説明

基板搬送装置

【課題】搬送の都度にジョイント機構の着脱を行うことを必要とせず、搬送機構の高低差に関わらず、基板をスムーズに搬送する。
【解決手段】可撓性のあるシート状の基板Aを浮上させる2以上の浮上ステージ4A,4Bと、該浮上ステージ4A,4Bにより浮上させられた状態の基板Aを把持して搬送方向Bに移動させる送り機構5A,5Bと、浮上ステージ4A,4Bを連結する連結部3とを備え、連結部3が、各浮上ステージ4A,4Bに取り付けられた固定ローラ9A,9Bと、固定ローラ9A,9B間に、固定ローラ9A,9Bの回転軸に平行な軸線回りに揺動可能に取り付けられたリンク10と、リンク10に取り付けられた1以上の可動ローラ11とを備える基板搬送装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板のようなシート状の基板を搬送する基板搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板の搬送装置として、例えば、特許文献1に開示されている浮上搬送装置がある。
この浮上搬送装置は、ステージ表面上に多数のエアー吹き出し孔を備える複数の浮上エアーステージと、各浮上エアーステージの両端に配置された吸着搬送部とを備えている。浮上エアーステージによりガラス基板を浮上させた状態で、吸着搬送部により吸着保持して搬送方向に移動させることでガラス基板が、順次、次の浮上エアーステージに送られ搬送されていくようになっている。
【0003】
この場合において、各浮上エアーステージの高さのばらつきや、振動を抑えるための除振台による上下動によって、隣接する浮上エアーステージの表面に高低差が生ずるのを防止するために、隣接する2つの浮上エアーステージの間に相互に嵌合する凹部と凸部とからなるジョイント機構を備えている。ガラス基板が、浮上エアーステージを越えて搬送される際にジョイント機構が連結されることにより、浮上エアーステージ間の高低差を低減し、ガラス基板をスムーズに搬送することができる。
【特許文献1】特開2004−331319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている浮上搬送装置では、ガラス基板が1つの浮上エアーステージ上に配置されているとき、各浮上エアーステージに備えられた除振台を機能させるために、ジョイント機構による連結を解除する必要がある。したがって、特許文献1の浮上搬送装置では、浮上エアーステージを越えてガラス基板を搬送する都度に、ジョイント機構の連結および解除を繰り返さなければならないという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、搬送の都度にジョイント機構の着脱を行うことを必要とせず、搬送機構の高低差に関わらず、基板をスムーズに搬送することができる基板搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、可撓性のあるシート状の基板を浮上させて搬送する2以上の浮上ステージと、該浮上ステージにより浮上させられた状態の基板を把持して搬送方向に移動させる送り機構と、前記浮上ステージを連結する連結部とを備え、該連結部が、各浮上ステージに取り付けられた固定ローラと、該固定ローラ間に、該固定ローラの回転軸に平行な軸線回りに揺動可能に取り付けられたリンクと、該リンクに取り付けられた1以上の可動ローラとを備える基板搬送装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、浮上ステージの作動によりシート状の基板が浮上された状態で、送り機構の作動により、基板が把持されて搬送方向に移動させられる。基板が浮上ステージ間を通過するときには、まず、基板の搬送方向前縁近傍が、送り元の浮上ステージに固定された固定ローラによって支持されつつ移動する。次いで、固定ローラ間に設けられたリンクに取り付けられた可動ローラに受け渡されて支持される。最後に、送り先の浮上ステージに固定された固定ローラに支持されつつ移動し、浮上ステージにより浮上された支持状態となるまで搬送される。
【0008】
この場合において、隣接する浮上ステージ間に高低差が存在する場合には、各浮上ステージに取り付けられた固定ローラの高さ位置が変化することとなるが、本発明においては、高低差が発生する固定ローラ間に揺動可能なリンクが設けられ、該リンクに可動ローラが取り付けられているので、2つの固定ローラの間の高さ位置に可動ローラが配置される。その結果、ローラ間の高低差が低減され、基板がスムーズに搬送されることになる。
