説明

基地局装置

【課題】コスト上昇及び大型化を招くことなく、動作の異常の有無を自動的に診断することができる基地局装置を提供する。
【解決手段】基地局10は、端末20との間で無線信号の送受信を行う無線部11a〜11nと、端末20に無線信号が送信されてから、この無線信号に対する応答としての無線信号が無線部11a〜11nで受信されるまでの遅延時間を測定する遅延時間測定部16と、無線部11a〜11nで受信される無線信号の受信状況を示すRSSIを測定するRSSI測定部15と、遅延時間測定部16の測定結果とRSSI測定部15の測定結果との関係が所定の正常範囲内にあるか否かを判定することによって、無線部11a〜11nにおける異常の有無の判定を行う正常性診断部18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置との間で無線信号の送受信を行う基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線通信システムは、相互に接続された複数の基地局装置とユーザに携帯される端末装置(例えば、携帯電話機)とを含んで構成され、基地局装置が端末装置との間で無線信号の送受信を行うことによって、一の端末装置と他の端末装置との間における通話等が実現される。基地局装置は数キロメートル程度の間隔で多数設置されており、作業者が各々の設置場所に赴いて動作が正常であるか否かを確認するのは現実的ではない。このため、通常は、動作の異常の有無を自動的に診断する診断機能を基地局装置の各々に設け、その診断結果を一括して収集することで効率的な保守・管理が行われる。
【0003】
例えば、FDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)方式を用いて無線信号の送受信を同時に行う基地局装置では、受信回路の診断を行うために、受信回路に流れる電流を検出する電流検出回路や、受信回路のゲインを検出するゲイン検出回路が追加的に設けられる。また、以下の特許文献1には、基地局装置の内部に基地局試験機を設け、この基地局試験機により基地局装置の監視、診断、試験を実行する技術の一例が開示されている。具体的に、特許文献1に開示された技術では、試験用の信号をRF受信経路に入力することで、基地局装置のRF受信経路の異常を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−154903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来は、上述した通り、基地局装置に対して電流検出回路やゲイン検出回路を追加的に設けることによって、基地局装置の受信回路の動作の異常の有無が診断されている。FDDのように、送受信の周波数が異なる通信方式の基地局では、受信回路を診断するために診断用受信信号を生成して受信回路に送信する送信回路が必要であるが、本来端末装置に送信すべき送信信号と上記の診断用受信信号とは異なる周波数で生成しなければならず、当初から内蔵されている送信回路を診断用受信信号の送信回路として代用することはできない。そのため、実装及び製造の容易さから、本来の送信信号とは周波数の異なる診断用受信信号を生成して受信回路に送信する擬似端末を専用に基地局に内蔵することになっている。これらの検出回路や試験機(擬似端末)を設けることは、基地局装置のコストを上昇させる一因になるとともに、実装するための面積が必要になるため小型化の妨げになってしまうという問題がある。
【0006】
また、現在、高速なデータ通信を可能とする規格であるLTE(Long Term Evolution)などの通信規格では、OFDMによる通信方式であるため、送受信で周波数が異なることから、OFDM又はFDDを採用した基地局装置に対して従来のような検出回路を追加的に設けることは、コスト上昇及び大型化を招いてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コスト上昇及び大型化を招くことなく、動作の異常の有無を自動的に診断することができる基地局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の基地局装置は、端末装置との間で無線信号の送受信を行う無線部を少なくとも1つ備える基地局装置において、前記端末装置に無線信号が送信されてから、当該無線信号に対する応答としての無線信号が前記無線部で受信されるまでの遅延時間を測定する第1測定部と、前記無線部で受信される無線信号の受信状況を測定する第2測定部と、前記第1測定部の測定結果と第2測定部の測定結果との関係が所定の正常範囲内にあるか否かを判定することによって、前記無線部における異常の有無の判定を行う判定部とを備えることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