塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法
【課題】塗布斑を生じさせることなく被処理基板に塗布膜を形成し、且つコストを低減し、生産効率を向上する。
【解決手段】基板搬送路上の基板Gに対しノズル16を相対的に移動させるノズル移動手段20と、前記ノズルと前記ノズル移動手段の駆動制御を行う制御手段50とを備え、前記制御手段は、前記ノズル移動手段により前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置し、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液Rを吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させる。
【解決手段】基板搬送路上の基板Gに対しノズル16を相対的に移動させるノズル移動手段20と、前記ノズルと前記ノズル移動手段の駆動制御を行う制御手段50とを備え、前記制御手段は、前記ノズル移動手段により前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置し、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液Rを吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板に対して処理液を塗布する塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、処理液であるフォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)が塗布されレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、被処理基板にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する方法として、スリット状のノズル吐出口からレジスト液を帯状に吐出し、レジストを基板上に塗布する方法がある。
この方法を用いた従来のレジスト塗布装置について、図9を用いて簡単に説明する。
図9に示すレジスト塗布装置200は、基板Gを載置するステージ201と、このステージ201の上方に配設されるレジスト供給ノズル202と、このノズル202を移動させるノズル移動手段203とを具備している。
レジスト供給ノズル202には、基板の幅方向に延びる微小隙間を有するスリット状の吐出口202aが設けられ、レジスト液供給源204から供給されたレジスト液Rを吐出口202aから吐出するようになされている。
【0004】
この構成において、基板Gへのレジスト塗布処理時にあっては、ノズル202をノズル移動手段203によって水平移動させながら、スリット状の吐出口202aからレジスト液Rを基板表面に帯状に吐出することにより、レジスト液Rの塗布処理がなされる。
【0005】
ところで、従来、レジスト塗布装置200は、ノズル先端に付着したレジスト液Rを均一化する(プライミング処理と呼ぶ)ための回転自在なプライミングローラ207を有するプライミング処理装置208を具備している。尚、図中の符号209は、プライミングローラ207を収容するケーシングであって、このケーシング209内にはプライミングローラ207に付着したレジスト液Rを除去するための洗浄液(シンナー液)が貯留されている。
このプライミング処理装置208によるプライミング処理を塗布処理前に行うことにより、塗布処理時における塗布斑の発生を防止することができる。
【0006】
ここで、前記プライミング処理を施さない場合の塗布斑の発生について、図10(a)〜(c)を用いて説明する。
プライミング処理を施さずに基板Gへの塗布処理を行う場合、図10(a)に示すようにノズル202が下降され、基板Gに対し吐出口202aが近接される。
次いで、図10(b)に示すように、ノズル吐出口202aから基板面に対し所定量のレジスト液Rが吐出され、レジスト液Rの基板Gへの着液が行われる。このとき、ノズル202から着液のために多量のレジスト液Rが吐出され、ノズル先端の前側面202b、及び後側面202cには、レジスト液Rが付着する。
【0007】
そして、図10(c)に示すように、ノズル吐出口202aからレジスト液Rが吐出されながら、基板Gに対してノズル202が相対的に矢印の方向に移動され、レジスト液Rの塗布処理がなされる。
しかしながら、図10(c)の塗布処理中の状態にあっては、ノズル202の進行方向側であるノズル先端の前側面202bには、破線で囲んで示すように多量のレジスト液Rが付着している。このため、そのレジスト液Rがノズル下に流れ込み、塗布斑が生じ易いという課題があった。
【0008】
前記課題を解決するため、前記したように従来はプライミング処理を行っている。
具体的に説明すると、塗布処理前にプライミング処理を行う場合、図11(a)に示すように、ノズル202がプライミングローラ207の頂部に近接され、所定量のレジスト液Rが吐出される。この状態においては、ノズル先端の前側面202b、及び後側面202cにもレジスト液Rが付着する。
次いで、図11(b)に示すように、プライミングローラ207が矢印の方向に回転される。これにより、ノズル先端の前側面202bに付着しているレジスト液Rはノズル202後方に流され、図11(c)に示すようにレジスト液Rはノズル先端の後側面202cのみに付着した状態となされる(プライミング処理が完了する)。
【0009】
プライミング処理がなされたノズル202により塗布処理を行う場合、図11(d)に示すように、ノズル202が下降され、基板Gに対し吐出口202aが近接される。
ここで、ノズル吐出口202aには、プライミング処理によって所定量のレジスト液Rが付着しており、図11(e)に示すように、基板Gへの着液にあっては、少量のレジスト液Rの吐出で済むことになる。そのため、着液後もノズル先端の前側面202bにはレジスト液Rが付着せず、後側面202cのみに付着した状態となっている。
そして、図11(f)に示すように、ノズル吐出口202aからレジスト液Rが吐出されながら、基板Gに対してノズル202が相対的に矢印の方向に移動され、レジスト液Rの塗布処理がなされる。ここで、ノズル先端の前側面202bにはレジスト液Rが付着していないため、塗布斑の発生が防止される。
尚、前記のようにプライミング処理を行うプライミング処理装置については、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−237046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、プライミング処理直後のプライミングローラ207にあっては、ノズル202から吐出されたレジスト液Rが付着している。このため、プライミングローラ207は、ケーシング209内に貯留された洗浄液(シンナー液)に浸漬され、レジスト液が付着したローラ面が直ぐさま洗浄され除去される構成となされている。
しかしながら、プライミングローラ207のローラ面に付着したレジスト液Rを完全に除去するためには、洗浄液が大量に必要となり、コストが嵩むという課題があった。
さらには、プライミング処理時間が長いため、各基板Gに対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板Gの塗布開始時までの時間)が長く空き、生産効率が低下するという課題があった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被処理基板に処理液を塗布する塗布膜形成装置において、塗布斑を生じさせることなく被処理基板に塗布膜を形成することができ、且つコストを低減し、生産効率を向上することのできる塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するために、本発明に係る塗布膜形成装置は、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルを備え、前記ノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成装置であって、前記基板搬送路上の前記基板に対し前記ノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、前記ノズルと前記ノズル移動手段の駆動制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ノズル移動手段により前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置し、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることに特徴を有する。
【0014】
このように構成することにより、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。このため、塗布処理時において、ノズル先端の前側面に付着している処理液がノズル下に流れ込むことがなく、塗布斑の発生を防止することができる。
また、この構成によれば、従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるため、前記プライミング処理を必要とせず、プライミング処理装置にかかるコストを削減することができる。
