説明

基板ユニットおよび電子機器

【課題】電子部品を配線基板に高密度に実装することができるとともに、フレキシブル基板を配線基板に良好な状態で接続することができる基板ユニットを実現する。
【解決手段】本発明に係る基板ユニット1は、配線基板2と、フレキシブル基板6を挿入するための挿入口3aを有するFPCコネクタ3と、挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さを高くする部品内蔵基板8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と当該配線基板に実装される電子部品とを備える基板ユニットに関し、特に、前記配線基板に実装され、フレキシブル基板を挿入するための挿入口を有するFPCコネクタを備える基板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末などの小型の電子機器においては、電子機器に内蔵される配線基板上に電子部品を高密度に実装することが求められる。一方、フレキシブル基板を挿入するためのFPCコネクタが実装された配線基板を内蔵する電子機器では、電子部品を配線基板に高密度に実装することが難しいという問題があった。
【0003】
図3(a)〜(c)は、従来の基板ユニット101を示している。図3(a)に示すように、基板ユニット101は、配線基板2、FPCコネクタ3、電子部品(図中「部品」と表記)4および周辺部品5を備えている。FPCコネクタ3、電子部品4および周辺部品5は、配線基板2上に実装されている。
【0004】
図3(b)に示すように、FPCコネクタ3は、フレキシブル基板(図中「FPC」と表記)6を挿入するための挿入口3aを有している。すなわち、FPCコネクタ3は、配線基板2とフレキシブル基板6とを電気的に接続するためのインターフェースとして機能する。周辺部品5は、FPCコネクタ3に電気的に接続された抵抗素子や容量素子などの信号ターミネイト部品などであり、FPCコネクタ3の周囲に配置される。
【0005】
図3(a)に示すように、基板ユニット101では、FPCコネクタ3は、配線基板2の中央付近に実装されており、FPCコネクタ3の前方(挿入口3a側)の領域に、電子部品4が配置されている。ここで、フレキシブル基板6をFPCコネクタ3の挿入口3aに挿入する場合、図3(b)に示すように、電子部品4が挿入口3aの前方に存在するため、フレキシブル基板6をスムーズに挿入口3aに挿入することは困難である。また、図3(c)に示すように、フレキシブル基板6の挿入後も、フレキシブル基板6にストレスがかかって、フレキシブル基板6が過度に曲がってしまう。
【0006】
このような不都合を回避するため、図4に示す従来の他の基板ユニット111では、電子部品4をFPCコネクタ3の前方領域以外の領域に配置している。しかしながら、FPCコネクタ3の前方領域は、電子部品等が配置できないデッドスペースとなるため、実装効率が低下してしまう。
【0007】
これに対し、図5に示すさらに他の基板ユニット121では、FPCコネクタ3を配線基板2の端部分に配置している。しかしながら、この構成では、FPCコネクタ3と基板ユニット121を搭載する電子機器の筐体面との距離が短くなるため、FPCコネクタ3に挿入されるフレキシブル基板6の長さが短くなり、挿入作業が困難となる。また、FPCコネクタ3に挿入されたフレキシブル基板6が、電子機器の筐体面に接触したり噛み込まれたりするなどの不具合が発生しやすい。
【0008】
また、図6(a)に示すように、FPCコネクタ3の挿入口3aの手前には段差が存在する。そのため、FPCコネクタ3の前方領域に電子部品等を設けない場合であっても、フレキシブル基板6をスムーズに挿入口3aに挿入するためには、図6(b)に示すように、FPCコネクタ3の前方領域に、挿入口3aの高さと同程度の厚さを有するスペーサ7を設ける必要がある。
【0009】
また、下記の特許文献1には、余分な空間を必要とせずに、複数のコネクタを基板に実装する技術が開示されている。図7(a)および(b)は、特許文献1に記載の基板接続装置201を示す斜視図である。
【0010】
図7(a)に示すように、基板接続装置201は、電気基板210と、電気基板210に実装された2つのコネクタ221・222とを備えている。電気基板210はフレキシブル基板であり、コネクタ221・222の間には穴部213が設けられている。
【0011】
