地局設備1に障害が発生した場合、その詳細を管理用ワークステーション6に自主的に報告させる。また、管理用ワークステーション6に障害対応策のスクリプトを用意することにより、障害の起きた携帯電話基地局設備1を自動停止もしくは運用制限する。また、管理用ワークステーション6は在庫管理データベースより必要な交換部品を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネットなどのネットワーク通信および電子メールを用いて、遠隔地に設置された基地局(例えば携帯電話基地局)設備の保守や運用管理を行うようにした基地局監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】各地域に点在している携帯電話基地局設備は上位監視設備(基地局監視システム)によって遠隔監視及び保守管理が行われている。図9は、従来の基地局監視システムを示す構成図であって、携帯電話基地局設備を含めたシステム構成を示している。同図において、携帯電話基地局設備31と上位監視設備32は、主に通話信号の流れる専用線37と、増幅装置(AMP)34のメンテナンスに用いられる公衆回線38とによって接続されている。携帯電話基地局設備31の増幅装置34に故障が発生した場合、携帯電話基地局設備31の変復調装置(MDE)33から、専用線37を介して、上位監視設備32の基地局監視装置35へ故障アラームが通知される。これを受けて、上位監視設備32のAMP監視装置36は、公衆回線38を用いて携帯電話基地局設備31の増幅装置34と接続を確立する。これによって、上位監視設備32のAMP監視装置36は詳しい故障データを取得したり、電源をリセットするなどの必要な処置を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の基地局監視システムでは、上位監視設備32が、詳細な故障情報を取得したり、携帯電話基地局設備31の各種機器に対してリセットなどの処理を行う場合には、公衆回線38を用いて増幅装置34に接続する必要がある。また、携帯電話基地局設備31の増幅装置34と上位監視設備32のAMP監視装置36との接続に際しては接続用の専用ツールが必要となる。このため、専用ツールがインストールされていないパソコンからでは、携帯電話基地局設備31の増幅装置34へアクセスすることができない。このように、従来の基地局監視システムは、通話を行う専用線37とは別の公衆回線38を用いたり、接続用の専用ツールを用意しなければならないので、システム全体が複雑になるなどの不具合がある。
【0004】尚、特開平6−125389号公報には、メンテナンス用の別回線を設けることなく、通常の通話回線によってデジタル構内交換機(PBX)のリモート保守を行うことができるリモート保守装置が報告されている。この技術によれば、接続用の専用ツールを用いることなくリモート保守装置を通常の通話回線に接続することができると共に、リモート保守装置の解析手段が、PBXから通話回線によって故障情報を受け取って解析を行うことにより、保守員の熟練度を要せずに迅速且つ的確に保守を行うことができる。しかし、この公報の技術は、通信機器利用者の建物構内に設置された交換設備(つまり、PBX)に適用されるリモート保守装置であるので、もともと通話用の専用線だけを用いてリモート保守を行うことができる。ところが、携帯電話基地局設備は各地に点在しているので、通常は、通話を行う専用線とは別な公衆回線を利用してリモート保守を行っている。したがって、上記公報に開示された技術をもって携帯電話基地局設備の基地局監視システムを専用線だけで実現することは困難である。
【0005】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、専用ツールを用いたり公衆回線を利用したりすることなく、基地局設備の保守・運用管理を行うことができるような基地局監視システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の基地局監視システムは、基地局設備(例えば携帯電話基地局)と端末とにそれぞれ通信回線を介して接続されることができ、通信回線を介して前記基地局設備の稼動状況を監視し、監視結果を前記端末に通知する基地局監視システムにおいて、前記基地局設備の故障内容を特定する管理手段(管理用コンピュータ)と、前記基地局設備の故障履歴情報を格納する故障情報データベースとを備え、前記管理手段によって特定された故障内容と前記故障情報データベースに格納された故障履歴情報とを照合し、照合結果に基づいた所定の情報(例えば故障対策情報)を前記端末に送信することを特徴とする。
