説明

塗工ヘッド及び塗工ヘッドの洗浄方法

【課題】 洗浄溶液を用いて内部を洗浄する塗工ヘッドにおいて、洗浄溶液が塗工ヘッドの内部を淀むことなく流れ、塗工ヘッドの内部の全域が洗浄される塗工ヘッドを提供する。
【解決手段】 塗工溶液を安定して塗工口4に送るための塗工溶液チャンバー5と、洗浄溶液を塗工溶液チャンバー5へ注入するための洗浄溶液注入流路6と、洗浄溶液を塗工溶液チャンバー5の外へ排出するための洗浄溶液排出流路8と、を備える。塗工溶液チャンバー5が、対向する端面の距離が外周に行くほど小さくなるR形状部9を有する円筒形状である。洗浄溶液注入流路6が、塗工溶液チャンバー5の軸方向の端部から塗工溶液チャンバー5の外周の接線方向に延びている。洗浄溶液注入流路6が設けられている位置とは異なる軸方向の位置に、塗工溶液チャンバー5の外周の接線方向に洗浄溶液排出流路8が延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムやシートへ塗工溶液を塗布する塗工ヘッドに関する。特に、容易に内部を洗浄可能な塗工ヘッド及び塗工ヘッドの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムやシートへ樹脂等の塗工溶液を塗布するための塗工ヘッドが知られている。
【0003】
塗工ヘッドは、塗工溶液を吐出するための塗工口と、塗工溶液を貯留して安定して塗工口に塗工溶液を送るための塗工溶液チャンバーと、を備える。塗工溶液チャンバーには、塗工溶液を注入するための塗工溶液注入流路が設けられており、塗工溶液注入流路を介して塗工ヘッドと塗工装置本体とが接続されている。したがって、塗工装置本体から塗工溶液を送液することによって塗工溶液が塗工溶液チャンバーに貯留され、塗工口から塗工溶液が吐出される。
【0004】
樹脂等の塗工溶液に含まれる粉体は、塗工溶液の溶剤に対して比重が大きいため、塗工溶液中に沈殿しやすい。粉体の沈殿物が堆積すると塗工溶液チャンバーに該沈殿物が固着し、塗工ヘッドの内部における塗工溶液の流動状態に影響を与え、フィルムやシートへの塗工溶液の塗布量にムラが発生することがある。塗工溶液の塗布量のムラにより、フィルムやシートの品質が低下する。
【0005】
粉体の沈殿は、塗工溶液が十分な流速を維持していれば生じないが、塗工溶液チャンバーにおいて塗工溶液の滞留が生じやすく塗工溶液の流速が低下する領域では粉体の沈殿が発生しやすい。また、塗工溶液の塗工溶液チャンバーへの送液を停止したときに塗工溶液チャンバーに部分的に塗工溶液が残留することによっても粉体の沈殿が生じる。
【0006】
そこで、塗工溶液チャンバーに残留した塗工溶液や沈殿物を容易に取り除くことができる塗工ヘッドや塗工ヘッドの洗浄方法が提案されている。
【0007】
特許文献1では、塗工溶液注入流路と接続可能な洗浄溶液送液装置を設け、洗浄溶液を塗工ヘッドに注入することによって塗工ヘッドの内部を洗浄する方法が開示されている。塗工溶液注入流路から洗浄溶液を注入し、塗工ヘッドの内部に残留した塗工溶液や沈殿物とともに洗浄溶液を塗工口から排出する。塗工ヘッドを塗工装置本体から取り外したり、塗工ヘッドを解体したりすることなく塗工ヘッドの内部の洗浄を行えるため、作業工程が削減できるだけでなく、塗工装置本体の稼働率の向上を図ることができる。
【0008】
特許文献2では、塗工溶液チャンバーに洗浄溶液を注入するための洗浄溶液注入流路を、塗工溶液注入流路とは別に備えた塗工ヘッドが開示されている。塗工ヘッドを洗浄する際には、塗工口に蓋をし、洗浄溶液注入流路から洗浄溶液を注入することによって、塗工溶液注入流路から塗工ヘッドの内部に残留した塗工溶液や沈殿物とともに洗浄溶液を排出する。洗浄溶液注入流路にスプレーノズルなどを設けることにより、洗浄溶液を高圧で噴霧することができるため、残留した塗工溶液や沈殿物を取り除き易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−185565号公報
