説明

基板収納容器

【課題】成形性の向上を図ることができ、しかも、基板と支持体との接触領域を減少させて塵埃の発生を抑制することのできる基板収納容器を提供する。
【解決手段】樹脂を含む成形材料により半導体ウェーハを整列収納するフロントオープンボックスタイプに射出成形される容器本体1と、この容器本体1の内部両側にそれぞれ設けられて相対向する一対の支持体4とを備え、この一対の支持体4に半導体ウェーハの周縁部側方を支持させる基板収納容器であり、各支持体4を、容器本体1の前後方向に分割して複数のティース5を形成し、ティース5とティース5との間に半導体ウェーハに非接触の隙間6を形成する。各支持体4が短い複数のティース5からなるので、支持体4の成形性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる基板を収納する基板収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の基板収納容器は、図示しないが、半導体ウェーハを収納するフロントオープンボックスタイプの容器本体と、この容器本体の開口した正面部を開閉する着脱自在の蓋体とを備えて構成されている。
容器本体は、樹脂を含む成形材料により射出成形され、内部両側には、相対向して半導体ウェーハの周縁部側方を支持する左右一対の支持体が対設されるとともに、この一対の支持体が容器本体の上下方向に間隔をおいて複数配列されており、各支持体が容器本体の前後方向に細長く伸びる板に形成されている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2006‐351707号公報
【特許文献2】特開2006‐120791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来における基板収納容器は、以上のように構成され、支持体が容器本体の前後方向に長く伸びる板に単に形成されているので、成形材料による支持体の成形性(成形材料の充填性)の向上を図ることができないという問題がある。また、半導体の製造分野においては、パーティクルの発生防止が益々重要視されているが、従来の支持体では、半導体ウェーハと支持体との接触領域をさらに減少させてパーティクルの発生を有効に防ぐことができないおそれがある。
【0004】
本発明は上記に鑑みなされたもので、成形性の向上を図ることができ、しかも、基板と支持体との接触領域を減少させて塵埃の発生を抑制することのできる基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては上記課題を解決するため、樹脂を含む成形材料により基板を収納するフロントオープンボックスに成形される容器本体と、この容器本体の内部両側にそれぞれ設けられて相対向する一対の支持体とを含み、この一対の支持体に基板を支持させるものであって、
各支持体を、容器本体の前後方向に分割して複数の支持片を形成し、支持片と支持片との間に隙間を形成したことを特徴としている。
【0006】
なお、容器本体を、3枚以下の基板を収納する背の低いフロントオープンボックスとしてその正面部を横長の開口部とすることができる。
また、複数の支持片のうち、容器本体の前部側に位置する支持片は、容器本体の内部側方から内方向に突出する板と、この板上に突出形成されて基板を支持するリブとを含むと良い。
【0007】
また、容器本体の開口した正面部の周縁に形成されて外方向に張り出し、ロードポート装置の出し入れ口に対向するリムフランジと、このリムフランジの側部に穿孔される取付孔と、この取付孔に選択的に挿入される着脱自在の情報表示パッドとを備え、
取付孔を、リムフランジの正面側に位置する拡径部と、この拡径部に一体形成されてリムフランジの背面側に位置する縮径部とから形成し、情報表示パッドの正面部を、リムフランジの正面に略面一に揃えるか、あるいは取付孔の拡径部内に埋没させることができる。
【0008】
また、情報表示パッドを、取付孔の拡径部に嵌まる柱部と、この柱部から伸びて取付孔の縮径部に引っかかる弾性の係止片とから形成することができる。
【0009】
また、容器本体の開口した正面部を開閉する蓋体を備え、この蓋体に、容器本体の正面部を閉じた蓋体を施錠する施錠機構を設け、
