説明

基板取付け構造および物理量センサ

【課題】より確実に基板の表裏逆取付けを規制することが可能な基板取付け構造および物理量センサを提供する。
【解決手段】基板11をコネクタハウジング13に取り付ける基板取付け構造であって、基板11に、正規の状態ではコネクタハウジング13側の部材に干渉せず、かつ表裏逆の状態ではコネクタハウジング13側の部材に干渉する干渉部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をハウジングや筐体に取り付ける基板取付け構造およびその構造を備えた物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、加速度や角速度などの物理量を検出するセンサは、基板に実装されて用いられる。基板は、センサを保護することを目的として、ハウジングや筐体内に収容された状態で固定される。特許文献1は、コネクタハウジングに設けられた台座部に、センサ素子を実装した基板を固定する基板固定構造を開示している。台座部は、基板に対向する平坦部と該平坦部に立設されたボスとを有しており、基板には、当該ボスを挿通させるためのボス用貫通孔およびコネクタ端子と電気的な接続をするための電極部が設けられている。そして、基板は、平坦部と基板の対向面との間の接着、ボスとボス用貫通孔との間の接着、およびコネクタ端子と電極部との間の半田付けによって、コネクタハウジングに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1にかかる構造では、図23に示すように、基板をコネクタハウジングに固定する際、基板を正規の状態(a)のみならず、表裏逆の状態(b)で取り付けることも可能であった。そのため、基板をコネクタハウジングに固定する工程において、基板が表裏逆の状態で固定されてしまい、各コネクタ端子と基板の電極部とが誤った順序で接続されてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、より確実に基板の表裏逆取付けを規制することが可能な基板取付け構造および物理量センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、基板をハウジングに取り付ける基板取付け構造であって、前記基板に、正規の状態ではハウジング側の部材に干渉せず、かつ表裏逆の状態ではハウジング側の部材に干渉する干渉部を設けた基板取付け構造である。
【0007】
本発明の第2の態様は、センサ素子を実装した基板を、上記基板取付け構造を用いてハウジングに固定した物理量センサである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態にかかる基板取付け構造および物理量センサを示す分解斜視図、(b)は組立状態の斜視図である。
【図2】図1の物理量センサの一部透視斜視図である。
【図3】図1の物理量センサの分解斜視図である。
【図4】(a)は図1の物理量センサの平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図5】(a)は図1の物理量センサのコネクタハウジングの平面図、(b)は側面図、(c)は斜視図、(d)は後面図である。
【図6】(a)は図1の物理量センサの基板の平面図、(b)は同基板のボス用貫通孔の非重複範囲を説明する拡大図である。
【図7】(a)は第1の実施形態の第1の変形例にかかる基板の平面図、(b)は同基板のボス用貫通孔の非重複範囲を説明する拡大図である。
【図8】(a)は第1の実施形態の第2の変形例にかかる基板の平面図、(b)は同基板の電極部の非重複範囲を説明する拡大図である。
【図9】(a)は第1の実施形態の第3の変形例を示す分解斜視図、(b)は組立状態の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる基板取付け構造および物理量センサを示す分解斜視図、(b)は組立状態の斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかる基板取付け構造および物理量センサを示す分解斜視図、(b)は組立状態の斜視図である。
【図12】(a)は図11の物理量センサのコネクタハウジングの平面図、(b)は側面図、(c)は斜視図、(d)は後面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態にかかる基板取付け構造および物理量センサを示す分解斜視図である。
【図14】(a)は図13の物理量センサにおいて基板を載置する手順を示す一部断面側面図、(b)は組立状態の一部断面側面図である。
【図15】図13の物理量センサの組立状態の斜視図である。
【図16】(a)は図13の物理量センサのコネクタハウジングの平面図、(b)は側面図、(c)は斜視図、(d)は後面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態の変形例にかかる基板取付け構造および物理量センサを示す分解斜視図である。
【図18】図17の物理量センサの組立状態の斜視図である。
【図19】(a)は図17の物理量センサのコネクタハウジングの平面図、(b)は側面図、(c)は斜視図、(d)は後面図である。
【図20】本発明の第5の実施形態にかかる基板取付け構造および物理量センサを示す分解斜視図である。
【図21】図20の物理量センサの組立状態の斜視図である。
【図22】(a)は図20の物理量センサのコネクタハウジングの平面図、(b)は側面図、(c)は斜視図、(d)は後面図である。
【図23】(a)は、従来の基板固定構造において、基板を正規の状態で取り付けた物理量センサの平面図、(b)は、従来の基板固定構造において、基板を表裏逆の状態で取り付けた物理量センサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る基板取付け構造および物理量センサについて、図面を参照して説明する。なお、各図に示した前後上下左右などの方向は、各部の位置関係を説明するため、便宜上、定めたものであり、実際の物理量センサの取付姿勢には何ら関係しない。物理量センサの取付姿勢は、図示した方向に関わらず、自由に設定できる。また、以下の説明においては、同様の部材に対しては同様の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0010】