記第2測定部が、前記無線信号の受信状況として、受信信号強度、信号対雑音比、及びエラーベクターマグニチュードのうちの少なくとも1つを測定することを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記判定部が、無線信号の遅延時間と受信状況との関係を示すテーブルであって前記正常範囲が設定された基準テーブルを用いて前記第1測定部の測定結果と前記第2測定部の測定結果との関係が前記正常範囲内であるか否かを判定することを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記第1,第2測定部の測定結果を蓄積するとともに、蓄積した測定結果を用いて前記基準テーブルに設定された前記正常範囲を更新する更新部を備えることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記判定部によって異常が判定された場合に、上位装置に対して異常が生じた旨を示す情報を送信する制御を行う制御部を備えることを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記制御部が、前記判定部によって異常が判定された場合に、異常が判定された無線部を再起動させる制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の基地局装置は、前記制御部が、再起動の制御を行った無線部が前記判定部によって再び異常と判定された場合に、当該無線部に対する電源の供給を遮断する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コスト上昇及び大型化を招くことなく、動作の異常の有無を自動的に診断することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による基地局装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】基準テーブルの一例を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態による基地局装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による基地局装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による基地局装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の基地局装置(以下、単に「基地局」ともいう)10は、無線部11a〜11n、変復調部12、制御部13、及び回線通信部14を備えており、携帯電話機等の端末装置(以下、単に「端末」という)20との間で無線信号の送受信を行う。尚、この基地局10は、回線ネットワーク(図示省略)を介して、基地局10の保守・管理を行う上位装置及び他の基地局と接続されている。
【0012】
無線部11a〜11nは、変復調部12から出力された送信信号(端末20に送信すべき信号)を無線信号にして端末20に送信するとともに、端末20から送信された無線信号を受信して得られる受信信号を変復調部12に出力する。これら無線部11a〜11nは、OFDM方式を用いて無線信号の送受信を同時に行うことが可能であり、それぞれ独立して動作する。また、無線部11a〜11nの起動(再起動)、及び電源の供給・遮断は制御部13によって制御される。
【0013】
変復調部12は、RSSI測定部15(第2測定部)及び遅延時間測定部16(第1測定部)を備えており、制御部13から出力される送信信号を変調して無線部11a〜11nに出力するとともに、無線部11a〜11nから出力される受信信号を復調して制御部13に出力する。具体的には、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)等の方式を用いて変復調を行う。RSSI測定部15及び遅延時間測定部16は、無線部11a〜11nにおける異常(特に、無線信号を受信する受信系統の異常)を検出するために設けられている。
【0014】
RSSI測定部15は、無線部11a〜11nの各々で受信される無線信号の受信状況を示すそれぞれのRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)を測定する。このRSSI測定部15で測定されるそれぞれのRSSIは、無線部11a〜11nの各々で受信される無線信号の信号強度に比例して大きくなる。つまり、受信される無線信号の信号強度が高ければRSSIも大きくなり、受信される無線信号の信号強度が低ければRSSIも小さくなる。
【0015】
