説明

基板処理装置及びその表示方法並びにセットアップ方法、集中管理装置及びその表示方法

【課題】基板処理装置の調整作業の際、作業の順番や作業の着手、終了を分りやすく作業者に知らせ、また、引継ぎ作業を効率よく行うことにより、調整作業を効率よく行う。
【解決手段】装置立上げに関する複数の作業項目を操作画面上に表示する操作部221を備えた基板処理装置であって、操作部は、各作業項目を作業順に並べて表示すると共に各作業項目の近傍にチェック欄及び矢印アイコンを設け、チェック欄がチェックされると、作業項目の終了時刻が表示されると共に次の作業項目の実施を促すように前記矢印アイコンの色が切り替わるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理システムに関するものであり、特に、基板処理装置の調整作業に関する情報を表示手段に表示させるようにした基板処理装置及び基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板にCVD、拡散処理等を施す装置として縦型や横型の基板処理装置及び枚葉式の基板処理装置が知られている。
従来、この種の基板処理装置の調整作業(セットアップ作業)を工場内クリーンルームで実施する際は、作業の手順書をクリーン紙にコピーしてクリーンルーム内に持ち込んでこの手順書に準じた調整作業を実施している。調整作業には種々の作業項目があり、一つの作業項目に斯かる作業が完了するごとに、クリーンノートに記入している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、クリーンノートの記載方法は作業項目の内容の相違から統一が困難であり、他人のクリーンノートの記載内容を見ただけでは作業の状況を一目で理解することが難しい。そこで本人に直接聞くことにより確認せざるを得ない。しかし、これでは、作業効率が低く、複数の担当者がチームを組んで調整作業を実施する意味がない。
そこで、本発明は、基板処理装置の調整作業の際、作業の順番や作業の着手、終了を分りやすく作業者に知らせ、また、引継ぎ作業を効率よく行うことにより、調整作業を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の手段は、表示手段に表示された操作画面上でオペレータがレシピを作成し、作成したレシピを処理手段が実行することにより基板の処理を行う基板処理装置において、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番どおりに表示させると共に、前記調整作業の際に前記各作業項目で使用されたレシピを、前記操作画面上に表示させるように構成した基板処理装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
以上、説明したことから明らかなように、本発明によれば、基板処理装置の調整作業において、調整作業に関する作業項目とその順番、作業の進行度を把握できるので、調整作業を複数の作業者で効率的に実施することができる。特に、調整作業を他の作業者に引き継ぐ場合や翌日に持越して作業を行う場合に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施の形態に係る装置コントローラを備えた処理装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係り、基板処理装置を自動化するための装置コントローラのブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係り、セットアップ画面を表示したモニタ画面の一例を示す解説図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係り、作業者マニュアル一覧画面を示す解説図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係り、作業者に作業項目の進行状況を知らせるための制御部による画面処理を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係り、セットアップ画面を表示したモニタ画面の一例であり、作業進行度表示の色彩の切り換えにより作業項目における作業の終了状態を示す解説図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係り、半導体製造装置を制御する半導体製造システムの構成図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係り、集中管理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本発明における半導体製造装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、基板処理装置として基板に拡散処理やCVD処理などを行う縦型の基板処理装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。
図1及び図2は、装置コントローラを備えた処理装置の一例であり、図1は外観斜視図、図2は図1に示す処理装置の側面図である。なお、これらの図は透視法にて作成されている。
【0008】
本実施形態に係る処理装置10は、シリコン等からなるウエハ(基板)を収納したポッド(基板収納容器)100を、外部から筐体101内へ挿入するため及びその逆に筐体101内から外部へ払出すためのI/Oステージ(保持具授受部材)105が筐体101の前面に付設され、筐体101内には挿入されたポッド100を保管するためのカセット棚(載置手段)109が敷設されている。また、筐体101には、ウエハの搬送エリアであり、後述のボート(基板保持手段)217のローディング、アンローディング空間となるNパージ室(気密室)102が設けられている。このNパージ室102は密閉室となっており、ウエハに処理を行うときは、Nパージ室102にはウエハの自然酸化膜を防止するためにNガスなどの不活性ガスが充満される。
【0009】
上述したポッド100としては、現在、FOUPというタイプが主流で使用されており、ポッド100の一側面に設けられた開口部を蓋体(図示せず)で塞ぐことで大気からウエハを隔離して搬送でき、蓋体を取り去る事でポッド100内へウエハを入出させることができる。このため、Nパージ室102の前面側には、ポッド100の蓋体を取り外し、ポッド100内の雰囲気とN2パージ室102の雰囲気とを連通すべくポッドオープナ(開閉手段)108が設けられている。
ポッドオープナ108、カセット棚109、およびI/Oステージ105間のポッド100の搬送は、カセット移載機114によって行われる。このカセット移載機114によるポッド100の搬送空間には、筐体101に設けられたクリーンユニット(図示せず)によって清浄化した空気をフローさせるようにしている。
【0010】
