説明

塗装鋼板、加工品および薄型テレビ用パネル

【課題】良好な耐食性を有する塗装鋼板を、その加工品、中でも薄型テレビ用パネルと共に提供する。
【解決手段】本発明の塗装鋼板は、鋼板の両面に形成された亜鉛系めっき層と、前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に形成されたクロムを含有しない化成皮膜と、前記化成皮膜の上に形成された、有機樹脂、着色顔料およびワックスを含む有機皮膜と、を有し、前記ワックスは、結晶化度が80%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装鋼板、加工品および薄型テレビ用パネルに関するものであり、特に、良好な耐食性を有する塗装鋼板に関するものである。
本発明の塗装鋼板は、例えば、液晶テレビやプラズマテレビのような薄型テレビ用パネルに代表される、AV機器などの筐体の素材として好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
塗装鋼板は、例えば、テレビ用パネル等に成形される際に、プレス加工や曲げ加工が行われるのが一般的であり、曲げ加工性およびプレス加工後の外観が良好であることが要求されている。通常、プレコート鋼板(塗装鋼板)では、外面側の下塗り塗膜に主として変性ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を使用することで、下地鋼板との密着性、耐食性などを確保し、さらに、外面側の上塗り塗膜にポリエステル系、アクリル系塗膜などを使用することで、主とし耐汚染性、意匠性、耐疵付き性、耐エタノール性および耐塩酸性または耐アルカリ性であるバリア性などを付与する2コート鋼板とすることが一般的である。
さらには、下塗り塗膜と上塗り塗膜の間に、中塗り塗膜を形成した3コート鋼板もある。
【0003】
従来の2コート塗装鋼板の塗膜を薄膜化したものとして、本発明者らは先に、特許文献1において、塗膜中に樹脂粒子を添加することにより、10μm以下の膜厚でも、曲げ加工性やプレス加工後の外観に優れ、かつ十分な塗膜硬度を持つ塗装鋼板を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−269010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、塗膜の厚みが10μm以下の塗装鋼板の上記使途においては、より厳しい環境下での耐食性を確保することが希求されている。このような特許文献1に従う塗装鋼板は、その皮膜の耐食性に更なる改善の余地を残していた。
そこで、本発明の目的は、上記の問題を有利に解決するもので、良好な耐食性を有する塗装鋼板を、その加工品、中でも薄型テレビ用パネルと共に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記目的を達成するために、この種の塗装鋼板のプレス加工性を確保するために添加するワックスが耐食性を劣化させる原因になっていることを新規に見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)鋼板の両面に形成された亜鉛系めっき層と、
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に形成されたクロムを含有しない化成皮膜と、
前記化成皮膜の上に形成された、有機樹脂、着色顔料およびワックスを含む有機皮膜と、
を有し、
前記ワックスは、結晶化度が80%以下であることを特徴とする塗装鋼板。
【0008】
(2)前記ワックスが、マイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする上記(1)に記載の塗装鋼板。
【0009】
(3)前記ワックスの含有率が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の塗装鋼板。
【0010】
(4)前記有機皮膜がカーボンブラックを含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の塗装鋼板。
【0011】
(5)前記化成皮膜および前記有機皮膜を鋼板の一方の面に施した場合において、前記鋼板の他方の面の亜鉛系めっき層上に化成皮膜を有し、該他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の塗装鋼板。
【0012】
(6)前記鋼板の他方の面の化成皮膜が樹脂を含有することを特徴とする上記(5)に記載の塗装鋼板。
【0013】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の塗装鋼板に、プレス加工を施して形成してなる加工品。
