説明

基準電圧発生回路および半導体集積回路並びに半導体集積回路装置

【課題】 温度依存性の低い約1.2V以下の基準電圧を発生可能で、差動アンプのオフセット電圧依存性も小さくしたバンドギャップ型の基準電圧発生回路。
【解決手段】 バンドギャップ部(10)は、電源電圧端子間に直列に接続された第1抵抗(R1)およびバイポーラトランジスタ(BT1)と、電源端子間に直列に接続された第2抵抗(R2)−バイポーラトランジスタ(BT2)−第3抵抗(R3)と、第1抵抗と第2抵抗でそれぞれ生じた電圧を入力とする差動増幅回路(AMP1)とからなり、差動増幅回路の出力がトランジスタ(BT1,BT2)のベースに印加される。出力部(20)は、差動増幅回路の出力がベースに印加されるバイポーラトランジスタ(BT3)と、トランジスタと直列接続された抵抗(R4)と、トランジスタ電流を転写するカレントミラー回路(21;MT1,MT2)と、電圧変換する抵抗(R5)およびダイオード(BT4)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の基準電圧発生技術、特に低電源電圧で動作するバンドギャップ型の基準電圧発生回路に関し、例えばA/D変換回路やD/A変換回路に必要とされる基準電圧を発生する基準電圧発生回路に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
A/D変換回路やD/A変換回路における変換動作には基準電圧が必要とされるため、A/D変換回路やD/A変換回路を内蔵した半導体集積回路には、基準電圧発生回路が設けられる。基準電圧発生回路には、ツェナーダイオードを用いたもの、差動増幅回路(以下、差動アンプと記す)を使用したものなど種々の回路形式のものが知られている。このうち、バンドギャップリファレンス回路と呼ばれるものは、電源電圧依存性および温度依存性が低く安定した基準電圧を発生することができるため、高い精度が要求されるA/D変換回路やD/A変換回路などのアナログ回路やアナログ・ディジタル混在回路において多用されている。
【0003】
一方、近年、半導体集積回路は低消費電力化および高速化のため低電源電圧化が進められている。これに応じて、半導体集積回路に内蔵される基準電圧発生回路も低電圧の基準電圧を発生することができるものが開発されるようになって来ている。
【0004】
低電圧の基準電圧を発生する基準電圧発生回路に関する発明としては、例えば特許文献1に記載されているものなどがある。図9には、特許文献1に開示されている基準電圧発生回路の一例が示されている。この基準電圧発生回路は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタMT1,MT2,MT0のゲート端子に差動アンプAMP0の出力電圧(Vc)が印加されているため、各々のトランジスタのサイズが等しければ同じ大きさの電流I0を流す。
【0005】
この基準電圧発生回路は、トランジスタMT1,MT2のドレイン電圧が差動アンプAMP0の一対の差動入力端子に入力されており、差動アンプAMP0のイマジナリショート作用により、入力Vc1とVc2の差が0になるようにフィードバックがかかる。そのため、抵抗R1にはバイポーラ・トランジスタBT1のベース・エミッタ間電圧VBE1とバイポーラ・トランジスタBT2のベース・エミッタ間電圧VBE2の差に等しい電圧が発生する。トランジスタMT1,MT2のドレイン電流I0は、この状態を維持するように決まる。
【0006】
この電流I0をトランジスタMT1,MT2とカレントミラーをなすトランジスタMT0でコピーして、抵抗Raとダイオード接続のトランジスタBT3およびこれらと並列の抵抗Rbからなる出力回路に流すことで、低電圧出力を得ることができる。トランジスタBT3のベース・エミッタ間電圧VBE0は温度が上昇すると減少つまり負の温度特性を有するため、VBE0に抵抗Raの端子間電圧を加えた電圧に相当する出力電圧Vbgoutは、正の温度特性を有する電流I0が抵抗Ra,Rbに流れることにより補償され温度依存性を持たない所望の電圧値にされる。
【特許文献1】特開2004−206633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記先願の基準電圧発生回路の動作は差動アンプAMP0のオフセットが無視できるほど小さいものとして説明したものである。しかし、高精度の基準電圧を得ようとする場合、差動アンプAMP0の入力端子間のオフセット電圧を無視することができない。差動アンプAMP0の入力オフセット電圧(以下、単にオフセットと称する)をVosとすると、上記先願の基準電圧発生回路は、Vc2−Vc1=Vosとなるように動作する。そのため抵抗R1に流れる電流はVos分変化し、これが出力をばらつかせる要因になる。
【0008】
熱電圧VT=kT/q(T:絶対温度、k:ボルツマン定数、q:電荷素量)、Isをバイポーラ・トランジスタの逆方向飽和電流とすると、トランジスタBT1,BT2のベース・エミッタ間に順方向電流が流れる条件下では、VBE1,VBE2は、次式
VBE1=VT*ln(I0/Is)
VBE2=VT*ln(I0/(n*Is))
で表わされる。上記式において、"*"は乗算記号、"/"は除算記号である。差動アンプにオフセットがあることを考慮するとVc2−Vc1=Vosとなるが、Vc1=VBE1,Vc2=VBE2+I0*R1であるから、これを上記式に代入して整理すると、
I0=VT*R1*ln(n)+Vos/R1 ……(1)
となる。
【0009】
一方、出力電圧Vbgoutに関しては、Vbgout/Rb+(Vbgout−VBE3)/Ra=I0が成り立つ。この式を、Vbgoutについて整理すると次のようになる。
Vbgout=Ra*Rb/(Ra+Rb)*I0+Rb/(Ra+Rb)*VBE3
【0010】
ここで、前記式(1)の電流I0を代入すると、
Vbgout=Ra*Rb/(Ra+Rb)*(VT*R1*ln(n)+Vos/R1)+ Rb/(Ra+Rb)*VBE3
となる。これより、VbgoutのVosに対する変化率は、
dVbgout/dVos=Ra*Rb/((Ra+Rb)*R1) ……(2)
となり、差動アンプのオフセットによって出力にはこれだけの大きさのバラツキが出ることになる。
【0011】