この施錠機構は、蓋体に支持されてその左右内外方向にスライド可能なスライド体と、このスライド体の先端部に回転可能に支持され、蓋体側壁の貫通孔から突出して容器本体の正面部内側の係止溝に干渉可能な係止爪と、スライド体を蓋体の左右外方向にスライドさせて係止爪を蓋体の貫通孔から突出させるバネと、スライド体の末端部側に設けられ、蓋体外部から操作ピンが挿入される操作孔とを含み、スライド体の操作孔を略円形に形成してその蓋体の左右内方向側に位置する一部を直線的な縦平坦部とし、容器本体の正面部から蓋体を取り外す場合に、スライド体の操作孔に操作ピンを挿入してスライド体を蓋体の左右内方向にスライドさせ、突出した係止爪を蓋体の貫通孔内に退没させるようにしても良い。
【0010】
さらに、蓋体は、容器本体の開口した正面部に嵌め合わされて施錠機構を内蔵する筐体と、この筐体の開口した正面部を被覆する表面カバーと、この表面カバーに設けられて施錠機構のスライド体の操作孔に対向する操作口とを含み、操作口を蓋体の左右内外方向に伸びる横長に形成してその左右外方向側を拡幅部とするとともに、左右内方向側に位置する残部を狭幅部としても良い。
【0011】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくとも各種のガラス基板、カバーガラス、半導体ウェーハ(φ200mm、300mm、450mm等)、フォトマスク等が含まれる。容器本体は、透明、不透明、半透明等を特に問うものではない。さらに、支持片は、略平坦の平板形、ピン形、円柱形、断面楕円形、角柱形、円錐形、角錐形、十字錐形等の形に形成することができる。
【0012】
本発明によれば、容器本体に基板を収納する場合、支持体の複数の支持片が基板に接触して支持するが、この際、支持片間の隙間に基板が接触したり、基板が摺れることが少ない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、成形性の向上を図ることができ、しかも、基板と支持体との接触領域を減少させて塵埃の発生を抑制することができるという効果がある。
また、複数の支持片のうち、容器本体の前部側に位置する支持片を、容器本体の内部側方から内方向に突出する板と、この板上に突出形成されて基板を支持するリブとから形成すれば、基板の斜め差込等の不具合を規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る基板収納容器の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図10に示すように、少数枚の半導体ウェーハWを収納するフロントオープンボックスに成形される容器本体1と、相対向して半導体ウェーハWを支持する複数対の支持体4と、容器本体1の開口した正面部を開閉する蓋体20とを備え、各支持体4を、容器本体1の前後方向に分割して複数のティース5を形成するようにしている。
【0015】
半導体ウェーハWは、図3に示すように、例えば薄く丸いφ300mmのシリコンタイプからなり、周縁部に位置合わせや識別用のオリフラあるいは平面略半円形のノッチが選択的に形成される。
【0016】
容器本体1は、図1ないし図6に示すように、成形用の金型に所定の樹脂を含む成形材料が射出されることにより、2枚の半導体ウェーハWを整列収納する背の低いフロントオープンボックスタイプに射出成形され、開口した横長の正面部に同形の蓋体20がエンドレスのガスケット28を介し着脱自在に嵌合されており、半導体加工装置に対する接続用のロードポート装置2に搭載されてその出し入れ口3に正面部やリムフランジ12を対向させる。
【0017】
容器本体1を成形する成形材料の所定の樹脂としては、例えば力学的性質、耐熱性、寸法安定性等に優れるポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート等があげられる。これらの樹脂には、必要なカーボン、カーボン繊維、金属繊維、カーボンナノチューブ、帯電防止剤、難燃剤等が選択的に添加される。
【0018】
容器本体1の内部、具体的には相対向する内部両側に、半導体ウェーハWの周縁部側方を支持する左右一対の支持体4が対設され、この一対の支持体4が容器本体1の上下方向に間隔をおいて複数配列される(図3、図4参照)。各支持体4は、容器本体1の前後方向に分割されて半導体ウェーハWの周縁部側方を水平に支持する複数の短いティース5を形成し、容器本体1の前後方向に並ぶティース5とティース5との間には、半導体ウェーハWに非接触の隙間6が区画形成される。
【0019】
容器本体1の外周面には図2や図5に示すように、容器本体1の機械的強度や剛性を高める平面略U字形のリブフランジ7が一体化される。このリブフランジ7は、容器本体1の背面部と両側部とに外側から一体成形され、背面部両側には、金属製のバランスウェイト8がそれぞれ螺着されており、この複数のバランスウェイト8により容器本体1の正面部が下方に傾斜するのが規制される。