【特許文献2】特開2000−033313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1や特許文献2で開示されている塗工ヘッドでは、洗浄溶液注入流路の取り付け位置や塗工溶液チャンバーの形状によっては、洗浄溶液の流速が低くなる領域が現れることがある。
【0011】
例えば、洗浄液注入流路が、塗工溶液チャンバーの一の壁面に垂直に設けられている場合、外壁面の洗浄溶液注入流路から離れている領域では洗浄溶液の流れに淀みが発生し、流速が低くなる。また、洗浄溶液が、塗工溶液チャンバーの壁面に垂直に衝突する場合にも、衝突後の洗浄溶液の流速は低下する。
【0012】
洗浄溶液の流速が低い領域では、塗工溶液チャンバーに残留した塗工溶液や沈殿物が除去されず、塗工溶液チャンバーに沈殿物の固着が生じることになる。したがって、塗工ヘッドを解体して固着物を除去しなければならず、洗浄工数が増加し、塗工装置の稼働率が低下していた。
【0013】
そこで、本発明は、洗浄溶液を用いて内部を洗浄する塗工ヘッドにおいて、洗浄溶液が塗工ヘッドの内部を淀むことなく流れ、塗工ヘッドの内部の全域が洗浄される塗工ヘッドを提供することを一の目的とする。
【0014】
また、塗工ヘッドの内部の全域を洗浄することができる塗工ヘッドの洗浄方法を提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の塗工ヘッドは、塗工溶液を安定して塗工口に送るための塗工溶液チャンバーと、洗浄溶液を塗工溶液チャンバーへ注入するための洗浄溶液注入流路と、洗浄溶液を塗工溶液チャンバーの外へ排出するための洗浄溶液排出流路と、を備える。塗工溶液チャンバーが、対向する端面の距離が外周に行くほど小さくなるR形状部を有する円筒形状であり、洗浄溶液注入流路が、塗工溶液チャンバーの軸方向の端部から塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って延び、洗浄溶液注入流路が設けられている位置とは異なる軸方向の位置に、塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って洗浄溶液排出流路が延びていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の塗工ヘッドの洗浄方法は、塗工溶液を安定して塗工口に送るための塗工溶液チャンバーと、洗浄溶液を塗工溶液チャンバーへ注入するための洗浄溶液注入流路と、洗浄溶液を塗工溶液チャンバーから排出するための洗浄溶液排出流路と、を備え、塗工溶液チャンバーが、対向する端面の距離が外周に行くほど小さくなるR形状部を有する円筒形状であり、洗浄溶液注入流路が、塗工溶液チャンバーの軸方向の端部から塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って延び、洗浄溶液注入流路が設けられている位置とは異なる軸方向の位置に、塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って洗浄溶液排出流路が延びている塗工ヘッドの洗浄方法である。洗浄溶液注入流路から塗工溶液チャンバーへ洗浄溶液を注入し、洗浄溶液を洗浄溶液排出流路から塗工溶液チャンバーの外へ排出する洗浄工程を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、洗浄溶液を用いて内部を洗浄する塗工ヘッドにおいて、洗浄溶液が塗工ヘッドの内部を淀むことなく流れ、塗工ヘッドの内部の全域が洗浄される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における塗工ヘッドの斜視図である。