本発明の目的は、温度補償と電源電圧補償された約1.2V以下の基準電圧を発生することが可能であり、差動アンプのオフセット電圧依存性も小さくすることが可能なバンドギャップ型の基準電圧発生回路およびこれを備えた半導体集積回路を提供することにある。
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、本発明に係る基準電圧発生回路は、バンドギャップ部と出力部とを含む。このうち、バンドギャップ部は、電源電圧端子間に直列に接続された第1抵抗および第1バイポーラ・トランジスタと、電源電圧端子間に直列に接続された第2抵抗−第2バイポーラ・トランジスタ−第3抵抗と、前記第1抵抗と第2抵抗でそれぞれ生じた電圧を入力とする差動増幅回路を有し、該差動増幅回路の出力が上記2つのトランジスタのベースに印加されるように構成される。また、出力部は、上記差動増幅回路の出力がベースに印加されるバイポーラ・トランジスタと、該トランジスタと直列に接続された抵抗と、該トランジスタに流れる電流を転写するカレントミラー回路と、転写された電流を電圧に変換する抵抗およびダイオードとを有するようにしたものである。
【0013】
上記した手段によれば、バンドギャップ部の差動増幅回路の出力から入力へ上記2つのトランジスタを介してネガティブフィードバックがかかり、差動増幅回路の出力がバイポーラ・トランジスタのベース・エミッタ間電圧VBEに等しくなるように動作する。このとき、差動増幅回路にオフセット電圧があってその出力が変化しても、主に前記第1抵抗で生じる電圧が変化することで、オフセット電圧に対する差動増幅回路の出力の変化が、差動増幅回路のgm(伝達コンダクタンス)と第1抵抗の抵抗値との積(増幅度)に応じて縮小される。
【0014】
この電圧をバイポーラ・トランジスタと抵抗、カレントミラーで電流変換し、さらにこの電流を抵抗とダイオードを有する出力回路で電圧に変換することによって、オフセット電圧による変化が軽減された電圧が得られる。また、出力部の直列形態の抵抗とダイオードは、それぞれの端子に発生する電圧の温度特性が逆であることにより温度変化に対する電圧変化が相殺し合って、温度依存性の低い出力電圧が得られる。さらに、カレントミラーは電源電圧が変動しても電流は変わらないという特性を有するため、カレントミラーで再生した電流を抵抗とダイオードからなる出力回路で電圧に変換することによって、電源電圧依存性の低い出力電圧が得られる。
【0015】
また、望ましくは、上記出力部の電流−電圧変換用の抵抗およびダイオードと並列に抵抗を接続する。これにより、より低い出力電圧が得られるようになる。さらに、望ましくは、回路の動作開始時に上記バンドギャップ部の第1抵抗または第2抵抗から電流を引き抜くとともに、差動増幅回路の出力が所定のレベルに立ち上がった後は上記引き抜き電流を遮断する機能を有するスタートアップ回路を設ける。これにより、基準電圧発生回路が所望のレベルの出力電圧を出力する状態以外の状態で安定するのを回避して、正確な出力電圧が得られるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、温度補償と電源電圧補償された約1.2V以下の基準電圧を発生することが可能であり、差動アンプのオフセット電圧依存性も小さくすることが可能なバンドギャップ型の基準電圧発生回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には、本発明に係る基準電圧発生回路の第1の実施例が示されている。
同図に示されている基準電圧発生回路は、例えば1.5Vのような電源電圧Vddが印加された電源端子と接地電位(0V)のような電源電圧Vssが印加された電源端子との間に直列に接続された抵抗R1とNPNバイポーラ・トランジスタBT1を備える。また、上記電源端子間に同じく直列に接続された抵抗R2とNPNバイポーラ・トランジスタBT2と抵抗R3を備える。抵抗R1とR2は同一の抵抗値R0を有するようにされる。トランジスタBT1,BT2は、エミッタサイズが1:nのような比になるように設定されている。nの値としては例えば「10」が選択される。エミッタサイズを1:nにする代わりに、トランジスタBT2としてBT1と同一サイズのトランジスタをn個並列に接続したものを用いるようにしても良い。
【0018】
さらに、上記抵抗R1とトランジスタBT1との接続ノードN1の電位Vc1が非反転入力端子に、また抵抗R2とトランジスタBT2との接続ノードN2の電位Vc2が反転入力端子にそれぞれ印加された差動アンプAMP1が設けられている。そして、この差動アンプAMP1の出力が上記トランジスタBT1,BT2のベース端子に印加され、接続ノードN1,N2の電位Vc1,Vc2が同一すなわちVc1=Vc2となるように、BT1,BT2に電流I1,I0が流される。抵抗R1,R2,R3およびトランジスタBT1,BT2と差動アンプAMP1とによって、バイポーラ・トランジスタBT1のベース・エミッタ間電圧VBE1に応じた電圧を出力するバンドギャップ部11が構成されている。この構成では電流I0は絶対温度に正比例する。
【0019】
また、上記トランジスタBT2の電流I0と同一の電流を流すため、BT2と同一の大きさのNPNバイポーラ・トランジスタBT3と抵抗R4が設けられている。そして、トランジスタBT3のコレクタ側には電源電圧Vddとの間に、カレントミラーを構成するPチャネル型のMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)MT1が設けられている。抵抗R4は抵抗R3と同一の抵抗値R1を有するようにされる。MOSトランジスタMT1は、ゲートとドレインが結合され電流−電圧変換手段として作用し、変換された電圧がカレントミラーを構成する他方のPチャネル型MOSトランジスタMT2のゲート端子に印加されることで、MT1とMT2のサイズ比(ゲート幅の比)に応じた電流がMT2に流される。
【0020】
この実施例では、MT1とMT2が同一サイズとされることで、MT1と同一の電流がMT2に流されるようになっている。そして、このMOSトランジスタMT2と直列に、抵抗R5およびベースとコレクタが結合されたいわゆるダイオード接続のバイポーラ・トランジスタBT4が接続されている。また、R5,BT3と並列に抵抗R6が設けられている。トランジスタBT3と抵抗R4とカレントミラー(MT1,MT2)と抵抗R5およびダイオード接続のトランジスタBT4とにより、出力部12が構成されている。
【0021】
