説明

塩素供給物を精製する方法

本発明は、塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含む塩素供給物を精製する方法を提供する。本方法は、塩素供給物を気化器に導入し、気化器内の塩素供給物を加熱して蒸気を形成し、及び蒸気を蒸留システムに導入して精製された塩素ガス、液体塩素及び臭素成分、及び三塩化窒素を含む底部成分を含む蒸留液を与える工程を含む。本方法は、還流凝縮器内の蒸気を凝縮し、再沸騰器内の凝縮物を加熱し、精製された塩素ガスを蒸留システムから除去し、及び蒸留システムから蒸留物を除去する工程をも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含む塩素供給物を精製するための方法に関する。より特定的には、本方法は、特定の蒸留システムを使用して、精製された塩素ガスを形成し、及び三塩化窒素を分解することを含む。
【背景技術】
【0002】
塩素ガスは、典型的には、1つ以上の公知の電気分解法、例えば水銀セル電気分解、隔膜セル電気分解、膜セル電気分解、及び/又はDowns Processに従う、溶融塩化物の電気分解を使用して、商業的に製造されている。電気分解法は、典型的には、塩溶液(例えば、NaCl及びKCl溶液)中で、以下のように電気化学的反応を通して塩素を製造する:
カソード:2H+(aq)+2e-→H2(g)
アノード:2C-(aq)→Cl2(g)+2e-
全体工程:2NaCl(又はKCl)+2H2O→Cl2(g)+H2+2NaOH(又はKOH)
形成の後、塩素ガスは、水、及び/又は蒸気で処理され、そして次に冷却又は硫酸によって乾燥され、クロラインハイドレート(塩化水素)の形成が最小限にされる。
【0003】
塩素ガスを形成する間の種々の時点で、典型的には、三塩化窒素(NCl3)も形成される。NCl3は、工程の一つ以上の個所で存在する、塩素原子と無水アンモニア又はアンモニウム塩(例えば、アンモニウムヒドロキシド、アンモニウムクロリド、及びアンモニウムサルフェート)の副反応から形成されると考えられている。副反応は、代表的には、以下のように発生する:
NH3+3Cl2→NCl3+3H++3Cl-
NH4++3Cl2→NCl3+4H++3Cl-
NH4++Cl-+3HClO→NCl3+H++Cl-+3H2
三塩化窒素の形成は、典型的には、ブライン汚染(塩水汚染:brine contamionation)、蒸気汚染、及び/又は水汚染によって発生する。塩水(ブライン)、蒸気、又は水中に存在する尿素は、加水分解されてアンモニウムを形成し得、これは次に三塩化窒素に変換され得る。この替わりに、ブラインを形成するために使用される塩は、アンモニウムニトレートによって汚染され得、これは三塩化窒素に変換され得る。ブラインを形成するために、典型的に使用されるナトリウムヒドロキシド(水酸化ナトリウム)は、精製工程に依存して、アンモニアで汚染され得る。幾つかの場合では、塩素ガスを乾燥させるために使用される硫酸が、アンモニアで汚染され得る。更に他のケースでは、直接接触冷却水又は蒸気が、アミン、アンモニアベースの凝集剤、又はクロロアミンで処理され得、これは三塩化窒素の形成をもたらし得る。地下水であってもアンモニア化合物を含み得るもので、これは三塩化窒素に変換され得る。
【0004】
三塩化窒素が熱、光、音、及びショックに敏感であり、そして爆発を引き起こすのに十分な速度で急速に分解することが公知である。従って、三塩化窒素を塩素ガスから除去することが好ましいが、しかしながらこれは、典型的には複雑で時間がかかり、そして費用のかかる態様になる。図1には従来技術を示したが、図示のように、電気分解から生じる乾燥した塩素ガスが、典型的には洗浄カラム内で、液体塩素を使用して洗浄され、三塩化窒素の量が最小限にされ、そして塩素を冷却して安全性を高めている。更に、洗浄カラムは、塩素化された有機化合物を塩素ガスから分離し、これにより、塩素ガスの純度を高めている。洗浄カラムは、典型的には、図1に示したように、外部凝縮器及び再沸騰器と連結されており、洗浄工程の効率を高めている。洗浄カラム内では、三塩化窒素、及び種々の塩素化された有機化合物が、凝縮され、又は液体塩素内に溶解し、そして上述したように外部凝縮器及び再沸騰器を通して再循環されても良い。再沸騰器は、典型的には、コールド(0℃〜5℃)又はホット(45℃〜60℃)で運転され、そして三塩化窒素の貯蔵容器、又は分解個所として作用することができる。四塩化炭素(CCl4)は、典型的には、洗浄カラムに加えられ、そして三塩化窒素が抽出され、そして洗浄カラムからの除去と次の処分(廃棄)を可能にする。四塩化炭素の添加において、三塩化窒素が塩素から分離され、これは再沸騰器内で気化されて、そして洗浄カラムに戻される。塩素ガスが洗浄され、そして三塩化窒素及び種々の塩素化有機化合物から分離された後、塩素ガスは、典型的には、液体リング圧縮、往復圧縮、又は遠心圧縮を使用して圧縮され、内部−及び後部−冷却器を使用して冷却され、そして液体塩素内に液化される。そして液体塩素は、洗浄されて市販することができる。しかしながら、乾燥、洗浄、圧縮、冷却、及び液化の後であっても、洗浄化合物の僅かな量に加え、四塩化炭素及び三塩化窒素の僅かな量が液体塩素内に浸出し、そして(液体塩素、及び/又は塩素ガスが下流の商業的な合成工程で使用される場合には、)不純物として作用する。
【0005】
三塩化窒素に加え、塩素ガスの商業的な製造は、分子臭素(Br2)、臭素−クロリド(Br−Cl)、及び種々の有機化合物を含む種々の副生成物を生成する傾向がある。四塩化炭素及び三塩化窒素に加え、これらの副生成物は(塩素ガスが商業的工程に使用される場合には、)不純物でもある。この技術分野では公知のように、塩素ガスが合成ホスゲン(これは、合成イソシアネートに使用される)に使用される場合、四塩化炭素、三塩化窒素、及び臭素化化合物の存在は、典型的にはイソシアネートに色を着け、このことは、イソシアネートにとって商業的に望ましいものではない。従って、これらの副生成物は、(塩素ガスは、多くの副生成物よりも、揮発性が高いために)典型的には蒸留、及び他の分離技術を使用して除去される。しかしながら、このような蒸留を達成するために、全塩素流が典型的には蒸発される。蒸留法の一例を、上述した図1に概略的に示す。この蒸留工程で、及び多くの類似する工程で、外部凝縮器、及び再沸騰器が使用され、そして効果的な蒸留システムを形成するために、長いパイプを使用して連結される。しかしながら、これらのタイプのシステムの使用は、非常に高価で時期を失したもので、そして複雑である。更に、これらのシステムで使用されるパイプの長い長さは、システムに不具合が生じ得る箇所の数を増すこととなり、従って安全上の危険性と懸念が増す。更に、これらのシステムの多くは、三塩化窒素の量を十分なレベルにまで効率的に低下させることに不都合を有する。
【0006】
幾つかの蒸留システムは、高圧蒸気加熱再沸騰器を使用するが、これは、膜沸騰、ホットスポット、及び過熱された塩素ガスをもたらす傾向を有し、これらの全てが望ましくない。更に、多くの蒸留システムは、塩素及び三塩化窒素「ホールドアップ(渋滞、妨害)」、すなわち蒸留システム内の過剰量の塩素ガス及び三塩化窒素に悩まされ、これは、安全面及び環境面に懸念をもたらす。
【0007】
他の蒸留システムは、蒸留及び所望の化合物の分離効率について、入ってくる塩素の量を効果的に制御するものではない。この制御性の欠如は、蒸留システムの効率を低下させ、そして蒸留システムを所望の化合物の分離が最大限になるようにカスタマイズできなくする。更に、この制御性の欠如は、塩素と三塩化窒素のホールドアップの一因になり、従って、安全性が更に懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、安全に使用でき、及び環境への懸念が少ない、副生成物を塩素供給物から除去するための、コスト的に効率的、及びエネルギー的に効率的な方法を発展させる機会が残っている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、従来技術の塩素精製システムの概略図であり、ここで、塩素ガスは、電気分解を行い、ろ過し、乾燥させ、洗浄し、そして次に蒸留塔及び蒸留塔から離れて配置された凝縮器、及び再沸騰器を含む蒸留システム内で精製することによって形成されている。
【図2】図2は、蒸留塔から離れて配置された凝縮器、ポンプ、及び再沸騰器、及びこれらの間に配置された長いパイプを含む、従来技術の代表的な蒸留塔の概略図である。
【図3】図3は、本発明の蒸留塔の一実施の形態の側面図であり、蒸留塔は、上部及び下部端を有し、及び上部端の幅は、下部端の幅よりも大きい。
【図4】図4は、蒸留塔、蒸留塔の上部に設けられた(蒸留塔の上部端と流体的に連結されて、及び垂直軸を蒸留塔と共有している)還流凝縮器、及び蒸留塔の下部に設けられ、及び蒸留塔の下部端と流体的に連結している再沸騰器を含む蒸留システムを示した、本発明の一実施の形態の概略図であり、還流凝縮器は、蒸気を凝縮物に凝縮し、該凝縮物は、蒸留塔の上部端に流れ、再沸騰器は、凝縮物を加熱するものである。
【図5】図5は、本発明の他の実施の形態の概略図を示しており、中和塔と流体的に連結している、図4に示した蒸留システムを示している。
【図6】図6は、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部の幅は、第2の端部の幅よりも大きいものである中和塔の一実施の形態の側面図を示している。
【0010】
本発明の要約及び有利性
