説明

塗布具

【課題】液体または粉末を容易かつ確実に広範囲にわたって塗布することができるとともに、前記液体とともに噴出したガスによる体腔内の体内圧の過剰な上昇を抑制または防止することができる塗布具を提供すること。
【解決手段】塗布具1は、長尺のノズル本体43と、ノズル本体43の先端側に設けられたノズルヘッド42とを有し、ノズル本体43の先端部に、湾曲または屈曲し可撓性を有する湾曲部431が形成されたノズル4と、ノズル本体43がその長手方向に沿って移動可能に挿通され、湾曲部431を挿入することにより湾曲部431の形状を矯正して、ノズルヘッド42のノズル本体43の軸線433に対する方向を調整するシース11とを備え、シース11とノズル4との間には、長手方向に沿って間隙15が形成されており、間隙15は、腹腔500内の気腹圧が上昇したとき、間隙15を介して腹腔500内のガスG3を体外へ排出する排気路として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種以上の液体を混合して患部等に噴射し、癒着防止材や生体組織接着材などを形成する方法が知られており、そのための塗布具が開発されている。
【0003】
このような塗布具は、混合すると凝固する成分同士、例えばトロンビンを含有する溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液を互いに分別した状態で、患部付近まで送り、患部で混合しながら塗布するという構成によるものである。
【0004】
従来の塗布具としては、異なる種類の液体をそれぞれ含有する2つのシリンジと、各シリンジからの液体を混合して(以下、「混合液」という)噴出するノズルとを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1に記載の塗布具は、ノズルが、無菌ガスを供給するガス供給源と接続されており、この無菌ガスとともに液体を噴出するよう構成されている。
【0005】
例えば腹腔鏡下手術で特許文献1に記載の塗布具を用いる場合、予め腹壁に留置された(固定された)トロカール管を介して、塗布具のノズルを腹腔内に挿入する。このノズルが向く方向は、当該ノズルを生体内に挿入した際の挿入方向と同じであるため、この方向に向かって、すなわち、一方向にしか混合液を噴出することができない。従って、特許文献1に記載の塗布具では、腹腔内の狭い範囲、すなわち、前記一方向(ノズルが向く方向)に存在する目的部位しか混合液を塗布することができず、広範囲にわたっての混合液の塗布は、不可能であった。
【0006】
また、腹腔鏡下手術では、トロカール管を介して、無菌ガスが腹腔内に供給される。これにより、腹腔内の気腹圧が上昇して、当該腹腔が膨張する。特許文献1に記載の塗布具は、前述したように混合液が無菌ガスとともにノズルから噴出されるよう構成されているため、その噴出した無菌ガスにより、腹腔内の気腹圧がさらに上昇して、当該腹腔が過剰に膨張してしまう。
【0007】
【特許文献1】特開2002−282368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、液体または粉末を容易かつ確実に広範囲にわたって塗布することができ、それとともに噴出したガスによる体腔内の体内圧の上昇を抑制または防止することができる塗布具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
(1) 生体内に挿入して使用される塗布具であって、
長尺状のノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に設けられ、ガスとともに液体が噴出するノズルヘッドとを有し、前記ノズル本体の先端部に、湾曲または屈曲し、可撓性を有する湾曲部が形成されたノズルと、
前記ノズル本体がその長手方向に沿って移動可能に挿通され、前記湾曲部を挿入することにより該湾曲部の形状を矯正して、前記ノズルヘッドの前記ノズル本体の軸線に対する方向を調整する外管とを備え、
前記外管と前記ノズルとの間には、長手方向に沿って間隙が形成されており、
前記間隙は、体腔内の体内圧が上昇したとき、当該間隙を介して前記体腔内の気体を体外へ排出する排気路として機能することを特徴とする塗布具。
【0010】
(2) 前記外管は、その先端が開口し、前記間隙に連通する先端開口部を有し、
前記先端開口部は、前記体腔内の気体が前記間隙内に流入する流入口として機能する上記(1)に記載の塗布具。
【0011】
(3) 前記外管は、その壁部に形成され、前記間隙に連通する少なくとも1つの側孔を有し、
前記側孔は、前記間隙を通過した気体が流出する流出口として機能する上記(2)に記載の塗布具。
【0012】
(4) 前記外管は、前記側孔を前記外管の外周側から覆うカバー部を有する上記(3)に記載の塗布具。
【0013】
(5) 前記外管は、その壁部に形成され、前記間隙に連通する少なくとも1つの側孔を有し、
前記側孔は、前記体腔内の気体が前記間隙内に流入する流入口として機能する上記(1)または(2)に記載の塗布具。
【0014】
(6) 前記ノズルの長手方向に対して前記外管を位置決めする位置決め手段を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の塗布具。
【0015】
(7) 前記位置決め手段は、前記間隙の途中に前記ノズル本体の外周面および前記外管の内周面のうちの一方の面に対して固定され、他方の面に当接する弾性体で構成されている上記(6)に記載の塗布具。
【0016】
(8) 前記弾性体は、前記間隙をその途中で封止するものであり、
前記外管には、前記弾性体が設置されている部分よりも基端側の部分に、前記間隙に連通する側孔が形成されている上記(7)に記載の塗布具。
【0017】
(9) 前記弾性体は、前記間隙の間隙距離を規制する機能を有する上記(7)または(8)に記載の塗布具。
【0018】
(10) 前記位置決め手段は、前記間隙の途中に前記ノズル本体の外周面および前記外管の内周面のうちの一方の面に突出形成され、他方の面に当接する突部で構成されている上記(6)に記載の塗布具。
【0019】
(11) 前記ノズルヘッドは、その軸線と前記ノズル本体の軸線とが一致するときに、前記外管の先端開口部と嵌合する嵌合部を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の塗布具。
【0020】
(12) 前記嵌合部には、前記ノズルヘッドの軸線方向に沿って少なくとも1本の溝が形成されており、
前記ノズルヘッドの軸線と前記ノズル本体の軸線とが一致するとき、前記溝を介して前記体腔内の気体が前記間隙に流入する上記(11)に記載の塗布具。
【0021】
(13) 前記湾曲部は、外力を付与しない自然状態で前記ノズルヘッドが基端側を向く程度に湾曲している上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の塗布具。
【0022】
(14) 前記湾曲部は、前記自然状態で形状がU字状をなすように形成されて、前記ノズルヘッドの軸線と前記ノズル本体の軸線とが互いに平行となっており、
前記ノズルは、前記湾曲部の一部を前記外管に収納して、当該湾曲部の湾曲の程度を前記自然状態のときよりも小さくし、この状態で基端側に向かって前記ノズルヘッドから液体および気体を噴出するよう使用される上記(13)に記載の塗布具。
【0023】
(15) 前記ノズル本体は、前記液体を供給する液体供給手段に接続され、該液体供給手段からの液体が通過する液体流路と、前記ガスを供給するガス供給手段に接続され、該ガス供給手段からのガスが通過するガス流路とを有する上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の塗布具。
【0024】
(16) 生体内に挿入して使用される塗布具であって、
長尺状のノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に設けられ、ガスとともに粉末が噴出するノズルヘッドとを有し、前記ノズル本体の先端部に、湾曲または屈曲し、可撓性を有する湾曲部が形成されたノズルと、
前記ノズル本体がその長手方向に沿って移動可能に挿通され、前記湾曲部を挿入することにより該湾曲部の形状を矯正して、前記ノズルヘッドの前記ノズル本体の軸線に対する方向を調整する外管とを備え、
前記外管と前記ノズルとの間には、長手方向に沿って間隙が形成されており、
