説明

基板処理装置

【課題】処理炉に開口した基板搬入出口を気密に閉塞する閉塞手段に副生成物が堆積するのを抑制または防止できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】ウエハ200を収容し処理する処理炉202にウエハ200が収容されていない時に、処理炉202の下側のウエハ搬入出口131を気密に閉塞する炉口シャッタ116を設け、この炉口シャッタ116を加熱する加熱ヒータ132を設けて、ウエハ200が処理炉202に収容されていない時に、炉口シャッタ116を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、複数の半導体ウエハをウエハ保持治具に搭載して処理室内でウエハの処理を行う縦型CVD装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の縦型CVD装置では、ウエハを処理する時は、ウエハ保持治具であるボートが処理室内に挿入されており、処理室下部のウエハ搬入出口はボートを搭載しているシールキャップで気密に閉塞されており、ウエハを処理しない時は、ウエハ保持治具であるボートが処理室から降りている状態となっており、処理室のウエハ搬入出口はボートを搭載していない別のシャッタで気密に閉塞されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
縦型CVD装置のプロセスが副生成物を生じる成膜プロセスであった場合、成膜後の不活性ガスによるガス置換で処理室内の雰囲気に残っている副生成物を除去しようと試みるものの、処理時間を短縮する必要があるためその時間が短くなってしまう。その結果、副生成物は十分に除去されずに処理室内の雰囲気に残ったままとなり、その状態でウエハを搭載したボートを処理室より降ろしてしまうことがある。ウエハを搭載したボートを処理室から降ろした後は処理室はシャッタによって閉じられる。
【0004】
このような装置では、副生成物がシャッタ上に固化して厚く堆積していき、それが異物源となる問題が生じていた。たとえば、シリコン窒化膜を形成する際に用いられるDCS(SiHCl),NHの組み合わせでは副生成物にNHCl(塩化アンモニウム)を生じ、シャッタ上に堆積し問題となっていた。
【0005】
従って、本発明の主な目的は、処理室に開口した基板搬入出口を気密に閉塞する閉塞手段に副生成物が堆積するのを抑制または防止できる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記問題を解決すべく鋭意研究の結果、従来はシャッタは加熱されていないので、気化している副生成物が冷えたシャッタ上に固化し厚く堆積していき、それが異物源となっていることを見いだした。
【0007】
本発明は、この知見に基づくものであり、本発明によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に所望のガスを供給し、処理室内で前記基板を加熱処理する際、前記処理室に開口した基板搬入出口を気密に閉塞する第1の閉塞手段とを備えた基板処理装置であって、
前記基板が前記処理室に収容されていない時に、前記基板搬入出口を閉塞する第2の閉塞手段を更に備え、
前記第2の閉塞手段を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理室に開口した基板搬入出口を気密に閉塞する閉塞手段に副生成物が堆積するのを抑制または防止できる基板処理装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の好ましい実施例を説明する。
本発明の好ましい実施例においては、縦型CVD装置において、ウエハを処理しない時に処理炉に蓋をしておく炉口シャッタに加熱ヒータを設けている。炉口シャッタに加熱ヒータを取りつけ加熱することで、成膜後に残留している副生成物が炉口シャッタに付着、固化することを最小限に抑えることができる。
【0010】
また、炉口シャッタが閉じている時に処理室を減圧状態にし、炉口シャッタに付着した副生成物の昇華を促進するようにしている。
特に、次のウエハ処理までの時間が十分ある時は、炉口シャッタを閉じた状態で処理室を減圧にし、炉口シャッタの加熱温度における副生成物の蒸気圧以下にまで処理室内の圧力を下げる処理を自動または手動で実施することで、堆積し始めた副生成物を有効に昇華させることが可能である。
【0011】
つぎに、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。
【0012】
本実施例として、ウエハ等の基板へのプロセス処理例としてALD(Atomic Layer Deposition)法を用いた成膜処理について、簡単に説明する。
【0013】
ALD法は、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となるガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。
【0014】
即ち、利用する化学反応は、例えばSiN(窒化珪素)膜形成の場合ALD法ではDCS(SiHCl、ジクロルシラン)とNH(アンモニア)を用いて300〜600℃の低温で高品質の成膜が可能である。また、ガス供給は、複数種類の反応性ガスを1種類ずつ交互に供給する。そして、膜厚制御は、反応性ガス供給のサイクル数で制御する。(例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、処理を20サイクル行う。)
【0015】
