説明

基板検査装置及び方法

【課題】 基板の保持部が撮像部の撮像領域に写り込まず、基板にキズや汚れを生じさせず、基板の位置ずれを起こすことなく、基板の検査を行うことができる装置及び方法を提供する。
【解決手段】 検査対象となる基板を保持して、一方向に移動させながら検査を行う基板検査装置及び方法であって、
基板移動部は、基板が光源と撮像部の撮像領域を通過するように、基板を保持して移動させる第1の基板移動部と、基板の光源と撮像部との間を通過した部分を保持して移動させる第2の基板移動部とを含んで構成され、
基板又は基板移動部の移動中の位置を検出する基板位置検出部を備え、
検出位置情報に基づいて、基板を第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させながら検査を行うこと特徴とする基板検査装置及び方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ用基板の表面や内部の状態を検査したり、カラーフィルターの製造工程において表面にカラー皮膜が形成された基板の色むらなどの有無、程度など、基板の検査をするための基板検査装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フラットパネルディスプレイに用いられるカラーフィルターの製造工程などにおいて、顔料分散の不均一や、成分凝集、膜厚変動による色むらが発生する事が知られている。その色むらが生じたままで製造作業を継続するという不都合の発生を防止するために、カメラと透過照明とを用いて、色むらの有無、程度などを検査することが行われていた。(例えば特許文献1)。
【0003】
さらに、大型の前記ディスプレイ用基板を搬送する際に、前記基板に搬送用ローラの摩擦痕が生じるのを防ぐために、前記基板をエア浮上させながら、前記基板の両端側把持して搬送する技術が開示されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−234470号公報
【特許文献2】再公表WO2003/086917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板を検査する際に、ローラコンベアと回転モータを組み合わせた搬送手段を用い、基板裏面を回転ローラで支えながら搬送すると、基板裏面とローラー部にスリップが生じて基板が位置ずれする場合がある。一方、基板をエア浮上させたり球面コロなどで保持させながら、基板の一部分を保持して搬送させる場合があるが、この場合、検査対象となる基板の一部分を保持しながら搬送し、基板全面の検査を行おうとすると、撮像部の撮像領域に基板保持部や基板移動部が写り込んでしまう。そのため、透過照明を用いる場合にあっては、基板保持している部分は光が遮られ、反射照明を用いる場合にあっては、基板保持している部分と基板保持していない部分との反射率の違いが生じるので、適切に基板全面の検査を行うことが困難であった。
【0006】
また、表面に皮膜が形成された基板を検査する場合にあっては、皮膜のある部分を把持して搬送してしまっては、把持している部分の膜厚が検査できないだけでなく、形成された皮膜が剥がれたり、膜厚が変化したり、汚れが付着したり、種々の不具合を生じる。
【0007】
そこで本発明は、基板の保持部が撮像部の撮像領域に写り込まず、基板の位置ずれを起こすことなく、基板全面の検査を行うことができる装置及び方法を提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
検査対象となる基板を保持して移動させる基板移動部と、
前記基板に対して光を照射する光源部と、
前記基板の皮膜が形成された面の少なくとも一部の領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて基板の検査をする検査部とを含み、
前記基板を一方向に移動させながら、前記基板を検査する基板検査装置であって、
前記基板移動部は、
前記基板が前記撮像部の撮像領域を通過するように前記基板を保持して移動させる第1の基板移動部と、
前記基板の前記撮像領域を通過した部分を保持して前記基板を移動させる第2の基板移動部とを含んで構成され、
前記基板又は基板移動部の移動中の位置を検出する基板位置検出部を備え、
前記基板位置検出部の検出位置情報に基づいて、
前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させる区間を有すること特徴とする基板検査装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、
検査対象となる基板を保持して移動させる基板移動ステップと、