前記間隙は、体腔内の体内圧が上昇したとき、当該間隙を介して前記体腔内の気体を体外へ排出する排気路として機能することを特徴とする塗布具。
【0025】
また、前記弾性体は、前記ノズルの外周方向に沿って間欠的に複数配置されているのが好ましい。
【0026】
前記弾性体は、前記ノズルの外周方向に沿ったリング状をなすものであるのが好ましい。
【0027】
気体の排出量を調整する調整手段を有するのが好ましい。
前記調整手段は、前記ノズル本体の基端外周部に形成され、その外径が基端方向に向かって漸増したテーパ面と、前記外管の内周面とで構成され、前記外管が移動して、前記テーパ面と前記外管の内周面とが接近・離間し、前記間隙の間隙距離が変化することにより作動するものであるのが好ましい。
【0028】
前記ノズルをトロカール管に挿通した状態で用いられるのが好ましい。
前記トロカール管は、管状体と、該管状体の基端部に設けられたハブと、該ハブに設けられ、前記ノズルを挿通可能な弁体とを有するものであるのが好ましい。
【0029】
前記外管の前記トロカール管に対する先端方向への移動限界を規制する規制手段を有するのが好ましい。
【0030】
前記トロカール管は、管状体と、該管状体の基端部に設けられたハブとを有するものであり、
前記規制手段は、前記外管の基端外周部に突出形成され、前記ハブの基端部に当接する突部で構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、外管をその長手方向に沿って移動して、ノズルヘッドのノズル本体の軸線に対する方向を適宜調整することによって、その方向を変えつつ、ノズルヘッドから液体を体腔内の複数の箇所(例えば臓器等)に向けて噴霧することができる。従って、塗布具は、体腔内で液体または粉末を容易かつ確実に広範囲にわたって塗布することができるものである。
【0032】
また、ノズルヘッドから噴出したガスによって、体腔内の体内圧が上昇して当該体腔が膨張する。そして、例えば前記ガスの噴出が継続すると、体腔内の体内圧は、過剰に上昇して、これによって、当該体腔がさらに膨張しようとする。しかしながら、体腔内の気体は、間隙内に流入する。そして、この流入した気体は、間隙内を流下し、外部へ排出される。これにより、体腔内の体内圧の過剰な上昇を抑制または防止することができ、よって、体腔がさらに膨張しようとするのを防止することができる。
【0033】
また、湾曲部が、外力を付与しない自然状態でノズルヘッドが基端側を向く程度に湾曲している場合には、例えば本願発明の塗布具を腹腔鏡下手術で用いると、腹壁の裏面(裏側の部分)に液体または粉末を塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の塗布具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の塗布具(第1実施形態)の使用状態の一例を示す概略部分縦断面図、図2および図3は、それぞれ、図1に示す塗布具の拡大部分縦断面図、図4は、図1の塗布具におけるノズルの先端側の部分の縦断面図、図5は、図2中のA−A線断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4中(図7〜図17についても同様)の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」と言う。
【0035】
図1に示すように、塗布具1は、例えば腹腔鏡下手術の際に、腹腔500内に挿入して、液組成が異なる2種の液体(第1の液体L1、第2の液体L2)を混合しながら、その混合物を臓器や腹壁501等に塗布するものである。塗布具1の腹腔500内への挿入は、腹壁501に予め留置されたトロカール管40を介して行われる。具体的には、塗布具1のノズル4をトロカール管40内に挿入して、そのトロカール管40からノズル4のノズルヘッド42を突出させることにより、塗布具1(ノズルヘッド42)を腹腔500内へ挿入することができる。
【0036】
塗布具1について説明する前に、トロカール管40について説明する。
図1に示すように、トロカール管40は、管状をなす本体部(管状体)401と、本体部401の基端部に設けられたハブ402とを有している。
【0037】
本体部401は、その先端および基端が開口したものである。本体部401の先端開口部403は、本体部401の軸に対して傾斜している。これにより、トロカール管40の先端部が、当該トロカール管40を先端側から腹腔500内に挿入するのに容易な形状となる。よって、トロカール管40の腹腔500内への挿入操作を容易に行うことができる。
【0038】
ハブ402は、内径および外径が本体部401よりも拡径した部位であり、本体部401内に連通している。
【0039】
ハブ402の外周部には、ガス供給ポート404が突出形成されている。ガス供給ポート404は、チューブ302aを介してガスボンベ(ガス供給手段)300aと接続されている。ガスボンベ300aから供給されたガス(無菌ガス)G1は、チューブ302a、ガス供給ポート404、ハブ402内、本体部401内を順に通過し、腹腔500内に供給される(図1参照)。このガスG1の供給により、腹腔500内の気腹圧(体内圧)が大気圧よりも8〜12mmHg程度上昇して、当該腹腔500が膨張する。これにより、腹腔500は、腹腔鏡下手術を施すのに十分な大きさとなる。なお、ガスボンベ300aは、後述するガスボンベ300bと同様の構成であり、ここでは、その説明を省略する。
【0040】
また、ハブ402の基端開口部405には、当該基端開口部405を覆うようにダックビル弁(弁体)406が設置されている。ダックビル弁406は、塗布具1がトロカール管40に挿入されていない状態では閉口(閉塞)し、塗布具1が挿入されると開口するものである。このダックビル弁406により、塗布具1が挿入された状態でもガスG1が基端開口部405から流出するのを防止することができ、よって、ガスG1が効率よく、確実に腹腔500内に供給される。ダックビル弁406の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0041】
また、本体部401およびハブ402は、一体的に形成されていてもよいし、それぞれを別体で構成し、これら別体同士が連結固定されていてもよい。本体部401およびハブ402の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。
【0042】
前述したように、塗布具1は、液組成が異なる2種の液体(第1の液体L1、第2の液体L2)を混合しながら塗布するものである(図1〜図3参照)。塗布具1は、第1の液体L1を収納する第1のシリンジ(液体供給手段)2と、第2の液体L2を収納する第2のシリンジ(液体供給手段)3とをそれぞれ装填して用いられる。第1のシリンジ2と第2のシリンジ3とは、ほぼ同様の構成であるため、代表的に第1のシリンジ2について説明する。
【0043】
第1のシリンジ2は、外筒(シリンジ外筒)21と、外筒21内で摺動し得るガスケット24と、ガスケット24を外筒21の長手方向(軸方向)に沿って移動操作する押し子(プランジャロッド)26とを備えている。ガスケット24は、押し子26の先端に連結されている。
【0044】
外筒21は、有底筒状の部材で構成され、先端側底部の中央部には、外筒21の胴部に対し縮径した縮径部(口部)22が一体的に突出形成されている。
【0045】
外筒21の後端外周には、フランジ23が一体的に形成されている。
また、外筒21の外周面には、液量を示す目盛りが付されている。
【0046】
外筒21の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、トロカール管40についての説明で上げたような各種樹脂を用いることができる。なお、外筒21の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
【0047】
このような外筒21内には、弾性材料で構成されたガスケット24が収納されて(挿入されて)いる。ガスケット24の外周面が外筒21の内周面に密着しつつ摺動することにより、外筒21内を液密性を確実に保持しつつ、第1の液体L1を口部22に向けて押し出すことができる。ガスケット24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、トロカール管40のダックビル弁406についての説明で挙げたような弾性材料を用いることができる。
