説明

基板収納容器

【課題】コンテナ体内の気体を短時間で効率良く置換することのできる基板収納容器を提供する。
【解決手段】複数枚の半導体ウェーハWを整列収納可能なコンテナ体1と、コンテナ体1の開口した正面2を開閉するドア体30と、コンテナ体1の両側壁9前部に配設され、コンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30を施錠する施錠手段40と、コンテナ体1内のガスと外部の不活性ガスとを置換する気体置換手段60とを備えた基板収納容器であり、気体置換手段60は、正面2にドア体30が嵌合されたコンテナ体1の外部から内部に不活性ガスを供給する給気パージバルブ61と、正面2にドア体30が嵌合されたコンテナ体1の内部から外部にガスを排気する排気パージバルブ65とを備え、給気パージバルブ61をドア体30に内蔵し、排気パージバルブ65をコンテナ体1の底板4後方に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる基板を収納、保管、搬送、輸送等する際に使用される基板収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の基板収納容器は、図示しないが、複数枚の半導体ウェーハを内部空間に整列収納するフロントオープンボックスタイプのコンテナ体と、このコンテナ体の開口した正面を開閉する中空のドア体と、このドア体に内蔵されてコンテナ体の正面に嵌合されたドア体を施錠する施錠手段と、正面にドア体が嵌合されたコンテナ体内の気体と外部の気体とを置換して半導体ウェーハの汚染を防止する気体置換手段とを備えて構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
コンテナ体は、その内部両側、すなわち、両側壁の内面に、半導体ウェーハを略水平に支持する左右一対の支持片がそれぞれ対設され、この左右一対の支持片が上下方向に所定のピッチで配列されている。したがって、複数枚の半導体ウェーハは、コンテナ体の内部上下方向に並べて収納されることにより、コンテナ体の広い内部空間を複数に分割し、隣接する半導体ウェーハと半導体ウェーハとの間に狭い空間を区画することとなる。
【0004】
気体置換手段は、正面にドア体が嵌合されたコンテナ体の外部から内部に窒素ガス等の不活性ガスを供給する複数の給気パージバルブと、正面にドア体が嵌合されたコンテナ体の内部から外部に空気等のガスを排気する複数の排気パージバルブとを備えている。これら複数の給気パージバルブと排気パージバルブとは、ドア体に内蔵された施錠手段により、ドア体に装着するためのスペースを確保できない関係上、コンテナ体の底板にそれぞれ装着されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002‐368074号公報
【特許文献2】特開2004‐146676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における基板収納容器は、以上のようにコンテナ体の広い内部空間が複数枚の半導体ウェーハにより複数に分割されて気体の流通性が悪く、しかも、コンテナ体の底板に気体置換手段の給気パージバルブと排気パージバルブとが単に装着されるので、これら給気パージバルブや排気パージバルブから離れた半導体ウェーハ間の狭い空間にガス等が円滑に流通せず、滞留することがある。この場合には、コンテナ体内のガスを不活性ガスに短時間で効率良く置換することができず、置換作業の遅延を招くという問題がある。
【0007】
係る問題を解消するには、ドア体に気体置換手段の給気パージバルブを装着し、この給気パージバルブから隣接する半導体ウェーハ間の空間の前後方向に不活性ガスを供給すれば良いが、ドア体には施錠手段が内蔵されて障害物となるので、ドア体に給気パージバルブ用の装着スペースを確保するのは困難である。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたもので、コンテナ体内の気体を短時間で効率良く置換することのできる基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては上記課題を解決するため、複数枚の基板を収納可能なコンテナ体と、このコンテナ体の開口した正面を開閉するドア体と、コンテナ体の周壁の正面近傍あるいはドア体の周壁に設けられ、コンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体を施錠する施錠手段と、コンテナ体内の気体と外部の気体とを置換する気体置換手段とを備えたものであって、
気体置換手段は、正面にドア体が嵌め合わされたコンテナ体の外部から内部に気体を供給する給気バルブと、正面にドア体が嵌め合わされたコンテナ体の内部から外部に気体を排気する排気バルブとを含み、給気バルブをドア体に取り付け、排気バルブをコンテナ体とドア体の少なくともいずれか一方に取り付けたことを特徴としている。
【0010】
なお、施錠手段は、ドア体の施錠時にはドア体の開閉方向に交わる施錠方向にスライドし、ドア体の解錠時にはドア体の開閉方向に交わる施錠方向とは反対側の解錠方向にスライドする被操作部材と、この被操作部材の施錠方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体あるいはコンテナ体の正面内周に接触し、被操作部材の解錠方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体あるいはコンテナ体の正面内周から離隔(離れ隔てる)する施錠部材と、被操作部材のスライドに伴う駆動力を施錠プレートに伝達する駆動力伝達機構とを含むことができる。
【0011】
