説明

基板搬送セット、並びに基板搬送用治具セットおよび収納容器

【課題】収納容器内において塵が基板上あるいは基板上にすでに実装されている半導体素子上へ落下するのを抑制できる基板搬送セットを提供する。
【解決手段】基板収容部2間の間隔Pが一定で、前方側端面から先頭の基板収容部2までの距離が異なる基板搬送用治具1a、1bを、収納容器に交互に段積み収納することで、収納容器内に段積み収納された各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を組み立てる工程において基板の搬送に用いられる基板搬送用治具と、複数個の基板搬送用治具を収納する収納容器とを備える基板搬送セット、並びに基板搬送セットを構成する基板搬送用治具セットおよび収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の組み立て工程において個片化された基板を搬送するために、複数個の基板を一括して搬送するための基板搬送用治具が用いられるようになってきた。この基板搬送用治具は、リードフレーム状態で基板を搬送するタイプの半導体装置組み立て設備において使用できるように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図7に従来の基板搬送用治具の概略を説明するための平面図を示す。
図7に示すように、従来の基板搬送用治具1は、平面視したときに略長方形の形状をしており、その長手方向に沿って複数個の基板収容部2が一定間隔Pで列設されている。基板収容部2は、枠部(基板搬送用治具1上面)と、枠部の内方端から下方に向けて設けられた側壁部と、側壁部の下方端から内方に向けて突設された基板支持部とを備え、これらによって区画される基板収容領域に基板を収容する。基板収容部2のサイズ(基板収容領域のサイズ)は、搬送する基板に合わせたサイズにする。図7には、その幅方向に基板収容部が2列設けられた基板搬送用治具を示しているが、何列設けるかは半導体装置組み立て設備の仕様に合わせて決定する。また、基板搬送用治具の長さや幅、厚さ、および基板収容部の1列当たりの個数や間隔Pなども半導体装置組み立て設備の仕様に合わせて決定する。
【0004】
また、基板収容部2の底面には、基板支持部によって区画される穴部3が設けられている。この穴部3は、基板収容部2から基板を取り出すためのものである。図8に、半導体素子が実装された基板を基板収容部から取り出す工程を説明するための概略断面図を示す。図8に示すように、半導体素子11が実装された基板4を基板収容部2から取り出すときには、基板収容部2の開口部を上にして搬送されてきた基板搬送用治具1の穴部3の下方からバックアップブロック5を上昇させ、バックアップブロック5により基板4を持ち上げる。
【0005】
また、基板搬送用治具1には、ユーザがその前後を視覚で確認できるようにするための手段が備えられており、ここでは、図7に示すように、長手方向の前方側と後方側で端面の形状が異なるようにしている。
【0006】
一方、基板あるいは半導体素子がすでに実装された基板を基板収容部に収容した基板搬送用治具を設備間で搬送するときには、複数枚の基板搬送用治具を収納容器に収納して搬送する。図9に従来の収納容器の概略を説明するための一部破断斜視図を示す。図9では、説明のために基板搬送用治具を2枚収納した場合の様子を示す。
【0007】
図9に示すように、収納容器6は、基板搬送用治具1を収納空間内に水平状態で段積み収納するために、両側面の内方に、基板搬送用治具1の幅方向の両端部に係合し、基板搬送用治具1を水平状態で支持して、所定の間隔をあけて段積み収納するための溝7を備える。基板搬送用治具1は、長手方向の前方側の端面から、収納容器6の両側面の溝に沿って1枚ずつ収納される。また、収納容器6の収納空間と溝7の形状・サイズは、基板搬送用治具1の形状・サイズに合わせて決定する。
【0008】
収納容器6の前面および後面には開口部が設けられており、基板搬送用治具1は前面側の開口部から出し入れされる。一方、後面側には、段積み収納された基板搬送用治具1の前方側端面が垂直方向で揃うように基板搬送用治具1を位置決めするためのストッパー8が設けられており、基板搬送用治具1は前方側端面がストッパー8に当接した状態で収納空間内に収納され、基板収容部2は常に一定の位置で静止する。
【0009】
以上のように、従来は、同形・同サイズでかつ基板収容部の配列が同一の複数枚の基板搬送用治具を、収納容器の収納空間内に、垂直方向に揃えて水平状態で段積み収納していた。しかしながら、従来は、基板搬送用治具を収納容器内に段積み収納すると、各基板搬送用治具の基板収容部が垂直方向に一致してしまい、基板収容部の底面に設けられた穴部から、その直下の基板収容部に収容された基板あるいは基板上にすでに実装された半導体素子へ塵が落下するという問題があった。図10に、半導体素子が実装された基板を収容している複数枚の基板搬送用治具を収納容器内に段積み収納したときの概略断面図を示す。図10に示すように、基板4の側壁と基板収容部2の側壁部が擦れ合うなどして発生した塵9は、基板収容部2の側壁部と基板支持部からなる角に溜り、振動等により穴部3から落下して、直下の基板収容部2に収容された基板4やその基板4上の半導体素子11に付着する。そのため、基板や半導体素子が、イメージセンサなどのダスト(塵)付着を嫌う半導体装置用である場合、製造した半導体装置の品質が低下するという問題があった。
