基板内蔵用筐体
【課題】複数の基板に実装された発熱電子部品を従来に比べて小型で、かつ効率良く冷却可能な基板内蔵用筐体を提供する。
【解決手段】発熱電子部品3を少なくとも実装した複数の配線基板2を重ねて収納し熱を外部へ放散する基板内蔵用筐体101であって、各配線基板を当該基板内蔵用筐体の内側に取り付けるための複数の取付座111を備え、それぞれの取付座は、当該筐体の第1壁112と一体成形され、この第1壁の壁面から筐体内側へ突出し、配線基板を載置して配線基板に直接接触して配線基板の取り付けを行う。
【解決手段】発熱電子部品3を少なくとも実装した複数の配線基板2を重ねて収納し熱を外部へ放散する基板内蔵用筐体101であって、各配線基板を当該基板内蔵用筐体の内側に取り付けるための複数の取付座111を備え、それぞれの取付座は、当該筐体の第1壁112と一体成形され、この第1壁の壁面から筐体内側へ突出し、配線基板を載置して配線基板に直接接触して配線基板の取り付けを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に発熱する電子部品を実装した基板を内部に収納する基板内蔵用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱する電子部品が実装された基板を内部に収納して密閉する筐体では、発熱電子部品からの熱を自然冷却にて筐体外へ放散させるための工夫がなされている。また、筐体のみならず、発熱電子部品を実装する基板に対しても工夫が施されたものもある。例えば特許文献1では、発熱電子部品と弱耐熱性の電子部品とが同じ基板に実装される場合、基板における電子部品の配置を限定することで発熱電子部品から弱耐熱性電子部品へ熱が伝導し難くし、さらに発熱電子部品から弱耐熱性電子部品への伝熱経路に放熱用部品を設けたり、さらにその放熱用部品と筐体内壁との間に柔軟性を有する伝熱部材を設けたりという工夫がなされている。
【0003】
また特許文献2では、筐体の内面に赤外線放射率の高い表面処理を施し、筐体内部の熱の吸収特性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−211043号公報
【特許文献2】特開平4−84496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示される筐体においては、以下のような問題がある。即ち、発熱電子部品から弱耐熱性電子部品への伝熱経路の途中に設けた放熱用部品は、伝熱部材を介して筐体内壁に接続されるという構成を採っている。よって、発熱電子部品、放熱用部品、及び弱耐熱性電子部品を有する基板が複数枚、設置される場合には、各基板を平面的に互いに重なって配置すると、放熱用部品が筐体内壁に接続できない基板も生じる。よって、筐体内壁に対面できない基板には、弱耐熱性電子部品を実装できないという制約が生じたり、あるいは各基板を平面的にずらして配置したときには筐体全体が大型化するという問題が生じたりする。また、特許文献1では筐体に対する基板の取り付け方法は開示されておらず、基板自体から筐体へどのように熱伝導がなされるのか不明である。
【0006】
また、特許文献2では、筐体内に設置される回路基板は、スペーサを介して筐体に取り付けられており、回路基板自体から筐体への熱伝導は良くない。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、各基板に発熱電子部品が実装され、各基板の発熱電子部品を従来に比べて小型で、かつ効率良く冷却可能な基板内蔵用筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における基板内蔵用筐体は、発熱する電子部品を少なくとも実装した複数の配線基板を、配線基板の板厚方向において重ねて内側に収納し密閉する筐体で、上記電子部品から放出される熱を自然対流で当該筐体を介して外部へ放散する基板内蔵用筐体であって、各配線基板を当該基板内蔵用筐体の内側に取り付けるための複数の取付座を備え、それぞれの取付座は、当該基板内蔵用筐体の壁部の内、配線基板の板厚方向に沿った第1壁の壁面から筐体内側へ突出して第1壁と一体成形され、上記配線基板を載置して配線基板に直接接触して配線基板の取り付けを行う載置面を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様における基板内蔵用筐体によれば、筐体の内壁と一体成形された取付座を備え、この取付座に直接に配線基板を取り付けるように構成した。よって、発熱電子部品から配線基板及び取付座を介して筐体への熱伝導が従来に比べて良くなり、発熱電子部品を効率良く冷却することができ、かつ、筐体全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図2】図1に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の一例を説明するための図である。
【図3】図1に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の他の例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態2における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図5】図4に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の一例を説明するための図である。
【図6】図4に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の他の例を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態3における基板内蔵用筐体を示す図であり、(a)は図10におけるIII−III方向断面図、(b)は図10におけるI−I方向断面図、(c)は図10におけるII−II方向断面図を示す。
【図8】図7に示す基板内蔵用筐体における取付座の配置例を説明するための図であり、当該基板内蔵用筐体の、(a)は図10におけるIII−III方向断面図、(b)は図10におけるI−I方向断面図、(c)は図10におけるII−II方向断面図を示す。
【図9】図7に示す基板内蔵用筐体における取付座の配置例を説明するための図であり、当該基板内蔵用筐体の、(a)は図10におけるIII−III方向断面図、(b)は図10におけるI−I方向断面図、(c)は図10におけるII−II方向断面図を示す。
【図10】本発明の実施の形態4における基板内蔵用筐体の構成を説明するための斜視図である。
【図11】図10に示す基板内蔵用筐体における取付座部分のI−I方向断面図である。
【図12】本発明の実施の形態5における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図13】本発明の実施の形態6における基板内蔵用筐体の取付座部分の図10におけるI−I方向断面図である。
