基質の変換効率が向上された発酵方法
本発明は、発酵技術の分野に関する。具体的には、本発明は、単一の生産生物によって第1及び第2の発酵生産物を生産するための発酵方法であって、第1の生産物が基質より還元された状態であり、且つ第2の発酵生産物が基質より酸化された状態であるが、最終酸化生産物CO2より酸化されていない状態であり、したがって生物における第1及び第2の生産物の同時合成が、還元力のリサイクルを可能にし、(部分)嫌気性条件下で行われ得る方法に関する。本発明はさらに、第1の発酵生産物が弱アルカリ性化合物であり、第2の発酵生産物が弱酸性化合物である方法にも関する。このような場合、両生産物は、単独の発酵槽で単独の生物によって生産することもでき、又は第1及び第2の生産物はそれぞれ、共発酵される2つの異なる生物によって生産することもできる。共発酵は、2つの発酵槽間での可溶性培地成分の循環を可能にするが、生産生物の細胞の循環を防止するマイクロシーブで連結されている2つの別々の発酵槽で行うことができる。本発明はまた、第1及び第2の発酵生産物が(不溶性)複合体又は塩を形成することができるこのような方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも第1及び第2の発酵生産物を生産するための発酵方法に関する。これらの発酵方法では、基質の変換効率は、還元相当物が生産生物内でリサイクルされるように、それぞれが相互に対して且つ基質に対して特定の酸化状態を有する第1及び第2の発酵生産物を同時生産することによって改善され、それによって、基質のCO2への完全酸化の必要性が低減する。本発明の発酵方法の別の改善は、弱アルカリ性化合物及び弱酸性化合物の同時生産を含み、且つ/又は第1及び第2の発酵生産物は、生産物を効率的に取り出すための(不溶性)複合体又は塩を形成することができる。あり得る改善としては、容積生産性の改善で現れることもある。
【背景技術】
【0002】
発酵産業では、炭水化物は、一般に原材料、すなわち基質として使用され、通常は、例えばいくつかのアミノ酸の場合と同様に、基質と同じ又はそれより還元された状態を有し、或いは例えば大部分の有機酸の場合と同様に、基質より酸化された状態を有する化合物の発酵生産のための炭素及びエネルギーの供給源である。炭素及びエネルギーの供給源より還元された状態を有する化合物が生産される発酵方法では、生産生物は、かなり大きな還元力が必要である。この還元力は、基質のCO2への完全酸化によって生成される。したがって、基質のかなりの部分がCO2の生産で失われ、方法の全効率が低減する。さらに、基質のCO2への完全酸化では、通常は余剰還元力が生成される。この余剰還元力を、基質のバイオマスへの変換で使用することができ、且つ/又は代謝エネルギーを(ATP又はプロトン駆動力の形で)生成するために使用することができる。代謝エネルギーの高い有効性によって、やはりバイオマスの形成が起こる。この基質のバイオマスへの変換は、さらに方法の全効率を低減させる。呼吸するため、生物は大量の酸素を必要とし、大量の熱を生産する。酸素移動容量及び冷却容量は、通常は工業用発酵方法において律速であり、これらの容量をどちらも増大させることは、資本集約的であり、又は発酵槽システムの物理的制約のため不可能である。したがって、当技術分野では、基質の生産物への変換効率が改善され、容積生産効率がより高く、熱発生が低減され、且つ/又は酸素要求量が低減された発酵方法が求められている。本発明の目的は、このような改善された方法を提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、基質の変換効率が向上され、容積生産速度がより高く、熱発生が低減され、且つ/又は酸素要求量が低減された発酵方法に関する。本発明の第1の態様では、これらの改善された発酵諸特性は、生育及び生産物形成のために生物によって必要とされた還元力が基質のCO2への完全酸化によって生成されることを回避し且つ/又は低減することによって実現される。多くの発酵方法では、最終生産物は、最終生産物の生産に使用される基質より還元された状態である。その結果、生物は、NADH、NADPH、又はFADHの形の還元力が必要となる。好気性生物では、還元力は、大いに経済的な価値を有する生産物でないCO2への基質の完全酸化によって生成される。本発明は、基質のCO2への完全酸化を回避し又は低減するが、むしろ基質の酸化状態より高く、同時にCO2の酸化状態より低い酸化状態を有する第2の生産物への基質の不完全酸化によって十分な還元力を生成することを目的とする。これは、部分的に嫌気性とすることができる不完全酸化代謝を生産生物に強制し、又はそれを可能にすることによって実現され得る。多数の細菌、酵母、及び糸状菌は、有機酸を蓄積するそれらの能力によって明らかなように、このような不完全酸化を行うことができる。例えば、有機酸への不完全酸化によって、生物は、NADH又は他の還元相当物を生成し、これは、例えばアミノ酸などの基質より還元された状態を有する第1の最終生産物に基質(例えば、炭素供給源)を還元するために使用され得る。
【0004】
したがって、第1の態様では、本発明は、生産生物による基質の第1の発酵生産物及び第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、生物が、基質の第1の発酵生産物への変換のための第1の代謝経路及び基質の第2の発酵生産物への変換のための第2の代謝経路を含み、第1の発酵生産物が基質より還元された状態であり、且つ第2の発酵生産物が基質より酸化された状態であり、第1及び第2の経路が、生物におけるその同時作用によって、生物における還元力のリサイクルが可能になるという点で相補的であり、第2の発酵生産物が、最終酸化生産物CO2より酸化されていない状態であり、基質に対する第1及び第2の発酵生産物の合計収率が、それぞれCモル基準で少なくとも40%である方法に関する。
【0005】
本発明の方法は、発酵生産物を生産するための方法であって、発酵生産物が、生物、好ましくは微生物によって生産することができる任意の有用な化合物又は有用な化合物群を意味すると理解される方法である。発酵生産物は、生物の代謝の最終又は中間の代謝産物とすることができる。この代謝は、生物の自然代謝、又は例えばヒトの介入によって生物で改変された非自然代謝とすることができる。したがって、本発明の文脈では、発酵生産物には、例えばモノ−、オリゴ−、及びポリマー炭水化物を含めて、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、アミノ酸、オリゴ−及びポリペプチド、タンパク質、有機酸、ビタミン、中間代謝産物、二次代謝産物、抗生物質、アルカノール、アルコール、ポリオール、アミン、ジアミン、ポリアミンが含まれる。しかし、本発明の文脈では、バイオマス、CO2、及び通常は熱の形のエネルギーは、「第1の発酵生産物」及び「第2の発酵生産物」という用語から明らかに除外されている。本発明の文脈では、CO2は有用な生産物とは見なされず、本発明の別の目的は、本発明の発酵方法で生産されたバイオマス及び熱の量を低減することである。
【0006】
本発明の方法では、基質は、好ましくは生産生物用の炭素及びエネルギーの供給源、好ましくは生物用の唯一の炭素及びエネルギーの供給源である。大部分の工業用発酵では、炭水化物を、生産生物用の炭素及びエネルギーの供給源として使用する。適切な炭水化物の炭素及びエネルギーの供給源は、発酵技術分野で周知であり、これには、例えばグルコース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、サッカロース、マルトース、トレハローズ、マルトデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、セロビオース、可溶性デンプン、糖蜜、コーンスターチ、リグニン、リグノセルロースなどが含まれる。本発明では、基質の酸化状態は、第1及び第2の発酵生産物の酸化状態がそれぞれ、それに対して定義される基準点である。しかし、実際には、炭水化物の炭素及びエネルギーの供給源を主に本明細書の実施例で述べる。しかし、本発明は、炭素及びエネルギーの供給源として炭水化物のみ使用することに決して限定されない。適切な非炭水化物の炭素及びエネルギーの供給源には、例えばグリセロール、マンニトール、クエン酸、アルカノール(例えば、メタノール又はエタノール)、ポリオール、脂質、脂肪酸、有機酸、アミン、アミノ酸、ペプチド、アルカン、アルカノアート、ヒドロキシ−アルカノアート、リグニン、及びその誘導体などが含まれる。
【0007】
本発明の方法では、第1及び第2の発酵生産物の酸化状態は、基質の酸化状態に対して定義される。第1の発酵生産物は、基質と同じ又はそれより還元された状態である。したがって、第1の発酵生産物は、基質の酸化還元電位と同じ又はそれより高い酸化還元電位を有する。逆に、第2の発酵生産物は、基質より酸化された状態であり、第2の発酵生産物で実現されるべき第2の規定は、それが最終酸化生産物CO2及びH2Oより酸化されていない状態であることである。したがって、第2の発酵生産物は、基質の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有し、第2の発酵生産物は、最終酸化生産物CO2及びH2Oの酸化還元電位より高い酸化還元電位を有する。基質、第1及び第2の発酵生産物はそれぞれ、酸化状態が異なる一群の様々な化合物からなることがある(下記も参照のこと)。このような場合、本明細書では、このような一群の化合物の酸化還元電位は平均酸化還元電位/Cモルと定義される。
【0008】
基質の酸化状態、及び1つの生産生物における基質の第1及び第2の発酵生産物への変換のための代謝経路の組合せのそれぞれに対する、第1及び第2の発酵生産物の酸化状態の選択はそれぞれ、第1及び第2の経路の同時作用によって、生物における還元力のリサイクルが可能になる状況を生物に生み出す。したがって、第1及び第2の経路は、第1の経路が通常はNADH、NADPH、又はFADHの形の還元力を必要とし、その還元力が最終酸化生産物CO2及びH2Oへの完全酸化によってではなく第2の経路によって生成されるという点で相補的である。
【0009】
本発明の方法の利点は、基質のより少ない量がCO2に変換され、より多い量が第1及び第2の発酵生産物に変換されることである。したがって、本発明の好ましい方法では、基質に対する第1及び第2の発酵生産物の合計生産物収率が、それぞれCモル基準で少なくとも30、35、40、50、60、70、80、又は90%である。本明細書では、Cモル基準での生産物収率(又は基質に対する生産物の収率係数;Yps)は、利用された基質中の炭素原子量当たりの生産された生産物中の炭素原子量を意味すると理解される。本発明の方法では、基質に対する第1及び第2の生産物のCモル基準での生産物収率は、実質的に互いに等しいことがあるが、大部分の場合、これは真実ではない。したがって、第1及び第2の発酵生産物のCモル基準での合計生産物収率の少なくとも51、52、55、60、65、70、75、80、又は90%は、第1又は第2の発酵生産物の生産物収率からなる。
【0010】
本発明の方法では、生産生物は、基質の第1及び第2の発酵生産物への変換中消費された基質と関係付けられたCモル基準で、酸素の量の30、20、18、15、12、10、8、又は5%未満しか消費しないことが好ましい。本明細書では、利用された基質に対する消費された酸素のCモル基準での変換係数(Cos)は、消費された基質Cモル当たりの使用されたO2モルを意味すると理解される。理論的には、本発明の方法を厳密な嫌気性条件下(すなわち、Cos=0.0)で実施することができ、このような方法は、本発明から排除されない。しかし、好ましい方法では、いくらかの酸素が消費される。このような方法は、部分嫌気性、半嫌気性方法、又は低酸素条件下で実施される微好気性方法と呼ばれることがある。
【0011】
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、利用された基質に対する生産されたバイオマスの収率係数は、30、25、20、15、10、5、又は2%未満である。本明細書では、利用された基質に対する生産されたバイオマスの収率係数(Yxs)は、利用された基質の量(グラム)に対する生産されたバイオマスの量(乾燥重量グラム)を意味すると理解される。
【0012】
本発明の方法の一実施形態では、第1の発酵生産物は1つより多い化合物を含む。このような場合、第1の発酵生産物における化合物のCモル当たりの平均還元状態は、基質のCモル当たりの平均還元状態より高い。好ましくは、第1の生産物中の化合物がそれぞれ、基質より還元された状態である。同様に、別の実施形態では、第2の発酵生産物は1つより多い化合物を含む。このような第2の発酵生産物中の化合物のCモル当たりの平均還元状態が基質のCモル当たりの平均還元状態より低い場合、第2の生産物中の化合物はそれぞれ、基質と同じ又はそれより酸化された状態である。
【0013】
基質が炭水化物であり、したがってその生産物が炭水化物と同じ又はそれより還元された状態である場合に、本発明の方法で生産される第1の発酵生産物の適切な例としては、例えばリシン、グルタミン酸、ロイシン、トレオニン、トリプトファンなどのアミノ酸;例えばアンピシリン、バシトラシン、セファロスポリン、エリスロマイシン、モネンシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、タイロシン、マクロライド、及びキノロンを含めて、抗生物質;例えば高度不飽和脂肪酸(PUFA)を含めて、脂質及び脂肪酸;エタノール、プロパノール、及びブタノールなどのアルカノール;1,3−プロパン−ジオール、ブタンジオール、グリセロール、及びキシリトールなどのポリオール;アセトンなどのケトン;アミン、ジアミン、エチレン;カロテノイド、カロテン、アスタキサンチン、リコペン、ルテインなどのイソプレノイド;アクリル酸、コレステロールやエルゴステロールなどのステロール;例えばビタミンA、B2、B12、C、D、E、及びKを含めて、ビタミン;及び、例えばオリゴペプチドを含めて、ペプチド、ポリペプチド、例えば工業又は医薬(薬剤)用途を有するタンパク質を含めて、タンパク質が挙げられる。工業用途を有するタンパク質又はポリペプチドの例としては、例えばリパーゼ(例えば、洗浄剤工業で使用される)、プロテアーゼ(とりわけ、洗浄剤工業、醸造などで使用される)、炭水化物分解酵素及び細胞壁分解酵素(果物加工、ワイン製造など又は飼料で使用されるアミラーゼ、グルコシダーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、β−1,3/4−及びβ−1,6−グルカナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、ガラクタナーゼ、エステラーゼなど)、フィターゼ、ホスホリパーゼ、グリコシダーゼ(アミラーゼ、β−グルコシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ラムノシダーゼ、アピオシダーゼなど)、乳酵素及び生産物(例えば、キモシン、カゼイン)などの酵素、ポリペプチド(例えば、ポリリシンなど、シアノフィシン及びその誘導体)が挙げられる。治療、化粧料、又は診断の用途を有する哺乳類、好ましくはヒトのポリペプチドには、コラーゲン及びゼラチン、インスリン、血清アルブミン(HSA)、並びにラクトフェリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
基質が炭水化物であり、したがってその生産物が炭水化物より酸化された状態である場合に、本発明の方法で生産される第2の発酵生産物の適切な例としては、グルカル酸、グルコン酸、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、イタコン酸、レブリン酸、キシロン酸、アコニット酸、アスコルビン酸、コウジ酸、及びコメリック酸など、例えば発酵によって生産され得る大部分の有機酸が挙げられる。上記の酸の誘導体及び塩が含まれ、酸の誘導体は、カルボニル基以外の任意の位置で1つ又は複数の置換を有する任意の誘導体とすることができる。
【0015】
より低い又はより高い酸化状態の炭水化物の基質を使用する場合、生産物はそれぞれ、特定の生産物が新しい基質の酸化還元より高い又は低い酸化還元状態を有するかどうかに応じて、第2の発酵生産物から第1の発酵生産物群に、又はその逆に移動されることを、当業者は理解するであろう。
【0016】
別の態様では、本発明は、第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、第1及び第2の生産生物が共発酵され、第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱有機酸又はその塩又はその誘導体である方法に関する。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は、第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、第1及び第2の生産生物が共発酵され、第1及び第2の発酵生産物が、適用発酵条件下で不溶性複合体又は不溶性塩を形成することができる方法に関する。好ましくは、第1及び第2の発酵生産物は、適用発酵条件下で非理想の溶液又は複合体、好ましくは不溶性複合体又は塩、好ましくは不溶性塩を形成することができる。このような条件には、弱アルカリ性又は弱酸性の化合物のそれぞれについて、例えば3M(3モル/リットル)、2M、1M、0.5M、250mM、100mM、50mMの濃度において、範囲の一端がpH4.0、5.0、又は6.0で、範囲の他端がpH7.0、8.0、又は9.0であるpH範囲がすべての様々な組合せで含まれる。非理想溶液又は(不溶性の)複合体若しくは塩を形成することができる好ましい組合せは、弱酸及び弱アルカリ性化合物の組合せである。(沈殿物を形成しない)非理想溶液又は可溶性複合体の生産は、その後に蒸発による濃縮ステップが意図されている場合、又はバイオマス除去後のステップで、発酵ブロスを、沈殿する複合体の形成が促進されるように処理する場合に好ましい方法とすることができる。溶液で(不溶性)複合体又は塩を形成することができる化合物の組合せのいくつかの例は、当技術分野で記載されている(表3)。しかし、上記の(不溶性)複合体又は塩は、溶液で形成される(不溶性)複合体の構成要素部分をほとんど排他的に含有する単純な化学的環境で形成された。下記に概説する実施例では、適切な実験条件下で、(不溶性)複合体又は塩のいくつかを、複合体発酵ブロスからも形成し単離できることが示されている。
【0018】
本発明の別の好ましい方法では、沈殿を増強するために、発酵ブロスを、メンブラン(例えば、実施例1、3、4、5、6でも使用された半透過性のマイクロシーブメンブラン)、又は蒸発によって濃縮する。本発明のこれらの方法では、第1及び第2の発酵生産物を全く同一の生物によって生産することができる。或いは、これらを1つより多い生物によって生産することもできる。例えば、第1の発酵生産物を第1の生物によって生産することもでき、第2の発酵生産物を第2の生物によって生産することもできる。このような場合、1つの発酵槽で、第1及び第2の生物を培養することができ、又は少なくとも1つのマイクロシーブをそれぞれが装備している例えば2つのパイプ又はチュービングなどの連結手段で連結されている2つの別々の発酵槽で、生物をそれぞれ培養することができる。この発酵槽配置では、可溶性培地構成要素は、マイクロシーブを含む連結手段を経由して第1及び第2の発酵槽間を循環するが、マイクロシーブによって、生産生物の循環が防止される。したがって、本明細書では、マイクロシーブは、代謝産物及び溶質を自由に通過させるが、細胞を自由に通過させない装置であると理解される。したがって、マイクロシーブは、通常はカットオフ限界が少なくとも1.0、2.0、5.0、10.0、20.0、100、200、500、若しくは1000kDaの、又は孔径/直径が0.15、0.22、0.45、若しくは0.5マイクロメートル以下の(限外)濾過膜又はメンブランである。適切な限外濾過膜及びメンブランは、当業者に公知であり、広く利用可能である。
【0019】
実施例1は、本発明の文脈で一般に利用することができるマイクロシーブメンブランの応用例を記述する。実施例1では、並列に配置され、このようなマイクロシーブの少なくとも1つをそれぞれが装備している2つのパイプ又はチュービングで連結された2つの発酵槽で、2つの異なる微生物を生育させる。この構築によって、培地しか循環されず、生物が分離されたままである2つ(以上)の発酵槽において、様々な生物の発酵が可能になる。それにもかかわらず、これらの微生物は代謝産物を交換することができ、したがって直接接触することなく連通される。実施例1では、例えば2つの生物の一方は、酸性代謝産物の排出によって培地のpHを下降させる傾向があるが、他方の生物は、培地のpHを上昇させる傾向がある。通常、これらのpHのシフトは、NaOHなどの塩基又はH2SO4やHClなどの酸を添加することによって防止される。実施例1では、このようなpH制御は、循環する培地によって省略することができる。場合によっては、これらのマイクロシーブメンブランを、並列に配置された2つ(以上)の発酵槽間の2つの連結チューブ又はパイプの両端に搭載された弁と共に使用することによって、半分離式反応器容積が生じることができ、そこで、酸/塩基(不溶性)複合体又は塩の形成を、金属イオン(Me2+、例えばCa2+)、エタノール、又は(不溶性)複合体若しくは塩の形成を促進する他の任意の分子などのヘルパー分子で促進することができる。選択性は、適切なマイクロシーブメンブランのタイプを選択することによって調整することができる。さらに、連結チューブ又はパイプのうちの1つは、膨張又は沈殿容器を装備することができ、そこにヘルパー分子を、追加のインレットを経由して添加することができ、形成された(不溶性)複合体又は塩を追加のアウトレットから取り出すことができ、したがって発酵中、生産物を常に除去することが可能になる。発酵槽システムにおいてこのような追加の死容積が生じることは、特に嫌気性又は微好気性の方法に適している。2つの発酵槽の一方が別の連結チューブ又はパイプで置換されている場合、マイクロシーブ/沈殿容器構築物を他の発酵槽へのシャントとしても操作できることを、当業者は理解するであろう。したがって、本発明の方法の別の実施形態では、連結手段はさらに、マイクロシーブによって第1及び第2の発酵槽から分離されている容器に連結する。容器では、第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件が適用されることが好ましい。第1及び第2の発酵生産物間で不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件は、下記から選択された1つ又は複数の条件であることが好ましい:
a)第1及び第2の発酵槽における温度より低い温度;
b)第1及び第2の発酵槽におけるpHと異なるpH;
c)第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進するヘルパー分子の濃度。(好ましいヘルパー分子は、金属イオン又は水混和性有機溶媒である。好ましい水混和性有機溶媒は、任意の比で水と混和することができる溶媒である);
d)例えば、(好ましくは細胞/バイオマスの除去後に、発酵ブロスの)蒸発によって、第1及び第2の発酵生産物の濃度を増大させること。
【0020】