本発明は、塩素供給物を精製するための方法を提供する。塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含む。塩素供給物は、蒸留システム内で精製されて、精製された塩素ガス100万質量部に対して臭素成分が20質量部の精製された塩素ガスを形成し、及び液体塩素及び臭素成分を含む蒸留液を形成する。蒸留システムは、気化器に流体的に連結されており、そして(上部端、下部端、上部及び下部端を通って延びる垂直軸を有する)蒸留塔、及び蒸気と凝縮物の間の蒸気−液体相互領域を与える、蒸気(気体)−液体接触装置を有している。蒸留システムは、蒸留塔の上部に設けられ、そして蒸留塔の上部端と流体的に連結している還流凝縮器をも含む。還流凝縮器は、垂直軸を、蒸留塔と共有する。蒸留システムは、蒸留塔の下部に配置され、そして蒸留塔の下部端と流体的に連結している再沸騰器をも含む。本方法は、塩素供給物を気化器に導入する工程、気化器中の塩素供給物を加熱し、蒸気を形成する工程、及び蒸気を蒸留システムに導入し、精製された塩素ガス、液体塩素及び臭素成分、及び三塩化窒素を含む底部成分(bottoms component) を含む蒸留液を得る工程を含む。本方法は、還流凝縮器内の蒸気を凝縮し、還流凝縮器から蒸留塔の上部端に流れる凝縮物を形成する工程(蒸気−液体接触装置において、凝縮物が蒸気と相互作用し、これにより精製された塩素ガスと蒸留液を形成する)を含む。更に、本方法は、再沸騰器内の凝縮物を加熱する工程、蒸留システムから精製された塩素ガスを除去する工程、及び蒸留液を蒸留システムから除去する工程を含む。
【0011】
本発明の方法は、塩素供給物を精製するにあたり、エネルギー効率が高められ、コスト節約が進み、そして安全性が高められ、従って、環境に対する懸念が低下するものである。本方法は、塩素ガスを、種々の副生成物から効率的に分離し、この一方で、同時に、三塩化窒素、液体塩素及び臭素成分のホールドアップを低下させる。本方法は、蒸留塔の設計について、パイプ及び外部凝縮器、及び再沸騰器の使用を低減することによって、安全性を高め、そして環境に対する懸念を低下させる。以下の詳細な説明と、添付する図面によって、本発明の有利性が更に理解され、及び本発明の他の有利性も容易に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、蒸留システム(10)内で塩素(Cl2)供給物を精製し、及び精製された塩素ガス(この技術分野では「オーバーヘッド流」としても公知)を製造する方法を提供する。精製された塩素ガスは、蒸留/分別手順を経て形成される。塩素供給物は特に限定されておらず、そして形成する如何なる特定の方法にも限定されない。塩素供給物は、液体塩素(Cl2(l))又はガス状塩素(Cl2(g))、例えば商業的又は工業的な用途に使用されるタイプのものを含んでも良い。塩素供給物(この技術分野の「フィード」としても公知)は、有限供給(finite supply)又は連続供給であっても良く、及び連続、又は非連続塩素供給工程から供給されても良く、及び/又は個別の単位内、例えば商用のタンカータンク又は機関車タンクから供給されても良い。一実施の形態では、塩素供給物は、半連続(セミバッチ)工程で供給される。典型的には、塩素供給物は液体として、パイプラインを介して、1つ以上の貯蔵個所に供給され、そして次に精製され及び使用される。しかしながら、液体として提供されたとしても、幾分かの塩素ガスが存在する傾向にある。パイプラインは、典型的には鉄道車両から供給される。この替わりに、塩素供給物は、ガスとして、又は液体とガスの混合物として供給されても良い。
【0013】
塩素供給物は、塩素成分を含み、該塩素成分は、液体塩素(Cl2(l))、ガス状塩素(Cl2(g))、塩化第二鉄(鉄(III)クロリド)、及び/又は塩素化炭化水素、例えば四塩化炭素、クロロホルム、及びメチレンクロリドを含んで良く、主としてこれらで構成されて良く、又はこれらで構成されても良い。「主として構成される」は、一実施の形態では、他の成分、例えば(塩素成分の基礎的、及び新規の特性に材質的に影響を与える)有機成分の量を含むことから、塩素成分を限定するものである。微少量が、塩素成分の基礎的、及び新規な特性に材質的に影響を与えない限り、他の成分の微少量、例えば有機成分の微少量を含むことができると理解される。塩素供給物は、三塩化窒素(NCl3)をも含む。酸塩化窒素は、液体として、又はガスとして、又は液体とガスの混合物として存在しても良い。
【0014】
更に、塩素供給物は、臭素成分を含んでも良く、該臭素成分は、液体臭素(Br2(l))、ガス状臭素(Br2(g))、臭素一塩化物(Br−Cl)、及び/又は臭素化された炭化水素を含んで良く、主としてこれらから構成されて良く、又はこれらから構成されても良い。「主として構成される」は、一実施の形態では、他の成分、例えば(臭素成分の基礎的、及び新規の特性に材質的に影響を与える)有機成分の量を含むことから、臭素成分を限定するものである。微少量が、臭素成分の基礎的、及び新規な特性に材質的に影響を与えない限り、他の成分の微少量、例えば有機成分の微少量を含むことができると理解される。一実施の形態では、臭素成分は、液体臭素(Br2(l))、ガス状臭素(Br2(g))、及び臭素一塩化物(Br−Cl)を含む。
【0015】
塩素供給物は、典型的には、塩素供給物100質量部に対して、95質量部を超える、より典型的には97質量部を超える、更に典型的には99質量部を超える、更により典型的には99.5質量部を超える、及び最も典型的には、少なくとも99.9質量部の塩素成分を含む。塩素供給物は、塩素供給物100万質量部に対して、典型的には1〜500質量部、より典型的には1〜300質量部、更により典型的には50〜300質量部、及び更により典型的には50〜200質量部の臭素成分をも含む。一実施の形態では、塩素供給物は、塩素供給物100万質量部に対して、約200質量部の臭素成分を含む。塩素供給物は更に、塩素供給物100万質量部に対して、典型的には、約5質量部未満、及びより典型的には2〜5質量部の三塩化窒素を含む。塩素供給物は、水を含んでも良い。種々の実施の形態で、水は、塩素供給物100万質量部に対して、約30質量部未満、及びより典型的には、2〜25質量部の量で存在する。
【0016】
一実施の形態では、塩素供給物は塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含む。他の実施の形態では、塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、及び水を含む。更に他の実施の形態では、塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素から実質的に構成される。更に他の実施の形態では、塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、及び水から主として構成される。これらの実施の形態で、「主として構成される」は、他の成分、例えば(塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、及び/又は水の基礎的、及び新規の特性に材質的に影響を与える)有機成分を含むことから、塩素供給物を限定するものである。これらの他の成分の微小量、例えば、有機化合物の微小量を(この微小量が、塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、及び/又は水の基礎的、及び新規の特性に材質的に影響を与えない限り)含むことができると理解される。更なる実施の形態では、塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素から構成される。更に他の実施の形態では、塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、及び水から構成される。
【0017】
塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、及び/又は水に加え、塩素供給物は、上述したように四塩化炭素(CCl4)を含んでも良い。種々の実施の形態で、塩素供給物は、塩素供給物100万質量部に対して、約20質量部未満、より典型的には約15質量部未満、及び最も典型的には約10質量部未満の四塩化炭素を含む。
【0018】
塩素供給物は、塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、水、及び/又は四塩化炭素(CCl4)を含んでも良いが、これにもかかわらず、本発明の方法で形成された精製された塩素ガスは、精製された塩素ガス100万質量部に対して、典型的には20質量部未満、より典型的には15質量部未満、更により典型的には10質量部未満、及び更により典型的には5質量部未満の臭素成分を含む。精製された塩素ガスが、精製された塩素ガス100万質量部に対して、約4、3、2,1質量部の臭素成分を含んでも良いことが意図される。
【0019】
塩素供給物を精製する方法は、塩素供給物を気化器(12)に供給し及び気化器(12)内で塩素供給物を加熱して蒸気を形成する工程を含む。典型的には、塩素供給物は、0℃〜20℃、5℃〜20℃、5℃〜15℃、又は約10℃の温度で、貯蔵単位から気化器(12)にポンプ輸送される。塩素供給物はまた、典型的には、1〜20、5〜15、10〜15、又は約12〜約14バールの圧力で気化器(12)内にポンプ輸送される。塩素供給物は、典型的には、液体として気化器(12)に導入されるが、しかし液体と気体の混合物として気化器(12)に導入されても良い。
【0020】