【図14】本発明の実施の形態7における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図15A】本発明の実施の形態8における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図15B】図15Aに示す基板内蔵用筐体の上面図である。
【図15C】図15Aに示す基板内蔵用筐体の正面図である。
【図16】本発明の各実施の形態における配線基板の取付形態を模式的に示す図10におけるII−II方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態である基板内蔵用筐体について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
以下に説明する各実施形態における基板内蔵用筐体は、発熱する電子部品を少なくとも実装した配線基板を複数枚収納し、かつ、配線基板の板厚方向において重ねて内側に収納して密閉する筐体であり、発熱電子部品から放出される熱を自然対流で当該筐体を介して外部へ放散する筐体である。以下では、このような基板内蔵用筐体の種々の実施形態について説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における基板内蔵用筐体101を示している。基板内蔵用筐体101は、金属製又は樹脂製の2つの筐体部品10a,10bから構成される。各筐体部品10a,10bは、断面がコ字状の凹形状であり、筐体部品10a,10bのそれぞれにおける開口部10cを対向させてネジ止め(不図示)などにより連結される。本実施形態では、筐体部品10bの外壁13には、放熱用のフィン5が取り付けられている。このように構成される基板内蔵用筐体101は、その筐体内側101aに、2枚の配線基板2を収納して密閉される。
【0013】
各配線基板2は、一又は複数個の発熱する電子部品(発熱電子部品)3を少なくとも実装しており、筐体内側101aにおいて、配線基板2の板厚方向2aにて重ねて配置される。尚、配線基板2には発熱電子部品3以外の種類の電子部品を実装可能である。このように各配線基板2を筐体内側101aに配置するため、筐体部品10a,10bは、配線基板2用の取付座111を複数箇所に有する。
【0014】
取付座111は、基板内蔵用筐体101の壁部の内、配線基板2の板厚方向2aに沿った第1壁112と一体成形され、第1壁112の内壁112aから筐体内側101aへ突出する。このような取付座111は、配線基板2を載置し配線基板2に直接接触する載置面111aを有する。載置面111aに載置、支持された配線基板2は、ねじ6により取付座111に取り付けられる。また、取付座111は、図2に示すように筐体部品10a,10bの角部や、図3に示すように筐体部品10a,10bの第1壁112の途中に形成することができる。
【0015】
筐体部品10a,10bに取付座111を設けることで、配線基板2に実装された発熱電子部品3と筐体部品10a,10bとの間の熱抵抗は、従来のように筐体と配線基板との間にスペーサを介する場合に比べて小さくなる。したがって、各配線基板2に実装された発熱電子部品3の熱は、効率よく筐体部品10a,10bへ伝熱することができる。また、本実施形態では、従来のような放熱用部品が伝熱部材を介して筐体内壁に接続されるような構成を採っていない。よって、上述のように複数の配線基板2を互いに重ねて配置することができ、基板内蔵用筐体101の全体を小型化することもできる。
【0016】
実施の形態2.
図4には、本発明の実施の形態2における基板内蔵用筐体102が示されている。実施形態1では、筐体部品10a,10bのそれぞれに配線基板2が取り付けられる構成であるが、この実施の形態2では、一方の筐体部品のみに複数の配線基板2が取り付けられる構成を採る。尚、以下の説明では、相違する構成部分のみについて説明を行い、その他の部分については説明を省略する。
【0017】
本実施の形態2における基板内蔵用筐体102は、上述の筐体部品10a,10bに対応する筐体部品20a,20bから構成され、筐体部品20bのみに取付座111が形成されている。筐体部品20bにおいて、取付座111は、筐体部品20bの第1壁112の内壁112aに階段状に形成される。取付座111をこのように配置することで、各取付座111において、それぞれの載置面111aは、配線基板2の板厚方向2aにおける投影面で重ならない。よって、複数の配線基板2を、板厚方向2aにおいて重ねて筐体部品20bのみに取り付けることができる。
【0018】
また、取付座111は、図5に示すように筐体部品20bにおける角部や、図6に示すように筐体部品20bの第1壁112の途中に形成することができる。
このように構成される実施の形態2における基板内蔵用筐体102は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。
【0019】
実施の形態3.
図7から図9には、本発明の実施の形態3における基板内蔵用筐体103が示されている。尚、図7から図9のそれぞれにおいて、(a)は平面図を、(b)は(a)の正面図を、(c)は(b)の右側面図をそれぞれ示している。
基板内蔵用筐体103は、上述の実施の形態1、2と同様に、筐体部品30a,30bから構成される。尚、図7から図9は、筐体部品30a,30bのいずれか一方について図示している。上述の各実施形態に対する本実施形態3の基板内蔵用筐体103の相違点は、取付座111の配置形態及び配線基板2の枚数である。よって、以下の説明では、相違する構成部分のみについて説明を行い、その他の部分については説明を省略する。
【0020】
取付座111は、筐体部品30a,30bの少なくとも一方において、上述の実施形態の構成と同様に、第1壁112の内壁112aに形成される。また本実施の形態3では、筐体部品30a,30bの少なくとも一方において、3枚の配線基板2を設けることから、例えば図7に示すように、各取付座111の載置面111aが板厚方向2aにおける投影面において互いに重ならないように配置される。載置面111aの配置は、図8や図9に示すように配置してもよい。ここで、図8に示される配置は、配線基板2の延在方向2bに平行移動させた形態であり、図8の(a)、(b)における左右方向にのみ階段状に取付座111が設けられる。また、図9に示される配置は、図9の(a)において左右及び上下に配線基板2を平行移動させた形態であり、取付座111は、図9に示すように図の上下及び左右方向に階段状となる形態で形成される。
【0021】
このように構成される実施の形態3における基板内蔵用筐体103は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。
【0022】
実施の形態4.