【0007】本発明の基地局監視システム(上位監視設備)によれば、基地局設備に故障が発生した場合に、管理手段(管理用コンピュータ(管理用ワークステーション))が故障内容を特定して、その故障内容を故障情報データベースに格納された故障履歴情報と照らし合わせ、その照合結果として例えば最適な故障対策情報を管理者側の端未に送信している。これによって、逐次基地局設備が所在する現場に赴かなくても、遠隔地から故障情報を把握してタイムリーかつ迅速に端末の管理者に通知することができる。また、基地局設備の保守・運用管理を現地へ赴くことなく行うこともできる。
【0008】また、本発明の基地局監視システムにおいては、さらに、基地局設備の故障内容に対応する修理部品のリストを格納する在庫品目データベースを備え、管理手段によって特定された故障内容と在庫品目データベースに格納された修理部品のリストとを照合し、特定された故障内容に対応する修理部品を特定して端末に通知することを特徴とする。
【0009】本発明の基地局監視システム(上位監視設備)によれば、修理部品を特定して在庫品目データベースの修理部品のリストと照らし合わせ、その検索結果を管理者の端未やメンテナンス会社の端末に知らせている。これによって、基地局設備を修理するために現地へ赴く際に、必要となる機材や交換部品などの必要物資の項目リストを事前に出力することができ、現地への出発準備を短時間で行うことができる。さらには、修理部品を常に在庫しておくことができるので、修理部品に欠品が生じて故障対策の対応を遅らせる心配もなくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の基地局監視システムを有する上位監視設備が遠隔地設置機器である携帯電話基地局設備を保守・運用管理する場合の実施の形態を詳細に説明する。本発明における基地局監視システムはネットワーク通信機能を有している。ここで、ネットワーク通信機能とは、有線または無線で接続された基地局設備間の通信を実現するための機能である。また、保守・運用管理とは、基地局設備の稼動状態の監視や故障箇所の早期発見や異常発生時における該基地局設備の管理者への通知などの管理を指す。
【0011】図1は、本発明における基地局監視システムの構成図である。図1において、遠隔地設置機器である携帯電話基地局設備1と、この携帯電話基地局設備1を監視する本発明の基地局監視システムを構成する上位監視装置2とは、公衆回線を用いることなく専用線7のみで接続されている。携帯電話基地局設備1には、携帯電話の通話信号を増幅する増幅装置(AMP)4と携帯電話の通話信号を専用線7ヘ送信する変復調装置(MDE)3とが収納されている。また、携帯電話基地局設備1を監視する上位監視設備2は、携帯電話基地局設備1の動作状態を監視・分析する基地局監視装置5と携帯電話基地局設備1内の増幅装置4の詳細な運用・障害情報を管理する管理用ワークステーション6とによって構成されている。携帯電話基地局設備1と上位監視設備2との間では、専用線7を用いて携帯電話の通話信号と増幅装置4の運用・障害情報とが伝送される。
【0012】本実施の形態では、携帯電話基地局設備1の運用情報を集中的に管理する管理用コンピュータである管理用ワークステーション6を上位監視設備2内に設置することにより、上位監視設備2の保守・運用管理の効率化・簡略化を推し進めている。具体的には、管理用ワークステーション6に設置したWWWサーバ(図示せず)の機能を用いて、携帯電話基地局設備1の内部情報をWebブラウザ(図示せず)によって参照する。さらに、上位監視設備2の管理用ワークステーション6に電子メールサーバ機能(図示せず)を持たせることによって、携帯電話基地局設備1に障害が発生した場合、その詳細を上位監視設備2の管理用ワークステーション6に自主的に報告させる。また、上位監視設備2の管理用ワークステーション6に障害対応策のスクリプトを用意することにより、障害の起きた携帯電話基地局設備1を自動停止もしくは運用制限する。
【0013】図2は、本発明の実施の形態におけるネットワーク構成図である。このネットワークは、複数の携帯電話基地局設備1a,1b…と、携帯電話基地局設備1a,1b…を遠隔地より管理・制御するための管理用ワークステーション6と、この管理用ワークステーション6に接続される管理データベース8、故障情報データベース9、在庫品目データベース10と、Webブラウザ16や電子メールソフト17を有する複数の端末(パソコン)11a,11b…とによって構成されている。また、管理用ワークステーション6には、WWWサーバ12とメールサーバ13とSNMPマネージャ14とが配置されている。