前記基板に対して光を照射する光照射ステップと、
前記基板の皮膜が形成された面の少なくとも一部の領域を撮像する撮像ステップと、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて基板の検査をする検査ステップとを有し、
前記基板を一方向に移動させながら、前記基板を検査する基板検査方法であって、
前記基板移動ステップは、
第1の基板移動部にて保持した前記基板が前記撮像ステップにおける撮像領域を通過するように移動させる、第1の基板移動ステップと、
前記基板の前記撮像領域を通過した部分を第2の基板移動部にて保持して移動する、第2の基板移動ステップとを有し、
前記基板又は基板移動部の移動中の位置を検出する基板位置検出ステップを備え、
前記基板位置検出部の検出位置情報に基づいて、
前記第1の基板移動ステップから第2の基板移動ステップへの切り替えを行い、
前記切り替えの際に、前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるステップを有すること特徴とする基板検査方法である。
【0010】
上記基板検査装置及び方法を用いるので、
撮像領域を挟んで両側に配置された第1及び第2の基板移動部で基板を共に保持して移動させて、基板の検査を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
前記第1の基板移動部の移動方向と前記第2の基板移動部の移動方向とが、
一直線上に配置されていること特徴とする請求項1に記載の基板検査装置である。
【0012】
上記基板検査装置を用いれば、
前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とは、互いの移動方向と移動速度を一致させやすくなる。そのため、前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるときに、基板の位置ずれや回転ずれが発生しにくい状態にすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、
前記第1の基板移動部と前記第2の基板移動部とが、
前記基板の幅方向の中心部分を保持して移動すること特徴とする
請求項2に記載の基板検査装置である。
【0014】
上記基板検査装置を用いれば、
基板搬送時、特に基板搬送時の加速時や減速時、受け渡し時に、回転モーメントが発生しないので、回転ずれを起こしにくい。そのため、基板保持部の吸引力を必要以上に強めることなく、基板搬送中の回転ずれを防ぐことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、
前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるステップ直前の、前記第1の基板移動ステップにおいて、
第2の基板移動部の移動方向及び移動速度を、前記基板又は前記第1の基板移動部の移動方向及び移動速度に合わせるステップと、
前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるステップ直後の、前記第2の基板移動ステップにおいて、
第1の基板移動部の移動方向及び移動速度を、前記基板又は前記第2の基板移動部の移動方向及び移動速度に合わせるステップとをさらに含むこと特徴とする請求項5に記載の基板検査方法である。
【0016】
上記基板検査方法を用いれば、
前記基板と前記第1又は第2基板移動部との相対速度が無い状態で、スムーズに基板を受け渡しすることができる。そのため、基板位置ずれや、基板保持部分にキズや汚れが生じことを防ぐことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、
前記検査対象となる基板の表面には皮膜が形成されており、
前記検査部では前記基板に形成された皮膜の色むらを検査することを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の基板検査装置である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、
前記検査対象となる基板の表面には皮膜が形成されており、
前記検査部では前記基板に形成された皮膜の色むらを検査することを特徴とする、
請求項5又は請求項6に記載の基板検査方法である。
【0019】
上記基板検査装置及び方法を用いれば、
基板の表面全面に皮膜が形成されていても、皮膜に触れずに基板を搬送させて、色むらを検査することができる。さらに、前記皮膜に触れずに基板を搬送できるので、前記皮膜にキズや汚れが付くことを防ぐことができ、皮膜付き基板を検査するには好適である。