【0014】
(8)上記(7)に記載の加工品において、前記塗装鋼板の有機皮膜を具える面が、外部に露出する凸面になるようにプレス加工を施したことを特徴とする薄型テレビ用パネル。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、良好な耐食性を有する塗装鋼板を、その加工品、中でも薄型テレビ用パネルと共に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】有機皮膜のワックスの拡大写真である。
【図2】耐食性試験後の塗装鋼板の外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の塗装鋼板は、鋼板の両面に、亜鉛系めっき層を形成し、この亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面に化成皮膜および有機皮膜を順次形成する。
前記塗装鋼板の各部の詳細について以下に述べる。
【0018】
(亜鉛系めっき層)
本発明の塗装鋼板の下地鋼板となる亜鉛系めっき層を形成した鋼板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛−55質量%アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−5質量%アルミニウム合金めっき鋼板)、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
【0019】
(化成皮膜)
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面の上に形成された化成皮膜は、環境保護の観点から、クロムを含有しないものとする。前記化成皮膜は、主としてめっき層と有機皮膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/又はリン酸化合物を含有することが好ましい。
シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。また、シリカは化成皮膜中に1〜20質量%含有することが、密着性及び耐食性が向上する点で好ましい。
リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。また、リン酸やリン酸化合物は、化成皮膜中に0.1〜5質量%含有させることが、耐食性が向上する点で好ましい。さらに、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂、シランカップリング剤などの1種以上を添加してもよい。
化成皮膜の膜厚は、密着性と耐食性の観点から0.1〜1.5μmとすることが好ましい。さらに好ましいのは1.0μm以下である。
【0020】
(有機皮膜)
前記化成皮膜上に形成する有機皮膜は、有機樹脂、着色顔料およびワックスを含む。有機樹脂及び着色顔料については後述するが、本発明において、該ワックスの結晶化度が80%以下であることが肝要である。すなわち、ワックスの結晶化度を80%以下とすることによって、有機皮膜における耐食性を大幅に改善できるからである。以下に、有機皮膜のワックスの適正な結晶化度を究明するに至った経緯を詳述する。
【0021】
本発明者らは、良好な耐食性を有する塗装鋼板について鋭意研究を重ねる間に、有機皮膜に含まれるワックスの周囲に空隙が形成されることを発見し、この空隙が耐食性を劣化させる原因になっていることを見出した。
従来、塗油時のプレス加工性を確保するために、結晶化度が80%超の高密度ポリエチレンワックスが使用されており、図1(a)に示すように、ポリエチレンワックスを有機皮膜に含む場合はワックス外縁部に空隙が存在していた。
そこで、この前記空隙の形成を抑制するために、さまざまなワックスについて検討したところ、マイクロクリスタリンワックスを用いると空隙の形成が回避できることが判明した。すなわち、図1(b)に示すように、ポリエチレンワックスの代わりにマイクロクリスタリンワックスを有機皮膜に含む場合は、ワックスと皮膜基材との間の空隙が解消されている。
【0022】
次に、本発明者らは、膜厚が3μmの有機皮膜を有する塗装鋼板を用いて耐食性試験(塗装鋼板に濃度5質量%の塩水を8時間噴霧し、16時間休止する工程を1サイクルとして、5サイクルを実施)を行った。
なお、ここで用いた塗装鋼板とは、鋼板の両面に、亜鉛系めっき層およびクロムを含有しない化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の化成皮膜上に、架橋剤により硬化させたポリエステル系樹脂と、平均粒子径が3〜40μm、ガラス転移温度が70〜200℃でかつ前記ポリエステル系樹脂よりも高硬度である樹脂粒子とを含有する有機皮膜を形成してなるものである。