【0014】各携帯電話基地局設備1a,1b…内の図示しない増幅装置にはSNMPエージェント15が置かれている。SNMPエージェント15は、詳細は後述するが、管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャ14からの問い合わせに対して、携帯電話基地局設備1a,1b…の増幅装置に関する内部情報について応答を返したり、携帯電話基地局設備1a,1b…の増幅装置に障害が発生した場合に自発的に障害報告を行ったりする。また、管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャ14は、携帯電話基地局設備1の増幅装置に対して運用情報の問い合わせを行ったり、携帯電話基地局設備1a,1b…の増幅装置の障害発生時にSNMPエージェント15から送信される障害情報を受信したりする。
【0015】管理用ワークステーション6内のWWWサーバ12は、携帯電話基地局設備1a,1b…の増幅装置から収集した内部情報および障害情報をHTML形式のテキストに変換し、管理用ワークステーション6にアクセスしてきた端末11a,11b…に対してこれらの情報を提供する。尚、WWWサーバ12は秘匿通信に対応しているので、管理用ワークステーション6と端末11a,11b…の間で交わされる通信のセキュリテイは確保されている。
【0016】メールサーバ13は、携帯電話基地局設備1a,1b…の増幅装置から障害報告を受信した際に、この障害情報を電子メールに変換して予め登録してあった端末11a,11b…の管理者のメールアドレスに送信する。また、運用情報などについても、一定期間ごとに電子メールにて端末11a,11b…の管理者に送信する。
【0017】管理用ワークステーション6に接続されている管理データベース8には、携帯電話基地局設備1a,1b…の各増幅装置の基本情報が格納され、故障情報データベース9には、携帯電話基地局設備1a,1b…の各増幅装置において過去に発生した故障・修理情報が格納され、在庫品目データベース10には、携帯電話基地局設備1a,1b…の各増幅装置に関する補修部品などの情報が格納されている。
【0018】Webブラウザ16は、管理用ワークステーション6から携帯電話基地局設備1a,1b…の各増幅装置の内部情報を閲覧したり、障害情報の検索を行う際に用いられる。また、電子メールソフト17は、管理用ワークステーション6から送信される運用・障害情報を記載した電子メールを受信するために用いられる。
【0019】図3は、図1における携帯電話基地局設備に設置された増幅装置の内部のシステム構成図である。増幅装置4は、携帯電話の通話信号を増幅させる通話信号増幅部18と、通話信号増幅部18を制御し、上位装置である図1に示す変復調装置3との通信を制御する制御部19と、管理用ワークステーション6との通話を制御する管理機能通信処理部20とによって構成されている。
【0020】通話信号増幅部18は、図1に示す専用線7を介して通信される携帯電話(図示せず)の通話信号を無線通信ができる程度にまで増幅する機能を備えている。制御部19は、増幅装置4へのリセットや機能制限などの制御を行うと共に、増幅装置4の障害発生の監視を行う。管理機能通信処理部20は、図1に示す専用線7を用いて、携帯電話基地局設備1a,1b…の増幅装置の内部情報や障害情報などを管理用ワークステーション6と通信する機能を備えている。また、この機能には、通信に適したメッセージフォーマットヘの変換や受信した電文を解読する機能などを含んでいる。
【0021】図4は、図3の増幅装置内部に設けられた管理機能通信処理部20のプロトコルスタックを示す図である。携帯電話基地局設備1a,1b…の各増幅装置については、その主な通信がSNMP(Simple Network Management Protocol)によって行われるため、プロトコルスタックの階層は図4に示すように簡略化されている。つまり、このプロトコルスタックの階層は、物理層(レイヤ1)を最下位層として、データリンク層(レイヤ2)、インターネット層(レイヤ3)、トランスポート層(レイヤ4)、アプリケーション層(レイヤ7)とによって構成されている。SNMPや運用情報・障害報告機能は最上位層のアプリケーション層(レイヤ7)に位置している。
【0022】図5は、図1における管理用ワークステーションと携帯電話基地局設備の増幅装置との間で送受信される通信内容を示すフロー図である。主な通信内容は、内部変数設定値などの内部情報の読出しと、アラーム履歴などのアラーム(ALM)情報の読出しである。これらは、管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャからの間い合わせに、増幅装置4内のSNMPエージェントが応答する形で行われる。つまり、管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャが増幅装置4内のSNMPエージェントに対して内部情報・ALM情報の読み出しを行うと(ステップS1)、増幅装置4内のSNMPエージェントが管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャに対して内部情報・ALM情報の応答を行う(ステップS2)。