図10及び図11には、本発明の実施の形態4における基板内蔵用筐体104が示されている。この基板内蔵用筐体104は、第1蓋型筐体41と、第2蓋型筐体42と、枠型筐体43とで構成される。第1蓋型筐体41及び第2蓋型筐体42は、当該基板内蔵用筐体104の内側を密閉する閉止板材41a、42aを有する凹形状の筐体である。枠型筐体43は、第1蓋型筐体41と第2蓋型筐体42とに挟まれて配置され、閉止板材の無い枠形状(□形状)で一又は複数個から構成される筐体である。枠型筐体43の内側を閉止するように、その両側に第1蓋型筐体41及び第2蓋型筐体42が例えばねじ等により固定される。
【0023】
基板内蔵用筐体104では、取付座111は、図11に示すように枠型筐体43における第1壁112の内壁112aに形成される。よって枠型筐体43は、2枚の配線基板2を取り付ける。また、2枚の配線基板2の少なくとも一方において、発熱電子部品3の上面に接するようにして熱伝導部材4が取付座111間に橋渡される。熱伝導部材4は、高熱伝導率を有する板材であり、例えばアルミニウムや銅の金属板である。
【0024】
取付座111が図11に示す形態である場合、同じ大きさの配線基板2を枠型筐体43に取り付けることができる。また、取付座111は、実施の形態2、3で説明したような階段状の形態を採っても良い。
【0025】
このように構成される実施の形態4における基板内蔵用筐体104は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。
【0026】
実施の形態5.
図12には、本発明の実施の形態5における基板内蔵用筐体105が示されている。基板内蔵用筐体105は、実施の形態4でも説明した、高熱伝導率を有する熱伝導部材4を設ける構成を有する。基板内蔵用筐体105を構成する筐体部品50は、実施の形態1〜3にて説明した、筐体部品10a,10b、20a,20b、30a,30bに相当する。また、筐体部品50において熱伝導部材4は、実施の形態4で説明したように、配線基板2に実装されている発熱電子部品3の上面に接するようにして、取付座111間に橋渡されたり、あるいは筐体部品50の第1壁112の内壁112aにその一端を接続している。
【0027】
このように構成される実施の形態5における基板内蔵用筐体105は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。さらに基板内蔵用筐体105は、以下に説明する効果を奏することができる。
【0028】
即ち、発熱電子部品3及び低耐熱性の電子部品が同じ配線基板2に実装されている場合、発熱電子部品3の発する熱が配線基板2を伝導して低耐熱性電子部品に達し、低耐熱性電子部品が破壊される恐れもある。
そこで本実施の形態5のように、取付座111間等に熱伝導部材4を設けることで、発熱電子部品3が発する熱は、配線基板2のみならず熱伝導部材4にも伝導される。このように発熱電子部品3から筐体部品50への伝熱経路が増加することから、低耐熱性電子部品の破壊の恐れを低減することができる。また、低耐熱性電子部品が許容可能であれば、同一又は別の高熱伝導部材4を低耐熱性電子部品に接するようにして、筐体部品50の壁面に直交するように取り付けることで、さらに放熱効果を得ることができる。
【0029】
実施の形態6.
図13には、本発明の実施の形態6における基板内蔵用筐体106が示されており、基板内蔵用筐体106は、筐体部品60を有する。ここで筐体部品60は、実施の形態1〜5にて説明した、筐体部品10a,10b、20a,20b、30a,30b、50、及び枠型筐体43に相当する。また、配線基板2は、絶縁層207、配線パターン208、及びグランドパターン209を含み、発熱電子部品3は、配線パターン208及びグランドパターン209に接続されている。また、グランドパターン209は、取付座111、より詳しくは取付座111における配線基板2の載置面111aと接触する部分には露出部209aを有し、グランドパターン209と露出部209aとは接続している。本実施形態では、グランドパターン209及び露出部209aは、熱伝導性が良い銅材にて形成されている。
【0030】
このように構成される実施の形態6における基板内蔵用筐体106は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができ、さらに以下の効果を得ることができる。
【0031】
即ち、上述のように、グランドパターン209には発熱電子部品3が接続されており、また、グランドパターン209は、露出部209aを介して筐体部品60の取付座111と直接に接触することになる。よって、発熱電子部品3の熱は、グランドパターン209、露出部209a、及び取付座111を介して筐体部品60へ伝導する。したがって、配線基板2における絶縁層207と筐体部品60の取付座111とを接触させた場合に比べて、より効率的に発熱電子部品3を冷却することが可能となる。
【0032】
実施の形態7.
図14には、本発明の実施の形態7における基板内蔵用筐体107が示されており、基板内蔵用筐体107は筐体部品70を有する。ここで筐体部品70は、実施の形態1〜3にて説明した、筐体部品10a,10b、20a,20b、30a,30bに相当する。また、基板内蔵用筐体107について、実施の形態4〜6における構成を適用することもできる。
【0033】
筐体部品70において、配線基板2の延在方向2bに沿った第2壁71の内壁71aは、配線基板2に実装された電子部品の形状に対応した凹凸形状72を有する。また、筐体部品70の外壁には放熱フィン5を設けている。ここで放熱フィン5は、筐体部品70において、外側へ最も突出した部分73に、放熱フィン5の先端を揃えて形成されている。
【0034】
このように構成される実施の形態7における基板内蔵用筐体107は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができ、さらに以下の効果を得ることができる。即ち、筐体部品70における第2壁71の内壁71aを凹凸形状72とし、かつ放熱フィン5の先端を揃えることにより、例えば実施の形態1における筐体部品10a,10bでは単に空間であった電子部品と筐体内壁との隙間が狭くなり、隙間が狭くなった分、放熱フィン5の長さが大きくなる。よって、より多くの放熱フィン5の容積を筐体部品70に確保でき、より効率的な発熱電子部品3の冷却が可能となる。
【0035】
実施の形態8.