【発明の効果】
【0020】
基板保持部や基板移動部が撮像部の撮像領域に写り込むことを防ぎ、基板の位置ずれを起こすことなく、基板の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明を具現化する形態の一例を示す平面図である。
【図1B】本発明を具現化する形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明を具現化する形態の一例を示すシステム構成図である。
【図3】本発明を具現化する形態の一例を示すタイミングチャートである。
【図4A】本発明を具現化する形態の一例の時刻t1での状態を示す断面図である。
【図4B】本発明を具現化する形態の一例の時刻t2での状態を示す断面図である。
【図4C】本発明を具現化する形態の一例の時刻t3での状態を示す断面図である。
【図4D】本発明を具現化する形態の一例の時刻t4での状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。
図1Aは、本発明を具現化する形態の一例を示す平面図である。
図1Bは、本発明を具現化する形態の一例を示す断面図で、図1AのAA矢視断面に対応している。
各図において直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面を水平面、Z方向を鉛直方向
とする。特にZ方向は矢印の方向を上とし、その逆方向を下と表現する。
【0023】
基板検査装置1は、基板移動部2と、光源部3と、撮像部4と、検査部5と、制御部9とを含んで、構成されている。
【0024】
基板移動部2は、位置検出部20と、第1の基板移動部25と、第1の基板保持部26と、第2の基板移動部27と、第2の基板保持部28とが含まれて構成されている。
位置検出部20としては、計測用ビーム21を基板10の端部に照射し、反射されて受光した光により基板10の端部までの距離を計測するものが例示される。他に、基板10と第1の基板移動部25との相対位置を検出し、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27の位置を検出するものであっても良い。
【0025】
装置フレーム11の上の中央部には、第1の基板移動部25と第2の基板移動部27がY方向に一直線上に移動可能となる様に取り付けられている。さらに、第1の基板移動部25の上には第1の基板保持部26が、第2の基板移動部27の上には第2の基板保持部28が取り付けられている。また、装置フレーム11の上には、第1の基板移動部25や第2の基板移動部27の側方で基板が移動するときに通過する領域には、基板浮上ユニット23が取り付けられている。
【0026】
基板浮上ユニット23は、上面(つまり、基板10と対向する面)から、圧縮エアを吹き出すこと(つまり、エアブロー)ができる構造をしており、基板10と所定の隙間を保って基板10を浮上させることができる。基板浮上ユニット23は、図1で示すように基板10が移動するY方向に長く、幅方向(X方向)に複数並べた形態のものを例示することができる。或いは、所定の面積を有するブロック状の基板浮上ユニットを、Y方向に複数並べて配置しても良い。基板浮上ユニットは、上流工程から搬送された基板10を下面から支え、基板10の平面度が保たれた状態で、Y方向に移動できる構成であれば良い。
【0027】
第1及び第2の基板保持部26,28は、上面(つまり、基板10と対向する面)から、外気を吸引したり、圧縮エアを吹き出すことができる構造をしており、載置された基板10を吸引保持したり、所定の隙間を保って浮上させたりすることができる。
【0028】
基板移動部2は、上述のような構造をしているため、基板浮上ユニット23で浮上させつつ、第1基板保持部26で基板10を吸引保持した状態で、第1の基板移動部25でY方向に移動させたり、第2基板保持部28で基板10を吸引保持した状態で、第2の基板移動部27でY方向に移動させたりすることができる。さらに、基板10の移動中の位置も検出するものであっても良い。
【0029】
光源部3は、照明部31と、光量調整部32とを含んで構成されている。透過照明の場合、照明部31は、第1の基板移動部25と第2の基板移動部27との間に配置された、装置フレーム11に取り付けられている。さらに照明部31は、発光部から上方に(つまり、基板10に向けて)、所定の波長領域を含む光を照射することができる。
照明部31としては、LED、ハロゲン、白熱電球、蛍光灯その他の発光手段が例示でき、後述する撮像部4の感度波長や感度特性に合わせた所定の波長を含む光線を放射するもので、その所定の波長が、基板10の表面に形成された皮膜に一部吸収され一部通過する波長であれば良い。照明部31は、光量調整部32に接続されており、基板10に照射する光の量を調整することができる。