【0023】また、増幅装置4に対する指示として、増幅停止・再開指示およびリセット指示がある。これらの指示は、端末上のWebブラウザから指示を受けた場合や障害発生時や対応策として予め設定されていた場合などに実行される。つまり、管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャが増幅装置4内のSNMPエージェントに対して、増幅停止・再開指示およびリセット指示を行うと(ステップS3)、増幅装置4内のSNMPエージェントが管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャに対して、指示された動作を正常に完了した場合に処理完了の応答を返す(ステップS4)。また、増幅装置4が正常応答を返さない場合、管理用ワークステーション6は指示のリトライを行う。一方、増幅装置4に障害が発生した場合は、増幅装置4内のSNMPエージェントから管理用ワークステーション6内のSNMPマネージャに対して自発的に障害情報が送信される(ステップS5)。
【0024】図6は、管理者の端末が管理用ワークステーションにアクセスした際に、端末に表示される携帯電話基地局設備内の増幅装置の内部情報を示すイメージ図である。つまり、この図は、端末に表示されるWebブラウザの情報を示している。ここで表示される情報は、図9に示す従来の基地局監視システムにおけるAMP監視装置36の制御に用いられる専用ツールに表示される情報と等しい。具体的には、携帯電話無線基地局内の増幅装置の稼動状態や不具合発生履歴などを表示する。また、電源リセットや閉塞・閉塞解除などの操作指示が行えるように増幅装置への指示項目も表示される。指示内容に関しては、Webブラウザ内にボタンが表示されるので、これらのボタンを操作することによって、遠隔地に設置された携帯電話基地局設備内の増幅装置に対して、リセットなど様々な指示を出すことができる。
【0025】図7は、図1に示す基地局監視システムにおいて、携帯電話基地局設備で障害が発生した場合に管理用ワークステーションが行う対応動作の流れを示すフロー図である。以下、図1、図2及び図7を用いて動作フローの流れを説明する。このフロー図では、携帯電話基地局設備1の増幅装置4に設置されたSNMPエージェント15と、管理用ワークステーション6に設置されたSNMPマネージャ14と、管理者の管理者が所有する端末11との間で行われる情報の流れを示している。尚、以下の説明では、SNMPマネージャ14やSNMPエージェント15は省略し、単に、携帯電話基地局設備1と管理用ワークステーション6と端末11と各種データベースとの間で送受信される情報として述べることにする。
【0026】今、携帯電話基地局設備1で障害が発生すると(ステップS11)、携帯電話基地局設備1の増幅装置4から管理用ワークステーション6に対して障害発生時の報告が行われる(ステップS12)。障害報告を受けた管理用ワークステーション6は、障害報告メールを作成し(ステップS13)、この障害報告メールを予め登録されている管理者アドレスの端末11に対して送信する(ステップS14)。これによって、管理者の端末11は迅速に障害報告を受信し、故障状況を把握して適切な対応を行うことができる(ステップS15)。
【0027】また、故障対応マニュアルが記載された障害時対応スクリプトが存在する場合、管理用ワークステーション6は、そのマニュアルの指示に従って障害時対応スクリプトを実行する(ステップS16)。これによって、管理用ワークステーション6より携帯電話基地局設備1に対して、機器の非常停止や運用制限などの指示を出し(ステップS17)、携帯電話基地局設備1は増幅装置を非常停止したり運用制限したりする(ステップS18)。また、携帯電話基地局設備1は、指示内容に対する処置を完了した旨の応答を管理用ワークステーション6に対して行う(ステップS19)。
【0028】さらに、管理用ワークステーション6は、故障履歴の検索を行う場合は(ステップS20)、故障情報データベース9にアクセスして(ステップS21)、故障情報データベース9へ今回の障害状況を記録すると同時に、過去の不具合事例から似たような事例があるか否かを検索する(ステップS22)。過去の事例が見つかった場合は、管理用ワークステーション6は修理情報から障害対応策リストを作成し(ステップS23)、この障害対応策リストを管理者の端末11へ出力する(ステップS24)。これによって、端末11の管理者は障害対応策リストを受信して適切な故障対策を行う(ステップS25)。