この出力部12においては、トランジスタBT4のベース・エミッタ間電圧VBE0の負の温度特性が絶対温度に正比例する電流I0(すなわちIa,Ib)と抵抗R5,R6による電圧で相殺されることにより、温度依存性の低い出力電圧Vbgoutが得られるようになっている。また、トランジスタBT3の電流をMOSトランジスタMT1,MT2からなるカレントミラーで再生し、直列の抵抗R5およびダイオード接続のトランジスタBT4に流すようにしており、カレントミラーは電源電圧Vddが変動しても電流は変わらないため、電源電圧依存性の低い出力電圧Vbgoutが得られる。
【0022】
なお、抵抗R5とダイオード接続のトランジスタBT4とは接続が逆であっても良い。カレントミラーは、MOSトランジスタMT1,MT2の代わりにPNPバイポーラ・トランジスタを用いて構成しても良い。差動アンプAMP1は、MOSトランジスタで構成されており、一対のソース共通接続された差動トランジスタ対と、共通ソースに接続された定電流源と、差動トランジスタのドレイン側に接続された受動素子とからなる差動増幅段を有する回路、あるいは差動増幅段にソース接地型又はソースフォロワ型等の出力部を接続した回路が用いられる。
【0023】
図1の基準電圧発生回路は、差動アンプAMP1にオフセット電圧がない場合、Vc1=Vc2になるように、トランジスタBT1,BT2に電流が流れる。一方、差動アンプAMP1にオフセット電圧がある場合には、出力Vcが変化し、ΔVc1/ΔVc=gm*R0, ΔVc2/ΔVc≒R0/R1から主にVc1が変化し、オフセット電圧=|ΔVc1-ΔVc2|≒|ΔVc1|に対するVcの変化は、1/gm*R0に縮小される。つまり、出力にバイポーラ・トランジスタBT1と抵抗R1で構成されたアンプを接続して入力にフィードバックしてオフセット電圧を制御することになるので出力Vcの変化は小さくなると考えられる。
【0024】
また、この実施例では、バイポーラ・トランジスタBT2に流れる電流をカレントミラーでコピーして出力するために、差動アンプAMP1の出力電圧Vcをバイポーラ・トランジスタBT3と抵抗値R1の抵抗R3で電流に変換している。このとき、出力をグラウンド(Vss)基準で取り出すことができるようにするため、MOSトランジスタM1,M0のカレントミラーでBT3のコレクタ電流を折返している。そして、この折り返した電流を、抵抗Ra,Rbとダイオード接続のバイポーラ・トランジスタBT4からなる出力回路に流すことによって、オフセット電圧による変化が軽減された電圧が得られる。なお、上記式で、gmは差動アンプAMP1の伝達コンダクタンスである。
【0025】
以下、差動アンプAMP1にオフセット電圧がある場合の図1の基準電圧発生回路の動作を説明する。
図1の基準電圧発生回路において、差動アンプAMP1のオフセット電圧をVos、バイポーラ・トランジスタの逆方向飽和電流をIsとおくと、Vos =Vc2−Vc1であり、Vc2=Vdd−I0R0,Vc1=Vdd−I1R0より、抵抗R1,R2に流れる電流I1,I0との間には、I1=I0+Vos/R0が成り立つ。これから、トランジスタBT1,BT2のベース・エミッタ間に順方向電流が流れる条件下では、トランジスタBT1,BT2のベース・エミッタ間電圧VBE1,VBE2は以下のようになる。
VBE1=VT*ln((I0+Vos/R0)/Is)
VBE2=VT*ln(I0/(n*Is))
【0026】
また、差動アンプAMP1の出力電圧Vcは、
Vc=VBE1
=VBE2+I0*R1
となる。上式からVBE1,VBE2を消去すると、
Vc=VT*ln((I0+Vos/R0)/Is)
=VT*ln(I0/(n*Is))+I0*R1
が得られる。これを整理すると、次のようになる。
VT*ln(1+Vos/(I0*R0))=I0*R1−VT*ln(n)
【0027】
いま、Vosは十分小さく、Vos/(I0*R0)≪1が成り立つとすると、
ln(1+Vos/(I0*R0))≒Vos/(I0*R0)であるから
VT*Vos/(I0*R0)=I0*R1−VT*ln(n)
となる。これを書きかえると、
I0*I0−I0*VT/R1*ln(n)−VT*Vos/(R0*R1)=0
となる。ここで、I0のVosに対する変化を見るためにVosで微分すると、
2I0*dI0/dVos−VT/R1*ln(n)*dI0/dVos-VT/(R0*R1)=0
となり、これを整理すると、
dI0/dVos=VT/(R0*(2I0*R1−VT*ln(n)))
が得られる。
【0028】
ところで、出力電圧Vbgoutは、I0をコピーした電流を抵抗R5とトランジスタBT4および抵抗R6との並列回路に流すことで発生させる。そのため、抵抗R5の抵抗値をRa、トランジスタBT4のベース・エミッタ間電圧をVBE0、抵抗R6の抵抗値をRbとおくと、
Ra*(I0−Vbgout/Rb)=Vbgout−VBE0
より、
Vbgout=Ra*Rb/(Ra+Rb)*I0+Rb/(Ra+Rb)*VBE0 ……(3)
と表わされる。本実施例の基準電圧発生回路は、抵抗R5とR6の抵抗値Ra、Rb、電流I0を適当に設定することにより、1.5Vのような電源電圧Vddの下で、約1.2V以下の出力電圧Vbgoutを発生することが可能である。例えばRa=26kΩ,Rb=65kΩ、I0=20μAに設定した場合、VBE0=0.7Vと仮定すると、Vbgout≒0.87Vとなる。
【0029】
また、上記式(3)より、出力電圧VbgoutのオフセットVosに対する変化率dVbgout/dVosは、以下のようになる。
dVbgout/dVos=Ra*Rb/(Ra+Rb)*dI0/dVos
=Ra*Rb/(Ra+Rb)*VT/(R0*(2I0*R1−VT*ln(n)))
=Ra*Rb/(Ra+Rb)*1/R1*1/(2I0*R0/VT−R0/R1*ln(n))
=Ra*Rb/((Ra+Rb)*R1)*1/(2I0*R0/VT−R0/R1*ln(n))
ここで、Ra*Rb/((Ra+Rb)*R1)は、先願発明の回路と同一の値である(式(2)参照)。よって、2I0*R0/VT−R0/R1*ln(n)>1ならば、変化率dVbgout/dVosは改善することになる。
【0030】
一例として、I0=20μA,R0=25kΩ,R1=3kΩ,n=10,T=25℃の場合を考えると、VT=kT/q≒26mVであるから、
2I0*R0/VT−R0/R1*ln(n)