【0030】
撮像部4は、装置フレーム11に取り付けられた支柱42と梁43とで構成される、門型の構造物に取り付けられている。前記門型の構造物は、その中を基板10が通過できる様に構成されており、照明部31と撮像部4とは、基板10を挟んで対向する位置に配置されている。そのため、撮像部4は、下方に(つまり、基板10に向けて)受光部を配置することで、基板10を通過した光の一部を受光することができる。撮像部4は、X方向に所定の長さを有するものを用い、その長さが基板10の幅より長ければ1つ、基板10の幅より短ければ複数台用いることで、基板全面のX方向全域に渡って撮像をすることができる。この撮像部位が、本発明における撮像部の撮像領域となる。そして、後述で詳細の説明をするが、Y方向に基板10を走行させることで、基板全面に対して撮像、観察、検査をすることができる。
【0031】
[システム構成]
図2は、本発明を具現化する形態の一例を示すシステム構成図である。図2に示すように、上述で図1を用いながら説明した基板移動部2、光源部3、撮像部4、検査部5の各機器は、制御部9の各機器と接続されている。
【0032】
制御部9には、制御用コンピュータ90と、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93と、情報記録手段94と、機器制御ユニット95とが接続されて含まれている。
【0033】
制御用コンピュータ90としては、マイコン、パソコン、ワークステーションなどの、数値演算ユニットが搭載されたものが例示される。
情報入力手段91としては、キーボードやマウスやスイッチなどが例示される。
情報出力手段92としては、画像表示ディスプレイやランプなどが例示される。
【0034】
発報手段93としては、ブザーやスピーカ、ランプなど、作業者に注意喚起をすることができるものが例示される。
情報記録手段94としては、メモリーカードやデータディスクなどの、半導体記録媒体や磁気記録媒体や光磁気記録媒体などが例示される。
機器制御ユニット95としては、プログラマブルコントローラやモーションコントローラと呼ばれる機器などが例示される。
【0035】
制御用コンピュータ90には、検査部5の画像処理ユニット96を介して、撮像部4から出力された映像信号が入力される。前記入力画像は、画像処理ユニット96で、基板の表面や内部の状態を検査したり、基板表面に形成された皮膜の色むらなどの有無、程度などの検査をしたりするのに適した画像処理が施される。その後、画像の輝度信号の差や変化度合いなどから、検査部5にて、基板表面の粗さ、キズの有無や大きさ、基板内部の気泡の有無や大きさ、色むらの有無や程度、或いは製品としての良否について判断を行う検査が行われる。この良否判断をする検査においては、従来周知の技術を採用することができる。画像処理ユニット96は、一般にGPU(グラフィックプロセッシングユニット)と呼ばれ、制御用コンピュータ90の外部に設置される形態のもの、制御用コンピュータ90の筐体内に接続される形態のもの、制御用コンピュータ90の画像処理部を利用したものなどが例示できる。
【0036】
機器制御ユニット95は、その他の制御機器(図示せず)と接続されており、それらに対して制御用信号を与えることにより、各機器を動作させたり静止させたりすることができるようになっている。
【0037】
[検査フロー]
図3は、本発明を具現化する形態の一例を示すタイミングチャートである。
図3では、横軸を時刻tとして、1段目には検査対象となる基板10の位置が、2段目には第1の基板移動部25の速度が、3段目には第1の基板保持部26のブロー/吸引状態が、4段目には第2の基板移動部27の速度が、5段目には第2の基板保持部28のブロー/吸引状態が、それぞれ縦軸に示されている。
【0038】
基板10は、上流工程から基板検査装置1へと搬送される。この時、ローラコンベアやロボットハンドなどで基板10の下面を支えられ、エアブロー状態の基板浮上ユニット23及び第1の基板保持部26上に載置される。続いて、基板10をX方向及びY方向に外側から挟み込んでアライメントを行った後、第1の基板保持部26を吸引状態に切り替えて基板10を保持する。そして、その状態で第1の基板移動部25を所定の速度で移動させることで、基板10はY方向+側に移動する。その後、基板10の位置情報に基づいて、検査を開始する。第1の基板移動部25を所定の速度を保って移動させながら検査を続け(時刻t1)、基板10の位置情報に基づいて、第2の基板移動部27を同じ速度で併走させる。このとき、第2の基板保持部28はエアブロー状態とし、基板10は第1の基板保持部26のみで保持されている(時刻t2)。