【0029】また、管理用ワークステーション6は、修理部品などの在庫確認を行う場合は(ステップS26)、在庫品目データベース10にアクセスして修理に必要な資材の在庫があるかチェックし(ステップS27)、不足している部品などがある場合はその旨の検索結果を受信して(ステップS28)、不足部品リストを作成する(ステップS29)。そして、管理用ワークステーション6は、管理者の端末11に対して作成した不足部品リストを送信する(ステップS30)。これによって、端末11は、不足部品リストを受信して不足部品がある旨の注意喚起のメッセージを表示する(ステップS31)。
【0030】図8は、故障発生時に管理用ワークステーションが自動生成するリストなどの一例を示す図である。同図(a)は故障情報リストの詳細な内容を示す一例であり、故障の日付・時刻や緊急度、障害種別、障害の影響範囲、故障の重大性などが選択的に表示されると共に、機器の機能不全の詳細や対応策などが記録される。また、これらの記録内容は故障情報データベース9に保存されるようになっている。同図(b)は障害対応時スクリプトの詳細な内容を示す一例であり、障害対応時スクリプトと制御項目・適応条件などが記録される。例えば、非常停止、制限つき運転、再起動、セルフチェック、測定データの取得、負荷分散・スタンバイシステムへの切換えなどの項目が詳細に記録される。また、これらの記録内容は故障情報データベース9に保存されるようになっている。同図(c)は不足部品リストの詳細な内容を示す一例であり、修理に必要な部品、在庫数、調達メーカ・連絡先、過去の発注履歴、部品の金額などが記録される。また、これらの記録内容は在庫品目データベース10に保存されるようになっている。
【0031】以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、ネットワーク通信技術を用いて運用・保守を簡略化し、効率的且つ効果的な運用・保守を行っている。また、携帯電話基地局設備の設定情報や動作状態の情報については、ネットワーク通信網を介してやり取りすることができ、このようにして取得された情報は管理用のコンピュータである管理用ワークステーションによって集中的に管理されている。このとき、管理用ワークステーションにアクセスすることによって、さまざまな場所から携帯電話基地局設備をモニタリングすることができる。これによって、遠隔地にある携帯電話基地局設備の稼動状況の監視・保守にかかる作業量を大幅に軽減することができる。
【0032】また、実施の形態における携帯電話基地局設備は、ネットワーク通信を利用できる機能や、設定情報や動作状態などの内部情報をネットワーク通信に最適なフォーマットに変換できる機能などを有している。したがって、これらの機能を利用することにより、現地へ赴くことなく携帯電話基地局設備の保守・運用管理を行うことができる。さらに、管理用ワークステーションは、携帯電話基地局設備との間で設定情報や動作状態などの内部情報をやり取りできる機能や、携帯電話基地局設備の内部情報を読み出すために、管理用ワークステーションにアクセスするモニタ用端末に対して情報を提供する機能を持っている。このため、管理用ワークステーションから遠隔地にある携帯電話基地局設備の情報を取得する際にモニタ用端末において専用のツールを必要としない。このときのモニタリングには、通常、インターネットを閲覧する際に用いるWebブラウザを利用している。これによって、携帯電話基地局設備の稼動状態や障害履歴などの情報をWebブラウザから参照することができるようになる。また、通信内容が外部に情報が漏れないように、管理用ワークステーションとモニタ用端未との間では秘匿通信を行っている。このような秘匿通信を用いることによって、携帯電話基地局設備の内部情報が漏洩したり、第三者によって不正操作されることを回避することができる。
【0033】また、本発明の実施の形態によれば、ネットワーク通信網にアクセスできる場所であれば、何処であっても、複数の端末から同時に管理用ワークステーションにアクセスすることができる。これによって、同時に同一の携帯電話基地局設備を複数の端末から監視することができる。さらに、携帯電話基地局設備の運用情報および不具合発生時の詳細情報などを編集して、電子メールによって予め指定したアドレスの端末へ送信することができる。これによって、携帯電話基地局設備に障害が発生した場合、電子メールによる障害通知や、対応スクリプトによる機能停止・運用制限などが実行されるので、携帯電話基地局設備の各種障害に対して迅速に対応することができる。