【0020】
リブフランジ7の背面部中央は、略W字形に屈曲形成されて凹部を形成し、この凹部の開口が下方を向いて容器本体1のロードポート装置2に対する位置決め部9として機能する。また、リブフランジ7の側部前方も、略逆V字形に屈曲されて凹部を形成し、この凹部の開口が下方を向いてロードポート装置2に対する位置決め部9として機能する。
【0021】
容器本体1の天井の中心部には図1ないし図4、図6に示すように、被取付リブ10が立設され、この被取付リブ10上には、図示しない搬送機構に把持される平面略三角形あるいは多角形の吊持フランジ11が螺子等の締結具を介し着脱自在に後から螺着される。
【0022】
容器本体1の正面部は、図2ないし図4、図6に示すように、外方向に広がるよう屈曲形成されてリムフランジ12を形成し、このリムフランジ12の内部両側には、蓋体20施錠用の係止溝13がそれぞれ上下方向に切り欠かれる。
【0023】
リムフランジ12の左右に張り出した両側部には、複数の取付孔14がそれぞれ上下方向に並べて丸く穿孔され、この複数の取付孔14に情報表示パッドであるインフォパッド17が選択的に挿入され、かつロードポート装置2の検出センサ(例えば、光電センサ、フォトセンサ、タッチセンサ等)に検出されることにより、半導体ウェーハWの有無や枚数、基板収納容器のタイプ等がロードポート装置2に識別される。
【0024】
各取付孔14は、図7に示すように、リムフランジ12の正面側に位置する丸い拡径部15と、この拡径部15に一体形成されてリムフランジ12の背面側に位置する丸い縮径部16とから形成される。また、インフォパッド17は、同図に示すように、取付孔14の拡径部15に嵌まる円柱部18と、この円柱部18の背面側から伸長する一対の係止片19とから構成される。この一対の係止片19は、弾性やバネ性を有して円柱部18の半径内外方向に撓み、縮径部16の裏面側周縁に係止してインフォパッド17の取付孔14からの脱落を防止する。
【0025】
蓋体20は、図2、図6、図8、図9に示すように、容器本体1の正面部に着脱自在に嵌合され、施錠機構40を内蔵する横長の筐体21と、この筐体21の開口した正面部(表面部)に螺着されて被覆する透明の表面カバー32とを備えて構成され、容器本体1に対して図示しない蓋体開閉装置により取り付け・取り外しされる。
【0026】
筐体21は、図8に示すように、内部両側に施錠機構40用の複数の保持リブ22がそれぞれ一体的に突出形成され、周壁の両側部には、容器本体1の係止溝13に対向する施錠機構40用の溝孔23がそれぞれ切り欠かれており、各溝孔23の内周縁付近には、施錠機構40用の支持リブ24が一体的に突出形成される。
【0027】
筐体21の裏面中央部には、横長の取付穴25が凹み形成され、この取付穴25には、複数の半導体ウェーハWの周縁部前方を弾性片により弾発的に保持するフロントリテーナ26が装着される。また、筐体21の裏面周縁部には、横長で枠形の取付溝27が切り欠かれ、この取付溝27には、容器本体1との間に介在する弾性のガスケット28が嵌合される。
【0028】
ガスケット28は、図10に示すように、例えば耐熱性、難燃性、耐寒性、圧縮特性に優れるシリコーンゴム、フッ素ゴム、各種の熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系等)等を成形材料として弾性変形可能な横長の枠形に成形される。このガスケット28は、蓋体20の取付溝27に嵌合するエンドレスで枠形の取付部29と、この取付部29に一体形成されて容器本体1の正面部内に圧接して変形する接触部30とを備えて形成される。
【0029】
ガスケット28は、断面形が略U字形に形成されてその両自由端部の厚さと長さとが相違し、この両自由端部の内側自由端部よりも外側自由端部が長く伸長される。このガスケット28の両自由端部は、薄肉の内側自由端部が容易に変形するよう斜めにカットされて蓋体20の取付溝27内に密嵌し、厚肉の外側自由端部の端面が断面略三角形に尖って接触部30とされており、この接触部30以外の残部が取付部29とされる。
【0030】