【0048】
ガスケット24の移動は、押し子26を移動操作することにより行われる。押し子26は、長尺な部材であり、その端側には、円盤状のフランジ29が形成されている。また、押し子26の構成材料としては、前述した外筒21と同様のものを用いることができる。
【0049】
第1のシリンジ2は、塗布具1に装填される以前に、外筒21とガスケット24とで囲まれた空間(貯液空間)に、第1の液体L1が充填される。第2のシリンジ3には、外筒21とガスケット24とで囲まれた空間(貯液空間)に、第2の液体L2が充填される。
【0050】
第1のシリンジ2に充填される第1の液体L1と、第2のシリンジ3に充填される第2の液体L2とは、それらの組成(成分)が異なるものである。
【0051】
本発明においては、第1の液体L1と第2の液体L2とは、塗布具1の用途、使用目的、症例等に応じて適宜選定される。例えば、生体組織接着材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、トロンビンを含有する液体(溶液等)、他方はフィブリノーゲンを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0052】
また、癒着防止材の投与に使用する場合、第1の液体L1および第2の液体L2のうちの一方は、スクシンイミジル基で修飾したカルボキシメチルデキストリンを含有する液体(溶液等)、他方は、リン酸水素二ナトリウムを含有する液体(溶液等)とすることができる。
【0053】
このような組み合わせの第1の液体L1および第2の液体L2は、それらを混合すると、変質、すなわち、ゲル化(固化)する。ゲル化することにより、例えば、第1の液体L1と第2の液体L2とが混合したもの(以下、「混合物」という場合がある)が、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留まることができる。また、混合物が目的部位に確実に留まるため、当該目的部位において、生体組織接着材や癒着防止材としての機能を確実に発揮することができる。
【0054】
なお、第1の液体L1および第2の液体L2の種類および組み合わせは、上述したものに限定されないことは、言うまでもない。
【0055】
このような構成の第1のシリンジ2および第2のシリンジ3は、それぞれ、後述するノズル4に接続され、各押し子26を押圧操作することより、ノズル4の第1の流路44に第1の液体L1を、第2の流路45に第2の液体L2を容易かつ確実に供給する(送る)ことができる。また、各押し子26の押圧操作は、塗布具1の操作者(使用者)により手動で行なわれる。このため、操作者は、混合物の塗布を自身の任意のタイミングで行なうことができる。
【0056】
また、塗布具1は、第1の液体L1と第2の液体L2とをガスG2とともに噴出するものである(図1〜図3参照)。このガスG2により、前記混合物が霧化され、前記混合物を目的部位(患部等の目標部位)に均一に塗布することができる。ガスG2は、ガスボンベ300bにより供給される。ガスボンベ300bは、チューブ302bを介してノズルと接続されている。
【0057】
ガスボンベ300bは、その内部空間に高圧の(圧縮された)無菌ガスG2(以下、単に「ガスG2」と言う)が充填されており、高速に流れるガスG2を塗布具1(ノズル4)に供給する(送る)ことができる。このガスボンベ300bまたはチューブ302bの途中には、塗布具1に対するガスGの供給/供給停止を制御する開閉自在なバルブ(コック)(図示せず)が設置されている。前記混合物を塗布ときには、このバルブを開状態にする。
【0058】
図1〜図3に示すように、塗布具1は、塗布具本体7と、塗布具本体7の先端側に設置されたノズル4と、ノズル4が挿通するシース(外管)11とを備えている。
【0059】
図1に示すように、塗布具本体7は、第1のシリンジ2の外筒21と第2のシリンジ3の外筒21とを保持するシリンジ保持部71と、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29と第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29とを連結するフランジ連結部72とで構成されている。
【0060】
シリンジ保持部71は、第1のシリンジ2(外筒21)および第2のシリンジ3(外筒21)を並べて(並列に)固定するものである。このシリンジ保持部71は、各外筒21の口部22が嵌合する(挿入される)嵌合部711と、嵌合部711よりも基端側に位置し、各外筒21のフランジ23の縁部が挿入される挿入部712と、嵌合部711と挿入部712とを連結する連結部713とを有している。
【0061】
嵌合部711に各外筒21の口部22が嵌合すると、第1のシリンジ2の口部22は、ノズル4の第1の流路(液体流路(液体移送路))44に接続され、第2のシリンジ3の口部22は、第2の流路(液体流路(液体移送路))45に接続される。これにより、第1の流路44に第1の液体L1を、第2の流路45に第2の液体L2を供給可能となる(図4参照)。
【0062】
また、嵌合部711の外周部には、ガスボンベ300bからのガスG2が通過するチューブ302bの端部が接続される接続部715が突出形成されている。接続部715にチューブ302bが接続されると、当該チューブ302bは、ノズル4の第3の流路(ガス流路)46に接続される。これにより、第3の流路46にガスG2を供給可能となる(図4参照)。
【0063】
挿入部712には、各外筒21のフランジ23の縁部が挿入される溝714が形成されている。
【0064】
シリンジ保持部71では、嵌合部711に各外筒21の口部22が嵌合し、挿入部712(溝714)に外筒21のフランジ23が挿入されることにより、各外筒21を確実に保持することできる。
【0065】
フランジ連結部72は、第1のシリンジ2の押し子26のフランジ29と第2のシリンジ3の押し子26のフランジ29とを連結する板状の部材である。フランジ連結部72には、各押し子26のフランジ29の縁部が挿入される溝721が形成されている。このフランジ連結部72を先端方向に向かって押圧することにより、各押し子26を一括して先端方向に向かって移動させることができる。このように、フランジ連結部72は、塗布具1を使用する、すなわち、混合物を患部等の目標部位に塗布するとき、使用者によって押圧操作される操作部とし機能するものである。
【0066】
シリンジ保持部71およびフランジ連結部72の構成材料としては、例えば、トロカール管40についての説明で上げたような各種樹脂を用いることができる。
【0067】
塗布具本体7の先端側には、ノズル4が設置されている。このノズル4は、ガスG2とともに第1の液体L1、第2の液体L2(混合物)を噴出するものである。
【0068】
図2〜図4に示すように、ノズル4は、長尺状のノズル本体43と、ノズル本体43の先端に設けられたノズルヘッド42とを有している。
【0069】
図4に示すように、ノズル本体43は、第1のシリンジ2からの第1の液体L1が通過する第1の流路44と、第2のシリンジ3からの第2の液体L2が通過する第2の流路45と、ガスボンベ300bからのガスG2が通過する第3の流路46とを有している。
【0070】
第1の流路44および第2の流路45は、それぞれ、内チューブ(チューブ)で構成されている。各内チューブは、それぞれ、その先端がノズルヘッド42の先端面まで延長されており、当該先端面で開口している。ノズルヘッド42では、第1の流路44を構成する内チューブの開口部が、第1の液体L1を吐出する第1の吐出口421として機能し、第2の流路45を構成する内チューブの開口部が、第2の液体L2を吐出する第2の吐出口422として機能する。また、第1の流路44を構成する内チューブは、その基端部が第1のシリンジ2の口部22に接続される位置まで延在している。これと同様に、第2の流路45、を構成する内チューブは、その基端部が第2のシリンジ3の口部22に接続される位置まで延在している。
【0071】
第3の流路46は、第1の流路44および第2の流路45をそれぞれ構成する内チューブの外周側に位置する、すなわち、各内チューブが挿通された外チューブで構成されている。外チューブは、その先端がノズルヘッド42の先端面まで延長されており、当該先端面で開口している。ノズルヘッド42では、この外チューブの開口部が、ガスG2を噴出する第3の吐出口423として機能する。また、この外チューブは、その基端部が塗布具本体7の接続部715を介してチューブ302bに接続される位置まで延在している。