図1は、本実施例にかかる縦型の基板処理炉を説明するための概略構成図であり、処理炉部分を縦断面で示し、図2は本実施例にかかる縦型の基板処理炉を説明するための概略構成図であり、処理炉部分を横断面で示す。加熱手段であるヒータ207の内側に、基板であるウエハ200を処理する反応容器として反応管203が設けられ、この反応管203の下端開口のウエハ搬入出口131は蓋体であるシールキャップ219により気密部材であるOリング220を介して気密に閉塞されている。反応管203およびヒータ207の外側には断熱部材208が設けられている。断熱部材208はヒータ207の上方端を覆うように設けられている。少なくとも、ヒータ207、断熱部材208、反応管203、及びシールキャップ219により処理炉202を形成している。また、反応管203、シールキャップ219および後述する反応管203内に形成されたバッファ室237により処理室201を形成している。シールキャップ219には石英キャップ218を介して基板保持手段であるボート217が立設され、石英キャップ218はボート217を保持する保持体となっている。そして、ボート217は処理炉202に挿入される。ボート217にはバッチ処理される複数のウエハ200が水平姿勢で管軸方向に多段に垂直方向に積載される。ヒータ207は処理炉202に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱する。
【0016】
そして、処理炉202へは複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給管としての2本のガス供給管232a、232bが設けられる。ここではガス供給管232aからは流量制御手段であるマスフローコントローラ241a及び開閉弁であるバルブ243aを介し、更に後述する反応管203内に形成されたバッファ室237を介して処理室201に反応ガスが供給され、ガス供給管232bからは流量制御手段であるマスフローコントローラ241b、開閉弁であるバルブ243b、ガス溜め247、及び開閉弁であるバルブ243cを介し、更に後述するガス供給部249を介して処理室201に反応ガスが供給される。
【0017】
2本のガス供給管232a、232bには、反応副生成物であるNHClの付着を防ぐために、120℃程度まで加熱できる配管ヒータ(図示せず。)を装着している。
【0018】
処理室201は、ガスを排気する排気管であるガス排気管231によりバルブ243dを介して排気手段である真空ポンプ246に接続され、真空排気されるようになっている。尚、このバルブ243dは弁を開閉して処理室201の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能になっている開閉弁である。
【0019】
処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間には、反応管203の下部より上部の内壁にウエハ200の積載方向に沿って、ガス分散空間であるバッファ室237が設けられており、そのバッファ室237のウエハ200と隣接する内側の壁の端部近傍にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248aが設けられている。このガス供給孔248aは反応管203の中心へ向けて開口している。このガス供給孔248aは、ウエハ200の積載方向に沿って下部から上部に所定の長さにわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0020】
そしてバッファ室237のガス供給孔248aが設けられた端部と反対側の端部近傍には、ノズル233が、やはり反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。そしてノズル233にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248bが複数設けられている。複数のガス供給孔248bは、ガス供給孔248aの場合と同じ所定の長さにわたってウエハ200の積載方向に沿って配設されている。そして、複数のガス供給孔248bと複数のガス供給孔248aとをそれぞれ1対1で対応させて配置している。
【0021】
また、ガス供給孔248bの開口面積は、バッファ室237と処理炉202の差圧が小さい場合には、上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくすると良い。
【0022】
ガス供給孔248bの開口面積や開口ピッチを上流側から下流にかけて調節することで、まず、各ガス供給孔248bよりガスの流速の差はあるが、流量はほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてこの各ガス供給孔248bから噴出するガスをバッファ室237に噴出させて一旦導入し、ガスの流速差の均一化を行うことができる。
【0023】
すなわち、バッファ室237において、各ガス供給孔248bより噴出したガスはバッファ室237で各ガスの粒子速度が緩和された後、ガス供給孔248aより処理室201に噴出する。この間に、各ガス供給孔248bより噴出したガスは、各ガス供給孔248aより噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとすることができる。
【0024】
さらに、バッファ室237に、細長い構造を有する棒状電極269及び棒状電極270が上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管275に保護されて配設され、この棒状電極269又は棒状電極270のいずれか一方は整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、棒状電極269及び棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