【図2】図1に示す塗工ヘッドの断面図である。
【図3】塗工溶液を塗布しているときの塗工ヘッドの断面図である。
【図4】塗工溶液が塗工溶液チャンバーから排出されたときの塗工ヘッドの断面図である。
【図5】洗浄溶液注入流路から洗浄溶液を注入しているときの塗工ヘッドの断面図である。
【図6】塗工溶液排出流路から洗浄溶液を注入しているときの塗工ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態における塗工ヘッド1の斜視図であり、図2は塗工ヘッド1の断面図である。図1に示すように、塗工ヘッド1は、第1のヘッド本体2と第2のヘッド本体3とが対になって結合されることによって構成されている。
【0021】
塗工ヘッド1には、塗工溶液を吐出するための塗工口4が設けられており、また塗工ヘッド1の内部には、塗工溶液を貯留して安定して塗工口4に塗工溶液を送るための塗工溶液チャンバー5が形成されている。一般的に、第1のヘッド本体2と第2のヘッド本体3とが接する面に凹み部を形成し、第1のヘッド本体2と第2のヘッド本体3とを結合することによって塗工口4と塗工溶液チャンバー5とが形成される。
【0022】
第1のヘッド本体2には洗浄溶液を塗工溶液チャンバー5へ注入するための洗浄溶液注入流路6が設けられており、洗浄溶液注入流路6には、洗浄溶液注入流路6を開閉するためのバルブ7が備えられている。洗浄溶液注入流路6を介して、塗工ヘッド1と、洗浄溶液を送液するための不図示の洗浄溶液送液装置とが接続されている。
【0023】
第2のヘッド本体3には洗浄溶液を塗工溶液チャンバー5の外へ排出するための洗浄溶液排出流路8が設けられている。洗浄溶液排出流路8は、塗工溶液を送液するための不図示の塗工装置本体と接続可能に設けられており、洗浄溶液排出流路8が記塗工溶液を送液するための塗工溶液注入流路を兼用している。塗工装置本体から塗工溶液を送液することによって、塗工溶液が塗工溶液チャンバー5に貯留され、塗工口4から塗工溶液が吐出される。
【0024】
洗浄溶液送液装置は、洗浄溶液排出流路8とも接続できるようになっている。また、洗浄溶液排出流路8は、塗工溶液チャンバー5を洗浄した後の洗浄溶液を貯留するための不図示の排出タンクにも接続できるようになっている。したがって、塗工装置本体に洗浄溶液を送ることなく洗浄溶液排出流路8から洗浄溶液や塗工溶液を排出できる。
【0025】
塗工溶液チャンバー5は、円筒形状を有している。塗工溶液チャンバー5の軸に垂直に交わる断面は、真円でなく、楕円でもよい。
【0026】
図2(a)は、塗工溶液チャンバーの軸に平行で、且つ洗浄溶液排出流路8及び洗浄溶液注入流路6を通る面(図1に示すA−A面)で切断したときの断面図である。また、図2(b)は、中心軸Cに垂直で、且つ洗浄溶液排出流路8及び洗浄溶液注入流路6を通る面(図1に示すB−B面)で切断したときの断面図である。
【0027】
図2(a)に示すように、塗工溶液チャンバー5の端面の外周部には、端面の中心から外周に行くほど、対向する端面の距離が小さくなるようにR形状部9が形成されている。洗浄溶液注入流路6は、塗工溶液チャンバー5の軸方向の両端部に設けられており、洗浄溶液排出流路8は、洗浄溶液注入流路6が設けられている位置とは異なる塗工溶液チャンバー5の軸方向の位置に設けられている。本実施例において、洗浄溶液排出流路8は、塗工溶液チャンバー5の軸方向の中央部に設けられている。
【0028】
洗浄溶液注入流路6を塗工溶液チャンバー5の端部に設けることによって、塗工溶液チャンバー5の端部に残留する塗工溶液を洗浄することができる。特に、洗浄溶液注入流路6の外周が塗工溶液チャンバー5の端面の内側で接するように洗浄溶液注入流路6を設けることによって、洗浄溶液が塗工溶液チャンバー5の端面に沿って流れる。したがって、洗浄溶液の流速が低下することなく塗工溶液チャンバー5の端部へ到達できるため、より高い洗浄力で塗工溶液チャンバー5の端部を洗浄できる。