=2*20*10-6*25*103/26*10-3−25*103/3*103*ln10
=38.5−19.2
=19.3 > 1
となり、容易に達成できることが分かる。
【0031】
さらに、Ra=26kΩ,Rb=65kΩとした場合の変化率dVbgout/dVosは0.321である。一方、図9の先願発明の基準電圧発生回路において、I0=20μA,R1=3kΩ,n=10,T=25℃,Ra=26kΩ,Rb=52kΩと、ほぼ同一条件にした場合の変化率dVbgout/dVosは5.777である。これより、実施例の基準電圧発生回路は、先願発明の回路に比べて差動アンプのオフセットのばらつきに対する出力電圧の変動を大幅に小さくできることが分かる。
【0032】
なお、この実施例においては、トランジスタBT1,BT2,BT3として、バイポーラ集積回路において一般的な縦型構造のバイポーラ・トランジスタを用いることができるが、MOSトランジスタとバイポーラ・トランジスタとが混載しているため、そのようにするとプロセスが複雑になる。そこで、この実施例では、トランジスタBT1,BT2,BT3として、CMOSプロセスで形成することができるトランジスタを用いるようにしている。これにより、プロセスを簡略化し、コストアップを回避することができる。抵抗R1〜R6は、ポリシリコン層のような成膜あるいは拡散層(ウェル)のいずれであってもよい。
【0033】
図3に図1の実施例の基準電圧発生回路における出力電圧Vbgoutのオフセット電圧依存性を示す。また、比較のため、図4に図9の先願発明の基準電圧発生回路における出力電圧Vbgoutのオフセット電圧依存性を示す。図3と図4を比較すると、図3の方が傾きが小さいので、オフセットのばらつきに対する出力電圧の変動が小さいことが分かる。また、図3のグラフは、図4のグラフよりも縦軸のスケールを拡大して示してあるので、見た目よりさらに出力電圧の変動が小さいことに留意すべきである。
【0034】
図2は、図1の実施例の基準電圧発生回路の変形例を示す。この変形例は、図1の回路における出力部の抵抗R6を省略したものであり、図1の回路よりも出力電圧Vbgoutが少し高くなる。それ以外は図1の回路と同じであり、同様にバンドギャップ部の差動アンプAMP1のオフセットのばらつきに対する出力電圧Vbgoutの変動を小さくできる。前記式(3)において、Rb=∞とおくと図2の回路の出力電圧Vbgoutが得られる。図1の回路での説明と同様に、Ra=26kΩ、I0=20μAに設定した場合、VBE0=0.7Vと仮定すると、Rb=∞であればRa<<Rbであり、Ra+Rb≒Rbと近似できるため、式(3)は、
Vbgout=Ra*I0+VBE0
と変形でき、これより、Vbgout≒1.22Vとなる。
【0035】
図5は、本発明に係る基準電圧発生回路の第2の実施例を示す。この実施例は、第1の実施例におけるトランジスタBT1,BT2,BT3として、NPNトランジスタの代わりにPNPトランジスタを用い、MOSトランジスタMT1,MT2としてPチャネルMOSFETの代わりにNチャネルMOSFETを用いたものである。
【0036】
また、これに伴い、電位関係を図1の実施例と逆にするため、電源電圧Vdd側にトランジスタBT1,BT2,BT3と抵抗R3,R4を設け、電源電圧Vss側に抵抗R1,R2とトランジスタMT1,MT2を設けている。さらに、差動アンプAMP1はPチャネルMOSトランジスタを差動入力トランジスタとする回路が用いられている。この実施例の基準電圧発生回路の動作原理は、図1の実施例の基準電圧発生回路と同じであるので、詳しい動作の説明は省略する。
図6は、図5の実施例の基準電圧発生回路の変形例を示す。この変形例は、図5の回路における出力部の抵抗R6を省略したものであり、図5の回路よりも出力電圧Vbgoutが少し低くなる。それ以外は図5の回路と同じであり、同様に差動アンプのオフセットのばらつきに対する出力電圧の変動を小さくできる。
【0037】
図7は、本発明に係る基準電圧発生回路の第3の実施例を示す。この実施例は、第1の実施例と同様な構成を有する基準電圧発生回路10にスタートアップ回路20を付加し、基準電圧発生回路10が動作を開始する際に、不所望の動作点で安定してしまって所望の出力電圧が得られなくなるのを回避するようにしたものである。
【0038】
スタートアップ回路20は、基準電圧発生回路10の抵抗R2とトランジスタBT2との接続ノードN2にソース端子が接続され、トランジスタBT2を通さずに抵抗R2から電流を引き抜くためのMOSトランジスタMT3と、該トランジスタMT3をオン、オフ制御するコンパレータとして機能する第2の差動アンプAMP2を備える。また、スタートアップ回路20は、差動アンプAMP2に参照電圧Vrefを与える抵抗R7,R8からなる抵抗分圧回路21、制御電流Ibsに基づいて上記MOSトランジスタMT3と抵抗分圧回路21から電流を引くカレントミラー回路22、抵抗R7,R8と並列に設けられたダイオード接続の保護用トランジスタBT5を備える。
【0039】
抵抗分圧回路21により生成された参照電圧Vrefは差動アンプAMP2の非反転入力端子に印加され、差動アンプAMP2の反転入力端子には基準電圧発生回路10のノードN1の電位Vc1が印加されている。カレントミラー回路22は、ゲートとドレインが結合され制御電流Ibsを電圧に変換するダイオード接続のMOSトランジスタMT4と、MT4のゲート電圧と同一の電圧がゲートに印加されたMOSトランジスタMT5,MT6とからなる。MOSトランジスタMT4〜MT6は、この実施例ではNチャネル型である。
【0040】
基準電圧発生回路10は、起動される前においては、抵抗R1に電流が流れていないためノードN1の電位Vc1はVddレベルにあり、これによって差動アンプAMP2の出力Vo1はロウレベルである。基準電圧発生回路10を起動させる場合、先ずスタートアップ回路20に制御電流Ibsを流し込む。すると、差動アンプAMP2の出力Vo1によりオン状態にされているMOSトランジスタMT3を介するよう抵抗R2に電流が流され、ノードN2の電位Vc2が下がる。これによって、差動アンプAMP1の出力Vcがハイレベルに変化して、トランジスタBT1〜BT3がオンされて抵抗R1,R2に電流が流れるようになる。
【0041】