図2(a)に、結晶化度が80%超の高密度ポリエチレンワックスを有機皮膜に含むサンプル、図2(b)にマイクロクリスタリンワックスを有機皮膜に含むサンプルの試験結果を示す。
マイクロクリスタリンワックスを有機皮膜に含むサンプル(図2(b))では、従来のポリエチレンワックスを有機皮膜に含むサンプル(図2(a))と比較して、白色の点状凹凸(ザラツキ)が少ないことが確認できた。
この白色のザラツキ部とは、腐食生成物が現れたものと考えられる。すなわち、従来のポリエチレンワックスを有機皮膜に含むサンプル(図2(a))では、空隙部が存在することによりこの空隙部から腐食因子が侵入し、亜鉛めっき層から腐食生成物が浸出してザラツキ部になっていると考えられる。一方、マイクロクリスタリンワックスを有機皮膜に含むサンプル(図2(b))では、空隙部が存在しないため、腐食因子が侵入せず、亜鉛めっき層から腐食生成物が浸出せず、ザラツキ部が少ないと考えられる。
このように、マイクロクリスタリンワックスを用いると、塗装鋼板の耐食性を向上できることが分かった。
【0023】
マイクロクリスタリンワックスを用いると空隙が発生しにくいのは、マイクロクリスタリンワックスは結晶化度が低いためであると考えられる。結晶化度が高いワックスは、融点付近の温度域で熱膨張率が大きいため、冷却したときの体積収縮が大きくなる。すると、ワックスと、ワックス周辺の有機樹脂との収縮率との差によりワックス周辺に空隙が生じ、この空隙が腐食の起点となる。それゆえ、結晶化度が低いワックスは、空隙を生成せず、それゆえ、空隙を起点とした腐食が発生しないため、塗装鋼板の耐食性が向上する。ここで、ワックスの結晶化度と塗装鋼板の耐食性との関係を調査したところ、後述する実施例に示すように、ワックスの結晶化度は80%以下であることが耐久性の向上に有効であることを確認した。
【0024】
マイクロクリスタリンワックスとは、日本工業規格(JIS K2235)に規定されているように、石油ワックスの一種であり、減圧蒸留の残渣油または重質留出油から分離精製した常温において固形のワックスである。炭素数は約30〜60、分子量は約500〜800で、一般にパラフィンワックスより融点が高い。また組成的には結晶の小さいイソパラフィンやシクロパラフィンが多いため微結晶となる。マイクロクリスタリンワックスの融点は主に結晶性の違いにより決まり、融点によって5種類に細分されている。
また、結晶化度の低いワックスとしては、マイクロクリスタリンワックスの他、蜜蝋、モンタンワックス、パラフィンワックスなどの天然ワックスや、低密度ポリエチレンワックスなどの合成ワックスが挙げられ、本発明に好適に用いることができる。
【0025】
本発明に用いられるワックスは、その融点が60℃以上120℃以下であることが好ましい。なぜなら、融点が60℃以上であれば、取り扱い時のべたつき、輸送時の高温環境による再融解、表面白化の問題、及びスリット時のけずれによる作業性劣化がなく、一方、融点が120℃以下であれば、プレス加工時に十分な潤滑性が得られるためである。
【0026】
また、ワックスの含有率が0.1質量%以上10質量%以下であることが好適である。
なぜなら、0.1質量%以上であれば、塗装鋼板のプレス加工性を向上でき、一方、10質量%以下であれば、その効果を維持しつつ、コスト的に不利とならないためである。
【0027】
(有機樹脂)
前記有機皮膜に用いられる有機樹脂としては特に限定せず、例えばアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、フッ素系、ポリウレタン系等が挙げられるが、主として前記硬度および前記曲げ加工性を有する点からポリエステル系樹脂を含有することが好ましい。
ポリエステル系樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重合体である。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを用いることができる。また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどを用いることができる。市販されているポリエステル系樹脂としては、「アルマテックス」(登録商標)(商品名、三井東圧化学(株)製)、「アルキノール」(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモフェン」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「バイロン」(登録商標)(商品名、東洋紡績(株)製)などがある。