遅延時間測定部16は、端末20に無線信号が送信されてから、この無線信号に対する応答としての無線信号が受信されるまでの時間(遅延時間)を無線部11a〜11nの各々について測定する。例えば、無線部11aから端末20に対してOFDM方式により無線信号が送信されてから、その応答として端末20からOFDM方式により送信された無線信号が無線部11aで受信されるまでの時間を測定する。
【0016】
尚、例えば、遅延時間は、既知信号の受信タイミングで測定される。遅延時間測定部16で測定される遅延時間は、基地局10と端末20との間の距離に比例して長くなる。つまり、基地局10と端末20との間の距離が長ければ遅延時間も長くなり、基地局10と端末20との間の距離が短ければ遅延時間も短くなる。
【0017】
制御部13は、基準テーブル管理部17(更新部)及び正常性診断部18(判定部)を備えており、基地局10の各部の動作を制御することによって、基地局10の全体的な動作を統括して制御する。具体的には、端末20に向けてデータを送信する制御、無線部11a〜11nで受信されたデータを不図示の回線ネットワークを介して他の基地局等に送信する制御、無線部11a〜11nに異常が生じた場合にその旨を示す情報を不図示の上位装置に送信する制御、無線部11a〜11nの起動(再起動)及び電源の供給・遮断の制御等の制御を行う。
【0018】
基準テーブル管理部17及び正常性診断部18は、変復調部12に設けられたRSSI測定部15及び遅延時間測定部16と同様に、無線部11a〜11nにおける異常を検出するために設けられている。これら基準テーブル管理部17及び正常性診断部18は、ソフトウェアにより実現される。つまり、これら基準テーブル管理部17及び正常性診断部18の機能を実現するプログラムを制御部13が実行することにより実現される。
【0019】
基準テーブル管理部17は、RSSI測定部15及び遅延時間測定部16の測定結果を蓄積するとともに、蓄積した測定結果を用いて無線部11a〜11nの異常の有無を判定するために用いられる基準テーブルの管理(更新、作成等)を行う。ここで、基準テーブルは、無線信号の遅延時間とRSSIとの関係を示すテーブルであって、無線部11a〜11nの動作が正常に行われているとみなすことができる範囲(正常範囲)が設定されたテーブルである。
【0020】
図2は、基準テーブルの一例を説明するための図である。尚、図2ではRSSIを横軸にとり、遅延時間を縦軸にとってある。一般的に、基地局10と端末20との間の距離が長いほど無線信号の減衰量が大きくなるため、基地局10と端末20との間の距離が長くなるにつれてRSSIは小さくなる。ここで、前述した通り、遅延時間は基地局10と端末20との間の距離に比例して長くなるため、遅延時間とRSSIとの関係は、図2中の直線L1に沿う関係、つまり遅延時間が長くなるにつれてRSSIが小さくなる関係になる。
【0021】
従って、無線部11a〜11nのうち、遅延時間とRSSIとの交点が直線L1上に位置する関係、或いは直線L1の近辺に位置する関係にある無線部については、動作が正常に行われていると考えることができる。そこで、図2に示す通り、直線L1と同様の傾きを有する上限閾値TH1と下限閾値TH2とが直線L1の近傍に設定されており、これら上限閾値TH1と下限閾値TH2とによって規定される範囲が正常範囲に設定されている。基準テーブルは、例えば、以下の表1のようなイメージとなる。尚、nは自然数である。
【表1】

【0022】
基準テーブルは、基地局10の設計者によって予め作成されたものであっても良く、基準テーブル管理部17が蓄積した測定結果を用いて自動的に作成したものであっても良い。基地局10の設計者によって作成された基準テーブルの場合には基準テーブル管理部17によって更新が行われる。尚、基準テーブルの更新を行うのは、例えば基地局10の周囲にビルが建設された等の通信環境の変化に対応するためである。本実施形態では、説明を簡単にするため、予め基準テーブルが作成されているものとする。
【0023】
正常性診断部18は、基準テーブル管理部17で管理される基準テーブルを用い、RSSI測定部15及び遅延時間測定部16の測定結果に基づいて、無線部11a〜11nの異常の有無を判定する。具体的には、無線部11a〜11n毎のRSSI測定部15の測定結果と遅延時間測定部16の測定結果との交点が上述した正常範囲内にあるか否かを判定することによって、無線部11a〜11nの各々の異常の有無を個別に判定する。例えば、RSSI測定部15の測定結果と遅延時間測定部16の測定結果との交点が、図2中の領域R1内における黒丸で示す点のように、正常範囲内であれば正常である(異常が生じていない)と判定する。これに対し、図2中の領域R2内における黒丸で示す点のように、正常範囲外であれば異常であると判定する。例えば、正常性診断部18は、表1のように、測定された信号の遅延時間がAnのとき、測定された信号のRSSIがYnとXnとの間であれば正常とし、YnとXnとの間になければ異常と判定する。
【0024】