図15Aから図15Cには、本発明の実施の形態8における基板内蔵用筐体108が示されている。本基板内蔵用筐体108は、図10を参照して説明した基板内蔵用筐体104の構成に準じた構成であり、さらに、上述の実施の形態7の構成を筐体部品41に対して適用した構成を備える。また、配線基板2には、発熱電子部品3の他に、電磁波の送受信素子8が実装されている。よって、基板内蔵用筐体108は、電磁波の送受信機器用基板の筐体であり、そのためさらに以下のような構成を有する。
【0036】
即ち、送受信素子8からの送信信号及び受信信号を感度よく送受信できるように、送受信素子8に隣接する第2蓋型筐体42は、信号を減衰しにくい樹脂で構成されている。また、送信信号及び受信信号への外乱を抑制するため、送受信素子8に対向する、第2蓋型筐体42における第2壁42bの厚さは一定であるのが好ましく、さらに凹凸などがないのが好ましい。本実施形態では、第2壁42bの厚さは一定であり、第2壁42bに凹凸は形成していない。
【0037】
また、送受信素子8からの漏れ磁界を抑制するために、送受信素子8を設けた配線基板2とその他の配線基板2との間に防磁板を装着しても良い。また、当該防磁板を高熱伝導材料4として用いても良い。
【0038】
また、図15B及び図15Cに示すように制御信号配線や電力供給配線の配線81及びそのピン81aを一括して筐体壁に設けても良く、好ましくは重力方向2cに関する上下面、さらに好ましくは上面に設ける方が、筐体周りの自然対流を阻害せず、より高効率に放熱することができる。尚、図15Cにおいて、重力方向2cの矢印の向きが地面側を示す。
【0039】
さらに、基板内蔵用筐体108を屋外で使用する場合には、基板内蔵用筐体108は水密構造であるのが好ましく、基板内蔵用筐体108を構成する各筐体部品41,42,43間にO−リング、パッキンや接着剤などのシール材を施すのが好ましい。この場合、基板内蔵用筐体108の内側が動作時に高温になり、内部空気が膨張し内圧が上昇することがあるので、図15B及び図15Cに示すように防水通気栓82を設けても良い。防水通気栓82の取付位置は、配線81の取付位置と同様に筐体壁である。
【0040】
尚、本実施形態では、基板内蔵用筐体104の構成に準じた構成を例に採ったが、この構成に限定されず、その他の実施の形態における構成における筐体内に電磁波の送受信素子8を内装することもできる。
また、電磁波の送受信素子8の一例として、ミリ波を送受信する素子が相当し、また、このような電磁波の送受信機器用基板は、例えば車に搭載される。
【0041】
以上、各実施の形態について説明したが、構成は上述したものに限定するものではなく、以下に説明するような変形例を採ることができる。
例えば、各実施の形態1〜8では、配線基板2を取付座111に固定するために、ねじ6を用いたが、ねじ6に限定するものではなく、ボルト・ナット、リベットなどで固定しても良い。
また、図11に示すように、取付座111の両側から配線基板2を取り付ける場合、配線基板2を取り付けるためのねじ穴は貫通させておき、1セットのボルト・ナットで固定しても良い。
【0042】
また、図16に一例を示すように、配線基板2の外形形状は、どのような形でも良く、配線基板2の取付け部が投影面で重ならなければ上述した構成でなくても良い。
また、高熱伝導材料4と筐体部品との固定方法は、ねじ、溶接などによって取り付けても良く、筐体部品と一体成形しても良い。
【0043】
放熱フィン5の大きさや、各放熱フィン5の間隔は、どのような形でも良く、放熱フィン5が不要であれば取り付けなくても良い。
また、放熱フィン5を有する筐体部品10b等において、内部電子部品の高さが高い部品に隣接する部分を、内側、外側共に平滑面とし、機器に関するラベルなどを貼り付けても良い。なお、このような構成を達成するために、電子部品の高さが高い部品を密集させても良い。
【0044】
また、各実施の形態1〜8を示す図では、筐体部品は、2つあるいは3つの場合しか示していないが、筐体部品の個数に制限は無く、いくつでも良い。
【符号の説明】
【0045】
2 配線基板、2c 重力方向、3 発熱電子部品、4 熱伝導部材、
5 放熱フィン、8 送受信素子、41 第1蓋型筐体、42 第2蓋型筐体、
43 枠型筐体、71 第2壁、72 凹凸形状、
81 配線、81a 配線ピン、82 防水通気栓、
101〜108 基板内蔵用筐体、111 取付座、112 第1壁、
209 グランドパターン、209a 露出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に発熱する電子部品を実装した基板を内部に収納する基板内蔵用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱する電子部品が実装された基板を内部に収納して密閉する筐体では、発熱電子部品からの熱を自然冷却にて筐体外へ放散させるための工夫がなされている。また、筐体のみならず、発熱電子部品を実装する基板に対しても工夫が施されたものもある。例えば特許文献1では、発熱電子部品と弱耐熱性の電子部品とが同じ基板に実装される場合、基板における電子部品の配置を限定することで発熱電子部品から弱耐熱性電子部品へ熱が伝導し難くし、さらに発熱電子部品から弱耐熱性電子部品への伝熱経路に放熱用部品を設けたり、さらにその放熱用部品と筐体内壁との間に柔軟性を有する伝熱部材を設けたりという工夫がなされている。
【0003】
また特許文献2では、筐体の内面に赤外線放射率の高い表面処理を施し、筐体内部の熱の吸収特性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−211043号公報
【特許文献2】特開平4−84496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示される筐体においては、以下のような問題がある。即ち、発熱電子部品から弱耐熱性電子部品への伝熱経路の途中に設けた放熱用部品は、伝熱部材を介して筐体内壁に接続されるという構成を採っている。よって、発熱電子部品、放熱用部品、及び弱耐熱性電子部品を有する基板が複数枚、設置される場合には、各基板を平面的に互いに重なって配置すると、放熱用部品が筐体内壁に接続できない基板も生じる。よって、筐体内壁に対面できない基板には、弱耐熱性電子部品を実装できないという制約が生じたり、あるいは各基板を平面的にずらして配置したときには筐体全体が大型化するという問題が生じたりする。また、特許文献1では筐体に対する基板の取り付け方法は開示されておらず、基板自体から筐体へどのように熱伝導がなされるのか不明である。
【0006】
また、特許文献2では、筐体内に設置される回路基板は、スペーサを介して筐体に取り付けられており、回路基板自体から筐体への熱伝導は良くない。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、各基板に発熱電子部品が実装され、各基板の発熱電子部品を従来に比べて小型で、かつ効率良く冷却可能な基板内蔵用筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における基板内蔵用筐体は、発熱する電子部品を少なくとも実装した複数の配線基板を、配線基板の板厚方向において重ねて内側に収納し密閉する筐体で、上記電子部品から放出される熱を自然対流で当該筐体を介して外部へ放散する基板内蔵用筐体であって、各配線基板を当該基板内蔵用筐体の内側に取り付けるための複数の取付座を備え、それぞれの取付座は、当該基板内蔵用筐体の壁部の内、配線基板の板厚方向に沿った第1壁の壁面から筐体内側へ突出して第1壁と一体成形され、上記配線基板を載置して配線基板に直接接触して配線基板の取り付けを行う載置面を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様における基板内蔵用筐体によれば、筐体の内壁と一体成形された取付座を備え、この取付座に直接に配線基板を取り付けるように構成した。よって、発熱電子部品から配線基板及び取付座を介して筐体への熱伝導が従来に比べて良くなり、発熱電子部品を効率良く冷却することができ、かつ、筐体全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図2】図1に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の一例を説明するための図である。