また、さらに好ましいポリエステル系樹脂としてはポリエステル系樹脂と、脂肪族ジイソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン変性ポリエステル樹脂が使用できる。上記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
【0028】
なお、前記有機皮膜に用いられる有機樹脂の数平均分子量は3000〜10000、ガラス転移温度Tgが20〜70℃、水酸基価が2〜60KOHmg/gであることが好ましい。
前記数平均分子量が3000以上であれば、有機皮膜の架橋間分子量が短すぎることがなく、架橋密度が大きくなりすぎないため、伸びが低下して曲げ加工性が劣化したり、有機皮膜強度が高くなりすぎ加工変形部の皮膜が剥離しやすくなることがないからである。一方、数平均分子量が10000以下であれば、充分な架橋密度が得られる結果、バリア性が充分で皮膜が膨潤しないからである。
前記ガラス転移温度Tgが20℃以上であれば、有機皮膜の強靭性が低下せず、充分なプレス加工性が得られる上、有機皮膜硬度、加工後の有機皮膜の密着性などの特性も確保できるからであり、一方、ガラス転移温度Tgが70℃以下であれば、充分な曲げ加工性が得られるからである。
さらに、前記ポリエステル系樹脂の水酸基価が2KOHmg/g以上であれば、架橋反応が充分となるために充分な皮膜硬度が得られ、一方、水酸基価が60KOHmg/g以下であれば充分な加工性が得られるためである。
【0029】
また、前記有機皮膜は、皮膜中に高硬度樹脂粒子を添加してもよい。この樹脂粒子は、例えば、アクリルビーズ、ナイロンビーズであり、平均粒子径が3〜40μm、ガラス転移温度が70〜200℃でかつ前記ポリエステル系樹脂よりも高硬度である樹脂粒子を用いることが好ましい。平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70〜200℃の高硬度の樹脂粒子を含有させることで、曲げ加工性を確保しつつ、プレス加工性を向上させることができる。樹脂粒子の平均粒子径、ガラス転移温度および硬度の好ましい範囲を上記のように規定したのは、次の理由による。
【0030】
樹脂粒子は、潤滑剤、または金型と下地である化成皮膜との接触抑制効果を有するものとして作用し、プレス加工性を向上させる。樹脂粒子の平均粒子径が3μm以上であれば、潤滑剤としての効果または金型と化成皮膜の接触抑制効果が十分でプレス加工性向上効果を発揮でき、一方、40μm以下であれば、樹脂粒子自体が塗膜から剥離することがなく、摺動抵抗が大きくなることがなく、プレス加工性を確保できる。このため、樹脂粒子の平均粒子径は3〜40μmが好ましい。また、樹脂粒子のガラス転移温度が70℃以上であれば、樹脂粒子の硬度が不足することがなく、一方、120℃以下であれば、樹脂粒子自体が摺動抵抗として働くことがなく、いずれもプレス加工性が優れる。
【0031】
なお、ここでいう「樹脂粒子の平均粒子径」は、有機皮膜断面を光学顕微鏡で少なくとも3視野で観察し、各樹脂粒子の最大径とそれに直交する径との平均径をそれぞれの視野で算出し、これら算出した平均径の平均値を意味する。
【0032】
また、樹脂粒子を添加する場合、この硬度は、前記有機皮膜に用いられる有機樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂)よりも高硬度とする。この樹脂粒子を高硬度とすることにより、プレス加工時に、樹脂粒子が金型に抵抗して金型表面が化成皮膜や亜鉛めっき層と直接接触して傷つけるのを防止することができる。樹脂粒子の硬度が、有機樹脂と同等かもしくは軟質であると、上記の効果が得られないからである。
【0033】
なお、ここでいう樹脂粒子や有機樹脂の「硬度」は、そのTgで評価できる。Tgが高いと、硬度が高いものとする。
また、樹脂粒子の硬度は、有機樹脂の硬度よりも過度に高いと、成形加工時に、有機皮膜中の樹脂粒子と有機皮膜に用いられる有機樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂)との界面に応力が集中して、樹脂粒子が有機皮膜から脱離しやすくなるため、樹脂粒子と有機皮膜に用いられる有機樹脂のTg差は、20〜130℃の範囲であることが好ましい。
【0034】
特に優れたプレス加工性向上効果を発現させるには、樹脂粒子の含有量は、有機皮膜中に5〜20質量%含有させることが好ましい。
【0035】
樹脂粒子の樹脂種としては、例えばアクリル樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。特に、ロールコートによる塗装がしやすい点で、樹脂粒子としてナイロン樹脂を用いることが好適である。
【0036】