【0039】
そして、基板10が撮像部4の撮像領域を通過し、前記基板10の撮像が済んだ部分に、第2の基板保持部28が位置するように、第2の基板移動部27を併走させる。基板10を移動させている第1の基板移動部25と第2の基板移動部27とをY方向に同じ速度にして、第2の基板保持部28で吸引保持させる。この状態で、引き続き、第1の基板移動部25と第2の基板移動部27とをY方向に同じ速度で併走させる(時刻t3)。その後、第1の基板保持部26をエアブロー状態とし、基板10を第2の基板移動部27のみで移動させる。そして、第1の基板保持部26をエアブロー状態のまま、第1の基板移動部25を減速させ、停止させる(時刻t4)。基板10が検査区間を通りすぎた後、第2の基板移動部27を停止させ、第2の基板保持部28をエアブロー状態にし、基板10を取り出す。
【0040】
[検査中の基板搬送]
図4Aは、本発明を具現化する形態の一例の時刻t1での状態を示す断面図である。この時刻t1は、上述の時刻t1と対応している(以下、t2〜t4についても同じ)。
基板10aは、第1の基板保持部26により吸引保持されている。そして、第1の基板移動部25がY方向に移動しており、第1の基板保持部26と共に、基板10aが矢印10vで示す方向(つまりY方向)に所定の速度で移動している様子を示している。また、基板10aのエッジが撮像部4の撮像領域に差しかかり、検査を開始する位置を示している。このとき、第2の基板保持部28は圧縮エアを吹き出した状態で、第2の基板移動部27は静止している。
【0041】
図4Bは、本発明を具現化する形態の一例の時刻t2での状態を示す断面図である。時刻t2における基板10bが、時刻t1の位置にあった基板10aの位置から、距離Dabだけ移動している様子を示している。このとき、基板10bは、第1の基板保持部26により吸引保持されている。そして、第1の基板移動部25がY方向に移動しており、第1の基板保持部26と共に、基板10bが矢印10vで示す方向(つまりY方向)に所定の速度で移動している。また、第2の基板保持部28は圧縮エアを吹き出した状態で、第2の基板移動部27が基板10bと同じ速度で矢印10vで示す方向(つまりY方向)に移動している。
【0042】
図4Cは、本発明を具現化する形態の一例の時刻t3での状態を示す断面図である。時刻t3における基板10cが、時刻t2の位置にあった基板10bの位置から、距離Dbcだけ移動している様子を示している。このとき、基板10cは、第1の基板保持部26及び第2の基板保持部28により吸引保持されている。そして、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27が、第1の基板保持部26及び第2の基板保持部28と共に、基板10cが矢印10vで示す方向(つまりY方向)に同じ速度で移動している。
【0043】
図4Dは、本発明を具現化する形態の一例の時刻t4での状態を示す断面図である。時刻t4における基板10dが、時刻t3の位置にあった基板10cの位置から、距離Dcdだけ移動している様子を示している。このとき、基板10dは、第2の基板保持部28により吸引保持されている。そして、第2の基板移動部27が、第2の基板保持部28と共に、基板10dが矢印10vで示す方向(つまりY方向)に同じ速度で移動している。このとき、第1の基板保持部26は圧縮エアを吹き出した状態で、第1の基板移動部25は静止している。
【0044】
基板10の位置に応じて、第1搬送区間、第2搬送区間及び第3搬送区間と定義する。
第1搬送区間にあっては、図4A,Bを用いて説明した様に、基板10が第1の基板保持部26で吸引保持されて、第1の基板移動部25により搬送される。しかし、第2の基板保持部28からは圧縮エアが吹き出されており、基板10は第2の基板移動部27では搬送されない。このとき、基板10と第2の基板移動部27とが同一方向に同一速度で移動し、相対速度が0であっても、第2の基板保持部28で基板10を吸引保持していなければ、第1搬送区間にあるとする。
【0045】
第2搬送区間にあっては、図4Cを用いて説明した様に、基板10が第1の基板保持部26及び第2の基板保持部28で吸引保持されて、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27によって移動される。つまり基板10は、第1及び第2の基板保持部26,28を介して第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27とで共に保持して移動される。
【0046】