パージ室102の内部には、複数のウエハを多段に積載するボート217と、ウエハのノッチ(又はオリエンテーションフラット)の位置を任意の位置に合わせる基板位置合わせ装置106と、ポッドオープナ108上のポッド100と基板位置合わせ装置106とボート217との間でウエハの搬送を行うウエハ移載機(搬送手段)112とが設けられている。また、Nパージ室102の上部にはウエハを処理するための処理室202が設けられており、ボート217はボートエレベータ(昇降手段)115によって処理室202へローディング、又は処理室202からアンローディングすることができる。
【0011】
次に、本実施の形態に係る処理装置10の動作について説明する。
まず、AGVやOHTなどにより筐体101の外部から搬送されてきたポッド100は、I/Oステージ105に載置される。I/Oステージ105に載置されたポッド100
は、カセット移載機114によって、直接、ポッドオープナ108上に搬送されるか、又は、一旦、カセット棚109にストックされた後にポッドオープナ108上に搬送される。ポッドオープナ108上に搬送されたポッド100は、ポッドオープナ108によってポッド100の蓋体を取外され、ポッド100の内部雰囲気がNパージ室102の雰囲気と連通される。
【0012】
次に、ウエハ搬送機112がNパージ室102の雰囲気と連通した状態のポッド100内からウエハを取り出す。取り出されたウエハは、基板位置合わせ装置106によって予め定められた所定の位置にノッチが定まる様に位置合わせされる。ウエハは、この位置合わせ後に、ボート217へと搬送される。
【0013】
ボート217へのウエハの搬送が完了すると、処理室202の炉口シャッタ116(図2)が開かれ、ボートエレベータ115が上昇し、ボート217の上昇によりウエハを搭載したボート217が処理室202にローディングされる。このローディングの完了状態では、前記ボート217の蓋体が処理室202の入口を密閉する。
ボート217のローディング、すなわち、ウエハのローディング後は、処理室202にてウエハに任意の処理が実施され、処理後は上述の逆の手順で、ウエハ及びポッド100が筐体101の外部へと払い出される。
【0014】
図3は前記処理装置10を自動化するための装置コントローラ220のブロック図である。装置コントローラ220には、処理手段として操作部221と制御部222とが備えられる。操作部221にはプログラムの設定や変更等のため操作コントローラ223が備えられる。操作コントローラ223は前記制御部222に対してLANを介して通信可能に接続されている。また、操作コントローラ223にはユーザインターフェイスとして、後述するモニタ(表示手段)が接続されると共に、キー入力手段(後述する)が備えられる。
【0015】
前記制御部222は、前記処理室202の加熱温度に基づいてヒータ熱電対の温度をフィードバック制御する温度コントローラと、圧力センサの検出温度に基づいて前記処理室202の圧力をフィードバック制御する圧力コントローラと、流量センサに基づいて原料ガスの流量をフィードバック制御するマスフローコントローラと、位置センサや回転角センサの検出値に基づいて各種メカニズムを制御するメカニズムコントローラとこれらのサブコントローラを管理するためのメインコントローラを備えており、操作部221の操作コントローラ223に通信可能に接続されている。
【0016】
なお、前記処理装置10のメカニズムには、前記基板位置合わせ装置106、前記ポッドオープナ(開閉手段)108、前記ウエハ移載機(搬送手段)112、前記カセット移載機114、前記ボートエレベータ(昇降手段)115等があり、前記メカニズムコントローラは、レシピ(後述する)の設定値と、各アクチュエータの動作を検知するセンサの検出値とに基づいて各アクチュエータ(駆動部)を制御する。
【0017】
前記装置コントローラ220にはメモリやハードディスク226等の固定記憶装置が備えられており、固定記憶装置にはデータベースが構築されている。このデータベースには、基板処理のため複数のレシピが格納されている。これらレシピは、CVD、酸化、アニール、拡散等の前記処理装置10のプロセス条件に基づいて前記処理装置10の温度(処理室202内雰囲気温度、排気管温度等)、圧力(処理室202内圧力、配管圧力等)、流量(処理室202への原料ガス流量、キャリアガス流量、置換ガス流量等)を決定し、温度コントローラ、圧力コントローラ、マスフローコントローラ、メカニズムコントローラ等、前記処理装置10に備えられた各種コントローラを制御するプログラムである。
【0018】
前記複数のレシピはオペレータによって作成される。オペレータがレシピを作成する際は、前記データベースから呼び出したレシピ作成画面がモニタ画面に表示される。
【0019】
図4にこのモニタ画面230の一例を示す。モニタ画面230は、前記装置コントローラ220の起動時に、前記操作部221によって前記データベースから呼び出されモニタ227に表示される。モニタ画面230には操作パネル231と文字/数字/記号テーブル241とが表示される。操作パネル231と文字/数字/記号テーブル241とはそれぞれ画面を縁取るようにモニタ画面230の上側と下側に配置される。
【0020】
操作パネル231には、画面の呼び出しや編集のための操作ボタンとして、例えば、「PM」ボタン(プロセスモジュールボタン)232、「システム」ボタン233、「編集」ボタン234、「戻る」ボタン235、「進む」ボタン236、「データログボタン」237、「セットアップ」ボタン238等が表示される。
前記操作部221が、前記操作ボタンが指やペンによってタッチされたことを検知すると各ボタンのタッチごとにプログラムを起動させて関連画面の呼び出しや画面の切り換えを行う。
【0021】
例えば、「PM」ボタン232がタッチされたことを前記操作部221が検知すると、操作部221は、前記データベースに格納されたPM画面(図示せず)をモニタ227に送信してこれをモニタ画面230に表示させ、「データログ」ボタン237がタッチされたことを検知すると、前記データベースに格納されたデータログ画面(図示せず)をモニタ227に送信してこれをモニタ画面230に表示させ、さらに、「セットアップ」ボタン238がタッチされたことを検知すると、前記データベースに格納されたセットアップ画面242をモニタ227に送信しこれをモニタ画面230に表示させる。
【0022】
また、操作部221が、「編集」ボタン234がタッチされたことを検知するとモニタ画面230に表示されている各画面の編集を許可し、文字/数字/記号テーブル241がタッチされたことを検知すると文字入力システムを起動させて、文字/数字/記号テーブル241による入力を可能する。
【0023】
また、操作部221が、「保存」ボタン239がタッチされたことを検知すると、保存プログラムを起動して、操作画面上で編集された画面やファイルを前記データベースに保存し、「ESC」ボタン240がタッチされたことを検知すると元のモニタ画面230に戻すエスケーププログラムを起動する。
