説明

増幅器

【課題】広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制を両立できる増幅器を得る。
【解決手段】3セル以上のユニットセルトランジスタ(11)が等間隔に配置されたマルチセルトランジスタ(10)と、スリット(23)で区切られたオープンスタブ(22)により、基本波の整数倍の周波数で短絡状態を形成するように各ユニットセルトランジスタに対応して設けられた高調波処理回路(21)を複数有し、各高調波処理回路がトーナメント構成となるように線路構成された出力整合回路(20)とを備えた増幅器であって、各高調波処理回路(21)は、マルチセルトランジスタを構成する各ユニットセルトランジスタのゲートまたはドレイン端子の少なくとも一方から、電気長で1/2波長未満の距離に配置され、オープンスタブ(22)が、主線路と平行して片側に1本で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタの近傍に設けられた高調波反射回路の構成に特徴を備えた増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
増幅器の効率改善やスプリアス抑圧のための従来技術として、トランジスタで発生した高調波を高調波反射回路で反射して戻す高調波処理を行うものがある。
【0003】
従来例1としては、以下のような増幅器が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。図8は、従来例1による従来の増幅器の構成図である。このような従来例1における増幅器は、マルチセルトランジスタ110および出力整合回路120で構成されている。そして、マルチセルトランジスタ110は、複数のユニットセルトランジスタ111を有しており、各ユニットセルトランジスタ111は、マルチセルトランジスタ110中で、等間隔に配置されている。
【0004】
一方、出力整合回路120は、各ユニットセルトランジスタ111の出力インピーダンスを所望のインピーダンスに変換するための回路である。具体的には、この出力整合回路120は、各ユニットセルトランジスタ111に対応した複数の高調波処理回路121、線路125、および出力端子126を有しており、各高調波処理回路121が線路125によりトーナメント構成となるように互いに接続された整合回路となっている。
【0005】
そして、複数の高調波処理回路121と複数のユニットセルトランジスタ111とは、1対1に対応しており、それぞれワイヤ130により接続されている。また、高調波処理回路121の幅は、ユニットセルトランジスタ111の間隔よりも小さい寸法となるように設計されている。さらに、各高調波処理回路121は、高調波において電気的に短絡となるオープンスタブ122と、コの字型に切り込みの入ったスリット123を有して構成されている。
【0006】
次に、このような構成を有する従来例1による増幅器の動作について説明する。各ユニットセルトランジスタ111で増幅された信号は、ワイヤ130を介して、出力整合回路120に導かれる。そして、出力整合回路120において、各ユニットセルトランジスタ111の基本波における出力インピーダンスは、所望のインピーダンスに変換され、出力端子126に導かれる。
【0007】
一方、各ユニットセルトランジスタ111で発生した高調波も、ワイヤ130を介して、出力整合回路120に導かれる。しかしながら、この高調波は、コの字型のスリット123で区切られたオープンスタブ122からなる高調波処理回路121で反射され、各ユニットセルトランジスタ111へ戻されることとなる。オープンスタブ122の長さを、反射させたい高調波において電気長で1/4波長とすることで、短絡点を形成し、高調波を反射させることができる。すなわち、高調波処理回路121は、入力側または出力側の少なくとも一方において、基本波の整数倍の周波数でおおむね短絡状態を形成することができる。
【0008】
このようにして、高調波をトランジスタに戻すことで、出力端子126に現れる高調波スプリアスを抑圧することができる。このとき、高調波を適切な反射角で反射させることで、トランジスタのドレイン端子における高周波信号の波形を整形し、トランジスタのドレイン効率を向上させることができる。
【0009】
また、従来例2としては、以下のような増幅器が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。図9は、従来例2による従来の増幅器の構成図である。このような従来例2における増幅器は、基本的な構成は、先の図8で示した従来例1の増幅器と同様である。ただし、この従来例2における増幅器は、従来例1における増幅器が有していたコの字型のスリット123の代わりに、L字型に切り込みの入ったスリット123aを有している。
【0010】
この結果、従来例1では、高調波処理回路121内のオープンスタブ122が主線路の中央に配置されていたのに対して、従来例2では、高調波処理回路121内のオープンスタブ122が、主線路の両側に配置されている点が異なっている。このような構成を備えた従来例2の増幅器の基本的動作は、従来例1と同一である。