【特許文献1】特開2003−12026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットと、複数個の基板搬送用治具を段積み収納する収納容器とを備える基板搬送セットにおいて、各基板搬送用治具を収納容器に段積み収納したときに、各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないようにすることにより、収納容器内において塵が基板上あるいは基板上に既に実装されている半導体素子上へ落下するのを抑制できる基板搬送セット、並びに基板搬送用治具セットおよび収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1記載の基板搬送セットは、基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットと、前記各基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器と、を備える基板搬送セットであって、前記各基板搬送用治具の基板収容部は、前記収納容器の収納空間に前記各基板搬送用治具を段積み収納したときに、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように配列されている、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2記載の基板搬送セットは、請求項1記載の基板搬送セットであって、前記各基板搬送用治具は、平面視したときの形状およびサイズが同一であり、前記収納容器は、前記各基板搬送用治具を垂直方向に揃えて水平状態で段積み収納することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3記載の基板搬送セットは、基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットと、前記各基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器と、を備える基板搬送セットであって、前記収納容器は、収納空間に段積み収納した前記各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように、前記各基板搬送用治具を位置決めする位置決め部を有する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4記載の基板搬送セットは、請求項3記載の基板搬送セットであって、前記各基板搬送用治具は、平面視したときの形状、サイズ、および基板収容部の配列が同一であり、前記収納容器は、前記各基板搬送用治具を水平状態で段積み収納することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5記載の基板搬送用治具セットは、基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットであって、前記各基板搬送用治具の基板収容部は、収納容器の収納空間に前記各基板搬送用治具を段積み収納したときに、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように配列されている、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6記載の収納容器は、基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器であって、収納空間に段積み収納した前記各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように、前記各基板搬送用治具を位置決めする位置決め部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板搬送用治具を収納容器に段積み収納したときに、基板収容部に溜った塵が、基板収容部から基板を取り出すために基板収容部の底面に設けられた穴部から落下しても、その直下に基板収容部がないので、塵が基板上あるいは基板上に実装されている半導体素子上へ落下するのを抑制できる。よって、基板や、基板に実装される半導体素子に付着する塵を減少させることができ、製造される半導体装置の品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の各実施の形態における基板搬送セット、並びに基板搬送用治具セットおよび収納容器について、図面を交えて説明する。ここで基板搬送セットは、基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットと、各基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器と、を備えてなる。
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における基板搬送セットと基板搬送用治具セットについて、図面を交えて説明する。本実施の形態1では、収納容器の収納空間に基板搬送用治具を段積み収納したときに、各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように、基板収容部を配列する点に特徴がある。
【0020】