<第1の実施形態>
図1乃至図6は、第1の実施形態に係る基板取付け構造および物理量センサ1を示す。
物理量センサ1は、センサ素子10を実装した基板11と、この基板11と電気的に接続される3本のコネクタ端子12を備えたコネクタハウジング13(以下、単にハウジングともいう)とを備える。基板11は、コネクタハウジング13に設けられた台座部14に載置され固定される。物理量センサ1は、必要に応じて、更にハウジングケース13cと封止材13dとを備える。
【0011】
コネクタハウジング13は、コネクタ端子12の中間部を樹脂に埋設した状態で、樹脂成形によりコネクタ端子12と一体的に成形されている。コネクタハウジング13は、前方に突出しかつ前方に向けて開口するコネクタソケット部13aと、基板11を固定するための左右一対の台座部14(14L、14R)と、コネクタソケット部13aと台座部14との間に位置して双方を隔離する隔壁13bとを備えている。コネクタソケット部13aは、物理量センサ1を外部回路に電気的に接続するためのコネクタソケットを構成している。隔壁13bは、コネクタソケット部13aの突設方向に直交する平面に略平行に延びており、台座部14は、隔壁13bの後側の面から後方に突設されている。各台座部14の上部には、基板11を受けるための平坦部14a(基板受け面)が設けられている。右台座部14Rの平坦部14aは、左台座部14Lの平坦部14aとともに、隔壁13bに略直交する1つの水平面を規定している。各平坦部14aには、各々2本ずつ(計4本の)ボス15が立設されている。
【0012】
コネクタ端子12の前部は、コネクタハウジング13の樹脂部から前方へ導出されて、コネクタソケット部13aの底面から前方に突出し、その前端部において、コネクタソケットのピンを形成している。コネクタ端子12の後部は、隔壁13bから後方へ導出されて直線状に延びたのち、隔壁13bから十分離間した位置(基板11の後方辺縁付近)において略直角に上方に折り曲げられ、基板11に半田付けで固定されている。すなわち、コネクタ端子12は、基板11側の固定点と隔壁13b側の固定点との間で大きくL字状に屈曲した形状を呈しており、該L字状屈曲部の水平部は、隔壁13bから基板11の後方辺縁に至る長さ(基板11の短辺に相当する長さ)を有している。また、3本のコネクタ端子12は、それぞれ同一の形状を有しており、それらの後方端は、基板11上における隔壁13bに平行な直線に沿って並置される。3本のコネクタ端子12は、例えば、物理量センサ1が一軸加速度センサの場合は、それぞれ電圧印加用の端子、センシング信号用の端子、および接地端子である。
【0013】
基板11は、平面視で略矩形状の回路基板であり、3本のコネクタ端子12との電気的な接続をするための3つの電極部11a、および4本のボス15を挿通させるための3つのボス用貫通孔11bが設けられている。電極部11aは、コネクタ端子12を挿通して半田付けするための半田用貫通孔であり、孔の内部と上下開口の周辺部に半田付け用の導体を備えている。基板11には、センサ素子10とセンサ素子10の信号増幅のための増幅回路(不図示)が実装され、これらの回路とコネクタ端子12とは、基板11上に形成された回路パターン(不図示)を通して電気的に接続される。
【0014】
基板11は、コネクタハウジング13の台座部14上に、裏面を平坦部14aに対向させた状態で載置され(以下、この状態において平坦部14aに対向する基板11の裏面を対向面ともいう)、平坦部14aと基板11の対向面との間の接着、ボス15の側面とボス用貫通孔11bの内周面との間の接着、およびコネクタ端子12と電極部11aとの間の半田付けにより、コネクタハウジング13に固定される。上記接着は、基板11を台座部14上に取り付けたのち、基板11の表面側からボス用貫通孔11b内部に接着剤を流し込むことで、平坦部14aと基板11の対向面との間、およびボス15の側面とボス用貫通孔11bの内周面との間に接着剤を行き渡らせることにより行う。なお、接着剤は、特に限定されず、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系ゲル、ウレタン系接着剤、ポリエステル接着剤、シリコン樹脂等様々な種類のものを用いることができる。
【0015】
基板11は、裏面を平坦部14aに対向させた状態(正規の状態)で台座部14上に載置されたときに、コネクタハウジング13側の係合突起であるボス15およびコネクタ端子12が基板11上に設けられた複数の係合孔である電極部11aおよびボス用貫通孔11bに挿通されることで、コネクタハウジング13に対して位置決めされる。
【0016】
一方、基板11を、表面を平坦部14aに対向させた状態(表裏逆の状態)で台座部14上に載置したときは、コネクタハウジング13側の係合突起が、基板11上に設けられた係合孔に挿入されないようになっている。換言すれば、少なくともコネクタハウジング13側の係合突起の一部が、基板11を台座部14に正規の状態で載置したときの係合孔の範囲と表裏逆の状態で載置したときの係合孔の範囲との重複範囲の外側に、位置するようになっている。
【0017】
基板11の形状は、略矩形状であり、長辺に平行な対称軸Xと短辺に平行な対称軸Yとの両方に対して線対称である。基板11のボス用貫通孔11bは、左台座部14Lの2本のボス15を挿通させるための左側ボス用貫通孔11bLと、右台座部14Rの2本のボス15を挿通させるための右側ボス用貫通孔11bRとから構成される。左側ボス用貫通孔11bLは、X軸を挟んで略対称に配置され、Y軸に平行に延びる2つの長孔からなり、右側ボス用貫通孔11bRは、X軸を跨いでY軸に平行に延びる1つの長孔からなる。そして、これらの長孔の範囲は、左側ボス用貫通孔11bLまたは右側ボス用貫通孔11bRのいずれかをY軸に関して線対称移動させたとき、移動後のボス用貫通孔と他方のボス用貫通孔との間に、互いに重複しない範囲(非重複範囲)が生じるように設定されている。本実施形態では、各左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部および右側ボス用貫通孔11bRのY軸方向中央部が非重複範囲として設定されている。なお、電極部11aは、X軸よりも隔壁13bから離間した側に略X軸と平行な直線に沿って並置されている。