【図3】図1に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の他の例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態2における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図5】図4に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の一例を説明するための図である。
【図6】図4に示す基板内蔵用筐体における取付座の設置場所の他の例を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態3における基板内蔵用筐体を示す図であり、(a)は図10におけるIII−III方向断面図、(b)は図10におけるI−I方向断面図、(c)は図10におけるII−II方向断面図を示す。
【図8】図7に示す基板内蔵用筐体における取付座の配置例を説明するための図であり、当該基板内蔵用筐体の、(a)は図10におけるIII−III方向断面図、(b)は図10におけるI−I方向断面図、(c)は図10におけるII−II方向断面図を示す。
【図9】図7に示す基板内蔵用筐体における取付座の配置例を説明するための図であり、当該基板内蔵用筐体の、(a)は図10におけるIII−III方向断面図、(b)は図10におけるI−I方向断面図、(c)は図10におけるII−II方向断面図を示す。
【図10】本発明の実施の形態4における基板内蔵用筐体の構成を説明するための斜視図である。
【図11】図10に示す基板内蔵用筐体における取付座部分のI−I方向断面図である。
【図12】本発明の実施の形態5における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図13】本発明の実施の形態6における基板内蔵用筐体の取付座部分の図10におけるI−I方向断面図である。
【図14】本発明の実施の形態7における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図15A】本発明の実施の形態8における基板内蔵用筐体の図10におけるI−I方向断面図である。
【図15B】図15Aに示す基板内蔵用筐体の上面図である。
【図15C】図15Aに示す基板内蔵用筐体の正面図である。
【図16】本発明の各実施の形態における配線基板の取付形態を模式的に示す図10におけるII−II方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態である基板内蔵用筐体について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
以下に説明する各実施形態における基板内蔵用筐体は、発熱する電子部品を少なくとも実装した配線基板を複数枚収納し、かつ、配線基板の板厚方向において重ねて内側に収納して密閉する筐体であり、発熱電子部品から放出される熱を自然対流で当該筐体を介して外部へ放散する筐体である。以下では、このような基板内蔵用筐体の種々の実施形態について説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における基板内蔵用筐体101を示している。基板内蔵用筐体101は、金属製又は樹脂製の2つの筐体部品10a,10bから構成される。各筐体部品10a,10bは、断面がコ字状の凹形状であり、筐体部品10a,10bのそれぞれにおける開口部10cを対向させてネジ止め(不図示)などにより連結される。本実施形態では、筐体部品10bの外壁13には、放熱用のフィン5が取り付けられている。このように構成される基板内蔵用筐体101は、その筐体内側101aに、2枚の配線基板2を収納して密閉される。
【0013】
各配線基板2は、一又は複数個の発熱する電子部品(発熱電子部品)3を少なくとも実装しており、筐体内側101aにおいて、配線基板2の板厚方向2aにて重ねて配置される。尚、配線基板2には発熱電子部品3以外の種類の電子部品を実装可能である。このように各配線基板2を筐体内側101aに配置するため、筐体部品10a,10bは、配線基板2用の取付座111を複数箇所に有する。
【0014】
取付座111は、基板内蔵用筐体101の壁部の内、配線基板2の板厚方向2aに沿った第1壁112と一体成形され、第1壁112の内壁112aから筐体内側101aへ突出する。このような取付座111は、配線基板2を載置し配線基板2に直接接触する載置面111aを有する。載置面111aに載置、支持された配線基板2は、ねじ6により取付座111に取り付けられる。また、取付座111は、図2に示すように筐体部品10a,10bの角部や、図3に示すように筐体部品10a,10bの第1壁112の途中に形成することができる。
【0015】
筐体部品10a,10bに取付座111を設けることで、配線基板2に実装された発熱電子部品3と筐体部品10a,10bとの間の熱抵抗は、従来のように筐体と配線基板との間にスペーサを介する場合に比べて小さくなる。したがって、各配線基板2に実装された発熱電子部品3の熱は、効率よく筐体部品10a,10bへ伝熱することができる。また、本実施形態では、従来のような放熱用部品が伝熱部材を介して筐体内壁に接続されるような構成を採っていない。よって、上述のように複数の配線基板2を互いに重ねて配置することができ、基板内蔵用筐体101の全体を小型化することもできる。
【0016】
実施の形態2.
図4には、本発明の実施の形態2における基板内蔵用筐体102が示されている。実施形態1では、筐体部品10a,10bのそれぞれに配線基板2が取り付けられる構成であるが、この実施の形態2では、一方の筐体部品のみに複数の配線基板2が取り付けられる構成を採る。尚、以下の説明では、相違する構成部分のみについて説明を行い、その他の部分については説明を省略する。
【0017】
本実施の形態2における基板内蔵用筐体102は、上述の筐体部品10a,10bに対応する筐体部品20a,20bから構成され、筐体部品20bのみに取付座111が形成されている。筐体部品20bにおいて、取付座111は、筐体部品20bの第1壁112の内壁112aに階段状に形成される。取付座111をこのように配置することで、各取付座111において、それぞれの載置面111aは、配線基板2の板厚方向2aにおける投影面で重ならない。よって、複数の配線基板2を、板厚方向2aにおいて重ねて筐体部品20bのみに取り付けることができる。
【0018】
また、取付座111は、図5に示すように筐体部品20bにおける角部や、図6に示すように筐体部品20bの第1壁112の途中に形成することができる。
このように構成される実施の形態2における基板内蔵用筐体102は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。
【0019】
実施の形態3.