【0025】
この電極保護管275は、棒状電極269及び棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部は外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された棒状電極269及び棒状電極270はヒータ207の加熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部は窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて棒状電極269又は棒状電極270の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられる。
【0026】
さらに、ガス供給孔248aの位置より、反応管203の内周を120°程度回った内壁に、ガス供給部249が設けられている。このガス供給部249は、ALD法による成膜においてウエハ200へ、複数種類のガスを1種類ずつ交互に供給する際に、バッファ室237とガス供給種を分担する供給部である。
【0027】
このガス供給部249もバッファ室237と同様にウエハと隣接する位置に同一ピッチでガスを供給する供給孔であるガス供給孔248cを有し、下部ではガス供給管232bが接続されている。
【0028】
ガス供給孔248cの開口面積はバッファ室237と処理室201の差圧が小さい場合には、上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか開口ピッチを小さくすると良い。
【0029】
反応管203内の中央部には複数枚のウエハ200を多段に同一間隔で鉛直方向に載置するボート217が設けられており、このボート217は図中省略のボートエレベータ機構により反応管203に出入りできるようになっている。また処理の均一性を向上するためにボート217を回転するための回転手段であるボート回転機構267が設けてあり、ボート回転機構267を回転することにより、石英キャップ218に保持されたボート217を回転するようになっている。
【0030】
次にALD法による成膜例について、DCS及びNHガスを用いてSiN膜を成膜する例で説明する。
【0031】
まず成膜しようとするウエハ200をボート217に装填し、処理炉202に搬入する。搬入後、次の3つのステップを順次実行する。
【0032】
[ステップ1]
ステップ1では、プラズマ励起の必要なNHガスと、プラズマ励起の必要のないDCSガスとを併行して流す。まずガス供給管232aに設けたバルブ243a、及びガス排気管231に設けたバルブ243dを共に開けて、ガス供給管232aからマスフローコントローラ243aにより流量調整されたNHガスをノズル233のガス供給孔248bからバッファ室237へ噴出し、棒状電極269及び棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加してNHをプラズマ励起し、活性種として処理室201に供給しつつガス排気管231から排気する。NHガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、バルブ243dを適正に調整して処理室201内圧力を10〜100Paとする。マスフローコントローラ241aで制御するNHの供給流量は1000〜10000sccmである。NHをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間は2〜120秒間である。このときのヒータ207の温度はウエハが500〜600℃になるよう設定してある。NHは反応温度が高いため、上記ウエハ温度では反応しないので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ温度は設定した低い温度範囲のままで行える。
【0033】
このNHをプラズマ励起することにより活性種として供給しているとき、ガス供給管232bの上流側のバルブ243bを開け、下流側のバルブ243cを閉めて、DCSも流すようにする。これによりバルブ243b、243c間に設けたガス溜め247にDCSを溜める。このとき、処理室201内に流しているガスはNHをプラズマ励起することにより得られた活性種であり、DCSは存在しない。したがって、NHは気相反応を起こすことはなく、プラズマにより励起され活性種となったNHはウエハ200上の下地膜と表面反応する。
【0034】
[ステップ2]
ステップ2では、ガス供給管232aのバルブ243aを閉めて、NHの供給を止めるが、引続きガス溜め247へ供給を継続する。ガス溜め247に所定圧、所定量のDCSが溜まったら上流側のバルブ243bも閉めて、ガス溜め247にDCSを閉じ込めておく。また、ガス排気管231のバルブ243dは開いたままにし真空ポンプ246により、処理室201を20Pa以下に排気し、残留NHを処理室201から排除する。また、この時にはN等の不活性ガスを処理室201に供給すると、更に残留NHを排除する効果が高まる。ガス溜め247内には、圧力が20000Pa以上になるようにDCSを溜める。また、ガス溜め247と処理室201との間のコンダクタンスが1.5×10−3/s以上になるように装置を構成する。また、反応管203の容積とこれに対する必要なガス溜め247の容積との比として考えると、反応管203の容積1001(リットル)の場合においては、100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜め247は反応室容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