【0009】
上記発明においては、前記各ローラは、前記基板の搬送方向前縁との接触点における前記基板の搬送方向前縁における接線と各ローラの接線とのなす角が、所定値以下となるように配置されていることとしてもよい。
このようにすることで、基板の搬送方向前縁がローラに接触する際の衝撃が低減され、基板の前縁の破損を防止するとともに、搬送中における基板の振動を低減することができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記リンクが、複数のリンク部材を揺動可能に連結し、各リンク部材間に揺動を制限する方向に付勢する付勢手段を備えることとしてもよい。
このようにすることで、基板の変形に合わせてリンク部材を揺動させ、リンク部材に取り付けられた可動ローラを基板に接触させて確実に支持することが可能となる。リンク部材間の揺動は付勢手段によって制限されるので、各リンク部材に作用するモーメントをバランスさせて、固定ローラ間に滑らかな曲線を描くように可動ローラを配置することができる。その結果、さらにスムーズに基板を搬送することが可能となる。
【0011】
また、上記発明においては、前記各ローラが、前記基板の搬送速度に一致する周速度で回転駆動されることとしてもよい。
このようにすることで、送り機構により搬送される基板の搬送速度に一致する周速度で、ローラが回転駆動されるので、各ローラと基板との摩擦を低減し、基板の摩耗を抑制することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記各ローラが、前記送り機構の駆動源により駆動されることとしてもよい。このようにすることで、各ローラの複雑な回転制御を行うことなく、送り機構による基板の搬送に同期させて各ローラを回転駆動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
搬送の都度にジョイント機構の着脱を行うことを必要とせず、搬送機構の高低差に関わらず、基板をスムーズに搬送することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る基板搬送装置1について、図1〜図5を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る基板搬送装置1は、図1に示されるように、基板Aの搬送方向Bに沿って隣接配置された2つの搬送機構2A,2Bと、両者を連結する連結装置(連結部)3とを備えている。
【0015】
各搬送機構2A,2Bには、可撓性のあるシート状の基板A、例えば、ウェハやFPDガラス基板を浮上させて搬送する浮上ステージ4A,4Bと、該浮上ステージ4A,4Bにより浮上させられた状態の基板Aを把持して搬送方向に移動させる送り機構5A,5Bがそれぞれ設けられている。
少なくとも一方の搬送機構2A(2B)は、例えば、基板検査装置に備えられている。基板検査装置は、図示しない検査ユニットを備え、該検査ユニットにより、送られてきた基板Aを検査するようになっている。したがって、検査時における外部からの振動を抑制するために、図示しない制振装置が備えられ、搬送機構2A(2B)を上下動させて振動を抑制するようになっている。
【0016】
各浮上ステージ4A,4Bは、基板Aを載置する載置面に設けられた複数の空気孔(図示略)から空気を吐出させることにより、基板Aを平坦な状態に維持しつつ浮上させることができるようになっている。
送り機構5A,5Bは、例えば、搬送方向に沿って設けられたレール6A,6B上を移動可能なスライダ7A,7Bと、該スライダ7A,7Bに搭載され、前記基板Aの端部を把持あるいは解放することにより着脱する着脱機構8A,8Bとを備えている。ここでは、着脱機構8A,8Bは、例えば、基板Aを吸着して把持するようになっている。
【0017】
浮上ステージ4A,4B上に浮上状態に維持された基板Aの端部を着脱機構8A,8Bによって把持し、スライダ7A,7Bをレール6A,6B上に搬送方向Bに沿って移動させることで、基板Aを平坦な状態に維持したまま搬送方向Bに搬送することができるようになっている。
【0018】
前記連結装置3は、図2に示されるように、各浮上ステージ4A,4Bの端面に取り付けられた固定ローラ9A,9Bと、該固定ローラ9A,9B間に、該固定ローラ9A,9Bの回転軸に揺動可能に取り付けられたリンク10と、該リンク10に取り付けられた複数の可動ローラ11とを備えている。