図7から図9には、本発明の実施の形態3における基板内蔵用筐体103が示されている。尚、図7から図9のそれぞれにおいて、(a)は平面図を、(b)は(a)の正面図を、(c)は(b)の右側面図をそれぞれ示している。
基板内蔵用筐体103は、上述の実施の形態1、2と同様に、筐体部品30a,30bから構成される。尚、図7から図9は、筐体部品30a,30bのいずれか一方について図示している。上述の各実施形態に対する本実施形態3の基板内蔵用筐体103の相違点は、取付座111の配置形態及び配線基板2の枚数である。よって、以下の説明では、相違する構成部分のみについて説明を行い、その他の部分については説明を省略する。
【0020】
取付座111は、筐体部品30a,30bの少なくとも一方において、上述の実施形態の構成と同様に、第1壁112の内壁112aに形成される。また本実施の形態3では、筐体部品30a,30bの少なくとも一方において、3枚の配線基板2を設けることから、例えば図7に示すように、各取付座111の載置面111aが板厚方向2aにおける投影面において互いに重ならないように配置される。載置面111aの配置は、図8や図9に示すように配置してもよい。ここで、図8に示される配置は、配線基板2の延在方向2bに平行移動させた形態であり、図8の(a)、(b)における左右方向にのみ階段状に取付座111が設けられる。また、図9に示される配置は、図9の(a)において左右及び上下に配線基板2を平行移動させた形態であり、取付座111は、図9に示すように図の上下及び左右方向に階段状となる形態で形成される。
【0021】
このように構成される実施の形態3における基板内蔵用筐体103は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。
【0022】
実施の形態4.
図10及び図11には、本発明の実施の形態4における基板内蔵用筐体104が示されている。この基板内蔵用筐体104は、第1蓋型筐体41と、第2蓋型筐体42と、枠型筐体43とで構成される。第1蓋型筐体41及び第2蓋型筐体42は、当該基板内蔵用筐体104の内側を密閉する閉止板材41a、42aを有する凹形状の筐体である。枠型筐体43は、第1蓋型筐体41と第2蓋型筐体42とに挟まれて配置され、閉止板材の無い枠形状(□形状)で一又は複数個から構成される筐体である。枠型筐体43の内側を閉止するように、その両側に第1蓋型筐体41及び第2蓋型筐体42が例えばねじ等により固定される。
【0023】
基板内蔵用筐体104では、取付座111は、図11に示すように枠型筐体43における第1壁112の内壁112aに形成される。よって枠型筐体43は、2枚の配線基板2を取り付ける。また、2枚の配線基板2の少なくとも一方において、発熱電子部品3の上面に接するようにして熱伝導部材4が取付座111間に橋渡される。熱伝導部材4は、高熱伝導率を有する板材であり、例えばアルミニウムや銅の金属板である。
【0024】
取付座111が図11に示す形態である場合、同じ大きさの配線基板2を枠型筐体43に取り付けることができる。また、取付座111は、実施の形態2、3で説明したような階段状の形態を採っても良い。
【0025】
このように構成される実施の形態4における基板内蔵用筐体104は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。
【0026】
実施の形態5.
図12には、本発明の実施の形態5における基板内蔵用筐体105が示されている。基板内蔵用筐体105は、実施の形態4でも説明した、高熱伝導率を有する熱伝導部材4を設ける構成を有する。基板内蔵用筐体105を構成する筐体部品50は、実施の形態1〜3にて説明した、筐体部品10a,10b、20a,20b、30a,30bに相当する。また、筐体部品50において熱伝導部材4は、実施の形態4で説明したように、配線基板2に実装されている発熱電子部品3の上面に接するようにして、取付座111間に橋渡されたり、あるいは筐体部品50の第1壁112の内壁112aにその一端を接続している。
【0027】
このように構成される実施の形態5における基板内蔵用筐体105は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができる。さらに基板内蔵用筐体105は、以下に説明する効果を奏することができる。
【0028】
即ち、発熱電子部品3及び低耐熱性の電子部品が同じ配線基板2に実装されている場合、発熱電子部品3の発する熱が配線基板2を伝導して低耐熱性電子部品に達し、低耐熱性電子部品が破壊される恐れもある。
そこで本実施の形態5のように、取付座111間等に熱伝導部材4を設けることで、発熱電子部品3が発する熱は、配線基板2のみならず熱伝導部材4にも伝導される。このように発熱電子部品3から筐体部品50への伝熱経路が増加することから、低耐熱性電子部品の破壊の恐れを低減することができる。また、低耐熱性電子部品が許容可能であれば、同一又は別の高熱伝導部材4を低耐熱性電子部品に接するようにして、筐体部品50の壁面に直交するように取り付けることで、さらに放熱効果を得ることができる。
【0029】
実施の形態6.