したがって、本発明の方法では、発酵生産物である第1又は第2の生産物の1つは、弱有機酸、その塩、又はその誘導体であることが好ましい。本明細書では、弱有機酸は、pKa値が2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、又は4.8より高い有機酸と定義される。弱酸性化合物は、有機酸、抗生物質、酸性pIを有するタンパク質、アスパラギン酸又はグルタミン酸のようなアミノ酸からなる群から選択されることが好ましい。弱有機酸は、その塩及び誘導体を含めて、上記に列挙する有機酸からなる群から選択されることが好ましい。本発明の方法では同時に、他の発酵生産物、すなわち第2又は第1の生産物は、弱アルカリ性化合物、その塩、又はその誘導体である。本明細書では、弱アルカリ性化合物は、pKb値が11、10.8、10.6、10.4、10.2、10.0、9.8、9.6、9.4、9.2、9.0、8.8、又は8.6未満である化合物と定義される。本明細書では、pKb値は、−log10Kbと定義される(式中、Kbは、[BH+]*[OH−]を[B]で除したものと定義される)。弱アルカリ性化合物は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アルカリ性pIを有するポリペプチド、様々な抗生物質分子、アルカンジアミンからなる群から選択されることが好ましい。
【0021】
本発明の方法では、好ましくは、第1の代謝経路、第2の代謝経路、又は第1及び第2の両代謝経路の少なくとも一部分は、生物に自然には存在せず、活性でない。好ましくは、第1及び/又は第2の代謝経路を、生物の遺伝子修飾によって、生物に導入し、活性化する。代謝経路を導入し、又は活性化するように、生産生物の遺伝子修飾のための広範囲の技法を当業者は利用できる。技法には、交雑、交配、(種間及び種内の)プロトプラスト融合、及び化学物質(例えば、EMS、MMS)、放射線(UV、β線又はγ線)による突然変異誘発など古典的な遺伝子技法、並びに挿入、遺伝子破壊、遺伝子置換、トランスポゾン、アンチセンスRNA、コサプレッション、クウェリング、又はRNAiによるより最新の突然変異誘発技法が含まれる。場合によっては、突然変異誘発の後に、例えばハイスループットスクリーニングを使用して所望の修正を加えた変異体を選択することがある。遺伝子修飾は、例えば遺伝子又はcDNAのクローニング、遺伝子の発現又は不活性化のための核酸構築物の構築、及び核酸構築物を有する生物の形質転換、形質導入、形質移入、感染と、場合によってはその後に続く、上記に記載する所望の修正を加えた形質転換体の選択を含めて、組換えDNA技法によってもたらされる。所望の遺伝子修飾をもたらすために、上記の技法のいずれかを組み合わせ、且つ/又は1回又は複数回繰り返すことができることを、当業者は理解するであろう。本明細書の実施例には、これらの遺伝子技法の説明のための参考文献が記載されている。
【0022】
B.サブチリスの亜種サブチリス(B.subtilis subsp.subtilis)168株(分類学(taxonomy)におけるID:224308)のゲノム配列全体は、公開されている(Kunstら、1997;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy/Browser/wwwtax.cgi?id=224308)が、さらに最近になって、C.グルタミカム(C.glutamicum)(及び2つの他のコリネバクテリウム種(Corynebacterium spp.))のゲノム配列全体が、様々なゲノミクス技法(Kromerら、(2004)によって解析されて決定され(Ikeda及びNakagawa,2003;Kalinowskiら、2003)、標的変異体の生産の関連性が評価されている(Ohnishiら、2002)。十分に確立しているプロトプラスト融合技法と、例えば比較又は機能ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、フラックソミクスなどを含めて、さらに最新のゲノミクス(すべてのオミクス手法の集合名詞)を組み合わせて、全く新しい活動が本明細書に設計されており、これは「ゲノミックス(GenoMix)」と総称される。本明細書では、この用語は、単独の種又は培養物のために通常使用されるが、プロトプラスト融合生産物にも適用される確立しているすべてのゲノミクス技術の組合せのために使用される。例えば、プロテオミックスは、ハイブリッドタンパク質のスポット又はパターンの2Dタンパク質、ソフトウェア、及びMaldi−TOF支援集合解析を意味する。同様に、トランスクリプトミックス(TranscriptoMix)は、融合物の複合的な転写プロファイルの解析を意味し、フラックソミックス(FluxoMix)は、いずれかの融合パートナーの代謝産物フラックスの組合せの解析を意味する。
【0023】
本発明の方法では、生産生物は、in vitroで、例えば発酵槽中でその細胞を培養することができる任意の生物とすることができる。in vitroで培養することができる、植物及び脊椎動物のような高等生物からの細胞、具体的には昆虫及び哺乳類の細胞は、本発明の方法に使用するための生産生物として含まれる。しかし、好ましい生産生物は、細菌、真菌、酵母、藻類、又は原生動物などの微生物である。生産生物としての使用に好ましい細菌には、例えばアシネトバクター種(Acinetobacter sp.)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)、コリネ菌(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、大腸菌(Escherichia coli)、グルコノバクター種(Gluconobacter sp.)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、グルコノバクター・サブオキシダンス(Gluconobacter suboxydans)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、メタノコッカス種(Methanococcus sp.)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、ラルストニア種(Ralstonia sp.)、リゾビウム種(Rhizobium sp.)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)、ストレプトコッカス種(Streptococcus sp.)、及びザントモナス種(Xanthomonas sp.)が含まれる。生産生物としての使用に好ましい糸状菌には、例えばアスペルギルス種(Aspergillus sp.)、アスペルギリス・ニデュランス(Aspergillis nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、ペニシリウム種(Penicillium sp.)、ペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、トリコデルマ種(Trichoderma sp.)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、及びモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)が含まれる。生産生物としての使用に好ましい酵母には、例えばサッカロミセス種(Saccharomyces sp.)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア種(Pichia sp.)、クルイベロミセス種(Kluyveromyces sp.)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、及びクリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)が含まれる。生産生物としての使用に好ましい藻類には、例えばクロレラ種(Chlorella sp.)、クロレラ・プロセコイデス(Chlorella prothecoides)、クリプテコディニウム種(Crypthecodinium sp.)、クリプテコディニウム・コーニー(Crypthecodinium cohnii)、ドゥナリエラ種(Dunaliella sp.)、ガルディエリア・スルフラリア(Galdieria sulphuraria)、モリネラ・マリヌス(Morinella marinus)、フォトバクテリウム・プロファンダム(Photobacterium profundum)、シゾチトリウム種(Schizochitrium sp.)、シュワネラ種(Shewanella sp.)、及びトラウストキトリウム種(Traustochytrium sp.)が含まれる。
【0024】
本発明の方法では、生産生物の細胞を、例えば細胞から単離し且つ/又は再構成される溶媒透過性細胞又は酵素系とは対照的に、生存可能な、好ましくは無傷の細胞として培養し又は使用することが好ましい。本明細書では、生細胞は、複製する能力を有する細胞と定義される。
【0025】
第1の発酵生産物としてリシン、及び第2の発酵生産物としてコハク酸を生産するための好ましい生物は、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である。第1の発酵生産物としてリシン、及び第2の発酵生産物としてグルタミン酸を生産するための好ましい生物は、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)である。第1の発酵生産物としてグリセロール、及び第2の発酵生産物としてグルタミン酸を生産するための好ましい生物は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。第1の発酵生産物としてアラニン、及び第2の発酵生産物としてシトラートを生産するための好ましい生物は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)である。第1の発酵生産物として脂肪酸、及び第2の発酵生産物としてオキサラート又はアセタートを生産するための好ましい生物は、クリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)である。第1の発酵生産物としてペニシリンGやVなどのβ−ラクタム抗生物質、並びに第2の発酵生産物としてオキサラート及び/又はクエン酸を生産するための好ましい生物は、ペニシリウム(Penicillium)属の真菌である。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、少なくとも2つの異なる発酵容積を含む発酵システムであって、発酵容積がそれぞれ、少なくとも1つの発酵槽を含み、様々な発酵容積が、マイクロシーブを含む連結手段を介して連結され、様々な発酵槽容量間での可溶性培地成分の循環が可能になるが、発酵容積間での生産生物の細胞の循環が防止されるシステムに関する。好ましくは、発酵システムでは、連結手段をさらに、マイクロシーブによって様々な発酵槽容量から分離されている容器に連結する。上記に記載する通り、容器は、発酵生産物の回収、濃縮、及び/又は沈殿のために使用することができる。発酵システムの別の実施形態を、上記に記載しているが、そこにはシステムが使用されている方法が記述されている。
【0027】
従来の好気性発酵方法に比べて、本発明の方法の利点には、下記が含まれる:
・第1及び第2の発酵生産物構成要素の生産速度のバランスがとれている間は還元相当物が補償されるため、基質効率が向上する。
・酸素要求量及び熱生成が低減し、それによって強力な通気及び大容量の冷却の必要性が回避される結果、ランニングコスト及び投資コストが低下する。さらに、容積生産性を上げることができ、したがって最終生産物の価格に対する投資コストの寄与が低減する。1つの単独の発酵槽における様々な生物の共培養若しくは共発酵、又は1つの生物内での代謝工学により生合成経路を組み合わせることによって、この場合は、2つ以上の発酵生産物を1回の発酵実施で生産することができる(実施例2、3、4、5、6)。
【0028】
従来の嫌気性発酵方法に比べて、本発明の方法の利点には、下記が含まれる:
・第1及び第2の生産物の形成によって、完全な酸化還元バランスが生じない場合、呼吸によって、余剰還元力が取り除かれる。
・第1及び第2の生産物の形成によって代謝エネルギーが生じない場合、呼吸によって、還元力が代謝エネルギーに変換され得る。
両方の利点によって、より広い生産物スペクトルがもたらされる。
【0029】
クエン酸のような酸性生産物の発酵生産の最中、発酵ブロスの過剰な酸性化を回避するのに中和が必要である。同じことが、リシンのような塩基性最終生産物の場合も当てはまる。酸性生産物(例えば、グルコン酸)と塩基性生産物(例えば、リシン)の同時発酵生産によって、いくつかの追加の利点がもたらされる:
・酸性又は塩基性のpH制御化合物の添加の必要性が少なく、又は全くなく、おそらくより高い生産速度及び/又は濃度ももたらされる。
・アミノ基及び酸性基を含む分子は会合して、沈殿することができる溶解性が低減された(不溶性)複合体又は塩を形成することができる。したがって、発酵ブロス中の(可溶性)生産物の濃度が低減し、それによって生産物のフィードバック阻害が回避され、より高い容積生産速度が可能になる。
・下流のプロセッシングの最中、酸/塩基(不溶性)複合体又は塩の溶解性が低いことは有利であり得る。というのは、従来の方法によるものより少ないエネルギー及びヘルパー化合物しか1つとしない技法を使用して、2つの複合構成要素を希釈プロセス流のかなり小さい容量から精製することができるからである。
【0030】
本文献及びその特許請求の範囲では、動詞「含む」及びその活用形は、その単語に続く品目が含まれるが、具体的に記載されていない品目も排除されないことを意味するようにその非限定的な意味で使用される。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素という言葉は、文脈上から、要素が唯一つしか存在していないことがはっきりしていない限り、1つより多い要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常は「少なくとも1つの」を意味する。
【実施例】
【0031】
(実施例1:リシン生産性コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)及びグルコン酸生産性グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)の変異体の共発酵)
この実施例は、共発酵と呼ばれ、2つの発酵槽におけるC.グルタミカム(C.glutamicum)とG.オキシダンス(G.oxydans)の2つの細菌種の培養が関与する手順によるリシン及びグルコン酸の同時生産を実証する。pH制御の必要性を回避するために、2つの発酵槽(Cgの場合、A、Goの場合、B)を使用し、そのうちの一方では、塩基性アミノ酸が生産され、他方の発酵槽では、有機酸が生産される。2つの発酵槽は、細胞ではなく、培地及びその構成要素すべてしか通過させない半透過性のマイクロシーブ(全般的な説明においても記述されている)を含むチューブ又はパイプで連結されている。したがって、この方法は、共培養又は共固定化(Aiguo及びPeiji、1998)に似ているが、この場合、細菌種を混合することをしない。
【0032】
C.グルタミカム(C.glutamicum)は、そのリシン生産のため公知である(Ikeda、2003)。改善のための生産プロセス及び選択肢を記述する数理モデルが設計されている(Ensari及びLim、2003)。さらに、相当な量のグルタミン酸(Wijayarathnaら、2001)及びいくつかの他のアミノ酸を形成することができる。グルコン酸過剰生産性株のG.オキシダンス(G.oxydans)を、共発酵実験(グルコン酸生産及び排出)で、C.グルタミカム(C.glutamicum)(リシン生産及び排出)と共に使用した。C.グルタミカム(C.glutamicum)は通性嫌気性であり、G.オキシダンス(G.oxydans)は絶対好気性である。
【0033】
グルコン酸及びリシンの過剰生産の最中、生産生物又はその共発酵パートナーによって排出された生産物(代謝産物)の消費は防止されるべきである(例えば、Leeら、1998を参照のこと)。したがって、C.グルタミカム(C.glutamicum)及びG.オキシダンス(G.oxydans)のグルコン酸及びリシン取り込み変異体は、共培養手順に関与するいずれかの種で調製される(例えば、Popkin及びMaas、1980;Revellesら、2004を参照のこと)。さらに、グルコン酸オペロン(遺伝子クラスター)、及びグルコン酸代謝に間接的に関与する他の遺伝子は、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(Fujita及びFujita、1987;Fujita及びMiwa、1994)及び大腸菌(Escherichia coli)(Izuら、1997)を含めて、いくつかの生物で特定されている。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の追加情報によって、D−グルコン酸からD−6−P−グルコン酸への変換に関与するグルコン酸分解性酵素、さらに具体的にはグルコン酸キナーゼ遺伝子をコードするC.グルタミカム(C.glutamicum)とG.オキシダンス(G.oxydans)の両方において、遺伝子を特定、単離、破壊することが可能になる。G.オキシダンス(G.oxydans)の利用可能なリシン取り込み変異体は知られていないので、従来のUV突然変異誘発後に、いくつかの候補株が単離される。選択するためには、最少の培地を使用し、唯一の炭素及びエネルギーの供給源としての必須構成要素及びリシンを追加する。続いて、レプリカ平板法を行った後生存していないコロニーをさらに分析する。この方法によって、適切な候補変異体の偶発的単離が可能になるが、方法は、特にその特定のため、及びリシン取り込みに関係していない致死突然変異の発生のため困難である。さらに、工業生産株において、ランダムで無関係な突然変異の蓄積は、望ましくない。したがって、相同組換えによるG.オキシダンス(G.oxydans)におけるリシントランスポーター(lys1)遺伝子のサイレンシングを用いる直接手法も行われる。lys1遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するため、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez、さらに具体的には付録Iaに列挙されている生物から、BLAST検索及びPCRプライマー設計用の情報を使用した。ベクター構築物及び形質転換手順に関する詳細情報は、C.グルタミカム(C.glutamicum)の場合、Van der Restら、(1999)、Jang及びBritz、(2000)、Jangら、(2001)、並びにKreutzerら、(米国特許出願公開第2003/0162269号)によって記載されている通りであり、宿主としてのDSM 5715株、クローニング及び発現ベクターとしてのプラスミドpEC7、及びDNA転移のための電気穿孔法(Creavenら、1994)を使用する。G.オキシダンス(G.oxydans)ATCC 9937株の場合、記載されている通り、クローニング用シャトルベクターとしてのプラスミドpBBR122(mob CmrKm’)、及び電気穿孔法を使用する(Fukayaら、1985;Mostafaら、2002)。宿主ゲノムへの(相同)組込みを促進し、形質転換効率を改善するために、電気穿孔の前に、1か所切断する制限酵素を用いた制限により、ベクターを直線化する。
【0034】
得られた組換え物を、サザンブロット解析、PCR、及び生理的技法で検査する(生育試験は上記に示す通りである)。
【0035】
この実施例について全般的な説明で示唆する通り、並列に配置され、半透過性のマイクロシーブ及び両端に弁を装備した2つのパイプで連結され、したがって細胞を混合することなく、2つの発酵槽間での培地の循環が可能になる2つの発酵槽で、C.グルタミカム(C.glutamicum)とG.オキシダンス(G.oxydans)の2つの生物を生育させる。
【0036】
共発酵の場合、相互連結させた2つの有効容量1Lの撹拌槽型反応器(Applikon、オランダ スヒーダム(Schiedam,The Netherlands))に対して、個別に終夜前培養したものから2つの細菌種を接種材料として使用する(2*100mL グルコース及び必要に応じて補完物を含有する最少の培地;組成物を両生物の生育が可能になるように調整する)。
【0037】
発酵(実験A)中、グルコース濃度、dO2、CO2濃度、pH、撹拌機速度、及びバイオマスなど、必須パラメータすべて、並びに培地と抽出された細胞ペレットの両方におけるリシン及びグルコン酸の濃度を決定する。対照(実験B)として、発酵実施全体で、2つの発酵槽を連結するパイプの4つの弁をすべて閉じたままにして、同じ実験を繰り返す。実験Aと同様には、pHは調整されず、したがってG.オキシダンス(G.oxydans)の実施では下がり、C.グルタミカム(C.glutamicum)の実施では上がる。グルコースからグルコン酸を合成するには酸素が必要であるので、通気を、撹拌機速度1000rpm及び通気1vvmで最適に維持する。24時間後に、発酵を終了する。
【0038】
結果は、2つの発酵槽間の連結チューブから採取された試料で測定して、共発酵(実験A)中、pHは7.3(初期値)から発酵実施の終わりに6.5にシフトするだけであり、個々の発酵実施(実験B)では、G.オキシダンス(G.oxydans)培養の場合、pHは、pH3.2に下がる恐れがあり、C.グルタミカム(C.glutamicum)の場合、pH8.9に上がる恐れがあることを示唆している。さらに、おそらく共発酵実験では有害なpHシフトがないため、リシン及びグルコン酸の生産性は上昇する。
【0039】
(実施例2:リシン生産性コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)と酢酸生産性バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)の属間プロトプラスト融合;リシンと酢酸の合成経路の組合せ(ゲノミックス(GenoMix)))
バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)では、pta及びackA遺伝子の生産物、ホスホトランスアセチラーゼ及び酢酸キナーゼは、このグラム陽性菌における炭素代謝の最も大量の副生物の1つである酢酸の生産において重要な役割を果たす(Presecanら、1999)。
【0040】
この実施例では、B.サブチリス(B.subtilis)のこの酢酸合成経路とC.グルタミカム(C.glutamicum)のリシン合成経路を組み合わせるために、属間プロトプラスト融合の技法を使用する。植物及び真菌、また細菌に関しては、親生物又は株の所望の特性を組み合わせるためにプロトプラスト融合技法が広く使用されている。実際、これは、必須DNA配列がすべて、融合物中に、少なくとも初期に存在していることが保証されている唯一の人工組換えDNA技法(従来のDNA転移技法以外)である。多数の予測不可能な組換え事象は、余分な生合成及び調節DNA配列がなくなる恐れがあるその間に起こるものと予想され得るが、どちらかの親の中間表現型を特徴とすることができるかなり安定な状況の例がある。
【0041】
開発された手順は、G.オキシダンス(G.oxydans)(ATCC 9937)及びアセトバクター・メラノゲナス(Acetobacter melanogenus)(NCIM2259)、エルビニア・ヘルビコラ(Erwinia herbicola)(ATCC 21998)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)(NCIM2041)、並びにコリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)(ATCC 31090)(Vermaら、1989)の菌株の場合に非常に有効であった。
【0042】
ビタミンC生産の最後から2番目のステップである、2,5−ジケト−グルコン酸生産性G.オキシダンス(G.oxydans)(ATCC 9937)と、2,5−ジケト−グルコン酸を2−ケト−L−グロン酸に還元することができるコリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)(ATCC 31090)の変異体株との属間プロトプラスト融合によって、生存可能な組換え物が生じた。融合生産物のいくつかは、D−グルコースを2−ケト−L−グロン酸に変換する能力を示したが、変換速度は低かった(Vermaら、1992)。