また、施錠手段は、コンテナ体の側壁前部に支持され、ドア体の施錠時には下方向にスライドし、ドア体の解錠時には上方向にスライドする被操作部材と、コンテナ体の側壁前部と被操作部材との間に介在され、被操作部材の下方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体の側壁に接触し、被操作部材の上方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体の側壁から離隔する施錠部材と、被操作部材と施錠部材とに設けられ、被操作部材のスライドに伴う駆動力を施錠部材に伝達して動作させるカム機構とを含むことができる。
【0012】
また、コンテナ体の側壁前部に、切り欠きを形成するとともに、この切り欠きを被覆する施錠手段用の収納ブロックを取り付け、この収納ブロックには、施錠手段の被操作部材を案内するガイド片を設け、このガイド片には、被操作部材用の位置規制部を形成することもできる。
【0013】
また、収納ブロックと施錠手段の被操作部材のいずれか一方に凸部を形成するとともに、他方には第一、第二の凹部を形成し、被操作部材が施錠方向にスライドした場合には、凸部と第一の凹部とを嵌め合わせて固定し、被操作部材が解錠方向にスライドした場合には、凸部と第二の凹部とを嵌め合わせて固定することが可能である。
【0014】
また、施錠手段の被操作部材に固定用の長孔を設け、この長孔に、収納ブロックに固定されるカバー部材を取り付けて収納ブロックからの被操作部材の脱落を規制するようにし、被操作部材とカバー部材のいずれか一方に凸部を形成するとともに、他方には第一、第二の凹部を形成し、被操作部材が施錠方向にスライドした場合には、凸部と第一の凹部とを嵌め合わせて固定し、被操作部材が解錠方向にスライドした場合には、凸部と第二の凹部とを嵌め合わせて固定することが可能である。
【0015】
また、ドア体の側壁に、コンテナ体の側壁前部の切り欠きに対応する施錠突片を形成し、施錠手段の施錠部材に、収納ブロックを貫通してコンテナ体の切り欠き内に位置する施錠片を形成し、被操作部材の施錠方向へのスライド時にドア体の施錠突片に施錠部材の施錠片を引っかけても良い。
【0016】
また、ドア体の側壁に、コンテナ体の側壁前部の切り欠きに対応する解錠溝を形成してその周縁部には施錠突片を形成し、被操作部材の解錠方向へのスライド時に、ドア体の施錠突片に対する施錠部材の施錠片の干渉を解錠溝により解除するとともに、この解錠溝を施錠部材により被覆しても良い。
【0017】
また、施錠手段のカム機構は、被操作部材に形成されるカム溝と、施錠部材に形成されて被操作部材のカム溝に嵌め入れられるカム突起とを含むことができる。
また、施錠部材の施錠片とカム機構のカム溝に嵌め入れられるカム突起の少なくともいずれかに、摺動性が良好な回転ローラを回転可能に取り付けても良い。
【0018】
また、気体置換手段は、コンテナ体の外部から給気バルブに流入した気体をドア体内のチャンバー室に導入し、このチャンバー室からドア体の複数の供給孔に気体を分流して供給し、この複数の供給孔からコンテナ体に収納された複数枚の基板間に気体を供給するチャンバーを含むことができる。
また、気体置換手段には、コンテナ体内の気体をコンテナ体底部の複数の排気孔に流入させ、この複数の排気孔からチャンバー室に気体を導入して合流させ、このチャンバー室からコンテナ体底部の排気バルブに気体を排気するチャンバーを含むことが可能である。
【0019】
さらに、気体置換手段の給気バルブをドア体の上部から略中央部に亘る領域に取り付け、気体置換手段の排気バルブをコンテナ体の底部後方に取り付けることが可能である。
さらにまた、気体置換手段の給気バルブをドア体の上部から略中央部に亘る領域に取り付け、気体置換手段の排気バルブをドア体の下部に取り付けても良い。
【0020】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくともφ200、300、450mmのシリコン等の半導体ウェーハやガラスウェーハ、マスクガラス、液晶ガラス等が含まれる。また、コンテナ体やドア体は、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。コンテナ体の底部には、少なくともコンテナ体の底板と、この底板に選択的に装着されるボトムプレートとが含まれる。また、気体には、少なくとも各種の不活性ガスや空気等が含まれる。施錠手段は、ドア体の内部でなければ、コンテナ体の周壁の正面近傍に設けることができるし、ドア体の周壁に設けることもできる。
【0021】
施錠手段をコンテナ体の周壁の正面近傍に設ける場合には、コンテナ体の正面を区画する底板前部、天板前部、あるいは側壁前部に設けて被操作部材を水平方向や上下方向に所定の装置又は手動によりスライドさせることができる。この施錠手段の被操作部材や施錠部材は、板状でも良いし、ブロック状や棒状等でも良い。施錠手段の駆動力伝達機構としては、例えばカム機構、リンク機構、スライダ機構、これらの組み合わせ機構等があげられる。この駆動力伝達機構は、施錠部材に駆動力を直接的に伝達するものでも良いし、連結部材等からなる各種の部材を介して間接的に伝達するものでも良い。
【0022】
本発明によれば、ドア体が嵌め合わされたコンテナ体を満たす内部の気体と外部の気体とを置換する場合には、気体置換手段の給気バルブに気体を外部から供給する。すると、この供給された外部の気体は、給気バルブからコンテナ体に収納された複数枚の基板間に流入し、基板間の空間に流通して基板の汚染を防ぐとともに、コンテナ体内を満たす内部の気体を排気バルブ方向に押しやり、この内部の気体を排気バルブからコンテナ体の外部に排気する。
【0023】
ドア体の内部ではなく、コンテナ体の正面近傍あるいはドア体の周壁に施錠手段を設けるので、施錠手段が給気バルブをドア体に取り付ける際の障害物となることがなく、ドア体に給気バルブを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コンテナ体内の気体を短時間で効率良く置換することができるという効果がある。また、コンテナ体の周壁の正面近傍あるいはドア体の周壁に施錠手段を設けるので、汚染物がドア体内に蓄積したり、コンテナ体の内部に侵入するのを抑制し、ドア体に要する作業の迅速化を図ることができる。
【0025】