【0024】
さらに、操作部221が、モニタ画面230に複数の画面を呼び出した後に、操作パネル231の「戻る」ボタン235がタッチされたことを検知すると、タッチされるごとに、モニタ画面230に表示された画面を、呼び出し順と逆順に表示させるプログラムを起動し、また、「進む」ボタン236がタッチされたことを検知すると、呼び出した画面を、呼び出し順に表示させるプログラムを起動する。
【0025】
また、操作部221が、キー入力手段としての文字/記号テーブル241に表示された文字や数字が指やペン等でタッチされたことを検知すると、タッチされた文字や数字を前記画面上のセルやボックスに入力するプログラムを起動する。
このように、操作部221が、「PM」ボタン(プロセスモジュールボタン)232、「システム」ボタン233、「データログ」ボタン237、「セットアップ」ボタン238がタッチされたことを検知すると各ボタンに対応するプログラムを起動して前記データベースに格納された関連画面(いずれも操作画面)を呼び出し、「編集」ボタン234、「保存」ボタン239、「ESC」ボタン240、「戻る」ボタン235、「進む」ボタン236、文字/数字/記号テーブル241のキーがタッチされたことを検知すると、各
ボタン、各キーに対応するプログラムを起動する。
以下に説明するボタンやキーは、このようにボタンやキーのタッチを操作部221が検知し対応したプログラムを実行するソフトウエア上のプログラムボタン又はプラグラムキーを意味するものとする。
【0026】
オペレータがレシピを作成する際は、まず、「PM」ボタン(プロセスモジュールボタン)232をタッチしてPM画面(図示せず)を呼び出す呼び出し工程と、このPM画面に設けられている選択ボタン(図示せず)を使用して前記データベースから基板処理に必要なレシピ作成画面を呼び出す工程と、操作画面としてのこのレシピ作成画面(図示せず)にてレシピを作成する工程と、レシピを前記データベースに保存する工程とをこの順に実行する。
【0027】
オペレータがレシピ作成画面でこのレシピ作成画面に表示されたセルやボックスにコマンドやパラメータを入力し、選択ボックスで選択ボックス内に表示された事項やコマンドを選択すると、操作部221が、前記した各種のコントローラのシーケンスに対するコマンドの指定やパラメータの設定を確定し、前記処理装置10の炉内温度、炉内圧力、原料ガス流量、処理時間等のプロセス条件に対応したレシピの設定内容を確定する。
【0028】
コマンドやパラメータの入力には、前記文字/数字/記号テーブル241が用いられる。
レシピを作成した後は、「保存」ボタン239をタッチして、入力や選択によって確定したレシピの編集内容をデータベースのレシピ(レシピファイル)に反映させると共に、レシピ作成画面のイメージファイルをデータベースに保存する。レシピ作成画面のイメージファイルをデータベースに保存すると、爾後に、解析用として使用でき、解析作業が容易になる。
【0029】
ここで、本実施形態において、レシピを作成するという場合は、レシピ作成画面を呼び出してレシピの設定内容を確認する作業や、前記処理装置10の装置構成、膜種等のプロセス条件によって変更する作業が含まれるものとする。なお、操作部221は、レシピの設定内容を変更した場合には、変更前のレシピ(レシピファイル)をデータベースにバックアップファイルとして保存するようにプログラムされている。レシピのバックアップファイルがデータベースに保存されると、爾後に、解析後の参照用や元の設定に戻す作業が容易になり、変更に起因したトラブルに対して迅速な対応が可能となる。レシピを作成し、「保存」ボタン239により保存した後、「ESC」ボタン240をタッチすると画面が元のモニタ画面230に切り替わる。
【0030】
前記処理装置10の立ち上げ、調整作業を実施する際は、本実施の形態では、「セットアップ」ボタン238をタッチする。前記操作部221は、「セットアップ」ボタン238がタッチされると、図4に示すセットアップ画面242を前記データベースから呼び出してモニタ画面230に表示する。セットアップ画面242には、「作業者」の氏名を入力するためのセル243と、「膜種」を選択する選択ボックスとしてのスクロールボックス244と、装置機構を選択する選択ボックスとしての「L/L室機構」(ロードロック室機構)のスクロールボックス245と、「編集前」と「編集後」との切り替えを行うためのラジオボタン246,247とが表示される。
【0031】
「膜種」を選択するためのスクロールボックス244のスクロールボタン244aにより「Si」が選択され、L/L室機構の有無を選択するためのスクロールボックス245のスクロールボタン245aにより、「L/L室機構無し」が選択されると、前記操作部221は、基板処理がCVD処理、膜種がSi(窒化珪素)、雰囲気条件が「L/L室機構」の無しの減圧又は常圧雰囲気に決定されたものとみなして、検索プログ
ラムを起動する。そして、検索プログラムの検索条件を「Si」と「L/L室機構無し」として前記データベースを検索し、検索条件にマッチした検索データをセットアップ画面242に表示させる。なお、L/L室機構は、処理装置10の機内を高真空雰囲気に保持することによって、基板の酸化膜の生成を防止するロードロック室機構の略称である。
【0032】
この場合、検索データとは、前記処理装置10の調整作業に必要な全ての作業項目のデータと、作業項目のデータに個々に関連付けられた進行度表示のデータをいう。
操作部221は、検索データを取得した後は、これをセットアップ画面242に表示する。作業項目のデータは、各データが調整作業における作業順番を持っているので、操作部221は、この順に並べてモニタ画面230に表示する。検索結果では、作業項目のデータが、「電源投入」、「パラメータ確認」、「MFC流量チェック」、「加圧リークチェック」、「ヒータパワースイッチ」、「ヒータ空焼き」、「ヒータパワーチェック」、「ヒータ空焼き」、「ティーチング」、「インターロック」、「石英部品組付け」、「真空テスト」、「石英空焼き」、「温度設定」、「シーケンステスト」、「Heリークテスト」、「テープ/ジャケットヒータ取付確認」、「生成ガス出し」、「プロセステスト」となり、操作部221はこれら作業項目のデータを作業順に二列に並べ視認可能な文字でモニタ画面230に表示する。そして、各作業項目の左横には、調整作業における作業項目の作業順番を示すための作業番号が表示される。前記作業項目の表示形式は、上述のような形式だけに限られない。本実施の形態のように、全作業項目を同一画面で一括表示してもよいし、全作業項のうち現在着手している作業項目を含むいくつかの項目のみを表示してもよい。
【0033】
ここで、前記調整作業において、「電源チェック」とは、レシピに定められた順序で前記処理装置10のメカニズム、すなわち、前記基板位置合わせ装置106、前記ポッドオープナ(開閉手段)108、前記ウエハ移載機(搬送手段)112、前記カセット移載機114、前記ボートエレベータ(昇降手段)115等の各種アクチュエータ(駆動部)や前記処理室202内雰囲気を昇温するためのヒータに電源を投入できるかどうかをチェックする作業のことをいう。この作業を実施する場合は、前記操作画面上で電源投入に関するレシピが参照される。