気化器(12)は、この技術分野で公知の如何なるものであっても良く、及び典型的には熱伝導、対流、又は熱放射を使用して運転される。典型的には、気化器(12)は、塩素供給物を、その沸点を超えて加熱し、(塩素)蒸気を形成する。最も典型的には、気化器(12)は、塩素供給物を、50℃〜120℃の温度、より典型的には70℃〜110℃の温度、及び更に典型的には90℃〜100℃の温度、及び最も典型的には95℃〜100℃の温度に加熱する。一実施の形態では、気化器(12)は、塩素供給物を92℃〜98℃の温度に加熱する。塩素供給物を加熱する工程は更に、塩素供給物を気化及び過熱させ、三塩化窒素の分解を容易化するものとして定義されても良い。特定の理論と結びついているわけではないが、European Chlorine Industry(“Euro Chlor”)及びChlorine Instituteで知られているように、121℃を超える温度では、炭素は腐食が急速に増加すると信じられている。典型的には、気化器(12)は、5〜20、10〜20、又は10〜15バールで蒸気を形成する。一実施の形態では、気化器(12)は、約10〜14バールで蒸気を形成する。
【0021】
他の実施の形態では、塩素供給物の気化器(12)への流れは、圧力によって制御される。液体塩素は、12.5バールゲージ圧で気化され、そして1〜12、1〜5、又は1〜2バールで蒸気を使用して、95℃に過熱されても良い。最も好ましくは、蒸気は1.2バールに加圧され、液体塩素、及び塩素蒸気は、120℃を超えることがない。120℃を超える温度では、塩素−鉄反応性が大きく増加すると信じられている。代表例では、蒸気は自動的に絞られ、85℃〜105℃の塩素過熱温度に達せられる。一実施の形態では、約10〜14バールの運転圧力が、蒸留塔(14)の適切な性能を確保するために必要とされる。
【0022】
本方法は、気化器(12)に流体的に連結された蒸留システム(10)に、蒸気を導入することを含む。蒸気は、典型的には、5〜20、10〜20、又は10〜15バールの圧力で蒸留システム(10)に導入される。一実施の形態では、蒸気は約10〜14バールの圧力で、蒸留システム(10)に導入される。典型的には、蒸気は、蒸気投入手段(図示せず)を通して蒸留塔(14)に導入される。蒸気投入手段は、バルブ、レギュレーター、ノズル、注ぎ口、フォーセット、又はこれらに類似する如何なるタイプのものであっても良い。蒸気投入手段は、典型的には、蒸留塔(14)と気化器(12)を、蒸気ライン、パイプ又はチューブを通して、流体的に連結している。蒸気投入手段は、後に詳細に説明する流れ制御装置を使用して制御することができる。
【0023】
典型的には、蒸気を蒸留システム(10)内に導入する工程は、液体塩素及び精製された塩素ガスを蒸留システム(10)内に生成する。蒸気を蒸留システム(10)内に導入する工程は、典型的には、約5ppmw以下の臭素成分を含む過熱された蒸気、及び15質量%以下の臭素成分を含む塩素成分の底部生成物をも生成する。蒸留システム(10)は、蒸留及び/又は分別の目的のために適切な、この技術分野では公知の如何なるものであっても良い。典型的には、蒸留システム(10)は、上述した、分別塔としてもこの技術分野では公知の、蒸留塔(14)を含む。蒸留システム(10)は、後に詳述するように、還流凝縮器(24)、及び再沸騰器(26)をも含む。蒸留システム(10)は、流れ制御装置をも含んでも良い。蒸留塔(14)は、蒸留塔(14)に任意の成分を加える、又は蒸留塔(14)から任意の成分を除去するために、1つ以上のバルブ、制御装置、レギュレーター、ノズル、注ぎ口、フォーセット、又はこれらに類似するもの(蒸気投入手段とは異なる)を、この技術分野の当業者が所望するように有していても良い。
【0024】
蒸留塔(14)は、如何なるサイズ及び形状のものであっても良く、及びこの技術分野では公知のように、McCabe−Thiele法、Fenske方程式、又は種々のシミュレーション法を使用して設計しても良い。代表例では、蒸留塔(14)は、図3に示した形状を有しているが、本発明はこの形状には限られない。蒸留塔(14)は、典型的には、上部端(16)及び下部端(18)を有するカラムである。上部端(16)及び下部端(18)は、典型的には、種々の幅、例えば直径(それぞれD1、D2)を有している。換言すれば、蒸留塔(14)は、典型的には、図3〜5に示すように、塔に沿った、異なる個所で種々の幅を有している。
【0025】
種々の実施の形態で、上部端(16)の幅の、下部端(18)の幅に対する割合は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1である。これらの割合は、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±10%、±5%変化しても良いと考えられる。1つ以上の上述した値の間の任意の範囲も使用して良いと考えられる。蒸留塔(14)は、典型的には、高さが4〜30メートル(13〜98フィート)である。種々の実施の形態で、蒸留塔(14)は、高さが9〜21メートル(30〜70フィート)、より典型的には、9〜18メートル(30〜60フィート)、及び最も典型的には12〜15メートル(40〜50フィート)である。一実施の形態では、上部端(16)は、0.5メートルよりも大きい直径を有し、下部端(18)は0.5メートル未満の直径を有している。種々の実施の形態で、蒸留塔(14)は、幅及び/又は高さが、上述した値の±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±10%、±5%を有し、又はこれらの間の任意の範囲である。典型的には、蒸留塔(14)の直径と高さは、成分の揮発性の差異、分離される臭素と塩素の量/速度、使用される塩素供給物の純度、運転温度、エネルギー需要、所望の分離レベル、及びこれらに類似するものを含む種々のファクター(ファクターは、これらに限られない)に依存して変化する。また、蒸留塔(14)の高さは、代表例では、(この技術分野の当業者に選ばれるように、)必要とされる理論段の数、及び必要とされる蒸留の質に依存して変化する。従って、これらのファクターの一つ以上が、この技術分野の当業者によって決定されるように、本発明で扱われても良い。典型的には、これらのファクターの一つ以上が、蒸留塔(14)の寸法をカスタマイズするために使用される、McCabe−Thiele法、及び/又はFenske方程式から誘導されるシミュレーションに基づいて扱われる。
【0026】
蒸留塔(14)は、上部端(16)及び下部端(18)を有し、そして両者は図3に示したように、典型的にはシリンダー状である。上部及び下部端(16、18)は、直円シリンダー、楕円状シリンダー、放物シリンダー、又は双曲シリンダーであっても良い。上部及び下部端(16、18)は、同じ形状又は異なる形状を有していても良く、及びシリンダー状(円筒状)である必要はない。換言すれば、上部及び下部端(16、18)は任意の形状であって良い。典型的には、上部端(16)は、図3に示すように、直円シリンダー状で、下部端(18)よりも大きな直径を有し、下部端(18)も典型的には、直円シリンダー状である。
【0027】
上部端(16)は、下部端(18)の(重力及び地面に対して)上方に設けられている。蒸留塔(14)は、典型的には、図3に示すように、上部及び下部端(16、18)を通って延びる垂直軸(V1)を有している。典型的には、上部及び下部端(16、18)は、垂直軸(V1)に沿って延びている。一実施の形態では、蒸留塔(14)は、垂直軸から半径方向に延びる2組の肩部を有している。第1組の肩部(34)は、典型的には、上部端(16)の近傍に位置しており、そして垂直軸と鋭角を形成している。第2組の肩部(36)は、典型的には下部端に配置され、そして垂直軸(V1)と鈍角を形成している。蒸留塔(14)は、図3に示すように、典型的には、上部端及び下部端(18)の間を延びる水平軸(H1)を有している。追加的に、蒸留塔(14)の上部端(16)は、典型的には、精製された塩素ガスを除去するための、第1のオリフィス(図示せず)を定義しており、この一方で、蒸留塔(14)の下部端(18)は、この方法で製造された他の成分を除去するための、第2のオリフィス(図示せず)を定義しているが、このことについては後に詳述する。
【0028】
蒸留塔(14)は、典型的には、少なくとも1つの蒸気−液体接触装置をも含む。一実施の形態では、少なくとも1個の蒸気−液体接触装置が、実質的に垂直軸(V1)を横断して、及び水平軸(H1)と平行に配置されている。少なくとも1つの蒸気−液体接触装置は、蒸留塔(14)を上昇する蒸気と、還流凝縮器(24)から蒸留塔(14)を流れ降下する凝縮物の間に、蒸気−液体相互領域(vapor-liquid interface)を与える。凝縮物は、精製された塩素、及び蒸留液の部分を含んでいても良く、このことは後に詳述する。凝縮物及び還流凝縮器(24)を以下に詳細に説明する。蒸気−液体相互領域では、蒸気−液体平衡が存在し、凝縮物が不純物を吸収することによって蒸気を精製する。特定の理論と結合することを意図するわけではないが、蒸留塔(14)中の蒸気−液体相互領域は、液体塩素で塩素蒸気を「洗う」ことを可能にすると信じられている。より特定的には、液体塩素は再沸騰器(26)から上昇する蒸気と相互に作用する。蒸気と凝縮物の相互作用は、調整(rectification)と分離の両方を通して、精製された塩素ガスを形成すると信じられている。換言すれば、凝縮物は、必要な冷却を与え、再沸騰器(26)を上昇する蒸気を凝縮(液化)させ、これにより、蒸留塔(14)の効率を増している。凝縮物と蒸気の相互作用の増加は、蒸留塔(14)の効率を増し、及び精製された塩素ガスの形成を増す。精製された塩素ガスの形成に加え、凝縮物は典型的には、蒸気−液体接触装置において蒸気と相互に作用し、蒸留液(この技術分野では「フィードアウト」としても公知)を形成する。精製された塩素ガスと蒸留液の両方を、蒸留塔(14)から除去することができる。