また、施錠手段に、被操作部材のスライドに伴う駆動力を施錠部材に伝達して動作させるカム機構を含めば、施錠・解錠の再現精度を向上させたり、被操作部材や施錠部材の剛性や信頼性を向上させることができる。
【0026】
また、気体置換手段にチャンバーを含めば、給気バルブからの気体を分流して広範囲に亘って流すことができるので、給気バルブを多数用いる必要がなく、部品点数の削減が期待できる。また、給気バルブからの気体の圧力や雰囲気を調整したり、気体の充填効率を向上させることが可能になる。
また、気体置換手段の給気バルブをドア体の上部から略中央部に亘る領域に取り付ければ、コンテナ体の上部から下部に気体を流しながら複数枚の基板間に流通させることが可能になる。したがって、複数枚の基板間の一部に気体が流通しない事態を容易に防ぐことが可能になる。
【0027】
さらに、気体置換手段の排気バルブをドア体の下部に取り付ければ、ドア体に給気バルブと排気バルブとを集約することができるので、コンテナ体の底部に気体置換手段用の取付孔を穿孔する作業を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す全体斜視説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるドア体を模式的に示す斜視説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の実施形態における気体置換手段による気体の置換状態を模式的に示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるコンテナ体、ドア体、施錠手段の一部を模式的に示す部分断面斜視説明図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるドア体の側壁を模式的に示す部分斜視説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の実施形態における施錠手段の施錠状態を模式的に示す側面説明図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の実施形態における施錠手段の解錠中の状態を模式的に示す側面説明図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるドア体開閉装置と施錠手段の解錠状態とを模式的に示す側面説明図である。
【図9】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態を模式的に示す全体斜視説明図である。
【図10】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態における気体置換手段による気体の置換状態を模式的に示す断面説明図である。
【図11】本発明に係る基板収納容器の第3の実施形態を模式的に示す全体斜視説明図である。
【図12】本発明に係る基板収納容器の第3の実施形態における気体置換手段による気体の置換状態を模式的に示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図8に示すように、複数枚の半導体ウェーハWを内部空間に整列収納する中空のコンテナ体1と、このコンテナ体1の開口した正面2をシールガスケット35を介して開閉する中空のドア体30と、コンテナ体1の正面2を区画する両側壁9の前部に配設され、コンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30を施錠する施錠手段40と、ドア体30が嵌合されたコンテナ体1内のガスと外部の不活性ガスとを置換する気体置換手段60とを備え、半導体加工装置に付属のドア体開閉装置20に搭載される容器であり、気体置換手段60の給気パージバルブ61をドア体30に装着するとともに、複数の排気パージバルブ65をコンテナ体1に装着するようにしている。
【0030】
半導体ウェーハWは、例えば775μmの厚さを有するφ300mm、あるいは925μmの厚さを有するφ450mmのシリコンウェーハ等からなり、周縁部に位置合わせや識別用のノッチが平面V字形に切り欠かれており、コンテナ体1に25枚が整列して収納される。
【0031】
コンテナ体1とドア体30とは、所定の樹脂を含有する成形材料により複数の部品がそれぞれ射出成形され、この複数の部品の組み合わせで構成される。この成形材料の所定の樹脂としては、例えばポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等があげられる。
【0032】
これらの樹脂には、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属繊維、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電剤やアニオン、カチオン、非イオン系等の各種帯電防止剤を添加することができる。また、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤を添加したり、剛性を向上させるガラス繊維や炭素繊維等を添加することも可能である。
【0033】
コンテナ体1は、図1や図3、図8に示すように、正面2が横長に開口したフロントオープンボックスタイプに形成され、開口した正面2を水平横方向に向けた状態で半導体加工装置に付属のドア体開閉装置20上に位置決めして搭載されたり、洗浄槽の洗浄液により洗浄される。このコンテナ体1は、内部両側、換言すれば、両側壁9の内面に、半導体ウェーハWを略水平に支持する左右一対の支持片3がそれぞれ対設され、この左右一対の支持片3が上下方向に所定のピッチで配列されており、各支持片3が半導体ウェーハWの側部周縁を支持する細長い板形に形成される。
【0034】
コンテナ体1の底板4の後部両側には、気体置換手段60用の装着孔がそれぞれ貫通して穿孔され、各装着孔に気体置換手段60の排気パージバルブ65が着脱自在に装着される。また、コンテナ体1の底板4には、別体のボトムプレート5が螺子具を介して水平に螺着され、このボトムプレート5の前部両側と後部中央とには、コンテナ体1を位置決めする位置決め具6がそれぞれ配設される。