【0035】
[ステップ3]
ステップ3では、処理室201の排気が終わったらガス排気管231のバルブ243cを閉じて排気を止める。ガス供給管232bの下流側のバルブ243cを開く。これによりガス溜め247に溜められたDCSが処理室201に一気に供給される。このときガス排気管231のバルブ243dが閉じられているので、処理室201内の圧力は急激に上昇して約931Pa(7Torr)まで昇圧される。DCSを供給するための時間は2〜4秒設定し、その後上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とした。このときのウエハ温度はNHの供給時と同じく、500〜600℃である。DCSの供給により、下地膜上のNHとDCSとが表面反応して、ウエハ200上にSiN膜が成膜される。成膜後、バルブ243cを閉じ、バルブ243dを開けて処理室201を真空排気し、残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを排除する。また、この時にはN等の不活性ガスを処理室201に供給すると、更に残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを処理室201から排除する効果が高まる。またバルブ243bを開いてガス溜め247へのDCSの供給を開始する。
【0036】
上記ステップ1〜3を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによりウエハ上に所定膜厚のSiN膜を成膜する。
【0037】
なお、ALD装置では、ガスは下地膜表面に吸着する。このガスの吸着量は、ガスの圧力、及びガスの暴露時間に比例する。よって、希望する一定量のガスを、短時間で吸着させるためには、ガスの圧力を短時間で大きくする必要がある。この点で、本実施例では、バルブ243dを閉めたうえで、ガス溜め247内に溜めたDCSを瞬間的に供給しているので、処理室201内のDCSの圧力を急激に上げることができ、希望する一定量のガスを瞬間的に吸着させることができる。
【0038】
また、本実施例では、ガス溜め247にDCSを溜めている間に、ALD法で必要なステップであるNHガスをプラズマ励起することにより活性種として供給、及び処理室201の排気をしているので、DCSを溜めるための特別なステップを必要としない。また、処理室201内を排気してNHガスを除去しているからDCSを流すので、両者はウエハ200に向かう途中で反応しない。供給されたDCSは、ウエハ200に吸着しているNHとのみ有効に反応させることができる。
【0039】
次に、図3、図4を参照して本実施例の基板処理装置の概略を説明する。
【0040】
筐体101内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット100の授受を行う保持具授受部材としてのカセットステージ105が設けられ、カセットステージ105の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ115が設けられ、カセットエレベータ115には搬送手段としてのカセット移載機114が取りつけられている。又、カセットエレベータ115の後側には、カセット100の載置手段としてのカセット棚109が設けられると共にカセットステージ105の上方にも予備カセット棚110が設けられている。予備カセット棚110の上方にはクリーンユニット118が設けられクリーンエアを筐体101の内部を流通させるように構成されている。
【0041】
筐体101の後部上方には、処理炉202が設けられ、処理炉202の下方には基板としてのウエハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持手段としてのボート217を処理炉202に昇降させる昇降手段としてのボートエレベータ121が設けられ、ボートエレベータ121に取りつけられた昇降部材122の先端部には蓋体としてのシールキャップ219が取りつけられボート217を垂直に支持している。ボートエレベータ121とカセット棚109との間には昇降手段としての移載エレベータ113が設けられ、移載エレベータ113には搬送手段としてのウエハ移載機112が取りつけられている。又、ボートエレベータ121の横には、開閉機構を持ち処理炉202の下側のウエハ搬入出口131を気密に閉塞する閉塞手段としての炉口シャッタ116が設けられている。炉口シャッタ116には加熱ヒータ132が設けられている。
【0042】
ウエハ200が装填されたカセット100は、図示しない外部搬送装置からカセットステージ105にウエハ200が上向き姿勢で搬入され、ウエハ200が水平姿勢となるようカセットステージ105で90°回転させられる。更に、カセット100は、カセットエレベータ115の昇降動作、横行動作及びカセット移載機114の進退動作、回転動作の協働によりカセットステージ105からカセット棚109又は予備カセット棚110に搬送される。
【0043】
カセット棚109にはウエハ移載機112の搬送対象となるカセット100が収納される移載棚123があり、ウエハ200が移載に供されるカセット100はカセットエレベータ115、カセット移載機114により移載棚123に移載される。
【0044】
カセット100が移載棚123に移載されると、ウエハ移載機112の進退動作、回転動作及び移載エレベータ113の昇降動作の協働により移載棚123から降下状態のボート217にウエハ200を移載する。