図7(b)は、コネクタ221・222に挿入基板231・232がそれぞれ挿入された状態を示している。図7(b)に示すように、穴部213に隣接する両側の連絡部211a・211bで電気基板210を折り曲げることにより、コネクタ221とコネクタ222とは異なる高さに位置している。これにより、挿入基板231・232がコネクタ221・222に挿入可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−203432号公報(2001年7月27日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、図7(b)に示す構成において、コネクタ222を実装しない場合、コネクタ222を実装していた領域に他の電子部品を実装することができるので、コネクタ221の前方領域を活用することができる。このように、特許文献1に記載の技術を応用すれば、配線基板に1つのFPCコネクタを実装する場合に、FPCコネクタの前方領域に電子部品を実装できるため、電子部品の実装効率をある程度改善することができる。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を応用する場合、電子部品を実装するための配線基板は、折り曲げ可能なフレキシブル基板に限定される。また、配線基板を折り曲げるためにFPCコネクタの前方に穴部を設ける必要があるため、その穴部がデッドスペースとなる。
【0015】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、電子部品を配線基板に高密度に実装することができるとともに、フレキシブル基板を配線基板に良好な状態で接続することができる基板ユニットを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明に係る基板ユニットは、配線基板と、前記配線基板に実装され、フレキシブル基板を挿入するための挿入口を有するFPCコネクタとを備える基板ユニットであって、前記挿入口の前記配線基板の実装面に対する高さを、前記FPCコネクタを前記実装面に直接実装した場合の前記挿入口の前記実装面に対する高さよりも高くするかさ上げ部材を有することを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、かさ上げ部材によって、前記挿入口の前記配線基板の実装面に対する高さが、前記FPCコネクタを前記実装面に直接実装した場合の前記挿入口の前記実装面に対する高さよりも高くなるので、フレキシブル基板をFPCコネクタに挿入した場合に、フレキシブル基板と配線基板との間に十分な空間を確保することができる。そのため、FPCコネクタの前方の実装領域に部品を実装した場合であっても、当該部品によってフレキシブル基板に過度にストレスがかかることはない。
【0018】
また、FPCコネクタを配線基板の中央領域に実装した場合であっても、配線基板上に電子部品を高密度に実装することができるので、FPCコネクタを配線基板の端部分に配置する必要がない。そのため、配線基板を内蔵する電子機器の筐体面にフレキシブル基板が接触するといった不都合を回避することができる。
【0019】
したがって、電子部品を配線基板に高密度に実装することができるとともに、フレキシブル基板を配線基板に良好な状態で接続することができる基板ユニットを実現することができる。
【0020】
本発明に係る基板ユニットでは、前記挿入口の前記実装面に対する高さは、前記挿入口の前方の実装領域に実装される部品の高さよりも高いことが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、FPCコネクタに挿入されたフレキシブル基板と配線基板との間の距離が挿入口の前方の実装領域に実装される部品の高さよりも大きくなるので、当該部品によってフレキシブル基板にストレスがかかることはない。よって、フレキシブル基板を配線基板にさらに良好な状態で接続することができる。
【0022】
本発明に係る基板ユニットでは、前記挿入口の前方の実装領域を覆うシールド部材を有することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、FPCコネクタの挿入口にフレキシブル基板をシールド部材の上面を滑らせながら挿入することができる。また、図6(b)に示すようなスペーサを用いる必要がない。したがって、フレキシブル基板の挿入作業が容易になる。
【0024】
本発明に係る基板ユニットでは、前記シールド部材の上面の前記実装面に対する高さは、前記挿入口の前記実装面に対する高さと等しいことが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、フレキシブル基板の挿入作業をさらにスムーズにすることができる。
【0026】
本発明に係る基板ユニットでは、前記かさ上げ部材は、前記FPCコネクタの周辺部品を内蔵した部品内蔵基板であることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、FPCコネクタの周囲にFPCコネクタの周辺部品を配置する必要がなくなるため、部品などが実装可能な領域をさらに確保することができる。
【0028】