固定ローラ9A,9B、リンク10および可動ローラ11は、図1に示されるように、2つの浮上ステージ4A,4B間に間隔をあけて複数並列に配置されている。また、固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11はそれぞれの回転軸回りに回転自在に設けられている。
【0019】
前記固定ローラ9A,9Bはその周面を、前記浮上ステージ4A,4Bにより浮上させられた状態の基板Aの下面位置に概略一致させた状態で配置されている。したがって、送り機構5A,5Bの作動により、基板Aが一方の浮上ステージ4Aから他方の浮上ステージ4Bに向けて送り出される際には、まず、固定ローラ9Aが基板Aの下面を支持するようになっている。
【0020】
前記リンク10は、一方の固定ローラ9Aの回転軸を、一端に設けられた貫通穴10aに嵌合させることにより、揺動可能に取り付けられている。また、他方の固定ローラ9Bの回転軸を、他端に設けられた長孔10bに嵌合させることにより、揺動可能かつ長手方向に相対移動可能に取り付けられている。
【0021】
そして、リンク10は、2つの浮上ステージ4A,4Bの高さが一致しているときには、図2に示されるように水平に保持され、複数の可動ローラ11の周面と、固定ローラ9A,9Bの周面とが同一高さになるように構成されている。
一方、制振装置の作動により、浮上ステージ4A(4B)が上下動された場合には、2つの浮上ステージ4A,4Bの高さが一致しなくなる。この場合には、図3および図4に示されるように、固定ローラ9A,9B間のリンク10が揺動して連結状態が維持されるようになっている。このとき、固定ローラ9A,9B間の距離が変化するので、リンク10に設けられた長孔10b内で固定ローラ9Bの回転軸を移動させることにより、リンク10を固定ローラ9Bに対して長手方向に移動させ、距離の変化を吸収するようになっている。
【0022】
搬送方向Bの上流側に配されている浮上ステージ4Aに固定された固定ローラ9Aと、該固定ローラ9Aに隣接して配置された可動ローラ11との間隔寸法は、リンク10の最大揺動角度を考慮して設定されている。すなわち、図5に示されるように、搬送方向Bに沿って下流側に配される浮上ステージ4Bが高くなる場合に、搬送される基板Aの前縁が可動ローラ11の周面に接触することとなるが、この場合に、可動ローラ11との接触点における周面の接線方向と基板Aとのなす角θが所定の値以下になるように、固定ローラ9Aと可動ローラ11との間隔寸法が設定されている。
このようにすることで、基板Aの前縁が可動ローラ11に接触しても大きな振動を与えられることなくスムーズに搬送されていくようになっている。
【0023】
このように構成された本実施形態に係る基板搬送装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る基板搬送装置1を用いて、ウェハやFPDガラス基板のような可撓性のある基板Aを搬送するには、搬送方向の上流側に配置されている搬送機構2Aの浮上ステージ4Aにより基板Aを浮上させた状態で、該搬送機構2Aの送り機構5Aの着脱機構8Aによって基板Aを把持して搬送方向Bに直線移動させる。
【0024】
そして、上流側の搬送機構2Aの浮上ステージ4Aの端部から下流側の搬送機構2Bに向けて基板Aが送り出されると、その前縁が、まず、浮上ステージ4Aに固定されている固定ローラ9Aの周面に接触して支持される。固定ローラ9Aの周面は、浮上ステージ4Aにより浮上された状態の基板Aの下面に接触する高さに設定されているので、基板Aは平坦な状態を保ったまま、固定ローラ9Aを回転させつつ直線搬送される。
【0025】
そして、基板Aの前縁は、さらに隣接する可動ローラ11へと進行する。
この場合において、2つの搬送機構2A,2Bが両方とも同一の高さに維持されている場合には、間に配置されるリンク10が水平に維持されるので、搬送される基板Aの前縁は、可動ローラ11の周面に突き当たることなく受け渡される。これにより、基板Aは水平な状態に維持されたまま、下流側の搬送機構2Bへ送り込まれ、下流側の浮上ステージ4Bにより浮上させられるとともに該下流側の搬送機構2Bの送り機構5Bによって把持されてスムーズに搬送される。
【0026】
