説明

塩基性医薬活性物質の発泡調製物

本発明は、発泡バッチ、少なくとも1種の塩基性医薬物質、および、1種または数種の場合による物質を含む発泡調製物に関する。該発泡調製物は、尿のアルカリ化、その結果の塩基性医薬物質の蓄積の増加が防止されることを特徴とする。該発泡調製物を含有する医薬、それらの製造方法およびそれらの使用も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、尿のアルカリ化、および、結果的に塩基性医薬活性物質の蓄積の増加が回避されることを特徴とする、少なくとも1種の塩基性医薬活性物質を含む発泡調製物(effervescent preparation)に関する。
【0002】
医薬としての発泡調製物は、長期に亘り知られており、発泡散剤、錠剤または顆粒剤の形態で使用される。それらは、原則として、酸/塩基の対を含む固体製剤であり、水と接触すると反応してCOを放出する(EP 0 474 040, EP 0 369 228, P.C. Schmidt, I. Christin, Die Pharmazie, 1990, 45, 89-110)。発泡製剤は、より速い投与形の崩壊および有効成分の溶解を導き、かくして、常套の錠剤製剤よりも良好かつ速い医薬のバイオアベイラビリティーを導き得る。例えば、吸収時間が長いか、または、胃の粘膜を刺激する傾向のある有効成分にとって、発泡調製物は、有効成分の当該不利な特性を軽減できる剤型である。故に、発泡調製物を含む医薬は、ますます普及している。
【0003】
発泡調製物の利点を塩基性医薬に持ち込む場合、研究(下記:プソイドエフェドリンの蓄積挙動の研究参照)において、塩基性医薬活性物質として例えばプソイドエフェドリンを含む発泡調製物を、塩基性成分として重炭酸ナトリウムおよび酸性成分としてクエン酸を含む常套の発泡組成物を使用して複数回投与する際、患者における塩基性医薬活性物質の蓄積があり、それは非発泡製剤の本来の蓄積挙動を超えることが見出された。それにより最適な治療はもはや確実ではなく、副作用が発生するリスクが増大する。
【0004】
生理条件下では、塩基性医薬は、実質的にイオン化形態にあり、故に、その腎排出は十分に速い。単一荷電陽イオンの重炭酸塩または炭酸塩、例えば塩基としてナトリウム、および酸としてクエン酸を含む常套の発泡製剤は、尿のアルカリ化を導くので、塩基性医薬の多くは、非イオン化形態にある。排出半減期は長くなり、塩基性有効成分は全身的循環に蓄積し、恐らく塩基性医薬の利点/リスクの評価の変更を導く。塩基性有効成分、例えばプソイドエフェドリンの排出半減期の、尿のpHに対する強力な依存性は、文献で証明されている (I. Kanfer et al. Pharmacotherapy 1993, 13, 116S-128S)。
【0005】
目的は、尿のアルカリ化を、従って塩基性有効成分の蓄積を回避し、故に最適な治療を確実にし、副作用が発生するリスクを低減できる、塩基性有効成分のための発泡製剤を見出すことであった。
【0006】
驚くべきことに、この度、尿のアルカリ化、および、結果的に非発泡製剤における本来の蓄積挙動を遙かに超える塩基性医薬活性物質の蓄積の増加は、本発明による発泡調製物により回避されることが判明した。
【0007】
本発明は、発泡組成物、少なくとも1種の塩基性医薬活性物質、および、必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含み、塩基性医薬活性物質の蓄積の増加が回避されることを特徴とする発泡調製物に関する。
【0008】
本発明のための塩基性医薬活性物質は、プロトン化できる塩基性の第1級、第2級または第3級窒素を有し、例えば、プソイドエフェドリン、クロルフェナミン(chlorphenamine)、フェニレフリン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、ブロモフェナミン(bromphenamine)、ヒドロキシジン、トリペレナミン、ピリラミン、メキタジン、プロメタジン、シプロヘプタジン、ドキシラミン、デキシクロルフェナミン(dexchlorphenamine)、エピネフリン、フェナミン(phenamine)、トリメプラジン、シクリジン(cyclizine)、メクリジンおよびアザタジン、並びにそれらの生理的に許容し得る塩を有する。プソイドエフェドリン、クロルフェナミン、フェニレフリンおよびクレマスチン、並びにそれらの生理的に許容し得る塩が好ましい。プソイドエフェドリンおよびその生理的に許容し得る塩、例えば、プソイドエフェドリン塩酸塩およびプソイドエフェドリン硫酸塩が特に好ましい。本発明は、同様に、上述の物質の混合物を包含する。