第3搬送区間にあっては、図4Dを用いて説明した様に、基板10が第2の基板保持部28で吸引保持されて、第2の基板移動部27により搬送される。しかし、第1の基板保持部26からは圧縮エアが吹き出されており、基板10は第1の基板移動部25では搬送されない。このとき、基板10と第1の基板移動部25とが同一方向に同一速度で移動し、相対速度が0であっても、第1の基板保持部26で基板10を吸引保持していなければ、第3搬送区間にあるとする。
【0047】
前記第2搬送区間、第1搬送区間及び第3搬送区間、つまり、第1及び第2の基板保持部26,28を介して、基板10を第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27とで共に保持して移動させる区間とその前後の区間の、開始及び終了する位置は、使用条件を基に、適宜決定する。つまり、検査対象となる基板10の長さや移動速度、基板保持部の吸着保持とエアブローの切替り時間などを考慮して決定すれば良い。
【0048】
上述の様に、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27を移動させながら、基板10を、第1の基板保持部26及び第2の基板保持部28にて吸引保持又はエア浮上させることで、撮像部3の撮像領域に基板移動部2を構成する機器や部材の一部が写り込むこと無く、基板の表面や内部の状態を検査したり、基板表面に形成された皮膜の色むらなどを検査することが可能となる。
【0049】
第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27は、走行方向が同じであれば良いが、それぞれが一直線上に配置されていることが好ましい。
また、第1の基板移動部25と第2の基板移動部27とは、1つずつであっても良いし、どちらか一方又は両方が複数であっても良い。この場合、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27は、互いに一直線上に配置されていることが好ましい。そうすれば、設置して調整する作業が容易となり、基板の移動方向と移動速度が合わせやすくなる。
【0050】
さらに、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27は、前記基板の幅方向の中心部分を保持して移動することが、より好ましい。そうすれば、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27を1つずつしか備えていない場合であっても、基板の搬送中に回転モーメントが発生しない。そのため、基板保持部の吸引力を上げずに基板を搬送することができ、基板搬送中の回転ずれを防ぐことができる。また、基板搬送中の回転ずれを防ぐために、基板保持部の吸引力を上げすぎることがなくなり、基板吸着部にたわみが発生することを防ぐことができる。
【0051】
前記基板の幅方向の中心部分を保持して移動することが、より好ましい。そうすれば、第1の基板移動部25及び第2の基板移動部27を1つずつしか備えていない場合であっても、基板の搬送中に回転モーメントが発生しない。そのため、基板保持部の吸引力を上げずに基板を搬送することができる。
【0052】
上述では、第1の基板保持部26及び第2の基板保持部28が、それぞれ1つずつの形態について例示したが、一方又は双方を複数にしても良い。第1の基板保持部26又は第2の基板保持部28を複数にすれば、前記保持部が1つの場合と比較して、基板搬送時に発生するモーメントが低減できる。この場合、基板保持部は基板の幅方向中心に対して等距離で離れて配置されていることが好ましい。そうすることで、基板搬送時に発生するモーメントを互いに打ち消し合い、基板の位置ずれ効果を高めることができる。
【0053】
上述では、光を照射する光源部として、透過照明を用いた場合について説明を行ったが、撮像領域に向けて光を照射して反射した光を撮像する、いわゆる反射照明を用いる形態としても、本発明を適用することが出来る。
【0054】
上述では、基板支持の手段として基板浮上ユニット23を用いたエア浮上による支持形態を例示したが、本発明はこの支持形態に限定されることなく、球面コロや他の接触式支持を適用しても良い。しかし、前記基板はエア浮上により支持されてることがより好ましい。基板全体を非接触で支持すれば、基板にキズが付くのを防止できたり、ゴミの発生や付着が防止できるからである。
【符号の説明】
【0055】
1 基板検査装置
2 基板移動部
3 光源部
4 撮像部
5 検査部
9 制御部
10 基板
11 装置フレーム
20 位置検出部
21 測距ビーム
23 基板浮上ユニット
25 第1の基板移動部
26 第1の基板保持部
27 第2の基板移動部
28 第2の基板保持部
31 照明部
32 光量調整部
42 支柱
43 梁