一方、2つの搬送機構2A,2Bの内、下流側に配置される搬送機構2Bの浮上ステージ4Bのレベルが高い場合には、図4に示されるように、リンク10が揺動させられる結果、上流側の浮上ステージ4Aに固定されている固定ローラ9Aよりもリンク10に取り付けられている可動ローラ11の方が高い位置に配されることになる。その結果、固定ローラ9Aを転動させることによって支持された基板Aの前縁は、可動ローラ11の周面に突き当たることになる。
【0027】
しかし、本実施形態に係る基板搬送装置1によれば、固定ローラ9A,9B間に揺動可能なリンク10が設けられ、該リンク10に可動ローラ11が設けられているので、固定ローラ9A,9B間の高低差よりも固定ローラ9Aと可動ローラ11との間の高低差が低減されている。しかも、可動ローラ11は、固定ローラ9Aに対して最も高低差が生じた場合であっても、図5に示されるように、基板Aの前縁が、可動ローラ11に対して比較的浅い入射角θで当接するので、当接時に衝撃を生ずることがなく、スムーズに受け渡して搬送することができるという利点がある。
【0028】
なお、2つの搬送機構2A,2Bの内、下流側に配置される搬送機構2Bの浮上ステージ4Bのレベルの方が低い場合には、図3に示されるように、可動ローラ11との当接による衝撃の問題を生ずることがない。しかし、基板Aの可撓性が高い場合には、前縁が下向きになってしまうので、このような場合でも、固定ローラ9A,9B間に複数配置された各可動ローラ11で基板Aを支持することで、スムーズな搬送を可能にすることができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態に係る基板搬送装置1′について、図6および図7を参照して以下に説明する。
なお、本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係る基板搬送装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
本実施形態に係る基板搬送装置1′は、リンク10′の形態において第1の実施形態に係る基板搬送装置1と相違している。
本実施形態においては、リンク10′は、複数のリンク部材10cを相互に揺動可能に連結した多関節リンクにより構成されている。
【0031】
各リンク部材10c間には、揺動角度を小さくする方向に付勢する付勢手段10dが設けられている。付勢手段10dは、図に示す例ではゴムであるが、スプリングあるいは同一磁極を対向させた磁石等でもよい。
【0032】
このように構成された本実施形態に係る基板搬送装置1′によれば、2つの浮上ステージ4A,4B間に高低差が生じていない場合には、図6に示されるように、リンク10′は、付勢手段10dの作動により各リンク部材10cを一列に並べた直線状態に保持される。これにより、基板Aをスムーズに受け渡すことが可能となる。
【0033】
また、2つの浮上ステージ4A,4B間に高低差が生ずると、図7に示されるように、リンク10′には曲げモーメントが作用するので、各リンク部材10cを相対的に揺動させるようになる。各リンク部材10c間には付勢手段10dが設けられ、各リンク部材10cの相対的な揺動を制限する方向に付勢しているので、リンク10′の形態は、この付勢力がバランスした形態に形成される。その結果、リンク10′は、2つの浮上ステージ4A,4Bに固定された固定ローラ9A,9B間を滑らかな略S字曲線で連結するような形態に形成される。
【0034】
すなわち、上流側の固定ローラ9Aと隣接する可動ローラ11との高低差は最小限に抑えられ、浮上ステージ4A,4B間の中央近傍に配される可動ローラ11どうしが最も大きな高低差となり、下流側の固定ローラ9Bと隣接する可動ローラ11との高低差も最小限に抑えられる。その結果、搬送される基板Aは、この略S字曲線上に配列された固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11に倣ってスムーズに湾曲させられつつ搬送される。そして、基板Aは無理なく湾曲されるので、その前縁が可動ローラ11の周面に突き当たって衝撃を生ずることも防止される。
【0035】
なお、上記各実施形態においては、固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11を回転自在に設けて、接触する基板Aに倣って回転させることとしたが、これに代えて、固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11を搬送速度に合わせた周速度で回転駆動することにしてもよい。このようにすることで、スループット向上のために、基板Aの搬送速度が高くなることによる、基板Aと各ローラ9A,9B,11の周面との間に発生する摩擦の増大を抑制し、基板Aの損傷を防止することができるという利点がある。