【0029】
蒸気−液体接触装置は、この技術分野では公知の如何なるものであっても良く、及び典型的には、この技術分野では公知のように、複数のトレイ(20)及び/又はパッキング材料(22)を含む。一実施の形態では、蒸留塔(14)は、上部端(16)内に第1の蒸気−液体接触装置を含み、及び下部端(18)内に第2の蒸気−液体接触装置を含む。この実施の形態では、第1の蒸気−液体接触装置は、図3に示したように、典型的には、更にパッキング材料(22)のボディとして定義され、この一方で、第2の蒸気−液体接触装置は、典型的には複数のトレイ(20)として定義される。
【0030】
典型的には、蒸気はトレイ(20)及び/又はパッキング材料の上に凝縮し、そして蒸留塔(14)を下降して流れる。最も高い温度を有するトレイ(20)は、典型的には、蒸留塔(14)内で、地面に対して最も低い個所に配置される。最も低い温度を有するトレイ(20)は、典型には、地面に対して最も上部に配置される。この技術分野では公知のように、定常状態の条件で、各トレイ(20)上の蒸気及び液体は熱平衡にある。
【0031】
複数のトレイ(20)は、この技術分野の当業者によって決定されるように、任意の数のトレイ(20)を含んでも良い。しかしながら、複数のトレイ(20)は、典型的には3〜30個、5〜25個、5〜20個、5〜15個、又は5〜10個のトレイ(20)を含む。上述した範囲内の任意の数のトレイ(20)を使用しても良いと考えられる。更に、この技術分野の当業者によって選ばれるように、任意のタイプのトレイ(20)が本発明に使用されても良い。一実施の形態では、複数のトレイ(20)が、垂直軸(V1)を実質的に横断して、及び水平軸(H1)と実質的に平行に配置される。他の実施の形態では、複数のトレイ(20)が、水平トレイ(20)として定義される。
【0032】
典型的には、複数のトレイ(20)のそれぞれは、直径が、0.25〜0.76メートル(10〜30インチ)、0.25〜0.50メートル(10〜20インチ)、又は0.38〜0.64メートル(15〜25インチ)である。しかしながら、複数のトレイ(20)のそれぞれは、寸法と形状によって限定されない。更に、複数のトレイ(20)のそれぞれは、典型的には、0.25〜0.76メートル(10〜30インチ)、0.25〜0.50メートル(10〜20インチ)、又は0.38〜0.64メートル(15〜25インチ)の距離で、相互に間隔をあけられる。ここでも、この距離は限定されるものではなく、及びこの技術分野の当業者によって変化されて良いものである。上述した直径及び間隔は、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±10%、±5%変化しても良く、又はこれら間の任意の範囲で変化しても良いと考えられる。
【0033】
蒸留塔の全域で低い圧力降下を使用する場合には、例えば真空が使用される場合には、典型的にはパッキング材料(22)が使用される。一実施の形態では、パッキング材料(22)が使用され、トレイ(20)が除外される。他の実施の形態では、パッキング材料(22)とトレイ(20)の両方が使用される。典型的には、パッキング材料(22)は、ランダムダンプドパッキング材料(22)(例えば0.3〜0.9メートル(1〜3フィート)の幅)、例えばラッシングリング、又は構造シートメタルである。蒸留塔(14)で形成された液体、例えば凝縮物、及び蒸留液は、典型的にはパッキング材料(22)を濡らし、一方、蒸気がパッキング材料(22)を通り、従って物質移動、及び蒸気の精製を行うことを可能とする。この技術分野では公知のように、複数のトレイ(20)が使用される場合には、各トレイ(20)が蒸気液体平衡の別個の時点を表すこととは対照的に、パッキング材料(22)の使用が連続的な場合には、蒸気液体平衡曲線が形成される。
【0034】
最適の液体蒸気相互領域のために、単位体積当たりの表面積を最大にするために、構造パッキング材料(22)を蒸留塔(14)の上部部分に使用することができる。この技術分野では公知のように、理想的なパッキング材料(22)の寸法の選択には、最大効率と最大容量の釣り合いが含まれる。本発明の一実施の形態では、Flexipac 1YHC構造パッキング材料(22)が使用される。この替わりに、種々のランダム、及び/又はダンプパッキング材料(22)が使用されても良い。本発明では、パッキング材料(22)は、特に限定されず、そしてこの技術分野では公知の如何なるものも含まれて良い。一実施の形態では、パッキング材料(22)は、ステンレススチール、セラミック、ニッケル、クロム、マンガン、鉄、及び/又は塩素安定ポリマー、例えばペルフルオロ化ポリマー(例えばPTFE)を含む。他の実施の形態では、パッキング材料(22)は、Hastelloyの名称で市販されている。
【0035】
典型的には、パッキング材料(22)は、表面積の体積に対する割合が少なくとも50:1であり、これよりも高いことが好ましい。種々の実施の形態で、パッキング材料(22)は、表面積の体積に対する割合が、約75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、又は500:1である。上記割合内で、表面積の体積に対する任意の割合を使用して良いと考えられる。パッキング材料(22)は、蒸留塔(14)内に、任意の量で配置することができる。典型的には、蒸留塔(14)内に配置されたパッキング材料(22)の量は、McCabe−Thiele法、及び/又はFenske方程式から誘導されるシミュレーションに基づいて最適化される。種々の実施の形態で、パッキング材料(22)は、蒸留塔(14)内に、1.5〜7.6メートル(5〜25フィート)、3〜7.6メートル(10〜25フィート)、3〜6メートル(10〜20フィート)、又は3.6〜4.9メートル(12〜16フィート)の高さで配置される。この高さは、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±10%、±5%変化しても良く、又は上記値の間の任意の範囲で変化しても良いと考えられる。
【0036】
本発明のパッキング材料(22)は、典型的には、蒸留塔内の凝縮物上の蒸気の障害(drag)を低減し、凝縮物がカラムを、(過剰に蓄積されることなく)下降して低部のトレイ(20)に引き続いて移動することを可能にする。パッキング材料(22)は、典型的には、蒸気−液体相互領域で、如何なる液体ホールドアップ(液体渋滞)をも低減し、そして蒸気流のための開放された領域が増加される。凝縮物及び蒸気は、典型的には、蒸留塔(14)内を垂直に、逆流する方向に流れ、パッキング材料(22)の底部端でのせん断効果(shear effect)を低減している。このことは、十分に高いフラッディング容量、及び低減された圧力降下を、パッキング材料(22)の積載領域にもたらすと考えられている。更に、蒸気−液体相互領域での垂直領域は、蒸気流の旋回半径(turning radius)を大きくし、そして複数のトレイ(20)間のロテーション間における圧力損失を低減する。複数のトレイ(20)の間の、円滑な移動は、蒸留塔(14)の蒸気処理容量を高める。一実施の形態では、パッキング材料(22)の使用によって容量を失うことなく、低いHETP及び高いNTSMと共に、波寸法(crimp size)を低下させて、カラムの効率を増すことができる。
【0037】
ここで還流凝縮器(24)について、この凝縮器は、蒸留塔(14)の上に配置され、そして典型的には、蒸留塔(14)にフランジ付けされている。還流凝縮器(24)は、典型的には、蒸留塔(14)の垂直軸(V1)を供給する。還流凝縮器(24)は、蒸留塔(14)と直接的に接触して設けられても良く、又は蒸留塔(14)から離れて設けられても良い。一実施の形態では、還流凝縮器(24)は、中央体(central body)の第1組の肩部(34)に設けられ、及び直接的に接触する。還流凝縮器(24)は、典型的には、高さが0.3〜3メートル(1〜10フィート)、0.9〜3メートル(3〜10フィート)、又は1.8〜3メートル(6〜10フィート)である。還流凝縮器(24)は、典型的には、直径が、蒸留塔(14)の上部端の直径と等しいか、又は僅かに大きい。種々の実施の形態では、還流凝縮器(24)は直径が、0.2〜2.5メートル(10〜100インチ)、0.5〜2メートル(20〜80インチ)、又は0.6〜1メートル(25〜40インチ)である。一実地の形態では、還流凝縮器(24)は、直径が約0.6〜0.9メートル(25〜35インチ)である。上述した高さと直径は、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±10%、±5%変化しても良く、又は上記値の間の任意の範囲で変化しても良いと考えられる。
【0038】
上述した還流凝縮器(24)は、典型的には、蒸留塔(14)の上部端(16)と流体的に連結しており、上述したように蒸気を凝縮し、及び凝縮物を形成する。典型的には、凝縮物は蒸留塔(14)の上部端(16)に流れる(例えば分配される)。還流凝縮器(24)は、典型的には、蒸留塔(14)と直接的に接触して配置され、凝縮物が蒸留塔(14)の上部端(16)に直接的に流れ戻る。これにより、使用するチューブやパイプを最小限にすることができ、これにより安全性、効率、及び経済性が増す。
【0039】