【0018】
左台座部14Lの2本のボス15は、左側ボス用貫通孔11bLに挿通されたときに、各左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部に位置するように配置されている。右台座部14Rの2本のボス15は、右側ボス用貫通孔11bRに挿通されたときに、それぞれ右側ボス用貫通孔11bRのY軸方向外側端部に位置するように配置されている。すなわち、左台座部14Lの2本のボス15は、ボス用貫通孔11bの非重複範囲に位置するように配置されている。従って、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合は、少なくとも左台座部14Lのボス15が基板11のボス用貫通孔11b以外の部分、具体的には、右側ボス用貫通孔11bR周囲の非重複範囲に対応する領域(干渉部)に干渉するようになっている。
【0019】
なお、左側ボス用貫通孔11bLを、右側ボス用貫通孔11bRと同様に、X軸を跨いでY軸に平行に延びる1つの長孔とし、この1つの左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部(非重複範囲)に左台座部14Lの2本のボス15が挿通されるようにしてもよい。
【0020】
コネクタハウジング13に固定された基板11は、隔壁13bとハウジングケース13cとによって周囲を覆われ、封止材13dによって封止されて、外部環境から保護される。基板11を封止した状態の物理量センサ1は、ブラケット16によって測定環境に固定されてセンシングに用いられる。ブラケット16は、左右の環境固定用の取付孔16aを有するベース部と、ベース部から立ち上がった保持部16bとを備えている。保持部16bは、ハウジングケース13cに設けられた取付部13eの取付孔に挿入係合され、物理量センサ1が測定環境に固定される。
【0021】
上記実施形態では、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、左台座部14Lの2本のボス15が基板11の右側ボス用貫通孔11bR周囲の非重複範囲に対応する領域に干渉するようにした例を示したが、本発明に係る基板取付け構造は、これに限らない。基板取付け構造は、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、台座部14に設けられたボス15のいずれかが基板11のボス用貫通孔11b以外の部分と干渉し、或いは、コネクタ端子12のいずれかが基板11の電極部11a以外の部分に干渉するようになっていればよい。
【0022】
図7は、第1の実施形態の第1の変形例に係る基板取付け構造を示す。
本変形例の基板取付け構造では、左側ボス用貫通孔11bLは、X軸を跨いでY軸と交差する方向に延びる1つの長孔からなり、基板11の右側ボス用貫通孔11bRは、X軸を跨いでY軸に平行に延びる1つの長孔からなる。そして、これらの長孔の範囲は、左側ボス用貫通孔11bLまたは右側ボス用貫通孔11bRのいずれかをY軸に関して線対称移動させたとき、移動後のボス用貫通孔と他方のボス用貫通孔との間に、互いに重複しない範囲(非重複範囲)が生じるように設定されている。本変形例では、左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRのY軸方向外側端部におけるX軸方向外側部に非重複範囲が設定されている。
【0023】
左台座部14Lの2本のボス15は、左側ボス用貫通孔11bLに挿通されたときに、それぞれ左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部に位置するように配置されている。右台座部14Rの2本のボス15は、右側ボス用貫通孔11bRに挿通されたときに、それぞれ右側ボス用貫通孔11bRのY軸方向外側端部に位置するように配置されている。すなわち、左台座部14Lのボス15および右台座部14Rのボス15は、それらの一部がボス用貫通孔11bの非重複範囲にかかるように配置されている。従って、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合は、左台座部14Lのボス15が、右側ボス用貫通孔11bR周囲の非重複範囲に対応する領域(干渉部)に干渉するとともに、右台座部14Rのボス15が、左側ボス用貫通孔11bL周囲の非重複範囲に対応する領域(干渉部)に干渉するようになっている。上記ボス15およびボス用貫通孔11bの構成以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0024】
図8は、第1の実施形態の第2の変形例に係る基板取付け構造を示す。
本変形例の基板取付け構造では、左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRは、それぞれX軸を挟んで略対称に配置された、Y軸に平行に延びる2つの長孔からなる。本変形例では、左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRには、非重複範囲は設定されていない。一方、電極部11aは、Y軸に対して非対称に配置されている。電極部11aは、X軸よりも隔壁13bから離間した側のみに略X軸と平行な直線に沿って並置されており、X軸に対しても非対称に配置されている。つまり、電極部11aの位置は、これらをY軸に関して線対称移動させたとき、移動後の電極部11aと元の電極部11aとの間に、互いに重複しない範囲(非重複範囲)が生じるように設定されている。本変形例では、3つの電極部11aのうち左端の電極部11aに非重複範囲が設定されている。従って、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合は、左端に位置するコネクタ端子12が基板11の電極部11a以外の部分(干渉部)に干渉するようになっている。上記ボス15、ボス用貫通孔11b、電極部11a、およびコネクタ端子12の構成以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0025】