また、従来のプライミング処理工程が不要であり、ノズル先端に付着した処理液の整形を短時間に実施できるため、各基板に対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板の塗布開始時までの時間)を短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0015】
また、前記制御手段は、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることが望ましい。
このように被処理基板への着液時にノズルを移動させながら処理液の吐出を行うことにより、前記基板への着液処理とノズル先端の処理液の整形処理とを並行して効率的に行うことができる。
【0016】
また、前記制御手段は、さらに前記塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させながら、前記ノズルから前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させることが望ましい。
このように処理液の吸引動作を行うことにより、余分に吐出された処理液を除去することができる。
【0017】
また、前記制御手段は、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液し、前記処理液の吐出が停止された前記ノズルを、前記ノズル移動手段によりその走査方向に所定距離移動させるようにしてもよい。
このように制御することによっても、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。
【0018】
また、前記制御手段は、前記塗布開始領域内において、前記所定距離を走査方向に移動された前記ノズルを、前記ノズル移動手段により該ノズルの走査方向の逆方向に所定距離移動させることが望ましい。
このようにノズルをその走査方向の逆方向に移動させることにより、ノズル先端の後側面に付着している液量と吐出口の直下に付着している液量との調整を行うことができる。
【0019】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係る塗布膜形成方法は、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成方法であって、前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置するステップと、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを含むことに特徴を有する。
【0020】
このような方法によれば、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。このため、塗布処理時において、ノズル先端の前側面に付着している処理液がノズル下に流れ込むことがなく、塗布斑の発生を防止することができる。
また、従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるため、前記プライミング処理を必要とせず、プライミング処理装置にかかるコストを削減することができる。
また、従来のプライミング処理工程が不要であり、ノズル先端に付着した処理液の整形を短時間に実施できるため、各基板に対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板の塗布開始時までの時間)を短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0021】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることが望ましい。
このように被処理基板への着液時にノズルを移動させながら処理液の吐出を行うことにより、前記基板への着液処理とノズル先端の処理液の整形処理とを並行して効率的に行うことができる。
【0022】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出するステップと、さらに前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させるステップとを行うことが望ましい。
このように処理液の吸引動作を行うことにより、余分に吐出された処理液を除去することができる。
【0023】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液するステップと、前記処理液の吐出を停止した後に、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを行ってもよい。
このようなステップによっても、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。
【0024】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップの後、前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップを行うことが望ましい。
このようにノズルをその走査方向の逆方向に移動させることにより、ノズル先端の後側面に付着している液量と吐出口の直下に付着している液量との調整を行うことができる。
【0025】
また、前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップの後、さらに前記ノズルを走査方向に所定距離移動させるステップと、前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップとを少なくとも1回行うことが望ましい。
このようにノズルの走査方向に沿った往復移動を繰り返すことによって、ノズル先端に付着している処理液の状態(厚さ等)をより均一にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被処理基板に処理液を塗布する塗布膜形成装置において、塗布斑を生じさせることなく被処理基板に塗布膜を形成することができ、且つコストを低減し、生産効率を向上することのできる塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明にかかる一実施形態の全体概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる一実施形態の全体概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、図1のA−A矢視断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる塗布形成装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図5】図5は、図4のフローにおける着液工程の第一の実施形態の流れを示すフロー図である。
【図6】図6は、図5のフローに示す動作を説明するための断面図である。
【図7】図7は、図4のフローにおける着液工程の第二の実施形態の流れを示すフロー図である。
【図8】図8は、図7のフローに示す動作を説明するための断面図である。
【図9】図9は、従来の塗布処理ユニットの概略構成を説明するための斜視図である。
【図10】図10は、プライミング処理を実施しない場合の不具合を説明するための断面図である。
【図11】図11は、従来のプライミング処理の動作を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法にかかる一実施形態を、図面に基づき説明する。尚、この実施形態にあっては、塗布膜形成装置を、被処理基板であるガラス基板を浮上搬送しながら、前記基板に対し処理液であるレジスト液の塗布処理を行うレジスト塗布処理ユニットに適用した場合を例にとって説明する。
【0029】
図1、図2に示すように、このレジスト塗布処理ユニット1は、ガラス基板Gを枚様式に一枚ずつ浮上搬送するための浮上搬送部2A(基板搬送路)と、前記浮上搬送部2Aから基板Gを受け取り、コロ搬送するコロ搬送部2Bとを備え、基板Gが所謂平流し搬送されるように構成されている。
【0030】
前記浮上搬送部2Aにおいては、基板搬送方向であるX方向に延長された浮上ステージ3が設けられている。浮上ステージ3の上面には、図示するように多数のガス噴出口3aとガス吸気口3bとがX方向とY方向に一定間隔で交互に設けられ、ガス噴出口3aからの不活性ガスの噴出量と、ガス吸気口3bからの吸気量との圧力負荷を一定とすることによって、ガラス基板Gを浮上させている。
尚、この実施形態では、ガスの噴出及び吸気により基板Gを浮上させるようにしたが、それに限定されず、ガス噴出のみの構成によって基板浮上させるようにしてもよい。
【0031】
また、コロ搬送部2Bにおいては、ステージ3の後段に、コロ駆動部40によって回転駆動される複数本のコロ軸41が並列に設けられている。各コロ軸41には、複数の搬送コロ42が取り付けられ、これら搬送コロ42の回転によって基板Gを搬送する構成となされている。
【0032】