【0043】
キシラン及び他の複合多糖を分解する能力を有するB.サブチリス(B.subtilis)株と、リシン生産性物であるC.アセトアシドフィラム(C.acetoacidophilum)とのハイブリッドを、プロトプラスト融合で調製した(Debら、1990)。結果は、属間遺伝子転移は、これらの2つの重要な細菌属間のプロトプラスト融合によって起こり、融合物のいくつかは、両方の親の有用な特性を受け継いでいることを実証している(Debら、1990)。
【0044】
この実施例では、酢酸及びリシンの取り込み変異体は、それぞれ唯一の炭素及びエネルギーの供給源としての酢酸及びリシンで生育することができないので選択により、リシン生産性C.グルタミカム(C.glutamicum)(ATCC 21253)及び酢酸生産性B.サブチリス(B.subtilis)(ATCC 6633)株のランダムな突然変異誘発によって生産される。C.グルタミカム(C.glutamicum)は、酢酸を単独の基質として又はグルコースとの共基質として使用できるという十分な証拠があるが、今までのところ、仮定の混合型酢酸/プロピオン酸トランスポーターのための遺伝子は、C.グルタミカム(C.glutamicum)ゲノム配列全体において特定されていない(Gerstmeirら、2003)。したがって、C.グルタミカム(C.glutamicum)の酢酸代謝に関与する遺伝子の抑制性転写調節因子であるramB遺伝子を過剰発現させる(Gerstmeir、2004)。同様に、B.サブチリス(B.subtilis)では、リシン取り込み及び排出のための遺伝子は、(実施例1で使用された)G.オキシダンス(G.oxydans)におけるlys1とは異なり、ゲノム配列全体においてアノテーションされておらず(Kunstら、1997)、より一般的なアミノ酸Ca2+/H+対向輸送体の一部分であると思われる(Matsushitaら、1986)。
【0045】
新規変異体株のC.グルタミカム(C.glutamicum)ATCC 21253 acu(酢酸取り込み抑制性)及びB.サブチリス(B.subtilis)ATCC 6633 lyu(リシン取り込み抑制性)を、Debら(1990)及びVermaら(1992)から採用された方法に従って融合実験に使用する。続いて、この実施例では、UV突然変異誘発をさらに繰り返して行い、余分なDNA配列及び/又は酵素活性を除去し、ハイスループットスクリーニングプログラム及びゲノミックス(GenoMix)技術で最良のリシン及び酢酸生産性細菌融合物株を選択する。
【0046】
下記のいくつかの基準を使用して、融合物の安定性を、生育及び世代数に応じて調査した:
1−親の表現型を暗示する形態学的特性;
2−融合パートナーの両方の公開DNA配列及び/又は酵素活性を認識したプライマー配列を使用して選択された特定DNA配列の存在;
3−DNA配列の存在又は起こり得る消失をランダムに示す完全なゲノムAFLP解析;
4−リシン及び酢酸生産性の持続。
【0047】
C.グルタミカム(C.glutamicum)で記載したように、優良株のCBAF03−55を発酵実験にかける。
【0048】
結果は、融合物株は、リシンと酢酸の両方を生産することができるが、C.グルタミカム(C.glutamicum)ATCC 21253 aceでは、微量の酢酸しか検出されないことを示唆している。工業生産生物の融合、続いて突然変異誘発処理を行うことによって、親株の主な塩基性と酸性の生産物の両方について高い生産性を示す新規融合物株を得ることができる。したがって、2つの異なる単一生産物発酵方法を、第1及び第2の発酵生産物の生産が関与する1つの新規方法に組み合わせることによって、容積生産性を上げることができる。
【0049】
(実施例3:ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)によるリシン及びグルタミン酸の同時生産)
様々なコリネ型細菌は、グルタミン酸やリシンなどのアミノ酸を生産することができる。グルコースからグルタミン酸への変換は還元力を生じ、グルコースからリシンへの変換には還元力が必要である。したがって、微生物による両アミノ酸の同時生産は、高い変換効率及び低い酸素要求量をもたらすはずである。
【0050】
B.ラクトファーメンタム(B.lactofermentum)については、(Shiratsuchiら、1995;欧州特許出願公開第0780477号A1、実施例6)によって、グルタミン酸とリシンを同時に生産できることが記載されているが、これは、リシンしか形成されない状況に比べて高い収率をもたらさなかった。両アミノ酸が同時に生産された培養物に酸素制限を加えることによって、方法の効率を上げることができる。さらに、生産されたL−リシン及びL−グルタミン酸は、溶液でL−リシン・L−グルタミン酸の分子又は複合体として存在するはずであることが示唆された。
【0051】
本質的に記載されているように(Shiratsuchiら、1995;欧州特許出願公開第0780477号、実施例6)、酸素過剰条件下及び酸素制限下に、B.ラクトファーメンタム(B.lactofermentum)AJ 12993による発酵で、リシン及びグルタミン酸を生産する。酸素過剰条件を、撹拌機速度1000 rpm及び通気1vvmで維持する。酸素制限条件を、通気0.2vvm及び撹拌300rpmで維持する。表1に示す結果は、酸素制限を加えることによって、生産物収率が上がり、酸素要求量が下がることを示唆している。さらに、マイクロシーブ及び沈殿装置(全般的な説明で示唆した通り)を使用することによって、リシン・グルタミン酸複合体を含む沈殿物が得られる。
【0052】
【表1】
表1:酸素過剰及び酸素制限下、B.ラクトファーメンタム(B.lactofermentum)によって形成された生産物の最大濃度
*代替C供給源としてビタミン、抗生物質、酵母抽出物などの使用が関与している可能性、及び記載されていない追加の生産物の可能性。
【0053】
したがって、酸素要求量がより低い方法によって、酸素が律速である工業方法においてより高い生産性がもたらされる。さらに、商業的に興味深い2つの生産物を1回の単一発酵実施で形成することによって、容積生産性が上がる。
【0054】
(実施例4:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)によるクエン酸及びアラニンの同時生産)
第2の発酵生産物アラニンと共に、クエン酸生産性A.ニガー(A.niger)のMW l31株(重要でないマーカーcspA1、goxC17を有する野生型対照)及びMW 129株(pyrA、プラスミドDNAのためのウラシル要求性レシピエント)によって全生産物収率を上げるために、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)アラニンデヒドロゲナーゼ(alaD)遺伝子を過剰発現する1組の形質転換体を生成する(Holsら、1999)。このために、プラスミドpBM20alaDからのプロモーターをもたない1.22kb SmaI−HindIII断片を、A.ニデュランス(A.nidulans)GPDAプロモーター及びターミネーター配列を含むpMTL23系ベクターにクローンし(Puntら、1987)、プラスミドpANalaを得る。このベクターを、pyrA遺伝子との同時形質転換によってA.ニガー(A.niger)MW129に導入する(Ruijterら、1997)。pANalaベクターの様々な複製物を含むいくつかの共形質転換体から、最高のalaD発現レベルを示す1株(AnigAF129−11株)を選択する。Ruijterら(1997、2000)によって記載されているように、野生株と組換え株の並行発酵を下記の通り実施する:有効容量1Lの撹拌槽型反応器(Applikon、オランダ スヒーダム(Schiedam,The Netherlands))を使用して、クエン酸生産のために最適化された、0.5gのKH2PO4、2.5gの(NH4)2SO4、0.25gのMgSO4・7H2O、6.5mgのFeSO4・7H2O、1.3mgのZnSO4・7H2O、及び140gの脱カチオン化グルコース/Lを含有する培地で、菌糸体を30℃で培養する。発酵開始から、酸素過剰条件を撹拌機速度1000rpm及び通気1vvmで維持する。第3日目に(対数期の中間部を通して)、酸素制限条件を通気0.2vvm及び撹拌300rpmで適用する。7日後に、発酵を終了し、分析を行った。
【0055】
結果は、形質転換体(AnigAF129−11)が、クエン酸、相当な量のアラニン、及び野生型(NW131)より少ない量のバイオマスを生産することを示唆している。さらに、マイクロシーブ及び沈殿装置(全般的な説明で示唆した通り)を使用することによって、アラニン・クエン酸複合体を含む沈殿物が得られる。
【0056】
クエン酸生産性A.ニガー(A.niger)株へのアラニン生合成のための遺伝子の過剰発現によって、酸素が律速である工業方法において第1と第2の発酵生産物(それぞれ、クエン酸及びアラニン)の全生産性が上がる。さらに、商業的に興味深い2つの生産物を1回の単一発酵実施で形成することによって、容積生産性が上がる。
【0057】
(実施例5:コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)におけるリシン−及びコハク酸−合成経路の遺伝子の協調発現)
コハク酸は、ギ酸、マレイン酸、マレイミド、1,4−ブタンジオール、アスパラギン酸、イタコン酸、コハク酸ジメチル/ジエチル、テトラヒドロフラン、γブチロラクトン、スクシンイミド、無水マレイン酸、アジピン酸、ポリエステル、溶媒などの汎用化学品、及び食品材料、植物成長刺激剤、医薬中間体、バイオリン光体、矯味添加剤、酸味料などの特殊化学品を含めて、多数の派生生産物の重要な中間体である。
【0058】
recDNA技術でリシン及びコハク酸の生合成経路の遺伝子の協調発現を実現するために、下記の手法を選択した:
C.グルタミカム(C.glutamicum)の乳酸デヒドロゲナーゼ(ldh)抑制性株における相同コハク酸−合成遺伝子の過剰発現。Yukawaら(2003)によって提示された手法に従って、C.グルタミカム(C.glutamicum)ATCC 31831株の乳酸デヒドロゲナーゼ(ldh)遺伝子をノックアウトし、続いてコハク酸代謝に関与する相同遺伝子、すなわちコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ssdh)及びコハク酸脱水素酵素(sdh)サブユニット遺伝子を過剰発現させる。これらの遺伝子の配列は、C.グルタミカム(C.glutamicum)の完全なゲノム受入番号NC_003450(コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC 13032)、gi23308765から得られ、ネステッドPCRに続いて、単離する。成功した効率的な形質転換は、単一及び共挿入の挿入型形質転換ベクターを用いたC.グルタミカム(C.glutamicum)についての場合が記載されている(Ikeda及びKatsumata、1998;Kotrbaら、2003;Kreutzerら、2003;Kirchner及びTauch、2003;Tauchら、2003)。宿主としてのDSM5715株、クローニングベクターとしてのプラスミドpEC7を使用し、DNA転移のための複数のインサート及び電気穿孔法が可能になるKreutzerらによって使用されたシステム(米国特許出願公開第2003/0162269号)を使用する。こうして得られた多数の組換え株を単離し、分析する。優良株(CAF04−26;ldh、ssdh、sdh)及び対照株ATCC 31831を並行発酵実験にかけ、生成物を分析する。
【0059】
結果は、新規組換え株が、対照株に比べて高い濃度のリシンとコハク酸とを生産することを示唆している。さらに、Prasad及びVijayan(1991)によって記載されているように、マイクロシーブ及び沈殿装置(全般的な説明で示唆した通り)を使用することによって、リシン・コハク酸複合体を含む沈殿物が得られる。
【0060】
したがって、リシンなど還元されているアミノ酸(第1の発酵生産物)及びコハク酸などより酸化されている有機酸(第2の発酵生産物)の協調生合成に重要な遺伝子の過剰発現によって、工業生産方法において第1及び第2の発酵生産物のより高い生産性がもたらされる。さらに、商業的に興味深い2つの生産物を1回の単一発酵実施で形成することによって、容積生産性が上がる。
【0061】
(実施例6:ペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)におけるペニシリン生産経路とシュウ酸生産経路のカップリング)
この実施例は、ペニシリンとシュウ酸の生合成経路のカップリングを利用する。酸素制限されたニトラート依存性の生育中、グルコースのシュウ酸への不完全酸化は、β−ラクタム抗生物質ファミリーのメンバーに還元力をもたらす。排出後、シュウ酸はCaイオンに複合化し、非可溶性のシュウ酸Ca塩結晶の形成、及びペニシリン収率の上昇がもたらされる。
【0062】
ここ50年間にわたって発酵によるβ−ラクタム抗生物質の工業生産は、バイオテクノロジーの顕著な例の1つである。今日、β−ラクタム抗生物質、具体的にはペニシリン及びセファロスポリンは、世界規模の剤形販売が約150億USドルであり、又は抗生物質の全世界市場の約65%である世界の主要なバイオテクノロジー製品を表す。ここ50年間にわたって、生産生物P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)及びアクレモニウム・クリゾゲヌム(Acremonium chrysogenum)(別名、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium acremonium))の生産性の大幅な改善、並びに改善された発酵技術は、結果的に生産性の向上及び実質的なコスト削減をもたらした。主な発酵生産体は、現在ペニシリンの場合40〜50g/L、及びセファロスポリンCの場合20〜25g/Lのハーベストタイターが記録されると推定される。ペニシリンG又はペニシリンVの回収率は、現在>90%である。6−アミノペニシラン酸又は7−アミノセファロスポラン酸の化学的及び酵素的な加水分解プロセス技術も、新規酵素技術の場合、高効率(約80〜90%)であり、ここ10年間にわたって大幅なコスト削減をもたらす(Elander、2003)。これから、追加のプロセス改善は、本明細書に記載する通り、主に別の株の開発及び発酵方法最適化に期待できることが示唆される。
【0063】
ペニシリウム種(Penicillium spp.)及びアスペルギルス種(Aspergillus spp.)のような工業用生物を含めて、いくつかの真菌種は、シュウ酸を含めて、いくつかの有機酸を効率的に生産するその能力でよく知られており(Cunningham及びKuiack、1992;Cameselleら、1998)、いくつかの生合成遺伝子は、他の真菌においても特定されている(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/;Balmforth及びThomson、1984;Mehta及びDatta、1991;Ruijterら、1999;Kesarwaniら、2000;Pedersenら、2000;Azamら、2002を参照のこと)。
【0064】
A.ニガー(A.niger)におけるシュウ酸生合成の細胞質経路についての証拠が提供されている(Kubicekら、1988)。硝酸で生育する真菌の液体培養によって、相当な量のシュウ酸が生産されるが、アンモニウム含有培地では、シュウ酸は少量しか検出されなかった(Gharieb及びGadd、1999)。外部pHは、A.ニガー(A.niger)によるシュウ酸生産を支配する主な要因であると思われる。グルコース酸化酵素抑制型変異体は、培養のpHが3以上である限り、相当な量のシュウ酸を生産した。ショ糖・硝酸塩液体培地でP.ビライー(P.bilaii)によって生産された主要な酸性代謝産物は、シュウ酸及びクエン酸であることが判明した。クエン酸生産は、窒素制限条件下で促進され、シュウ酸生産は、炭素制限条件下で促進された。クエン酸は、生育期と定常期とで生産されたが、シュウ酸生産は、定常期にしか起こらなかった(Cunningham及びKuiack、1992)。しかし、使用する工業用発酵方法条件下で、シュウ酸合成は、ペニシリン生産性と負に相関した(Diezら、1986、Reed、1987)。したがって、この実施例では、生産方法を、P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)における生育及びペニシリンG生産のための詳細な化学量論モデル(Van Gulikら、2000)に対して適合させた。このモデルを使用したプライオリ代謝フラックス解析から、ペニシリン生産には、1次代謝経路を通るフラックスの大幅な変化が必要であると思われる。これは、β−ラクタム核の炭素前駆体の生合成、及び主に硫酸還元のためのNADPHに対する要求の増大によってもたらされる。P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)形質転換及び同時形質転換のための基本的なツール(様々な有性選択マーカーを有するベクターと、形質転換プロトコルの両方)は、利用可能であり(Graessleら、1997;Casqueiroら、1999;Theilgaardら、2001;Banuelosら、2003)、導入遺伝子安定性は、発酵実施で評価されている(Rennoら、1990)。
【0065】
この実施例では、シュウ酸生合成に関与する遺伝子は、いくつかの生物から特定されており(上記に列挙する参考文献、及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/)、その情報は、P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)(及びA.ニガー(A.niger))からの相当遺伝子の単離に使用される。
【0066】
下記をコードする遺伝子を単離し、使用する:1)シュウ酸−CoA転移酵素(シュウ酸をコハク酸に変換する);2)シュウ酸脱炭素酵素(シュウ酸をギ酸に変換する);3)グリオキシル酸脱水素酵素(シュウ酸をグリオキシル酸から合成する);4)(S)−2−ヒドロキシ酸酸化酵素(シュウ酸をグリオキシル酸から合成する);5)アスコルビン酸2,3−ジオキシゲナーゼ(シュウ酸をアスコルビン酸から合成する)。過剰発現(遺伝子3、4、5)又はノックアウト(遺伝子1、2)を目的とするいくつかの形質転換ベクター構築物であるP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)相当物を調製した。
【0067】
形質転換手順で、pyrG遺伝子におけるフレームシフト突然変異を有するウラシル要求体であるP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)ウィスコンシン(Wisconsin)54−1255 pyrG(−)株(Banuelosら、2001)をレシピエント株として使用する。1次形質転換体の選択には、自己複製プラスミドpAM9L(pyrG)を使用し、同時形質転換DNAを含む株の2次優性選択には、ストレプトアロテイチャス・ヒンズスタヌス(Streptoalloteichus hindustanus)からのブレオマイシン/フレオマイシン耐性遺伝子(ble)を真菌プロモーター(アクレモニウム・クリゾゲヌム(Acremonium chrysogenum)のcefEF遺伝子プロモーター)の制御下に含む組込みプラスミドpEF43を使用する。同時形質転換遺伝子(上記に列挙する1〜5)を、過剰発現の場合(遺伝子3、4、5)、内在性遺伝子特異的プロモーター及びターミネーター配列を含むベクターpEF43に、又は遺伝子サイレンシングの場合(1、2、それぞれ約750−1000bpsを保持している)、構造遺伝子の内部断片しか含んでいない5’−及び3’−欠失変異体にクローンする。遺伝子1及び2の宿主ゲノムへの(相同)組込み並びにサイレンシングを促進するために、電気穿孔の前に、制限酵素(Casqueiroら、1999)で相同なP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)配列内を一か所切断して、対応するベクターを直線化する(Van de Rheeら、1996)。
【0068】
電気穿孔法を使用するショットガン同時形質転換実験で、プラスミドpAML9L及び5つのpEF43−誘導体を一緒に混合する(それぞれ100ng)。必要に応じて、5−フルオロ−オロト酸(FOA)、ウリジン、及びフレオマイシンをそれぞれ、ツァペック培地に最終濃度1mg/ml、100μg/ml、及び30μg/mlで添加する(Diezら、1987)。
【0069】
ドナーDNA配列の共挿入物を含有する数個の多重遺伝子導入体を特定し、96−マイクロウェルプレートで生育し、遺伝子1〜5の存在及び相対的発現、並びにペニシリン及びシュウ酸の存在について、RT−PCRで解析した。van Gullikら(2000)によって本質的に記載されているように、マイクロウェルプレートの優良株(PAF03−247)を、さらに培地組成物(この実施例では、100g/Lのグルコース)、並びに調製及びケモスタット系、並びに培養物を含む有効容量1Lの撹拌槽型反応器(Applikon、オランダ スヒーダム(Schiedam,The Netherlands))中での発酵実験にかける。
【0070】
発酵中、さらに通気によって増強された生育相後に、Ca2+、Co2+、及びZn2+(Me2+)イオンについて、発酵ブロス中で効率的にシュウ酸及び他の酸のイオンに結合し、したがって反応を最終生産物であるMe−シュウ酸塩及びペニシリンの形成に推進するその能力を試験する。
【0071】
PAF03−247株、及び全くpAML9LからのpyrG遺伝子だけを含む対照のPAF03−9株について、本質的な結果は、(追加の)シュウ酸合成能力が導入されること、及びシュウ酸分解又は代謝回転が、Me−又はCa−シュウ酸塩として細胞外沈殿することにより助長されて阻害されることによって、ペニシリンとシュウ酸の全生産性がどちらも上がることを実証している。さらに、(全般的な説明で示唆した通り)マイクロシーブ及び沈殿装置を使用することによって、カルシウム−シュウ酸塩沈殿物を得る。
【0072】
(実施例7:ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)のカップリング、及び脂肪酸生産酵母クリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)におけるシュウ酸/酢酸の生産)
PUFAのヒトの消費は、健康促進効果(例えば、冠疾患及び腸癌の予防)及び乳児の脳の発達と関連している。
【0073】
(例えば、マッシュルームであるツクリタケ(Agaricus bisporus)も属している)担子菌類のグループに属する脂肪酸生産酵母のC.クルバタス(C.curvatus)によるPUFAの生産性を上げるために、還元相当物の協調生産及び消費を発酵プロセス工学によって実現する。ムコール・シルシネロイデス(Mucor circinelloides)やモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)などの脂質蓄積性真菌では、脂肪酸生合成を制限する重要なステップは、十分な還元相当物の供給であることが示唆されている(Ratledge、2002)。他の担子菌類におけるシュウ酸又はギ酸の生産及び排出に関する報告はあるが、C.クルバタス(C.curvatus)におけるものはまだない。したがって、不完全酸化生産物であるシュウ酸及び酢酸を過剰生産及び排出する追加の能力を、C.クルバタス(C.curvatus)の発酵方法に導入することに着手した。その後、CaCO3を使用して、シュウ酸塩/酢酸塩の混合物を発酵ブロスから取り出し、したがってCa−シュウ酸塩/酢酸塩の結晶がシンクとして形成される。