本実施形態およびその変形例によれば、少なくともコネクタハウジング13側の係合突起の一部が、基板11を正規の状態で台座部14に載置したときの係合孔の範囲と、表裏逆の状態で載置したときの係合孔の範囲との重複範囲の外側に位置するように構成されている。つまり、基板11を、表裏逆の状態で台座部14上に載置したとき、コネクタハウジング13側の係合突起のいずれかが、基板11の係合孔以外の部分と干渉するようになっている。従って、基板11をコネクタハウジング13に固定する工程において、基板11が表裏逆の状態で固定されることを確実に防止し、その後の工程において、各コネクタ端子12と基板11の電極部11aとが誤った順序で接続されることを防止できる。
【0026】
また、本実施形態およびその変形例によれば、コネクタ端子12が、基板11側の固定点と隔壁13b側の固定点との間で大きくL字状に屈曲した形状を有しているので、主に樹脂からなるコネクタハウジング13と金属からなるコネクタ端子12との間の熱膨張率の差に起因する半田接合部の熱応力を、当該L字状屈曲部の曲げ変形で効率的に吸収することができ、半田接合部の熱疲労を軽減することができる。
【0027】
なお、上記第1の実施形態およびその変形例は、互いに適宜組み合わせて使用することができる。例えば、第1の実施形態において、右側ボス用貫通孔11bRを、第1の変形例にかかる左側ボス用貫通孔11bLと同様に、Y軸と交差する方向に延びる長孔とした構成とすることも可能である。また、非重複範囲をボス用貫通孔および電極部の双方に設けることも可能である。より具体的には、第1の変形例において、電極部11aを、第2の変形例にかかる電極部11aと同様に、Y軸に対して非対称に配置した構成とすることも可能である。
【0028】
図9は、第1の実施形態の第3の変形例に係る基板取付け構造を示す。
本変形例の基板取付け構造では、基板11を隔壁13bに平行に固定する点が、上記実施形態およびその変形例と異なる。台座部14は、上記実施形態およびその変形例と同様に隔壁13bに突設されているが、その平坦部14a(基板受け面)が上下方向に形成されて、ボス15が平坦部14aから後方に立設されている。また、コネクタ端子12は、隔壁13bから立設され、曲げられることなく端部を後方に向けて並立している。このようなコネクタハウジング13に対して、基板11が平坦部14aに対向面を対向させて配置され、平坦部14aと基板11の対向面との間の接着、ボス15の側面とボス用貫通孔11bの内周面との間の接着、およびコネクタ端子12と電極部11aとの間の半田付けにより、コネクタハウジング13に固定される。
【0029】
基板11のボス用貫通孔11bは、第1の実施形態と同様に、左台座部14Lの2本のボス15を挿通させるための左側ボス用貫通孔11bLと、右台座部14Rの2本のボス15を挿通させるための右側ボス用貫通孔11bRとから構成される。左側ボス用貫通孔11bLは、X軸を挟んで略対称に配置され、Y軸に平行に延びる2つの長孔からなり、右側ボス用貫通孔11bRは、X軸を跨いでY軸に平行に延びる1つの長孔からなる。これらの長孔の範囲は、左側ボス用貫通孔11bLまたは右側ボス用貫通孔11bRのいずれかをY軸に関して線対称移動させたとき、移動後のボス用貫通孔と他方のボス用貫通孔との間に、互いに重複しない範囲(非重複範囲)が生じるように設定されている。本変形例では、各左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部および右側ボス用貫通孔11bRのY軸方向中央部が非重複範囲として設定されている。
【0030】
左台座部14Lの2本のボス15は、左側ボス用貫通孔11bLに挿通されたときに、各左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部に位置するように配置されている。右台座部14Rの2本のボス15は、右側ボス用貫通孔11bRに挿通されたときに、それぞれ右側ボス用貫通孔11bRのY軸方向外側端部に位置するように配置されている。すなわち、左台座部14Lの2本のボス15は、ボス用貫通孔11bの非重複範囲に位置するように配置されている。従って、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合は、少なくとも左台座部14Lのボス15が基板11のボス用貫通孔11b以外の部分、具体的には、右側ボス用貫通孔11bR周囲の非重複範囲に対応する領域(干渉部)に干渉するようになっている。なお、左側ボス用貫通孔11bLを、右側ボス用貫通孔11bRと同様に、X軸を跨いでY軸に平行に延びる1つの長孔とし、この左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部(非重複範囲)に左台座部14Lのボス15が挿通されるようにしてもよい。
【0031】
本変形例によれば、上記実施形態およびその変形例とほぼ同様の効果を得ることができる。また、本変形例によれば、曲げられていない、直立した、長さの短い、剛性の向上したコネクタ端子12に対して、基板11が半田付けにより固定されるので、基板11をコネクタハウジング13により強固に固定することができる。また、コネクタ端子12を曲げる手間が省け、コネクタ端子12の材料も軽減することができる。さらに、基板11を隔壁13bに近づけて、前後方向の幅が小さい状態で基板11をコネクタハウジング13に固定できるので、物理量センサ1を小型化できる。