【0035】
各位置決め具6は、基本的には平面略楕円形を呈する断面略V字形に形成されてその一対の斜面を備えた凹部を下方に指向させ、ドア体開閉装置20の位置決めピン22に上方から凹部を嵌合・摺接させることにより、コンテナ体1を高精度に位置決めするよう機能する。
【0036】
コンテナ体1の天板7の中央部には、工場の天井搬送機構に把持される搬送用のトップフランジが着脱自在に装着され、コンテナ体1の正面周縁部には、外方向に張り出すリムフランジ8が保持リブを介し膨出形成されており、このリムフランジ8内に着脱自在のドア体30がドア体開閉装置20により圧入して嵌合される。また、コンテナ体1の両側壁9中央部には、補強や変形防止の他、握持用に機能するグリップ部が着脱自在にそれぞれ装着される。
【0037】
コンテナ体1の正面2を区画する各側壁9の前部、換言すれば、ドア体30の周壁に対向するリムフランジ8の各側部には図2に示すように、施錠手段40用の複数の切り欠き10が間隔をおき上下に並べて切り欠かれるとともに、この複数の切り欠き10を被覆する縦長の収納ブロック11が装着されており、この収納ブロック11に施錠手段40が効率的にまとめて収納される。
【0038】
各収納ブロック11は、基本的にはコンテナ体1の側壁9以上の長さ(高さ)を有する略コ字形に形成され、略中央部には、施錠手段40の位置ずれを防止する固定用の凸部12が突出形成されるとともに、上下部には、コンテナ体1の切り欠き10に対応する施錠手段40用の貫通溝13がそれぞれ縦長に穿孔されており、屈曲した短い上下両端部には、施錠手段40のガタツキを防止して案内するガイド片14がそれぞれ装着される。
【0039】
各ガイド片14は、摺動性に優れるポリアセタール、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、摺動剤の添加された熱可塑性樹脂を含有する成形材料により略L字形に屈曲形成される。この起立片の両側部には、施錠手段40を幅方向に規制する位置規制部15がそれぞれ突出形成される。
【0040】
ドア体開閉装置20は、図8に示すように、コンテナ体1を搭載するステージ21を備え、このステージ21には、コンテナ体1の複数の位置決め具6にそれぞれ嵌挿する位置決めピン22が所定の間隔で立設される。このドア体開閉装置20には、コンテナ体1の各収納ブロック11の上下に位置する駆動ピン23が昇降可能に複数設けられ、この複数の駆動ピン23が選択的に昇降して施錠手段40にアクセスすることにより、施錠手段40が動作してドア体30を施錠したり、解錠する。
【0041】
ドア体開閉装置20には、図3に示すように、気体置換手段60の給気パージバルブ61に接続して不活性ガスを供給するガス供給ノズル24と、気体置換手段60の複数の排気パージバルブ65に接続してガスを排気するガス排気ノズル25とが接離可能に配設される。
【0042】
ドア体30は、図1ないし図5に示すように、コンテナ体1のリムフランジ8内に圧入して嵌合される中空のドア本体31と、このドア本体31の開口した正面を被覆する表面プレート34と、コンテナ体1のリムフランジ8とドア本体31との間に介在される密封封止用のシールガスケット35とを備えて構成される。ドア本体31は、基本的には底の浅い断面略皿形に形成され、内部に補強用や取付用のリブが複数配設されており、半導体ウェーハWに対向する対向面である裏面には、半導体ウェーハWの前部周縁を弾性片により弾発的に保持するフロントリテーナが装着される。
【0043】
ドア本体31の裏面周縁部には、枠形の嵌合溝が凹み形成され、この嵌合溝に、リムフランジ8の内周面に圧接するシールガスケット35が密嵌される。また、ドア本体31の周壁である両側壁の外面には、コンテナ体1の切り欠き10に対応する施錠手段40用の複数の解錠溝32が間隔をおき上下に並べて一体形成され、各解錠溝32の周縁には施錠手段40用の施錠突片33が一体形成される。各解錠溝32は、縦長の略矩形に凹み形成され、下部周縁が略L字形の施錠突片33に区画される。
【0044】
表面プレート34は、横長の正面矩形に形成され、補強用や取付用のリブ、螺子孔等が複数配設される。この表面プレート34は、必要に応じ、ドア本体31の一部を被覆するよう設けられたり、あるいは省略される。また、シールガスケット35は、例えば耐熱性や耐候性等に優れるフッ素ゴム、シリコーンゴム、各種の熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系等)等を成形材料として弾性変形可能な枠形に成形される。
【0045】
施錠手段40は、図1、図4、図6ないし図8に示すように、コンテナ体1の収納ブロック11に収納支持されてドア体30の施錠・解錠時に上下方向にスライドする被操作プレート41と、コンテナ体1の収納ブロック11と被操作プレート41との間に介在され、被操作プレート41の上下方向へのスライドに応じてコンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30の側壁に接離するスライド可能な複数の施錠プレート46と、これら被操作プレート41と複数の施錠プレート46とに形成され、被操作プレート41のスライドに伴う駆動力を施錠プレート46に伝達する運動特性が良好のカム機構48とを備えて構成される。
【0046】
被操作プレート41は、基本的には所定の材料を使用してコンテナ体1の側壁9と略同じ長さ(高さ)を有する細長い板片に形成され、収納ブロック11の複数のガイド片14にスライド可能に支持されており、各ガイド片14の位置規制部15に挟持されることによりガタツキや脱落が防止される。この被操作プレート41の材料としては、例えば剛性に優れるポリカーボネートやポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維やガラス繊維で補強された合成樹脂、SUSやアルミ等の金属等があげられる。
【0047】