【0011】
なお、以下の説明においては、図8に示す従来例1におけるオープンスタブを、「中央配置スタブ」と称し、図9に示す従来例2におけるオープンスタブを、「両側スタブ」と称し、区別することとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−197021号公報
【特許文献2】特開2009−159591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
詳細は、図面を用いて後述するが、中央配置スタブおよび両側スタブを用いた高調波処理回路121では、基本波の周波数foの2倍の周波数である2foにおいて、短絡点付近に整合されている。
【0014】
しかしながら、中央配置スタブを用いた場合、短絡となる周波数は中心周波数付近のみであり、中心周波数近傍から外れた周波数では、中央配置スタブを持たない線路とほぼ同一の特性である。このように、中央配置スタブを用いた場合には、高調波処理できる周波数帯域は、狭帯域であることがわかる。
【0015】
これは、オープンスタブの周りが主線路で取り囲まれているため、オープンスタブが主線路と強く結合しており、オープンスタブとして動作する周波数帯域が狭くなっているためである。また、主線路と強く結合しているため、2foにおいて十分短絡状態を形成できていない。
【0016】
一方、両側配置スタブを用いた高調波処理回路は、中央配置スタブを用いる場合よりも広帯域に渡って、短絡状態を形成できるとともに、2foにおいて良好な短絡点が形成される。このように、両側スタブで構成される高調波処理回路は、単体では、広帯域増幅器に適した回路であるといえる。
【0017】
以上から、広帯域特性に着目すると、従来例1の中央配置スタブを用いた高調波処理回路は、広帯域にわたって高調波処理を要求する増幅器には適用できないという問題がある。
【0018】
また、増幅器の高出力化を図るためには、先の図8、図9に示したように、ユニットセルトランジスタ111を2個以上並列配置したマルチセルトランジスタ110が用いられる。マルチセルトランジスタ110では、低コスト化の為、ユニットセルトランジスタ111が互いに狭い間隔で配置されている。さらに、ユニットセルトランジスタ111との接続部分における各出力整合回路120のパターンは、互いに近接して配置される。具体的には、トランジスタのゲートまたはドレイン端子の少なくとも一方から、電気長で1/2波長未満の距離に高調波処理回路121が配置されることとなる。
【0019】
その結果、パターンは、互いに干渉することとなる。従来例1および従来例2においても、トランジスタ出力側の出力整合回路120のパターンは、密集して配置されており、互いに干渉し合っていると考えられる。
【0020】
先の図8および図9の構成を有する従来の増幅器において、トランジスタから出力端子端を見た反射特性を計算すると、以下のようなことがわかった(後述する図2、図3参照)。より具体的には、最も外側に位置する高調波処理回路121における反射特性の計算の結果、中央配置スタブでは、高調波処理回路121単体時と同様の特性を示している。その一方で、両側スタブでは、隣接するオープンスタブが互いに干渉し、共振している。その結果、2fo付近では、短絡状態を十分形成できていないことがわかった。
【0021】
以上より、干渉問題に着目すると、中央配置スタブを用いた高調波処理回路121では、干渉の影響がないものの、両側スタブを用いた高調波処理回路121では、隣接セルとの干渉は抑圧されていない。従って、従来例1、従来例2の高調波処理回路121は、いずれも、広帯域特性の改善と干渉問題の抑制を両立できていないという課題があった。
【0022】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制を両立できる増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る増幅器は、3セル以上のユニットセルトランジスタが等間隔に配置されたマルチセルトランジスタと、スリットで区切られたオープンスタブにより、基本波の整数倍の周波数で短絡状態を形成するように各ユニットセルトランジスタに対応して設けられた高調波処理回路を複数有し、各高調波処理回路がトーナメント構成となるように線路構成された出力整合回路とを備えた増幅器であって、各高調波処理回路は、マルチセルトランジスタを構成する各ユニットセルトランジスタのゲートまたはドレイン端子の少なくとも一方から、電気長で1/2波長未満の距離に配置され、オープンスタブが、主線路と平行して片側に1本で配置されているものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る増幅器によれば、主線路と平行して片側にのみ1本で配置されているオープンスタブを高調波処理回路に用いることにより、広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制を両立できる増幅器を得ることができ、広帯域に渡って増幅器で発生する高調波スプリアスを抑圧できるとともに、増幅器のドレイン効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における増幅器の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1の増幅器に用いられる高調波処理回路単体におけるトランジスタから出力端子端を見た反射特性である。