還流凝縮器(24)は、典型的には更に、密結合(close-coupled)として定義され、そして更に、一体化されたオーバーヘッド還流凝縮器(24)として定義されるか、又はオーバーヘッド内部ノックバック凝縮器として定義される。ノックバック凝縮器は、この技術分野で公知の如何なるものであっても良く、及び上向き流又は下向き流ノックバック凝縮器であっても良い。この技術分野では公知のように、ノックバック凝縮器は、典型的には、蒸気発生器を使用して蒸気の流れを熱交換器の上部空間に導入し、これにより凝縮物の流れを維持する。本発明では、凝縮物の流れは、典型的には、上述したように、蒸留塔(14)の上部端(16)に直接的に流通して戻され、この一方で、一部が蒸留液として除去されるが、このことについては後に詳述する。一実施の形態では、還流凝縮器(24)は、(この技術分野では公知のものであって良い)液体冷却剤を使用して冷却される。この技術分野では公知のように、凝縮物として還流されない蒸気の部分は、精製された塩素ガスとして除去されることができる。精製された塩素ガスは、蒸留システム(10)から、塔の運転圧力下に、塩素の沸点と等しい温度、又はこれを超える任意の温度で除去されても良い。
【0040】
上述した再沸騰器(26)について、再沸騰器(26)は、典型的には、蒸留塔(14)の下側に配置され、そして蒸留塔(14)の下部端(18)と流体的に結合している。再沸器(26)は、凝縮物を加熱し、及び三塩化窒素を分解するために使用することができるが、このような工程は、本発明には必要とされない。一実施の形態では、再沸騰器(26)の温度は、三塩化窒素の分解温度未満である。この技術分野では公知のように、再沸騰器(26)は、熱交換器であり、そして典型的には、蒸留塔(14)の底部に熱を与えるために使用される。一実施の形態では、再沸騰器(26)は、蒸留塔(14)に熱を与え、そして蒸留塔(14)の上部端(16)が、90℃〜110℃に維持され、この一方で、下部端(18)が、70℃〜90℃の温度に維持される。他の実施の形態では、上部端(16)及び下部端(18)は、約1℃、3℃、5℃、10℃、15℃、20℃、又は25℃異なる温度に維持される。換言すれば、再沸騰器(26)は、エネルギーを使用して、蒸気を蒸留塔(14)に押し上げる。従って、蒸留塔(14)内の蒸気の合計量は、気化器から入る蒸気、及び再沸騰器(26)から形成される蒸気の関数である。一実施の形態では、(高沸点成分の含有量が多いために、及び飽和温度で運転される過熱蒸気を使用するために)蒸留塔の底部は、頂部よりも僅かに高い温度で運転される。種々の実施の形態では、本発明の再沸騰器(26)は、還流凝縮器(24)及び蒸気供給と(例えば電子的に)結合され、蒸留塔(14)に入る蒸気の量が制御される。典型的には、再沸騰器(26)は、加熱された流体を含む熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ、又はプレートアンドフレーム)のタイプである。加熱された液体は、蒸留塔(14)内の凝縮物等の液体上を、又は液体と並んで通され、そしてエネルギー又は熱を、(液体/流体接触することなく、)液体と交換する。
【0041】
本発明の再沸騰器(26)は、典型的には、凝縮物を気化又は沸騰させ、そして同時に三塩化窒素を分解して良く、この一方で、蒸留塔(14)内で、蒸気を形成し、及び加熱して良い。しかしながら、蒸留塔(14)内で、蒸気は、この技術分野では公知の如何なる手段によってでも加熱することができる。蒸気は、再沸騰器(26)以外に、蒸留塔(14)と接触して設けられた加熱手段を使用することを含む他の手段を介して加熱されても良い。一実施の形態では、蒸留システム(10)内の蒸気は、蒸留システム(10)に入る、追加的な塩素蒸気によって加熱される。
【0042】
一実施の形態では、再沸騰器(26)の熱は、三塩化窒素を安全に、そして常に、蒸留システム(10)内に存在する三塩化窒素の合計量を低減させる態様で分解する。特定の理論と結びついているわけではないが、三塩化窒素は、以下の式に準拠して分解され、不活性な窒素が形成され、そして塩素ガスが形成されて蒸留塔(14)に再度入り、そして精製された塩素ガスに導入されると信じられている:
NCl3→・NCl2+Cl・ (イニシエーション)
Cl2→2Cl・ (イニシエーション)
Cl・+NCl3→・NCl2+Cl2 (プロパゲーション)
・NCl2+NCl3→N2+2Cl2+・Cl(プロパゲーション)
【0043】
再沸騰器(26)は、この技術分野では公知の任意のタイプのものであって良く、及び熱伝導、対流、又は熱放射を介して運転されても良い。一実施の形態では、再沸騰器(26)は、蒸気運転である。他の実施の形態では、再沸騰器(26)は、熱いオイル、又は合成有機熱伝導流体、例えばDow Chemical Companyから市販されているDowtherm(登録商標)を使用する。更に他の実施の形態では、低圧蒸気(例えば1.2〜10バールの圧力での蒸気)が使用され、これは、凝縮物が120℃を超える温度に達する可能性を最小限にする。典型的には、低圧蒸気は、より高圧の蒸気によって再生され、そして再分配される。この替わりに、1.2バールを越える圧力での蒸気をクロスエクスチェンジャー内で使用することができる。典型的には、再沸騰器(26)は更に、シェルアンドチューブ熱交換器として定義される。しかしながら、本発明はこのような再沸騰器(26)に限られるものではない。再沸騰器(26)は更に、ケットル再沸騰器(26)、熱サイフォン再沸騰器(26)、ファイアード再沸騰器(26)、又は強制循環再沸騰器(26)として定義されても良い。一実施の形態では、再沸騰器(26)は、(蒸留塔(14)内の成分の所望のバランスを達成するために、制御された、又は絞られた)1〜3バールで、蒸気を使用して加熱される。
【0044】
種々の実施の形態では、種々の沸騰液体の特定の量が再沸騰器(26)内で維持される。これらの液体は、更なる精製を必要とすることができ、又は廃棄物として処理することができる。典型的には、液体のレベルは、再沸騰器(26)内で、(再沸騰器(26)の、追加的な蒸留システムへ、又は不純物破棄装置への流出を操作する)レベルコントロールバルブを介して維持される。
【0045】
替わりの実施の形態では、(上述のように)蒸気を蒸留システム(10)に導入する速度を制御するために、還流凝縮器(24)、再沸騰器(26)、及び蒸気投入手段が、流れ制御装置(図示せず)と連結される。流れ制御装置は、この技術分野で公知の如何なるものであっても良い。一実施の形態では、流れ制御装置は、自動化され、そして蒸気の供給速度を需要に応じて変化させることができる流れ制御バルブである。流れ制御装置はコンピューターに接続されていても良い。他の実施の形態では、流れ制御装置は、オリイスを定義する金属の平坦な部分であるオリフィスプレートである。オリフィスのサイズは、オリフィスプレートにおける圧力差に依存して供給速度を決定する。更に他の実施の形態では、流れ制御装置は手動のブロックバルブである。流れ制御装置が使用される場合、本方法は典型的には更に、蒸気を蒸留システム(10)に導入する速度を(還流凝縮器(24)から、蒸留塔(14)の上部端(16)へ配送される凝縮物の量の関数として、及び再沸騰器(26)から形成された蒸気の量の関数として)制御する工程を含む。
【0046】
蒸留システム(10)はまた、蒸留塔(14)に流体的に連結された中和塔(28)を含んでも良い。蒸留塔(14)内で形成された蒸留液(留出物)は、中和塔(28)に導入されても良く、又は他の目的、例えば「塩素バーナー」中で水素を使用することによる塩化水素の形成、高くなった臭素のレベルが最終生成物の品質に大きな影響を与えない工程のためのホスゲンの形成、又は臭素が最終生成物の品質又は全体の収率に大きな影響を与えない他の工程の直接塩素化のために、中和塔(28)を使用することなく使用されても良い。
【0047】
中和塔(28)は、この技術分野では公知の、如何なる寸法及び形状のものであっても良い。典型的には、中和塔(28)は、図5及び6に示した形状を有しているが、しかしながら、これらの形状に限られるものではない。中和塔(28)は、典型的には、第1の端部(30)及び第2の端部(32)を有するカラムである。第1の端部(30)及び第2の端部(32)は典型的には、図5及び6に示したように種々の幅、例えば直径(D3、D4)を有している。換言すれば、中和塔(28)は、異なる個所で種々の幅を有している。典型的には、種々の幅又は直径(D3、D4)は、6インチ〜5フィーとである。中和塔(28)は、典型的には、高さが1メートル〜100メートルである。一実施の形態では、第1の端部(30)はシリンダー状であり、及び約10インチの直径を有している。他の実施の形態では、第2の端部もシリンダー状であり、そして直径が約3フィートである。種々の実施の形態で、中和塔(28)は、上述した値の、±60%、±50%、±40%、±30%、±25%、±20%、±10%、±5%の幅及び/又は高さであり、又はこれらの間の任意の範囲である。
【0048】
中和塔(28)の第1の端部(30)は、重力、及び地面に対して、第の端部(32)の上部に配置される。図5及び6に示したように、中和塔(28)は、典型的には、第1及び第2の端部(30、32)を通って延びる垂直軸(V2)を有している。典型的には、第1及び第2の端部(30、32)は、垂直軸(V2)に沿って延びる。一実施の形態では、中和塔(28)は、垂直軸(V2)から半径方向に延び、及び垂直軸(V2)と鈍角を形成する第3組の肩部(38)を有している。中和塔(28)は、第1及び第2の端部(30、32)と離れていても良く、離れていなくても良い水平軸(H2)を有していても良い。
【0049】
中和塔(28)は、蒸留塔(14)と同様であっても良く、又は異なっていても良い。中和塔(28)は、蒸留塔(14)について上述した寸法と同じ寸法を有していても良く、又は異なる寸法を有していても良い。
【0050】