本発明に係る電子機器は、上述のいずれかの基板ユニットを備えることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、本発明に係る基板ユニットは、電子部品を配線基板に高密度に実装することができるので、電子機器の小型化を容易に図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明に係る基板ユニットは、配線基板と、前記配線基板に実装され、フレキシブル基板を挿入するための挿入口を有するFPCコネクタとを備える基板ユニットであって、前記挿入口の前記配線基板の実装面に対する高さを、前記FPCコネクタを前記実装面に直接実装した場合の前記挿入口の前記実装面に対する高さよりも高くするかさ上げ部材を有する構成である。したがって、電子部品を配線基板に高密度に実装することができるとともに、フレキシブル基板を配線基板に良好な状態で接続することができる基板ユニットを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係る基板ユニットの平面図であり、(b)は当該基板ユニットの断面図である。
【図2】(a)および(b)は、フレキシブル基板をFPCコネクタに挿入する場合の上記基板ユニットの断面図である。
【図3】(a)は、従来の基板ユニットを示す平面図であり、(b)および(c)は、当該基板ユニットを示す断面図である。
【図4】従来の他の基板ユニットを示す平面図である。
【図5】従来のさらに他の基板ユニットを示す平面図である。
【図6】(a)および(b)は、フレキシブル基板をFPCコネクタに挿入する場合の問題点を説明するための断面図である。
【図7】(a)および(b)は、特許文献1に記載の基板接続装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の一形態について図1ないし図2に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0033】
(基板ユニットの構成)
図1(a)は、本実施形態に係る基板ユニット1の平面図である。図1(a)に示すように、基板ユニット1は、配線基板2、FPCコネクタ3、電子部品4、部品内蔵基板8およびシールド部材9を備えている。FPCコネクタ3、電子部品4、部品内蔵基板8およびシールド部材9は、配線基板2上に実装されている。
【0034】
図1(b)は、基板ユニット1の断面図である。図1(b)に示すように、FPCコネクタ3は、フレキシブル基板(図中「FPC」と表記)6を挿入するための挿入口3aを有している。
【0035】
(部品内蔵基板)
部品内蔵基板8は、FPCコネクタ3とFPCコネクタ3の実装面との間に設けられており、FPCコネクタ3の挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さが、挿入口3aの前方の実装領域に実装される電子部品4の高さよりも高くなっている。すなわち、部品内蔵基板8は、FPCコネクタ3をかさ上げするかさ上げ部品として機能する。これにより、FPCコネクタ3を配線基板2上に直接実装する構成(図3(b)等参照)に比べ、挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さを高くすることができる。
【0036】
そのため、フレキシブル基板6をFPCコネクタ3に挿入した場合に、フレキシブル基板6と配線基板2との間に十分な空間を確保することができるので、電子部品4によってフレキシブル基板6にストレスがかかることはない。よって、FPCコネクタ3の前方の実装領域を、電子部品4などを実装する領域として活用することができる。
【0037】
また、FPCコネクタ3を配線基板2の中央領域に実装した場合であっても、配線基板2上に電子部品4を高密度に実装することができる。したがって、FPCコネクタ3を配線基板2の端部分に配置する必要がないため、フレキシブル基板6が電子機器の筐体面に接触するといった不都合を回避することができる。
【0038】
したがって、電子部品4を配線基板2に高密度に実装することができるとともに、フレキシブル基板6を配線基板2に良好な状態で接続することができる。
【0039】
さらに、部品内蔵基板8には、FPCコネクタ3に電気的に接続される周辺部品が内蔵されている。これにより、FPCコネクタ3の周囲にFPCコネクタ3の周辺部品を配置する必要がなくなるため、電子部品4などが実装可能な領域をさらに確保することができる。
【0040】
(シールド部材)
シールド部材9は、FPCコネクタ3の挿入口3aの前方の実装領域を覆っており、例えば矩形のキャップで構成される。シールド部材9の上面は滑らかな平面であり、さらに、シールド部材9の上面の配線基板2の実装面に対する高さは、FPCコネクタ3の挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さと等しくなっている。
【0041】
