説明

基準信号発振装置

【課題】使用する無線通信の周波数帯が変更された場合に、基準信号の周波数の精度を容易且つ適切に変更することである。
【解決手段】GPS信号を受信してUTCに同期した時間信号を取得するGPSユニット52と、基準信号を発振する基準信号ユニット40と、基準信号ユニット40により発生された基準信号のパルス数を測定する測定時間、又は基準信号の周波数の精度の操作入力を受け付ける操作ユニット53と、GPSユニット52により取得された前記時間信号に基づいて、操作ユニット53により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間をカウントするとともに、当該測定時間内の前記基準信号のパルス数を測定し、正確なパルス数からの前記測定したパルス数の誤差をなくすように基準信号ユニット40が発生する基準信号の周波数を補正する制御ユニット51と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準信号発振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線移動局(ハンディ機、車載機等の無線通信端末)同士の無線通信を中継する無線機として無線基地局が知られている。無線基地局は、複数の固定無線局(レピータ)を備えて構成される。各レピータは、無線移動局間の無線通信を中継する。つまり、1台の無線基地局における同時に無線通信可能な数は、レピータの台数に等しい。
【0003】
レピータは、無線通信の受信アンテナにより受信された信号を復調する受信ユニットと、復調された信号を変調して送信アンテナに出力する送信ユニットと、を有する。また、レピータは、基準信号発振器から基準信号を受信し、受信した基準信号に基づいて、無線の受信及び送信に必要な周波数の信号が生成されていた。
【0004】
基準信号発振器は、水晶振動子等の発振に基づいて基準信号を発生しており、経年劣化による基準信号の周波数の誤差を防ぐため、定期的に基準信号の(周波数の)校正が必要であった。そこで、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS信号を受信し、GPS信号から得られる、UTC(Coordinated Universal Time:協定世界時)に同期した1秒信号(以下、1PPS(Pulse Per Second)という)に基づいて、発振源から発生される基準信号の校正を行う基準信号発振器が考えられている(例えば、特許文献1参照)。1PPSが受信できない場合には、温度から推測される誤差データを用いて基準信号の校正を行っていた。
【特許文献1】特開2002−217722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レピータにおいて、使用できる無線通信の周波数の精度は、使用する無線通信の周波数帯により規格で決められており、周波数帯に応じて異なる。また、使用できる無線通信の周波数の精度は、無線通信の信号生成に用いられる基準信号の周波数の精度に依存する。よって、要求される基準信号の周波数の精度は、使用する無線通信の周波数帯により決まる。
【0006】
このため、基準信号発振器において、基準信号の発振源は、使用する無線通信の周波数帯によって最適な精度のものが選ばれていた。また、基準信号の校正では、1PPSに基づく測定時間内の基準信号のパルス数を測定し、そのパルス数の誤差を取得するため、発振源の精度が高いほど、校正時間が長くかかる。
【0007】
レピータで基準信号を使用している構成において、例えば規格の変更により、使用している無線通信の周波数帯が、高い精度を必要としている周波数帯から低い精度の周波数帯へ変更になる場合がある。しかし、この場合、従来の構成では、必要としている精度以上の基準信号発振器を使用しているため、校正時間が長くかかり、長時間待たなくてはならなかった。
【0008】
また同様に、使用している無線通信の周波数帯が、低い精度の周波数帯から高い精度の周波数帯へ変更になる場合がある。しかし、この場合には、既存の基準信号発振器では対応できないために、高い精度の基準信号発振器を新たに用意(購入)する必要があった。
【0009】
本発明の課題は、使用する無線通信の周波数帯が変更された場合に、基準信号の周波数の精度を容易且つ適切に変更することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の基準信号発振装置は、
GPS信号を受信してUTCに同期した時間信号を取得するGPS信号受信部と、