【0074】
発酵槽A、及び酸素供給を最適に維持する対照発酵実施Bで、C.クルバタス(C.curvatus)ATCC 20509株を、対数期の中間部における酸素欠乏ステップを含めて、並行発酵実験(Meestersら、1996)にかける。
【0075】
発酵開始から、発酵槽A及びBで共に、酸素過剰条件を、撹拌機速度1000rpm及び通気1vvmで維持する。24時間後(対数期の中間部を通して)、酸素制限条件を、発酵槽Aにのみ通気0.2vvm及び撹拌300rpmで適用する。72時間後に、発酵を終了し、分析を行った。
【0076】
その結果、追加の還元相当物の生成によって、実に脂肪酸の生合成及び蓄積が促進されるのが観察される。発酵槽Aへのシャントとして使用されているマイクロシーブ/沈殿装置によって、Ca−シュウ酸塩結晶の沈殿及び分離が可能になった。
【0077】
結果は、酸素移動の低減、その後のシュウ酸塩及び酢酸塩の合成、及び細胞外でのシュウ酸塩及び酢酸塩の除去によって、脂肪酸生産微生物における(長鎖ポリ不飽和)脂肪酸の生産を目的とする工業方法の生産性が促進されることを示唆している。
【0078】
(実施例8:リシンと乳酸との非理想溶液、塩、又は(不溶性)複合体の形成)
細胞における2つの有機対イオンのカップルの形成には、利点がある。第1に、カップルの形成によって、単一イオンの濃度が下がるので、細胞は高濃度を経験しない。したがって、フィードバック阻害がより少ない。第2に、沈殿又は複合体形成が起こると、より少ない容積の発酵培地での下流のプロセッシングが可能になる。2つの有機対イオンからなる多くの塩は、科学文献に記載されている(表3)。この実験では、リシン(L−リシン・HClを使用する)と乳酸、酢酸、コハク酸、又はクエン酸のカップルを、その複合体形成能力に関して試験する。この実験では、2つの対イオンを有する溶液の伝導率を測定する。等モル比の対イオンを0〜2Mの濃度で混合する。2M KOH中の保存溶液の希釈液を使用することによって、伝導率測定に使用された濃度すべてにおいて、pHを7に設定する。
【0079】
表2から、L−リシンと乳酸の溶液の伝導率は、1.0〜1.2Mの濃度で最大に到達し、次いで使用された最高濃度(2.0M)まで下がることが明らかである。これは、より低い構成要素濃度によく似ている相互作用(非理想溶液、複合体形成、結晶化)が生じることを示唆している。したがって、in vivo状況では、細胞はより低い構成要素濃度を経験するが、その実際の濃度ははるかに高いことがある(実に、>2M)。
【0080】
【表2】
表2:リシンと乳酸の等モル溶液の伝導率
【0081】
リシンと酢酸、リシンとコハク酸、及びリシンとクエン酸の対について、同様な結果が得られる。
【0082】
複合体は、タンパク質のようなより大きな分子と、κ−カゼイン・乳酸などの短いカルボン酸との間でも形成し得る(Oeda、1978)。
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72.Van der Rest ME,Lange C,Molenaar D.、「電気穿孔後の熱ショックによって、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)と異種プラスミドDNAとの高効率な形質転換が誘導される(A heat shock following electroporation induces highly efficient transformation of Corynebacterium glutamicum with xenogeneic plasmid DNA)」、Applied Microbiology and Biotechnology 52(1999)541−545.
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76.Verma V,Qazi GN,Parshad R.、「グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)とコリネバクテリウム種(Corynebacterium species)との属間プロトプラスト融合(Intergeneric protoplast fusion between Gluconobacter oxydans and Corynebacterium species)」、J Biotechnol 26(1992)327−330.
77.Wijayarathna CD,Wachi M,Nagai K.、「コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からのペプチドグリカン合成に関与するftsI及びmurE遺伝子の単離(Isolation of ftsl and murE genes involved in peptidoglycan synthesis from Corynebacterium glutamicum.)」、Appl Microbiol Biotechnol.55(2001)466−470.
78.Yanase H,Mori N,Masuda M,Kita K,Shimao M,kato N.「アルカリ性培地中、エンテロコッカス・カセリフラブス(Enterococcus casseliflavus)a−12によるグルコナートからのピルバート生産(Pyruvate production by Enterococcus casseliflavus a−12 from gluconate in an alkaline medium)」、Journal of Fermentation and Bioengineering 73(1992)287−291.
付録1
縮重又は特異的PCRプライマーの設計及びその後の遺伝子単離に使用される、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrezのゲノム情報
1a:G.オキシダンス(G.oxydans)リシントランスポーター(lys1)遺伝子を単離するのに使用された配列
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の適用可能な(完全)ゲノム配列をベースとして設計された縮重PCRプライマーを使用して、遺伝子を単離した:スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)N315、gi29165615、NC_002745.2;メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099、gi13470324、NC_002678.1;ラクトコッカス・ラクチスの亜種ラクチス(Lactococcus lactis subsp.lactis)II1403、gi15671982、NC_002662.1;大腸菌(Escherichia coli)K12、gi1612799、NC_000913.1;ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)13株、gi18308982、NC_003366.1;ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)NCTC 13129、gi38232642、NC_002935.2;クロストリジウム・アセトブチリクム菌(Clostridium acetobutylicum)ATCC 824 gi15893298、NC_003030.1;大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、gi15829254、NC_002695.1;アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株、gi15890089、NC_003063.1;アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株、gi15887359、NC_003062.1;シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021、gi15963753、NC_003047.1;ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)WCFS1、gi28376974、NC_004567.1;シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymB、gi16263748、NC_003078.1;シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymA、gi16262453、NC_003037.1;コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC 13032、gi23308765、NC_003450.2;セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579、gi30018278、NC_004722.1;肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)R6、gi15902044、NC_003098.1;バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、gi16077068、NC_000964.1;緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PA01、gi15595198、NC_002516.1。
Ib:グルコノラクトナーゼ(gluconolactonase)遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するのに使用された配列
ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)(Kanagasundaram and Scopes、1992)及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の他の適用可能な(完全)ゲノム配列をベースとして設計された縮重PCRプライマーを使用して、遺伝子を単離した:メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099(gi13470324、NC_002678.1)、ピレルラ種(Pirellula sp.)1(gi32470666、NC_005027.1)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110(gi27375111、NC_004463.1)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)16M 染色体I(gi17986284、NC_003317.1)、ラルストニア・ソラナセアルム(Ralstonia solanacearum)GMI1000 プラスミドpGMI1000MP(gi17548221、NC_003296.1、サーモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)GSSl(gi13540831、NC_002689.2)、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)R1 第1染色体(gi15805042、NC_001263.1)、ピアス病菌(Xylella fastidiosa)9a5c(gi15836605、NC_002488.1)、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gi17936711、NC_003305.1)、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gi15890089、NC_003063.1)、ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2)(gi32141095、NC_003888.3)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymB(gi16263748、NC_003078.1)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymA(gi16262453、NC_003037.1)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009(gi39933080、NC_005296.1)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)RB50(gi33598993、NC_002927.3)、トマト斑葉細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.tomato)DC3000株(gi28867243、NC_004578.1)、ピアス病菌テメキュラ(Xylella fastidiosa Temecula)1(gi28197945、NC_004556.1)、ブタ流産菌(Brucella suis)1330 染色体II(gi23499767、NC_004311.1)、かんきつ潰瘍病菌(Xanthomonas axonopodis pv.citri)306株(gi21240774、NC_003919.1)、アブラナ科野菜黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv.Campestris)ATCC 33913株(gi21229478、NC_003902.1)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)CB15(gi16124256、NC_002696.2)。
1c:グルコン酸キナーゼ遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するのに使用された配列
グルコン酸キナーゼ遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するのに使用された配列を、Fujita及びFujita、1987;Yanaseら、1992;Izuら、1994;Isturiz T,Celaya J.,1997からのDNA配列情報、及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の他の適用可能な(完全)ゲノム配列を使用して得た:スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)N315(gi29165615、NC_002745.2);炭疽菌(Bacillus anthracis)Ames 0581株(gi47525254、NC_007530.1);メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099(gi13470324、NC_002678.1);大腸菌(Escherichia coli)K12(gi16127994、NC_000913.1);フォトラブダス・ルミネセンスの亜種ラウモンディ(Photorhabdus luminescens subsp.laumondii)TTO1(gi37524032、NC_005126.1);ウシ型結核菌の亜種ボビス(Mycobacterium bovis subsp.bovis)AF2122/97(gi31791177、NC_002945.3);ネンジュモ種(Nostoc sp.)PCC 7120(gi17227497、NC_003272.1);ペスト菌(Yersinia pestis biovar Medievalis)91001株(gi45439865、NC_005810.1);ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110(gi27375111、NC_004463.1);ラルストニア・ソラナセアルム(Ralstonia solanacearum)GMI1000(gi17544719、NC_003295.1);デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)R1 第1染色体(gi15805042、NC_001263.1);チフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhi)CT18株(gi16758993、NC 003198.1);スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)Mu50(gi15922990、NC_002758.1);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)MC58(gi15675948、NC_003112.1);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)NCTC 13129(gi38232642、NC_002935.2);ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NCC2705(gi23464628、NC_004307.1);大腸菌(Escherichia coli)O157:H7(gil5829254、NC_002695.1);グロエオバクター・ビオラセウス(Gloeobacter violaceus)PCC 7421(gi37519569、NC_005125.1);アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gi17933925、NC_003304.1);アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gil5887359、NC_003062.1);ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)MA−4680(gi29826540、NC_003155.2);ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)WCFSl(gi28376974、NC_004567.1);ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2)(gi32141095、NC_003888.3);シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymB(gi16263748、NC_003078.1);ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009(gi39933080、NC_005296.1);ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)LT2(gi16763390、NC_003197.1);ビブリオ・ブルニフィカス(Vibrio vulnificus)YJ016 染色体I(gi37678184、NC_005139.1);ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)NCC 533(gi42518084、NC_005362.1);オーシャノバチルス・イヘエンシス(Oceanobacillus iheyensis)HTE831(gi23097455、NC_004193.1);クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)ATCC 12472(gi34495455、NC_005085.1);シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)2a 2457T株(gi30061571、NC_004741.1);セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579(gi30018278、NC_004722.1);チフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhi)Ty2(gi29140543、NC_004631.1);トマト斑葉細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.tomato)DC3000株(gi28867243、NC_004578.1);表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)ATCC 12228(gi27466918、NC_004461.1);ビブリオ・ブルニフィカス(Vibrio vulnificus)CMCP6 染色体I(gi27363490、NC_004459.1);大腸菌(Escherichia coli)CFT073(gi26245917、NC_004431.1);シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440(gi26986745、NC_002947.3);シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)2a 301株(gi24111450、NC_004337.1);エルシニア・ぺスチス(Yersinia pestis)CO92株(gi16120353、NC_003143.1);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型A Z2491株(gi15793034、NC_003116.1);エルシニア・ぺスチス(Yersinia pestis)KIM(gi22123922、NC_004088.1);かんきつ潰瘍病菌(Xanthomonas axonopodis pv.citri)306株(gi21240774、NC_003919.1);アブラナ科野菜黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv.Campestris)ATCC 33913株(gi21229478、NC_003902.1);大腸菌(Escherichia coli)O157:H7 EDL933(gil6445223、NC_002655.2);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PA01(gil5595198、NC_002516.1);エルトール型O1コレラ菌(Vibrio cholerae O1 biovar eltor) N16961株 染色体I(gil5640032、NC_002505.1);腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)RIMD 2210633 染色体I(gi28896774、NC_004603.1);コリネ菌(Corynebacterium efficiens)YS−314(gi25026556、NC_004369.1);スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)MW2(gi21281729、NC_003923.1);シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)染色体I(gi19113674、NC_003424.1);シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)染色体V(gi32967584、NC_003283.3);シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)染色体II(gi25168254、NC 003280.2).