典型的には、中和塔(28)は液体塩素及び臭素成分、例えば分子臭素、及び臭素一塩化物を中和するために使用される。一実施の形態では、中和塔(28)は、還元剤及び還元触媒を含む。典型的には、還元剤は、金属ヒドロキシド、金属サルフェート、及びこれらの組合せから選ばれる。一実施の形態では、還元剤は、アルカリ金属ヒドロキシド、アルカリ土類金属ヒドロキシド、及びこれらの組合せから選ばれる。他の実施の形態では、還元剤は、アルカリ金属スルフィット、アルカリ土類金属スルフィット、及びこれらの組合せから選ばれる。更に他の実施の形態では、還元剤は、ナトリウムヒドロキシド(NaOH)、ナトリウムビスルフィット(NaHSO3)、及びこれらの組合せから選ばれる。還元触媒は、この技術分野で公知の如何なるものであっても良く、及び典型的には更に、金属還元触媒として定義される。典型的な金属還元触媒は、パラジウム、白金、ニッケル、及びこれらの組合せを含むが、これらに限られるものではない。説明的な目的のみのために、液体塩素、分子臭素、及び臭素一塩化物の典型的な還元反応(及び他の副反応)を以下に示す:
(1) Br2+Cl2←→2BrCl
(2) Br2(l)+2NaOH(aq)→NaBr(aq)+NaOBr(aq)+H2(l)
(3) 3BrO-(aq)→2Br-(aq)+BrO3-(aq)
(4) Cl2(aq)+2Br-(aq)→2Cl-(aq)+Br2(aq)
(5) Cl2(l)+2NaOH(aq)→NaCl(aq)+NaOCl(aq)+H2(l)
(6) 3ClO-(aq)→2Cl-(aq)+CiO3-(aq)
(7) Br2(aq)+2Cl-(aq)→2Br-(aq)+Cl2(aq)
(8) NaOBr(aq)+NaHSO3+NaOH→Na2SO4+NaBr+H2
(9) NaOCl(aq)+NaOH→Na2SO4+NaCl+H2
【0051】
一実施の形態では、液体塩素及び臭素成分は、上述したような腐食剤での処理によってヒポクロリットに変換される。ヒポクロリットは、分解してアルカリハロゲン化物及び酸素を形成することができる。特定の理論と結びつくもことを意図しないが、主たる化学反応は、以下の式によって表しても良いと信じられている:
【0052】
【化1】

【0053】
一実施の形態では、塩素ガスがナトリウムヒドロキシドと反応してナトリウムクロリド及びナトリウムヒポクロリットを形成し、これらは、例えば後述するHydecat法を使用して更に処理することができる。典型的には、ナトリウムヒポクロリット及びナトリウムクロリドを処理するために使用される触媒は、金属酸化物、又はコバルト、銅、鉄マグネシウム、モリブデン、及び/又はニッケルのヒドロキシドを含む。これらの触媒は、担持されていても良く、担持されていなくても良い。ナトリウムピホクロリットをナトリウムクロリドに変換するために使用される触媒は、本発明では特に限定されない。特定の理論と結びつくことを意図するわけではないが、時間、温度、pH及び触媒及びヒポクロリットの濃度は、上述した反応に影響を与えると信じられている。典型的には、7のpH未満で、ヒポクロリットは分解して遊離した(フリーな)塩素を放出する。
【0054】
一実施の形態では、本発明はU.S.特許No.4764286(この文献は、これによって、ここに明確に導入される)に記載された触媒を使用する。他の実施の形態では、本発明は、U.S.特許No.4763341(この文献も、これによって、ここに明確に導入される)に記載された触媒を使用する。更に、本発明は、WO9218235(この文献も、これによって、ここに明確に導入される)に記載されたHydecat(登録商標)法を使用する。
【0055】
蒸留システム(10)は、この技術分野では公知のような追加的な成分を含んでも良い。例えば、蒸留システム(10)は、追加的な凝縮器、追加的な蒸留塔(14)、追加的な再沸騰器(26)、及びPerry’s Chemical Engineer’s Handbook,McGraw−Hill Professional;8th edition(October 23,2007)に記載された適切なバルブ、パイプ、及び任意の他の適切な成分を含んでも良く、この文献は、これによって、蒸留及び蒸留システム(10)及び成分に関してここに導入される。
【0056】
方法について、本方法は蒸気を蒸留システム(10)に導入して精製された塩素ガス、液体塩素及び臭素成分、及び三塩化窒素を含む底部成分を含む蒸留液を提供する工程をも含む。本方法は、還流凝縮器(24)内の蒸気を凝縮して凝縮物を形成する工程をも含み、ここで、凝縮物は、還流凝縮器(24)から蒸留塔(14)の上部端内に流れ、そして凝縮物が、蒸気−液体接触装置で蒸気と相互作用して、これにより精製された塩素ガス及び蒸留液を形成するものである。本方法は、再沸騰器(26)内で凝縮物を加熱する工程をも含む。この工程は、底部成分内の三塩化窒素を分解しても良い。更に、本方法は、精製された塩素を蒸留システム(10)から除去し、及び蒸留液を蒸留システム(10)から除去する工程を含む。上述したように、蒸留液は、蒸留システム(10)から除去され、そして中和塔(28)内に導入されても良く、又は他の目的のために使用されても良い。一実施の形態では、気化器(12)は、蒸留システム(10)に熱を加え、これにより蒸留塔(14)及び/又は再沸騰器(26)の寸法を低減することができる。この実施の形態では、再沸騰器(26)は使用する(そうでなければ必要とされる)エネルギーが少なくなる。この理由は、気化器(12)が、塩素を適当な温度に加熱し、この一方で、再沸騰器(26)は、この温度を維持するからである。この実施の形態では、過熱された塩素ガスは、気化器(12)から蒸留塔(14)に入る。特定の理論と結び付くことを意図していないが、この実施の形態、及び本発明は、エネルギー消費を低減し、そして安全性を増すと信じられている。
【0057】
上述したように、蒸留液は典型的には、液体塩素及び臭素成分、及び三塩化窒素を含む底部成分を含む。一実施の形態では、蒸留液は、Br2及びBrClを含む。蒸留液は、典型的には、再沸騰器(26)内で加熱され、これは三塩化窒素を分解しても良い。蒸留液が蒸留塔(14)から除去された時、典型的には、臭素成分も同様に除去される。臭素成分は、蒸留システム(10)から(この技術分野の当業者によって選択されるような)任意の温度で除去されて良い。一実施の形態では、上述したように、蒸留システム(10)は中和塔(28)と流体的に結合しており、これにより臭素成分が低減され、及び廃棄される。他の実施の形態では、蒸留システム(10)は、貯蔵タンクと流体的に結合しており、これにより、臭素成分は種々の下流の用途に使用されても良い。
【0058】
本発明は、気化器(12)から蒸留システム(10)への蒸気の流れを制御する方法をも提供する。この方法では、還流凝縮器(24)、再沸騰器(26)、及び蒸気投入手段が、典型的には、流れ制御装置と電子的に連結される。本方法は、蒸気を蒸留塔(14)に導入し、還流凝縮器(24)内で蒸気を凝縮して凝縮物を形成し、再沸騰器(26)内で凝縮物を加熱し、及び還流凝縮器(24)から蒸留塔(14)の上部端(16)に流れる凝縮物の量の関数として、及び再沸騰器(26)から形成された蒸気の量の関数として、蒸気を蒸留塔(14)内に導入する速度を制御し、蒸留塔(14)内の凝縮物の蓄積(buildup)を最小限にする工程を含む。
【0059】
一実施の形態では、蒸留システム(10)は、ホスゲン反応器反応器と流体的に結合しており、これにより精製された塩素ガスが一酸化炭素と反応して、ホスゲンガスを形成することができる(Cl2+CO→COCl2)。
【0060】
本発明は、アミン及び(上述したように製造されても良い)ホスゲンの反応生成物を含むイソシアネートを形成する方法をも提供する。イソシアネートは、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、イソシアネート及びポリイソシアネートのビウレット、イソシアネート及びポリイソシアネートのイソシアヌレート、及びこれらの組合せを含んでも良い。一実施の形態では、イソシアネートは、n−官能性イソシアネートである。この実施の形態では、nは、好ましくは2〜5の数、より好ましくは2〜4の数、及び最も好ましくは2〜3の数である。nは整数であっても良く、又は2〜5の中間値を有していても良い。この替わりに、イソシアネートは芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及びこれらの組合せの群から選ばれても良い。他の実施の形態では、イソシアネートは、脂肪族イソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート又はH12MDIである。イソシアネート成分は更に、変性された多価の脂肪族イソシアネートとして定義されても良く、すなわち脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂肪族ポリイソアネートの化学的反応を介して得られる生成物として定義されても良い。例は、ウレア、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、ウレタン基、二量体、三量体、及びこれらの組合せを含むが、これらに限られるものではない。一実施の形態では、イソシアネートは更に、芳香族イソシアネートとして定義される。典型的には、芳香族イソシアネートは、式R’(NCO)z(但し、R’が、芳香族化合物であり、及びzがR’の価数に対応する整数である)に対応する。好ましくは、zは少なくとも2である。