被操作プレート41は、略中央部に固定用の長孔42が縦長に穿孔され、この長孔42に、収納ブロック11に固定されるカバープレート43が重ねて遊嵌されることにより収納ブロック11からの脱落が有効に防止される。この被操作プレート41の上下両端部は、それぞれ屈曲形成されることにより平坦面を有し、ドア体開閉装置20の駆動ピン23に上下方向からアクセスされる。
【0048】
被操作プレート41には、収納ブロック11の凸部12と噛合する第一、第二の凹部44・45が上下方向に間隔をおいて形成され、この第一、第二の凹部44・45が収納ブロック11の凸部12と選択的に噛合することにより、ドア体30の施錠・解錠時における被操作プレート41の不要なスライドや位置ずれが規制される。
【0049】
具体的には、ドア体30の施錠時には、収納ブロック11の凸部12と被操作プレート41の上方の第一の凹部44とが噛合して被操作プレート41を位置決め固定し、ドア体30の解錠時には、収納ブロック11の凸部12と被操作プレート41の下方の第二の凹部45とが噛合して被操作プレート41を位置決め固定する。このような被操作プレート41は、屈曲した上下両端部にドア体開閉装置20の駆動ピン23がアクセスすることにより、ガイド片14に案内されつつドア体30の施錠時には下方向にスライドし、ドア体30の解錠時には上方向にスライドする。
【0050】
各施錠プレート46は、所定の材料を使用して被操作プレート41よりも短い板形に形成され、少なくともドア体30側壁の解錠溝32や施錠突片33に収納ブロック11を介して対向しており、収納ブロック11にスライド可能に支持される。この施錠プレート46には、収納ブロック11の貫通溝13をスライド可能に貫通してコンテナ体1の切り欠き10内に位置する鉤爪形の施錠片47が突出形成され、この施錠片47がドア体30の解錠溝32に進入して施錠突片33に干渉係止する。
【0051】
施錠プレート46の材料としては、例えば摺動性に優れるポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート等の合成樹脂にPTFE等のフッ素樹脂やシリコーン樹脂からなる摺動性改質剤を添加した材料、各種の熱可塑性エラストマーが該当する。
【0052】
このような施錠プレート46は、被操作プレート41の下方向へのスライド時には、コンテナ体1の開口した正面2に嵌合されたドア体30の施錠突片33に施錠片47を圧接係止し、被操作プレート41の上方向へのスライド時には、コンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30の施錠突片33から施錠片47を解錠溝32方向に離隔するよう機能する。
【0053】
カム機構48は、被操作プレート41の上下方向に間隔をおいて形成される複数のカム溝49と、各施錠プレート46に突出形成されて被操作プレート41のカム溝49に摺動可能に遊嵌する円柱形のカム突起52とを備え、被操作プレート41のスライドに伴う駆動力を施錠プレート46に伝達して上下方向に高速で安定してスライドさせるよう機能する。各カム溝49は、被操作プレート41の上下方向に僅かに傾斜しながら伸びる傾斜溝50と、この傾斜溝50の下端部から被操作プレート41の幅方向に屈曲しながら連続的に伸びる屈曲溝51とから一体形成される。
【0054】
気体置換手段60は、図1ないし図3に示すように、正面2にドア体30が嵌合されたコンテナ体1の外部から内部に不活性ガス(図3の矢印参照)を供給する給気パージバルブ61と、この給気パージバルブ61に流入した不活性ガスを分流してコンテナ体1内に整列収納された複数枚の半導体ウェーハW間に供給するチャンバー62と、正面2にドア体30が嵌合されたコンテナ体1の内部から外部に空気等のガス(図3の矢印参照)を排気する複数の排気パージバルブ65とを備えて構成される。
【0055】
給気パージバルブ61は、ドア体30のドア本体31中央部と表面プレート34との間に介在して装着される円筒形のケースを備え、このケース内には、弁座が形成されるとともに、この弁座に対して接離する弁体がスプリングを介し往復動可能に挿入されており、この弁体の弁座に対する接離により不活性ガスの供給が制御される。ケースは、塵埃を除去するフィルタが内蔵され、開口した両端部が表面プレート34とチャンバー62との中央部にそれぞれ通気可能に連通されており、表面プレート34の中央部から外部に露出した端部にドア体開閉装置20のガス供給ノズル24が接続する。
【0056】
チャンバー62は、ドア本体31の中央部付近に形成されて給気パージバルブ61に連通する中空縦長のチャンバー室63と、ドア本体31に穿孔されてチャンバー室63に連通する複数の供給孔64とを備え、ガス供給ノズル24から給気パージバルブ61に流入した不活性ガスをチャンバー室63に導入するとともに、このチャンバー室63から複数の供給孔64に不活性ガスを分流して供給し、この複数の供給孔64からコンテナ体1に整列収納された複数枚の半導体ウェーハW間に不活性ガスを噴射して流通させるよう機能する。複数の供給孔64は、上下方向に一列に配列され、各供給孔64が隣接する半導体ウェーハWと半導体ウェーハWとの間の空間に位置する。
【0057】
排気パージバルブ65は、コンテナ体1の装着孔にOリングを介して装着される円筒形のケースを備え、このケース内には、弁座が形成されるとともに、この弁座に対して接離する弁体がスプリングを介し往復動可能に挿入されており、この弁体の弁座に対する接離によりガスの供給が制御される。ケースは、塵埃を除去するフィルタが内蔵され、コンテナ体1の底板4から外部に露出した端部にドア体開閉装置20のガス排気ノズル25が接続する。
【0058】
上記構成において、基板収納容器のドア体30が施錠されている場合について説明すると、この場合の施錠手段40は、図6に示すように、各被操作プレート41が下方向にスライドし、収納ブロック11の凸部12と被操作プレート41の第一の凹部44とが噛合して被操作プレート41を施錠位置に位置決め固定し、各カム機構48のカム溝49とカム突起52とが干渉、具体的には、カム溝49の傾斜溝50の上端部と施錠プレート46のカム突起52とが干渉する。
【0059】