【0034】
「MFC流量チェック」とは、MFC(マスフローコントローラ)が正しく動作するかどうか及びMFCにより原料ガス、キャリアガス、置換ガスの流量(slm)をそれぞれレシピに定められた流量で流すことができるかどうかのチェック作業のことをいう。このチェック作業には、MFCの流量を規定するレシピ、アラーム条件テーブルが参照される。
【0035】
「パラメータ確認」とは、例えば、「コンフィグレーションパラメータ」、「ファンクションパラメータ」等のパラメータを確認する作業のことをいう。この作業には、MFCの個数、バルブの個数、温度制御ゾーン数、圧力制御有無等の装置制御定数を確認するためにコンフィグパラメータ、ファンクションパラメータ等が参照される。
【0036】
「加圧リークチェック」とは、処理装置(処理炉)99の原料ガス供給系、置換ガス供給系、排気系(図3ではガス配管に該当する)に個別にリーク圧力を加え、実際にリークが発生するかどうかをチェックする作業のことをいう。この作業には、各系の圧力を定めるレシピ、リークチェックテーブルが参照される。
【0037】
また、「ヒータ空焼き」とは、ヒータに通電し発熱させることによってヒータの表面を空焼きする作業のことである。空焼きの温度は、ヒータ制御を規定するレシピが参照される。
【0038】
「ヒータパワースイッチ」は、ヒータのオン/オフの切り替えができるかどうかをテストする作業である。この作業には、ヒータの制御を規定するレシピが参照される。
【0039】
「ティーチング」とは、前記したウエハ移載機(搬送手段)のボート217の走行範囲及び受渡し位置、ポッドオープナ(開閉手段)108のポッドの蓋体に対する取り外し位置、前記カセット移載機114の移載又は搬送位置等を二次元又は三次元的をレシピに基づいて設定することによって前記メカニズムコントローラの設定値を調節し、前記センサを取り付ける作業のことをいう。この作業には前記メカニズムを制御するためのポジションパラメータが参照される。
【0040】
また、「インターロック」とは、ハードインターロック、ソフトインターロック(プロセス系、搬送系)等のインターロックが作動するかどうか及び設定したインターロックがインターロック条件で動作するかどうかのチェック作業のことをいう。この作業には、インターロックを制御するためのレシピとアラーム条件テーブルが参照される。
【0041】
「石英部品組付け」は、「主に装置内部に反応管の組付けを実施」する作業のことをいう。この作業で参照されるレシピはないが、この場合、操作部221は対応するレシピ情報として「レシピ無し」の文字をモニタ画面230に表示させる。
【0042】
「真空テスト」とは、処理室内202の雰囲気を排気し減圧雰囲気とするための減圧排気手段としての真空ポンプが正常に作動するかどうか及び真空ポンプにより処理室内202を所定の減圧雰囲気に調圧できるかどうかのテスト作業のことをいう。この作業には、真空ポンプによる圧力設定のためのレシピが参照される。
【0043】
「石英空焼き」とは、処理室(反応炉)や前記ボート217を空焼きし、基板処理における不純物の混入を防止するための作業のことをいう。この作業には、ヒータを加熱するためのレシピが参照される。
【0044】
「温度設定」とは、前記処理室202内の雰囲気を昇温するヒータの温度設定に関する作業のことをいう。この温度設定には、ヒータの温度制御のためのレシピ、温度補正テーブルが参照される。
【0045】
シーケンステストは、前記メカニズムがシーケンス通りに作動するかどうかのチェック作業のことである。この作業には、メカニズムを制御するためのポジションテーブル、スピードテーブル、搬送系コンフィグパラメータ、搬送系ファンクションパラメータがレシピとして参照される。
【0046】
Heリークテストは、前記処理装置10の機内にHeを供給できるかどうか及び所定リーク圧以内でHeリークが発生するかどうかの耐圧性をチェックする作業のことをいう。この作業にはリークに関するレシピが参照される。
【0047】
「テープ/ジャケットヒータ取付確認」は、断熱・保温のためテープ又はジャケット状のヒータが排気管等の所定位置に取り付けられているかどうかを確認する作業のことをいう。この作業には、参照されるレシピはないが、この場合、操作部221は対応するレシピ情報として「レシピ無し」の文字をモニタ画面230に表示させる。
【0048】
「生成ガス出し」は、処理室(反応炉)に生成ガスを供給し基板に成膜できるかどうかをチェックする作業のことをいう。この作業には原料ガスの流量、圧力、開閉弁の開閉時期を規定したレシピが参照される。
【0049】
最後に、「プロセステスト」とは、全てのチェックや確認が完了した段階で前記処理を実施し、前記処理装置10の各部が正常に動作するかどうか及び基板処理を実施したシリコン基板の表面に所定厚さの成膜が正常に成膜できるかどうか等をテストする作業のことをいう。このテストには、成膜や検査等のためのレシピが参照される。
【0050】
図4に示す例において、セットアップ画面242に、膜種がSi(窒化珪素)でL/L室機構が無しの場合、すなわち、真空度の低い減圧雰囲気でSiの成膜処理を実施する場合の処理装置10の調整作業の実施に必要な全ての作業項目のデータが目視可能に表示される。
この場合、膜種により別の膜種を選択するとプロセス条件が異なってくるので対応した作業項目がデータベースから検索されセットアップ画面242に表示される。
同様に、「L/L室機構」無しが選択した場合もプロセス条件が異なってくるので対応した作業項目がデータベースから検索され、セットアップ画面242に表示される。
なお、図4のセットアップ画面242において、途中、セットアップ項目が抜けているが、これは、プロセス条件や装置構成を代えた場合に、抜けている部分に、必要な作業項目を表示させるようにするためである。更に、膜種や装置構成だけでなく、圧力で選択できるようにして、例えば、減圧か大気圧か選択できるようにする。又、プラズマの有無を選択できるようにしてもよい。装置構成の別の例としては、プラズマ電極の有無等が選択できるようにしてもよい。
【0051】
また、セットアップ画面242には、レシピ名表示セル248、入力ボックスとしてのチェックボックス249、作業終了表示としての矢印表示250、日付時間表示セル251が表示される。この場合、チェックボックス249は、各作業項目の左横に表示され、レシピ名表示セル248と日付時間表示セル251とは互いに隣接させて各作業項目の直ぐ下に表示されている。また、矢印表示250は、前記チェックボックス249を挟んで各作業項目側と反対側に表示されている。なお、本実施の形態では、作業者記入欄243がセットアップ画面242に一つしかないが、作業項目毎に作業者を記入できるようにセルを設けてもよい。