図13には、本発明の実施の形態6における基板内蔵用筐体106が示されており、基板内蔵用筐体106は、筐体部品60を有する。ここで筐体部品60は、実施の形態1〜5にて説明した、筐体部品10a,10b、20a,20b、30a,30b、50、及び枠型筐体43に相当する。また、配線基板2は、絶縁層207、配線パターン208、及びグランドパターン209を含み、発熱電子部品3は、配線パターン208及びグランドパターン209に接続されている。また、グランドパターン209は、取付座111、より詳しくは取付座111における配線基板2の載置面111aと接触する部分には露出部209aを有し、グランドパターン209と露出部209aとは接続している。本実施形態では、グランドパターン209及び露出部209aは、熱伝導性が良い銅材にて形成されている。
【0030】
このように構成される実施の形態6における基板内蔵用筐体106は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができ、さらに以下の効果を得ることができる。
【0031】
即ち、上述のように、グランドパターン209には発熱電子部品3が接続されており、また、グランドパターン209は、露出部209aを介して筐体部品60の取付座111と直接に接触することになる。よって、発熱電子部品3の熱は、グランドパターン209、露出部209a、及び取付座111を介して筐体部品60へ伝導する。したがって、配線基板2における絶縁層207と筐体部品60の取付座111とを接触させた場合に比べて、より効率的に発熱電子部品3を冷却することが可能となる。
【0032】
実施の形態7.
図14には、本発明の実施の形態7における基板内蔵用筐体107が示されており、基板内蔵用筐体107は筐体部品70を有する。ここで筐体部品70は、実施の形態1〜3にて説明した、筐体部品10a,10b、20a,20b、30a,30bに相当する。また、基板内蔵用筐体107について、実施の形態4〜6における構成を適用することもできる。
【0033】
筐体部品70において、配線基板2の延在方向2bに沿った第2壁71の内壁71aは、配線基板2に実装された電子部品の形状に対応した凹凸形状72を有する。また、筐体部品70の外壁には放熱フィン5を設けている。ここで放熱フィン5は、筐体部品70において、外側へ最も突出した部分73に、放熱フィン5の先端を揃えて形成されている。
【0034】
このように構成される実施の形態7における基板内蔵用筐体107は、実施の形態1の基板内蔵用筐体101と同様に、伝熱効率の向上及び筐体の小型化を図ることができ、さらに以下の効果を得ることができる。即ち、筐体部品70における第2壁71の内壁71aを凹凸形状72とし、かつ放熱フィン5の先端を揃えることにより、例えば実施の形態1における筐体部品10a,10bでは単に空間であった電子部品と筐体内壁との隙間が狭くなり、隙間が狭くなった分、放熱フィン5の長さが大きくなる。よって、より多くの放熱フィン5の容積を筐体部品70に確保でき、より効率的な発熱電子部品3の冷却が可能となる。
【0035】
実施の形態8.
図15Aから図15Cには、本発明の実施の形態8における基板内蔵用筐体108が示されている。本基板内蔵用筐体108は、図10を参照して説明した基板内蔵用筐体104の構成に準じた構成であり、さらに、上述の実施の形態7の構成を筐体部品41に対して適用した構成を備える。また、配線基板2には、発熱電子部品3の他に、電磁波の送受信素子8が実装されている。よって、基板内蔵用筐体108は、電磁波の送受信機器用基板の筐体であり、そのためさらに以下のような構成を有する。
【0036】
即ち、送受信素子8からの送信信号及び受信信号を感度よく送受信できるように、送受信素子8に隣接する第2蓋型筐体42は、信号を減衰しにくい樹脂で構成されている。また、送信信号及び受信信号への外乱を抑制するため、送受信素子8に対向する、第2蓋型筐体42における第2壁42bの厚さは一定であるのが好ましく、さらに凹凸などがないのが好ましい。本実施形態では、第2壁42bの厚さは一定であり、第2壁42bに凹凸は形成していない。
【0037】
また、送受信素子8からの漏れ磁界を抑制するために、送受信素子8を設けた配線基板2とその他の配線基板2との間に防磁板を装着しても良い。また、当該防磁板を高熱伝導材料4として用いても良い。
【0038】
また、図15B及び図15Cに示すように制御信号配線や電力供給配線の配線81及びそのピン81aを一括して筐体壁に設けても良く、好ましくは重力方向2cに関する上下面、さらに好ましくは上面に設ける方が、筐体周りの自然対流を阻害せず、より高効率に放熱することができる。尚、図15Cにおいて、重力方向2cの矢印の向きが地面側を示す。
【0039】
さらに、基板内蔵用筐体108を屋外で使用する場合には、基板内蔵用筐体108は水密構造であるのが好ましく、基板内蔵用筐体108を構成する各筐体部品41,42,43間にO−リング、パッキンや接着剤などのシール材を施すのが好ましい。この場合、基板内蔵用筐体108の内側が動作時に高温になり、内部空気が膨張し内圧が上昇することがあるので、図15B及び図15Cに示すように防水通気栓82を設けても良い。防水通気栓82の取付位置は、配線81の取付位置と同様に筐体壁である。
【0040】
尚、本実施形態では、基板内蔵用筐体104の構成に準じた構成を例に採ったが、この構成に限定されず、その他の実施の形態における構成における筐体内に電磁波の送受信素子8を内装することもできる。
また、電磁波の送受信素子8の一例として、ミリ波を送受信する素子が相当し、また、このような電磁波の送受信機器用基板は、例えば車に搭載される。
【0041】
以上、各実施の形態について説明したが、構成は上述したものに限定するものではなく、以下に説明するような変形例を採ることができる。
例えば、各実施の形態1〜8では、配線基板2を取付座111に固定するために、ねじ6を用いたが、ねじ6に限定するものではなく、ボルト・ナット、リベットなどで固定しても良い。
また、図11に示すように、取付座111の両側から配線基板2を取り付ける場合、配線基板2を取り付けるためのねじ穴は貫通させておき、1セットのボルト・ナットで固定しても良い。
【0042】
また、図16に一例を示すように、配線基板2の外形形状は、どのような形でも良く、配線基板2の取付け部が投影面で重ならなければ上述した構成でなくても良い。
また、高熱伝導材料4と筐体部品との固定方法は、ねじ、溶接などによって取り付けても良く、筐体部品と一体成形しても良い。
【0043】
放熱フィン5の大きさや、各放熱フィン5の間隔は、どのような形でも良く、放熱フィン5が不要であれば取り付けなくても良い。
また、放熱フィン5を有する筐体部品10b等において、内部電子部品の高さが高い部品に隣接する部分を、内側、外側共に平滑面とし、機器に関するラベルなどを貼り付けても良い。なお、このような構成を達成するために、電子部品の高さが高い部品を密集させても良い。
【0044】
また、各実施の形態1〜8を示す図では、筐体部品は、2つあるいは3つの場合しか示していないが、筐体部品の個数に制限は無く、いくつでも良い。