【0009】
塩基性医薬活性物質は、治療的有効量で用いる。好ましいのは、10ないし100mgの投与量、特に好ましくは20ないし70mgの投与量の、プソイドエフェドリン塩酸塩またはプソイドエフェドリン硫酸塩である。
【0010】
発泡調製物は、必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる有効成分、例えば、鎮痛剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、抗高血圧剤、抗凝固剤、脂質低下剤、抗悪性腫瘍剤、抗ウイルス性物質、抗炎症性物質、鎮咳剤、去痰剤、筋弛緩剤、抗痙攣剤、止痢剤、抗喘息剤および抗利尿剤を含む。鎮痛剤は、好ましいものとして言及し得る。
【0011】
鎮痛剤には、例えば、アセチルサリチル酸、パラセタモール、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、プロピフェナゾン(propyphenazone)、メタミゾール(metamizole)、並びにCOX−2阻害剤、例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブが含まれる。代表的な抗生物質は、例えば、ベータ−ラクタム抗生物質、クロラムフェニコール、ネオマイシン、テトラサイクリン、セファロスポリン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ノルフロキサシンおよびエンロフロキサシン(enrofloxacin)である。代表的な抗ヒスタミン剤は、例えば、フェキソフェナジン、ジメチンデン、クロモグリク酸(cromoglicic acid)、セチリジン、ロラタジン、ピリラミン、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリンおよびアンタゾリン(antazoline)である。代表的な抗鬱剤は、例えば、アミトリプチリン、フルオキセチン、ドキセピン、マプロチリンおよびイミプラミンである。代表的な抗糖尿病剤は、例えば、アカルボース、クロルプロパミド、グリベンクラミドおよびトルブタミドである。代表的な抗高血圧剤は、例えば、アムロジピン、ニフェジピン、フェロジピン、エナラプリル、ラミプリル、カプトプリル、シラザプリル、トランドラプリル、フォシノプリル、キナプリル、モエキシプリル、リシノプリルおよびペリンドプリル(perindopril)、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタンおよびテルミサルタンである。代表的な抗凝固剤は、例えば、ビスヒドロキシクマリンおよびワーファリンである。代表的な脂質低下剤は、例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチン(itavastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)およびセリバスタチンである。代表的な抗悪性腫瘍剤は、例えば、アドリアマイシン、フルオロウラシルおよびメトトレキセートである。代表的な抗ウイルス性物質は、例えば、アシクロビルである。代表的な抗炎症性物質は、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびプレドニゾロンである。代表的な鎮咳剤は、例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、デキストロメトルファンおよびクロブチノールである。代表的な去痰剤は、例えば、アンブロキソール、アセチルシステイン、ブロムヘキシンおよびカルボシステインである。代表的な筋弛緩剤は、例えば、ジアゼパム、ダントロレン、シクロベンザプリンおよびメトカルバモールである。代表的な抗痙攣剤は、例えば、ジフェニルヒダントインおよびバルビツール酸塩である。代表的な止痢剤は、例えば、ロペラミドおよびジフェノキシレートである。代表的な抗喘息剤は、例えば、テオフィリン、ベクロメタゾンおよびエピネフリンである。代表的な利尿剤は、例えば、クロルサリドン、インダパミド、ベンドロフルメチアジド、メトラゾン、シクロペンチアジド(cyclopenthiazide)、ポリチアジド、メフルシド、キシパミド(xipamide)、クロロチアジドおよびヒドロクロロチアジドである。列挙した例は、同様に、対応する生理的に許容し得る塩を含むと理解される。本発明は、同様に、上述の有効成分の混合物を包含する。
【0012】