【0072】
また、前記各内チューブと前記外チューブとが前述したような位置関係となっていることにより、第1の吐出口421および第2の吐出口422の外周側に、すなわち、第1の吐出口421および第2の吐出口422を囲むように、第3の吐出口423が配置される。これにより、第3の吐出口423から高速に吐出したガスG2に、第1の吐出口421から吐出した第1の液体L1と、第2の吐出口422から吐出した第2の液体L2とが巻き込まれる(混合する)。このとき、第1の液体L1および第2の液体L2は、それぞれ、霧状となって噴出する。これにより、第1の液体L1と第2の液体L2とが確実に混合され、患部に塗布される。
【0073】
図1、図2に示すように、ノズル本体43は、先端部(先端側)に、湾曲または屈曲しており、可撓性(柔軟性)を有する湾曲部431を有している。湾曲部431は、本実施形態では、その先端が斜め下側を向くように、湾曲または屈曲している。この湾曲部431により、ノズルヘッド42の軸線426は、ノズル本体43の軸線(厳密には、ノズル本体43の湾曲部431より基端側の部分432の軸線)433に対して傾斜している(図2参照)。
【0074】
湾曲部431が後述するシース11により規制されることなく湾曲または屈曲した状態のときの、ノズル本体43の軸線433に対するノズルヘッド42の軸線426の傾斜角度θは、30〜90°程度であるのが好ましく、45〜70°程度であるのがより好ましい。
【0075】
ノズル本体43の湾曲部431は、軟質材料、弾性材料等で構成されている。また、ノズル本体43の湾曲部431より基端側の部分432は、硬質材料で構成されているものでも、軟質材料、弾性材料等で構成され、可撓性を有するものでもよい。
【0076】
また、湾曲部431と、ノズル本体43の湾曲部431より基端側の部分432とは、別部材で構成され、接着、融着等により固着された構成でもよく、また、一体成形された構成であってもよい。
【0077】
ノズル4(ノズル本体43)の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種の軟質または硬質樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、ステンレス鋼、アルミニウム、銅または銅系合金等の各種金属材料、各種ガラス、アルミナ、シリカ等の各種セラミックスが挙げられ、ノズル本体43の湾曲部431より基端側の部分432には、これらのうちのいずれも用いることができ、また、湾曲部431には、これらのうちの軟質材料や弾性材料を用いることができる。
【0078】
前述したように、ノズルヘッド42は、第1の液体L1が第1の吐出口421から吐出し、第2の液体L2が第2の吐出口422から吐出し、これらの液体を混合しつつ、第3の吐出口423からガスG2が噴出するものである。
【0079】
このノズルヘッド42は、外形形状が円柱状をなし、外径が先端方向に向かって漸増する第1テーパ部427と、外径が長手方向(軸線426)に沿って一定の外径一定部428と、外径が先端方向に向かって漸減する第2テーパ部429とが基端側からこの順に配置されたものである。
【0080】
第1テーパ部427が形成されていることにより、ノズル4が図2に示す状態から図3に示す状態に変化するとき、シース11の先端開口部113の内側の縁部114が第1テーパ部427に沿って、円滑に移動することができる。これにより、ノズルヘッド42をシース11内に確実に導入することができる。なお、縁部114は、丸みを帯びているのが好ましい。これにより、縁部114が第1テーパ部427に沿ってより円滑に移動することができる。
【0081】
第1テーパ部427よりも先端側には、第2テーパ部429が位置している。この第2テーパ部429が形成されていることにより、例えば図3に示す状態で塗布具1をトロカール管40に挿入する際、第2テーパ部429がトロカール管40のダックビル弁406を円滑に通過することができる。これにより、塗布具1のトロカール管40への挿入操作を容易に行うことができる。また、第2テーパ部429の基端の外径は、シース11の内径よりも大きい。これにより、ノズルヘッド42がシース11内に入り込んでしまうこと、すなわち、ノズルヘッド42の先端がシース11の先端よりも基端側に移動してしまうのを防止することができる。
【0082】
第1テーパ部427と第2テーパ部429との間には、外径一定部428が位置している。外径一定部428の外径は、第1テーパ部427の先端の外径(最大外径)と同じであり、また、シース11の内径と同等またはそれよりも若干大きい。これにより、図3に示すように、ノズルヘッド42の軸線426とノズル本体43の軸線433とが一致する際に、外径一定部428(第1テーパ部427の先端も含む)がシース11の先端開口部113に入り込んで嵌合する。よって、ノズルヘッド42の軸線426とノズル本体43の軸線433とが一致した状態を維持することができる。また、この維持された状態のまま混合物を腹腔500内の目的部位に塗布することができる。塗布具1では、外径一定部428と第1テーパ部427の先端(一部)とをシース11の先端開口部113と嵌合する「嵌合部」ということができる。
【0083】
図2(図1、図3も同様)に示すように、塗布具1は、ノズル本体43の湾曲部431の形状を規制する形状規制部材としての機能を有するシース11を有している。このシース11は、その先端および基端がそれぞれ開口した長尺状の管体で構成されており、その内部には、ノズル4(ノズル本体43)が挿通し(挿入され)ている。本実施形態では、シース11は、湾曲部431よりも先端側の部分(ノズルヘッド42の外径一定部428)からノズル本体43の基端部の近傍まで挿入されるようになっている。また、シース11は、ノズル本体43に対し、ノズル本体43の長手方向(軸方向)に沿って移動可能になっている。
【0084】
このシース11は、湾曲部431の一部または全部を覆ったときに当該湾曲部431の形状を規制し(矯正し)得るように、硬質材料で構成されており、必要かつ十分な剛性を有し、さらには低摺動性を有していることが望ましい。
【0085】
シース11の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の硬質樹脂、ステンレス鋼、アルミニウム、銅または銅系合金等の各種金属材料、各種ガラス、アルミナ、シリカ等の各種セラミックスが挙げられる。
【0086】
前述したように、シース11をノズル本体43の長手方向に沿って移動操作することができる。この移動操作により、シース11内に湾曲部431が挿入されて、シース11の先端からの湾曲部431の突出長を調整し、その湾曲部431の形状を矯正する(変更する)ことができる(図2、図3参照)。これにより、ノズル本体43の軸線433に対するノズルヘッド42の軸線426の傾斜角度θ(ノズルヘッド42の方向)を調整することができる。換言すれば、シース11は、図3に示すように、湾曲部431がシース11により矯正(規制)されて直線状となり、ノズルヘッド42の軸線426の方向とノズル本体43の軸線433の方向とが一致する第1の位置(傾斜角度θ=0°)と、図2に示すように、湾曲部431がシース11により規制されることなく湾曲または屈曲した状態となり、ノズル本体43の軸線433がノズルヘッド42の軸線426に対して傾斜する第2の位置(傾斜角度θが最大傾斜角度)との間で移動し得るようになっている。これにより、シース11を第1の位置と第2の位置との間の所定の位置に移動させることで、傾斜角度θを0°から最大傾斜角度までの範囲内で自在に調整することができる。
【0087】
このように、シース11を移動してこの傾斜角度θを適宜調整することによってノズルヘッド42の傾斜角度θを変えつつ、当該ノズルヘッド42から混合物を腹腔500内の複数の箇所(例えば臓器や腹壁501)に向けて噴霧することができる。従って、塗布具1は、腹腔500内で混合物を容易かつ確実に広範囲にわたって塗布することができるものである。なお、塗布具1では、外力が付与されていない自然状態での湾曲部431の湾曲の程度(傾斜角度θ)を適宜設定することにより(例えば「U」字状)、塗布具1の生体への挿入方向に位置する臓器に対向する腹壁501の裏面(裏側)にも混合物を塗布することができる。