表面カバー32は、横長の略矩形に形成され、両側部には、施錠機構40用の操作口33がそれぞれ略凸字形に穿孔されており、中央部と最両側部とには、蓋体開閉装置に真空吸着される正面円形の吸着領域36がそれぞれ形成される。各操作口33は、蓋体20の左右内外方向に伸びる横長に形成され、左右外方向側が湾曲辺付きの拡幅部34とされるとともに、左右内方向側に位置する残部が矩形の狭幅部35とされており、裏面側周縁部には、施錠機構40用の一対のガイド片37が筐体21の内方向に向け一体形成される。
【0031】
施錠機構40は、図8に示すように、筐体21の内部両側に支持されて左右内外方向にスライド可能な一対のリンクプレート41と、筐体21の各溝孔23に出没可能に軸支されてリンクプレート41の先端部に連結支持され、容器本体1の係止溝13に嵌合して干渉する揺動可能な一対の係止爪45と、各リンクプレート41に嵌入されて容器本体1の係止溝13に係止爪45を干渉させる一対のコイルバネ47と、各リンクプレート41の最末端部43側に穿孔され、蓋体外部から操作ピンが挿入される操作孔48とを備えて構成される。
【0032】
各リンクプレート41は、例えば先端部が二股に分かれた略Y字形の板に形成され、棒形の中央部にはコイルバネ47用の筒体であるカラー42がスライド可能に嵌入されており、末端部と最末端部43とが表面カバー32の一対のガイド片37にスライド可能に挟持されるとともに、最末端部43には、表面カバー32の操作口33に対向する正面略半楕円形の操作孔48が穿孔される。
【0033】
リンクプレート41の末端部には、カラー42のスライドや脱落を規制する略U字形のアームであるリンクアーム44がピンを介し左右内外方向に揺動可能に嵌入軸支され、このリンクアーム44が筐体21の保持リブ22にピンを介し左右内外方向に揺動可能に軸支される。
【0034】
各係止爪45は、変形した略V字形に屈曲形成され、屈曲部が筐体21の支持リブ24にピンを介し揺動可能に軸支される。この係止爪45は、その一端部がリンクプレート41の二股の先端部間にピンを介し揺動可能に軸支され、二股に分岐した他端部の間には、容器本体1の係止溝13内に摺接する複数のローラ46がピンを介し回転可能に支持される。各ローラ46は、例えば容器本体1と同様の材料等を使用して筒形に成形される。
【0035】
各コイルバネ47は、リンクプレート41の中央部に嵌通されてリンクプレート41の幅広の先端部側とカラー42との間に介在し、カラー42をリンクアーム44に圧接するとともに、筐体21の溝孔23から係止爪45の他端部、すなわち複数のローラ46を外部に突出させる。
【0036】
各操作孔48は、基本的には正面略楕円形に形成され、その蓋体20の左右内方向側に位置する周縁部が上下方向に直線的な縦平坦部49に切り欠かれており、この縦平坦部49に操作ピンが蓋体20の取り外し時に接触する。
【0037】
操作ピンは、図示しないが、細長い円柱形のピン部と、このピン部に一体成形されて半径外方向に膨出する膨出部とを備え、自動あるいは手動により操作される。この操作ピンは、ピン部が操作口33を貫通してリンクプレート41の操作孔48に挿入され、膨出部が表面カバー32の操作口33に適切に接触・干渉して蓋体20を支持するよう機能する。
【0038】
上記構成において、容器本体1に半導体ウェーハWを収納する場合には、各支持体4の複数の短いティース5が半導体ウェーハWの周縁部側方を面接触により水平に支持するが、この際、ティース5とティース5との間の隙間6に半導体ウェーハWの周縁部側方が接触することがない。
【0039】
また、容器本体1の複数の取付孔14にインフォパッド17を選択的に挿入する場合には、選択した取付孔14にインフォパッド17の一対の係止片19を挿入して押圧すれば良い。
すると、取付孔14の縮径部16の裏面側周縁に一対の係止片19が撓みながら係止し、取付孔14の拡径部15にインフォパッド17の円柱部18が嵌合し、リムフランジ12の正面にインフォパッド17の正面部が面一に揃えられて整合する。
【0040】
これとは逆に、容器本体1の取付孔14からインフォパッド17を取り外す場合には、インフォパッド17の一対の係止片19を内方向に撓ませて縮径部16の裏面側周縁との係止を解除し、リムフランジ12の背面側から正面側にインフォパッド17を押圧すれば良い。
【0041】
また、半導体ウェーハWを収納した容器本体1の開口した正面部を蓋体20により閉じる場合には、容器本体1のリムフランジ12内に蓋体20を蓋体開閉装置により押圧して嵌合し、容器本体1の各係止溝13に蓋体20の溝孔23を対向させれば良い。
【0042】