浮上搬送部2Aにおける浮上ステージ3の幅方向(Y方向)の左右側方には、X方向に平行に延びる一対のガイドレール5が設けられている。この一対のガイドレール5には、ガラス基板Gの四隅の縁部を下方から吸着保持してガイドレール5上を移動する4つの基板キャリア6が設けられている。これら基板キャリア6により浮上ステージ3上に浮上したガラス基板Gを搬送方向(X方向)に沿って移動される。
尚、浮上搬送部2Aからコロ搬送部2Bへの基板引き渡しを円滑に行うために、ガイドレール5は、浮上ステージ3の左右側方だけでなく、コロ搬送部2Bの側方にまで延設されている。
【0033】
各基板キャリア6は、図3(図1のA−A矢視断面)に示すように、ガイドレール5に沿って移動可能に設けられたスライド部材6aと、基板Gの下面に対し吸引・開放動作により吸着可能な吸着部材6bと、吸着部材6bを昇降移動させる昇降駆動部6cとを有する。
尚、吸着部材6bには、吸引ポンプ(図示せず)が接続され、基板Gとの接触領域の空気を吸引して真空状態に近づけることにより、基板Gに吸着するようになされている。
また、前記スライド部材6aと昇降駆動部6cと前記吸引ポンプとは、図1に示すように、それぞれコンピュータからなる制御部50(制御手段)によって、その駆動が制御される。
【0034】
また、図1、図2に示すように、浮上搬送部2Aの浮上ステージ3上には、ガラス基板Gにレジスト液を吐出するノズル16が設けられている。ノズル16は、Y方向に向けて例えば長い略直方体形状に形成され、ガラス基板GのY方向の幅よりも長く形成されている。図2、図3に示すようにノズル16の下端部には、浮上ステージ3の幅方向に長いスリット状の吐出口16aが形成され、このノズル16には、レジスト液供給部30からレジストポンプ31及び流量調整バルブ32を介してレジスト液が供給されるようになされている。
【0035】
また、図1に示すようにノズル16の両側には、X方向に延びる一対のガイドレール10が設けられている。このガイドレール10に沿ってスライド移動可能な一対のスライド部材17が設けられ、図3に示すように各スライド部材17の上に垂直にシャフト18が立設されている。前記シャフト18には、このシャフト18に沿って昇降移動可能な昇降駆動部19が設けられ、Y方向に対向する一対の昇降駆動部19の間にノズル16を保持する直棒状のノズルアーム11が架設されている。スライド部材17は、ノズル移動駆動部20(ノズル移動手段)によって、そのX軸方向(ノズル走査方向)の移動が制御されるようになされている、さらに、昇降駆動部19とノズル移動駆動部20とは、制御部50によって制御されるように構成されている。
かかる構成によりノズル16は、昇降移動可能、且つガイドレール10に沿ってX方向に移動可能となされている。
【0036】
また、浮上ステージ3の上方において、プライミング処理部よりも上流側には待機部14が設けられている。この待機部14は、ノズル16の吐出口16aに付着した余分なレジスト液を洗浄し除去するノズル洗浄部14aと、いわゆるダミー吐出を行うダミーディスペンス部14bとを有している。
ノズル16は、ガイドレール10に沿って、ガラス基板Gにレジスト液を吐出する吐出位置と、それより上流側にある待機部14との間を移動可能とされている。そして、待機時には、待機部14においてノズル洗浄がなされる。
【0037】
続いて、このように構成されたレジスト塗布処理ユニット1における、基板Gへのレジスト液の塗布処理の一連の流れについて図4を用いて説明する。
レジスト塗布処理ユニット1において、浮上ステージ3上に新たにガラス基板Gが搬入されると、基板Gはステージ3上に形成された不活性ガスの気流によって下方から支持され、基板キャリア6により保持される(図4のステップS1)。
そして、制御部50は基板キャリア6を駆動して基板Gを基板搬送方向に搬送開始し、その先端が塗布開始領域となる位置で搬送を停止する(図4のステップS2)。
尚、前記塗布開始領域とは、基板前端付近の基板面上の所定領域であって、その塗布開始領域における基板搬送方向の長さは、基板全長に対し僅かな距離(例えば、吐出口16aの走査方向の基板端2mm〜8mmの範囲)に設定されている。
【0038】
基板Gの先端が塗布開始領域で停止されると、制御部50は昇降駆動部19とノズル移動駆動部20とによりノズル16を移動させて塗布開始領域に近接した状態で配置する。そして、ノズル16の吐出口16aから基板面に処理液であるレジスト液Rを所定量吐出させると共に、ノズル先端に付着しているレジスト液Rを所望の形状とする着液工程を行う(図4のステップS3)。
前記ステップS3の着液工程が終了すると、制御部50は、レジストノズル16の吐出口16aからレジスト液Rを吐出しながら、ノズル16に対して基板Gを相対的に搬送方向に移動し、基板面上にレジスト液Rの膜を形成する(図4のステップS4)。
基板G上へのレジスト液Rの塗布処理が終了すると、ノズル16からのレジスト液Rの吐出を停止し、塗布処理が完了した基板Gを、浮上搬送部2Aからコロ搬送部2Bに引き渡し、コロ搬送によって後段の処理部へ搬出する(図4のステップS5)。
【0039】
続いて、前記図4のステップS3の処理、即ち塗布処理直前における着液工程の第一の実施形態について図5,図6を用いて詳しく説明する。
前記図4のステップ2において、基板Gの先端が塗布開始領域で停止されると、図6(a)に示すように、制御部50はノズル16を下降移動させ、吐出口16aを基板面(塗布開始領域)に近接させる(図5のステップSt1)。
【0040】
次いで、図6(b)に示すように、レジストポンプ31を駆動してノズル16の吐出口16aから所定量のレジスト液Rを基板G上に吐出開始する(図5のステップSt2)。続けて、レジスト液Rを吐出しながら、図6(c)に示すようにノズル移動駆動部20によってノズル16をその走査方向に移動(前進移動とする)を開始する(図5のステップSt3)。このステップSt3の工程中(即ち、ノズル16の前進移動中)において、図示するように基板上(塗布開始領域内)にレジスト液Rが着液される。
また、着液時には、ノズル先端の前側面16b、及び後側面16cには、吐出口16aから吐出されたレジスト液Rが付着した状態となるが、図6(c)に示すようにノズル16が前進移動することによって前側面16bに付着しているレジスト液Rは後方へ流され、次第に除去される。
【0041】
また、制御部50は、ノズル16を走査方向に移動させながらレジスト液Rの吐出を停止し、停止した直後に、図6(d)に示すようにレジストポンプ31を吸引ポンプとして前記吐出したレジスト液Rのうち所定量を吸引(サックバック)する(図5のステップSt4)。このサックバック処理により、ノズル先端に付着している余分なレジスト液Rがレジストポンプ31に戻される。また、この時点において、ノズル16の前進移動によりノズル先端の前側面16bには殆どレジスト液Rは付着していない状態となされる。
【0042】
そして、制御部50は、前記サックバック動作の停止と共にノズル16の走査方向への移動を停止し、その直後に図6(e)に示すように塗布開始領域内においてノズル16を走査方向とは逆方向に所定距離を移動(後進移動とする)させる(図5のステップSt5)。このノズル16の後進移動により、ノズル先端の後側面16cに付着している液量と吐出口16aの直下の液量との調整がなされ、図6(f)に示すようにノズル先端のレジスト液Rの整形がなされる。
【0043】
このように前記一連の動作により、着液時にノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rはノズル後方に流されて除去され、レジスト液Rは吐出口16aの直下からノズル先端の後側面16cにかけてのみに付着した状態となされる。即ち、従来、プライミングローラを用いて行っていたプライミング処理と同様に、ノズル先端に付着しているレジスト液Rが整えられる。
尚、前記したノズル16の前進移動及び後進移動は、塗布開始領域内において行われるため、基板全長に対してノズル16の前記移動は微移動である。
【0044】
以上のように、基板Gへの着液工程の第一の実施形態によれば、ノズル16からレジスト液Rを基板面に吐出し着液する際、塗布開始領域内において、ノズル16を走査方向に微移動させることにより、ノズル先端の前側面16bに付着しているレジスト液Rを後方へ流し除去することができる。このため、塗布処理時において、ノズル先端の前側面16bに付着しているレジスト液Rがノズル下に流れ込むことがなく、塗布斑の発生を防止することができる。
また、基板Gへの着液時にノズル16を微移動させながらレジスト液Rの吐出を行うことにより、基板Gへの着液処理とノズル先端のレジスト液Rの整形処理とを並行して効率的に行うことができる。
【0045】
また、前記実施の形態によれば、従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるため、前記プライミング処理を必要とせず、プライミング処理装置にかかるコストを削減することができる。
また、この着液工程にあっては、ノズル先端に付着したレジスト液Rの整形を短時間に実施できるため、各基板Gに対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板Gの塗布開始時までの時間)を従来のプライミング処理よりも短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0046】