【0088】
また、シース11には、その基端外周部に、板状のフランジ(突部)115が突出形成されている。このフランジ115を把持して、シース11の長手方向に沿って移動操作することにより、当該シース11を移動させることができる。このように、フランジ115は、シース11を移動させる際の操作部として機能する。
【0089】
前述したように、塗布具1は、トロカール管40に挿入した状態で用いられる。この状態で、塗布具1を先端方向に押圧していくと、シース11のフランジ115がハブ402の基端開口部405(基端部)に当接することとなる。これにより、シース11のトロカール管40に対する先端方向への移動限界を規制することができ、よって、シース11の基端部がトロカール管40内に不本意に入り込んでしまうこと、すなわち、シース11の基端部がトロカール管40の基端開口部405よりも先端側に移動してしまうのを防止することができる。これにより、シース11の基端部(一部)がトロカール管40の基端開口部405から確実に突出して、その突出した部分を把持することができる。よって、シース11を移動操作することができる。このように、フランジ115は、シース11のトロカール管40に対する先端方向への移動限界を規制する規制手段としても機能する。
【0090】
なお、前記傾斜角度θを調整する操作と、第1の液体L1および第2の液体L2を吐出(噴出)する操作とは、どのような順番でも行うこともできる。
【0091】
すなわち、傾斜角度θを調整する操作と、第1の液体L1および第2の液体L2を噴出する操作とを同時に行ってもよく、また、第1の液体L1および第2の液体L2を噴出する操作を先に開始し、その後、傾斜角度θを調整する操作を行ってもよい。これらの場合は、それぞれ、第1の液体L1および第2の液体L2の噴出を開始した後、傾斜角度θの調整により、塗布を行う範囲を広げることができる。また、傾斜角度θを調整する操作を先に行って、その後、第1の液体L1および第2の液体L2を噴出する操作を行ってもよい。
【0092】
さて、図2、図3に示すように、シース11とノズル4との間には、間隙15が形成されている。この間隙15は、シース11(ノズル4)の長手方向に沿って、すなわち、シース11の先端開口部113から基端開口部116にわたって形成されている。
【0093】
また、シース11には、先端開口部113よりも基端側に、壁部を貫通する2つの側孔117が形成されている。これらの側孔117は、シース11の長手方向に関して同じ位置に、シース11の軸を介して対向配置されている。各側孔117は、間隙15に連通しており、腹腔500内のガスG3が間隙15内に流入する流入口(ガスG3を取り入れる取入れ口)として機能する(図2、図3参照)。なお、側孔117の形成数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0094】
このような間隙15は、腹腔500内のガス(気体)G3を体外へ排出する排気路として機能する。以下、これについて説明する。
【0095】
図1に示すように、腹腔500内には、トロカール管40からガスG1が噴出し、塗布具1(ノズルヘッド42)から混合物とともにガスG2が噴出する。前述したように、ガスG1によって、腹腔500内の気腹圧が上昇して当該腹腔500が膨張する。また、腹腔500内の気腹圧は、ガスG2によっても上昇してしまい、これによって、当該腹腔500がさらに膨張しようとする。しかしながら、腹腔500内のガスG3(ガスG1、G2を含む)は、各側孔117を介して、間隙15内に流入する(図2、図3参照)。そして、ガスG3は、間隙15内を流下し、基端開口部116から排出される(図2、図3参照)。これにより、腹腔500内の気腹圧の過剰な上昇を抑制(または防止)することができ、腹腔500がさらに膨張しようとするのを防止することができる。
【0096】
また、前述したように、塗布具1は、腹腔500内で混合物を容易かつ確実に広範囲にわたって塗布することができるよう構成されたものである。腹腔500内で混合物が広範囲にわたって塗布されるため、当該混合物の噴出量も多くなり、これに伴ってガスG2の噴出量も多くなる。多量のガスG2が噴出されると腹腔500内の気腹圧が上昇しそうになるが、前記間隙の排気作用により、その上昇を抑えることができる。このように、塗布具1は、腹腔500内で混合物を広範囲にわたって塗布する場合にも有効である。
【0097】
間隙15の途中には、ノズル4の外周方向に沿ったリング状のスペーサ(弾性体)16が設置されている(図2、図3および図5参照)。このスペーサ16は、その外周面161がシース11の内周面118に固定され、内周面162がノズル本体43の外周面435に当接している(図5参照)。スペーサ16の内周面162は、シース11が移動したときにノズル本体43の外周面435を摺動し、ノズル本体43の外周面435とスペーサ16の内周面162との間に摩擦抵抗が生じる。
【0098】
このような構成のスペーサ16は、シース11を移動して停止させた際、その停止位置でシース11のノズル4の長手方向に対する位置決めを行う位置決め手段として機能する。これにより、ノズルヘッド42の傾斜角度θを維持することができ、この状態のまま混合物を噴出することができる。
【0099】
また、スペーサ16は、シース11の内周面118とノズル本体43の外周面435との間で圧縮された状態で設置されている。これにより、スペーサ16は、その径方向には変形し難いものとなり、間隙15の間隙距離(ギャップ長)を規制する(維持する)機能も発揮する。これにより、シース11の内周面118とノズル本体43の外周面435とが接して、間隙15(排気路)の途中が閉塞するのを確実に防止することができ、ガスG3を間隙15を介してより確実に排気することができる。
【0100】
図2に示すように、スペーサ16は、各側孔117よりも先端側に配置されている。この位置でスペーサ16は、間隙15を封止している。また、図3に示す状態では、ノズルヘッド42によってシース11の先端開口部113が塞がれてしまうが、各側孔117からは、ガスG3が間隙15内に入り込むので、そのガスG3を確実に排気することができる。
【0101】
スペーサ16の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ダックビル弁406についての説明で上げたような各種弾性材料を用いることができる。
【0102】
<第2実施形態>
図6は、本発明の塗布具(第2実施形態)におけるノズルおよび外管の横断面図である。
【0103】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0104】
本実施形態は、弾性体の配置状態(形状)が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0105】
図6に示すように、シース11のノズル4の長手方向に対する位置決めする位置決め手段として機能するスペーサ16aは、ノズル4の軸周りに(ノズル4の外周方向に沿って)、複数(図示の構成では2つ)設置されている。各スペーサ16aは、それぞれ、円弧状をなし、ノズル4の軸周りに等角度間隔に(間欠的に)配置されている。これにより、間隙15のスペーサ16aよりも先端側の部分と、間隙15のスペーサ16aよりも基端側の部分とが、間隙15のスペーサ16aが設置されていない部分、すなわち、スペーサ16a同士の間を介して、連通する。これにより、シース11の先端開口部113がノズルヘッド42によって封止されていない状態(図2に示す状態)では、側孔117の他に先端開口部113からもガスG3が間隙15内に入り込む。そして、このガスG3は、基端開口部116から排気される。このように、本実施形態では、先端開口部113は、腹腔500内のガスG3が間隙15内に流入する流入口として機能する。
【0106】
また、本実施形態では、ガスG3の排出量を調整することができる。
具体的には、図2に示す状態からシース11が先端方向に移動すると、ノズルヘッド42の第1テーパ部427の外周面とシース11の内周面118とが接近する。また、この状態から前記とは逆にシース11が基端方向に移動すると、ノズルヘッド42の第1テーパ部427の外周面とシース11の内周面118とが離間する。この接近・離間により、シース11の先端開口部113付近の間隙15の間隙距離(ギャップ長)が変化する。これにより、先端開口部113から流入するガスG3の流入量が調整され、その結果、ガスG3の排出量を調整することができる。これにより、例えば腹腔500内の気腹圧を減少させたい場合には、ノズルヘッド42の第1テーパ部427の外周面とシース11の内周面118とが離間するようにシース11を操作して、ガスG3の排出量を増大させることができる。