このような状態になると、ノードN1の電位Vc1が抵抗分圧回路21により生成される参照電圧Vrefよりも低くなって、差動アンプAMP2の出力Vo1が反転しバイパス用のMOSトランジスタMT3がオフされる。すると、基準電圧発生回路10は、スタートアップ回路20がないのと同等の状態になり、抵抗R1,R2に予め想定した所望の大きさの電流I0,I1が流れ、所望の電圧Vbgoutが出力されるようになる。基準電圧発生回路10がかかる状態に遷移したならば、制御電流Ibsを遮断しても基準電圧発生回路10は正常に動作し続ける。よって、制御電流Ibsは電流パルスとすることができる。
【0042】
なお、この実施例のスタートアップ回路20では、基準電圧発生回路10から電流を引き込むためのMOSトランジスタMT3を、抵抗R2とトランジスタBT2との接続ノードN2に接続しているが、抵抗R1とトランジスタBT1との接続ノードN1に接続するようにしてもよい。その場合、差動アンプAMP2の反転入力端子には、抵抗R2とトランジスタBT2との接続ノードN2の電位Vc2が印加される。
【0043】
図8は、図7のスタートアップ回路付き基準電圧発生回路の変形例を示す。この変形例は、図7の実施例における差動アンプAMP2の参照電位Vrefを生成する分割抵抗R7,R8に電流を流すMOSトランジスタMT7を、接地電位Vss側ではなく、電源電圧Vdd側に設ける。また、制御電流Ibsが流されるMOSトランジスタMT4とカレントミラーをなすMOSトランジスタMT5に流れる電流を折り返すため、MOSトランジスタMT8,MT7を有する第2のカレントミラー回路23を設ける。そして、このカレントミラー回路23によりMOSトランジスタMT7に転写された電流を分割抵抗R7,R8に流すようにしたものである。この変形例におけるスタートアップ回路の機能と動作は、図7のスタートアップ回路とほぼ同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0044】
なお、この変形例においても、基準電圧発生回路10から電流を引き込むためのMOSトランジスタMT3を、抵抗R1とトランジスタBT1との接続ノードN1に接続するように構成することが可能である。また、図7および図8では、基準電圧発生回路10として図1に示されているものと同様な構成を有するものを示したが、図2や図5、図6に示されている基準電圧発生回路10を用いる場合にも適用することができる。
【0045】
このうち、図5、図6に示されている基準電圧発生回路10を用いたものに適用する場合には、カレントミラーを構成するMOSトランジスタMT4〜MT6は接地電位Vss側ではなく電源電圧Vdd側に設ける。また、抵抗R2とトランジスタBT2との接続ノードN2に接続され差動アンプAMP2によってオン、オフ制御されるMOSトランジスタMT3は、抵抗R2に電流を流し込むように動作される。
【0046】
ところで、MOSトランジスタとバイポーラ・トランジスタを使用した基準電圧発生回路においては、図9のようにバイポーラ・トランジスタをダイオードとして使用する場合には、素子の増幅率は低くてもよいため、CMOSプロセスで形成することができる主として基板の面方向に動作電流が流れるいわゆる横型のバイポーラ・トランジスタを使用することができる。
【0047】
一方、本発明の実施例の基準電圧発生回路のようにバイポーラ・トランジスタBT1〜BT3を増幅素子として使用する場合には、ある程度素子の増幅率が高い方がよいので、主として基板の垂直方向に動作電流が流れるいわゆる縦型のバイポーラ・トランジスタを使用するのが望ましい。ただし、一般的な縦型バイポーラ・トランジスタはCMOS集積回路のプロセスと異なる工程を有する。そこで、本発明の実施例の基準電圧発生回路では、CMOSプロセスで形成することができる縦型のバイポーラ・トランジスタを使用することとした。以下、そのような縦型のバイポーラ・トランジスタの構造について説明する。
【0048】
図10には図1の実施例の基準電圧発生回路を構成するトランジスタBT1〜BT3等に用いられるNPNバイポーラ・トランジスタの一例が、図11には図1のトランジスタMT1,MT2等に用いられるPチャネルMOSトランジスタの一例が、図12には図1の差動アンプAMP1を構成するNチャネルMOSトランジスタの一例が示されている。
【0049】
NPNバイポーラ・トランジスタは、図10(B)に示されているように、単結晶シリコンのような半導体基板31の上に形成されたN型埋め込み領域32と、該埋め込み領域32の上に形成されたN型領域33およびP型領域34と、N型領域33の表面に形成されたN型領域35と、P型領域34の表面に形成されたP型領域36およびN型領域37とを備えている。
【0050】
半導体基板31はこの実施例ではP型である。上記埋め込み領域32はコレクタ領域として機能し、N型領域33は埋め込み領域32に接続されてコレクタ引き上げ領域として機能する。また、P型領域34はベース領域として機能し、N型領域37はエミッタ領域として機能する。さらに、N型領域35はコレクタ引き上げ領域(33)のコンタクト層、P型領域36はベース領域(34)のコンタクト層としてそれぞれ機能する。
【0051】
コレクタ引き上げ領域としてのN型領域33は、図11(B)に示されているPチャネルMOSトランジスタが形成されるN型ウェル領域43と同一の工程で同時に形成される。ベース領域としてのP型領域34は図12(B)に示されているNチャネルMOSトランジスタが形成されるP型ウェル領域44と同一の工程で同時に形成される。
【0052】
ベースコンタクト層としてのP型領域36は、図11(B)に示されているPチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン領域としてのP型拡散領域46と同一の工程で同時に形成される。コレクタコンタクト層としてのN型領域35およびエミッタ領域としてN型領域37は、図12(B)に示されているNチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン領域としてのN型拡散領域45と同一の工程で同時に形成される。
【0053】
N型埋め込み領域32を形成する工程は、従来の一般的なCMOSプロセスにはない工程である。具体的には、P型半導体基板31の表面にN型不純物を導入して形成され、その後にN型ウェル領域43とP型ウェル領域44となる半導体層がエピタキシャル成長により形成され、N型ウェル領域43となる部位にN型不純物、またはP型ウェル領域44となる部位にP型不純物が導入される。その後、トランジスタの領域35,36,37が形成される。