尚、前記着液工程の第一の実施形態にあっては、ノズル16の前進移動と後進移動とによる1往復を実行するものとしたが、さらにステップSt5の後に、塗布開始領域内において、ノズル16の前進移動と後進移動とを所定回数繰り返してもよい(即ち、走査方向に沿って前後に微移動を繰り返してもよい)。このようにノズル16の往復移動を繰り返すことで、ノズル先端に付着しているレジスト液Rの状態(厚さ等)をより均一にすることができる。
また、前記着液工程の第一の実施形態にあっては、ノズル先端に付着している余分なレジスト液Rを取り除くためにサックバック処理を行うようにしたが、このサックバック処理は省略してもよい。即ち、サックバック処理を実施しなくても、着液時にノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rをノズル後方に流して除去し、レジスト液Rを吐出口16aの直下からノズル先端の後側面16cにかけてのみに付着した状態とすることができる。
また、ステップSt5において、ノズル16を後進移動させ、ノズル先端に付着したレジスト液Rの液量を調整したが、このステップSt5の処理を省略してもよい。即ち、ステップSt4までの処理により、ノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rをノズル後方に流して除去し、レジスト液Rを吐出口16aの直下からノズル16先端の後側面にかけてのみに付着した状態とすることができる。
【0047】
続いて、基板Gへの着液工程の第二の実施形態について図7、図8を用いて説明する。
前記図4のステップ2において、基板Gの先端が塗布開始位置で停止されると、図8(a)に示すように、制御部50はノズル16を下降移動させ、吐出口16aを基板面(塗布開始領域)に近接させる(図7のステップSp1)。
次いで、図8(b)に示すように、レジストポンプ31を駆動してノズル16の吐出口16aから所定量のレジスト液Rを基板G上に吐出する(図7のステップSp2)。これにより、図示するように基板Gの塗布開始領域内にはレジスト液Rが着液される。
【0048】
前記ステップSp2においてレジスト液Rの吐出が停止された後、図8(c)に示すように、制御部50は、ノズル16を塗布開始領域内において、ノズル走査方向に所定距離だけ移動(前進移動とする)させる(図7のステップSp3)。これによりノズル先端の前側面16bに付着しているレジスト液Rは、図8(d)に示すようにノズル下を通って後方の後側面16cに流れ、除去される。
【0049】
次いで、制御部50は、図8(e)に示すように、ノズル16を走査方向とは逆方向に所定距離だけ移動(後進移動とする)させる(図7のステップSp4)。これにより、ノズル先端の後側面16cに付着している液量と吐出口16aの直下の液量との調整がなされ、図8(f)に示すようにノズル先端に付着したレジスト液Rの整形がなされる。
このように前記一連の動作により、着液時にノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rはノズル後方に流されて除去され、レジスト液Rは吐出口16aの直下からノズル16先端の後側面16cにかけてのみに付着した状態となされる。
したがって、この着液工程の第二の実施形態によっても、前記着液工程の第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
尚、前記着液工程の第二の実施形態にあっては、ノズル16の前進移動と後進移動とによる1往復を実行するものとしたが、さらにステップSp4の後に、塗布開始領域内において、ノズル16の前進移動と後進移動とを所定回数繰り返してもよい(即ち、走査方向の前後に微移動を繰り返してもよい)。このようにノズル16の往復移動を繰り返すことで、ノズル先端に付着しているレジスト液Rの状態(厚さ等)をより均一にすることができる。
また、ステップSp4において、ノズル16を後進移動させ、ノズル先端に付着したレジスト液Rの液量を調整したが、このステップSp4の処理を省略してもよい。即ち、ステップSp3までの処理により、ノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rをノズル後方に流して除去し、レジスト液Rを吐出口16aの直下からノズル16先端の後側面にかけてのみに付着した状態とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 レジスト塗布処理ユニット(塗布膜形成装置)
16 ノズル
16a 吐出口
20 ノズル移動駆動部(ノズル移動手段)
30 レジスト供給部
50 制御部(制御手段)
G ガラス基板(被処理基板)
R レジスト液(処理液)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板に対して処理液を塗布する塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、処理液であるフォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)が塗布されレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、被処理基板にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する方法として、スリット状のノズル吐出口からレジスト液を帯状に吐出し、レジストを基板上に塗布する方法がある。
この方法を用いた従来のレジスト塗布装置について、図9を用いて簡単に説明する。
図9に示すレジスト塗布装置200は、基板Gを載置するステージ201と、このステージ201の上方に配設されるレジスト供給ノズル202と、このノズル202を移動させるノズル移動手段203とを具備している。
レジスト供給ノズル202には、基板の幅方向に延びる微小隙間を有するスリット状の吐出口202aが設けられ、レジスト液供給源204から供給されたレジスト液Rを吐出口202aから吐出するようになされている。
【0004】
この構成において、基板Gへのレジスト塗布処理時にあっては、ノズル202をノズル移動手段203によって水平移動させながら、スリット状の吐出口202aからレジスト液Rを基板表面に帯状に吐出することにより、レジスト液Rの塗布処理がなされる。
【0005】
ところで、従来、レジスト塗布装置200は、ノズル先端に付着したレジスト液Rを均一化する(プライミング処理と呼ぶ)ための回転自在なプライミングローラ207を有するプライミング処理装置208を具備している。尚、図中の符号209は、プライミングローラ207を収容するケーシングであって、このケーシング209内にはプライミングローラ207に付着したレジスト液Rを除去するための洗浄液(シンナー液)が貯留されている。
このプライミング処理装置208によるプライミング処理を塗布処理前に行うことにより、塗布処理時における塗布斑の発生を防止することができる。
【0006】
ここで、前記プライミング処理を施さない場合の塗布斑の発生について、図10(a)〜(c)を用いて説明する。
プライミング処理を施さずに基板Gへの塗布処理を行う場合、図10(a)に示すようにノズル202が下降され、基板Gに対し吐出口202aが近接される。
次いで、図10(b)に示すように、ノズル吐出口202aから基板面に対し所定量のレジスト液Rが吐出され、レジスト液Rの基板Gへの着液が行われる。このとき、ノズル202から着液のために多量のレジスト液Rが吐出され、ノズル先端の前側面202b、及び後側面202cには、レジスト液Rが付着する。
【0007】
そして、図10(c)に示すように、ノズル吐出口202aからレジスト液Rが吐出されながら、基板Gに対してノズル202が相対的に矢印の方向に移動され、レジスト液Rの塗布処理がなされる。
しかしながら、図10(c)の塗布処理中の状態にあっては、ノズル202の進行方向側であるノズル先端の前側面202bには、破線で囲んで示すように多量のレジスト液Rが付着している。このため、そのレジスト液Rがノズル下に流れ込み、塗布斑が生じ易いという課題があった。
【0008】
前記課題を解決するため、前記したように従来はプライミング処理を行っている。
具体的に説明すると、塗布処理前にプライミング処理を行う場合、図11(a)に示すように、ノズル202がプライミングローラ207の頂部に近接され、所定量のレジスト液Rが吐出される。この状態においては、ノズル先端の前側面202b、及び後側面202cにもレジスト液Rが付着する。
次いで、図11(b)に示すように、プライミングローラ207が矢印の方向に回転される。これにより、ノズル先端の前側面202bに付着しているレジスト液Rはノズル202後方に流され、図11(c)に示すようにレジスト液Rはノズル先端の後側面202cのみに付着した状態となされる(プライミング処理が完了する)。
【0009】
プライミング処理がなされたノズル202により塗布処理を行う場合、図11(d)に示すように、ノズル202が下降され、基板Gに対し吐出口202aが近接される。
ここで、ノズル吐出口202aには、プライミング処理によって所定量のレジスト液Rが付着しており、図11(e)に示すように、基板Gへの着液にあっては、少量のレジスト液Rの吐出で済むことになる。そのため、着液後もノズル先端の前側面202bにはレジスト液Rが付着せず、後側面202cのみに付着した状態となっている。