好ましいと言及し得るさらなる有効成分は、例えば、アセチルサリチル酸、パラセタモール、イブプロフェン、ジクロフェナク、メタミゾール、および、COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブ、並びにそれらの生理的に許容し得る塩である。アセチルサリチル酸、イブプロフェン、パラセタモール、ナプロキセンおよびそれらの生理的に許容し得る塩は、特に好ましい。本発明は、同様に、上述の有効成分の混合物を包含する。
【0013】
必要に応じて存在するさらなる有効成分は、治療的有効量で用いる。0.5ないし5mmolの投与量が好ましい。0.8ないし3mmolの投与量が特に好ましい。
【0014】
好ましいのは、100ないし1000mgの投与量のアセチルサリチル酸、100ないし1000mgの投与量のパラセタモール、100ないし1000mgの投与量のイブプロフェン、100ないし1000mgの投与量のナプロキセン、または100ないし1000mgの総投与量のこれらの有効成分の混合物である。
【0015】
特に好ましいのは、250ないし500mgの投与量のアセチルサリチル酸、250ないし500mgの投与量のパラセタモール、100ないし300mgの投与量のイブプロフェン、250ないし500mgの投与量のナプロキセン、または200ないし500mgの総投与量のこれらの有効成分の混合物である。
【0016】
好ましい発泡調製物は、発泡組成物、プソイドエフェドリンおよび1種またはそれ以上の鎮痛剤、例えばアセチルサリチル酸、パラセタモール、ナプロキセンおよびイブプロフェン、および/または、1種またはそれ以上の鎮咳剤、例えばデキストロメトルファン、および/または、1種またはそれ以上の去痰剤、例えばアンブロキソールおよびアセチルシステインが存在することを特徴とし、尿のアルカリ化、結果的に塩基性医薬活性物質の蓄積の増加を回避する。抗ヒスタミン剤、例えば、クロルフェニラミンは、必要に応じて添加できる。これらの成分は、それらの生理的に許容し得る塩の形態であってもよい。
【0017】
特に好ましい発泡調製物は、発泡組成物、プソイドエフェドリン、およびアセチルサリチル酸、パラセタモールおよびイブプロフェンの群からの1種またはそれ以上の有効成分が存在することを特徴とし、尿のアルカリ化、結果的に塩基性医薬活性物質の蓄積の増加を回避し、そして、これらの成分は、それらの生理的に許容し得る塩の形態であることも可能である。
【0018】
発泡組成物は、水または唾液と接触して反応し、COを放出し、少なくとも1種の塩基性成分および少なくとも1種の酸性成分からなる。
【0019】
炭酸塩は、発泡組成物の塩基性成分として言及し得る。炭酸塩は、本発明のために、炭酸塩、セスキ炭酸塩および重炭酸塩を意味する。好ましいのは、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムおよびアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩および重炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムカルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウムおよびヒドロキシ炭酸マグネシウムである。特に好ましいのは、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウムおよびヒドロキシ炭酸マグネシウムである。同様に、言及した塩基性成分の混合物を用いることも可能である。
【0020】
発泡組成物の塩基性成分は、1ないし20mmolの総投与量、好ましくは2ないし15mmolの総投与量、特に好ましくは2ないし10mmolの総投与量で用いる。
【0021】
酸性成分は、1つより多い解離定数を有してもよい。これは、1つより多い酸性官能基を有してもよいことを意味する。酸性成分は、その無水物、その遊離酸またはその酸塩の形態の有機または無機酸であり得、ここで、複数の酸性官能基があるならば、プロトンのいくつかは、1個の陽イオンまたは複数の陽イオンにより置き換えることができる。酸性成分として言及し得る例は、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、グリコール酸、アルファ−ヒドロキシ酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、グルタル酸、アミノ酸、リン酸、二リン酸、三リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、硫酸、二硫酸およびそれらの酸塩、例えば、酒石酸水素カリウムまたはリン酸水素ナトリウム、および他の生理的に許容し得る塩である。特に好ましいのは、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸および酒石酸、リン酸並びにそれらの酸塩である。同様に、言及した酸性成分の混合物を用いることも可能である。