これにより、図2(a)および(b)に示すように、フレキシブル基板6を、シールド部材9の上面を滑らせながら、挿入口3aにスムーズに挿入することができる。また、図6(a)および(b)に示すスペーサ7を用いる必要がない。したがって、フレキシブル基板6の挿入作業が容易になる。
【0042】
(まとめ)
以上のように、本実施形態に係る基板ユニット1では、部品内蔵基板8が設けられていることにより、FPCコネクタ3の前方の実装領域に電子部品4などを実装可能とするとともに、FPCコネクタ3の周囲にFPCコネクタ3の周辺部品を設ける必要がない。そのため、FPCコネクタ3を配線基板2の中央領域に実装した場合であっても、配線基板2上に電子部品4を高密度に実装することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る基板ユニット1では、シールド部材9が設けられていることにより、フレキシブル基板6を挿入口3aにスムーズに挿入することができる。
【0044】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、FPCコネクタ3をかさ上げするかさ上げ部材として部品内蔵基板8を用いたが、本発明はこれに限定されない。上記かさ上げ部材は、FPCコネクタ3の挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さを高くする部材であればよく、単なるブロック材などであってもよい。これにより、FPCコネクタ3の前方の実装領域に、電子部品4などを配置することができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、FPCコネクタ3の挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さが、挿入口3aの前方の実装領域に実装される電子部品4の高さよりも高い構成であったが、本発明はこれに限定されない。フレキシブル基板6が挿入口3aに挿入された状態で電子部品4によって過度にストレスがかからない程度に、挿入口3aの高さを、挿入口3aの前方の実装領域に実装される電子部品4の高さよりも小さくしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、シールド部材9の上面の配線基板2の実装面に対する高さが、FPCコネクタ3の挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さと等しくなっていたが、本発明はこれに限定されない。シールド部材9の上面の配線基板2の実装面に対する高さが、FPCコネクタ3の挿入口3aの配線基板2の実装面に対する高さと若干異なっていても、シールド部材9を設けない場合に比べ、フレキシブル基板6を挿入口3aに容易に挿入することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る基板ユニットは、あらゆる電子機器に適用することができ、特に、小型の電子機器に好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 基板ユニット
2 配線基板
3 FPCコネクタ
3a 挿入口
4 電子部品(部品)
5 周辺部品
6 フレキシブル基板
7 スペーサ
8 部品内蔵基板
9 シールド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に実装され、フレキシブル基板を挿入するための挿入口を有するFPCコネクタとを備える基板ユニットであって、
前記挿入口の前記配線基板の実装面に対する高さを、前記FPCコネクタを前記実装面に直接実装した場合の前記挿入口の前記実装面に対する高さよりも高くするかさ上げ部材を有することを特徴とする基板ユニット。
【請求項2】
前記挿入口の前記実装面に対する高さは、前記挿入口の前方の実装領域に実装される部品の高さよりも高いことを特徴とする請求項1に記載の基板ユニット。
【請求項3】
前記挿入口の前方の実装領域を覆うシールド部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の基板ユニット。
【請求項4】
前記シールド部材の上面の前記実装面に対する高さは、前記挿入口の前記実装面に対する高さと等しいことを特徴とする請求項3に記載の基板ユニット。
【請求項5】
前記かさ上げ部材は、前記FPCコネクタの周辺部品を内蔵した部品内蔵基板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板ユニットを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105794(P2013−105794A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246922(P2011−246922)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】