傾斜溝50の上端部と施錠プレート46のカム突起52とが干渉するまで移動すると、その移動の間に施錠プレート46にもカム溝49を介して駆動力が伝達されることとなり、施錠プレート46が下方向にスライドして施錠片47をドア体30の解錠溝32に進入させ、なおかつコンテナ体1の正面2とは反対側の背面壁側奥方向に移動するので、施錠片47がドア体30の施錠突片33に干渉係止する。
【0060】
この際、施錠片47は、他の部材と擦れることなく移動するので、パーティクルの発生を著しく低減することができる。このようなドア体30の施錠突片33と施錠プレート46の施錠片47との干渉係止により、コンテナ体1の正面2にシール状態に嵌合されたドア体30が強固に施錠される。
【0061】
次いで、基板収納容器をドア体開閉装置20に搭載してドア体30を解錠する場合には、ドア体開閉装置20のステージ21にコンテナ体1が位置決めして搭載された後、施錠手段40の下方向にスライドしている各被操作プレート41にドア体開閉装置20の駆動ピン23が下方からアクセスして押し上げる。
【0062】
すると、施錠手段40は、図7に示すように、各被操作プレート41が上方向にスライドし、収納ブロック11の凸部12と被操作プレート41の第一の凹部44との噛合が解除され、傾斜溝50の上端部から施錠プレート46のカム突起52が離れて屈曲溝51方向に移動する。こうして傾斜溝50の上端部から施錠プレート46のカム突起52が離れて屈曲溝51に移動すると、施錠プレート46に駆動力が伝達されることにより、施錠プレート46の施錠片47がドア体30の施錠突片33から解錠溝32方向にスライドする。
【0063】
次いで、施錠手段40の各被操作プレート41にドア体開閉装置20の駆動ピン23が下方からアクセスしてさらに押し上げると、施錠手段40は、図8に示すように、各被操作プレート41が上方向にさらにスライドし、収納ブロック11の凸部12と被操作プレート41の第二の凹部45とが噛合して被操作プレート41を解錠位置に位置決め固定し、各カム機構48のカム溝49とカム突起52とが干渉、具体的には、カム溝49の屈曲溝51の下端部と施錠プレート46のカム突起52とが干渉する。
【0064】
屈曲溝51の下端部と施錠プレート46のカム突起52とが干渉するまで移動すると、その移動の間に施錠プレート46にもカム溝49を介して駆動力が伝達されることとなり、施錠プレート46がコンテナ体1の正面2の方向にスライドし、さらに上方向にスライドして施錠片47をドア体30の解錠溝32に完全に位置させ、コンテナ体1の正面2にシール状態に嵌合されたドア体30が取り外し可能な状態となる。
【0065】
この際、ドア体30の解錠溝32が施錠プレート46により被覆されるので、外部からドア体30の解錠溝32にパーティクルが侵入することがない。したがって、基板収納容器、半導体加工装置やドア体開閉装置20の汚染を防止することができる。また、施錠片47は、他の部材と擦れることなく移動するので、パーティクルの発生を著しく低減することができる。
【0066】
次に、ドア体30が嵌合して施錠されたコンテナ体1内を満たすガスと外部の不活性ガスとを置換する場合には、ドア体開閉装置20のガス供給ノズル24が気体置換手段60の給気パージバルブ61に接続して不活性ガスを圧送する。すると、不活性ガスは、図3に矢印で示すように、給気パージバルブ61の弁座から弁体を離隔させつつケース内を流通し、このケースからフィルタを通過してチャンバー室63の上下方向に流入し、このチャンバー室63から複数の供給孔64に分流して供給される。
【0067】
複数の供給孔64に供給された不活性ガスは、各供給孔64からコンテナ体1に整列収納された複数枚の半導体ウェーハW間に噴射され、半導体ウェーハW間の空間の前後方向に滞留することなく流通して半導体ウェーハWの汚染を有効に防止するとともに、コンテナ体内を満たすガスを複数の排気パージバルブ65方向に流出させ、捕集させる。すると、ガスは、各排気パージバルブ65の弁座から弁体を離隔させつつケース内を流通し、このケースからフィルタを通過してガス排気ノズル25に流入し、ドア体30が嵌合されたコンテナ体1の外部に排気される。
【0068】
以上により、ドア体30が嵌合されたコンテナ体1内のガスと外部の不活性ガスとを置換することができる。
【0069】
上記構成によれば、ドア体30の内部ではなく、コンテナ体1の側壁9前部に施錠手段40を配設するので、施錠手段40が給気パージバルブ61を取り付ける際の障害物となることがなく、ドア体30を中空構造にして給気パージバルブ61を内蔵することができる。したがって、半導体ウェーハW間の狭い空間に不活性ガスを円滑に流通させることができるので、コンテナ体内のガスを不活性ガスに短時間で効率良く置換することができ、置換作業の迅速化を図ることができる。
【0070】
また、給気パージバルブ61からの不活性ガスをチャンバー62により分流してコンテナ体1内の広範囲に亘って流出させるので、給気パージバルブ61を複数用いる必要がなく、部品点数の削減が大いに期待できる。また、コンテナ体1の側壁9前部に施錠手段40を配設するので、ドア体30の施錠・解錠時にパーティクル等の汚染物がドア体30の内部に蓄積されることがない。また、ドア体30内に残存した汚染物がコンテナ体1の内部に侵入し、半導体ウェーハWを含む全体を汚染させてしまうおそれを有効に排除することが可能となる。
【0071】
また、従来においては、ドア体30の周壁に施錠手段40用の貫通孔を小さく穿孔する必要があったが、本実施形態においては、ドア体30の周壁に貫通孔を穿孔する必要がないので、ドア体30の内部洗浄時に洗浄水が残留するのを防ぎ、ドア体30の洗浄作業や乾燥作業の円滑化、迅速化、容易化を図ることが可能になる。さらに、施錠手段40の補修や点検時に、複数本の螺子を取り外してドア体30を分解する必要もないので、ドア体30自体を新規のドア体30に交換する必要性もなく、経済性の向上やコスト削減が大いに期待できる。
【0072】