基準信号を発振する基準信号発振部と、
前記基準信号発振部により発生された基準信号のパルス数を測定する測定時間、又は基準信号の周波数の精度の操作入力を受け付ける操作部と、
前記GPS信号受信部により取得された前記時間信号に基づいて、前記操作部により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間をカウントするとともに、当該測定時間内の前記基準信号のパルス数を測定し、正確なパルス数からの前記測定したパルス数の誤差をなくすように前記基準信号発振部が発生する基準信号の周波数を補正する制御部と、を備える。
【0011】
好ましくは、前記基準信号発振部は、無線基準信号発振機能を有する他の機器との間で載せ替えが可能である。
【0012】
また、好ましくは、前記制御部は、前記操作部により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間における前記基準信号のパルス数の測定と、当該測定したパルス数に応じた前記基準信号発振部が発生する基準信号の周波数の補正と、を予め定められた複数回行う。
【0013】
また、好ましくは、前記GPS信号受信部は、UTCに同期した1PPSを取得し、
前記制御部は、前記操作部により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間を秒単位の測定時間に変換し、当該秒単位の測定時間を前記1PPS単位でカウントするとともに、当該カウントした測定時間内の前記基準信号のパルス数を測定し、正確な基準信号の1秒あたりのパルス数に前記秒単位の測定時間を乗じた正確なパルス数からの前記測定したパルス数の誤差をなくすように前記基準信号発振部が発生する基準信号の周波数を補正する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用する無線通信の周波数帯が変更された場合に、基準信号の周波数の精度を容易且つ適切に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
先ず、図1〜図8を参照して、本実施の形態の無線基地局1の装置構成を説明する。図1に、本実施の形態の無線基地局1の外観構成を示す。図2に、第1の周波数帯の無線基地局に搭載されるレピータ10,20A,20B,20C,20Dと、無線アンテナ30aとの構成を示す。図3に、第2の周波数帯の無線基地局1に搭載される基準信号発振器50、レピータ20A,20B,20C,20Dと、無線アンテナ30aとの構成を示す。
【0017】
図1に示す無線基地局1は、所定の第2の周波数帯の無線通信を用いて、無線移動局(ハンディ機、車載機等の無線通信端末)同士の無線通信を同時に複数中継する装置である。この複数中継する無線通信では、全て同じ周波数帯が使用される。また、無線基地局1は、無線通信の周波数帯が、第2の周波数帯とは異なる第1の周波数帯から第2の周波数帯に変更になった場合に、第1の周波数帯の無線通信を中継する無線基地局に代えて、設置されたものとする。
【0018】
先ず、上記第1の周波数帯の無線通信を行う無線基地局の構成を説明する。図2に示すように、第1の周波数帯の無線通信を行う無線基地局は、レピータ10,20A,20B,20C,20Dと、無線アンテナ30aと、を備えて構成される。
【0019】
レピータ10は、無線移動局(図示略)間の第1の周波数帯の無線通信を中継する無線通信中継機能と、無線通信の送信ユニット及び受信ユニットの処理に用いられる基準信号を発振して出力(発生)する基準信号発振機能と、を有する。
【0020】
レピータは、移動無線局とは異なり、送信と受信とを同時に行うことができる。レピータは、一般的に、移動無線局よりも送信出力が大きく、また受信能力も優れており、移動無線局同士の中継局として使われる。また、無線通信の周波数帯により、基準信号の周波数の精度が決められている。
【0021】
また、レピータ10は、レピータ20A,20B,20C,20Dと有線通信接続され、発生した基準信号をレピータ20A,20B,20C,20Dに送信する。
【0022】
レピータ20A,20B,20C,20Dは、それぞれ、無線移動局(図示略)間の第1の周波数帯の無線通信を中継する無線通信中継機能を有する。また、レピータ20A,20B,20C,20Dは、それぞれ、無線通信中継において、レピータ10から受信した基準信号に基づいて、無線信号の送信及び受信に関する処理を行う。また、レピータ20A,20B,20C,20Dは、固定で設置されることを想定された無線機であり、それぞれ、移動無線局間の1対1の無線通信を中継する。なお、無線基地局内のレピータの台数は、5台に限定されるものではなく、1〜4台、又は6台以上としてもよい。なお、基準信号ユニットが無い場合は、各機器の内蔵の信号源で動作する。