【0032】
なお、第3の変形例は、上記実施形態およびその変形例(それらの組み合わせを含む)に、適宜組み合わせて使用することができる。例えば、第3の変形例にかかる基板11に対して、第1の変形例にかかる左側ボス用貫通孔11bLをY軸と交差する方向に延びる長孔とし、右側ボス用貫通孔11bRをY軸に平行に延びる長孔とした構成や、第2の変形例にかかる電極部11aをY軸に対して非対称に配置した構成を適用することも可能である。
【0033】
<第2の実施形態>
図10は、第2の実施形態に係る基板取付け構造を示す。
本実施形態の基板取付け構造では、基板11を正規の状態で台座部14上に載置したとき、台座部14と干渉せず、基板11を表裏逆の状態で台座部14上に載置したときに、台座部14と干渉する突起部(干渉部)が設けられている。
【0034】
具体的には、突起部は、基板11の表面における、表裏逆の状態で基板11を台座部14に取り付けようとした場合に平坦部14a(基板受け面)に対向する領域に、基板11の表面より突出して設けられている。具体的には、基板11の表面における、2つの左側ボス用貫通孔11bLの間の領域および2つの右側ボス用貫通孔11bRの間の領域に、突起部が設けられている。本実施形態では、突起部は、基板11に実装された電子部品10aから構成されている。なお、基板11の左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRは、それぞれX軸を挟んで略対称に配置された、Y軸に平行に延びる2つの長孔からなる。この左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRには、非重複範囲は設定されていない。
【0035】
突起部は、基板11の表面より突出しているため、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、この突起部が台座部14の平坦部14aに干渉する。なお、突起部は、電子部品10aに限らず、基板11自体に突起部を作りこんだもの、金属片を実装したもの、固片(材質は限定されない)を接着して突起としたもの等であってもよい。なお、第2の実施形態は、上記第1の実施形態およびその変形例(それらの組み合わせを含む)に、適宜組み合わせて使用することができる。
【0036】
本実施形態によれば、基板11の表面に、基板11を正規の状態で台座部14上に載置したとき、台座部14と干渉せず、基板11を表裏逆の状態で台座部14上に載置したときに、台座部14と干渉する突起部が設けられているので、基板11をコネクタハウジング13に固定する工程において、基板11が表裏逆の状態で固定されることを確実に防止し、その後の工程において、各コネクタ端子12と基板11の電極部11aとが誤った順序で接続されることを防止できる。
【0037】
また、電子部品10aを突起部とした場合は、ボス用貫通孔11bの間の領域などを電気回路形成用の面として利用することができ、基板11の表面を有効利用することができる。
【0038】
<第3の実施形態>
図11および図12は、第3の実施形態に係る基板取付け構造および物理量センサ1を示す。
本実施形態は、上記第1の実施形態とは、ボス15の構造が異なり、他の構成は同様である。すなわち、4本の各ボス15が頭部に鉤部15aを有する第1のスナップフィット構造体を形成しており、この第1のスナップフィット構造体のボス15が、基板11のボス用貫通孔11bに挿通されると、鉤部15aによって基板11を保持する。鉤部15aは左右外側方向に設けられており、ボス15が左右内方側に撓められた状態でボス用貫通孔11bに挿通された後、鉤部15aがボス用貫通孔11bから突出して外方に広がることにより、ボス用貫通孔11bの左右外側の開口縁に係合して基板11を保持する。この基板保持は、基板固定の前の仮止めとして用いられる。この仮止めの後、基板11は、平坦部14aと基板11の対向面との間の接着、ボス15の側面とボス用貫通孔11bの内周面との間の接着、およびコネクタ端子12と電極部11aとの間の半田付けにより、コネクタハウジング13に固定される。
【0039】
なお、基板11のボス用貫通孔11bは、第1の実施形態と同様に、左台座部14Lの2本のボス15を挿通させるための左側ボス用貫通孔11bLと、右台座部14Rの2本のボス15を挿通させるための右側ボス用貫通孔11bRとから構成される。左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRの具体的な構成、ならびにそれらに挿通される左台座部14Lおよび右台座部14Rの各ボス15の配置、すなわち非重複範囲とボス15との位置関係(干渉部の構成)は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。なお、本実施形態においても、左側ボス用貫通孔11bLを、右側ボス用貫通孔11bRと同様に、X軸を跨いでY軸に平行に延びる1つの長孔とし、この1つの左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部(非重複範囲)に左台座部14Lの2本のボス15が挿通されるようにしてもよい。
【0040】
本実施形態のボス15の構成は、上記第1および第2の実施形態ならびにそれらの変形例(それらの組み合わせを含む)に、適宜組み合わせて使用することができる。例えば、本実施形態のボス15の構成に対して、上記第1の実施形態の第1の変形例にかかる、左側ボス用貫通孔11bLをY軸と交差する方向に延びる長孔とし、右側ボス用貫通孔11bRをY軸に平行に延びる長孔とした構成や、上記第1の実施形態の第2の変形例にかかる、電極部11aをY軸に対して非対称に配置した構成を適用することも可能である。
【0041】
本実施形態によれば、上記第1および第2の実施形態並びにそれらの変形例とほぼ同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、スナップフィット構造体を形成する各ボス15によって基板11を仮止めした状態で、半田付けや接着固定をすることができるので、基板固定作業が容易になる。また、スナップフィット構造そのもの(ボス15の鉤部15a)によって、基板11を平坦部14aに抑えることもでき、上下方向の衝撃に対して耐衝撃性を確保することができる。