回線通信部14は、不図示の回線ネットワークに接続されており、制御部13の制御の下でデータ等の送受信を行う。具体的には、制御部13から出力されるデータを回線ネットワークを介して指示された宛先に送信するとともに、回線ネットワークを介して送信されてきたデータを制御部13に出力する。尚、正常性診断部18で無線部11a〜11nに異常が生じたと判定された場合には、制御部13の制御の下で、その旨を示す情報を不図示の上位装置に送信する。
【0025】
次に、上記構成における基地局10の動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態による基地局装置の動作を示すフローチャートである。まず、作業者によって基地局10を設置する作業が行われ、設置作業終了後に作業者の指示によって基地局10の初期動作が実行される。この初期動作に動作に異常が生じていないことが確認されると、作業者の指示によって基地局10の通常運用が開始され、これにより図3のフローチャートで示される処理が開始される。
【0026】
基地局10の通常運用が開始されると、無線部11a〜11nの各々における無線信号の送受信及び回線通信部14を介した他の基地局等との間の通信が制御部13の制御の下で行われる。すると、無線部11a〜11nの各々で受信される無線信号の受信状況を示すRSSIがRSSI測定部15で測定されるとともに、端末20に無線信号が送信されてから、この無線信号に対する応答としての無線信号が受信されるまでの遅延時間が遅延時間測定部16で測定される(ステップS11)。RSSI測定部15で測定されたRSSI及び遅延時間測定部16で測定された遅延時間は、制御部13に出力されて基準テーブル管理部17で蓄積される(ステップS12)。
【0027】
次に、基準テーブル管理部17で管理される基準テーブルを用い、RSSI測定部15で測定されたRSSIと遅延時間測定部16で測定された遅延時間との関係が正常範囲内であるか否かが正常性診断部18によって判定される(ステップS13)。具体的には、測定されたRSSIと遅延時間との交点が、図2中の上限閾値TH1と下限閾値TH2とによって規定される正常範囲(例えば、図2中の領域R1)内にあるか否かが判定される。
【0028】
正常範囲内であると判定された場合(判定結果が「YES」の場合)には、蓄積したデータに基づいて基準テーブルを更新する処理が基準テーブル管理部17によって行われる(ステップS14)。かかる処理によって、基準テーブル管理部17で管理される基準テーブルを、基地局10の設置状況における通信環境に適合した基準テーブルに更新することが可能になる。ステップS14の処理が終了すると処理はステップS11に戻り、ステップS11以降の処理が再び行われる。以後、ステップS14の処理が繰り返し行われることにより、仮に基地局10の周囲にビルが建設された等の通信環境の変化が生じた場合であっても、基準テーブル管理部17で管理される基準テーブルを、その変化した通信環境にあった基準テーブルに更新することが可能になる。
【0029】
ここで、基地局10が設置された後に、通信環境の大きな変化が頻繁に生ずるといった事態が生ずることは考えにくい。このため、基準テーブル管理部17によって管理される基準テーブルが、基地局10の設置状況における通信環境に適合したものに更新された後は、ステップS14の処理を所定の時間間隔(例えば、1日に1回、1週間に1回、又は1月に1回)で行うようにしても良い。
【0030】
他方、測定されたRSSIと遅延時間との交点が、例えば図2中の領域R2内にある場合には、測定されたRSSIと遅延時間との関係が正常範囲内でない(異常が生じた)と正常性診断部18によって判定される。すると、ステップS13の判定結果が「NO」となり、まず制御部13によって回線通信部14が制御され、正常性診断部18の判定結果に応じて無線部11a〜11nのうちの何れか1つ又は複数に異常が生じた旨を示す情報が、不図示の回線ネットワークを介して不図示の上位装置(基地局10を管理する装置)に送信される(ステップS15)。
【0031】
次いで、無線部11a〜11nのうち、正常性診断部18によって異常が生じたと判定された無線部を再起動する制御が制御部13によって行われる(ステップS16)。このような再起動の制御を行うのは、それまでに起動失敗等による異常が生じていたとしても、再起動を行うことによって無線部が正常に動作する場合があることが経験的に認められるからである。再起動が完了すると、再起動が行われた無線部についてのRSSI及び遅延時間がRSSI測定部15及び遅延時間測定部16でそれぞれ測定され、測定されたRSSIと遅延時間との関係が正常範囲内であるか否かが正常性診断部18によって判定される(ステップS17)。
【0032】