【0036】
この場合の駆動源は電気モータ、エアアクチュエータ等任意の駆動源を使用することができる。また、各ローラ9A,9B,11に駆動源を設けることなく、ベルトやギヤ等の任意の動力伝達手段によって同期回転させることにしても良い。
【0037】
次に、本発明の第3の実施形態に係る基板搬送装置1″について、図8を参照して以下に説明する。
なお、本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係る基板搬送装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る基板搬送装置1″は、固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11を回転駆動する駆動機構12が備えられている点において第1の実施形態と相違している。
駆動機構12は、搬送方向Bに延びる駆動用プレート13と、該駆動用プレート13の表面に接触して転動させられる駆動用ローラ14と、該駆動用ローラ14の回転を固定用ローラ9Aおよび可動ローラ11に伝達する回転伝達機構15とを備えている。
【0039】
前記駆動用プレート13は、搬送方向Bの上流側に配される搬送機構2Aの送り機構5Aのスライダ7Aに固定されている。該スライダ7Aに搭載された着脱機構8Aにより基板Aが把持された状態で、スライダ7Aが搬送方向Bに移動させられることにより、スライダ7Aに固定された駆動用プレート13も搬送方向Bに同時に移動するようになっている。
【0040】
前記駆動用ローラ14は、固定ローラ9Aにベルト(あるいはギヤ)16を介して連結された中間ギヤ17に噛み合う遊動ギヤ18に固定されている。遊動ギヤ18は中間ギヤ17にリンク19を介して接続され、リンク19を揺動させて中間ギヤ17の周囲を回転することにより、駆動用ローラ14の周面の高さ位置を変化させることができるようになっている。
【0041】
また、このリンク19には、該リンク19を鉛直下方に延びるように付勢する図示しない付勢手段が設けられている。これにより、上流側の搬送機構2Aに生ずる上下動を吸収し、駆動用プレート13に駆動用ローラ14の周面を接触させることができるようになっている。
また、各駆動用ローラ14と遊動ギヤ18との間には、逆方向回転に関して回転力を伝達させない図示しないラチェット機構が設けられている。
【0042】
また、固定ローラ9Aおよび可動ローラ11の回転軸にはプーリ20が設けられ、これらのプーリ20にベルト21が掛け渡されている。これにより、固定ローラ9Aが回転駆動されると、全ての可動ローラ11が同一速度で同一方向に回転駆動されるようになっている。
【0043】
このように構成された本実施形態に係る基板搬送装置1″の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る基板搬送装置1″によれば、搬送方向Bの上流側に配置される搬送機構2Aの送り機構5Aが駆動されることにより、着脱機構8Aにより基板Aを把持した状態でスライダ7Aが搬送方向Bに移動させられると、浮上ステージ4Aにより浮上させられた基板Aが搬送方向Bに送られるとともに、スライダ7Aに設けられた駆動用プレート13が基板Aに先立って一体的に搬送方向Bに前進させられる。
【0044】
そして、基板Aの前縁が、上流側の固定ローラ9Aに到達する直前に、駆動用プレート13が駆動用ローラ14の周面に接触し、駆動用プレート13の搬送方向Bへの移動に伴って駆動用ローラ14が回転駆動される。駆動用ローラ14は、遊動ギヤ18、中間ギヤ17およびベルト16を介して固定ローラ9Aに連結されているので、駆動用ローラ14の回転は固定ローラ9Aにそのまま伝達され、固定ローラ9Aが回転駆動される。このとき、固定ローラ9Aの周速は、搬送速度に一致している。
【0045】
そして、固定ローラ9Aが回転駆動された後に、基板Aの前縁が固定ローラ9Aに到達し、回転している固定ローラ9Aによって基板Aが搬送方向Bに送られることになる。
また、プーリ20、ベルト21を介して可動ローラ11も同じ回転速度で回転駆動されているので、基板Aが可動ローラ11に接触すると、該可動ローラ11によっても送りをかけられて、順次搬送されていくことになる。
【0046】