なお、本実施形態ではドア体30の高さ方向(垂直方向)に気体置換手段60のチャンバー62と複数の供給孔64とを一列に配設するが、何らこれに限定されるものではない。例えば、チャンバー62と複数の供給孔64とを多列に配設したり、水平方向に配列したり、これらを組み合わせて十字形や略T字形等に配列することも可能である。特に、ドア本体31の周壁上部にチャンバー62と複数の供給孔64とを水平に配列したり、略T字形等に配列すれば、上方から下方に不活性ガスを淀みなく流出させることが可能になる。
【0073】
次に、図9と図10とは本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、気体置換手段60の給気パージバルブ61をドア体30の上部に横一列に並べて装着するとともに、複数の排気パージバルブ65をコンテナ体1の底板4の後部両側に装着し、チャンバー62を省略するようにしている。
【0074】
各給気パージバルブ61のケースは、塵埃を除去するフィルタが内蔵され、開口した両端部がドア本体31と表面プレート34とにそれぞれ通気可能に連通されており、表面プレート34から外部に露出した端部にドア体開閉装置20のガス供給ノズル24が接続する。
【0075】
上記構成において、ドア体30が嵌合して施錠されたコンテナ体1内を満たすガスと外部の不活性ガスとを置換する場合には、ドア体開閉装置20のガス供給ノズル24が気体置換手段60の複数の給気パージバルブ61にそれぞれ接続して不活性ガスを圧送する。すると、不活性ガスは、図10に示すように、各給気パージバルブ61の弁座から弁体を離隔させつつケース内を流通し、このケースからフィルタを通過してコンテナ体1に整列収納された複数枚の半導体ウェーハW間に流入し、半導体ウェーハW間の空間の前後方向に滞留することなく流通して半導体ウェーハWの汚染を有効に防止する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0076】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、チャンバー62の省略により、部品点数の削減を図ることができるのは明らかである。
【0077】
次に、図11と図12とは本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、気体置換手段60の給気パージバルブ61をドア体30の上部に横一列に並べて装着するとともに、複数の排気パージバルブ65をドア体30の下部に横一列に並べて装着し、チャンバー62を省略するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0078】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、ドア体30の下部に排気パージバルブ65を装着するので、コンテナ体1の底板4に装着孔を貫通して穿孔する作業を省略することができる。
【0079】
なお、上記実施形態では基板収納容器のコンテナ体1とドア体30とをそれぞれ樹脂製としたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、セラミック、ジュラルミン、チタン合金等の軽量化が可能な金属材料により形成しても良い。
【0080】
また、基板収納容器の内外面、シールガスケット35のシール面、施錠手段40の動作部等に、酸素や水分を透過しない気体バリアー性のフィルムを貼着したり、金属コーティング、ダイヤモンドライクコーティング、PEEK樹脂コーティング、フッ素樹脂コーティングを適宜施しても良い。また、二酸化チタン等の光触媒材料をコーティングしても良いし、導電塗料等のコーティングにより、ドア体30の透明性を維持して導電性を付与することもできる。
【0081】
また、コンテナ体1の内部両側に支持片3を一体的に対設するのではなく、支持片3を螺子具や摩擦係合法等により着脱自在に装着しても良い。また、コンテナ体1の背面壁内面に、半導体ウェーハWの後部周縁を保持可能なリアリテーナを選択的に形成することもできる。また、コンテナ体1の側壁9前部に別体の収納ブロック11を装着するのではなく、コンテナ体1の側壁9前部に収納ブロック11を一体形成することもできる。
【0082】
また、収納ブロック11に第一、第二の凹部44・45を形成し、被操作プレート41に凸部12を形成することもできる。また、収納ブロック11に凸部12を形成するのではなく、カバープレート43に凸部12を形成することも可能である。また、施錠手段40の被操作プレート41を一定の力で施錠方向に付勢する付勢手段、具体的には各種の磁石やバネ等を採用することも可能である。また、施錠プレート46の施錠片47やカム機構48のカム突起52に、接触に伴う磨耗で汚染物が発生するのを抑制する回転ローラを自由回転可能に嵌入しても良い。
【0083】
この場合、回転ローラは、例えばポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等の摺動性が良好な樹脂、あるいは合成樹脂にPTFEからなるフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の摺動性改質剤を付与した材料により形成することができる。
【0084】
また、施錠手段40の構成を変更し、施錠手段40を、コンテナ体1の側壁前部に収納ブロック11を介して支持され、ドア体30の施錠時には上方向にスライドし、ドア体30の解錠時には下方向にスライドする被操作プレート41と、コンテナ体1の側壁前部と被操作プレート41との間にスライド可能に介在され、被操作プレート41の上方向へのスライド時にはコンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30の側壁に接触し、被操作プレート41の下方向へのスライド時にはコンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30の側壁から離隔する施錠プレート46と、被操作プレート41と施錠プレート46とにそれぞれ設けられ、被操作プレート41のスライドに伴う駆動力を施錠プレート46に伝達して動作させるカム機構48とから構成することもできる。