(硬化剤)
また、耐汚染性、耐摩耗性などを付与する目的で、硬化剤成分を添加し、有機皮膜を焼付け硬化皮膜にすることも可能である。硬化剤成分としては、イソシアネート化合物および/またはアミノ樹脂を用いることができる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。イソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができるが、その中でも特に、一液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシムなどのブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略す)およびその誘導体、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す)およびその誘導体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、XDIと略す)およびその誘導体、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)およびその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、TMDIと略す)およびその誘導体、水添TDIおよびその誘導体、水添MDIおよびその誘導体、水添XDIおよびその誘導体などを挙げることができる。さらに、「スミジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「デスモジュール」(登録商標)(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、「コロネート」(登録商標)(商品名、日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も使用できる。
【0037】
硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、およびこれらをメタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化したものが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができる。さらに、「サイメル」(商品名、三井サイアミッド(株)製)、「ユーバン」(登録商標)(商品名、三井東圧化学(株)製)、「スミマール」(登録商標)(商品名、住友化学工業(株)製)、「メラン」(登録商標)(商品名、日立化成工業(株)製)などの市販のアミノ樹脂も使用できる。
硬化剤を用いて硬化させる場合、有機樹脂と硬化剤との配合比(固形分の重量比)は有機樹脂/硬化剤:99/1〜60/40、望ましくは95/5〜75/25とするのが好ましい。硬化剤の配合量は有機皮膜固形分中の割合で0.75〜20質量%とすることが好ましい。この硬化剤の配合量が0.75質量%以上であれば、有機皮膜硬度が十分となり、一方、20質量%以下であれば、曲げ加工時に有機皮膜の割れが発生しない。
【0038】
(顔料)
また、前記有機皮膜には目的や用途に応じて防錆顔料、および防錆剤を併用して配合することができる。防錆顔料としては、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミ、亜リン酸アルミ、モリブデン酸塩、リン酸モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸混合顔料、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカ等の一般に公知の防錆顔料および防錆剤を使用することができる。
【0039】
また、前記有機皮膜は、皮膜中に着色顔料としてカーボンブラックを5〜15質量%含有することが好適である。これにより、後の塗装工程の省略が可能となり、素地色及び素地疵の隠蔽性を有することができるためである。上記の範囲に規定した理由は、5質量%以上であれば、顔料が少なすぎることがないため、素地色および素地疵の隠蔽性が十分となるからであり、一方、15質量%以下であれば、顔料が多くなりすぎることがないため、有機皮膜が脆化することがないためである。
また、二酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン、キナクリドンなどの着色顔料を併用しても差し支えない。
【0040】