【符号の説明】
【0045】
2 配線基板、2c 重力方向、3 発熱電子部品、4 熱伝導部材、
5 放熱フィン、8 送受信素子、41 第1蓋型筐体、42 第2蓋型筐体、
43 枠型筐体、71 第2壁、72 凹凸形状、
81 配線、81a 配線ピン、82 防水通気栓、
101〜108 基板内蔵用筐体、111 取付座、112 第1壁、
209 グランドパターン、209a 露出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱する電子部品を少なくとも実装した複数の配線基板を、配線基板の板厚方向において重ねて内側に収納し密閉する筐体で、上記電子部品から放出される熱を自然対流で当該筐体を介して外部へ放散する基板内蔵用筐体であって、
各配線基板を当該基板内蔵用筐体の内側に取り付けるための複数の取付座を備え、それぞれの取付座は、当該基板内蔵用筐体の壁部の内、配線基板の板厚方向に沿った第1壁の壁面から筐体内側へ突出して第1壁と一体成形され、上記配線基板を載置して配線基板に直接接触して配線基板の取り付けを行う載置面を有する、
ことを特徴とする基板内蔵用筐体。
【請求項2】
それぞれの取付座は、各配線基板の板厚方向における投影面において互いに重ならずに配置される、請求項1記載の基板内蔵用筐体。
【請求項3】
それぞれの取付座は、階段状に配置される、請求項1記載の基板内蔵用筐体。
【請求項4】
当該基板内蔵用筐体は、当該基板内蔵用筐体の内側を密閉する閉止板材を有する第1及び第2の蓋型筐体と、第1及び第2の蓋型筐体に挟まれて配置され閉止板材の無い枠形状で一又は複数個の枠型筐体とから構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項5】
複数の配線基板が上記枠型筐体に取り付けられる、請求項4記載の基板内蔵用筐体。
【請求項6】
上記配線基板は、上記取付座と接触する露出部を有し、該露出部は、当該配線基板に含まれるグランドパターンと接続される、請求項1から5のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項7】
上記第1壁から配線基板に沿って延在して発熱電子部品に接触する、高熱伝導率を有する熱伝導部材をさらに備えた、請求項1から6のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項8】
当該基板内蔵用筐体の壁部の内、配線基板の延在方向に沿った第2壁の内壁は、配線基板に実装された電子部品の形状に対応した凹凸形状を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項9】
当該基板内蔵用筐体の外壁面において外側へ最も突出した部分に先端を揃えた放熱フィンを外壁面に備えた、請求項1から8のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項10】
上記配線基板は、電磁波の送受信素子をさらに実装している、請求項1から9のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項11】
上記送受信素子は、車載された基板内蔵用筐体に内蔵されミリ波を送受信する、請求項10記載の基板内蔵用筐体。
【請求項12】
当該基板内蔵用筐体の内、上記送受信素子に対向する筐体は、樹脂製であり、その厚みが一定である、請求項10又は11に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項1】
発熱する電子部品を少なくとも実装した複数の配線基板を、配線基板の板厚方向において重ねて内側に収納し密閉する筐体で、上記電子部品から放出される熱を自然対流で当該筐体を介して外部へ放散する基板内蔵用筐体であって、
各配線基板を当該基板内蔵用筐体の内側に取り付けるための複数の取付座を備え、それぞれの取付座は、当該基板内蔵用筐体の壁部の内、配線基板の板厚方向に沿った第1壁の壁面から筐体内側へ突出して第1壁と一体成形され、上記配線基板を載置して配線基板に直接接触して配線基板の取り付けを行う載置面を有する、
ことを特徴とする基板内蔵用筐体。
【請求項2】
それぞれの取付座は、各配線基板の板厚方向における投影面において互いに重ならずに配置される、請求項1記載の基板内蔵用筐体。
【請求項3】
それぞれの取付座は、階段状に配置される、請求項1記載の基板内蔵用筐体。
【請求項4】
当該基板内蔵用筐体は、当該基板内蔵用筐体の内側を密閉する閉止板材を有する第1及び第2の蓋型筐体と、第1及び第2の蓋型筐体に挟まれて配置され閉止板材の無い枠形状で一又は複数個の枠型筐体とから構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項5】
複数の配線基板が上記枠型筐体に取り付けられる、請求項4記載の基板内蔵用筐体。
【請求項6】
上記配線基板は、上記取付座と接触する露出部を有し、該露出部は、当該配線基板に含まれるグランドパターンと接続される、請求項1から5のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項7】
上記第1壁から配線基板に沿って延在して発熱電子部品に接触する、高熱伝導率を有する熱伝導部材をさらに備えた、請求項1から6のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項8】
当該基板内蔵用筐体の壁部の内、配線基板の延在方向に沿った第2壁の内壁は、配線基板に実装された電子部品の形状に対応した凹凸形状を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項9】
当該基板内蔵用筐体の外壁面において外側へ最も突出した部分に先端を揃えた放熱フィンを外壁面に備えた、請求項1から8のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項10】
上記配線基板は、電磁波の送受信素子をさらに実装している、請求項1から9のいずれか1項に記載の基板内蔵用筐体。
【請求項11】
上記送受信素子は、車載された基板内蔵用筐体に内蔵されミリ波を送受信する、請求項10記載の基板内蔵用筐体。
【請求項12】
当該基板内蔵用筐体の内、上記送受信素子に対向する筐体は、樹脂製であり、その厚みが一定である、請求項10又は11に記載の基板内蔵用筐体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【公開番号】特開2012−227399(P2012−227399A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94621(P2011−94621)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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