【0107】
このように、本実施形態では、ノズルヘッド42の第1テーパ部427の外周面とシース11の内周面118とが、ガスG3の排出量を調整する調整手段を構成するものであると言うことができる。
【0108】
<第3実施形態>
図7および図8は、それぞれ、本発明の塗布具(第3実施形態)の拡大部分縦断面図である。
【0109】
以下、これらの図を参照して本発明の塗布具の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0110】
本実施形態は、ノズルの形状と外管の構成とが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0111】
図7、図8に示すように、ノズル本体43aの基端外周部には、その外径が基端方向に向かって漸増したテーパ面436が形成されている。
【0112】
図7に示す状態からシース11が先端方向に移動すると、ノズル本体43aのテーパ面436とシース11の内周面118とが離間する(図8参照)。また、図8に示す状態から前記とは逆にシース11が基端方向に移動すると、ノズル本体43aのテーパ面436とシース11の内周面118とが接近する。この接近・離間により、シース11の基端開口部116付近の間隙15の間隙距離(ギャップ長)が変化する。これにより、基端開口部116から流出するガスG3の流出量が調整され、その結果、ガスG3の排出量を調整することができる。これにより、例えば腹腔500内の気腹圧を減少させたい場合には、ノノズル本体43aのテーパ面436とシース11の内周面118とが離間するようにシース11を操作して、ガスG3の排出量を増大させることができる。
【0113】
このように、本実施形態では、ノズル本体43aのテーパ面436とシース11の内周面118とが、ガスG3の排出量を調整する調整手段を構成するものであると言うことができる。
【0114】
なお、本実施形態では、ノズルヘッド42は、その外径が長手方向に沿って変化した部分が省略され、一定となったものである。このノズルヘッド42の外径は、シース11の内径よりも小さい。これにより、シース11のノズル4の長手方向の位置に関わらず、シース11の先端開口部113からガスG3が間隙15内に流入することとなる。
【0115】
また、本実施形態では、シース11の基端外周部には、前記第1実施形態のようなシース11の基端外周部に突出形成されたフランジ115が省略されているが、これに限定されず、前記フランジ115が形成されていてもよい。
【0116】
<第4実施形態>
図9は、本発明の塗布具(第4実施形態)の先端側の部分の拡大部分縦断面図である。
【0117】
以下、この図を参照して本発明の塗布具の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0118】
本実施形態は、位置決め手段の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0119】
図9に示すように、シース11aの内周面118には、側孔117の先端側近傍に、突部(縮径部)119が突出形成されている。この突部119は、シース11aの内周面118の周方向に沿ったリング状をなすものである。これにより、突部119ではシース11aの内径が縮径する。この突部119は、その頂部119aがノズル本体43の外周面435に当接している。これにより、シース11aが移動したときに、突部119の頂部119aがノズル本体43の外周面435を摺動し、突部119の頂部119aとノズル本体43の外周面435との間に摩擦抵抗が生じる。そして、シース11aの移動が停止した際、その停止位置でシース11aのノズル4の長手方向に対する位置決めがなされる。これにより、ノズルヘッド42の傾斜角度θを維持することができ、この状態のまま混合物を噴出することができる。このように、突部119は、位置決め手段として機能する。
【0120】
この突部119は、その頂部119aが丸みを帯びている。これにより、シース11aが移動した際、突部119の頂部119aとノズル本体43の外周面435との間に生じる摩擦抵抗を低減することができ、よって、その移動操作を容易に行うことができる。
【0121】
また、突部119の頂部119aを介した両側の面119b、119c、すなわち、突部119の先端側および基端側の面119b、119cがそれぞれ傾斜面になっている。
【0122】
<第5実施形態>
図10および図11は、それぞれ、本発明の塗布具(第5実施形態)の拡大部分縦断面、図12は、図10に示す塗布具の先端側の部分の斜視図、図13は、図11に示す塗布具の先端側の部分の斜視図である。
【0123】
以下、これらの図を参照して本発明の塗布具の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0124】
本実施形態は、ノズルの形状と外管の構成とが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0125】
各図に示すノズル4のノズルヘッド42aは、前記第1実施形態のノズルヘッド42と異なり、外径一定部428が省略されたものとなっている。このノズルヘッド42aの第1テーパ部427(嵌合部)には、ノズルヘッド42aの軸線426の方向に沿って少なくとも1本の溝425が形成されている。この溝425は、その先端部(一部)425aが第2テーパ部429まで伸びている。図11、13に示すように、ノズルヘッド42aの軸線426とノズル本体43の軸線433とが一致したときでも、溝425の先端部425aによって、シース11bの先端開口部113の全体がノズルヘッド42aに覆われる(塞がれる)のが防止され、当該溝425の先端部425aを介して、間隙15が腹腔500内と連通する。これにより、腹腔500内のガスG3が溝425の先端部425aを介して、間隙15に確実に流入することができる。
【0126】
図10、図11に示すように、シース11bの基端開口部116には、前述した位置決め手段として機能するスペーサ16が設置されている。このため、基端開口部116が閉塞する(封止される)こととなる。この場合、シース11bの基端部、具体的には塗布具1が挿入されたトロカール管40の基端よりも基端側の部分には、間隙15に連通する2つの側孔117が形成されている。各側孔117を介して、間隙15を通過したガスG3を確実に排出することができる。このように、各側孔117は、それぞれ、間隙15を通過したガスGが流出する流出口(排出口)として機能するものである。
【0127】
また、シース11bのフランジ115には、先端方向に向かって突出する2枚の突出片(カバー部)112が形成されている。これらの突出片112は、シース11bの軸を介して対向配置されている。塗布具1をトロカール管40に挿入した状態で、塗布具1を先端方向に押圧していくと、シース11bの各突出片112がそれぞれハブ402の基端開口部405に当接することとなる。これにより、シース11bのトロカール管40に対する先端方向への移動限界を規制することができ、よって、シース11bの基端部がトロカール管40内に不本意に入り込んでしまうのを防止することができる。これにより、シース11bの基端部(一部)がトロカール管40の基端開口部405から確実に突出して、その突出した部分を把持することができる。よって、シース11bを移動操作することができる。このように、各突出片112は、シース11のトロカール管40に対する先端方向への移動限界を規制する規制手段として機能する。
【0128】
また、各突出片112は、それぞれ、シース11bの各側孔117をその外周側から覆う位置に配置されている。これにより、シース11bの基端部を手指で把持して移動操作するときに、各側孔117が手指によって塞がれるのを確実に防止することがきる。よって、各側孔117を介して、間隙15を通過したガスG3をより確実に排出することができる。
なお、各突出片112が省略されていてもよい。
【0129】
<第6実施形態>