なお、前記有機皮膜の膜厚は、10μm以下とすることが好ましい。10μm以下であれば、プレス加工時に切断端面から脱離する有機皮膜量が多くならず、製品に付着することがないからである。さらに、前記膜厚は、3〜7μmであることがより好ましい。3μm以上であれば、有機皮膜の膜厚が均一となり、着色顔料を含む場合、色調が安定し、素地色および素地疵の隠蔽性が十分となり、加えて、耐食性の点でも好ましいからである。
なお、前記有機皮膜の膜厚は、断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用い、1視野につき任意の3箇所の膜厚を測定し、少なくとも5視野で、合計15箇所以上で測定した膜厚の平均値とする。
【0041】
また、本発明の塗装鋼板を、例えば薄型テレビ用パネルとして使用する場合には、プレス加工したパネルの内面になる塗装鋼板の裏面は、溶接や電磁波シールド等の必要性から導電性を有することが好ましい。
かかる場合には、前記鋼板の他方の面上にも、上述のクロムを含有しない化成皮膜を有することで、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性と密着性を有するとともに、優れた導電性も有すること、具体的には、導電荷重を500g以下とすることが、電磁波シールド性の点で好ましい。さらに好ましいのは300g以下とすることである。導電荷重は表面抵抗が10−4Ω以下となる最小荷重である。
【0042】
耐食性の要求度がそれほど高くない用途には、この他方の面はクロムを含有しない化成皮膜だけを形成し、特に電磁波シールド性に優れた塗装鋼板として提供できる。
【0043】
さらに、前記鋼板の他方の面に前記クロムを含有しない化成皮膜のみを形成する場合であって、耐食性の要求が高い用途については、前記鋼板の他方の面に形成されたクロムを含有しない化成皮膜が、エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。また、これらの樹脂を含有させる場合、硬化剤として、メラミン樹脂等を用いて硬化させることが好ましい。前記化成皮膜中の樹脂の含有率は30〜80質量%とすることが好ましく、硬化剤を用いる場合、硬化剤の前記化成皮膜中の含有率は1〜30質量%が好ましい。また、前記化成皮膜中に、樹脂を含有させる場合、前記化成皮膜の他の成分は、耐食性を向上させるために1〜20質量%のリン酸及び/又はリン酸化合物、1〜20質量%の炭酸マンガン、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛などの無機添加剤とすることが好ましい。
【0044】
また、特に耐食性の要求度が高い用途には、該化成皮膜上に必要に応じて有機樹脂層を形成することができる。有機樹脂層の有機樹脂種としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。有機樹脂層は、防錆顔料としてCaイオン交換シリカを含有することが、さらに優れた耐食性を得るために好ましい。また、有機樹脂層に対する防錆顔料の含有量は、0.1〜50質量%とすることが好ましい。この範囲にすることで、有機樹脂層の導電性を劣化させることなく、耐食性を向上させることができるためである。
【0045】
さらに、放熱性の要求度が高い用途については、前記有機樹脂層に放熱性顔料を含むことが有利である。放熱性を発現するための有機樹脂種としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。また、前記放熱性顔料は、特に限定されるものではなく、公知の顔料を用いればよいが、熱放射率を上げるためには、カーボンブラック、アニリンブラック、ポリメチレン染料、トリスアゾ染料アミン塩、シアニン染料又はその金属錯体、酸化鉄、酸化ケイ素及びマグネシウムケイ酸塩が例示される。これら放熱性顔料は、単独で添加してもよいが、2種以上を組み合わせてもよい。
さらに、前記放熱性顔料を含有する有機樹脂層の熱放射率を、0.3〜0.8の範囲にすることで、所望の放熱性を得ることができる。ここで、熱放射率とは、4.5〜25μmの波長領域において、表面の分光反射率(R)を、同温度の黒体放射を1(100%)として相対的に表わし、波長範囲で積分したものである。具体的な放熱性顔料の有機樹脂層に対する添加量としては、0.1〜20質量%であることが好ましい。添加量を0.1質量%以上とすることで、放熱効果を十分に得ることが可能となり、20質量%以下とすることで、前記有機樹脂層の耐食性の劣化を防ぐためである。
また、有機樹脂層の膜厚は0.1〜1.0μmとすることが好ましい。
【0046】
なお、本発明の塗装鋼板は、曲げ加工、プレス加工が施されて使用される加工品に好適である。さらに、前記有機皮膜を具える面が凸表面になるようにプレス加工が施され、さらに電磁波シールド性が要求される電子機器及び家電製品等の用途で使用される部材に好適である。例えば、プラズマディスプレーパネルや液晶テレビなどの薄型TVの背面パネルに使用するのに適している。