1d:シュウ酸生合成、分解(breakdown)、及び搬出(export)に関与するP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)及びA.ニガー(A.niger)の遺伝子を単離するのに使用された配列
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の適用可能な(完全)ゲノム配列:ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2)、gi32141095、NC_003888.3;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)第1染色体 、gi42592260、NC_003070.5;髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型A Z2491株、gi15793034、NC_003116.1;mgap007xE14f.b イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)Ap Uni−Zap XR Library イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)cDNAクローン;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)第1染色体、gil2063420、gbAE005172.1;エノキタケ(Flammulina velutipes)シュウ酸脱炭素酵素(OXDC)遺伝子、gi6468005、gbAF200683.1;シュウ酸酸化酵素(oxalate oxidase)(HvOxOa)用のAF200683 オオムギ(Hordeum vulgare)mRNA、gi2266667、emb、Y14203.1;シュウ酸酸化酵素(oxalate oxidase)様タンパク質用のHVY14203[2266667]H.ブルガレ(H.vulgare)mRNA、gi1070357、emb、X93171.1;シュウ酸脱炭素酵素アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株 染色体:線状遺伝子ID:1136645;シュウ酸脱炭素酵素セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579、遺伝子ID:1204732;シュウ酸脱炭素酵素ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110、遺伝子ID:1049607;シュウ酸脱炭素酵素セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579、遺伝子ID:1203380;溶質キャリア26ファミリー(硫酸トランスポーター)、メンバー1、ハツカネズミ(Mus musculus);硫酸アニオントランスポーター−第1染色体:5;位置:5F 遺伝子ID:231583;α−1−ミクログロブリン/ビクニン前駆体ホモサピエンス。
付録2
公開された市販のアミノ酸と有機酸との複合体
【表3】
表3:文献から検索された塩基性アミノ酸−カルボン酸複合体の例
ウェブサイトhttp://www.buyersguidechem.info/AnameEin.php(化学品及び化学品供給業者のディレクトリ)に、市販の有機塩の例として、アルギニン・酢酸、リシン・酢酸、オルニチン・酢酸、リシン・コハク酸、アルギニン・α−ケトグルタル酸、オルニチン・α−ケトグルタル酸、アルギニン・アスパラギン酸、アルギニン・グルタミン酸、リシン・グルタミン酸、オルニチン・アスパラギン酸がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも第1及び第2の発酵生産物を生産するための発酵方法に関する。これらの発酵方法では、基質の変換効率は、還元相当物が生産生物内でリサイクルされるように、それぞれが相互に対して且つ基質に対して特定の酸化状態を有する第1及び第2の発酵生産物を同時生産することによって改善され、それによって、基質のCO2への完全酸化の必要性が低減する。本発明の発酵方法の別の改善は、弱アルカリ性化合物及び弱酸性化合物の同時生産を含み、且つ/又は第1及び第2の発酵生産物は、生産物を効率的に取り出すための(不溶性)複合体又は塩を形成することができる。あり得る改善としては、容積生産性の改善で現れることもある。
【背景技術】
【0002】
発酵産業では、炭水化物は、一般に原材料、すなわち基質として使用され、通常は、例えばいくつかのアミノ酸の場合と同様に、基質と同じ又はそれより還元された状態を有し、或いは例えば大部分の有機酸の場合と同様に、基質より酸化された状態を有する化合物の発酵生産のための炭素及びエネルギーの供給源である。炭素及びエネルギーの供給源より還元された状態を有する化合物が生産される発酵方法では、生産生物は、かなり大きな還元力が必要である。この還元力は、基質のCO2への完全酸化によって生成される。したがって、基質のかなりの部分がCO2の生産で失われ、方法の全効率が低減する。さらに、基質のCO2への完全酸化では、通常は余剰還元力が生成される。この余剰還元力を、基質のバイオマスへの変換で使用することができ、且つ/又は代謝エネルギーを(ATP又はプロトン駆動力の形で)生成するために使用することができる。代謝エネルギーの高い有効性によって、やはりバイオマスの形成が起こる。この基質のバイオマスへの変換は、さらに方法の全効率を低減させる。呼吸するため、生物は大量の酸素を必要とし、大量の熱を生産する。酸素移動容量及び冷却容量は、通常は工業用発酵方法において律速であり、これらの容量をどちらも増大させることは、資本集約的であり、又は発酵槽システムの物理的制約のため不可能である。したがって、当技術分野では、基質の生産物への変換効率が改善され、容積生産効率がより高く、熱発生が低減され、且つ/又は酸素要求量が低減された発酵方法が求められている。本発明の目的は、このような改善された方法を提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、基質の変換効率が向上され、容積生産速度がより高く、熱発生が低減され、且つ/又は酸素要求量が低減された発酵方法に関する。本発明の第1の態様では、これらの改善された発酵諸特性は、生育及び生産物形成のために生物によって必要とされた還元力が基質のCO2への完全酸化によって生成されることを回避し且つ/又は低減することによって実現される。多くの発酵方法では、最終生産物は、最終生産物の生産に使用される基質より還元された状態である。その結果、生物は、NADH、NADPH、又はFADHの形の還元力が必要となる。好気性生物では、還元力は、大いに経済的な価値を有する生産物でないCO2への基質の完全酸化によって生成される。本発明は、基質のCO2への完全酸化を回避し又は低減するが、むしろ基質の酸化状態より高く、同時にCO2の酸化状態より低い酸化状態を有する第2の生産物への基質の不完全酸化によって十分な還元力を生成することを目的とする。これは、部分的に嫌気性とすることができる不完全酸化代謝を生産生物に強制し、又はそれを可能にすることによって実現され得る。多数の細菌、酵母、及び糸状菌は、有機酸を蓄積するそれらの能力によって明らかなように、このような不完全酸化を行うことができる。例えば、有機酸への不完全酸化によって、生物は、NADH又は他の還元相当物を生成し、これは、例えばアミノ酸などの基質より還元された状態を有する第1の最終生産物に基質(例えば、炭素供給源)を還元するために使用され得る。
【0004】
したがって、第1の態様では、本発明は、生産生物による基質の第1の発酵生産物及び第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、生物が、基質の第1の発酵生産物への変換のための第1の代謝経路及び基質の第2の発酵生産物への変換のための第2の代謝経路を含み、第1の発酵生産物が基質より還元された状態であり、且つ第2の発酵生産物が基質より酸化された状態であり、第1及び第2の経路が、生物におけるその同時作用によって、生物における還元力のリサイクルが可能になるという点で相補的であり、第2の発酵生産物が、最終酸化生産物CO2より酸化されていない状態であり、基質に対する第1及び第2の発酵生産物の合計収率が、それぞれCモル基準で少なくとも40%である方法に関する。
【0005】
本発明の方法は、発酵生産物を生産するための方法であって、発酵生産物が、生物、好ましくは微生物によって生産することができる任意の有用な化合物又は有用な化合物群を意味すると理解される方法である。発酵生産物は、生物の代謝の最終又は中間の代謝産物とすることができる。この代謝は、生物の自然代謝、又は例えばヒトの介入によって生物で改変された非自然代謝とすることができる。したがって、本発明の文脈では、発酵生産物には、例えばモノ−、オリゴ−、及びポリマー炭水化物を含めて、炭水化物、糖、脂質、脂肪酸、アミノ酸、オリゴ−及びポリペプチド、タンパク質、有機酸、ビタミン、中間代謝産物、二次代謝産物、抗生物質、アルカノール、アルコール、ポリオール、アミン、ジアミン、ポリアミンが含まれる。しかし、本発明の文脈では、バイオマス、CO2、及び通常は熱の形のエネルギーは、「第1の発酵生産物」及び「第2の発酵生産物」という用語から明らかに除外されている。本発明の文脈では、CO2は有用な生産物とは見なされず、本発明の別の目的は、本発明の発酵方法で生産されたバイオマス及び熱の量を低減することである。
【0006】
本発明の方法では、基質は、好ましくは生産生物用の炭素及びエネルギーの供給源、好ましくは生物用の唯一の炭素及びエネルギーの供給源である。大部分の工業用発酵では、炭水化物を、生産生物用の炭素及びエネルギーの供給源として使用する。適切な炭水化物の炭素及びエネルギーの供給源は、発酵技術分野で周知であり、これには、例えばグルコース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、サッカロース、マルトース、トレハローズ、マルトデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、セロビオース、可溶性デンプン、糖蜜、コーンスターチ、リグニン、リグノセルロースなどが含まれる。本発明では、基質の酸化状態は、第1及び第2の発酵生産物の酸化状態がそれぞれ、それに対して定義される基準点である。しかし、実際には、炭水化物の炭素及びエネルギーの供給源を主に本明細書の実施例で述べる。しかし、本発明は、炭素及びエネルギーの供給源として炭水化物のみ使用することに決して限定されない。適切な非炭水化物の炭素及びエネルギーの供給源には、例えばグリセロール、マンニトール、クエン酸、アルカノール(例えば、メタノール又はエタノール)、ポリオール、脂質、脂肪酸、有機酸、アミン、アミノ酸、ペプチド、アルカン、アルカノアート、ヒドロキシ−アルカノアート、リグニン、及びその誘導体などが含まれる。
【0007】
本発明の方法では、第1及び第2の発酵生産物の酸化状態は、基質の酸化状態に対して定義される。第1の発酵生産物は、基質と同じ又はそれより還元された状態である。したがって、第1の発酵生産物は、基質の酸化還元電位と同じ又はそれより高い酸化還元電位を有する。逆に、第2の発酵生産物は、基質より酸化された状態であり、第2の発酵生産物で実現されるべき第2の規定は、それが最終酸化生産物CO2及びH2Oより酸化されていない状態であることである。したがって、第2の発酵生産物は、基質の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有し、第2の発酵生産物は、最終酸化生産物CO2及びH2Oの酸化還元電位より高い酸化還元電位を有する。基質、第1及び第2の発酵生産物はそれぞれ、酸化状態が異なる一群の様々な化合物からなることがある(下記も参照のこと)。このような場合、本明細書では、このような一群の化合物の酸化還元電位は平均酸化還元電位/Cモルと定義される。
【0008】
基質の酸化状態、及び1つの生産生物における基質の第1及び第2の発酵生産物への変換のための代謝経路の組合せのそれぞれに対する、第1及び第2の発酵生産物の酸化状態の選択はそれぞれ、第1及び第2の経路の同時作用によって、生物における還元力のリサイクルが可能になる状況を生物に生み出す。したがって、第1及び第2の経路は、第1の経路が通常はNADH、NADPH、又はFADHの形の還元力を必要とし、その還元力が最終酸化生産物CO2及びH2Oへの完全酸化によってではなく第2の経路によって生成されるという点で相補的である。
【0009】
本発明の方法の利点は、基質のより少ない量がCO2に変換され、より多い量が第1及び第2の発酵生産物に変換されることである。したがって、本発明の好ましい方法では、基質に対する第1及び第2の発酵生産物の合計生産物収率が、それぞれCモル基準で少なくとも30、35、40、50、60、70、80、又は90%である。本明細書では、Cモル基準での生産物収率(又は基質に対する生産物の収率係数;Yps)は、利用された基質中の炭素原子量当たりの生産された生産物中の炭素原子量を意味すると理解される。本発明の方法では、基質に対する第1及び第2の生産物のCモル基準での生産物収率は、実質的に互いに等しいことがあるが、大部分の場合、これは真実ではない。したがって、第1及び第2の発酵生産物のCモル基準での合計生産物収率の少なくとも51、52、55、60、65、70、75、80、又は90%は、第1又は第2の発酵生産物の生産物収率からなる。
【0010】
本発明の方法では、生産生物は、基質の第1及び第2の発酵生産物への変換中消費された基質と関係付けられたCモル基準で、酸素の量の30、20、18、15、12、10、8、又は5%未満しか消費しないことが好ましい。本明細書では、利用された基質に対する消費された酸素のCモル基準での変換係数(Cos)は、消費された基質Cモル当たりの使用されたO2モルを意味すると理解される。理論的には、本発明の方法を厳密な嫌気性条件下(すなわち、Cos=0.0)で実施することができ、このような方法は、本発明から排除されない。しかし、好ましい方法では、いくらかの酸素が消費される。このような方法は、部分嫌気性、半嫌気性方法、又は低酸素条件下で実施される微好気性方法と呼ばれることがある。
【0011】
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、利用された基質に対する生産されたバイオマスの収率係数は、30、25、20、15、10、5、又は2%未満である。本明細書では、利用された基質に対する生産されたバイオマスの収率係数(Yxs)は、利用された基質の量(グラム)に対する生産されたバイオマスの量(乾燥重量グラム)を意味すると理解される。
【0012】
本発明の方法の一実施形態では、第1の発酵生産物は1つより多い化合物を含む。このような場合、第1の発酵生産物における化合物のCモル当たりの平均還元状態は、基質のCモル当たりの平均還元状態より高い。好ましくは、第1の生産物中の化合物がそれぞれ、基質より還元された状態である。同様に、別の実施形態では、第2の発酵生産物は1つより多い化合物を含む。このような第2の発酵生産物中の化合物のCモル当たりの平均還元状態が基質のCモル当たりの平均還元状態より低い場合、第2の生産物中の化合物はそれぞれ、基質と同じ又はそれより酸化された状態である。
【0013】
基質が炭水化物であり、したがってその生産物が炭水化物と同じ又はそれより還元された状態である場合に、本発明の方法で生産される第1の発酵生産物の適切な例としては、例えばリシン、グルタミン酸、ロイシン、トレオニン、トリプトファンなどのアミノ酸;例えばアンピシリン、バシトラシン、セファロスポリン、エリスロマイシン、モネンシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、タイロシン、マクロライド、及びキノロンを含めて、抗生物質;例えば高度不飽和脂肪酸(PUFA)を含めて、脂質及び脂肪酸;エタノール、プロパノール、及びブタノールなどのアルカノール;1,3−プロパン−ジオール、ブタンジオール、グリセロール、及びキシリトールなどのポリオール;アセトンなどのケトン;アミン、ジアミン、エチレン;カロテノイド、カロテン、アスタキサンチン、リコペン、ルテインなどのイソプレノイド;アクリル酸、コレステロールやエルゴステロールなどのステロール;例えばビタミンA、B2、B12、C、D、E、及びKを含めて、ビタミン;及び、例えばオリゴペプチドを含めて、ペプチド、ポリペプチド、例えば工業又は医薬(薬剤)用途を有するタンパク質を含めて、タンパク質が挙げられる。工業用途を有するタンパク質又はポリペプチドの例としては、例えばリパーゼ(例えば、洗浄剤工業で使用される)、プロテアーゼ(とりわけ、洗浄剤工業、醸造などで使用される)、炭水化物分解酵素及び細胞壁分解酵素(果物加工、ワイン製造など又は飼料で使用されるアミラーゼ、グルコシダーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、β−1,3/4−及びβ−1,6−グルカナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、ガラクタナーゼ、エステラーゼなど)、フィターゼ、ホスホリパーゼ、グリコシダーゼ(アミラーゼ、β−グルコシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ラムノシダーゼ、アピオシダーゼなど)、乳酵素及び生産物(例えば、キモシン、カゼイン)などの酵素、ポリペプチド(例えば、ポリリシンなど、シアノフィシン及びその誘導体)が挙げられる。治療、化粧料、又は診断の用途を有する哺乳類、好ましくはヒトのポリペプチドには、コラーゲン及びゼラチン、インスリン、血清アルブミン(HSA)、並びにラクトフェリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
基質が炭水化物であり、したがってその生産物が炭水化物より酸化された状態である場合に、本発明の方法で生産される第2の発酵生産物の適切な例としては、グルカル酸、グルコン酸、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、イタコン酸、レブリン酸、キシロン酸、アコニット酸、アスコルビン酸、コウジ酸、及びコメリック酸など、例えば発酵によって生産され得る大部分の有機酸が挙げられる。上記の酸の誘導体及び塩が含まれ、酸の誘導体は、カルボニル基以外の任意の位置で1つ又は複数の置換を有する任意の誘導体とすることができる。
【0015】
より低い又はより高い酸化状態の炭水化物の基質を使用する場合、生産物はそれぞれ、特定の生産物が新しい基質の酸化還元より高い又は低い酸化還元状態を有するかどうかに応じて、第2の発酵生産物から第1の発酵生産物群に、又はその逆に移動されることを、当業者は理解するであろう。
【0016】
別の態様では、本発明は、第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、第1及び第2の生産生物が共発酵され、第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱有機酸又はその塩又はその誘導体である方法に関する。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は、第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、第1及び第2の生産生物が共発酵され、第1及び第2の発酵生産物が、適用発酵条件下で不溶性複合体又は不溶性塩を形成することができる方法に関する。好ましくは、第1及び第2の発酵生産物は、適用発酵条件下で非理想の溶液又は複合体、好ましくは不溶性複合体又は塩、好ましくは不溶性塩を形成することができる。このような条件には、弱アルカリ性又は弱酸性の化合物のそれぞれについて、例えば3M(3モル/リットル)、2M、1M、0.5M、250mM、100mM、50mMの濃度において、範囲の一端がpH4.0、5.0、又は6.0で、範囲の他端がpH7.0、8.0、又は9.0であるpH範囲がすべての様々な組合せで含まれる。非理想溶液又は(不溶性の)複合体若しくは塩を形成することができる好ましい組合せは、弱酸及び弱アルカリ性化合物の組合せである。(沈殿物を形成しない)非理想溶液又は可溶性複合体の生産は、その後に蒸発による濃縮ステップが意図されている場合、又はバイオマス除去後のステップで、発酵ブロスを、沈殿する複合体の形成が促進されるように処理する場合に好ましい方法とすることができる。溶液で(不溶性)複合体又は塩を形成することができる化合物の組合せのいくつかの例は、当技術分野で記載されている(表3)。しかし、上記の(不溶性)複合体又は塩は、溶液で形成される(不溶性)複合体の構成要素部分をほとんど排他的に含有する単純な化学的環境で形成された。下記に概説する実施例では、適切な実験条件下で、(不溶性)複合体又は塩のいくつかを、複合体発酵ブロスからも形成し単離できることが示されている。
【0018】
本発明の別の好ましい方法では、沈殿を増強するために、発酵ブロスを、メンブラン(例えば、実施例1、3、4、5、6でも使用された半透過性のマイクロシーブメンブラン)、又は蒸発によって濃縮する。本発明のこれらの方法では、第1及び第2の発酵生産物を全く同一の生物によって生産することができる。或いは、これらを1つより多い生物によって生産することもできる。例えば、第1の発酵生産物を第1の生物によって生産することもでき、第2の発酵生産物を第2の生物によって生産することもできる。このような場合、1つの発酵槽で、第1及び第2の生物を培養することができ、又は少なくとも1つのマイクロシーブをそれぞれが装備している例えば2つのパイプ又はチュービングなどの連結手段で連結されている2つの別々の発酵槽で、生物をそれぞれ培養することができる。この発酵槽配置では、可溶性培地構成要素は、マイクロシーブを含む連結手段を経由して第1及び第2の発酵槽間を循環するが、マイクロシーブによって、生産生物の循環が防止される。したがって、本明細書では、マイクロシーブは、代謝産物及び溶質を自由に通過させるが、細胞を自由に通過させない装置であると理解される。したがって、マイクロシーブは、通常はカットオフ限界が少なくとも1.0、2.0、5.0、10.0、20.0、100、200、500、若しくは1000kDaの、又は孔径/直径が0.15、0.22、0.45、若しくは0.5マイクロメートル以下の(限外)濾過膜又はメンブランである。適切な限外濾過膜及びメンブランは、当業者に公知であり、広く利用可能である。
【0019】
実施例1は、本発明の文脈で一般に利用することができるマイクロシーブメンブランの応用例を記述する。実施例1では、並列に配置され、このようなマイクロシーブの少なくとも1つをそれぞれが装備している2つのパイプ又はチュービングで連結された2つの発酵槽で、2つの異なる微生物を生育させる。この構築によって、培地しか循環されず、生物が分離されたままである2つ(以上)の発酵槽において、様々な生物の発酵が可能になる。それにもかかわらず、これらの微生物は代謝産物を交換することができ、したがって直接接触することなく連通される。実施例1では、例えば2つの生物の一方は、酸性代謝産物の排出によって培地のpHを下降させる傾向があるが、他方の生物は、培地のpHを上昇させる傾向がある。通常、これらのpHのシフトは、NaOHなどの塩基又はH2SO4やHClなどの酸を添加することによって防止される。実施例1では、このようなpH制御は、循環する培地によって省略することができる。場合によっては、これらのマイクロシーブメンブランを、並列に配置された2つ(以上)の発酵槽間の2つの連結チューブ又はパイプの両端に搭載された弁と共に使用することによって、半分離式反応器容積が生じることができ、そこで、酸/塩基(不溶性)複合体又は塩の形成を、金属イオン(Me2+、例えばCa2+)、エタノール、又は(不溶性)複合体若しくは塩の形成を促進する他の任意の分子などのヘルパー分子で促進することができる。選択性は、適切なマイクロシーブメンブランのタイプを選択することによって調整することができる。さらに、連結チューブ又はパイプのうちの1つは、膨張又は沈殿容器を装備することができ、そこにヘルパー分子を、追加のインレットを経由して添加することができ、形成された(不溶性)複合体又は塩を追加のアウトレットから取り出すことができ、したがって発酵中、生産物を常に除去することが可能になる。発酵槽システムにおいてこのような追加の死容積が生じることは、特に嫌気性又は微好気性の方法に適している。2つの発酵槽の一方が別の連結チューブ又はパイプで置換されている場合、マイクロシーブ/沈殿容器構築物を他の発酵槽へのシャントとしても操作できることを、当業者は理解するであろう。したがって、本発明の方法の別の実施形態では、連結手段はさらに、マイクロシーブによって第1及び第2の発酵槽から分離されている容器に連結する。容器では、第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件が適用されることが好ましい。第1及び第2の発酵生産物間で不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件は、下記から選択された1つ又は複数の条件であることが好ましい:
a)第1及び第2の発酵槽における温度より低い温度;
b)第1及び第2の発酵槽におけるpHと異なるpH;
c)第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進するヘルパー分子の濃度。(好ましいヘルパー分子は、金属イオン又は水混和性有機溶媒である。好ましい水混和性有機溶媒は、任意の比で水と混和することができる溶媒である);
d)例えば、(好ましくは細胞/バイオマスの除去後に、発酵ブロスの)蒸発によって、第1及び第2の発酵生産物の濃度を増大させること。
【0020】
したがって、本発明の方法では、発酵生産物である第1又は第2の生産物の1つは、弱有機酸、その塩、又はその誘導体であることが好ましい。本明細書では、弱有機酸は、pKa値が2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、又は4.8より高い有機酸と定義される。弱酸性化合物は、有機酸、抗生物質、酸性pIを有するタンパク質、アスパラギン酸又はグルタミン酸のようなアミノ酸からなる群から選択されることが好ましい。弱有機酸は、その塩及び誘導体を含めて、上記に列挙する有機酸からなる群から選択されることが好ましい。本発明の方法では同時に、他の発酵生産物、すなわち第2又は第1の生産物は、弱アルカリ性化合物、その塩、又はその誘導体である。本明細書では、弱アルカリ性化合物は、pKb値が11、10.8、10.6、10.4、10.2、10.0、9.8、9.6、9.4、9.2、9.0、8.8、又は8.6未満である化合物と定義される。本明細書では、pKb値は、−log10Kbと定義される(式中、Kbは、[BH+]*[OH−]を[B]で除したものと定義される)。弱アルカリ性化合物は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アルカリ性pIを有するポリペプチド、様々な抗生物質分子、アルカンジアミンからなる群から選択されることが好ましい。
【0021】
本発明の方法では、好ましくは、第1の代謝経路、第2の代謝経路、又は第1及び第2の両代謝経路の少なくとも一部分は、生物に自然には存在せず、活性でない。好ましくは、第1及び/又は第2の代謝経路を、生物の遺伝子修飾によって、生物に導入し、活性化する。代謝経路を導入し、又は活性化するように、生産生物の遺伝子修飾のための広範囲の技法を当業者は利用できる。技法には、交雑、交配、(種間及び種内の)プロトプラスト融合、及び化学物質(例えば、EMS、MMS)、放射線(UV、β線又はγ線)による突然変異誘発など古典的な遺伝子技法、並びに挿入、遺伝子破壊、遺伝子置換、トランスポゾン、アンチセンスRNA、コサプレッション、クウェリング、又はRNAiによるより最新の突然変異誘発技法が含まれる。場合によっては、突然変異誘発の後に、例えばハイスループットスクリーニングを使用して所望の修正を加えた変異体を選択することがある。遺伝子修飾は、例えば遺伝子又はcDNAのクローニング、遺伝子の発現又は不活性化のための核酸構築物の構築、及び核酸構築物を有する生物の形質転換、形質導入、形質移入、感染と、場合によってはその後に続く、上記に記載する所望の修正を加えた形質転換体の選択を含めて、組換えDNA技法によってもたらされる。所望の遺伝子修飾をもたらすために、上記の技法のいずれかを組み合わせ、且つ/又は1回又は複数回繰り返すことができることを、当業者は理解するであろう。本明細書の実施例には、これらの遺伝子技法の説明のための参考文献が記載されている。
