説明

壁体内換気器具、及び建物換気構造

【課題】建物の意匠性を低下させることなく、また梁に孔をあけることなく該建物に取付けて使用することができ、低コスト化も可能とする壁体内換気器具、及びそれを用いた建物換気構造を提供する。
【解決手段】外装材7と下地板5との間に形成される通気間隙8と、通気間隙8と屋外11とを連通する貫通孔32とを有した木造建物4に配設される壁体内換気器具1であって、一端において通気間隙8に開口する通気間隙側開口部6を有し、他端において下地板5の屋内側に開口する屋内側開口部9を有する下地板5を貫通する管体部2と、管体部2の外周面2aに設けられ、下地板5の通気間隙8側面に当接するフランジ部3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に取付けられる壁体内換気器具、及び建物換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物においては、小屋裏等の壁体内空間内の温度が低い場合等において、壁体内空間に湿気を含んだ空気が流入し滞留すると、小屋裏内部、外壁内側面等において結露が発生することがあるため、換気構造を設けることが必要である。その換気構造に使用される換気器具は、該建物の外装材に設けた換気口に配設するものが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される換気器具は、上記の通り、建物の外壁等の外装材に設けた換気口の外側に設置されているので、建物の屋外から壁体内空間に雨水が侵入することを防止するための水返し板等を設けている。これにより、前記換気器具は、建物の壁体内空間の空気を屋外に流出させると共に、建物の屋外から壁体内空間への雨水の侵入を防止することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−21188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される換気器具は、上記の通り建物の外装材の屋外側に取付けるものである。そのため、建物の意匠性を低下させてしまうという問題点がある。また、前記換気器具が取付けられた外装材には、換気器具の周辺に、水垂れによる汚れが付着し易いという問題も発生する。
【0006】
また、前記換気器具は、直接日光にさらされるために、外装材と同様の耐候性を有する材料により構成する必要があるため、コストが高くなるという問題点もある。更に、前記換気器具は、建物に取付ける場合に、外装材との間で防水性を持たせるための防水構造と、外装材より内側に配設される下地板との間で防水性を持たせる防水構造とを設ける必要があるため、施工時のコストも高くなる。また、前記換気器具は、建物に取付ける場合に、建物の梁に孔をあける必要があり、建物の構造の強度面で不利となるという問題点もある。この問題点は、建物が木造建築である場合に、特に顕在化する。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決することを目的としてなされたものであり、建物の意匠性を低下させることなく、また梁に孔をあけることなく建物に取付けて使用することができ、低コスト化も可能とする壁体内換気器具、及びそれを用いた建物換気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の壁体内換気器具は、建物の外装材と該外装材と間隔を空けて建物の内側に設置される下地板との間に形成される通気間隙と、該通気間隙と屋外とを連通する連通部とを有した建物の前記下地板に配設される壁体内換気器具であって、一端において前記通気間隙に向かって開口する通気間隙側開口部を有し、他端において前記下地板の屋内側に前記通気間隙側開口部の開口方向と異なる方向に開口する屋内側開口部を有する前記下地板を貫通する管体部と、前記管体部の外周面に設けられ、前記下地板の通気間隙側面に当接するフランジ部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の壁体内換気器具は、前記フランジ部の外周形状が矩形であると共に、外周縁から所定距離内側に段差を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の壁体内換気器具は、前記管体部が、前記フランジ部から前記下地板の略厚み分の距離を開けた位置の管体部の外周面から突出して、前記フランジ部との間で前記下地板を挟み込む鍔を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の壁体内換気器具は、管体部の通気間隙側開口部が略水平方向に向かって開口し、管体部の屋内側開口部が上方に向かって開口することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の建物換気構造は、請求項1〜4の何れかに記載の壁体内換気器具を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の壁体内換気器具は、建物の外装材と該外装材と間隔を空けて建物の屋内側に設置される下地板に取付けられ、下地板を貫通する管体部と、該管体部の外周面に設けられて下地板の通気間隙側面に当接するフランジ部とを有する。