【実施例】
【0047】
本発明の実施例について説明する。
塗装用亜鉛系めっき鋼板として、各々板厚0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有量:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:4.5質量%、めっき種記号:GF)および溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有量:55質量%、めっき種記号:GL)を準備した。めっき鋼板の片面当たりのめっき付着量(g/m)を表1に示す。なお、鋼板の一方の面(オモテ面)と他方の面(ウラ面)のめっき付着量、およびめっき組成は同一とした。前記亜鉛系めっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の(i)及び(ii)の処理工程を行い、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。めっき鋼板のめっき付着量(g/m)及び膜厚(μm)を表1に示す。
(i)オモテ面に、表1に示す化成皮膜(組成は表3に示す)を形成するための化成処理薬剤をバーコーターにて塗布して乾燥させた後に、ウラ面に表2に示す化成皮膜(組成は表3に示す)を形成するための化成処理薬剤を塗布し、その後、加熱10秒後に到達板温が100℃となるような加熱処理を行い、所定膜厚のオモテ面及びウラ面の化成皮膜を形成した。
(ii)その後、表1に示すベース樹脂、硬化剤、着色顔料、ワックスを含有する有機皮膜用塗料を、表1に示す乾燥膜厚となるように塗布した後、加熱開始から20秒後に到達板温が190℃となるように加熱処理を行い、オモテ面の有機皮膜を形成した。
なお、表1中のガラス転移温度Tgは、(JIS K 71214.2(2)[熱流束示差走査熱量測定]に基づいて測定した。また、HMMMとはヘキサメトキシメチル化メラミンであり、HDIとはヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
<オモテ面の評価>
(1)硬度
硬度は、正四角錘ビッカース圧子を用いて、試験荷重3.0mNを加えた際の押し込み深さ(μm)を、超微小押し込み硬さ試験機(フィッシャースコープ(登録商標)HM2000)により測定し、この押し込み深さから算出する方法により求めた。
【0052】
(2)曲げ加工性(目視による評価)
曲げ加工性は、JIS Z2248−1996に準拠し、前記塗装鋼板を、縦60mm、横30mmの大きさに切り出した試験片に、前記塗装鋼板を室温で180°に折り曲げる0T曲げしたときの曲げ加工部頂部を目視で観察した。評価は以下の基準にしたがって行った。
○:有機皮膜の割れが確認されない
×:有機皮膜の割れが確認される
【0053】
(3)曲げ加工性(ERVによる評価)
ERVによる評価は、上記(2)において0T曲げを行ったサンプルについて、ERV法により、ERVを測定した。ERV(エナメルレイティング値)は、塗装鋼板を縦60mm、横30mmの大きさに切り出した試験片に、前記塗装鋼板の温度が室温で密着曲げ加工(JIS Z 2248-1996に準拠した0T曲げ)を施し、この密着曲げ加工部の頂部における前記着色単一皮膜の被覆度をERV法にて評価するものである。ここで、ERV法により得られるERVの測定は、曲げ加工部の頂部を10mm×10mmが露出する枠のシールテープにより端面をシールし、電解液との接触面積を一定にした状態で、温度20〜25℃、1質量%の食塩水を電解液とするエナメルレーターで測定した値である。評価は、以下の基準に従って評価した。
◎:2mA未満
○:2mA以上、5mA未満
△:5mA以上、10mA未満
×:10mA以上
【0054】
(4)素地隠蔽性
素地面隠蔽性は、化成皮膜形成前の前記めっき鋼板のオモテ面を、先端が金属のペンで傷を付けたのち、前記した処理工程を行って各塗装鋼板を作製し、オモテ面を目視で観察した。評価は、以下の基準に従って評価した。
○:傷が確認できない
△:傷が確認できる
【0055】
(5)耐プレス疵性
上記各塗装鋼板を、ブランク径67mmφ、ポンチ径33mmφ、成型速度300mm/s、壁面温度80℃で、オモテ面が凸面になるように円筒カップ成型した後の、側壁部の有機皮膜の損傷を目視により以下の基準に従って評価した。
◎:損傷は発生せず
○:若干の損傷が認められた
×:損傷が多数発生した
【0056】
(6)耐溶剤性
上記各塗装鋼板の有機皮膜の表面に対し、エタノールラビング試験を4.9N(0.5kgf)の荷重で10回行い、エタノールラビング試験前後のL値(明度)の変動幅(ΔL)を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:ΔLが1以下