そして、基板Aの前端部が、下流側の搬送機構2Bの送り機構5Bに設けられている着脱機構8Aにより把持された後には、該送り機構5Bのスライダ7Bが搬送方向Bに移動させられることにより、基板Aが、上流側の搬送機構2Aから連結装置3を介して下流側の搬送機構2Bにスムーズに受け渡され、しかも、連結装置3を回転駆動することにより、固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11と基板Aとの間に発生する摩擦を低減して、基板Aの損傷を防止することができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る基板搬送装置1″によれば、固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11を回転駆動するための駆動源としてモータ等の特別な駆動源を用意することなく、搬送機構2Aに備えられた送り機構5Aの駆動源を利用するので、部品点数の削減を図り、装置および制御の複雑化を防止し、製品コストを低減することができる。
特に、加減速される基板Aの搬送速度に固定ローラ9A,9Bおよび可動ローラ11を完全に同期させることができ、複雑な制御が不要であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1の基板搬送装置の連結部を示す正面図である。
【図3】図1の基板搬送装置において、搬送方向の上流側の浮上ステージが下流側の浮上ステージよりも高く設定された場合の連結部の状態を示す正面図である。
【図4】図1の基板搬送装置において、搬送方向の上流側の浮上ステージが下流側の浮上ステージよりも低く設定された場合の連結部の状態を示す正面図である。
【図5】図1の基板搬送装置による固定ローラと可動ローラとの位置関係を示す模式図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る基板搬送装置の連結部を示す正面図である。
【図7】図6の基板搬送装置において、搬送方向の上流側の浮上ステージが下流側の浮上ステージよりも低く設定された場合の連結部の状態を示す正面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る基板搬送装置の連結部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0049】
A 基板
B 搬送方向
1,1′,1″ 基板搬送装置
3 連結装置(連結部)
4A,4B 浮上ステージ
5A,5B 送り機構
9A,9B 固定ローラ
10,10′ リンク
10c リンク部材
10d 付勢手段
11 可動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のあるシート状の基板を浮上させる2以上の浮上ステージと、
該浮上ステージにより浮上させられた状態の基板を把持して搬送方向に移動させる送り機構と、
前記浮上ステージを連結する連結部とを備え、
該連結部が、各浮上ステージに取り付けられた固定ローラと、
該固定ローラ間に、該固定ローラの回転軸に平行な軸線回りに揺動可能に取り付けられたリンクと、
該リンクに取り付けられた1以上の可動ローラとを備える基板搬送装置。
【請求項2】
前記各ローラは、前記基板の搬送方向前縁との接触点における前記基板の搬送方向前縁における接線と各ローラの接線とのなす角が、所定値以下となるように配置されている請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記リンクが、複数のリンク部材を揺動可能に連結し、各リンク部材間に揺動を制限する方向に付勢する付勢手段を備える請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記各ローラが、前記基板の搬送速度に一致する周速度で回転駆動される請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記各ローラが、前記送り機構の駆動源により駆動される請求項4に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−78284(P2008−78284A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254159(P2006−254159)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】