芳香族イソシアネートの適切な例は、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,4−ジソシアナートベンゼン、1,3−ジイソシアナート−o−キシレン、1,3−ジイソシアナート−p−キシレン、1,3−ジイソシアナート−m−キシレン、2,4−ジイソシアナート−1−クロロベンゼン、2,4−ジイソシアナート−1−ニトロ−ベンゼン、2,5−ジイソシアナート−1−ニトロベンゼン、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1−メトキシ−2,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリイソシアネート、例えば4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及び2,4,6−トルエントリイソシアネート、テトライソシアネート、例えば4,4’−ジメチル−2,2’−5,5’−ジフェニルメタンテトライソシアネート、トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、これらの対応する異性体混合物、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。この替わりに、芳香族イソシアネートは、m−TMXDI及び1,1,1−トリメチロールプロパンのトリイソシアネート生成物、トルエンジイソシアネート及び1,1,1−トリメチロールプロパンの反応混合物、及びこれらの組合せを含んでも良い。一実施の形態では、イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、H12MDIs、及びこれらの混合物の群から選ばれる。
【0061】
ホスゲンと反応してイソシアネートを形成するアミンは、この技術分野では公知の如何なるものであっても良い。一実施の形態では、アミンはホスゲンと反応して中間イソシアネートを形成し、これは次に更に反応して、上述した1種以上のイソシアネートを形成する。典型的には、アミンは塩基、例えばピリジンの存在下に、以下の式に従いホスゲンと反応する:
RNH2+COCl2→RN=C=O+2HCl
【0062】
イソシアネートを形成する方法は、典型的には、塩素供給物を気化器(12)に供給し、気化器(12)内で塩素供給物を加熱して蒸気を形成し、及び蒸気を気化器(12)と流体的に連結された蒸留塔(14)に導入する工程を含む。塩素供給物、気化器(12)、蒸気、及び蒸留塔(14)は、典型的には、上述したようであるが、しかしながら上記内容に限定されるものではない。この方法は、典型的には、蒸留塔(14)内の蒸気を蒸留して、精製された塩素ガスの100万質量部当たり、臭素成分が5質量部未満の、精製された塩素ガスを形成する工程を含む。この方法は更に、凝縮物を加熱し、そして再沸騰器(26)内で三塩化窒素を分解し、蒸留塔(14)から精製された塩素ガスを除去し、蒸留塔(14)から蒸留液を除去し、精製された塩素ガスを一酸化炭素と反応させてホスゲンを形成し、及びホスゲンをアミンと反応させてイソシアネートを形成する工程を含む。この方法の工程は、上述した工程と同一であっても良く、異なっていても良い。
【0063】
本発明を実例的に記載したが、使用した技術用語は、記載した用語の本体の意味を有し、そして限定するものではいと理解される。上述した教示から、本発明の修正と変形が可能であり、そして本発明は、特定的に記載された態様以外でも実施可能であることが明確である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含む塩素供給物を蒸留システム内で精製し、精製された塩素ガス100万質量部に対して、20質量部未満の臭素成分を有する精製塩素ガスを形成し、及び液体塩素及び臭素成分を含む蒸留液を形成する方法であって、
蒸留システムが、気化器と流体的に結合され、及び
上部端と下部端を有する蒸留塔、
上部及び下部端を通って延びる垂直軸、及び
蒸気と凝縮物との間に蒸気−液体相互領域を与える蒸気−液体接触装置、
蒸留塔の上部に設けられ、及び垂直軸を蒸留塔と共有する、蒸留塔の上部端と流体的に結合した還流凝縮器、
を有し、及び蒸留システムが、蒸留塔の下部に設けられ、及び蒸留塔の下部端と流体的に結合した再沸騰器を含み、及び以下の工程:
A.塩素供給物を気化器に導入する工程;
B.気化器内の塩素供給物を加熱し、蒸気を形成する工程;
C.蒸気を蒸留システム内に導入し、精製された塩素ガス、液体塩素及び臭素成分、及び三塩化窒素を含む底部成分を含む蒸留液を得る工程;
D.還流凝縮器内の蒸気を凝縮し、還流凝縮器から蒸留塔の上部端内に流れる凝縮物を形成し、及び蒸気−液体接触装置で、凝縮物が蒸気と相互作用し、これにより精製された塩素ガスと蒸留液を形成する工程;
E.凝縮物を再沸騰器内で加熱する工程;
F.精製した塩素ガスを、蒸留システムから除去する工程;及び
G.蒸留液を、蒸留システムから除去する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
塩素供給物が、更に水及び四塩化炭素を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩素成分が、液体の分子塩素及びガスの分子塩素を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
臭素成分が、分子臭素及び臭素一塩化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
塩素供給物が、基本的に、塩素成分、臭素成分、三塩化窒素、水、及び四塩化炭素から成り、塩素成分が、液体の分子塩素、及びガスの分子塩素を含み、及び臭素成分が、分子臭素及び臭素一塩化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
還流凝縮器が、更に、ノックバック凝縮器として定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
蒸留塔の上部端が、精製された塩素ガスを除去するための第1のオリフィスを定義し、及び蒸留塔の下部端が、蒸留液を除去するための第2のオリフィスを定義し、及び
精製された塩素ガスを除去するための工程が更に、精製された塩素ガスを、蒸留塔の上部端から、第1のオフィリスを通して除去することとして定義され、及び蒸留液を除去する工程が更に、蒸留液を、蒸留塔の下部端から、第2のオリフィスを通して除去することとして定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
更に、液体塩素と臭素成分を中和する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
中和する工程が更に、液体塩素及び臭素成分を、還元触媒の存在下に還元剤と反応させ、塩を形成することとして定義されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
還元剤が、金属ヒドロキシド、金属スルフィット、及びこれらの組み合わせの群から選ばれ、及び還元触媒が金属であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
還元剤が、ナトリウムヒドロキシド、及びナトリウムビスルフィットを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
精製された塩素ガスを除去する工程、及び蒸留液を除去する工程が、同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
蒸気−液体接触装置が更に、複数の水平なトレイとして定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
蒸気−液体接触装置が更に、構造化パッキングとして定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
蒸留塔がシリンダー状であり、及び蒸留塔の上部端の直径は、蒸留塔の下部端の直径よりも大きく、蒸留塔の底部に存在する液体塩素及び三塩化窒素の量を最小限にすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
蒸留塔の上部端と下部端の直径の割合が、2:1〜8:1であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
再沸騰器内の凝縮物を加熱する工程が更に、90℃〜110℃の温度に加熱することとして定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
還流凝縮器、再沸騰器、及び蒸留塔への蒸気投入手段が、蒸気を蒸留システムに導入する速度を制御するために、流れ制御装置に電子的に結合され、及び更に、
還流凝縮器から蒸留塔の上部端に流れる凝縮物の量の関数として、及び再沸騰器から形成された蒸気の量の関数として、及び蒸気の投入を介して、蒸気を蒸留システムに導入する速度を制御する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
一酸化炭素と、請求項1に記載された方法から得られた精製された塩素を反応させる工程を含むことを特徴とするホスゲンを形成する方法。
【請求項20】
アミン及び請求項19に記載の方法で形成されたホスゲンの反応生成物を含むイソシアネートを形成する方法。
【請求項21】
分子塩素を含む塩素成分、分子臭素及び臭素一塩化物を含む臭素成分、三塩化窒素、水、及び四塩化炭素から基本的に構成される塩素供給物を、蒸留システム内で精製して、精製された塩素ガス100万質量部当たり、臭素成分が20質量部未満の精製された塩素ガスを形成し、及び液体塩素及び臭素成分を含む蒸留液を形成するための方法であって、