【0023】
無線アンテナ30aは、送信側の移動無線局から送信される第1の周波数帯の無線電波を受信し、また送信する信号に基づいて受信側の移動無線局へ第1の周波数帯の無線電波を送信する。
【0024】
次いで、図2の構成の無線基地局により第1の周波数帯の無線通信の中継が行われている場合に、無線通信の規格の変更が決定され、第2の周波数帯の無線通信に変更されたものとする。第2の周波数帯の無線通信の無線基地局として、無線基地局1が用いられる。
【0025】
図3に示すように、無線基地局1は、基準信号発振装置としての基準信号発振器50、レピータ20E,20F,20G,20H、無線アンテナ30bを備えて構成される。
【0026】
基準信号発振器50は、レピータ10と同様に、基準信号発振機能を有する。また、基準信号発振器50は、レピータ20E,20F,20G,20Hと有線通信接続され、発生した基準信号をレピータ20E,20F,20G,20Hに送信する。
【0027】
レピータ20E,20F,20G,20Hは、それぞれ、無線移動局(図示略)間の第2の周波数帯の無線通信を中継する無線通信中継機能を有する。また、レピータ20E,20F,20G,20Hは、それぞれ、無線通信中継において、基準信号発振器50から受信した基準信号に基づいて、送信及び受信に関する処理を行う。
【0028】
無線アンテナ30bは、送信側の移動無線局から送信される第2の周波数帯の無線電波を受信し、また送信する信号に基づいて受信側の移動無線局へ第2の周波数帯の無線電波を送信する。
【0029】
図4に、レピータ10から基準信号発振器50への基準信号ユニット40の載せ替えの状態を示す。基準信号ユニット40は、基準信号を発生するユニットである。また、基準信号ユニット40は、レピータ10及び基準信号発振器50において取り外し及び交換可能なユニットであるとともに、レピータ10と基準信号発振器50との間で共通に使用できるユニットである。
【0030】
従来、基準信号ユニットは、同じ種類の機器でしか使用できず、他の機器間で互換性が無かった。このため、既存機器としてのレピータで使用していた基準信号ユニットを新しく使用する機器としての基準信号発振器で使用することができなかった。
【0031】
しかし、本実施の形態において、図8に示すようにレピータ10を基準信号発振器50に交換する場合に、レピータ10から基準信号発振器50へ基準信号ユニット40を載せ替えられる。
【0032】
次いで、レピータ10の内部構成を説明する。図5に、レピータ10の内部構成を示す。
【0033】
図5に示すように、レピータ10は、制御ユニット11、受信ユニット12、送信ユニット13、操作ユニット14、I/F(インタフェース)15、通信接続端子15a、基準信号ユニット40等を備えて構成される。また、無線アンテナ30aは、受信アンテナ31a、送信アンテナ32aを含んで構成される。
【0034】
制御ユニット11は、レピータ10の各ユニットを制御するユニットである。制御ユニット11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、レピータ10の各ユニットを制御するユニットである。制御ユニット11において、ROMに記憶されたプログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムとCPUとの協働で各種処理が実行される。
【0035】
制御ユニット11は、基準信号ユニット40に基準信号を発生させ、I/F15、通信接続端子15aを介してレピータ20A,20B,20C,20Dに送信させる。また、制御ユニット11は、受信アンテナ31aにより受信された信号を受信ユニット12に復調させ、その復調信号の補正及び増幅後に、その復調信号を送信ユニット13に変調させ、送信アンテナ32aに送信させることにより、無線信号の中継を行う。また、制御ユニット11は、I/F15、通信接続端子15aを介して、レピータ20A,20B,20C,20Dと、動作状況情報の送受信を行い、互いの動作状況を共有する。
【0036】
受信アンテナ31aは、送信側の移動無線局から第1の周波数帯の無線電波を受信し、その受信した信号を受信ユニット12に出力する。受信ユニット12は、制御ユニット11の制御により、受信アンテナ31aから入力された受信信号を復調して出力する復調処理等の処理を行う。また、受信ユニット12は、基準信号ユニット40から入力される基準信号を用いて、前記処理を行う。また、受信ユニット12から出力された復調信号は、DSP(Digital Signal Processor)(図示略)等により補正及び増幅された後、送信ユニット13に入力される。