すると、圧縮されていた各コイルバネ47の復元作用によりリンクプレート41が保持リブ22、ガイド片37、リンクアーム44に案内されつつ蓋体20の左右外方向に水平にスライドして係止爪45を蓋体20の表裏方向に揺動させ、この係止爪45の他端部が蓋体20の溝孔23から外部に弧を描きながら突出して回転可能な複数のローラ46を容器本体1の係止溝13に嵌入し、この複数のローラ46の嵌入により、容器本体1の正面部が蓋体20により強固に閉じられ、かつ気密性や密閉性が確保される。
【0043】
このように施錠機構40に負荷が作用しない場合には、容器本体1の各係止溝13内に揺動突出した係止爪45のローラ46が転がり接触可能に嵌入し、容器本体1の正面部が蓋体20により覆われることとなる。
【0044】
これに対し、半導体ウェーハWを収納した容器本体1の正面部から施錠状態の蓋体20を取り外す場合には、一対のリンクプレート41の操作孔48に操作ピンを蓋体20の操作口33を介し外部からそれぞれ挿入し、操作ピンを操作口33の拡幅部34から狭幅部35方向に動かすことにより、各リンクプレート41を蓋体20の左右内方向にスライドさせれば良い。
【0045】
すると、各リンクプレート41がコイルバネ47を圧縮しながら蓋体20の左右内方向に水平にスライドし、係止爪45が弧を描きながら揺動してその露出した他端部、すなわち複数のローラ46を蓋体20の溝孔23内に退没させ、この係止爪45の他端部の退没により、容器本体1の係止溝13から複数のローラ46が外れて容器本体1から蓋体20を取り外すことが可能になる。
【0046】
上記構成によれば、各支持体4が単に長い板ではなく、複数の短いティース5からなるので、支持体4の成形性の著しい向上を図ることができる。また、ティース5とティース5との間の隙間6に半導体ウェーハWの周縁部側方が何ら接触することがないので、半導体ウェーハWと支持体4との接触領域を減少させ、パーティクルの発生をきわめて有効に防ぐことができる。また、支持体4を含む容器本体1を成形する金型の微調整の容易化が大いに期待できる。
【0047】
また、取付孔14にザグリを形成するので、インフォパッド17の正面部を、リムフランジ12の正面に面一に揃えたり、あるいは取付孔14内に埋没させることができ、取付孔14に挿入されたインフォパッド17の正面がリムフランジ12の正面から前方に突出することがない。したがって、インフォパッド17の正面の突出部分が障害物となることがないので、ロードポート装置2の出し入れ口3に容器本体1の正面部やリムフランジ12が適切に接触し、半導体製造作業の円滑化、迅速化、容易化を図ることが可能になる。
【0048】
また、容器本体1から蓋体20を取り外さない施錠機構40の非操作時には、容器本体1の係止溝13に係止爪45がコイルバネ47により絶えず嵌入して容器本体1の正面部やリムフランジ12を蓋体20により強固に閉じるので、容器本体1から蓋体20が外れることが全くなく、蓋体20の施錠や開閉に支障を来たすおそれがない。さらに、容器本体1の係止溝13に係止爪45が直接嵌入するのではなく、係止爪45の回転可能な複数のローラ46が嵌入して摺接するので、容器本体1と係止爪45との擦れによりパーティクルが発生して半導体ウェーハWを汚染させるおそれがない。
【0049】
次に、図11、図12は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1Aを、25枚あるいは26枚の半導体ウェーハWを収納する大型のフロントオープンボックスタイプに射出成形し、この容器本体1Aの各支持体4を、容器本体1Aの前後方向に分割して半導体ウェーハWの周縁部側方を水平に支持する複数のティース5を形成し、前後に並ぶティース5とティース5との間には、半導体ウェーハWに非接触の隙間6を区画形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0050】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、小型の容器本体1だけではなく、大型の容器本体1Aにも支持体4を用いることができるので、支持体4の汎用性を高めることができるのは明らかである。
【0051】
次に、図13は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、複数のティース5中、容器本体1の最も正面部側に位置するティース5を、換言すれば、容器本体1の最前部側に位置するティース5を、容器本体1の内部側方から内方向に突出する平坦な板5aと、この板5a上に突出形成されて半導体ウェーハWを点接触により支持する断面略円形あるいは略半楕円形のリブ5bとから一体形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0052】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、板5a上にリブ5bを一体成形するので、半導体ウェーハWのクロススロットを有効に防止することができるのは明らかである。