【0054】
図10(A)に示されているように、コレクタ引き上げ領域としてのN型領域33はベース領域としてのP型領域34を取り囲むように形成され、エミッタ領域としてのN型領域37はベース領域としてのP型領域34の中央部に形成されている。図10(A)において、CH1,CH2,CH3はそれぞれコレクタ電極、ベース電極およびエミッタ電極のコンタクトホールである。
【0055】
図11において、N型領域45cは、PチャネルMOSトランジスタのバックゲートとしてのN型ウェル領域43にPN接合を逆バイアスにするため電源電圧Vddを印加する電極とのコンタクト層となる領域である。また、図12において、P型領域46cは、NチャネルMOSトランジスタのバックゲートとしてのP型ウェル領域44にPN接合を逆バイアスにするため接地電位Vssを印加する電極とのコンタクト層となる領域である。
【0056】
図11および図12に示されているように、本実施例では、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタが形成されるN型ウェル領域43とP型ウェル領域44の下側にそれぞれN型アイソレーション領域42が形成されているが、このN型アイソレーション領域42は設けなくてもよい。MOSトランジスタの部分のN型アイソレーション領域42を設けて所定の電位を印加することにより、基板に流れるリーク電流を低減することができる。MOSトランジスタの部分のN型アイソレーション領域42は、バイポーラ・トランジスタのコレクタとなるN型埋め込み領域32と同一の工程で形成される。
【0057】
図13には基準電圧発生回路を構成する図1の抵抗R1〜R6の一例が示されている。抵抗R1〜R6は、図13に示されているように、半導体基板31の上に形成されたN型ウェル領域53の表面に熱酸化等によりシリコン酸化膜(SiO2)のような絶縁膜59が形成され、この絶縁膜59の上に形成されたポリシリコン層58によって構成されている。このポリシリコン層58は、図11(B)に示されているPチャネルMOSトランジスタや図12(B)に示されているNチャネルMOSトランジスタのゲート電極としてのポリシリコン層48と同一の工程で形成することができる。
【0058】
ただし、所望のシート抵抗を有するようにするため、ゲート電極としてのポリシリコン層48とは不純物濃度が異なるようにされることもある。例えば、MOSトランジスタのゲート電極としてのポリシリコン層48は、ソース・ドレイン領域形成のためのイオン打ち込みの際に同時に不純物が導入されて低抵抗化されるが、このイオン打ち込みの際に絶縁膜59の上に形成された抵抗となるポリシリコン層58には不純物が導入されないようにマスクされることで不純物濃度が異なるようにされる。
【0059】
N型ウェル領域53の一部に形成されたN型領域55は、N型ウェル領域53にPN接合を逆バイアスにするため電源電圧Vddを印加する電極とのコンタクト層となる領域であり、N型ウェル領域53の電位を固定することによって、抵抗としてのポリシリコン層58と基板との間の寄生容量の容量値が抵抗に印加される電圧によって変動するのを防止する機能を有する。
【0060】
図14には図5の基準電圧発生回路を構成するトランジスタBT1〜BT3等に用いられるPNPバイポーラ・トランジスタの一例が示されている。
【0061】
PNPバイポーラ・トランジスタは、図14(B)に示されているように、単結晶シリコンのような半導体基板31の上に形成されたP型埋め込み領域32’と、該埋め込み領域32’の上に形成されたP型領域33’およびN型領域34’と、P型領域33’の表面に形成されたP型領域35’と、N型領域34’の表面に形成されたN型領域36’およびP型領域37’とを備えている。
【0062】
半導体基板31はこの実施例ではN型である。上記埋め込み領域32’はコレクタ領域として機能し、P型領域33’は埋め込み領域32’に接続されコレクタ引き上げ領域として機能する。また、N型領域34’はベース領域として機能し、P型領域37’はエミッタ領域として機能する。さらに、P型領域35’はコレクタ引き上げ領域(33’)のコンタクト層、N型領域36’はベース領域(34’)のコンタクト層として機能する。
【0063】
コレクタ引き上げ領域としてのP型領域33’は図12(B)に示されているNチャネルMOSトランジスタが形成されるP型ウェル領域44と同一の工程で同時に形成される。ベース領域としてのN型領域34’は図11(B)に示されているPチャネルMOSトランジスタが形成されるN型ウェル領域43と同一の工程で同時に形成される。
【0064】
ベースコンタクト層としてのN型領域36’は図12(B)に示されているNチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン領域としてのN型拡散領域45と同一の工程で同時に形成される。コレクタコンタクト層としてのP型領域35’およびエミッタ領域としてP型領域37’は、図11(B)に示されているPチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン領域としてのP型拡散領域46と同一の工程で同時に形成される。
【0065】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、基準電圧発生回路の出力部を構成するダイオード接続のバイポーラ・トランジスタの代わりにPN接合ダイオードを用いても良い。また、MOSトランジスタMT1〜MT6の代わりにバイポーラ・トランジスタを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、基準電圧発生回路を備えた半導体集積回路、ならびに当該当該半導体集積回路を適用した電子回路に広く利用することができる。
本発明に係る基準電圧発生回路は、A/D変換回路やD/A変換回路を内蔵したアナログ集積回路においてA/D変換回路やD/A変換回路に必要な基準電圧を発生する回路に用いるのが有効であるが、コンパレータにおいて使用される比較電圧を生成する回路などにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るバンドギャップ型基準電圧発生回路の第1の実施例を示す回路図である。
【図2】第1の実施例のバンドギャップ型基準電圧発生回路の変形例を示す回路図である。