【図3】本発明の実施の形態1における「片側スタブ」を用いた高調波処理回路が複数個並列接続されたトーナメント構成の整合回路において、最も外側に位置する高調波処理回路21におけるトランジスタから出力端子端を見た反射特性である。
【図4】本発明の実施の形態1における増幅器の、図1とは異なる構成図である。
【図5】本発明の実施の形態1における増幅器の、図1とは異なる構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1における増幅器の、図1とは異なる構成図である。
【図7】本発明の実施の形態1における「片側スタブ」の配置の違いによる特性の比較結果である。
【図8】従来例1による従来の増幅器の構成図である。
【図9】従来例2による従来の増幅器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の増幅器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0027】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における増幅器の構成図である。本実施の形態1の図1における増幅器は、マルチセルトランジスタ10および出力整合回路20で構成されている。そして、マルチセルトランジスタ10は、複数のユニットセルトランジスタ11を有しており、各ユニットセルトランジスタ11は、マルチセルトランジスタ10中で、等間隔に配置されている。
【0028】
一方、出力整合回路20は、各ユニットセルトランジスタ11の出力インピーダンスを所望のインピーダンスに変換するための回路である。具体的には、この出力整合回路20は、各ユニットセルトランジスタ11に対応した複数の高調波処理回路21、線路25、および出力端子26を有しており、各高調波処理回路21が線路25によりトーナメント構成となるように互いに接続された整合回路となっている。
【0029】
そして、複数の高調波処理回路21と複数のユニットセルトランジスタ11とは、1対1に対応しており、それぞれワイヤ30により接続されている。また、高調波処理回路21の幅は、ユニットセルトランジスタ11の間隔よりも小さい寸法となるように設計されている。さらに、各高調波処理回路21は、高調波において電気的に短絡となるオープンスタブ22と、L字型に切り込みの入ったスリット23を有して構成されている。
【0030】
なお、増幅器の高出力化、および省スペース化を図るために、トランジスタのゲートまたはドレイン端子の少なくとも一方から、電気長で1/2波長未満の距離に高調波処理回路21が配置されることとなる。
【0031】
このように、図1に示した本実施の形態1における増幅器は、広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制の両立を図るために、オープンスタブ22が主線路と平行して片側にのみ1本で配置されている点を第1の特徴としている。なお、以下の説明においては、この第1の特徴を有するオープンスタブ22を、「片側スタブ」と称し、従来の「中央配置スタブ」、「両側スタブ」と区別することとする。
【0032】
さらに、この図1におけるオープンスタブ22は、トーナメント構成の整合回路において、トランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置されたオープンスタブ同士が、互いに結合するように対向配置されている点を第2の特徴としている。
【0033】
次に、第1の特徴である「片側スタブ」として構成されたオープンスタブ22を備えた増幅器の動作について説明する。各ユニットセルトランジスタ11で増幅された信号は、ワイヤ30を介して、出力整合回路20に導かれる。そして、出力整合回路20において、各ユニットセルトランジスタ11の基本波における出力インピーダンスは、所望のインピーダンスに変換され、出力端子26に導かれる。
【0034】
一方、各ユニットセルトランジスタ11で発生した高調波は、ワイヤ30を介して、出力整合回路20に導かれる。しかしながら、この好調波は、L字型のスリット23で区切られたオープンスタブ22からなる高調波処理回路21で反射され、各ユニットセルトランジスタ11へ戻されることとなる。オープンスタブ22の長さを、反射させたい高調波において電気長で1/4波長とすることで、短絡点を形成し、高調波を反射させることができる。すなわち、高調波処理回路21は、入力側または出力側の少なくとも一方において、基本波の整数倍の周波数でおおむね短絡状態を形成することができる。