【0022】
発泡組成物の酸性成分は、1ないし20mmolの総投与量、好ましくは2ないし15mmolの総投与量で用いる。
【0023】
発泡組成物の塩基性成分が、アルカリ土類金属炭酸塩および/または重炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウムおよびヒドロキシ炭酸マグネシウムまたはそれらの混合物のみからなる場合、クエン酸を酸性成分として用いることが可能である。好ましい発泡組成物は、酸性成分としてクエン酸を、そして塩基性成分として炭酸カルシウムを含む。クエン酸の当量と、アルカリ土類金属炭酸塩および/または重炭酸塩の総当量との当量比は、2:1より大きくなく、好ましくは1:1より大きくない。
【0024】
クエン酸の当量と、アルカリ金属炭酸塩および/または重炭酸塩の総当量との当量比が、1:3より大きくない、好ましくは1:4より大きくない、特に好ましくは1:5より大きくない場合、クエン酸およびアルカリ金属炭酸塩および/または重炭酸塩を用いることが可能である。
【0025】
必要に応じて存在するさらなる有効成分が酸である場合、その酸性有効成分、例えば、アセチルサリチル酸、パラセタモールおよびイブプロフェンは、部分的または完全に、発泡組成物中の酸性成分の代わりになり得る。
【0026】
発泡組成物として同様に好ましいのは、酸性成分の総当量と、塩基性成分の総当量との当量比が、1:1ないし3:1、好ましくは1:1ないし2.5:1、そして特に好ましくは1:1ないし1.5:1である、少なくとも1種の酸性成分および少なくとも1種の塩基性成分の組合せである。
【0027】
好ましいのは、同様に、クエン酸および炭酸カルシウムを含む発泡組成物、プソイドエフェドリン、並びに、アセチルサリチル酸、パラセタモールおよびイブプロフェンの群からの1種またはそれ以上のさらなる有効成分が存在することを特徴とし、尿のアルカリ化、および結果的に塩基性医薬活性物質の蓄積の増加を回避し、それらの成分もそれらの生理的に許容し得る塩の形態であることが可能である、発泡調製物である。
【0028】
本発明はさらに、本発明による発泡調製物および少なくとも1種のさらなる補助剤を含む医薬に関する。
当業者になじみ深い医薬補助剤は、また、例えば以下の手引書に記載されている: "Handbook of Pharmaceutical Excipients", Wade, A. & Weller, P.J., American Pharmaceutical Association, Washington, 2nd edition 1994。
【0029】
言及し得るさらなる補助剤は、例えば、結合剤、滑沢剤、風味剤、湿潤剤、甘味料、泡止め剤、希釈剤、着色料および安定化剤である。
【0030】
言及し得る結合剤は、例えば、グリコール、ポリエチレングリコール、デキストロース、スクロース、糖、デンプン、転化糖、マンニトール、セルロース、メチルセルロースおよびそれらの誘導体である。
【0031】
言及し得る滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、パラフィン、水素化ひまし油、ポリエチレングリコール、フマル酸、アジピン酸、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびそれらの塩である。好ましい例は、フマル酸およびアジピン酸の、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。
【0032】
言及し得る風味剤は、例えば、食品に適する合成および天然の風味剤である。好ましい例は、オレンジ香料、ライム香料、オプタロンオレンジ(Optarom orange)、ユーカリ油、ペパーミント油、バニラおよびレモン香料である。特に好ましい例は、オレンジ香料、ライム香料およびオプタロンオレンジである。
【0033】
言及し得る湿潤剤は、例えばジオクチルナトリウムスルホスクシネートおよびラウリル硫酸ナトリウムである。
言及し得る甘味料は、例えば、サッカリンナトリウム、シクラメート、転化糖およびアスパルテームである。
言及し得る泡止め剤は、例えばシリコーン油である。
【0034】
言及し得る希釈剤は、例えば、デンプンおよびセルロースである。