又、作業項目毎に進捗状況を記入できるようにセルを設けてもよい。
更に、各作業項目で実施したレシピが終了すると、自動的にレシピを実施した作業項目に応じてセットアップ画面242のチェックボックス249にチェックマークが表示され、作業終了を示すようにしてもよい。
【0052】
前記セットアップ画面242に表示される「電源投入」、「パラメータ確認」等の作業項目は、個々に、作業項目に関するマニュアルを呼び出すためのボタンとなっており、操作部221は、各作業項目のボタンがタッチされたときに前記データベースから図5に示す作業者マニュアル一覧画面252を呼び出す。この作業者マニュアル一覧画面252に表示された複数の装置セットアップマニュアル中から対応するマニュアルが選択されるとモニタ画面230に表示させるようにプログラムされている。
【0053】
図5は作業者マニュアル一覧画面252を示す。図において、作業者マニュアル一覧画面252には、順番に各作業者マニュアルとしての装置セットアップマニュアルが表示されており、各装置セットアップマニュアルの後尾には、番号が付与されている。各装置セットアップマニュアルの後尾の番号は、それぞれ、前記セットアップ画面242に表示された作業項目ごとに付された作業番号と合致している。
前記作業項目ボタン、例えば、「加圧・リークチェック」ボタンをタッチして作業者マニュアル一覧画面252を表示させた場合は、作業者が「加圧リークチェック」ボタンの横の作業番号「4」と同じ番号「4」の装置セットアップマニュアルをタッチする。するとモニタ画面230には、「加圧・リークチェック」に対応する装置セットアップマニュ
アルの内容がモニタ画面230に表示される。同じく、「電源投入」ボタンをタッチして作業者マニュアル一覧画面252を表示させた場合は、作業者が「電源投入」ボタンの横の作業番号「1」と同じ番号「1」の作業者マニュアルをタッチする。するとモニタ画面230には、電源投入に該当する装置セットアップマニュアルの内容がモニタ画面230に表示される。なお、この場合、各作業項目のボタンがタッチされたときに、前記作業者マニュアル一覧画面252を表示させずに、タッチされた作業項目に対応するマニュアルを直接表示させるようにしてもよい。
【0054】
このように作業者マニュアル画面としての装置セットアップマニュアルを呼び出して表示させる場合は、作業項目の作業番号と同じ番号の装置セットアップマニュアルを選択する。また、前記装置セットアップ一覧画面に表示する装置セットアップマニュアルを画面に表示しきれない場合は、画面をスクロール可能な画面構成とし、スクロールボタン(図示せず)の使用により装置セットアップマニュアルを検索する。
作業者マニュアル一覧画面252を抜け出すときは、同画面のOKボタンをタッチする。このボタンがタッチされると、操作部221が画面をセットアップ画面242に切り換える。本実施の形態では、作業番号とマニュアルの番号を合わせたが、特に、これに限らず、作業項目毎に作業者マニュアル一覧画面を有するようにしてもよい。例えば、「電源投入」の場合、マニュアル画面には、1個のファイルだけ表示され、「パラメータ確認」の場合、10個のファイルが表示されるようにしてもよい。
【0055】
各装置セットアップマニュアルには、基本的に、それぞれ作業項目ごとに作業の内容や作業手順が記載される。また、必要に応じて、作業に参照するレシピ名又はレシピ番号など操作部221の検索や処理に必要なレシピ情報のほか、レシピに関する説明、内容等の捕捉事項やその作業手順、必要なチェック項目、必要な保守部品及びその管理先、問い合わせ先なども記載される。セットアップマニュアルを参照すると、作業の標準化が達成され、また、熟練を要することなく調整作業を実施できる。
例えば、MFC流量チェックの場合にはMFC流量チェックの調整マニュアルが表示される。この調整マニュアルはエクセルのCSVファイルによって作成され、このCSVファイルがそのまま画面に表示される。
なお、この装置セットアップマニュアルは、スクロールボタンやスクロールバー(図示せず)により画面をスクロールさせることができるファイル構成となっているが、前記操作パネル231の「進む」ボタン235、「戻る」ボタン236を使用することにより、ページ単位で画面を切り換えるファイル構成としてもよい。
【0056】
このように、装置セットアップマニュアルは作業項目の内容に対応して相違したものとなるので、各装置セットアップマニュアルにマニュアル全体をキーワード検索するための検索機能(検索画面)を設けるようにしてもよい。なお、この実施形態では、装置セットアップマニュアルは、エクセル(マイクロソフト社商品名)を使用してCSV形式のテキストファイルとして編集が可能なようにエクセルのインポート機能に対応した形式のファイルとなっているが、理解を容易にするため図形、記号、画像と、テキストファイルとを同時に表示するHTML、XML形式のファイルとしてもよい。
装置セットアップマニュアルを表示した画面を抜け出す場合には、前記操作パネル231の「ESC」ボタンをタッチする。
【0057】
このように、本実施形態に係るセットアップ画面242は、操作が簡単であり、装置セットアップマニュアルも表示できるので、作業者は、クリーンノートや関連する技術資料をクリーンルーム内に持たずにクリーンルーム内で各作業項目の作業内容の全てについて把握することができる。
【0058】
図6は作業者に作業項目の進行状況を知らせるための操作部221による画面処理を示
すブロック図である。
前記操作部221は、前記チェックボックス249がオンとされると(図5参照)、前記管理コンピュータから現在時刻を取得してこれを日付時間表示セル251に作業終了時刻、作業終了年月日として表示する(チェックボックスチェックによる現在時間表示処理)。次に、前記操作部221は、前記「PM」ボタン232と前記レシピ作成画面の選択ボタンにより選択したレシピ又はレシピ作成画面からレシピ名又はレシピ作成画面名を取得し、取得したレシピ名又はレシピ作成画面名をセットアップ画面242のレシピ名表示セル248に入力し表示する。尚、レシピ名や作業者名はオペレータが入力して記入することができる(レシピ、作業者マニュアル設定表示処理)。
そして、モニタ画面230で作業者項目がタッチされた場合、操作部221は、装置セットアップマニュアルのCSVファイルを開き(CSVファイルOPEN処理)、作業者マニュアル表示処理を実行し、前記した作業者マニュアル一覧画面252をモニタ画面230(操作画面)に表示させる処理を実行する(ボタン又はキータッチによる作業者マニュアル画面表示処理)。
この場合、装置セットアップマニュアルの内容の一つである作業手順は、膜種や装置構成に対応したものとして、個別に作成してデータベースに格納してもよいし、同じ作業項目の装置セットアップマニュアルに対して、膜種、装置構成の相違に対応した作業手順を解説するデータファイルとしてもよい。
【0059】
次に、図5及び図7を参照して前記セットアップ画面242を使用して、前記処理装置10の調整作業の一例を説明する。