そして、図11(f)に示すように、ノズル吐出口202aからレジスト液Rが吐出されながら、基板Gに対してノズル202が相対的に矢印の方向に移動され、レジスト液Rの塗布処理がなされる。ここで、ノズル先端の前側面202bにはレジスト液Rが付着していないため、塗布斑の発生が防止される。
尚、前記のようにプライミング処理を行うプライミング処理装置については、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−237046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、プライミング処理直後のプライミングローラ207にあっては、ノズル202から吐出されたレジスト液Rが付着している。このため、プライミングローラ207は、ケーシング209内に貯留された洗浄液(シンナー液)に浸漬され、レジスト液が付着したローラ面が直ぐさま洗浄され除去される構成となされている。
しかしながら、プライミングローラ207のローラ面に付着したレジスト液Rを完全に除去するためには、洗浄液が大量に必要となり、コストが嵩むという課題があった。
さらには、プライミング処理時間が長いため、各基板Gに対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板Gの塗布開始時までの時間)が長く空き、生産効率が低下するという課題があった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被処理基板に処理液を塗布する塗布膜形成装置において、塗布斑を生じさせることなく被処理基板に塗布膜を形成することができ、且つコストを低減し、生産効率を向上することのできる塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するために、本発明に係る塗布膜形成装置は、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルを備え、前記ノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成装置であって、前記基板搬送路上の前記基板に対し前記ノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、前記ノズルと前記ノズル移動手段の駆動制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ノズル移動手段により前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置し、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることに特徴を有する。
【0014】
このように構成することにより、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。このため、塗布処理時において、ノズル先端の前側面に付着している処理液がノズル下に流れ込むことがなく、塗布斑の発生を防止することができる。
また、この構成によれば、従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるため、前記プライミング処理を必要とせず、プライミング処理装置にかかるコストを削減することができる。
また、従来のプライミング処理工程が不要であり、ノズル先端に付着した処理液の整形を短時間に実施できるため、各基板に対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板の塗布開始時までの時間)を短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0015】
また、前記制御手段は、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることが望ましい。
このように被処理基板への着液時にノズルを移動させながら処理液の吐出を行うことにより、前記基板への着液処理とノズル先端の処理液の整形処理とを並行して効率的に行うことができる。
【0016】
また、前記制御手段は、さらに前記塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させながら、前記ノズルから前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させることが望ましい。
このように処理液の吸引動作を行うことにより、余分に吐出された処理液を除去することができる。
【0017】
また、前記制御手段は、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液し、前記処理液の吐出が停止された前記ノズルを、前記ノズル移動手段によりその走査方向に所定距離移動させるようにしてもよい。
このように制御することによっても、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。
【0018】
また、前記制御手段は、前記塗布開始領域内において、前記所定距離を走査方向に移動された前記ノズルを、前記ノズル移動手段により該ノズルの走査方向の逆方向に所定距離移動させることが望ましい。
このようにノズルをその走査方向の逆方向に移動させることにより、ノズル先端の後側面に付着している液量と吐出口の直下に付着している液量との調整を行うことができる。
【0019】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係る塗布膜形成方法は、被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成方法であって、前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置するステップと、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを含むことに特徴を有する。
【0020】
このような方法によれば、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。このため、塗布処理時において、ノズル先端の前側面に付着している処理液がノズル下に流れ込むことがなく、塗布斑の発生を防止することができる。
また、従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるため、前記プライミング処理を必要とせず、プライミング処理装置にかかるコストを削減することができる。
また、従来のプライミング処理工程が不要であり、ノズル先端に付着した処理液の整形を短時間に実施できるため、各基板に対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板の塗布開始時までの時間)を短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0021】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることが望ましい。
このように被処理基板への着液時にノズルを移動させながら処理液の吐出を行うことにより、前記基板への着液処理とノズル先端の処理液の整形処理とを並行して効率的に行うことができる。
【0022】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出するステップと、さらに前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させるステップとを行うことが望ましい。
このように処理液の吸引動作を行うことにより、余分に吐出された処理液を除去することができる。
【0023】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液するステップと、前記処理液の吐出を停止した後に、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを行ってもよい。
このようなステップによっても、被処理基板への着液時にノズル先端の前側面に付着している処理液を後方へ流し除去することができる。
【0024】
また、前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップの後、前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップを行うことが望ましい。
このようにノズルをその走査方向の逆方向に移動させることにより、ノズル先端の後側面に付着している液量と吐出口の直下に付着している液量との調整を行うことができる。
【0025】
また、前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップの後、さらに前記ノズルを走査方向に所定距離移動させるステップと、前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップとを少なくとも1回行うことが望ましい。