【0022】
B.サブチリスの亜種サブチリス(B.subtilis subsp.subtilis)168株(分類学(taxonomy)におけるID:224308)のゲノム配列全体は、公開されている(Kunstら、1997;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy/Browser/wwwtax.cgi?id=224308)が、さらに最近になって、C.グルタミカム(C.glutamicum)(及び2つの他のコリネバクテリウム種(Corynebacterium spp.))のゲノム配列全体が、様々なゲノミクス技法(Kromerら、(2004)によって解析されて決定され(Ikeda及びNakagawa,2003;Kalinowskiら、2003)、標的変異体の生産の関連性が評価されている(Ohnishiら、2002)。十分に確立しているプロトプラスト融合技法と、例えば比較又は機能ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、フラックソミクスなどを含めて、さらに最新のゲノミクス(すべてのオミクス手法の集合名詞)を組み合わせて、全く新しい活動が本明細書に設計されており、これは「ゲノミックス(GenoMix)」と総称される。本明細書では、この用語は、単独の種又は培養物のために通常使用されるが、プロトプラスト融合生産物にも適用される確立しているすべてのゲノミクス技術の組合せのために使用される。例えば、プロテオミックスは、ハイブリッドタンパク質のスポット又はパターンの2Dタンパク質、ソフトウェア、及びMaldi−TOF支援集合解析を意味する。同様に、トランスクリプトミックス(TranscriptoMix)は、融合物の複合的な転写プロファイルの解析を意味し、フラックソミックス(FluxoMix)は、いずれかの融合パートナーの代謝産物フラックスの組合せの解析を意味する。
【0023】
本発明の方法では、生産生物は、in vitroで、例えば発酵槽中でその細胞を培養することができる任意の生物とすることができる。in vitroで培養することができる、植物及び脊椎動物のような高等生物からの細胞、具体的には昆虫及び哺乳類の細胞は、本発明の方法に使用するための生産生物として含まれる。しかし、好ましい生産生物は、細菌、真菌、酵母、藻類、又は原生動物などの微生物である。生産生物としての使用に好ましい細菌には、例えばアシネトバクター種(Acinetobacter sp.)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)、コリネ菌(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、大腸菌(Escherichia coli)、グルコノバクター種(Gluconobacter sp.)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、グルコノバクター・サブオキシダンス(Gluconobacter suboxydans)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、メタノコッカス種(Methanococcus sp.)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、ラルストニア種(Ralstonia sp.)、リゾビウム種(Rhizobium sp.)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)、ストレプトコッカス種(Streptococcus sp.)、及びザントモナス種(Xanthomonas sp.)が含まれる。生産生物としての使用に好ましい糸状菌には、例えばアスペルギルス種(Aspergillus sp.)、アスペルギリス・ニデュランス(Aspergillis nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、麹菌(Aspergillus oryzae)、ペニシリウム種(Penicillium sp.)、ペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、トリコデルマ種(Trichoderma sp.)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、及びモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)が含まれる。生産生物としての使用に好ましい酵母には、例えばサッカロミセス種(Saccharomyces sp.)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア種(Pichia sp.)、クルイベロミセス種(Kluyveromyces sp.)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、及びクリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)が含まれる。生産生物としての使用に好ましい藻類には、例えばクロレラ種(Chlorella sp.)、クロレラ・プロセコイデス(Chlorella prothecoides)、クリプテコディニウム種(Crypthecodinium sp.)、クリプテコディニウム・コーニー(Crypthecodinium cohnii)、ドゥナリエラ種(Dunaliella sp.)、ガルディエリア・スルフラリア(Galdieria sulphuraria)、モリネラ・マリヌス(Morinella marinus)、フォトバクテリウム・プロファンダム(Photobacterium profundum)、シゾチトリウム種(Schizochitrium sp.)、シュワネラ種(Shewanella sp.)、及びトラウストキトリウム種(Traustochytrium sp.)が含まれる。
【0024】
本発明の方法では、生産生物の細胞を、例えば細胞から単離し且つ/又は再構成される溶媒透過性細胞又は酵素系とは対照的に、生存可能な、好ましくは無傷の細胞として培養し又は使用することが好ましい。本明細書では、生細胞は、複製する能力を有する細胞と定義される。
【0025】
第1の発酵生産物としてリシン、及び第2の発酵生産物としてコハク酸を生産するための好ましい生物は、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である。第1の発酵生産物としてリシン、及び第2の発酵生産物としてグルタミン酸を生産するための好ましい生物は、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)である。第1の発酵生産物としてグリセロール、及び第2の発酵生産物としてグルタミン酸を生産するための好ましい生物は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。第1の発酵生産物としてアラニン、及び第2の発酵生産物としてシトラートを生産するための好ましい生物は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)である。第1の発酵生産物として脂肪酸、及び第2の発酵生産物としてオキサラート又はアセタートを生産するための好ましい生物は、クリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)である。第1の発酵生産物としてペニシリンGやVなどのβ−ラクタム抗生物質、並びに第2の発酵生産物としてオキサラート及び/又はクエン酸を生産するための好ましい生物は、ペニシリウム(Penicillium)属の真菌である。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、少なくとも2つの異なる発酵容積を含む発酵システムであって、発酵容積がそれぞれ、少なくとも1つの発酵槽を含み、様々な発酵容積が、マイクロシーブを含む連結手段を介して連結され、様々な発酵槽容量間での可溶性培地成分の循環が可能になるが、発酵容積間での生産生物の細胞の循環が防止されるシステムに関する。好ましくは、発酵システムでは、連結手段をさらに、マイクロシーブによって様々な発酵槽容量から分離されている容器に連結する。上記に記載する通り、容器は、発酵生産物の回収、濃縮、及び/又は沈殿のために使用することができる。発酵システムの別の実施形態を、上記に記載しているが、そこにはシステムが使用されている方法が記述されている。
【0027】
従来の好気性発酵方法に比べて、本発明の方法の利点には、下記が含まれる:
・第1及び第2の発酵生産物構成要素の生産速度のバランスがとれている間は還元相当物が補償されるため、基質効率が向上する。
・酸素要求量及び熱生成が低減し、それによって強力な通気及び大容量の冷却の必要性が回避される結果、ランニングコスト及び投資コストが低下する。さらに、容積生産性を上げることができ、したがって最終生産物の価格に対する投資コストの寄与が低減する。1つの単独の発酵槽における様々な生物の共培養若しくは共発酵、又は1つの生物内での代謝工学により生合成経路を組み合わせることによって、この場合は、2つ以上の発酵生産物を1回の発酵実施で生産することができる(実施例2、3、4、5、6)。
【0028】
従来の嫌気性発酵方法に比べて、本発明の方法の利点には、下記が含まれる:
・第1及び第2の生産物の形成によって、完全な酸化還元バランスが生じない場合、呼吸によって、余剰還元力が取り除かれる。
・第1及び第2の生産物の形成によって代謝エネルギーが生じない場合、呼吸によって、還元力が代謝エネルギーに変換され得る。
両方の利点によって、より広い生産物スペクトルがもたらされる。
【0029】
クエン酸のような酸性生産物の発酵生産の最中、発酵ブロスの過剰な酸性化を回避するのに中和が必要である。同じことが、リシンのような塩基性最終生産物の場合も当てはまる。酸性生産物(例えば、グルコン酸)と塩基性生産物(例えば、リシン)の同時発酵生産によって、いくつかの追加の利点がもたらされる:
・酸性又は塩基性のpH制御化合物の添加の必要性が少なく、又は全くなく、おそらくより高い生産速度及び/又は濃度ももたらされる。
・アミノ基及び酸性基を含む分子は会合して、沈殿することができる溶解性が低減された(不溶性)複合体又は塩を形成することができる。したがって、発酵ブロス中の(可溶性)生産物の濃度が低減し、それによって生産物のフィードバック阻害が回避され、より高い容積生産速度が可能になる。
・下流のプロセッシングの最中、酸/塩基(不溶性)複合体又は塩の溶解性が低いことは有利であり得る。というのは、従来の方法によるものより少ないエネルギー及びヘルパー化合物しか1つとしない技法を使用して、2つの複合構成要素を希釈プロセス流のかなり小さい容量から精製することができるからである。
【0030】
本文献及びその特許請求の範囲では、動詞「含む」及びその活用形は、その単語に続く品目が含まれるが、具体的に記載されていない品目も排除されないことを意味するようにその非限定的な意味で使用される。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素という言葉は、文脈上から、要素が唯一つしか存在していないことがはっきりしていない限り、1つより多い要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常は「少なくとも1つの」を意味する。
【実施例】
【0031】
(実施例1:リシン生産性コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)及びグルコン酸生産性グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)の変異体の共発酵)
この実施例は、共発酵と呼ばれ、2つの発酵槽におけるC.グルタミカム(C.glutamicum)とG.オキシダンス(G.oxydans)の2つの細菌種の培養が関与する手順によるリシン及びグルコン酸の同時生産を実証する。pH制御の必要性を回避するために、2つの発酵槽(Cgの場合、A、Goの場合、B)を使用し、そのうちの一方では、塩基性アミノ酸が生産され、他方の発酵槽では、有機酸が生産される。2つの発酵槽は、細胞ではなく、培地及びその構成要素すべてしか通過させない半透過性のマイクロシーブ(全般的な説明においても記述されている)を含むチューブ又はパイプで連結されている。したがって、この方法は、共培養又は共固定化(Aiguo及びPeiji、1998)に似ているが、この場合、細菌種を混合することをしない。
【0032】
C.グルタミカム(C.glutamicum)は、そのリシン生産のため公知である(Ikeda、2003)。改善のための生産プロセス及び選択肢を記述する数理モデルが設計されている(Ensari及びLim、2003)。さらに、相当な量のグルタミン酸(Wijayarathnaら、2001)及びいくつかの他のアミノ酸を形成することができる。グルコン酸過剰生産性株のG.オキシダンス(G.oxydans)を、共発酵実験(グルコン酸生産及び排出)で、C.グルタミカム(C.glutamicum)(リシン生産及び排出)と共に使用した。C.グルタミカム(C.glutamicum)は通性嫌気性であり、G.オキシダンス(G.oxydans)は絶対好気性である。
【0033】
グルコン酸及びリシンの過剰生産の最中、生産生物又はその共発酵パートナーによって排出された生産物(代謝産物)の消費は防止されるべきである(例えば、Leeら、1998を参照のこと)。したがって、C.グルタミカム(C.glutamicum)及びG.オキシダンス(G.oxydans)のグルコン酸及びリシン取り込み変異体は、共培養手順に関与するいずれかの種で調製される(例えば、Popkin及びMaas、1980;Revellesら、2004を参照のこと)。さらに、グルコン酸オペロン(遺伝子クラスター)、及びグルコン酸代謝に間接的に関与する他の遺伝子は、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(Fujita及びFujita、1987;Fujita及びMiwa、1994)及び大腸菌(Escherichia coli)(Izuら、1997)を含めて、いくつかの生物で特定されている。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の追加情報によって、D−グルコン酸からD−6−P−グルコン酸への変換に関与するグルコン酸分解性酵素、さらに具体的にはグルコン酸キナーゼ遺伝子をコードするC.グルタミカム(C.glutamicum)とG.オキシダンス(G.oxydans)の両方において、遺伝子を特定、単離、破壊することが可能になる。G.オキシダンス(G.oxydans)の利用可能なリシン取り込み変異体は知られていないので、従来のUV突然変異誘発後に、いくつかの候補株が単離される。選択するためには、最少の培地を使用し、唯一の炭素及びエネルギーの供給源としての必須構成要素及びリシンを追加する。続いて、レプリカ平板法を行った後生存していないコロニーをさらに分析する。この方法によって、適切な候補変異体の偶発的単離が可能になるが、方法は、特にその特定のため、及びリシン取り込みに関係していない致死突然変異の発生のため困難である。さらに、工業生産株において、ランダムで無関係な突然変異の蓄積は、望ましくない。したがって、相同組換えによるG.オキシダンス(G.oxydans)におけるリシントランスポーター(lys1)遺伝子のサイレンシングを用いる直接手法も行われる。lys1遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するため、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez、さらに具体的には付録Iaに列挙されている生物から、BLAST検索及びPCRプライマー設計用の情報を使用した。ベクター構築物及び形質転換手順に関する詳細情報は、C.グルタミカム(C.glutamicum)の場合、Van der Restら、(1999)、Jang及びBritz、(2000)、Jangら、(2001)、並びにKreutzerら、(米国特許出願公開第2003/0162269号)によって記載されている通りであり、宿主としてのDSM 5715株、クローニング及び発現ベクターとしてのプラスミドpEC7、及びDNA転移のための電気穿孔法(Creavenら、1994)を使用する。G.オキシダンス(G.oxydans)ATCC 9937株の場合、記載されている通り、クローニング用シャトルベクターとしてのプラスミドpBBR122(mob CmrKm’)、及び電気穿孔法を使用する(Fukayaら、1985;Mostafaら、2002)。宿主ゲノムへの(相同)組込みを促進し、形質転換効率を改善するために、電気穿孔の前に、1か所切断する制限酵素を用いた制限により、ベクターを直線化する。
【0034】
得られた組換え物を、サザンブロット解析、PCR、及び生理的技法で検査する(生育試験は上記に示す通りである)。
【0035】
この実施例について全般的な説明で示唆する通り、並列に配置され、半透過性のマイクロシーブ及び両端に弁を装備した2つのパイプで連結され、したがって細胞を混合することなく、2つの発酵槽間での培地の循環が可能になる2つの発酵槽で、C.グルタミカム(C.glutamicum)とG.オキシダンス(G.oxydans)の2つの生物を生育させる。
【0036】
共発酵の場合、相互連結させた2つの有効容量1Lの撹拌槽型反応器(Applikon、オランダ スヒーダム(Schiedam,The Netherlands))に対して、個別に終夜前培養したものから2つの細菌種を接種材料として使用する(2*100mL グルコース及び必要に応じて補完物を含有する最少の培地;組成物を両生物の生育が可能になるように調整する)。
【0037】
発酵(実験A)中、グルコース濃度、dO2、CO2濃度、pH、撹拌機速度、及びバイオマスなど、必須パラメータすべて、並びに培地と抽出された細胞ペレットの両方におけるリシン及びグルコン酸の濃度を決定する。対照(実験B)として、発酵実施全体で、2つの発酵槽を連結するパイプの4つの弁をすべて閉じたままにして、同じ実験を繰り返す。実験Aと同様には、pHは調整されず、したがってG.オキシダンス(G.oxydans)の実施では下がり、C.グルタミカム(C.glutamicum)の実施では上がる。グルコースからグルコン酸を合成するには酸素が必要であるので、通気を、撹拌機速度1000rpm及び通気1vvmで最適に維持する。24時間後に、発酵を終了する。
【0038】
結果は、2つの発酵槽間の連結チューブから採取された試料で測定して、共発酵(実験A)中、pHは7.3(初期値)から発酵実施の終わりに6.5にシフトするだけであり、個々の発酵実施(実験B)では、G.オキシダンス(G.oxydans)培養の場合、pHは、pH3.2に下がる恐れがあり、C.グルタミカム(C.glutamicum)の場合、pH8.9に上がる恐れがあることを示唆している。さらに、おそらく共発酵実験では有害なpHシフトがないため、リシン及びグルコン酸の生産性は上昇する。
【0039】
(実施例2:リシン生産性コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)と酢酸生産性バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)の属間プロトプラスト融合;リシンと酢酸の合成経路の組合せ(ゲノミックス(GenoMix)))
バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)では、pta及びackA遺伝子の生産物、ホスホトランスアセチラーゼ及び酢酸キナーゼは、このグラム陽性菌における炭素代謝の最も大量の副生物の1つである酢酸の生産において重要な役割を果たす(Presecanら、1999)。
【0040】
この実施例では、B.サブチリス(B.subtilis)のこの酢酸合成経路とC.グルタミカム(C.glutamicum)のリシン合成経路を組み合わせるために、属間プロトプラスト融合の技法を使用する。植物及び真菌、また細菌に関しては、親生物又は株の所望の特性を組み合わせるためにプロトプラスト融合技法が広く使用されている。実際、これは、必須DNA配列がすべて、融合物中に、少なくとも初期に存在していることが保証されている唯一の人工組換えDNA技法(従来のDNA転移技法以外)である。多数の予測不可能な組換え事象は、余分な生合成及び調節DNA配列がなくなる恐れがあるその間に起こるものと予想され得るが、どちらかの親の中間表現型を特徴とすることができるかなり安定な状況の例がある。
【0041】
開発された手順は、G.オキシダンス(G.oxydans)(ATCC 9937)及びアセトバクター・メラノゲナス(Acetobacter melanogenus)(NCIM2259)、エルビニア・ヘルビコラ(Erwinia herbicola)(ATCC 21998)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)(NCIM2041)、並びにコリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)(ATCC 31090)(Vermaら、1989)の菌株の場合に非常に有効であった。
【0042】
ビタミンC生産の最後から2番目のステップである、2,5−ジケト−グルコン酸生産性G.オキシダンス(G.oxydans)(ATCC 9937)と、2,5−ジケト−グルコン酸を2−ケト−L−グロン酸に還元することができるコリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)(ATCC 31090)の変異体株との属間プロトプラスト融合によって、生存可能な組換え物が生じた。融合生産物のいくつかは、D−グルコースを2−ケト−L−グロン酸に変換する能力を示したが、変換速度は低かった(Vermaら、1992)。
【0043】
キシラン及び他の複合多糖を分解する能力を有するB.サブチリス(B.subtilis)株と、リシン生産性物であるC.アセトアシドフィラム(C.acetoacidophilum)とのハイブリッドを、プロトプラスト融合で調製した(Debら、1990)。結果は、属間遺伝子転移は、これらの2つの重要な細菌属間のプロトプラスト融合によって起こり、融合物のいくつかは、両方の親の有用な特性を受け継いでいることを実証している(Debら、1990)。
【0044】
この実施例では、酢酸及びリシンの取り込み変異体は、それぞれ唯一の炭素及びエネルギーの供給源としての酢酸及びリシンで生育することができないので選択により、リシン生産性C.グルタミカム(C.glutamicum)(ATCC 21253)及び酢酸生産性B.サブチリス(B.subtilis)(ATCC 6633)株のランダムな突然変異誘発によって生産される。C.グルタミカム(C.glutamicum)は、酢酸を単独の基質として又はグルコースとの共基質として使用できるという十分な証拠があるが、今までのところ、仮定の混合型酢酸/プロピオン酸トランスポーターのための遺伝子は、C.グルタミカム(C.glutamicum)ゲノム配列全体において特定されていない(Gerstmeirら、2003)。したがって、C.グルタミカム(C.glutamicum)の酢酸代謝に関与する遺伝子の抑制性転写調節因子であるramB遺伝子を過剰発現させる(Gerstmeir、2004)。同様に、B.サブチリス(B.subtilis)では、リシン取り込み及び排出のための遺伝子は、(実施例1で使用された)G.オキシダンス(G.oxydans)におけるlys1とは異なり、ゲノム配列全体においてアノテーションされておらず(Kunstら、1997)、より一般的なアミノ酸Ca2+/H+対向輸送体の一部分であると思われる(Matsushitaら、1986)。
【0045】
新規変異体株のC.グルタミカム(C.glutamicum)ATCC 21253 acu(酢酸取り込み抑制性)及びB.サブチリス(B.subtilis)ATCC 6633 lyu(リシン取り込み抑制性)を、Debら(1990)及びVermaら(1992)から採用された方法に従って融合実験に使用する。続いて、この実施例では、UV突然変異誘発をさらに繰り返して行い、余分なDNA配列及び/又は酵素活性を除去し、ハイスループットスクリーニングプログラム及びゲノミックス(GenoMix)技術で最良のリシン及び酢酸生産性細菌融合物株を選択する。
【0046】
下記のいくつかの基準を使用して、融合物の安定性を、生育及び世代数に応じて調査した:
1−親の表現型を暗示する形態学的特性;
2−融合パートナーの両方の公開DNA配列及び/又は酵素活性を認識したプライマー配列を使用して選択された特定DNA配列の存在;
3−DNA配列の存在又は起こり得る消失をランダムに示す完全なゲノムAFLP解析;
4−リシン及び酢酸生産性の持続。
【0047】
C.グルタミカム(C.glutamicum)で記載したように、優良株のCBAF03−55を発酵実験にかける。
【0048】
結果は、融合物株は、リシンと酢酸の両方を生産することができるが、C.グルタミカム(C.glutamicum)ATCC 21253 aceでは、微量の酢酸しか検出されないことを示唆している。工業生産生物の融合、続いて突然変異誘発処理を行うことによって、親株の主な塩基性と酸性の生産物の両方について高い生産性を示す新規融合物株を得ることができる。したがって、2つの異なる単一生産物発酵方法を、第1及び第2の発酵生産物の生産が関与する1つの新規方法に組み合わせることによって、容積生産性を上げることができる。
【0049】
(実施例3:ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)によるリシン及びグルタミン酸の同時生産)
様々なコリネ型細菌は、グルタミン酸やリシンなどのアミノ酸を生産することができる。グルコースからグルタミン酸への変換は還元力を生じ、グルコースからリシンへの変換には還元力が必要である。したがって、微生物による両アミノ酸の同時生産は、高い変換効率及び低い酸素要求量をもたらすはずである。
【0050】
B.ラクトファーメンタム(B.lactofermentum)については、(Shiratsuchiら、1995;欧州特許出願公開第0780477号A1、実施例6)によって、グルタミン酸とリシンを同時に生産できることが記載されているが、これは、リシンしか形成されない状況に比べて高い収率をもたらさなかった。両アミノ酸が同時に生産された培養物に酸素制限を加えることによって、方法の効率を上げることができる。さらに、生産されたL−リシン及びL−グルタミン酸は、溶液でL−リシン・L−グルタミン酸の分子又は複合体として存在するはずであることが示唆された。
【0051】
本質的に記載されているように(Shiratsuchiら、1995;欧州特許出願公開第0780477号、実施例6)、酸素過剰条件下及び酸素制限下に、B.ラクトファーメンタム(B.lactofermentum)AJ 12993による発酵で、リシン及びグルタミン酸を生産する。酸素過剰条件を、撹拌機速度1000 rpm及び通気1vvmで維持する。酸素制限条件を、通気0.2vvm及び撹拌300rpmで維持する。表1に示す結果は、酸素制限を加えることによって、生産物収率が上がり、酸素要求量が下がることを示唆している。さらに、マイクロシーブ及び沈殿装置(全般的な説明で示唆した通り)を使用することによって、リシン・グルタミン酸複合体を含む沈殿物が得られる。