セットアップ画面242には、膜種がSi(窒化珪素)でL/L室機構が無しの場合、すなわち、真空度の低い減圧雰囲気でSiの成膜処理を実施する場合の処理装置10に対する全ての作業項目のデータが表示される。処理装置10の調整作業を実施するに際しては、例えば、「加圧・リークチェック」ボタンをタッチし、作業者マニュアル一覧画面252をモニタ画面230に表示させ、「加圧リークチェック」ボタンの横に表示されている矢印表示250に付されている番号「4」と同じ番号の装置セットアップマニュアルをタッチしてその内容をモニタ画面230上で参照しながら加圧・リークチェックに関する調整作業を実施する。
【0060】
加圧リークチェックに関する調整作業を完了したならば、セットアップ画面242の「加圧リークチェック」の横のチェックボックスにタッチし、図7に示すように、チェックマークを表示させる。操作部221はチェックマークがオンされたことを検知すると、このチェックボックスに関連付けられていたプログラムを起動させ、加圧リークチェックに関連付けられたレシピ名称又はレシピ作成画面の名称を、前記レシピ名表示セル248に入力して表示させ、同時に、日付時間表示セル251に現在の時刻、年月日を入力して表示させる。この場合、日付時間表示セル251に表示される時刻、年月日は単なる数字であり、カウントアップする機能はない。
なお、日付時間表示セル251の時刻、年月日は、管理コンピュータのクロックから取得し、管理コンピュータは、標準時刻、例えば、インターネット標準時刻から時刻、年月日を取得して精度を保持するものとする。本実施の形態によれば、セットアップ画面242に一つしか作業者名を記入するセルが表示されていないが、レシピ名称だけでなく作業者名を作業項目毎に入力するセルを設けるのが好ましい。このようにすると、各作業を誰が行ったかが容易に分かるので、後日、不具合が発生した場合等には誰に確認すればよいのかが直ぐに分かる。
【0061】
また、前記チェックボックス249がタッチされこのチェックボックス249にチェックマークが入ると、操作部221は、図7にハッチングで示したように、その作業項目、この場合は、加圧・リークチェックの横の矢印表示250の色を他の矢印表示(未着手の作業項目)250の色と区別可能な色彩、例えば「青」から「黄色」に変化させる。
このように、レシピ名表示セル248にレシピ名又はレシピ作成画面名が表示され、日付時間表示セル251に現在の時刻、年月日が表示され、矢印表示250の色が「青」のから「黄色」切り替わるので、作業者には、矢印の向き、すなわち、次の作業項目「ヒーターパワーチェック」が次の着手すべき作業項目として作業者に指示される。
【0062】
なお、本実施形態のように、前記チェックボックス249にチェックマークを入力すると作業者に作業進行度を知らせるため合計三個の進行度表示、すなわち、レシピ名表示セル248、矢印表示250及び日付時間表示セル251を設けると、進行度表示の一つが故障している場合でも、作業者に対して作業の進行度を知らせることができる。
【0063】
また、進行度表示の一つである矢印表示250が作業者に進行度を視覚的に伝えるので進捗状況が容易にわかる。従って、複数の作業員で引き継ぎを行いながら効率のよい調整作業が行われる。
【0064】
このように、本実施形態に係るセットアップ画面242を使用して処理装置10の調整作業を実施すると、複数の作業員で引き継いで作業を行う場合でも終了済みの作業項目や作業者名を把握した上で、作業項目ごとの作業を行うことになるので、効率よく短時間で作業が進められる。
また、調整作業を後日に持ち越す場合は、操作パネル231の「保存」ボタン239をタッチすると、操作部221がセットアップ画面242を前記データベースに画面イメージを保存した状態で保存し、後日、「セットアップ」ボタン238がタッチされたときに、このセットアップ画面242をモニタ画面230に表示させるようにプログラムされている。このため、従来のように、クリーンノートを持ち込むことや他人に聞いて作業内容を確認するなどの煩わしい作業が不要となる。
又、作業項目ごとにメモが記入できるように、セルを設けるのが望ましく、この場合、作業中の状況を他の作業者に伝えることができる。
更に、前記「保存」ボタン239が押下されると、後述する集中管理装置20に前記セットアップ画面242を保存し、後日、集中管理装置20のモニタ画面に表示させるようにしてもよい。
調整作業を後任者に引き継ぐ場合は、作業者記入欄243に作業者の名前を「保存」ボタン239をタッチする前に入力しておく。この入力は、「編集」ボタン234をタッチして文字入力システムを起動させて文字/数字/記号テーブル241により作業者が行う。
【0065】
なお、前記した実施の形態では、作業進行度表示として矢印表示250を用いる説明をしたが、このように作業進行度表示の色彩を切り替えると作業進行度を効果的に知らせることができるので、文字、図形、記号又はこれらを組み合わせた表示を矢印表示250に代えて使用してもよい。
【0066】
さらに、実施の形態では、現在時刻処理において、チェックボックス249に作業者によるチェックマークが入れられたときに、日付時間表示セル251に、現在の時刻及び年月日を表示させ、その時刻、年月日を作業項目ごとの作業終了時刻、年月日とする説明をしたが、初めに、日付時間表示セル251に時刻、年月日を時計表示させておいて、チェックボックス249にチェックマークが入ったときに、時計を止めるようにして、その時刻及び年月日がその作業項目についての作業終了時刻として確定されるようにしてもよい。又、作業項目でレシピが実施された場合、このレシピ終了時に自動的にチェックボックス249にチェックが入れられ、そのレシピ終了した時刻が作業終了時刻と確定されるようにしてもよい。
【0067】
また、前記した実施の形態では、作業の進行度を表示するため、合計三個の進行度表示
を表示させるようにしたが、作業の進行度を表示する場合は、いずれか一つでもよいが視覚的には矢印表示250が好ましい。さらに、進行度表示は、作業項目ごとの作業の終了時に表示させるようにしたが、レシピ又はレシピ作成画面を表示する際に、レシピ名又はレシピ作成画面をレシピ名表示セル248に表示させてこれを進行度表示とする等、着手中に進行度表示を表示させるようにしてもよい。
【0068】
さらに、作業の未着手、終了をチェックするチェック画面を作業項目ごとに設けるようにしてもよい。このようにすると、チェック画面によって作業項目ごとの作業内容についての未着手、終了が確認できるので、作業の引き継ぎや持越しの際の確認が容易になる。
【0069】
また、進行度表示の一つとして矢印表示250の色を変えることによって、作業の未着手、終了を区別するようにしたが、作業項目ごとにそれぞれ着手、終了の表示を設けるようにしてもよい。
【0070】
図8に、半導体製造装置を制御する半導体製造システムを示す。