このようにノズルの走査方向に沿った往復移動を繰り返すことによって、ノズル先端に付着している処理液の状態(厚さ等)をより均一にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被処理基板に処理液を塗布する塗布膜形成装置において、塗布斑を生じさせることなく被処理基板に塗布膜を形成することができ、且つコストを低減し、生産効率を向上することのできる塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明にかかる一実施形態の全体概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる一実施形態の全体概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、図1のA−A矢視断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる塗布形成装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図5】図5は、図4のフローにおける着液工程の第一の実施形態の流れを示すフロー図である。
【図6】図6は、図5のフローに示す動作を説明するための断面図である。
【図7】図7は、図4のフローにおける着液工程の第二の実施形態の流れを示すフロー図である。
【図8】図8は、図7のフローに示す動作を説明するための断面図である。
【図9】図9は、従来の塗布処理ユニットの概略構成を説明するための斜視図である。
【図10】図10は、プライミング処理を実施しない場合の不具合を説明するための断面図である。
【図11】図11は、従来のプライミング処理の動作を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法にかかる一実施形態を、図面に基づき説明する。尚、この実施形態にあっては、塗布膜形成装置を、被処理基板であるガラス基板を浮上搬送しながら、前記基板に対し処理液であるレジスト液の塗布処理を行うレジスト塗布処理ユニットに適用した場合を例にとって説明する。
【0029】
図1、図2に示すように、このレジスト塗布処理ユニット1は、ガラス基板Gを枚様式に一枚ずつ浮上搬送するための浮上搬送部2A(基板搬送路)と、前記浮上搬送部2Aから基板Gを受け取り、コロ搬送するコロ搬送部2Bとを備え、基板Gが所謂平流し搬送されるように構成されている。
【0030】
前記浮上搬送部2Aにおいては、基板搬送方向であるX方向に延長された浮上ステージ3が設けられている。浮上ステージ3の上面には、図示するように多数のガス噴出口3aとガス吸気口3bとがX方向とY方向に一定間隔で交互に設けられ、ガス噴出口3aからの不活性ガスの噴出量と、ガス吸気口3bからの吸気量との圧力負荷を一定とすることによって、ガラス基板Gを浮上させている。
尚、この実施形態では、ガスの噴出及び吸気により基板Gを浮上させるようにしたが、それに限定されず、ガス噴出のみの構成によって基板浮上させるようにしてもよい。
【0031】
また、コロ搬送部2Bにおいては、ステージ3の後段に、コロ駆動部40によって回転駆動される複数本のコロ軸41が並列に設けられている。各コロ軸41には、複数の搬送コロ42が取り付けられ、これら搬送コロ42の回転によって基板Gを搬送する構成となされている。
【0032】
浮上搬送部2Aにおける浮上ステージ3の幅方向(Y方向)の左右側方には、X方向に平行に延びる一対のガイドレール5が設けられている。この一対のガイドレール5には、ガラス基板Gの四隅の縁部を下方から吸着保持してガイドレール5上を移動する4つの基板キャリア6が設けられている。これら基板キャリア6により浮上ステージ3上に浮上したガラス基板Gを搬送方向(X方向)に沿って移動される。
尚、浮上搬送部2Aからコロ搬送部2Bへの基板引き渡しを円滑に行うために、ガイドレール5は、浮上ステージ3の左右側方だけでなく、コロ搬送部2Bの側方にまで延設されている。
【0033】
各基板キャリア6は、図3(図1のA−A矢視断面)に示すように、ガイドレール5に沿って移動可能に設けられたスライド部材6aと、基板Gの下面に対し吸引・開放動作により吸着可能な吸着部材6bと、吸着部材6bを昇降移動させる昇降駆動部6cとを有する。
尚、吸着部材6bには、吸引ポンプ(図示せず)が接続され、基板Gとの接触領域の空気を吸引して真空状態に近づけることにより、基板Gに吸着するようになされている。
また、前記スライド部材6aと昇降駆動部6cと前記吸引ポンプとは、図1に示すように、それぞれコンピュータからなる制御部50(制御手段)によって、その駆動が制御される。
【0034】
また、図1、図2に示すように、浮上搬送部2Aの浮上ステージ3上には、ガラス基板Gにレジスト液を吐出するノズル16が設けられている。ノズル16は、Y方向に向けて例えば長い略直方体形状に形成され、ガラス基板GのY方向の幅よりも長く形成されている。図2、図3に示すようにノズル16の下端部には、浮上ステージ3の幅方向に長いスリット状の吐出口16aが形成され、このノズル16には、レジスト液供給部30からレジストポンプ31及び流量調整バルブ32を介してレジスト液が供給されるようになされている。
【0035】
また、図1に示すようにノズル16の両側には、X方向に延びる一対のガイドレール10が設けられている。このガイドレール10に沿ってスライド移動可能な一対のスライド部材17が設けられ、図3に示すように各スライド部材17の上に垂直にシャフト18が立設されている。前記シャフト18には、このシャフト18に沿って昇降移動可能な昇降駆動部19が設けられ、Y方向に対向する一対の昇降駆動部19の間にノズル16を保持する直棒状のノズルアーム11が架設されている。スライド部材17は、ノズル移動駆動部20(ノズル移動手段)によって、そのX軸方向(ノズル走査方向)の移動が制御されるようになされている、さらに、昇降駆動部19とノズル移動駆動部20とは、制御部50によって制御されるように構成されている。
かかる構成によりノズル16は、昇降移動可能、且つガイドレール10に沿ってX方向に移動可能となされている。
【0036】
また、浮上ステージ3の上方において、プライミング処理部よりも上流側には待機部14が設けられている。この待機部14は、ノズル16の吐出口16aに付着した余分なレジスト液を洗浄し除去するノズル洗浄部14aと、いわゆるダミー吐出を行うダミーディスペンス部14bとを有している。
ノズル16は、ガイドレール10に沿って、ガラス基板Gにレジスト液を吐出する吐出位置と、それより上流側にある待機部14との間を移動可能とされている。そして、待機時には、待機部14においてノズル洗浄がなされる。
【0037】
続いて、このように構成されたレジスト塗布処理ユニット1における、基板Gへのレジスト液の塗布処理の一連の流れについて図4を用いて説明する。
レジスト塗布処理ユニット1において、浮上ステージ3上に新たにガラス基板Gが搬入されると、基板Gはステージ3上に形成された不活性ガスの気流によって下方から支持され、基板キャリア6により保持される(図4のステップS1)。
そして、制御部50は基板キャリア6を駆動して基板Gを基板搬送方向に搬送開始し、その先端が塗布開始領域となる位置で搬送を停止する(図4のステップS2)。
尚、前記塗布開始領域とは、基板前端付近の基板面上の所定領域であって、その塗布開始領域における基板搬送方向の長さは、基板全長に対し僅かな距離(例えば、吐出口16aの走査方向の基板端2mm〜8mmの範囲)に設定されている。
【0038】
基板Gの先端が塗布開始領域で停止されると、制御部50は昇降駆動部19とノズル移動駆動部20とによりノズル16を移動させて塗布開始領域に近接した状態で配置する。そして、ノズル16の吐出口16aから基板面に処理液であるレジスト液Rを所定量吐出させると共に、ノズル先端に付着しているレジスト液Rを所望の形状とする着液工程を行う(図4のステップS3)。
前記ステップS3の着液工程が終了すると、制御部50は、レジストノズル16の吐出口16aからレジスト液Rを吐出しながら、ノズル16に対して基板Gを相対的に搬送方向に移動し、基板面上にレジスト液Rの膜を形成する(図4のステップS4)。
基板G上へのレジスト液Rの塗布処理が終了すると、ノズル16からのレジスト液Rの吐出を停止し、塗布処理が完了した基板Gを、浮上搬送部2Aからコロ搬送部2Bに引き渡し、コロ搬送によって後段の処理部へ搬出する(図4のステップS5)。
【0039】
続いて、前記図4のステップS3の処理、即ち塗布処理直前における着液工程の第一の実施形態について図5,図6を用いて詳しく説明する。
前記図4のステップ2において、基板Gの先端が塗布開始領域で停止されると、図6(a)に示すように、制御部50はノズル16を下降移動させ、吐出口16aを基板面(塗布開始領域)に近接させる(図5のステップSt1)。
【0040】
次いで、図6(b)に示すように、レジストポンプ31を駆動してノズル16の吐出口16aから所定量のレジスト液Rを基板G上に吐出開始する(図5のステップSt2)。続けて、レジスト液Rを吐出しながら、図6(c)に示すようにノズル移動駆動部20によってノズル16をその走査方向に移動(前進移動とする)を開始する(図5のステップSt3)。このステップSt3の工程中(即ち、ノズル16の前進移動中)において、図示するように基板上(塗布開始領域内)にレジスト液Rが着液される。