本壁体内換気器具は、前記フランジ部を利用して前記下地板に取付けられ、前記管体部が建物の外装材と下地板の間に形成される通気間隙に開口する通気間隙側開口部と、下地板の屋内側に開口する屋内側開口部を有しており、通気間隙と下地板の屋内側とを連通する。これにより、本壁体内換気器具が配設された建物では、前記下地板の屋内側の空気を通気間隙に流入させることができ、その後連通部を介して屋外に流出させることが可能となるので、下地板の屋内側の換気が可能となる。本壁体内換気器具は、外装材に取付けることなく建物内に配設できるので、建物の意匠性の低下、水垂れによる外装材の汚損を発生させることがない。また本壁体内換気器具は、直接日光にさらされないので、耐候性を有する材料により構成する必要がなく、かつ、外装材との間で防水性を持たせる防水構造も不要となるので、コストを低減することもできる。また、本壁体内換気器具は、建物の梁に穴を開ける必要なく配設できるので、建物に構造面での不利も生じさせない。
【0014】
請求項2に記載の壁体内換気器具は、フランジ部の外周形状が矩形であることにより、その周囲四辺を防水テープにより直線状に前記下地板に貼り付けるだけで、該下地板に固定することができるので作業能率が向上する。また、フランジ部は、その外周縁から所定距離内側に段差を備えているので、該段差を目印として防水テープの貼付けを行うことができ、また、その後に下地板に貼り付けられる防水紙の不要な部分を、この段差を定規代わりに使用してカットできる。これらのことにより、本壁体内換気器具は、作業性良く、下地板に取付け施工することができる。
【0015】
請求項3に記載の壁体内換気器具は、鍔を有していることにより、下地板に取付ける場合において、前記防水テープにより固定する前に、鍔と前記フランジ部との間に下地板の端縁部分を挟みこむことにより仮固定して、その後前記したように防水テープを使用して下地板に固定することができる。そのため、本壁体内換気器具は、一層作業性良く、下地板に取付けることができる。
【0016】
請求項4に記載の壁体内換気器具は、前記通気間隙側開口部と前記屋内側開口部との開口方向が異なり、かつ、屋内側開口部が上方に向かって開口している。そのため、前記通気間隙を介して前記通気間隙側開口部に侵入した雨水は、管体部の内周面に衝突して水滴となり通気間隙側開口部から排出されるので、下地板の屋内側に侵入することを防ぐことができる。
【0017】
請求項5に記載の建物換気構造は、外装材に換気器具を取付ける必要がないので、建物の意匠性の低下、水垂れによる外装材の汚損を発生させることがない。また、本建物換気構造は、建物の梁に穴を開ける必要がないので、建物に構造面での不利も生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の壁体内換気器具の斜視図。
【図2】図1のA−A面における壁体内換気器具の断面図。
【図3】図2のB−B面における壁体内換気器具の断面図。
【図4】壁体内換気器具の下地板への取付手順を示す断面説明図。
【図5】壁体内換気器具の下地板への取付状態を示す正面図。
【図6】壁体内換気器具の下地板への取付手順を示す断面説明図。
【図7】壁体内換気器具の下地板への取付状態を示す正面図。
【図8】壁体内換気器具が配設された建物の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明の壁体内換気器具1は、図1及び図8に示すように、建物外壁等の外装材7と該外装材7と間隔を空けて木造建物4の屋内側に設置される下地板5との間に形成される通気間隙8と、通気間隙8と屋外11とを連通する貫通孔(連通部)32とを有した木造建物4の前記下地板5に配設されるものであり、一端において通気間隙8に開口する通気間隙側開口部6を有し、他端において下地板5の屋内側に形成される中空部(壁体内空間)10に開口する屋内側開口部9を有する下地板5を貫通する管体部2と、管体部2の外周面2aに設けられ、下地板5の通気間隙側面26aに当接するフランジ部3を備えている。