具体的には、基板収容部の配列が異なる2種類の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットを用意して、収納容器に交互に段積み収納することで、収納容器に段積み収納された各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向で一致しないようにする。図1に、その2種類の基板搬送用治具の概略を説明するための平面図を示す。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、第1と第2の基板搬送用治具1a、1bは、平面視したときの形状およびサイズが同一で、略長方形の形状をしており、その長手方向に沿って複数個の基板収容部2が一定間隔Pで列設されている。
【0022】
基板収容部2は、従来と同様に、枠部(基板搬送用治具上面)と、枠部の内方端から下方に向けて設けられた側壁部と、側壁部の下方端から内方に向けて突設された基板支持部とを備え、これらによって区画される基板収容領域に基板を収容する。
【0023】
基板収容部2は、搬送する基板の形状・サイズに合わせて形成する。図1には、幅方向に基板収容部が2列設けられた基板搬送用治具1a、1bを示しているが、何列設けるかは半導体装置組み立て設備の仕様に合わせて決定する。また、基板搬送用治具1a、1bの形状や、長さ、幅、厚さ、および基板収容部2の1列当たりの個数や間隔Pなども、半導体装置組み立て設備の仕様に合わせて決定する。また、間隔Pは、一定である場合に限らず、半導体装置組み立て設備の仕様に合わせた間隔ごとに基板収容部2を形成すればよい。
【0024】
基板収容部2の底面には、基板支持部によって区画される穴部3が設けられている。この穴部3は、基板収容部2から基板を取り出すためのものであり、例えば図8に示すように、半導体素子11が実装された基板4を基板収容部2から取り出すときには、基板収容部2の開口部を上にして搬送されてきた基板搬送用治具1の穴部3の下方からバックアップブロック5を上昇させ、バックアップブロック5により基板4を持ち上げる。
【0025】
また、基板搬送用治具1a、1bには、ユーザがその前後を視覚で確認できるようにするための手段が備えられており、ここでは、図1に示すように、長手方向の前方側と後方側で端面の形状が異なるようにしている。また、図示しないが、ユーザが基板搬送用治具の種類を視覚で確認できるようにするための手段を設けてもよく、例えば第1と第2の基板搬送用治具1a、1bで異なる色を塗布したり、種類を判別できるマークなどを付けたり、長手方向の端面の形状を基板搬送用治具1a、1bで異なる形状にしてもよい。
【0026】
第1と第2の基板搬送用治具1a、1bは、長手方向の端面から基板収用部2までの距離が異なる。例えば、図1(b)に示すように、第2の基板搬送用治具1bの前方側端面から先頭の基板収容部2の中央までの距離をL1とすると、図1(a)に示すように、第1の基板搬送用治具1aの前方側端面から先頭の基板収容部2の中央までの距離がL1+P/2となるようにする。
【0027】
続いて、本実施の形態1における収納容器について説明する。ここでは、収納容器は、収納空間において基板搬送用治具を段積み収納でき、基板搬送用治具の基板収容部が収納空間内において常に一定の位置で静止できるものであればよい。
【0028】
図2に本実施の形態1における収納容器の概略を説明するための斜視図を示す。図2に示すように、収納容器6は、基板搬送用治具を収納空間内に水平状態で段積み収納するために、両側面の内方に、基板搬送用治具の幅方向の両端部に係合し、基板搬送用治具を水平状態で支持して、所定の間隔をあけて段積み収納するための溝7を備える。なお、溝7は、収納容器6の前面から後面まで延在している場合に限らず、例えば所定長さの溝部を、その軸に沿って複数個設けるようにしてもよい。また、収納容器6の収納空間と溝7の形状・サイズは、基板搬送用治具の形状・サイズに合わせて決定する。
【0029】
収納容器6の前面および後面には開口部が設けられており、基板搬送用治具は前面側の開口部から出し入れされる。一方、後面側には、段積み収納された基板搬送用治具の前方側端面が垂直方向で揃うように基板搬送用治具を位置決めするためのストッパー(図示せず。)が設けられており、基板搬送用治具は前方側端面がストッパーに当接した状態で収納空間内に収納され、基板収容部は常に一定の位置で静止する。
【0030】
この収納容器6に対して、第1と第2の基板搬送用治具1a、1bは、前方側端面を先頭にして、収納容器6の前面に設けられた開口部から収納容器6の両側面の溝に沿って1枚ずつ交互に収納される。収納容器6は、溝7とストッパーにより各基板搬送用治具を垂直方向に揃えて水平状態で段積み収納する。
【0031】
第1と第2の基板搬送用治具1a、1bは、上記したように、例えば第2の基板搬送用治具1bの前方側端面から先頭の基板収容部2の中央までの距離をL1とすると、第1の基板搬送用治具1aの基板収容部2は、前方側端面から先頭の基板収容部2の中央までの距離がL1+P/2となるように配列されるため、平面視したときの形状およびサイズが同一の基板搬送用治具1a、1bの前方側端面をストッパーに当接させて1枚ずつ交互に収納すると、一定間隔Pで列設されている基板収容部の間の直下に、1段下の基板搬送用治具の基板収容部が位置することになる。
【0032】
図3に、本実施の形態1における2種類の基板搬送用治具を収納容器内に交互に段積み収納したときの概略断面図を示す。図3に示すように、交互に段積み収納された第1と第2の基板搬送用治具1a、1bは、前方側端面がストッパー8に当接しており、ストッパー8から先頭の基板収容部2までの距離は、1段ごとに「L1+P/2」と「L1」になる。よって、基板4の側壁と基板収容部2の側壁部が擦れ合うなどして発生した塵9が振動等により穴部3から落下しても、直下に基板収容部2がないため、基板4や、基板4に実装されている半導体素子11に付着する塵を減少させることができる。