【0042】
<第4の実施形態>
図13乃至図16は、第4の実施形態に係る基板取付け構造および物理量センサ1を示す。
本実施形態は、上記第1の実施形態とは、コネクタ端子12との接続構造が異なり、また、基板11を仮止めする構成を有する点が異なり、他の構成は同様である。すなわち、基板11は、電極部11aとして、半田用貫通孔ではなく、半田用電極パターンを表面に備えている。コネクタ端子12は、隔壁13bから平坦部14a(基板受け面)に載置された基板11の上面側に導出され、その素材の弾力性によって基板表面の電極部11aに圧接される。基板11を、このようなコネクタ端子12の下方に挿入して平坦部14aに載置するために、台座部14の隔壁13b側には、基板11を隔壁13b側に傾斜できるように、切欠部14bが設けられている。
【0043】
また、コネクタハウジング13は、基板11を隔壁13bとの間に挟みこんで保持する第2のスナップフィット構造体17を台座部14の端部に備えている。この第2のスナップフィット構造体17は、基板11を平坦部14aに載置した後、コネクタ端子12の端部からの圧接力に抗して基板11を水平に保持するためのものである。第2のスナップフィット構造体17は、その頭部に前方に向かう鉤部17aを備えており、鉤部17aによって基板11の辺縁部を押さえて保持する。このようにして台座部14に装着され、仮止めされた基板11は、平坦部14aと基板11の対向面との間の接着、ボス15の側面とボス用貫通孔11bの内周面との間の接着、およびコネクタ端子12と電極部11aとの間の半田付けにより、コネクタハウジング13に固定される。また、基板11と第2のスナップフィット構造体17との間も接着固定することができる。
【0044】
なお、基板11のボス用貫通孔11bは、第1の実施形態と同様に、左台座部14Lの2本のボス15を挿通させるための左側ボス用貫通孔11bLと、右台座部14Rの2本のボス15を挿通させるための右側ボス用貫通孔11bRとから構成される。左側ボス用貫通孔11bLおよび右側ボス用貫通孔11bRの具体的な構成、ならびにそれらに挿通される左台座部14Lおよび右台座部14Rの各ボス15の配置、すなわち非重複範囲とボス15との位置関係(干渉部の構成)は、第1の実施形態において、左側ボス用貫通孔11bLを1つの長孔とし、左台座部14Lの2本のボス15が、この1つの左側ボス用貫通孔11bLのY軸方向外側端部(非重複範囲)に挿通されるようにした構成と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0045】
図17乃至図19は、第4の実施形態の変形例に係る基板取付け構造および物理量センサ1を示す。
本変形例では、上記第2のスナップフィット構造体17に代えて、左右の後方側の2本のボス15にそれぞれ鉤部15aを設けてスナップフィット構造体としている。この構造は、ボス15にスナップフィット構造を作りこんでいるので、第2のスナップフィット構造体17を備える場合に比べて、構造が簡単であり、また、スペースを節約することができる。
【0046】
なお、本実施形態およびその変形例のスナップフィットの構成は、上記第1乃至第3の実施形態ならびにそれらの変形例(それらの組み合わせを含む)に、適宜組み合わせて使用することができる。
【0047】
本実施形態およびその変形例によれば、上記第1乃至第3の実施形態およびそれらの変形例とほぼ同様の効果を得ることができる。また、スナップフィット構造体によって基板11を仮止めした状態で半田付けや接着固定をすることができるので、基板固定作業が容易になる。また、基板11は、斜めに滑り込ませることにより仮止めされるので、狭い半田用貫通孔に細いコネクタ端子12を挿入する場合に比べて、基板11の載置が容易になる。また、コネクタ端子12は、基板11の上面に至るまでの短い電極で足りるので、端子部材のコストを低減できる。また、コネクタ端子12の先端のバネ効果や、スナップフィット構造体の鉤部によって基板11を平坦部14aに押圧することができ、これにより、基板垂直方向の衝撃が加わった際の耐衝撃性を向上させることもできる。
【0048】
<第5の実施形態>
図20乃至図22は、第5の実施形態に係る基板取付け構造および物理量センサ1を示す。
本実施形態では、平坦部14a(基板受け面)から立設されたボス15に代えて、半田付け可能な固定用端子18を立設し、基板11には固定用端子18に対応した位置に固定用電極部11cを設け、固定用端子18と固定用電極部11cとの間の半田付けによって基板11をコネクタハウジング13に固定する。
【0049】
コネクタ端子12は、基板11における半田用貫通孔からなる電極部11aとの間で半田付けされる。また、固定用電極部11cは、電極部11aと同様に半田用貫通孔からなる。なお、本実施形態において、コネクタ端子12は、隔壁13bからではなく、隔壁13bから後方へ水平に延設された張出部14cの後方端面部から導出されて、基板11の後方辺縁側において上方に立ち上がる構成とされている。このコネクタ端子12の基板11への固定方法に関しては、第1の実施形態におけるコネクタ端子12の場合とほぼ同様である。
【0050】
基板11は、裏面を平坦部14aに対向させた状態(正規の状態)で台座部14上に載置されたとき、コネクタハウジング13側の係合突起であるコネクタ端子12および固定用端子18が基板11上に設けられた複数の係合孔である電極部11aおよび固定用電極部11cに挿通されることで、コネクタハウジング13に対して位置決めされる。
【0051】
一方、基板11を、表面を平坦部14aに対向させた状態(表裏逆の状態)で台座部14上に載置したときは、コネクタハウジング13側の係合突起が、基板11上に設けられた係合孔に挿入されないようになっている。換言すれば、基板11を台座部14に正規の状態で載置したときの係合孔の範囲と表裏逆の状態で載置したときの係合孔の範囲との重複範囲の外側に、少なくともコネクタハウジング13側の係合突起の一部が位置するようになっている。