【0029】
また、塗工溶液チャンバー5の軸は、水平方向以外の方向に配置されていてもよいが、本実施形態においては、該軸は水平方向に配置されている。塗工溶液チャンバー5の軸を水平に配置することによって、塗工溶液チャンバー5の両端部に設けられた洗浄溶液注入流路6から注入された各々の洗浄溶液の流れを等しくしやすくなる。
【0030】
したがって、塗工溶液チャンバー5の軸方向における中央部で洗浄溶液を衝突させることができる。即ち、洗浄溶液排出流路8が設けられている位置で各々の洗浄溶液が衝突するため、効率よく洗浄溶液を排出することができる。
【0031】
図2(b)に示すように、洗浄溶液注入流路6は、塗工溶液チャンバー5の外周の接線方向に沿って延びている。また、洗浄溶液排出流路8も、塗工溶液チャンバー5の外周の接線方向に沿って延びている。
【0032】
洗浄溶液注入流路6は、鉛直方向以外の方向、例えば水平方向に設置されていてもよいが、洗浄溶液の流路を鉛直方向に設置し洗浄溶液を上方から塗工溶液チャンバー5に注入することによって、洗浄溶液の流速を大きくすることができる。
【0033】
洗浄溶液排出流路8を塗工溶液チャンバー5の下側に設けることによって、塗工溶液チャンバー5の底部に残留する塗工溶液を容易に排出することができる。特に、図2(b)に示すように、洗浄溶液排出流路8が塗工溶液チャンバーの軸を中心に洗浄溶液注入流路6の相対する位置に設けられている場合、洗浄溶液は塗工溶液チャンバー5の底部を通過した後に洗浄溶液排出流路8に到達する。したがって、塗工溶液チャンバー5の底部に残留する塗工溶液の洗浄力をより高められる。
【0034】
次に、本実施形態における塗工ヘッド1の洗浄方法について、図3から図6を用いて説明する。
【0035】
図3は、フィルムやシートへ塗工溶液10を塗布しているときの塗工ヘッド1の断面図である。図3に示すように、洗浄溶液排出流路8から塗工溶液10が注入され、塗工溶液チャンバー5が塗工溶液10で満たされている。
【0036】
このとき、バルブ7は閉じられており、洗浄溶液注入流路6から塗工溶液10が排出されないようになっている。さらに塗工溶液10を塗工溶液チャンバー5に注入することによって、塗工口4から塗工溶液10が吐出し、フィルムやシートに塗工溶液10が塗布される。
【0037】
フィルムやシートへの塗工溶液10の塗工が終了したところで、塗工溶液チャンバー5への塗工溶液10の注入を停止し、洗浄溶液排出流路8から塗工溶液10を排出する。このとき、バルブ7を開けることによって、効率よく洗浄溶液12が排出される。
【0038】
図4は、塗工溶液10が排出されたときの塗工ヘッド1の断面図である。図4に示すように、塗工溶液10の全てが塗工溶液チャンバー5から排出されず、塗工口4や塗工溶液チャンバー5の底部に残留する。特に、洗浄溶液排出流路8から離れた位置ほど塗工溶液10が残留し易い。
【0039】
次に、流体の塗工口4からの流出を防止するための蓋部材11を、塗工口4に取り付け、前記塗工口を塞ぐ。その後、洗浄溶液12を洗浄溶液注入流路6から注入する。図5は、洗浄溶液注入流路6から洗浄溶液12を注入しているときの塗工ヘッド1の断面図である。図5(a)は、図1に示すA−A面で切断したときの断面図であり、図5(b)は、図1に示すB−B面で切断したときの断面図である。
【0040】
図5(a)に示すように、洗浄溶液注入流路6の外周が塗工溶液チャンバー5の端面に接しているため、洗浄溶液12は塗工溶液チャンバー5の端面に沿って進行し、R形状部9に到達する。その後、洗浄溶液12はR形状部9によって、塗工溶液チャンバー5の軸方向の中央に向かって進行する。
【0041】
また、図5(b)に示すように、洗浄溶液注入流路6の外周は、塗工溶液チャンバー5の外周に接しているため、洗浄溶液12は塗工溶液チャンバー5の外周に沿って進行する。したがって、洗浄溶液12は、塗工溶液チャンバー5の外周に沿って螺旋状に進行する。