言及し得る着色料は、例えば、酸化チタン、ビート根粉末、ベータ−カロテンおよび食品に適する全着色料である。
言及し得る安定化剤は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体である。
【0035】
本発明のために、生理的に許容し得る塩は、これらの化合物の、鉱酸、カルボン酸またはスルホン酸との酸付加塩であり得る。特に好ましい塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸または安息香酸とのものである。
【0036】
しかしながら、言及し得る塩は、また、常套の塩基との塩、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムまたはマグネシウム塩)またはアンモニアまたは有機アミン(例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、デヒドロアビエチルアミン、1−エフェンアミン(ephenamine)またはメチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩である。
【0037】
本発明はさらに、疾患の処置のための発泡調製物の使用に関する。発泡調製物中に存在する有効成分に応じて、発泡調製物は、好ましくは、インフルエンザ感染、細菌感染、発熱、鼻炎、咳、風邪またはアレルギーの処置に使用する。
【0038】
本発明はさらに、発泡調製物の成分を、医薬製造の分野で慣習的な医薬形に製剤化することを特徴とする、本発明による発泡調製物の製造方法に関する。散剤、顆粒剤、ビーズ、ペレットまたは錠剤は、好ましいものとして言及し得る。散剤、顆粒剤および錠剤は、特に好ましい。適する既知の方法を、本発明による医薬を製造するために使用する。
本発明は、同様に、好ましい範囲の全組合せを包含する。
【0039】
蓄積挙動を判定するための試験
発泡調製物中の塩基性医薬活性物質の蓄積挙動を調べるために、その塩基性医薬活性物質を、以下の3つの調製物中、各場合で同一の治療的有効量で投与する:調べようとする発泡調製物として調製物A、非発泡調製物として調製物B、標準的発泡調製物として調製物C、ここで、調製物Bは発泡成分を含有せず、調製物Cは、重炭酸ナトリウム600mgおよびクエン酸1000mgのみからなる常套の発泡組成物を含有する。これらの3種の調製物を、各々連続する5日間の同じ時間に投与する。1日当たりの投与回数は、用いる塩基性医薬活性物質によって決まり、この物質の投与量は、常套の使用に対応する。5日後、塩基性医薬活性物質の各々の血漿レベルA、BおよびCを測定する。血漿レベルBは、その塩基性医薬活性物質の本来の蓄積挙動を反映する。血漿レベルAと血漿レベルBとの差異が、血漿レベルCと血漿レベルBとの差異に比べて、1:2より大きい、好ましくは1:3より大きい、特に好ましくは1:4より大きい蓄積比であるならば、塩基性医薬活性物質の蓄積の増加が起こっている。蓄積比は、血漿レベルCと血漿レベルBとの差異で割った、血漿レベルAと血漿レベルBとの差異に等しい。
【0040】
好ましい発泡調製物は、発泡組成物、少なくとも1種の塩基性医薬活性物質、および、必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含み、蓄積比が1:2より小さい、好ましくは1:3より小さい、特に好ましくは1:4より小さいことを特徴とする。
【0041】
プソイドエフェドリンの蓄積挙動の研究
塩基性医薬活性物質としてのプソイドエフェドリンの蓄積挙動を、2つの異なる調製物で調べた。調製物1は、プソイドエフェドリンHCl60mg、アセトアミノフェン500mgおよび Alka-Seltzer(登録商標)Cold & Cough ANC 6(クエン酸600mgおよび重炭酸ナトリウム1000mgを含有する)1錠を含有し、調製物2は、Sudafed(登録商標)小児用鼻鬱血除去液薬20ml(プソイドエフェドリンHCl60mgと等価)を含有した。17回の連続的な単回投与において、4回の投与量を第1日目から4日目の各々で投与し、1回の投与量を5日目に投与するように、6時間毎にこれらの2つの調製物を各々水120mlに溶解し、2分以内に、各場合で32人の試験対象に投与した。プソイドエフェドリン血漿レベルを最後の投与の12時間後に測定した。調製物1を受容した試験対象群では平均して236.9ng/ml、調製物2を受容した試験対象群では平均して120.23ng/mlであった。血漿レベルは、プソイドエフェドリンの蓄積の増加を立証している。
【0042】
例示的実施態様:
実施例1:
【表1】