○:ΔLが1超え、2以下の範囲
×:ΔLが2超え
【0057】
(7)耐食性
上記各サンプルから、試験片(大きさ:100×50mm)を切り出し、試験片の端部及び裏面をテープシールした後、5質量%の塩水を35℃で8時間噴霧した後、16時間休止する工程を1サイクルとし、これを5サイクル行った後の、有機皮膜表面外観の変化を評価した。評価は以下の基準に従って行った。
◎:有機皮膜表面に変化なし
○:有機皮膜表面に若干の発錆がある
×:有機皮膜表面に多数の発錆がある
【0058】
<ウラ面の評価>
(8)導電性
低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、各サンプルのウラ面の表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗が10−4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
表面抵抗が10−4Ω以下になった時の荷重値
◎:10点測定の平均荷重が300g以下
○:10点測定の平均荷重が300g超500g以下
△:10点測定の平均荷重が500g超700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超960g以下
【0059】
(9)放熱性
各サンプルについて、以下に示す条件で放熱性を測定した。
測定装置:日本電子(株)製 遠赤外線分光放射計 JIR−E500、測定温度:100℃、測定波長:4.5〜25μm、分解能:8cm−1、積算回数:100回、その他の条件:JIS R1801:2002に準拠
その後、測定結果から放射率を算出し、以下の基準で評価した。
◎:0.5以上、0.8未満
○:0.3以上、0.5未満
△:0.1以上、0.3未満
×:0.1未満
【0060】
上記各試験の評価結果を表4に示す。
これによれば、実施例の塗装鋼板は、いずれも優れた硬度、素地隠蔽性(実施例14を除く)、曲げ加工性、耐プレス疵性、耐溶剤性及び耐食性及び導電性を有している。特に、比較例1、2に比べて、いずれも曲げ加工性及び耐プレス疵性に優れていることがわかる。
【0061】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、良好な耐食性を有する塗装鋼板を、その加工品、中でも薄型テレビ用パネルと共に提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の両面に形成された亜鉛系めっき層と、
前記亜鉛系めっき層の少なくとも一方の面上に形成されたクロムを含有しない化成皮膜と、
前記化成皮膜の上に形成された、有機樹脂、着色顔料およびワックスを含む有機皮膜と、
を有し、
前記ワックスは、結晶化度が80%以下であることを特徴とする塗装鋼板。
【請求項2】
前記ワックスが、マイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする請求項1に記載の塗装鋼板。
【請求項3】
前記ワックスの含有率が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗装鋼板。
【請求項4】
前記有機皮膜がカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗装鋼板。
【請求項5】
前記化成皮膜および前記有機皮膜を鋼板の一方の面に施した場合において、前記鋼板の他方の面の亜鉛系めっき層上に化成皮膜を有し、該他方の面の導電荷重が500g以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗装鋼板。
【請求項6】
前記鋼板の他方の面の化成皮膜が樹脂を含有することを特徴とする請求項5に記載の塗装鋼板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗装鋼板に、プレス加工を施して形成してなる加工品。
【請求項8】
請求項7に記載の加工品において、前記塗装鋼板の有機皮膜を具える面が、外部に露出する凸面になるようにプレス加工を施したことを特徴とする薄型テレビ用パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−230425(P2011−230425A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104465(P2010−104465)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】