【0020】
前記管体部2は、屋外11に露出しないので、ABS樹脂等、耐候性が低く、かつ、安価な材料により形成することができる。また、図1及び図2に示すように、屈曲した管状に構成されており、一端には略水平方向に向かって半円状に開口した通気間隙側開口部6を有し、他端には上方に向かって矩形に開口した屋内側開口部9を有している。これにより、管体部2は通気間隙側開口部6と屋内側開口部9とが直線上に配置されず開口方向が異なり、また屋内側開口部9が上方に向かって開口していることから、壁体内換気器具1を図8に示すように下地板5に配設した際に、図1及び2に点線イで示したように、屋外11から貫通孔32を通って通気間隙8から通気間隙側開口部6に侵入した雨水Sは、管体部2の内周面に当たって屋内側開口部9を介して中空部10に侵入することを防止される。なお、中空部10内の空気は、図1及び2に実線ロで示したように管体部2に屋内側開口部9から流入し、通気間隙側開口部6から通気間隙8、貫通孔32を通って屋外11に流出する。
【0021】
また、管体部2の屋内側開口部9の下方のフランジ部3を設けた側の内周面12と、屋内側開口部9の下方のフランジ部3から遠い側の内周面13とは、図2に示すように、夫々、略垂直に立ち上がった平面として構成され、さらに内周面12と内周面13とをつなぐ内周面12a、12bも、図3に示すように、略垂直に立ち上がった平面として構成されており、これらは、壁体内換気器具1を図8に示すように下地板5に配設した際に、通気間隙8を介して通気間隙側開口部6に侵入した雨水を規制する水返しとしても機能する。また、図2に示すように、内周面13に管体部2の内部方向に起立して設けられた水返し14は、該内周面13を駆け上がろうとする雨水を規制する。
【0022】
さらに、管体部2の通気間隙側開口部6に接する内周面のうち、上方側の内周面6aは、平面状で前記内周面12とつながっており、下方側の内周面6bは、円弧状の曲面で前記内周面13とつながっている。そして、通気間隙8を介して通気間隙側開口部6に侵入した雨水が管体部2内に溜まらず、通気間隙側開口部6より自然に排出されるように、通気間隙側開口部6側から上り勾配の平面である傾斜面15となっている。前記内周面6bと内周面12aとは、図3に示すように、管体部2の内部方向に起立して設けられた水返し14aを介して連なっており、同様に前記内周面6bと内周面12bとは、管体部2の内部方向に起立して設けられた水返し14bを介して連なっている。これらの水返し14a、14bは、内周面6bを駆け上がろうとする雨水を規制するためのものである。以上の構成により、壁体内換気器具1を図8に示すように下地板5に配設した際に、通気間隙8を通って管体部2の通気間隙側開口部6に侵入した雨水が、屋内側開口部9を介して中空部10に侵入することを防ぐことができる。
【0023】
また、管体部2の傾斜面15の裏面側の外周面2aには、フランジ部3から下地板5の厚み分の距離を開けた位置から下方に突出した鍔24が形成されている。これによって、図6(a)に示すように、フランジ部3との間に下地板5の端縁部分を挟み込むことができるので、本壁体内換気器具1を下地板5へ仮固定することができる。
【0024】
前記フランジ部3は、部品点数を削減し、壁体内換気器具1の製造原価のコストダウンを図るため、管体部2と一体に形成され、構成する材料も管体部2と同じものを用いるのが好ましい。また、フランジ部3は、図1に示すように、例えば、図示するような外周形状が略正方形状の矩形であり、フランジ部3の外周縁から所定距離内側は、段差19が形成されている。即ち、フランジ部3の表面16bにおいて、段差19より外側の領域である外側領域17と、該段差19より内側の領域である内側領域18とは、何れか一方が、他方に対し隆起している。図2では、外側領域17が内側領域18に対し隆起しているように示しているが、内側領域18が外側領域17に対し隆起していてもよい。前記段差19は、図5に示すように、本壁体内換気器具1を下地板5に固定する際に、防水テープ20を貼り付ける目印として使用され、また、図6(b)に示すように本壁体内換気器具1を下地板5に防水テープ20により固定した後、更に防水紙21を貼り付け後に、該防水紙21の不要な部分をカッター22によりカットする際に、該カッター22をガイドする定規の代わりとしとしても使用される。また、図1に示すように、フランジ部3の表面16bの外側領域17には、該壁体内換気器具1の上下を、図外の作業者が視覚又は触覚を通じて感知できるように凹凸形状を有した識別マーク23が設けられている。なお、この識別マーク23は、図中において「上」と表示しているが、これに限定されず、壁体内換気器具1の上下を作業者が識別可能なものであればよい。