【図3】第1の実施例のバンドギャップ型基準電圧発生回路の出力電圧Vbgoutのオフセット電圧依存性を示す特性図である。
【図4】先願発明に係る基準電圧発生回路の出力電圧のオフセット電圧依存性を示す特性図である。
【図5】本発明に係るバンドギャップ型基準電圧発生回路の第2の実施例を示す回路図である。
【図6】第2の実施例のバンドギャップ型基準電圧発生回路の変形例を示す回路図である。
【図7】本発明に係るバンドギャップ型基準電圧発生回路の第3の実施例を示す回路図である。
【図8】第3の実施例のバンドギャップ型基準電圧発生回路の変形例を示す回路図である。
【図9】先願発明に係るバンドギャップ型基準電圧発生回路の構成例を示す回路図である。
【図10】図10(A)は図1の実施例の基準電圧発生回路を構成するNPNバイポーラ・トランジスタの一例を示すレイアウト図、(B)は断面図である。
【図11】図11(A)は図1の実施例の基準電圧発生回路を構成するPチャネルMOSトランジスタの一例を示すレイアウト図、(B)は断面図である。
【図12】図12(A)は図1の実施例の基準電圧発生回路を構成するNチャネルMOSトランジスタの一例を示すレイアウト図、(B)は断面図である。
【図13】図13(A)は図1の実施例の基準電圧発生回路を構成する抵抗素子の一例を示すレイアウト図、(B)は断面図である。
【図14】図14(A)は図5の実施例の基準電圧発生回路を構成するPNPバイポーラ・トランジスタの一例を示すレイアウト図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
【0068】
BT1、BT2、BT3 バイポーラ・トランジスタ
BT4 ダイオード接続のバイポーラ・トランジスタ
MT1、MT2、MT3 Pチャネル型MOSトランジスタ
MT4、MT5、MT6 Nチャネル型MOSトランジスタ
AMP1,AMP2 差動アンプ
10 基準電圧発生回路
11 バンドギャップ部
12 出力部
20 スタートアップ回路
21 抵抗分圧回路
22,23 カレントミラー回路
31 半導体基板
32 コレクタ領域となる埋め込み領域
33 コレクタ引き上げ領域
34 ベース領域
37 エミッタ領域
45,46 ソース・ドレイン領域
48 ゲート電極
58 ポリシリコン抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドギャップ部と出力部とを有し、
前記バンドギャップ部は、第1の電源電圧端子と第2の電源電圧端子との間に直列に接続された第1抵抗および第1バイポーラ・トランジスタと、前記第1の電源電圧端子と第2の電源電圧端子との間に直列に接続された第2抵抗,第2バイポーラ・トランジスタ,第3抵抗と、前記第1抵抗と第2抵抗でそれぞれ生じた電圧を入力とする差動増幅回路とを有し、
前記第1抵抗は一方が前記第1の電源電圧端子に接続され、前記第1バイポーラ・トランジスタが前記第2の電源電圧端子に接続され、前記第2抵抗は一方が前記第1の電源電圧端子に接続され、前記第3抵抗は一方が前記第2の電源電圧端子に接続され、前記第2バイポーラ・トランジスタは前記第2抵抗と第3抵抗の間に接続され、
前記第1抵抗と第1バイポーラ・トランジスタとの接続点の電位が前記差動増幅回路の第1入力端子に、また前記第2抵抗と第2バイポーラ・トランジスタとの接続点の電位が前記差動増幅回路の第2入力端子に入力され、前記差動増幅回路の出力が前記第1バイポーラ・トランジスタと前記第2バイポーラ・トランジスタのベースに印加されるように構成され、
前記出力部は、前記差動増幅回路の出力がベースに印加された第3バイポーラ・トランジスタと、該第3バイポーラ・トランジスタと直列に接続された第4抵抗と、前記第3バイポーラ・トランジスタに流れる電流を転写するカレントミラー回路と、転写された電流を電圧に変換する直列形態の第5抵抗および接合型受動素子とを備えることを特徴とする基準電圧発生回路。
【請求項2】
前記第1抵抗と第2抵抗は同一の抵抗値を有し、前記第3抵抗と第4抵抗は同一の抵抗値を有し、前記第2バイポーラ・トランジスタと第3バイポーラ・トランジスタは互いに同一サイズのエミッタを有することを特徴とする請求項1記載の基準電圧発生回路。
【請求項3】
前記直列形態の第5抵抗および接合型受動素子と並列に第6抵抗が接続されていることを特徴とする請求項2記載の基準電圧発生回路。
【請求項4】
前記カレントミラー回路は、前記第3バイポーラ・トランジスタと直列に接続されたダイオード接続の第1MOSトランジスタと、該第1MOSトランジスタのゲート電圧と同一の電圧がゲート端子に印加された第2MOSトランジスタを有し、
前記差動増幅回路はMOSトランジスタにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基準電圧発生回路。
【請求項5】
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタはNPN型のバイポーラ・トランジスタであり、
前記第1MOSトランジスタおよび第2MOSトランジスタはPチャネル型のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項4に記載の基準電圧発生回路。
【請求項6】
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタはPNP型のバイポーラ・トランジスタであり、
前記第1MOSトランジスタおよび第2MOSトランジスタはNチャネル型のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項4に記載の基準電圧発生回路。
【請求項7】
前記出力部の接合型受動素子は、ベース端子とコレクタ端子が結合されたダイオード接続のバイポーラ・トランジスタであることを特徴とする請求項6に記載の基準電圧発生回路。
【請求項8】
前記出力部の接合型受動素子はPN接合ダイオードであることを特徴とする請求項6に記載の基準電圧発生回路。
【請求項9】