半導体製造システムは、複数の半導体製造装置(処理装置)10、集中管理装置20、及び複数の半導体製造装置10を集中管理装置20に接続するネットワーク30から構成される。
集中管理装置20は各半導体製造装置10で使用するレシピを保有し、各レシピの編集や、用いられたレシピの履歴の保存などの管理を行っており、ネットワーク30を介して実行すべきレシピを各半導体製造装置10に受け渡している。また、集中管理装置20は、各半導体製造装置10のデータを記録する機能を有し、ネットワーク30を介して各半導体製造装置10の様々なデータを収集している。
【0071】
図9に、実施の形態による集中管理装置20の構成を示す。
集中管理装置は、第1の記憶部としての内部記憶部(以下内部メモリ)21、検出部としての装置間通信部22、入出力部23、第2の記憶部としての外部記憶部27、表示制御部28から構成される。上記内部メモリ21、及び外部記憶部27からデータベースを読み込んで、各半導体製造装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番通りに表示させるとともに、前記調整作業の際に、前記各作業項目で使用されたレシピをモニタ画面上に表示する制御部が構成される。この制御部(記憶部を除く)、及び装置間通信部22は、プログラムによって各機能を実現するCPU24で構成される。
【0072】
内部メモリ21は、各半導体製造装置から検出される様々なデータ等を記憶する。内部メモリ21はRAMなどで構成される。
【0073】
装置間通信部22は、ネットワーク30に接続され、このネットワーク30を介して送られてくる各半導体製造装置10の様々なデータを所定時間間隔毎に検出し、内部メモリ21に保存する。
【0074】
入出力部23は、入力手段となるキーボードやマウス(キーボード等)23aと、出力手段となる表示装置23bとを備える。表示装置23bに表示される表示画面(後述)を見ながら、複数の基板処理装置をキーボード等23aから選択して、表示制御部28に表示要求を行ったり、セットアップ画面242を表示装置23bに表示したりする。
【0075】
外部記憶部27は、表示制御部28又は処理装置10から保存命令を受けて、データを保存する。外部記憶部27としては例えばハードディスク(HD)を挙げることができる。以下外部記憶部をハードディスク(HD)27という。
【0076】
表示制御部28は、入出力部23のキーボード等23aから様々な画面表示要求があっ
たとき、ハードディスク(HD)27からデータベースを読み出して、表示装置23bに表示指令を与える。
【0077】
前記集中管理装置20には表示手段としてのモニタが接続されており、図4に示す処理装置10のセットアップ画面242を、ネットワークを介して集中管理装置20のモニタの画面上に表示させるようになっている。
この場合、集中管理装置20は、セットアップ作業の監視ための選択画面(図示せず)を表示させるように構成されており、例えば選択画面に表示された複数の半導体製造装置10の中から選択した一つ又は複数の半導体製造装置10のセットアップ画面242を集中管理装置20のモニタに表示させるようになっている。このため、集中管理装置20側でもモニタ上で半導体製造装置10ごとに調整作業の進み具合を把握することが可能となり、複数の半導体製造装置10のセットアップ作業の進捗状態をチェックしながら調整作業を進めることができるので、効率がよい。
なお、集中管理装置の管理機能を向上させるため、全ての半導体製造装置10のセットアップ画面242を集中管理装置のモニタにマルチ画面で表示させ、マルチ画面で選択した半導体製造装置10のセットアップ画面242を、集中管理装置20のモニタの画面一杯に表示させるようにしてもよい。
【0078】
以下に、本実施形態にかかる処理装置10及び集中管理装置20と処理装置10と集中管理装置20で構成される半導体製造システムを要約すると次のようになる。
(1)基板処理装置の第1の態様は、表示手段に表示された操作画面上でオペレータがレシピを作成し、作成したレシピを処理手段が実行することにより基板の処理を行う基板処理装置において、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番どおりに表示させると共に、前記調整作業の際に前記各作業項目で使用されたレシピを、前記操作画面上に表示させるように構成したものである。操作画面に、基板処理装置の調整作業を進める場合、基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目が順番どおりに表示されると、作業者は、操作画面上に表示された複数の作業項目の順番を把握するので、調整作業の効率がよい。また、操作画面には、調整作業がなされていない作業項目について使用されたレシピが表示されず、調整作業が終了した作業項目について表示されるので、円滑な作業の引継が可能となる。
(2)基板処理装置の第2の態様は、表示手段に表示された操作画面上でオペレータがレシピを作成し、作成したレシピを処理手段が実行することにより基板の処理を行う基板処理装置において、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番どおりに表示させると共に、膜種または装置構成により前記操作画面上に表示される作業項目が異なるように構成したものである。このように、第2の態様では膜種又は装置構成に対応した調整作業の作業項目が順番に表示されるので、信頼性が高い。
(3)基板処理装置の第3の態様は、表示手段に表示された操作画面上でオペレータがレシピを作成し、作成したレシピを処理手段が実行することにより基板の処理を行う基板処理装置において、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番どおりに表示させると共に、前記作業項目はボタンとなっており前記操作画面上で各作業項目ボタンから入力があると、この作業項目に応じたマニュアルが表示されるように構成したものである。第3の態様では、作業項目がボタンとなっており、操作画面上で各作業項目ボタンから入力があると、作業項目に応じたマニュアルが表示される。従って、作業項目に応じたマニュアルを参照して作業を進めるので的確で効率のよい調整作業が実施される。
(4)半導体基板のシステムの第1の態様は、基板の処理を行う基板処理装置と、少なくとも一台の基板処理装置と接続する集中管理装置とで構成される基板処理システムにおいて、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番どおりに前記集中管理装置の操作画面上に表示させると共に、前記調整作業の際に前記各作業項目で使用されたレシピを、前記集中管制装置の操作画面上に表示させるよう構成したものである。このような構成すると、集中管理装置の操作画面上でも基板処理装置の調整作業に関する複数の作