【0052】
具体的には、基板11上に設けられた複数の係合孔のうち少なくとも一つが、基板11の対称軸XおよびYに対して非対称に配置されている。本実施形態では、電極部11aは、X軸に対して非対称であるがY軸に対して線対称に配置されている。一方、固定用電極部11cは、対称軸XおよびYの両方に対して非対称に配置されている。すなわち固定用電極部11cの位置は、例えば、Y軸に関して線対称移動させたとき、移動後の固定用電極部11cと元の固定用電極部11cとの間に、互いに重複しない範囲(非重複範囲)が生じるように設定されている。本実施形態では、4つの固定用電極部11cのうち前側の2つに対して、非重複範囲を設定している。従って、基板11を台座部14に表裏逆の状態で取り付けようとした場合は、少なくとも前側の2本の固定用端子18が基板11の固定用電極部11c以外の部分、具体的には、固定用電極部11c周囲の非重複範囲に対応する領域(干渉部)に干渉するようになっている。
【0053】
本実施形態によれば、上記第1乃至第4実施形態およびそれらの変形例とほぼ同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、接着による固定を行わずに、全て半田付けによって固定が行われるので、処理が簡単であり、基板固定のための工数を削減できる。また、半田貫通孔はボス用貫通孔11bに比べて孔径を小さくできるので、基板11における電気回路用の面積を大きくとることができる。また、孔による開口面積が小さいことから、基板11そのものの強度を損なうことがなく、基板11の強度を確保することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態およびそれらの変形例について説明したが、各実施形態および変形例は、本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は、それらの実施形態または変形例に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態等で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。例えば、上記実施形態等においては、センサ素子10として一軸加速度センサを例にとって説明したが、センサ素子10は、特に限定されず、基板11上に実装できるものであれば、圧力センサ、地磁気センサ、角速度センサなどであってもよい。従って、コネクタ端子の個数は3つに限定されず、基板に実装されるセンサ素子の種類や個数に応じて、任意の個数に設定することができる。また、ボス用貫通孔は、長孔ではなく、基板の左右端部に設けた左右外側に開口する切れ込みであってもよい。基板11の形状についても、矩形状に限らず、表裏逆の状態としたときに同一形状となる線対称な形状であればいかなる形状であってもよい。
【0055】
以上の説明から明らかな通り、本発明の第1の態様は、基板をハウジングに取り付ける基板取付け構造であって、前記基板に、正規の状態ではハウジング側の部材に干渉せず、かつ表裏逆の状態ではハウジング側の部材に干渉する干渉部を設けた基板取付け構造である。
この構造によれば、基板に、正規の状態ではハウジング側の部材に干渉せず、かつ表裏逆の状態でハウジング側の部材に干渉する干渉部が設けられているため、基板をハウジングに固定する工程において、基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0056】
また、上記基板取付け構造では、前記ハウジング側の部材に複数の係合突起を設け、前記基板に前記係合突起が挿通される複数の係合孔を設け、前記基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記係合突起のいずれかが、前記基板の係合孔以外の部分と干渉するようにしてもよい。
このようにすれば、ハウジング側の部材に設けられた複数の係合突起を、基板に設けられた複数の係合孔に挿通することで、基板をハウジングに対して位置決めすることができる。そして、基板を表裏逆の状態で取り付けようとしたときは、係合突起のいずれかが基板の係合孔以外の部分と干渉するため、簡単な構造で基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0057】
さらに、上記基板取付け構造では、前記ハウジングに、前記基板を載置するための基板受け面を有する台座部と、前記基板受け面に立設された複数のボスと、を設け、前記基板に、前記ボスが挿通される複数のボス用貫通孔を設け、前記基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記複数のボスのいずれかが、前記基板のボス用貫通孔以外の部分と干渉するようにしてもよい。
このようにすれば、基板をハウジングに対して位置決め固定するための既存のボスおよびボス用貫通孔を利用して、基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0058】
さらに、上記基板取付け構造では、前記基板が線対称の形状を有しており、前記複数のボス用貫通孔を、前記基板の対称軸を挟んで一側と他側とに配置し、前記ボス用貫通孔の範囲を、前記一側のボス用貫通孔と、前記対称軸に関して線対称移動させたときの前記他側のボス用貫通孔との間に非重複範囲が生じるように設定し、少なくとも前記ボスの一部を、前記非重複範囲に配置してもよい。
このようにすれば、より簡単な構造で、より確実に基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0059】
さらに、上記基板取付け構造では、前記ハウジングに、前記基板に電気的に接続される複数のコネクタ端子を設け、前記基板に、前記コネクタ端子が挿通される複数の電極部を設け、前記基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記コネクタ端子のいずれかが、前記基板の電極部以外の部分と干渉するようにしてもよい。