【0037】
送信ユニット13は、制御ユニット11の制御により、DSP等から入力された復調信号を変調して送信アンテナ32aに出力する変調等の処理を行う。また、送信ユニット13は、基準信号ユニット40から入力される基準信号を用いて、前記処理を行う。送信アンテナ32aは、送信ユニット13から入力された変調信号に基づいて、第1の周波数帯の無線電波を受信側の移動無線局に送信する。
【0038】
実際には、受信ユニット12、送信ユニット13において、基準信号ユニット40から入力される基準信号が、PLL(Phase Locked Loop)(図示略)等により異なる周波数の内部基準信号に変換され、その内部基準信号が、受信ユニット12、送信ユニット13に入力され、受信ユニット12、送信ユニット13の処理が実行される。
【0039】
基準信号ユニット40は、一定周波数の電気信号である基準信号を発振して受信ユニット12及び送信ユニット13に出力する。また、基準信号ユニット40は、取り外し及び交換可能で、他の機器(基準信号発振器50)に載せ替え可能に取り付けられている。
【0040】
操作ユニット14は、操作パネルを有し、ユーザからの操作パネルへの操作入力を受け付けて操作情報として制御ユニット11に出力する。
【0041】
I/F15は、レピータ10と、レピータ20A,20B,20C,20Dと、の通信を仲介する回路である。通信接続端子15aは、I/F15に接続されるとともに、レピータ20A,20B,20C,20Dとケーブルを介して通信接続される。
【0042】
次いで、レピータ20Aの内部構成を説明する。図6に、レピータ20Aの内部構成を示す。ここでは、レピータ20Aを代表して説明するが、レピータ20B,20C,20Dも、レピータ20Aと同様の構成である。
【0043】
図6に示すように、レピータ20Aは、制御ユニット21、受信ユニット22、送信ユニット23、操作ユニット24、I/F25、通信接続端子25a、等を備えて構成される。
【0044】
制御ユニット21、受信ユニット22、送信ユニット23、操作ユニット24、I/F25、通信接続端子25aは、それぞれ、レピータ10の制御ユニット11、受信ユニット12、送信ユニット13、操作ユニット14、I/F15、通信接続端子15aと同様であり、異なる部分を主として説明する。
【0045】
制御ユニット21は、レピータ20Aの各部を制御する。制御ユニット21は、I/F25、通信接続端子25aを介して、レピータ10から基準信号を受信し、受信した基準信号を受信ユニット22、送信ユニット23に出力する。また、制御ユニット21は、I/F25、通信接続端子25aを介して、レピータ20B,20C,20Dと、動作状況情報の送受信を行い、互いの動作状況を共有する。
【0046】
受信ユニット22は、制御ユニット21の制御により、I/F25により受信された基準信号に基づいて復調処理等の処理を行う。受信ユニット22は、制御ユニット21の制御により、I/F25により受信された基準信号に基づいて変調処理等の処理を行う。通信接続端子25aは、I/F25と接続されるとともに、レピータ10,20B,20C,20Dとケーブルを介して通信接続される。
【0047】
次に、無線基地局1の基準信号発振器50の内部構成を説明する。図7に、基準信号発振器50の内部構成を示す。
【0048】
図7に示すように、基準信号発振器50は、制御部としての制御ユニット51、GPS信号受信部としてのGPSユニット52、GPSアンテナ52a、操作部としての操作ユニット53、通信接続端子54、基準信号発振部としての基準信号ユニット40等を備えて構成される。
【0049】
制御ユニット51は、基準信号発振器50の各ユニットを制御するユニットである。制御ユニット11は、CPU、RAM、ROM等を備える。制御ユニット11において、ROMに記憶されたプログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムとCPUとの協働で各種処理が実行される。ROMには、後述する校正処理を行うための校正プログラムが記憶されている。
【0050】
制御ユニット51は、基準信号ユニット40に基準信号を発生させ、通信接続端子54を介してレピータ20E,20F,20G,20Hに送信させる。また、制御ユニット51は、上記校正プログラムに基づいて、後述する校正処理を実行する。