【0035】
次に、第1の特徴である「片側スタブ」を用いることで、高調波処理回路の広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制の両立を図ることができることを、計算結果に基づいて説明する。図2は、本発明の実施の形態1の増幅器に用いられる高調波処理回路単体におけるトランジスタから出力端子端を見た反射特性である。
【0036】
なお、広帯域特性の改善を示す図2においては、「片側スタブ」の効果を明確とするために、背景技術で説明した従来例1の「中央配置スタブ」と従来例2の「両側スタブ」のそれぞれを用いた高調波処理回路単体におけるトランジスタから出力端子端を見た反射特性、および「中央配置スタブ」を含む主線路の幅と同一の線路幅を有する線路の反射特性を、比較として示している。
【0037】
図2に示すように、「片側スタブ」を用いた高調波処理回路21は、従来例1の「中央配置スタブ」よりも広帯域に渡って高調波処理が可能であることがわかる。
【0038】
図3は、本発明の実施の形態1における「片側スタブ」を用いた高調波処理回路21が複数個並列接続されたトーナメント構成の整合回路において、最も外側に位置する高調波処理回路21におけるトランジスタから出力端子端を見た反射特性である。なお、干渉問題の抑制を示す図3においては、「片側スタブ」の効果を明確とするために、従来例1の「中央配置スタブ」と従来例2の「両側スタブ」のそれぞれを用いた際の、最も外側に位置する高調波処理回路単体におけるトランジスタから出力端子端を見た反射特性を、比較として示している。
【0039】
図3に示すように、オープンスタブ22を隣接して配置した場合にも、「片側スタブ」を用いた高調波処理回路21は、従来例2の「両側スタブ」を用いた場合よりも良好な特性が得られている。以上により、オープンスタブ22として本実施の形態1による「片側スタブ」を複数個用いた高調波処理回路21の優位性が確認でき、高調波処理回路の広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制の両立を図れることがわかる。
【0040】
次に、増幅器の効率改善について説明する。増幅器には、消費電力低減が求められており、増幅器が高効率動作を達成するためには、ユニットセルトランジスタ11の負荷が、基本波および高調波において、すべて同一であることが望まれる。そこで、「片側スタブ」を用いる場合において、そのスタブの配置が異なる高調波処理回路のトランジスタから出力端子端を見た反射特性の比較結果について、以下に説明する。
【0041】
図4〜図6のそれぞれは、本発明の実施の形態1における増幅器の、図1とは異なる構成図であり、具体的には、「片側スタブ」の配置が、先の図1に示した配置とは異なるものを示している。先の図1、および図4〜図6に示すそれぞれの増幅器は、第2の特徴であるオープンスタブ22の配置が異なっている。
【0042】
図1に示される高調波処理回路21の「片側スタブ」は、トーナメント構成の整合回路において、トランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置されたオープンスタブ同士が、互いに結合するように対向配置されているものである。そこで、以下の説明においては、「対向配置片側スタブ」と称するとともに、図1において、オープンスタブ22aと併記している。
【0043】
また、図4に示される高調波処理回路21の「片側スタブ」は、トーナメント構成の整合回路において、すべてのオープンスタブ22がトランジスタの中心方向に向かって配置されているものである。そこで、以下の説明においては、「全内向き配置片側スタブ」と称するとともに、図4において、オープンスタブ22bと記載している。
【0044】
また、図5に示される高調波処理回路21の「片側スタブ」は、トーナメント構成の整合回路において、トランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置されたオープンスタブ同士が、互いに結合しないように外側に配置されているものである。そこで、以下の説明においては、「外向き配置片側スタブ」と称するとともに、図5において、オープンスタブ22cと記載している。
【0045】
さらに、図6に示される高調波処理回路21の「片側スタブ」は、トーナメント構成の整合回路において、すべてのオープンスタブ22がトランジスタの中心方向とは逆の外側に向かって配置されているものである。そこで、以下の説明においては、「全外向き配置片側スタブ」と称するとともに、図6において、オープンスタブ22dと記載している。
【0046】
図7は、本発明の実施の形態1における「片側スタブ」の配置の違いによる特性の比較結果である。より具体的には、最も外側に位置する高調波処理回路と最も内側に位置する高調波処理回路との振幅差、位相差を、基本波および2倍波について計算した結果をまとめたものである。
【0047】