また、着液時には、ノズル先端の前側面16b、及び後側面16cには、吐出口16aから吐出されたレジスト液Rが付着した状態となるが、図6(c)に示すようにノズル16が前進移動することによって前側面16bに付着しているレジスト液Rは後方へ流され、次第に除去される。
【0041】
また、制御部50は、ノズル16を走査方向に移動させながらレジスト液Rの吐出を停止し、停止した直後に、図6(d)に示すようにレジストポンプ31を吸引ポンプとして前記吐出したレジスト液Rのうち所定量を吸引(サックバック)する(図5のステップSt4)。このサックバック処理により、ノズル先端に付着している余分なレジスト液Rがレジストポンプ31に戻される。また、この時点において、ノズル16の前進移動によりノズル先端の前側面16bには殆どレジスト液Rは付着していない状態となされる。
【0042】
そして、制御部50は、前記サックバック動作の停止と共にノズル16の走査方向への移動を停止し、その直後に図6(e)に示すように塗布開始領域内においてノズル16を走査方向とは逆方向に所定距離を移動(後進移動とする)させる(図5のステップSt5)。このノズル16の後進移動により、ノズル先端の後側面16cに付着している液量と吐出口16aの直下の液量との調整がなされ、図6(f)に示すようにノズル先端のレジスト液Rの整形がなされる。
【0043】
このように前記一連の動作により、着液時にノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rはノズル後方に流されて除去され、レジスト液Rは吐出口16aの直下からノズル先端の後側面16cにかけてのみに付着した状態となされる。即ち、従来、プライミングローラを用いて行っていたプライミング処理と同様に、ノズル先端に付着しているレジスト液Rが整えられる。
尚、前記したノズル16の前進移動及び後進移動は、塗布開始領域内において行われるため、基板全長に対してノズル16の前記移動は微移動である。
【0044】
以上のように、基板Gへの着液工程の第一の実施形態によれば、ノズル16からレジスト液Rを基板面に吐出し着液する際、塗布開始領域内において、ノズル16を走査方向に微移動させることにより、ノズル先端の前側面16bに付着しているレジスト液Rを後方へ流し除去することができる。このため、塗布処理時において、ノズル先端の前側面16bに付着しているレジスト液Rがノズル下に流れ込むことがなく、塗布斑の発生を防止することができる。
また、基板Gへの着液時にノズル16を微移動させながらレジスト液Rの吐出を行うことにより、基板Gへの着液処理とノズル先端のレジスト液Rの整形処理とを並行して効率的に行うことができる。
【0045】
また、前記実施の形態によれば、従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるため、前記プライミング処理を必要とせず、プライミング処理装置にかかるコストを削減することができる。
また、この着液工程にあっては、ノズル先端に付着したレジスト液Rの整形を短時間に実施できるため、各基板Gに対する塗布処理の時間間隔(塗布完了時から次の基板Gの塗布開始時までの時間)を従来のプライミング処理よりも短縮することができ、生産効率を向上することができる。
【0046】
尚、前記着液工程の第一の実施形態にあっては、ノズル16の前進移動と後進移動とによる1往復を実行するものとしたが、さらにステップSt5の後に、塗布開始領域内において、ノズル16の前進移動と後進移動とを所定回数繰り返してもよい(即ち、走査方向に沿って前後に微移動を繰り返してもよい)。このようにノズル16の往復移動を繰り返すことで、ノズル先端に付着しているレジスト液Rの状態(厚さ等)をより均一にすることができる。
また、前記着液工程の第一の実施形態にあっては、ノズル先端に付着している余分なレジスト液Rを取り除くためにサックバック処理を行うようにしたが、このサックバック処理は省略してもよい。即ち、サックバック処理を実施しなくても、着液時にノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rをノズル後方に流して除去し、レジスト液Rを吐出口16aの直下からノズル先端の後側面16cにかけてのみに付着した状態とすることができる。
また、ステップSt5において、ノズル16を後進移動させ、ノズル先端に付着したレジスト液Rの液量を調整したが、このステップSt5の処理を省略してもよい。即ち、ステップSt4までの処理により、ノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rをノズル後方に流して除去し、レジスト液Rを吐出口16aの直下からノズル16先端の後側面にかけてのみに付着した状態とすることができる。
【0047】
続いて、基板Gへの着液工程の第二の実施形態について図7、図8を用いて説明する。
前記図4のステップ2において、基板Gの先端が塗布開始位置で停止されると、図8(a)に示すように、制御部50はノズル16を下降移動させ、吐出口16aを基板面(塗布開始領域)に近接させる(図7のステップSp1)。
次いで、図8(b)に示すように、レジストポンプ31を駆動してノズル16の吐出口16aから所定量のレジスト液Rを基板G上に吐出する(図7のステップSp2)。これにより、図示するように基板Gの塗布開始領域内にはレジスト液Rが着液される。
【0048】
前記ステップSp2においてレジスト液Rの吐出が停止された後、図8(c)に示すように、制御部50は、ノズル16を塗布開始領域内において、ノズル走査方向に所定距離だけ移動(前進移動とする)させる(図7のステップSp3)。これによりノズル先端の前側面16bに付着しているレジスト液Rは、図8(d)に示すようにノズル下を通って後方の後側面16cに流れ、除去される。
【0049】
次いで、制御部50は、図8(e)に示すように、ノズル16を走査方向とは逆方向に所定距離だけ移動(後進移動とする)させる(図7のステップSp4)。これにより、ノズル先端の後側面16cに付着している液量と吐出口16aの直下の液量との調整がなされ、図8(f)に示すようにノズル先端に付着したレジスト液Rの整形がなされる。
このように前記一連の動作により、着液時にノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rはノズル後方に流されて除去され、レジスト液Rは吐出口16aの直下からノズル16先端の後側面16cにかけてのみに付着した状態となされる。
したがって、この着液工程の第二の実施形態によっても、前記着液工程の第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
尚、前記着液工程の第二の実施形態にあっては、ノズル16の前進移動と後進移動とによる1往復を実行するものとしたが、さらにステップSp4の後に、塗布開始領域内において、ノズル16の前進移動と後進移動とを所定回数繰り返してもよい(即ち、走査方向の前後に微移動を繰り返してもよい)。このようにノズル16の往復移動を繰り返すことで、ノズル先端に付着しているレジスト液Rの状態(厚さ等)をより均一にすることができる。
また、ステップSp4において、ノズル16を後進移動させ、ノズル先端に付着したレジスト液Rの液量を調整したが、このステップSp4の処理を省略してもよい。即ち、ステップSp3までの処理により、ノズル先端の前側面16bに付着していたレジスト液Rをノズル後方に流して除去し、レジスト液Rを吐出口16aの直下からノズル16先端の後側面にかけてのみに付着した状態とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 レジスト塗布処理ユニット(塗布膜形成装置)
16 ノズル
16a 吐出口
20 ノズル移動駆動部(ノズル移動手段)
30 レジスト供給部
50 制御部(制御手段)
G ガラス基板(被処理基板)
R レジスト液(処理液)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルを備え、前記ノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成装置であって、
前記基板搬送路上の前記基板に対し前記ノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、前記ノズルと前記ノズル移動手段の駆動制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記ノズル移動手段により前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置し、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする塗布膜形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項1に記載された塗布膜形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