【0033】
なお、本実施の形態1では、2種類の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットについて説明したが、2種類以上でもよい。また、2種類以上の基板搬送用治具を用いる場合に限らず、例えば前方側端面と後方側端面を交互に先頭にして段積み収納した各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向で一致しないように基板収容部を配列してもよい。また、基板搬送用治具を段積み収納したときに1段上もしくは1段下の基板収容部と垂直方向に一致しないように基板収容部を配列すればよく、各基板搬送用治具を垂直方向に揃えて段積み収納する場合に限らない。
【0034】
また、収納容器は、前面に設けられた開口部を閉じるための、収納容器1に係合可能な蓋体を備えてもよく、その蓋体の内方には収納容器の両側面に設けた溝に合わせて溝を設けてもよい。また同様に、後面用の蓋体を備えてもよい。また、後面には、蓋体を係合させる代わりに壁面を設けてもよい。位置決め部として、ストッパーの代わりに後面に係合する蓋体や、壁面を用いてもよい。
【0035】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における基板搬送セットと収納容器について、図面を交えて説明する。但し、前述した実施の形態1と異なる部分を中心に詳説する。本実施の形態2では、収納容器内に基板搬送用治具を段積み収納したときに、各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないようにするための位置決め部を収納容器内に設けた点に特徴がある。
【0036】
具体的には、1種類の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットを用意し、基板搬送用治具の前方側端面を位置決めするストッパーにアジャスターを設けて、収納容器に段積み収納された各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向で一致しないようにする。
【0037】
図4に、本実施の形態2における基板搬送用治具の概略を説明するための平面図を示す。図4に示すように、基板搬送用治具は1種類であり、その長手方向に沿って複数個の基板収容部2が一定間隔Pで列設されている。基板搬送用治具1の構成は、前述した実施の形態1における基板搬送用治具の構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0038】
続いて、本実施の形態2における収納容器について説明する。図5に本実施の形態2における収納容器の概略を説明するための一部破断斜視図を示す。図5では、説明のために基板搬送用治具を2枚収納した場合の様子を示す。
【0039】
図5に示すように、収納容器6は、基板搬送用治具1を収納空間内に水平状態で段積み収納するために、前述した実施の形態1と同様に、両側面の内方に溝7を備える。収納容器6の収納空間と溝7の形状・サイズは、基板搬送用治具1の形状・サイズに合わせて決定する。
【0040】
収納容器6の前面および後面には開口部が設けられており、基板搬送用治具1は前面側の開口部から出し入れされる。後面側には、収納空間に段積み収納された各基板搬送用治具1の基板収容部2が1段上もしくは1段下に収納された基板搬送用治具1の基板収容部2と垂直方向に一致しないように各基板搬送用治具1を位置決めする位置決め部として、ストッパー8とアジャスター10が設けられている。前方側端面を先頭にして収納容器6の前面に設けられた開口部から収納容器6の両側面の溝に沿って1枚ずつ収納される基板搬送用治具1は、前方側端面がストッパー8もしくはアジャスター10に当接した状態で収納空間内に収納され、基板収容部は常に一定の位置で静止する。
【0041】
アジャスター10は収納容器6の両側面の溝に対して隔段ごとに設けられており、収納容器6に段積み収納された基板搬送用治具1の前方側端面は、ストッパー8とアジャスター10に交互に当接する。
【0042】
アジャスター10のサイズは、基板搬送用治具1の前方側端面がストッパー8から収納容器6の前面側にP/2だけ離れるように決定する。このように決定することで、平面視したときの形状、サイズ、および基板収容部2の配列が同一の基板搬送用治具1の前方側端面をストッパー8とアジャスター10に交互に当接させて段積み収納したときに、一定間隔Pで列設されている基板収容部の間の直下に、1段下の基板搬送用治具の基板収容部が位置することになる。
【0043】
図6に、基板搬送用治具を収納容器内に段積み収納したときの概略断面図を示す。図6に示すように、段積み収納された基板搬送用治具1は、前方側端面がストッパー8とアジャスター10に交互に当接しており、隔段ごとに基板搬送用治具1の前方側端面が停止する位置がP/2だけずれる。よって、基板4の側壁と基板収容部2の側壁部が擦れ合うなどして発生した塵9が振動等により穴部3から落下しても、直下に基板収容部2がないため、基板4や、基板4に実装されている半導体素子11に付着する塵を減少させることができる。
【0044】