図7の計算結果から、図1の「対向配置片側スタブ」、および図6の「全外向き配置片側スタブ」では、振幅差、位相差が、図4の「全内向き配置片側スタブ」、および図5の「外向き配置片側スタブ」よりも、小さい特性結果が得られており、隣接セルの整合回路との干渉を一層軽減できることが確認できる。
【0048】
以上のように、実施の形態1によれば、片側スタブを高調波処理回路に用いることで、高調波処理回路の広帯域特性の改善と隣接セルからの干渉問題の抑制の両立を図ることができる。さらに、トーナメント構成の整合回路におけるそれぞれの片側スタブの配置を、対向配置スタブあるいは全外向き配置片側スタブとすることにより、各ユニットセル間の負荷インピーダンスのばらつき抑圧を改良できる。この結果、広帯域に渡って増幅器で発生する高調波スプリアスを抑圧できるとともに、増幅器のドレイン効率を向上させることができる。
【0049】
なお、各高調波処理回路がトーナメント構成となるように線路構成する際に、マイクロストリップ線路を用いることができる。また、上述した実施の形態では、8個の高調波処理回路を用いる場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。3セル以上のユニットセルトランジスタが等間隔に配置されたマルチセルトランジスタに対応して設けられた3個以上の高調波処理回路をトーナメント構成となるように線路構成した場合にも、童謡の効果を得ることができる。
【0050】
また、上述した実施の形態では、ユニットセルトランジスタ11からの出力を出力整合回路20内の高調波処理回路21で受ける場合について説明した。しかしながら、本発明の増幅器は、このような構成に限定されず、出力整合回路20内の高調波処理回路21からユニットセルトランジスタ11へ入力するように、入出力を逆にする構成にも適用可能であり、同様の効果を有する。
【符号の説明】
【0051】
10 マルチセルトランジスタ、11 ユニットセルトランジスタ、20 出力整合回路、21 高調波処理回路、22、22a〜22d オープンスタブ、23 スリット、25 線路、26 出力端子、30 ワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3セル以上のユニットセルトランジスタが等間隔に配置されたマルチセルトランジスタと、
スリットで区切られたオープンスタブにより、基本波の整数倍の周波数で短絡状態を形成するように各ユニットセルトランジスタに対応して設けられた高調波処理回路を複数有し、各高調波処理回路がトーナメント構成となるように線路構成された出力整合回路と
を備えた増幅器であって、
前記各高調波処理回路は、前記マルチセルトランジスタを構成する各ユニットセルトランジスタのゲートまたはドレイン端子の少なくとも一方から、電気長で1/2波長未満の距離に配置され、前記オープンスタブが、主線路と平行して片側に1本で配置されている
ことを特徴とする増幅器。
【請求項2】
請求項1に記載の増幅器において、
前記トーナメント構成を有する前記出力整合回路は、前記ユニットセルトランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置された前記オープンスタブ、または前記ユニットセルトランジスタの入力に最後に2分配される線路に配置された前記オープンスタブが、互いに結合するように対向して配置されている
ことを特徴とする増幅器。
【請求項3】
請求項1に記載の増幅器において、
前記トーナメント構成を有する前記出力整合回路は、前記ユニットセルトランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置された前記オープンスタブ、または前記セルユニットトランジスタの入力に最後に2分配される線路に配置された前記オープンスタブが、すべて外側を向くように配置されている
ことを特徴とする増幅器。
【請求項4】
請求項1に記載の増幅器において、
前記トーナメント構成を有する前記出力整合回路は、前記ユニットセルトランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置された前記オープンスタブ、または前記ユニットセルトランジスタの入力に最後に2分配される線路に配置された前記オープンスタブが、互いに結合しないように外側に配置されている
ことを特徴とする増幅器。
【請求項5】
請求項1に記載の増幅器において、
前記トーナメント構成を有する前記出力整合回路は、前記ユニットセルトランジスタの出力が最初に2合成される線路に配置された前記オープンスタブ、または前記ユニットセルトランジスタの入力に最後に2分配される線路に配置された前記オープンスタブが、すべて内側を向くように配置されている
ことを特徴とする増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−176752(P2011−176752A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40773(P2010−40773)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】