【0042】
塗工溶液チャンバー5の軸方向の中央部に達したところで、一の洗浄溶液注入流路6から注入された洗浄溶液12と、他の洗浄溶液注入流路6から注入された洗浄溶液12とが衝突する。その後、塗工溶液チャンバー5に残留した塗工溶液10とともに洗浄溶液12が洗浄溶液排出流路8から排出される。
【0043】
次に、洗浄溶液注入流路6からの洗浄溶液12の注入を停止し、蓋部材11を塗工口4から取り外す。バルブ7を閉じ、洗浄溶液排出流路8から洗浄溶液12を注入する。図6は、洗浄溶液排出流路8から洗浄溶液12を注入しているときの塗工ヘッド1の断面図である。
【0044】
図6に示すように、洗浄溶液12によって塗工溶液チャンバー5が充填される。さらに洗浄溶液12を塗工溶液チャンバー5に注入し、塗工口4に残留している塗工溶液10とともに塗工口4から洗浄溶液12が吐出される。
【0045】
通常、塗工ヘッド1は塗工溶液を塗工口4から均一に吐出できるように設計されているため、洗浄溶液排出流路8、即ち塗工溶液注入流路から注入された洗浄溶液12も均一に塗工口4から吐出される。したがって、塗工口4においても洗浄溶液12の流速が低下する領域が発生せず、塗工口4の全域を洗浄することができる。
【0046】
以上により、塗工ヘッドの1の洗浄が完了する。
【0047】
本実施形態によれば、洗浄溶液注入流路6から注入された洗浄溶液12は、塗工溶液チャンバー5の端面に沿って進行した後、R形状部9に沿って進路を変更し、且つ塗工溶液チャンバー5の外周に沿って螺旋状に進行する。
【0048】
したがって、洗浄溶液12は、淀みなく塗工溶液チャンバー5を流れることができる。また、洗浄溶液12は、塗工溶液チャンバー5の壁面に衝突することなく塗工溶液チャンバー5を進行するため、流速の低下を抑制することができる。そのため、塗工ヘッド1の内部に塗工溶液10を残留させることなく洗浄を行うことができる。
【0049】
さらに、本発明における塗工ヘッド1では、塗工装置本体装置から塗工ヘッド1を取り外したり、第1及び第2のヘッド本体2、3を分離したりすることなく内部を洗浄することができる。したがって、塗工ヘッド1の内部の洗浄の時間が短縮され、塗工装置本体の稼働率の向上を図ることができる。
【0050】
上述の説明では、洗浄溶液注入流路6が塗工溶液チャンバー5の対向する両端部に設けられているが、洗浄溶液注入流路6は1箇所以上であればよい。例えば、洗浄溶液注入流路6が塗工溶液チャンバー5の軸方向の一の端部に設けられている場合、洗浄溶液排出流路8を他の端部に設けることによって、洗浄溶液が一の端部から他の端部まで流れるため、塗工溶液チャンバー5の全域を洗浄することができる。
【0051】
この場合、洗浄溶液排出流路8を、塗工溶液チャンバー5の端面に接するように設けることによって、塗工溶液チャンバー5の端部に残留する塗工溶液が洗浄されやすくなる。
【符号の説明】
【0052】
1 塗工ヘッド
2 第1のヘッド本体
3 第2のヘッド本体
4 塗工口
5 塗工溶液チャンバー
6 洗浄溶液注入流路
7 バルブ
8 洗浄溶液排出流路
9 R形状部
10 塗工溶液
11 蓋部材
12 洗浄溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工溶液を安定して塗工口に送るための塗工溶液チャンバーと、
洗浄溶液を前記塗工溶液チャンバーへ注入するための洗浄溶液注入流路と、
前記洗浄溶液を前記塗工溶液チャンバーの外へ排出するための洗浄溶液排出流路と、を備える塗工ヘッドにおいて、
前記塗工溶液チャンバーが、対向する端面の距離が外周に行くほど小さくなるR形状部を有する円筒形状であり、
前記洗浄溶液注入流路が、前記塗工溶液チャンバーの軸方向の端部から前記塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って延び、