正常範囲内であると判定された場合(ステップS17の判定結果が「YES」の場合)には、蓄積したデータに基づいて基準テーブルを更新する処理が基準テーブル管理部17によって行われる(ステップS14)。これに対し、異常が生じたと正常性診断部18によって判定された場合(ステップS17の判定結果が「NO」の場合)には、異常と判定された無線部に対する電源供給を停止する制御が制御部13によって行われる(ステップS18)。ステップS18の処理が終了すると処理はステップS11に戻り、ステップS11以降の処理が再び行われる。尚、以後の処理では、無線部11a〜11nのうちの電源供給が停止された無線部以外の無線部と端末20等との間で無線信号の送受信が行われる。
【0033】
以上の通り、本実施形態では、RSSI測定部15で測定されたRSSIと遅延時間測定部16で測定された遅延時間との関係が正常範囲内であるか否かを基準テーブルを用いて判定し、この判定結果に基づいて無線部11a〜11nの動作の異常の有無を診断している。このため、本実施形態では、従来のような受信回路の動作の異常の有無を検出する検出回路が不要であり、従ってコスト上昇及び大型化を招くことなく、動作の異常の有無を自動的に診断することができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態による基地局装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、無線部11a〜11nにおける無線信号の受信状況としてRSSIを測定する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、信号対雑音比(SNR(Signal to Noise Ratio))やエラーベクターマグニチュード(EVM)を無線信号の状況として測定することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 基地局
11a〜11n 無線部
13 制御部
15 RSSI測定部
16 遅延時間測定部
17 基準テーブル管理部
18 正常性診断部
20 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置との間で無線信号の送受信を行う無線部を少なくとも1つ備える基地局装置において、
前記端末装置に無線信号が送信されてから、当該無線信号に対する応答としての無線信号が前記無線部で受信されるまでの遅延時間を測定する第1測定部と、
前記無線部で受信される無線信号の受信状況を測定する第2測定部と、
前記第1測定部の測定結果と第2測定部の測定結果との関係が所定の正常範囲内にあるか否かを判定することによって、前記無線部における異常の有無の判定を行う判定部と
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第2測定部は、前記無線信号の受信状況として、受信信号強度、信号対雑音比、及びエラーベクターマグニチュードのうちの少なくとも1つを測定することを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記判定部は、無線信号の遅延時間と受信状況との関係を示すテーブルであって前記正常範囲が設定された基準テーブルを用いて前記第1測定部の測定結果と前記第2測定部の測定結果との関係が前記正常範囲内であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基地局装置。
【請求項4】
前記第1,第2測定部の測定結果を蓄積するとともに、蓄積した測定結果を用いて前記基準テーブルに設定された前記正常範囲を更新する更新部を備えることを特徴とする請求項3記載の基地局装置。
【請求項5】
前記判定部によって異常が判定された場合に、上位装置に対して異常が生じた旨を示す情報を送信する制御を行う制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の基地局装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部によって異常が判定された場合に、異常が判定された無線部を再起動させる制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の基地局装置。
【請求項7】
前記制御部は、再起動の制御を行った無線部が前記判定部によって再び異常と判定された場合に、当該無線部に対する電源の供給を遮断する制御を行うことを特徴とする請求項6記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−109375(P2011−109375A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261798(P2009−261798)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】