【0052】
【表1】
表1:酸素過剰及び酸素制限下、B.ラクトファーメンタム(B.lactofermentum)によって形成された生産物の最大濃度
*代替C供給源としてビタミン、抗生物質、酵母抽出物などの使用が関与している可能性、及び記載されていない追加の生産物の可能性。
【0053】
したがって、酸素要求量がより低い方法によって、酸素が律速である工業方法においてより高い生産性がもたらされる。さらに、商業的に興味深い2つの生産物を1回の単一発酵実施で形成することによって、容積生産性が上がる。
【0054】
(実施例4:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)によるクエン酸及びアラニンの同時生産)
第2の発酵生産物アラニンと共に、クエン酸生産性A.ニガー(A.niger)のMW l31株(重要でないマーカーcspA1、goxC17を有する野生型対照)及びMW 129株(pyrA、プラスミドDNAのためのウラシル要求性レシピエント)によって全生産物収率を上げるために、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)アラニンデヒドロゲナーゼ(alaD)遺伝子を過剰発現する1組の形質転換体を生成する(Holsら、1999)。このために、プラスミドpBM20alaDからのプロモーターをもたない1.22kb SmaI−HindIII断片を、A.ニデュランス(A.nidulans)GPDAプロモーター及びターミネーター配列を含むpMTL23系ベクターにクローンし(Puntら、1987)、プラスミドpANalaを得る。このベクターを、pyrA遺伝子との同時形質転換によってA.ニガー(A.niger)MW129に導入する(Ruijterら、1997)。pANalaベクターの様々な複製物を含むいくつかの共形質転換体から、最高のalaD発現レベルを示す1株(AnigAF129−11株)を選択する。Ruijterら(1997、2000)によって記載されているように、野生株と組換え株の並行発酵を下記の通り実施する:有効容量1Lの撹拌槽型反応器(Applikon、オランダ スヒーダム(Schiedam,The Netherlands))を使用して、クエン酸生産のために最適化された、0.5gのKH2PO4、2.5gの(NH4)2SO4、0.25gのMgSO4・7H2O、6.5mgのFeSO4・7H2O、1.3mgのZnSO4・7H2O、及び140gの脱カチオン化グルコース/Lを含有する培地で、菌糸体を30℃で培養する。発酵開始から、酸素過剰条件を撹拌機速度1000rpm及び通気1vvmで維持する。第3日目に(対数期の中間部を通して)、酸素制限条件を通気0.2vvm及び撹拌300rpmで適用する。7日後に、発酵を終了し、分析を行った。
【0055】
結果は、形質転換体(AnigAF129−11)が、クエン酸、相当な量のアラニン、及び野生型(NW131)より少ない量のバイオマスを生産することを示唆している。さらに、マイクロシーブ及び沈殿装置(全般的な説明で示唆した通り)を使用することによって、アラニン・クエン酸複合体を含む沈殿物が得られる。
【0056】
クエン酸生産性A.ニガー(A.niger)株へのアラニン生合成のための遺伝子の過剰発現によって、酸素が律速である工業方法において第1と第2の発酵生産物(それぞれ、クエン酸及びアラニン)の全生産性が上がる。さらに、商業的に興味深い2つの生産物を1回の単一発酵実施で形成することによって、容積生産性が上がる。
【0057】
(実施例5:コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)におけるリシン−及びコハク酸−合成経路の遺伝子の協調発現)
コハク酸は、ギ酸、マレイン酸、マレイミド、1,4−ブタンジオール、アスパラギン酸、イタコン酸、コハク酸ジメチル/ジエチル、テトラヒドロフラン、γブチロラクトン、スクシンイミド、無水マレイン酸、アジピン酸、ポリエステル、溶媒などの汎用化学品、及び食品材料、植物成長刺激剤、医薬中間体、バイオリン光体、矯味添加剤、酸味料などの特殊化学品を含めて、多数の派生生産物の重要な中間体である。
【0058】
recDNA技術でリシン及びコハク酸の生合成経路の遺伝子の協調発現を実現するために、下記の手法を選択した:
C.グルタミカム(C.glutamicum)の乳酸デヒドロゲナーゼ(ldh)抑制性株における相同コハク酸−合成遺伝子の過剰発現。Yukawaら(2003)によって提示された手法に従って、C.グルタミカム(C.glutamicum)ATCC 31831株の乳酸デヒドロゲナーゼ(ldh)遺伝子をノックアウトし、続いてコハク酸代謝に関与する相同遺伝子、すなわちコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ssdh)及びコハク酸脱水素酵素(sdh)サブユニット遺伝子を過剰発現させる。これらの遺伝子の配列は、C.グルタミカム(C.glutamicum)の完全なゲノム受入番号NC_003450(コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC 13032)、gi23308765から得られ、ネステッドPCRに続いて、単離する。成功した効率的な形質転換は、単一及び共挿入の挿入型形質転換ベクターを用いたC.グルタミカム(C.glutamicum)についての場合が記載されている(Ikeda及びKatsumata、1998;Kotrbaら、2003;Kreutzerら、2003;Kirchner及びTauch、2003;Tauchら、2003)。宿主としてのDSM5715株、クローニングベクターとしてのプラスミドpEC7を使用し、DNA転移のための複数のインサート及び電気穿孔法が可能になるKreutzerらによって使用されたシステム(米国特許出願公開第2003/0162269号)を使用する。こうして得られた多数の組換え株を単離し、分析する。優良株(CAF04−26;ldh、ssdh、sdh)及び対照株ATCC 31831を並行発酵実験にかけ、生成物を分析する。
【0059】
結果は、新規組換え株が、対照株に比べて高い濃度のリシンとコハク酸とを生産することを示唆している。さらに、Prasad及びVijayan(1991)によって記載されているように、マイクロシーブ及び沈殿装置(全般的な説明で示唆した通り)を使用することによって、リシン・コハク酸複合体を含む沈殿物が得られる。
【0060】
したがって、リシンなど還元されているアミノ酸(第1の発酵生産物)及びコハク酸などより酸化されている有機酸(第2の発酵生産物)の協調生合成に重要な遺伝子の過剰発現によって、工業生産方法において第1及び第2の発酵生産物のより高い生産性がもたらされる。さらに、商業的に興味深い2つの生産物を1回の単一発酵実施で形成することによって、容積生産性が上がる。
【0061】
(実施例6:ペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)におけるペニシリン生産経路とシュウ酸生産経路のカップリング)
この実施例は、ペニシリンとシュウ酸の生合成経路のカップリングを利用する。酸素制限されたニトラート依存性の生育中、グルコースのシュウ酸への不完全酸化は、β−ラクタム抗生物質ファミリーのメンバーに還元力をもたらす。排出後、シュウ酸はCaイオンに複合化し、非可溶性のシュウ酸Ca塩結晶の形成、及びペニシリン収率の上昇がもたらされる。
【0062】
ここ50年間にわたって発酵によるβ−ラクタム抗生物質の工業生産は、バイオテクノロジーの顕著な例の1つである。今日、β−ラクタム抗生物質、具体的にはペニシリン及びセファロスポリンは、世界規模の剤形販売が約150億USドルであり、又は抗生物質の全世界市場の約65%である世界の主要なバイオテクノロジー製品を表す。ここ50年間にわたって、生産生物P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)及びアクレモニウム・クリゾゲヌム(Acremonium chrysogenum)(別名、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium acremonium))の生産性の大幅な改善、並びに改善された発酵技術は、結果的に生産性の向上及び実質的なコスト削減をもたらした。主な発酵生産体は、現在ペニシリンの場合40〜50g/L、及びセファロスポリンCの場合20〜25g/Lのハーベストタイターが記録されると推定される。ペニシリンG又はペニシリンVの回収率は、現在>90%である。6−アミノペニシラン酸又は7−アミノセファロスポラン酸の化学的及び酵素的な加水分解プロセス技術も、新規酵素技術の場合、高効率(約80〜90%)であり、ここ10年間にわたって大幅なコスト削減をもたらす(Elander、2003)。これから、追加のプロセス改善は、本明細書に記載する通り、主に別の株の開発及び発酵方法最適化に期待できることが示唆される。
【0063】
ペニシリウム種(Penicillium spp.)及びアスペルギルス種(Aspergillus spp.)のような工業用生物を含めて、いくつかの真菌種は、シュウ酸を含めて、いくつかの有機酸を効率的に生産するその能力でよく知られており(Cunningham及びKuiack、1992;Cameselleら、1998)、いくつかの生合成遺伝子は、他の真菌においても特定されている(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/;Balmforth及びThomson、1984;Mehta及びDatta、1991;Ruijterら、1999;Kesarwaniら、2000;Pedersenら、2000;Azamら、2002を参照のこと)。
【0064】
A.ニガー(A.niger)におけるシュウ酸生合成の細胞質経路についての証拠が提供されている(Kubicekら、1988)。硝酸で生育する真菌の液体培養によって、相当な量のシュウ酸が生産されるが、アンモニウム含有培地では、シュウ酸は少量しか検出されなかった(Gharieb及びGadd、1999)。外部pHは、A.ニガー(A.niger)によるシュウ酸生産を支配する主な要因であると思われる。グルコース酸化酵素抑制型変異体は、培養のpHが3以上である限り、相当な量のシュウ酸を生産した。ショ糖・硝酸塩液体培地でP.ビライー(P.bilaii)によって生産された主要な酸性代謝産物は、シュウ酸及びクエン酸であることが判明した。クエン酸生産は、窒素制限条件下で促進され、シュウ酸生産は、炭素制限条件下で促進された。クエン酸は、生育期と定常期とで生産されたが、シュウ酸生産は、定常期にしか起こらなかった(Cunningham及びKuiack、1992)。しかし、使用する工業用発酵方法条件下で、シュウ酸合成は、ペニシリン生産性と負に相関した(Diezら、1986、Reed、1987)。したがって、この実施例では、生産方法を、P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)における生育及びペニシリンG生産のための詳細な化学量論モデル(Van Gulikら、2000)に対して適合させた。このモデルを使用したプライオリ代謝フラックス解析から、ペニシリン生産には、1次代謝経路を通るフラックスの大幅な変化が必要であると思われる。これは、β−ラクタム核の炭素前駆体の生合成、及び主に硫酸還元のためのNADPHに対する要求の増大によってもたらされる。P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)形質転換及び同時形質転換のための基本的なツール(様々な有性選択マーカーを有するベクターと、形質転換プロトコルの両方)は、利用可能であり(Graessleら、1997;Casqueiroら、1999;Theilgaardら、2001;Banuelosら、2003)、導入遺伝子安定性は、発酵実施で評価されている(Rennoら、1990)。
【0065】
この実施例では、シュウ酸生合成に関与する遺伝子は、いくつかの生物から特定されており(上記に列挙する参考文献、及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/)、その情報は、P.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)(及びA.ニガー(A.niger))からの相当遺伝子の単離に使用される。
【0066】
下記をコードする遺伝子を単離し、使用する:1)シュウ酸−CoA転移酵素(シュウ酸をコハク酸に変換する);2)シュウ酸脱炭素酵素(シュウ酸をギ酸に変換する);3)グリオキシル酸脱水素酵素(シュウ酸をグリオキシル酸から合成する);4)(S)−2−ヒドロキシ酸酸化酵素(シュウ酸をグリオキシル酸から合成する);5)アスコルビン酸2,3−ジオキシゲナーゼ(シュウ酸をアスコルビン酸から合成する)。過剰発現(遺伝子3、4、5)又はノックアウト(遺伝子1、2)を目的とするいくつかの形質転換ベクター構築物であるP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)相当物を調製した。
【0067】
形質転換手順で、pyrG遺伝子におけるフレームシフト突然変異を有するウラシル要求体であるP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)ウィスコンシン(Wisconsin)54−1255 pyrG(−)株(Banuelosら、2001)をレシピエント株として使用する。1次形質転換体の選択には、自己複製プラスミドpAM9L(pyrG)を使用し、同時形質転換DNAを含む株の2次優性選択には、ストレプトアロテイチャス・ヒンズスタヌス(Streptoalloteichus hindustanus)からのブレオマイシン/フレオマイシン耐性遺伝子(ble)を真菌プロモーター(アクレモニウム・クリゾゲヌム(Acremonium chrysogenum)のcefEF遺伝子プロモーター)の制御下に含む組込みプラスミドpEF43を使用する。同時形質転換遺伝子(上記に列挙する1〜5)を、過剰発現の場合(遺伝子3、4、5)、内在性遺伝子特異的プロモーター及びターミネーター配列を含むベクターpEF43に、又は遺伝子サイレンシングの場合(1、2、それぞれ約750−1000bpsを保持している)、構造遺伝子の内部断片しか含んでいない5’−及び3’−欠失変異体にクローンする。遺伝子1及び2の宿主ゲノムへの(相同)組込み並びにサイレンシングを促進するために、電気穿孔の前に、制限酵素(Casqueiroら、1999)で相同なP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)配列内を一か所切断して、対応するベクターを直線化する(Van de Rheeら、1996)。
【0068】
電気穿孔法を使用するショットガン同時形質転換実験で、プラスミドpAML9L及び5つのpEF43−誘導体を一緒に混合する(それぞれ100ng)。必要に応じて、5−フルオロ−オロト酸(FOA)、ウリジン、及びフレオマイシンをそれぞれ、ツァペック培地に最終濃度1mg/ml、100μg/ml、及び30μg/mlで添加する(Diezら、1987)。
【0069】
ドナーDNA配列の共挿入物を含有する数個の多重遺伝子導入体を特定し、96−マイクロウェルプレートで生育し、遺伝子1〜5の存在及び相対的発現、並びにペニシリン及びシュウ酸の存在について、RT−PCRで解析した。van Gullikら(2000)によって本質的に記載されているように、マイクロウェルプレートの優良株(PAF03−247)を、さらに培地組成物(この実施例では、100g/Lのグルコース)、並びに調製及びケモスタット系、並びに培養物を含む有効容量1Lの撹拌槽型反応器(Applikon、オランダ スヒーダム(Schiedam,The Netherlands))中での発酵実験にかける。
【0070】
発酵中、さらに通気によって増強された生育相後に、Ca2+、Co2+、及びZn2+(Me2+)イオンについて、発酵ブロス中で効率的にシュウ酸及び他の酸のイオンに結合し、したがって反応を最終生産物であるMe−シュウ酸塩及びペニシリンの形成に推進するその能力を試験する。
【0071】
PAF03−247株、及び全くpAML9LからのpyrG遺伝子だけを含む対照のPAF03−9株について、本質的な結果は、(追加の)シュウ酸合成能力が導入されること、及びシュウ酸分解又は代謝回転が、Me−又はCa−シュウ酸塩として細胞外沈殿することにより助長されて阻害されることによって、ペニシリンとシュウ酸の全生産性がどちらも上がることを実証している。さらに、(全般的な説明で示唆した通り)マイクロシーブ及び沈殿装置を使用することによって、カルシウム−シュウ酸塩沈殿物を得る。
【0072】
(実施例7:ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)のカップリング、及び脂肪酸生産酵母クリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)におけるシュウ酸/酢酸の生産)
PUFAのヒトの消費は、健康促進効果(例えば、冠疾患及び腸癌の予防)及び乳児の脳の発達と関連している。
【0073】
(例えば、マッシュルームであるツクリタケ(Agaricus bisporus)も属している)担子菌類のグループに属する脂肪酸生産酵母のC.クルバタス(C.curvatus)によるPUFAの生産性を上げるために、還元相当物の協調生産及び消費を発酵プロセス工学によって実現する。ムコール・シルシネロイデス(Mucor circinelloides)やモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)などの脂質蓄積性真菌では、脂肪酸生合成を制限する重要なステップは、十分な還元相当物の供給であることが示唆されている(Ratledge、2002)。他の担子菌類におけるシュウ酸又はギ酸の生産及び排出に関する報告はあるが、C.クルバタス(C.curvatus)におけるものはまだない。したがって、不完全酸化生産物であるシュウ酸及び酢酸を過剰生産及び排出する追加の能力を、C.クルバタス(C.curvatus)の発酵方法に導入することに着手した。その後、CaCO3を使用して、シュウ酸塩/酢酸塩の混合物を発酵ブロスから取り出し、したがってCa−シュウ酸塩/酢酸塩の結晶がシンクとして形成される。
【0074】
発酵槽A、及び酸素供給を最適に維持する対照発酵実施Bで、C.クルバタス(C.curvatus)ATCC 20509株を、対数期の中間部における酸素欠乏ステップを含めて、並行発酵実験(Meestersら、1996)にかける。
【0075】
発酵開始から、発酵槽A及びBで共に、酸素過剰条件を、撹拌機速度1000rpm及び通気1vvmで維持する。24時間後(対数期の中間部を通して)、酸素制限条件を、発酵槽Aにのみ通気0.2vvm及び撹拌300rpmで適用する。72時間後に、発酵を終了し、分析を行った。
【0076】
その結果、追加の還元相当物の生成によって、実に脂肪酸の生合成及び蓄積が促進されるのが観察される。発酵槽Aへのシャントとして使用されているマイクロシーブ/沈殿装置によって、Ca−シュウ酸塩結晶の沈殿及び分離が可能になった。
【0077】
結果は、酸素移動の低減、その後のシュウ酸塩及び酢酸塩の合成、及び細胞外でのシュウ酸塩及び酢酸塩の除去によって、脂肪酸生産微生物における(長鎖ポリ不飽和)脂肪酸の生産を目的とする工業方法の生産性が促進されることを示唆している。
【0078】
(実施例8:リシンと乳酸との非理想溶液、塩、又は(不溶性)複合体の形成)
細胞における2つの有機対イオンのカップルの形成には、利点がある。第1に、カップルの形成によって、単一イオンの濃度が下がるので、細胞は高濃度を経験しない。したがって、フィードバック阻害がより少ない。第2に、沈殿又は複合体形成が起こると、より少ない容積の発酵培地での下流のプロセッシングが可能になる。2つの有機対イオンからなる多くの塩は、科学文献に記載されている(表3)。この実験では、リシン(L−リシン・HClを使用する)と乳酸、酢酸、コハク酸、又はクエン酸のカップルを、その複合体形成能力に関して試験する。この実験では、2つの対イオンを有する溶液の伝導率を測定する。等モル比の対イオンを0〜2Mの濃度で混合する。2M KOH中の保存溶液の希釈液を使用することによって、伝導率測定に使用された濃度すべてにおいて、pHを7に設定する。
【0079】
表2から、L−リシンと乳酸の溶液の伝導率は、1.0〜1.2Mの濃度で最大に到達し、次いで使用された最高濃度(2.0M)まで下がることが明らかである。これは、より低い構成要素濃度によく似ている相互作用(非理想溶液、複合体形成、結晶化)が生じることを示唆している。したがって、in vivo状況では、細胞はより低い構成要素濃度を経験するが、その実際の濃度ははるかに高いことがある(実に、>2M)。
【0080】
【表2】
表2:リシンと乳酸の等モル溶液の伝導率
【0081】
リシンと酢酸、リシンとコハク酸、及びリシンとクエン酸の対について、同様な結果が得られる。
【0082】
複合体は、タンパク質のようなより大きな分子と、κ−カゼイン・乳酸などの短いカルボン酸との間でも形成し得る(Oeda、1978)。
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付録1
縮重又は特異的PCRプライマーの設計及びその後の遺伝子単離に使用される、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrezのゲノム情報
1a:G.オキシダンス(G.oxydans)リシントランスポーター(lys1)遺伝子を単離するのに使用された配列
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の適用可能な(完全)ゲノム配列をベースとして設計された縮重PCRプライマーを使用して、遺伝子を単離した:スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)N315、gi29165615、NC_002745.2;メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099、gi13470324、NC_002678.1;ラクトコッカス・ラクチスの亜種ラクチス(Lactococcus lactis subsp.lactis)II1403、gi15671982、NC_002662.1;大腸菌(Escherichia coli)K12、gi1612799、NC_000913.1;ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)13株、gi18308982、NC_003366.1;ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)NCTC 13129、gi38232642、NC_002935.2;クロストリジウム・アセトブチリクム菌(Clostridium acetobutylicum)ATCC 824 gi15893298、NC_003030.1;大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、gi15829254、NC_002695.1;アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株、gi15890089、NC_003063.1;アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株、gi15887359、NC_003062.1;シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021、gi15963753、NC_003047.1;ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)WCFS1、gi28376974、NC_004567.1;シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymB、gi16263748、NC_003078.1;シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymA、gi16262453、NC_003037.1;コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC 13032、gi23308765、NC_003450.2;セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579、gi30018278、NC_004722.1;肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)R6、gi15902044、NC_003098.1;バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、gi16077068、NC_000964.1;緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PA01、gi15595198、NC_002516.1。
Ib:グルコノラクトナーゼ(gluconolactonase)遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するのに使用された配列
ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)(Kanagasundaram and Scopes、1992)及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の他の適用可能な(完全)ゲノム配列をベースとして設計された縮重PCRプライマーを使用して、遺伝子を単離した:メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099(gi13470324、NC_002678.1)、ピレルラ種(Pirellula sp.)1(gi32470666、NC_005027.1)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110(gi27375111、NC_004463.1)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)16M 染色体I(gi17986284、NC_003317.1)、ラルストニア・ソラナセアルム(Ralstonia solanacearum)GMI1000 プラスミドpGMI1000MP(gi17548221、NC_003296.1、サーモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)GSSl(gi13540831、NC_002689.2)、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)R1 第1染色体(gi15805042、NC_001263.1)、ピアス病菌(Xylella fastidiosa)9a5c(gi15836605、NC_002488.1)、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gi17936711、NC_003305.1)、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gi15890089、NC_003063.1)、ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2)(gi32141095、NC_003888.3)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymB(gi16263748、NC_003078.1)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymA(gi16262453、NC_003037.1)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009(gi39933080、NC_005296.1)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)RB50(gi33598993、NC_002927.3)、トマト斑葉細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.tomato)DC3000株(gi28867243、NC_004578.1)、ピアス病菌テメキュラ(Xylella fastidiosa Temecula)1(gi28197945、NC_004556.1)、ブタ流産菌(Brucella suis)1330 染色体II(gi23499767、NC_004311.1)、かんきつ潰瘍病菌(Xanthomonas axonopodis pv.citri)306株(gi21240774、NC_003919.1)、アブラナ科野菜黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv.Campestris)ATCC 33913株(gi21229478、NC_003902.1)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)CB15(gi16124256、NC_002696.2)。