【0025】
上記のように構成される壁体内換気器具1は、図8に示すように木造建物4の下地板5に配設されるが、以下では、この壁体内換気器具1の下地板5への配設手順について説明する。まず、下地板5には、図4(a)に示すように、壁体内換気器具1を取付けるための貫通孔25があらかじめ設けられている。壁体内換気器具1は、下地板5の通気間隙側面26aと、フランジ部3の裏面16aとが対向した状態で、前記貫通孔25に管体部2が挿入される。この際、壁体内換気器具1には、識別マーク23が設けられているので、作業者は、視覚又は触覚を通じて、容易にその上下を判別して作業を行うことができる。また、貫通孔25の開口径は、管体部2に設けられている鍔24を含めて挿入できる大きさに開口されている。
【0026】
次に、図4(b)に示すように、壁体内換気器具1は、フランジ部3の裏面16aが、下地板5の通気間隙側面26aと当接するまで挿入した時点で、下方に押さえ込こまれる。これにより、フランジ部3と鍔24との間には、下地板5が挟み込まれ、壁体内換気器具1の下地板5への仮固定は、完了する。
【0027】
次に、図5に示すように、壁体内換気器具1は、フランジ部3の周囲四辺を防水テープ20により、下地板5の通気間隙側面26aに貼付けて固定される。これにより、壁体内換気器具1は、フランジ部3と下地板5との隙間に防水性を有して固定される。この際、作業者は、段差19を目印として防水テープ20を貼り付けることができので、作業性良く該作業を行うことができる。また、作業者は、フランジ部3が矩形であることにより、同図に示すように一般的な直線状の防水テープ20をカットして使用することができ、或いは、フランジ部3の形状にあわせて矩形の枠型に予め裁断した図外の防水テープを使用することもでき、いずれの場合においても簡便に当該作業を行うことができる。
【0028】
次に、図6(a)に示すように、下地板5には、防水性をより高める防水紙21が通気間隙側面26aを覆うように取付けられる。これにより、管体部2の通気間隙側開口部6は、防水紙21により閉塞された状態となる。
【0029】
次に、図6(b)に示すように、防水紙21の管体部2の通気間隙側開口部6を閉塞する部分は、カッター22を用いてカットされる。この際、作業者は、防水紙21を下地板5に押さえつけつつ、壁体内換気器具1の段差19が配設されている位置を探索した上で、カッター22を段差19に定規代わりに当接させつつ防水紙21をカットする。これにより、該防水紙21の管体部2の通気間隙側開口部6を閉塞する部分は、図7に示すように除去される。
【0030】
以上のように下地板5に取付けることができる壁体内換気器具1は、例えば図8に示す木造建物4に適用することができる。この木造建物4の上方には、陸屋根27の床仕上げ材28の端部横から立設した平板状であり、かつ、陸屋根27をルーフバルコニーとした際には図外の外装材がその屋外11側に配設される外側下地板29と、該外側下地板29と平行に配設した平板状の下地板5とを備えたパラペット30を有している。下地板5の裏面26bと、外側下地板29との間には、中空部10がその上端において下地木31により密封された状態で形成されている。また、パラペット30は、下地板5の通気間隙側面26a側に、該下地板5から通気間隙8を開けて、木造建物4の外壁である平板状の外壁等の外装材7が配設されている。前記下地板5には、上記説明した手順により、壁体内換気器具1が配設されており、該壁体内換気器具1により、中空部10と通気間隙8とは連通される。また、パラペット30の上端には、通気間隙8と屋外11とを連通する貫通孔(連通部)32が設けられた側面視略コの字型の水切33が取付けられており、その更に上方に側面視略コの字型の笠木34が配設されている。
【0031】
また、木造建物4は、陸屋根27の床板でもある平板状の天面35と、平板状の石膏ボードである床板36により構成される空間である小屋裏(壁体内空間)37を有している。この小屋裏37内には、パラペット30を支持する梁38が、パラペット30の下端に架設されている。また、小屋裏37内には、天面35を支持すると共に、一端が床板36に接続されている補強支持用の固定部材39の他端側に支持されている小屋梁40が架設されている。また、床板36上には、梁38、及び小屋梁40に当接する嵩だかを有する断熱材41が敷設されている。
【0032】
小屋裏37の天面35には、小屋梁40と当接する部分を切欠いて、小屋梁40の上方に通気経路を形成する切欠42と、梁38当接する部分をまたいで、小屋裏37と前記中空部10とを連通する切欠43とが設けられている。