【0051】
GPSアンテナ52aは、GPS衛星からGPS信号を受信してGPSユニット52に出力する。GPSユニット52は、制御ユニット51の制御により、GPSアンテナ52aから入力されるGPS信号に基づいて、UTCに同期した1秒信号である1PPSを取得して制御ユニット51に出力する。通信接続端子54は、基準信号ユニット40に接続されるとともに、ケーブルを介してレピータ20E,20F,20G,20Hに接続される。
【0052】
次いで、基準信号ユニット40の内部構成を説明する。図8に、基準信号ユニット40の内部構成を示す。
【0053】
図8に示すように、基準信号ユニット40は、DAC(DA(Digital to Analog)コンバータ)41、発振源42を備えて構成される。
【0054】
DAC41は、入力されるデジタルの電圧信号をアナログの電圧信号に変換して出力する回路であり、制御ユニット11の制御により、出力する電圧信号のボリュームが調整される。DAC41から出力された電圧は、発振源42の周波数調整端子(図示略)に入力される。
【0055】
発振源42は、ルビジウム、水晶振動子等を有し、一定周波数(例えば、10MHz)の基準信号を発生して(通信接続端子54に)出力する。また、発振源42は、周波数調整端子(図示略)を備え、当該周波数調整端子がDAC41の出力端に接続される。発振源42は、周波数調整端子に入力される電圧値に応じて、出力する基準信号の周波数が調整される。
【0056】
図8に示すように、基準信号発振器50において、制御ユニット51により、GPSユニット52から入力される1PPSと、基準信号ユニット40の発振源42から入力される基準信号と、に基づいて、DAC41に入力される電圧値が調整されて基準信号の周波数が一定に調整される。これに対し、レピータ10においては、制御ユニット11により、基準信号ユニット40のDAC41に入力される電圧値が調整されて基準信号の周波数が一定に調整される。
【0057】
また、レピータ20E,20F,20G,20Hの内部構成は、レピータ20A,20B,20C,20Dの内部構成と同様である。但し、レピータ20E,20F,20G,20Hの制御ユニット21、受信ユニット22、送信ユニット23は、第2の周波数帯の無線通信用の制御ユニット、受信ユニット、送信ユニットである。また、無線アンテナ30bは、無線アンテナ30aと同様に、第2の周波数帯の受信アンテナ及び送信アンテナを備える。
【0058】
次に、図9を参照して、基準信号発振器50の動作を説明する。図9に、基準信号発振器50により実行される校正処理の流れを示す。
【0059】
無線通信の周波数が第1の周波数帯から第2の周波数帯に変更された場合、レピータ10等を有する無線基地局から基準信号発振器50等を有する無線基地局1への装置変更と、レピータ10から基準信号発振器50への基準信号ユニット40の載せ替えと、がなされるともに、基準信号発振器50において、校正処理が実行される。
【0060】
無線通信に使用される周波数帯により、要求される基準信号の周波数の精度は異なる。一般には、周波数帯の値が大きいほど、基準信号の周波数に高い精度が要求されるのも事実であるが、レピータにおいては、使用できる無線通信の周波数の精度は、使用する無線通信の周波数帯により規格で決められており、周波数帯に応じて異なる。
【0061】
校正処理は、変更後の無線通信の周波数帯によって決まる基準信号の周波数の精度に応じた測定時間で、基準信号のパルス数を測定し、そのパルス数に応じて基準信号の校正を行う処理である。基準信号発振器50において、例えば、ユーザから校正処理の実行指示が操作ユニット53に入力されたことをトリガとして、制御ユニット51により、校正処理が実行される。
【0062】
先ず、ユーザから、校正における基準信号のパルス数の測定時間の操作入力が操作ユニット53により受け付けられる(ステップS1)。ステップS1で入力される測定時間は、無線通信の変更後の周波数帯(第2の周波数帯)に要求される基準信号の周波数の精度に対応するものである。そして、校正の測定時間が、ステップS1において入力された測定時間に変更設定される(ステップS2)。
【0063】
そして、実行したステップS4,S5の実行回数が、予め定められた所定回数になったか否かに応じて、校正処理を終了するか否かが判別される(ステップS3)。校正は、ステップS4,S5を繰り返す回数を多くすればするほどより正確になる。このため、ステップS4,S5が予め定められた複数回繰り返されることが好ましい。校正処理を終了する場合(ステップS3;YES)、校正処理を終了する。