【0053】
なお、上記実施形態における複数のティース5は、全て同じ形に形成しても良いが、一部を異なる形に形成しても良い。また、1段目のティース5と2段目のティース5とは、上下方向の同じ箇所に位置しても良いし、そうでなくても良い。例えば、1、2段目のティース5を千鳥形に配列しても良い。さらに、蓋体20は、透明、不透明、半透明等を問うものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体とロードポート装置を模式的に示す側面説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す正面説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す断面側面図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す底面説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体とその蓋体を模式的に示す正面説明図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるリムフランジ、取付孔、インフォパッドを模式的に示す部分断面説明図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体を模式的に示す分解斜視説明図である。
【図9】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体の裏面を模式的に示す斜視説明図である。
【図10】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるガスケットを模式的に示す部分断面説明図である。
【図11】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【図12】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態における半導体ウェーハの収納状態を模式的に示す断面平面図である。
【図13】本発明に係る基板収納容器の第3の実施形態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 容器本体
A 容器本体
2 ロードポート装置
4 支持体
5 ティース(支持片)
5a 板
5b リブ
6 隙間
12 リムフランジ
14 取付孔
17 インフォパッド
20 蓋体
40 施錠機構
W 半導体ウェーハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含む成形材料により基板を収納するフロントオープンボックスに成形される容器本体と、この容器本体の内部両側にそれぞれ設けられて相対向する一対の支持体とを含み、この一対の支持体に基板を支持させる基板収納容器であって、
各支持体を、容器本体の前後方向に分割して複数の支持片を形成し、支持片と支持片との間に隙間を形成したことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
容器本体を、3枚以下の基板を収納する背の低いフロントオープンボックスとしてその正面部を横長の開口部とした請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
複数の支持片のうち、容器本体の前部側に位置する支持片は、容器本体の内部側方から内方向に突出する板と、この板上に突出形成されて基板を支持するリブとを含んでなる請求項1又は2記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−259951(P2009−259951A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105729(P2008−105729)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】