【0085】
また、施錠手段40の構成を変更し、施錠手段40を、コンテナ体1の底板4前部と天板7前部とに収納ブロック11を介してそれぞれ支持され、ドア体30の施錠時には突出位置に水平にスライドして突出し、ドア体30の解錠時には突出位置から元の基準位置に水平にスライドして後退する被操作プレート41と、コンテナ体1の底板4前部と被操作プレート41との間、及び天板7前部と被操作プレート41との間にスライド可能に介在され、被操作プレート41の突出位置へのスライド時にはコンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30の周壁に接触し、被操作プレート41の基準位置へのスライド時にはコンテナ体1の正面2に嵌合されたドア体30の周壁から離隔する施錠プレート46と、被操作プレート41と施錠プレート46とにそれぞれ設けられ、被操作プレート41のスライドに伴う駆動力を施錠プレート46に伝達して動作させるカム機構48とから構成しても良い。
【0086】
さらに、上記実施例では気体置換手段60の給気パージバルブ61とチャンバー62とを接続したが、チャンバー62と排気パージバルブ65とを新たに接続しても良い。この場合のチャンバー62は、コンテナ体1の底板4内に形成されて排気パージバルブ65に連通する中空のチャンバー室63と、コンテナ体1の底板4に穿孔されてチャンバー室63に連通する複数の排気孔とを備え、コンテナ体1内のガスを複数の排気孔に流入させるとともに、この複数の排気孔からチャンバー室63にガスを導入して合流させ、このチャンバー室63から排気パージバルブ65にガスを排気することとなる。
【符号の説明】
【0087】
1 コンテナ体
2 正面
7 リムフランジ
8 側壁(周壁)
9 切り欠き
9A 切り欠き
10 収納ブロック
11 凸部
13 ガイド片
14 位置規制部
20 ドア体開閉装置
23 駆動ピン
30 ドア体
31 ドア本体
32 解錠溝
33 施錠突片
40 施錠手段
41 被操作プレート(被操作部材)
42 長孔
44 第一の凹部
45 第二の凹部
46 施錠プレート(施錠部材)
47 施錠片
48 カム機構(駆動力伝達機構)
49 カム溝
52 カム突起
60 気体置換手段
61 給気パージバルブ(給気バルブ)
62 チャンバー
63 チャンバー室
64 供給孔
65 排気パージバルブ(排気バルブ)
W 半導体ウェーハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を収納可能なコンテナ体と、このコンテナ体の開口した正面を開閉するドア体と、コンテナ体の周壁の正面近傍あるいはドア体の周壁に設けられ、コンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体を施錠する施錠手段と、コンテナ体内の気体と外部の気体とを置換する気体置換手段とを備えた基板収納容器であって、
気体置換手段は、正面にドア体が嵌め合わされたコンテナ体の外部から内部に気体を供給する給気バルブと、正面にドア体が嵌め合わされたコンテナ体の内部から外部に気体を排気する排気バルブとを含み、給気バルブをドア体に取り付け、排気バルブをコンテナ体とドア体の少なくともいずれか一方に取り付けたことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
施錠手段は、ドア体の施錠時にはドア体の開閉方向に交わる施錠方向にスライドし、ドア体の解錠時にはドア体の開閉方向に交わる施錠方向とは反対側の解錠方向にスライドする被操作部材と、この被操作部材の施錠方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体あるいはコンテナ体の正面内周に接触し、被操作部材の解錠方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体あるいはコンテナ体の正面内周から離隔する施錠部材と、被操作部材のスライドに伴う駆動力を施錠プレートに伝達する駆動力伝達機構とを含んでなる請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
施錠手段は、コンテナ体の側壁前部に支持され、ドア体の施錠時には下方向にスライドし、ドア体の解錠時には上方向にスライドする被操作部材と、コンテナ体の側壁前部と被操作部材との間に介在され、被操作部材の下方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体の側壁に接触し、被操作部材の上方向へのスライド時にはコンテナ体の正面に嵌め合わされたドア体の側壁から離隔する施錠部材と、被操作部材と施錠部材とに設けられ、被操作部材のスライドに伴う駆動力を施錠部材に伝達して動作させるカム機構とを含んでなる請求項1又は2記載の基板収納容器。
【請求項4】
気体置換手段は、コンテナ体の外部から給気バルブに流入した気体をドア体内のチャンバー室に導入し、このチャンバー室からドア体の複数の供給孔に気体を分流して供給し、この複数の供給孔からコンテナ体に収納された複数枚の基板間に気体を供給するチャンバーを含んでなる請求項1、2、又は3記載の基板収納容器。
【請求項5】
気体置換手段の給気バルブをドア体の上部から略中央部に亘る領域に取り付け、気体置換手段の排気バルブをコンテナ体の底部後方に取り付けた請求項1ないし4いずれかに記載の基板収納容器。
【請求項6】
気体置換手段の給気バルブをドア体の上部から略中央部に亘る領域に取り付け、気体置換手段の排気バルブをドア体の下部に取り付けた請求項1ないし4いずれかに記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−258624(P2011−258624A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129678(P2010−129678)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】