図14、図15および図16は、それぞれ、本発明の塗布具(第6実施形態)の拡大部分縦断面である。
【0130】
以下、これらの図を参照して本発明の塗布具の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0131】
本実施形態は、ノズルの湾曲部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0132】
図15に示すように、ノズル4の湾曲部431aは、自然状態で形状がU字状をなすように湾曲形成されている。これにより、自然状態でノズルヘッド42が基端側を向く、すなわち、ノズルヘッド42の軸線426とノズル本体43の軸線433とが互いに平行となる。
【0133】
このような湾曲部431aは、図14に示すようにその全部がシース11に収納されている状態では、当該シース11の内周面118に規制されて、湾曲の程度が自然状態の時よりも若干大きくなっている。
【0134】
そして、図14に示す状態から塗布具本体7を先端方向に向かって押し込むと、図15に示すように、ノズル4の先端側の部分(先端部)がシース11の先端開口部113から突出する。このとき、湾曲部431aは、前述したような自然状態となり、ノズルヘッド42が真後ろを向く。
【0135】
図15に示す状態から塗布具本体7を基端方向に向かって引張ると、図16に示すように、シース11内に湾曲部431aの基端部(一部)が挿入されて(収納されて)、ノズルヘッド42(または湾曲部431a)がシース11の先端開口部113の外側の縁部111に当接する。さらに塗布具本体7を基端方向に向かって引張ると、ノズルヘッド42が縁部111によって先端方向に向かって押圧されて、湾曲部431aは、開くように形状が矯正される。これにより、湾曲部431aの湾曲の程度が自然状態のときよりも小さくなり、ノズルヘッド42が図16中右斜め下方を向く。この状態でノズルヘッド42から前記混合物を噴出した際には、その混合物は、後方に向かって噴出される。これにより、混合物を腹壁501の裏面(裏側の部分)に塗布することができる。
【0136】
また、前記混合物を前方に向かって噴出したい場合には、図16に示す状態からさらに塗布具本体7を基端方向に向かって引張ることにより、湾曲部431aがシース11によって矯正されて図16に示す状態よりも大きく開き、ノズルヘッド42が前方を向く。この状態で、前記混合物を前方に向かって噴出することができる。
【0137】
なお、図15に示す状態、すなわち、ノズルヘッド42が真後ろを向いた状態で、当該ノズルヘッド42から前記混合物を噴出してもよいが、この場合、前記混合物が腹壁501の裏面のみならず塗布具1にも付与されてしまうことがある。
【0138】
なお、シース11の先端開口部113の縁部111は、丸みを帯びているのが好ましい。
【0139】
また、本実施形態では、ノズルヘッド42は、その外径が長手方向に沿って変化した部分が省略され、一定となったものである。このノズルヘッド42の外径は、シース11の内径よりも小さい。これにより、シース11のノズル4の長手方向の位置に関わらず、シース11の先端開口部113からガスG3が間隙15内に流入することとなる(図16参照)。
【0140】
また、本実施形態では、シース11の基端外周部には、前記第1実施形態のようなシース11の基端外周部に突出形成されたフランジ115が省略されているが、これに限定されず、前記フランジ115が形成されていてもよい。
【0141】
<第7実施形態>
図17は、本発明の塗布具(第7実施形態)の拡大部分縦断面、図18は、図17中のB−B線断面図である。
【0142】
以下、これらの図を参照して本発明の塗布具の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0143】
本実施形態は、ノズルのノズル本体の一部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0144】
図17に示すように、ノズル本体43bの基端側の部分(基端部)には、扁平部437が形成されている。この扁平部437は、第3の流路46を構成する前記外チューブの一部を扁平形状をなすように変形させた部位である(図18参照)。扁平部437の図18中の上下方向の長さは、シース11の自然状態での内径よりも大きくなっている。これにより、ノズル本体43bの扁平部437における外周面435が、シース11の内周面118に密着する。この状態でシース11をその長手方向に沿って移動したときに、シース11の内周面118が扁平部437の外周面435を摺動し、シース11の内周面118と扁平部437の外周面435との間に摩擦抵抗が生じる。
【0145】
このような扁平部437は、シース11を移動して停止させた際、その停止位置でシース11のノズル4の長手方向に対する位置決めを行う位置決め手段として機能する。これにより、ノズルヘッド42の傾斜角度θを維持することができ、この状態のまま混合物を噴出することができる。
【0146】
また、前述したように、塗布具1は、トロカール管40に挿入した状態で用いられる。この状態で、塗布具1を先端方向に押圧していくと、シース11の扁平部437が位置する部分の外周部がハブ402の基端開口部405の縁部に当接することとなる(図17参照)。これにより、シース11のトロカール管40に対する先端方向への移動限界を規制することができ、よって、シース11の基端部がトロカール管40内に不本意に入り込んでしまうこと、すなわち、シース11の基端部がトロカール管40の基端開口部405よりも先端側に移動してしまうのを防止することができる。これにより、シース11の基端部(一部)がトロカール管40の基端開口部405から確実に突出して、その突出した部分を把持することができる。よって、シース11を移動操作することができる。このように、扁平部437は、シース11のトロカール管40に対する先端方向への移動限界を規制する規制手段としても機能する。
【0147】
以上、本発明の塗布具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、塗布具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0148】
また、本発明の塗布具は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0149】
また、塗布具は、腹腔内に挿入して用いることができるが、これに限定されず、例えば、胸腔内、子宮内等のような体腔内にも挿入して用いることができる。
【0150】
また、塗布具は、トロカール管から腹腔内にガスを供給して該腹腔を膨張させるような手技に用いられるが、これに限定されず、例えば、腹壁を吊り下げて腹腔の大きさを確保する手技、いわゆる吊り下げ法に用いることもできる。
【0151】
また、腹腔鏡下でトロカール管が複数腹壁に留置されて(穿刺されて)いる場合には、これらのトロカール管のうち、例えば1つのトロカール管からガスが供給され、その他のトロカール管からはガスの供給が停止していることもある。
【0152】
また、前記第1〜第3実施形態では、スペーサは、シースの長手方向に1箇所設置されているが、これに限定されず、シースの長手方向の複数個所に設置されていてもよい。
【0153】
また、前記第1〜第3実施形態では、スペーサは、スペーサの外周面がシースの内周面に固定され、スペーサの内周面がノズル本体の外周面に固定されずに当接しているが、これに限定されず、例えば、スペーサの内周面がノズル本体の外周面に固定され、スペーサの外周面がシースの内周面に固定されずに当接していてもよい。
【0154】
また、前記第4実施形態では、位置決め手段としての突部は、シースの内周面に形成されているが、これに限定されず、例えば、ノズル本体の外周面に形成されていてもよい。
【0155】
また、塗布具は、ガスとともに噴霧するものとしては、液体であるが、粒子状をなすもの(粉末)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の塗布具(第1実施形態)の使用状態の一例を示す概略部分縦断面図である。
【図2】図1に示す塗布具の拡大部分縦断面図である。
【図3】図1に示す塗布具の拡大部分縦断面図である。
【図4】図1の塗布具におけるノズルの先端側の部分の縦断面図である。
【図5】図2中のA−A線断面図である。
【図6】本発明の塗布具(第2実施形態)におけるノズルおよび外管の横断面図である。