業項目の順番を一目で把握することが可能となる。この第1の態様に係る基板システムによれば、集中管理装置の操作画面で、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番が把握されると共に、調整作業の際に前記各作業項目で使用されたレシピを把握されるので、各基板処理装置の調整作業を実施する作業者に対して的確な指示を与えることが可能となる。
(5)半導体基板のシステムの第2の態様は、基板の処理を行う基板処理装置と、少なくとも一台の基板処理装置と接続する集中管理装置とで構成される基板処理システムにおいて、前記基板処理装置の調整作業に関する複数の作業項目を順番どおりに前記集中管理装置の操作画面上に表示させると共に、膜種または装置構成により前記集中管理装置の操作画面上に表示される作業項目が異なるように構成したものである。
このようにすると、集中管理装置の操作画面上で、基板処理装置毎に、膜種または装置構成に対応した調整作業に関する作業項目とその順番を把握し、各基板処理装置の調整作業を実施する作業者に対して的確な指示を与えることが可能となる。
【0079】
なお、本発明の半導体製造装置10は、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようのようなガラス基板を処理する装置にも適用できる。また、縦型の処理装置に限定されるものではなく、横型、枚葉式の処理装置にも適用することができる。つまり、本発明は、オペレータが何らかの入力手段(キーボード、操作画面上のタッチボタン、タッチキー等)を用いて入力することによりレシピ等を作成して基板(半導体基板、ガラス基板等)に処理を施す装置であれば、全てについて適用が可能である。また、炉内の処理には直接関係がなく、例えば、酸化、アニール、拡散等にも適用が可能である。
このように、本発明は、種々の改変が可能であり、本発明はこの改変された発明に及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0080】
227 モニタ
222 制御部(処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置立上げに関する複数の作業項目を操作画面上に表示する操作部を備えた基板処理装置であって、
前記操作部は、各作業項目を作業順に並べて表示すると共に各作業項目の近傍にチェック欄及び矢印アイコンを設け、
前記チェック欄がチェックされると、前記作業項目の終了時刻が表示されると共に次の作業項目の実施を促すように前記矢印アイコンの色が切り替わるように構成したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記操作部は、
前記基板処理装置で処理される膜種を選択する釦と、前記基板処理装置の装置機構を選択する釦を設け、
それぞれ各釦が選択されると、前記膜種または前記装置機構の組合せに応じて前記作業項目が前記操作画面に選択表示することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記操作部は、
前記作業項目ごとにセルを設け、前記作業項目の進捗状況または作業者を記入できるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記作業項目は、「電源投入」、「パラメータ確認」、「MFC流量チェック」、「加圧リークチェック」、「ヒータワイパースイッチ」、「ヒータ空焼き」、「ヒータパワーチェック」、「ティーチング」、「インターロック」、「石英部品組付け」、「真空テスト」、「石英空焼き」、「温度設定」、「シーケンステスト」、「Heリークテスト」、「テープ/ジャケットヒータ取付確認」、「生成ガス出し」、「プロセステスト」から選択される請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記作業項目は、前記作業項目に関する作業項目ボタンに構成され、
前記操作部は、前記操作画面上で前記作業項目ボタンから入力があると、この作業項目に応じたマニュアルが表示されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記矢印アイコンは、前記作業項目毎に設けられる作業番号又はチェック欄の間に構成されることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記操作部は、
保存ボタンを設け、前記立上げを後日に持ち越す場合、前記保存ボタンを押下して、前記操作画面をセットアップが面として保存することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
装置立上げに関する複数の作業項目を操作画面上に表示する基板処理装置の表示方法であって、
各作業項目を作業順に並べて表示すると共に各作業項目の近傍にチェック欄及び矢印アイコンを表示し、
前記チェック欄がチェックされると、前記作業項目の終了時刻が表示されると共に次の作業項目の実施を促すように前記矢印アイコンの色が切り替わるように構成したことを特徴とする基板処理装置の表示方法。
【請求項9】
装置立上げに関する複数の作業項目を操作画面上に表示する基板処理装置のセットアップ方法であって、
各作業項目を作業順に並べて表示すると共に各作業項目の近傍にチェック欄及び矢印アイコンを表示し、
前記チェック欄がチェックされると、前記作業項目の終了時刻が表示されると共に次の作業項目の実施を促すように前記矢印アイコンの色が切り替わるように構成したことを特徴とする基板処理装置のセットアップ方法。
【請求項10】
装置立上げに関する複数の作業項目を操作画面上に表示する操作部を備えた集中管理装置であって、
前記操作部は、各作業項目を作業順に並べて表示すると共に各作業項目の近傍にチェック欄及び矢印アイコンを設け、
前記チェック欄がチェックされると、前記作業項目の終了時刻が表示されると共に次の作業項目の実施を促すように前記矢印アイコンの色が切り替わるように構成したことを特徴とする集中管理装置。
【請求項11】
装置立上げに関する複数の作業項目を操作画面上に表示する集中管理装置の表示方法であって、
各作業項目を作業順に並べて表示すると共に各作業項目の近傍にチェック欄及び矢印アイコンを表示し、
前記チェック欄がチェックされると、前記作業項目の終了時刻が表示されると共に次の作業項目の実施を促すように前記矢印アイコンの色が切り替わるように構成したことを特徴とする集中管理装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114448(P2012−114448A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261160(P2011−261160)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【分割の表示】特願2007−510438(P2007−510438)の分割
【原出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】