このようにすれば、基板に電気的に接続される複数のコネクタ端子を利用して、基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0060】
さらに、上記基板取付け構造は、前記基板が線対称の形状を有しており、前記複数の電極部を、前記基板の対称軸に対して非対称に配置してもよい。
このようにすれば、より簡単な構造で、より確実に基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0061】
さらに、上記基板取付け構造は、前記ハウジングに、前記基板を載置するための基板受け面を有する台座部を設け、前記基板に、該基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記基板受け面に干渉する突起部を設けてもよい。
この構造によれば、基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合、基板に設けられた突起部が基板受け面に干渉するため、簡単な構造で基板が表裏逆の状態で固定されることを防止できる。
【0062】
前記突起部は、前記基板に実装された電子部品でもよい。
このようにすれば、基板の表面を有効に利用することができる。
【0063】
本発明の第2の態様は、センサ素子を実装した基板を、上記基板取付け構造を用いてハウジングに固定して物理量センサである。
この構成によれば、基板をハウジングに固定する工程において、基板が表裏逆の状態で固定されることを確実に防止できるので、製品の品質・信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0064】
1…物理量センサ
10…センサ素子
10a…電子部品
11…基板
11a…電極部
11b…ボス用貫通孔
11bL…左側ボス用貫通孔
11bR…右側ボス用貫通孔
11c…固定用電極部
12…コネクタ端子
13…コネクタハウジング(ハウジング)
13a…コネクタソケット部
13b…隔壁
13c…ハウジングケース
13d…封止材
13e…取付部
14…台座部
14L…左台座部
14R…右台座部
14a…平坦部
14b…切欠部
14c…張出部
15…ボス
15a…鉤部
16…ブラケット
16a…取付孔
16b…保持部
17…第2のスナップフィット構造体
17a…鉤部
18…固定用端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をハウジングに取り付ける基板取付け構造であって、
前記基板に、正規の状態ではハウジング側の部材に干渉せず、かつ表裏逆の状態ではハウジング側の部材に干渉する干渉部を設けたことを特徴とする基板取付け構造。
【請求項2】
前記ハウジング側の部材に複数の係合突起を設け、
前記基板に前記係合突起が挿通される複数の係合孔を設け、
前記基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記係合突起のいずれかが、前記基板の係合孔以外の部分と干渉するようにしたことを特徴とする請求項1記載の基板取付け構造。
【請求項3】
前記ハウジングに、前記基板を載置するための基板受け面を有する台座部と、前記基板受け面に立設された複数のボスと、を設け、
前記基板に、前記ボスが挿通される複数のボス用貫通孔を設け、
前記基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記複数のボスのいずれかが、前記基板のボス用貫通孔以外の部分と干渉するようにしたことを特徴とする請求項2記載の基板取付け構造。
【請求項4】
前記基板が線対称の形状を有しており、
前記複数のボス用貫通孔を、前記基板の対称軸を挟んで一側と他側とに配置し、
前記ボス用貫通孔の範囲を、前記一側のボス用貫通孔と、前記対称軸に関して線対称移動させたときの前記他側のボス用貫通孔との間に、非重複範囲が生じるように設定し、
少なくとも前記ボスの一部を、前記非重複範囲に配置したことを特徴とする請求項3記載の基板取付け構造。
【請求項5】
前記ハウジングに、前記基板に電気的に接続される複数のコネクタ端子を設け、
前記基板に、前記コネクタ端子が挿通される複数の電極部を設け、
前記基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記コネクタ端子のいずれかが、前記基板の電極部以外の部分と干渉するようにしたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板取付け構造。
【請求項6】
前記基板が線対称の形状を有しており、
前記複数の電極部を、前記基板の対称軸に対して非対称に配置したことを特徴とする請求項5記載の基板取付け構造。
【請求項7】
前記ハウジングに、前記基板を載置するための基板受け面を有する台座部を設け、
前記基板に、該基板を表裏逆の状態で取り付けようとした場合に、前記基板受け面に干渉する突起部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板取付け構造。
【請求項8】
前記突起部が、前記基板に実装された電子部品であることを特徴とする請求項7記載の基板取付け構造。
【請求項9】
センサ素子を実装した基板を、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の基板取付け構造を用いてハウジングに固定したことを特徴とする物理量センサ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−113923(P2012−113923A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261066(P2010−261066)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】