【0033】
以上のような構成を有する木造建物4における小屋裏37の換気は次のようにして行われる。すなわち、切欠43を通って中空部10に流れ込んだ小屋裏37内の空気は、下地板5に配設した壁体内換気器具1内を通って中空部10から通気間隙8へと流れ、その後貫通孔32を通って屋外11に流れ出る。即ち、木造建物4において、壁体内換気器具1は、木造建物4の外装材7の裏面側にある下地板5に配設されるため、屋外11に露出することがない。そのため、壁体内換気器具1は、外装材7に配設される従来の換気器具と異なり、木造建物4の意匠性を低下させることなく、該外装材7を汚損することもない。
【0034】
また、壁体内換気器具1は、防水テープ20、防水紙21による防水構造を、下地板5に設けるだけでよいので、前記従来の換気器具と比べ、施工時のコストを低減できる。また、壁体内換気器具1を配設するためには、梁38に孔を開ける必要もなく、木造建物4の構造面でも有利となる。
【0035】
また、壁体内換気器具1は、管体部2の通気間隙側開口部6より侵入する雨水が、通気間隙8を通過したものに限られることにより僅かな量となることにより、該雨水が中空部10に管体部2の屋内側開口部9より侵入することを防ぐ構造を、前記従来の換気器具に比べ単純化できること、及び、直接日光にさらされることがないことに基づき、耐候性を考慮する必要がないので、安価であるABS樹脂等により構成することができることにより、それ自身のコストも低減することができる。
【0036】
なお、本実施の形態で示した壁体内換気器具1は、本発明に係る壁体内換気器具の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る壁体内換気器具1は、下地板5と、下地板5の裏面26b側に形成された中空部(壁体内空間)10と、下地板5の通気間隙側面26aと、外装材7との間に形成される通気間隙8と、通気間隙8と屋外11とを連通する貫通孔32とを備える建物であれば、例えば鉄筋コンクリート建物、陸屋根以外の形状の屋根を有した建物にも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 壁体内換気器具
2 管体部
2a 外周面
3 フランジ部
4 木造建物
5 下地板
6 通気間隙側開口部
6b 内周面
7 外装材
8 通気間隙
9 屋内側開口部
11 屋外
14 水返し
15 傾斜面
24 鍔
19 段差
26a 通気間隙側面
32 貫通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外装材と該外装材と間隔を空けて建物の内側に設置される下地板との間に形成される通気間隙と、前記通気間隙と屋外とを連通する連通部とを有した建物の前記下地板に配設される壁体内換気器具であって、
一端において前記通気間隙に向かって開口する通気間隙側開口部を有し、他端において前記下地板の屋内側に前記通気間隙側開口部の開口方向と異なる方向に開口する屋内側開口部を有する前記下地板を貫通する管体部と、
前記管体部の外周面に設けられ、前記下地板の通気間隙側面に当接するフランジ部と、を備えることを特徴とする壁体内換気器具。
【請求項2】
前記フランジ部の外周形状は矩形であると共に、外周縁から所定距離内側に段差を備えることを特徴とする請求項1に記載の壁体内換気器具。
【請求項3】
前記管体部は、前記フランジ部から前記下地板の略厚み分の距離を開けた位置の管体部の外周面から突出して、前記フランジ部との間で前記下地板を挟み込む鍔を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁体内換気器具。
【請求項4】
管体部の通気間隙側開口部は略水平方向に向かって開口し、管体部の屋内側開口部が上方に向かって開口することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の壁体内換気器具。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の壁体内換気器具を備えた建物換気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−144517(P2011−144517A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4128(P2010−4128)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】