【図7】本発明の塗布具(第3実施形態)の拡大部分縦断面図である。
【図8】本発明の塗布具(第3実施形態)の拡大部分縦断面図である。
【図9】本発明の塗布具(第4実施形態)の先端側の部分の拡大部分縦断面図である。
【図10】本発明の塗布具(第5実施形態)の拡大部分縦断面である。
【図11】本発明の塗布具(第5実施形態)の拡大部分縦断面である。
【図12】図10に示す塗布具の先端側の部分の斜視図である。
【図13】図11に示す塗布具の先端側の部分の斜視図である。
【図14】本発明の塗布具(第6実施形態)の拡大部分縦断面である。
【図15】本発明の塗布具(第6実施形態)の拡大部分縦断面である。
【図16】本発明の塗布具(第6実施形態)の拡大部分縦断面である。
【図17】本発明の塗布具(第7実施形態)の拡大部分縦断面である。
【図18】図17中のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0157】
1 塗布具
2 第1のシリンジ(液体供給手段)
21 外筒
22 縮径部(口部)
23 フランジ
24 ガスケット
26 押し子
29 フランジ
3 第2のシリンジ(液体供給手段)
4 ノズル
42、42a ノズルヘッド
421 第1の吐出口
422 第2の吐出口
423 第3の吐出口(気体吐出口)
425 溝
425a 先端部(一部)
426 軸線
427 第1テーパ部
428 外径一定部
429 第2テーパ部
43、43a、43b ノズル本体
431、431a 湾曲部
432 湾曲部より基端側の部分
433 軸線
435 外周面
436 テーパ面
437 扁平部
44 第1の流路(液体流路(液体移送路))
45 第2の流路(液体流路(液体移送路))
46 第3の流路(ガス流路)
7 塗布具本体
71 シリンジ保持部
711 嵌合部
712 挿入部
713 連結部
714 溝
715 接続部
72 フランジ連結部
721 溝
11、11a、11b シース(外管)
111 縁部
112 突出片(カバー部)
113 先端開口部
114 縁部
115 フランジ(突部)
116 基端開口部
117 側孔
118 内周面
119 突部(縮径部)
119a 頂部
119b、119c 面
15 間隙
16、16a スペーサ(弾性体)
161 外周面
162 内周面
300a、300b ガスボンベ(ガス供給手段)
302a、302b チューブ
40 トロカール管
401 本体部(管状体)
402 ハブ
403 先端開口部
404 ガス供給ポート
405 基端開口部
406 ダックビル弁(弁体)
500 腹腔
501 腹壁
L1 第1の液体
L2 第2の液体
G1、G2 ガス(無菌ガス)
G3 ガス(気体)
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に挿入して使用される塗布具であって、
長尺状のノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に設けられ、ガスとともに液体が噴出するノズルヘッドとを有し、前記ノズル本体の先端部に、湾曲または屈曲し、可撓性を有する湾曲部が形成されたノズルと、
前記ノズル本体がその長手方向に沿って移動可能に挿通され、前記湾曲部を挿入することにより該湾曲部の形状を矯正して、前記ノズルヘッドの前記ノズル本体の軸線に対する方向を調整する外管とを備え、
前記外管と前記ノズルとの間には、長手方向に沿って間隙が形成されており、
前記間隙は、体腔内の体内圧が上昇したとき、当該間隙を介して前記体腔内の気体を体外へ排出する排気路として機能することを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記外管は、その先端が開口し、前記間隙に連通する先端開口部を有し、
前記先端開口部は、前記体腔内の気体が前記間隙内に流入する流入口として機能する請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記外管は、その壁部に形成され、前記間隙に連通する少なくとも1つの側孔を有し、
前記側孔は、前記間隙を通過した気体が流出する流出口として機能する請求項2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記外管は、前記側孔を前記外管の外周側から覆うカバー部を有する請求項3に記載の塗布具。
【請求項5】
前記外管は、その壁部に形成され、前記間隙に連通する少なくとも1つの側孔を有し、
前記側孔は、前記体腔内の気体が前記間隙内に流入する流入口として機能する請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項6】
前記ノズルの長手方向に対して前記外管を位置決めする位置決め手段を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の塗布具。
【請求項7】
前記位置決め手段は、前記間隙の途中に前記ノズル本体の外周面および前記外管の内周面のうちの一方の面に対して固定され、他方の面に当接する弾性体で構成されている請求項6に記載の塗布具。
【請求項8】
前記弾性体は、前記間隙をその途中で封止するものであり、
前記外管には、前記弾性体が設置されている部分よりも基端側の部分に、前記間隙に連通する側孔が形成されている請求項7に記載の塗布具。
【請求項9】
前記弾性体は、前記間隙の間隙距離を規制する機能を有する請求項7または8に記載の塗布具。
【請求項10】
前記位置決め手段は、前記間隙の途中に前記ノズル本体の外周面および前記外管の内周面のうちの一方の面に突出形成され、他方の面に当接する突部で構成されている請求項6に記載の塗布具。
【請求項11】
前記ノズルヘッドは、その軸線と前記ノズル本体の軸線とが一致するときに、前記外管の先端開口部と嵌合する嵌合部を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の塗布具。
【請求項12】
前記嵌合部には、前記ノズルヘッドの軸線方向に沿って少なくとも1本の溝が形成されており、
前記ノズルヘッドの軸線と前記ノズル本体の軸線とが一致するとき、前記溝を介して前記体腔内の気体が前記間隙に流入する請求項11に記載の塗布具。
【請求項13】
前記湾曲部は、外力を付与しない自然状態で前記ノズルヘッドが基端側を向く程度に湾曲している請求項1ないし12のいずれかに記載の塗布具。
【請求項14】
前記湾曲部は、前記自然状態で形状がU字状をなすように形成されて、前記ノズルヘッドの軸線と前記ノズル本体の軸線とが互いに平行となっており、
前記ノズルは、前記湾曲部の一部を前記外管に収納して、当該湾曲部の湾曲の程度を前記自然状態のときよりも小さくし、この状態で基端側に向かって前記ノズルヘッドから液体および気体を噴出するよう使用される請求項13に記載の塗布具。
【請求項15】
前記ノズル本体は、前記液体を供給する液体供給手段に接続され、該液体供給手段からの液体が通過する液体流路と、前記ガスを供給するガス供給手段に接続され、該ガス供給手段からのガスが通過するガス流路とを有する請求項1ないし14のいずれかに記載の塗布具。
【請求項16】
生体内に挿入して使用される塗布具であって、
長尺状のノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に設けられ、ガスとともに粉末が噴出するノズルヘッドとを有し、前記ノズル本体の先端部に、湾曲または屈曲し、可撓性を有する湾曲部が形成されたノズルと、
前記ノズル本体がその長手方向に沿って移動可能に挿通され、前記湾曲部を挿入することにより該湾曲部の形状を矯正して、前記ノズルヘッドの前記ノズル本体の軸線に対する方向を調整する外管とを備え、
前記外管と前記ノズルとの間には、長手方向に沿って間隙が形成されており、
前記間隙は、体腔内の体内圧が上昇したとき、当該間隙を介して前記体腔内の気体を体外へ排出する排気路として機能することを特徴とする塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−226189(P2009−226189A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171828(P2008−171828)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】