前記蒸留システムは、気化器と流体的に連結されており、及び蒸留塔を含み、該蒸留塔は上部端、下部端、及び上部及び下部端を通って延びる垂直軸を有し、及び上部端は、下部端の直径よりも大きな直径を有しており、及び蒸留塔は複数の水平トレイを有し、これにより蒸気と凝縮物の間に蒸気−液体相互領域を与え、及び
前記蒸留システムは、蒸留塔の上側に配置されたノックバック凝縮器を含み、該ノックバック凝縮器は蒸留塔の上部端と流体的に連結されており、及び蒸留塔と垂直軸を共有しており、及び
前蒸留システムは、蒸留塔の下側に配置された再沸騰器を含み、該再沸騰器は蒸留塔の下部端と流体的に連結されており、及び
還流凝縮器、再沸騰器、及び蒸留塔への所定の蒸気投入手段が蒸気を蒸留システム内に導入する速度を制御するための流れ制御装置に電子的に結合されており、及び
更に、蒸気を、蒸気投入手段を通して蒸留システムに導入する速度を、ノックバック凝縮器から、蒸留塔の上部端に流れる凝縮物の量の関数として、及び再沸騰器から形成された蒸気の量の関数として制御する工程を含み、及び以下の工程:
A.塩素供給物を気化器に導入する工程;
B.気化器内の塩素供給物を加熱し、蒸気を形成する工程;
C.蒸気を蒸留システム内に導入し、精製された塩素ガス、液体塩素及び臭素成分、及び三塩化窒素を含む底部成分を含む蒸留液を得、蒸気を蒸留システムに導入する速度を、ノックバック凝縮器から形成された凝縮物の量の関数として、及び再沸騰器から形成された蒸気の量の関数として制御する工程;
D.還流凝縮器内の蒸気を凝縮し、還流凝縮器から蒸留塔の上部端内に流れる凝縮物を形成し、及び蒸気−液体接触装置で、凝縮物が蒸気と相互作用し、これにより精製された塩素ガスと蒸留液を形成する工程;
E.凝縮物を再沸騰器内で90℃〜110℃の温度に加熱する工程;及び
F.精製した塩素ガス、及び蒸留液を、蒸留システムから同時に除去する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
更に、蒸留液及び還元剤を反応させて塩を形成する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
蒸留液と還元剤を反応させる工程が更に、蒸留液と還元剤を、還元触媒の存在下で反応させることとして定義され、及び還元剤が、金属ヒドロキシド、金属スルフィット、及びこれらの組合せの群から選ばれ、及び還元触媒が金属であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
一酸化炭素及び請求項22に記載の方法で得られた精製された塩素ガスを反応させる工程を含む、ホスゲンを形成する方法。
【請求項25】
塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含む塩素供給物を精製するための蒸留システムであって、
精製された塩素ガス100万質量部当たり、臭素成分が20質量部未満の精製された塩素ガスを形成し、及び液体塩素及び臭素成分を含む蒸留液を形成し、且つ
A. 上部端、下部端、上部及び下部端を通って延びる垂直軸を有し、前記上部端は前記下部端の直径よりも大きい直径を有し、及び蒸気と凝縮物の間に蒸気−液体相互領域を与える複数の水平トレイを含む、蒸留塔、
B.前記蒸留塔の上側に配置され、前記蒸留塔の前記上部端と流体的に連結され、及び前記上流塔と垂直軸を共有する還流凝縮器、
C.前記蒸留塔の下側に配置され、及び蒸留塔の前記下部端と流体的に連結された再沸騰器、
を含み、及び蒸気を蒸留システム内に導入する速度を制御するために、前記還流凝縮器、前記再沸騰器、及び前記蒸留塔への蒸気投入手段が、流れ制御装置に電子的に接続されており、
更に、前記還流凝縮器から前記蒸留塔の前記上部端に流れる凝縮物の量の関数として、及び前記再沸騰器から形成された蒸気の量の関数として、及び蒸気投入手段を介して、蒸気を蒸留システムに導入する速度を制御する工程を含むことを特徴とする蒸留システム。
【請求項26】
還流凝縮器が更に、ノックバック凝縮器として定義されていることを特徴とする請求項25に記載された蒸留塔。
【請求項27】
前記蒸留塔の上部及び下部端の直径の割合が、2:1〜8:1であることを特徴とする請求項25に記載の蒸留システム。
【請求項28】
前記塩素成分が、液体分子塩素、及びガス状分子塩素を含み、及び前記臭素成分が、分子臭素、及び臭素一塩化物を含むことを特徴とする請求項25に記載の蒸留システム。
【請求項29】
前記塩素供給物が更に、水及び四塩化炭素を含むことを特徴とする請求項28に記載の蒸留システム。
【請求項30】
塩素供給物が、基本的に、前記塩素成分、前記分子臭素、前記臭素一塩化物、前記三塩化窒素、前記水、前記四塩化炭素から成ることを特徴とする請求項29に記載の蒸留システム。
【請求項31】
更に、前記蒸留液を中和するために、前記蒸留塔と流体的に連結された中和塔を含むことを特徴とする請求項25に記載の蒸留システム。
【請求項32】
前記中和塔が金属ヒドロキシド、金属スルフィッド、及びこれらの組合せの群から選ばれる還元剤を含み、及び前記液体塩素、前記分子臭素、及び前記臭素一塩化物を中和するための金属還元触媒を含むことを特徴とする請求項31に記載の蒸留システム。
【請求項33】
前記精製された塩素ガス及び一酸化炭素を反応させてホスゲンを形成するためのホスゲン反応器と流体的に連結されていることを特徴とする請求項25に記載の蒸留システム。
【請求項34】
気化器から蒸留システムへの蒸気の流れを制御する方法であって、
前記蒸留システムは上部端、下部端を有する蒸留塔、及び蒸気−液体接触装置、蒸留塔の上部に配置され、及び蒸留塔の上部端と流体的に連結されて蒸気を凝縮物に凝縮し、そして凝縮物が蒸留塔の上部端に流れる構成の還流凝縮器、蒸留塔の下側に配置され、及び蒸留塔の下部端と流体的に連結され、そして凝縮物を加熱する再沸騰器を含み、及び
還流凝縮器、再沸騰器、及び蒸留塔への所定の蒸気投入手段が、蒸気を蒸留システム内に導入する速度を制御するための流れ制御装置に電子的に結合されており、及び以下の工程:
A.蒸気を蒸留塔に導入する工程;
B.還流凝縮器内で、蒸気を凝縮し、凝縮物を形成する工程;
C.再沸騰器内で、凝縮物を加熱する工程;及び
D.還流凝縮器から蒸留塔の上部端に流れる凝縮物の量の関数として、及び再沸騰器から形成された蒸気の量の関数として、流れ制御装置を使用して、蒸気を蒸留塔に導入する速度を制御し、蒸留塔内の凝縮物の蓄積を最小限にする工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
蒸留塔が、上部及び下部端を通って延びる垂直軸、及び上部及び下部端の間を延びる水平軸を有し、上部端の直径は、下部端の直径よりも大きく、及び蒸気−液体接触装置は更に、蒸気と凝縮物の間に蒸気−液体相互領域を与える、複数の水平トレイとして定義されていることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
蒸留塔の上部端は、直径が0.5メートル以上であり、及び蒸留塔の下部端は、直径が0.5メートル未満であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
還流凝縮器が更にノックバック凝縮器として定義されていることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
蒸留システムが更に、蒸留塔に流体的に連結された中和塔を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項39】
蒸気が塩素成分、臭素成分、及び三塩化窒素を含み、及び
精製された塩素ガス100万質量部に対して、20質量部未満の臭素成分を有する、精製塩素ガスを形成し、及び液体塩素及び臭素成分を含む蒸留液を形成する工程を含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
臭素成分が分子臭素及び臭素一塩化物を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
蒸気が更に、水及び四塩化炭素を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
蒸気が基本的に、塩素成分、分子臭素、臭素一塩化物、三塩化窒素、水、及び四塩化炭素から成ることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
蒸留システムが更に、蒸留塔と流体的に連結され、及び金属ヒドロキシド、金属スルフィット、及びこれらの組合せの群から選ばれる還元剤、及び液体塩素、分子臭素、及び臭素一塩化物を中和するための還元触媒を含む中和塔を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項44】
精製された塩素ガスを除去する工程、及び同時に、蒸留液を除去する工程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項45】
蒸留システムが、一酸化炭素及び精製された塩素ガスを反応させるためのホスゲン反応器と流体的に連結されており、及び更に、一酸化炭素と精製された塩素ガスを反応させてホスゲンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−510790(P2013−510790A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538328(P2012−538328)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067233
【国際公開番号】WO2011/058069
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】