さらに前記塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させながら、前記ノズルから前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させることを特徴とする請求項2に記載された塗布膜形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液し、前記処理液の吐出が停止された前記ノズルを、前記ノズル移動手段によりその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項1に記載された塗布膜形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記塗布開始領域内において、前記所定距離を走査方向に移動された前記ノズルを、前記ノズル移動手段により該ノズルの走査方向の逆方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された塗布膜形成装置。
【請求項6】
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成方法であって、
前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置するステップと、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを含むことを特徴とする塗布膜形成方法。
【請求項7】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、
前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項6に記載された塗布膜形成方法。
【請求項8】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、
前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出するステップと、
さらに前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させるステップとを行うことを特徴とする請求項7に記載された塗布膜形成方法。
【請求項9】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、
前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液するステップと、
前記処理液の吐出を停止した後に、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを行うことを特徴とする請求項6に記載された塗布膜形成方法。
【請求項10】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップの後、
前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップを行うことを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれかに記載された塗布膜形成方法。
【請求項11】
前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップの後、
さらに前記ノズルを走査方向に所定距離移動させるステップと、
前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップとを少なくとも1回行うことを特徴とする請求項10に記載された塗布膜形成方法。
【請求項1】
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルを備え、前記ノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成装置であって、
前記基板搬送路上の前記基板に対し前記ノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、前記ノズルと前記ノズル移動手段の駆動制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記ノズル移動手段により前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置し、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする塗布膜形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項1に記載された塗布膜形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
さらに前記塗布開始領域内において、前記ノズル移動手段により前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させながら、前記ノズルから前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させることを特徴とする請求項2に記載された塗布膜形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液し、前記処理液の吐出が停止された前記ノズルを、前記ノズル移動手段によりその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項1に記載された塗布膜形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記塗布開始領域内において、前記所定距離を走査方向に移動された前記ノズルを、前記ノズル移動手段により該ノズルの走査方向の逆方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された塗布膜形成装置。
【請求項6】
被処理基板の幅方向に長いスリット状の吐出口を有するノズルの下方を基板搬送路に沿って相対的に移動される前記基板に対し、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出し、所定の塗布膜を形成する塗布膜形成方法であって、
前記ノズルを前記基板の塗布開始領域に配置するステップと、
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを含むことを特徴とする塗布膜形成方法。
【請求項7】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、
前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液し、さらに所定量の処理液を吐出させながら、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させることを特徴とする請求項6に記載された塗布膜形成方法。
【請求項8】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、
前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出するステップと、
さらに前記ノズルをその走査方向に移動させながら、前記基板に吐出された処理液のうち、所定量の処理液を吸引させるステップとを行うことを特徴とする請求項7に記載された塗布膜形成方法。
【請求項9】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップにおいて、
前記ノズルの吐出口から所定量の処理液を吐出して前記基板に着液するステップと、
前記処理液の吐出を停止した後に、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップとを行うことを特徴とする請求項6に記載された塗布膜形成方法。
【請求項10】
前記塗布開始領域内において、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出して前記基板に着液すると共に、該塗布開始領域内において、前記ノズルをその走査方向に所定距離移動させるステップの後、
前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップを行うことを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれかに記載された塗布膜形成方法。
【請求項11】
前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップの後、
さらに前記ノズルを走査方向に所定距離移動させるステップと、
前記ノズルを、その走査方向の逆方向に所定距離移動させるステップとを少なくとも1回行うことを特徴とする請求項10に記載された塗布膜形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−195532(P2012−195532A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60169(P2011−60169)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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