を含む発泡錠剤。
【0043】
実施例2:
【表2】

を含む発泡錠剤。
【0044】
実施例3:
【表3】

を含む発泡顆粒剤。
【0045】
実施例4:
【表4】

を含む発泡錠剤。
【0046】
実施例5:
【表5】

を含む発泡顆粒剤。
【0047】
実施例6:
【表6】

を含む発泡錠剤。
【0048】
実施例7:
【表7】

を含む発泡顆粒剤。
【0049】
実施例8:
【表8】

を含む発泡錠剤。
【0050】
実施例9:
【表9】

を含む発泡錠剤。
【0051】
実施例10:
【表10】

を含む発泡錠剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性医薬活性物質の蓄積の増加が回避されることを特徴とする、少なくとも1種の塩基性医薬活性物質を含む発泡調製物。
【請求項2】
蓄積比が1:2より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の発泡調製物。
【請求項3】
プソイドエフェドリン、クロルフェナミン、フェニレフリン、クレマスチンおよびそれらの生理的に許容し得る塩の群からの少なくとも1種の物質が、塩基性医薬活性物質として存在することを特徴とする、請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項4】
プソイドエフェドリン、プソイドエフェドリン塩酸塩またはプソイドエフェドリン硫酸塩が塩基性医薬活性物質として存在することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項5】
1種またはそれ以上のさらなる有効成分が存在することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項6】
鎮痛剤が1種またはそれ以上のさらなる有効成分として存在することを特徴とする、請求項5に記載の発泡調製物。
【請求項7】
アセチルサリチル酸、パラセタモール、イブプロフェン、ジクロフェナク、メタミゾール、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびそれらの生理的に許容し得る塩の群からの少なくとも1種の物質が、さらなる有効成分として存在することを特徴とする、請求項5に記載の発泡調製物。
【請求項8】
250ないし500mgの投与量のアセチルサリチル酸、250ないし500mgの投与量のパラセタモール、100ないし300mgの投与量のイブプロフェン、250ないし500mgの投与量のナプロキセン、または200ないし500mgの総投与量のこれらの物質の混合物が、さらなる有効成分として存在することを特徴とする、請求項5に記載の発泡調製物。
【請求項9】
発泡組成物、プソイドエフェドリン、並びに、アセチルサリチル酸、パラセタモール、ナプロキセン、イブプロフェン、デキストロメトルファン、アンブロキソール、アセチルシステインおよびそれらの生理的に許容し得る塩の群からの少なくとも1種のさらなる有効成分が存在することを特徴とする、請求項4に記載の発泡調製物。
【請求項10】
発泡組成物、プソイドエフェドリン、並びに、アセチルサリチル酸、パラセタモール、ナプロキセン、イブプロフェン、デキストロメトルファン、アンブロキソール、アセチルシステイン、クロルフェナミンおよびそれらの生理的に許容し得る塩の群からの少なくとも1種のさらなる有効成分が存在することを特徴とする、請求項4に記載の発泡調製物。
【請求項11】
発泡組成物、プソイドエフェドリン−HCl並びにアセチルサリチル酸および/またはイブプロフェンが存在することを特徴とする、請求項10に記載の発泡調製物。
【請求項12】
炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、ヒドロキシ炭酸マグネシウムまたはこれらの物質の混合物が、発泡組成物の塩基性成分として存在することを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項13】
アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、酒石酸、リン酸、それらの酸塩、またはこれらの物質の混合物が、発泡組成物の酸性成分として存在することを特徴とする、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項14】
クエン酸が酸性成分として存在し、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは重炭酸塩またはそれらの混合物のみが発泡組成物の塩基性成分として存在することを特徴とする、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項15】
クエン酸が酸性成分として存在し、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは重炭酸塩またはそれらの混合物のみが発泡組成物の塩基性成分として存在し、クエン酸の当量と、アルカリ土類金属炭酸塩および/または重炭酸塩の総当量との当量比が、2:1より大きくないことを特徴とする、請求項15に記載の発泡調製物。
【請求項16】
クエン酸が発泡組成物の酸性成分として存在し、アルカリ金属炭酸塩および/または重炭酸塩が発泡組成物の塩基性成分として存在し、クエン酸の当量と、アルカリ金属炭酸塩および/または重炭酸塩の総当量との当量比が、1:3より大きくないことを特徴とする、請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項17】
プソイドエフェドリン−HCl、アセチルサリチル酸、クエン酸および炭酸カルシウムが存在することを特徴とする、請求項14ないし請求項15のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項18】
少なくとも1種のさらなる有効成分が酸であり、それが部分的または完全に発泡組成物中の酸性成分の代わりになることを特徴とする、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項19】
酸性成分の総当量と、塩基性成分の総当量との当量比が、1:1ないし3:1であることを特徴とする、請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の発泡調製物。
【請求項20】
請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の発泡調製物、および少なくとも1種のさらなる補助剤を含む医薬。
【請求項21】
散剤、顆粒剤、ビーズ、ペレットまたは錠剤の形態である、請求項20に記載の医薬。
【請求項22】
疾患の処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の発泡調製物の使用。
【請求項23】
個々の成分を処方し、散剤、顆粒剤、ビーズ、ペレットまたは錠剤に加工することを特徴とする、請求項20または請求項21に記載の医薬の製造方法。

【公表番号】特表2007−515418(P2007−515418A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544276(P2006−544276)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013886
【国際公開番号】WO2005/063199
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】