【0064】
校正処理を終了しない場合(ステップS3;NO)、GPSユニット52から入力される1PPSに基づいて、ステップS2で設定された測定時間がカウントされるとともに、その測定時間内に基準信号ユニット40から発生される基準信号のパルス数が測定される(ステップS4)。そして、ステップS4で測定された基準信号のパルス数における正確な値からの誤差に応じて、その誤差を無くすよう基準信号ユニット40の出力基準信号の周波数が補正され(ステップS5)、ステップS3に移行される。
【0065】
ステップS4では、具体的には、正確な基準信号の周波数が10MHzである場合に、測定時間が秒単位の測定時間(測定時間[s])に変換され、測定時間[s]が1PPS単位でカウントされ(1PPS×測定時間[s]がカウントされ)、1PPS×測定時間[s]の間に、基準信号ユニット40から発生される基準信号のパルス数がカウントされる。ステップS5では、正確なパルス数(正確な基準信号の1秒あたりのパルス数(=周波数[Hz])(10×10)×測定時間[s])からの、カウントしたパルス数の誤差について、制御ユニット51により、その誤差を無くすような電圧値が生成されてDAC41に入力され、発振源42の出力基準信号の周波数が補正される。
【0066】
以上、本実施の形態によれば、基準信号発振器50は、操作ユニット53により第2の周波数帯の精度に対応する測定時間の操作入力を受け付け、GPSユニット52から出力される1PPSに基づいて、操作入力された測定時間をカウントするとともに、当該測定時間内の基準信号ユニット40の基準信号のパルス数を測定し、正確なパルス数(正確な基準信号の1秒あたりのパルス数×測定時間[s])からの前記測定したパルス数の誤差をなくすように基準信号ユニット40の出力基準信号の周波数を補正して基準信号の校正を行う。このため、使用する無線通信の周波数帯が第1の周波数帯から第2の周波数帯に変更された場合に、基準信号の周波数の精度を容易に適切な精度(第2の周波数帯に対応する精度)に変更できる。
【0067】
また、基準信号発振器50内の基準信号ユニット40は、無線基準信号発振機能を有する既存機器としてのレピータ10から載せ替えられている。このため、使用する無線通信の周波数帯が第1の周波数帯から第2の周波数帯に変更された場合にも、基準信号発振器50は、既存機器としてのレピータ10で使用されていた基準信号ユニット40をそのまま使用することで資産を流用できる。
【0068】
また、ステップS4,S5の基準信号のパルス数測定及び基準信号周波数補正を、予め定められた複数回行うとすれば、正確に基準信号の校正を行うことができる。また、ステップS4,S5の実行回数を多くすれば、より正確に基準信号の校正を行うことができる。
【0069】
さらに、基準信号発振器50は、使用する無線通信の周波数帯が第3の周波数帯に変更される場合にも、基準信号ユニット40(発振源42)を替えることで、機器本体を替えることなく、測定時間変更による校正処理を行うことで、第3の周波数帯に対応する精度で基準信号を発生できる。
【0070】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る基準信号発振装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0071】
上記実施の形態では、図9の校正処理において、基準信号のパルス数測定及び基準信号周波数補正(ステップS4,S5)を所定回数繰り返す構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、基準信号のパルス数測定及び基準信号周波数補正を、測定したパルス数の誤差が無くなるまで繰り返す構成としてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、基準信号発振装置としての基準信号発振器50が、測定時間変更による校正処理を実行する構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、基準信号発振機能を有するレピータが、基準信号ユニットを取り付け可能であるとともに、その基準信号ユニットがGPSユニットと一体型である構成とし、そのGPSユニットの1PPSを用いて測定時間変更による校正処理を行う基準信号発振装置である構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、基準信号発振装置としての基準信号発振器50が、測定時間変更による校正処理を実行する構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、図9の校正処理において、ステップS1で、操作ユニット53により基準信号の周波数の精度の入力を受付け、ステップS2で、ステップS1において入力された精度に対応する測定時間が設定される構成としてもよい。