前記基準電圧発生回路の動作開始時に前記バンドギャップ部の第1抵抗または第2抵抗から電流を引き抜くまたは電流を流し込むとともに、前記差動増幅回路の出力が所定のレベルに立ち上がった後は前記引き抜き電流または流し込み電流を遮断する機能を有するスタートアップ回路を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の基準電圧発生回路。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の基準電圧発生回路と、A/D変換回路またはD/A変換回路とを内蔵し、前記基準電圧発生回路により生成された電圧が、基準電圧として前記A/D変換回路またはD/A変換回路に供給されるように構成されていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
基準電圧発生回路を内蔵した半導体集積回路装置であって、
前記基準電圧発生回路は、
バンドギャップ部と出力部とを有し、
前記バンドギャップ部は、第1の電源電圧端子と第2の電源電圧端子との間に直列に接続された第1抵抗および第1バイポーラ・トランジスタと、前記第1の電源電圧端子と第2の電源電圧端子との間に直列に接続された第2抵抗,第2バイポーラ・トランジスタ,第3抵抗と、前記第1抵抗と第2抵抗でそれぞれ生じた電圧を入力とする差動増幅回路とを有し、
前記第1抵抗は一方が前記第1の電源電圧端子に接続され、前記第1バイポーラ・トランジスタが前記第2の電源電圧端子に接続され、前記第2抵抗は一方が前記第1の電源電圧端子に接続され、前記第3抵抗は一方が前記第2の電源電圧端子に接続され、前記第2バイポーラ・トランジスタは前記第2抵抗と第3抵抗の間に接続され、
前記第1抵抗と第1バイポーラ・トランジスタとの接続点の電位が前記差動増幅回路の第1入力端子に、また前記第2抵抗と第2バイポーラ・トランジスタとの接続点の電位が前記差動増幅回路の第2入力端子に入力され、前記差動増幅回路の出力が前記第1バイポーラ・トランジスタと前記第2バイポーラ・トランジスタのベースに印加されるように構成され、
前記出力部は、前記差動増幅回路の出力がベースに印加された第3バイポーラ・トランジスタと、該第3バイポーラ・トランジスタと直列に接続された第4抵抗と、前記第3バイポーラ・トランジスタに流れる電流を転写するカレントミラー回路と、転写された電流を電圧に変換する直列形態の第5抵抗および接合型受動素子とを備え、
前記差動増幅回路はNチャネル型MOSトランジスタとPチャネル型MOSトランジスタを能動素子として含み、
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタは、コレクタ領域となる埋め込み半導体領域を有し、主として基板の垂直方向に動作電流が流れる縦型トランジスタとして形成され、少なくともエミッタ領域は前記Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのソース・ドレイン領域となる半導体領域の形成工程と同一の工程で形成される半導体領域であることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項12】
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタのベース領域となる半導体領域は、前記Nチャネル型MOSトランジスタまたはPチャネル型MOSトランジスタのソース・ドレイン領域が形成されるウェル領域の形成工程と同一の工程で形成される半導体領域であることを特徴とする請求項11記載の半導体集積回路装置。
【請求項13】
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタはNPN型のバイポーラ・トランジスタであり、
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタの前記コレクタ領域となる埋め込み半導体領域に接続されるコレクタ引き上げ領域となる半導体領域を備え、
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタのベース領域となる半導体領域は、前記Nチャネル型MOSトランジスタのソース・ドレイン領域が形成されるP型ウェル領域の形成工程と同一の工程で形成されるP型半導体領域であり、
前記コレクタ引き上げ領域となる半導体領域は、前記Pチャネル型MOSトランジスタのソース・ドレイン領域が形成されるN型ウェル領域の形成工程と同一の工程で形成されるN型半導体領域であることを特徴とする請求項11記載の半導体集積回路装置。
【請求項14】
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタはPNP型のバイポーラ・トランジスタであり、
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタの前記コレクタ領域となる埋め込み半導体領域に接続されるコレクタ引き上げ領域となる半導体領域を備え、
前記第1、第2および第3バイポーラ・トランジスタのベース領域となる半導体領域は、前記Pチャネル型MOSトランジスタのソース・ドレイン領域が形成されるN型ウェル領域の形成工程と同一の工程で形成されるN型半導体領域であり、
前記コレクタ引き上げ領域となる半導体領域は、前記Nチャネル型MOSトランジスタのソース・ドレイン領域が形成されるP型ウェル領域の形成工程と同一の工程で形成されるP型半導体領域であることを特徴とする請求項11記載の半導体集積回路装置。
【請求項15】
前記Nチャネル型MOSトランジスタおよびPチャネル型MOSトランジスタの前記ソース・ドレイン領域がそれぞれ形成されるウェル領域と半導体基板との間に、前記バイポーラ・トランジスタのコレクタ領域となる埋め込み半導体領域と同一の工程で形成される半導体領域が設けられていることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の半導体集積回路装置。
【請求項16】
前記第1ないし第5抵抗は半導体基板の一方の面の絶縁膜上に形成された導体層であり、前記導体層は前記Nチャネル型MOSトランジスタおよびPチャネル型MOSトランジスタのゲート電極を構成する導体層と同一材料で構成されていることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−102753(P2007−102753A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168393(P2006−168393)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】