【0034】さらに、本発明の実施の形態では、障害発生時に管理用ワークステーションに障害対応の雛型を設定することにより、作業員が介在することなく、携帯電話基地局設備の運用制限や自動停止を行うことができる。さらに、携帯電話基地局設備から取得した故障情報をもとに、管理用ワークステーションに接続された各種データベースを参照して、過去の故障情報を検索することもできる。このようにして、管理データベースや障害情報データベースを構築することによって、携帯電話基地局設備の運用状態を蓄積することができ、これらの蓄積情報を利用することによって、新機種開発のための情報を取得したり、障害発生時に対する対応策を構築したりすることができる。また、故障情報に基づいて、その故障情報に対する対応策を提示することもできる。
【0035】また、本発明の実施の形態によれば、携帯電話基地局設備を修理するために現地へ赴く際に、必要となる機材や交換部品などの必要物資の項目リストを出力することができる。これによって、管理用ワークステーションに接続された在庫品目のデータベースにアクセスすることにより、現地への出発準備を短時間で行うことができるように支援することができる。また、携帯電話基地局設備に対して故障に対する対応がとられない場合は、継続して電子メールを送信することもできるし、登録された他のアドレスに対しても電子メールの送信を試みることもできる。
【0036】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明によれば、専用ツールを用いたり公衆回線を利用したりすることなく、遠隔にある基地局設備の保守・運用管理を迅速且つ円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における基地局監視システムの構成図である。
【図2】 本発明の基地局監視システムにおけるネットワーク構成図である。
【図3】 図1における携帯電話基地局設備に設置された増幅装置の内部のシステム構成図である。
【図4】 図3の増幅装置内部に設けられた管理機能通信処理部のプロトコルスタックを示す図である。
【図5】 図1における管理用ワークステーションと携帯電話基地局設備の増幅装置との間で送受信される通信内容を示すフロー図である。
【図6】 管理者の端末が管理用ワークステーションにアクセスした際に、端末に表示される携帯電話基地局設備内の増幅装置の内部情報を示すイメージ図である。
【図7】 図1に示す基地局監視システムにおいて、携帯電話基地局設備で障害が発生した場合に管理用ワークステーションが行う対応動作の流れを示すフロー図である。
【図8】 故障発生時に管理用ワークステーションが自動生成するリストなどの一例を示す図であり、(a)は故障情報リスト、(b)は障害対応時スクリプト、(c)は不足部品リストを示す。
【図9】 従来の基地局監視システムの構成図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,31 携帯電話基地局設備、2,32 上位監視設備、3,33 変復調装置(MDE)、4,34 増幅装置(AMP)、5,35 基地局監視装置、6 管理用ワークステーション、7,37 専用線、8 管理データベース、9 故障情報データベース、10 在庫品目データベース、11a,11b 端末、12 WWWサーバ、13 メールサーバ、14 SNMPマネージャ、15 SNMPエージェント、16 Webブラウザ、17 電子メールソフト、18 通話信号増幅部、19 制御部、20 管理機能通信処理部、36 AMP監視装置、38 公衆回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基地局設備と端末とにそれぞれ通信回線を介して接続されることができ、通信回線を介して前記基地局設備の稼動状況を監視し、監視結果を前記端末に通知する基地局監視システムにおいて、前記基地局設備の故障内容を特定する管理手段と、前記基地局設備の故障履歴情報を格納する故障情報データベースとを備え、前記管理手段によって特定された故障内容と前記故障情報データベースに格納された故障履歴情報とを照合し、照合結果に基づいた所定の情報を前記端末に送信することを特徴とする基地局監視システム。
【請求項2】 請求項1に記載の基地局監視システムにおいて、さらに、前記基地局設備の故障内容に対応する修理部品のリストを格納する在庫品目データベースを備え、前記管理手段によって特定された故障内容と前記在庫品目データベースに格納された修理部品のリストとを照合し、特定された故障内容に対応する修理部品を特定して前記端末に通知することを特徴とする基地局監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−244055(P2003−244055A)
【公開日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−35175(P2002−35175)
【出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】