【0045】
ボート217に所定枚数のウエハ200が移載されるとボートエレベータ121によりボート217が処理炉202に挿入され、シールキャップ219により処理炉202が気密に閉塞される。気密に閉塞された処理炉202内ではウエハ200が加熱されると共に処理ガスが処理炉202内に供給され、ウエハ200に処理がなされる。
【0046】
ウエハ200への処理が完了すると、ウエハ200は上記した作動の逆の手順により、ボート217から移載棚123のカセット100に移載され、カセット100はカセット移載機114により移載棚123からカセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により筐体101の外部に搬出される。
【0047】
炉口シャッタ116は、ボート217が降下状態の際に処理炉202のウエハ搬入出口131を気密に閉塞し、外気が処理炉202内に巻き込まれるのを防止している。炉口シャッタ116には加熱ヒータ132が設けられており、ボート217が降下状態の間、炉口シャッタ116を加熱しておく。炉口シャッタ116に加熱ヒータ132を取りつけ加熱することで、成膜後に残留している副生成物が炉口シャッタ116に付着、固化することを最小限に抑えることができる。
【0048】
また、炉口シャッタ116が閉じている時に処理室201内を減圧状態にし、炉口シャッタ116に付着した副生成物の昇華を促進するようにしている。特に、次のウエハ処理までの時間が十分ある時は、炉口シャッタ116を閉じた状態で処理室201を減圧にし、炉口シャッタ116の加熱温度における副生成物の蒸気圧以下にまで処理室201内の圧力を下げる処理を自動または手動で実施することで、堆積し始めた副生成物を有効に昇華させることが可能である。
【0049】
制御手段であるコントローラ321は、マスフローコントローラ241a、241b、バルブ243a、243b、243c、243d、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ121、加熱ヒータ132、高周波電源273、整合器272に接続されており、マスフローコントローラ241a、241bの流量調整、バルブ243a、243b、243cの開閉動作、バルブ243dの開閉及び圧力調整動作、レギュレータ302の開閉及び圧力調整動作、ヒータ207温度調節、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ121の昇降動作制御、高周波電極273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御、加熱ヒータ132による炉口シャッター116の加熱が行われる。
なお、カセット移載機114等の搬送動作は、搬送制御手段124により制御される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい実施例に係る基板処理装置の縦型の基板処理炉を説明するための概略縦断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施例に係る基板処理装置の縦型の基板処理炉を説明するための概略横断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施例に係る基板処理装置を説明するための概略斜視図である。
【図4】本発明の好ましい実施例に係る基板処理装置を説明するための概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
100…カセット
101…筐体
105…カセットステージ
109…カセット棚
110…予備カセット棚
112…ウエハ移載機
113…移載エレベータ
114…カセット移載機
115…カセットエレベータ
116…炉口シャッタ
118…クリーンユニット
121…ボートエレベータ
122…昇降部材
123…移載棚
124…搬送制御手段
131…ウエハ搬入出口
132…加熱ヒータ
200…ウエハ
201…処理室
202…処理炉
203…反応管
207…ヒータ
208…断熱部材
217…ボート
218…石英キャップ
219…シールキャップ
220…Oリング
224…プラズマ生成領域
231…ガス排気管
232a…ガス供給管
232b…ガス供給管
233…ノズル
237…バッファ室
241a…マスフローコントローラ
241b…マスフローコントローラ
243a…バルブ
243b…バルブ
243c…バルブ
243d…バルブ
246…真空ポンプ
247…ガス溜め
248a…ガス供給孔
248b…ガス供給孔
248c…ガス供給孔
249…ガス供給部
267…ボート回転機構
269…棒状電極
270…棒状電極
272…整合器
273…高周波電源
275…電極保護管
321…コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理室と、
前記処理室に所望のガスを供給し、処理室内で前記基板を加熱処理する際、前記処理室に開口した基板搬入出口を気密に閉塞する第1の閉塞手段とを備えた基板処理装置であって、
前記基板が前記処理室に収容されていない時に、前記基板搬入出口を閉塞する第2の閉塞手段を更に備え、
前記第2の閉塞手段を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−13204(P2006−13204A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189616(P2004−189616)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】