【0074】
その他、上記実施の形態における無線基地局1、基準信号発振器50の細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る実施の形態の無線基地局の外観構成を示す図である。
【図2】無線通信の周波数帯変更前の無線基地局に搭載されるレピータを示す図である。
【図3】無線通信の周波数帯変更後の無線基地局に搭載される基準信号発振器及びレピータを示す図である。
【図4】レピータから基準信号発振器への基準信号ユニットの載せ替えの状態を示す図である。
【図5】基準信号発振機能を有するレピータの内部構成を示すブロック図である。
【図6】基準信号発振機能がないレピータの内部構成を示すブロック図である。
【図7】基準信号発振器の内部構成を示すブロック図である。
【図8】基準信号ユニットの内部構成を示すブロック図である。
【図9】基準信号発振器により実行される校正処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 無線基地局
10,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H レピータ
11,21 制御ユニット
12,22 受信ユニット
13,23 送信ユニット
14,24 操作ユニット
15,25 通信ユニット
15a,25a 通信接続端子
30a,30b 無線アンテナ
31a 受信アンテナ
32a 送信アンテナ
40 基準信号ユニット
41 DAC
42 発振源
50 基準信号発振器
51 制御ユニット
52 GPSユニット
52a GPSアンテナ
53 操作ユニット
54 通信接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS信号を受信してUTCに同期した時間信号を取得するGPS信号受信部と、
基準信号を発振する基準信号発振部と、
前記基準信号発振部により発生された基準信号のパルス数を測定する測定時間、又は基準信号の周波数の精度の操作入力を受け付ける操作部と、
前記GPS信号受信部により取得された前記時間信号に基づいて、前記操作部により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間をカウントするとともに、当該測定時間内の前記基準信号のパルス数を測定し、正確なパルス数からの前記測定したパルス数の誤差をなくすように前記基準信号発振部が発生する基準信号の周波数を補正する制御部と、を備える基準信号発振装置。
【請求項2】
前記基準信号発振部は、無線基準信号発振機能を有する他の機器との間で載せ替えが可能である請求項1に記載の基準信号発振装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作部により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間における前記基準信号のパルス数の測定と、当該測定したパルス数に応じた前記基準信号発振部が発生する基準信号の周波数の補正と、を予め定められた複数回行う請求項1又は2に記載の基準信号発振装置。
【請求項4】
前記GPS信号受信部は、UTCに同期した1PPSを取得し、
前記制御部は、前記操作部により入力された測定時間、又は前記入力された精度に対応する測定時間を秒単位の測定時間に変換し、当該秒単位の測定時間を前記1PPS単位でカウントするとともに、当該カウントした測定時間内の前記基準信号のパルス数を測定し、正確な基準信号の1秒あたりのパルス数に前記秒単位の測定時間を乗じた正確なパルス数からの前記測定したパルス数の誤差をなくすように前記基準信号発振部が発生する基準信号の周波数を補正する請求項1から3のいずれか一項に記載の基準信号発振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−35076(P2010−35076A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197251(P2008−197251)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】