1c:グルコン酸キナーゼ遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するのに使用された配列
グルコン酸キナーゼ遺伝子をG.オキシダンス(G.oxydans)から単離するのに使用された配列を、Fujita及びFujita、1987;Yanaseら、1992;Izuら、1994;Isturiz T,Celaya J.,1997からのDNA配列情報、及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の他の適用可能な(完全)ゲノム配列を使用して得た:スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)N315(gi29165615、NC_002745.2);炭疽菌(Bacillus anthracis)Ames 0581株(gi47525254、NC_007530.1);メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)MAFF303099(gi13470324、NC_002678.1);大腸菌(Escherichia coli)K12(gi16127994、NC_000913.1);フォトラブダス・ルミネセンスの亜種ラウモンディ(Photorhabdus luminescens subsp.laumondii)TTO1(gi37524032、NC_005126.1);ウシ型結核菌の亜種ボビス(Mycobacterium bovis subsp.bovis)AF2122/97(gi31791177、NC_002945.3);ネンジュモ種(Nostoc sp.)PCC 7120(gi17227497、NC_003272.1);ペスト菌(Yersinia pestis biovar Medievalis)91001株(gi45439865、NC_005810.1);ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110(gi27375111、NC_004463.1);ラルストニア・ソラナセアルム(Ralstonia solanacearum)GMI1000(gi17544719、NC_003295.1);デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)R1 第1染色体(gi15805042、NC_001263.1);チフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhi)CT18株(gi16758993、NC 003198.1);スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)Mu50(gi15922990、NC_002758.1);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)MC58(gi15675948、NC_003112.1);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)NCTC 13129(gi38232642、NC_002935.2);ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NCC2705(gi23464628、NC_004307.1);大腸菌(Escherichia coli)O157:H7(gil5829254、NC_002695.1);グロエオバクター・ビオラセウス(Gloeobacter violaceus)PCC 7421(gi37519569、NC_005125.1);アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gi17933925、NC_003304.1);アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株(gil5887359、NC_003062.1);ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)MA−4680(gi29826540、NC_003155.2);ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)WCFSl(gi28376974、NC_004567.1);ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2)(gi32141095、NC_003888.3);シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)1021 プラスミドpSymB(gi16263748、NC_003078.1);ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009(gi39933080、NC_005296.1);ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)LT2(gi16763390、NC_003197.1);ビブリオ・ブルニフィカス(Vibrio vulnificus)YJ016 染色体I(gi37678184、NC_005139.1);ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)NCC 533(gi42518084、NC_005362.1);オーシャノバチルス・イヘエンシス(Oceanobacillus iheyensis)HTE831(gi23097455、NC_004193.1);クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)ATCC 12472(gi34495455、NC_005085.1);シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)2a 2457T株(gi30061571、NC_004741.1);セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579(gi30018278、NC_004722.1);チフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhi)Ty2(gi29140543、NC_004631.1);トマト斑葉細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.tomato)DC3000株(gi28867243、NC_004578.1);表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)ATCC 12228(gi27466918、NC_004461.1);ビブリオ・ブルニフィカス(Vibrio vulnificus)CMCP6 染色体I(gi27363490、NC_004459.1);大腸菌(Escherichia coli)CFT073(gi26245917、NC_004431.1);シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440(gi26986745、NC_002947.3);シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)2a 301株(gi24111450、NC_004337.1);エルシニア・ぺスチス(Yersinia pestis)CO92株(gi16120353、NC_003143.1);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型A Z2491株(gi15793034、NC_003116.1);エルシニア・ぺスチス(Yersinia pestis)KIM(gi22123922、NC_004088.1);かんきつ潰瘍病菌(Xanthomonas axonopodis pv.citri)306株(gi21240774、NC_003919.1);アブラナ科野菜黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv.Campestris)ATCC 33913株(gi21229478、NC_003902.1);大腸菌(Escherichia coli)O157:H7 EDL933(gil6445223、NC_002655.2);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PA01(gil5595198、NC_002516.1);エルトール型O1コレラ菌(Vibrio cholerae O1 biovar eltor) N16961株 染色体I(gil5640032、NC_002505.1);腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)RIMD 2210633 染色体I(gi28896774、NC_004603.1);コリネ菌(Corynebacterium efficiens)YS−314(gi25026556、NC_004369.1);スタフィロコッカス・アウレウスの亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp.aureus)MW2(gi21281729、NC_003923.1);シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)染色体I(gi19113674、NC_003424.1);シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)染色体V(gi32967584、NC_003283.3);シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)染色体II(gi25168254、NC 003280.2).
1d:シュウ酸生合成、分解(breakdown)、及び搬出(export)に関与するP.クリゾゲヌム(P.chrysogenum)及びA.ニガー(A.niger)の遺伝子を単離するのに使用された配列
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/の適用可能な(完全)ゲノム配列:ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)A3(2)、gi32141095、NC_003888.3;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)第1染色体 、gi42592260、NC_003070.5;髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型A Z2491株、gi15793034、NC_003116.1;mgap007xE14f.b イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)Ap Uni−Zap XR Library イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)cDNAクローン;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)第1染色体、gil2063420、gbAE005172.1;エノキタケ(Flammulina velutipes)シュウ酸脱炭素酵素(OXDC)遺伝子、gi6468005、gbAF200683.1;シュウ酸酸化酵素(oxalate oxidase)(HvOxOa)用のAF200683 オオムギ(Hordeum vulgare)mRNA、gi2266667、emb、Y14203.1;シュウ酸酸化酵素(oxalate oxidase)様タンパク質用のHVY14203[2266667]H.ブルガレ(H.vulgare)mRNA、gi1070357、emb、X93171.1;シュウ酸脱炭素酵素アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株 染色体:線状遺伝子ID:1136645;シュウ酸脱炭素酵素セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579、遺伝子ID:1204732;シュウ酸脱炭素酵素ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110、遺伝子ID:1049607;シュウ酸脱炭素酵素セレウス菌(Bacillus cereus)ATCC 14579、遺伝子ID:1203380;溶質キャリア26ファミリー(硫酸トランスポーター)、メンバー1、ハツカネズミ(Mus musculus);硫酸アニオントランスポーター−第1染色体:5;位置:5F 遺伝子ID:231583;α−1−ミクログロブリン/ビクニン前駆体ホモサピエンス。
付録2
公開された市販のアミノ酸と有機酸との複合体
【表3】
表3:文献から検索された塩基性アミノ酸−カルボン酸複合体の例
ウェブサイトhttp://www.buyersguidechem.info/AnameEin.php(化学品及び化学品供給業者のディレクトリ)に、市販の有機塩の例として、アルギニン・酢酸、リシン・酢酸、オルニチン・酢酸、リシン・コハク酸、アルギニン・α−ケトグルタル酸、オルニチン・α−ケトグルタル酸、アルギニン・アスパラギン酸、アルギニン・グルタミン酸、リシン・グルタミン酸、オルニチン・アスパラギン酸がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産生物による基質の第1の発酵生産物及び第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、
生物が、基質の第1の発酵生産物への変換のための第1の代謝経路及び基質の第2の発酵生産物への変換のための第2の代謝経路を含み、
第1の発酵生産物が基質より還元された状態であり、且つ第2の発酵生産物が基質より酸化された状態であり、
第1及び第2の経路が、生物におけるその同時作用によって、生物における還元力のリサイクルが可能になるという点で相補的であり、
第2の発酵生産物が、最終酸化生産物CO2及びH2Oより酸化されていない状態であり、
基質に対する第1及び第2の発酵生産物の合計収率が、Cモル基準で少なくとも40%である上記方法。
【請求項2】
基質の第1及び第2の発酵生産物への変換中、生物が、消費された基質と関係付けられたO2/Cモル基準で、酸素の量の30%未満しか消費しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基質に対するバイオマス収率が、消費された基質と関係付けられたCモル基準で、30%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の発酵生産物が1つより多い化合物を含み、化合物がそれぞれ、基質より還元された状態である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第2の発酵生産物が、1つより多い化合物を含み、化合物がそれぞれ、基質より酸化された状態である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱酸性化合物又はその塩又はその誘導体である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の発酵生産物が、適用発酵条件下で不溶性複合体又は不溶性塩を形成することができる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1又は第2の代謝経路の少なくとも一部分が、生物に自然には存在せず、活性でない、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1又は第2の代謝経路が、生物の遺伝子修飾によって、生物において導入され又は活性化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
生物が、微生物、又は高等生物のin vitro培養細胞である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、
第1及び第2の生産生物が共発酵され、
第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱有機酸又はその塩又はその誘導体である上記方法。
【請求項12】
第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、
第1及び第2の生産生物が共発酵され、
第1及び第2の発酵生産物が、適用発酵条件下で不溶性複合体又は不溶性塩を形成することができる上記方法。
【請求項13】
第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱酸性化合物又はその塩又はその誘導体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の生産生物が第1の発酵槽で培養され、第2の生産生物が第2の発酵槽で培養され、
第1及び第2の発酵槽が並列に配置され、マイクロシーブを含む1つ又は複数の連結手段で連結され、
可溶性培地成分が、マイクロシーブを含む連結手段を介して第1及び第2の発酵槽間を循環するが、マイクロシーブが生産生物の循環を防止する、請求項11から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
連結手段をさらに、マイクロシーブによって第1及び第2の発酵槽から分離されている容器に連結する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
容器において、第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件が適用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件が、
a)第1及び第2の発酵槽における温度より低い温度;
b)第1及び第2の発酵槽におけるpHと異なるpH;及び
c)第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進するヘルパー分子の濃度
から選択された1つ又は複数の条件である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ヘルパー分子が、金属イオン、又は水混和性有機溶媒である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも2つの異なる発酵容積を含む発酵システムであって、
発酵容積がそれぞれ、少なくとも1つの発酵槽を含み、
異なる発酵容積が、マイクロシーブを含む連結手段を介して連結され、異なる発酵槽容量間での可溶性培地成分の循環が可能になるが、発酵容積間での生産生物の細胞の循環が防止される上記発酵システム。
【請求項20】
連結手段をさらに、マイクロシーブによって異なる発酵槽容量から分離されている容器に連結する、請求項19に記載の発酵システム。
【請求項1】
生産生物による基質の第1の発酵生産物及び第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、
生物が、基質の第1の発酵生産物への変換のための第1の代謝経路及び基質の第2の発酵生産物への変換のための第2の代謝経路を含み、
第1の発酵生産物が基質より還元された状態であり、且つ第2の発酵生産物が基質より酸化された状態であり、
第1及び第2の経路が、生物におけるその同時作用によって、生物における還元力のリサイクルが可能になるという点で相補的であり、
第2の発酵生産物が、最終酸化生産物CO2及びH2Oより酸化されていない状態であり、
基質に対する第1及び第2の発酵生産物の合計収率が、Cモル基準で少なくとも40%である上記方法。
【請求項2】
基質の第1及び第2の発酵生産物への変換中、生物が、消費された基質と関係付けられたO2/Cモル基準で、酸素の量の30%未満しか消費しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基質に対するバイオマス収率が、消費された基質と関係付けられたCモル基準で、30%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の発酵生産物が1つより多い化合物を含み、化合物がそれぞれ、基質より還元された状態である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第2の発酵生産物が、1つより多い化合物を含み、化合物がそれぞれ、基質より酸化された状態である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱酸性化合物又はその塩又はその誘導体である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の発酵生産物が、適用発酵条件下で不溶性複合体又は不溶性塩を形成することができる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1又は第2の代謝経路の少なくとも一部分が、生物に自然には存在せず、活性でない、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1又は第2の代謝経路が、生物の遺伝子修飾によって、生物において導入され又は活性化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
生物が、微生物、又は高等生物のin vitro培養細胞である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、
第1及び第2の生産生物が共発酵され、
第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱有機酸又はその塩又はその誘導体である上記方法。
【請求項12】
第1の生産生物による基質の第1の発酵生産物への変換及び第2の生産生物による基質の第2の発酵生産物への変換によって、少なくとも第1の発酵生産物及び少なくとも第2の発酵生産物を生産するための方法であって、
第1及び第2の生産生物が共発酵され、
第1及び第2の発酵生産物が、適用発酵条件下で不溶性複合体又は不溶性塩を形成することができる上記方法。
【請求項13】
第1の発酵生産物が、弱アルカリ性化合物又はその塩又はその誘導体であり、第2の発酵生産物が、弱酸性化合物又はその塩又はその誘導体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の生産生物が第1の発酵槽で培養され、第2の生産生物が第2の発酵槽で培養され、
第1及び第2の発酵槽が並列に配置され、マイクロシーブを含む1つ又は複数の連結手段で連結され、
可溶性培地成分が、マイクロシーブを含む連結手段を介して第1及び第2の発酵槽間を循環するが、マイクロシーブが生産生物の循環を防止する、請求項11から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
連結手段をさらに、マイクロシーブによって第1及び第2の発酵槽から分離されている容器に連結する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
容器において、第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件が適用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進する条件が、
a)第1及び第2の発酵槽における温度より低い温度;
b)第1及び第2の発酵槽におけるpHと異なるpH;及び
c)第1及び第2の発酵生産物間での不溶性複合体又は不溶性塩の形成を促進するヘルパー分子の濃度
から選択された1つ又は複数の条件である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ヘルパー分子が、金属イオン、又は水混和性有機溶媒である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも2つの異なる発酵容積を含む発酵システムであって、
発酵容積がそれぞれ、少なくとも1つの発酵槽を含み、
異なる発酵容積が、マイクロシーブを含む連結手段を介して連結され、異なる発酵槽容量間での可溶性培地成分の循環が可能になるが、発酵容積間での生産生物の細胞の循環が防止される上記発酵システム。
【請求項20】
連結手段をさらに、マイクロシーブによって異なる発酵槽容量から分離されている容器に連結する、請求項19に記載の発酵システム。
【公表番号】特表2008−511318(P2008−511318A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529749(P2007−529749)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000628
【国際公開番号】WO2006/025735
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507065902)アグロテクノロジー アンド フード イノベイションズ ビー.ブイ. (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000628
【国際公開番号】WO2006/025735
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507065902)アグロテクノロジー アンド フード イノベイションズ ビー.ブイ. (2)
【Fターム(参考)】
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