前記洗浄溶液注入流路が設けられている位置とは異なる前記軸方向の位置に、前記塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って前記洗浄溶液排出流路が延びていることを特徴とする塗工ヘッド。
【請求項2】
前記洗浄溶液注入流路が前記塗工溶液チャンバーの前記軸方向の両端部に設けられ、前記洗浄溶液排出流路が前記塗工溶液チャンバーの前記軸方向の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗工ヘッド。
【請求項3】
前記洗浄溶液注入流路が前記塗工溶液チャンバーの前記軸方向の一の端部に設けられ、前記洗浄溶液排出流路が前記塗工溶液チャンバーの前記軸方向の他の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗工ヘッド。
【請求項4】
前記洗浄溶液排出流路が、前記洗浄溶液を送液するための洗浄溶液送液装置と接続されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗工ヘッド。
【請求項5】
前記洗浄溶液排出流路が、前記塗工溶液を送液するための塗工溶液注入流路を兼用していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗工ヘッド。
【請求項6】
前記塗工溶液チャンバーの軸が、水平に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗工ヘッド。
【請求項7】
塗工溶液を安定して塗工口に送るための塗工溶液チャンバーと、
洗浄溶液を前記塗工溶液チャンバーへ注入するための洗浄溶液注入流路と、
前記洗浄溶液を前記塗工溶液チャンバーの外へ排出するための洗浄溶液排出流路と、を備え、
前記塗工溶液チャンバーが、対向する端面の距離が外周に行くほど小さくなるR形状部を有する円筒形状であり、
前記洗浄溶液注入流路が、前記塗工溶液チャンバーの軸方向の端部から前記塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って延び、
前記洗浄溶液注入流路が設けられている位置とは異なる前記軸方向の位置に、前記塗工溶液チャンバーの外周の接線方向に沿って前記洗浄溶液排出流路が延びている塗工ヘッドの洗浄方法であって、
前記洗浄溶液注入流路から前記塗工溶液チャンバーへ前記洗浄溶液を注入し、前記洗浄溶液を前記洗浄溶液排出流路から前記塗工溶液チャンバーの外へ排出する洗浄工程を含む、塗工ヘッドの洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄工程の前に、前記洗浄溶液の流出を防止するための蓋部材で前記塗工口を塞ぐ工程を含む、請求項7に記載の塗工ヘッドの洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄溶液注入流路にバルブをさらに備え、前記洗浄溶液排出流路が前記洗浄溶液を送液するための洗浄溶液送液装置と接続されている塗工ヘッドの洗浄方法であって、
前記洗浄工程の後に、前記バルブを閉じ、前記蓋部材を取り外し、前記洗浄溶液排出流路から前記塗工溶液チャンバーへ前記洗浄溶液を注入し、前記塗工口から前記塗工溶液チャンバーの外へ前記洗浄溶液を排出する工程を含む、請求項8に記載の塗工ヘッドの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−177611(P2011−177611A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41810(P2010−41810)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】