説明

塗料の撹拌装置

【課題】
塗料固形分沈殿、凝固を防止し、固形分と溶剤とを万辺無く混合を可能とした塗料の撹拌装置を提供する。
【解決手段】
有底円筒形の塗料タンク4の中に配設されて塗料タンク4内を上下室5、6に区分し、かつ塗料タンク4の内周壁面との間に塗料が流動可能な隙間を有した円盤状の隔壁板1と、この隔壁板1を回転並びに上下動するためのモータ及びシリンダとからなる駆動装置2と、隔壁板1の上面及び下面に隔壁板の回転中心から放射状に設けた複数のフィン7a、7bと、複数のフィン7a、7b間の隔壁板1に開設した複数の塗料流動孔9と、この複数の塗料流動孔9の上面あるいは下面に一端を隔壁板に支持され前記塗料流動孔9を開閉する弾性材よりなる弁板10とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料固形分沈殿、凝固を防止した塗料の撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用塗料は着色のための固形分と、それを液状噴霧化し塗布するためのシンナー等の溶剤の希釈材料が混合された液状の塗料で形成されている。
【0003】
この液状の塗料は、流動がない状態では固形分が固まり易く、塗装したときにその原因で塗装ブツ等の塗装欠陥に至るため、それを防止するために回転するインペラの撹拌装置を装備した塗料タンク内で液状の塗料を絶えずかき混ぜている。
【0004】
しかしながら、インペラーは塗料タンク内の底部の一定位置で回転しているため、インペラーの直下は液状の塗料の流動がなく、そのため、塗料タンクの底部に固形分が沈殿し易く、これが凝固する問題がある。
【特許文献1】特開平07−256197公報
【特許文献2】特開平08−266985公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、塗料固形分沈殿、凝固を防止し、固形分と溶剤とを万辺無く混合を可能とした塗料の撹拌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明は、請求項1に記載の通り、有底円筒形の塗料タンクの中に配設されて前記塗料タンク内を上下室に区分し、かつ塗料タンクの内周壁面との間に塗料が流動可能な隙間を有した円盤状の隔壁板と、この隔壁板を回転並びに上下動するためのモータ及びシリンダとからなる駆動装置と、前記隔壁板の上面及び下面に隔壁板の回転中心から放射状に設けた複数のフィンと、前記複数のフィン間の隔壁板に開設した複数の塗料流動孔と、この複数の塗料流動孔の上面あるいは下面に一端を隔壁板に支持され前記塗料流動孔を開閉する弾性材よりなる弁板とから構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、塗料タンク内で隔壁板が回転し、かつ上下動することにより、液状の塗料をフィンによってかき混ぜると共に、塗料流動孔の弁板を開閉して塗料流動孔より隔壁板で塗料タンク内を区分した上下室に液状の塗料の流れを生成し、複雑な液状の塗料のぶつかり合いにより塗料が一個所に留まることがなく、塗料固形分沈殿、凝固を防止し、固形分と溶剤とを万辺無く混合することができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1は円盤状の隔壁板である。この隔壁板1は図4、図5で示すように、蓋付で有底円筒形の前記塗料タンク4内を上室5と下室6に区分し、かつ塗料タンク4の内周壁面との間に塗料が流動可能な隙間を有して塗料タンク4の中に配設され、この隔壁板1は前記塗料タンク4内で回転並びに上下動するためのモータ及びシリンダとからなる駆動装置2と回転軸3を介して結合している。
【0009】
前記隔壁板1には、その上面及び下面に複数の上フィン7a及び下フィン7bが隔壁板1の回転中心から放射状に設けられている。この上フィン7a及び下フィン7bの隔壁板1への取り付けは、図2で示すように、例えば、リベット8等で上フィン7a及び下フィン7bの両者を固定する。
【0010】
さらに、上記複数の上フィン7a及び下フィン7b間の隔壁板1に複数の塗料流動孔9が開設されており、この複数の塗料流動孔9の上面あるいは下面に図3で示すようにリベット11等で一端を隔壁板1に支持され前記塗料流動孔9を開閉する弾性材よりなる弁板10が取り付けられている。つまり、前記弁板10は、例えば、複数の塗料流動孔9の交互に上面と下面に取り付けられる。
【0011】
本発明は上記の通りの構造であるから、隔壁板1はモータ及びシリンダとからなる駆動装置2により前記塗料タンク4内で回転し、かつストロークSで上下動する。隔壁板1が下降時には図4で示すように、塗料流動孔9の下面に取り付けられている弁板10は塗料流動孔9を閉じており、塗料流動孔9の上面に取り付けられている弁板10は塗料流動孔9を開放状態となる。
【0012】
このような隔壁板1の回転と下降状態では、塗料タンク4内の塗料液は上フィン7a及び下フィン7bによる回転方向の流れと弁板10を開いている塗料流動孔9および塗料タンク4と隔壁板1の外周との隙間からの上室5方向の流れが生じ、複雑な液状の塗料のぶつかり合いにより塗料が一個所に留まることがなく、塗料固形分沈殿、凝固を防止し、固形分と溶剤とを万辺無く混合する。
【0013】
また、図5で示すように隔壁板1の回転と上昇状態では、塗料タンク4内の塗料液は上フィン7a及び下フィン7bによる回転方向の流れと弁板10を開いている塗料流動孔9および塗料タンク4と隔壁板1の外周との隙間からの下室5方向の流れが生じ、複雑な液状の塗料のぶつかり合いにより塗料が一個所に留まることがなく、塗料固形分沈殿、凝固を防止し、固形分と溶剤とを万辺無く混合する。
【0014】
従って、本発明では上記の作用により塗料タンク4の底部に固形分が沈殿し、これが固化し、これによる塗料ブツ発生をする従来装置の問題点を解消するものである。
【0015】
尚、本発明装置に用いる塗料は自動車用塗料に限定されるものではなく、家電製品その他着色塗料により塗装するものに広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明装置の塗料タンク内に配設される隔壁板の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】隔壁板の下降状態を示す塗料タンクの断面図
【図5】隔壁板の上昇状態を示す塗料タンクの断面図
【符号の説明】
【0017】
1 隔壁板
2 駆動装置
3 回転軸
4 塗料タンク
5 上室
6 下室
7a 上フィン
7b 下フィン
8 リベット
9 塗料流動孔
10 弁板
11 リベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒形の塗料タンクの中に配設されて前記塗料タンク内を上下室に区分し、かつ塗料タンクの内周壁面との間に塗料が流動可能な隙間を有した円盤状の隔壁板と、この隔壁板を回転並びに上下動するためのモータ及びシリンダとからなる駆動装置と、前記隔壁板の上面及び下面に隔壁板の回転中心から放射状に設けた複数のフィンと、前記複数のフィン間の隔壁板に開設した複数の塗料流動孔と、この複数の塗料流動孔の上面あるいは下面に一端を隔壁板に支持され前記塗料流動孔を開閉する弾性材よりなる弁板とから構成されていることを特徴とする塗料の撹拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−346547(P2006−346547A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174417(P2005−174417)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】