44 撮像手段
90 制御用コンピュータ
91 情報入力手段
92 情報出力手段
93 発報手段
94 情報記録手段
95 制御ユニット
96 画像処理ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる基板を保持して移動させる基板移動部と、
前記基板に対して光を照射する光源部と、
前記基板の少なくとも一部の領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて基板の検査をする検査部とを含み、
前記基板を一方向に移動させながら、前記基板を検査する基板検査装置であって、
前記基板移動部は、
前記基板が前記撮像部の撮像領域を通過するように前記基板を保持して移動させる第1の基板移動部と、
前記基板の前記撮像領域を通過した部分を保持して前記基板を移動させる第2の基板移動部とを含んで構成され、
前記基板又は基板移動部の移動中の位置を検出する基板位置検出部を備え、
前記基板位置検出部の検出位置情報に基づいて、
前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させる区間を有すること特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記第1の基板移動部の移動方向と前記第2の基板移動部の移動方向とが、
一直線上に配置されていること特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記第1の基板移動部と前記第2の基板移動部とが、
前記基板の幅方向の中心部分を保持して移動すること特徴とする
請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検査対象となる基板の表面には皮膜が形成されており、
前記検査部では前記基板に形成された皮膜の色むらを検査することを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項5】
検査対象となる基板を保持して移動させる基板移動ステップと、
前記基板に対して光を照射する光照射ステップと、
前記基板の少なくとも一部の領域を撮像する撮像ステップと、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて基板の検査をする検査ステップとを有し、
前記基板を一方向に移動させながら、前記基板を検査する基板検査方法であって、
前記基板移動ステップは、
第1の基板移動部にて保持した前記基板が前記撮像ステップにおける撮像領域を通過するように移動させる、第1の基板移動ステップと、
前記基板の前記撮像領域を通過した部分を第2の基板移動部にて保持して移動する、第2の基板移動ステップとを有し、
前記基板又は基板移動部の移動中の位置を検出する基板位置検出ステップを備え、
前記基板位置検出部の検出位置情報に基づいて、
前記第1の基板移動ステップから第2の基板移動ステップへの切り替えを行い、
前記切り替えの際に、前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるステップを有すること特徴とする基板検査方法。
【請求項6】
前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるステップ直前の、前記第1の基板移動ステップにおいて、
第2の基板移動部の移動方向及び移動速度を、前記基板又は前記第1の基板移動部の移動方向及び移動速度に合わせるステップと、
前記基板を前記第1の基板移動部と第2の基板移動部とで共に保持して移動させるステップ直後の、前記第2の基板移動ステップにおいて、
第1の基板移動部の移動方向及び移動速度を、前記基板又は前記第2の基板移動部の移動方向及び移動速度に合わせるステップとをさらに含むこと特徴とする請求項5に記載の基板検査方法。
【請求項7】
前記検査対象となる基板の表面には皮膜が形成されており、
前記検査部では前記基板に形成された皮膜の色むらを検査することを特徴とする、
請求項5又は請求項6に記載の基板検査方法。

【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図1B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公開番号】特開2012−189402(P2012−189402A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52280(P2011−52280)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】