なお、収納容器は、前面に設けられた開口部を閉じるための、収納容器1に係合可能な蓋体を備えてもよく、その蓋体の内方には収納容器の両側面に設けた溝に合わせて溝を設けてもよい。また同様に、後面用の蓋体を備えてもよい。また、後面には、蓋体を係合させる代わりに壁面を設けてもよい。また、位置決め部として、ストッパーとアジャスターの代わりに後面に係合する蓋体や、壁面を用いてもよい。この場合、例えばその蓋体や壁面にアジャスターを突設する。またここでは、1種類の基板搬送用治具を用意して、隔段ごとに一定距離P/2だけ基板搬送用治具をずらして収納したが、2種類以上の基板搬送用治具を用意して、アジャスターにより所定の距離だけずらすことで、収納容器に段積み収納された各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下の基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向で一致しないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる基板搬送セット、並びに基板搬送用治具セットおよび収納容器は、収納容器内において、基板搬送用治具に収容されている基板あるいは基板上にすでに実装されている半導体素子への塵の付着を減少させることができ、個片に切断済みの基板を一括して搬送する手段として有用である。特に、塵の付着を嫌う固体撮像装置等の半導体装置用の基板あるいは固体撮像素子等がすでに実装された基板を搬送する手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1における基板搬送用治具の概略を説明するための平面図
【図2】本発明の実施の形態1における収納容器の概略を説明するための斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における基板搬送用治具を収納容器内に段積み収納したときの概略断面図
【図4】本発明の実施の形態2における基板搬送用治具の概略を説明するための平面図
【図5】本発明の実施の形態2における収納容器の概略を説明するための一部破断斜視図
【図6】本発明の実施の形態2における収納容器内に基板搬送用治具を段積み収納したときの概略断面図
【図7】従来の基板搬送用治具の概略を説明するための平面図
【図8】従来の半導体装置組み立て設備において基板収容部から基板を取り出す工程を説明するための概略断面図
【図9】従来の収納容器の概略を説明するための一部破断斜視図
【図10】従来の基板搬送用治具を収納容器内に段積み収納したときの概略断面図
【符号の説明】
【0047】
1、1a、1b 基板搬送用治具
2 基板収納部
3 穴部
4 基板
5 バックアップブロック
6 収納容器
7 溝
8 ストッパー
9 塵
10 アジャスター
11 半導体素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットと、前記各基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器と、を備える基板搬送セットであって、
前記各基板搬送用治具の基板収容部は、前記収納容器の収納空間に前記各基板搬送用治具を段積み収納したときに、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように配列されている、
ことを特徴とする基板搬送セット。
【請求項2】
請求項1記載の基板搬送セットであって、前記各基板搬送用治具は、平面視したときの形状およびサイズが同一であり、前記収納容器は、前記各基板搬送用治具を垂直方向に揃えて水平状態で段積み収納することを特徴とする基板搬送セット。
【請求項3】
基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットと、前記各基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器と、を備える基板搬送セットであって、
前記収納容器は、収納空間に段積み収納した前記各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように、前記各基板搬送用治具を位置決めする位置決め部を有する、
ことを特徴とする基板搬送セット。
【請求項4】
請求項3記載の基板搬送セットであって、前記各基板搬送用治具は、平面視したときの形状、サイズ、および基板収容部の配列が同一であり、前記収納容器は、前記各基板搬送用治具を水平状態で段積み収納することを特徴とする基板搬送セット。
【請求項5】
基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具からなる基板搬送用治具セットであって、前記各基板搬送用治具の基板収容部は、収納容器の収納空間に前記各基板搬送用治具を段積み収納したときに、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように配列されている、ことを特徴とする基板搬送用治具セット。
【請求項6】
基板を収容するための基板収容部が配列されている複数個の基板搬送用治具を収納空間に段積み収納する収納容器であって、収納空間に段積み収納した前記各基板搬送用治具の基板収容部が、1段上もしくは1段下に収納された前記基板搬送用治具の基板収容部と垂直方向に一致しないように、前記各基板搬送用治具を位置決めする位置決め部を有する、ことを特徴とする収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−188910(P2007−188910A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3105(P2006−3105)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】